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最短8週間治療が可能なC型肝炎治療薬が登場

 アッヴィ合同会社は、すべての主要なジェノタイプ(GT1~6型)のC型肝炎ウイルス(HCV)に感染した成人患者に対して1日1回投与、リバビリンフリーの治療薬であるマヴィレット配合錠(一般名:グレカプレビル/ピブレンタスビル、以下マヴィレット)を11月27日に発売した。マヴィレットは肝硬変を有さない、直接作用型抗ウイルス薬(DAA)未治療のジェノタイプ1型(GT1)および2型(GT2)のC型慢性肝炎(HCV)感染患者にとって、最初で唯一の最短8週間治療となる。薬価は1錠24,210.40円。 日本は先進国の中でC型肝炎ウイルスの感染率が最も高い国の1つで、感染患者のうちGT1型およびGT2型が97%を占める。また日本は、C型慢性肝炎とその合併症が主な原因となり発症する肝臓がんの罹患率が先進国の中で最も高い。 虎の門病院分院長の熊田 博光氏は、「今回のマヴィレットの発売により、DAA治療は第3世代へと移行し日本のC型肝炎治療は最終章を迎えると考えている。これまでのDAA療法は、ジェノタイプ、ウイルス耐性の有無、過去のDAA治療歴、または透析など、患者さんの状態によりDAA療法を使い分けていたが、マヴィレットの登場により1つの治療レジメンでそのほとんどがカバーされることになる」と述べている。 マヴィレットは今年2月に製造販売承認申請後、3月に優先審査品目に指定され、9月27日に承認された。 マヴィレットは、「肝硬変を有さない、DAA未治療のGT1型およびGT2型のHCVに感染した日本人患者」を対象とした第III相試験(CERTAIN試験)において、8週間の治療で99%(226例/229例)のウイルス学的著効率(SVR12)を達成した。また、他剤DAAで治癒しなかった患者において93.9%(31例/33例)のSVR12の達成となり、患者背景によらず、いずれも高い著効率を示した。副作用(臨床検査異常を含む)は、国内第III相試験において332例中80例(24.1%)に認められ、主な副作用は、そう痒症16例(4.8%)、頭痛14例(4.2%)、倦怠感10例(3.0%)および血中ビリルビン増加8例(2.4%)であった。 <効能・効果>C型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善<用法・用量>○セログループ1(ジェノタイプ1)又はセログループ2(ジェノタイプ2)のC型慢性肝炎の場合 通常、成人には1回3錠(グレカプレビルとして300mg及びピブレンタスビルとして120mg)を1日1回、食後に経口投与する。 投与期間は8週間とする。なお、C型慢性肝炎に対する前治療歴に応じて投与期間は12週間とすることができる。○セログループ1(ジェノタイプ1)又はセログループ2(ジェノタイプ2)のC型代償性肝硬変の場合○セログループ1(ジェノタイプ1)又はセログループ2(ジェノタイプ2)のいずれにも該当しないC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変の場合 通常、成人には1回3錠(グレカプレビルとして300mg及びピブレンタスビルとして120mg)を1日1回、食後に経口投与する。投与期間は12週間とする。

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中国における高血圧管理の現状から学ぶべきこと(解説:有馬久富氏)-771

 中国における高血圧管理の現状について、北京協和医科大学のグループよりLancetに報告された。本研究では、中国全土の31省において35~75歳の一般住民170万人の横断調査が実施された。その結果、収縮期血圧140mmHg以上、拡張期血圧90mmHg以上、あるいは降圧薬服用で定義した高血圧の有病率は約45%であった。そのうち、高血圧であることを知らなかった者が約半数、治療していなかった者が約3分の2いた。治療を受けている高血圧者においても、ほとんどが1種類の降圧薬しか服用しておらず、140/90mmHg未満の降圧目標を達成できている者は4分の1以下であった。 中国における未治療あるいはコントロールされていない高血圧者の数はあまりにも多く、循環器疾患、とくに脳卒中の多くが高血圧により引き起こされているものと推測される。このような現状を打破するためには、健康教育による高血圧の1次予防、定期的な健康診断による高血圧の早期発見と早期治療、医療保険の整備など未治療者が受診しやすい環境の整備、費用対効果の高い降圧薬の併用など積極的降圧療法の普及等を実施していくことが急務である。 わが国において平成27年に実施された国民健康・栄養調査の成績をみると、20歳以上の成人における高血圧の有病率は46.9%であった。年齢の範囲や構成が中国のそれとは異なるため単純な比較はできないが、日本と中国の高血圧有病率はそれほど変わらないのかもしれない。一方、高血圧者のうち治療を受けている者の頻度をみると、今回の中国における報告では30.1%であったのに対して、わが国の国民健康・栄養調査(平成27年)では59.4%と高かった。しかし、日本においても未治療の高血圧者は、全体の約4割に及ぶことがわかる。 わが国において高齢化とともに今後増加すると推測される循環器疾患を減らしていくためには、未治療者の受診勧奨・治療者の血圧コントロール徹底等の高リスク戦略と、国民全体の血圧分布を低い方向にシフトさせるポピュレーション戦略を組み合わせていく必要がある。

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腫瘍変異負荷は小細胞がん免疫治療のバイオマーカーとなるか(CheckMate-032)/WCLC

 再発小細胞肺がん(SCLC)の治療選択肢は限られており、生命予後も不良である。固形がんにおけるニボルマブ±イピリムマブの第I相試験CheckMate-032の初回報告では、ニボルマブ・イピリムマブの併用はSCLCに対し、良好かつ持続的な効果を示し、この結果をもって、NCCNガイドラインに推奨されている。しかし、非小細胞肺がん(NSCLC)のバイオマーカーであるPD-L1は、この試験において治療効果との関連性は示しておらず、SCLCにおける免疫治療の明らかな効果予測バイオマーカーは明らかでない。SCLC免疫治療のバイオマーカーとしての腫瘍変異負荷(tumor mutation burden:TMB)の可能性 TMBは、ニボルマブによるNSCLCの1次治療試験であるCheckMate026試験において、ニボルマブの効果予測因子としての可能性を示しており、SCLCにおいてもバイオマーカーとして期待される。そのような中、SCLCのバイオマーカーを検討するために行われたCheckMate032試験の探索的研究の結果が、第18回世界肺会議(WCLC)で発表された。 この研究では、腫瘍および血液サンプルで全エクソンシークエンス(WES)を行い、TMBを高、中、低の3段階のコホートに分け評価した。TMB評価可能な患者は、合計211例でニボルマブ単独群133例、ニボルマブ・イピリムマブ併用群79例であった。ニボルマブ単独、イピリムマブ併用ともに高TMB患者で良好な予後示す ニボルマブ単独群全体の奏効率(ORR)は11.3%、低・中・高TMB患者ではそれぞれ、4.8%、6.8%、21.3%であった。ニボルマブ・イピリムマブ併用群のORRは全体で28.2%、低・中・高TMB患者ではそれぞれ、22.2%、16.0%、46.2%であった。 ニボルマブ単独群における1年無増悪生存(PFS)率の結果は、低・中・高TMB患者でそれぞれ、3.1%、NC、21.2%(PFSは1.3ヵ月、1.3ヵ月、1.4ヵ月)であった。ニボルマブ・イピリムマブ併用群における1年PFS率は低・中・高TMB患者ではそれぞれ、6.2%、8.0%、30.0%(PFSは1.5ヵ月、1.3ヵ月、7.8ヵ月)であった。 ニボルマブ単独群おける1年全生存(OS)率の結果は、低・中・高TMB患者でそれぞれ、22.1%、26.0%、35.2%(OSは3.1ヵ月、3.9ヵ月、5.4ヵ月)であった。ニボルマブ・イピリムマブ併用群における1年OS率は低・中・高TMB患者でそれぞれ、19.6%、23.4%、62.4%(OSは3.4ヵ月、3.6ヵ月、22.0ヵ月)であった。 低・中TMBコホートに比べ、高TMBコホートでは、ニボルマブ単独群、ニボルマブ・イピリムマブ併用群ともに、ORR、PFS、OSが改善した。高TMBコホートにおける効果の増加は、ニボルマブ・イピリムマブ併用患者で顕著に見られた。また、いずれのTMBコホートにおいても、ニボルマブ・イピリムマブ併用群が優れていた。この試験結果は、高TMBはSCLC患者におけるニボルマブ±イピリムマブの効果予測バイオマーカーとなる可能性を示唆しており、カットオフ値の設定など今後の研究が必要となるであろう。■参考CHECKMATE032試験(Clinical Trials.gov)■関連記事ニボルマブの恩恵を受けるのは腫瘍変異が高い症例?:CheckMate026探索的研究

