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急性冠症候群を発症するリスクをFFRで評価できるか(解説:上田 恭敬 氏)-665

 ST上昇型急性心筋梗塞(STEMI)症例において、その責任病変に対して冠動脈形成術(PCI)による再灌流療法を施行することによって予後が改善することは明らかであるが、責任病変以外の狭窄病変に対するPCIの有用性については明らかではない。 そこで、本研究では、多枝病変を持つSTEMI症例885例を、非責任病変に対する完全血行再建をFFRガイド下に行う群(295例)と、責任病変に対するPCIのみを行う群(590例)に、1:2の比率で割り付け、1年間の全死亡、心筋梗塞、再血行再建術、脳血管性イベントの複合エンドポイント発生頻度を群間で比較している。完全血行再建群では、冠動脈造影上50%以上の狭窄病変に対してFFRを施行し、FFRが0.80以下の場合に有意狭窄と判断してPCIを同入院中に施行している。バイアスを軽減するために、責任病変に対するPCIのみを行う群においてもFFRを施行し、その結果は術者にわからないようにしている。しかし、同群においても、臨床的に必要と判断されて45日以内に予定的にPCIを行うことは認められており、そのPCIはイベントとしてカウントされない。 結果は、複合エンドポイントの発生頻度が7.8% vs.20.5%(p<0.001)と完全血行再建群で有意に低値であった。ただし、エンドポイントの構成要素のうち、再血行再建術は6.1% vs.17.5%(p<0.001)と有意差を認めたが、他の構成要素に群間差はなかった。したがって、急性期の非責任病変に対する完全血行再建の施行は、その後のPCIを減少させたと結論している。 結論は非常に合理的ではあるが、背景にある本質的な問題に対する答えは得られていないように思われる。そもそも、本試験のデザイン自体が何を目的としているのか不明瞭なように思われる。急性期に非責任病変に対するPCIを施行すべきか否かは、慢性期にすべきPCIを前倒しで急性期に施行して、その後のPCIの手間を省くために検討されているわけではない。 PRAMI試験では、責任病変以外の50%以上の狭窄病変すべてに対してPCIを施行した群において、責任病変だけにPCIを施行した群よりも、複合エンドポイントだけでなく、心筋梗塞の発症頻度も低下しており、非責任病変に対するPCIによって、急性期~亜急性期における再梗塞など急性冠症候群の発症を未然に防ぐことができる可能性が示唆された。 この領域を専門とする研究者の大きな関心は、非責任病変の中から急性冠症候群を発症するリスクの高い病変を選別することができるか否かという問題と、その病変に対して事前にPCIを施行することで急性冠症候群の発症を予防できるか否かという2つの問題にある。本試験でも、後者の問いに答えるために群分けをしているが、前者の問いに対してはFFRによって高リスク病変を検出できるという前提に立っている。しかし、FFRはあくまでも計測時点での狭窄度の有意性を生理的に評価するデバイスであり、プラーク破綻と血栓形成によって生じる急性冠症候群の発症リスクを評価できるとは考え難い。 急性冠症候群を発症する可能性がある中等度狭窄病変すべてにPCIをしたのがPRAMI試験であるが、そこでは急性冠症候群予防目的のPCIの有用性が示されたのに対して、FFRで標的病変を選別した本試験では急性冠症候群予防目的のPCIの有用性は示されなかった。この結果は、FFRが適切な選別手段でないことを示唆しているように思われる。また、本試験では、症状などの臨床的必要性によって45日以内に施行されたPCIはイベントに含まれないが、これらの中には不安定狭心症を発症したためにPCIが施行され、その結果心筋梗塞の発症が防止された症例が含まれている可能性があり、イベントの評価方法にも問題があると思われる。試験デザインを考える際には、科学的モチベーションだけでなく、商業的モチベーションや政治的モチベーションも影響すると思われる。本試験のデザイン決定において、FFRの新たな使い道を示してその普及を図ろうとする意図が、背景にあるのか否かは気になるところである。

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ポケット呼吸器診療2017

臨床で使える小さなマニュアル―これをポケットに入れておけば大丈夫!定番の『ポケット呼吸器診療』最新版の登場です。今回は、「2017年版になってどこが変わったの?」がわかります→改訂部分を色付け各種ガイドラインの改訂に対応など、最新情報にアップデート内容量もさらに充実。前年版の30%増! (150→200ページ)の3つを主に改訂しました。また、本書の特徴としては、臨床で使える小さなマニュアル(新書版)である呼吸器疾患の診療手順/処方例/診療指針・ガイドラインを掲載患者さんへの病状説明のポイント、よくある質問の解答例も掲載 の3点が挙げられます。小さいながらも、診療現場で役に立つ1冊です。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。    ポケット呼吸器診療2017定価1,800円 + 税判型17.2 × 10.5 × 0.9 cm頁数212頁発行2017年3月監修林 清二著者倉原 優Amazonでご購入の場合はこちら

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境界性パーソナリティ障害、性行為とアルコールの関係

 性行為前にアルコールを摂取すると、無防備な性行為、複数の性行為相手、性感染症の可能性を高める。また、境界性パーソナリティ障害(BPD)は、物質使用障害や性的リスク行動と関連する。BPDは、情緒調節、自己イメージ、対人関係、衝動性制御における広範な不安定性を特徴とする複雑な精神障害である。しかし、米国におけるBPDと性行為前のアルコール摂取との関連についての研究は行われていない。米国・コロンビア大学のRonald G Thompson氏らは、全米の代表的な成人サンプルにおける、BPDと性行為前の定期的なアルコール摂取との関連を調査した。Drug and alcohol review誌オンライン版2017年3月20日号の報告。 対象は、アルコールおよび関連状態に関する全米疫学調査Wave2より、現在性的関係を持っている飲酒者1万7,491例。コントロールにより調整された、性行為前の定期的(大半または常に)なアルコール摂取の可能性をカウントし、BPD診断、特定のボーダーライン診断基準、BPD基準への影響を、ロジスティック回帰モデルで推定した。 主な結果は以下のとおり。・BPD診断は、性行為前の定期的なアルコール摂取の割合を2倍にした(調整OR:2.26、CI:1.63~3.14)。・9つの診断基準のうち、自傷行為における衝動性は、性行為前の定期的なアルコール摂取の有意な予測因子であった(調整OR:1.82、CI:1.42~2.35)。・性行為前の定期的なアルコール摂取のオッズ比は、各推奨基準に対して20%増加していた(調整OR:1.20、CI:1.14~1.27)。 著者らは「本検討は、米国におけるBPDと性行為前の定期的なアルコール摂取との関連を調査した最初の研究である。物質乱用治療では、とくにBPD患者において性行為前の定期的なアルコール摂取を評価すべきである。BPD治療では、衝動性、性行為、物質使用を横断的にリスク評価する必要がある」としている。関連医療ニュース 神経性過食症と境界性パーソナリティ障害との関連 抗精神病薬の性機能障害、プロラクチンへの影響を比較 境界性パーソナリティ障害併発、自殺に対する影響は

