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血友病A治療は個別化治療の時代へ

 血液凝固因子欠乏の遺伝性疾患である血友病。今回は、近年相次いで新薬が発売され、改めて注目されている血友病Aにフォーカスし、2016年6月にバイエル薬品株式会社(以下、バイエル薬品)により発売された「コバールトリイ(一般名:オクトコグ ベータ)」について広報担当者より話を聞いた。血友病治療の概要とコバールトリイの特徴 血友病は、第VIII因子欠乏である血友病Aと第IX因子欠乏である血友病Bに分類されている。2015年度の全国調査の結果では、血友病A患者の割合は血友病患者全体の約8割を占め、患者数は約5,000人であった1)。 血友病に対する治療は、欠乏した血液凝固因子を補充する「補充療法」で、そのタイミングや目的によって、(1)定期補充療法 (2)予備的補充療法 (3)出血時補充療法の3種類に分類される。なかでも、出血の有無に関わらず血液凝固因子の活性トラフ値が維持できるため、定期的に血液凝固因子を補充する定期補充療法が治療の主流である。 コバールトリイは、バイエル薬品が販売する「コージネイトFS(一般名:オクトコグ アルファ)」の後継品であり、コージネイトFSと同じアミノ酸配列を有した第VIII因子を有効成分とした製剤である。ウイルスろ過膜処理の導入、そして培養工程以降で動物・ヒト由来の原料を使用していない、といった製造工程の改良により、感染症の潜在的なリスクが排除されることが期待される。国際共同臨床試験:LEOPOLDプログラム コバールトリイは、国内外で実施した複数の国際共同臨床試験(LEOPOLDプログラム)の結果から有効性・安全性を確認した。主な試験結果は以下のとおりである。●LEOPOLD II試験2) <対象> 12~65歳の治療歴のある重症型血友病A患者80例(日本人8例) <投与量>  ・定期補充療法群(低用量):20~30IU/kg・週2回  ・定期補充療法群(高用量):30~40IU/kg・週3回  ・出血時補充療法群:コージネイトFSの用法・用量に準じる <主要評価項目> 推定年間出血率(ABR)  ・定期補充療法群一人あたりのABR:1.98回/年(中央値)  ・出血時補充療法群一人あたりのABR:59.96回/年(中央値) <結果> 出血時補充療法群に対する定期補充療法群の優越性を確認●LEOPOLD Kids試験(パートA※)2) <対象> 12歳以下(小児)の治療歴のある重症型血友病A患者51例 <投与量> 25~50IU/kg・週2回以上 <主要評価項目> 定期補充療法の各投与後48時間以内の全出血のABR  ・0.00回/年(中央値) <結果> 週2回、週3回または隔日投与の定期補充療法レジメンの有効性を確認※パートB(未治療患者を対象とするLEOPOLD Kids試験)は現在継続中である。  LEOPOLDプログラムにおいて認められた副作用は193例中10例(5.2%)で、主な副作用はそう痒2例(1.0%)であった。個別化治療の時代へ 現在、治療の主流は定期補充療法であるが、今後はさらに、個々に応じた定期補充療法が提案される時代になるといわれている。これは、生活スタイルや出血傾向が患者ごとに異なり、薬剤の投与量・投与間隔の調整など、個々に応じた治療が求められるためである。 コバールトリイを定期補充療法に使用する場合、成人に対しては「週2回または週3回投与」、12歳以下の小児に対しては「週2回、週3回または隔日投与」することが可能である。バイエル薬品の広報担当者は「コバールトリイは週2回または週3回投与による定期補充療法のエビデンスがあるため、個々の患者さんに合わせた柔軟な治療が1剤で提案できると考えられます」と話す。 新薬登場によって治療法の選択肢が増え、患者によって異なる出血傾向や生活スタイルに応じた治療が必要とされている。個別化治療にも対応できるコバールトリイが、患者のQOL向上をもたらす選択肢の1つとなるかもしれない。(ケアネット 木津 朋也)参考1)血液凝固異常症全国調査平成27年度報告書;2016.p.3.(公益財団法人エイズ予防財団.血液凝固異常症全国調査運営委員会. )2)News Release 2016年3月28日(バイエル薬品)

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妊娠中の潜在性甲状腺疾患治療は児のIQを改善するか/NEJM

 妊娠8~20週の妊婦の潜在性甲状腺機能低下症または低サイロキシン血症に、甲状腺ホルモン補充療法を行っても、児の5歳までの認知アウトカムは改善しないことが、米国・テキサス大学サウスウェスタン医療センターのBrian M Casey氏らの検討で示された。妊娠中の潜在性甲状腺疾患は、児のIQが正常値より低いなどの有害なアウトカムに関連する可能性が指摘されている。レボチロキシンは、3歳児の認知機能を改善しないとのエビデンス(CATS試験)があるにもかかわらず、欧米のいくつかのガイドラインではいまだに推奨されているという。NEJM誌2017年3月2日号掲載の報告。約1,200例の妊婦を疾患別の2つの試験で評価 研究グループは、児のIQに及ぼす妊娠中の潜在性甲状腺機能低下症と低サイロキシン血症のスクリーニング、およびサイロキシン補充療法の有効性を評価するために、2つの多施設共同プラセボ対照無作為化試験を実施した(Eunice Kennedy Shriver National Institute of Child Health and Human Developmentなどの助成による)。 妊娠8~20週の単胎妊娠女性において、潜在性甲状腺機能低下症および低サイロキシン血症のスクリーニングを行った。潜在性甲状腺機能低下症は、甲状腺刺激ホルモンが≧4.00mU/L、遊離サイロキシン(T4)が正常値(0.86~1.90ng/dL[11~24pmol/L])と定義し、低サイロキシン血症は、甲状腺刺激ホルモンが正常値(0.08~3.99mU/L)、遊離T4が低値(<0.86ng/dL)と定義した。 試験は2つの疾患別に行い、被験者はレボチロキシンを投与する群またはプラセボ群にランダムに割り付けられた。甲状腺機能は毎月評価し、甲状腺刺激ホルモン(サイロトロピン)または遊離T4の正常値を達成するためにレボチロキシンの用量を調整し、プラセボは偽調整を行った。児には、発達および行動の評価が年1回、5年間行われた。 主要評価項目は、5歳時のIQスコア(検査データがない場合は3歳時)または3歳未満での死亡とした。IQの評価には、幼児版ウェクスラー知能検査(Wechsler Preschool and Primary Scale of Intelligence III[WPPSI-III])を用いた。 2006年10月~2009年10月に、潜在性甲状腺機能低下症677例(レボチロキシン群:339例、プラセボ群:338例)と、低サイロキシン血症526例(265例、261例)が登録された。割り付け時の平均妊娠週数は、それぞれ16.7週、17.8週であった。児のIQ、母子のアウトカムに差はない ベースラインの平均年齢は、潜在性甲状腺機能低下症のレボチロキシン群が27.7±5.7歳、プラセボ群は27.3±5.7歳、低サイロキシン血症はそれぞれ27.8±5.7歳、28.0±5.8歳であった。また、平均妊娠期間は、潜在性甲状腺機能低下症のレボチロキシン群が39.1±2.5週、プラセボ群は38.9±3.1週(p=0.57)、低サイロキシン血症はそれぞれ39.0±2.4週、38.8±3.1週(p=0.46)であった。 児の4%(47例、潜在性甲状腺機能低下症:28例、低サイロキシン血症:19例)で、IQのデータが得られなかった。妊婦および新生児の有害なアウトカムの頻度は低く、2つの試験とも2つの群に差はみられなかった。 潜在性甲状腺機能低下症の試験では、児のIQスコア中央値はレボチロキシン群が97(95%信頼区間[CI]:94~99)、プラセボ群は94(92~96)であり(差:0、95%CI:-3~2、p=0.71)、有意な差は認めなかった。また、低サイロキシン血症の試験では、レボチロキシン群が94(91~95)、プラセボ群は91(89~93)であり(-1、-4~1、p=0.30)、やはり有意差はなかった。 12、24ヵ月時のBayley乳幼児発達検査第3版(Bayley-III)の認知、運動、言語の各項目などを含む副次評価項目は、いずれも2つの試験の2つの群に差はみられなかった。 著者は、「本研究の結果は、英国とイタリアで2万1,846例の妊婦を対象に実施されたCATS試験と一致する」としている。

