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オンデキサの臨床的意義とDOAC投与中の患者に伝えておくべきこと/AZ

 アストラゼネカは国内初の直接作用型第Xa因子阻害剤中和剤オンデキサ静注用200mg(一般名:アンデキサネット アルファ[遺伝子組み換え]、以下:オンデキサ)を発売したことをうけ、2022年6月28日にメディアセミナーを開催した。 セミナーでは、はじめに緒方 史子氏(アストラゼネカ 執行役員 循環器・腎・代謝/消化器 事業本部長)により同部門の新領域拡大と今後の展望について語られた。 AstraZeneca(英国)とアレクシオン・ファーマシューティカルズが統合したことで、今後多くのシナジーが期待されるが、今回発売されたオンデキサはその象徴的なものであると考えている。同部門では、あらゆる診療科に情報提供を行っているため、オンデキサの処方が想定される診療科だけでなく、直接作用型第Xa因子阻害剤を処方している診療科にも幅広く情報提供が可能である。オンデキサが必要な患者さんに届けられるよう、認知拡大や医療機関での採用活動に注力していきたいと述べた。オンデキサは国内初の直接作用型第Xa因子阻害剤中和剤 続いて、国立病院機構 九州医療センター 脳血管・神経内科 臨床研究センター 臨床研究推進部長 矢坂 正弘氏による国内初の直接作用型第Xa因子阻害剤中和剤における臨床的意義と今後の展望が語られた。 心房細動などにより心臓内でできた血栓が脳に詰まることで生じる脳卒中を心原性脳塞栓症という。心原性脳塞栓症は再発率が高いことから、発症リスクの高いCHADS2スコア1点以上の患者では、直接経口抗凝固薬(DOAC)の投与による予防治療が推奨されている1)。DOACは従来の抗凝固薬であるワルファリンに比べ脳梗塞予防効果は同等かそれ以上、大出血発症リスクは同等かそれ以下とされるが、時には生命を脅かす出血あるいは止血困難な出血に至ることもあるため、投与中は出血時の止血対応が重要となる。出血時の対応として中和剤が使用されるが、これまでDOACのうち中和剤があるのはダビガトランのみで、直接作用型第Xa因子に対する中和剤はなかった。今回発売されたオンデキサは、国内初の直接作用型第Xa因子阻害剤中和剤である。オンデキサ投与の有効性と安全性 オンデキサはヒト第Xa因子の遺伝子組換え改変デコイタンパク質で第Xa因子のデコイとして作用し、第Xa因子阻害剤に結合してこれらの抗凝固作用を中和する作用をもつ。 第Xa因子阻害剤(アピキサバン、リバーロキサバン、エドキサバン、エノキサパリン)投与中の第Xa因子活性抑制下で急性大出血を発現した患者を対象にした試験では、評価可能であった有効性解析集団のうちエノキサパリン投与例を除く全体集団324例において79.6%(95%信頼区間[CI]:74.8~83.9%)の患者でオンデキサによる有効な止血効果が得られた。正確な95%CIの下限値が50%を上回ったため、オンデキサによる止血効果が認められた2)。副作用の発現割合は11.9%(57/477例)であり、主な副作用は虚血性脳卒中1.5%(7例)、頭痛1.0%(5例)、脳血管発作、心筋梗塞、発熱、肺塞栓症が各0.8%(各4例)であった2)。DOAC投与中の患者に伝えておくべきこと 止血を適切に行うためには、患者さんが服薬中のDOACを特定しそれに対する中和剤を投与することが重要である。そのため、医療機関と調剤薬局が協力して、DOAC服薬の患者さんに対して、最新のお薬手帳や抗凝固薬のカードを持ち歩いてもらうことや、自身の病名や服薬中の薬剤を家族と共有してもらうことの重要性を伝えていく必要がある、と締めくくった。

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異物の評価【一目でわかる診療ビフォーアフター】Q22

異物の評価Q22症例とくに既往、アレルギー歴のない28歳男性、自宅でリンゴの皮剥きをしていた際に誤って左中指DIP腹側を切ってしまった。左中指DIP腹側に深さ3~4mm程度、長さ20mm程度の切創あり。明らかな神経障害や動脈性出血、腱損傷はなさそう。バイタルは安定しているが、止血をえられず、縫合処置が必要と判断される。外科医のいる二次救急病院に送るのも気が引ける…。初期研修ぶりだけど、自分で縫ってみるか。非滅菌手袋もつけたし、指ブロックのうえ、創部を水道水でしっかり洗ったぞ。洗いながら異物がないことも確認したし、金属やガラス片くらいしかレントゲンで写らないから、これ以上の評価の方法はないよな?

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創部の洗浄【一目でわかる診療ビフォーアフター】Q21

創部の洗浄Q21症例とくに既往のない28歳男性、左中指DIP腹側に深さ3~4mm程度、長さ20mm程度の切創あり。明らかな神経障害や動脈性出血、腱損傷はなさそう。バイタルは安定しているが、止血をえられず、縫合処置が必要と判断される。外科医のいる二次救急病院に送るのもためらわれるため、自分で縫ってみる。非滅菌手袋もつけたし、1%リドカインで皮線上皮下1回局注法で麻酔したぞ、よし、創部を洗おう。ここの夜間診療所には洗えるもの何かあったかな?

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創部の麻酔【一目でわかる診療ビフォーアフター】Q20

創部の麻酔Q20症例とくに既往のない28歳男性、左中指DIP腹側に深さ3~4mm程度、長さ20mm程度の切創あり。明らかな神経障害や動脈性出血、腱損傷はなさそう。バイタルは安定しているが、止血をえられず、縫合処置が必要と判断される。外科医のいる二次救急病院に送るのもためらわれるため、自分で縫ってみる。非滅菌手袋もつけたし、1%リドカインで指神経ブロックしなきゃな。どこに何回局注するんだっけ?

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縫合時の手袋【一目でわかる診療ビフォーアフター】Q19

縫合時の手袋Q19症例自宅近くの夜間診療所で当直バイト中のこと。とくに既往、アレルギー歴のない28歳男性、受診3時間前に自宅でリンゴの皮剥きをしていた際に誤って左中指DIP腹側を切ってしまった。深さ3~4mm程度、長さ20mm程度で、明らかな神経障害や動脈性出血、腱損傷はなさそう。バイタルは安定しているが、止血をえられず、縫合処置が必要と判断される。外科医のいる二次救急病院に送るのも気が引ける…。初期研修ぶりだけど、自分で縫ってみるか。さて、看護師さんにどんな手袋を用意してもらうべきか?

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縫合のgolden time【一目でわかる診療ビフォーアフター】Q18

縫合のgolden timeQ18症例自宅近くの夜間診療所で当直バイト中のこと。とくに既往、アレルギー歴のない28歳男性、受診3時間前に自宅でリンゴの皮剥きをしていた際に誤って左中指DIP腹側を切ってしまった。深さ3~4mm程度、長さ20mm程度で、明らかな神経障害や動脈性出血、腱損傷はなさそう。バイタルは安定しているが、止血をえられず、縫合処置が必要と判断される。外科医のいる二次救急病院に送るのも気が引ける…。初期研修ぶりだけど、自分で縫ってみるか。19時間以内1)なら大丈夫と習った気がするけど、単純な創閉鎖は受傷何時間以内なら可能だったかな?

