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米国内科専門医試験、出題内容と実臨床の一致率は約7割/JAMA

 米国で内科医の資格を得るには、米国内科試験委員会(American Board of Internal Medicine:ABIM)の認定資格維持(Maintenance of Certification:MOC)試験に合格することが必須である。その出題内容について、実際に内科医が遭遇する割合は、およそ7割であることが、米国・ABIMのBradley Gray氏らが行った検討で明らかにされた。結果について著者は、「現行の内科(IM)-MOC試験内容は、実際の診療内容を反映した妥当なものと言えるが、31%の設問が実態と合致しておらず、この点については改善の余地がある」とまとめている。JAMA誌2017年6月13日号掲載の報告。全米外来診療調査と全米退院調査を基に、実際の診療内容を調査 研究グループは、2010~13年のIM-MOC試験の内容について、出題された設問のうち、糖尿病、虚血性心疾患、肝臓病といった186カテゴリーの病状に関するものが、実際の外来・入院患者の診療において内科医が遭遇する状況と、どの程度合致するのかを検証した。 全米の状況を反映する一般内科の診療内容については、2010~13年の全米外来診療調査(National Ambulatory Medical Care Surveys)の1万3,832件の主診断と、2010年の全米退院調査(National Hospital Discharge Survey)の10万8,472件の主診断を活用した。 IM-MOC試験に出題された病状のうち、一般内科医が実際に遭遇した病状との一致率を算出した。外来診療のみでは約6割、入院診療のみでは約4割の一致 2010~13年のIM-MOC試験で出題された問題数は合計3,600題だった。そのうち、186の病状カテゴリーに関連した設問は3,461題(96.1%)だった。症状カテゴリー当たりの平均設問数は18.6題。 出題された3,461題のうち、実際の外来・入院患者の診療内容と一致したのは2,389題(158病状カテゴリー)だった(69.0%、95%信頼区間[CI]:67.5~70.6)。 個別にみると、外来診療のみでは、実際の診療内容と一致したのは2,010題(145病状カテゴリー)で一致率は58.08%(95%CI:56.43~59.72)。入院診療のみでは1,456題(122病状カテゴリー)で一致率は42.07%(同:40.42~43.71)だった。

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肥満高齢者に対するダイエット+(有酸素運動+筋トレ)併用療法はフレイル防止に有効 ?(解説:島田 俊夫 氏)-689

 肥満治療をダイエットのみで行えば高齢者では筋肉、骨量の減少を加速し、サルコペニア、オステオペニアが生じやすい。肥満は一般集団では多数の疾患の危険因子となる1)一方で、高齢者では肥満パラドックス2)が注目を浴びている。それゆえ過度な減量を避け、食事・運動療法を適宜組み合わせ、体力・筋力温存維持に努めることが健康寿命の延長につながる。本研究はDennis T. Villareal氏らによるNEJM誌2017年5月18日号に掲載された、高齢者肥満治療の重要ポイントを指摘した興味深い論文である。方法:160人の肥満高齢者を対象とした臨床試験で、体重減量により生じるフレイルや筋肉・骨量の減少を防ぐために複数の運動モデルの効果が試された。参加者は4群からなり、体重調整プログラム3群([1]有酸素運動プログラム、[2]筋肉トレーニング・プログラム、[3]両者の併用プログラム)と、コントロール群(ダイエット、運動療法なし)に無作為に割り付けた。 主要評価項目はベースラインから6ヵ月間の身体機能検査スコアの変化(スコア範囲:0~36、高スコアはより良好な機能を示す)、副次評価項目は他のフレイル尺度、身体成分、骨密度、身体機能の変化とした。結果:全体で141人(88%)が研究を完遂した。身体スコアは、有酸素運動群(29.3から33.2点に)、筋トレ単独群(28.8から32.7点に)ともに14%増加した。併用群は21%(27.9から33.4点に)と大幅に増加した(いずれもボンフェローニ補正後、p=0.01およびp=0.02)。同スコアは運動実施群すべてで対照群よりも大幅に増加した(いずれの群間比較においてp<0.001)。最大酸素消費量(mL/kg/分)は併用群17%(17.2から20.3に)、有酸素運動群18%(17.6から20.9に)で、筋トレ群8%(17.0から18.3に)に比べ大幅に増加した(両方ともp<0.001)。筋力は有酸素運動単独群で4%(265から270kgに)と小幅な増加にとどまったが、併用療法群18%(272から320kgに)、筋トレ群19%(288から337kgに)はともに大幅に増加した(両方の比較に対してp<0.001)。体重はすべての運動実施群で9%減少したが、対照群では有意な体重変化はなかった。股関節骨密度(g/cm2)も同様に、併用療法群1%(1.010から0.996に)、筋トレ群0.5%(1.047から1.041に)と両群で減少するも、有酸素運動群の3%(1.018から0.991に)と比較し減少の程度は軽かった。また、除脂肪体重も併用療法群3%(56.5から54.8kgに)、筋トレ群2%(58.1から57.1kgに)と両群で減少したが、有酸素運動群5%(55.0から52.3kgに)の減少と比べ、わずかな減少にとどまった(すべての比較に対してp<0.05)。 運動に関連した有害事象は筋・骨格障害などが報告された。コメント:本論文でダイエット+(有酸素運動+筋トレ)併用運動療法群が高齢肥満者のダイエット単独治療の問題点であるサルコペニアやオステオペニアを防止しながら適切な肥満是正可能な治療法だと報告した。著者の結論に賛同したいが症例数が少なく、症例の偏りもあり結論を一般化するには症例の蓄積が必要と考える。また、高齢者では潜在的心疾患患者が含まれる可能性も高く、運動療法中の事故を回避するため治療前リスク評価は必要不可欠である。日常生活に今回の結論をうまく取り入れれば高齢者を脅かす認知障害、フレイルを含む生活習慣病対策になるかもしれない。 ■参考1)Calle EE, et al. N Engl J Med. 1999;341:1097-1105.2)Oreopoulos A, et al. Clin Geriatr Med. 2009;25:643-659.

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DASHダイエットは、痛風・高尿酸血症にも有効な「長生きダイエット」!(解説:石上 友章 氏)-688

 高血圧は、生活習慣病の代表的な疾患であり、重要な心血管リスクである。本邦では4,000万人が罹患している、国民病といっていい疾患である。生活習慣病というくらいなので、実のところ適切な生活習慣を守れば、血圧を上げることもなく、医師や降圧薬の厄介になる必要もなくなる可能性がある。医療費が増え続けるといっても、その源が、日々の乱れた食生活にあるのであれば、国をあげて節制すれば、医療費も節約できるはずだ。 こうした考えで、米国保健福祉省の国立衛生研究所に属する国立心肺血液研究所(NHLBI)が、高血圧を予防し治療するために推奨している食事療法が、DASHダイエットである。DASHダイエットのDASHは、Dietary Approaches to Stop Hypertensionの頭文字からとられているように、「高血圧」対策のための食事療法である。DASH食の中身は、果物、野菜、ナッツ・豆類、低脂肪乳製品、全粒穀類を多く摂取し、塩分、砂糖などで甘くした飲料、赤身や加工肉の摂取を抑えた食事で、とくにレシピの指定はなく、食材を選択することが勧められている1)。 米国・マサチューセッツ総合病院のSharan K. Rai氏らは、2017年5月9日号のBMJ誌に掲載した論文で、DASHダイエットが、高血圧のみならず、痛風・高尿酸血症の抑制にも効果があることを報告している。健康な生活を送る秘訣は、食生活にあった。この当たり前のようにもみえる研究は、実に26年間もの長期にわたる観察研究の成果である。26年間、1年おきに律儀にアンケート調査に答えた44,444人の参加者(男性の医療関係者)に、深甚なる敬意を表したい。 稲作や、牧畜が人類にもたらした恩恵は、計り知れない。定住と、食の供給を安定させることで、今日の人類の繁栄の礎となったのは、間違いない。しかし、より健康に、より長く生きて過ごしたいのであれば、穀類の精製をやめ、狩猟採集民の食生活に合わせることが必要らしい。直近のBMJ誌で、高尿酸血症が、腎結石と痛風以外に確実なヘルスケアアウトカムには影響を与えなかったと報告されている2)。両論文を合わせてご覧になると、理解が深まるかもしれません。

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「夏場に太りやすい」という患者さん【Dr. 坂根の糖尿病外来NGワード】第6回