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東京タラレバ娘【ブリーフセラピーとは?】

今回のキーワード発達心理学アイデンティティ親密性ミラクル・クエスチョンタイムマシン・クエスチョンリソーススケーリングみなさんは、「あの時ああだったら」「もっとこうしてれば」と思うことはありますか? このように「~たら」「~れば」と後悔することはよくありますよね。これが、「タラレバ」です。ただこの「タラレバ」は否定的な意味合いだけでしょうか? このプラス面はないでしょうか?それが、ブリーフセラピーです。今回は、ブリーフセラピーをテーマに、ドラマ「東京タラレバ娘」を取り上げます。主人公の倫子は30歳の売れない脚本家。高校時代からの親友でネイリストの香と居酒屋の看板娘の小雪といっしょに、 まめに女子会を開き、「~したら」「~すれば」と好き勝手に言い合いながら酒を飲むのが一番の楽しみです。3人とも長らく彼氏がいない中、今年こそはと奮起して、それぞれの幸せを手に入れようとするラブコメディーです。彼女たちは、恋愛に行き詰まっています。その原因を、発達心理学のライフステージをキーワードにして、解き明かします。そして、その解決策を、ブリーフセラピーに当てはめて探っていきましょう。倫子たちのライフステージは?倫子は脚本家として独立し、香はネイリストとして開業し、小雪は居酒屋の跡取りとして、3人ともそれぞれの自分の道を決めて、突き進んでいます。そんな3人は、小雪の居酒屋で「今日も朝まで女子会だー」「8年前の告白を受けてたら」「早坂さん(倫子の同僚)と付き合ってれば」と毎回騒いでいます。ある時、隣の席にたまたま座っていた常連の金髪男のKEYに「そうやって一生、女同士でタラレバつまみに酒飲んでろよ」と言われ、3人ともショックを受けてしまいます。その後、倫子は、一時期うまく行かず、脚本家の道をあきらめようとするシーン。たまたま倫子が携わった町おこしの短編ドラマの脚本で、町の良さを届けたいという町の人たちの熱心な思いに刺激を受け、「この町が私を見つけてくれた」「私はここにいる」「ここに来れば自分らしさが見えてくる」というセリフを役者に言わせます。倫子自身が自分らしさを再確認します。3人とも「自分とはどういう人か?」「自分が生きていくために何をするのか?」という自分らしさがはっきり分かっています。これは、発達心理学では、アイデンティティ(自己同一性)がすでに確立されていると言えます。また、3人は、このアイデンティティの維持のために頻繁に集まって、それぞれの仕事の愚痴や恋愛話で毎回盛り上がります。同性同年代の仲間(ギャング集団)の関係が10年以上続いています。ここで、人生をいくつかの段階に分けてみましょう。これをライフステージ(発達段階)と言います(グラフ1)。それぞれのステージにはそれぞれの発達課題があります。倫子たちは、立派に思春期の発達課題であるアイデンティティの確立をクリアしています。問題なのは、次の成人早期のライフステージの発達課題の前で足踏みをしていることです。つまり、倫子たちは30歳にもなっても、心は思春期のままだということです。それをKEYに言い当てられてしまったのでした。それでは、次のライフステージの発達課題とは何でしょうか?倫子たちの次の発達課題は?倫子がバーテンダーの奥田と交際するエピソード。奥田は、イケメンで高身長の上に人柄もよく相手としては申し分ないです。にもかかわらず、倫子は、だんだん疲れてきて、「やっぱ独りの方が楽」「自分のことだけ考えてたらいいじゃん」と香と小雪に打ち明けます。なぜなのでしょうか?ドラマでは、「独りに慣れすぎ(ていたから)」と香に突っ込まれています。もっと正確に言えば、倫子は、異性との心理的距離の縮め方が分からなくなっていたのです。そして、孤独を選ぼうとしています。これは、成人早期のライフステージに上がれない場合の状態です(グラフ1)。そうなると、さらにその先のライフステージに上がるのがますます難しくなっていきます。ここで分かることは、倫子の次の発達課題は、お互いの価値観(アイデンティティ)を尊重し合って、パートナーとの一体感を抱くこと、つまり親密さです。これは、「いい男と結婚して幸せになる」という倫子の本来の目的に当てはまります。ところが、倫子は、焦るあまりに、幸せになるという中身よりも、結婚するという形を優先させてしまっています。その心理によって、「嫌われたくない」という思いから、相手にどう見られるかということばかりに目が行き、受け身になり、緊張や不安ばかり募らせています。逆に、相手をどう見るか、どうして行きたいかという働きかけによる楽しさや心地良さがありません。親密さを実感していれば、自分がどう見られるかを気にすることが減り、むしろその方が楽になるということに倫子は気付いていません。一方、奥田も課題があります。奥田の好みのマニアックな映画を倫子が楽しんでいないことを奥田は察していません。倫子を脚本家に導いたアメリカのドラマ「セックスアンドザシティ」を「登場人物が恋愛しか考えてない話って、テーマが見えない」と否定します。そして、「倫子さんもこの(自分の好きなフランス映画の女優)髪型にしたらどう?」「絶対に似合うよ。この髪型にしてくれたらうれしいんだけどなあ」と言います。たまりかねた倫子から「もし私が映画好きじゃなくても、付き合おうって言ってくれてました?」と聞かれて、奥田は「もし嫌いでも、いっしょに見ているうちにきっと好きになってくれると思うから」と言い切ります。表面的には穏やかですが、実は一方的で、相手を自分好みの女性にしようとしている点で独りよがりです。奥田は、自分のアイデンティティへのこだわりが強すぎて、倫子のアイデンティティを受け入れようとはしていません。また、セカンド女になっている香や不倫女になっている小雪は、「違う人間同士、そのままでうまくいくわけじゃないんだから、寄せて行かないと」と倫子に説きます。彼女たちなりの親密さがうかがえますが、自分が相手にとって一番ではなく、フェアな関係ではない点で、その親密さには危うさがあります。実際に、香の彼氏の涼は、「(本命の)彼女も好きだけど、香も好き」と無邪気に言い、わがままです。小雪の不倫相手の丸井は、産後クライシスの妻との関係について「気が重いことばっかりでさ」「こうやって小雪さんと話したり、おいしいもの食べてる時の方がずっと楽しくてよっぽど幸せを感じちゃう」と小雪に漏らしています。彼は、困難を前にして親密さをいっしょに守るべき妻から小雪に一時的に逃げ込んで、甘えているだけです。さらに、倫子の同僚のADのマミにも課題があります。マミはもともと独特で奇抜なファッションセンスがあります。これがマミのアイデンティティです。ところが、付き合う男性の好みに合わせて、ファッションもヘアスタイルもあっさり変えています。一見いじらしいですが、よくよく考えると、相手のアイデンティティを優先させ、自分がありません。自分を押し殺しています。だからこそ、マミの交際は毎回ふわふわとして長続きしないのです。親密さを育むには、倫子のように我慢ばかりするのでもなく、奥田のように一方的になるのでもなく、香や小雪のようにアンフェアになるのでもなく、涼のようにわがままになるのでもなく、丸井のように単に甘えるのでもなく、麻美のように言いなりになるのでもないということです。婚活とは、単に理想の相手を見つけることだと思われがちです。しかし、実際はそれだけではなく、お互いがお互いの理想となれるように、この親密さを育むメンタリティも必要であるということです。倫子たちはどうすれば良いの?それでは、倫子たちはどうすれば良いのでしょうか?その答えを、倫子たちの女子会トークから探り、ブリーフセラピーという心理療法の手法に当てはめてみましょう。ブリーフセラピーとは、できるだけブリーフに(短い時間で)、困りごとを解決するセラピーです。セラピーがブリーフであることで、効率・効果やインパクトなどの満足度に重きを置くのが特徴です。これは、心療内科や精神科だけでなく、禁煙外来やリハビリテーションなどの他の科にも、そして、学校教育、新人研修、育児などにも、幅広く使うことができます。ここから、大きく3つのステップに分けて、考えてみましょう。(1)タラレバ話1つ目のステップは、タラレバ話をすることです。