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オンデキサ発売、国内初の直接作用型第Xa因子阻害剤中和剤/アレクシオンファーマ・アストラゼネカ

 アストラゼネカは5月25日付のプレスリリースで、アレクシオンファーマが製造販売承認を取得したオンデキサ静注用 200mg(一般名:アンデキサネット アルファ[遺伝子組換え]、以下:オンデキサ)の販売を開始したことを発表した。オンデキサ投与後12時間で患者の79.6%に有効な止血効果 直接作用型第Xa因子阻害剤は、血栓が形成されないよう血液の凝固を防ぐ一方で、生命を脅かす重大な出血のリスクを高める可能性がある。しかし、大出血を起こした直接作用型第Xa因子阻害剤を服用している患者に対して中和剤はこれまでなく、高いアンメットニーズが存在していた。 オンデキサは、血液凝固に関与するヒト血液凝固第Xa因子の遺伝子組換え改変デコイタンパク質であり、国内で唯一第Xa因子阻害剤に結合し、その抗凝固作用を速やかに中和する作用をもつ薬剤として承認された。 オンデキサ承認の根拠となった国際共同第IIIb/IV相14-505(ANNEXA-4)試験では、直接作用型第Xa因子阻害剤の投与を受けており、急性の大出血を起こした患者を対象に、オンデキサの有効性(第Xa因子阻害剤の抗第Xa因子活性の中和効果、および止血効果)と安全性が評価された。 オンデキサ承認の根拠となったANNEXA-4試験の主な結果は以下の通り。・オンデキサはいずれの第Xa因子阻害剤を投与した患者でも、本剤を静脈内投与後には抗第Xa因子活性を速やかかつ有意に低下させた。・オンデキサ投与後12時間の時点で患者の79.6%(258/324例)に有効な止血効果が確認された。・オンデキサの副作用の発現頻度は、11.9%(57/477例)で、主な副作用は、虚血性脳卒中1.5%(7/477例)、頭痛1.0%(5/477例)、脳血管発作、心筋梗塞、肺塞栓症、発熱各0.8%(4/477例)、脳梗塞、塞栓性脳卒中、心房血栓症、深部静脈血栓症、悪心各0.6%(3/477例)であった。 オンデキサは、第Xa因子阻害剤であるアピキサバンまたはリバーロキサバン投与中に大出血を起こした患者に対する中和剤として、2018年5月に米国食品医薬品局より迅速承認制度による承認を受け、2019年4月に欧州委員会から条件付き承認を取得した。日本でオンデキサは、2019年11月19日付で希少疾病用医薬品に指定されている。

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口腔の傷(歯牙や舌、頬粘膜損傷)に対する縫合処置【漫画でわかる創傷治療のコツ】第10回

第10回 口腔の傷(歯牙や舌、頬粘膜損傷)に対する縫合処置《解説》今回は幸いキズモンスターの発生前に正しい処置をすることができました。詳細は後述しますが、歯牙損傷がある場合は先に歯科受診を勧めることもあります。口腔内の傷について、食物が残留しやすい場所であることを考えると、目安として2cm以上の創は縫合を検討しましょう。2cm以下の場合、止血が得られていれば自然治癒が期待できます。それでは、部位による処置について簡単に解説していきます。(1)舌損傷浅い創でも出血が持続することがあります。粘膜と筋層を大きめに4−0、5−0の吸収糸で緩めに縫合しましょう。縫合糸を締め込むと舌浮腫になり、断裂や壊死の原因となります。(2)頬粘膜損傷必ず耳下腺管、顔面神経損傷の有無と、異物の有無を確認しましょう。耳下腺管の損傷を疑う所見自覚症状に乏しいとしても、創部からの唾液とおぼしき滲出液を持続的に見て、滲出液のアミラーゼ値を調べて高値であるかどうかを確認します。顔面神経の損傷を疑う所見顔面神経頬枝は耳下腺管とほぼ平行に走行しています。口角や上口唇を引き上げる動作を担っており、損傷している場合は口唇が下垂して鼻唇溝が消失したり、口笛を吹くように口をすぼめたときに左右差があったりするので、確認しましょう。上記を疑う場合は可及的速やかに形成外科へ紹介すべきです。粘膜のみの損傷であれば4−0、5−0の撚り糸の吸収糸を大きめにかけて最小限の縫合を行います。貫通創の場合は、筋層を含む皮下組織と表皮を縫合し、口腔内はまばらに縫合しましょう。縫合時に耳下腺の開口部(乳頭部)を損傷しないように注意しましょう(下図参照)。硬口蓋、軟口蓋損傷は上皮化良好な場合が多いです。口蓋刺創の場合、外見上の傷はわずかでも頭蓋内などに達している可能性を常に念頭に置く必要があります。図:耳下腺周囲の解剖図(3)歯牙損傷欠けたり抜けたりした歯がある場合は、捨てずに元の場所に整復した後、隣接歯牙とワイヤーなどで応急的な固定処置を行っておき、歯科処置を依頼しましょう。受診相談時に歯牙損傷を疑う場合は、その時点で歯科のある病院を勧めるのが良いでしょう。永久歯が完全脱臼した場合、予後は歯槽骨外に置かれていた条件と時間に直接相関します。乳歯が脱落した場合、発育中の後継永久歯が損傷される危険性があれば再植はしないのですが、判断は歯科口腔外科でしてもらいましょう。脱落歯は保存溶液に入れて、できるだけ早く歯科口腔外科を受診してもらいましょう!保存溶液は、望ましい順に、1.移植臓器輸送用溶液2.細胞培養用培地3.冷たいミルク(ロングライフミルクや低脂肪乳を除く)4.生理食塩水となっています1)。参考1)日本外傷歯学会. 歯の外傷治療ガイドライン 改訂版. 2012.波利井 清紀ほか監修. 形成外科治療手技全書III 創傷外科. 克誠堂出版;2015.安瀬 正紀監修, 菅又 章編. 外傷形成外科―そのときあなたは対応できるか. 克誠堂出版;2007.Frank H. Netter著, 相磯 貞和訳. ネッター解剖学アトラス 原著第4版. 南江堂;2007.

