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抗凝固薬「ダビガトラン」へ期待高まる

2009年12月、急性静脈血栓塞栓症(VTE)に対する新規経口トロンビン阻害薬ダビガトランの有用性を検討した大規模臨床試験RE-COVERがNew England Journal of Medicineオンライン版に発表された。【RE-COVER試験】RE-COVER試験は、二重盲検並行群間無作為化比較試験で、非経口抗凝固剤を用いた初期治療(5~11日間)後、6ヵ月の急性症候性VTE治療期間中に、ダビガトラン群(1回150mg、1日2回投与)(1,274例)の有効性が、治療域に維持されたワルファリン群(1,265例)に非劣性であるかを調べた非劣性試験である。主要評価項目は、症候性VTE再発と全死亡の複合評価項目が設定された。RE-COVER試験の結果、ダビガトラン群のVTE再発率は2.4%、治療域に維持されたワルファリン群は2.1%となり、ダビガトランのワルファリンに対する非劣性が認められた(ハザード比1.10、95%CI 0.65~1.84、p

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新規経口抗血小板PAR-1阻害剤SCH 530348の第III相試験TRA-2゜P-TIMI 50への被験者登録完了

2009年11月13日(米国東部時間)、Merck & Co,Inc, Whitehouse Station, N.J, U.S.Aは、検討が進められている抗血小板プロテアーゼ活性化受容体1(PAR-1)阻害剤SCH 530348の第III相無作為化二重盲検プラセボ対照国際試験であるTRA-2゜P-TIMI 50試験への被験者登録が完了したことを発表した。この試験は、Thrombolysis in Myocardial Infarction(TIMI)研究グループにより実施されていて、目標症例数である26,000名以上に達したとのこと。27日、統合会社のシェリング・プラウ株式会社が報告した。この試験では、心筋梗塞または脳卒中の既往がある患者または現在末梢動脈疾患がある患者に、現行の抗血小板薬(アスピリンまたはアスピリン+ADP 阻害剤)に加えてトロンビン受容体拮抗薬、PAR-1阻害剤であるSCH 530348を投与した場合の主要な心血管イベント発生の予防効果について評価する。SCH 530348は、Duke Clinical Research Instituteにより現在実施している急性冠動脈症候群(ACS)における臨床イベント減少を検討するトロンビン受容体拮抗薬試験(TRA- CER)において、急性冠動脈症候群の患者への投与についても検討が行われているという。詳細はプレスリリースへhttp://www.schering-plough.co.jp/press/index.html

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心房細動患者へのdabigatran vs.ワルファリン:RE-LY試験

脳卒中および死亡リスクを増大する心房細動に対し、ワルファリン(商品名:ワーファリンなど)は、脳卒中リスクを低下する効果がある。しかし出血リスクを増すため、実際に使用されるケースは少なく、中断例も多い。そこで、心房細動患者を対象とした試験で静脈血栓塞栓症予防効果の評価が得られている、新規経口直接トロンビン阻害薬dabigatranと、ワルファリンとを比較する第3相臨床試験(RE-LY試験)が、カナダ・マクマスター大学のStuart J. Connolly氏らによって行われた。試験は2種の用量(110mgまたは150mgを1日2回)について検討され、結果はNEJM誌2009年9月17日号(オンライン版2009年8月30日号)に掲載された。dabigatran 110mg投与群、同150mg投与群、ワルファリン投与群で比較RE-LY(Randomized Evaluation of Long-Term Anticoagulation Therapy)試験は非劣性試験で、心房細動患者(6ヵ月以内に心電図で確定診断)で脳卒中リスクがある(脳卒中かTIA歴あり、LVEF<40%、NYHA分類≧II、6ヵ月以内に心不全、75歳以上など)18,113例を対象に行われた。患者は、日本を含む44ヵ国951医療機関から集められた。被験者は次の3群に無作為化された。盲検下で、dabigatranの1日2回110mg投与する群と、同1日2回150mg投与する群。非盲検下で、INR2~3を目標に用量調整(1~5mg錠)されたワルファリン投与群。主要転帰は、脳卒中または全身性塞栓症とされた。110mg群は、脳卒中リスク低下がワルファリン群と同等、出血リスクは低い追跡期間中央値は2.0年。主要転帰発生は、ワルファリン群1.69%/年だったのに対し、dabigatran 110mg投与群は1.53%/年で、相対リスクは0.91(非劣性P