■外来NGワード「夏場は少しくらい痩せるものですよ」「普通、冬に体重は増えるものですよ」「冷たいものばかり、飲んでいるからじゃないですか!」「家の中で何か運動しなさい!」■解説 一昔前は「冬になると太るが、夏になると痩せる」と言われていましたが、最近では「夏場に太る」という患者さんも出てきました。その原因として、暑さのためにビールなどのアルコール飲料やジュース類の摂取が増えること、運動不足になることが、容易に想像できます。そのほかの原因としては、食生活の変化が考えられます。そうめん、冷ややっこ、スイカなど、あっさりとしているようで意外と高カロリーな食品の摂り過ぎです。以前は夏バテしている人も多かったのですが、元気な人は夏になっても食欲が落ちません。まずは、「夏に強い」ことを褒めてあげたいものですね。また、最高気温が27℃以上になるとアイスクリームがよく売れると言われていますが、寝る前にアイスクリームを食べる習慣の患者さんがいます。内臓脂肪の蓄積には、アイスクリームやジュースの多食多飲が関係しているとの報告もあります。患者さんの夏場の食生活を確認した後で、夏場の体重増加予防対策を、患者さんと一緒に立てることができるようになるといいですね。 ■患者さんとの会話でロールプレイ医師検査結果が少し悪くなってきたようですね患者やっぱり…夏になると体重が増えてきて…。医師なるほど。この暑さで夏バテする人も多いですが、暑くても何でも食べることができるのは元気な証拠ですね(ポジティブに対応)。患者ハハハ。けど、この体重を何とかしないと…。医師そうですね。夏場に太りやすい人には特徴があるんですよ(前置きをする)。患者それはどんな特徴ですか?(興味津々)医師普段と比べて、食べるものが変わります。それも特徴的なものがあるんです。患者とくに変わっていないと思うんですけど…(気付いていない発言)。医師なるほど。暑くなると、食べたくなるものはありませんか?患者そうですね。暑いのであっさりしたものが欲しくなりますね。そうめんとか。医師そうめんは、のどごしも良いので食べ過ぎてしまいますね。患者家族にも人気ですし、簡単に作れるので、昼に2~3束食べることがあります。医師そうめんは4/5束でごはん1杯くらいのカロリーがあります(ご飯に換算)。そうすると、ご飯2~3杯くらいになるかもしれませんね。患者えっ、そんなにあるんですか(驚きの声)。食べ過ぎですね(気付きの言葉)。ほかにも気を付けたほうがいいものはありますか?医師あっさりしているのに、意外とカロリーが高いものは要注意です!患者それは何ですか?医師たとえば、冷ややっこやスイカ、それに入浴後につい食べたくなるアイスにも要注意ですね。患者あと、ビールですね。いつもより1缶増えています。夏に太る原因がよくわかりました。これからは気を付けます(うれしそうな顔)。■医師へのお勧めの言葉「夏場に太りやすい人には特徴があるんですよ」

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アビラテロンの早期追加でホルモン未治療前立腺がんの予後改善/NEJM

 局所進行・転移性前立腺がんの治療において、アンドロゲン除去療法(ADT)にアビラテロン酢酸エステル(商品名:ザイティガ)(以下、アビラテロン)+プレドニゾロンを併用すると、ADT単独に比べ全生存(OS)率および治療奏効維持生存(failure-free survival:FFS)率が有意に改善することが、英国・バーミンガム大学のNicholas D. James氏らが行ったSTAMPEDE試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2017年6月3日号に掲載された。アビラテロン+プレドニゾロンの早期併用の有効性を検討 アビラテロンは、精巣や副腎、前立腺の腫瘍組織におけるアンドロゲンの産生に重要な役割を担う酵素であるCYP17を選択的かつ不可逆的に阻害する。CYP17の阻害とADT(精巣摘除術、GnRHアゴニスト、GnRHアンタゴニスト)の併用は、外科的去勢術単独やGnRHアナログ単独よりも効果的にアンドロゲンを除去するという。 研究グループは、長期ADTを開始した男性におけるアビラテロン+プレドニゾロンの早期併用の有効性を検討した(英国がん研究所などの助成による)。 対象は、新規に診断された転移性、リンパ節転移陽性、高リスク局所進行性の前立腺がん患者、または根治的前立腺摘除術あるいは放射線療法後に再発した高リスク病変を有する前立腺がん患者であり、割り付け前の12週以内に長期ADTの開始が予定されている者とした。 被験者は、ADTにアビラテロン(1,000mg/日)+プレドニゾロン(5mg/日)を併用する群(アビラテロン併用群)またはADT単独群に1対1の割合で無作為に割り付けられた。ADTは2年以上行うこととし、非転移性病変の患者のうちリンパ節転移陰性例は放射線治療を必須とし、陽性例には奨励とした。アビラテロン併用群に960例、単独群に957例 転移性病変および放射線治療が予定されていない非転移性病変の患者は、画像評価・臨床評価・前立腺特異抗原(PSA)で病勢進行と判定されるまで治療を継続し、放射線治療が予定されている非転移性病変の患者は、2年間または病勢進行のいずれかまで治療が継続された。 主要評価項目はOS率、中間的主要評価項目はFFS(初回治療不成功[treatment failure]までの期間)であった。治療不成功は、PSAで評価した生化学的治療不成功、局所・リンパ節・遠隔転移病変の進行、前立腺がん死と定義した。 2011年11月~2014年1月に、英国の111施設とスイスの5施設に1,917例が登録され、アビラテロン併用群に960例が、単独群には957例が割り付けられた。 ベースラインの全体の年齢中央値は67歳、PSA中央値は53ng/mLであった。転移性病変が52%、リンパ節転移が陽性または不明の非転移性病変が20%、リンパ節転移陰性の非転移性病変が28%で、95%が新規に診断された患者であった。フォローアップ期間中央値は40ヵ月だった。アビラテロン併用群の3年OS率は有意に優れた アビラテロン併用群の184例、単独群の262例が死亡した。3年OS率はそれぞれ83%、76%であり、アビラテロン併用群が有意に優れた(ハザード比[HR]:0.63、95%信頼区間[CI]:0.52~0.76、p<0.001)。また、転移性病変(0.61、0.49~0.75)では、アビラテロン併用群のOS率が有意に良好であったが、非転移性病変(0.75、0.48~1.18)では両群に差はみられなかった。 アビラテロン併用群で248件、単独群で535件の治療不成功イベントが発生した。3年FFS率はそれぞれ75%、45%であり、アビラテロン併用群が有意に良好であった(HR:0.29、95%CI:0.25~0.34、p<0.001)。また、転移性病変(0.31、0.26~0.37)および非転移性病変(0.21、0.15~0.31)のいずれにおいても、アビラテロン併用群のFFS率が有意に優れた。 3年無増悪生存(PFS)率は、アビラテロン併用群が80%、単独群は62%(HR:0.40、95%CI:0.34~0.47、p<0.001)、3年時に症候性骨関連事象(SSE)がみられない患者の割合は、それぞれ88%、78%(0.46、0.37~0.58、p<0.001)であり、いずれもアビラテロン併用群が有意に優れた。 Grade 3~5の有害事象は、アビラテロン併用群の47%(Grade 5は9例)、単独群の33%(Grade 5は3例)に認められた。内訳は、内分泌障害がそれぞれ14%、14%、心血管障害が10%、4%、筋骨格系障害が7%、5%、肝障害が7%、1%、消化器障害が5%、4%などであった。 なお、本研究にはmultigroup, multistage(multiarm, multistage[MAMS]ともいう) platform designと呼ばれる試験デザインが用いられた。著者は、「単一の試験プラットフォーム内で多数の課題への取り組みが可能であり、対照群を効率的に活用できる。15年で、1つのプロトコルによって10以上の主要課題への答えが得られる予定である」としている。

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緑内障手術、線維柱帯切除術 vs.低侵襲ステント留置

 近年、緑内障手術ではステント状のデバイスを埋め込む低侵襲の手術が注目され、海外ではさまざまなデバイスが開発されている。カナダ・トロント大学のMatthew B. Schlenker氏らは、ab interno(眼の内側からの)ゼラチンマイクロステント留置の有効性および安全性について、線維柱帯切除術と比較する国際多施設後ろ向き介入コホート研究を行い、両者の間で失敗のリスクや安全性プロファイルに大きな差はないことを明らかにした。Ophthalmology誌オンライン版2017年6月7日号掲載の報告。 研究グループは、2011年1月1日~2015年7月31日の間に、カナダ・トロント、ドイツ・フランクフルト、オーストリア・ザルツブルグ、ベルギー・ルーヴェンの4つの大学病院において、マイトマイシンC併用ab internoゼラチンマイクロステント留置、またはマイトマイシンC併用線維柱帯切除術を受けた、過去に切開手術の既往歴のないコントロール不良の緑内障患者連続症例354眼293例(マイクロステント185例、線維柱帯切除術169例)について、解析した。 主要評価項目は、失敗のハザード比(HR:失敗は、2回の連続した測定で眼圧低下<6mmHg、視力障害を伴う、と定義)、またはクリニックでの穿刺を含む介入にもかかわらず、手術後1ヵ月以上の時点で薬物療法を行うことなく眼圧>17mmHg(完全成功)の割合であった。副次評価項目は、眼圧閾値が6~14mmHg、6~21mmHgまたは薬物療法を受けた場合と同じ値(条件付き成功)の割合、介入、合併症、そして再手術率とした。 主な結果は以下のとおり。・マイクロステント群で、男性が多く(56% vs.43%)、年齢が若く(平均年齢-3歳)、術前視力が良好で(0.4logMAR以下の割合が22% vs.32%)、線維柱帯形成術の割合が多かった(52% vs.30%)が、ベースラインにおけるそれ以外の患者背景は類似していた。・マイクロステント失敗の線維柱帯切除術に対する補正HRは、完全成功に関して1.2(95%信頼区間[CI]:0.7~2.0)、条件付き成功に関して1.3(95%CI:0.6~2.8)、その他の評価項目に関しては類似していた。・25%失敗までの時間は、完全な成功に関してマイクロステントで11.2ヵ月(95%CI:6.9~16.1)、線維柱帯切除術で10.6ヵ月(95%CI:6.8~16.2ヵ月)、条件付き成功に関して、それぞれ30.3ヵ月(95%CI:19.0~未到達)と33.3ヵ月(95%CI:25.7~46.2ヵ月)であった。・概して、白人には失敗のリスク減少との関連があり(補正HR:0.49、95%CI:0.25~0.96)、糖尿病は失敗のリスク増加と関連していた(補正HR:4.21、95%CI:2.10~8.45)。・マイクロステントと線維柱帯切除術で、介入がそれぞれ114件および162件、穿刺施行が43%および31%あり、線維柱帯切除術眼の50%はレーザー縫合糸切離を受けた。・合併症は、それぞれ22件および30件認められたが、ほとんどは一過性であった。・再手術率は、それぞれ10%および5%であった(p=0.11)。

