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日本糖尿病学会:ワークショップ「輝け!女性糖尿病医」の講演動画をホームページで公開

 日本糖尿病学会「女性糖尿病医サポートの取り組み」ホームページでは、ワークショップ「輝け!女性糖尿病医」の講演動画を公開した。同ワークショップは、同学会の第53回中国四国地方会(2015年10月30日)および第53回九州地方会(同年11月27日)でそれぞれ開催されたもの。 同ホームページ「おすすめのイベント情報 > 過去のイベント」コーナーでは、その他にも開催された関連イベントについて、講演動画/スライドを掲載し、閲覧可能としている。 講演動画は以下関連リンクより閲覧可能。関連リンク「おすすめのイベント情報 > 過去のイベント」(日本糖尿病学会「女性糖尿病医サポートの取り組み」)

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難民の精神病リスク~そしてわが祖国(解説:岡村 毅 氏)-507

 非常に今日的な論文で刺激を受けた。現在起きている中東、北アフリカ、中央アジアの危機は第2次世界大戦以降、最も多くの難民を生み出しているという。そして大量の難民がヨーロッパに押し寄せ、統合を脅かしている。なかでも、人口比で最も多くの難民を受け入れているスウェーデンからこの報告がなされたことは必然である。 本研究では、連結された巨大な公的データベースを用いて、難民、移民、自国民の両親から生まれた自国民において、精神病(ここでは統合失調症や統合失調感情障害を指す)のリスクを比較している。そして、精神病リスクが難民では高いことが示された。 本研究では、地域別のリスクが示されている。男性では、女性に比べて地域差が大きいので男性について記載すると、ハザード比は東ヨーロッパ2.88(95%信頼区間:1.22~6.82)、アジア2.20(同:1.13~4.25)、中東・北アフリカ1.55(同:1.01~2.36)となっており、東ヨーロッパが高く中東はそうでもない。 難民のデータがきちんとあるのは1998年以降とのことで、本研究は1998年から2011年までのデータを解析している。1998年の難民の出身国・地域は、世界銀行のHPを見ると、多いところからアフガニスタン、イラク、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ソマリア、ブルンジの順である。シリア難民が激増を始めるのは2012年からだ(2011年は約2万人、2012年は約73万人、2014年は287万人)。したがって、本研究で東ヨーロッパが高いのはボスニア・ヘルツェゴビナ紛争を反映しているのかもしれない(あくまで素人の分析と思ってください)。 将来、2015年以降の欧州難民危機をデータに反映した研究が報告されるとき、中東はリスクが上昇しているのであろうか? 以下はあくまで個人的な見解であるが…これは遠い国の出来事なのだろうか? いうまでもなく、難民が生まれる前には戦争や内戦が起きている。そして、その前には、不正義、格差、信頼の欠如が起きていることだろう。私たちの社会は安泰だろうか? わが国は、激しい高齢化を経験しているが、高齢化は格差の拡大と関連するともいわれる。私たちの社会(まだ安全で平和であるが)に忍び寄る危険を少しでも小さくすることが、未来の若者たちに対する私たちの使命である。 東京大学からそう遠くない場所にも生活困窮者が簡易宿泊所などに暮らす街があり、この街にもまた高齢化が押し寄せ、支援はいっそう困難になっている。貧困や高齢化は、私たちの社会にとって今後の大きな課題であり、精神医学にとっても大きな挑戦である。この論文を読んで、飛躍かもしれないが、自分の研究をしっかりやろうと思った次第である。 この論文は、多くの心ある人にとって魂を揺さぶるものであろう…。社会を良くしたい、難民をなくしたい、そう考えたとき(政治家ではない)医学者にできることは何だろう? 難民を生み出すことは精神保健においても避けねばならない強い証拠を示すことだ、そういう情熱を感じた。

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ステップウェッジ法による危険な処方を減らす多角的介入の効果測定(解説:名郷 直樹 氏)-508

 この研究は、34の診療圏の家庭医を対象に、ステップウェッジ法を用いた、クラスターランダム化試験である。 介入は3段階から成り、まず薬剤師の訪問による1時間の教育セッション、紙媒体での情報提供、8週ごとに届けられるニュースレターによる教育的な介入の後、この介入に参加する金銭的なインセンティブとして350ポンド、その後ハイリスク処方をターゲットとした患者レビューごとに15ポンドの報酬が提供され、最後に、レビューが必要な患者を同定し、危険な処方をチェックし訂正するための情報ツールが提供される。この介入の効果をNSAIDs処方に関わる9つの危険な処方が減るかどうかで検討しているが、3.7%の危険な処方が2.2%にまで減少、相対危険度0.63、95%信頼区間0.57~0.68と報告している。 ステップウェッジ法というのは、介入をしない対照群を設けず、介入の時期をずらしてランダムに割り付ける方法である。前後でしか比較ができず、非介入群と比較をするわけではないので、一般的な比較対照試験というより一種のコホート研究と考えたほうがいいかもしれない。ただ非介入群を置くことが非倫理的と考えられる場合には、今後この方法が標準的な研究手法になっていくかもしれない。関連コメント高リスク処方回避の具体的方策が必要(解説:木村 健二郎 氏)診療所における高リスク処方を減らすための方策が立証された(解説:折笠 秀樹 氏)「処方箋を書く」医師の行為は「将棋」か「チェス」か?(解説:後藤 信哉 氏)診療の現場における安全な処方に必要なものは何か…(解説:吉岡 成人 氏)

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人工知能は敵か手下か【Dr. 中島の 新・徒然草】(112)

