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医療者へのワクチン【今、知っておきたいワクチンの話】総論 第6回

はじめここでは特定のワクチンではなく、医療機関で働く医療者に対して接種が推奨されるワクチンを一括して扱う。本稿の対象は、医療機関で働き患者と対面での接触がある職員(医師、看護師、各種技師、受付事務員など)に加え、医療現場で実習を行う医療系学生(医学生、看護学生など)である。以降は、まとめて「医療職員」と記載する。医療職員は、常にさまざまな病原体にさらされている。伝染性疾患の患者は、そうと知らずに治療を求めて病院を訪れるし、易感染性状態にある免疫弱者も同じ空間に密集しうる。これら両者に対応する医療職員も、また、常に病原微生物に曝露されている。したがって、医療職員が感染すると、自身が感染症患者になるだけでなく、無関係な来院者や入院患者へ2次感染を起こす原因にもなりうる。これを回避するためにワクチンがある(ワクチンで予防できる)感染症(VPD)については最大限に対策する必要がある。以上の観点から、対象となるのは以下のVPDとなる。1.空気感染もしくは飛沫感染するVPD2.接触感染または針刺しが原因となるVPD3.一部の医療従事者で必要となるVPD4.曝露後対応を要するVPDワクチンで予防できる疾患(疾患について・疫学)1.空気感染もしくは飛沫感染するVPD1)麻疹風疹、ムンプス、水痘(1)いずれも代表的なVPDで、飛沫やエアロゾルによる強烈な感染力がある。ムンプス以外は定期接種に指定されているが、海外からの持ち込みなどもあり根絶には程遠い状況にある。(2)近年は医学部などの卒前教育課程でワクチン接種が推奨される医療系学生も増えてきたが、記録の確認は確実に行っておく必要がある。医療資格を持たない事務系職員も忘れずに対応する必要がある。2)季節性インフルエンザ(1)インフルエンザウイルスによる流行性感冒。A型とB型があり、それぞれ流行の度に表面抗原も微妙に異なる。(2)わが国では晩秋から春にかけて流行することが多いが、沖縄を含む熱帯地方では年間を通じて循環している。海外との往来や温暖化により、流行時期は増えている。(3)感染既往やワクチン接種による免疫は発症を予防するほど十分でないため、ワクチンを接種しても罹患するなど個人レベルでは恩恵を実感しにくいが、集団としてはワクチン接種率が高いほど疾病負荷が減るため有益性がある。3)SARS-CoV-2(COVID-19)(1)2019年末から世界的パンデミックを起こしたコロナウイルス。2023年現在はオミクロン株派生型が主流で、軽症にとどまることが多いもののエアロゾル感染を起こすため強い感染力がある。4)百日咳(1)飛沫により感染する細菌感染症。成人が感染すると乾性咳が長く続き、新生児が感染すると致死的な経過を取ることがある。以上から、新生児と接触がある成人に免疫付与するコクーニング(cocooning)による新生児感染予防が推奨されている。2.接触感染または針刺しが原因となるVPD1)B型肝炎(1)ヒトのあらゆる体液(汗を除く)から感染するウイルス性疾患で、15年以上の経過で肝硬変や続発する肝がんの原因となる。(2)世界保健機関(WHO)が1992年からuniversal vaccinationキャンペーンを展開して感染抑制が進んだ地域も多い中、わが国は定期接種化が2016年と世界的には後発であり、高齢者の陽性キャリアはいまだ多い。3.一部の医療者のみ考慮の対象となるVPD1)破傷風(1)土中の芽胞菌である破傷風菌が損傷皮膚に感染して起こす疾患で、発症後の死亡率は30%と高い。肉眼で確認できない微細な損傷でも感染が成立する。(2)屋外で転倒する可能性を考えれば全住民に免疫付与が望まれるが、医療機関での業務として考えた場合、土壌に触れる業務がある職員(清掃職員、園芸療法に関わる者など)で接種完遂が求められる。2)髄膜炎菌(1)飛沫感染によって細菌性髄膜炎を起こす。集団生活や人の密集状態で、時に集団発生することが知られている。(2)救急外来や病理検査室のように、曝露を受ける可能性が高い部署では職員に対して接種を勧める。4.曝露後対応を要するVPD(曝露後緊急接種に用いる)1)MR、水痘(1)麻疹と水痘への曝露があった場合、すみやかに追加接種(72時間以内だが早いほど良い)することで、免疫がなくても高い発症阻止効果が期待できる。(2)風疹とムンプスでは曝露後接種の有効性は示されていないが、曝露の時点でワクチン接種歴が明らかでなければ将来利益も考慮して接種を推奨する。2)HBV(B型肝炎ウイルス)(1)接種未完了者がHBV陽性体液に曝露された場合、免疫グロブリンに加えてHBVワクチン1シリーズ(3回)接種を開始することで感染を予防できる可能性がある。3)破傷風(1)屋外での外傷により発症リスクが懸念される場合、追加接種を行う。医療職員が未接種である可能性は低いが、その場合は免疫グロブリン投与も必要となる。ワクチンの概要(効果、副反応、生または不活化、定期または任意・接種方法)1)MR、ムンプス、水痘(1)上記いずれも生ワクチンであり、MRと水痘は現在国の定期接種となっているが、1回接種だった時代もあり、接種回数が不足している可能性がある。2)季節性インフルエンザ(1)4価の不活化ワクチン(A型2価+B型2価)が最も一般的。成人はシーズン前に1回接種。(2)上記の通り、個々人の発症や重症化を予防する効果は高くないが、集団発生の確率を減らすことで疾病負荷を軽減するために接種が推奨される。3)SARS-CoV-2(COVID-19)(1)パンデミック対策として各種ワクチンが緊急開発・供給された中、初めて実臨床使用されたmRNAワクチンが、現時点までもっとも安全かつ有効なワクチンである。(2)2023年現在、野生株とオミクロン株の2価ワクチンが流通している。(3)伝統的なワクチンに比べて発熱や疼痛などが強い傾向はあるものの、重篤な副反応はとくに多いとはいえず、安全性は他のワクチンと大差はない。4)百日咳、破傷風(1)3種または4種混合として定期接種化されている不活化ワクチン。(2)免疫能を維持するために10年ごとの追加接種が望ましいとされているが、追加分は定期接種に設定されていないため、可能なら医療機関で職員の接種時期を把握しておき、接種を知らせたい。接種のスケジュールや接種時の工夫いずれのワクチンについても、接種歴を確実に記録し、必要な追加接種が遅れずに実施できるように努める。1)MR、ムンプス、水痘(1)「生後1年以降に2回の接種」が完遂の条件。間隔が長くても問題ない。(2)上記を満たさない・記録が確認できない場合は、不足分を接種する。(3)2回接種が必要な場合、1ヵ月以上時間を空ける。(4)混合ワクチンにより3回以上の接種となる成分があっても問題ない。(5)接種前後での抗体検査は必要ない。2)百日咳、破傷風(1)小児期の基礎免疫が完遂している場合、沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン(商品名:トリビック)を1回接種する。(2)小児期の基礎免疫が不明なら、基礎免疫として0、1、2ヵ月で3回接種する。(3)破傷風の単独ワクチンを接種していても、百日咳の免疫付与が必要ならトリビックを接種して良い。3)季節性インフルエンザ(1)一般的な4価の不活化ワクチンは、流行前に1回接種する。(2)添付文書上は皮下注とされているが、効果や副作用の観点からは筋注が望ましいため、実臨床では「深い皮下注」を心がけると良い。4)SARS-CoV-2(COVID-19)(1)院内感染対策の一環として、医療職員は都度すみやかに接種を行うことが望ましい。日常診療で役立つ接種ポイント(例:ワクチンの説明方法や接種時の工夫など)業務上の必要性から職員へ接種を勧める観点から、以下の点に留意したい。職種により事前の説明を調整する接種費用は医療機関が負担する接種記録は人事記録として保管する妊娠や治療などが接種不可の理由になることから、ワクチン接種情報はプライバシー保護の対象として対応する。たとえば、「集団一斉接種をしない」、「接種対象者名簿を公開しない」など。年次健康診断や新人オリエンテーションと一緒に接種するなど、業務への影響を最小限に抑える工夫をする曝露後接種の取り扱いは、あらかじめ院内感染予防マニュアルに手順を明記しておく。そうすることで、発生報告からワクチン接種まで迅速に処理され接種時期を逃さない。参考となるサイト環境感染学会医療者のためのワクチンガイドライン 第2版/第3版こどもとおとなのワクチンサイト講師紹介

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麻疹患者が世界的に急増、2022年の死者数は13万6,000人に

