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敗血症患者のICUでの2次感染、死亡への影響は?/JAMA

 ICUでの2次感染は、重症度が高い敗血症入室患者でより多く発生していたが、全死亡に対する寄与はごくわずかであることが、オランダ・アムステルダム大学のLonneke A. van Vught氏らが、Molecular Diagnosis and Risk Strati- fication of Sepsis(MARS)プロジェクトの一部として行った前向き観察研究の結果、示された。なお、敗血症患者のゲノム応答を調べたところ、免疫抑制は2次感染発症時に起きたことを示すものであったという。これまで、敗血症は免疫抑制を引き起こし、2次感染と死亡との関連感度を高めるのではないかと考えられていた。JAMA誌オンライン版2016年3月15日号掲載の報告。ICUへの敗血症入室約1,700件、非感染症入室約1,900件を解析 研究グループは、2011年1月~13年7月、オランダ2施設のICUに連続48時間以上入室した患者を対象に、前向き観察研究を行った。患者は、入室時の診断によって敗血症入室と非感染症入室に層別化され、解析対象は敗血症入室1,719件(1,504例、年齢中央値62歳、四分位範囲[IQR]:51~71歳、男性924例[61.4%])、非感染症入室1,921件(1,825例、年齢中央値62歳、IQR 49~71歳、男性1,128例[61.8%])であった。 主要評価項目は、ICU入室48時間以降に発症したICUでの2次感染(ICU内感染)で、time-to-eventモデルを用いて寄与死亡割合(リスク因子やICU内感染を排除することで予防されうる死亡の割合)を算出した。 また、一部の敗血症入室例(461件)について、血中遺伝子発現の分析(白血球の全ゲノムトランスクリプトーム)を、ベースラインとICU内感染発症時、および急性心筋梗塞などの非感染性イベント発症時に行った。ICUでの2次感染、重症敗血症患者で多いが全死亡への寄与はわずか ICU内感染を発症したのは、敗血症入室群13.5%(232件)、非感染症入室群15.1%(291件)であった。 敗血症入室群について、ICU内感染発症患者の疾患重症度スコアは、非発症患者と比べてICU入室期間を通して高かった(APACHE IV スコア中央値:90 [IQR:72~107] vs.79 [62~98]、p<0.001)。しかし、両者のベースラインでの遺伝子発現に違いはみられなかった。 60日目までの敗血症入室患者におけるICU内感染の人口寄与死亡割合は10.9%(95%CI:0.9~20.6%)であった。また、敗血症入室全患者の死亡とICU内非感染患者の死亡との差は2.0%と推定された(95%CI:0.2~3.8%)。 一方、非感染症(非敗血症)入室群について、60日目までのICU内感染の人口寄与死亡割合は21.1%であった(95%CI:0.6~41.7%)。 敗血症入室群について行った遺伝子発現の分析の結果、ベースラインと比較しICU内感染発症時において、糖新生や解糖に関連する遺伝子発現の低下が認められた。

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抗PD-L1抗体atezolizumab、既治療NSCLCのOS延長/Lancet