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日本人心房細動患者における左心耳血栓、有病率と薬剤比較:医科歯科大

 心房細動(AF)は、一般的な心臓不整脈であり、血栓塞栓性事象を含む心血管罹患率および死亡率の増加と関連している。東京医科歯科大学の川端 美穂子氏らは、抗凝固療法中に前処置経食道心エコー(TEE)を受けている日本人非弁膜症性心房細動(NVAF)患者における左心耳(LAA)血栓の有病率を評価し、ワルファリンと直接経口抗凝固薬(DOAC)の有効性の比較を行った。Circulation journal誌オンライン版2017年2月7日号の報告。 抗凝固療法を3週間以上行ったのち、前処置TEEを受けたNVAF患者559例(男性:445例、年齢:62±11歳)をレトロスペクティブに検討した。 主な結果は以下のとおり。・非発作性のAFは、275例(49%)で認められた。・LAA血栓は、15例(2.7%)で認められた。・LAA血栓の有病率は、DOAC群(2.6%)とワルファリン群(2.8%)で同様であった(p=0.86)。・CHA2DS2-VAScスコア0、脳卒中歴のない発作性AF、一過性虚血発作では、LAA血栓を有する患者はいなかった。・単変量解析では、LAA血栓と関連していた項目は、非発作性AF、心構造疾患、抗血小板療法、左心房の大きさ、高BNP、LAA流量の減少、CHA2DS2-VAScスコアの高さであった。・多変量解析では、BNP173pg/mL以上のみがLAA血栓の独立した予測因子であった。 著者らは「経口抗凝固療法を継続しているにもかかわらず、LAA血栓は、日本人NVAF患者の2.7%に認められた。血栓の発生率は、DOAC群、ワルファリン群で同様であった」としている。

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アジア人の加齢黄斑変性、視機能低下に民族性が関与

 加齢黄斑変性(AMD)と視機能(vision-specific functioning:VSF)に、民族性が関与していることが示唆された。シンガポール・国立眼科センターのEva K Fenwick氏らによる中国人、マレー人およびインド人を対象とした住民ベースの横断研究において、中国人ではAMDがVSFに負の影響を及ぼしたが、マレー人およびインド人では影響がみられなかったという。今回の結果は多民族的なアジア人において、民族性が疾患とVSFとの関連に影響する独立した因子であることを示唆するものであり、著者は、「AMDの発症や進行を遅らせるためには、民族性に基づいた戦略が必要である」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2017年3月30日号掲載の報告。 本研究には、中国人、マレー人およびインド人の成人計1万33例が参加し、このうちグレード分類が可能な眼底像およびVisual Function Index(VF-11)のデータがあった9,962例(99.3%)が解析対象となった(平均[±SD]年齢:58.8±10.4歳、男性4,909例[49.3%])。 単眼の遠見視力はlogMAR視力表を用いて測定し、3つの民族群におけるAMDとVSFとの関連を、年齢、性別、良いほうの眼の視力、教育水準、収入、喫煙状況、高血圧、糖尿病、心血管疾患、総コレステロール値およびその他の眼の状態で調整した、重回帰モデルで分析した。 データは2004年1月20日~2011年12月19日に収集され、2015年11月12日~2016年12月28日に解析が行われた。 主な結果は以下のとおり。・解析対象9,962例中、初期AMDが590例(5.9%)(中国人241例、マレー人161例、インド人188例)、後期AMDが60例(0.6%)(それぞれ25例、21例、14例)であった。・調整モデルにおいて、中国人では非AMD例と比較し初期AMD例でVSFの低下が認められたが(2.9%、β=-0.12、95%CI:-0.23~-0.00、p=0.046)、マレー人とインド人では関連は認められなかった。・中国人において、後期AMD例は非AMD例と比較しVSFの低下が19.1%と臨床的に著しかった(β=-0.78、95%CI:-1.13~-0.43、p

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AFの抗凝固療法での骨折リスク、ダビガトランは低減/JAMA

 非弁膜症性心房細動(NVAF)患者の抗凝固療法では、ダビガトラン(商品名:プラザキサ)がワルファリンに比べ骨粗鬆症による骨折のリスクが低いことが、中国・香港大学のWallis C Y Lau氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2017年3月21日号に掲載された。ワルファリンは、骨折リスクの増大が確認されているが、代替薬がないとの理由で数十年もの間、当然のように使用されている。一方、非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)ダビガトランは、最近の動物実験で骨体積の増加、骨梁間隔の狭小化、骨代謝回転速度の低下をもたらすことが示され、骨粗鬆症性骨折のリスクを低減する可能性が示唆されている。リスクを後ろ向きに評価するコホート試験 本研究は、香港病院管理局が運営するClinical Data Analysis and Reporting System(CDARS)を用いて2つの抗凝固薬の骨粗鬆症性骨折リスクをレトロスペクティブに評価する地域住民ベースのコホート試験である。 CDARSの登録データから、2010年1月1日~2014年12月31日に新規にNVAFと診断された患者5万1,946例を同定した。このうち、傾向スコアを用いて1対2の割合で背景因子をマッチさせた初回投与例8,152例(ダビガトラン群:3,268例、ワルファリン群:4,884例)が解析の対象となった。 ポアソン回帰を用いて、2群の骨粗鬆症による大腿骨近位部骨折および椎体骨折のリスクを比較した。罹患率比(IRR)および絶対リスク差(ARD)と、その95%信頼区間(CI)を算出した。転倒、骨折の既往例でリスク半減 ベースラインの全体の平均年齢は74(SD 11)歳、50%(4,052例)が女性であった。平均フォローアップ期間は501(SD 524)日だった。この間に、104例(1.3%)が骨粗鬆症性骨折を発症した(ダビガトラン群:32例[1.0%]、ワルファリン群:72例[1.5%])。初回投与から骨折発症までの期間中央値は、ダビガトラン群が222日(IQR:57~450)、ワルファリン群は267日(81~638)だった。 ポアソン回帰分析において、ダビガトラン群はワルファリン群に比べ骨粗鬆症性骨折のリスクが有意に低いことが示された。すなわち、100人年当たりの発症割合はそれぞれ0.7、1.1であり、100人年当たりの補正ARDは-0.68(95%CI:-0.38~-0.86)、補正IRRは0.38(0.22~0.66)であった(p<0.001)。また、投与期間が1年未満(1.1 vs.1.4/100人年、p=0.006)、1年以上(0.4 vs.0.9/100人年、p=0.002)の双方とも、ダビガトラン群のリスクが有意に低かった。 転倒、骨折、これら双方の既往歴がある患者では、ダビガトラン群のリスクが統計学的に有意に低かった(1.6 vs.3.6/100人年、ARD/100人年:-3.15、95%CI:-2.40~-3.45、IRR:0.12、95%CI:0.04~0.33、p<0.001)が、これらの既往歴がない患者では両群間に有意差は認めなかった(0.6 vs.0.7/100人年、ARD/100人年:-0.04、95%CI:0.67~-0.39、IRR:0.95、95%CI:0.45~1.96、p>0.99)(交互作用検定:p<0.001)。 事後解析では、ダビガトラン群は無治療の患者との比較でも、骨粗鬆症性骨折リスクが有意に良好であった(ARD/100人年:-0.62、95%CI:-0.25~-0.87、IRR:0.52、95%CI:0.33~0.81)。 著者は、「これら2つの薬剤と骨折リスクの関連の理解を深めるには、無作為化試験を含め、さらなる検討を要する」と指摘している。