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新規第Xa因子阻害薬otamixaban、非ST上昇急性冠症候群の虚血イベントを抑制

新規の直接作用型選択的第Xa因子阻害薬otamixabanの静注投与は、従来法に比べ非ST上昇急性冠症候群(ACS)における虚血イベントを抑制することが、アメリカHarvard大学医学部循環器内科TIMI studyグループのMarc S Sabatine氏らが実施した第II相試験(SEPIA-ACS1 TIMI 42試験)で明らかとなった。これまで、非ST上昇ACS患者の抗凝固療法には未分画ヘパリンが使用されてきたが、その作用は非直接的で非選択的であり、血栓結合トロンビンを抑制できない、血小板減少の誘導、PK活性が予測不能などの問題点があった。Lancet誌2009年9月5日号(オンライン版2009年8月30日号)掲載の報告。5つの用量と対照を比較する二重盲検無作為化第II相試験SEPIA-ACS1 TIMI 42試験の研究グループは、非ST上昇ACSにおけるotamixabanの有効性と安全性を評価し、第III相試験でのさらなる検討に向けて最適な用量範囲を同定するための二重盲検第II相試験を実施した。2006年6月~2008年11月までに、36ヵ国196施設から3,241例の非ST上昇ACS患者が登録され、otamixaban 0.08mg/kgを静脈内ボーラス投与後に5種類の用量を静注する群[0.035mg/kg/時(125例)、0.070mg/kg/時(676例)、0.105mg/kg/時(662例)、0.140mg/kg/時(658例)、0.175 mg/kg/時(671例)]あるいは対照として未分画ヘパリンと糖蛋白IIb/IIIa阻害薬eptifibatideを投与する群(449例)に無作為に割り付けられた。治療の割り付けに関する情報は、研究者および患者のいずれにも知らされなかった。データ監視委員会の勧告により最低用量群への登録は早期に中止された。有効性に関する主要評価項目は、7日目までの心筋梗塞、緊急血行再建術、糖蛋白IIb/IIIa阻害薬の救済的投与の複合エンドポイントとした。安全性に関する主要評価項目は、冠動脈バイパス移植術(CABG)とは関連しない大出血あるいは小出血(TIMI出血基準)とした。有効性についてはintention to treat解析を行い、安全性の解析では実際に治療を受けた患者を対象とした。0.100~0.140mg/kg/時で虚血性イベントを抑制、安全性は同等有効性の複合エンドポイントの発現率は、0.035群7.2%、0.070群4.6%、0.105群3.8%、0.140群3.6%、0.175群4.3%であった(傾向性に関するp値=0.34)。対照群の複合エンドポイントの発現率は6.2%であり、実薬群に対する相対リスクはそれぞれ1.16、0.74、0.61、0.58、0.69であった。安全性の1次エンドポイントの発現率は、実薬群がそれぞれ1.6%、1.6%、3.1%、3.4%、5.4%であり(傾向性に関するp値=0.0001)、対照群は2.7%であった。著者は、「非ST上昇ACS患者に対する抗血栓療法としてのotamixaban静注投与では、0.100~0.140mg/kg/時の用量で虚血性イベントが抑制される可能性があり、その安全性は未分画ヘパリン+eptifibatideの併用投与と同等であることが示唆される。第III相試験によるさらなる検討が正当化される」と結論している。また、「prasugrelやticagrelorなどの経口抗血小板薬の臨床適用が進むに従って、otamixabanとこれらの薬剤との併用療法の評価や、糖蛋白IIb/IIIa阻害薬の最適な投与のタイミングの再検討が必要となるだろう」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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新規経口抗凝固剤ダビガトラン エテキシラートは、ワルファリンに比べ脳卒中の発症予防で優れ、出血も少ない