 既治療の非小細胞肺がん(NSCLC)の治療において、新規免疫チェックポイント阻害薬atezolizumabは、ドセタキセル(商品名:タキソテールほか)に比べ予後が良好であることが、米国・カイザーパーマネンテ医療センターのLouis Fehrenbacher氏らが行ったPOPLAR試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2016年3月9日号に掲載された。ニボルマブやペムブロリズマブがT細胞上のPD-1を標的とするのに対し、atezolizumabは腫瘍細胞および腫瘍浸潤免疫細胞上に発現しているPD-L1(PD-1のリガンド)に対するヒト型IgG1モノクローナル抗体で、T細胞上のPD-1だけでなくB7.1(CD80)との結合を阻害する。それゆえ、T細胞活性化阻害作用の抑制効果が抗PD-1抗体よりも高い可能性があり、またPD-L2とPD-1の相互作用には影響しないことから、免疫系の恒常性への影響を回避できると考えられている。ドセタキセルと比較する無作為化第II相試験 POPLAR試験は、既治療のNSCLC患者においてatezolizumabとドセタキセルの有用性を比較し、PD-L1発現レベルを評価する非盲検無作為化第II相試験(F Hoffmann-La Roche/Genentech社の助成による)。 対象は、プラチナ製剤による化学療法後に病勢が進行したNSCLCで、全身状態(ECOG PS)が0/1、測定可能病変(RECIST ver.1.1)を有する患者であった。 被験者は、腫瘍浸潤免疫細胞上のPD-L1の状態、組織型、前治療レジメン数で層別化され、atezolizumab(1,200mg、静脈内投与)またはドセタキセル(75mg/m2、静脈内投与)を3週ごとに投与する群に無作為に割り付けられた。 免疫組織化学(IHC)検査に基づき、腫瘍細胞上のPD-L1(TC3:≧50%、TC2:5~50%、TC1:1~5%、TC0:<1%)および腫瘍浸潤免疫細胞上のPD-L1(IC3:≧10%、IC2:5~10%、IC1:1~5%、IC0:<1%)をスコア化した。 主要評価項目は全生存期間(OS)とし、探索的解析としてバイオマーカーの評価を行った。 2013年8月5日~14年3月31日までに、13ヵ国61施設に287例が登録された。atezolizumab群に144例、ドセタキセル群には143例が割り付けられ、それぞれ142例、135例が1回以上の投与を受けた。OS中央値:約3ヵ月延長、PD-L1発現率が高いほど良好 年齢中央値は両群とも62歳、男性はatezolizumab群が65%、ドセタキセル群は53%であり、喫煙者/元喫煙者がそれぞれ81%、80%、前治療レジメン数は1が65%、67%、2が35%、33%だった。 OS中央値はatezolizumab群が12.6ヵ月であり、ドセタキセル群の9.7ヵ月に比べ有意に延長した(ハザード比[HR]:0.73、95%信頼区間[CI]:0.53~0.99、p=0.04)。 また、OS中央値はPD-L1の発現率が高い患者ほど良好であった(TC3またはIC3=HR:0.49[0.22~1.07]、p=0.068/TC2/3またはIC2/3=HR:0.54[0.33~0.89]、p=0.014/TC1/2/3またはIC1/2/3=HR:0.59[0.40~0.85]、p=0.005/TC0およびIC0=HR:1.04[0.62~1.75]、p=0.871)。 既存免疫(エフェクターT細胞およびインターフェロン-γの関連遺伝子発現≧中央値で定義)を有する患者の探索的解析では、atezolizumab群のOS中央値が有意に改善された(HR:0.43、95%CI:0.24~0.77)。 atezolizumab群で頻度の高い全原因有害事象として、食欲減退、呼吸困難、悪心、下痢、発熱などが認められ、免疫関連有害事象としてAST上昇(4%)、ALT上昇(4%)、肺臓炎(3%)、腸炎(1%)、肝炎(1%)がみられた。 治療関連有害事象の発現率は、atezolizumab群が67%、ドセタキセル群は88%であった。有害事象による治療中止は、atezolizumab群が8%(11例)、ドセタキセル群は22%(30例)、Grade 3/4の治療関連有害事象はそれぞれ11%(16例)、39%(52例)であり、atezolizumab群で少なかった。治療関連死はatezolizumab群が<1%(1例:心不全)、ドセタキセル群は2%(3例:敗血症、急性呼吸窮迫症候群、原因不明)だった。 著者は、「atezolizumabはドセタキセルに比べ既治療のNSCLC患者の予後を改善した」とまとめ、「PD-L1の発現は、atezolizumabのベネフィットを予測するバイオマーカーとなる可能性が示唆される」と指摘している。

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電極リードも不要、ジェネレーター用の皮下ポケットも不要。近未来のリードレスペースメーカ(解説:矢崎 義直 氏)-498