これは、すでに倫子たちが日々やっていることですが、注意点があります。それは、ネガティブな過去ではなく、ポジティブな未来に限ることです。そうすれば、タラレバ話は、後悔ではなく、現実的な野望としてプラスに働きます。そして、うまく行っている自分をイメージアップさせることです。そのための具体的なやり方が3つあります。a. 奇跡の自分を描く倫子たちが「今まで通り仕事がんばって、女磨きも抜かりなくしてたら、もっといい男現れるよ」「今よりダイエットしてきれいになったら」「もっともっといい男が現れる」などとも話しているシーンが参考になります。1つ目は、うまく行かない自分ではなく、うまく行く自分、そしてあえて奇跡の自分を具体的に思い描くことです。これは、ブリーフセラピーのミラクル・クエスチョンに当てはまります。例えば、「もしも今晩、眠っている間に奇跡が起きたら。その奇跡とは、いい男ともう付き合っていること。そしたら、明日の朝に目覚めてから、まずどんな違いに気付く?」「どんな1日になる?」などのようにです。すると、倫子はこう考えるでしょう。「朝、目が覚めると、もう起きてる彼氏が微笑んでる」「鏡に映る自分は生き生きしている」「朝ご飯をおいしくいっしょに食べる」「休日に公園に遊びにいってはしゃいでいる」「いっしょに好きなお笑い番組を見る」などなどわくわくすることばかりです。このように、想像をすることは、それ自体で、その気を高めています。これは、想像力とやる気に関係する脳内の物質(ドパミン)が活性化するからです。受け身ではなく、自分から何かしようとする積極的な心のあり方を引き出します。それが次の行動のエネルギーになっていきます。b. うまく行っている未来の自分を見る奥田と別れた倫子は「10年後の私の声が聞こえる気がする」「彼を追いかけて、あの手をつかんで。じゃないと、10年後も独りで寂しくて後悔することになるって」と言います。香から「(奥田さんは傷つけたけど)他は誰にも迷惑をかけてないんだからさ」と言われて、倫子は「迷惑かけてるかも。未来の私に」「ごめ~ん!未来の私!」と叫び、沈んでいきます。これは、うまく行っていない未来の自分を想像していますので、避けた方が良いです。2つ目は、うまく行っていない未来ではなく、うまく行っている未来の自分を具体的に見ることです。これは、ミラクル・クエスチョンの変法であるタイムマシン・クエスチョンに当てはまります。ミラクル・クエスチョンとの違いは、いつの未来かという時間の設定ができる点です。3か月後でも良いですし、10年後でも良いです。例えば、「もしもタイムマシンに乗って、2020年(3年後)の東京オリンピックの時の自分を見に行ったら。自分はどんな夫と子どもと過ごしている?」などのにようにです。すると、倫子はこう考えるでしょう。「朝、目が覚めた自分の隣りには夫と子どもがまだ眠っている」「作った朝ご飯をおいしく食べてくれる」「午前中に脚本の仕事がはかどる」「午後に自分の子どもと香と小雪と彼女たちの子どもたちといっしょにオリンピックの観戦をして盛り上がる」などなどわくわくすることばかりです。このように、うまく行かないことに目を向けて、負のスパイラルに陥るのなら、徹底的にうまく行くことに目を向けることで、その気を高めることができます。c. うまく行っている未来の自分と話す早坂さん(倫子の同僚)に未練を残す倫子は「もしタイムマシンがあったら」「あの日に戻って22歳の私に伝えたい」と言います。そして、想像上の22歳の自分に向かって「私は8年後の未来から来たあなた・・・このバカタレ小娘が!」と自分をぶん殴るシーンがあります。倫子は、過去の自分と話をしています。3つ目は、うまく行かなかった過去の自分ではなく、うまく行っている未来の自分と話をすることです。これは、タイムマシン・クエスチョンとマインドフルネス(認知行動療法)の併用に当てはまります。例えば、「2020年の倫子さん、どうしたらあなたのようになれる?」と尋ねることです。すると、今度は2020年の倫子になりきって、「2017年の倫子よ、まずは・・・」と前向きな話が膨らんでいくでしょう。このように、自分自身から距離を置いて、自分をポジティブに見つめ直すことができます。これは、ちょうどドラマでたびたび登場する倫子の幻覚のタラとレバとの会話にも似ています。タラとレバは、「おまえは大馬鹿者だ」「いい加減に目を覚ませ!」などと毎回ののしり、倫子を追い込んでいますが、彼らはもう1人(2人?)の倫子の心の叫びと言っても良いでしょう。このように、誰かからの説教などで言われたことではなく、自分で思い付いたことは、受け入れやすく、その気を高めることができます。これは、スポーツ選手のいわゆる「イメージ・トレーニング」に通じるものがあります。(2)フォロー倫子たちは「大丈夫だよ」と慰め合います。そして、お互いの良いところを励まし合っています。幻覚のタラから「仕事がうまく行けば恋愛もうまく行くタラ」と言われて、倫子は元気を取り戻しています。2つ目のステップは、フォローすることです。ここでの注意点は、付き合う相手の悪さや自分の弱みではなく、自分の強みや周りで使えるものです。そうすれば、フォロー話は、男の悪口や傷のなめ合いではなく、自分の持っている武器の再確認というプラスに働きます。これは、ブリーフセラピーのリソースに当てはまります。例えば、「自分の知識、経験、能力、好み、キャラで生かせることは?」「自分の売りは?」「周りで利用できることは?」「今までにうまくいったやり方は?」などと整理することです。(3)とりあえず行動倫子たちは、お互いに「とりあえず、どうしたら良い?」と尋ね合うシーンがたびたびあります。3つ目のステップは、とりあえず行動をすることです。ここで注意点は、「何となく」「できるだけ」「いつか」のような抽象的で大きく無期限の行動ではなく、「これを」「これだけ」「この日までに」のような具体的で小さく期限付きの行動を積み重ねることです。そうすれば、とりあえず話は、現実逃避ではなく、戦略としてプラスに働きます。これは、ブリーフセラピーのスケーリングに当てはまります。これを、3つの要素の例をそれぞれあげて、説明しましょう。a. 具体的に例えば、倫子は奥田と結ばれるために、とりあえず「嫌われない」ようにしました。これは「~しない」という心理の罠です。これで受け身になってしまい、けっきょく我慢の限界が来てしまいました。そうではなくて、「嫌われない」という抽象的な行動の代わりに、具体的に何をするかです。例えば、それはいっしょに楽しめる映画を探すことです。b. 小さく例えば、倫子たちは、結婚相手をいきなり求めています。かなりハードルが高いです。そうではなくて、最終的に結婚相手を見つけるために、越えられそうな小さなハードルをまず設定することです。例えば、それは、友人の紹介で異性と知り合いになることです。その後に、その人と合コンをしたり、さらにその人から別の異性を紹介してもらい、男友達を増やすことです。c. 期限付き例えば、倫子たちは「3年後の東京オリンピックまでに結婚して子どもがほしい」と言っています。これは年単位の話です。そうではなくて、年単位の目標のために、週単位の期限でできる行動を設定することです。例えば、結婚相談所に入会して、1週間に最低1人とデートすることです。表1 倫子たちの女子会トークに当てはまるブリーフセラピー「女子」か「女性」か?小雪の居酒屋の常連客たちが倫子たちを見て、「女子ってのはいくつくらいまでのことを言うんだろね?」「さあなあ、学生さんぐらいまでじゃねえのか」と話しています。倫子たちは、まさに次のライフステージの発達課題である親密さを育むために、タラレバ話で野望を持ち、フォローし合って武器を探し、とりあえず行動を積み重ねて戦略を立てることで、積極的に恋愛の場数を踏んでいます。そうすることで、彼女たちは自分の夢だけ見る「女子」ではなく、周りの現実も見る「女性」であると自覚できるのではないでしょうか? そして、その時、「女子」であるか「女性」であるかは、年齢でも周りの評価でもなく、自分自身のメンタリティによるものであることに気付くのではないでしょうか?1)東村アキコ:東京タラレバ娘1巻~7巻、講談社、2011-20162)鈴木忠ほか:生涯発達心理学、有斐閣アルマ、20163)森俊夫、黒澤幸子:解決志向ブリーフセラピー、ほんの森出版、2002