 麻疹(はしか)の予防接種率が数年にわたり低下し続けた結果、2021年と比較して、2022年には麻疹の患者数が18%、死亡者数が43%増加したことが、世界保健機関(WHO)と米疾病対策センター(CDC)が「Morbidity and Mortality Weekly Report」11月17日号に発表した報告書で明らかにされた。この報告書によると、2022年の麻疹患者数は900万人、死亡者数は13万6,000人と推定され、そのほとんどは小児であったという。 CDCの世界予防接種部門のディレクターであるJohn Vertefeuille氏は、「麻疹のアウトブレイク(突発的な発生)と死亡者数の増加は驚異的であるが、残念ながら、ここ数年の麻疹ワクチンの接種率の低下に鑑みると、予想された結果ではある」とCDCのニュースリリースで述べている。同氏はさらに、「場所を問わず、麻疹患者の発生は、ワクチン接種が不十分なあらゆる国や地域社会に危険をもたらす。麻疹の発生と死亡を予防するためには、緊急かつ的確な取り組みが重要となる」と語る。 報告書では、大規模または破壊的な麻疹のアウトブレイクが発生した国の数は、2021年には22カ国だったのが2022年には37カ国に増えたことが指摘されている。2022年にアウトブレイクが発生した国を地域ごとに見ると、最も多かったのはアフリカで28カ国、次いで、東地中海地域6カ国、東南アジア2カ国、ヨーロッパ1カ国の順だった。 麻疹は予防接種を2回受けることで予防可能な疾患だが、麻疹ワクチン未接種の小児の数は3300万人(初回接種を受けていない小児が約2200万人、2回目の接種を受けていない小児が約1100万人)に上ると推定されている。2022年の世界全体でのワクチン接種率は、初回が83%、2回目が74%であり、集団免疫を獲得し、地域社会を麻疹のアウトブレイクから守るのに必要な2回目接種率(95%)を大きく下回っていた。特に、低所得国では、麻疹ワクチンの初回接種率が、2019年から2021年の間に71%から67%へ低下し、2022年にはさらに低下して66%と、経時的に低下し続けている。 さらに、麻疹ワクチンの初回接種を受けなかった2200万人の小児の半数以上が、わずか10カ国に住んでいることも示された。それらの国は、ナイジェリア、コンゴ民主共和国、エチオピア、インド、パキスタン、アンゴラ、フィリピン、インドネシア、ブラジル、マダガスカルである。 WHOの予防接種・ワクチン・生物製剤部門長であるKate O’Brien氏は、「新型コロナウイルス感染症のパンデミック後、低所得国での麻疹ワクチン接種率が回復していないことは、行動を起こすべきことを伝える警鐘だと言える。麻疹ウイルスが不公平なウイルスと言われるのは、麻疹に罹患するのがワクチンによる保護を受けていない人だからだ。どこの国の子どもも、住んでいる場所にかかわりなく、命を救う麻疹ワクチンで守られる権利がある」と話している。

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注射薬【アトピー性皮膚炎の治療】

デュピルマブ(商品名:デュピクセント)デュピルマブは、ヒト型抗ヒトIL-4/13受容体モノクローナル抗体の治療薬で、2018年から使用できるようになったアトピー性皮膚炎の治療薬です。2週間に1回注射をします。生物学的製剤であり、生体が作る抗体タンパクを人工的に作成しアトピーを悪化させる活性物質にピンポイントで作用させることを目的としています。デュピルマブの対象患者ステロイド外用剤やタクロリムス外用剤などの抗炎症外用剤による適切な治療を一定期間施行しても、十分な効果が得られず、強い炎症を伴う皮疹が広範囲に及ぶ患者。デュピルマブの注射の種類注射器型のシリンジと自己注射に向いているペンの2種類。デュピルマブの特徴アトピー性皮膚炎の炎症やかゆみに大きく関わる蛋白であるインターロイキン4(IL-4)、IL-13の働きを抑えます。具体的には、IL-4受容体α(IL-4Rα)をブロックする薬です。ブロックすることでアトピー性皮膚炎のかゆみ、皮膚炎症状が改善します。また、IL-4、13はフィラグリンという皮膚のバリア機能を保つための重要な蛋白を作りにくくさせることが知られており、これを抑制することで皮膚バリア機能の回復も期待できます。デュピルマブの用法・用量15歳以上の成人の初回投与は600mg(2本)です。以後、2週間おきに300mg(1本)ずつ注射します。初診時は問診と診察で適応があるかどうかの確認を行います。なお、初診時にデュピルマブの投与はできません。2023年9月25日より生後6ヵ月以上の小児に適応が追加されました。また、2023年12月18日より200mgシリンジが発売されました。小児では体重ごとに用法が変わります。具体的には5kg以上15kg 未満:1回 200mgを4週間隔、15kg以上30kg未満:1回 300mgを4週間隔、30kg以上60kg未満:初回に400mg、その後は1回 200mgを2週間隔、60kg以上:初回に600mg、その後は1回 300mgを2週間隔(成人と同様の用法、用量)で投与します。デュピルマブの薬価300mgシリンジ:5万8,593円300mgペン:5万8,775円200mg シリンジ:4万3,320円〔ワンポイント〕高額療養費制度の勧め:薬剤費が高額なため、高額療養費制度を利用されることを強くお勧めします。収入や年齢により適応となる場合やそうでない場合があります。自己注射をする場合、最大6本の注射薬を処方することができ、一部の方には高額療養費制度を用いて医療費の負担軽減が可能です。デュピクセント皮下注 電子添文(2023年9月改訂(第6版))ネモリズマブ(商品名:ミチーガ)ネモリズマブは、ヒト化抗ヒトIL-31受容体A(IL-31RA)モノクローナル抗体です。IL-31は、かゆみに重要な役割を果たすサイトカインで、主にTh2細胞から作られます。ネモリズマブは、アトピー性皮膚炎に伴うかゆみを改善する新しい発想の治療薬です。IL-31とアトピー性皮膚炎、そしてかゆみIL-31は、Th2細胞から産生され、アトピー性皮膚炎の皮膚病変部では、過剰に産生されていることが知られています1)。また、血清中のIL-31の濃度はアトピー性皮膚炎患者では上昇しており、病勢と相関していることが知られています2)。IL-31は神経線維が成長することを促進し、かゆみを増強する働きもあります3)。IL-31の受容体は神経線維や表皮角化細胞に分布しています。また、IL-31はバリア低下にも働くことが知られています4)。そして、この受容体は、感覚情報の中継点として機能する脊髄後根神経節に多く発現しており、かゆみを脳に伝えることにも深く関わっています5)。つまり、IL-31はかゆみに関係する神経を刺激して脳にそのかゆみを伝え、そして神経の成長を助けてかゆみを起こしやすくする働きがあります。この受容体は、IL-31RAとオンコスタチンM受容体(OSMR)が合わさってできており、ネモリズマブはそのうちIL-31RAに結合して働きを抑えます。ネモリズマブの効果第III相臨床試験の結果6)より、かゆみに関しては、1週目より有意な差がみられています。速やかなかゆみの改善という点を期待したいところです。ネモリズマブの副作用電子添文7)によると、アトピー性皮膚炎(18.5%)、皮膚感染症(ヘルペス感染、蜂巣炎、膿痂疹、二次感染など)(18.8%)が頻度の多い副作用です。ウイルス、細菌、真菌などによる重篤な感染症が3.4%に認められ、アナフィラキシー(血圧低下、呼吸困難、蕁麻疹など)などの重篤な過敏症が0.3%報告されています。使用上の注意ネモリズマブはかゆみを治療する薬剤であり、かゆみが改善した場合も含め、投与中はアトピー性皮膚炎に対して外用薬をはじめとした必要な治療を継続することが必要です。ネモリズマブはIgGという種類の抗体製剤ですので、胎盤や乳汁に移行することがあります。そのため、妊娠中や授乳中の投与は禁忌ではありませんが、治療上の有益性が投与の危険性を上回ると判断された場合にのみ使用することになっています。ネモリズマブの適応13歳以上のアトピー性皮膚炎に伴うそう痒(既存治療で効果不十分な場合に限る)となっています。ステロイド外用剤やタクロリムス外用剤などの抗炎症外用剤および抗ヒスタミン剤などの抗アレルギー剤による適切な治療を一定期間施行しても、そう痒を十分にコントロールできない患者さんが対象です。ネモリズマブの用法・用量ネモリズマブとして60mgを4週に1回皮下注射で投与します。在宅自己注射も可能です。ネモリズマブの薬価60mgシリンジ:11万7,181円1)Guttman-Yassky E, et al: J. Allergy Clin. 2019;143:155-172.2)Ezzat M H M, et al. J Eur Acad Dermatol Venereol. 2011;25:334-339.3)Feld M, et al. J Allergy Clin Immunol. 2016;138:500-508.4)Cornelissen C, et al. J Allergy Clin Immunol. 2012;129:426-433.5)Furue M, et.al. Allergy. 2018;73:29-36.6)Kabashima K, et al. N Engl J Med. 2020;383:141-150.7)ミチーガ皮下注 電子添文(2023年11月改訂(第3版))トラロキヌマブ(商品名:アドトラーザ)トラロキヌマブは、IL-13を選択的に阻害するヒト免疫グロブリンIgG4モノクローナル抗体であり、IL-13がその受容体に結合するのをブロックします。IL-13はアトピー性皮膚炎の病変ができ、慢性化していくのに重要な働きをしますので、IL-13をブロックするのは合理的と考えられます。2022年12月に製造販売承認を取得、2023年3月に薬価基準に収載されました。2023年9月26日、アドトラーザ皮下注150mgシリンジが発売されました。IL-13の働きアトピー性皮膚炎の病変が持続するために重要な働きをするのが、Th2細胞というリンパ球です。Th2細胞は、IL-13やIL-4を産生することで皮膚のバリア機能低下、抗菌ペプチドの産生低下、IL-31というかゆみに関連するサイトカインの産生などを起こしてアトピー性皮膚炎の特徴的な病変を作ります。IL-13はIL-4と似た働きをしていますが、アトピー性皮膚炎の病態が作られる上で、IL-4よりIL-13のほうがより中心的な働きをしていることが知られています。また、線維化に関しても重要な役割を果たすことが解明され、アトピー性皮膚炎の慢性病変では苔癬化という皮膚がゴワついた感じになる病変ができますが、それにもIL-13の働きが重要であることが判明しています。トラロキヌマブの効果ステロイド外用剤併用下で、16週間トラロキヌマブを投与することで皮膚炎の重症度指標であるEASIが75%減少した患者割合であるEASI75は56.0%でした。これに対し外用薬だけの患者は35.7%でした。トラロキヌマブの適応従来の治療(ステロイド外用剤など)で十分な効果が得られない15歳以上のアトピー性皮膚炎患者トラロキヌマブの用法・用量トラロキヌマブはシリンジ製剤で、初回4本、その後2週間隔で2本を皮下注射します。現段階では在宅自己注射はできません。トラロキヌマブの薬価150mgシリンジ:2万9,295円アドトラーザ皮下注 電子添文(2023年9月改訂(第2版))