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世界血栓デーWEB講演会の開催について【ご案内】

 世界血栓症デーとは、国際血栓止血学会(ISTH)が「血栓症に関する正しい知識を広め、血栓症に起因する障害や死亡を減らす」ことを目的に制定したものである。一般社団法人日本血栓止血学会では日本における血栓症の啓発活動の一環として取り組んでおり、2022年度最初の世界血栓症デーWEB講演会として2022年5月17日(火)に『がん関連血栓症:がんと血栓の新たな関係』をテーマとしてWEB開催する。今回の講演内容は医療関係者を対象としているが、誰でも無料で視聴可能である。 開催概要は以下のとおり。【日時】2022年5月17日(火) 19:00~20:30【参加条件】登録方法:オンライン参加登録が可能(下記URLからお申込み可能)https://coubic.com/morishita/622935参加費:無料【テーマ】『がん関連血栓症:がんと血栓の新たな関係』-perspective of cancer-associated thrombosis-司会:向井 幹夫氏(大阪国際がんセンター成人病ドック科)1.「がん関連血栓症の成因と病態」森下 英理子氏(金沢大学大学院医薬保健学総合研究科 金沢大学附属病院血液内科)2.「がん関連脳卒中-動脈塞栓症の新展開」野川 茂氏(東海大学医学部付属八王子病院脳神経内科)3.「がん治療関連血栓症とその対応」向井 幹夫氏(大阪国際がんセンター成人病ドック科)4.質問・討論【主催】一般社団法人 日本血栓止血学会【お問い合わせ】WTD講演会担当E-mail:kanazawa.u.hoken.morishita@gmail.com

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AF患者へのXIa因子阻害薬asundexian、出血リスクは?(PACIFIC-AF)/Lancet

 心房細動患者に対し、新規開発中の第XIa因子(FXIa)阻害剤asundexianの20mgまたは50mgの1日1回投与は、アピキサバン標準用量投与に比べ、ほぼ完全なin-vivoのFXIa阻害を伴い、出血を低減することが示された。米国・デューク大学のJonathan P. Piccini氏らが、日本や欧州、カナダなど14ヵ国93ヵ所の医療機関を通じ約800例を対象に行った第II相無作為化用量設定試験「PACIFIC-AF試験」の結果を報告した。心房細動の脳卒中予防のための直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)の使用は、出血への懸念から制限されている。asundexianは、止血への影響を最小限とし血栓症を軽減する可能性が示唆されていた。Lancet誌2022年4月9日号掲載の報告。CHA2DS2-VAScスコアが男性2以上、女性3以上を対象に用量設定試験 研究グループは、心房細動患者におけるasundexianの最適用量を決定すること、および出血の発生率をアピキサバンの発生率と比較するため、心房細動患者でCHA2DS2-VAScスコアが2以上の男性または3以上の女性で出血リスクが高い45歳以上を対象に試験を行った。 被験者をウェブ自動応答システムで無作為に3群に分け、試験開始前からのDOAC服用の有無により層別化し、asundexian 20mg、50mg(いずれも1日1回)、アピキサバン5mg(1日2回)をそれぞれ投与し、出血リスクを比較した。ダブルダミーデザイン法を用いてマスキングが行われ、被験者は試験薬とプラセボの両者を受け取った。 主要エンドポイントは、国際血栓止血学会(ISTH)基準による大出血または臨床的に重大な非大出血の複合エンドポイントで、試験薬を1用量以上服用した全被験者を対象に評価した。主要エンドポイントの発生率比、20mg群0.50、50mg群0.16 2020年1月30日~2021年6月21日の期間に862例が登録され、755例が無作為化を受けた。そのうち試験薬を全く服用しなかった2例を除く、753例(asundexian 20mg群249例、同50mg群254例、アピキサバン群250例)を対象に解析した。 被験者の年齢中央値は73.7歳(SD 8.3)、女性が309例(41%)、216例(29%)が慢性腎臓病(CKD)を有し、平均CHA2DS2-VAScスコアは3.9(SD 1.3)だった。 asundexian 20mg群では、FXIa活性がトラフ値で81%、ピーク値で90%阻害され、同50mg群ではそれぞれ92%と94%が阻害された。 主要エンドポイントのアピキサバン群(発生6件)に対する発生率比は、asundexian 20mg群(3件)が0.50(90%信頼区間[CI]:0.14~1.68)、同50mg群(1件)が0.16(0.01~0.99)、asundexian群統合(4件)では0.33(0.09~0.97)だった。 有害事象の発現頻度は3群間で同等であり、asundexian 20mg群118件(47%)、同50mg群120件(47%)、アピキサバン122件(49%)だった。

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非重症コロナ入院患者の心肺支持療法離脱に有用な治療法は?/JAMA

 非重症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者の治療において、治療量のヘパリンにP2Y12阻害薬を上乗せしても、ヘパリン単独療法と比較して21日以内の心肺支持療法離脱日数(organ support-free days)は増加しなかった。米国・NYU Grossman School of MedicineのJeffrey S. Berger氏らが、ブラジル、イタリア、スペイン、米国の病院60施設で実施した非盲検並行群間比較ベイズ流適応型無作為化試験「Accelerating COVID-19 Therapeutic Interventions and Vaccines 4 Acute:ACTIV-4a」の結果を報告した。非重症のCOVID-19入院患者に対するヘパリン療法は、マルチプラットフォーム無作為化比較試験で生存日数や心肺支持療法離脱日数を増加することが示されたものの、患者の24%が死亡または集中治療を必要としたことから、この集団における追加治療が検討されていた。JAMA誌2022年1月18日号掲載の報告。ヘパリン+P2Y12阻害薬またはヘパリン単独に無作為化 研究グループは、2021年2月26日~6月19日の期間に、COVID-19で入院後72時間以内の患者で集中治療室(ICU)への入室は不要の非重症患者562例を、治療量のヘパリン+P2Y12阻害薬併用群(P2Y12阻害薬群、293例)、または治療量のヘパリン単独群(標準治療群、269例)に1対1の割合で無作為に割り付け、14日間または退院のいずれか早い日まで投与した。P2Y12阻害薬としてはチカグレロルが推奨されたが、クロピドグレルやプラスグレルの使用も認められた。90日間の最終追跡日は、2021年9月15日であった。 主要評価項目は、21日間における心肺支持療法離脱日数で、院内死亡(-1)と退院まで生存した患者については21日目までに呼吸/心臓系の心肺支持療法を受けなかった日数(範囲:-1~21日、スコアが高いほど心肺支持療法が少なくアウトカム良好を示す)を組み合わせた順序尺度で評価した。安全性の主要評価項目は、国際血栓止血学会により定義された28日までの大出血とした。ヘパリン+P2Y12阻害薬で、心肺支持療法離脱日数は改善せず、大出血リスクは3倍 無作為化された全562例(平均年齢52.7歳[SD 13.5]、女性41.5%)が試験を完遂し、87%が1日目に治療量のヘパリン投与を受けた。P2Y12阻害薬群では、63%がチカグレロル、37%がクロピドグレルを投与された。 心肺支持療法離脱日数の中央値は、P2Y12阻害薬群で21日(IQR:20~21)、標準治療群で21日(IQR:21~21)であった(補正後オッズ比[OR]:0.83、95%信頼区間[CI]:0.55~1.25、無益性の事後確率[オッズ比<1.2と定義]=96%)。死亡または心肺支持療法を必要とした患者の割合は、P2Y12阻害薬群(75例、26%)が標準治療群(58例、22%)より高かった(補正後ハザード比[HR]:1.19、95%CI:0.84~1.68、p=0.34)。 大出血は、P2Y12阻害薬群6例(2.0%)、標準治療群2例(0.7%)に認められた(補正後OR:3.31、95%CI:0.64~17.2、p=0.15)。

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DOAC間の比較研究の意味は?(解説:後藤信哉氏)