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わかる統計教室 第4回 ギモンを解決!一問一答 質問20

インデックスページへ戻る第4回 ギモンを解決!一問一答質問20 ロジスティック回帰分析のオッズ比とは?前回は、ロジスティック回帰分析の判別スコアと判別精度について、ご説明しました。今回は、ロジスティック回帰分析のオッズ比について、ご説明いたします。■ロジスティック回帰分析のオッズ比ロジスティック回帰分析のオッズ比は、関係式の回帰係数から算出されます(表1)。、を「オッズ比」といいます。表1 事例のオッズ比【計算例】e0.3079 Excel関数 =EXP (0.3079)  Enterキー → 1.36オッズ比は値が大きいほど、息切れ症状あり群になるリスクが高いといえます。ただし、オッズ比から倍率の解釈はできません。喫煙本数が1日に1本増えると、息切れ症状あり群になる確率が1.36倍になるという解釈はできません。オッズ比からは値が大きいとか、小さいといったことがわかるだけなのです。また、オッズ比が1を下回ることがあります。たとえば、説明変数にウオーキング習慣の有無があり、オッズ比が0.8だとします。「息切れ症状あり群」になるオッズ比は0.8ですので、逆数(1÷0.8=1.25)を計算し、ウオーキングの「息切れ症状なし群」になるオッズ比は1.25という解釈もできます。※オッズ比については、「質問5 リスク比(相対危険度)とオッズ比の違いは?(その1)」を参照してください。例題の喫煙本数を0、1にデータ変換し、喫煙分類のデータを表2に作成します。0;14本以下1;15本以上表2 事例のデータ変換表3で息切れ症状の有無を目的変数、喫煙分類を説明変数とするロジスティック回帰を行います。オッズ比は12でした。表3 事例のロジスティック回帰の結果表4のデータで、リスク比とオッズ比を計算します。表4 事例のリスク比とオッズ比説明変数が1つの場合、ロジスティック回帰のオッズ比とクロス集計から算出されるオッズ比は一致します。ロジスティック回帰の説明変数が2つ以上のオッズ比を「調整したオッズ比」、1つだけの場合を単に「オッズ比」といいます。次回は、ロジスティック回帰分析の説明変数の選び方について、ご説明いたします。今回のポイント1)ロジスティック回帰分析のオッズ比は、値が大きいほど息切れ症状あり群になるリスクが高いといえるが、オッズ比からはその倍率は解釈できない!2)説明変数が1つの場合、ロジスティック回帰のオッズ比とクロス集計から算出されるオッズ比は一致する!3)ロジスティック回帰の説明変数が2つ以上のオッズ比を「調整したオッズ比」、1つの場合を単に「オッズ比」という!インデックスページへ戻る

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ACS疑い患者のイベント指標は高感度心筋トロポニンI値5ng/L/JAMA

 急性冠症候群(ACS)疑い患者で高感度心筋トロポニンI値が5ng/L未満の場合は、30日以内の心筋梗塞や心臓死のリスクが低いことが示された。英国・エディンバラ大学のAndrew R. Chapman氏らが、ACS疑い患者におけるリスク層別化ツールとして、受診時の心筋トロポニンIの閾値5ng/Lの性能を評価したシステマティックレビューとメタ解析の結果を報告した。高感度心筋トロポニンI検査はACS疑い患者の評価に広く使用されており、5ng/L未満は低リスクとみなされているが、至適閾値であるかは明らかになっていない。JAMA誌2017年11月11日号掲載の報告。約2万2,500例のACS疑い患者についてメタ解析 研究グループは、2006年1月1日~2017年3月18日の期間で、MEDLINE、EMBASE、Cochrane、Web of Scienceのデータベースを用い、心筋梗塞の一般的な定義によって診断されたACS疑い患者において、高感度心筋トロポニンI値を測定した前向き研究を検索した。 1万1,845報が特定され、このうち104報について全文を調査し、9ヵ国からの19件のコホートがシステマティックレビューに組み込まれた。個々の患者のデータは、17件については筆頭著者から入手して他の2件のデータと統合し、計2万2,457例(平均年齢62[SD 15.5]歳、女性9,329例[41.5%])がメタ解析に組み込まれた。 主要アウトカムは、30日時点の心筋梗塞/心臓死であった。リスク層別化は、個々の患者データを用い、サブグループおよびトロポニン値の範囲で実施された。心筋トロポニンI値5ng/L未満は、30日時点の心筋梗塞/心臓死の陰性適中率99.5% 計2万2,457例のうち、主要アウトカムである30日時点の心筋梗塞/心臓死は2,786例(12.4%)に発生した。受診時の心筋トロポニンI値が5ng/L未満であった患者は1万1,012例(49%)、このうち60例で登録時イベントまたは30日イベントを見逃していた(59例が登録時の心筋梗塞、1例が30日時点の心筋梗塞、心臓死の見逃しはなし)。 主要アウトカムの陰性適中率は99.5%(95%信頼区間[CI]:99.3~99.6)であった。心臓死の陰性適中率は99.9%(95%CI:99.7~99.9)で、30日心臓死の発生はなく、1年心臓死は7例(0.1%)であった。 著者は、すべてのコホートが同じプロトコールを使用しているわけではないこと、発症後すぐに受診した患者の割合が10%と低いことなどを研究の課題として挙げたうえで、「今回のリスク層別化法の臨床的有用性や費用対効果を理解するために、さらなる研究が必要である」と述べている。