日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社は31日、脳卒中予防でのダビガトラン エテキシラートの有用性を検討した大規模臨床試験RE-LYの結果を発表した。試験結果はダビガトランが、有効性、安全性とも、対照としたワルファリンに対する優越性を示すものであり、ダビガトランは治療域に維持されたワルファリンと比べ、出血性を含む脳卒中または全身性塞栓症の発症リスクと、生命を脅かす出血および頭蓋内出血の発症を有意に低下し、血管死(出血死を含む)を有意に減少することがわかったという。RE-LYは世界44ヵ国で18,113名を登録し、心房細動の予後を史上最大規模で検討した試験。患者はダビガトラン(盲検化した2用量)投与群と、治療域に維持されたワルファリン(非盲検:目標とするプロトロンビン時間の国際標準比、INRは2.0~3.0)投与群に割り付けられた。ダビガトラン1回150mg 1日2回投与群(1日用量300mg)はワルファリン投与群と比べ、大出血のリスクを増加させることなく、心房細動患者での脳卒中または全身性塞栓症の発症リスクを34%低減させた(p

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経口第Xa因子阻害薬apixabanの有効性確認できず

本報告は、コペンハーゲン大学(デンマーク)Horsholm病院整形外科のMichael Rud Lassen氏らによって行われた、関節置換術後の血栓予防薬としての経口第Xa因子阻害薬apixabanの有効性と安全性を検討した第3相試験(ADVANCE-1)からの検討報告。apixabanは出血リスクが低く、経口薬なので使いやすく、効果的な血栓予防薬となるのではと期待され、試験は行われた。同様に第Xa因子を阻害する(ただしトロンビンもある程度阻害)低分子へパリン製剤エノキサパリン(商品名:クレキサン)との比較で行われた検討結果は、有効性の主要転帰を確認することはできなかったと報告された。NEJM誌2009年8月6日号掲載より。術後12~24時間後開始で、apixaban群とエノキサパリン群を比較試験は、人工膝関節全置換術を受けた患者を対象とし、apixaban 2.5gを1日2回服用する群と、エノキサパリン 30mg皮下注を12時間ごとに受ける群とに無作為に割り付けられ行われた。両群とも、術後12~24時間後に投与が開始され、10~14日間続けられた。その後に被験者は、両下肢静脈造影を受け評価が行われた。有効性の主要転帰は、無症候性または症候性の深部静脈血栓症、非致死性の肺動脈塞栓症、全死因死亡の複合とされ、抗凝固療法治療が中止された後、患者は60日間経過観察された。有効性の主要転帰発生、相対リスクは1.02被験者は、計3,195例(apixaban群:1,599例、エノキサパリン群:1,596例)。このうち908例は、有効性解析から除外された。主要イベントの全体発生率は、予想より少なかった。有効性の主要転帰発生率は、apixaban群9.0%、エノキサパリン群8.8%、相対リスクは1.02(95%の信頼区間:0.78~1.32)で、事前に規定した非劣性の統計的基準を満たさなかった。一方、安全性については、重大出血と臨床的に意義があるが重大ではない出血の発生率は、apixaban群2.9%、エノキサパリン群4.3%(P=0.03)で、apixabanの使用には、臨床的意義のある出血の発生率低下との関連が見られた。その有害事象プロファイルは、エノキサパリンと同様だった。(武藤まき:医療ライター)

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PTCAバルーンカテーテル Tazuna(タヅナ)新発売

テルモ株式会社は27日、狭心症などの治療に用いるPTCAバルーンカテーテル「Tazuna」を全国の医療機関向けに発売した。カテーテルの先端をわずか0.41mmと細くするなど、血管内の通過性能を追求したことで、手首の細い血管からカテーテルを入れる治療法にも使いやすくなったという。この方法は、太ももの血管を使った時と比べて、出血が少ない、治療後の止血時間が短いなど、患者の負担が軽減されるため、国内でも普及が進んでいる。また、完全に詰まった血管にも通りやすいという。詳細はプレスリリースへhttp://www.terumo.co.jp/press/2009/018.html

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第22回国際血栓止血学会議にて、ザレルトの費用有効性データが裏付けされる

バイエル薬品株式会社は28日、静脈血栓塞栓症(VTE)の予防のための1日1回投与の抗凝固剤「ザレルト(一般名:リバロキサバン)」が、米国・ボストンで開催された第22回国際血栓止血学会議(ISTH-International Society on Thrombosis and Haemostasis)において、その費用有効性が様々な発表の摘要の中で強調されたと発表した。経済モデルに基づいて行われた分析で、待機的股関節全置換術(THR)または膝関節全置換術(TKR)後のザレルト投与がエノキサパリンとの比較において、よりよい患者転帰をより低いコストで達成できると証明されたという。これは、待機的股関節または膝関節全置換術を受けた成人患者のVTE予防の適応で承認を取得した経口投与可能な直接作用型第Xa因子阻害剤ザレルトの、増え続ける多数の証拠をさらに強固にするものだという。2008年9月の初の承認取得から今日までに、ザレルトは世界の50ヵ国以上の国々で承認を取得している。詳細はプレスリリースへhttp://byl.bayer.co.jp/scripts/pages/jp/press_release/press_detail/?file_path=2009%2Fnews2009-07-28.html