 いわゆるDOACは、ほぼ同時に4種類が認可承認された。トロンビン阻害薬ダビガトランが少し早く、日本のエドキサバンが最後だが、ほぼ同時と言っていい。いずれの薬剤も特許期間内にある。各メーカーは工夫を凝らしてランダム化比較試験を計画した。売上から見れば、世界的にはリバーロキサバンとアピキサバンが他剤を大きく上回っている。両者を比較するランダム化比較試験は特許期間中には無理であろう。アピキサバンのARISTOTLE試験は比較的リスクの低い症例群を対象とした。リバーロキサバンのROCKET-AF試験は2次予防などリスクの高い症例が対象であった。両試験を見ると、アピキサバンの出血合併症がリバーロキサバンより少ない気がする。 世界にアピキサバンは安全らしい空気があるときに、非ランダム化比較試験にてアピキサバンとリバーロキサバンを比較するのは危険である。本研究は、後ろ向きのデータベース解析にて65歳以上の心房細動症例におけるアピキサバンとリバーロキサバンの重篤な出血合併症の発症実態を比較した。非ランダム化比較試験にて2つの薬剤の有効性と安全性の評価を行ってはいけない。後ろ向きのコホートにて2つの薬剤の有効性、安全性を比較してはいけない。本研究はやってはいけないことを2つしている。本研究は保険データベースであるため、独立イベント委員会がイベント評価しているわけではない。出血が多そうに思える薬剤を使用していると、実際に出血は多くなってしまう。 本研究のデータサイズは大きい(リバーロキサバン22万7,572例vs.アピキサバン35万3,879例)。サンプルサイズが大きくなればバイアスは取り除けるだろうか? 本研究にて示唆された結果をランダム化比較試験にて検証することは期待し難い。結果の解釈の難しい研究である。

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CPと表記される医療用語が15種類…「誤解を招く医療略語」の解決に役立つポケットブレインとは?

 電子カルテの普及により多職種間で患者情報を共有しやすくなり、紙カルテ時代とは比にならないくらい業務効率は改善したー。はずだったのだが、今度は医療略語の利用頻度の増加による『カルテの読みにくさ』という新たな課題が浮上している。 医療略語は忙しい臨床現場で入力者の負担軽減に寄与する一方で、略語の多用や種類の増加が、職種間での情報共有における新たな弊害になっている可能性がある。また、診療科や職種により医療略語の意味が異なるため、“医療事故”のリスク因子にもなりかねない。増加の一途をたどる医療略語に、医療現場はどう対処していけばよいのだろうか。 そんな医療略語の課題解消に乗り出したのが、病院向け経営支援システムを扱うメディカル・データ・ビジョン株式会社だ。同社は医療IT企業の強みを生かし、医療略語辞書アプリ『ポケットブレイン』を昨年12月7日にリリースした。本アプリは電子カルテに書かれた英字略語を検索できる臨床現場支援ツールで、これを使えばカルテや各種検査レポートで分からない医療略語に遭遇した際、スマートフォンでサクサク検索できる。その開発者で医師の加藤 開一郎氏が昨年12月17日に記者会見を開き、医療略語の現状やアプリの開発経緯とその意義を語った。CPと略語表記されうる医療用語は15種類 医療略語は“さまざまな意味に解釈し得る”がゆえに誤解を招くものが存在する。加藤氏はその理由を「識別性の低さ」と話し、その一例として英字2文字で15種類もの意味を持つ『CP』を挙げた。≪CPと略語表記されうる医療用語≫・カプセル・ケアプラン・CP療法・大腸ポリープ・クロラムフェニコール・セルロプラスミン遺伝子・口蓋裂・脳性麻痺・毛細管圧・皮膚型ポルフィリン症・収縮性心外膜炎・半規管麻痺・臨床心理士・Child-Pugh分類・慢性動脈周囲炎 一方で、同氏は“略語の不統一”という問題も指摘している。これは、事実上は同じ物を指しているにもかかわらず、複数の医療略語が存在することだ。「上部消化管内視鏡検査」をその最たる例として挙げ、「学会でも略語表記の統一をアナウンスはされているが、現場ではさまざまな略語が使用されている」とコメントした。≪上部消化管内視鏡検査を意味して記載された略語≫*1)EGD:esophagogastroduodenoscopy2)GS:gastroscopy3)GIF:gastrointestinal fiber4)GF:gastric fiber5)GFS:gastlic fiber scopy6)ES:endscopy*:出典:ポケットブレイン説明資料医療略語の出現速度に書籍が追いついていない また、同氏は医師の働き方改革についても言及し、「医師の働き方改革と言われる一方で、内科、外科、救急医の減少傾向に歯止めがかからない。心ある医療者がかろうじて現場に踏みとどまっているのが現状だ。とにかく、医師・看護師の業務負担を減らすため、事務的な業務は積極的に事務職への代行を推進する必要がある。しかし、カルテを読む難しさがそれを阻んでおり、その大きな原因が英字略語や英語表記にあると考える。本アプリを開発した目的の1つは医師の業務代行にある」と強調した。 現在、医療略語に関する書籍は多数出版されているが、書籍でページをめくり医療略語を探すのは物理的に時間を要する。さらに、医療略語の出現速度に書籍の改訂ペースが追いついていない。片や、ネット検索は英字略語のみでは適切な情報に辿り着かず、適切な日本語との組み合わせ検索というもうひと手間が必要である。「それらの問題を解決したのが本アプリ『ポケットブレイン』」と同氏はコメント。 ポケットブレインは毎日情報が更新される成長型アプリで、未収載略語の追加・修正依頼、古い略語の削除等の依頼等、ユーザとの双方向性を重要視している。また、重要な機能の1つに“略語の属性情報”と“補足情報”がある。属性情報が分かることにより、目の前のカルテに書かれている英字略語に対し、その和訳を当てはめて良いかどうかの判断が可能となる。これにより医師以外の職種にも汎用性が高い仕様になっている。医療用語は医療を行うための共通言語 現在、日本医療機能評価機構の病院機能評価の機能種別版評価項目<3rdG:Ver2.0>において“略語の標準化”もポイントになっている。そのため、各病院独自のデータベースを構築する施設もあれば、略語の使用を登録制にしている病院もあるという。これを踏まえ、「同社は病院の業務スマホ向け版ポケットブレインの準備を進め、各病院の略語集にも対応していく予定」だという。 医療略語に限らず、医療用語は医療を行うための共通言語であり、インフラと言っても過言ではない。職種を超えた情報共有が求められる今日、カルテを早く正確に読める対策が求められる。 なお、本アプリに関連する連載をCareNet.comにて公開している。「知って得する!?医療略語」

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頭皮の傷(裂創)の縫合処置【漫画でわかる創傷治療のコツ】第8回