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時速30km以上で走ると車の寿命が短くなる、といっているような結果(解説:桑島 巖 氏)-664

 これまで、至適収縮期血圧(SBP)値は120mmHgとされてきたが、本論文はそれよりさらに低い110~115mmHgですら健康への負担になるレベルという、世界規模869万人の疫学データのメタ解析結果である。 本論文は、1990~2015年にかけての25年の間に、SBP値が110~115mmHgの割合が10万人中7万3,119人から8万1,373人に上昇し、140mmHg以上の人の割合は、同1万7,307人から2万526人に上昇したという。 SBP値110~115mmHg以上の年間死亡率でみると、10万人中135.6人から145.2人へ上昇、140mmHg以上では同97.9人から106.3人へと上昇したという。 血圧と最も関連の深かった疾患は、虚血性心疾患、次いで脳出血、脳梗塞であった。血圧と死亡あるいは有病率を、統計的一側面からのみ観測した結果である。 血圧値のみの変遷に注目すると“血圧は血管に対する負荷である”あるいは“The lower, the better”であることを示した点では理解できるが、身体・精神活動などを含めた生活の質はSBP値110~115mmHgではむしろ低下する。したがって、このレベルが血管にとって安全とはいえても生活を営むうえでの最適血圧とは限らず、このレベルまで一律に下げるべきということではない。自動車に例えていうと「自動車は時速30km以上で走ると車の寿命を縮めます」というような結果である。1990年から2015年の血圧値の変化は、世界人口の高齢化に伴うものであろう。

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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第36回

第36回:急性副鼻腔炎に対する抗菌薬投与は、発症7~10日以内で症状改善しない場合に考慮する監修:吉本 尚(よしもと ひさし)氏 筑波大学附属病院 総合診療科 急性副鼻腔炎とは「急性に発症し、罹病期間が1カ月以内と短く、鼻閉、鼻漏、後鼻漏、咳嗽を認め、頭痛、頬部痛、顔面圧迫感などを伴う疾患」と定義されている1)。原因としてはウイルス性、細菌性が挙げられるが、最近はアレルギー性鼻副鼻腔炎も増加している2)。このため抗菌薬投与が効果を示す細菌性副鼻腔炎か否かを鑑別する必要があるが、実臨床で正確に判断することは難しい。日本鼻科学会からは、重症度スコアと、小児および成人の重症度別治療アルゴリズムが提唱されている3)。 これによると、軽症の場合は小児、成人いずれの場合においても抗菌薬は使用せず、5日間の経過観察を行い、症状が改善しない場合にはAMPCなどの抗菌薬を考慮することになっている。したがって、急性副鼻腔炎に対しては、ルーチンで抗菌薬を処方せず、適正な使用が求められる。 以下、American Family Physician 2016年7月15日号より4)急性副鼻腔炎は、外来診療におけるcommon diseaseの一つである。多くの場合は、ウイルス性上気道炎が原因である。臨床所見だけでは、抗菌薬が効く細菌性副鼻腔炎かどうかの判断は難しい。次の4項目の所見がある場合は、細菌性副鼻腔炎の可能性が高まる。症状の再燃膿性鼻汁血沈1時間値>10mm鼻腔内の膿汁貯留ガイドラインによって違いはあるものの、7~10日間以内に副鼻腔炎症状が改善しない場合や、症状が増悪する場合は抗菌薬療法を考慮する。抗菌薬療法の第1選択は、AMPC(商品名:サワシリン)500mg 8時間毎、またはAMPC/CVA(同:オーグメンチン)500mg/125mg 8時間毎の5~10日間投与である。レスピラトリーキノロン(LVFX、MFLX)は、βラクタム系抗菌薬と比較して有益性は示されておらず、さまざまな副作用リスクを伴っているため、第1選択として推奨されていない。マクロライド系、ST合剤、第2世代および第3世代セファロスポリン系は、S.pneumoniaeやH. influenzaeに効かないことが多いため、初期治療として推奨されていない。最近のガイドラインでは、上気道症状を認めてから7~10日間の経過観察を推奨している。鎮痛薬、鼻腔内ステロイド投与、生食による鼻腔内洗浄による治療効果のエビデンスは乏しい。また、合併症のない急性副鼻腔炎の診断に対する放射線画像検査は推奨されない。治療反応性が乏しい症例では、合併症や解剖学的異常の有無について単純CTが有用である。十分に内科的治療を行っているにもかかわらず、症状が遷延する場合や、まれな合併症が疑われる場合は、耳鼻科への紹介が必要。専門医にコンサルトすべき一覧閉塞を引き起こすような解剖学的異常眼窩蜂窩織炎や骨膜下膿瘍、眼窩膿瘍、意識障害、髄膜炎、静脈洞血栓症、頭蓋内膿瘍、Pottʼs puffy tumorなどの合併症状を呈している(Pottʼs puffy tumorは1768年にSir Percival Pottが提唱した疾患概念で、前頭骨骨髄炎が原因で骨外に1つ以上の膿瘍を形成した状態をいう)アレルギー性鼻炎に対する免疫療法の評価頻回再発例(年3~4回の再発)真菌性副鼻腔炎、肉芽腫性疾患、悪性新生物の疑い免疫不全患者院内感染39度以上の発熱が続く重症感染症抗菌薬療法を延長投与したにもかかわらず治療効果がみられない場合非典型的な起炎菌、抗菌薬抵抗性起炎菌が検出された場合※本内容は、プライマリケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。 1) 日本鼻科学会編:急性鼻副鼻腔炎診療ガイドライン2010年版 2) Suzuki K, Baba S: Local use of antibiotics for paranasal sinusitis. In: Proceedings of the XII international symposium of infection and allergy of the nose. Am J Rhinol 1994; 8: 306-307 3) 日本鼻科学会編:急性鼻副鼻腔炎診療ガイドライン2010年版(追補版). 4) Aring AM,et al. Am Fam Physician. 2016;94:97-105