百十二の段 人工知能は敵か手下か?最近、人工知能(AI, artificial intelligence)についてのニュースが目につきます。まずはグーグルの開発した人工知能「アルファ碁」が韓国の囲碁棋士、イ・セドル九段と5番勝負を行い、4勝1敗と勝ち越したことです。国際棋戦を何度も制しているイ・セドル九段が人工知能に負けたことは囲碁界にとっては大変な衝撃でした。面白いのは、この対局を日本の高尾紳路九段が解説している記事で、「第2局では序盤の37手目にアルファ碁が勝利を確信し、その後は負けないように手堅く打っている」「第4局は劣勢のイ・セドル九段が78手目にワリコミという勝負手を放ったところ、突然アルファ碁が初心者のような手を打ち始めた」という趣旨のことを述べていることです。もちろん、アルファ碁には心がありませんから、「勝利を確信し」などというのは、棋譜から読み取った人間側の勝手な推測ではありますが。一方、将棋の方では2013年にプロ棋士5人とコンピュータソフト5種類との対戦、将棋電王戦が行われ、1勝3敗1分でプロ側が負け越してしまっています。もっとも、許容されるハードウエアの能力やルールの決め方など、いろいろな要素で勝敗が左右されてしまうので、単純にコンピュータソフトが人間を追い越したとは言えません。その後、プロ棋士によるコンピュータソフトの研究も進み、2015年には3勝2敗とプロ側が勝ち越しました。一般的に将棋ソフトは、「心理戦に左右されない」とか「最後まであきらめない」と評価されていますが、「想定外の場面になるとうろたえてしまう」といった、人間らしい部分もあるようです。囲碁や将棋のようなゲームで人工知能が活躍するようになると、他の分野にも応用できそうな気がしてきます。人工知能に向いているのではないかと私が感じる分野は、小説の執筆、作詞作曲、恋愛、企業経営、政治、外交政策などです。並べてみると、アナログ的なものばかりになってしまいました。「人工知能でどうやって恋愛するんだ!」というツッコミが予想されますが、実はできるんですよ、これが。3,200万人ものユーザー情報が漏洩して大問題となった不倫サイトのアシュレイ・マディソンでは、会話ロボットが男性を誘惑して利用料を巻き上げていたのだとか。氏名を公表されて自殺した人までいるというのに、やっていたことは無茶苦茶です。つい数日前にマイクロソフトが実験を始めた人工知能「Tay」は、一般人とネットで対話しながらどんどん進化していくという触れ込みでした。ところが、ツイッターで覚えた差別発言や暴言を撒き散らしたため、たちまち実験中止となってしまいました。驚くべきことです。当然、われわれの業界では「人工知能が自分の代わりに診察してくれないかな。ついでに治療も頼めたら」と誰もが願うところです。そう思っていたところ、自治医大が医師の診療を支援する人工知能「ホワイト・ジャック」を発表したというニュースが入ってきました。患者さんの話を根気よく聞き、上手な相槌を打ち、最後に的確な診断をする理想的な人工知能だったらいいのに、と私は勝手に期待しております。診療の合間にわれわれの愚痴も聞いてくれるかもしれませんね。最後に1句AIに 仕事を任せて 一休み

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抗精神病薬の併用療法、有害事象を解析

 抗精神病薬の併用療法は、有効性や安全性が確立していないにもかかわらず、一般的に行われている。米国・ザッカーヒルサイド病院のBritta Galling氏らは、抗精神病薬併用療法と単独療法を比較した報告について調査した。Expert opinion on drug safety誌オンライン版2016年3月11日号の報告。 著者らは、言語制限なしで、2015年5月25日までのPubMed、PsycInfo、CJN、WangFan、CBMから、20歳以上の成人における抗精神病薬併用療法と単独療法を比較した無作為化試験のうち、有害事象のメタ解析が可能な報告についてシステマティックサーチを行った。 主な結果は以下のとおり。・67件(4,861例、期間:10.3±5.2週)のメタ分析によると、抗精神病薬併用療法は、不耐性に関連する中止において、単独療法と同様であった(RR:0.84、95%CI:0.53~1.33、p=0.455)。・1つ以上の有害事象の発生率は、抗精神病薬の併用療法で低かった(RR:0.77、95%CI:0.66~0.90、p=0.001)。これらの結果は、もっぱら非盲検で有効性に焦点を当てた試験でみられたものだった。・補助的D2アンタゴニストは、吐き気(RR:0.220、95%CI:0.056~0.865、p=0.030)、不眠(RR:0.26、95%CI:0.08~0.86、p=0.028)の発生率は低かったが、高プロラクチン(SMD:2.20、95%CI:0.43~3.96、p=0.015)は高かった。・アリピプラゾールのような補助的部分D2アゴニストは、心電図異常(RR:0.43、95%CI:0.25~0.73、p=0.002)、便秘(RR:0.45、95%CI:0.25~0.79、p=0.006)、よだれ/唾液分泌過多(RR:0.14、95%CI:0.07~0.29、p<0.001)、プロラクチン(SMD:-1.77、95%CI:-2.38~-1.15、p<0.001)、総コレステロール(SMD:-0.33、95%CI:-0.55~-0.11、p=0.003)、LDLコレステロール(SMD:-0.33、95%CI:-0.54~-0.10、p=0.004)の発生率が低かった。 著者らは「抗精神病薬の併用療法に関連する有害事象の認識を改める二重盲検のエビデンスは見出せなかった。有害事象の報告は、不十分かつ不完全であり、フォローアップ期間が短かった。補助的部分D2アゴニストは、いくつかの有害事象に対し、有効であると考えられる。総合的に有害事象を評価するために、質の高い長期的研究が必要とされる」とまとめている。関連医療ニュース 経口抗精神病薬とLAI併用の実態調査 急性期統合失調症、2剤目は併用か 切り換えか:順天堂大学 難治例へのクロザピン vs 多剤併用

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マインドフルネス・ストレス低減療法は腰痛の治療選択肢/JAMA

 慢性腰痛に対し、瞑想とヨガによるマインドフルネス・ベースのストレス低減療法(MBSR)は、26週間後の痛みや機能的制限の改善について、通常ケアよりも有効で、認知行動療法(CBT)と同程度の効果があることが示された。米国・ワシントン大学のDaniel C. Cherkin氏らが、342例を対象に行った無作為化比較試験で明らかにし、JAMA誌2016年3月22・29日号で発表した。MBSRの効果についての試験はこれまで大規模だが1試験のみで高齢者のみを対象としたものしか行われていなかった。MBSRとCBTを週2時間、8週間実施 研究グループは、2012年9月~14年4月にかけて、ワシントン州在住で慢性腰痛のある342例の成人患者を対象に無作為化試験を行った。 被験者を無作為に3群に分け、1群(116例)にはMBSRを、別の1群(113例)には疼痛に関する思考と行動を修正するトレーニングによるCBTを、もう1群(113例)には通常ケア(あらゆるケアを包含;対照)を行い、その効果を比較した。MBSRとCBTはいずれも週1回2時間を、8週間にわたり実施した。 主要アウトカムは2つで、26週時点での機能的制限(修正ローランド障害質問票[RDQ]:0~23)と自己申告による腰痛症状の評価(尺度:0~10)の、ベースラインから臨床的に意味のある改善(30%以上)だった。 被験者の年齢は20~70歳で、平均年齢は49.3歳、女性は65.7%、平均腰痛期間は7.3年(範囲:3ヵ月~50年)だった。RDQスコア3割以上改善は、MBSR群・CBT群で約6割、対照群で約4割 8回のMBSRまたはCBTセッションのうち、6回以上参加した被験者は53.7%で、26週間の試験を完了したのは86.0%だった。 ITT解析の結果、26週時点でRDQスコアについて臨床的に意味がある改善がみられたのは、MBSR群が60.5%、CBT群が57.7%で、対照群44.1%よりも有意に高率であった(すべてのp=0.04、MBSR群 vs.対照群の相対リスク[RR]:1.37、CBT群 vs.MBSR群のRR:0.95、CBT群 vs.対照群のRR:1.31)。 26週時点での自己申告による腰痛症状の評価について臨床的に意味のある改善がみられたのは、MBSR群が43.6%、CBT群が44.9%、対照群が26.6%だった(すべてのp=0.01、MBSR群 vs.対照群のRR:1.64、CBT群 vs.MBSR群のRR:1.03、CBT群 vs.対照群のRR:1.69)。 これらの結果を踏まえて著者は、「MBSRは、慢性腰痛患者にとって有効な治療選択肢になりうることが示された」とまとめている。