第8回 頭皮の傷(裂創)の縫合処置外来で意外とよく見かける頭の傷。頭皮は血流が豊富なため傷が浅くても結構出血するので、外来に慌てて駆け込んでくる患者さんがよくいます。しかし、頭部は皮膚が厚く毛包脂腺系に富むので、全身の皮膚の中で最も良好な創傷治癒機転が働く部位でもあります。つまり治りやすいので、慌てず落ち着いて処置していきましょう!ただ、頭を打っている場合は頭蓋内病変も心配です。まずは頭部への衝撃による頭蓋内病変の有無を速やかに判定し、その疑いがあれば直ちに脳外科専門医に紹介をしましょう。外来では、それらを否定してから創部の処置を行います。次に、大まかに創部の状態をチェックして、縫合が必要かどうか、局所麻酔が必要かどうかを考えましょう。擦過傷であれば、第2回に解説した対応で問題ありません。皮膚や浅い皮下組織までの損傷なら、ちゃんと毛が生えます。頭皮の欠損が大きい場合は形成外科に紹介してくださいね。頭皮縫合のポイントは「帽状腱膜」の状態を見極めることさて、よくある頭部の外傷は裂創です。今回は頭皮裂創の縫合処置をメインに解説します。毎度のことですが、最初は局所麻酔と洗浄を行いましょう。創傷処置の基本は洗浄です! 剃毛は必要ありません!! もしどうしても剃毛する場合は、周囲5mm程度にしましょう。剃毛後は粘着テープで周囲の髪を除去します。挫滅した組織をトリミングする際は最小限にとどめ、楔状(右図参照)に行いましょう。洗浄と局所麻酔については前の記事(第2回、第3回)を参照してください。頭皮の縫合を行うに当たって、できれば見極めてほしいポイントが、「帽状腱膜まで切れているのかどうか?」です。処置方法は、帽状腱膜の処置が必要かどうかで大まかに分けられます。(1)帽状腱膜の状態を確認創部がどのくらいの深さか判定するためには、まず頭皮の解剖学を理解していないといけませんね。表皮から順にSCALPの頭文字になっています(下図参照)。皮膚~皮下組織~棒状腱膜は密に結合しているため、まとまって骨膜から剥がれて出血していることが多いです。帽状腱膜(下図参照)は、皮下組織より深層、骨膜上に存在しています。前方では前頭筋、後方では後頭筋、側方では上耳介筋、側頭筋膜にそれぞれ移行する横方向に強靭な線維性組織で、この表層に主要血管と神経が走行しています。そのため、帽状腱膜が損傷している場合は出血量が多いことがあるのです。帽状腱膜の縫合が必要な場合帽状腱膜が破れていたら、しっかり縫合することがその後の止血や瘢痕(はんこん)予防に重要となります。骨膜が見えている、もしくはすぐ硬い骨が触れるような場合、帽状腱膜が破れている可能性が高いです。太めのナイロン糸(4−0)でしっかり縫合しましょう。出血源となっていることも多いため、ここをしっかり縫合することである程度の出血をコントロールできるはずです。腱膜を寄せるのが緊張で難しい場合は、帽状腱膜下を少し剥離するとよいです。帽状腱膜の縫合が不要な場合比較的浅い傷で、毛包や脂肪層が見える範囲にとどまっている場合、出血は圧迫止血のみでコントロールできることが多いです。無闇に電気メスやバイポーラで止血すると毛包を傷つけてしまうので気を付けてください。縫合は、後に解説する表面縫合のみで対応します。(2)帽状腱膜がどれかわからなかったら…帽状腱膜は慣れていないと同定しづらいこともあります。その場合、皮膚から帽状腱膜まで大きく組織を取って縫合するやり方もあります。出血が多い場合は、このように大きく針糸をかけて強めに縫合します。残ってしまった瘢痕は髪の毛で隠せます。縫合の緊張が強過ぎて創縁が壊死してしまった場合は、抜糸後に軟膏処置などを行う必要があります。(3)頭皮の表面縫合について帽状腱膜の処置が終わったら、表皮を縫合しましょう。前回、頭皮に真皮縫合は必要ないと説明しました。真皮縫合を行うと、毛包を損傷し瘢痕性脱毛の原因となります。右図のように真皮浅層から中層を通すように表面縫合を行います。後に記載するステープラー縫合もいいと思います。(4)ステープラー縫合について毛包を損傷しにくいという点で、ステープラー縫合は頭皮の表面縫合に有用です。ただ、寝転がる際に当たる部分などは日常生活で患者さんが苦痛に感じることもあるので注意しましょう。小児の頭部裂創に対して皮膚接着剤を使う方法がある?泣き叫ぶ子供を押さえつけて局所麻酔して縫合して…とは非常に困難ですよね。そこで、止血ができた比較的浅い(皮下組織程度)裂創に対して、ダーマボンドを使う方法があります。創部を寄せるように髪の毛をくっつけるのです。もちろん、処置の前に創部をしっかり洗浄して水分は拭き取ること! ダーマボンドが傷に入らないよう、気をつけて行ってくださいね。参考1)Brosnahan J. Evid Based Nurs. 2003;6:17.2)夏井 睦. ドクター夏井の外傷治療裏マニュアル. 三輪書店;2007.3)波利井 清紀ほか監修. 形成外科治療手技全書I 形成外科の基本手技1. 克誠堂出版;2016.4)菅又 章 編. PEPARS(ペパーズ)123 実践!よくわかる縫合の基本講座<増大号>. 全日本病院出版会;2017.5)横田 和典 編.PEPARS(ペパーズ)177 当直医マニュアル形成外科が教える外傷対応.全日本病院出版会;2021.6)山本 有平 編.PEPARS(ペパーズ)14 縫合の基本手技<増大号>.全日本病院出版会;2007.7)上田 晃一 編. PEPARS(ペパーズ)88 コツがわかる!形成外科の基本手技―後期臨床研修医・外科系医師のために―. 全日本病院出版会;2014.8)日本形成外科学会, 日本創傷外科学会, 日本頭蓋顎顔面外科学会編. 形成外科診療ガイドライン2 急性創傷/瘢痕ケロイド. 金原出版;2015.

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手術室の会話【Dr. 中島の 新・徒然草】(399)

三百九十九の段 手術室の会話手術室ではどんな会話がなされているのか? 実際のところは、人によっていろいろです。脳外科を例にとると、一般に開頭 → マイクロ(顕微鏡操作)→ 閉頭といった手順で手術が進みます。我々のところでは、開閉頭のときには3人くらい、マイクロの時は術者と助手の2人で手術を行っています。開頭の時はテンションが上がっているので、「モノポーラ!」「筋鈎ください、大きいやつ」と、やたら元気です。逆に閉頭になるとテンションが落ちてしまうので、黙って手を動かしているだけになってしまいます。それぞれに個性が出るのはマイクロの時です。最小限の事しか言わない術者もいれば、ずっとしゃべり続けている人もいます。私なんかは後者のほうです。というのは、自分の頭の中にあることを常に言葉にしていると助手も直介(清潔ナース)も突発的な事に対処しやすいような気がするからです。中島「なんだか術野に血が垂れてきて嫌だな。ちょっと止血しとこうか。急がば回れで、結局は時間の節約になるしね。そもそもどこから出てるのかな。硬膜か。硬膜を焼いとこか。面倒と思わず親の仇みたいに止血しといたほうがエエわけよ。とはいえ、程度の問題があるからな。ほどほどにしておいて、後は堰き止めておこうぜ。こういう時はベンシーツより捌きガーゼのほうがよく血を吸ってくれるからな。その糸の下に突っ込んでおいてくれるか。そやそや、ナーイス!」助手「……」なんだかしゃべりすぎですね。中島「このちんまい血管が動脈瘤に張り付いていて難儀やな。張り付くというか、壁に埋もれてるんとちゃうかな。これを剥がそうとして動脈瘤から出血させるわけにもイカンし。かといってテンポラリー(一時遮断)もどうかと思うな。かなり動脈硬化がきつそうやからな。とりあえずテンポラリークリップはそこに並べといてね。1本やなくて3本お願いします。親動脈だけで止まらんときは3点遮断せんといかんからね。それともテンタティブ(仮)をかけてから剥がそうか。そっちのほうが無難やな。そうしよ、そうしよ! でも万一、途中で破れたときに備えて、先生の吸引は6Mな。それと出血した時のテンポラリーは大きいほうから渡してね」助手「(直介に)6Mの吸引管ください」こっちもしゃべりすぎかも。でも、頭の中にある事を全部吐き出しておくと、周囲の人も準備や対処がしやすいのではないでしょうか。実際のところ、出血してから慌てて怒鳴ったりしたら収拾がつかなくなります。術者「出血や出血や、出血したぞ! 早いことテンポラリーをくれ! 何やっとんねん、これ小さ過ぎるやないか! おい、術野が見えへんぞ。ちゃんと吸引せんかい!」助手「すいません、吸引管が詰まりました」術者「阿呆! そんな細い吸引管やったら詰まるに決まっとるやないか! 太いのに代えておけよ!」助手「す、すみません」(泣)こんなに怒られたら助手もうろたえてしまいます。慌てて吸引しようとして、血液だけでなく組織まで吸い込んでしまったら目も当てられません。あと、普段からしゃべりながら操作すると、自分が今からやろうとしていることを周囲に宣言することになるので、やりかけた操作を途中でやめてしまうことがなくなります。途中で操作をやめる時には、やめるだけの理由を言葉にしなくてはなりません。中島「このくも膜の切れ端がビラビラして鬱陶しいから切っておこか。まあ、このくらいでエエやろ。そんなに律儀に切らんでも十分見えるようになったからな」こんな感じですね。ということで手術室の会話。読者の皆さんのところではどのようにされているでしょうか? きっと個性いろいろでしょうね。最後に1句 手術室 脳と口を 直結す