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扶桑薬品と3DMが外科用止血材TDM-621の国内独占販売を提携

扶桑薬品工業株式会社は22日、株式会社スリー・ディー・マトリックス(3DM)と、同社が開発中の自己組織化ペプチド「PuraMatrix」を原料とした外科用止血材製品(開発コード:TDM-621)の国内における独占販売許諾契約を締結したことを発表した。今回の提携は、3DMが扶桑薬品に対して本製品の国内における独占販売権を許諾し、この製品を3DMより独占的に仕入れし、全国の医療機関への販売を行うもの。外科用止血材TDM-621は、人体の構成成分である3種のアミノ酸から成るペプチドを原料とした透明な液体で、血液に触れると瞬時にハイドロゲルを形成する特性(自己組織化)により、血管を物理的に塞いで止血を行うもので、外科手術全般への使用が対象となる。このペプチドは化学合成により製造し、動物由来の物質を完全に排除できることから、C型肝炎ウイルス等に感染するリスクがないことが特徴。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.fuso-pharm.co.jp/news_topics/pdf/2009_07_22.pdf

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血友病A治療におけるコージネイトFSの大規模市販後調査結果について

米国マサチューセッツ州ボストンで開かれた第22回国際血栓止血学会(ISTH: International Society on Thrombosis and Haemostasis)において、遺伝子組換え型血液凝固第Ⅷ因子製剤コージネイトFSの大規模市販後調査結果が、東京医科大学臨床検査医学講座・福武勝幸氏より発表された。その内容は、日本、台湾、ドイツ、欧州諸国の4箇所で実施された合計967名の血友病A患者に対する日常的なコージネイトFS治療の市販後調査結果を集計し、解析したもので、コージネイトFSが軽症から重症型の幅広い患者に対して、出血時または手術時の止血管理に有効であり、有害事象の発生率も低かったというデータが示されたとのこと。また、治療歴のある患者と治療歴のない患者の両方で、インヒビター(中和抗体)の発生率が比較的低かったことも確認されたという。バイエル薬品株式会社からの報告。主治医判定によるコージネイトFSの有効性は98.9%の患者で著効または有効とされ、治療との因果関係が考えられる有害事象が1%の患者で報告された。また、新規インヒビターの発生率は0.8%であった。成人男性患者での臨床研究データによると、コージネイトFSによる出血時補充療法から定期補充療法に切り替えた患者は著しく関節内出血が減少し(定期補充0件、出血時30.4件)、出血時補充療法と比べて関節機能障害の進行を抑制した(総合ギルバート・スコア:定期補充18、出血時25)。コージネイトFSによる定期補充療法は通常小児に対して行われるが、これらの結果により、第VIII因子製剤を用いた定期補充的使用の利点がすべての年齢の血友病A患者に当てはまることが示唆されたという。詳細はプレスリリースへhttp://byl.bayer.co.jp/scripts/pages/jp/press_release/press_detail/?file_path=2009%2Fnews2009-07-16.html

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経口抗Xa剤「エドキサバン」の臨床試験データを発表

 第一三共株式会社は16日、米国ボストンにて開催中の第22回国際血栓止血学会(International Society on Thorombosis and Haemostasis:ISTH)において、現在、血栓塞栓症治療剤として開発中の経口抗Xa剤「エドキサバン」の用法用量と出血事象の発現に関するデータを発表したと報告した。 2008年12月の第50回米国血液学会(American Society of Hematology)において発表した後期第II相臨床試験では、1日の総投与量は同じであるものの、出血頻度は1日1回(60mg×1)投与したグループが1日2回(30mg×2)に分けて投与したグループに比べ低いことを確認したとのこと。今回、本試験結果を詳細に分析したところ、同剤の最低血中濃度が出血事象の主要予測因子であることが明らかになったという。詳細はプレスリリースへhttp://www.daiichisankyo.co.jp/news/yymmdd_nn.html?b_newsrelease_n1.detail