 ペースメーカが、初めて人体に植込まれてから50年以上もの月日が経つ。現在に至るまで、安全性に関してさまざまな改良がなされてきたが、電極リードを経静脈的に挿入する従来のペースメーカにおける合併症の発生率は、10%前後といまだ高い。そのほとんどが、電極リードやジェネレーター用の皮下ポケットに関連するものである。 これらデバイスの感染は、とくに敗血症などの致命的な合併症へと進展する可能性があり、細心の注意が必要だが、経皮的に皮下、静脈内、心腔内に異物を留置する限り、デバイス感染は一定の確率で起こる。よって、“リードレス”ペースメーカは、まさに循環器医が切望してきたデバイスである。ペースメーカの小型化が進み、すべてが心腔内のみに収まる、体積わずか0.8cm3、重さ2gのジェネレーターと電極が一体型のデバイスが開発され、ついに、リードレスペースメーカの時代が訪れた。 リードレスペースメーカは、大腿静脈経由でデリバリー用カテーテルを用いて右室心尖部に4本のタインにて固定される。レートレスポンス等の機能が備わり、電池寿命も10年前後と従来のペースメーカ機能と遜色ない。 本試験は、多施設共同の前向き研究で、リードレスペースメーカ植込みの安全性と効果を検討した。対象は、恒久的ペースメーカ(VVIモード)植込みの適応となる725症例である。対象年齢は19~94歳と幅は広いが、平均76歳と多くは高齢者であり、約70%が心房細動症例などであるという患者背景をみると、リアルワールドに近いVVI適応群が対象となっている。 本試験は初期のラーニングカーブを含んでいるにもかかわらず、植込み成功率が99.2%と高い。今までにない新しいデバイス植込みの方法ではあるが、従来の植込みより際立って難しい手技ではないといえる。安全性に関しては、従来型ペースメーカの6つの既報の臨床試験から2,667例をコントロール群として、比較している。安全性の1次エンドポイントは、死亡、デバイス機能の停止、再入院、入院の延長に関与した有害事象の発生である。 従来のペースメーカで懸念されるリードやポケットのトラブルの心配もなく、有害事象の発生率は、全体の4%と経静脈的ペースメーカと比較すると有意に少ない。合併症のうち、唯一、心臓穿孔を1.6%に生じており、有意差はないもののコントロール1.1%と比較して多かった。 デリバリー用のカテーテルの外径が27Frとかなり太く、操作には注意が必要である。とくに日本人は欧米人と比較して体格が小さく、サイズが問題となる場合もあるが、本試験の対象患者の身長、体重はともに幅広く、比較的体格の小さな症例も多く含まれている。 治療効果の1次エンドポイントは、植込みから半年後のデバイスチェックでペーシング閾値が低く(0.24msecで2.0V未満)、安定した(閾値上昇が1.5V以内)症例の割合を評価した。症例297例のうち、98.3%の症例が6ヵ月後のペースメーカチェックにてエンドポイントの条件を満たした。全症例で、デバイスの位置移動や脱落はなく、植込み後6ヵ月を通して、閾値や感度、抵抗値の変動はみられず、非常に安定したペースメーカ機能を保っていた。 本試験は、従来のペースメーカと無作為割り付けされた試験ではないので強くはいえないが、リードレスペースメーカは、より安全に植込むことが可能であり、安定したペーシング機能が期待できそうである。本デバイスは、まだシングルチャンバーのみで、適応に制限はあるが、デュアルチャンバーやICDとの連携システムも開発中であり、今後、リードレスがペースメーカの主流になる日も近いかもしれない。

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Dr.林の笑劇的救急問答11 ショック編

第1回 低循環性ショック!「大量吐血の47歳男性」第2回 閉塞性ショック!「数日前から呼吸苦・動悸の80歳男性」第3回 心原性ショック!「呼吸苦を訴える67歳女性」第4回 分配性ショック!「造影CT実施中に咳込みと意識低下の30歳女性」 第11シーズン下巻は「ショック編」。ショック状態で患者が搬送!さあ、どう対応しますか?ショックは原因によって対応や処置が異なってきます。そのためにはまずは素早い診断が必要です。そう!慌てずに「サルも聴診器」。ショックを診断するために本当に必要なことをDr.林の目利きでお教えします。役に立たないものは、バッサリ切り捨てていきましょう。講師・研修医らが演じる爆笑症例ドラマもますますパワーアップ!笑って、泣いて、重要なポイントを身につけてください!第1回 低循環性ショック!「大量吐血の47歳男性」ショック編第1回は低循環性ショック!SHOCK INDEX、血圧、ATLSのショッククラス分類、US・・・など。ショックを診断するには、本当に何が有用なのか?役に立たないものに関しては、役に立たない!不要!と一刀両断!ほんとうに必要なことをDr.林の目利きでお教えします。第2回 閉塞性ショック!「数日前から呼吸苦・動悸の80歳男性」ショック編第2回は閉塞性ショックです。閉塞性ショックは、心臓へ戻る血液の流れが止まることによって起こるショックのことで、疑ってかからないと原因疾患を見逃してしまいがちです。代表的な原因疾患としては、緊張性気胸、心タンポナーデ、肺塞栓などがあげられます。今回は、心タンポナーデを中心に、その診断と治療について、詳しく解説します。身体所見と検査をうまく組み合わせて原因を検索していきましょう。(肺塞栓は、Season11心臓以外の胸痛編、緊張性気胸はSeason6(CareNeTVでは、Season1~6「第23回 気胸に絶叫!」)をご覧ください)第3回 心原性ショック!「呼吸苦を訴える67歳女性」急性心不全から起こる心原性ショックは、予後が悪いため、早めに原因を見つけ、その原因疾患の治療をできるだけ早期に開始することが重要です。ショックで来た患者にまずすべきことは何か、そして、心原性ショックとわかった場合に対処方法はどう変えるのか。まずは初期対応を確認しましょう。その上で、原因疾患の探索方法はと治療方法を見ていきます。エコーの「ABC」や 心不全悪化要因「FAILUTIRES」など、Dr.林ならでは。来院から治療までの一連の流れをスッキリと整理し、バッチリわかりやすく解説します。第4回 分配性ショック!「造影CT実施中に咳込みと意識低下の30歳女性」分配性ショックは、血液が再分配されることによって起こるショックで、血管の過度な拡張により生じます。敗血症ショック、ション軽減性ショック、アナフィラキシーショックが該当します。これらの分配性ショックは、ほかのショックと異なり、皮膚が温かいのが特徴です。