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収入減!勤務医と開業医、それぞれの対策【医師のためのお金の話】第49回

医師も給与が減ったときの対策を考えなければいけない…。こんな状況は数年前まで想定外でした。2030年になると医師数が充足するので、給与水準も少しずつ下がっていくのかなぁと、のんきに考えていたぐらいです。ところがコロナ禍で状況は一変しました。図らずも医師の高給は砂上の楼閣であることが白日の下に晒されたわけですが、私たちにも生活があるので傍観しているわけにはいきません。減収対策を考えてみましょう。まずは緊急止血!減収で家計が待ったなしの状況になったら何をするべきでしょうか? まずは即効性のある手段をとりましょう。1)この先1ヵ月間で絶対に必要な出費を天引き2)キャッシュレス決済やクレジットカードを封印3)ふるさと納税をノーブランドのお米に全振り緊急止血が必要な状況で考えるべきことは、月々の収支をマイナスにしないことです。この目的を達成するためには、まずは出費の天引きをしましょう。毎月一定金額を給料から天引きして貯蓄する方法は有名ですが、緊急時には絶対必要な出費を天引きすることが有効です。出費を天引きした残りの金額で1ヵ月間生き延びることを考えましょう。そのためにはキャッシュレス決済やクレジットカードを封印して「現金で支払う痛み」を感じることも有効です。便利さは犠牲になりますが、現金支払いの痛みは節約にとても有効です。そして普段多めの税金を払っている医師ならではの節約法としては、ふるさと納税を最大限に利用しましょう。そして返礼品はちょっとぜいたくなモノではなく生活必需品にします。一般的にはお米ですが高級米である「つや姫」「魚沼産コシヒカリ」を選んではいけません。寄付金当たりで最大のキロ数を稼げるお米を選びましょう。止血ができたら、次の手当てを月々の収支をプラスに維持できたのであれば、中期的な節約と収入増を考えましょう。節約に関してまず考えるべきことは固定費の削減です。固定費とは、住居費、生命保険、自動車関連費、光熱費、通信費などの毎月払っている支出です。住宅ローンの金利交渉や借り換え、生命保険の見直し、自動車を手放す、電気やガス会社の変更、携帯電話プラン変更や他社への乗り換えなどで固定費の削減を考えましょう。本気で節約しようとすれば必ず結果は出るのでやりがいがあります。次に、収入増を考えます。勤務医であればアルバイト情報を収集しましょう。医局や勤務先全体で減収している場合には、みんなが苦しい状況なので身近な人のツテを頼ることはできません。このようなケースではアルバイト情報をマメに収集する必要があります。開業医の場合、一朝一夕に増患はできないので、減少した医業収益に合わせて固定費削減を実施する必要があります。コロナ禍で激変した医療情勢は比較的長期にわたって続くことが予想されますので、しかるべき手を早めに打っておくべきです。スタッフの解雇にまで踏み込むのは難しいでしょうが、勤務時間の短縮などのワークシェアリングで医業収益減少に見合った経費削減を達成すべきです。減収の先にある“フロンティア”を目指そうここまで手取り収入を確保することを主眼に考えてきましたが、ようやく前向きなことを考えるステージに来ました。コロナ禍で顕在化したように、収入を医業に100%依存している状態は不安定と言わざるを得ません。もちろん医療という高い参入障壁に守られた世界を、職業のメインに据えるべきでしょう。しかし、医療から半歩でも外の世界に踏み出すことは、増収と安定性の両方を確保することにつながります。具体的には「投資」と「事業展開」を考えてみましょう。ここでは、勤務医と開業医で戦略が異なります。ポイントは背負っているリスクの大きさの差です。経済的なリスクが少ないのは勤務医です。極論すると勤務医のリスクは「自らの健康」だけなので、投資だけではなく事業立ち上げのリスクを取ることも可能です。一方で、すでに経営的リスクを背負っている開業医は、新規事業の立ち上げで追加リスクを取ることは得策ではありません。このため開業医が経済的安定を得るためには不動産や株式投資にとどめることを推奨します。投資や事業によって結果を残すことは簡単ではありません。必勝法は存在せず、かなりの労力を投入しても思っていたほどの結果を残せないことも多いでしょう。しかし、座していても何も状況は変わりません。人生100年時代に突入しようとしている状況では、40歳以下の人が逃げ切ることは困難だと思われます。一般的に医師は有利な立場ですが、それに甘んじることなく果敢に挑戦したいものですね。

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ある朝のER【Dr. 中島の 新・徒然草】(395)

