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潰瘍性大腸炎治療で経口投与可能なα4インテグリン阻害薬「カログラ錠120mg」【下平博士のDIノート】第107回

潰瘍性大腸炎治療で経口投与可能なα4インテグリン阻害薬「カログラ錠120mg」今回は、α4インテグリン阻害薬「カロテグラストメチル錠(商品名:カログラ錠120mg、製造販売元:EAファーマ)」を紹介します。本剤は、経口投与可能な潰瘍性大腸炎治療薬であり、新たな寛解導入療法の選択肢として期待されています。<効能・効果>中等症の潰瘍性大腸炎(5-アミノサリチル酸製剤による治療で効果不十分な場合に限る)の適応で、2022年5月25日に薬価収載され、5月30日より発売されています。<用法・用量>通常、成人にはカロテグラストメチルとして1回960mg(8錠)を1日3回、食後に経口投与します。8週間投与しても、臨床症状や内視鏡所見などによる改善効果が得られない場合は、本剤の継続の可否も含めて治療法を再考します。なお、本剤と同一の機序を有する他剤において、進行性多巣性白質脳症(PML)の発現が報告されています。発現リスクを低減するため、投与期間は6ヵ月までとし、6ヵ月以内に寛解に至った場合はその時点で投与を終了します。本剤による治療を再度行う場合は、投与終了から8週間以上の間隔を空けます。<安全性>第II相試験および第III相試験の併合解析において、臨床検査値異常を含む副作用は、本剤投与群259例中48例(18.5%)で報告されました。主な副作用は、上咽頭炎5例(1.9%)、白血球数増加(4例)、頭痛、血中乳酸脱水素酵素増加各3例(1.2%)、腹部不快感、肝機能異常、発疹、関節痛、発熱各2例(0.8%)などでした。なお、重大な副作用として、進行性多巣性白質脳症(頻度不明)が設定されています。本剤投与中または投与終了後に意識障害、認知障害、麻痺症状(片麻痺、四肢麻痺)、言語障害などの症状が現れた場合は、MRIによる画像診断および脳脊髄液検査を行うとともに、投与を中止し、適切な処置を行います。<患者さんへの指導例>1.本剤は、過剰な免疫反応を抑えて腸管の炎症を抑えることで、潰瘍性大腸炎の症状を改善します。2.感染症にかかりやすくなったり悪化したりする場合があります。発熱、寒気、体がだるいなどの症状が現れた場合はご連絡ください。3.痙攣、意識の低下、意識の消失、しゃべりにくい、物忘れをする、手足の麻痺などの症状が現れた場合はご連絡ください。<Shimo's eyes>潰瘍性大腸炎は慢性の炎症性疾患であり、炎症が生じて症状が現れる「活動期」と症状が治まっている「寛解期」を繰り返すため、長期に渡る薬物療法が必要です。活動期の寛解導入治療として、軽症~中等症では経口5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤が第1選択薬として広く使用されていて、効果不十分の場合は局所製剤(坐剤、注腸剤)の併用や経口ステロイド薬が用いられます。難治例では血球成分除去療法や免疫抑制薬、抗体製剤(抗TNFα抗体製剤、抗α4β7インテグリン抗体製剤、抗IL-12/23p40抗体製剤など)、あるいはヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬などが選択されます。本剤は、世界初の経口投与可能なα4インテグリン阻害薬であり、α4β1インテグリン、α4β7インテグリンの双方に作用し、大腸粘膜の病変部位に認められる炎症性細胞の過度な集積・浸潤を抑制することで、潰瘍性大腸炎の症状を抑えます。5-ASA製剤による適切な治療を行っても疾患に起因する明らかな臨床症状が残る中等症の患者に投与されます。活動期の炎症を抑える寛解導入療法に用いられる薬剤であり、再燃を防ぐ維持療法としては使用できないことに注意が必要です。なお、本剤と他の免疫抑制薬の併用について臨床試験は実施されていないので併用を避ける必要があります。既存のインテグリン阻害薬としては、中等症~重症患者に使用される抗α4β7インテグリン抗体製剤のベドリズマブ点滴静注用(商品名:エンタイビオ)があります。点滴を受けることが負担となっている患者にとって、本剤は大きなメリットがあると考えられます。服薬指導では、本剤はリンパ球の遊走を阻害するため、感染症に対する免疫能に影響を及ぼす可能性があるので、感染症の兆候が現れたらすぐに連絡するように伝えましょう。1回8錠を1日3回、つまり1日24錠を服用しなければならないので、アドヒアランス低下にも注意が必要です。

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中等症以上のクローン病に対する維持療法におけるリサンキズマブの有用性:第III相試験の結果 (解説:上村直実氏)

 クローン病の治療においては、病気の活動性をコントロールして患者の寛解状態をできるだけ長く保持し、日常生活のQOLに影響する狭窄や瘻孔形成などの合併症の治療や予防が非常に重要である。最近、活動性とくに中等症から重症のクローン病に対しては、生物学的製剤により寛解導入したのち、引き続いて同じ薬剤で寛解維持に対する有用性を検証する臨床試験が多い。 今回、アジアも含めた44ヵ国で行われた国際共同試験でIL-23 p19阻害薬であるリサンキズマブの静脈内投与によりクローン病の寛解導入に有用性を示す結果を得たADVANCE試験とMOTIVATE試験において臨床効果が認められた患者を対象としてリサンキズマブ皮下投与の52週間維持療法の有効性と安全性を検証した第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験(FORTIFY試験)の結果が2022年5月のLancet誌に掲載された。 本研究におけるクローン病の病勢を評価する方法は先行したADVANCE試験と同じく厳密なものである。52週目の内視鏡的改善度を主要評価項目として、従来から使用されているクローン病活動指数(CDAI)と便の回数や腹痛の回数など患者の訴えに加えて炎症性バイオマーカーである高感度CRPと便中カルプロテクチンを用いている。厳密な内視鏡的な評価によって寛解維持における有用性が確認されたことは、クローン病治療で重要な寛解維持の期間をできるだけ長く保ち、生活のQOLを高めることにつながる可能性を示唆する点で重要である。今後、クローン病や潰瘍性大腸炎に対する寛解維持療法の有用性を検証する場合には臨床的寛解に加えて内視鏡検査と生検による組織学的検査および炎症性バイオマーカーが必須となると思われる。 安全性に関して炎症性腸疾患や慢性関節リウマチなど自己免疫性疾患に対する新規薬剤のリスクとして結核やB型肝炎ウイルスの再活性化が周知されつつあるが、同類の薬剤として先行してクローン病の治療に用いられているウステキヌマブの臨床治験の経過中に前立腺などのがんが認められたとの報告もあり、生物学的製剤の長期使用に関しては感染症および悪性疾患の発生には十分に注意する必要がある。

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中等症から重症のクローン病の寛解導入に対するリサンキズマブの有用性:第III相試験の結果(解説:上村直実氏)

 クローン病や潰瘍性大腸炎など炎症性腸疾患の治療は生物学的製剤の出現により大きく変化している。しかし、中等度以上の活動性を有するクローン病症例の中には、生物学的製剤の効果が得られない患者、時間の経過と共に効果が消失する患者、あるいは副作用により治療が中断される患者が少なくなく、いまだに新たな作用機序を有する治療薬の追加が求められているのが現状である。 わが国で乾癬などに対して2019年から承認され使用されている、IL-23p19阻害薬のリサンキズマブのクローン病寛解導入に対する有用性を明らかにした第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験(ADVANCE試験とMOTIVATE試験)の結果が、2022年5月のLancet誌に掲載された。この2つの試験は適格条件の違いがあるものの、従来型の治療ないしは生物学的製剤の効果が不十分であった中等度以上の活動性クローン病患者を対象としたRCTで、12週後のリサンキズマブ群の臨床的寛解率と内視鏡的奏効率がプラセボ群に比して有意に高率であり、一方、有害事象の発生率はプラセボと同等であったと報告されている。この結果は、既存の生物学的製剤を用いても寛解導入に難渋している患者に対する大きな福音と思われる。 最近、クローン病治療に関する臨床研究におけるエンドポイントは、従来のクローン病活動指数(CDAI)に加えて内視鏡的効果を主要評価とするものが主流となりつつある。すなわち、クローン病治療のパラダイムシフトを反映し、再発リスクの低減、入院率の低下、ステロイドフリーの増加、腸管切除の減少など長期的な予後の改善に関連する内視鏡的治癒を治療目標とする試験が増えている。本研究はCDAI、便の回数、腹痛スコア、および全患者の中央判定による内視鏡的評価を網羅しており、今後、評価方法のモデルとなるかもしれない。 一方、リサンキズマブの臨床的寛解率は40%であり、今後、反応性の予測因子に関する分析が重要である。IL-12とIL-23を標的とするデュアル阻害剤であるウステキヌマブと異なり、リサンキズマブはIL-23p19に対する選択的なモノクローナル抗体である。リサンキズマブの有効性と安全性を検証するために、異なる作用機序を有する他の生物学的製剤と比較する試験が必要であり、現在進行中であるリサンキズマブとウステキヌマブの効果を検討する試験(SEQUENCE、NCT04524611)の結果が注目される。

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潰瘍性大腸炎の寛解導入および維持療法における低分子医薬品ウパダシチニブの有用性 (解説:上村直実氏)