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双極性障害の再発リスク、1年目で4割超

 双極性障害(BD)の再発、再燃率の報告は、研究間で著しく異なる。大部分のデータは、選択基準の狭いスポンサードランダム化比較試験に参加している高度に選択された患者を対象としている。リアルワールドでの再発、再燃の気分エピソード(subsequent mood episode:SME)の真のリスクを推定するため、スペイン・FIDMAG Germanes HospitalariesのJoaquim Radua氏らは、自然主義BD研究で報告されたSMEの割合についてメタ解析を行った。Psychotherapy and psychosomatics誌2017年号の報告。 PubMed、ScienceDirect、Scopus、Web of Knowledgeより2015年7月までの研究を検索した。個々のデータまたはKaplan-Meier plotよりSEM出現までの期間を報告した研究を含んだ。 主な結果は以下のとおり。・5,837例を含む12研究が、選択基準を満たした。・インデックスエピソード後の成人におけるSME出現までの平均期間は、1.44年であった。・SMEリスクは、最初の1年目で44%であった。この1年目のSME症例がいなくなったため、2年目は19%に低下した。・このリスクは、双極I型障害(BD-I)よりも双極II型障害(BD-II)において高かった(HR:1.5)。・BD-Iにおけるその後の躁病、混合性、うつ病エピソードリスクは、同じインデックスエピソード後に高かった(HR:1.89~5.14)。・SMEの全体的リスクは、亜症候群性症状が持続していた患者で高かった(HR:2.17)。 著者らは「本研究データより、リアルワールドでのBD患者のSMEリスクについて、より信頼性の高い推定値が算出できた。SMEのリスク要因を明らかにするためにも、BD-II患者を対象とした長期間のさらなる研究が必要とされる」としている。関連医療ニュース 双極性障害に対する抗けいれん薬の使用は自殺リスク要因か 双極性障害の自殺企図、“だれ”よりも“いつ”がポイント 双極性障害の再発エピソード、持効性注射剤の効果は

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2型糖尿病と部位別がん死亡リスク~アジア人77万人の解析

 東アジアと南アジアの約77万人のデータ解析から、2型糖尿病患者ではがん死亡リスクが26%高いことを、ニューヨーク州立大学のYu Chen氏らが報告した。また、部位別のがん死亡リスクも評価し、その結果から「がん死亡率を減少させるために、肥満と同様、糖尿病の蔓延をコントロール(予防、発見、管理)する必要性が示唆される」と結論している。Diabetologia誌オンライン版2017年3月7日号に掲載。 Asia Cohort Consortiumに含まれる19の前向き集団コホートにおける、東アジア人65万8,611人および南アジア人11万2,686人のデータについて、プール解析を実施した。ベースライン時に糖尿病であった場合の全がん死亡リスクおよび部位別のがん死亡リスクについて、糖尿病でなかった場合に対するハザード比(HR)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・平均追跡期間12.7年で、がんにより3万7,343人が死亡した(東アジア人3万6,667人、南アジア人676人)。・ベースライン時に糖尿病であった場合、全がん死亡リスクが有意に高かった(HR:1.26、95%CI:1.21~1.31)。・以下のがんでは、糖尿病との有意な正相関が認められた。  大腸がん(HR:1.41、95%CI:1.26~1.57)  肝がん(HR:2.05、95%CI:1.77~2.38)  胆管がん(HR:1.41、95%CI:1.04~1.92)  胆嚢がん(HR:1.33、95%CI:1.10~1.61)  膵臓がん(HR:1.53、95%CI:1.32~1.77)  乳がん(HR:1.72、95%CI:1.34~2.19)  子宮体がん(HR:2.73、95%CI:1.53~4.85)  卵巣がん(HR:1.60、95%CI:1.06~2.42)  前立腺がん(HR:1.41、95%CI:1.09~1.82)  腎がん(HR:1.84、95%CI:1.28~2.64)  甲状腺がん(HR:1.99、95%CI:1.03~3.86)  悪性リンパ腫(HR:1.39、95%CI:1.04~1.86)・白血病、膀胱がん、子宮頸がん、食道がん、胃がん、肺がんによる死亡リスクは、糖尿病との有意な関連は認められなかった。

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PCSK9阻害薬bococizumab、抗薬物抗体発現で効果減/NEJM