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わかる統計教室 第4回 ギモンを解決!一問一答 質問8(その1)

インデックスページへ戻る第4回 ギモンを解決!一問一答質問8 Cox比例ハザードモデルとは?(その1)生存率の分析の手法に、カプランマイヤー法、Cox比例ハザードモデルがあります。これらの手法は、ある事象が起こった群と起こらない群の2群に対して、時間的な要素を考慮して解析する方法です。目的変数は「アウトカム」とも呼ばれ、死亡/生存(時には、再発する/再発しない、寛解する/寛解しないなど)の2群のカテゴリーデータになります。カプランマイヤー法について、「わかる統計教室 第1回」で詳しく説明していますので、そちらを参照ください。■Cox比例ハザードモデル(Cox回帰モデル)Cox比例ハザードモデルは、死亡/打ち切りのデータから生存率を求め、生存率の時間的な要素を考慮し、生存率に影響を及ぼす変数との関係式を作成する方法です。つまり、治療法や背景因子などが生存期間に与える影響を評価する際に用います。関係式の目的変数(アウトカム)は1、0の2値データです。1、0データは死亡/打ち切りにとどまらず、死亡/生存、再発する/再発しない、寛解する/寛解しないなど、いろいろな場面が想定されます。説明変数は、生存率に影響を及ぼす治療方法や性別、年齢、BMIなどの背景因子が用いられます。Cox比例ハザードモデルは、説明変数のハザード比を算出します。ハザードは危険を意味するので、生存でなく死亡に対するリスクを示す尺度です。ハザードは、ある時点の瞬間における死亡率であり、時間とともに変化します。単位は「人/単位時間」ということになります。下図は事例としてカプランマイヤーの生存曲線の観察データを示しています。図 カプランマイヤーの生存曲線の観察データそれでは、表1から目的変数(アウトカム)を「1:死亡、0:打ち切り」、説明変数を処方薬剤、喫煙の有無としてCox比例ハザードモデルを適用し、処方薬剤、喫煙の有無のハザード比を求めてみましょう。目的変数(アウトカム)は、死亡(再発)など危険要素を1、ほかを0とします。説明変数が2分類のカテゴリーデータの場合、死亡率が低いと仮定するほうを1、ほかを0とします。製品A、非喫煙を1としました。表1 事例の基礎データ■ハザード比の結果表2に関係式の回帰係数とハザード比を示します。表2 関係式の回帰係数とハザード比ハザード比は次式によって求められる値です。ハザード比=e回帰係数 ただし、eは自然対数の底で、2.7183…です。【計算例】薬剤のハザード比=e-0.950=0.387 Excelの関数=EXP(-0.950)Cox比例ハザードモデルを使って目的を解明する場合、危険度の高さを示す回帰係数でなく、ハザード比を用います。ハザード比から、説明変数がアウトカムに対して、どれくらい寄与しているかを調べることができます。たとえば説明変数が、「治療方法P、治療方法Q」の場合、ハザード比からアウトカム発生確率(死亡率)は、PはQに比べ何倍高いかを示せます。また、3年間の観察期間において、アウトカムが「1:死亡、0:打ち切り」のハザード比が「1.5」だったとします。この場合の解釈は、「治療方法Pは、Qに比べ、3年の間に死亡する度合いは1.5倍高い」となります。つまり治療方法Pは、Qに比べ、良くないということです。この例題のハザード比は「0.387」で「1」を下回りました。この場合の解釈は、アウトカム発生確率(死亡率)は、製品Aはプラセボに比べ0.387倍高いとなります。つまり製品Aはプラセボに比べ、死亡率を61.3%(=1-0.387)減少させ、製品Aの延命効果はあったと解釈されます。喫煙の有無のハザード比は0.480なので、非喫煙は喫煙に比べ死亡率を52.0%減少させたとなります。次回は、ハザード比の信頼区間についてご説明いたします。今回のポイント1)ハザード比は「1」が基準となり、「1」の場合は説明変数の値が変化しても、アウトカム発生までの時間に変化はないことを意味し、「1」より大きい場合はリスクが高くなり、「1」より小さい場合はリスクが小さくなることを表している!2)ハザード比が「1」を超えている場合は、「死亡や病状進行のリスクが対照群に比べて○○%高くなる」ということになる!3)逆に、ハザード比が「1」を超えていない場合は、「死亡や病状進行のリスクが対照群に比べて○○%低くなる」ということになる!インデックスページへ戻る

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158)「あぶら」の違いを漢字から解説【脂質異常症患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話患者先生、あぶらって2種類あるじゃないですか?医師2種類?患者「油」と「脂」です。これはどう違うんですか?医師まず、字が違いますね。「油」はさんずい偏だから、液体。オリーブ油や魚油は、室温では液体なので「油」です。それに対して。患者それに対して?医師バターやラードなど常温で固体となるものが「脂」です。患者なるほど。医師「月」(にくづき)のつく脂なので、魚の油と肉の脂と覚えておくとわかりやすいですよ。患者わかりました。頑張って体から脂を取るようにします!●ポイント「油」と「脂」の違いを融点(溶け出す温度)の差であることをわかりやすく説明します

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双極性障害の自殺企図、“だれ”よりも“いつ”がポイント

 双極性障害(BD)のとくに疾患フェーズに関連する自殺企図の発生率やリスク因子を調査した長期的な研究は少ない。フィンランド・National Institute of Health and WelfareのSanna Pallaskorpi氏らは、双極I型障害(BD-I)および双極II型障害(BD-II)患者の長期プロスペクティブコホート研究において、BDのさまざまなフェーズにおける自殺企図の発生率とうつ病エピソード期における自殺企図のリスク因子について調査した。Bipolar disorders誌オンライン版2017年2月8日号の報告。 Jorvi Bipolar Study(JoBS)では、BD-IおよびBD-II患者191例を対象に、ライフチャート法を用いて追跡した。異なる疾患フェーズの患者177例(92.7%)の自殺企図に関するプロスペクティブな情報は、最大5年が利用可能であった。自殺企図の発生率およびその予測因子は、ロジスティック回帰、ポアゾン回帰モデルを用いて調べた。うつ病エピソード期に発生する自殺企図のリスク因子には、2項ランダム切片ロジスティック回帰モデルを用いて分析した。 主な結果は以下のとおり。・5年間のフォローアップ期間中に、718患者年当たり90件の自殺企図が発生した。・発生率は、混合状態で最も高く、正常状態より120倍以上であった(765/1,000人年、95%CI:461~1,269人年)。また、うつ病エピソード期でもとても高く、正常状態より約60倍高かった(354/1,000人年、95%CI:277~451人年)。・うつ病エピソード期の自殺企図リスクの重要な予測因子は、うつ病エピソードの持続期間、うつ病の重症度、クラスターCのパーソナリティ障害であった。 著者らは「この長期にわたる研究により、自殺企図は、混合状態およびうつ病フェーズで起こることが確認された。自殺企図の発生率の変動は、正常状態と病期の間で顕著に大きく、BD患者の自殺リスクは、“だれ”よりも“いつ”に関連する可能性が高いことが示唆された。しかし、うつ病エピソードのリスクは、パーソナリティ要因の影響を受ける可能性が高い」としている。関連医療ニュース 自殺予防に求められる、プライマリ・ケア医の役割 うつ病から双極性障害へ移行しやすい患者の特徴 双極性障害の再発エピソード、持効性注射剤の効果は