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農水・厚労省の食事バランスガイドで死亡リスク低下/BMJ

 日本人対象の大規模前向きコホート研究の結果、食事のバランスが良い人ほど、全死因死亡リスクや心血管・脳血管疾患死リスクが低いことが明らかにされた。国立国際医療研究センターの黒谷佳代氏らが、約8万人を中央値15年追跡した結果で、BMJ誌オンライン版2016年3月22日号で発表した。これまでに欧米人を対象に、より良い食事摂取が死亡リスクや主要慢性疾患リスクを低下することを示した試験結果はあるものの、アジア人を対象にした前向き試験は珍しいという。食事バランスガイド順守度と死亡率の関連を検証 研究グループは、1990年または1993年より、全国11ヵ所の保健所を中心に45~75歳の男性3万6,624人と女性4万2,970人について、中央値15年にわたる前向きコホート試験を行った。被験者は、がんや脳卒中、虚血性心疾患、慢性肝疾患の病歴がいずれも認められなかった。 農林水産省が作成した「食事バランスガイド」の順守度と、全死因死亡率の関連を検証した。具体的には、被験者の同ガイド順守度を0~70までスコア化し、低いほうから4群に分類し、死亡率との関係を調べた。食事バランスガイドは、食事内容をご飯やパンなどの「主食」、野菜やきのこ類などの「副菜」、肉や魚などの「主菜」、「乳製品」、「果物」の5つのカテゴリーに分類し、いずれもバランス良く摂取するよう推奨している。順守度最高群は、最低群に比べ死亡リスクは15%減少 その結果、同ガイド順守度が高スコア群ほど全死因死亡率は低くなることが示された。多変量補正後ハザード比(HR)は、最低スコア(第1分位)を1とした場合、第2分位群が0.92(95%信頼区間[CI]:0.87~0.97)、第3分位群が0.88(同:0.83~0.93)、最高スコア(第4分位)群は0.85(同:0.79~0.91)だった(傾向p<0.001)。 食事バランスガイドの順守スコアが10ポイント増大することで、死亡リスクは約7%低下した(補正後HR:0.93、95%CI:0.91~0.95、傾向p<0.001)。 心血管疾患死リスクについても、同スコアの10ポイント増大につき、約7%の低下が認められた(同:0.93、0.89~0.98、傾向p=0.005)。とくに脳血管疾患死リスクについては、約11%の低下がみられた(同:0.89、0.82~0.95、傾向p=0.002)。 また、がん死亡リスクについても、同スコアの増加によるリスクの減少は認められたが、有意差には至らなかった(同:0.96、0.93~1.00、傾向p=0.053)。

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糖尿病網膜症と夜間頻尿が相関

 日本人の2型糖尿病患者を対象とした研究で、細小血管合併症のうち糖尿病網膜症が、夜間頻尿と独立して関連していたことを、愛媛大学の古川 慎哉氏らが報告した。愛媛県内の関連病院による多施設共同研究(道後Study)において、2型糖尿病患者の細小血管合併症と夜間頻尿の関連を検討した結果、明らかになった。Urology誌オンライン版2016年3月16日号に掲載。 本研究では、日本人の2型糖尿病患者731例に自記式質問票を用いて情報を収集。オッズ比は、性別、年齢、BMI、糖尿病罹病期間、現在の喫煙状況、現在の飲酒状況、高血圧、脳卒中、虚血性心疾患、HbA1cで調整した。なお、診断は以下に従い判断した。・夜間頻尿:「夜寝てから朝起きるまでに、排尿するために通常何回起きますか?」という質問に1回以上と回答した場合・糖尿病神経障害:「神経症状」「アキレス腱反射消失」「振動覚異常」のうち2項目以上を満たした場合・糖尿病腎症:「推算糸球体濾過量(eGFR)30mL/分/1.73m2未満」あるいは「尿アルブミン/Cr比34mg/mmolCr以上」、もしくはどちらも該当した場合・糖尿病網膜症:眼科専門医により診断 主な結果は以下のとおり。・夜間頻尿の有病率は80.4%であった。・糖尿病網膜症と夜間頻尿との独立した正の相関が示された(調整オッズ比2.39、95%CI:1.08~6.11)。・糖尿病腎症と糖尿病神経障害は夜間頻尿と関連がみられなかった。