 潰瘍性大腸炎(UC)の治療は生物学的製剤や低分子化合物の出現により大きく変化している。すなわち、抗TNF阻害薬、インターロイキン阻害薬ウステキヌマブ、インテグリン拮抗薬ベドリズマブ、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬のトファシチニブやフィルゴチニブなど新規薬剤の出現で難治性UCが次第に少なくなってきている。しかし、中等度以上の活動性を有するUC症例の中にはいまだに十分な効果が得られない患者や副作用により治療が中断される患者が少なくなく、次々に新たな作用機序を有する治療薬の追加が求められているのが現状である。 今回、新たな経口低分子化合物でJAK1選択的阻害薬であるウパダシチニブの中等度から重度UC患者を対象とした2本の寛解導入試験と引き続き施行された寛解維持試験の結果、UCの寛解導入および寛解維持に対するウパダシチニブの有効性と安全性が示された論文が2022年5月のLancet誌に掲載された。 本研究で特記すべきは有用性を検証した評価項目である。従来の臨床研究において病勢の推移に使用されてきたMayoスコア(排便回数、血便、内視鏡的粘膜所見、医師による全般評価)から主観性の高い医師による全般評価を除き内視鏡的所見と組織学的所見の評価に重点を置いたAdapted Mayoスコアを用いて、さらに粘膜の炎症状態を把握する高感度CRPと便中カルプロテクチンや患者の治療方針に影響する腸管切迫感や腹痛を新たに含む評価としている。客観的で厳密なアウトカムの評価は、試験結果の信ぴょう性を高くして、一般診療現場における有用性を期待できるものとなり、今後の臨床試験での評価モデルとなる可能性が示唆された。 JAK阻害薬であるウパダシチニブ、トファシチニブおよびフィルゴチニブは、わが国の一般診療で慢性関節リウマチ(RA)に対して比較的長い間使用されているが、UCやRAなど自己免疫性疾患に対する新規薬剤のリスクとして結核やB型肝炎ウイルスの再活性化はよく知られており、長期使用に関しては感染症および悪性疾患の発生には留意する必要がある。そのほか、血管血栓症や帯状疱疹の発生リスク上昇の可能性、進行性多巣性白質脳疾患(PML)の発現も報告されており、薬理作用に精通した患者管理が重要である。

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ウパダシチニブ、中等~重症の潰瘍性大腸炎に高い有効性/Lancet

 中等症~重症の活動期潰瘍性大腸炎(UC)の治療において、経口選択的ヤヌスキナーゼ1(JAK1)阻害薬ウパダシチニブはプラセボと比較して、導入療法および維持療法として高い有効性と優れた安全性を有し、有望な治療選択肢となる可能性があることが、イタリア・University Vita-Salute San RaffaeleのSilvio Danese氏らの検討で示された。研究の成果は、Lancet誌2022年6月4日号で報告された。3つの無作為化試験の第III相試験 本研究は、2つの導入療法試験(U-ACHIEVE substudy 2[UC1]、U-ACCOMPLISH[UC2])と、1つの維持療法試験(U-ACHIEVE substudy 3[UC3])から成る二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、UC1に39ヵ国199施設が、UC2に40ヵ国204施設が参加し、これらの試験で臨床的改善(Adapted Mayoスコアに基づく)が達成された患者を対象とするUC3には35ヵ国195施設が参加した(AbbVieの助成を受けた)。 導入療法試験では、年齢16~75歳で、少なくとも90日間が経過した中等症~重症の活動期UC患者(Adapted Mayoスコア:5~9、内視鏡サブスコア:2~3)が、ウパダシチニブ(45mg、1日1回)またはプラセボの経口投与を受ける群に、2対1の割合で無作為に割り付けられた。維持療法試験では、導入療法試験で8週後に臨床的改善が達成された患者が、ウパダシチニブ15mg、同30mg、プラセボの経口投与を受ける群に、1対1対1の割合で再び無作為に割り付けられ、52週の投与が行われた。 主要エンドポイントは、導入療法試験は8週後、維持療法試験は52週後の臨床的寛解(Adapted Mayoスコア≦2、Mayo排便回数サブスコア[SFS]≦1でベースラインより多くない、直腸出血スコア[RBS]=0、内視鏡サブスコア≦1で粘膜の脆弱性を伴わない)とされた。臨床的寛解:UCIは26%、UC2は33%、UC3は42%/52% UC1では、2018年10月~2020年9月の期間に、ウパダシチニブ45mg群に319例、プラセボ群に155例が、UC2では、2018年12月~2021年1月の期間に、それぞれ345例および177例が割り付けられた。UC3では、導入療法で8週後に臨床的改善が得られた451例(第IIb相試験から21例、UC1から278例、UC2から152例)が登録され、ウパダシチニブ15mg群に148例、同30mg群に154例、プラセボ群には149例が割り付けられた。 導入療法試験で臨床的寛解が達成された患者の割合は、ウパダシチニブ45mg群(UC1:26%[83/319例]、UC2:33%[114/341例])がプラセボ群(UC1:5%[7/154例]、UC2:4%[7/174例])に比べ、統計学的に有意に高かった(補正後群間差:UC1:21.6%、95%信頼区間[CI]:15.8~27.4、p<0.0001、UC2:29.0%、23.2~34.7、p<0.0001)。 また、維持療法試験で臨床的寛解が達成された患者の割合は、ウパダシチニブ群(15mg群:42%[63/148例]、30mg群:52%[80/154例])がプラセボ群(12%[18/149例])に比し、統計学的に有意に優れた(補正後群間差:プラセボ群と15mg群の比較: 30.7%、95%CI:21.7~39.8、p<0.0001、プラセボ群と30mg群の比較:39.0%、29.7~48.2、p<0.0001)。 UC1で報告の頻度が高かった有害事象は、鼻咽頭炎(ウパダシチニブ45mg群5% vs.プラセボ群4%)、クレアチンホスホキナーゼ値上昇(4% vs.2%)、ざ瘡(5% vs.1%)であった。UC2では、ざ瘡(7% vs.2%)の報告が多かった。また、2つの導入療法試験のいずれにおいても、重篤な有害事象(UC1:3% vs.6%、UC2:3% vs.5%)および投与中止の原因となった有害事象(UC1:2% vs.9%、UC2:2% vs.5%)の発現率は、ウパダシチニブ45mg群よりもプラセボ群で高かった。 UC3では、潰瘍性大腸炎の悪化(ウパダシチニブ15mg群13% vs.同30mg群7% vs.プラセボ群 30%)、鼻咽頭炎(12% vs.14% vs.10%)、クレアチンホスホキナーゼ値上昇(6% vs.8% vs.2%)、関節痛(6% vs.3% vs.10%)、上気道感染症(5% vs.6% vs.4%)の報告が多かった。また、重篤な有害事象(7% vs.6% vs.13%)と投与中止の原因となった有害事象(4% vs.6% vs.11%)の発現率は、いずれも2つの用量のウパダシチニブ群がプラセボ群に比べ低かった。 がん、中央判定による主要有害心血管イベント、静脈血栓塞栓症の報告はまれで、治療関連死はみられなかった。 著者は、「ウパダシチニブは経口投与の低分子化合物であるため、服薬順守の向上や免疫原性がないことなど、生物学的治療にさまざまな利益を付加する可能性がある」としている。

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抗TNFα抗体製剤治療中のIBD患者、2回目の新型コロナワクチン接種後の免疫応答が低下

 抗TNFα抗体製剤は、炎症性腸疾患(IBD)などの免疫介在性炎症性疾患の治療に頻繁に用いられる生物学的製剤の1つだ。これまで抗TNFα抗体製剤は、肺炎球菌やインフルエンザワクチン接種後の免疫応答を減弱させ、重篤な呼吸器感染症リスクを増加させることが知られていた。しかし、SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)ワクチンに対するデータは不足していた。英国・Royal Devon and Exeter NHS Foundation TrustのSimeng Lin氏らは、インフリキシマブ(抗TNFα抗体製剤)またはベドリズマブ(腸管選択的抗α4β7インテグリン抗体製剤)で治療中のIBD患者において、2回目の新型コロナウイルスワクチン接種後の抗体濃度やブレークスルー感染の頻度を比較した。Nature Communications誌2022年3月16日号の報告。 研究グループは、2020年9月22日~12月23日の間に、英国の92医療機関に来院したIBD患者7,226例を連続して登録した。そのうち新型コロナウイルス感染歴のないインフリキシマブ治療中の2,279例とベドリズマブ治療中の1,031例を対象とした。被験者はファイザー製BNT162b2ワクチン、アストラゼネカ製ChAdOx1 nCoV-19ワクチンのいずれかを接種し、2回目のワクチン接種から14~70日後に抗体が測定された。 主な結果は以下のとおり。・2回目のBNT162b2ワクチン接種後、インフリキシマブ治療群はベドリズマブ治療群と比べて抗SARS-CoV-2スパイク(S)受容体結合ドメイン(RBD)抗体の幾何平均濃度(SD)が低く、半減期が短かった(566.7 U/mL[6.2]vs.4,555.3 U/mL[5.4]、p<0.0001、26.8日[95%CI:26.2~27.5]vs.47.6日[45.5~49.8]、p<0.0001)。・ChAdOx1 CoV-19ワクチンでも同様に、インフリキシマブ治療群はベドリズマブ治療群と比べて抗S RBD抗体の幾何平均濃度が低く、半減期が短かった(184.7 U/mL[5.0]vs.784.0 U/mL[3.5]、p<0.0001、35.9日[34.9~36.8]vs.58.0日[55.0~61.3]、p<0.0001)。・新型コロナウイルスのブレークスルー感染は、インフリキシマブ治療群はベドリズマブ治療群と比べて頻度が高かった(5.8%[201/3,441]vs.3.9%[66/1,682]、p=0.0039)。・ワクチン接種前に新型コロナウイルス感染歴がある患者では、治療薬にかかわらず、より高く持続した抗体レベルが認められた。 著者らは「抗TNFα抗体製剤で治療中の、リスクを有する患者においては、個々に適したワクチン接種スケジュールの検討が必要な可能性がある」と述べた。