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遺伝性血管性浮腫治療薬のホームデリバリーでQOL向上を目指す/CSLベーリング

 2023年12月5日、CSLベーリング主催による「遺伝性血管性浮腫(HAE)患者さんのQOL向上をめざして」と題したプレスセミナーが開催された。同セミナーでは、広島市民病院 病院長の秀 道広氏による「HAE病態解明と治療法の進歩について」の講演が行われたほか、NPO法人遺伝性血管性浮腫患者会(HAEJ)理事長の松山 真樹子氏が患者の家族として、日常の苦労やHAE患者の今後の課題を述べた。 また、CSLベーリングは同日付のプレスリリースで、2022年11月に発売されたHAE急性発作発症抑制薬「乾燥濃縮人C1-インアクチベーター(商品名:ベリナート皮下注用2000)」による在宅治療を行っている患者に対して、医薬品配送サービス「CSLホームデリバリー」を2023年12月1日より全国で開始したと発表した。命に関わることもある指定難病のHAE HAEは、主に遺伝子の変異により血液中のC1インアクチベーターの低下もしくは機能異常により起こる疾患である。皮膚や腹部(腸)、手足や唇、喉など、体中のさまざまな部位に繰り返し腫れが起こり、とくに喉が腫れると気道をふさいで呼吸困難に陥り、命に関わる場合もある。HAEは、国の指定難病「原発性免疫不全症候群」の疾患の1つに認定されている。海外のデータでは人口の5万人に1人の割合で患者がいるといわれており1)、日本には約2,500例の患者がいると推定されている2)。しかし、日本では診断・治療中の患者は約430例にとどまるという報告3)があることから、診断に至っていない患者が国内に多くいる可能性が高いと、秀氏は講演の中で指摘した。多岐にわたる症状により診断が困難 症状が多岐にわたるため、患者は内科や胃腸科、婦人科などを受診することもある。HAEの認知度は皮膚科の医師においては高くなってきているものの、他科では低い状況もあって診断に至らず、実際、確定診断までにかかる年数は発症から14.8年という報告もある4)。長期予防薬にて治療可能だが、薬を持ち帰ることが負担 診断に至った後でも、患者の悩みは続く。急性発作を予防するために、自己注射にて長期予防薬を投与する必要があるが、その治療薬の1つである「乾燥濃縮人C1-インアクチベーター」は30℃以下での保存が必須である。保冷バッグに入れる必要があり、「大きな荷物となるため持ち帰ることが大変困難」と、松山氏は患者家族の苦労を語った。ホームデリバリーシステムにより患者負担の軽減を目指す 「CSLホームデリバリー」は、薬を自宅に持ち帰る患者の負担軽減を目的に、定期受診の際に処方される医薬品、医療材料を患者の自宅に安全・確実に配送する、CSLベーリングが提供する医薬品宅配サービスだ。輸送時は適切な温度管理(保冷かつ凍結を避けて30℃以下で保存)ができるよう同社が開発した専用の輸送ボックスを用いる。また、物流面の安全確保措置として、佐川急便が所有するチャーターサービス(貸し切り)を患者ごとに手配することで、他の荷物と区別して届けることを可能とした。さらに患者の自宅に指定時間に配達後、佐川急便が配達完了の報告を保険薬局に行うことで、集荷から完了まで適切に追跡を管理する。 同社は、「本取り組みが患者にとってより満足度の高い在宅治療につながり、適正治療および患者のQOLの向上に寄与できるよう今後も尽力していく」としている。

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第75回 今冬新型コロナは再び流行するのか?

インフルエンザの流行が爆発中Unsplashより使用新型コロナはどこにいったのかというくらい、インフルエンザの感染が流行しています。うちの子供の学校でも学級閉鎖が相次いでいます。しかし、何となく一山越えた感じがあって、そろそろ落ち着いてくれるんじゃないかと期待しています。画像を拡大する図. インフルエンザと新型コロナの定点医療機関当たりの患者数(人)(筆者作成)1、2)新型コロナは定点医療機関当たりの患者数が2.75人とじわじわと増えてきているような印象があって、もしかしてこれは…と警戒しています。アルファ株やデルタ株のときほど怖がらなくてもよいと思っていますが、ワクチン接種を続けている人もだんだんと減ってきていますから、実生活に与える感染のインパクトは、まだ大きいかもしれません。ママ友に聞くと、子供に至ってはインフルエンザワクチンだけで2回受診しないといけませんし、ここに新型コロナワクチンは無理というのが本音のようです。ワクチン接種の手間が大きいので、早く混合ワクチンが登場してほしいところです。もはや複数回感染は新型コロナでは当たり前のように起こっているので、「もうかかっても大したことない」と思われる方が多いですが、どうも複数回感染するほど後遺症リスクは高くなってくるという報告もあって3)、そんな単純な問題ではなさそうです。咽頭結膜熱、溶連菌感染症、マイコプラズマ、そして…さらに、国内では小児を中心に咽頭結膜熱、溶連菌感染症が流行しています。いずれも過去最多水準で推移しており、小児科は大忙しです。にしても、それほどコロナ禍の感染対策が小児の免疫に影響を与えたのかと驚くばかりです。韓国や中国ではさらにマイコプラズマが流行し、そしてイギリスでは百日咳の報告数が増えていると報道されています。いやー、そんなに病原微生物が流行ったら、困りますね。参考文献・参考サイト1)厚生労働省:インフルエンザの発生状況2)厚生労働省:新型コロナウイルス感染症に関する報道発表資料(発生状況等)2023年6月~3)Kostka K, et al. “The burden of post-acute COVID-19 symptoms in a multinational network cohort analysis.” Nat Commun. 2023;14:7449.

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抗ヒスタミン薬が無効の慢性特発性蕁麻疹、ligelizumabの効果は?/Lancet

 ヒスタミンH1受容体拮抗薬(H1AH)による治療で、効果不十分な成人および青年期(12歳以上)の慢性特発性蕁麻疹(CSU)患者において、ligelizumabはプラセボに対する優越性を示したが、オマリズマブに対しては示さなかった。ドイツ・Urticaria Center of Reference and Excellence(UCARE)のMarcus Maurer氏らが、ligelizumabの有効性と安全性を評価した2つの第III相無作為化二重盲検比較試験「PEARL-1試験」および「PEARL-2試験」の結果を報告した。CSU患者の多くが、現在使用可能な治療ではその症状を完全に管理することができない。ligelizumabは、第IIb相用量設定試験ではH1AHで効果不十分なCSU患者において、蕁麻疹症状を改善することが報告されていた。Lancet誌オンライン版2023年11月23日号掲載の報告。2つの第III相試験で、ligelizumab 72mg、120mg、オマリズマブ300mgまたはプラセボに割り付け PEARL-1試験およびPEARL-2試験は、同一デザインの無作為化二重盲検実薬およびプラセボ対照並行群間比較試験で、46ヵ国347施設において実施された。 研究グループは、H1AHで効果不十分な中等度から重度の成人および青年期(12歳以上)のCSU患者を、ligelizumab 72mg、ligelizumab 120mg、オマリズマブ300mg、またはプラセボ群に3対3対3対1の割合で無作為に割り付け、4週間ごとに52週間投与した。プラセボ群では、24週目からligelizumab 120mgに切り替えた。 主要アウトカムは、12週時の週間蕁麻疹活動性スコア(UAS7)のベースラインからの変化量(CFB)で、試験薬を1回以上投与された成人患者を有効性解析対象集団として、無作為化された投与群に従って解析した。安全性は、試験薬を1回以上投与された青年期を含むすべての患者を安全性解析対象集団として、実際に投与された試験薬について評価した。ligelizumabの優越性、対プラセボでは示すも、対オマリズマブでは示されず 2018年10月17日~2021年10月26日に、2試験で合計2,057例が無作為に割り付けられた(ligelizumab 72mg群614例、ligelizumab 120mg群616例、オマリズマブ群618例、プラセボ群209例)。患者背景は、1,480例(72%)が女性、577例(28%)が男性で、両試験のベースラインでの平均UAS7は29.37~31.10であった。 12週時のUAS7のベースラインからの変化量(最小二乗平均値)のプラセボ群との差は、PEARL-1試験およびPEARL-2試験において、それぞれligelizumab 72mg群が-8.0(95%信頼区間[CI]:-10.6~-5.4)、-10.0(-12.6~-7.4)、ligelizumab120mg群が-8.0(-10.5~-5.4)、-11.1(-13.7~-8.5)であり、両試験においてligelizumab 72mg群および120mg群のプラセボ群に対する優越性が示された。 一方、12週時のUAS7のベースラインからの変化量(最小二乗平均値)のオマリズマブ群との差は、PEARL-1試験およびPEARL-2試験において、それぞれligelizumab 72mg群で0.7(95%CI:-1.2~2.5)、0.4(-1.4~2.2)、ligelizumab 120mg群で0.7(-1.1~2.5)、-0.7(-2.5~1.1)であり、ligelizumab 72mg群および120mg群のオマリズマブ群に対する優越性は示されなかった。 ligelizumab、オマリズマブのいずれも、新たな安全性シグナルは認められなかった。

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破傷風の予防【いざというとき役立つ!救急処置おさらい帳】第8回