 抗PCSK9(前駆蛋白変換酵素サブチリシン/ケキシン9型)モノクローナル抗体製剤bococizumabは、多くの患者で抗薬物抗体(ADA)の発現がみられ、そのためLDLコレステロール(LDL-C)の低下効果が経時的に減弱することが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のPaul M Ridker氏らが行ったSPIREプログラムと呼ばれる6件の国際的な臨床試験の統合解析で明らかとなった。ADA陰性例にも、相対的なLDL-C低下効果に大きなばらつきを認めたという。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2017年3月17日号に掲載された。完全ヒト型抗体であるアリロクマブやエボロクマブとは異なり、bococizumabはヒト型抗体であり、抗原と結合する相補性決定領域に約3%のネズミ由来のアミノ酸配列が残存するため、ADAの発現を誘導する可能性が指摘されている。bococizumabとプラセボを比較する6件の無作為化試験に登録された4,300例を対象 本研究は、bococizumab(150mgを2週ごとに皮下投与)とプラセボを比較する6件の無作為化試験に登録された脂質異常症患者4,300例を対象とした(Pfizer社の助成による)。6試験には、プラセボの代わりにアトルバスタチンを用いた試験が1件、bococizumabの用量が75mgの患者を含む試験が1件含まれた。 ベースラインの全体の平均年齢は61歳で、42%が女性であった。糖尿病が53%、喫煙者が18%、家族性高コレステロール血症が12%含まれた。99%がスタチン治療を受けていた。治療期間中に検出されたADAの有無別に、12週および52週時に脂質値の経時的な変化の評価を行った。1年時のbococizumab群はADA陽性率48%、16%を占めた高力価の患者は平均変化率が低かった 12週時に、bococizumab群のLDL-C値はベースラインに比べ54.2%低下、プラセボ群は1.0%増加し、群間の絶対差は-55.2%(95%信頼区間[CI]:-57.9~-52.6)と、bococizumab群が有意に優れた(p<0.001)。 12週時の総コレステロール(TC)値のベースラインからの変化の群間絶対差は-36.0%、非HDL-C値は-50.2%、トリグリセライド(TG)値は-14.2%、アポリポ蛋白B値は-49.5%、リポ蛋白(a)値は-28.9%と有意に低下し、HDL-C値は6.2%と有意に増加しており、いずれもbococizumab群が良好だった(すべてp<0.001)。 52週時のLDL-C値のベースラインからの変化の群間絶対差は-42.5%(95%CI:-47.3~-37.8)であり、bococizumab群が有意に優れた(p<0.001)が、12週時に比べるとLDL-C低下効果が減弱した。また、TC値(群間絶対差:-27.1%)、非HDL-C値(-37.7%)、TG値(-10.9%)、アポリポ蛋白B値(-37.3%)、リポ蛋白(a)値(-20.6%)、HDL-C値(4.6%)も、bococizumab群が有意に良好だった(すべてp<0.001)が、いずれも12週時に比し効果は減弱した。 一方、1年時にbococizumab群の48%にADAが検出され、そのほとんどが12週以降に発現していた。52週時のADAが低~中力価の患者のLDL-C値の平均変化率(-43.1%)は、ADA陰性例(-42.5%)とほぼ同じであった。これに対し、ADA陽性例の16%を占めた高力価の患者のLDL-C値の平均変化率(-30.7%)は低く、力価最高位10%の患者(-12.3%)では著明に低かった。また、ADA陽性例は力価が高い患者ほど、PCSK9値およびbococizumab濃度が経時的に減衰した。 12週時のbococizumab群のLDL-C値の低下効果は全体として大きかったが、まったく低下しなかった患者が4%、低下率50%未満が28%、50%以上は68%とばらつきが認められた。52週時には、ADA陽性例はそれぞれ10%、38%、ADA陽性例はそれぞれ10%、38%、52%であったが、ADA陰性例にも9%、31%、60%と同様のばらつきがみられた。 重大な心血管イベント(非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、心血管死、血行再建術)の発生率は、bococizumab群が2.5%(57例)、プラセボ群は2.7%(55例)であった(ハザード比[HR]:0.96、95%CI:0.66~1.39、p=0.83)。bococizumab群の最も頻度の高い有害事象は、注射部位反応(12.7/100人年)であり、次いで関節痛(4.4/100人年)、頭痛(3.0/100人年)であった。 著者は、「bococizumabの有害事象には免疫原性の影響があり、有効性に関する生物学的な反応は一定ではなく個々の患者での予測は困難である」としている。これらの知見に基づき、2016年11月1日、bococizumabの開発は中止となった。

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これで良いのかPD-L1測定…22C3と28-8の違いは?

 非小細胞肺がん(NSCLC)において、PD-L1阻害薬のバイオマーカーPD-L1免疫組織化学染色(IHC)は薬剤ごとに固有のアッセイが対応しているが、どのアッセイで判定してもPD-L1染色の結果は同じなのか? 承認済および臨床試験を含め、米国におけるPD-L1アッセイは、ニボルマブの28-8、ペムブロリズマブの22C3 、atezolizumabの SP142、durvalumabのSP263 という4種がある。Blueprint PD-L1 IHC Assay Comparisonプロジェクトは、この4種のPD-L1 のIHCアッセイを分析し、臨床的に比較し情報提供する初めての産学協同の試みである。22C3、28-8、SP263ではPD-L1染色陽性腫瘍細胞の割合は同等 合計39例のNSCLC腫瘍標本を、臨床試験と同様に上記4種のPD-L1 IHCアッセイで染色した。3名の専門家が、各々のアッセイの染色陽性強度を独立評価した。さらに各アッセイの固有カットオフを用いて患者を分類し、臨床的診断性能を比較した。各アッセイのカットオフ値は、28-8と22C3は腫瘍細胞1%(TC1%)、SP263は腫瘍細胞25%(TC25%)、SP142は腫瘍細胞1%そして/または免疫細胞1%(TC/IC 1%)であった。 ニボルマブの28-8、ペムブロリズマブの22C3 、atezolizumabの SP142、durvalumabのSP263 という4種のPD-L1アッセイを比較した主な結果は以下のとおり。・PD-L1染色陽性腫瘍細胞の割合は、22C3、28-8、SP263では同等であったが、SP142はそれら3種よりも低かった。・4種のアッセイでの染色のばらつきは、免疫細胞のほう腫瘍細胞よりも高かった。 ・38例中19例(50.0%)はすべてのアッセイで共通してカットオフ値以上に、5例(13%)はすべてのアッセイで共通してカットオフ以下に分類された。 ・38例中14例(37%)は、アッセイによってカットオフ値以上か以下か異なる結果となった。・各アッセイのカットオフ値以上の割合は、28-8では60.5%、22C3では60.5%、SP263では52.6%、SP142では78.9%と、SP142で高かった。 この試験では、3つのアッセイについてPD-L1発現の分析性能は同等ではあるものの、アッセイとカットオフ値を替えることで、PD-L1ステータスの誤分類につながる可能性が示された。 異なる特異的なPD-L1カットオフを踏まえた上での代替染色アッセイの活用については、多くのデータが必要である、と筆者は述べている。

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開発が中止されても抗PCSK9抗体によるLDL-コレステロール低下効果は有効性を示した!(解説:平山 篤志 氏)-663

 抗PCSK9モノクローナル抗体であるEvolocumabやAlirocumabは完全なヒト型であるが、Bococizumabはヒト型に90%類似した抗体であったために中和抗体が出現し、長期間の投与中に効果が減弱することから開発が中断された。 しかし、開発の中断が決定されるまでにLDL-コレステロール低下効果をみる6つの試験と有効性を検証する2つの臨床試験が進行しており、今回はそのLDL-コレステロール低下効果が発表された。150mgのBococizumabの投与により、12週間で54.2%の低下がみられたが、52週では低下効果は42.5%と減弱が認められた。これは、中和抗体が12週以後から認められるようになり、1年後には48%に認められるようになったためである。ただ、中和抗体の認めなかった患者においても、LDL-コレステロール低下効果に個々の患者でばらつきが認められることが報告された。 論文では触れられていないが、同時に発表された米国心臓病学会の会場では、ハイリスクの患者を対象にしたSPIRE 1とSPIRE 2試験の結果も報告された。スタチン投与下でもLDL-コレステロールが100mg/dL以上を対象としたSPIRE 2試験では、平均観察期間が12ヵ月と短い期間であったが、心血管イベントリスクのLDL-Cの低下が認められた群(おそらく中和抗体の出現の無かった群)で低下が有意に認められたことが報告され、直前の演題であったEvolocumabによるFOURIER試験と同様の結果を示した。LDL-コレステロールについては、この結果から“lower is better for longer”が証明されたことになり、ハイリスクの患者ではより厳格な脂質管理が要求されるであろう。