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重度のストレスやうつ病からの復職に効果的なリハビリは

 うつ病やストレスに関連する精神疾患による世界的な負担は大きく、効果的なリハビリテーションが必要とされている。自然療法のリハビリテーションは、精神疾患患者の復職への手助けとなる可能性がある。スウェーデン農業科学大学のPatrik Grahn氏らは、長期的な重度のストレスやうつ病を有する患者群を対象に、自然療法のリハビリテーションプログラムの期間が、プログラム開始1年後のアウトカムに対し、どのような影響を及ぼすかについて調査した。International journal of environmental research and public health誌オンライン版2017年10月27日号の報告。 8、12、24週のリハビリテーションの結果を比較するため、プロスペクティブ準実験的研究を行った。参加者106例を対象に、特別に設計されたリハビリガーデンにおいて多様式なチームによるリハビリテーションを実施した。復職に関するデータは、介入前および開始1年後に収集した。また、自己評価による職業能力、個人管理、連帯感についてのデータを収集した。 主な結果は以下のとおり。・介入1年後にフルタイムまたはパートタイムの復職または職業訓練などに参加した患者は、68%であった。・リハビリテーション期間の長かった参加者では、職業能力に関してより良い結果が得られ、介入1年後のフルタイムまたはパートタイムの賃金労働をこなせる可能性が高かった。 著者らは「リハビリガーデンにおけるより長いリハビリテーション期間は、賃金労働へ復職する可能性を高める」としている。■関連記事職場ストレイン、うつ病発症と本当に関連しているのか職業性ストレス対策、自身の気質認識がポイント:大阪市立大たった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能

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非喫煙女性の肺がんに飲酒が関連か

 生涯非喫煙者における肺がんの病因はほとんどわかっていない。スペイン・コルーニャ大学病院のJose A. Garcia Lavandeira氏らが、ケースコントロール研究のプール解析で、生涯非喫煙者における肺がんリスクにおける飲酒の影響を検討したところ、ワインと蒸留酒の摂取が、とくに女性で、肺がんリスクを増加させる可能性が示唆された。ただし、本研究の限界を考慮すると本結果を慎重にとらえるべき、と著者らは述べている。European journal of public health誌オンライン版2017年11月13日号に掲載。 本研究は、スペイン北西部で行われた6件の多施設ケースコントロール研究を統合した。ケース群、コントロール群とも、生涯非喫煙者であった。解剖病理学的に肺がんを確認した症例を選択し、参加者すべてに個別にインタビューした。2つの統計モデルグループについて、一般化加法モデルを用いた無条件ロジスティック回帰を適用した。1つはアルコール飲料の種類の影響を検討し、もう1つは各アルコール飲料の摂取量を検討した。 主な結果は以下のとおり。・ケース群が438人、コントロール群が863人であり、年齢中央値はそれぞれ71歳と66歳であった。組織型は腺がんが多く、全症例の66%を占めていた。・アルコール飲料の種類別のオッズ比(OR)は、ワインが2.20(95%CI:1.12~4.35)、蒸留酒が1.90(同:1.13~3.23)、ビールが1.33(95%CI 0.82~2.14)であった。・女性では上記の結果と同様であったが、男性ではどのアルコール飲料でも明らかなリスクは認められなかった。・アルコール飲料別の用量反応分析では、明確なパターンが示されなかった。

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多発性骨髄腫に新たな治療の選択肢

 11月8日、ヤンセンファーマ株式会社は、多発性骨髄腫治療薬のヒト抗CD38モノクロナール抗体ダラツムマブ(商品名:ダラザレックス点滴静注)が9月27日に製造販売の承認を取得したことを期し、多発性骨髄腫に関するメディアセミナーを都内で開催した。 ダラザレックスは、再発または難治性の多発性骨髄腫(以下「MM」と略す)の治療薬で、現在の適応条件では併用療法で使用される予定である。※本剤は11月22日に薬価収載(100mg5mL1瓶 5万1,312円、400mg20mL1瓶 18万4,552円)され、発売された。寛解と再発を繰り返す多発性骨髄腫 はじめに伊藤 博夫氏(同社オンコロジー事業本部 事業本部長)が、「ダラツムマブは、米国食品医薬品局(FDA)から画期的治療薬指定をもらった治療薬で、早いスピードで承認・発売された。日本でも使用できるようになったことで、今後も、迅速に患者さんに治療薬を届け、安全に使用できるよう副作用情報なども提供していきたい」と挨拶した。 続いて鈴木 憲史氏(日本赤十字社医療センター 血液内科・骨髄腫アミロイドーシスセンター長)を講師に迎え「多発性骨髄腫」をテーマに疾患の概要とダラツムマブの効果について説明が行われた。 MMは、骨髄の形質細胞ががん化し、正常な免疫グロブリンを作らず、異常な免疫グロブリンを過剰産生するために、貧血、腎障害、骨病変、高カルシウム血症などのさまざまな症状を引き起こす。2012年の推定罹患患者数は人口10万人あたり男性5.7人、女性5.1人(男女計5.4人)で、現在も年間7千人前後の患者が推定され、年々増加傾向にあるという。 主な症状としては、造血抑制を原因とする貧血、白血球・血小板減少、骨破壊を原因とする高カルシウム血症、病的・圧迫骨折、脊髄圧迫症状、M蛋白を原因とする免疫グロブリンの低下、腎障害などがみられる。外来診療の場で、「腰痛を訴え、こうした症状も同時に訴える患者がいたら本症を疑うべき」と同氏は言う。 MMの治療では、自家造血幹細胞移植のほか、初期治療として、ボルテゾミブ、レナリドミド、デキサメタゾンの3剤併用、レナリドミド、デキサメタゾンの2剤併用療法が行われている。治療薬もプロテアソーム阻害薬、免疫調整薬と増え、治療薬の増加に比例して患者の生存期間も延長している。しかし、MMでは、いったん寛解するものの、腫瘍細胞を完全になくすことは困難であり、再発することも多く、予後もよいとは言えないのが現在の状況であるという。多発性骨髄腫の治療に新戦力 MMの治療戦略として、いかに微小残存病変(MRD)を陰性にさせ、“Therapy off”にするかがポイントとなる。そのため、体内で多発する遺伝子転座の発生をいかに抑制するかが治療のカギとなる。 MMでは、CD38が免疫細胞の形質細胞に高発現し、有用な治療標的とされている。開発されたダラツムマブは、ヒトCD38に結合し、補体依存性細胞傷害活性、抗体依存性細胞傷害活性などの作用で腫瘍の増殖を抑制すると考えられ、CD8陽性細胞傷害性T細胞・CD4陽性ヘルパーT細胞、免疫抑制細胞に影響を及ぼすとされている。 「腫瘍をしっかりと減らし、免疫をつけることができるのがダラツムマブの特徴」と同氏は言う。また、免疫機構が働くことで、「予後の改善にも期待が持てる」と語る。 ダラツムマブでは、2つの臨床試験が行われ、POLLUX試験では、再発または難治性のMM患者(n=569)をDRd(ダラツムマブ、レナリドミド、デキサメタゾン)群とRd(レナリドミド、デキサメタゾン)に分け、無増悪生存期間を評価した。その結果、DRd群はRd群に比べ細胞増殖および死亡のリスクを59%低下させたほか、24ヵ月時点でMRD陰性もDRd群はRd群に比べ大幅に高かったことが示された。また、CASTOR試験では、再発または難治性のMM患者(n=498)をDVd(ダラツムマブ、ボルテゾミブ、デキサメタゾン)群とVd(ボルテゾミブ、デキサメタゾン)に分け、無増悪生存期間を評価した。その結果、DVd群はVd群に比べ細胞増殖リスクを69%低下させたほか、約19ヵ月時点でMRD陰性も先の試験同様にDVd群はVd群に比べ大幅に高かったことが示された。 副作用については、好中球減少症、貧血、血小板減少症、下痢、上気道感染症などが報告されたが重篤なものはなかったという。ただ、ダラツムマブ(ダラザレックス)が点滴薬のために「鼻水、せき、寒気などのアレルギー様の症状が現れる“インフュージョン・リアクション”と呼ばれる症状が現れることもあり、症状によっては注意が必要」と同氏は指摘する。 今後の治療の展望では、ダラツムマブの出現で臨床症状の改善、通院の利便性、服薬への安全性が改善され、患者ニーズをさらに満たしていくと説明するとともに同氏は、「生存期間の延長を現在の段階とすれば、次の段階では早期の新薬適応で治療を、次の段階でMMの寛解を、そして予防まで進めることを期待したい」と抱負を語り、セミナーを終えた。