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ハイリスクIgA腎症への免疫抑制療法の効果は?/NEJM

 ハイリスクIgA腎症の患者に対し、積極的支持療法に加え免疫抑制療法を併用しても、臨床的完全寛解率に有意差はみられなかった。また、推定糸球体濾過量(eGFR)の低下率についても有意差はみられず、一方で、併用群では有害事象の発生が多く観察された。ドイツ・アーヘン工科大学のThomas Rauen氏らが3年にわたる多施設共同の非盲検無作為化比較試験の結果、報告した。IgA腎症患者について、支持療法に免疫抑制療法を併用した場合のアウトカムについては、これまで明らかにされていなかった。NEJM誌2015年12月3日号掲載の報告。単独支持療法または免疫抑制療法併用で3年間治療 試験の対象は、1日の尿蛋白排泄量が0.75g以上の持続性蛋白尿の患者337例。当初6ヵ月は導入期間として、蛋白尿の程度に基づきレニン・アンジオテンシン系阻害薬の投与量などについて調整を行い、支持療法を行った。その後、被験者を無作為に2群に分け、一方には支持療法のみを(支持療法群)、もう一方には支持療法と免疫抑制療法を併用し(併用群)、いずれも3年間継続した。 主要エンドポイントは階層法で順序付けをした2つで、試験終了時の臨床的完全寛解(蛋白とクレアチニンをグラム測定した際の尿蛋白・クレアチニン比が0.2未満、eGFRのベースラインからの低下幅が5mL/分/1.73m2体表面積未満)と、eGFRの15mL/分/1.73m2体表面積以上の低下だった。臨床的完全寛解、eGFR低下率とも両群間の有意差はみられず 被験者のうち、導入期間を終了したのは309例。そのうち1日の尿蛋白排泄量が0.75g未満に減少したのは94例だった。 残る患者のうち、最終的に162例について無作為化を行い、80例を支持療法群、82例を併用群に割り付けた。 結果、試験終了後に臨床的完全寛解が認められたのは、支持療法群4/80例(5%)に対し、併用群は14/82例(17%)で、両群間の有意差は認められなかった(p=0.01)。 また、eGFRの15mL/分/1.73m2以上低下についても、達成患者は支持療法群22例(28%)、併用群21例(26%)で、両群間の有意差はみられなかった(p=0.75)。eGFRの年間低下率についても、有意差はみられなかった。 一方、有害事象は、重度感染症、糖代謝異常、当初1年間の5kg以上の体重増加が、いずれも併用群で支持療法群よりも高率に認められた。また併用群1例で敗血症による死亡が報告された。

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CLEAN試験:血管内カテーテル挿入時の皮膚消毒はクロルヘキシジン・アルコール(解説:小金丸 博 氏)-440