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わかる統計教室 第4回 ギモンを解決!一問一答 質問9(その1)

インデックスページへ戻る第4回 ギモンを解決!一問一答質問9 多変量解析を学ぶ前に知っておくべき統計の基礎を教えてください(その1)医学統計では、重回帰分析やロジスティック回帰分析など多変量解析の手法を使うことも少なくありません。しかし、数多くある多変量解析手法のうち、どのようなデータやケースにどの手法を使って解析すればよいのか迷われる先生も多いと思います。また、先生方からのご質問にも「まず統計の基礎知識をきちんと身に付けたい」とのお声も多くありましたので、今回は、多変量解析を学ぶ前に今一度基礎統計をおさらいします。■統計学の役割先生方のいる臨床現場の周りには、さまざまな情報があふれています。好むと好まざるとにかかわらず、先生方は無意識のうちに情報を選別・選択し、それを基に物事を把握しながら日常臨床を行っていると思います。どんな些細な事柄であっても、情報なくして意思決定がなされるということは考えられません。このように、先生方は知らず知らずのうちに情報を収集し、それを活用することによって日常臨床を成り立たせているといえるでしょう。「情報なしでは生きていくのすら困難」といっても過言ではない現代では、逆に、情報を巧みに活用できる人にとっては面白く、刺激的な時代といえるかもしれません。とはいっても、形も種類もさまざまな情報をやみくもに集めただけでは、有効に活用することはできません。情報の活用にも一定のルール、つまり「情報の読み方・伝え方の決まり」があります。ルールを無視して情報を取り扱うことは何のメリットもないばかりか、事と次第によっては自分や他人に大変な危険を及ぼすかもしれません。■統計学の活用方法統計学は、この情報を「正確に読み、間違いなく伝え、有効に活用するための理論」であり、統計解析の手法はそのための手段といえます。ここで日常臨床や研究に統計学を使われている先生方のために、まず一般的な統計解析の活用手順を示しておきましょう。解決したいこと(目的)を明確にする調査、実験、インターネットなどでデータ(情報)を集める数多くある統計解析手法の中から、どれを適用するかを決めるExcelや統計解析ソフトウェアを用いて計算する出力された結果を解釈する■集団の特徴や傾向を調べる基本統計量ここにAさんという人がいます。Aさんについてさまざまなデータを収集した結果、身長が165㎝、体重は60kg、性別は男性、血液型はA型、収縮期血圧が120mmHg、拡張期血圧が80mmHgであるなど、その他いろいろなことがわかりました。Aさんのデータを統計的に処理できるでしょうか。統計学は、一定の条件に基づいて集められた「データのまとまり」を扱うものです。ですから、あらゆるデータを扱うことができるといっても、このような「特定の個人(1人だけ)のデータ」は、統計学の関知するところではありません。たとえば「A、 B、…」という100人の集団について、「身長」と「性別」のデータを得たとします。身長は背の高い人も低い人も、また、性別は男性も女性もいるでしょう。このような個々のデータの差異を「変動」といいます。データが変動しているがために、その集団は「背の高いほうなのか、低いほうなのか」あるいは「男性は多いか、少ないか」を把握する必要性が生じてくるのです。そこで、統計学を用い、身長の平均や性別における男性の割合(比率)などを求めることになります。もし、全員の身長が165㎝、全員が男性であったとします。これでは身長の平均や男性の割合を求めること自体意味がないことでしょう。今述べたように、集団に属するデータから平均値や割合を求め、集団の特徴や傾向を明らかにするための考え方(理論)が統計学です。統計学によって求められた値(平均値、割合)を「基本統計量(要約統計量)」といいます。なお、情報の主体である「A、 B、 …」といった複数の人(あるいは物)の集まりを「集団」といいます。また、集団を構成する個々の主体(人あるいは物)を「個体」といいます(表1)。表1 情報の主体■因果関係を調べる相関分析・多変量解析ある集団について、血圧や食生活の実態を調べたデータがあります。「塩分を多く摂取する人の血圧平均値や変動は?」、「塩分を多く摂る人々とそうでない人々で血圧の平均値に違いがあるか?」は、先に述べた基本統計量で把握できます。では、血圧が「高い」「低い」の変動は何によって生じるのでしょうか。少し考えただけでも、塩分摂取量、喫煙の有無、飲酒量、年齢、測定時の心理・健康状態など、さまざまな要因を挙げることができます。「血圧測定値の高低に影響を及ぼす要因は?」、「飲酒量と血圧測定値とは関係があるか?」などは、「相関分析」という解析手法で把握できます。血圧測定値は、いろいろな要因が絡み合って決まります。ある人が塩分摂取量、喫煙の有無、飲酒量、年齢などをパソコンに入力すると「近い将来、あなたの血圧値は150になるので注意せよ」といったことを予測してくれるアプリがあります。このアプリは、多数の要因を同時に処理する「多変量解析」という手法によって作られています。統計学では目的とする要因(この例では血圧)を「目的変数(結果変数)」といいます。原因となる要因(この例では塩分摂取量、喫煙の有無など)を「説明変数(原因変数)」といいます。相関分析、多変量解析は、目的変数と説明変数の関係、すなわち両者の因果関係を明らかにする解析方法です(表2)。表2 把握したい内容と解析手法の役割次回は、基本統計量についてご説明いたします。今回のポイント1)統計学は、情報を「正確に読み、間違いなく伝え、有効に活用するための理論」であり、統計解析の手法はそのための手段である!2)集団に属するデータから平均値や割合を求め、集団の特徴や傾向を明らかにするための考え方(理論)が統計学である!3)統計学によって求められた値(平均値、割合)を「基本統計量(要約統計量)」という!4)統計学では目的とする要因(この例では血圧)を目的変数(結果変数)といい、原因となる要因(この例では塩分摂取量、喫煙の有無など)を説明変数(原因変数)という!インデックスページへ戻る