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CANVAS Program が示した1つの回答

 2017年6月23日、都内にて「Diabetes Update Seminar~糖尿病治療における脳・心血管イベントに関する最新研究~」と題するセミナーが開かれた(主催:田辺三菱製薬株式会社)。 演者である稲垣 暢也氏(京都大学大学院医学研究科 糖尿病・内分泌・栄養内科学 教授)は、ADAにて発表されたCANVAS Programの結果を受け、「SGLT2阻害薬の脳・心血管イベントに対する有効性が、クラスエフェクトである可能性が高まった」と述べた。 以下、セミナーの内容を記載する。EMPA-REG OUTCOMEが残した臨床的疑問 糖尿病患者の脳・心血管イベント発症リスクは、高いことが知られている。Steno-2研究により血糖値だけではなく、血圧、脂質といった包括的なリスクを管理する重要性が示されているが、3つの検査値すべてが目標値まで管理されている患者は20.8%1)との報告もあり、リスク管理は困難なのが実情だ。糖尿病治療におけるイベント抑制は、継続的課題であった。 そんな中、EMPA-REG OUTCOMEが発表され、SGLT2阻害薬による脳・心血管イベント抑制作用に大きな注目が集まった。一方で、「EMPA-REG OUTCOMEでのイベント抑制作用がエンパグリフロジン独自の作用なのか、それともSGLT2阻害薬によるクラスエフェクトなのか」といった臨床的疑問は残されたままであった。CANVAS Program による1つの回答 CANVAS Programは、この疑問に1つの回答を出した。 6月12日、ADAでCANVAS Programの結果が発表され、SGLT2阻害薬カナグリフロジンが脳・心血管イベント発症リスクを低減させる2)ことが示された。CANVAS Programは、30ヵ国、心血管疾患リスクが高い2型糖尿病の患者1万142例を対象にした、2つのプラセボ対照無作為化比較試験「CANVAS」「CANVAS-R」の統合解析プログラムである。 基本とする患者背景はEMPA-REG OUTCOMEと同様だが、大きな違いとして、CANVAS Programには脳・心血管疾患の既往のない患者が3分の1ほど含まれている。 CANVAS Programは被験者を無作為に2群に割り付け、カナグリフロジン(100~300mg/日)またはプラセボをそれぞれ投与し、平均188.2週間追跡した。主要評価項目は、MACE(脳・心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中)の発症リスクであった。 この結果、SGLT2阻害薬カナグリフロジンの投与は、主要評価項目の心血管リスクを約14%と有意に低減した。演者の稲垣氏は、EMPA-REG OUTCOMEでCANVAS Programと同様の試験結果が示されていることを受け、「脳・心血管イベントに対する有効性は、SGLT2阻害薬によるクラスエフェクトである可能性が高まった」と述べた。安全性に関する継続的な検証が必要 安全性についてCANVAS Programでは、カナグリフロジン投与により、性器感染症などの既知のSGLT2阻害薬による有害事象の増加が認められたほか、下肢切断リスクを2倍程度増加させることが明らかにされた。重回帰分析の結果、下肢切断リスクは、下肢切断既往、末梢循環疾患既往、男性、神経障害、HbA1c>8%といった因子で高まることから、リスクが高い患者では予防的フットケアなどが求められる。なお、下肢切断リスク増加のメカニズムは不明で、これがクラスエフェクトかドラッグエフェクトかは現時点では判断できない。日本国内における糖尿病足潰瘍の年間切断率は0.05%であり、欧米とアジア人との発生率の違いも含め、今後さらなる解析が待たれる。腎保護作用とSGLT2阻害薬 興味深いことに、CANVAS ProgramとEMPA-REG OUTCOMEの脳・心血管複合イベントリスクの低下率は14%と同じ数値が示されている。SGLT2阻害薬は、尿糖やナトリウムの排泄を促すことで腎保護作用を高める。腎保護作用は脳・心血管イベント抑制にも好影響をもたらすと期待されることから、SGLT2阻害薬による腎保護作用の可能性については、さらなる検証が必要といえるだろう。 カナグリフロジンでは、糖尿病性腎症の進行抑制を期待した国際共同試験「CREDENCE試験」も開始されている。演者の稲垣氏は、「透析患者は増え続けている。進行中のCREDENCE試験の結果にも期待したい」と述べ、講演を終えた。

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うつ病患者へのベンゾジアゼピン併用、リスクとベネフィットは

 ベンゾジアゼピン(BZD)は、うつ病患者に対し、より早期に抑うつ症状を改善したい場合や不安症状を軽減したい場合に短期間用いられ、抗うつ薬治療の継続を改善する。しかし、ベンゾジアゼピンは、数週間の使用でも依存性を含むリスクと関連している。米国・ノースカロライナ大学チャペルヒル校のGreta A. Bushnell氏らは、抗うつ薬とベンゾジアゼピンの併用の傾向を調査するため、抗うつ薬を服用しているうつ病成人を対象に、併用期間の評価、長期ベンゾジアゼピン使用の推定および、その決定要因の検討を行った。JAMA psychiatry誌オンライン版2017年6月7日号の報告。うつ病患者のベンゾジアゼピン併用処方には慎重な検討が必要 このコホート研究には、US commercial claims databaseを用いた。2001年1月~2014年12月に抗うつ薬療法を開始した成人うつ病患者(18~64歳)のうち、診断の前年に抗うつ薬またはベンゾジアゼピンを使用していなかった患者を対象とした。併用処方の定義は、新規抗うつ薬処方と同日に新規ベンゾジアゼピンの処方を行った場合とした。主要アウトカムは、抗うつ薬とベンゾジアゼピンの併用処方率および併用期間の6ヵ月継続率とした。 うつ病患者の抗うつ薬とベンゾジアゼピンの併用の傾向を調査した主な結果は以下のとおり。・抗うつ薬治療を開始した成人うつ病患者76万5,130例(年齢中央値:39歳、四分位範囲:29~49歳、女性:50万7,451例[66.3%])のうち、ベンゾジアゼピンの併用処方を行った患者は、8万1,020例(10.6%)であった。・2001~14年までの併用処方開始率の平均年増加率は、0.49%であった(95%CI:0.47~0.51%)。2001年の6.1%(95%CI:5.5~6.6%)から、2012年には12.5%(95%CI:12.3~12.7%)と増加したが、2014年は11.3%(95%CI:11.1~11.5%)と落ち着いていた。・同様の所見は、年齢層および医師のタイプによって明らかであった。・抗うつ薬治療期間は、併用処方患者と非併用処方患者で同様であった。・併用処方患者のうち、12.3%(95%CI:12.0~12.5%)は長期間ベンゾジアゼピンを使用していた(64.0%は初期に中止)。・長期ベンゾジアゼピン使用の決定要因は、ベンゾジアゼピン初期投与の長さ、長時間作用型ベンゾジアゼピンを初回に処方、最近のオピオイド処方であった。 著者らは「抗うつ薬治療を開始したうつ病患者では、10人に1人の割合でベンゾジアゼピン併用処方を行っていた。6ヵ月後の抗うつ薬治療に、有意な差は認められなかった。ベンゾジアゼピンに関連するリスクを考えると、抗うつ薬治療開始時のベンゾジアゼピン併用処方には、慎重な検討が必要である」としている。■関連記事ベンゾジアゼピンと認知症リスク~メタ解析うつ病患者のベンゾジアゼピン使用、ミルタザピン使用で減少:千葉大ベンゾジアゼピン系薬の中止戦略、ベストな方法は

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遺伝性血管性浮腫〔HAE:Hereditary angioedema〕