今回は、破傷風の予防についてです。外傷患者さんを診たとき、「傷が汚いから破傷風トキソイドを打とう」という発言をよく聞くことがありますが、「“汚い”とは何をもって“汚い”と言うのか?」と聞かれるとすぐに答えるのは難しいのではないでしょうか。前回紹介した毎日犬にかまれているおじいさんの症例をベースに、破傷風予防の必要性を考えていきましょう。<症例>72歳男性主訴飼い犬にかまれた高血圧、糖尿病で定期通院中。受診2時間前に飼い犬のマルチーズに手をかまれた。自宅にあった消毒液で消毒し、包帯を巻いた状態で定期受診。診察が終わったときに自分から「今日手をかまれて血が出て大変だったんだよ」と言い、犬咬傷が判明。既往歴糖尿病、高血圧アレルギー歴なしバイタル特記事項なし右前腕2ヵ所に1cm程度の創あり。発赤なし。破傷風の予防接種の有無を聞くと、「そのようなものは知らない」と答える。さて、この患者さんは破傷風トキソイドを打つ必要があると考えますか? 私は迷うことなく「Yes」だと思います。しかし、もし犬にかまれたのではなく、「自宅内で転倒して額に1cmの挫創を負った」「屋外で転倒して肘に擦過創ができた」であればYes/Noが分かれるかもしれません。もしくはこの患者さんが14歳だったとしたらどうでしょうか? 今回は日本の国立感染症研究所とアメリカのCenters for disease Control and Preventionの情報を基に解説します1,2)。治療に入る前に破傷風に関して復習しましょう。破傷風は、Clostridium tetani(破傷風菌)が産生する神経毒素による神経疾患です。破傷風菌は偏性嫌気性グラム陽性有芽胞桿菌で土壌などの環境に広く分布しており、ある程度どのような場所でも傷を負えば感染のリスクがあります。日本では年間100例程度が発症しており、そのうち9例程度が死亡する非常に重篤な疾患です2)。私も数例診ましたが、痙攣のコントロールに難渋するなど非常に治療が難しく、たとえ助かったとしても重篤な合併症を残してしまう危険な疾患と考えています。しかし、ワクチン接種により基礎免疫を獲得することで、ほぼゼロに近い確率まで破傷風の発症を防ぐことできます。ガイドラインでは「基本的には破傷風に対する基礎免疫を持っている状態」が望ましいとされ、「傷がきれいであったとしても、基礎免疫がないもしくはブースターが必要な場合は破傷風トキソイドの投与が推奨」されています。では症例に戻って系統立ててみていきましょう。(1)基礎免疫はあるかまず破傷風に対する基礎免疫があるかを確認しましょう。初回投与から決められた期間に2回破傷風トキソイドを投与することにより基礎免疫を獲得し、最終接種から10年ごとに再投与することで基礎免疫が維持されます。日本では1968年から百日せき・ジフテリア・破傷風の3種混合ワクチン(DPT)の定期接種が始まりましたが、全国一律で開始されたわけではないようです。国立感染症研究所の情報によると、1973年以前の出生の人では抗体保有率が低いものの、1973年より後の出生の人では基礎免疫を獲得していると考えられます。今回の患者さんは定期接種がなかった時代に出生しているため、基礎免疫がないと判断します。次いで患者さんが、破傷風トキソイドを打ったことがあるかどうかを確認しましょう。外傷を契機に破傷風トキソイドを打ったことがある人がいますが、「受傷したときに1回しか打っていない」「記憶があやふや」という人も多く、その場合も基礎免疫がないと考えます。この患者さんにトキソイドについて尋ねたところ「何それ?」と回答されたので基礎免疫はないと判断しました。(2)傷の「きれい」「汚い」破傷風を起こす可能性が高い創=汚い、破傷風を起こす可能性が低い創=きれい、と表現されることが多く、これをもって破傷風トキソイドを打つかどうか判断している医師もいると思います。しかしながら、表1のとおりガイドライン上は「汚い」「きれい」で変わるのは基礎免疫がない患者で抗破傷風免疫グロブリンを打つかどうかです。ここを注意してください。表1 破傷風トキソイド・抗破傷風免疫グロブリン(TIG)の投与基準画像を拡大するでは、きれい/汚いはどう区別するのでしょうか? これは私もかなり探してみたのですが、書籍や文献によってまちまちです。CDCでは「汚い」に関しては「土壌、汚物、糞便、または唾液(動物や人間のかみ傷など)で汚染された傷を“汚い”と判断する必要がある。また、刺し傷または貫通傷を汚染されたものとみなし、破傷風のリスクが高い傷と判断する。壊死組織(壊死性、壊疽性の傷)、凍傷、挫傷、脱臼骨折、火傷を含む傷は、破傷風菌の増殖に適しておりリスクが高い」とされています。Colombet氏らは自身の論文で「明確に破傷風リスクが低い/高い傷を定義するのは困難」と述べていて、傷の状態や性状だけで判断は難しいと思います3)。よって基礎免疫がない外傷患者に対して破傷風トキソイドの投与は必須として、抗破傷風免疫グロブリンを投与するかどうかは医師の判断になります。症例に戻りましょう。破傷風トキソイドは投与して、抗破傷風免疫グロブリンを投与するかどうかの判断が必要になります。この傷はガイドラインに沿えば、きれいな傷とはならないので抗破傷風免疫グロブリンの適応となります。私はこの傷であれば、手元に抗破傷風免疫グロブリンがあれば投与を検討しますが、すぐ投与するためにあえて高次機能病院に受診させることはありません。私が必ず抗破傷風免疫グロブリンを投与するのは、開放骨折やデグロービング損傷など重症度が高い傷で破傷風のリスクが高いと判断したときです。この患者さんは、破傷風トキソイドを投与し、基礎免疫を獲得するために1ヵ月後と半年後に予防接種を受けてもらうことにしました。今回は、破傷風の予防に関してお話ししました。救急外来では破傷風トキソイドが適切に投与されていないとの報告もあり、実際に私も「傷がきれい」という理由で破傷風トキソイドを打たれなかった症例を経験することがあります4)。そのようなこともあり破傷風の予防には思い入れがありますので、参考になれば幸いです。破傷風の豆知識(1)破傷風トキソイドと抗破傷風免疫グロブリンは受傷後いつまでに打てばよい?UpToDateの「Wound management and tetanus prophylaxis」を参考にすると5)、「なるべく早く」が答えです。ただし、その場で投与できなかったとしても破傷風の発症は受傷から3~21日後ですので、可能であれば3日以内、最長で21日まで破傷風トキソイドと抗破傷風免疫グロブリンを破傷風感染予防目的に投与することは推奨されると記載されています。ただし、破傷風トキソイドに関しては基礎免疫を獲得していることが望ましいので、21日を過ぎて、もともと基礎免疫がない患者、もしくは基礎免疫があっても最終接種からの年数と傷の状態からブースト接種が必要な場合は破傷風トキソイドの投与を勧めるべきと考えます。つまり気が付いたときにはいつでも破傷風トキソイド投与を勧める必要があります。何らかの傷を負ったときの破傷風トキソイドは傷からの破傷風予防として保険適用です。(2)基礎免疫があれば破傷風のリスクが高い傷に抗破傷風免疫グロブリンを打たなくてもよい?表1を見てもらいたいのですが、基礎免疫がある人は抗破傷風免疫グロブリンの適応になりません。では1973年より後に生まれた人はたとえ破傷風のリスクが高い傷でも抗破傷風免疫グロブリンを打たなくてよいのでしょうか? 私は必要と考えています。なぜなら本当に基礎免疫があるかどうか確認できないことが多いからです。赤ちゃんのときのワクチン接種に関しては母子手帳に記載がありますが、患者は持ち歩いておらず、本人に聞いてもわからないことがほとんどです。そのため、私は基礎免疫があると確証が持てない場合で破傷風のリスクが高い傷の場合は抗破傷風免疫グロブリンを投与しています。将来的に、ワクチン接種歴がマイナンバーで管理されてすぐに接種歴がわかるようになれば、ほとんどの症例で抗破傷風免疫グロブリンの投与はしなくなるのかなと思います。1)CDC:Tetanus2)国立感染症研究所:破傷風とは3)Colombet I, et al. Clin Diagn Lab Immunol. 2005;12:1057-1062. 4)Liu Y, et al. Hum Vaccin Immunother. 2020;16:349-357.5)UpToDate:Wound management and tetanus prophylaxis

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モデルナのインフル・コロナ混合ワクチン、第I/II相で良好な結果

 米国・Moderna社は10月4日付のプレスリリースにて、同社で開発中のインフルエンザと新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する混合ワクチン「mRNA-1083」が、第I/II相臨床試験において良好な中間結果が得られたことを発表した。同ワクチンは、インフルエンザおよびCOVID-19に対して強い免疫原性を示し、反応原性および安全性プロファイルは、すでに認可されている単独ワクチンと比較して許容範囲内であった。本結果を受けて、mRNA-1083は第III相試験に進むことを決定した。 第I/II相臨床試験「NCT05827926試験」は観察者盲検無作為化試験で、混合ワクチンmRNA-1083と、50~64歳への標準用量のインフルエンザワクチン(Fluarix)、および65~79歳への強化インフルエンザワクチン(Fluzone HD)とを比較し、安全性と免疫原性を評価した。また両年齢層において、mRNA-1083と、2価の追加接種用COVID-19ワクチン(Spikevax)とも比較して評価した。 主な結果は以下のとおり。・mRNA-1083は、4価インフルエンザワクチンと同等以上の赤血球凝集抑制抗体価が認められた。50~64歳へのmRNA-1083はFluarixと比較して、インフルエンザウイルスA型およびB型の全4株について、幾何平均力価(GMT)比が1.0以上だった。65~79歳へのmRNA-1083もFluzone HDと比較して、GMT比が1.0以上だった。・mRNA-1083は、Spikevax 2価ワクチンと同等のSARS-CoV-2中和抗体価が認められた。Spikevaxに対するmRNA-1083のGMT比は、50~64歳で0.9以上、65~79歳で1.0以上だった。・mRNA-1083投与後に報告された局所および全身性の副反応は、COVID-19単独ワクチン投与群と同程度だった。副反応の大部分は重症度がGrade1/2であった。・Grade3の局所/全身反応は、50歳以上の参加者の4%未満で報告された。・mRNA-1083については、単独ワクチンと比較して安全性に関する新たな懸念は確認されなかった。 同社は、2023年にmRNA-1083の第III相試験を開始する予定であり、2025年に本混合ワクチンの承認を目標としている。