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座高は循環器・呼吸器疾患の死亡率と逆相関

 成人の身長および座高は、遺伝的・環境的要因を反映しうる。以前の研究で、身長とがんや循環器疾患の死亡率との関連は報告されているが、座高と死亡率との関連の報告は少ない。今回、欧州における40万人以上の大規模コホート研究で、身長はがん死亡率と正相関する一方、循環器疾患死亡率とは逆相関を示し、また座高は循環器疾患死亡率および呼吸器疾患死亡率と逆相関を示した。PLOS ONE誌2017年3月3日号に掲載。 計40万9,748人の前向きコホートであるEuropean Prospective Investigation into Cancer and Nutrition(EPIC)スタディにおいて、成人の身長・座高と全死因および疾患別死亡率との関連が調査された。身長はほとんどの参加者で測定され、座高は約25万3,000人で測定された。多変量Cox回帰を用いて、身長または座高の最低五分位に対する最高五分位のハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を男女別に計算した。 主な結果は以下のとおり。・平均追跡期間12.5年の間に2万9,810人が死亡した(がん 1万1,931人、循環器疾患 7,346人)。・身長は、がん死亡率と正相関を示し(男性のHR:1.11、95%CI:1.00~1.24、女性のHR:1.17、95%CI:1.07~1.28)、循環器疾患死亡率とは逆相関を示した(男性のHR:0.63、95%CI:0.56~0.71、女性のHR:0.81、95%CI:0.70~0.93)。・座高は、がん死亡率とは関連していなかったが、循環器疾患死亡率(男性のHR:0.64、95%CI:0.55~0.75、女性のHR:0.60、95%CI:0.49~0.74)および呼吸器疾患死亡率(男性のHR:0.45、95%CI:0.28~0.71、女性のHR:0.60、95%CI:0.40~0.89)とは逆相関していた。

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セリチニブがALK陽性肺がん1次治療の優先審査対象に:FDA

 ノバルティスは2017年2月23日、米国食品医薬品局(FDA)が、ALK陽性の転移性非小細胞肺がん(NSCLC)の患者に対する1次治療薬として、セリチニブ(商品名:ジカディア)の医薬品承認事項変更申請(sNDA)を受理したと発表した。 FDAはまた、脳転移を伴うALK陽性の転移性NSCLC患者のセリチニブをブレークスルーセラピーに指定した。 セリチニブの1次治療に対するこのsNDA提出は、ASCEND-4試験の初回解析の結果に基づいている。ASCEND-4は、ステージIIIBまたはIVのALK陽性進行NSCLC成人患者の1次治療における、セリチニブの安全性および有効性を標準化学療法と比較した国際第III相無作為化オープンラベル多施設臨床試験。被験者は、セリチニブ群(750mg /日)と化学療法群(ペメトレキセド500mg/m2+シスプラチン75mg/m2またはカルボプラチンAUC 5~6を4サイクル後ペメトレキセド維持療法)に無作為に割り付けられた。 無増悪生存期間(PFS)中央値は、セリチニブ治療群の16.6ヵ月(95%CI:12.6~27.2)に対し、化学療法群では8.1ヵ月(95%CI:5.8~11.1)で、化学療法群と比較してセリチニブ群で45%のPFSリスク減少が得られた(HR:0.55、95%CI:0.42~0.73、片側p<0.001)。 スクリーニング時に脳転移のない患者のPFS中央値は、セリチニブ群26.3ヵ月(95%CI:15.4~27.7)、化学療法群では8.3ヵ月(95%CI:6.0~13.7)であった(HR:0.48、95%CI:0.33~0.69)。脳転移を伴う患者では、セリチニブ群10.7ヵ月(95%CI:8.1~16.4)、化学療法では6.7ヵ月(95%CI:4.1~10.6)であった(HR:0.70、95%CI:0.44~1.12)。頭蓋内における全体奏効率(ORR)72.7%(95%CI:49.8~89.3)は、全身ORRの72.5%(95.5%CI:65.5~78.7)と一貫した結果であった。 セリチニブ群の25%以上で発生する一般的な有害事象(AE)は、下痢、悪心、嘔吐、食欲低下、ALT上昇、AST上昇、γ-グルタミルトランスフェラーゼ上昇、アルカリフォスファターゼ上昇、疲労であった。ノバルティス(Global)のプレスリリースはこちら

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肥満と関連の強い11のがん種/BMJ

 肥満は、消化器系や女性のホルモン関連悪性腫瘍など11のがん種の発生およびがん死と強い関連があることが、英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのMaria Kyrgiou氏らの包括的な検討で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2017年2月28日号に掲載された。肥満といくつかのがん種の因果関係が、多くのメタ解析で示されているが、これらの関連を過大に評価する固有バイアスの影響が懸念されるという。このバイアスを回避するアプローチとして、近年、多くのメタ解析の全体に共通する主題のエビデンスを系統的に評価する包括的レビュー(umbrella review)が行われている。204件のメタ解析を包括的にレビュー 研究グループは、肥満と発がん・がん死リスクの関連のエビデンスの強度と妥当性を検証するために、系統的レビューとメタ解析の包括的レビューを行った(Genesis Research Trustなどの助成による)。 主解析は、肥満の連続測定値を用いたコホート研究を対象とした。これは、カテゴリカル測定値よりも、連続測定値を用いた研究のほうが、個々の試験の推定値の統合法の妥当性や標準化が優れると考えられるからである。 エビデンスは、ランダム効果を用いた要約推定量や、メタ解析の対象となった最大規模の研究などの統計的有意性から成る判定基準を適用し、4つのGrade(strong、highly suggestive、suggestive、weak)に分けた。エビデンスのGradeがstrongの場合に関連ありとした。 49編の論文に含まれた204件のメタ解析が解析の対象となった。これらのメタ解析は、507件の研究(コホート研究:371件[73.2%]、症例対照研究:134件[26.4%]、横断研究:2件[0.4%])を対象としていた。肥満の7つの指標(BMI、ウエスト周囲長、ヒップ周囲長、ウエスト-ヒップ比、体重、体重増加、肥満手術による体重減少)と、36の原発がんとそのサブタイプの発生、およびがん死との関連を解析した。リスク強度のエビデンスにより、個別化予防戦略の可能性 コホート研究を含み、肥満の測定に連続尺度を用いた95件のメタ解析のうち、がんとの関連のエビデンスがstrongと判定されたのは12件(13%)のみであった。10件がBMI、1件がウエスト-ヒップ比、1件が体重増加との関連を評価したものであった。 BMIの増加が、発症リスクの上昇と関連したがん種は、食道がん、男性の大腸がん(結腸、直腸)、胆道系および膵がん、閉経前女性の子宮内膜がん、腎がん、多発性骨髄腫の8種であった。また、体重増加およびウエスト-ヒップ比が発症リスクの上昇と関連したがん種は、ホルモン補充療法歴のない閉経後女性の乳がんおよび子宮内膜がんの2種であった。 BMIが5増加するごとの発がんリスクの上昇には、男性の大腸がんの9%(相対リスク[RR]:1.09、95%信頼区間[CI]:1.06~1.13)から胆道系がんの56%(1.56、1.34~1.81)までの幅がみられた。また、ホルモン補充療法歴のない閉経後女性の乳がんリスクは、体重増加5kgごとに11%上昇し(RR:1.11、95%CI:1.09~1.13)、子宮内膜がんのリスクは、ウエスト-ヒップ比が0.1増加するごとに21%上昇した(1.21、1.13~1.29)。 肥満の連続測定値に加え、カテゴリカル測定値を解析に含めると、体重増加と大腸がん、さらにBMIと胆嚢・胃噴門部・卵巣のがん、多発性骨髄腫による死亡との関連のエビデンスがstrongと判定された。したがって、全部で11のがん種が、肥満との関連のエビデンスがstrongであった。 一方、コホート研究だけでなく症例対照研究を含め、肥満の連続測定値とカテゴリカル測定値で評価すると、BMIは悪性黒色腫と髄膜腫との関連のエビデンスがstrongと判定されたが、コホート研究のみの評価によるエビデンスはweakであった。 著者は、「肥満は、世界的に公衆衛生の最も大きな問題の1つとされる。関連リスクの強度に関するエビデンスは、がんのリスクが高い集団を、高い精度で選択することを可能とし、これらの集団を対象とする個別化予防戦略の可能性も考えられる」と指摘している。