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カナキヌマブの心血管イベント予防効果、CRP低下がカギ?/Lancet

 米国・ブリガム&ウィメンズ病院のPaul M Ridker氏らは、CANTOS試験の2次解析の結果、「カナキヌマブ投与3ヵ月後の高感度C反応性蛋白(hsCRP)値低下の大きさは、治療継続により最も恩恵が得られそうな患者を特定する簡単な臨床的手段(clinical method)といえるかもしれない」との見解を示すとともに、「カナキヌマブ投与後の炎症反応が低いほど予後良好であることが示唆された」ことを報告した。ヒト型抗ヒトIL-1βモノクローナル抗体のカナキヌマブは、心筋梗塞既往患者を対象としたCANTOS試験において、脂質に影響せず炎症と心血管イベントを抑制することが示されている。しかし、どの患者集団で最も有益なのか、またhsCRP値の低下が個々の患者で臨床的有益性と関連するかどうかは不明であった。Lancet誌オンライン版2017年11月13日号掲載の報告。CANTOS試験の2次解析で検討 CANTOS試験は、心筋梗塞の既往歴があるhsCRP値2mg/L以上の患者1万61例を対象に、カナキヌマブ(50mg、150mg、300mg)またはプラセボの4群に割り付け、標準治療に加えそれぞれを3ヵ月に1回皮下投与した時の、心血管イベント抑制効果を検討した無作為化二重盲検比較試験である。 研究グループは、事前に規定されていた2次解析として、心血管イベント減少とhsCRP低下との関連性を検証した。具体的に、治療中のhsCRP値からみた、カナキヌマブの主要有害心血管イベント(MACE)発生率、心血管死亡率および全死因死亡率に対する影響を、hsCRP値達成と関連するベースライン要因を調整した多変量モデルを用いて評価した。また、残余交絡因子に対処するため複数の感度解析も行った。 追跡期間中央値は3.7年であった。hsCRP値2mg/L未満達成で主要有害心血管イベントが25%減少 ベースラインの臨床的特徴からは、カナキヌマブ治療が心血管系のベネフィットをもたらすのか否かがうかがわれる患者集団は特定されなかった。しかしながら、カナキヌマブ投与群において、初回投与後3ヵ月時にhsCRP値が2mg/L未満を達成した患者は、プラセボ群と比較しMACEの発生が25%減少し(多変量補正後ハザード比[HRadj]:0.75、95%信頼区間[CI]:0.66~0.85、p<0.0001)、一方、hsCRP値が2mg/L以上の患者では有意な減少は確認されなかった(HRadj:0.90、95%CI:0.79~1.02、p=0.11)。 また、hsCRP値2mg/L未満を達成したカナキヌマブ群の患者は、心血管死亡率(HRadj:0.69、95%CI:0.56~0.85、p=0.0004)および全死因死亡率(HRadj:0.69、95%CI:0.58~0.81、p<0.0001)がいずれも31%減少したが、hsCRP値2mg/L以上の患者では有意な減少は認められなかった。 事前に規定された副次心血管エンドポイント(不安定狭心症のための緊急血行再建術による入院を追加)の解析、hsCRP値低下の中央値・hsCRP値50%以上低下・hsCRP値低下率の中央値に基づいた感度解析、投与量別解析、hsCRP目標値に達した患者における治療効果を算出する因果推論法を用いた解析においても、同様の結果が確認された。

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まだBMSを使う理由があるか?(解説:上田恭敬氏)-769

 本試験では、安定狭心症も急性冠症候群も含めた75歳以上のPCI施行患者を対象として、まずDAPTの期間を1〜6ヵ月の間(short DAPT)で臨床的必要性に応じて決めた後に、PCIに使用するステントをDES(Synergy、Boston Scientific)またはBMS(Omega or Rebel、Boston Scientific)に無作為に割り付けた。患者に対しては、「SENIOR stent」の表記で統一することによって、いずれに割り付けられたかわからないようにした(single-blind)。 その結果、複合主要評価項目である1年間のMACCE(全死亡、心筋梗塞、血行再建術、脳卒中)は、12%対16%(p=0.02)とDES群で有意に低値であった。血行再建術(Ischaemia-driven target lesion revascularisation)の差(2%対6%、p=0.0002)が、複合主要評価項目の差につながったと考えられ、出血性イベントも含めて、他のイベント項目に明らかな群間差を認めなかった。 DAPT期間を短縮するためにBMSを使用するという言い訳がよく聞かれるが、今回の試験の結果では、臨床的必要性に応じて短期間のDAPTを施行する高齢者においても、1年の短期成績で判断する限り、BMSを選択する必要はなく、むしろDESのほうが優れていることが示された。「DESでは新生内膜による被覆が不良なためDAPT期間を短くするとステント血栓症のリスクが高くなる」という固定観念は、そろそろ払拭されてもよいのかもしれない。ただし、10年以上の長期成績においてBMSとDESのいずれが優れているかはまた別の問題であり、別に議論されるべきだろう。

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セリチニブ、食事との服用で有効性維持と毒性低減を両立(ASCEND-8)/WCLC2017