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がん患者のカテーテル関連静脈血栓症にワルファリンは有効か?:WARP試験

中心静脈カテーテルによる化学療法を受けているがん患者に予防的ワルファリン(商品名:ワーファリンなど)投与を行っても、症候性カテーテル関連血栓症は抑制できないことが、イギリスBirmingham大学のAnnie M Young氏らが実施したWARP試験で判明した。静脈血栓塞栓症はがん患者によく見られる合併症として知られる。原因としては、がんそのものや特定の化学療法、ホルモン療法、さらに中心静脈カテーテルの使用によって広範な凝固促進因子が産生されるためと考えられている。Lancet誌2009年2月14日号掲載の報告。非投与群と投与群(固定用量、用量調節)を比較WARP試験の研究グループは、カテーテル関連血栓症に対するワルファリンの効果を評価し、至適投与量を検討するための無作為化試験を実施した。イギリスの68施設から中心静脈カテーテルによる化学療法を受けている16歳以上のがん患者1,590例が登録され、ワルファリン非投与群、ワルファリン固定用量(1mg/日)群、ワルファリン用量調整(プロトロンビン時間の国際標準化比を1.5~2.0に維持するよう調整)群に割り付けられた。医師がワルファリンの効果を確認した患者はワルファリン投与群に割り付けられた。主要評価項目は、X線画像検査で確認された症候性のカテーテル関連血栓症の発現率とした。血栓発現率は、投与群、非投与群とも6%カテーテル関連血栓症発現率は、ワルファリン非投与群(404例)が6%、投与群[408例(固定用量群:324例、用量調整群:84例)]も6%であり、両群間に差を認めなかった(相対リスク:0.99、p=0.98)。投与群間の比較では、固定用量群(471例)のカテーテル関連血栓症発現率が7%であったのに対し、用量調整群(473例)は3%と有意に優れていた(相対リスク:0.38、p=0.002)。大出血はまれであり、ワルファリン非投与群よりも投与群で(1例vs. 7例、p=0.07)、固定用量群よりも用量調整群で(7例vs. 16例、p=0.09)多い傾向が見られた。血栓と大出血の複合エンドポイントは各群間に差はなかった。いずれの群でも生存ベネフィットは認められなかった。著者は、「予防的ワルファリン投与は、がん患者の症候性カテーテル関連血栓症やその他の血栓症の抑制効果はない。したがって、新たな治療法の開発を考慮すべき」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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6歳未満の血友病A患者を対象としたアドベイトの臨床試験の結果が発表される

バクスター株式会社は、10月29日に米国本社が治療歴のある6歳未満の重症中等症および重症血友病A患者(PTPs)を対象とした、アドベイト(プラズマ/アルブミンフリー製法による遺伝子組換え型抗血友病因子)の臨床試験の結果を発表した。アドベイトは、世界で唯一の血液由来成分を添加しない完全長の遺伝子組換え型血液凝固第VIII因子製剤。この試験は、治療歴のある重症中等症および重症血友病Aの小児患者(PTPs)53人を対象として実施された。アドベイトを1回または2回投与することにより、出血症状の90%以上を管理でき、94%近くの出血エピソードの止血効果は、「著効」または「有効」と判定されたという。 試験結果は、8月号のJournal of Thrombosis and Haemostasis(国際血栓止血学会誌)に掲載されている。詳細はプレスリリースへhttp://www.baxter.co.jp/about_baxter/news_room/news_releases/2008/081029.html