 カテーテル関連血流感染症(CRBSI)はありふれた医療関連感染であり、死亡率も高いことが知られている。カテーテル挿入時の皮膚消毒は感染予防に重要であり、今までも適切な皮膚消毒薬について議論されてきた。米国疾病予防管理センター(CDC)は、カテーテル挿入時の皮膚消毒に、0.5%を超えるクロルヘキシジンを含むクロルヘキシジン・アルコールを推奨しているが、クロルヘキシジン・アルコールとポビドンヨード・アルコールをhead-to-headで比較した大規模試験は存在しなかった。 本研究は、血管内カテーテル挿入時の皮膚消毒薬として、2%クロルヘキシジン・70%イソプロピルアルコールと5%ポビドンヨード・69%エタノールの有効性を比較した、ランダム化比較試験である。両群をさらに消毒前の皮膚洗浄(scrubbing)の有無で1:1:1:1の4群に割り付けした(2×2要因デザイン)。動脈カテーテル、血液透析カテーテル、中心静脈カテーテルの留置が48時間以上必要な18歳以上の成人2,546例を対象とし、カテーテル関連感染症の発生率を主要評価項目とした。カテーテル関連感染症の定義は、菌血症を伴わないカテーテル関連敗血症、あるいはCRBSI(血液培養が陽性)とした。 カテーテル関連感染症の発生率は、クロルヘキシジン・アルコール群で0.28/1,000カテーテル日、ポビドンヨード・アルコール群で1.77/1,000カテーテル日であり、クロルヘキシジン・アルコール群が有意に低率だった(ハザード比:0.15、95%信頼区間:0.05~0.41、p=0.0002)。CRBSIの発生率もクロルヘキシジン・アルコール群で低率だった(0.28 vs.1.32/1,000カテーテル日)。消毒前の皮膚洗浄の有無では、カテーテル関連感染症、CRBSIの発生率に差はなかった。 また、全身性の有害事象は認めなかったが、クロルヘキシジン・アルコール群で重篤な皮膚反応を多く認めた(3% vs.1%)。 カテーテル挿入部位や手術部位など皮膚の消毒には、クロルヘキシジンの有効性が報告されてきており、本研究でもポビドンヨードと比較してクロルヘキシジンの有効性が示された。過去の研究では、カテーテルコロニゼーション(カテーテルへの菌の定着)を主要評価項目としているものが多く、もともとCRBSIの発生率が低い集団において、カテーテル関連感染症の発生率を大きく低下させることを示した意義は大きい。今後さらに、クロルヘキシジン・アルコールを皮膚消毒に使用する流れが加速するだろう。 現時点で、日本では2%クロルヘキシジン製剤が発売されておらず、使用することはできない。多くの施設では、CDCガイドラインで推奨されている「0.5%を超える濃度のクロルヘキシジン」という文言を参考に、1%クロルヘキシジン・アルコール製剤を使用していると思われる。今後も1%クロルヘキシジン・アルコールを使用するのであれば、1%製剤はポビドンヨードより有効なのか、2%クロルヘキシジン・アルコールと効果は同等なのか、有害事象の発生率に差はないのか、といった疑問を解決してくれるような研究が必要と考える。

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ウィルムス腫瘍の術後補助療法、DOXは省略可/Lancet

 ステージII~IIIで中等度リスクのウィルムス腫瘍の標準的術後化学療法に関して、ドキソルビシン(商品名:アドリアシンほか)をレジメンに含む必要はないことが実証された。英国・ロンドン大学小児保健研究所のKathy Pritchard-Jones氏らが小児患者583例を対象に行った、国際多施設共同の第III相非盲検非劣性無作為化対照試験「SIOP WT 2001」の結果、示された。ドキソルビシンは標準レジメンに含まれているが、研究グループは、「ドキソルビシンの心毒性作用の回避が、術後予後が良好であった患児の長期アウトカム改善のために重要である」として、ドキソルビシンがレジメンから省略可能か検討を行った。Lancet誌オンライン版2015年7月8日号掲載の報告より。ドキソルビシンを省略可能か2年時点の無再発生存率で評価 SIOP WT 2001は、26ヵ国251病院から原発性腎腫瘍と診断された小児(生後6ヵ月~18歳)を集めて行われた。患児は、ビンクリスチン(商品名:オンコビン)とアクチノマイシンD(同:コスメゲン)による4週間の術前化学療法を受けていた。 待機的腎切除後の評価でステージII~III中等度リスクのウィルムス腫瘍と判定された患児を、最小化法を用いて、ビンクリスチン1.5mg/m2(1~8、11、12、14、15、17、18、20、21、23、24、26、27週時)+アクチノマイシンD 45μg/kg(2週目から3週間に1回)とドキソルビシン50mg/m2を5回(2週目から6週間に1回)投与する(標準治療)群またはドキソルビシン非投与(実験的治療)群に1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要エンドポイントは、2年時点の無再発生存率の非劣性についてで、intention to treatにて解析を行い規定マージンは10%であった。 また、安全性と有害事象について評価(肝毒性と心毒性を系統的にモニタリング)した。両群差4.4%で、省略群の非劣性が認められる 2001年11月1日~2009年12月16日の間に、583例の患児(ステージIIが341例、ステージIIIが242例)が集まり、ドキソルビシンを含む標準治療群に291例を、ドキソルビシンを省略した実験的治療群に292例を無作為に割り付けた。追跡期間中央値は60.8ヵ月(IQR:40.8~79.8)であった。 2年時点の無再発生存率は、標準治療群92.6%(95%信頼区間[CI]:89.6~95.7)、実験的治療群88.2%(同:84.5~92.1)で、両群差は4.4%(同:0.4~9.3)であり事前規定のマージン10%を超えなかった。 5年全生存率は、標準治療群96.5%(同:94.3~98.8)、実験的治療群95.8%(93.3~98.4)であった。 治療関連の毒性作用による死亡の報告は4例。標準治療群の死亡は1例(<1%)で敗血症によるものであった。残る3例が実験的治療群(1%)で、水痘、代謝性の発作、再発治療中の敗血症で死亡した。 また、17例の患児(3%)で肝静脈閉塞性疾患が、心毒性作用の報告は、標準治療群291例のうち15例(5%)であった。 腫瘍が再発し死亡に至ったのは、標準治療群12例、実験的治療群10例であった。