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イクラでアレルギー、ほかに除去すべき魚卵は?【乗り切れ!アレルギー症状の初診対応】第10回

イクラでアレルギー、ほかに除去すべき魚卵は?講師藤田医科大学医学部 小児科学 講師 中島 陽一 氏【今回の症例】3歳の男児。イクラを5粒ほど食べ、10分後に顔に蕁麻疹が出現し、その後に咳も出て呼吸がゼーゼーと苦しそうになり、救急外来を受診した。アドレナリンの筋肉注射を行い、経過観察入院となった。外来で血液検査を行い、特異的IgE抗体価は、イクラ38.3 UA/mL、タラコ1.5 UA/mLだった。イクラ以外の魚卵は食べたことがない。

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特定のワクチン接種でアルツハイマー病リスクが低下する可能性

 特定の成人用ワクチンには、アルツハイマー病の発症リスクを低下させる効果があるようだ。帯状疱疹ワクチン、肺炎球菌ワクチン、破傷風およびジフテリアの二種混合(Td)ワクチン、またはこれらに百日咳を加えた三種混合(Tdap)ワクチンを接種した人では、これらのワクチンを接種していない人と比べて、アルツハイマー病の発症リスクが25~30%低下していたことが、米テキサス大学健康科学センターのPaul Schulz氏らによる研究で明らかにされた。詳細は、「Journal of Alzheimer's Disease」に8月7日掲載された。 Schulz氏らは2022年に、インフルエンザワクチンを1回以上接種した成人では、同ワクチンを接種したことのない成人と比べてアルツハイマー病を発症するリスクが40%低下していたとする研究結果を報告していた。Schulz氏は、「今回の研究データから、その他にもいくつかの成人用ワクチンがアルツハイマー病発症リスクの低下に関連していることが明らかになった」と説明している。 今回の研究でSchulz氏らは、165万1,991人の患者の医療記録データを解析し、成人期の定期接種が推奨されている帯状疱疹ワクチン、肺炎球菌ワクチン、Tdワクチン、Tdapワクチンを接種した人と未接種の人の間でのアルツハイマー病の発症率を比較した。患者は、2年間の振り返り期間には認知症がなく、8年間の追跡期間の開始時点で65歳以上だった。 その結果、追跡期間中にアルツハイマー病を発症した人の割合は、TdapまたはTd(以下、Tdap/Td)ワクチン接種者で7.2%(8,370人)、未接種者で10.2%(1万1,857人)であり、ワクチン接種者ではアルツハイマー病の発症リスクが30%低いことが示された(相対リスク0.70、95%信頼区間0.68〜0.72)。また、帯状疱疹ワクチンでは、ワクチン接種者の8.1%(1万6,106人)、未接種者の10.7%(2万1,273人)、肺炎球菌ワクチンでは、ワクチン接種者の7.92%(2万583人)、未接種者の10.9%(2万8,558人)が追跡期間中にアルツハイマー病を発症しており、ワクチン接種者では未接種者に比べてアルツハイマー病の発症リスクがそれぞれ25%(同0.75、0.73〜0.76)と27%(同0.73、0.71〜0.74)低下していた。 なお、研究グループによると、アルツハイマー病の新たな治療薬として注目されている3種類の抗アミロイド抗体を使用した場合、それら3剤がアルツハイマー病の進行を抑制させる効果は、それぞれ25%、27%、35%であるという。 Schulz氏は、「われわれや他の研究者らは、アルツハイマー病における脳細胞の機能低下をもたらすのは免疫システムであるとの仮説を提唱している。今回の研究結果は、ワクチン接種が免疫システムに、より全般的な影響を与え、アルツハイマー病の発症リスクを低下させることを示唆するものだ」とテキサス大学のニュースリリースで述べている。 論文の共著者で、米マサチューセッツ総合病院のAvram Bukhbinder氏は、「われわれは、ワクチン接種に関連したアルツハイマー病発症リスクの低下は、複数のメカニズムが組み合わさることでもたらされている可能性があるとの仮説を立てている」と話す。同氏は、「ワクチンは、免疫細胞によるアルツハイマー病に関わるタンパク質除去の効率を高めたり、それらのタンパク質に対する免疫反応を強化し、周囲の健康な脳細胞への『付随的損傷』を軽減したりすることで、その蓄積に対する免疫システムの反応を変化させる可能性がある」と説明。さらに、「当然ながら、これらのワクチンには帯状疱疹などの感染症に対する予防効果があるため、神経炎症の抑制効果も期待できる」と話している。 研究グループは、今回の研究により、成人用ワクチンの定期接種へのアクセスを確保することが患者にとっていかに重要であるかが明確に示されたと指摘している。

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たこ焼きを食べて発症、疑うべき原因は?【乗り切れ!アレルギー症状の初診対応】第9回

たこ焼きを食べて発症、疑うべき原因は?講師富山大学医学部 小児科学教室 加藤 泰輔 氏【今回の症例】21歳の大学生。自宅にあったミックス粉を使ってサークル仲間とたこ焼きパーティーを開催した。たこ焼きを3個食べた後に、鼻汁、呼吸困難、全身の蕁麻疹、意識レベルの低下を認めた。今でも時々軽い喘息発作があるが、これまで食物アレルギーと診断されたことはない。今回のエピソードで最も考えられる原因は?1.小麦2.鶏卵3.タコ4.ダニ

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標的部位で持続的に放出される潰瘍性大腸炎薬「コレチメント錠9mg」【下平博士のDIノート】第128回

標的部位で持続的に放出される潰瘍性大腸炎薬「コレチメント錠9mg」今回は、潰瘍性大腸炎治療薬「ブデソニド腸溶性徐放錠(商品名:コレチメント錠9mg、製造販売元:フェリング・ファーマ)」を紹介します。本剤は、標的部位の大腸にブデソニドが送達され、持続的に放出されるように設計されている1日1回服用の薬剤で、良好な治療効果や服薬アドヒアランスが期待されています。<効能・効果>活動期潰瘍性大腸炎(重症を除く)の適応で、2023年6月26日に製造販売承認を取得しました。<用法・用量>通常、成人にはブデソニドとして9mgを1日1回朝経口投与します。投与開始8週間を目安に本剤の必要性を検討し、漫然と投与を継続しないように留意します。<安全性>2~5%未満に認められた副作用として潰瘍性大腸炎増悪があります。2%未満の副作用は、乳房膿瘍、感染性腸炎、乳腺炎、口腔ヘルペス、不眠症、睡眠障害、腹部膨満、口唇炎、ざ瘡、湿疹、蛋白尿、月経障害、末梢性浮腫、白血球数増加、尿中白血球陽性が報告されています。<患者さんへの指導例>本剤は、大腸に送られて持続的に炎症を鎮める潰瘍性大腸炎活動期の薬です。服薬時にかまないでください。生ワクチン(麻疹風疹、おたふく風邪、水痘・帯状疱疹、BCGなど)を接種する際には医師に相談してください。疲れを残さないよう十分な睡眠と規則正しい生活が重要です。消化の悪い繊維質の多い食品や脂肪分の多い食品、香辛料などを避けて、腸に優しい食事を心がけましょう。<Shimo's eyes>潰瘍性大腸炎は、活動期には下痢や血便、腹痛、発熱などを伴い、寛解と再燃を繰り返す炎症性腸疾患であり、わが国では指定難病に指定されています。潰瘍性大腸炎の活動期には、軽症~中等症では5-アミノサリチル酸製剤が広く用いられ、効果不十分な場合や重症例にはステロイド薬などが投与されます。ステロイド抵抗例ではタクロリムスや生物学的製剤、ヤヌスキナーゼ阻害薬などが使用されます。本剤の特徴は、MMX(Multi-Matrix System)技術を用いた薬物送達システムにあり、pH応答性コーティングにより有効成分であるブデソニドを含むマルチマトリックスを潰瘍性大腸炎の標的部位である大腸で送達し、親水性基剤と親油性基剤がゲル化することでブデソニドを持続的かつ広範囲に放出させます。また、本剤の有効成分であるブデソニドはグルココルチコイド受容体親和性が高いステロイド薬であり、局所的に高い抗炎症活性を有する一方、肝初回通過効果によって糖質コルチコイド活性の低い代謝物となるため、経口投与によるバイオアベイラビリティが低いと考えられ、全身に曝露される糖質コルチコイド活性の軽減が期待されるアンテドラッグ型のステロイドとなります。本剤は1日1回投与の経口薬であることから、良好な服薬利便性や服薬アドヒアランスも期待でき、海外では2023年3月現在、75以上の国または地域で承認されています。なお、本成分を有効成分とする既存の潰瘍性大腸炎治療薬には、直腸~S状結腸に薬剤を送達するブデソニド注腸フォーム(商品名:レクタブル2mg注腸フォーム)がありますが、本剤は大腸全体が作用部位となる点に違いがあります。本剤の主な副作用として、潰瘍性大腸炎の増悪が2~5%未満で報告されています。本剤はほかの経口ステロイド薬と同様に、誘発感染症、続発性副腎皮質機能不全、クッシング症候群、骨密度の減少、消化性潰瘍、糖尿病、白内障、緑内障、精神障害などの重篤な副作用に注意が必要です。本剤投与前に水痘または麻疹の既往歴や予防接種の有無を確認しましょう。製剤の特性を維持するために、本剤を分割したり、乳鉢で粉砕したりすることはできません。患者さんにもかんで服用しないように伝えましょう。潰瘍性大腸炎治療の新たな選択肢が増えることで、患者さんのQOL向上が期待されます。