1 疾患概要■ 概念・定義遺伝性血管性浮腫(HAE)は、顔面や四肢、腸管や喉頭など全身のさまざまな部位に突発性、一過性の浮腫を生じる遺伝性疾患である。気道閉塞や激烈な腹痛を生じて重篤になりうるため希少疾患ではあるが見逃してはならない。従来、C1インヒビター(C1-INH)遺伝子異常によるHAE I型、II型が知られていたが、2000年にC1-INH遺伝子に異常を認めないHAE with normal C1-INH(HAEnC1-INHあるいはHAE III型)が報告された。HAEは常染色体優性遺伝形式をとるが、HAE III型では浸透率が低く、しかも発症するのはほとんど女性である。またHAE I/II型では家族歴のない孤発例も25%で認められる。孤発例はde novoの遺伝子異常症である1)。HAEにみられる突発性浮腫の本態は、これらの遺伝子異常の結果、産生が亢進したブラジキニンなどの炎症メディエーターによって血管透過性が亢進することがある。古くから知られた疾患であるがまれな疾患であり、気付かれにくく診断に難渋することが多い。2010年に「遺伝性血管性浮腫ガイドライン2010」が補体研究会(現 一般社団法人 日本補体学会)から発表され2)、2014年に改訂された3)。HAEの診断、鑑別、症状別の治療方針について系統的に記載されたわが国で初めてのガイドラインである。■ 疫学HAE I/II型は人種を問わず5万人に1人とする報告が多い。HAE III型は10万人に1人程度と考えられている。いずれもすべての人種で報告されている。■ 病因HAEはその病因から3つの型に分類される。I型常染色体優性の遺伝形式をとり、C1-INHの活性、タンパク量ともに低下している。HAE全体の約85%を占める。II型常染色体優性の遺伝形式をとり、C1-INHの活性中心のアミノ酸変異による機能異常である。C1-INH活性は低下するが、タンパク量は低下しない。HAEの約15%を占める。III型遺伝性であるがほとんど女性に発症する。病態の詳細は不明であるが、一部の症例に凝固XII因子の変異を認める。C1-INHの活性、タンパク量ともに正常である。HAEのほとんどを占めるI型、II型の原因は、遺伝子変異によるC1-INHの機能低下である。I型、II型ならびにIII型の中で凝固XII因子の変異がある場合は、最終的にブラジキニンの産生が亢進する。その結果、血管透過性が亢進し、血管外に水分が漏出、貯留して浮腫が生じるが、この浮腫は数日で消失する。III型で凝固XII因子の異常を認めない場合の病因は不明である。■ 症状24時間で最大となり数日で自然に消褪する発作を繰り返す。10~20歳代に初発することが多い。I~III型まで報告されているHAEの特徴を、表に示す4)。いずれの病型も発現する症状はほぼ同じである。風邪、外傷、歯科治療、精神的ストレス、疲労などが誘因になりやすいが、何の誘因もない症例も多い。浮腫発作がないときには、健康人と何ら変わりはない。画像を拡大する1)皮膚症状眼瞼、口唇、四肢に発作性に浮腫を生じやすいが、ほかにもあらゆる場所に生じうる。浮腫を起こした皮膚表面は、赤みをごく軽度に帯びることはあっても蕁麻疹などのように明瞭な皮疹は伴わない。発作初期に罹患部がピリピリすることはあるが痛みやかゆみはない。2)消化器症状嘔気、嘔吐、下痢、腹痛などがあるが、なかでも腹痛は激烈である。炎症性疾患とは異なり、筋性防御はなく腹部エコーやCT所見で浮腫を認める。3)喉頭浮腫嚥下困難、喉の詰まり感、嗄声や声が出ないなどの声の変化、息苦しさを呈するが、進行すると呼吸困難、窒息になる。■ 予後喉頭浮腫を生じているにもかかわらず、適切に治療されなかった場合の致死率は30%とされる。その他の症候は予後良好である。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 診断基準1)突発性の浮腫2)補体C4の低下、C1-INH活性の低下3)家族歴以上の3つがあればHAE I型あるいはII型(HAE I/II型)と診断できる。C1-INHタンパク質量が低下していればHAE I型、正常または増加していればHAE II型である。1)と3)のみの場合、HAE III型と診断しうる。1)と2)のみの場合HAE I/II型の孤発例か後天性血管性浮腫である。血清C1qタンパク質定量(保険適用外)が低値であれば後天性とされているが、HAEの場合でも低値を示すことがある。4)確定診断のためには遺伝子解析が有用である。確定診断のためにはC1-INH遺伝子(SERPING1)異常の同定が望ましい。HAE III型の一部では凝固XII因子遺伝子異常が報告されているが、わが国での報告はない。HAE III型は今後の研究の進展に伴って疾患概念が変化する可能性がある。5)診断の参考となるアルゴリズムを提示する(図)1)。画像を拡大する■ 検査1)HAEを疑った際にはまず補体C4濃度を測定する。発作時には100%、発作がないときでも98%の検体で基準値を下回る。2)C1-INH活性は発作時であるか否かにかかわらず50%未満となるため診断に最も有用である。保険適用である。3)C1-INHタンパク質定量はHAE I型、II型を区別する場合に施行するが、保険適用ではない。4)HAE I/II型ではSERPING1遺伝子のヘテロ変異を認める。5)HAE III型の一部には凝固XII因子の遺伝子異常を認めるが、それ以外には診断に役立つ検査はない。■ 鑑別診断突発性浮腫を呈するほかの疾患との鑑別が重要である。1)アレルギー性血管性浮腫蕁麻疹を伴い、原因はペニシリンなどの薬剤や卵、小麦などの食物、化学物質に対するIgEを介したアレルギー機序である。2)後天性血管性浮腫思春期発症が多いHAEと異なり40歳以降に初発することが多い。悪性腫瘍、自己免疫によるC1-INHの消費が原因である。3)非アレルギー性薬剤性血管性浮腫アスピリンや非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)では、COX阻害により浮腫を生じる。ACE阻害薬内服患者の0.1~0.5%に生じるとされる。4)物理的刺激による血管性浮腫温熱、寒冷、振動、日光曝露などの物理的刺激で生じる。5)好酸球増多を伴う好酸球性血管性浮腫末梢血の好酸球増多、繰り返す浮腫と発熱、蕁麻疹、体重増加とIgM増加を伴う。まれ。6)特発性浮腫原因不明である。血管性浮腫の半数近くを占め、最も頻度が高い。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)発作出現時の治療と発作の予防の2つに分けられる。1)発作時の治療世界的にはC1-INH製剤、ブラジキニンB2受容体拮抗薬、カリクレイン阻害薬の3系統が存在するが、わが国では2017年6月現在ヒト血漿由来C1-INH製剤である乾燥濃縮人C1インアクチベーター製剤(商品名:ベリナートP静注)のみ保険適用である。顔面、頸部、喉頭、腹部の発作には積極的に投与する。2)短期予防あらかじめ処置や手術がわかっているときの発作予防である。ベリナートPが1990年にわが国で承認されて以来、効能・効果は「遺伝性血管性浮腫の急性発作」のみであった。しかしながら、侵襲を伴う処置に対する発作予防の必要性が認められ、2017年3月ベリナートPの効能・効果に「侵襲を伴う処置による遺伝性血管性浮腫の急性発作の発症抑制」が追加された。(1)歯科治療(侵襲が小さい場合)C1-INH製剤の準備のうえならば予防投与は必要ない。(2)歯科治療(侵襲が大きい場合)、外科手術などの大ストレス時手術の1時間前にC1-INH製剤の補充を行う。3)長期予防1ヵ月に1回以上あるいは1ヵ月に5日以上の発作がある場合、または喉頭浮腫の既往がある場合には、次の治療を検討する。(1)トラネキサム酸(同:トランサミン)30~50mg/kg/日を1日2~3回に分けて服用する。そのほか、長期の発作予防には抗プラスミン作用を期待してトラネキサム酸が用いられるが、効果は限定的である。(2)ダナゾール(同:ボンゾール)蛋白同化ホルモンであるダナゾールも用いられる。2.5mg/kg/日(最大200mg/日)を1ヵ月、もし無効ならば300mgを1ヵ月、さらに無効ならば400mg/日を1ヵ月投与する。有効であれば、その後1ヵ月ごとに半量に軽減し50mg/日連日か100mg/日隔日まで減量する。副作用として肝障害、高血糖、多毛、男性化には注意が必要である。ただし保険適用はない。(3)C1-INH製剤(C1エステラーゼ阻害剤)欧米ではヒト血漿由来のCinryzeの予防投与(週2回、静注)が認められているが、わが国では未承認である。4 今後の展望HAEの早期発見、早期治療のためには、関連診療科医師へのさらなる啓発活動が重要である。また、HAEのような希少疾患では、1人でも多くの患者情報を正確に収集し、病態の把握や診断基準の作成に役立てる必要がある。欧米では、すでにいくつかの登録システムが稼働しているように、わが国においても患者レジストリーの構築が不可欠である。現在、NPO法人 血管性浮腫情報センターと、一般社団法人 日本補体学会の協力をもとにレジストリーの構築が進められている。薬剤治療法については、従来から存在するヒト血漿由来C1-INH製剤に加えて、最近の10年間で遺伝子組換えヒトC1-INH製剤、ブラジキニンB2受容体拮抗薬、カリクレイン阻害薬が次々と登場してきた。わが国ではヒト血漿由来C1-INH製剤ベリナートPのみがHAEへの保険適用を認められているに過ぎないが、これらの薬剤のHAEへの承認へ向けた臨床試験が進められている。とくに新しい経口のHAE治療薬開発の進展が期待されている。5 主たる診療科内科、皮膚科、耳鼻咽喉科、小児科、救命救急科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報NPO法人 血管性浮腫情報センター(CREATE)(医療従事者向けのまとまった情報)一般社団法人 日本補体学会HAEサイト(医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報HAE患者会「くみーむ」(HAE患者と家族への情報)その他の情報腫れ・腹痛ナビ(医療従事者向け)腫れ・腹痛ナビ(患者さん向け)1)堀内孝彦. 遺伝性血管性浮腫(HAE). In:日本免疫不全症研究会編. 原発性免疫不全症候群 診療の手引き. 診断と治療社; 2017.p.130-135.2)Horiuchi T, et al. Allergol Int. 2012;61:559-562.3)堀内孝彦ほか. 補体. 2014;52:24-30.4)堀内孝彦. 医学のあゆみ. 2016;258:861-866.公開履歴初回2017年6月27日

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2017年度認定内科医試験、直前対策ダイジェスト(後編)