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侮れない侵襲性髄膜炎菌感染症にワクチン普及願う

 サノフィ株式会社は2015年7月3日、侵襲性髄膜炎菌感染症(Invasive Meningococcal Disease、以下IMD)を予防する4価髄膜炎菌ワクチン(ジフテリアトキソイド結合体)(商品名:メナクトラ筋注)のプレスセミナーを開催。川崎医科大学小児科学主任教授 尾内 一信氏と、同大学小児科学教授 中野 貴司氏がIMDの疾患概要や予防ワクチンの必要性について講演した。  細菌性髄膜炎の起因菌にはHib(インフルエンザ菌b型)、肺炎球菌などがあるが、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)もその1つである。髄膜炎菌は髄膜炎以外にも菌血症、敗血症などを引き起こし、それらをIMDと呼ぶ。IMDの初期症状は風邪症状に類似しており、早期診断が難しい。だが、急速に進行し発症から24~48時間以内に患者の5~10%が死に至り、生存しても11~19%に難聴、神経障害、四肢切断など重篤な後遺症が残ると報告されている。また、髄膜炎菌は感染力が強く、飛沫感染で伝播するため集団感染を起こしやすい。そのため、各国の大学・高校、さらにスポーツイベントなどでの集団感染が多数報告されている。このような状況から、IMDは本邦でも2013年4月より第5類感染症に指定されている。 IMDは全世界で年間50万件発生し、うち約5万人が死亡に至っている。IMDの発生は髄膜炎ベルトといわれるアフリカ中部で多くみられるが、米国、オーストラリア、英国などの先進国でも流行を繰り返しており注意が必要だ。米国疾病予防管理センター(CDC)によれば、米国では2005年~2011年に年間800~1,200人のIMDが報告されている。発症年齢は5歳未満と10歳代が多くを占める。本邦でも、2005年1月~2013年10月に報告されたIMD 115例の好発年齢は0~4歳と15~19歳であった。 IMDの治療にはペニシリンGまたは第3世代セフェム系抗菌薬などが用いられるが、急速に進行するため予防対策が重要となる。IMDの予防にはワクチン接種が有効であることが明らかになっている。本邦の第III相試験の結果をみても、4価髄膜炎菌ワクチン接種後、80%以上の接種者の抗体価が上昇しており、その有効性が示されている。このような高い有効性から、発症数は多くないものの、米国、オーストラリア、英国においてはすでに定期接種ワクチンとなっている。 本邦でも4価髄膜炎菌ワクチン「メナクトラ筋注」が本年(2015年)5月に発売され、IMDの予防が可能となった。しかしながら、本邦におけるIMDの認知度は医師および保護者の双方で低い。また、IMDワクチンの医師の認知率は49%と約半分である。IMDの罹患率は低いが、そのリスクは無視できない。今後の啓発活動が重要となるだろう。サノフィプレスリリース「侵襲性髄膜炎菌感染症」に関する意識調査(PDFがダウンロードされます)「メナクトラ筋注」新発売のお知らせ(PDFがダウンロードされます)