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潰瘍性大腸炎の寛解導入および維持療法における低分子医薬品ozanimodの有用性(解説:上村直実氏)

 選択的スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)受容体調節薬ozanimodの潰瘍性大腸炎(UC)に対する有用性を検証した第III相臨床試験の結果、中等度から重度UCの寛解導入および寛解維持に有効性を認めたことがNEJM誌に掲載された。選択的S1P受容体調整薬ozanimodはUC患者の大腸粘膜へのリンパ球の浸潤を抑えることで炎症を抑制する効果が期待されている新規の低分子医薬品である。UCは特定疾患に指定されている原因不明の炎症性腸疾患(IBD)であり、現在の患者数は約18万人である。UCに対する薬物治療については、5-ASA製剤、ステロイド製剤、免疫調節薬、生物学的製剤が使用されているが、最近、ステロイドの長期投与に伴う副作用や依存性の懸念が強まり、ステロイドからの離脱や減量を目的として生物学的製剤や低分子医薬品の開発が盛んに行われている。すなわち、抗TNF阻害薬、インターロイキン阻害薬ウステキヌマブ、インテグリン拮抗薬vedolizumab、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬フィルゴチニブ、今回のozanimodなど新規薬剤の有用性を示す試験結果が報告されて次々と上市されている。今後、さらなる難治性のUCに対しては生物学的製剤と低分子医薬品の併用の有用性と安全性の検証が必要となることも予測される。 ozanimodを含めてUCに対する有用性と安全性を検証する臨床試験の研究デザインは国際間多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験でほぼ一致しているが、最近のアウトカムは、一昔前の下痢や血便回数などの臨床的改善度のみでなく内視鏡を用いた肉眼的な粘膜治癒に加えて生検組織に好中球浸潤を認めないといった厳密なものに代わっている。したがって、試験結果の信憑性は高く、一般診療現場における有用性も十分に期待できるようになっている。 一方、薬剤の効果があればあるほど副作用ないしは安全性に関しては注意が必要となる。UCやリウマチなど自己免疫性疾患に対する新規薬剤のリスクとして結核やB型肝炎ウイルスの再活性化はよく知られているが、まれなものとして重篤なウイルス性脳疾患である進行性多巣性白質脳疾患(PML)の発現も報告されている。さらに市販後数年経過して心血管血栓症や死亡リスクの上昇が判明した事案の報告もあり、観察期間が限定されている臨床試験では検証できない長期使用の安全性については市販後に注意深く検証されるべきであり、今後、市販後の長期安全性に関する精緻な検証体制が重要である。

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IBDの新規経口薬ozanimod、潰瘍性大腸炎の導入・維持療法に有効/NEJM

 中等症~重症の活動期潰瘍性大腸炎(UC)患者に対する導入および維持療法として、新規経口薬として開発中のozanimodはプラセボと比較して、より有効であることが、米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のWilliam J. Sandborn氏らによる、多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験の結果、示された。ozanimodは、選択的スフィンゴシン-1-リン酸受容体調整薬で、炎症性腸疾患(IBD)の治療薬として開発が進められている。NEJM誌2021年9月30日号掲載の報告。中等症~重症の活動期UC患者を対象にozanimodとプラセボを比較 研究グループは中等症~重症の活動期UC患者を対象に、10週間の導入期間において、コホート1ではozanimod群(ozanimod塩酸塩1mg[ozanimod 0.92mg相当])またはプラセボ群に2対1の割合で無作為に割り付け、それぞれ1日1回経口投与し、コホート2では非盲検下でozanimod(コホート1と同用量)を投与した。10週時点で、各コホートにおいてozanimodに対し臨床的反応を示した患者をozanimod群またはプラセボ群に再び無作為に割り付け、二重盲検下で52週間まで(維持期間)投与した。 両期間の主要評価項目は、臨床的寛解率として、3項目(直腸出血、排便頻度、内視鏡)のMayoスコアで評価した。主要な副次評価項目は、臨床的反応、内視鏡的改善、組織学的治癒とし、階層的検定を行った。安全性についても評価した。臨床的寛解率は導入期18.4% vs.6.0%、維持期37.0% vs.18.5% 導入期間において、コホート1に645例、コホート2に367例が割り付けられ、計457例が維持期間に再び割り付けられた。 臨床的寛解率は、導入期間でozanimod群18.4%(79/429例)vs.プラセボ群6.0%(13/216例)(p<0.001)、維持期間でそれぞれ37.0%(85/230例)vs.18.5%(42/227例)(p<0.001)であり、両期間においてozanimod群がプラセボ群と比較して有意に高かった。 臨床的反応率も、導入期間(47.8% vs.25.9%、p<0.001)および維持期間(60.0% vs.41.0%、p<0.001)のいずれにおいてもozanimod群がプラセボ群より有意に高率であった。その他のすべての副次評価項目も、両期間においてozanimod群がプラセボ群より有意に改善した。 安全性については、ozanimod群の感染症(あらゆる重症度)発生率がプラセボ群と比較し、導入期間では同程度、維持期間では増加した。重篤な感染症の発生率は、52週の試験期間を通していずれの群も2%未満であった。肝アミノトランスフェラーゼ値の上昇は、ozanimod群で多くみられた。 なお、著者は、日常診療での幅広い患者集団においては結果が異なる可能性があること、長期データが不足していることなどを挙げて結果は限定的だとしている。現在、非盲検延長試験が進行中である。

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超加工食品の高摂取で炎症性腸疾患のリスク大/BMJ

 超加工食品の摂取量増加は、炎症性腸疾患(IBD)のリスク増加と関連していることが、前向きコホート研究「Prospective Urban Rural Epidemiology(PURE)」で明らかとなった。カナダ・マックマスター大学のNeeraj Narula氏らが報告した。IBDは先進国で多くみられ、食事などの環境因子が影響していると考えられている。しかし、添加物や保存料を含む超加工食品の摂取とIBDとの関連性についてのデータは限られていた。著者は、「今後はさらに、超加工食品中の寄与因子を特定するための研究が必要である」とまとめている。BMJ誌2021年7月14日号掲載の報告。35歳以上の約11万6千例で超加工食品摂取とIBD発症の関連を評価 研究グループは、PURE研究のうち欧州・北米、南米、アフリカ、中東、東アジア、東南アジアおよび中国の7地域における、低・中・高所得国を含む21ヵ国のデータを用いて評価した。 解析対象は、2003年1日1日~2016年12月31日に登録され、ベースラインの食物摂取量調査(各国で検証済みの食物摂取頻度調査票を使用)ならびに、3年ごとの前向き追跡調査を少なくとも1サイクル完遂している、35~70歳の成人11万6,087例である。 主要評価項目は、クローン病や潰瘍性大腸炎を含むIBDの発症とした。Cox比例ハザードモデルを用い、超加工食品とIBDリスクとの関連についてハザード比(HR)およびその95%信頼区間(CI)を算出した。超加工食品の摂取量増加で、IBDリスクが約1.7~1.8倍に上昇 追跡期間中央値9.7年(四分位範囲:8.9~11.2)において、解析対象11万6,087例中467例がIBDを発症した(クローン病90例、潰瘍性大腸炎377例)。潜在的な交絡因子で補正後、超加工食品の摂取量が多いほどIBDの発症リスクが高いことが認められた(1日1サービング未満と比較した1日5サービング以上のHR:1.82[95%CI:1.22~2.72]、同1日1~4サービングのHR:1.67[95%CI:1.18~2.37]、傾向のp=0.006)。 清涼飲料水、精製甘味料入り食品、塩分の多いスナック菓子、加工肉などの超加工食品のさまざまなサブグループで、IBDのリスク上昇との関連が認められた。結果はクローン病と潰瘍性大腸炎で一貫しており、異質性は低かった。 一方、白身肉、赤身肉、乳製品、でんぷん、果物、野菜、豆類の摂取量は、IBD発症と関連していなかった。 なお、著者は、参加者の年齢が35~70歳であったためクローン病の発症例が少数であったこと、小児や若年成人でIBDを発症した患者に一般化できるかは不明であること、経時的な食事の変化は考慮されていないこと、観察研究の特性上バイアスが残存している可能性があること、などを研究の限界として挙げている。

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総合内科専門医試験オールスターレクチャー 消化器(消化管)