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がんの痛みは言葉で知らせて、麻薬で緩和を

 がん治療につきまとう「痛み」の問題。3月17日に都内で開かれたメディア向けセミナー(塩野義製薬株式会社主催)において、がんの疼痛治療を臨床と教育の両面から研究を進めている服部 政治氏(がん研究会有明病院 がん疼痛治療科 部長)が、疼痛治療の現状や、医療用麻薬をめぐる医療者と患者の認識のギャップをテーマにした講演を行った。このなかで服部氏は、「痛みを我慢するのは決して美学ではない。言葉で訴える必要性を患者に理解してもらい、医療用麻薬への不必要な恐怖を取り除くことが重要」と述べた。痛みをめぐる認識のギャップ 服部氏によると、がん患者が直面する痛みの発現度を表す有痛率は、根治的治療期が約2割であるのに対し、末期になると約7割にまで増加するのだという。ところが、この痛みをめぐって治療医と患者との間には注意しなければならない認識のギャップがあることが明らかになった。 塩野義製薬が、今年2月に、がん治療医203人とがん患者1,346人を対象に行ったインターネット調査によると、「身体の痛みについて何らかの対処をしている/してくれる」かどうかについて、医師の84.2%が「そう思う/ややそう思う」と回答したのに対し、同様に答えた患者は55.5%で、両者には28.7%のギャップがみられた。また、「身体の痛みがないかどうかを聞いている/聞いてくれる」かどうかについては、医師の78.3%が「そう思う/ややそう思う」と回答したのに対し、同様に答えた患者は51.7%で、両者には26.6%のギャップがみられた。これは、疼痛に対して医師が行った対処が、患者にとっては不十分であると受け止められている表れではないだろうか。医療用麻薬は「最後の手段」? しかし、医師の対処にすべての問題があるとはいえない現状がある。前述のアンケート調査で、疼痛緩和のための医療用麻薬に対するイメージについて尋ねたところ、「正しく使用すれば安全だ」「正しく使用すればがんの痛みに効果的だ」という項目で、医療者と患者の認識にそれぞれ約30%の開きがあった(医師96.1% vs.患者64.9%、同97.5% vs.同68.4%)。いずれも医師の割合が高く、患者の割合が低いためにギャップが生じているが、逆のパターンで大きなギャップが生じている項目もあり、「最後の手段だ」(医師11.8% vs.患者44.3%)「麻薬という言葉が含まれていて怖い」(同11.3% vs.同35.1%)などがそうである。 医療用麻薬は、末期だけでなくがん治療スタート時からあらゆる形で使われており、適切なタイミングと用量で、患者の心身の負担軽減や治療の効率化につながるが、メディアなどを通じて植え付けられた「麻薬」という言葉への誤解や歪んだイメージが、患者の躊躇につながっていると服部氏は語る。がん治療を進めるために必要なコミュニケーションとは こうした状況を解決するためのカギは、医療者と患者の双方が握っている。まず、医療者側に求められるのは、コミュニケーションの工夫だ。服部氏が臨床で実践しているのは、「早い段階で医療用麻薬の使用を提案する」こと。がん治療の初期段階で「麻薬」というワードを持ち出すと、患者本人も家族も非常に驚くという。しかし、その驚きこそが医療用麻薬に対する誤った認識に基づくものであるということや、医療用麻薬による疼痛緩和が治療にもたらすメリットを丁寧に説明するのだ。インパクトの強い情報も、きちんと理解して納得がいけば、その後はスムーズな治療が望めると服部氏は語る。また、痛みの度合いに応じて1日10mg から20mgに、さらに40mgにと薬剤を増やす際、「実際の増加量を視覚的に示すことで、非常に微々たるものだということが患者にわかってもらえると同時に、数字が単純に2倍、4倍になるということへの恐怖が和らぐ」という。 一方、患者側には抱える痛みをはっきりと医療者に伝えてもらうことが肝要だ。痛みを我慢することで不眠や抑うつ状態、免疫力の低下を引き起こし、結果的にがん治療の継続ができなくなる可能性もあるということを理解してもらわなければならない。 しかし、患者の痛みの訴えを引き出すのもまた、医療者と良好なコミュニケーションがあってこそ。服部氏は、「痛みへのケアや、オピオイドや医療用麻薬の使用については、医療者側からの問いかけときっかけづくりが重要だ」と述べた。

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乾癬治療、メタボリックシンドロームの及ぼす影響は

 2016年3月10日、都内にて「気をつけたい 乾癬の併存疾患とその臨床」をテーマにセミナーが開催された(主催:日本イーライリリー株式会社)。演者は多田 弥生氏(帝京大学医学部 皮膚科 准教授)。 乾癬は、皮膚に生じる厚い銀白色の鱗屑を伴った紅斑が特徴の、慢性・再発性の炎症性角化症である。青年~中年期に好発し、皮膚症状だけでなく何らかの疾患を併発することが多い。とくに頻度の高い併存疾患として、メタボリックシンドローム、高尿酸血症、心血管障害、脂肪肝、関節炎、ぶどう膜炎がある。今回は、乾癬とメタボリックシンドロームの関係を中心に、セミナーの概要を紹介する。乾癬とメタボを結び付ける鍵は「アディポカイン」 乾癬はメタボリックシンドロームが加わることで、慢性的な全身の炎症が促進され、インスリンの抵抗性が増す。この結果、血管内皮細胞障害を経て動脈硬化が進行し、心筋梗塞のリスクが増加する。これら一連の現象は「乾癬マーチ1)」と呼ばれ、広く知られている。それに加えて、近年、脂肪細胞が分泌している「アディポカイン」が乾癬の炎症に関わると注目されている。 アディポカイン(アディポサイトカイン)は、脂肪細胞から分泌される生理活性タンパク質の総称である。肥満が亢進すると、TNF-αに代表される炎症性アディポカインの生産が過剰になり、アディポネクチンなどの抗炎症性アディポカインの生産が減少する。肥満によって、このアディポカインの分泌異常により体内のインスリン抵抗性が増加することで、メタボリックシンドロームをはじめ、さまざまな併存疾患が生じる。乾癬は炎症性アディポカインによって症状が悪化するため、メタボリックシンドロームは、それ自体が乾癬をより悪化させる方向に働く。減量すると、乾癬症状が軽快する 乾癬の病勢が強いほど高血圧、高トリグリセライド血症、高血糖、肥満などメタボリックシンドロームの各要素との併存率が高い2)。そのため、肥満は乾癬を悪化させ、乾癬の悪化がメタボリックシンドロームにつながるという悪循環に陥る。 しかし、減量して、脂肪細胞を健常時に近い状態に戻せば、乾癬の症状が改善することもあるという。実際に、多田氏は体重の大幅な減量を達成することで、乾癬が改善した例を数例経験している。また、減量による治療効果の出やすさも実感している。よって、乾癬の患者はメタボリックシンドロームの改善を行う必要がある。とりわけ肥満患者については、治療開始に当たって、まず体重の減量を指導することが大切である。 また、痩せ型患者であっても、隠れメタボの存在を考慮し、患者の状態に合った適切な指導を行う必要がある。併存疾患の早期治療には、他科との連携が必要 メタボリックシンドロームをはじめとした併存疾患を放置していると、乾癬患者は非常に重篤な状態に陥ることがある。そのため、多田氏は、皮膚科医が具体的な問診を行うことで早期に併存疾患を発見し、時には他科と相談しながら早期治療を行うことが重要である、と主張した。「皮膚科医が、適切な問診で乾癬患者の併存疾患を早期に発見し、適切な診療科に早期に紹介し、専門的な治療につなげていくことで患者のリスクを軽減できる」と強調した。 また、乾癬の重篤化が併存疾患のリスクを高めることを述べたうえで、重症例では生物学的製剤導入による炎症抑制が併存疾患の予後改善につながる可能性がある、と治療強化の重要性も訴え、セミナーを結んだ。参考文献1)Boehncke WH,et al. Exp Dermatol. 2011;20:303 -307.2)Langan SM,et al. J Invest Dermatol. 2012;132:556-562.