三百九十五の段 ある朝のER研修医「抜鈎(ばっこう)器はありませんか?」ERナース「ええ? 無かったんじゃないかな」どうやら、1週間ほど前にステイプラーで頭皮の切創を縫った患者さん、抜鈎のために来院されるみたいです。カルテによれば、縫合の後に「家の近くの医療機関で抜いてもらったらいいですよ」と説明を受けておられました。ところが、この方は「いや、ほかは怖い。ここの病院で抜いてくれ」と希望し、この日の朝7時にERを受診することになっていました。20年ほど前までは、針と糸で切り傷を縫っていましたが、最近はステイプラー(医療用ホッチキス)を使うことが多くなりました。ただ、このステイプラーを抜くのには抜鈎器という特殊な器械を使う必要があります。中島「抜鈎器がなかったらモスキートでもええよ」ERナース「モスキートならあります!」研修医「モスキートでも抜けるんですか?」中島「僕は抜鈎器よりモスキートで抜くほうが好きやけどな」モスキートというのは、長さ10センチほどの止血鉗子です。目的外使用にはなりますが、こっちのほうが遥かに簡単。なぜか通りすがりの私が抜鈎を指導することになってしまいました。中島「やり方は教えるから、先生が抜いてくれ」研修医「はい」そうこうしているうちに患者さんの到着です。中島「まず左手の鑷子(せっし)でステイプラーを掴むんや」研修医「はい」中島「それで右手に持ったモスキートの先端を……」ここで患者さんが一言。患者「ちょっと待ってえな。先生がやってくれへん?」中島「僕がですか?」患者「こっちの若い先生の練習台にされるのは堪忍してよ。俺、怖がりやから」中島「そりゃダメですな」患者「なんでやねん!」出た。関西人の必殺技「なんでやねん!」中島「僕も老眼がひどくなって、細かいものが見えないんですわ。間違えて何を掴むかわからんし」患者「何やて? それも怖いがな」中島「そやから僕が説明して、若い先生が手を動かすのが一番なんですよ」患者「ほんまかいな」ちょっと釈然としない表情ながらも、患者さんは大人しくなりました。中島「モスキートの先端をステイプラーの下に突っ込んで開くんや」研修医「はい」中島「それで左手を上に引っ張ったら簡単に抜けるからな」研修医「抜けました!」患者「全然痛くなかった……」そんなこんなで、なんとかこの場は収まりました。ホッとしながら電カルに向かっていたときです。また、背中のほうから声が聞こえてきました。患者「この痛いのはいつになったら治るねん!」研修医「いや、ですから」患者「いつまで痛い思いをしてたらええんや」どうやら、打撲した肩の痛みがなかなか治らないようです。中島「〇〇さん。60歳の人は痛みがとれるまで60日掛かるんですよ」患者「60日も掛かるんかいな」使い古したギャグなのに、患者さんは本気にしています。中島「先生は何歳やったかな」研修医「25歳です」中島「先生やったら25日で治るで」患者「そういう根拠を言ってもらったらこっちも納得できるんや」ギャグだという事に気付いてもらえない! それに、そもそも根拠じゃなくて目安ですがな。中島「60日経っても痛かったらまた来てください。お大事に」患者「ありがとう、安心したわ」ようやく一件落着。それにしても、大阪では思ったことがそのまま口から出てくる人が多いですね。このような患者さんへの対応の仕方を学ぶのも、研修医の勉強のうちかもしれません。中島「1つだけアドバイスしてもいいかな」研修医「是非、お願いします」中島「先生はさっき左手に長鑷子を持ってたけどな」研修医「ええ」中島「長鑷子は腰が弱いからステイプラーを掴みにくかったやろ」研修医「そうですね」中島「次に機会があったら短い有鈎鑷子を使ってみよか」研修医「わかりました」最後は研修医教育らしい締めくくりができました。ということで爽やかな朝に1句ER いつものやりとり 今日もまた

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23日より血液学会スタート!会長インタビューと注目演題紹介

 9月23日より第83回日本血液学会学術集会がオンラインで開催される。ケアネットが運営する医師限定キュレーションサイト「Doctors'Picks」では学会の特集サイトを公開しており、掲載された会長の東北大学の張替 秀郎氏による動画メッセージの一部を紹介する。ーー本学会のテーマ「恒常性と復元力」にはどのような意味を込めたのでしょうか? 血液細胞は、酸素運搬、感染防御、止血といった身体の恒常性の根幹を担う必須の細胞です。そして、血液のがんはほかのがんと異なり、腫瘍を取ってしまえばよいわけではなく、そこから正常な造血機能が回復してはじめて寛解となる。そうした意味で復元力が極めて大切な臓器です。そうした2つの血液の本質に立ち返り、改めて考察したいという狙いからテーマとしました。 そして、このテーマには、もう一つの思いが込められています。2021年は東日本大震災から10年の節目にあたります。2011年、東日本大震災により日本、とくにこの東北は甚大な被害を受け、すべての恒常性が失われました。そして2020年、COVID-19感染症によって、世界は再度すべての恒常性を失いました。東日本大震災から10年、社会がその復元力によって恒常性を取り戻したように、現在はまだコロナ禍にはありますが、社会の復元力によって生活・科学・医療の恒常性を取り戻すことを信じて願う、という意味も込めました。ーー今回の学会でとくに注目の演題は? 各専門別の最新の情報が集まるというのは毎年のことですが、私が企画したのはPresidential Symposiumと特別講演です。Presidential Symposiumは「The Path from Stem Cells to Red Blood Cells」という演題で、赤血球の分化過程という基礎的なテーマを設定しました。特別講演は2つで、ハーバード大学の幹細胞研究を専門とするDavid Scadden氏の「Biology to therapy in the hematopoietic niche」と、UCLAの鉄代謝を専門とするTomas Ganz氏の「Systemic iron homeostasis: hormones, pathways, diseases」、いずれもなかなか話を聞けない高名な先生なので、貴重な機会になるはずです。海外演者の方もディスカッションにはライブで参加いただく予定です。 また、コロナ関連の特別シンポジウムも企画しており、「ポストコロナの医療・社会変容」をテーマに、早稲田大学教授のロバート・キャンベル氏、プロ野球楽天の社長である立花 陽三氏など、医療以外の専門家を招き、多様な視点からコロナ後の社会の変化についてディスカッションを行う予定です。ーー仙台の会場とオンラインのハイブリッド開催を予定されていましたが、完全オンライン方式に変更されました。 新型コロナの感染状況を鑑みてやむを得ないと判断しました。ただし、学会のライブ感を大切にしたいと考え、会期後にオンデマンドで配信するのは教育講演と一部のシンポジウムにとどめ、基本的には会期中にライブで視聴いただくことを想定しています。ぜひご参加いただき、血液学の「旬」を感じ、明日からの治療に役立てていただければと思います。Doctors’ Picks 第83回日本血液学会 特集サイトhttps://drpicks-spot.carenet.com/ 特集サイトでは、入山 規良氏(日本大学)、柴山 浩彦氏(国立病院機構 大阪医療センター)、丸山 大氏(がん研究会有明病院)、山崎 悦子氏(横浜市立大学附属病院)が選定した学会の注目演題も紹介している。

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ヘパリン増量では対応できない重症新型コロナウイルス感染症(解説:後藤信哉氏)

 新型コロナウイルス感染に対して1~2年前よりは医療サイドの対策は進んでいる。肺を守るステロイド、ECMOなどは状況に応じて広く使用されるようになった。しかし、血栓性合併症についての十分な治療が確立されていない。われわれの経験した過去の多くの血栓症ではヘパリンが有効であった。ヘパリンは内因性のアンチトロンビンIIIの構造を変換して効果を発揮するので、人体に凝固系が確立されたころから調節系として作用していたと想定される。心筋梗塞、不安定狭心症、静脈血栓症など多くの血栓症にヘパリンは有効であった。ヘパリンの有効性、安全性については重層的な臨床エビデンスがある。ヘパリンを使えない血栓症は免疫性ヘパリン惹起血小板減少・血栓症くらいであった。 重症の新型コロナウイルス感染症では、わらにもすがる思いで治療量のヘパリンを使用した。しかし、治療量と予防量のヘパリンを比較する本研究は1,098例を登録したところで中止された。最初から治療量のヘパリンを使用しても生存退院は増えず、ECMOなどの必要期間も変化しなかった。 新型コロナウイルス肺炎が注目された当初、ECMO症例の予後改善の一因にヘパリン投与の寄与が示唆された。本試験は治療量のヘパリンへの期待を打ち砕いた。 本研究は比較的軽症の新型コロナウイルス感染症に対する予防量、治療量のヘパリンのランダム化比較試験と同時に発表された。筆者の友人のHugo ten Cate博士が両論文を包括して「Surviving Covid-19 with Heparin?」というeditorialを書いている。Hugo ten Cate博士が指摘するように、重症化した新型コロナウイルス感染では免疫、細胞、など凝固系以外の因子が複雑に関与した血栓になっているのであろう。早期の血栓にはそれなりに有効なヘパリンも複雑系による血栓には無力であるとの彼の考えは、揺らぎの時期とpoint of no returnを超えた時期を有する生命現象の本質を突いていると思う。