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モモアレルギー、生か加工品かで対応は異なる!【乗り切れ!アレルギー症状の初診対応】第8回

モモアレルギー、生か加工品かで対応は異なる!講師藤田医科大学 ばんたね病院 小児科 講師 森 雄司 氏【今回の症例】17歳の男性。過去に食物アレルギーによる症状が誘発された経験はない。海外在住歴はない。最近、給食で桃ゼリーを食べて蕁麻疹、咳が出るエピソード、モモの缶詰を食べて蕁麻疹が出るエピソードを経験した。最も考えられる原因アレルゲンはどれか。1.Pru p 1(PR-10)2.Pru p 3(LTP)3.Pru p 4(プロフィリン)4.Pru p 7(GRP)

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12歳から使用可能な経口の円形脱毛症治療薬「リットフーロカプセル50mg」【下平博士のDIノート】第127回

12歳から使用可能な経口の円形脱毛症治療薬「リットフーロカプセル50mg」今回は、JAK3/TECファミリーキナーゼ阻害薬「リトレシチニブ(商品名:リットフーロカプセル50mg、製造販売元:ファイザー)」を紹介します。本剤は、12歳以上の小児から使用できる円形脱毛症治療の経口薬であり、広い患者におけるQOL向上が期待されます。<効能・効果>円形脱毛症(ただし、脱毛部位が広範囲に及ぶ難治の場合に限る)の適応で、2023年6月26日に製造販売承認を取得しました。本剤投与開始時に、頭部全体のおおむね50%以上に脱毛が認められ、過去6ヵ月程度毛髪に自然再生が認められない患者に投与します。<用法・用量>通常、成人および12歳以上の小児には、リトレシチニブとして50mgを1日1回経口投与しますなお、本剤による治療反応は、通常投与開始から48週までには得られるため、48週までに治療反応が得られない場合は投与中止を考慮します。<安全性>1%以上に認められた臨床検査値異常を含む副作用として、悪心、下痢、腹痛、疲労、気道感染、咽頭炎、毛包炎、尿路感染、頭痛、ざ瘡、蕁麻疹が報告されています。なお、重大な副作用として、感染症(帯状疱疹[0.9%]、口腔ヘルペス[0.8%]、単純ヘルペス[0.5%]、COVID-19[0.2%]、敗血症[0.1%]など)、リンパ球減少(1.6%)、血小板減少(0.3%)、ヘモグロビン減少(0.2%)、好中球減少(0.2%)、静脈血栓塞栓症(頻度不明)、肝機能障害(ALT上昇[0.9%]、AST上昇[0.5%])、出血(鼻出血[0.5%]、尿中血陽性[0.1%]、挫傷[0.1%]など)が設定されています。<患者さんへの指導例>1.この薬は、脱毛の原因となる免疫関連の酵素の働きを抑えることで、円形脱毛症の症状を改善します。2.免疫を抑える作用があるため、発熱、寒気、体のだるさ、咳の継続などの一般的な感染症症状のほか、帯状疱疹や単純ヘルペスなどの症状に注意し、気になる症状が現れた場合は速やかにご相談ください。3.本剤を使用している間は、生ワクチン(BCG、麻疹風疹混合/単独、水痘、おたふく風邪など)の接種ができないので、接種の必要がある場合は医師にご相談ください。4.妊婦または妊娠している可能性がある人はこの薬を使用することはできません。妊娠する可能性のある人は、この薬を使用している間および使用終了後1ヵ月間は、適切な避妊を行ってください。5.ふくらはぎの色の変化、痛み、腫れ、息苦しさなどの症状が現れた場合は、すぐに医師にご連絡ください。<Shimo's eyes>円形脱毛症は、ストレスや疲労、感染症などをきっかけとして、自己の免疫細胞が毛包を攻撃することで脱毛症状が起こる疾患です。急性期と症状固定期(脱毛症状が約半年超)に分けられ、急性期で脱毛斑が単発または少数の場合には発症後1年以内の回復が期待できます。一方、急性期後に自然再生が認められず、脱毛症状が継続する重症の円形脱毛症では回復率は低いとされ、診療ガイドラインには局所免疫療法や紫外線療法などの治療が記載されていますが、より簡便で効果的な治療法が求められていました。本剤は、JAK3および5種類のTECファミリーキナーゼを不可逆的に阻害する共有結合形成型の経口投与可能な低分子製剤です。円形脱毛症の病態に関与するIL-15、IL-21などの共通γ鎖受容体のシグナル伝達をJAK3阻害により強力に抑制し、CD8陽性T細胞およびNK細胞の細胞溶解能をTECファミリーキナーゼ阻害により抑制することで治療効果を発揮します。全頭型および汎発型を含む円形脱毛症を有する患者を対象とした国際共同治験(ALLEGRO-2b/3、ALLEGRO-LT)で、本剤投与群は、24週時のSALT≦20(頭部脱毛が20%以下)達成割合はプラセボと比較して統計的に有意な改善を示しました。なお、円形脱毛症に使用する経口JAK阻害薬として、すでにバリシチニブ(商品名:オルミエント)が2022年6月に適応追加になっています。バリシチニブは15歳以上が対象ですが、本剤は12歳以上の小児でも使用可能です。本剤はほかのJAK阻害薬と同様に、活動性結核、妊娠中、血球減少は禁忌となっています。また、感染症の発症、帯状疱疹やB型肝炎ウイルスの再活性化の懸念もあるため、症状の発現が認められた場合にはすぐに受診するよう患者さんに説明しましょう。円形脱毛症は、多くの場合は頭皮で脱毛しますが、ときには眉毛、まつ毛を含む頭部全体や全身に症状が出ることでQOLが著しく低下する疾患です。ストレスが多い現代社会で、ニーズの高い医薬品と言えます。

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マリンスポーツ好きの患者、要注意のアレルゲンは?【乗り切れ!アレルギー症状の初診対応】第6回

マリンスポーツ好きの患者、要注意のアレルゲンは?講師富山大学医学部 小児科 病院特別助教 村上 将啓 氏【今回の症例】38歳の男性。既往歴は特記事項なし。3ヵ月前にアナフィラキシーのため医療機関を受診したが、原因食物は特定されず、対症療法のみで経過観察されていた。以降も夜に呼吸困難感、蕁麻疹を生じる発作を起こすことがあった。何回かの発作を経験するうちに、大豆製品は日常的に摂取しているものの、納豆を朝食に摂取した日の夜に症状が出現していることに気付き、精査目的に受診した。1.次に行う検査として、診断において最も有効なのはどれか?a)尿検査b)皮膚テストc)血液検査d)運動誘発試験2.当症例は、次のどれと関連が深いと考えられるか?a)魚介類アレルギーb)卵アレルギーc)クラゲ刺傷d)花粉症

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コロナ5類移行後の院内感染対策の現状は?/医師1,000人アンケート