第1回 ピロリ菌感染症関連第2回 消化管悪性腫瘍第3回 消化管出血 腹部緊急疾患第4回 消化管機能性疾患第5回 感染症 炎症性腸疾患第6回 遺伝性疾患 好酸球性胃腸症 内分泌 総合内科専門医試験対策レクチャーの決定版登場!総合内科専門医試験の受験者が一番苦労するのは、自分の専門外の最新トピックス。そこでこのシリーズでは、CareNeTV等で評価の高い内科各領域のトップクラスの専門医11名を招聘。各科専門医の視点で“出そうなトピック”を抽出し、1講義約20分で丁寧に解説します。キャッチアップが大変な近年のガイドラインの改訂や新規薬剤をしっかりカバー。Up to date問題対策も万全です。消化器の消化管については、公立豊岡病院の宮垣亜紀先生がレクチャー。消化管は内視鏡画像の診断がポイント。豊富な症例画像を使って、頻出の内視鏡検査問題を徹底的にトレーニングします。※「アップデート2022追加収録」はCareNeTVにてご視聴ください。第1回 ピロリ菌感染症関連消化管は、内視鏡画像診断がポイント。非専門医にとっては普段見慣れない内視鏡画像ですが、試験に出題される疾患はある程度絞られているので、それを押さえれば攻略できます。第1回は、胃十二指腸潰瘍や胃がんのリスクとなるヘリコバクター・ピロリ菌。ピロリ菌に起因する疾患は、胃がんや潰瘍だけではありません。ピロリ菌感染関連疾患は、内視鏡で胃炎を証明し、ピロリ菌を証明するための各種検査も覚えておくことが重要です。第2回 消化管悪性腫瘍消化管悪性腫瘍には、胃がん、大腸がん、食道がん、消化管間質腫瘍GISTがありますが、共通して問われやすいのは、リスクファクター、内視鏡所見の診断、疾患に関する知識です。胃がんは内視鏡所見から深達度と組織型を診断し、内視鏡的粘膜下層剥離術の適応を判断。近年のトピックスとして、バレット食道がんの報告が増えています。粘膜下腫瘍の形態をとるGISTは、どの消化管でも起こりえます。超音波内視鏡やCTで診断します。第3回 消化管出血 腹部緊急疾患消化管出血と、試験に出題されやすい腹部緊急疾患について、身体所見、検査、治療を整理します。上部消化管出血の中でも緊急性が高いのは静脈瘤出血。静脈瘤結紮術で治療します。下部消化管出血で最もコモンな疾患は虚血性腸炎と大腸憩室出血。X線・CTで特徴的な画像所見を示すS状結腸軸捻転。腸閉塞とイレウスは概念を混同しないように注意。生の海産物を摂取した後の激烈な腹痛はアニサキス症を疑います。第4回 消化管機能性疾患機能性疾患の中でもよく出題される食道アカラシア。見た目ではっきりわかる腫瘍があるわけではないので、内視鏡検査では見つかりにくく、食道造影やマノメトリーという検査が有用です。新たな治療法として、経口内視鏡的括約筋切開術POEMが注目されています。機能性ディスペプシアと過敏性腸症候群は器質的疾患の除外が重要。胃食道逆流症にはびらん性と非びらん性があり、同じ薬剤でも効果に差があります。第5回 感染症 炎症性腸疾患多岐にわたる腸管感染症から、感染性腸炎、アメーバ性大腸炎、抗菌薬起因性腸炎について解説します。感染性腸炎は、抗菌薬が必要な状況の見極めがポイント。内視鏡的所見が特徴的なアメーバ性大腸炎。潰瘍の周囲にタコいぼ様びらんが見られます。日常臨床でもよくある潰瘍性大腸炎は、重症度に応じて薬剤か手術を選択。非連続性の全層性の肉芽腫性炎症が起きるクローン病は、狭窄を考慮しながら適した画像検査を選択します。第6回 遺伝性疾患 好酸球性胃腸症 内分泌好酸球性消化管疾患は、原因がまだ明らかになっていないアレルギー疾患です。遺伝性疾患では、大腸にポリープが多発する家族性腺腫性ポリポーシスは、放置するとがん化するため、大腸全摘が必要です。Peutz-Jeghers症候群は過誤腫性ポリープで、こちらはほとんどがん化しません。毛細血管拡張の画像所見が特徴的なオスラー病も覚えておきましょう。消化管内分泌のトピックスとして、神経内分泌腫瘍のガストリノーマについて確認します。

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JAK阻害薬フィルゴチニブ、潰瘍性大腸炎の寛解導入・維持に有効(解説:上村直実氏)

 潰瘍性大腸炎(UC)は特定疾患に指定されている原因不明の炎症性腸疾患(IBD)であり、最近の全国調査によると18万人以上の患者が存在している。UCに対する薬物治療については、寛解導入および寛解維持を目的として5-ASA製剤、ステロイド製剤、免疫調節薬、生物学的製剤が使用されている。なかでも生物学的製剤については、抗TNF阻害薬、インターロイキン阻害薬ウステキヌマブ、インテグリン拮抗薬ベドリズマブ、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬など、異なる作用機序を有する分子標的薬が次々と開発され、それぞれの臨床試験結果が報告されている。なお、本邦のIBD診療ガイドライン2020において、血球成分除去療法や生物学的製剤の適応はステロイド依存例で免疫調節薬も効果のない患者やステロイド抵抗性の患者に限定されている。さらにJAK阻害薬と免疫調節薬チオプリン製剤との併用が原則禁忌となっている。 今回は中等度から重度の難治性UCを有する成人患者を対象として、10週間での寛解導入と58週間の寛解維持に対するJAK阻害薬フィルゴチニブの有効性と安全性に関する、第III相臨床試験(SELECTION試験)の結果がLancet誌に報告された。わが国では慢性関節リウマチ(RA)に対して承認されている経口剤フィルゴチニブが、TNF阻害薬やベドリズマブの治療歴の有無にかかわらず、難治性UCの寛解導入と寛解維持においてプラセボに比べて有意な有効性と同等の安全性を示したとされている。 今回の研究結果から、フィルゴチニブはステロイド依存性や抵抗性の難治性UCに対して有用性の高い経口治療薬として期待される。しかし、わが国においてRAに対して保険承認されている5種類のJAK阻害薬の中で唯一UCに対して保険適用を得ているトファシチニブに関しては、RA患者を対象とした安全性臨床試験の予備結果において、TNF阻害薬や低用量トファシチニブと比べて高用量のトファシチニブが心血管血栓イベントと死亡のリスク上昇を認めた結果、FDAにより慎重な使用に関する警告が発出されている。同じJAK阻害薬であるフィルゴチニブに関してもRAに加えてUCの適応が追加された場合、一般診療現場における長期間のリスクに注意した慎重な使用が必要と思われる。

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フィルゴチニブ、潰瘍性大腸炎の寛解導入・維持に有効/Lancet

 中等症~重症の活動期潰瘍性大腸炎患者の治療において、JAK阻害薬フィルゴチニブ(200mg)は、忍容性が良好で、プラセボと比較して寛解導入療法および寛解維持療法における臨床的寛解の達成割合が高いことが、カナダ・ウェスタンオンタリオ大学のBrian G. Feagan氏らが実施した「SELECTION試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2021年6月3日号で報告された。生物学的製剤治療歴の有無別の寛解導入療法と、維持療法を評価 研究グループは、潰瘍性大腸炎の治療におけるフィルゴチニブの有効性と安全性を評価する目的で、2つの寛解導入療法試験と1つの寛解維持療法試験から成る二重盲検無作為化プラセボ対照第IIb/III相試験を行った(米国・Gilead Sciencesの助成による)。本試験には、日本を含む40ヵ国341施設が参加し、2016年11月~2020年3月の期間に患者登録が行われた。 対象は、年齢18~75歳で、試験登録時に中等症~重症の活動期潰瘍性大腸炎の発症から6ヵ月以上が経過していた患者であった。参加者は、腫瘍壊死因子(TNF)阻害療法およびベドリズマブによる治療歴の有無で、生物学的製剤治療を受けていない患者(導入試験A)と、同治療を受けている患者(同B)に分けられた。 被験者は、各導入試験でそれぞれフィルゴチニブ100mg、同200mgまたはプラセボを、1日1回、11週間経口投与する群に、2対2対1の割合で無作為に割り付けられた。10週時に、いずれかの導入試験で臨床的寛解またはMayo Clinic Score(MCS)で奏効を達成した患者が、11週時に維持試験として導入療法と同じ用量またはプラセボ(各用量で個別にプラセボ群を設定)を58週まで継続投与する群に、2対1の割合で再無作為化された。 主要エンドポイントは、10週および58週の時点での臨床的寛解(Mayo内視鏡所見、直腸出血、排便回数のサブスコアで評価)とされた。導入試験と維持試験を通じてプラセボの投与を受けた患者は、維持試験の最大の解析対象集団(FAS)には含まれなかった。 導入試験Aには659例が登録され、フィルゴチニブ100mg群に277例(平均年齢42歳、女性43.3%)、同200mg群に245例(42歳、49.8%)、プラセボ群に137例(41歳、36.5%)が割り付けられた。また、導入試験Bには689例が登録され、それぞれの群に285例(43歳、34.7%)、262例(43歳、43.5%)および142例(44歳、39.4%)が割り付けられた。100mg群も、58週時には有意に良好 10週以内に、導入試験Aで34例、同Bで54例が試験薬の投与を中止した。10週時の有効性評価後に、664例(導入試験A:391例、同B:273例)が維持試験に登録された。93例が、導入試験でプラセボにより臨床的寛解を達成し、維持試験でもプラセボの投与を継続した。 導入試験の100mg群のうち270例が臨床的寛解またはMCS奏効を達成し、このうち維持試験の100mg群に179例、プラセボ群に91例が無作為化された。また、導入試験の200mg群の臨床的寛解またはMCS奏効達成例301例のうち、維持試験の200mg群に202例、プラセボ群に99例が無作為化された。263例が、維持試験期間中に投与を中止した。 10週時の臨床的寛解の達成率は、導入試験AおよびBのいずれにおいても、200mg群がプラセボ群よりも有意に良好であった(A:26.1% vs.15.3%[群間差:10.8%、95%信頼区間[CI]:2.1~19.5、p=0.0157]、B:11.5% vs.4.2%[7.2%、1.6~12.8、p=0.0103])。 維持試験における58週時の臨床的寛解の達成率は、200mg群が37.2%と、プラセボ群の11.2%に比べ有意に優れた(群間差:26.0%、95%CI:16.0~35.9、p<0.0001)。 一方、100mg群では、10週時の臨床的寛解の達成率にプラセボ群との差はなかった(19.1% vs.15.3%、群間差:3.8%、95%CI:-4.3~12.0、p=0.3379)が、58週時は有意に高率であった(23.8% vs.13.5%、10.4%、0.0~20.7、p=0.0420)。 重篤な有害事象および注目すべき有害事象の発現は、各群で同程度であった。重篤な有害事象は、導入試験では100mg群で5.0%(28/562例)、200mg群で4.3%(22/507例)、プラセボ群で4.7%(13/279例)に認められた。維持試験における重篤な有害事象は、100mg群で4.5%(8/179例)、100mg群に対応するプラセボ群で7.7%(7/91例)、200mg群で4.5%(9/202例)、200mg群対応プラセボ群で0%(0/99例)であった。また、2つの導入試験で死亡例の報告はなかった。維持試験中に2例が死亡したが、いずれも試験薬との関連はなかった。 著者は、「本薬は、生物学的製剤による治療歴の有無を問わず、中等症~重症の活動期潰瘍性大腸炎患者の新たな治療選択肢となる可能性がある」としている。