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肺気腫の進行抑制にA1PI増強治療は有効か/Lancet

 重症α1アンチトリプシン欠損症を有し肺気腫を合併した患者について、α1プロテイナーゼ阻害薬(A1PI)増強治療は、肺気腫の進行抑制に有効であることが示された。カナダのユニバーシティ・ヘルス・ネットワークのKenneth R Chapman氏らが、多施設共同二重盲検無作為化並行群間プラセボ対照試験RAPIDの結果、明らかにした。α1アンチトリプシン欠損症に対するA1PI増強療法の有効性について、これまで無作為化プラセボ対照試験による検討は行われていなかった。研究グループは今回、スパイロメトリーよりもα1アンチトリプシン欠損症での肺気腫進行度の測定感度が高い、CT肺密度測定法を用いた評価で検討を行った。Lancet誌オンライン版2015年5月27日号掲載の報告より。TLCとFRCの単独および複合で有効性を評価 試験は13ヵ国、28ヵ所の国立研究センターで、18~65歳の非喫煙者で、重症α1アンチトリプシン欠損症(血清濃度<11μM)を有し、1秒量(1秒間の努力肺活量;FEV1)が予測値の35~70%の患者を試験適格とした。肺移植、肺葉切除術もしくは肺容量減少術を施行または施行予定であった患者、または選択的IgA欠損症患者は除外した。 被験者はコンピュータを用いて1対1の割合で、A1PI静注60mg/kg/週またはプラセボを受ける群に無作為に割り付けられ、24ヵ月治療を受けた。 全患者および試験担当者(アウトカム評価者含む)は試験期間中、治療割り付けを認識していなかった。 主要エンドポイントは、CT肺密度測定による全肺気量(TLC)および機能的残気量(FRC)の、複合および個々の測定値で、0、3、12、21、24ヵ月時に評価(1回以上評価)した。 なお、本試験は、2年間の非盲検延長試験も完了している。TLC単独評価で有意な進行抑制効果を確認 2006年3月1日~2010年11月3日に、A1PI増強治療群に93例(52%)、プラセボ群に87例(48%)が無作為に割り付けられた。解析はそれぞれ92例、85例が組み込まれた。 年率でみた肺密度低下は、TLCとFRCの複合評価では、両群間で差はみられなかった。A1PI群-1.50(SE 0.22)g/L/年、プラセボ群-2.12(同0.24)g/L/年で、差は0.62g/L/年(95%信頼区間[CI]:-0.02~1.26)だった(p=0.06)。 しかしながらTLC単独でみた場合は、A1PI群の肺密度低下が有意に少なかった(差:0.74g/L/年、95%CI:0.06~1.42、p=0.03)。一方でFRC単独でみた場合は、有意な差はみられなかった(同:0.48g/L/年、-0.22~1.18、p=0.18)。 治療により出現した有害事象の頻度は両群で同程度だった。A1PI群は92例(99%)で1,298件が、プラセボ群は86例(99%)で1,068件の発生であった。また重篤な治療関連有害事象は、A1PI群は25例(27%)で71件、プラセボ群は27例(31%)で58件の発生であった。 試験中止となった重篤な治療関連有害事象は、A1PI群は1例(1%)で1件、プラセボ群は4例(5%)で10件の発生であった。 死亡は、A1PI群は1例(呼吸不全)、プラセボ群は3例(敗血症、肺炎、転移性乳がん)が報告された。 結果を踏まえて著者は、「CT肺密度測定法によるTLC単独評価で、A1PI治療が肺気腫の進行を抑制するというエビデンスが示された。FRC単独または両指標を併せたた評価において同様の所見は示されなかったが、今回示された所見は、重症α1アンチトリプシン欠損症を有し肺気腫を合併した患者について、肺構造を温存するために増強療法を検討すべきであることを示すものである」とまとめている。

270.