 セリチニブ(商品名:ジカディア)750mg空腹時投与は、未治療の進行ALK陽性NSCLCに優れた効果を示すものの、下痢、悪心嘔吐などの消化器症状が発現する。ASCND-8は、ALK陽性NSCLCに対し、セリチニブ450または600mgを低脂肪食と服用した群と、750mgの空腹時服用を比較した無作為化オープンラベル試験。第18回世界肺(WCLC)では、未治療患者における有効性の中間解析と、安全性のアップデート結果について、韓国・Yonsei Cancer CenterのCho BC氏が発表した。 ASCND-8試験の対象は、StageIIIB~IVのALK陽性NSCLC患者(脳転移は許容)で既治療・未治療を含む。24ヵ国70施設から267名の患者が登録され、セリチニブ450mg+低脂肪食群、600mg群+低脂肪食群、750mg群空腹時投与群に均等に割り付けられた。セリチニブ450mg群+低脂肪食群は89例、600mg群+低脂肪食群は87例、750mg群空腹時投与群は91例である。 登録267例中、安全性は265例で分析され、有効性は未治療の121例のみで分析された。全体の追跡期間は14.3ヵ月、有効性評価の対象となる初回治療患者の追跡期間は9.7ヵ月であった。主要評価項目は独立第3者評価機関(BIRC)評価による奏効率(ORR)と奏効期間(DOR)。副次評価項目は、治験担当医によるORRとDOR、BIRCと治験担当医による再発までの期間、DCR、無増悪生存期間(PFS)、および全生存期間である。 主要評価項目であるBIRC評価のORRはセリチニブ450mg+低脂肪食群78.0%、650mg+低脂肪食群75.0%、750mg群空腹時服用群70.0%であった。BICR評価のDORはそれぞれ16.4ヵ月、未到達、10.4ヵ月であった。PFSはそれぞれ17.6ヵ月、未到達、10.9ヵ月であった。 薬剤暴露については450mg+低脂肪食群が3群の中で最も高く、投与量減量は450mg+低脂肪食群が3群の中で最も低かった。 薬剤関連有害事象(AE)頻度は3群でそれぞれ22.5%、29.1%、22.2%と同等であった。AEプロファイルも3群で同様であったが、消化器毒性は450mg+低脂肪食群で顕著に少なかった。450mg+低脂肪食群の消化器毒性は主にGrade1であり、消化器毒性による治療中断も450mg+低脂肪食ではみられなかった。 セリチニブ450mg+低脂肪食群は、750mg空腹時投与群と比べ、減量および中断が少なく治療強度が高く、また消化器AEも少なかった。一方、ORR、DCR、TTRなど有効性は以前の試験と同等の効果を示した。これらの結果から、セリチニブ450mgと低脂肪食の服用は、未治療のALK陽性NSCLCへの新たな治療選択肢となり得ると、Cho BC氏は述べた。■参考ASCEND-8(Clinical Trials.gov)■関連記事アレクチニブ耐性の日本人進行NSCLCへのセリチニブの有効性は(ASCEND-9)/日本肺学会2017セリチニブ、ALK陽性肺がん1次治療に国内適応拡大セリチニブALK陽性肺がんの1次治療に適応拡大:FDAALK陽性NSCLCの1次治療、セリチニブでPFS延長/Lancet

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EGFR変異陽性肺がん、今後の治療シークエンスは?

 EGFR変異陽性進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対するEGFR-TKIの選択肢が増えてきている。これらの薬剤をどう使用すれば、患者さんにとって最大限のベネフィットが得られるのだろうか。2017年10月30日に開催されたアストラゼネカ株式会社主催のメディアセミナーで、関 順彦氏(帝京大学医学部附属病院腫瘍内科 教授)が、開発中の薬剤を含め、各薬剤の無増悪生存期間(PFS)や毒性から、今後の治療シークエンスについて展望した。 現在、EGFR変異陽性進行NSCLCの1次治療として承認されているのは、EGFR-TKIのゲフィチニブ、エルロチニブ、アファチニブの3剤で、これらのPFS中央値はどれも約10~11ヵ月である。これらの薬剤が耐性となった患者の約50%はT790M陽性であり、オシメルチニブが有効である。2次治療でのオシメルチニブの効果を検討したAURA3試験(第III相)において、PFS中央値が10.1ヵ月(対照群のプラチナ製剤+ペメトレキセドは4.4ヵ月)であったことから、1次治療と2次治療を合わせたPFS中央値が約20ヵ月まで延長すると、関氏は説明した。 一方、オシメルチニブの1次治療(未承認)でのPFS中央値は、オシメルチニブと標準治療(ゲフィチニブもしくはエルロチニブ)を比較したFLAURA試験(第III相試験)で18.9ヵ月(標準治療は10.2ヵ月)と9月の欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表された。また、10月の日本肺学会で発表された日本人サブセットにおけるPFS中央値も、19.1ヵ月と全体とほぼ同様の結果であった(標準治療は13.8ヵ月)。 そのほか1次治療として開発されている薬剤では、第2世代EGFR-TKIのdacomitinib のPFS中央値が14.7ヵ月(第III相試験)、エルロチニブとベバシズマブの併用が16.0ヵ月(第II相試験)と報告されている。これらによる1次治療後、T790M陽性の患者に2次治療としてオシメルチニブを使用すると、1次治療と2次治療を合わせたPFS中央値はそれぞれ約25ヵ月と約26ヵ月となり、オシメルチニブによる1次治療のPFS中央値より長い。しかしながら、関氏は、1次治療としてdacomitinibやエルロチニブとベバシズマブの併用を用いた場合、2次治療では約半数にあたるT790M陰性の患者は化学療法を使用せざるを得ないことを指摘した。さらに、オシメルチニブがこれらより忍容性が高いことを強調し、1次治療では「オシメルチニブがまずは標準治療になるべき」とし、「そこからオプションを考えていく治療になるだろう」と述べた。 また、オシメルチニブを1次治療で使用すると分子標的薬のシークエンスができないのではないかとの考えには、オシメルチニブを1次治療の基軸とした開発が進んでいることを紹介し、「近未来的には、オシメルチニブの後に化学療法しか使えないという状況にはならないだろう」と予測した。■関連記事HR0.46、オシメルチニブが1次治療で標準治療を上回る(FLAURA)/ESMO2017オシメルチニブ、FLAURA試験の日本人サブグループ解析/日本肺学会2017オシメルチニブ、EGFR変異陽性NSCLCの1次治療でブレークスルー・セラピーに指定

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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第41回

第41回:終末期を支える5つの薬剤監修:表題翻訳プロジェクト監訳チーム 終末期を過ごす形態は、大きく分けて4種類あると思います。入院医療では、一般病棟か緩和ケア病棟か。在宅医療では、自宅か施設か。緩和ケア病棟やDPC病棟は包括医療費なので、呼吸困難に対するオプソ内服や口腔内分泌に対するアトロピン点眼薬など、日本では保険外使用になっている下記に述べるような医薬品が比較的使いやすい環境です。一方、在宅の看取りに関しては、ケア提供者の経験や熱意が大きく影響します。家族にとっては初めての体験ばかりなので、現状に対する不安よりも、見えない今後に対する不安が大きいことが多いです。こうした点で、実際に身内を自宅で看取ったことのある家族は、大きな力になります。これからの時代は、政策的に施設看取りが求められている印象です。非DPC病棟や在宅医療でも、終末期医療に対する薬が「保険外使用だから」と使いにくい状況が改善されることを望みます。 以下、Am Fam Physician.3月15日号1)より終末期に関わる症状は、急性症状を治療するよりも予防するほうが容易であることが多いため、症状を予防する対策を立てるべきである。嚥下機能が低下してきたら、薬剤は舌下や皮下、直腸坐薬に切り替える。薬は少量から開始し、目的の効果が出るまで増量すべきである。適切な症状コントロールにより、終末期を安静にかつ尊厳を持って、快適に過ごすことができる。疼痛は、最期の1ヵ月頃に50%程度の人に現れる。身体的な痛みだけでなく、精神的、社会的、スピリチュアル面も考慮に入れるべきである。オピオイドは終末期の呼吸困難感や痛みを緩和に用いられる(Evidence rating B:オピオイドを呼吸困難に使用すべき)。せん妄は治療しうる病態により起こることもあり、その病態を特定して治療可能なら治療すべきである。せん妄に対しては、ハロペリドールやリスペリドンが効果的である(Evidence rating C)。嘔気・嘔吐に対しては、原因に即した薬物治療が行われるべきである。予期できる嘔気に対してはベンゾジアゼピンが効果的で、とくにオンダンセトロンは化学療法や放射線治療に伴う嘔気に対し効果的であり、消化管通過障害による嘔気にはデキサメサゾンやハロペリドールを使用すべき(Evidence rating B)であるが、オクトレオチド酢酸塩の効果は限定的である。便秘は痛みや吐き気、不安感、せん妄を引き起こすので、便秘の予防は終末期ケアのとても大切な部分であり、緩下剤を大腸刺激性下剤と併用して使うのが望ましい。熱を下げることは、患者の要望とケアの目標に基づいて行うべきである。口腔内の唾液分泌があると、呼吸する時に呼吸音が大きくなることがあり、死期喘鳴といわれる終末期によくみられる症状である。このことを事前に伝えておくと、家族や介護者の不安は軽減する。また、抗コリン薬は口腔内の分泌を緩やかにするといわれているが、質の高い研究はない。アトロピン点眼薬は、口腔気道分泌液を抑えることができる(Evidence rating C)。終末期を支える代表的な5つの薬剤を以下に挙げる。焦燥感や嘔気を抑えるハロペリドールの舌下熱を下げるアセトアミノフェンの坐薬不安を抑えるロラゼパムの舌下痛みや呼吸困難を抑えるモルヒネの舌下口腔内分泌を抑えるアトロピン点眼薬の舌下※Evidence rating B=inconsistent or limited quality patient-oriented evidence、Evidence rating C=consensus, disease-oriented evidence, usual practice, expert opinion, or case series.※本内容は、プライマリケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。 1) Albert RH. “End-of-Life Care: Managing Common Symptoms” Am Fam Physician. 2017 Mar 15;95:356-361.