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2型糖尿病における基礎インスリンとGLP-1受容体作動薬の配合剤の有用性は…(解説:吉岡 成人 氏)-506

基礎インスリンとGLP-1受容体作動薬の併用 米国糖尿病学会(American Diabetes Association:ADA)の推奨する2型糖尿病の治療アルゴリズムでは、第1選択薬はメトホルミンであり、単剤→2剤併用(注射薬であるインスリン、GLP-1受容体作動薬との併用も可)→3剤併用とステップアップして、最終的な注射薬との併用療法として、メトホルミンをベースに基礎インスリンと食事の際の(超)速効型インスリン製剤の併用(強化インスリン療法)、または、基礎インスリンとGLP-1受容体作動薬の併用が勧められている。肥満が多い欧米の糖尿病患者においては、肥満を助長せず、食欲を亢進させないGLP-1受容体作動薬が広く使用されている。基礎インスリンとGLP-1受容体作動薬の配合剤の有用性を検討 現在、Novo Nordisk社では持効型溶解インスリンアナログ製剤であるインスリンデグルデク(商品名:トレシーバ)とGLP-1受容体作動薬であるリラグルチド(同:ビクトーザ)の固定用量配合剤(3ml中に300単位のインスリンデグルデク、10.8mgのリラグルチドを含むプレフィルドタイプのペン製剤;one dose stepにインスリンデグルデク1単位、リラグルチド0.036mgを含有)に関する臨床試験を行っており、本論文は、配合剤と持効型溶解インスリン製剤であるグラルギン(同:ランタス)を使用してタイトレーションを行った際の有用性を比較検討した試験である。 10ヵ国、75施設から患者をリクルートした多施設国際共同試験であり、ランダム化、オープンラベルの第III相試験である。グラルギン20~50Uと1,500mg以上のメトホルミンの併用でも血糖コントロールが不十分(HbA1c>7.0~10.0%)な2型糖尿病患者557例(平均年齢58.8歳、男性が51,3%、平均BMI:31.7kg/m2)を対象として、空腹時血糖値72~90mg/dLをターゲットに、週に2回、デグルデク/リラグルチドないしはグラルギンでタイトレーションを行う2群に分け、26週にわたって経過を観察した試験である。デグルデク/リラグルチド群(278例)では、16 dose steps(デグルデク16単位、リラグルチド0.6mg)から開始し、50 dose steps(デグルデク50単位、リラグルチド1.8mg)まで増量し、グラルギン群(279例)では最大投与量に上限値を設けずに増量するというプロトコルを採用している。デグルデク/リラグルチド群ではHbA1c、体重が有意に低下、低血糖の頻度も減少 その結果、デグルデク/リラグルチド群ではHbA1cが-1.81%(8.4→6.6%)、グラルギン群-1.13%(8.2→7.1%)となり、推定治療差(ETD)は-0.59%(95%信頼区間:-0.74~-0.45)と非劣性基準を満たし、統計的な優越性基準も満たした(p<0.001)。また、体重についてもデグルデク/リラグルチド群では1.4kg減少し(グラルギン群では1.8kg増加)、低血糖はデグルデク/リラグルチド群で2.23件/患者年(ランタス群では5.05件/患者年)と有意に少なかった。非重篤な胃腸障害はデグルデク/リラグルチド群で79件、グラルギン群で18件とデグルデク/リラグルチド群で多かったが、重篤な有害事象の頻度に差はなかった。日本におけるデグルデク/リラグルチド配合剤の有用性は… 日本ではリラグルチド(商品名:ビクトーザ)、エキセナチド(同:バイエッタ)、エキセナチド持続性注射剤(ビデュリオン)、リキシセナチド(リキスミア)、デュラグルチド(トルリシティ・アテオス)の5種類のGLP-1受容体作動薬が発売されている。インスリンや経口糖尿病治療薬との併用についての保険適用で、薬剤間に若干の差はあるものの、副作用としての嘔気などの消化管機能障害のため、適正な用量までの増量が難しい患者が少なくない。また、発売当初に期待されていた膵β細胞の保護機能に関する臨床データは得られておらず、体重減少や血糖管理が長期間にわたり持続する症例は期待されたほど多くはなく、薬剤の有用性を実感しにくいことも事実である。しかし、週1回製剤のデュラグルチドは注射の操作も簡単であり、認知機能が低下した高齢者などに対して、患者や家族ではなく訪問看護師や地域の一般医が週に1回の注射を行うことで安定した血糖管理が得られる症例もあり、今後幅広く医療の現場で使用される可能性も示唆されている。 いずれにしても、欧米人ほどは大量のインスリンを必要とせず、BMI30kg/m2を超える肥満2型糖尿病患者がさほど多くない日本において、インスリンとGLP-1受容体作動薬の配合剤がどの程度の価格で発売され、どのようなタイプの患者にとって福音となるのか、慎重な検討が必要であろう。

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ケアネットDVD 番組レジュメ一覧

インデックスページへ戻るDr.東田の今さら聞けない病態生理Dr.東田の今さら聞けない病態生理 の番組レジュメをみるチャレンジ!超音波走査チャレンジ!超音波走査 の番組レジュメをみるDr.浅岡のもっと楽しく漢方!第1回「狂ったシナリオ」の番組レジュメをみる第2回「構想の死角」の番組レジュメをみる第3回「もう一つの鍵」の番組レジュメをみるDr.浅岡のもっと楽しく漢方!第4回「見えない檻」の番組レジュメをみる第5回「美食の報酬」の番組レジュメをみる第6回「逆転の構図」の番組レジュメをみるDr.浅岡のもっと楽しく漢方!第7回「華燭の罠」の番組レジュメをみる第8回「仕組まれた幸福」の番組レジュメをみる第9回「似顔絵の告白」の番組レジュメをみるDr.浅岡のもっと楽しく漢方!第10回「消された記憶」の番組レジュメをみる第11回「ルージュの呪縛」の番組レジュメをみる第12回「寡黙な案内人」の番組レジュメをみるDr.浅岡のもっと楽しく漢方!第13回「足されたダイアル」の番組レジュメをみる第14回「合鍵の証言」の番組レジュメをみる第15回「光と影」の番組レジュメをみる第16回「二つの顔」の番組レジュメをみる