【第1回】~【第6回】は こちら【第7回 消化器(消化管)】 全9問消化器は、最近ガイドライン改訂が続いているため、新たなガイドラインはチェックしておきたい。また潰瘍性大腸炎とクローン病については毎年出題されているので、両疾患の相違点を確認しておくことも重要である。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)胃食道逆流症(GERD)について正しいものはどれか?1つ選べ(a)コレシストキニンは下部食道括約筋(LES)収縮作用を持つ(b)シェーグレン症候群の合併症に胃食道逆流症(GERD)がある(c)食道粘膜障害の内視鏡的重症度は、自覚症状の程度と相関する(d)非びらん性胃食道逆流症はびらん性胃食道逆流症と違い、肥満者に多いという特徴を持つ(e)除菌治療によるピロリ菌感染率低下により、今後、患者数は減少すると予想されている例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第8回 消化器(肝胆膵)】 全8問肝臓については、各々の肝炎ウイルスの特徴と肝細胞がんの新たな治療アルゴリズムを確認しておきたい。膵臓については、膵炎の新たなガイドラインについて出題される可能性があるので、一読の必要がある。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)肝炎について正しいものはどれか?1つ選べ(a)急性肝炎でAST(GOT)>ALT(GPT)は、極期を過ぎて回復期に入ったことを示している(b)de novo B型肝炎は、HBV既往感染者(HBs抗原陰性・HBc抗体陽性・HBs抗体陽性)にステロイドや免疫抑制薬を使用した際にHBV再活性化により肝炎を発症した状態であり、通常のB型肝炎に比べて劇症化や死亡率は低い(c)HBVゲノタイプC感染に伴うB型急性肝炎では、肝炎が遷延もしくは慢性化する可能性がほかのゲノタイプよりも高い(d)B型急性肝炎とキャリアからの急性発症との鑑別にIgM-HBc抗体価が使用される(e)HBs抗原陽性血液に曝露した場合の対応として、 被曝露者がHBs抗原陰性かつHBs抗体陰性であれば十分な水洗いと曝露時のワクチン接種ならびに72時間以内のB型肝炎免疫グロブリン(HBIG)が推奨されている例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第9回 血液】 全7問血液領域については、何といっても白血病が設問の中心である。認定内科医試験では、治療よりも染色の特徴、検査データ、予防因子についてよく出題される傾向がある。このほか、貧血に関する出題も多いので、しっかりと押さえておきたい。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)急性白血病について正しいものはどれか?1つ選べ(a)急性骨髄性白血病(AML)MO・M5b・M7では、MPO染色陰性であるため、注意する必要がある(b)急性前骨髄球性白血病(APL)では、白血病細胞中のアズール顆粒内の組織因子やアネキシンIIにより、播種性血管内凝固症候群(DIC)を高率に合併する(c)AMLのFAB分類M5では、特異的エステラーゼ染色・非特異的エステラーゼ染色とも陽性を示す(d)AMLの予後不良因子は、染色体核型がt(15:17)・t(8:21)・inv(16)である(e)ATRAを用いた治療中にレチノイン酸症候群または分化症候群を発症した場合、治療中断による白血病増悪を考え、ステロイド併用などを行いつつ治療を継続すべきである例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第10回 循環器】 全9問循環器領域については、弁膜症や心筋梗塞など主要疾患の診断確定に必要な身体所見と検査所見をしっかり押さえることが重要である。高血圧や感染性心内膜炎の問題は毎年出題されているので、フォローしておきたい。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)弁膜症について正しいものはどれか?1つ選べ(a)僧帽弁狭窄症(MS)は、本邦では高齢化に伴い近年増加傾向である(b)僧帽弁狭窄症(MS)では、拡張期ランブルを聴診器ベル型で聴取する(c)僧帽弁狭窄症(MS)では、心音図でQ-I時間が短いほど、II-OS時間が長いほど重症と判定する(d)僧帽弁狭窄症(MS)の心臓超音波検査では、僧帽弁前尖の拡張期後退速度(DDR)の上昇を認める(e)僧帽弁逸脱症(MVP)は肥満体型の男性に多く認める例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第11回 神経】 全8問神経領域については、今年度も「脳卒中治療ガイドライン2015」と血栓溶解療法の適応に関する出題が予想される。各神経疾患における画像所見、とりわけスペクトとMIBGシンチグラフィは毎年出題されている。アトラス等でしっかりと確認しておきたい。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)脳梗塞について正しいものはどれか?1つ選べ(a)心原性脳塞栓症は、階段状増悪の経過をとることが多い(b)一過性脳虚血発作(TIA)で一過性黒内障の症状を認めた場合、椎骨脳底動脈系の閉塞を疑う(c)TIAを疑う場合のABCD2スコアは、A:Age(年齢)、B:BP(血圧)、C:Consciousness level(意識障害の程度)、D:duration(持続時間)とdiabetes(糖尿病の病歴)の5項目をスコアリングし、合計したものである(d)CHADS2スコア1点の非弁膜症性心房細動(NVAF)患者の脳卒中発症予防には、ワルファリンによる抗凝固療法が勧められている(e)血栓溶解療法(アルテプラーゼ静注療法)は、血小板8万/mm3では適応外である例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第12回 総合内科/救急】 全5問総合内科/救急では、「心肺蘇生ガイドライン2015」や、JCS・GCSスコアリング、確率計算の出題が予想される。2016年12月に「日本版敗血症診療ガイドライン2016」が発表されたので、内容を押さえておきたい。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)事前確率25%で感度60%・特異度80%の検査が陽性であった場合の正しい事後確率はどれか?1つ選べ(a)15%(b)20%(c)50%(d)60%(e)80%例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【例題の解答】第7回:(b)、第8回:(d)、第9回:(b)、第10回:(b)、第11回:(e)、第12回:(c)【第1回】~【第6回】は こちら

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抗うつ薬はアルツハイマー病リスクを高めるのか

 アルツハイマー病(AD)は神経変性疾患であり、高齢者の記憶、思考、行動に対し、臨床的に明白で観察可能な障害を示す。アポリポ蛋白E(ApoE)ε4のような感受性遺伝子は、長期間AD診断のリスク増加と関連している。また、うつ病とAD発症リスク増加との関連を示唆する研究も報告されている。さらに、これまでの調査の知見より、高齢者に対する向精神薬使用において、混合効果も示唆されている。米国・フロリダ国際大学のShanna L. Burke氏らは、抗うつ薬の使用がうつ病や最終的なAD発症の危険性に与える影響について検討を行った。International journal of geriatric psychiatry誌オンライン版2017年5月31日号の報告。 国立アルツハイマー病センターのデータを活用して、認知障害のない1万1,443例を評価、検討した。うつ病、ApoE、AD診断、抗うつ薬使用の関連性を調査するため、生存分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・認知機能が正常な8,732例を対象に、調査を行った。・抗うつ薬使用者の間で、ほとんどの場合、危険性は統計学的に有意ではなかった。・1つのジェネリック医薬品は、保護的効果を示した(p<0.001)。・最近のうつ病(2,083例、p<0.001)、生涯うつ病(2,068例、p<0.05)、ApoEε4キャリア(2,470例、p<0.001)は、AD発症との間に統計学的に有意な関係が認められた。 著者らは「この知見は、抗うつ薬使用に関連するメカニズムが、最終的なADの危険性を減少させる可能性があることを示唆している。さらに、うつ病、ApoEε4、AD診断との関連を補強している。本研究は、うつ病などの潜在的に修正可能な心理社会的リスク因子を標的とすることにより、ADリスクを低下させる目的で介入を検討する、新たな文献に寄与するであろう」としている。■関連記事認知症者への向精神薬投与は死亡率を高めているかたった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能1日1時間のウオーキングで認知症リスク低下:東北大

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PARP阻害薬olaparib、既治療のBRCA乳がんの予後を改善/NEJM

 既治療の生殖細胞系BRCA遺伝子変異陽性でHER2陰性の転移のある乳がん患者の治療において、olaparibは標準治療に比べ無増悪生存(PFS)期間中央値を2.8ヵ月延長し、病勢進行や死亡のリスクを42%低減することが、米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのMark Robson氏らが行ったOlympiAD試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2017年6月4日号に掲載された。olaparibは、経口ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害薬で、米国ではBRCA遺伝子変異陽性の再発卵巣がんの治療薬として承認を得ており、生殖細胞系BRCA遺伝子変異陽性で転移のある乳がんでも有望な抗腫瘍活性が示されている。日本人を含む約300例対象、olaparibの無作為化対照比較試験 本研究は、生殖細胞系BRCA遺伝子変異陽性でHER2陰性の転移のある乳がんにおけるolaparibの安全性と有効性を評価する国際的な非盲検無作為化対照比較第III相試験で、アジアからは日本のほか韓国、中国の施設も参加している(AstraZeneca社の助成による)。 対象は、年齢18歳以上、ホルモン受容体陽性(ER陽性、PgR陽性または双方が陽性)または陰性の、HER2陰性転移性乳がんで、生殖細胞系BRCA遺伝子変異陽性が確認され、2レジメンまでの化学療法歴がある患者であった。 被験者は、olaparib(300mg、1日2回)を経口投与する群または担当医の選択による化学療法薬単剤(カペシタビン、エリブリン、ビノレルビン)を投与する群に、2対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは、独立審査委員会の中央判定によるPFS(割り付け時から画像評価による病勢進行または全死因死亡までの期間)であり、intention-to-treat法ベースで解析が行われた。 2014年4月7日~2015年11月27日に302例が登録され、olaparib群に205例が、標準治療群には97例が割り付けられた。標準治療群は91例が実際に治療を受けた。olaparib群で奏効率約2倍に、OSには差がない ベースラインの全体の年齢中央値は44歳で、フォローアップ期間中央値はolaparib群が14.5ヵ月、標準治療群は14.1ヵ月であった。男性が、olaparib群に5例(2.4%)、標準治療群に2例(2.1%)含まれた。ホルモン受容体陽性例はそれぞれ50.2%、50.5%、トリプルネガティブ例は49.8%、49.5%だった。 PFS期間中央値は、olaparib群が7.0ヵ月と、標準治療群の4.2ヵ月に比べ有意に延長した(ハザード比[HR]:0.58、95%信頼区間[CI]:0.43~0.80、p<0.001)。事前に規定されたすべてのサブグループで、olaparib群のベネフィットが認められ、トリプルネガティブ例はolaparib群が有意に良好であった(HR:0.43、95%CI:0.29~0.63)。 全生存(OS)期間中央値は両群に差を認めなかった(HR:0.90、95%CI:0.63~1.29、p=0.57)。奏効率は、olaparib群が59.9%(完全奏効率:9.0%)、標準治療群は28.8%(同:1.5%)であり、奏効期間中央値は、それぞれ6.4ヵ月、7.1ヵ月、奏効までの期間中央値は47日、45日であった。 olaparib群で頻度の高い有害事象は、悪心(58.0%)、貧血(40.0%)、嘔吐(29.8%)、疲労(28.8%)、好中球減少(27.3%)であり、多くがGrade 1/2であった。Grade 3以上の有害事象は、olaparib群の36.6%、標準治療群の50.5%に発現した。毒性による治療中止はそれぞれ4.9%、7.7%だった。 著者は、「この試験はOSの差を評価する検出力はなく、OSは後治療による交絡を受ける可能性も高い」としており、「ホルモン受容体の状態別、プラチナ製剤ベースの化学療法の治療歴の有無別のolaparibの効果を評価する試験や、olaparibとプラチナ製剤ベースの化学療法を直接比較する試験も有益と考えられる」と指摘する。