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第66回 宿泊療養も抗体カクテル療法適用/救急搬送困難例が1ヵ月で2倍超

<先週の動き>1.宿泊療養も抗体カクテル療法が可能に、自治体に酸素ステーション配備2.救急搬送困難事案が1ヵ月で2倍増、ICU受け入れ制限も/消防庁3.コロナ患者の不適切な受け入れ拒否は病床確保料の対象外に/厚労省4.AZ製ワクチン、16日から緊急事態宣言区域にて接種開始5.コロナ対応の医療従事者、濃厚接触でも要件を満たせば出勤可能/厚労省1.宿泊療養も抗体カクテル療法が可能に、自治体に酸素ステーション配備軽症~中等症COVID-19に対して7月に特例承認された抗体カクテル療法(商品名:ロナプリーブ点滴静注セット)について、当初は原則として入院治療を要する患者への使用に限られていたが、13日に事務連絡が改正され、宿泊療養中の患者についても適用可能となった。宿泊療養施設を「有床の臨時医療施設」と見なし、東京都では同日から投与を開始している。なお、供給量の観点から本剤の一般流通は行われず、厚生労働省が所有した上で、対象となる患者が発生した医療機関からの依頼に基づき、無償で譲渡する体制が取られている。本剤の使用を希望する医療機関は、予め「ロナプリーブ登録センター(中外製薬)」への医療機関登録が必須となる。問い合わせ先中外製薬 ロナプリーブ専用ダイヤル:0120-002-621(平日9:00~17:30)第5波の新規感染者数増加に歯止めがかからず、病院において患者受け入れ困難が発生しているため、菅首相は13日に、自治体と連携して酸素ステーションを設置して対処する方針を明らかにしている。(参考)菅首相 「酸素ステーション」「抗体カクテル療法」拠点整備へ(NHK)厚労省 抗体カクテル療法・ロナプリーブ点滴静注の宿泊療養での投与可能に 事務連絡を改正(ミクスonline)新型コロナウイルス感染症における中和抗体薬「カシリビマブ及びイムデビマブ」の医療機関への配分について(質疑応答集の修正・追加)(事務連絡 令和3年7月20日、8月13日一部改正)2.救急搬送困難事案が1ヵ月で2倍増、ICU受け入れ制限も/消防庁総務省消防庁は11日、救急車が到着しても搬送先の病院がすぐに決まらない「救急搬送困難事案」について、8月第1週(2~8日)で全国2,897件と、7月第2週(5~11日)の1,390件と比較して2倍以上になっていることを公表した。救急搬送困難事案は、第3波の今年1月3週目に過去最多の3,317件を記録しているが、7月から8月にかけて、それを超す増加率で推移している。全国医学部長病院長会議は10日、27つの大学病院において集中治療室(ICU)での患者受け入れ制限を発表しており、他疾患での救急搬送にも影響が出ていることが明らかになっている。(参考)救急搬送困難2897件、1ヵ月で2.5倍 コロナで医療逼迫 8月2~8日、全国で(日経新聞)新型コロナウイルス感染症第5波が大学病院診療に与える影響(声明)(全国医学部長病院長会議)各消防本部からの救急搬送困難事案に係る状況調査の結果(総務省消防庁)3.コロナ患者の不適切な受け入れ拒否は病床確保料の対象外に/厚労省厚労省は、病床が逼迫している状況を受け、COVID-19患者の入院医療機関(重点医療機関および疑い患者受け入れ協力医療機関を含む)に対し、都道府県からCOVID-19の入院受け入れ要請があった場合は、正当な理由なく断らないよう6日の事務連絡で通知した。コロナ患者の入院医療機関において、適切な受け入れが困難な場合は、その医療機関の即応病床数の見直しを求めており、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業の補助金を受け取りながら、入院要請のあったコロナ患者を受け入れない医療機関は、病床確保料の支給対象外となることが明記されている。(参考)新型コロナウイルス感染症患者等入院医療機関について(事務連絡 令和3年8月6日)コロナ入院対応拒否、病床確保料の対象外の可能性も 正当な理由なく、厚労省(CBnewsマネジメント)4.AZ製ワクチン、16日から緊急事態宣言区域にて接種開始河野規制改革相は10日の記者会見で、アストラゼネカ(AZ)製の新型コロナウイルスワクチン(商品名:バキスゼブリア筋注)を、自治体での接種開始に向けて緊急事態宣言が発令中の6都府県に16日から供給すると発表した。政府は200万回分を確保しており、それ以外の地域でも8月下旬から接種可能となる見込み。AZ製ワクチンは、原則として40歳以上が接種対象であり、2~8℃で冷所保存が可能、また2回の筋肉内注射で、標準的には27~83日の間隔を空けることとされている。副反応として、ごく稀に「血小板減少症を伴う血栓症」が起こるとされ、『アストラゼネカ社 COVID-19 ワクチン接種後の血小板減少症を伴う血栓症の診断と治療の手引き・第2版』を日本脳卒中学会と日本血栓止血学会が公開している。(参考)アストラ製ワクチン、宣言発令中の6都府県に16日から供給(読売新聞)明治系、アストラ製ワクチン配送開始 自治体接種に備え(日経新聞)アストラゼネカ社ワクチンの接種・流通体制の構築について(厚労省)5.コロナ対応の医療従事者、濃厚接触でも要件を満たせば出勤可能/厚労省厚労省は、新型コロナウイルスワクチンの接種が完了している医療従事者について、濃厚接触者になっても、新型コロナ診療に当たることを認める通知を13日、各都道府県などに通知した。該当する医療従事者は、コロナ診療に従事する者に限られ、濃厚接触の認定より前に2回のワクチンを接種後14日間が経過している必要がある。また、無症状であり、毎日業務前にPCR検査や抗原検査などで陰性を確認することなどが要件とされる。なお、当該医療従事者が感染源にならないよう細心の注意を払う必要がある。これにより、全国的な感染急拡大で逼迫する医療現場の人手不足を回避する狙いだろう。(参考)新型コロナウイルス感染症対策に従事する医療関係者である濃厚接触者に対する外出自粛要請への対応について(事務連絡 令和3年8月13日)コロナ治療の医療従事者、濃厚接触者の制限を緩和(朝日新聞)濃厚接触の医療従事者、条件つきで出勤可能に(日経新聞)

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