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Dr.水野の心音聴診クイズ

このコーナーでは、心音聴診による症候診断クイズをお届けします。日常診療では欠かせない心音の聴診。慣れてくると音だけでさまざまなことがわかるようになります。多くの心音を聴くことで、会員の皆様の聴診力を上げることを目的としています。出題・解説は、水野 篤 氏(聖路加国際病院 心血管センター)です。※ 本コンテンツの回答は、医師会員のみとなります。

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サルマラリアに気を付けろッ!【新興再興感染症に気を付けろッ!】

ケアネットをご覧の皆さま、こんにちは。国立国際医療研究センター 国際感染症センターの忽那です。本連載「新興再興感染症に気を付けろッ!」、通称「気を付けろッ」は「新興再興感染症の気を付け方」についてまったりと、そして時にまったりと、つまり一貫してまったりと学んでいくコーナーです。第19回となる今回は、前回のジカウイルス感染症との蚊つながりで、マラリアについてご紹介いたします。マラリアは古典?「おいおい、マラリアなんて超古典的な感染症じゃねえかよ、どこが新興再興感染症なんだよ」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、今回取り上げるのはそのマラリア原虫の中でも、最近注目を集めているサルマラリアの1つPlasmodium knowlesiというものです(このP.knowlesi以外にもサルに感染するマラリアはたくさんあり、それらをひっくるめていわゆる「サルマラリア」と呼びます)。マラリアは、結核とHIVに並ぶ世界3大感染症の1つであり、今もアフリカを中心に2億人を越える感染者を出しています1)。その大半が熱帯熱マラリア(Plasmodium falciparum)または三日熱マラリア(Plasmodium vivax)によるものであり、残りの数%が四日熱マラリア(Plasmodium malariae)と卵形マラリア(Plasmodium ovale)によるものです。しかし、これまで4種類とされてきたヒトに感染するマラリア原虫に第5の刺客が登場したのですッ! それがP.knowlesiなのですッ! ちなみに“knowlesi”の発音ですが、「ノウレジ」と言う人もいますが、通は「ノウザイ」と発音するようです。“Dengue”を「デング」と呼ぶか、「デンギー」と呼ぶかと同じで、まあどっちでもいいかと思いますが。知っておきたいP.knowlesiの発生地域P.knowlesiは、アカゲザルやカニクイザルなどのサルを固有の宿主とするマラリア原虫の1種で、1965年にマレーシアでヒトへの自然感染例が初めて報告されましたが、ヒトに感染するのはきわめてまれな感染症であると考えられていました。しかし、マレーシアでこれまで四日熱マラリアと診断されていた症例の大部分が、実はどうやらP.knowlesi感染症であったことが近年明らかとなり、現在ではP.knowlesiはマレーシアの他、タイ、ベトナム、カンボジア、ミャンマー、インドネシア、シンガポールなど東南アジアの森林地帯に分布していることがわかっています(図1)2)。すでに日本でも1例の輸入例が報告されています。これは国立国際医療研究センターで診断された症例で、私も診療に加わらせていただいた症例です3)。画像を拡大するP.knowlesiの症状と診断P.knowlesiの臨床症状は、他のマラリアと同じく非特異的な発熱であり、発熱以外には頭痛、関節痛、筋肉痛、下痢などの症状を呈することがあります。卵形マラリアや三日熱マラリアは48時間、四日熱マラリアは72時間周期の発熱を呈することがありますが、P.knowlesiは24時間周期といわれています。これはマラリア原虫の体内での分裂周期が、この時間だから周期的な発熱になるわけですが、発症してしばらくは原虫の周期がそろわず、かならずしも周期的な発熱にならないこともしばしばです。周期性が出てくるのはだいたい発症から5~7日くらいとされています4)。マラリア原虫種の鑑別には、ギムザ染色による顕微鏡検査がゴールドスタンダードです。たとえば図2がP.knowlesiのギムザ染色での所見です。画像を拡大する感染赤血球の大きさが変化していないので熱帯熱マラリアか四日熱マラリアかP.knowlesiかということがわかりますし、環状体が少し変形しているので後期栄養体かな? とかまではわかりますが、P.knowlesiは後期栄養体の帯状体が四日熱マラリア原虫と類似していたり、早期栄養体の環状体が熱帯熱マラリア原虫との鑑別を要することもあるため、なかなかギムザ染色だけでは原虫種まではわかりません。確定診断のためにはPCR検査を依頼することが、望ましいとされます(マラリア原虫のPCR検査は、国立国際医療研究センター研究所 マラリア研究部で行うことができます)。P.knowlesiの治療と発熱渡航者に気を付けろP.knowlesi感染症はほとんどが軽症~中等症ですが、まれに重症化する症例が報告されており、注意が必要です。P.knowlesi感染症の治療としては、海外ではクロロキンが第1選択薬として使用されていますが、わが国ではクロロキンは使用できないため、本症例ではメフロキン(商品名:メファキン)またはアトバコン・プログアニル(同:マラロン)を使用することになります。ただし、重症例では他のマラリア原虫種同様、アーテミシニン併用療法による治療が推奨されます。幸いなことにアーテメーター・ルメファントリン合剤(同:リアメット)が国内でも承認されましたので、もうすぐ使用できるようになります。また、P.knowlesiは休眠体をつくらないため、プリマキンによる根治療法を行う必要はありません。P.knowlesi常在地から帰国後の発熱患者に血液塗抹標本で、四日熱マラリア原虫に似た原虫を認めたら、P.knowlesi感染症を疑うようにしましょう!次回は最近あまり注目されていないけれど、地味に感染者を出している「H7N9インフルエンザ」についてご紹介いたしますッ!1)World Health Organization. World Malaria Report 2015.(参照 2016.3.23).2)Singh B, et al. Clin Microbiol Rev. 2013;26:165-184.3)Tanizaki R, et al. Malar J. 2013;12:128.4)Taylor T, et al. Hunter's Tropical Medicine and Emerging Infectious Diseases. 9th ed. Philadelphia:Saunders Elsevier;2012. p.696-717.

