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          世界初のアレルギー性鼻炎治療貼付薬「アレサガテープ4mg/8mg」今回は、「エメダスチンフマル酸塩 経皮吸収型製剤4mg/8mg(商品名:アレサガテープ)」を紹介します。世界初の経皮吸収型アレルギー性鼻炎治療薬で、嚥下困難な患者さんへの安全な使用が可能であり、また、安定した血中薬物濃度の維持により、日中だけでなく、睡眠中や起床時にも効果の持続が期待されます。<効能・効果>アレルギー性鼻炎の適応で、2018年1月19日に承認され、2018年4月24日より販売されています。本剤は、アレルギー反応による肥満細胞からのケミカルメディエーター遊離抑制作用を持つ第2世代抗ヒスタミン薬です。1993年に同成分であるエメダスチンフマル酸塩の経口薬が、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹などを適応として発売されましたが、本剤の適応は、2018年5月末時点でアレルギー性鼻炎のみです。<用法・用量>通常、成人には1回4mgを胸部、上腕部、背部または腹部のいずれかに貼付し、24時間ごとに貼り替えます。なお、症状に応じて、1回8mgまで増量可能です。肝障害歴を有する患者さんは、本剤の使用により肝機能異常が発現する恐れがあるので、慎重投与が指示されています。<臨床効果>季節性アレルギー性鼻炎患者1,273例を対象とした、国内第III相二重盲検比較試験において、本剤貼付群(エメダスチンフマル酸塩として4mgまたは8mg)、プラセボ対照群、実薬対照群(レボセチリジン塩酸塩錠5mg)に1日1回2週間投与した結果、主要評価項目である鼻症状(くしゃみ発作、鼻汁、鼻閉)の合計スコア変化量において、本剤貼付群はプラセボ対照群に対し有意な低下が認められ、実薬対照群と同程度でした。<副作用>国内の臨床試験では、臨床検査値異常を含む副作用が1,060例中201例(19.0%)に認められています。主な副作用は、貼付部位紅斑116例(10.9%)、眠気52例(4.9%)、貼付部位掻痒感48例(4.5%)などでした。<患者さんへの指導例>1.くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどのアレルギー症状を改善するテープ製剤です。2.1日1回新しい薬に貼り替えますが、毎回貼る場所を変えてください。なるべく毎日同じ時間帯に貼り替えることが望ましいです。3.胸部、上腕部、背部または腹部で傷や赤みがない部位を選び、乾いたタオルなどでよく拭って清潔にしてから貼りましょう。4.テープが途中で剥がれた場合、すぐに新しいテープを貼り、指示されている貼り替え時間になったら、再度貼り替えてください。5.眠気が生じることがあるので、本剤を使用している間は、車の運転など危険を伴う作業はしないでください。また、眠気が強くなる恐れがあるので、飲酒も避けてください。6.本剤を使用中の授乳は避けてください(ラットで乳汁移行の報告あり)。7.現在服用中のアレルギー薬、ステロイド薬がある場合、自己判断で中止せず、必ず主治医・薬剤師に相談してください。<Shimo's eyes>世界初の経皮吸収型アレルギー性鼻炎治療薬で、1日1回の貼付で安定した血中薬物濃度を維持し、効果を持続させることができます。また、嚥下能力の低下や誤嚥リスクがある患者さんでは経口薬の服用が困難な場合もありますが、本剤であれば安全に使用することができます。家族や介護者が貼付したり、日々の服薬状況を目視で確認したりできるため、アドヒアランスの向上も期待できます。本剤を季節性鼻炎の患者さんに使用する場合は、好発季節を考えて、その直前から使用を開始し、好発季節終了時まで続けることが望ましいです。4mgよりも8mgを使用しているほうが眠気などの副作用が出やすくなるので、増量した直後は生活習慣や副作用の確認をより念入りに行いましょう。アレルギー性鼻炎の適応で承認された本剤のように、従来なかった分野や疾患で貼付薬が発売されています。患者さん個々のライフスタイルに合わせた治療で、生活の質を向上させるための選択肢が増えたのは喜ばしいことです。各剤形の特徴を理解し、必要に応じて処方提案できるとよいでしょう。