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肝移植のための緊急性の指標に血清ナトリウム濃度も

現行の肝臓移植ガイドラインでは、移植用臓器は死亡リスクが最も高い患者に提供されることになっている。米国では肝移植のための移植片は医学的な緊急性に基づいて配分されるが、その緊急性は2002年からModel for End-Stage Liver Disease(MELD)スコアを基に判定されている。MELDスコアは短期間の予後予測に使われるもので、血清ビリルビン濃度、プロトロンビン時間、血清クレアチニン濃度の3つを指標とし、スコア40以上で3ヵ月後の死亡率80%以上と判定するが、さらに最近、肝硬変患者にとって血清ナトリウム濃度が重要な予後因子であることが認められつつあり、MELDスコアとの関係が議論されている。本論は、メイヨー・クリニック医科大学のW. Ray Kim氏らの研究グループによる、血清ナトリウム濃度の指標としての有用性についての報告。NEJM誌2008年9月4日号より。MELDスコアに血清ナトリウム濃度を死亡予測変数に追加Kim氏らの研究グループは、2005年と2006年に米国のOPTN(the Organ Procurement and Transplantation Network:臓器提供ネットワーク)に登録され、初めて肝臓移植を受けた全成人のデータを用いて、登録後90日の死亡率を予測する多変量生存者モデルを開発・検証した。予測因子変数は、MELDスコアに対する血清ナトリウム濃度の追加の有無。MELDスコア(6~40のスケールで、値が高いほど重篤)は血清ビリルビン濃度、クレアチニン濃度、それと国際標準比に基づくプロトロンビン時間で算出した。2005年、OPTNのウェイティングリスト登録者は6,769人だった(肝移植を受けた1,781人と、登録後90日以内に死亡した422人を含む)。MELDNaスコアはMELDスコア単独より高率で死亡を予測解析結果から、MELDスコアと血清ナトリウム濃度はいずれも死亡率と有意に関連していることが明らかになった(死亡危険率はMELDポイントにつき1.21、血清ナトリウム濃度125~140mmol/Lの範囲内で1単位減少につき1.05、いずれの変数もP

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肺塞栓症の除外には、マルチスライスCTを用いれば超音波検査は不要

 肺塞栓症(PE)の診断では、Dダイマー(DD)測定とマルチスライスCT(MSCT)検査を実施すれば、下肢静脈超音波(US)を行う必要はないことが、スイスGeneva大学病院脈管/止血学のMarc Righini氏らが行った研究で明らかとなった。MSCTは肺区域・亜区域血管の可視化に優れるという。最近の大規模試験では、PEに対する感度は83%にすぎないが、PEの臨床的な疾患確率が低い症例における陰性的中率は95%、中等度の症例では89%と報告されている。Lancet誌2008年4月19日号掲載の研究。DD+MSCTのDD+US+MSCTに対する非劣性を検証 研究グループは、PEを除外するにはDD+MSCTで十分か、それともDD+US+MSCTを行う必要があるかという問題を解決するために、DD+MSCTの非劣性を検証する多施設共同無作為対照比較試験を実施した。 対象は臨床的にPEが疑われた1,819例で、DD+US+MSCT群に916例が、DD+MSCT群には903例が無作為に割り付けられた。改訂Genevaスコアで臨床的疾患確率が低い~中等度と判定された症例はDDを測定し、高いと判定された症例はDDを測定せずに画像検査が行われた。検査でPE陰性と診断された症例についてさらなる調査を行った。 主要評価項目は、診断検査でPEが除外され治療が行われなかった症例における3ヵ月後の静脈血栓塞栓症の発症リスクとした。アウトカム評価を行う研究者には割り付け状況をブラインドし、per protocol解析を行った。3ヵ月静脈血栓塞栓リスクは両群で同等 intention-to-treat解析によるPEの発症率は両群で同等であった[DD+US+MSCT群:20.6%(189/916例)、DD+MSCT群:20.6%(186/903例)]。 DD+US+MSCT群の855例、DD+MSCT群の838例に関するper protocol解析では、3ヵ月静脈血栓塞栓リスクは同等であった[DD+US+MSCT群:0.3%(2/649例、95%信頼区間:0.1~1.1)、DD+MSCT群:0.3%(2/627例、95%信頼区間:0.1~1.2)]。 DD+US+MSCT群の574例のうち、USにより53例(9%)に深部静脈血栓がみつかり、これらの症例にはMSCTは施行されなかった。 Righini氏は、「PEの除外において、DDとMSCTを併用する診断戦略の安全性および有効性は、DD測定後にUSとMSCTを実施する診断法と同等である」と結論し、「DD+MSCT群では、平均コストがPP解析で24%、ITT解析で21%削減された。CTが禁忌の症例にはUSが使用できる」と指摘している。