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循環器内科 米国臨床留学記 第7回

第7回:新しい補助循環装置Impella重症な虚血性心疾患や心不全患者の血行動態のサポートに、日本では大動脈内バルーンパンピング(IABP)が使用されていると思います。米国でもIABPは健在です。余談になりますが、7年前にマイケル・ジャクソンが心肺停止状態でUCLAに運ばれた際、当直のフェローを含めた循環器のチームが対応し、IABPが挿入されました。後の裁判では、来院時から脈が触知不能であったにもかかわらずIABPを挿入したということを不適切だったのではないかと尋問されていました。米国では5~6年前より、IABPに加えて、Impellaという軸流式の補助循環装置がよく使用されています。ヨーロッパでの認可は、さらに遡り2005年となっています。“impeller”は英語で羽根車という意味ですが、この羽根車が高速に回転することで、軸流ポンプが左室内の血液を上行大動脈に運びます。左心系に用いる場合、経大腿もしくは腋窩動脈より留置します。左心室に留置されたImpellaは、カテーテル先端の流入口(inflow)より血液を吸入し、ポンプを経た血流を上行大動脈の流出口より放出します(図1、2)。2.0~2.5L/minの血流を発生させるImpella 2.5と、4.0~5.0L/minの血流を発生させるImpella 5.0が認可されています。Impella 2.5は13Frの導入シースを用い、大腿動脈からのアプローチが可能ですが、Impella 5.0 は導入シースのサイズが大きいため、外科的な大腿もしくは腋窩動脈からのアプローチが必要です。Abiomed社のウェブサイト上で、原理をわかりやすく説明した動画を見ることができます。 図1 画像を拡大する Impella留置後の正面像 矢印は、左心室に留置された流入口と上行大動脈に位置する流出口を示す。 図2 画像を拡大する 心エコーはImpella留置後の位置の確認などにも用いられる。大動脈弁の石灰化および狭窄症、大動脈弁逆流や左心血栓には禁忌とされています。また、シースのサイズが大きいため、下肢の虚血がある場合も使用が困難となります。ImpellaはハイリスクPCI(経皮的冠動脈形成術)やVT(心室頻拍)のアブレーションなどの手技中の血行動態サポートに使われることも多くなっています。使用期間は6時間までとなっていますが、実際は1週間以内の範囲で使用することが多いようです。重症心不全の患者への左室補助人工心臓(LVAD)へのブリッジングとして使用され、先日も重症心不全の患者をLVAD移植のためヘリコプターで他院へ搬送しましたが、その際、Impellaを植え込んでから来てほしいと他院から要望がありました。IABPなら医師のヘリコプターへの同乗は不要のようですが、Impellaは付随するpurge system(血液がモーターに入るのを防ぐシステム)の対応が複雑なため、同乗することを求められました。コストは、IABPの800ドル(約9万円)に対して、Impellaは2万ドル(約220万円)ですから、その使用には慎重な判断が求められます。PROTECT II試験のデータでは、使用開始から90日の段階でIABPとImpellaでコストが同等であったとありますが(共に17万ドル、約1,900万円)、これは医療費の高いアメリカでの話であり、日本で同じような論法が通用するとは思えません。日本での導入が遅れている理由はわかりませんが、高価な値段が関係しているのかもしれません。

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子供の好き嫌いの多さに影響する親の精神症状

 特定の食品を拒否するなどの子供の好き嫌い行動と親の不安とうつ病との関連を、オランダ・エラスムス大学医療センターのLisanne M de Barse氏らが調査した。Archives of disease in childhood誌オンライン版2016年2月25日号の報告。 本研究は、オランダの胎児期以降の前向きコホート研究Generation Rに組み込まれた。対象は、4,746人の4歳児およびその親。親に内在する不安や抑うつ症状といった問題は、妊娠中と就学前(3歳)の期間にBrief Symptoms Inventoryにて評価した。主要評価の測定は、子供の食行動に関するアンケートによる食品に対する好き嫌いスケールで行った。 主な結果は以下のとおり。・妊娠中および就学前の母親の不安は、子供の食品における好き嫌いの合計スコアの高さと関連していた。・たとえば、交絡因子の調整後、妊娠中の不安スケール1ポイントにつき、子供の好き嫌いスケールの合計スコアは平均1.02点高かった。・同様に、妊娠中および就学前の母親の抑うつ症状は、子供の好き嫌い行動と関連していた。たとえば、出産前のうつ病スケール1ポイントにつき、食品に対する好き嫌いスコアの合計スコアは0.91ポイント高かった(95%CI:0.49~1.33)。・父親に内在する問題と子供の好き嫌いとの間にも、大部分で類似した関連が認められた。しかし、妻の妊娠中における父親の不安との関連は認められなかった。 著者らは「母親や父親に内在する問題は、子供の未就学時期における好き嫌いと関連することが見込まれる。医療従事者は、両親の不安や抑うつの非臨床的な症状が、子供の好き嫌いの危険因子であることを認識する必要がある」とまとめている。関連医療ニュース 小児ADHD、食事パターンで予防可能か 子供はよく遊ばせておいたほうがよい 9割の成人ADHD、小児期の病歴とは無関係

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遺伝子検査は生活習慣の改善に結び付くのか?/BMJ

 遺伝子検査が手軽に広く行われるようになる中、疾患リスクに関するDNAベースの推定情報の提供が、キーとなる保健行動(喫煙、食事、運動)変化の動機づけになるといわれるようになっているが、本当に期待できるのか。英国・ケンブリッジ大学のGareth J Hollands氏らが、同関連についてシステマティックレビューとメタ解析により調べた結果、そのような期待を支持するエビデンスは見つからなかったと報告した。同様の命題を掲げた検討は、2010年にMarteau TM氏らがCochraneレビューにて行い、「支持するエビデンスがない」と報告している1)。今回のHollands氏らの報告は、Marteau TM氏らの報告をアップデートしたもので、既存の7試験に11試験を加えて分析を行った結果であった。BMJ誌オンライン版2016年3月15日号掲載の報告。18試験を包含し、禁煙、食事、運動など7行動について分析 レビューは2015年2月25日時点で、MEDLINE、Embase、PsycINFO、CINAHL、Cochrane Central Register of Controlled Trialsを検索して行われた。引用論文の検索なども行った。 包含試験の適格条件は、無作為化または準無作為化試験で、疾患リスクが行動変容によって減少可能であると、DNAベースの疾患リスクの推定情報を受けていた成人被験者の1群が含まれている試験とした。また、具体的なリスク減少の行動変容を含む試験を適格とした。 主要アウトカムは、行動変容の実行性とし、副次アウトカムは、行動変容への動機づけ、うつや不安の程度とした。 レビューにより、18試験を分析に組み込んだ。これら試験では、7つの行動に関するアウトカムが報告されていた。このうち禁煙は6試験・2,663例、食事については7試験・1,784例、運動は6試験・1,704例であった。DNAベースのリスク推定情報の提供で生活習慣が変化とのエビデンスはない メタ解析の結果、DNAベースのリスク推定の情報提供は、禁煙(オッズ比[OR]:0.92、95%信頼区間[CI]:0.63~1.35、p=0.67)、食事(標準化平均差:0.12、95%CI:-0.00~0.24、p=0.05)、運動(同:-0.03、-0.13~0.08、p=0.62)に有意な影響を与えていなかった。 また、その他の行動(アルコール摂取、薬物使用、日焼け対策、スクリーニングや行動変容サポートプログラムの受診・受講)に関しても影響はみられなかった。行動の動機づけへの影響もみられず、情報提供により、うつや不安などの有害事象がみられたということもなかった。 サブグループ解析で、リスクをもたらす遺伝子型の情報提供が、提供しなかった場合と比べて、行動に影響を及ぼすという明白なエビデンスは得られなかった。 著者は、包含した試験についてバイアスリスクが高く不透明な点が多く、また、エビデンスの質が概して低かったと指摘したうえで、「DNAベースの推定リスクの情報提供が、行動変容をもたらすという期待を支持するエビデンスはない」と述べ、「今回の検討の結果は、一般的で複合的な疾患リスクを減らす行動変容の動機づけになるということを根拠に遺伝子検査を利用したり、リスクをもたらす遺伝子型の探索を行うことを支持しないものである」とまとめている。参考文献1)Marteau TM, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2010 Oct 6: CD007275.