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潰瘍性大腸炎、患者の90%が持つ自己抗体を発見/京大

 潰瘍性大腸炎(UC)は、その発症に免疫系の異常が関連していると考えられているが、原因はいまだ解明されておらず、国の指定難病となっている。京都大学・塩川 雅広助教らの研究グループは3月9日、潰瘍性大腸炎患者の約90%に認められる新たな自己抗体を発見したことを発表した。現在、この自己抗体を測定する検査キットを企業と共同開発中。Gastroenterology誌オンライン版2021年2月12日号に掲載。潰瘍性大腸炎患者の大多数はインテグリンαVβ6に対する自己抗体を持っていた 本研究は、潰瘍性大腸炎患者112例と対照患者165例が登録された。潰瘍性大腸炎は、症状、内視鏡所見、組織学的所見、および代替診断の欠如の組み合わせによって診断。血清サンプルは、2017年7月~2019年11月までに京都大学医学部附属病院で採取され、潰瘍性大腸炎患者112例と対照患者155例が、それぞれトレーニング群と検証群に分けられた。 23の組換えインテグリンタンパク質を使用して、潰瘍性大腸炎患者と対照患者の血清に対して酵素免疫測定法を実施した。また、結腸組織におけるインテグリン発現とIgG結合を、それぞれ免疫蛍光抗体法と共免疫沈降法を使用し、自己抗体の遮断活性は、細胞接着アッセイを使用して調べた。 潰瘍性大腸炎患者の抗体を調べた主な結果は以下のとおり。・スクリーニングにより、潰瘍性大腸炎患者はインテグリンαVβ6に対するIgG抗体を持っていることが明らかになった。両群では、潰瘍性大腸炎患者の92.0%(103/112例)と対照患者の5.2%(8/155例)が抗インテグリンαvβ6抗体を持っていた(p<0.001)。・潰瘍性大腸炎に対する抗インテグリンαVβ6のIgG自己抗体における感度は92.0%、特異度は94.8%だった。・抗インテグリンαVβ6抗体価は、疾患の重症度と一致し、IgG1が主要なサブクラスだった。・免疫蛍光法により、結腸上皮細胞におけるインテグリンαVβ6タンパクの発現が示され、免疫沈降法が、潰瘍性大腸炎患者の結腸粘膜におけるインテグリンαVβ6へのIgG結合を明らかにした。潰瘍性大腸炎患者のIgGは、インテグリンαVβ6-フィブロネクチンの結合を阻害した。 研究者らは、「潰瘍性大腸炎患者の大多数はインテグリンαVβ6に対する自己抗体を持っていた。これは、高い感度と特異性を備えた潜在的な診断バイオマーカーとして役立つ可能性がある」と結論している。

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HPVワクチン接種と33の重篤な有害事象に関連なし、韓国/BMJ

 韓国のヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種を受けた11~14歳の女子において、コホート分析では33種の重篤な有害事象のうち片頭痛との関連が示唆されたものの、コホート分析と自己対照リスク間隔分析(self-controlled risk interval[SCRI] analysis)の双方でワクチン接種との関連が認められた有害事象はないことが、同国・成均館大学校のDongwon Yoon氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2021年1月29日号に掲載された。HPVワクチン接種後の重篤な有害事象は、このワクチンの接種に対する大きな懸念と障壁の1つとなっている。HPVワクチンの安全性に関する実臨床のエビデンスは、西欧では確立しているが、アジアのエビデンスは十分ではないという。韓国の大規模データベースを用いたコホート研究 研究グループは、韓国の思春期女子におけるHPVワクチン接種と重篤な有害事象の関連を評価する目的で、コホート研究を実施した(韓国Government-wide R&D Fund project for infectious disease research[GFID]などの助成による)。 韓国予防接種登録情報システムと国立保健情報データベースのデータを統合し、2017年に11~14歳だった女子の同年1月~2019年12月の大規模データベースを構築した。 44万1,399人のデータが解析に含まれた。このうち、38万2,020人が42万9,377回のHPVワクチン接種を受け(HPVワクチン接種群)、残りの5万9,379人はHPVワクチン接種を受けず、8万7,099回の日本脳炎ワクチンまたは破傷風・ジフテリア・無細胞性百日咳混合ワクチンの接種を受けた(HPVワクチン非接種群)。 主要アウトカムは、33種の重篤な有害事象とした。重篤な有害事象には、内分泌(グレーブス病、橋本甲状腺炎など)、消化器(クローン病、潰瘍性大腸炎など)、心血管(レイノー病、静脈血栓塞栓症など)、筋骨格・全身性(強直性脊椎炎、ベーチェット症候群など)、血液(特発性血小板減少性紫斑病、ヘノッホ-シェーンライン紫斑病)、皮膚(結節性紅斑、乾癬)、神経系(ベル麻痺、てんかんなど)の疾患が含まれた。 主解析はコホートデザインで行い、SCRI分析を用いて2次解析を実施した。4価ワクチン接種者で片頭痛が増加 ワクチン接種時の平均年齢は、HPVワクチン接種群が12.42(SD 0.82)歳、HPVワクチン非接種群は11.84(0.56)歳であった。接種群のうち38.7%は1回、61.3%は2回のHPVワクチン接種を受け、29万5,365人が4価、8万6,655人は2価ワクチンの接種を受けた。合計51万6,476回のHPVワクチン接種が行われた。 コホート分析では、たとえば橋本甲状腺炎(10万人年当たりの発生率:接種群52.7 vs.非接種群36.3、補正後率比[RR]:1.24、95%信頼区間[CI]:0.78~1.94)や、関節リウマチ(168.1 vs.145.4、0.99、0.79~1.25)などではHPVワクチン接種との関連はみられず、唯一の例外として片頭痛(1,235.0 vs.920.9、1.11、1.02~1.22)で関連が認められた。 SCRI分析による2次解析では、片頭痛(補正後相対リスク:0.67、95%CI:0.58~0.78)を含め、HPVワクチン接種と重篤な有害事象には関連がないことが確かめられた。 フォローアップ期間の違いやHPVワクチンの種類別でも、結果の頑健性は高かった。また、2価ワクチン接種者では、片頭痛の有意な増加はみられなかった(補正後RR:1.07、0.96~1.20)が、4価ワクチン接種者では非接種者に比べ片頭痛が有意に増加していた(1.13、1.03~1.24)。 著者は、「これらの結果は、西欧の集団でHPVワクチン接種の安全性を示した試験と一致する」とまとめ、「片頭痛に関する矛盾した知見については、その病態生理と関心対象の集団を考慮して慎重に解釈すべきである」と指摘している。