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認知症発症と関連する5つの精神症状

 現在、認知症発症リスクのある人を特定するために用いられる主要な臨床マーカーは、認知機能障害や記憶障害である。メキシコ・国立自治大学のIsaac Acosta氏らは、認知症発症と神経精神医学的症状との関連を明らかにするため、検討を行った。Alzheimer's & dementia誌オンライン版2017年10月10日号の報告。 3年間のフォローアップを行ったメキシコの一般集団より、高齢者1,355例を対象としたコホートにおける認知症発症と神経精神医学的症状との関連を分析し、ポアソンモデルを用いて累積発症率をモデル化した。 主な結果は以下のとおり。・認知症発症と関連が認められた神経精神医学的症状は、妄想、幻覚、不安、異常運動行動、うつ病の5つであった。・軽度認知障害、糖尿病、認知機能指標、患者背景で調整したのち、5つの症状のうち2つの症状を有していた場合の相対リスクは1.9(95%CI:1.2~2.9)、3つの症状を有していた場合の相対リスクは3.0(95%CI:1.9~4.8)であった。 著者らは「前認知症において一般的に認められる神経精神医学的症状は、認知症発症のリスク因子である可能性がある」としている。■関連記事なぜ、フィンランドの認知症死亡率は世界一高いのかどのくらい前から認知症発症は予測可能かたった2つの質問で認知症ルールアウトが可能