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脳卒中後の慢性期失語、集中的言語療法が有効/Lancet

 70歳以下の脳卒中患者の慢性期失語症の治療において、3週間の集中的言語療法は、言語コミュニケーション能力を改善することが、ドイツ・ミュンスター大学のCaterina Breitenstein氏らが行ったFCET2EC試験で示された。失語症の治療ガイドラインでは、脳卒中発症後6ヵ月以降も症状が持続する場合は集中的言語療法が推奨されているが、治療効果を検証した無作為化対照比較試験は少ないという。Lancet誌オンライン版2017年2月27日号掲載の報告。従来の言語療法と比較する無作為化試験 FCET2EC試験は、年齢18~70歳、虚血性または出血性脳卒中の発症後6ヵ月以上持続する慢性期失語症(アーヘン失語症検査[AAT]で判定)がみられる患者を対象に、集中的言語療法の日常的な言語コミュニケーション能力の改善効果を評価する多施設共同無作為化対照比較試験(ドイツ連邦教育研究省などの助成による)。 被験者は、通常治療下に、3週間以上の集中的言語療法(≧10時間/週)を行う群(介入群)または同様の治療を3週間遅れて開始する群(対照群)に無作為に割り付けられた。言語療法は、研究グループが作成したマニュアルに従って、専門のセラピストが個別の患者およびグループで行った。対照群は、待機中の3週間、従来の言語療法を受けた。 主要評価項目は、日常的な言語コミュニケーション能力(Amsterdam-Nijmegen Everyday Language Test[ANELT]A-scaleで判定)のベースラインから治療終了時までの変化とした。解析には、1日以上の治療を受けた全患者が含まれた。 2012年4月1日~2014年5月31日に、ドイツの19の入院/外来リハビリテーション施設で156例が登録され、両群に78例ずつが割り付けられた。言語能力、患者知覚QOLも改善 ベースラインの平均年齢は、介入群が53.5(SD 9.0)歳、対照群は52.9(SD 10.2)歳、女性がそれぞれ59%、69%を占めた。脳卒中の重症度(修正Rankinスケール[mRS])は、両群とも2(2~3)、脳卒中発症後の経過期間中央値は介入群が43.0ヵ月(IQR:16.0~68.3)、対照群は27.0ヵ月(13.0~48.8)であり、虚血性脳卒中がそれぞれ58%、72%だった。 言語療法は、全体で3~10週間行われ(期間中央値:介入群4.8週[IQR:3.0~5.6]、対照群4.0週[3.0~5.0])、このうち3週間の集中的言語療法は22.5~49.0時間実施された(期間中央値:介入群31.0時間[30.0~34.5]、対照群32.0時間[30.0~34.6])。対照群は、待機中の3週間、従来の言語療法を0~22.5時間受けた。それぞれ92%、94%の患者が、6ヵ月時に言語療法を継続していた(1.0時間[IQR:0.6~1.7]/週)。 言語コミュニケーション能力は、介入群ではベースラインに比べ3週間の集中的言語療法により有意に改善した(ANELT Aスコアの平均差:2.61[SD 4.94]点、95%信頼区間[CI]:1.49~3.72、p<0.0001)のに対し、対照群(従来言語療法期間)では3週後に有意な効果はみられず(-0.03[SD 4.04]点、-0.94~0.88、p=0.95)、両群間に有意な差が認められた(p=0.0004、効果量[Cohen’s d]:0.58)。また、対照群も、3週間の集中的言語療法後に、介入群と同様の言語コミュニケーション能力の改善効果が得られた。 全体で、ベースラインから3週間の集中的言語療法終了時までにANELT Aスコアが3点以上改善した患者は44%(69/156例)であり、同様の期間に3点以上低下(増悪)した患者は10%(16/156例)だけだった。 また、3週間の集中的言語療法により、言語能力(Sprachsystematisches APhasieScreening[SAPS]:音韻、語彙、統語法、言語理解、言語産出)の総合スコア(p<0.0001、Cohen’s d:0.73)および患者知覚QOL(Stroke and Aphasia Quality of Life Scale-39[SAQOL-39]:身体機能、コミュニケーション、心理社会、活力)の総合スコア(p=0.0365、Cohen’s d:0.27)が有意に改善された。 有害事象は、集中治療中の介入群が6%(5例:風邪1例、消化管または心臓の症状3例、治療開始前の脳卒中の再発1例)、待機中および集中治療中の対照群は3%(2例:自動車事故1例、風邪1例)に認められ、割り付け前に脳卒中の再発が1例にみられたが、いずれも試験への参加とは関連がなかった。 著者は、「有益な治療効果を得るための最小限の治療強度を調査し、反復介入期間以降も治療効果が持続するかを検証するために、さらなる研究を要する」としている。

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CKD患者に対するトルバプタン、反応予測因子は:横浜市大センター病院

 バソプレシンV2受容体拮抗薬であるトルバプタンは、心不全患者の利尿作用を有する。しかし、慢性腎臓病(CKD)患者におけるトルバプタンの効果に関するデータは少ない。横浜市立大学附属市民総合医療センターの勝又 真理氏らは、慢性心不全およびCKD患者に対するトルバプタンの効果をレトロスペクティブに解析した。Clinical and experimental nephrology誌オンライン版2017年2月11日号の報告。 対象は、慢性心不全およびCKDを有する患者21例。トルバプタンは、ほかの利尿薬と同時に投与した。トルバプタン治療前後の臨床パラメータを比較した。さらに、ベースラインデータと体重変化との相関を調査した。 主な結果は以下のとおり。・トルバプタンは、体重を減少させ、尿量を増加させた(p=0.001)。・尿浸透圧は、試験期間を通じて有意に減少した。・尿中ナトリウム/クレアチニン比およびFENa(ナトリウム排泄分画)は、4時間後に有意に変化し、8時間後にはより顕著であった(各々:p=0.003)。・血清クレアチニンは、治療1週間後、わずかに増加した(p=0.012)。・試験期間中の体重変化は、ベースラインの尿浸透圧(r=-0.479、p=0.038)、尿量(r=-0.48、p=0.028)、下大静脈径(IVCD:r=-0.622、p=0.017)と負の関連が認められた。・低ナトリウム血症は正常値に改善し、ナトリウム濃度の増加は基礎ナトリウムレベルと負の関連が認められた(p=0.01、r=-0.546)。 著者らは「トルバプタンは、CKD患者においても利尿作用を高め、低ナトリウム血症改善に有効である。尿浸透圧、尿量、IVCDのベースライン値は、トルバプタンの利尿作用の有益な予測因子となりうる」としている。

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皮脂欠乏性湿疹

皮脂欠乏性湿疹【皮膚疾患】◆症状皮膚が乾燥して、皮膚が日照りの地割れのようになり、赤い斑やぶつぶつができ、かゆくなります。すねやふくらはぎ、腰の後ろなどに多くみられます。◆原因皮膚が乾燥する乾皮症という状態が、悪くなって発症します。冬の季節、高齢者に多いです。◆治療と予防・湿疹まで進行すると、ステロイド外用薬で治療します。・入浴時に洗いすぎないことや入浴後の保湿で予防します。●一言アドバイス保湿には軟膏やクリーム、ローションタイプがあります。皮膚の状態や好みに合わせて使い分けましょう。監修:ふくろ皮膚科クリニック 院長Copyright © 2017 CareNet,Inc. All rights reserved.袋 秀平氏