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BRAF変異肺がん、ダブラフェニブ・トラメチニブ併用が承認:FDA

 米国食品医薬品局(FDA)は2017年6月22日、BRAF V600E変異のある転移性非小細胞肺がん(NSCLC)に対するダブラフェニブ(商品名:タフィンラー)とトラメチニブ(商品名:メキニスト)の併用を通常承認した。これは、同患者に対するFDA初の承認となる。 この承認は、BRAF V600E変異陽性転移性NSCLCの国際多施設共同試験で、3つのコホートからなるBRF113928試験の結果に基づいている。当試験では93例の患者が、ダブラフェニブ(150mg×2/日)とトラメチニブ(2mg×1/日)の併用で治療された。93例中36例は全身療法未治療で、57例はプラチナベース化学療法を1つ以上受け疾患進行が確認された患者であった。また、別途78例のBRAF変異陽性患者が、ダブラフェニブ単剤による治療を受けた。 既治療群にける併用療法の全奏効率(ORR)は、63%(95%CI:49%~76%)であり、奏効期間(DOR)は12.6ヵ月(95%CI:5.8~NE)。未治療群ではORR61%(95%CI:44%~77%)、DOR中央値は未達であるが(95%CI:6.9~NE)、奏効者の59%は6ヵ月以上の奏効を示した。また、ダブラフェニブ単剤治療患者のORRは27%(95%CI:18%~38%)で、DORは9.9ヵ月であった。 有害事象の発現率および重症度は、すでに承認を受けているメラノーマ患者での報告と同様であった。Grade3/4で頻度の高い項目は、発熱、疲労、呼吸困難、嘔吐、発疹、出血、および下痢であった。Grade3/4で頻度の高い検査値異常は、低ナトリウム血症、リンパ球減少症、貧血、高血糖、好中球減少症、白血球減少症、低リン酸血症、アラニンアミノトランスフェラーゼ上昇であった。有害事象による投与中止はダブラフェニブ18%、トラメチニブ19%でみられた。 FDAはまた、次世代シークエンサー(NGS)Oncomine Dx Target Test(Thermo Fisher Scientific)も承認した。この検査により、NSCLC患者の組織標本からBRAF、ROS1、EGFR遺伝子異常の存在が検出可能となる。FDAによる初めてのNGSオンコロジーパネル検査の承認である。■参考FDAの発表BRF113928試験(Clinica Trials.gov)

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わかる統計教室 第4回 ギモンを解決!一問一答 質問11(その1)

インデックスページへ戻る第4回 ギモンを解決!一問一答質問11 多変量解析とは何か?(その1)質問9、質問10で多変量解析を学ぶ前のおさらいをしてきました。今回からいよいよ医学統計でよく用いられる多変量解析についてご説明します。医学や薬学で用いられるデータは、人間や動物といった多種多様なものが複雑に絡み合って得られるものがたくさんあり、多くの種類(3つ以上)のデータ、つまり、多変量データと考えられます。そのため医学や薬学の研究では、多変量解析を適用すべき場面がしばしばあるのです。■解決したいテーマ多変量解析とは何かを知ってもらうために、多変量解析で解決できるテーマを3つほど取り上げてみましょう。医学的な事例だと難しくなりがちですので、一般的でなじみやすい事例で説明していきます。●テーマ1ドラッグストアでサプリメントなど、ある商品の売上をアップさせたいとき、どうすればよいでしょういろいろなアイデアがあると思います。チラシを印刷して店の近隣エリアにある住宅のポストに投函するとか、タウン誌に広告を出すなど広告費を増やして、どんどん宣伝するというのも1つの方法でしょう。また、店舗アルバイトの人員を増やすことで売上アップを狙うのもよいかもしれません。もちろん、単に広告費を増額して、あるいは店員の数を増やして売上を伸ばすというだけのアイデアが採用されるほど、ドラッグストアの本部は甘くはありません。しかし、あなたが、「広告費やアルバイト店員数の売上に対する影響度」、具体的には「広告費を1万円使えば、売上がどれほど増えるかといった広告費の売上への貢献度」などを数値に表し、売上を予測できたとすれば、あなたのアイデアはすぐにGoサインが出るでしょう。それでは、売上に対する影響度、貢献度はどのように数値化し、予測値をどのように算出すればよいでしょうか。●テーマ2人間ドックでの患者さんへの簡単な問診票の回答結果から、ある疾患に罹患している可能性を診断する仕掛けはどのようになっているのでしょう最近、食欲がない、軽い腹痛など調子が優れないと感じているときに、毎年の定期健診で受診している人間ドックにいきました。さっそく簡単な問診票が渡され、その質問に答えたところ、人間ドックの担当医から、「がんの疑いがあるので精密検査が必要です」と診断されました。どうすれば、簡単なアンケートだけで、こんな大胆な診断ができるのでしょうか。できるとすれば、どんな方法で行っているのでしょうか。●テーマ3大学受験の前に学科の得意・不得意によって、文系クラスか理系クラスかを決める仕掛けはどのようになっているのでしょう皆様の中にもこのような経験をされた方がいるかもしれません。高校2年から3年に進級するとき、学科の得意・不得意によって文系クラスか理系クラスかを決められてしまうケースがあります。英語や国語の点数が高いから文系、数学や物理の点数が高いから理系と決められるのは、納得がいきません。なぜなら、英語には文法があり理系能力も要求されます。また数学には文章問題があり、文系能力も要求されるからです。「英語の得点のうち80%が文系能力、20%が理系能力」、「数学の得点のうち10%が文系能力、90%が理系能力」といったことが解析で導き出せないものでしょうか。もし、このようなことが数値化できれば、真の文系能力、理系能力がわかりますね。■多変量解析で解決するテーマ1~3について、多変量解析はどのような考え方で解決しているかを解説します。●テーマ1ドラッグストアでサプリメントなど、ある商品の売上をアップさせたいとき、どうすればよいでしょう予測したいサプリメントXの売上金額、広告費、店員数のデータを直近の6年間について調べ、表1としてパソコン(Excel)に入力し、多変量解析のソフトで処理します。多変量解析は、いろいろな数値を算出します。広告費を1万円使用したとき売上は8万円アップ、店員1人を投入すると売上は539万円アップするといった売上貢献度を算出します。広告費、店員数を0としたときの最少売上を算出します。その値は1,148万円です。2017年の広告費は1,300万円、店員数は14人です。表1 事例の売上金額、広告費、店員数などのデータ(1)広告費1万円に対する売上貢献度は8万円なので、2017年の広告費による売上は、広告費1,300万円に売上貢献度8万円を掛けた値である1億400万円だといえます。(2)店員数1人に対する売上貢献度は539万円なので、2017年の店員による売上は、店員数14人に売上貢献度539万円を掛けた値である7,546万円だといえます。(3)何もしなくても見込める最少売上は1,148万円です。図に示した1億400万円、7,546万円、1,148万円を加算することによって、2017年の売上ポテンシャル(予測値)は1億9,094万円となります。図 2017年の売上ポテンシャル(予測値)2017年は、広告費を1,300万円、販売員数を14人投入すれば、サプリメントXは1億9,094万円の売上を見込めるということがわかりました。●テーマ2人間ドックでの患者さんへの簡単な問診票の回答結果から、ある疾患に罹患している可能性を診断する仕掛けはどのようになっているのでしょうすでに確認されているがん患者のグループと、健康な人のグループとの問診票のアンケート回答結果から診断を行います。診断は、アンケートに回答してもらった、喫煙の有無、飲酒の有無などで行います。がんの有無と各質問項目との相関関係を調べ、がんであるかどうかを判別する関係式を作ります。がん判別得点=a1×質問(1)+a2×質問(2)+…+定数ここで示したa1、a2は、各質問ががん判定にとってどのくらい大事なのかを表した数値と考えてください。この関係式をパソコンにセットします。あとは人間ドックに来院した人の問診票の結果をパソコンに入力すると、その回答は関係式にインプットされ、がんの有無を調べる得点が計算されます。この値が「+」であればがんの可能性あり、「-」であれば可能性なしということになります。●テーマ3大学受験の前に学科の得意・不得意によって、文系クラスか理系クラスかを決める仕掛けはどのようになっているのでしょう表2で各科目の文系能力へのウエイトのa1、a2、…を求めます。同様に理系能力のウエイトb1、b2、…を求めます。表2 文系、理系ウエイトの算出生徒の各科目の得点をx1、x2、…とします。文系能力、理系能力は、次の関係式によって求められます。文系能力得点=a1x1+a2x2+a3x3+a4x4+a5x5理系能力得点=b1x1+b2x2+b3x3+b4x4+b5x5表3に、ある生徒の5科目が次の得点であるときの文系能力得点、理系能力得点を求めます。表3 ある生徒は文系か、理系か文系能力得点=0.8×80十0.1×50+0.9×90+0.3×60+0.4×70      =64+5+81+18+28=196 平均39.2理系能力得点=0.2×80+0.9×50+0.1×90+0.7×60+0.6×70      =16+45+9+42+42=154 平均30.8よって、この生徒の平均点は70点、そのうち文系能力は39.2点、理系能力は30.8点と求められ、文系能力のほうが高いことがわかりました。以上、解決方法を述べました。すべてのテーマに共通して言えることがあります。どのテーマも関係式(モデル式ともいう)を作り、この関係式を用いて解決しているということです。この関係式を作ること、すなわち「関係式に用いる係数を求めること」が、多変量解析の役割なのです。多変量解析の応用範囲は広く、最初の出発点は心理学でしたが、現在では、変数間の関係を取り扱うのであれば、あらゆる分野に応用されています。その分野は、人類学から、考古学、物理学、経済学、教育学、気象学、家政学、社会学までと多岐にわたり、研究所、行政省庁、企業、そしてマーケティング業務などと多様なシチュエーションで活用されています。どのジャンル、テーマも多変量解析を適用して解決する場合、関係式を用いています。ここまで、多変量解析とは何かを知ってもらうために、一般的でなじみやすい事例で説明しました。次回は、多変量解析で取り扱うデータや、解析の種類および解析手法名について説明していきます。今回のポイント1)多変量解析は関係式(モデル式)を作り、その関係式を使って、課題を解決する!2)多変量解析の役割は、この関係式に用いる係数を求めること!3)多変量解析の応用範囲は広く、変数間の関係を取り扱う場合であれば、医学はもちろんその他のあらゆる分野で応用されている!インデックスページへ戻る