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虚血性心筋症の患者へのCRT+ICDの有効性を検討

 非虚血性拡張型心筋症(DCM)の患者は、虚血性心筋症の患者と比較すると心室性不整脈のリスクが少ないかもしれない。さらに、DCMは心臓再同期療法(CRT)が奏効する指標の1つとして知られている。そこで英国のSérgio Barra氏ら研究グループが、心不全患者の1次予防として、CRTに植込み型除細動器(ICD)を追加することの有効性について、大規模研究で検討した。Journal of the American College of Cardiology誌2017年4月号に掲載。ヨーロッパの多施設研究、5,307人の心筋症患者を対象 本研究は、欧州における、観察型、多施設共同のコホート研究で、DCMもしくは虚血性心筋症(ICM)、かつ持続性心室頻拍の既往がない患者でCRTの植込みを受けた、連続した5,307例を対象とした。CRTに植込み型除細動器(ICD)を追加した4,037例(CRT+ICD群)と、ICDを追加しなかった1,270例(CRT単独群)に分け、プロペンシティスコアと死亡原因の解析によって両群のアウトカムを比較した。非虚血性心筋症患者では除細動器による死亡率の改善は認められず 平均41.4 ± 29.0ヵ月のフォローアップ期間において、ICMの患者は、CRT+ICD群のほうが生存率は良好だった(プロペンシティスコアと全死亡率の予測因子で調整した死亡率のハザード比[HR]:0.76、95%信頼区間[CI]:0.62~0.92、p=0.005)。一方、DCMの患者においては、そのような差が認められなかった(HR:0.92、95%CI:0.73~1.16、p=0.49)。 CRT+ICD群と比較して、CRT単独群の超過死亡率は、ICM患者で8.0%、DCM患者では0.4%であった。CRT-Dを非虚血性心筋症患者に植込む際には慎重な患者選択が必要 CRTの植込みが適応となる心不全患者において、ICM患者と異なり、DCMの患者はICDによる1次予防のベネフィットは受けられないかもしれない。DCMの患者におけるCRT-D(除細動器を伴った心臓再同期ペースメーカー)患者と比べて観察されたCRT-P(心臓再同期ペースメーカー)患者の超過死亡率は心臓突然死以外の原因によるものであり、この結果は最近報告されたDANISH研究の結果と一致している。著者らは、DCMで心室性不整脈の既往がない患者に対しては、CRT-Dの植込みには慎重な検討が必要であると報告している。(カリフォルニア大学アーバイン校 循環器内科 河田 宏)関連コンテンツ循環器内科 米国臨床留学記

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「歯は大切に」認知症発症にも影響:久山町研究

 日本人高齢者における、認知症発症に対する歯を失うことの影響を明らかにするため、九州大学の竹内 研時氏らは、久山町研究において調査を行った。Journal of the American Geriatrics Society誌オンライン版2017年3月8日号の報告。 認知症でない日本人成人(60歳以上)1,566例を対象に、5年間追跡調査を行った(2007~12年)。対象者をベースライン時の残存歯数により4群に分類した(20本以上、10~19本、1~9本、0本)。全ケースの認知症、アルツハイマー型認知症(AD)、脳血管性認知症(VaD)の発症に対する、歯を失うことによる影響のリスク推定値は、Cox比例ハザードモデルを用いて算出した。 主な結果は以下のとおり。・調査期間中における全ケースの認知症発症は180例(11.5%)、AD発症は127例(8.1%)、VaD発症は42例(2.7%)であった。・潜在的な交絡因子で調整した後、残存歯数の減少に伴い、全ケースの認知症の多変量補正ハザード比が増加する傾向が示された(p for trend=0.04)。・全ケースの認知症は、20本以上群と比較し、10~19本群で1.62倍、1~9本群で1.81倍、0本群で1.63倍であった。・残存歯数とADリスクには逆相関が観察されたが(p for trend=0.08)、VaDリスクでは認められなかった(p for trend=0.20)。 著者らは「日本人において、歯を失うことは、全ケースの認知症およびADリスクの増加と関連している」としている。関連医療ニュース 認知症になりやすい職業は 「最近、睡眠時間が増えた」は認知症のサインかも 米国の認知症有病率が低下、その要因は

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PCSK9合成阻害薬、2回投与で半年後にLDL-C半減/NEJM

 前駆蛋白転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)遺伝子のメッセンジャーRNAを標的とする低分子干渉RNA(small interfering RNA:siRNA)であり、肝細胞でのPCSK9の合成を阻害するInclisiranの第II相試験(ORION-1)の中間解析の結果が、NEJM誌オンライン版2017年3月17日号に掲載された。LDLコレステロール(LDL-C)高値の心血管リスクが高い患者において、6種の投与法をプラセボと比較したところ、すべての投与法でPCSK9値とLDL-C値(180日時、240日時)がベースラインに比べ有意に低下したという。報告を行った英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのKausik K Ray氏らは、「肝でのPCSK9 mRNA合成の阻害は、PCSK9を標的とするモノクローナル抗体に代わる治療薬となる可能性があり、注射負担はほぼ確実に軽減されるだろう」と指摘している。6つの投与法と2つのプラセボを比較 本研究は、Inclisiranの異なる用量および投与回数による投与法の有効性を比較する二重盲検プラセボ対照無作為化第II相試験(Medicines Company社の助成による)。対象は、最大用量のスタチンの投与によっても、LDL-C値70mg/dL以上のアテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)およびLDL-C値100mg/dL以上のASCVD高リスクの患者497例であった。 被験者は、3つのInclisiran単回皮下投与群(200mg[60例]、300mg[61例]、500mg[65例])またはプラセボ群(65例)、および3つのInclisiranの2回(初回、90日後)皮下投与群(100mg[61例]、200mg[62例]、300mg[61例])またはプラセボ群(62例)にランダムに割り付けられた。 主要評価項目は、180日時のLDL-C値のベースラインからの変化であった。安全性の評価は210日時のデータを用いて行った。副次評価項目には180日時のPCSK9値の変化などが含まれた。LDL-C値が27.9~52.6%低下、300mg×2回の効果が最大 ベースラインの8群の平均年齢は62.0~65.2歳、男性が53~74%を占め、平均LDL-C値は117.8~138.8mg/dL、平均PCSK9値は394.2~460.3ng/mLであった。全体の73%がスタチン、31%がエゼチミブの投与を受けていた。 Inclisiranの投与を受けた患者は、LDL-C値とPCSK9値が用量依存性に低下した。180日時のLDL-C値の最小二乗平均値は、単回投与の200mg群が-27.9%、300mg群が-38.4%、500mg群が-41.9%であり、プラセボ群の2.1%に比べ、いずれも有意に低下した(すべてp<0.001)。また、2回投与の100mg群は-35.5%、200mg群は-44.9%、300mg群は-52.6%であり、プラセボ群の1.8%に比し、いずれも有意に低かった(すべてp<0.001)。180日時のLDL-C値が最も低下した300mg×2回投与群(52.6%低下)のLDL-C値50mg/dL未満の達成率は48%だった。 LDL-C値は、第1日の投与から30日後には、投与前に比べ6群で44.5~50.5%低下し、単回投与群はおおよそ60日まで、2回投与群は150日まで最低値が持続した。また、PCSK9値は、14日後には単回投与群で59.6~68.7%、30日後には66.2~74.0%低下し、60日、90日時もこの値がほぼ維持されており、180日には47.9~59.3%低下していた(プラセボ群との比較ですべてp<0.001)。 240日時のLDL-C値は、投与前に比べ単回投与群で28.2~36.6%、2回投与群で26.7~47.2%低下しており、PCSK9値は6群とも40%以上低下していた。また、6つのInclisiran群は、180日時の総コレステロール(TC)、非HDL-C、アポリポ蛋白Bが、プラセボ群に比べ有意に低下した(すべてp<0.001)。 有害事象は、Inclisiran群、プラセボ群とも76%に発現したが、そのうち95%が軽度~中等度(Grade 1/2)であった。重篤な有害事象の発現率は、Inclisiran群が11%、プラセボ群は8%であった。全体で最も頻度の高い有害事象は、筋肉痛、頭痛、疲労、鼻咽頭炎、背部痛、高血圧、下痢、めまいであり、Inclisiran群とプラセボ群に有意な差はなかった。注射部位反応は、単回投与群の4%、2回投与群の7%(6群で5%)にみられたが、プラセボ群には発現しなかった。 著者は、「患者のほとんどが欧州系の人種であり、今後、他の人種で同様の効果が得られるかを検討する必要がある」としている。