 5月8日に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染症法上の位置付けが「5類感染症」に移行となったが、医療機関ではその前後の過渡期に、これまで継続してきたさまざまな院内感染対策の緩和について議論されていた。5類に移行して約1ヵ月経過し、新規コロナ感染者は全国的に増加傾向にあり、院内感染対策をどこまで緩和するか、今なお難しい判断が迫られている。 病床の有無やコロナ診療状況など条件の異なる医療機関において、院内感染対策の現状や、抱えている課題を把握するため、病院を20床以上、診療所を20床未満と定義し、病院522人、診療所502人の会員医師1,024人を対象に『病院・診療所別 新型コロナ5類移行後の院内感染対策アンケート』を5月30日に実施した。5類移行後、病院93%、診療所72%がコロナ診療している 「Q1. 勤務先の医療機関における、5類移行前後での新型コロナの診療状況」という設問では、「5類移行の前後で、いずれもコロナ診療を受け付けている」「5類移行前は受け付けていなかったが、移行後は受け付けている」「5類移行前は受け付けていたが、移行後は受け付けていない」「5類移行の前後で、いずれも受け付けていない」の4つの選択肢から最も当てはまるものを聞いた。 病院では、84%がいずれの時期もコロナ診療を受け付けており、9%が5類移行後に新たに受け付けるようになった。診療所では、56%がいずれの時期もコロナ診療を受け付けており、16%が移行後に新たに受け付けるようになった。なお本調査では、コロナ診療の割合の低い眼科、皮膚科、泌尿器科といった診療科も含まれている。コロナ5類移行後、PPE着用は感染症疑い患者の診察時のみが多数 「Q2. 個人防護具(PPE)の着用について」という設問では、「勤務中は常にPPEを着用している」「感染症疑いの患者の診察時のみPPEを着用している」「PPEを着用していない」の3つの選択肢から最も当てはまるものを聞いた。 コロナ診療している病院では、常にPPE着用している割合は12%で、79%が感染症疑いの患者の診察時のみ着用していた。コロナ診療している診療所でも、常にPPE着用している割合は12%で、64%が感染症疑いの患者の診察時のみ着用していた。コロナ診療をしていない医療機関でも、病院の49%、診療所の33%が感染症疑いの患者の診察時のみPPE着用し、診療所の5%が常に着用していると回答した。 「Q3. 診療中の手指消毒のタイミングについて」という設問では、「診療室や病室に入るとき」「1人の診察ごと」「処置や検査を行ったとき」のそれぞれの場合に対して、病院では約60%の医師がいずれの場合も手指消毒を行っているとした。診療所では、45%が「診療室や病室に入るとき」、約55%が「1人の診察ごと」「処置や検査を行ったとき」に手指消毒を行っていると回答した。コロナに罹患した職員の療養期間、病院と診療所で傾向の差 「Q4. 勤務先の医療機関での、コロナに罹患した医療従事者の療養期間は何日か」という設問では、医療機関の規模とコロナ診療の有無で、結果に若干の傾向の差が出た。最も慎重な結果だったのはコロナ診療している病院であり、4日以下が8%、5日が56%、7日が24%、8日以上が10%であった。コロナ診療していない病院では、4日以下が8%、5日が64%、7日が21%、8日以上が5%であった。 診療所はコロナ診療の有無にかかわらずほぼ同等で、コロナ診療している場合は、4日以下が13%、5日が63%、7日が17%、8日以上が2%。コロナ診療していない場合は、4日以下が17%、5日が62%、7日が16%、8日以上が3%であった。病院と比べて診療所のほうが、4日以下の割合が約2倍多くなっている一方で、7日、8日以上の割合は病院のほうが多かった。 「Q5. 入院予定患者に対する事前のコロナスクリーニング検査の実施状況について」という設問では、病院では、PCR検査を実施しているのが31%、抗原検査を実施しているのが27%、検査は行わず、事前に診察でコロナの診断を行っているのが9%、事前スクリーニング検査は実施していないとしたのが29%となり、結果が拮抗していた。コロナ院内感染が広がった際の責任の所在に課題感 「Q6. 院内の感染対策を緩和していくうえで、判断に迷っていること、難しいと感じること」という設問では、以下のような意見が挙げられ、新型コロナに対する人々の危機感の薄れとは裏腹に、医療機関がさまざまな課題を抱えていることが浮き彫りになった。患者がコロナ感染対策せずに来院する・ウイルス感染は依然として続いているのに、あたかも、なくなったかのごとく振る舞う患者が結構みられるようになった。(診療所・内科・60代)・マスクをしない患者さんがよく来るようになった。(診療所・皮膚科・40代)コロナ院内感染・クラスター・感染が広がった際の責任の所在。(病院・呼吸器外科・30代)検査・入院時に陰性でも、後に感染が判明することがある。(病院・糖尿病・代謝・内分泌内科・30代)・明らかにコロナ感染症だと思われる方の中には、検査を希望されない方が一定の割合で存在する。(診療所・内科・60代)・以前は患者負担なく検査できたのでやりやすかったが、今はそうではないので困る。(診療所・消化器内科・40代)動線・ゾーニング・現状は時間分離で診療を行っているが、一般患者さんとの分離が十分できている保証はない。(診療所・内科・70代以上)面会・新型コロナ感染者が1人でも院内に発生した場合に、面会制限をしたほうがいいのか、判断に困っています。(病院・内科・50代)PPE・どこまでPPEを緩めるか。(診療所・内科・50代)職員への対応・職員の同居人に発熱者が出ても新型コロナかどうか不明の場合の出勤調整の判断に迷う。(診療所・内科・60代)・咳嗽が残った従事者の勤務。(診療所・内科・60代)コロナ感染対策の基準がわかりづらい・適正な指針が見当たらない。(病院・消化器内科・50代)・高齢者が多いため緩和しにくい。(診療所・内科・50代)・最近また新型コロナウイルス感染患者が増えてきた。(病院・外科・40代)・コロナ以外にもインフルエンザや麻疹、結核などのルールアウトもしておらず、アウトブレイクに対して一抹の不安はある。(病院・麻酔科・50代)・地域・全国のコロナ患者の状況、ベッドがどれくらい埋まっているかの情報・統計が得られなくなり、院内の感染対策を緩めていい時期が不明瞭。(診療所・内科・50代)アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。5類移行後の院内感染対策はどうしている?/医師1,000人アンケート なお、ケアネットライブでは『アフターコロナの院内感染対策・新ルール』を6月21日(水)20時からライブ配信する。聖路加国際病院 感染管理担当の坂本 史衣氏が、最新の知見を踏まえ、今後のコロナ院内感染対策で徹底すべきこと、緩和してもよいことなど、実践例を交えながら解説する。本講義はCareNet.com会員であれば無料で視聴できる。

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第151回 はしか感染の拡大、ワクチン接種率低下に警鐘/国立感染症研究所

<先週の動き>1.はしか感染の拡大、ワクチン接種率低下に警鐘/国立感染症研究所2.骨太方針の原案、賃上げ継続と少子化対策を強化/経済財政諮問会議3.急性期充実体制加算未届け出の病院、手術実績が主な理由と判明/中医協4.新マイナンバーカード導入と母子健康手帳の統合を決定/内閣府5.ゲノム医療法が成立、ゲノム解析による新薬開発を促進へ/国会6.初の経口人工妊娠中絶薬、オンライン診療では処方不可、入院可能な有床施設で使用を/厚労省1.はしか感染の拡大、ワクチン接種率低下に警鐘/国立感染症研究所新型コロナウイルス感染の沈静化とともに、はしか感染が各地で相次いでいることが報じられている。国立感染症研究所などの報告によると、今年1月から6月1日までの感染者数は計11人に達しており、去年の報告者数を上回り、注意喚起を行っている。国内土着のウイルスの報告ではないため、新型コロナウイルスの水際対策の緩和により、海外から入国してきた渡航者によって持ち込まれたウイルスが広がったとされている。はしかは非常に感染力が強く、免疫がない大人でも重い症状が出ることがある。症状としては、高熱や発疹が現れ、肺炎や中耳炎を合併することもあり注意が必要。特別な治療薬はなく、先進国でも千人に1人が死亡すると言われ、感染は空気感染や飛沫感染、接触感染によって広がる。わが国ではワクチン接種が進んでおり、世界保健機関(WHO)も「排除状態」と認定しているが、入国制限の緩和に伴い、茨城、東京、神奈川、大阪、兵庫などで感染者が報告されている。専門家は接種率の低下と感染者増加の関連性を指摘し、ワクチン接種を呼びかけている。とくに1回目の接種率が93.5%、2回目の接種率が93.8%であり、前年度より減少していることが指摘され、未接種者への対応が急がれる。参考1)【医療機関のみなさまへ】麻しん発生状況に関する注意喚起[2023年5月23日現在](国立感染症研究所)2)はしか感染、各地で相次ぐ 専門家「大人でも重い症状」(日経新聞)3)大阪市で2人のはしか感染確認 2020年以来(毎日新聞)4)はしか急増中!ワクチン2回打ってる?大人世代は特に要注意!23歳~51歳に迫る危機(毎日放送) 2.骨太方針の原案、賃上げ継続と少子化対策を強化/経済財政諮問会議政府の経済財政諮問会議は7日、「経済財政運営と改革の基本方針2023」(骨太方針)の原案を示した。新型コロナウイルス感染症の対応から一転して、財政健全化への姿勢を強調する内容となった。また、長年据え置かれてきた賃金の引き上げを持続的なものとし、中間層の復活を促すために、リスキリング支援や税制対応策などの具体策も含まれている。さらに子ども・子育て政策も抜本的に強化され、少子化の傾向を反転させる政策の充実を図るとしている。医療面では、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類に変更されたことに伴い、医療体制、公費支援など段階的に通常体制へ移行を進めるとともに、来年度の診療報酬と介護報酬の同時改定で、物価高騰や賃金の引き上げへの対応、患者負担の抑制を踏まえ、「必要な対応」を取る方向性を盛り込んだ。そのほか、医薬品については、革新的な医薬品の開発強化などイノベーションを推進する一方、長期収載品などの自己負担のあり方の見直し、バイオシミラーの使用促進、後発医薬品などの安定供給確保、後発医薬品の産業構造の見直しを盛り込んでいる。一方、財政の健全性を保つために黒字化目標は維持しつつ、中期的な経済財政の枠組み作りのための検証も行われる。この原案は与党との調整を経て、今月中に閣議決定される予定。参考1)経済財政運営と改革の基本方針2023(仮称)原案(経済財政諮問会議)2)物価高と患者負担抑制への対応を併記、骨太原案 24年度のトリプル改定で(CB news)3)「骨太の方針」原案 “賃上げ持続” “少子化反転へ対策強化”(NHK)4)コロナで緩んだ財政を「平時に」 骨太の原案、社会保障費減に懸念も(朝日新聞)3.急性期充実体制加算未届け出の病院、手術実績が主な理由と判明/中医協厚生労働省は、6月8日に中央社会保険医療協議会の「入院・外来医療等の調査・評価分科会」を開催した。この中で、令和4年度に行われた実態調査の結果報告が行われ、2022年度の診療報酬改定で新設された施設基準の「急性期充実体制加算」を届け出ていない病院が、取得できない理由として「手術実績」が主な理由であることが明らかにされた。届け出をしていない理由について病床規模別に集計したところ、200床以上の病院で手術実績を挙げる割合が最も高かった。また、急性期充実体制加算の未取得の400床以上の病院では「門内薬局、敷地内薬局」が設置されているためと回答する施設もあった。急性期充実体制加算は、手術件数の実績や感染防止対策、早期回復などが要件とされており、加算を届け出ている病院の方が入院期間が短く、病床利用率が高い傾向もみられた。急性期充実体制加算と総合入院体制加算とは、一方の算定しか認められないため、「どちらの加算を取得すべきか」を悩む病院も少なくないが、より点数の高い「急性期充実体制加算」に移行を選択して、「総合入院体制加算」で要件となっていた分娩対応・精神科対応を廃止する病院が一部にあることが問題視されている。参考1)令和5年度 第2回 入院・外来医療等の調査・評価分科会(厚労省)2)急性期充実加算、届け出の課題「手術実績」「200-399床」「400床以上」でトップに(CB news)3)スーパーICU評価の【重症患者対応体制強化加算】、「看護配置に含めない看護師2名以上配置」等が大きなハードル-入院・外来医療分科会(2)(Gem Med)4.新マイナンバーカード導入と母子健康手帳の統合を決定/内閣府6月9日に政府はデジタル施策に関する「重点計画」を閣議決定した。重点計画では、2026年中にプライバシーに配慮した新しいマイナンバーカード(マイナカード)を導入し、今年度中に母子健康手帳とマイナカードの一体化を一部自治体で始めることが盛り込まれているほか、マイナンバー制度におけるトラブルに対応するための安全対策も取り入れられている。また、各種証明書との一体化も計画されており、健康保険証は2024年秋に廃止され、運転免許証の機能もマイナカードに統合される。今後は、マイナカードの利用機会を拡大し、トラブルに対しては万全の対策を実施する。さらに、オンラインでの本人確認にもマイナカードを使用する方針が示された。参考1)令和5年度「デジタル社会の実現に向けた重点計画」(デジタル庁)2)今回の「デジタル社会の実現に向けた重点計画」の主なポイント(同)3)母子手帳、免許証…マイナとの一体化が続々 「重点計画」閣議決定(朝日新聞)4)マイナカード利用機会拡大 26年に新カード発行、閣議決定(東京新聞)5.ゲノム医療法が成立、ゲノム解析による新薬開発を促進へ/国会6月9日、遺伝情報を活用したゲノム医療の推進と差別防止を目指す「ゲノム医療法」が与野党の賛成多数により参院本会議で可決・成立した。この法律は遺伝情報に基づく治療の推進と差別の防止を目指しており、ゲノム医療の研究と開発を進め、遺伝情報や健康情報の管理・活用の基盤整備を行う。法律には、医師や研究者がゲノム情報の取得や管理に関して守るべき指針も含まれている。ゲノム医療は、個人の遺伝情報を解析し、病気の診断や最適な治療法や薬の選択に役立つ一方、保険や雇用、結婚などでの差別や不利益の懸念があり、とくにがん患者の40%以上が懸念を示しており、3%以上が遺伝情報による差別的な扱いを経験したと回答している。遺伝情報に基づく差別などに対しては、罰則のある法律が必要とする意見もあり、具体的な事例や罰則の必要性について検討が進められることが期待されている。参考1)良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるようにするための施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律案(参議院)2)ゲノム医療法成立…難病治療・遺伝差別防止 国費投入(読売新聞)3)ゲノム医療法 参院本会議で可決・成立 差別防止なども掲げる(NHK)6.初の経口人工妊娠中絶薬、オンライン診療では処方不可、入院可能な有床施設で使用を/厚労省厚生労働省は、国内で初めて承認された経口の中絶薬「メフィーゴパック」(一般名:ミフェプリストン/ミソプロストール)について、母体保護法指定医師の確認下での投与が必要であり、病院や有床診療所での使用が必要であると発表した。この薬はオンライン診療では処方できず、緊急対応が可能な施設で使用する必要がある。厚労省は適正な使用体制を確立するまで、「入院可能な有床施設」での使用を求めている。また、医療現場に対しては、適切な管理と医療連携体制の確立を呼びかけている。この経口中絶薬には重大な副作用のリスクがあり、使用者は下腹部痛、嘔吐、重度の子宮出血、感染症などに注意する必要がある。厚労省は使用者向けに留意事項を示し、オンライン診療ではなく医療機関に来院する必要があることを強調している。参考1)いわゆる経口中絶薬「メフィーゴパック」の適正使用等について(厚労省)2)ミフェプリストン及びミソプロストール製剤の使用にあたっての留意事項について(同)3)初の経口人工妊娠中絶薬、厳格運用で慎重スタート(産経新聞)4)経口の中絶薬「メフィーゴパック」、母体保護法指定医師の確認下で、病院・有床診での投与が必要、オンライン診療で処方不可?厚労省(Gem Med)