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新型インフルエンザ対策の最前線

 2017年11月5日、厚生労働省は都内において、「新型インフルエンザ対策に関する研修」を開催した。当日は、新型インフルエンザの疫学、治療ガイドライン、感染対策、行政の動向について4名の演者による講演が行われた。急がれるH7N9ワクチン はじめに「鳥インフルエンザの疫学について」をテーマに小田切 孝人氏(国立感染研インフルエンザウイルス研究センター WHOインフルエンザ協力センター センター長)が、鳥インフルエンザの動向、最新の知見を解説した。 インフルエンザAタイプは人獣共通感染症であり、野生のツルやカモなどの水禽類が宿主となっている。このタイプは、ヒト、トリ、ブタ間でも感染し、現在トリではH5N1、H5N6、H7N9、H9N2が、ブタではH1N2v、H3N2vがヒトに感染することがわかっている。とくに患者数が多かったH5N1は、その数が減少する傾向にあるものの、高病原性ゆえに致命率は53%と高いという。 問題は、突然変異によるパンデミックポテンシャルをウイルスが持っていることであり、トリがこうしたウイルスを獲得していないかどうか、常に監視する必要があると警告する。 ワクチンについては、世界保健機関(WHO)がインフルエンザウイルスのリスト化とワクチン株の保存を行い、日本、米国、英国の施設で新型インフルエンザワクチン製造株を作製・提供を実施しており、中国でも開発中であるという。 その中国では、2013年より鳥インフルエンザ H7N9が流行。2017年8月31日時点で、1,531例の感染例(うち死亡604例)と高い致命率(39.5%)が報告された。また、旅行など人の移動が感染拡大を助長したこと、高齢者の感染例が多いことも報告された(H5N1は青年に多かった)。 H7N9は、飛沫感染する例も動物実験で報告され、ワクチンの開発が急がれているが、予防接種の免疫獲得が低いことや免疫細胞に認識されないなどの問題があり、現在も研究が続けられている。 最後に、日本で中国のようなアウトブレイクが起きるかどうかについて、「わが国の検疫対応をみると発生しないだろう」と現状からの予測を語り、レクチャーを終えた。新型インフルエンザには抗ウイルス薬の使用をためらわない 次に川名 明彦氏(防衛医科大学校 感染症・呼吸器内科 教授)が、「成人の新型インフルエンザ治療ガイドライン改訂の方向性について」をテーマに解説を行った。 2014年3月に現在の治療ガイドラインが発行され、現在は改訂(第2版)の最終段階であり、12月中には最新のガイドラインが発行されるとの見通しを述べた。 ガイドラインで示される治療の範囲は、入院診療の治療がメインとなり、とくに意識障害、肺炎の有無別による治療にページが割かれるという。また、予想される新型インフルエンザの臨床像は、過去のインフルエンザの事例、鳥インフルエンザの重症例、季節性インフルエンザの重症例などから検討され、インフルエンザ肺炎の中でも原発性、混合性、二次性の大きく3つに分けた治療が記されるという。 現在、日本で使用できる抗ウイルス薬には、オセルタミビル(商品名:タミフル)、ザナミビル(同:リレンザ)、ラニナミビル(同:イナビル)、ペラミビル(同:ラピアクタ)の4種がある。治療では、米国疾病管理予防センター(CDC)の原則に沿い、早期投与が勧められているほか、入院患者、2歳以下の小児、65歳以上の高齢者、循環器や代謝異常などの既往症、免疫抑制状態、妊婦(出産後2週間以内も含む)、病的肥満(BMI 40以上)、長期療養施設に入所など、ハイリスク患者には可能な限り早期に投与するとしている。 症状が、軽症、中等症、肺炎合併がない場合の新型インフルエンザの治療では、季節性インフルエンザと同じ治療としつつ、肺炎を合併した場合は、できるだけ早く抗ウイルス薬の投与を示している。とくに重症例ではペラミビルの選択、増量や投与期間の延長、ファビピラビル(同:アビガン)との併用も考慮するとしている(ただしファビピラビルは妊婦または妊娠している可能性のある婦人へは投与しない)。 新型インフルエンザ肺炎への細菌感染の合併例については、頻度の高いものとして肺炎球菌、黄色ブドウ球菌などのウイルス細菌混合性肺炎と、緑膿菌、アシネトバクターなどの二次性細菌性肺炎を挙げ、入院を要する症例ではただちに抗菌薬療法を開始する。そして抗菌薬の選択はガイドラインを参考に行い、病原体確定後に、より適切な抗菌薬へde-escalationすることとしている。その他の薬物療法として副腎皮質ステロイド薬は、ウイルス性肺炎では喘息合併に限り重症化を抑制するほか、細菌性肺炎では敗血症性ショック時の相対的副腎不全に低容量で有効とされている。また、マクロライド系薬は、細菌性肺炎の重症化例で予後を改善するとの報告がある。 肺炎時の呼吸管理では、人工呼吸を躊躇しないで使用するほか、悪化または改善がみられない場合は、特殊な人工呼吸法(ECMO)の導入やより専門的な施設への転送をするとしている。 インフルエンザ肺炎の重症度評価では、PSI、A-DROP、CURB-65などの市中肺炎の重症度評価法よりも、重症度が過小評価されることに注意が必要と指摘する。 最後に、川名氏は「“新型インフルエンザ”の病態は未知であるが、病原性の高いインフルエンザの出現を想定し、準備する必要がある。ガイドラインも、出現時にはウイルスの特徴に応じてただちに再検討する必要がある」とまとめ、レクチャーを終えた。感染対策は手指衛生と予防接種が大事 次に加藤 康幸氏(国立国際医療研究センター 国際感染症センター国際感染症対策室 医長)が、「感染対策について」をテーマに解説を行った。 インフルエンザの院内感染の特性は、新型も季節性も、新生児、骨髄移植患者、長期療養型病棟で致死率の高い流行を起こすことがあり、医療従事者においては患者からの感染と患者の感染源になるという2つのリスクがあると説明する。そして、新型インフルエンザ流行時には、感染被害の軽減と封じ込めの同時進行が必要であり、過去の拡大例を検証すると、医療従事者から患者への飛沫感染対策は重要であるという。 そして、医療機関における具体的な感染対策としては、「感染源対策」「患者・職員の健康管理」「感染経路の遮断」の3つが必要とされ、CDCの推奨でも予防接種、患者との接触を減らす、標準予防策の順守、飛沫予防策の順守、訪問者の制限なども掲げられ、実践されることが期待される。 とくに飛沫感染対策・咳エチケットとして、医療機関の入口での注意の掲示、1m以上の距離を隔てた待合用の座席、待合室の手近な場所への手指衛生設備の設置などが必要となる。同様に、医療スタッフへの指導では、個人防護具(手袋、ガウン、シールド付きサージカルマスクなど)の装着・脱着の研修は有効であるという。 最後に加藤氏は「院内感染対策では、手指衛生と(患者、医療従事者の)予防接種の2つが有効とされている。新型インフルエンザの対策も、季節性インフルエンザの延長にあると考え、流行に備えてもらいたい」と語り、解説を終えた。新型インフルエンザではWeb情報も活用を! 最後に、厚生労働省の海老名 英治氏(健康局結核感染症課 新型インフルエンザ対策推進室 室長)が「行政動向について」をテーマに、新型インフルエンザ対策の法令、ワクチンの備えに関して説明を行った。 新型インフルエンザへの対策は、水際での侵入阻止と早期封じ込めによる感染拡大の抑制と流行規模の平坦化、それと同時にワクチンの開発、生産、接種によって流行のピークを下げること、医療への負荷を減らすことであるという。 2012年5月に「新型インフルエンザ等対策特別措置法」が公布され(施行は2013年6月)、流行時の各種対策の法的根拠が明確化された。具体的には、体制整備として国・地方公共団体の行動計画や訓練、国民への啓発のほか、流行発生時の対策本部の設置、特定接種の指定などが決められ、「新型インフルエンザ等緊急事態」発生の際の措置では、外出自粛要請、興行場等の制限などの要請・指示、住民への予防接種の実施、医療提供体制の確保、緊急物資の運送の要請・指示などの規定が挙げられる。 また、国のインフルエンザ対策として、時間軸で海外発生期、国内発生早期、国内感染期、小康期の4つに区切り、各段階で(1)実施体制、(2)サーベイランス・情報収集、(3)情報提供・共有が行われると説明を行った。 現行の被害想定はいずれも最大数で、罹患者を人口の25%、医療機関受診者を約2,500万人、入院者を約200万人、死亡者を約64万人、欠勤者を従業員の約40%とし、抗インフルエンザウイルス薬の備蓄は人口の45%を目標としている(2017年7月時点の有識者会議で、全人口の25%が罹患するとして再検討されている)。また、「これら抗ウイルス薬の備蓄方針、季節性インフルエンザとの同時流行時の規模や重症患者への倍量・倍期間治療、予防投与についても、省内の厚生科学審議会で継続的に審議されている」と説明する。 最後に海老名氏は、「審議会などの新しい情報も厚生労働省のウェブサイトなどを通じて日々発信しているので、新型インフルエンザの対策ではこれらも参考に準備をしていただきたい」と述べ、説明を終えた。■参考厚生労働省 インフルエンザ(総合ページ)内閣官房 新型インフルエンザ等対策厚生労働省 セミナー当日の配布資料

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リバーロキサバン、下肢末梢動脈疾患に効果/Lancet

 安定末梢動脈/頸動脈疾患患者に対する1日2回投与の低用量リバーロキサバン(商品名:イグザレルト)+アスピリン1日1回の併用投与は、アスピリン単独投与に比べ、主要有害心血管・下肢イベントリスクを有意に低減することが、カナダ・マックマスター大学のSonia S. Anand氏らによる無作為化プラセボ対照二重盲検試験で示された。大出血は増大したが、致死的出血や重大臓器の出血は増大せず、著者は、「この併用療法は、末梢動脈疾患患者の治療において重大な進化を意味するものだ」と述べている。なお、リバーロキサバン単独(5mg)ではアスピリン単独と比べて、主要有害心血管イベントは有意に低減せず、主要有害下肢イベントは低減したが大出血の増大が認められたという。Lancet誌オンライン版2017年11月10日号掲載の報告。7,470例を3群に分けアウトカムを比較 研究グループは2013年3月12日~2016年5月10日に、6大陸33ヵ国602ヵ所の医療機関(病院、クリニック、コミュニティ診療所[community practices])を通じて試験を行った。下肢末梢動脈疾患歴(末梢動脈バイパス術または血管形成術、手足切断術、末梢動脈疾患の客観的エビデンスを伴う間欠性跛行のいずれかを既往)、頸動脈疾患歴(頸動脈血行再建術または50%以上の無症候性頸動脈狭窄がある患者)、または足関節上腕血圧比(ABI)0.90未満の冠動脈疾患歴がある患者を対象とした。 30日間のrun-in期間の後、558施設からの登録被験者7,470例を無作為に3群に分け、リバーロキサバン(2.5mg)1日2回とアスピリン(100mg)1日1回(併用群)、リバーロキサバン(5mg)1日2回とプラセボ1日1回(リバーロキサバン単独群)、アスピリン(100mg)1日1回とプラセボ1日2回(アスピリン単独群)を、それぞれ経口投与した。 主要アウトカムは、心血管死、心筋梗塞、脳卒中の発生だった。また、主要末梢動脈疾患アウトカムは、大切断術を含む主要有害下肢イベントとした。低用量+アスピリン投与にベネフィット 治療期間中央値は、21ヵ月だった。主要複合エンドポイント発生率は、アスピリン単独群が7%(174/2,504例)だったのに対し、併用群は5%(126/2,492例)と有意に低かった(ハザード比[HR]:0.72、95%信頼区間[CI]:0.57~0.90、p=0.0047)。また、大切断術を含む主要有害下肢イベントも、各群2%、1%で、併用群が有意に低かった(HR:0.54、95%CI:0.35~0.82、p=0.0037)。 一方、リバーロキサバン単独群の主要複合エンドポイント発生率は6%(149/2,474例)で、アスピリン単独群に比べ有意な低下は認められなかった(HR:0.86、95%CI:0.69~1.08、p=0.19)。しかし、大切断術を含む主要有害下肢イベント発生率は2%(40例)で、アスピリン単独群2%(60例)に比べ有意に低かった(HR:0.67、95%CI:0.45~1.00、p=0.05)。 大出血イベントの発生率は、アスピリン単独群2%(48例)に対し、併用群は3%(77例)と有意に高率だった(HR:1.61、95%CI:1.12~2.31、p=0.0089)。同様に、リバーロキサバン単独群の同発生率は3%(79例)で、アスピリン単独群に比べて有意に高率だった(HR:1.68、95%CI:1.17~2.40、p=0.0043)。ただし、治療群間のいずれの比較においても、致死的出血・非致死的頭蓋内出血・重大臓器出血について差はみられなかった。