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前立腺がんの3つの治療戦略、QOLに差はあるか/JAMA

 局所前立腺がんの3つの治療戦略(根治的前立腺全摘除術、外部照射療法、小線源療法)は、有害事象の発現パターンがさまざまであり、積極的監視療法と比較して2年後のQOLにほとんど差はないことが、米国・ノースカロライナ大学チャペルヒル校のRonald C Chen氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2017年3月21日号に掲載された。前立腺がん患者の余命は延長しており、個々の治療選択肢のQOLへの影響は、患者の意思決定プロセスにおける中心的な関心事項となっている。QOLを積極的監視と比較する前向きコホート試験 本研究は、根治的前立腺全摘除術(RP)、外部照射療法(EBR)、小線源療法(BT)と積極的監視療法(AS)のQOLを比較する地域住民ベースの前向きコホート試験(米国患者中心アウトカム研究所[PCORI]などの助成による)。 North Carolina Central Cancer Registry(NCCCR)との共同で、2011年1月~2013年6月に前立腺がんと新規診断された男性1,141例を登録した。診断から登録までの期間中央値は5週間で、解析に含まれた最終フォローアップ日は2015年9月9日だった。 ベースライン(治療前)、治療後3、12、24ヵ月時に、Prostate Cancer Symptom Indices(PCSI)を用いてQOLの評価を行った。PCSIは4つのドメイン(性機能障害[5項目]、尿路閉塞・刺激[5項目]、尿失禁[3項目]、腸障害[6項目])から成り、それぞれのドメインを0~100点(点数が高いほど機能障害が重度)でスコア化した。 AS群が314例(27.5%)、RP群が469例(41.1%)、EBR群が249例(21.8%)、BT群は109例(9.6%)であった。RP群の86.6%がロボット手術を、EBR群の94.8%が強度変調放射線治療(IMRT)を受けた。ベースラインの各群間の人口統計学的背景因子およびQOLの差は、傾向重み付け(propensity weighting)を行って最小化した。24ヵ月時の臨床的に意味のある増悪は、RP群の尿失禁のみ ベースラインの傾向重み付け後の4群の年齢中央値は66~67歳、白人が77~80%を占め、QOLスコアの平均値は性機能障害が41.6~46.4点、尿路閉塞・刺激が20.8~22.8点、尿失禁が9.7~10.5点、腸障害は5.7~6.2点だった。 3ヵ月時の性機能障害の平均スコアのAS群との差は、RP群が36.2点(95%信頼区間[CI]:30.4~42.0)、EBR群が13.9点(6.7~21.2)、BT群は17.1点(7.8~26.6)であり、いずれもAS群に比べ有意に増悪していた(臨床的に意味のある差はRP群のみ)。 これ以外に、3ヵ月時の平均スコアが、AS群に比べ臨床的に意味のある差をもって有意に増悪したのは、EBR群とBT群の尿路閉塞・刺激(それぞれ、AS群との差:11.7点、95%CI:8.7~14.8、20.5点、15.1~25.9)、RP群の尿失禁(33.6点、27.8~39.2)、EBR群の腸障害(4.9点、2.4~7.4)であった。 12ヵ月時の平均スコアが、AS群に比べ臨床的に意味のある差をもって有意に増悪していたのは、RP群の性機能障害(AS群との差:27.6点、95%CI:21.8~33.4)と尿失禁(18.2点、12.9~23.5)で、24ヵ月時にはRP群の尿失禁(15.4点、8.9~21.9)のみとなり、性機能障害(17.1点、10.9~23.3)については、有意差はあるものの臨床的に意味のある差はなくなっていた。 著者は、「これらの知見は、患者の好みに基づく治療法の決定の推進に使用できると考えられる」としている。

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PCSK9活性を長期的に低下させる夢のような薬が現実に!(解説:平山 篤志 氏)-662

 スタチンを服用していても十分なLDL-コレステロール低下効果がみられない一因として、PCSK9活性の亢進が原因であることが明らかにされ、PCSK9阻害薬としてモノクローナル抗体が薬剤として使用されるようになった。 この薬剤の1つであるエボロクマブを用いたFOURIER試験が発表され、心血管イベントを有意に低下させることと、安全性が担保されたことで、一気にLDL-コレステロール値の70mg/dLを超えることが求められるようになった。これらの薬剤は抗体であることで、2週あるいは4週に1回の投与での治療が可能になった。しかし、InclisiranはPCSK9の合成を抑制するRNA製剤で、投与後180日間のPCSK9活性の低下とLDL-コレステロール低下作用が明らかにされた薬剤である。今回は、このInclisiranの投与量と投与法の有効性を検討した試験である。 300mg、500mgのInclisiranの1回投与で、180日後のLDL-コレステロールはそれぞれ平均38.4%、41.9%の低下を認めた。さらに、300mgを初回と90日後に投与することで、LDL-コレステロールが180日後で52.6%の低下(平均LDL-Cレベル64.2mg/dLの低下)、240日後でもその低下効果(平均LDL-Cレベル58.9mg/dLの低下)が維持されることが明らかになった。また、対照群と比較しても重大な副作用は認められなかった。 わずか2回の注射で長期的なLDL-コレステロール低下効果がみられた。今回発表されたFOURIER試験の結果を考えても、Inclisiranによって長期間持続的にLDL-コレステロールを低下させることができれば、心血管イベント低下をリアルワールドでも実現できるようになるであろう。まさしく、夢のような薬剤が現実になった思いがする一方で、核酸医薬品が承認されるのか? 価格は? など、多くのことを考えていかねばならないだろう。

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