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アプロチニン自体は術後腎機能低下要因ではない

手術の際、出血抑制(組織の接着・閉鎖)に使用される線溶系抑制剤アプロチニンは近年、心臓手術に用いた際の腎毒性の有無が議論となっているが、「ACE阻害薬服用者にoff-pumpで手術を施行した場合にのみ、アプロチニンは術後腎障害リスクを増加させる」可能性を指摘する論文が、Lancet誌2008年2月9日号に掲載された。英国Bristol Royal InfirmaryのRonelle Mouton氏らによるレトロスペクティブ(振り返り)観察研究である。単一施設における成績のレトロスペクティブ解析解析対象となったのは、Bristol Royal Infirmaryにて2000年1月から2007年9月の間に心臓手術を受けた9,875例中、アプロチニン、またはトラネキサム酸を使用、あるいは線溶系抑制剤非使用で、かつACE阻害薬併用の有無と術前の腎機能が明らかだった9,106例。術後腎機能低下オッズ比(vs. 線溶系抑制剤非使用 [対照] 群)を、on-pump術群(5,434例)とoff-pump群(3,672例)別にアプロチニン群とトラネキサム酸群に分け、さらに術前ACE阻害薬服用歴の有無で2分して比較した。対照群とのマッチングにあたっては、propensityスコアを用いて予後因子の均一化を図った。術後「腎機能低下」は「血清クレアチニン2.26mg/dL(200μmol/L)以上」かつ「術前からの1.5倍以上増加」とした。もっともな主張と思われるが…結果は以下の通り──・術後腎機能低下は7%に認められ、そのうち20%で透析が必要となった。・腎機能低下オッズ比が対照群に比べて有意に増加していたのは「ACE阻害薬服用例に対するoff-pump手術+アプロチニン」(オッズ比:2.87、95%信頼区間:1.25~6.58)のみだった。・残りの群も全て、対照群に比べ術後腎機能低下オッズ比は増加傾向を示したが(1.14~1.93)、いずれも有意ではなかった。以上よりMouton氏らは、「アプロチニン自体は心臓外科手術後の腎機能低下要因ではない可能性がある」と結論し、「ACE阻害薬服用例にoff-pump手術をする場合、アプロチニンの使用は避けるべきだ」と主張している。もっともな主張と思われるが、「off-pump手術をするならばACE阻害薬服用を、特に腎機能低下例では中止すべきだ」というのはいかがなものだろうか──。(宇津貴史:医学レポーター)

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第X凝固因子阻害剤idraparinuxの心房細動患者塞栓症抑制への有用性認められず:Amadeus試験

トロンビン作用を有する抗凝固剤ximelagatranの臨床応用が見送られ、非弁膜性心房細動患者の脳塞栓症を抑制しうる新薬の登場が期待されているが、第X凝固因子阻害剤であるidraparinuxは、安全性の面でワルファリンに劣るようだ。Lancet誌2008年1月26日号に掲載された、無作為化非盲検化試験Amadeusでは塞栓予防作用はワルファリンと同等ながら、出血リスクは有意に増加していた。出血著明増加により早期中止Amadeus試験の対象は、非弁膜性心房細動を認める脳塞栓高リスク患者4,576例。当初6,000例近くを登録予定だったが、安全性監視委員会の勧告に基づき早期の中止となった。平均年齢は70歳、31%は75歳以上だった。ワルファリン群(2,293例)はINR:2~3を目標に用量を調節、idraparinux群(2,283例)は2.5mgを週1回皮下注した。その結果、追跡期間中(平均300日強)、一次評価項目であった「全脳卒中+全身性塞栓症」はidraparinux群で減少傾向を認め(ハザード比:0.71 vs. ワルファリン群、95%信頼区間:0.39~1.30)、さらにワルファリンに対する非劣性が確認された(p=0.007)。しかし安全性に関しては、idraparinux群全出血(ハザード比:1.74、95%信頼区間:1.47~2.06)、脳出血(ハザード比:2.58、95%信頼区間:1.18~5.63)ともに有意かつ著明な増加を認めた。サブグループ解析の結果、idraparinuxで出血リスクが増加する患者群の存在が示唆されるため研究者らは、よりきめ細かな用量設定により有用性が得られる可能性を訴えている。(宇津貴史:医学レポーター)

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重症例に対するアンチトロンビンIII投与は無効なばかりか、むしろ有害