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発症後6時間超でも血栓除去術は有益か/NEJM

 急性虚血性脳卒中で、症状が現れてから6~24時間が経過しているが臨床的障害と梗塞体積の重症度が一致しない患者については、標準的治療だけでなく、血栓除去術を合わせて行ったほうが90日後の障害アウトカムが良好であることが明らかにされた。米国・エモリー大学のR.G.Nogueira氏らが、206例を対象に行った無作為化試験で示された。虚血性脳卒中発症後6時間超の血栓除去術については、これまでそのベネフィットは明らかにされていなかった。NEJM誌オンライン版11月11日号掲載の報告。90日後の質調整mRSを比較 研究グループは2014年9月~2017年2月にかけて、急性虚血性脳卒中を発症し、頭蓋内内頸動脈または中大脳動脈近位部に閉塞があり、6~24時間前には症状がなかった、臨床的障害と梗塞体積の間の重症度にミスマッチが認められた患者206例を登録して試験を行った。ミスマッチの基準は年齢(80歳未満または80歳以上)で定義した。 被験者を無作為に2群に割り付けて、一方には血栓除去術と標準的治療を(血栓除去群107例)、もう一方には標準的治療のみを行った(対照群99例)。 主要エンドポイントは、90日時点における有用性加重mRS:modified Rankin Scale(範囲:0[死亡]~10[症状または障害なし])での平均障害スコアと、mRSで定義した機能的自立(スコア0/1/2、スコア範囲は0~6で高得点ほど障害が重度であることを示す)の患者割合との複合だった。平均障害スコア、機能的自立患者の割合ともに血栓除去群で良好 試験は開始後31ヵ月で、事前規定した中間解析の結果に基づき中止となった。 90日時点における有用性加重mRSによる平均障害スコアは、対照群3.4だったのに対し、血栓除去群は5.5と有意に高かった(ベイズ解析による補正後群間差:2.0ポイント、95%確信区間[credible interval]:1.1~3.0、優越性事後確率>0.999)。90日時点の機能的自立患者の割合も、対照群13%に対し、血栓除去群は49%と高率だった(同:33ポイント、同:24~44、同>0.999)。 一方、頭蓋内出血の発症率は、対照群3%に対し血栓除去群は6%で有意な差はなかった(p=0.50)。90日死亡率も、それぞれ18%、19%で有意な差はなかった(p=1.00)。

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糖尿病医と循環器医の連携を考える

 2017年11月17日、都内にて「糖尿病患者さんの合併症予防・進展リスク低減に向けた糖尿病・循環器領域の連携の重要性と現状」と題するセミナー(主催:サノフィ株式会社)が開かれた。 演者のローレンス・A・レイター氏(セント・マイケルズ病院 内分泌学・代謝学/トロント大学 医学・栄養学 教授)は、循環器医のもとに運ばれてくる患者に糖尿病が隠れている可能性に触れ、糖尿病・循環器領域の連携の必要性や脂質管理の重要性について語った。 以下、セミナーの内容を記載する。急性心筋梗塞患者の約3割に、未診断の糖尿病 糖尿病の死因第1位は心血管疾患だが、糖尿病と気付かれずに心血管イベントを発症する患者さんも、実は多いのかもしれない。ある研究では、急性心筋梗塞を発症した糖尿病既往のない患者200例を、あらためて検査したところ、27%が糖尿病、39%は耐糖能異常を有していたことが明らかとなっている。循環器医のもとに運ばれてくる患者の中には、かくれ糖尿病が存在しているのかもしれない。かくれ糖尿病を見つけ出すのは難しいが、少なくともすでに糖尿病と診断されている患者さんは積極的に治療する必要があるだろう。糖尿病治療は、多元的アプローチが主流 その際の代表的な治療ターゲットはHbA1c値だが、ACCORD試験などをきっかけに、従来の血糖値を下げるだけの治療は見直されてきた。現在は、血糖値だけではなく、血圧、肥満、運動、脂質、禁煙などの複合的管理が主流だ。 米国糖尿病協会(ADA)も、「生活習慣の改善」「血糖コントロール」「血圧」「抗血小板療法」「脂質異常症の管理」などの多元的アプローチを推奨しており、すでに高い有用性が認められている。糖尿病患者の脂質管理は、世界的に厳格な方向へ このうち、「脂質異常症の管理」について、日本と海外との違いをみていく。日本における糖尿病患者のLDL-C管理目標値は、1次予防で120mg/dL未満、2次予防で100mg/dL未満だが、海外ではどうか。2017年、米国臨床内分泌学会(AACE)は新しいカテゴリーとして「Extreme risk群」を設け、糖尿病患者の2次予防においては、55mg/dL未満という目標値を掲げた。レイター氏の祖国であるカナダでも、糖尿病の罹病期間が長い患者は77mg/dL未満が目標値だ。糖尿病患者の脂質管理は、世界的に、より厳格な方向へシフトしている。 しかし、スタチン単独で目標値に到達できない糖尿病患者が多いのも事実だ。この点で、いまPCSK9阻害薬の有用性が注目されている。糖尿病患者におけるPCSK9阻害薬の有用性 糖尿病患者を対象にしたODYSSEY DM INSULIN試験において、PCSK9阻害薬であるアリロクマブ(商品名:プラルエント)の有用性が示されている。試験対象は、心血管イベントリスクが高く、スタチン最大用量で治療されている脂質異常症患者でインスリン治療中でもある糖尿病患者517例。主要アウトカムの「2型糖尿病患者のLDL-C変化率」は、アリロクマブ群がプラセボ群に比べて、49%の低下を示した(p<0.0001)。インスリン併用による新規の有害事象も報告されていない。この試験は、PCSK9阻害薬の糖尿病患者における有用性が示された点で意義深いといえる。診療科を越えた包括的治療が求められる 糖尿病患者の脂質管理が心血管イベント抑制につながることは、過去の大規模臨床試験からも明らかである。この点でPCSK9阻害薬は、イベント抑制を考慮した治療手段として有用だろう。さらに最近では、新規血糖降下薬による心血管イベント抑制効果が、複数報告されてきている。今後いっそう糖尿病、循環器といった、診療科を越えた包括的治療が求められる。 演者のレイター氏は、「糖尿病患者の心血管イベントリスク抑制のためにどのような治療選択が望ましいか、日本でも診療科を越えたさらなる議論が必要となるだろう」と述べ、講演を終えた。

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