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卵円孔開存への経皮的閉鎖術、片頭痛の頻度は減少せず

 西洋諸国における片頭痛の有病率は8~13%と言われおり、幾つかの研究が、片頭痛と卵円孔開存(PFO)の関連性を指摘している。今回、前兆を伴う片頭痛患者に対する経皮的PFO閉鎖術の効果を無作為化比較で検討した試験の結果が、European Heart Journal誌オンライン版2016年2月22日号に発表された。スイス、ドイツ、イギリスなどの20施設による共同発表。なお、本試験は、Amplatzer卵円孔開存閉鎖栓の製造元であるSt. Jude Medical社がスポンサーとなっている。卵円孔閉鎖術と薬物治療による無作為化比較試験 PRIMA(The Percutaneous Closure of PFO in Migraine with Aura)試験は、内服治療が無効な片頭痛患者に対するカテーテルを用いた経皮的PFO閉鎖術の有効性の評価を目的とした、多施設共同無作為化試験である。前兆を伴う片頭痛とPFOを有し、かつ片頭痛に対する予防的な内服が無効であった患者をPFO閉鎖術群と内服治療群に無作為化したうえで、片頭痛の頻度を比較した。両群ともアセチルサリチル酸(75~100mg/日、6ヵ月間)とクロピドグレル(75mg/日、3ヵ月間)が投与された。 主要評価項目は、無作為化前の3ヵ月間(ベースライン)と比較して、無作為化後9~12ヵ月の3ヵ月間における片頭痛の頻度の減少とされた。患者がどちらの群に属するかは、頭痛日記を確認するメンバーにはわからないようになっていた。片頭痛の頻度の減少は閉鎖群-2.9日/月、対照群-1.7日/月で有意差なし 107例が、Amplatzer卵円孔開存閉鎖栓での治療群53例、対照群54例に無作為に振り分けられた。患者の組み入れのペースが遅すぎたため、スポンサーが中止を決定し、試験は終了となったが、83例(閉鎖群40例、対照群43例)が12ヵ月のフォローアップを終了した。ベースラインでの1ヵ月当たりの平均片頭痛日数(±SD)は、閉鎖群で8±4.7日、対照群で8.3±2.4日。主要評価項目は、閉鎖群-2.9日/月、対照群-1.7日/月で、有意差は認められなかった(p=0.17)。閉鎖群で5つの合併症が起きたが、一時的な後遺症にとどまった。試験後の解析では、閉鎖群における前兆を伴う片頭痛の頻度は、対照群に比べて有意に減少した(-2.4日/月 vs.-0.6日/月、p=0.0141)。 著者らは、当初、対照群に偽の手技を行うことも検討したが、それには、閉鎖術に必ずしも必要のない鎮静や全身麻酔を行わなければならないため、認められなかった。そのため、閉鎖群にプラセボ効果が生じ、結果にバイアスが生じている可能性があるとしている。(カリフォルニア大学アーバイン校 循環器内科 河田 宏)関連コンテンツ循環器内科 米国臨床留学記 

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経口フルオロキノロン処方後10日間、網膜剥離リスク増大

 経口フルオロキノロン系抗菌薬の服用と網膜剥離のリスクが注目され、その関連が議論されている。フランスNational Agency for Medicines and Health Products Safety(ANSM)のFanny Raguideau氏らは、医療データベースを用いた疫学研究により、経口フルオロキノロン服用開始後10日以内に網膜剥離を発症するリスクが有意に高いことを明らかにした。著者は、「経口フルオロキノロンの服用と網膜剥離発症リスクとの関連について、さらに検討しなければならない」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2016年3月10日号の掲載報告。 研究グループは、経口フルオロキノロンの服用と網膜剥離(裂孔原性および滲出性)発症との関連を評価する目的で、フランスの医療データベースを用い、2010年7月1日~13年12月31日にかけて、網膜剥離の成人患者を対象に症例クロスオーバー研究を行った。網膜剥離発症の6ヵ月以内に網膜剥離や網膜裂孔、眼内炎、硝子体内注射、脈絡膜網膜硝子体内生検およびヒト免疫不全ウイルス感染症の既往歴または入院歴のある患者は除外された。 主要評価項目は、リスク期間中(網膜剥離の手術直前1~10日)の経口フルオロキノロンの服用で、対照期間(61~180日前)と比較した。また、中間リスク期間(最近[11~30日前]および過去[31~60日前])における服用との関連や、経口フルオロキノロンや網膜剥離の種類別についても検討した。 主な結果は以下のとおり。・選択基準を満たした網膜剥離患者2万7,540例(男性57%、年齢[平均±SD]61.5 ±13.6歳)中、663例が経口フルオロキノロンを服用していた。リスク期間中の服用が80例、対照期間(61~180日前)中が583例であった。・経口フルオロキノロン処方後10日間に、網膜剥離発症リスクの有意な増大が認められた(調整オッズ比:1.46、95%信頼区間[CI]:1.15~1.87)。・裂孔原性(調整オッズ比:1.41、95%CI:1.04~1.92)および滲出性(同:2.57、95%CI:1.46~4.53)いずれの網膜剥離も、有意なリスクの増大が認められた。・経口フルオロキノロンの最近服用(調整オッズ比:0.94、95%CI:0.78~1.14)および過去服用(同:1.06、0.91~1.24)は、網膜剥離発症のリスクと関連していなかった。

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