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第48回 「全ワクチン拒否」の医師は勤務可能?

新型コロナはともかく麻疹などは?Unsplashより使用某組合消防本部で、新型コロナワクチン接種を受けなかった30代の職員に対し、「接種拒否者」として廊下脇で業務をさせていたことが報道されました。接種したくないということで打たなかった人を「ワクチン拒否者」と表現することは字面としては間違ってはいないのですが、日本語としてはトゲのある言葉だなと感じます。さて、私たち医療従事者においてもワクチン接種率は当然ながら100%ではありません。副反応がかなり強く出てしまい、1回目で終了した人もいれば、アレルギー体質で最初から接種を希望しなかった人もいます。3回目接種以降の接種率は段階的に低下しており、私の知り合いもフルで接種を続けている人は全体の半数くらいです。新型コロナワクチンに限らず、患者さんと接触する以上、そのほかの感染症に対する免疫を有しているかどうかは病院の安全を守る上でも重要になります。具体的には、麻疹風疹、水痘、ムンプス、B型肝炎です。私が医学生の頃は、これらの接種歴・罹患歴がなければ臨床実習はできなかったと記憶していますが、現在も法的には解釈が難しいところがあります。ワクチン未接種を理由とした不利益は法的に禁止麻疹風疹など、ありとあらゆるワクチンが未接種の状態で、現場で働きたいという医師がいた場合、法的には可能でも現実的にはちょっと厳しいかもしれません。接種しないと働けないとする法的根拠は明示できず、むしろ雇用者は従業員に対して「ワクチン接種拒否を理由とした不利益がないように」扱われるべきとされています(予防接種法第9条)。―――つまり、話し合いや職場配置転換などで対応するしかないのが現状です。かといって、正当な理由でない「自然派志向」によるワクチン未接種で、それによって患者に感染を広げてしまったような場合、そちらの責任のほうが問われかねません。ただ、その医師から感染したというコンタクトトレースができない場合、そのような責任に至ることもないでしょう。クリニックを経営している医師の中に、新型コロナ以外のワクチンも含めて強固なワクチン反対派もいます。自分が経営者であることから、現状は法的な対応が難しいと思われます。

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年代ごとの麻疹風疹の予防接種制度

麻疹含有ワクチンの定期予防接種と年齢1972年9月30日以前に生まれた方は定期接種の機会がありません。任意接種としてMR(麻疹風疹混合)ワクチン、麻疹ワクチンの接種が可能です。1回0回 個別接種2回個別接種※※ 1990年(平成2年)4月2日~2000年(平成12年)4月1日生まれは特例措置で中学1年、高校3年生相当年齢に2回目接種(2回目を受けていない人もいる)出生 1歳小学校入学(就学前1年間に接種)幼児期に医療機関で個別接種(1回)1990年(平成2年)4月2日生まれ0回1972年(昭和47年)40歳10月1日生まれ厚生労働省. 第4回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会配付資料(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000015044.html)より作成Copyright © 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.風疹含有ワクチンの定期予防接種と年齢1979年4月1日以前に生まれた男性と1962年4月1日以前に生まれた女性は定期接種の機会がありません。定期接種対象の年齢の方以外も任意接種としてMR(麻疹風疹混合)ワクチン、風疹ワクチンの接種が可能です。男性1回0回 個別接種2回個別接種※※ 1990年(平成2年)4月2日~2000年(平成12年)4月1日生まれは特例措置で中学1年、高校3年生相当年齢に2回目接種(2回目を受けていない人もいる)女性出生 1歳小学校入学(就学前1年間に接種)幼定期接種対象児2019年~2025年3月期抗体価の低い方が対象に 中学生接個(HI抗体価(1:8以下)種 別 の時に0回率 接 医療機関で低中学生の時に個別接種種い学校で( (1回)集団接種1 接種率低い(1回)回)接種率高い1990年(平成2年)4月2日生まれ1979年(昭和54年)40歳4月2日生まれ1987年(昭和62年)10月2日生まれ1962年(昭和37年)4月2日生まれ国立感染症研究所 感染症疫学センター. 風疹に関する疫学情報:2023年4月26日現在(https://www.niid.go.jp/niid/ja/rubella-m-111/rubella-top/2145-rubella-related/8278-rubella1808.html)より改変Copyright © 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.

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麻疹風疹の違いは?

麻疹風疹の違いは?麻疹(はしか)風疹(3日はしか)原因ウイルス 麻疹ウイルス(Paramyxovirus科Morbillivirus属)風疹ウイルス(Togavirus科Rubivirus属)感染経路空気感染、飛沫感染、接触感染感染力が非常に強い飛沫感染感染力が強い(1人の感染者が12~17人感染させる)(1人の感染者が5~7人感染させる)潜伏期間10~12日間14~21日間症状発熱(38℃前後、発疹期は39.5℃以上)、上気道炎症状(せき、鼻みず、のどの痛み)、結膜炎症状(結膜充血、目やに、まぶしさ)、消化器症状(下痢、腹痛)、発疹、コプリック斑(口腔内の白色の小斑点)など発熱(約半数)、発疹、リンパ節の腫れが3つの特徴的な症状とされる関節炎が出る場合もある(成人の5~30%)麻疹より症状は軽く、無症状が15~30%注意が必要な合併症肺炎、脳炎、亜急性硬化性全脳炎(麻疹の二大死因は肺炎と脳炎)中耳炎、クループ症候群(喉頭炎、喉頭気管支炎など)、心筋炎など先天性風疹症候群(妊娠20週までの妊婦さんが感染すると、生まれた子が発症して、先天異常など、さまざまな症状があらわれる)血小板減少性紫斑病、急性脳炎分類5類感染症国立感染症研究所. 風疹とは(https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/430-rubella-intro.html)国立感染症研究所. 麻疹とは(https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/518-measles.html)より作成Copyright © 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.麻疹風疹の発生状況(2023年5月24日現在)麻疹風疹(例)(例)3,0003,0002,5002,5002,0002,0001,5001,5001,000165 18602,2981,0007445002,9415002791066126129102016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023年101121552016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023年国立感染症研究所. 感染症発生動向調査(IDWR):2023年5月24日現在(https://www.niid.go.jp/niid/ja/hassei/575-measles-doko.html)(https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ha/rubella.html)より作成Copyright © 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.

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