アンチトロンビンIII(AT III)の投与は高価な介入法であるが、重症例に対し広く使用されている。これまでに、無作為化および非無作為化試験に関する4つの小規模なメタ解析が報告されているが、死亡率に関して結論に至るエビデンスは得られていない。 Arash Afshari氏(デンマーク、コペンハーゲン大学Juliane Marieセンター麻酔科)らは、重症例におけるAT IIIの有効性および有害性を評価するために、無作為化試験の系統的レビューおよびメタ解析を行った。BMJ誌12月15日号(オンライン版11月23日号)掲載の報告。2名のレビューワーが個々に文献を選び、データを抽出データベースなどの文献から、2名のレビューワーが個々にAT III投与群とプラセボ群あるいは非介入群を比較したパラレルグループ無作為化臨床試験を選び出し、試験法、介入法、アウトカム、バイアスのリスク、有害事象に関連するデータを抽出した。レビューワーの見解が一致しない場合はディスカッションを行って解決した。ICUに収容された重症例に関する試験は解析対象として適格とし、二重盲検か否かおよび論文の言語は問わないこととした。バイアスのリスクが低い試験とは、適切な無作為化、二重盲検、intention-to-treat解析を行っているものとした。重症例の死亡率を改善せず、出血リスクが増大合計3,458例を無作為に割り付けた20試験が適格規準を満たした。8試験がバイアスのリスクが低いとされた。プラセボ群あるいは非介入群に比べ、AT III投与群は全体の死亡率を低下させなかった(相対リスク:0.96、95%信頼区間:0.89~1.03)。バイアスのリスク、患者集団、ヘパリンによる補助療法の有無に関するサブグループ解析では有意な結果は得られなかった。AT IIIは出血のリスクを増大させた(相対リスク:1.52、95%信頼区間:1.30~1.78)。 trial sequential analysisでは、死亡率の10%以上の低下を「有効」と定義すると、重症例に対するAT IIIの投与はこの基準を満たさなかったことから、「無効」とのエビデンスが示された。以上の知見により、Afshari氏は「AT IIIは重症例の死亡率を改善しないだけでなく、出血のリスクを増大させるため推奨されない」と結論している。(菅野 守:医学ライター)

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dabigatran etexilateの有効性・安全性はエノキサパリンと同程度:RE-NOVATE試験

関節置換術後のリスクとして静脈血栓塞栓症があり、その予防治療が術後および退院後も一定期間行われる。本稿は、その新しい予防治療剤として開発中の新規経口トロンビン阻害剤dabigatran etexilateに関する臨床試験RE-NOVATEの結果報告。LANCET誌9月15日号より。3,494例対象に無作為化二重盲見試験RE-NOVATEは欧州、南アフリカ、オーストラリアの115の医療センターにわたって行われた無作為化二重盲見試験で、人工股関節全置換術後の計3,494例を対象とする。対象は、dabigatran etexilate 220mg投与群1,157例または150 mg投与群1,174例(いずれも1日1回投与、術後1~4時間に半量投与で開始)と、エノキサパリン40mg投与群1,162例(1日1回投与、術前投与で開始)に無作為に割り付けられ実施された。主要評価項目は、静脈造影あるいは症候性に認められたすべての静脈血栓塞栓症の発生と、原因を問わない治療中のすべての死亡。試験結果には有効性解析の手法が用いられ、エノキサパリンとプラセボによる静脈血栓塞栓症発生率の絶対差を基礎とし、本試験の有効性マージンは7.7%と定義された。静脈血栓塞栓症予防への有効性および有害事象への安全性を確認投与期間の中央値は33日。有効性解析にかけられたのは220mg投与群880例、150 mg投与群874例、エノキサパリン投与群(対照群)897例だった。その他の症例は、主として静脈造影データの不足のため除外されている。主要評価項目が認められたのは、対照群6.7%(60/897例)に対し220mg投与群6.0%(53/880例、絶対差-0.7%、95%信頼区間:-2.9~1.6%)、150 mg投与群8.6%(75/874例、同1.9%、-0.6~4.4%)で、dabigatran etexilateはエノキサパリンと比べて非劣性であることが示された。また大出血の発生率に関しては、dabigatran etexilate投与群と対照群に有意差は認められなかった(220 mg投与:p = 0.44、150 mg投与:p = 0.60)。肝酵素濃度の上昇および急性冠動脈イベント発生についても有意差は認められなかった。以上の結果を踏まえ研究グループは、dabigatran etexilateの有効性と安全性はエノキサパリンと同程度であると結論付けている。

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