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抗精神病薬の副作用、医師にどれだけ伝えられているか:藤田保健衛生大

 抗精神病薬の有害事象は服薬アドヒアランスに著しい影響を及ぼすことがある。藤田保健衛生大学の波多野 正和氏らは、患者から報告されることの少ない抗精神病薬の有害事象およびそのような症状が残存している理由について調査した。Clinical psychopharmacology and neuroscience誌2017年5月31日号の報告。 主観的アンケートを用いて患者にインタビューを行い、データを収集した。報告されていない症状および背景因子との関連を調査した。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症または統合失調感情障害患者306例を調査した。・主な症状は、昼間の眠気(50.0%)、体重増加(42.2%)、性機能障害(38.9%)であった。・性機能障害は、抗精神病薬多剤療法治療患者(オッズ比[OR]:2.14、95%信頼区間[CI]:1.07~4.30)および外来患者(OR:1.78、95%CI:1.02~3.13)で有意に多かった。・医師に症状を報告していた患者は約30%のみであった。 著者らは「抗精神病薬で治療中の統合失調症患者は、いくつかの有害事象に苦しんでおり、医師に報告できないと感じている。このことの最も一般的な理由は、患者と医師の関係が不十分であることによる。性機能障害はデリケートな問題であるため、とくに識別が困難であり、主観的アンケートがこのような問題を検出するのに役立つ可能性がある」としている。■関連記事抗精神病薬の性機能障害、プロラクチンへの影響を比較統合失調症患者の副作用認識状況は:さわ病院統合失調症の性機能障害改善のための補助療法:名古屋大学

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「抗微生物薬適正使用の手引き」完成

 2017年6月1日、厚生労働省健康局結核感染症課は、薬剤耐性(AMR)対策の一環として「抗微生物薬適正使用の手引き 第一版」(以下「手引き」)を発行した。 世界的に不適正な抗微生物薬使用による薬剤耐性菌の脅威が叫ばれている中で、わが国でも適正な感染症診療に関わる指針を明確にすることで、抗微生物薬の適正使用を推進していくことを目指している。 今回の「手引き」の作成で、抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会委員の座長として取りまとめを行った大曲 貴夫氏(国立国際医療研究センター病院 国際感染症センター長)に、作成の経緯や「手引き」のポイント、今後の展望について聞いた。極端に使用量が多い3種類の抗微生物薬 「手引き」作成までの経緯について簡単に述べると、まず、現在使用されている抗微生物薬に対して微生物が耐性を持ってしまい、治療ができなくなる状況がやってくる危険性への懸念があります。そのため2016年4月に「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン」が決められ、議論が重ねられました。抗微生物薬を使う感染症診療の場で、あまり適切な使用が行われていないところがあるかもしれず、必要以上の抗微生物薬が使われていることが薬剤耐性を増悪させているかもしれない。では、抗微生物薬を適正に使用する「手引き」を作ろうとなったのが、作成の出発点です。 そして、このような形の「手引き」になった理由として、次の3点があります。1)日本の抗微生物薬の使用量自体は多くないものの、広範囲に有効であるセファロスポリン、マクロライド、キノロンの使用割合が諸外国と比べて極めて高いこと。2)内服か静注かの内訳調査では、大部分が内服剤であること(外来での多用が示唆される)。3)その外来でよく診療される感染症を考えた場合、頻度の高い急性気道感染症や腸炎、尿路感染症(今回の手引きでは割愛)などが挙げられ、その中でも、適切な見分けをしていけば抗微生物薬を使わずに済むケースも多く、かつ、診療もある程度の型が決まっているものとして、急性気道感染症と急性下痢症に絞られること。 以上を踏まえ、抗微生物薬の適正使用を総論として構成し、今回の「手引き」を作成しました。 「手引き」を熟読し診療に生かしていただきたいところですが、情報量も多いので、ゆくゆくはこの「手引き」を要約してポケットサイズのカードを作成し、いつでも臨床の現場で活用できるようにしたいと考えています。 また、一般臨床に携わる医師、医療従事者はもちろん、医学教育の場、保健衛生の場、一般の方々への啓発の場でも活用してもらい、抗微生物薬の適正使用への理解を深めていければと思います。「風邪」は単なる風邪ではないことへの理解 「手引き」の中でとくに読んでいただきたい所は、「本手引きで扱う急性気道感染症の概念と区分」(p.8)という、概念を理解するために作られた図です。 今回「急性気道感染症」をターゲット疾患としたのは、いわゆるウイルス性の感冒と急性鼻副鼻腔炎、急性咽頭炎、急性気管支炎に分けられることを知ってもらう狙いがあります。「『風邪』は風邪ではない」と理解することが大切で、きちんと診察し、必要な検査をすれば、これらをえり分けられます。それにより抗微生物薬が必要かどうかのマネジメントが異なってきます。ただ、患者さんが「風邪」を主訴に来院したとき、風邪以外の怖い病態(急性心筋炎など)も隠れているのが「風邪」だということを認識するのも同じく大事です。2020年に全体の抗微生物薬使用量を33%減 最後に展望として、AMR対策という観点からさまざまな広域抗菌薬の使用が抑えられて、2020年までにセファロスポリン、マクロライド、キノロンの使用量を半減させ、全体の使用量も33%減少させるという大きな目標があります。 ただ個人的には、少なくとも「手引き」の内容が浸透することで、これまで「風邪」と診断され、漠然と片付けられていた患者さんに正確で適切な診断がなされ、見逃してはいけない重大なリスクのある患者さんが早く拾い上げられて、個々の患者さんの健康に貢献すること、結果的には医療全体のレベルが上がることを最も期待しています。 今後もっと対象疾患を広げるかどうかなど、臨床現場の声や患者さんの声を取り入れて議論され、改訂の機会もあると思います。しかし、今回の「手引き」で示した基本的な考え方は、この5年や10年単位では変わらないものと考えています。 「手引き」で取り上げた疾患は、広い意味での「風邪」と「急性胃腸炎」ですが、この領域だけでも実臨床における、原則的な診療を示すことができたと思います。これらの実践により、診療は必ず良いものとなるだけでなく、診療者である医師の自信にもつながると考えます。 どうか「手引き」を活用していただきたいと思います。

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無作為化試験の質、雑誌により格差/BMJ

 無作為化試験について、鍵となる方法論の報告が不十分であることや、方法論の不十分な活用が問題視されているが、フランス国立衛生医学研究所(INSERM)のAgnes Dechartres氏らは、それらが過去30年間でどのように変化しているかを調べた。その結果、とくに無作為化の順番作成(sequence generation)および割当秘匿(allocation concealment)に関しては、不十分な報告や方法論の不十分な利用は減少していたが、大半でそれらが認められ、とくにインパクトファクターの低いジャーナルに掲載された試験でその可能性が考えられるという。BMJ誌2017年6月8日号掲載の報告。バイアスリスクが不明または高い試験の割合で評価 検討は、Cochraneバイアスリスク(無作為化の順番作成、割当秘匿、盲検化、不完全アウトカムデータ)の評価を報告していた、2011年3月~2014年9月に発表されたCochraneレビューに包含された無作為化試験のデータをマッピングして行われた。各無作為化試験について、レビュー著者が作成したバイアスリスクについてのコンセンサスを抽出し、また、主要参照として論文発表年と雑誌名を抽出。Journal Citation Reportsで雑誌名と2014年のインパクトファクターを突合。インパクトファクターについては4群(≧10、5~10、<5、不明)を設定して分類した。 主要評価項目は、レビュー著者がバイアスリスクが不明または高いと評価していた試験の割合とした(これらを不十分な報告や方法論の不十分な利用についての代替指標とみなした)。順番作成・割当秘匿のバイアスリスクが不明・高い試験の割合は減少 分析には、3,136雑誌で発表されていた無作為化試験2万920件、レビュー2001本が含まれた。このうち1万7,944件(85.8%)の無作為化試験が、Journal Citation Reportsで索引付けができインパクトファクターが明らかであった1,706雑誌で発表されていた。それら雑誌のインパクトファクターの中央値は3.4(四分位範囲:2.0~5.5)であった。 バイアスリスクが不明であった試験の割合は、順番作成(48.7%)、割当秘匿(57.5%)については高値で、盲検化(30.6%)、不完全アウトカムデータ(24.7%)については低値であった。バイアスリスクが高い試験の割合は、順番作成は4.0%、割当秘匿は7.2%であった。一方、盲検化については33.1%、不完全アウトカムデータは17.1%であった。 すべてのバイアスリスクについて、インパクトファクターが高い雑誌の試験報告は、低い雑誌のものと比べて、バイアスリスク不明または高値の試験の割合が低いことが認められた。たとえば、割当秘匿のバイアスリスクが不明であった試験の割合は、インパクトファクター≧10の雑誌では38.0%であったのに対し、インパクトファクター不明の雑誌では73.4%であった。 また、順番作成のバイアスリスクが不明の試験の割合は、1986~90年は69.1%であったが2011~14年には31.2%に低下していたことも明らかになった。同様の傾向は割当秘匿についてもみられ、同期間に70.1%から44.6%に低下していた。バイアスリスクが不明の試験を除外後、方法論の不十分な利用についても、時間とともに減少していることが確認された(順番作成は14.8%から4.6%に、割当秘匿は32.7%から11.6%に)。