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治療が変わる!希少疾病・難病特集 ~潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎の治療は従来、5-ASA製剤と免疫抑制剤に不応であれば、TNFα抗体が用いられてきた。しかしTNFα抗体不応例も少なくないため、現在、TNF-α以外の経路に介入して炎症を抑制すべく、以下のような薬剤の開発が進められている。まず注射剤としては、IL-23p19モノクローム抗体のリサンキズマブである。中等症以上の活動性潰瘍性大腸炎を対象に、維持療法としての有用性を検討する第III相試験が、2013年末の終了を目指してわが国で進行中である [参考] 。同じくIL-23阻害剤のグセルクマブも、同様の第IIb/III相試験が国内で走っており、'24年夏の終了を見込んでいる。同様にミリキズマブでも第III相試験が進んでいるが、終了予定時期不明である[参考]。一方、IL-36モノクローム抗体のSpesolimabは、中等症以上の活動性潰瘍性大腸炎を対象とした第II/III相試験が2020年3月に終了している [NCT03482635]。新規免疫抑制剤の開発も進んでいる。TLR9アゴニストであるコビトリモド(cobitolimod)は治療抵抗性左側潰瘍性大腸炎を対象とした第IIb相試験で、プラセボに比べ、臨床的寛解が有意に多かった [Lancet GH 2020; 5: 1063]。経口薬では、JAK阻害薬と抗α4β7インテグリン抗体製剤が先頭を走っている。まずJAK阻害薬のウパダシチニブは、中等症以上例を対象とした第III相試験において、プラセボを上回る臨床的寛解が得られた [Abbvi Press Release 2020 Dec. 24] 。フィルゴチニブも現在、第III相試験が進んでいる[Gilead Press Release 2020 May 20]。一方抗α4β7インテグリン抗体製剤であるベドリズマブは、中等症以上の活動期潰瘍性大腸炎患者において、アダリアマブを上回る臨床的寛解率がすでに報告されている [NEJM 2019; 381:1215] 。なお、ベドリズマブと異なり、経口投与が可能なカロテグラストメチル(AJM300)は本年1月、第III相試験においてプラセボを上回る臨床的寛解率を達成したと公表された [Kissei Press Release 2021 Jan 13]。消化管へのリンパ球動員抑制を介した抗炎症作用が期待されるスフィンゴシン-1-リン酸(S1P1)受容体1、5アゴニストは、オザニモド(RPC1063)による寛解率がプラセボを上回り [NEJM 2016; 374: 1754]、寛解例を延長介入した試験も昨年10月に終了したが、本年になり長期間の寛解維持作用が報告された [Sandborn WJ et al. J Crohns Colitis. 2021 Jan 13]。またIL-12や23情報系を下流でブロックするチロシンキナーゼ 2(TYK2)の阻害剤は現在、BMS-986165を用いた第II相試験が始まっており、2023年夏に終了予定である [NCT03934216] 。また、すでに注腸製剤として潰瘍性大腸炎に用いられているブデソニドは、経口投与による有用性も検討されており、メサラジンに対する非劣性を調べたわが国における第III相試験が、2020年5月に終了している [NCT03412682] 。

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ゴリムマブ、1型糖尿病若年患者のインスリン産生能を改善/NEJM

 新たに顕性1型糖尿病と診断された小児および若年成人において、ゴリムマブの投与はプラセボに比べ、内因性インスリン産生能が優れ、外因性インスリンの使用量は少ないことが、米国・ニューヨーク州立大学バッファロー校のTeresa Quattrin氏らが行った「T1GER試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2020年11月19日号に掲載された。1型糖尿病は、膵β細胞の進行性の低下で特徴付けられる自己免疫疾患である。ゴリムマブは、腫瘍壊死因子αに特異的なヒトIgG1-κモノクローナル抗体であり、欧米では成人の関節リウマチや潰瘍性大腸炎などの自己免疫疾患、欧州などでは多関節型若年性特発性関節炎や小児の非X線的体軸性脊椎関節炎などの治療法として承認されている。ゴリムマブによる1型糖尿病若年患者の改善効果を評価 本研究は、新規の顕性1型糖尿病若年患者におけるゴリムマブによる膵β細胞機能の保持および糖尿病関連の臨床・代謝指標の改善効果の評価を目的とする二重盲検プラセボ対照無作為化第II相試験であり、米国の27施設が参加した(Janssen Research and Developmentの助成による)。 対象は、年齢6~21歳、米国糖尿病学会(ADA)の判定基準で新たに顕性(ステージ3)1型糖尿病と診断され、4時間混合食負荷試験でC-ペプチド値が0.2pmol/mL以上の患者であった。被験者は、ゴリムマブを皮下投与する群またはプラセボ群に2対1の割合で無作為に割り付けられ、52週間の投与を受けた。 主要エンドポイントは、52週の時点における内因性インスリン産生量とし、4時間混合食負荷試験で産生されたC-ペプチドの濃度-時間曲線下面積(4時間C-ペプチドAUC)で評価された。副次および追加エンドポイントは、インスリン使用量、糖化ヘモグロビン値、低血糖のイベント数、経時的空腹時プロインスリン/C-ペプチド比などであった。ゴリムマブによりβ細胞の健全性が改善されたと示唆される 顕性1型糖尿病若年患者84例が登録され、56例はゴリムマブ群(平均年齢[±SD]13.9±3.7歳、男性55%)、28例はプラセボ群(14.0±4.0歳、64%)に割り付けられた。52週の期間中の平均投与期間は、ゴリムマブ群が47.1週、プラセボ群は49.0週であり、この期間に可能であった27回の注射のうち、それぞれ平均24.2回および24.9回の注射が行われた。 52週の時点における4時間C-ペプチドAUCの平均値(±SD)は、ゴリムマブ群が0.64±0.42pmol/mLと、プラセボ群の0.43±0.39pmol/mLに比べ有意に高かった(p<0.001)。4時間C-ペプチドAUCのベースラインからの変化の平均値は、ゴリムマブ群が-0.13pmol/mL、プラセボ群は-0.49pmol/mLであり、平均低下率はそれぞれ12%および56%であった。 目標達成に向けた治療(treat-to-target)アプローチによって、両群とも良好な血糖コントロールが達成された。平均糖化ヘモグロビン値は、ベースラインがゴリムマブ群7.0±1.1%、プラセボ群7.1±1.2%で、52週時はそれぞれ7.3±1.5%および7.6±1.2%であった。ベースラインから52週までの変化の最小二乗平均値(±SD)には、両群間に有意な差は認められなかった(0.47±0.21% vs.0.56±0.29%、p=0.80)。 平均インスリン使用量は、ベースラインがゴリムマブ群0.42±0.26U/kg/日、プラセボ群0.44±0.20U/kg/日、52週時はそれぞれ0.51±0.28U/kg/日および0.69±0.26U/kg/日であり、ベースラインから52週までの変化の最小二乗平均値(±SD)はゴリムマブ群で有意に低かった(0.07±0.03U/kg/日 vs.0.24±0.04U/kg/日、p=0.001)。 52週時の低血糖イベント数の平均値は、ゴリムマブ群38.2±35.7件、プラセボ群42.9±4.0件であり、両群間に差はなかった(p=0.80)。部分寛解反応(インスリン量で調整した糖化ヘモグロビン値スコア[糖化ヘモグロビン値+4×インスリン量]≦9)は、ゴリムマブ群43%、プラセボ群7%で観察された(群間差36ポイント、95%信頼区間[CI]:22~55)。また、52週の期間中の空腹時プロインスリン/C-ペプチド比中央値は、ゴリムマブ群のほうが安定しており、両群間の差は0.124(95%CI:0.064~0.184)と、ゴリムマブ群で効果が高いことが示唆された。 有害事象は、ゴリムマブ群91%、プラセボ群82%で発現した。感染症はそれぞれ71%および61%で発症したが、重度および重篤な感染症はみられなかった。担当医の判定で有害事象として記録された低血糖イベントは、ゴリムマブ群13例(23%)、プラセボ群2例(7%)で報告された。また、ゴリムマブに対する抗体は30例(54%)で検出され、29例は抗体価が1:1,000未満であり、このうち12例が中和抗体陽性だった。 著者は、「膵β細胞機能障害の指標である空腹時プロインスリン/C-ペプチド比が、プラセボ群では試験期間中に経時的に増加したのに対し、ゴリムマブ群ではほとんど変化しなかったことから、ゴリムマブによりβ細胞の健全性が改善されたと示唆される」としている。

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医師が選ぶ「2020年の顔」TOP5!(医療人、政治家部門)【ケアネット医師会員アンケート結果発表】