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日本人高齢者の不眠、男女間で異なる特徴:岡山大

 不眠症の患者数は、高齢化社会に伴い急速に増加している。認知機能、情動機能、ADL機能に対する不眠症の影響は十分に研究されていない。岡山大学の菱川 望氏らは、日本人高齢者の不眠の有病率や認知機能、情動機能、ADL機能に対する影響について、性別、年齢により比較した。Neurological research誌オンライン版2017年2月9日号の報告。 対象は、地方行政の健康診断を受けた高齢者コミュニティ住民142人。対象者は、MMSEを含む認知機能、情動機能、ADL機能テストを行った。アテネ不眠尺度(AIS)スコアに基づいて2つのサブグループに分類し(AIS 3以下とAIS 4以上)、性別、年齢による認知機能、情動機能、ADL機能を比較した。 主な結果は以下のとおり。・主観的な不眠症(AIS 4以上)は、36.2%で認められ、男性よりも女性で多かった。・AISサブグループ間での認知機能に差は認められなかった。・男女ともに、老年期うつ病評価尺度(GDS)スコアは、AIS 3以下群よりもAIS 4以上群で有意に高かった。・やる気(Apathy Scale)スコアは、AIS 4以上群の男性で有意に高かった。・AISサブスケールのうち「日中の眠気」は、男性よりも女性で有意に高く(p<0.01)、とくに75歳以上で顕著であった(p<0.01)。・この高齢女性群は、Trail Making Testスコアが有意に低かった(p<0.05)。 著者らは「不眠症は、日本人高齢者コミュニティにおいて36.2%に認められた。不眠症患者では、抑うつ症状が多く認められ、男性ではやる気の低下を示した。75歳以上の女性における最も特徴的な点は、日中の眠気の頻度が高いことで、注意や執行機能の低下に関連する可能性がある」としている。関連医療ニュース 不眠症になりやすい食事の傾向 一般開業医でも不眠症治療を効果的に行うためには 2つの新規不眠症治療薬、効果の違いは

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多枝病変STEMIには完全血行再建か、責任病変のみか

 近年のランダム化研究では、プライマリPCIでの完全血行再建が多枝病変の予後の改善につながることが示唆されている。しかしながら、非責任病変に対するPCIのタイミングについてははっきりとした答えが出ていない。そこで、米国のElgendy氏およびMahmoud氏らが、多枝病変を伴うST上昇心筋梗塞に対するPCIにおいて、どのような戦略が有効かを検証するメタアナリシスを行った。Journal of the American College of Cardiology誌2017年2月号に掲載。ランダム化試験のメタアナリシスで4つの再灌流療法を比較 本研究は、ST上昇心筋梗塞で来院し、多枝病変を伴った患者を4つの異なる再灌流戦略(初回PCIでの完全血行再建、入院中の段階的PCIによる完全血行再建、退院後の段階的PCIによる完全血行再建、責任病変のみの血行再建)のいずれかに割り付けたランダム化試験を対象とし、ランダム効果モデルによるリスク比(RR)を検討した。さらに、混合治療比較モデルを用いたネットワークメタアナリシスを作成し、4つの再灌流療法の比較を行った。 本研究では、10試験の2,285例が組み込まれた。メタアナリシスでは、完全血行再建(初回もしくは段階的PCIによる)が主要有害心イベント(MACE)リスクの低下と関係していた(RR:0.57、95%信頼区間[CI]:0.42~0.77)。リスクの低下は主に緊急再灌流療法の減少(RR:0.44、95%CI:0.30~0.66)によるものであった。全死亡(RR:0.76、95%CI:0.52~1.12)と再梗塞(RR:0.54、95%CI:0.23~1.27)については、差が認められなかった。混合治療モデルの解析では、MACEのリスクの減少は非責任病変の再灌流を行った群で、そのタイミングに関係なく認められた。完全な血行再建は緊急再灌流療法およびMACEの減少につながる ランダム化試験に基づく最新のエビデンスによると、多枝病変に対する再灌流療法を行うタイミングが違っても、全死亡と再梗塞で違いは認められなかった。多枝病変に対する初回もしくは段階的PCI(入院中、退院後にかかわらず)での完全血行再建は、緊急再灌流療法を減少させ、それがMACEの減少につながっており、また、これら3つの治療戦略(責任病変と同時に行うPCI、段階的に入院中に行うPCI、退院後に行うPCI)の間で違いは認められなかった。著者らは、全死亡と再梗塞のリスクに対する完全血行再建の効果を調べるには、さらなる研究が必要としている。

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ノバルティスが新たな抗マラリア薬を発売

 ノバルティス ファーマ株式会社(代表取締役社長:ダーク・コッシャ)は2017年3月7日、マラリア治療薬としてアルテメテル/ルメファントリン(商品名:リアメット配合錠)を発売した。 アルテメテル/ルメファントリンは、ヨモギ属植物(artemisia annua)の抽出化合であるアルテミシニン誘導体と作用機序の異なる薬剤を組み合わせた併用療法(artemisinin-based combination therapy、以下、ACT)の配合剤。WHOのマラリア治療ガイドラインでは、マラリアの治療薬としてACTが推奨されており、とくに重症化しやすい「合併症のない急性熱帯熱マラリア」の治療には第1選択薬に位置付けられている。 アルテメテル/ルメファントリンは代表的なACT薬剤として、米国や英国を含む60以上の国または地域で承認されている。これまで日本においては、熱帯病治療薬研究班が輸入し、本研究班に所属する医療機関で使用されてきた。このような状況において、熱帯病治療薬研究班より「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬」として開発要望があっため、厚生労働省から開発要請を受け、2016年12月19日付でマラリアの治療薬として製造販売承認を取得した。マラリアについて 感染の予防や制御などの対策が進み、感染者数および死亡者数は減少しているものの、マラリアは現在でも世界最大の感染症の1つである。アフリカ、アジア、オセアニア、および中南米など、熱帯、亜熱帯地域を中心に約100の国または地域で流行し、年間2億人以上が新たに感染し、43万8,000人が死亡している。現在、日本で報告されるマラリア患者は、すべて外国に渡航した際の感染者。最近の国内の年間患者数は50~70人で推移している。ノバルティス ファーマ株式会社のプレスリリースはこちら

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糖尿病の若年発症は合併症リスクを高める/JAMA

 小児期や思春期に糖尿病と診断された10代ならびに若年成人患者は、糖尿病合併症および併存症の有病率が高く、とくに1型と比較して2型糖尿病患者で高値であることが示された。米国・コロラド公衆衛生大学院のDana Dabelea氏らが、小児・思春期糖尿病患者を対象とした観察研究の結果を報告した。著者は、「若年糖尿病患者では、早期から合併症発症に関するモニタリングを行うことが重要である」とまとめている。小児や思春期の1型および2型糖尿病有病率は世界的にも増加しているが、直近の若年糖尿病患者で合併症や併存症に関与する因子や有病率は不明であった。JAMA誌2017年2月28日号掲載の報告。20歳未満で糖尿病と診断された若年糖尿病患者を追跡し、予後調査を実施 研究グループは、米国5地域で進行していた住民を対象とする発生率登録ネットワークから、2002~06年または2008年に1型糖尿病または2型糖尿病と新たに診断された20歳未満の若年糖尿病患者を特定し、ベースラインならびに追跡調査時(1、2および5年後)に糖尿病合併症のリスク因子について評価した。このうち、糖尿病罹病期間が5年以上で10歳以上の参加者を対象に、2011~15年の間に糖尿病関連合併症に関する予後調査を行った。 リスク因子の測定項目は、BMI、腹囲、腹囲身長比、血圧(収縮期、拡張期:3回の測定の平均)、平均動脈圧、HbA1c値、空腹時Cペプチド、脂質、クレアチニン、尿中アルブミン量などで、予後調査時の主要評価項目は、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、末梢神経障害、心血管自律神経障害ならびに併存疾患(動脈壁硬化、高血圧症)とした。糖尿病罹病期間が平均約8年で、1型は3分の1、2型は3分の2が合併症を有する 解析対象は2,018例で、このうち1型糖尿病が1,746例(平均[±SD]年齢17.9±4.1歳、非ヒスパニック系白人1,327例[76.0%]、女性867例[49.7%])、2型糖尿病が272例(平均22.1±3.5歳、非ヒスパニック系白人72例[26.5%]、女性181例[66.5%])であった。糖尿病罹病期間は、1型および2型ともに平均7.9年であった。 2型糖尿病患者は1型糖尿病患者に比べ、心血管自律神経障害を除いたすべての合併症に関して年齢補正後有病率が有意に高かった(心血管自律神経障害の絶対差は1.2%、p=0.62)。 糖尿病罹病期間平均7.9年、推定21歳時の糖尿病合併症または併存症の有病率は、1型で32%、2型で72%であった。 また、経年的に測定されたリスク因子で補正すると、2型糖尿病患者は1型糖尿病患者より、糖尿病腎症(補正後オッズ比2.58、p=0.003)、糖尿病網膜症(2.24、p=0.02)、末梢神経障害(2.52、p=0.001)の補正後オッズ比が有意に高かったが、動脈壁硬化(1.07、p=0.80)と高血圧症(0.85、p=0.55)では差は認められなかった。