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2次予防の抗血小板療法、重大出血リスクは高齢ほど上昇/Lancet

 プロトンポンプ阻害薬(PPI)非併用でアスピリンベースの抗血小板治療を受ける虚血性イベント後の患者について、重大出血のリスクは長期的に高いことが、前向き住民ベースのコホート試験で示された。また、そのような患者は、先行研究で示された患者と比べて実際には高齢の患者で多く、機能障害が残るまたは死亡に至る上部消化管出血のリスクがかなり高かった。これら、英国・オックスフォード大学のLinxin Li氏らによる「Oxford Vascular Study」試験の結果は、Lancet誌オンライン版2017年6月13日号で発表された。虚血性イベント後の患者には生涯にわたる抗血小板治療が、先行研究である75歳未満の患者を対象とした試験をベースに推奨されている。著者らは年齢を問わず、2次予防としての抗血小板治療における出血のリスク、経過、アウトカムを評価するため、本検討を行った。初発虚血性イベント後の抗血小板治療と出血リスクを評価 試験は、2002~12年のOxford Vascular Studyにおける、イベント後に抗血小板治療(主にアスピリンベースでPPI併用なし)を受けていた初発の一過性脳虚血発作(TIA)、虚血性脳卒中または心筋梗塞を呈した患者を、2013年まで追跡して行われた。 治療を要した出血のタイプ、重症度、アウトカム(機能障害または死亡)、経過について、対面調査で10年間追跡した。 先行研究からのKaplan-Meierリスク推定値と相対リスクの低下推定値をベースとし、PPIを常に併用することによる上部消化管出血予防のための、年齢特異的な治療必要数(NNT)を推算し評価した。重大出血のリスクは年齢が上昇するほど高値に 1万3,509人年の追跡期間中、3,166例(75歳以上1,582例[50%])が405件の初発の出血イベントを有した(消化管218件、頭蓋内45件、その他142件)。そのうち314例(78%)が出血入院したが、うち117例(37%)については治療に関するコーディングデータが得られなかった。 非重大出血リスクは、年齢と関連していなかった。一方で、重大出血は年齢が上昇するほど高まることが認められた(75歳以上のハザード比[HR]:3.10、95%信頼区間[CI]:2.27~4.24、p<0.0001)。とくに、致死的出血について関連が高く(5.53、2.65~11.54、p<0.0001)、長期の追跡期間中、持続して認められた。 同様の結果が、重大上部消化管出血についても認められ(75歳以上のHR:4.13、2.60~6.57、p<0.0001)、とくに機能障害または死亡においてみられた(10.26、4.37~24.13、p<0.0001)。 75歳以上の患者では、重大上部消化管出血は、大部分が機能障害または死亡に至った(患者の62%[45/73例] vs.虚血性脳卒中再発患者では47%[101/213例]と約半数)。また、機能障害または致死的な脳内出血よりも多く(上部消化管出血45例 vs.脳内出血18例)、75歳以上の患者の絶対リスクは1,000人年当たり9.15(95%CI:6.67~12.24)であった。 なお、機能障害または致死的上部消化管出血を5年間で1例予防するためのPPI常用の推定NNT値は、年齢とともに低下することが示された。65歳未満の患者では338であったが、85歳以上では25と低かった。 これらを踏まえて著者は、「75歳以上の患者の重大出血の半数以上が重大合併症とされている上部消化管出血であった。そのような出血を予防するPPI常用の推定NNT値は低く、併用が推奨されるべきであろう」と述べている。

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湿疹性紅皮症

【皮膚疾患】湿疹性紅皮症◆病状全身の皮膚が赤くなり、激しい痒み、リンパ節の腫れ、皮膚がフケのように落ちるなどの症状がみられ、時に発熱、脱水、体温調節ができなくなることもあります。◆原因アトピー性皮膚炎など湿疹が悪化して生じることが多い疾患ですが、ウイルス感染、膠原病、血液の腫瘍などからも起きます。免疫力の低下、肝・腎臓などの機能低下、あやまった治療や放置により紅皮症へ進みます。◆治療と予防・ステロイド外用薬が治療の基本ですが、重症の場合はステロイドや免疫抑制剤の内服、点滴などを行います。入院が必要となる場合もあります。・紅皮症に至る前に、きちんと皮膚疾患の治療をする必要があります。監修:浅井皮膚科クリニック 院長Copyright © 2017 CareNet,Inc. All rights reserved.浅井 俊弥氏

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突然やってくる!? 外国人患者さん対応エピソード集 第5回

第5回 強い不信感を持つ外国人患者の心はいかに開かれたのか?<Case5>母国で受けた医療により食道再建が必要となった外国人患者さんが、手術を受けるため来日。自国での経験に加え、日本で複数の医療機関に受け入れを断られたことから、患者さんの医療に対する不信感は最高潮に。そんな中、ようやく都内のある病院への入院が決まりました。最初は、担当医師の回診頻度についてなど、たびたび不満を訴えなかなか心を開かなかった患者さんが、最後には感謝の手紙を送るまでに変化したのはなぜだったのでしょうか。対談相手一般社団法人 徳洲会 国際医療支援室 渡部 昌樹 氏澤田:今回は徳洲会グループ全体の国際部機能を取りまとめている、一般社団法人 徳洲会の医療コーディネーター、渡部さんにお話を伺います。貴グループでは、湘南鎌倉総合病院を中心に、早くから外国人患者受け入れ体制を整備されてきましたが、実際の現場ではどのようなチームで外国人患者さんへの対応をされているのでしょうか。渡部:湘南鎌倉総合病院の場合、5~6人で外国人患者さんに対応する医療チームを構成しており、受け入れ前から受け入れ後まで一貫して患者さんをサポートしています。トラブルを避けるために、受け入れ前の患者選定基準を厳格に運用することや、受け入れ時も治療費の概算を事前に伝えるなどの自費診療のルールを徹底しています。澤田:素晴らしい取り組みですね。今回の事例では、どのように患者さんとの関係を構築していったのでしょうか。渡部:この事例では手術の成功と、数ヵ月にわたる入院期間で褥瘡専任看護師や、ほかの医療チームメンバーが献身的に患者さんをサポートした結果、患者さんが徐々に心を開いていったと聞いています。澤田:チーム全員で一丸となり、手厚いケアを実践したことによって、患者さんの心を動かしたということですね。そのような外国人患者さんに満足してもらえる医療を提供するために、貴グループではどのような工夫をされていますか。渡部:ポイントの1つは、患者さん自身の治療に対する真剣さを受け入れ前に確認することです。訪日患者さんの場合、言語等の問題から患者さん自身ではなく、仲介業者や知人・家族が病院と治療に関するやりとりをすることが多いため、患者さん本人の治療に対する意向と、仲介人から病院が聞いている情報との間にズレが生じるケースが少なくありません。そのような温度差があると、突然来院をキャンセルしたり、治療しても満足度が低い、という結果になりがちです。澤田:来日前からかなり密に、患者さん本人とコミュニケーションをとっているのですね。受け入れが決まって、患者さんが来院されてからは、医療コーディネーターの役割はどのようになりますか?渡部:医療はチームで行うものですので、受け入れ後、医療コーディネーターはチーム全員が気持ちよく快適に働けるように注力します。澤田:患者さんでなく医療チームに注力するのですか。意外でした。渡部:はい、とくに医師をサポートすることに力を入れます。いうまでもなく医師もコーディネーターも、医療チーム全員は、患者さんのために仕事をしています。そして基本的にその全責任を持つ医師は、大きなプレッシャーを抱えています。チームのリーダーである医師の気持ちを少しでも楽にして、医師がチームメンバーと一緒に患者さんに向き合えるよう、後ろから支えるような役割を果たすことができればと思っています。澤田:患者さんに寄り添うために、医師に寄り添う、というイメージでしょうか。渡部:はい。外国人患者さんの診察は1日の診察の最後にアレンジする場合が多いのですが、まずは前の患者さんを診察する時に医師へ労いの言葉をかけます。それだけではありますが、後に控えている外国人患者さんの診察に入る前に、少しでも医師の気持ちを楽にすることができればいいと思っています。澤田:新たな視点をいただきました。ありがとうございました。<本事例からの学び>医師に寄り添いサポートするプロがいれば、医師はもっと患者に寄り添える

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