新型コロナの国内発生と流行、緊急事態宣言、東京五輪延期…本当にいろいろあった2020年―。今年を振り返ってみて思い浮かぶのは誰の顔でしょうか。ケアネットでは医師会員にアンケートを実施。535人の先生方にご協力いただき、選ばれた「今年の顔」は?今回は、医療人部門と政治家部門のTOP5をご紹介します!新型コロナのコメンテーター部門 、文化・芸能人部門 はこちら!医療人部門第1位 尾身 茂氏ダントツの得票数で第1位となったのは、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議およびその後の分科会で、中心的役割を担っている尾身 茂先生。経験に裏付けされたリーダーシップはもちろん、記者会見などでは報道陣からの質問に根気強く答える姿も印象的でした。選んだ理由のコメント中には、「安定」や「信頼」という言葉が多く並びました。 「尾身 茂」氏を選んだ理由(コメント抜粋)指導者として信頼しています。(60代 産婦人科/大阪府)今年はこの人しかいないでしょう。(40代 内科/東京都)医療と政治の板挟みに苦悩しているところが印象に残った。(50代 精神科/神奈川県)第2位 忽那 賢志氏コメンテーター部門での1位に続き、医療人部門でも2位にランクイン。新型コロナの最前線で診療に当たる感染症専門医として、医師からの知名度と信頼度の高さが伺える結果となりました。国内での症例数があまり多くなかった段階から、エビデンスに自身の診療経験からの知見を織り交ぜ、わかりやすく解説されていた姿が印象に残った先生も多かったのではないでしょうか。 「忽那 賢志」氏を選んだ理由(コメント抜粋)臨床で活躍されており、経験、知識も豊富で、説明も論理的で分かりやすい。(40代 内科/埼玉県)最も信頼できるから。(40代 精神科/愛知県)さまざまなメディア、講演会などで見かける機会が多かったから。(20代 臨床研修医/滋賀県)第3位 岩田 健太郎氏ダイアモンドプリンセス号についてのYouTube動画の配信は、大きな反響を呼びました。選んだ理由についてのコメントでは、「世の中にインパクトを与えた」という声のほか、「良くも悪くも発信力があった」といった声も。現場の医療者が発信する情報として、その後も発信を継続的にチェックしていたという声もあがっています。 「岩田 健太郎」氏を選んだ理由(コメント抜粋)新型コロナウイルス感染症に関する行動および発言が際立っていた。(40代 精神科/北海道)現場の実態をわかっているから。(30代 糖尿病・代謝・内分泌内科/兵庫県)いい意味でも悪い意味でも印象に残ったから。(50代 神経内科/徳島県)第4位 西浦 博氏 「西浦 博」氏を選んだ理由(コメント抜粋)純粋に学問的見地からがんばっておられた。(40代 皮膚科/東京都)統計を介したモデルだが世間で議論するたたき台となった。(30代 膠原病・リウマチ科/北海道)コロナ対策で奮闘された。(20代 臨床研修医/東京都)第5位 山中 伸弥氏 「山中 伸弥」氏を選んだ理由(コメント抜粋)独自の視点で情報発信されているので。(50代 消化器内科/山口県)ツベルクリンの話に共感したから。(50代 産婦人科/愛媛県)政治家部門第1位 安倍 晋三氏憲政史上最長となる7年8ヵ月の長期政権を築き、今年9月に体調不良を理由に辞任した安倍 晋三前内閣総理大臣が第1位に。 アベノマスクや給付金支給などの施策を含め、先進諸国の中では結果的に感染者数を抑えたことを評価する声、体調を慮る声が多くみられました。持病とされる潰瘍性大腸炎に光を当てることにも貢献されたのではないでしょうか。 「安倍 晋三」氏を選んだ理由(コメント抜粋)日本で結果的に感染者を増やさなかったから。(30代 泌尿器科/福岡県 他多数)体調の悪い中リーダーとして可能なかぎりの仕事をされたと思います。(30代 耳鼻咽喉科/福岡県)在任時のさまざまな対策は今も続行されている。(50代 消化器外科/鹿児島県)第2位 吉村 洋文氏新型コロナウイルス感染拡大で各首長のリーダーシップが求められるなか、1975年生まれ45歳の大阪府知事はスピード感のある対応や発信力の高さで注目を集めました。ポピドンヨード入りのうがい薬を推奨した件では批判を浴びましたが、「何とか状況を改善しようと先頭に立って行動している」と評価する声が多く上がりました。 「吉村 洋文」氏を選んだ理由(コメント抜粋)誤った情報もあるが、責任ある立場でより良い方向を目指している姿勢が伝わるから。(30代 小児科/大阪府)第一波の時の対応の早さは今までの日本の政治家ではあまり見られなかったと思う。(40代 泌尿器科/兵庫県)フットワーク良く決断力がある。(40代 糖尿病・代謝・内分泌内科/京都府)第3位 菅 義偉氏第2次安倍政権が発足した2012年以降、長きにわたり官房長官を務めてきた菅氏が、安倍政権を引き継ぐ形で第99代内閣総理大臣に就任しました。突然の交代、そして新型コロナ感染症対応が求められる難しいタイミングでの就任となりましたが、官房長官としての第一波への対応経験に期待するコメントが多く寄せられました。 「菅 義偉」氏を選んだ理由(コメント抜粋)官房長官として初期対応から重責を担っていたから(20代 臨床研修医/滋賀県)安倍政権時代から比較的バランスのとれた政策、実行力が感じられた(40代 血液内科/宮城県)期待も込めて(40代 病理診断科/島根県)第4位 オードリー・タン(唐 鳳)氏 「オードリー・タン」氏を選んだ理由(コメント抜粋)封じ込めに成功した台湾のキーマンである。(40代 神経内科/茨城県)日本のITがいかに遅れているのかを気づかせてくれた。(30代 臨床研修医/福岡県)若くて頭も切れて素晴らしい。(40代 皮膚科/群馬県)第5位 蔡 英文氏 「蔡 英文」氏を選んだ理由(コメント抜粋)民主主義的な手法でコロナ収束に導いた。(30代 内科/広島県)初期のコロナ対策は見事。(30代 心療内科/東京都 他多数)★アンケート概要★アンケート名 :『2020年振り返り企画!さまざまな分野の「今年の人」を挙げてください』実施日    :2020年11月12日~19日調査方法   :インターネット対象     :CareNet.com会員医師有効回答数  :535件

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潰瘍性大腸炎、治療の最適解を導くために必要なこと

 国の指定難病・潰瘍性大腸炎は、安倍元首相の辞任理由として注目を集めたことが記憶に新しい。さまざまな憶測が飛び交い、疾患に対する誤った認識も見られるが、これは正しい理解を広めるチャンスでもある。 先日、ヤンセンファーマが開催した潰瘍性大腸炎セミナーでは、鈴木 康夫氏(東邦大学医療センター佐倉病院 IBDセンター センター長)が、潰瘍性大腸炎の患者が直面する実態と最新治療について講演を行った。症状の個人差が大きく理解が得られにくい現状 わが国における潰瘍性大腸炎の患者数は、2016年度の全国疫学調査研究で22万人と推計され、数ある指定難病の中で最も多い。現在も増え続けており、将来的に30万人を超えるのではと危惧されている。 潰瘍性大腸炎の重症度について、2007年に厚労省が調査したデータ(n=4万6,223)によると、日常生活に影響が少ない軽症患者が63%を占める一方で、中等症が28%、重症が3%、劇症が0.3%(不明6%)という内訳だ。重症例では入院治療が必要で、中にはやむを得ず大腸全摘に至る例も存在する。個人差の幅が大きいことが、疾患に対する理解の得にくさにつながっているのかもしれない。ステロイド依存・抵抗性などの難治例、発がんリスクなどが問題に 治療は、5-ASA(メサラジン)製剤とステロイド製剤を基本として、症状を抑え正常状態に近付ける寛解導入療法と、再発を予防する寛解維持療法を組み合わせて継続する。鈴木氏は、「大事なのは、再発時早期に十分な治療をして、病状の悪化・進展を防ぐこと。多くの症例を診ている専門医は、早い段階で再発の徴候をキャッチできる。たとえずっと同じ薬が出ているとしても、主治医には定期的に顔を見せて、病状を伝えてほしい」と、通院の重要性を強調した。 とくにステロイドは中等症以上に著効し、初回治療では84%の寛解導入率が得られたという報告もある。しかし、全身的な副作用などの懸念があり、さらには2年以上経過してもステロイド治療から離脱できない依存例や、効きにくくなる抵抗例が半数近くも存在するなどの問題がある。このような例や頻回に再燃を繰り返す例などは“難治性”と定義付けられ、専門医により適切な治療法が日々検討されている。 また、もう1つの問題として炎症性発がんについて触れた。「一番危険なのは、炎症が治まり切らないまま再燃を繰り返す症例。落ち着いている時期は正常に近付いたように見えるが、トイレが近かったり、食べたいものが食べれなかったり、患者のQOLは著しく低下している。このような症例は、健康な人に比べて大腸がんリスクが8倍以上になる」と注意を呼び掛けた。患者の症状を踏まえ、生活スタイルやニーズに合わせた治療法を 潰瘍性大腸炎に対しては、平成~令和にかけて、新しい治療薬が次々と登場している。今年3月には、クローン病治療薬のヒト型抗ヒトIL-12/23p40モノクローナル抗体製剤「ウステキヌマブ(商品名:ステラーラ)」が、潰瘍性大腸炎の追加適応を取得した。 鈴木氏は、「同じ潰瘍性大腸炎でも、患者ごとに病態は異なる。個々の患者が持つ背景因子と病歴から将来を予測し、各治療法の特性を理解した上で、治療を選択することが大事。また、もう1つ大事なのは、患者さんの生活スタイルやニーズを考えること。治療薬によって、通院頻度や投与法などさまざまなので、患者さんの気持ちを汲み取りながら、治療を進めることも重要」とアドバイスを送った。 潰瘍性大腸炎の患者が少なかった時代は、専門医中心の診療でも成り立ったが、個々の患者はいろんな問題を抱えており、患者数が増え続けている現状に対応しきるのは難しい。同氏は、「これからは、各領域の専門職がチームとして協力し、トータルケアを目指して行くことがまさに大事だろう。また、患者をできるだけ良い状態にして、地元の医療機関に通えるよう支援(逆紹介)できる体制整備も必要だ」と講演をまとめた。

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第22回 急転直下の安倍首相辞任-振り返れば“異変”はアノ時からだった