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抗IL-31抗体、アトピー性皮膚炎のかゆみに有効/NEJM

 抗インターロイキン(IL)-31受容体Aヒト化モノクローナル抗体nemolizumab(CIM331)は、月1回の皮下投与により中等症~重症アトピー性皮膚炎患者のそう痒を有意に改善することが示された。ドイツ・ルートヴィヒ・マクシミリアン大学のThomas Ruzicka氏らが、nemolizumabの有効性と安全性を評価した第II相国際共同試験(XCIMA試験)の結果、報告した。IL-31は、アトピー性皮膚炎とそう痒の病理学的機序に重要な役割を果たしている可能性があり、第I相試験ではnemolizumab単回皮下投与により、中等症~重症アトピー性皮膚炎患者のそう痒が軽減され、睡眠障害やステロイド外用剤併用の減少がもたらされることも示唆されていた。今回の結果を踏まえて著者は、「アトピー性皮膚炎のかゆみに対し、IL-31受容体Aを標的とした治療が有効であることが示された」とまとめている。NEJM誌2017年3月2日号掲載の報告。中等度~重度アトピー性皮膚炎患者264例でnemolizumabの有効性を評価 XCIMA試験は、12週間の無作為化二重盲検プラセボ対照第II相試験である。対象は、外用治療を行うもコントロール不良の中等症~重症アトピー性皮膚炎成人患者(18~65歳)264例で、nemolizumabの各群(0.1mg、0.5mgまたは2.0mg/kgを4週ごと皮下投与、あるいは2.0mg/kgを8週ごと皮下投与)、およびプラセボ群(4週ごと皮下投与)に1対1対1対1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要評価項目は、12週時におけるベースラインからの、そう痒視覚的評価スケール(VAS)スコア変化率。副次評価項目は、12週時の湿疹面積重症度指数(Eczema Area and Severity Index:EASI)変化率および皮膚病変体表面積などであった。月1回皮下投与で、3ヵ月後にかゆみが改善 264例中216例(82%)が試験を完遂した。 12週時のそう痒VASスコア変化率は、nemolizumabを4週ごと0.1mg投与群で-43.7%、同0.5mg投与群で-59.8%、同2.0mg投与群で-63.1%であったのに対し、プラセボ群は-20.9%であった(いずれもp<0.01)。また、EASI変化率はnemolizumab 4週ごと投与群でそれぞれ-23.0%、-42.3%、-40.9%に対してプラセボ群-26.6%、皮膚病変の体表面積変化率はそれぞれ-7.5%、-20.0%、-19.4%と-15.7%であった。 治療中止に至った症例は、4週ごと投与の0.1mg群で53例中9例(17%)、0.5mg群で54例中9例(17%)、2.0mg群で52例中7例(13%)、プラセボ群は53例中9例(17%)であった。 なお著者は、試験期間の短さや症例数の少なさを研究の限界として挙げ、「有害事象に関しては結論を出すことはできない」と述べている。

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研究レビューでは検索サイトを確かめ、抜け落ちた試験はないか注意しよう(解説:折笠 秀樹 氏)-651

 研究レビュー(Systematic Review)をするとき、該当する臨床試験(RCT)を網羅的に検索することが求められる。その際に臨床試験レジストリをどの程度利用していたかについて、2014年6月~2015年1月に発表された研究レビュー論文223報で調査された。いわゆるコクランレビューは77報(35%)含まれていた。 臨床試験レジストリには、ポータルサイトとレジストリサイトがある。前者としては、WHOのICTRP(International Clinical Trials Registry Platform)サイトとmRCT (metaRegister of Controlled Trials)がよく知られる。後者はICMJE(医学雑誌編集者国際委員会)が認定している臨床研究の事前登録サイトであり、NIH(米国国立衛生研究所)のClinicalTrials.govとBioMed CentralのISRCTN(International Standard Randomised Controlled Trial Number)などが知られる。【結論1】 臨床試験レジストリを利用していた研究レビューは、107報(48%)しかなかった。残る52%の研究レビューでは、PubMedなどの文献データベースしか利用していなかったのだろう。臨床試験レジストリを利用していた107報の中で、ポータルサイトを利用していたのは53%(とくにWHOサイトは50%)であった。レジストリサイトを利用していたのは87%(とくにNIHサイトは83%、ISRCTNサイトは21%、Japanese networkは3%)であった。NIHとWHOのサイトが最も頻繁に利用されていた。 コクランレビューの臨床試験レジストリ利用率は84%で、それ以外の研究レビューでの利用率29%に比べて有意に高かった。また、公的支援または無支援の研究レビューでの利用率は57%で、商業支援・支援未記載での利用率33%に比べて有意に高かった。【結論2】 臨床試験レジストリを利用していなかった研究レビューにおいて、あらためてレジストリを利用してみると、含めるべき臨床試験の抜けていた報告が43%もあった。半数以上の研究レビューで網羅的検索ではなかった可能性がある。 研究レビュー論文を読むとき、自分の知っているRCTは抜けていないか、いわゆる文献サーチに選択バイアスはないか、十分注意する必要がありそうだ。そのためには、情報検索でどういったサイトを利用したかを確認してもらいたい。

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男の美学【Dr. 中島の 新・徒然草】(160)

百六十の段 男の美学脳神経外科に通院している、ある40代の男性。ほかから出ている降圧薬の中にβ遮断薬があることに、ふと気づきました。中島「あれれ、この薬をのんでいたら男性機能が落ちてしまうんじゃなかったかな」患者「そうなんですか?」中島「確かそうだったと思いますよ」患者「でも、いいんです。僕なんか、相手もいないし」そういえば、この方は独身でした。中島「いやいや、男ってのはね」患者「……」中島「抜く抜かないにかかわらず、常に鞘の中の刀は研ぎ澄ませておくべきでしょ!」患者「それ、むちゃくちゃ説得力ありますね!」とっさにこんな説明ができるとは、自分でも驚きです。とはいえ、その患者さんは薬をやめることなく続けることを選択しました。それから半年後。患者「先生、大変な事になりました!」中島「どないしたんでっか?」患者「役に立ちません」中島「はあ?」患者「相手ができたのに、役に立たないんですよ(泣)」血相変えてやって来た患者さんの顔を見ながら、「そういえば以前、β遮断薬の話をしたなあ」と、ようやく思い出しました。中島「じゃあ、薬やめますか? 血圧が上がるかもしれんけど」患者「やめてみます」ほかから出されている薬を勝手にやめるのもいささか問題ですが、目の前の患者さんは切羽詰まった表情です。患者「僕にとっては、こっちのほうが先決です」中島「じゃあ、血圧が上がったら次の手を考えましょう」というわけで、とりあえずβ遮断薬を中止することになりました。そして、次の外来。患者「先生、復活しました!」中島「おおーっ、やったか!」患者「やりましたよ」中島「後学のために教えてほしいんですけど、薬をやめてからどのくらいで復活しました?」患者「2週間くらいです」というわけで、この患者さん、現在はハッピーな生活を送っておられます。薬の副作用は思わぬ形で出るので、注意しておくべきですね。ともあれ、めでたしめでたし。最後に1句抜かずとも 研いでおくべし 鞘の中

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