先週の本コラムで、私の脳内で展開する『世界びっくり人間コンテスト』の対象者の一人として取り上げた安倍首相が、コラム公開前日の8月27日夕刻から始まった記者会見で突如辞任を表明した。会見では持病の潰瘍性大腸炎の悪化がその理由だと説明された。私も一応職歴26年のニュース屋の端くれであり、この会見が決まった後に首相が何を話すつもりなのか、ちょこちょこ探りは入れていた。しかし、この日の午前中まで“辞任”の“じ”の字すら聞こえてこない状況。そこから急転直下の「辞任表明の見込み」の一報が流れ、まさに青天の霹靂だった。そしてこうしたニュースというのは、発表後に「実はあの時は…」と振り返ることができる事象があることも少なくない。「異変」は7月中旬から始まった既に約1年半にわたって原則毎日運動する習慣を取り入れていた私は、午後5時から始まった安倍首相の会見を所属しているスポーツジムのトレッドミル(いわゆるランニングマシン)に一体化されたテレビのディスプレイにイヤホンを差し込み、走りながら聞いていた。午後5時の会見開始2分前からトレッドミルで走り出し、9分くらいになる時だった。安倍首相が自身の健康問題に触れ始めた。その中で安倍首相が言った次の言葉に私はハッとした。「先月中頃から体調に異変が生じ、体力をかなり消耗する状況となりました」ここでいう先月中旬とは7月中旬である。この頃、今考えれば不思議なことが起きていた。というのもこの時期に旧知の大手新聞社の記者2人(それぞれ別々の会社)から「親族がかかったので潰瘍性大腸炎について教えて欲しい」と連絡があったのだ。当時は何も思わずに基礎的なことを話した。一般人は“難病”という言葉で“数の少ない病気”と先入観を持ってしまうようだが、国内の潰瘍性大腸炎患者は20万人超で、俗に3大がんといわれる胃がん、大腸がん、肺がんのそれぞれの年間新規診断者数よりも多い一般的な病気である。実際、私の周辺には、仕事に関係なく出会った6人と関連して出会った4人の合計10人の潰瘍性大腸炎患者がいる。ちなみに私が医療を取材するようになってから、この病気に関わった機会は結構多い。最初は1997年。ちょうど5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤の中で、初めて大腸のみで成分が放出されるよう設計されたメサラジン(商品名:ペンタサ)の発売から約1年が経過し、その臨床での評価を取材して回ったのである。その後も折に触れてこの病気を取材する機会は少なくなかった。そんなこんなで新聞記者からの問い合わせにも5-ASA製剤、ステロイド、免疫抑制薬、免疫調節薬、生物学的製剤の特徴や日常生活での注意点などはとくに何も見なくとも一通り話すことはできた。突飛すぎる週刊誌記者からの依頼ところがそれから10日以上経った7月下旬、私の携帯電話にやはり旧知の週刊誌記者から着信があった。あいにく私は電話を受けることができなかったが、当人からすぐに「メールをお送りします」とのSMSが届いた。たまたま、メールは確認できる状態だったため、メーラーを立ち上げておいたところ、それから約15分後に次のようなメールが届いた。「首相が持病の潰瘍性大腸炎が悪化し、9月にも退陣するという情報があるのですが、これに関連して、専門医に安倍首相の顔色や表情、皮膚の状態などから、病状を判断してもらおうかと考えています。そこでお願いですが、こうしたリクエストに応じてくれる医師をご存じないでしょうか。こちらも何人か当たっているのですが、なかなか応じてもらえません。心当たりがあれば、教えていただけませんでしょうか」旧知の記者なのに申し訳ないが、無茶苦茶な依頼である。そもそも潰瘍性大腸炎の診療経験値が極めて高い専門医でも、ぱっと見で重症度・病状が判断できるわけはない。私は次のように返信メールを書いた。「潰瘍性大腸炎は下痢や血便の頻度、血液検査、大腸内視鏡で病状を判断するものなので、ぱっと見で病状診断は無理です。見た目でこの病気の病状を診断するというのは、およそ星占いの1000倍以上当てにならない話です」また、潰瘍性大腸炎の専門医は国内に数百人程度で、大御所を中心にヒエラルキーが確立しているのは医療関係者なら周知のこと。その環境下でこの記者が要望するような非科学的コメントをする医師がいれば袋叩きにあってしまう。その旨も返信メールに記述し、協力は難しいと伝えた。そしてこの瞬間、私の記憶に蘇ってきたのは7月中旬の新聞記者からの問い合わせだ。一瞬、「もしかしてこのこと?」とは思ったものの、週刊誌記者からの依頼があまりにも突拍子もないものだったことの反動もあって、この時点では首相の体調悪化→辞任というシナリオもないだろうとの判断に傾いた。もっとも、やはり記者は自分が思うことでも一度は疑ってかかるもの。念のため、ある雑誌で長年政治取材をしている記者に8月上旬に連絡を取った。ちなみにこの頃、一部の週刊誌の誌面では「首相が官邸で吐血した」との情報が躍っていた。私が聞いた記者は次のように答えた。「あの吐血情報はどう考えても官邸から出てるんですよね。でももし事実ならば、絶対かん口令が敷かれるはずなんですが…」その後、2度にわたり安倍首相が慶應義塾大学病院を受診したことは報道されている通りである。まさかまさかの辞任表明そしてあの首相の辞任表明会見の前夜から、念のため何人かの記者や関係者に話を振ってみた。要は「辞任があるやなしや」という点である。皆一様に辞任を否定した。「いやいや、前回の政権投げ出し批判があるから、本人も周囲もことさら体調理由の辞任になることは絶対避けたいシナリオ。ここではないですよ」「結局、メディアがことさら騒いでいるだけで、会見も言ってしまえば『大山鳴動して鼠一匹』になりますよ」まあ、これで今回は何もないかと思った。28日午前にもある政治担当記者とやり取りすると、夕方の会見でも述べられた「指定感染症見直し」で厚生労働省と官邸側が話をつめているらしいとの情報のみで、やっぱり「今日はまず辞任はないと思います」との返事。実はかくいう私もそれらの情報を受け、原稿のやり取りをしている当コラムの担当編集者へのお昼直前のメールに次のように書いている。「本日の会見、今の時点でさすがに辞任はなさそうです」各種報道によると、安倍首相が辞意を明らかにしたのは、この日の閣議後に麻生副総理と2人で会談した場だったという。首相動静によれば午前11時過ぎ。それから2時間と経たずに空気は一変した。あとは冒頭に触れたとおりである。潰瘍性大腸炎と私の出会いちなみに首相の辞任表明会見後、7月中旬に私に電話をしてきた新聞社の記者に連絡を取ってみた。うち1人は「ノーコメ(ノーコメント)ということで…」とごまかし笑い。もう1人はいまだ電話を受けてくれていない(笑)。ちなみに私が初めてこの病気の患者と出会ったのは大学1年の時で、その患者は同級生である。彼とは実験などで同じ班だったが、時々、実験の最中に忽然と姿を消すことがあった。大学の実験はギリギリの人数でやっているので、そうそう姿を消してもらっては困る。姿を消した彼がひょっこり戻ってくると、同じ班のほかのメンバーが「おい、何してたんだよ」と詰める。彼はいつも苦笑いしながらぽつりと言った。「うん、ウンコ」そこで班内は爆笑になる。いつのまにか彼は陰で「ウンコ○○(○○は彼の名字)」と呼ばれるようになった。そんなある日、学食で私が一人で食事をしているとトレーを持った彼が「おう」と言いながら、向かいに座った。そして自らこう語り出した。「実はさ、しょっちゅうトイレ行くの病気なんだよね。潰瘍性大腸炎っていう」今のように医学の知識のなかった私はこう返した。「それって治るの」彼は私のほうも見ずにうどんをすすりながら言った。「いや、治らない」なんと返していいかわからなかった。彼はうどんを食べ終わると、私の前に大きなオレンジ色の錠剤を出して見せてくれた。「これが薬なんだ」当時は何もわからなかったが、今ならあれが初期の5-ASA製剤サラゾピリンだとわかる。男女問わず、尿や汗をオレンジ色にしてしまい、男性では精液にまで色を付けてしまうあの薬だ。そして今ならわかる。彼が堂々と笑いながら「ウンコ」と口にしたのは彼が身につけた防衛策だろうと。首相辞任会見を難病周知のきっかけに先週の安倍首相の辞任会見以来、この記事を執筆している今現在までに各紙・各週刊誌の記者とやり取りする中で、必ず話題になるのが首相の病気である潰瘍性大腸炎のことだ。そして20万人もの患者がいながら、案外この病気のことは知られていないことに驚く。ちなみにこの間、両手指を超える記者と話して、知り合いにこの病気の患者がいると答えたのは1人のみ。だが、そんなはずはない思う。身の回りで大腸がん、肺がん、胃がんの患者の話を聞いたことがない成人はいないと思う。潰瘍性大腸炎の患者はそうしたがんの患者よりも多いのだ。結局のところ排泄のことも関係するために多くの患者は周囲に言えないだけなのだろうと思う。その意味で私が仕事とは直接関係なく出会った潰瘍性大腸炎の患者の一部からはこういわれたことがある。「医療に詳しいみたいだから言っても問題ないかなと思って」そうした彼らの期待に今の自分が応えられているかと問われれば私も自信はない。だが、日本の国家元首自らのカミングアウトは、アンサングな患者たちのことに今一度思いをはせる良い機会ではないだろうか。もっともこの職業ゆえの余計な一言かもしれないが、安倍首相の政治的成果に対する評価は別途厳格に行わなければならないし、そこでは基本、鞭を打つ姿勢で臨むべきであり、手を緩める必要はまったくないと思っている。

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