週1回デュラグルチド、1日1回グラルギンに非劣性/Lancet

 コントロール不良の2型糖尿病患者に対し、食前インスリンリスプロ併用下でのGLP-1受容体作動薬dulaglutideの週1回投与は、同併用での就寝時1日1回インスリン グラルギン(以下、グラルギン)投与に対し、非劣性であることが示された。米国Ochsner Medical CenterのLawrence Blonde氏らが行った第III相の非盲検無作為化非劣性試験「AWARD-4」の結果、示された。Lancet誌2015年5月23日号掲載の報告より。26週時のHbA1c変化の平均値を比較 試験は2010年12月9日~2012年9月21日にかけて、15ヵ国、105ヵ所の医療機関を通じ、コントロール不良の18歳以上、2型糖尿病患者884例を対象に52週にわたって行われた。 同グループは被験者を無作為に3群に分け、(1)dulaglutide 1.5mg/週(295例)、(2)dulaglutide 0.75mg/週(293例)、(3)1日1回就寝時グラルギン(296例)を、それぞれ食前インスリンリスプロ併用で投与した。 主要アウトカムは、26週時のHbA1c変化の平均値だった。非劣性マージンは0.4%とし、ITT解析を行った。HbA1c変化平均値、dulaglutide群でグラルギン群より大幅増 26週時のHbA1c変化平均値は、dulaglutide 1.5mg群が-1.64%、-17.39mmol/mol、dulaglutide 0.75mg群が-1.59%、-17.38 mmol/molであり、グラルギン群は-1.41%、-15.41mmol/molであった。 グラルギン群に比べた変化幅は、dulaglutide 1.5mg群-0.22%(非劣性のp=0.005)、dulaglutide 0.75mg群が-0.17%(同p=0.015)であり、いずれのdulaglutide投与群ともに非劣性であることが示された。 無作為化後の死亡は5例(1%未満)であった。死因は、敗血症(dulaglutide 1.5mg群の1例)、肺炎(dulaglutide 0.75mg群の1例)、心原性ショック、心室細動、原因不明(グラルギン群の3例)だった。 重度有害事象の発生件数は、dulaglutide 1.5mg群が27例(9%)、dulaglutide 0.75mg群が44例(15%)、グラルギン群が54例(18%)だった。グラルギン群に比べdulaglutide群でより多く発生した有害事象は、吐き気、下痢、嘔吐などだった。

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進行卵巣がんの術前化療、術後に非劣性/Lancet

 病期III・IVの卵巣がんに対して、化学療法を先行して後に手術を行う場合でも、手術を先行して後に化学療法を行う場合と比べてアウトカムは非劣性であることが示された。英国・バーミンガム大学のSean Kehoe氏らが、550例を対象に行った第III相の非盲検非劣性無作為化試験「CHORUS」の結果、報告した。著者は「今回の試験集団において進行卵巣がんについて、化学療法を手術よりも先行して行うことは標準療法として容認できるものであった」と述べている。Lancet誌オンライン版2015年5月19日号掲載の報告より。87ヵ所の医療機関で550例を対象に試験 研究グループは、2004年3月1日~2010年8月30日にかけて、英国とニュージーランド87ヵ所の医療機関で、病期IIIまたはIVと疑われる卵巣がんの患者552例を対象に試験を行い、化学療法先行の手術先行に対する非劣性を検証した。 被験者のうち条件に合った550例を無作為化し、手術先行群(276例)には最初に手術をした後、化学療法を6サイクル実施した。一方の化学療法先行群(274例)には、最初に化学療法を3サイクル行った後、手術を行い、その後に化学療法を3サイクル実施した。各3週間サイクルの化学療法レジメンは、カルボプラチンAUC5/AUC6+パクリタキセル175mg/m2、カルボプラチンAUC5/AUC6+その他の薬剤、またはカルボプラチンAUC5/AUC6単剤療法のいずれかだった。 主要評価項目は、全生存期間だった。非劣性は、ハザード比(HR)の90%信頼区間[CI]の上限値が1.18未満の場合とした。化学療法先行群の手術先行群に対する死亡ハザード比は0.87 その結果、2014年5月末時点で、死亡は451例で、うち手術先行群は231例、化学療法先行群は220例だった。生存期間中央値は、手術先行群が22.6ヵ月、化学療法先行群が24.1ヵ月だった。 化学療法先行群の手術先行群に対する死亡に関するHRは、0.87(90%片側信頼区間の上限値:0.98)と、化学療法先行群が良好で、非劣性が示された。 なお、術後28日間のグレード3または4の有害イベント(手術先行群は60/252例[24%] vs. 化学療法先行群30/209例[14%]、p=0.0007)および死亡(14例[6%] vs. 1例[1%未満]、p=0.001)の発生は、手術先行群のほうがいずれも有意に多かった。最も多かったグレード3または4の有害イベントは出血で、手術先行群が8例(3%)、化学療法先行群が14例(6%)だった。 グレード3または4の化学療法関連毒性作用の発現頻度は、手術先行群110/225例(49%)、化学療法先行群が102/253例(40%)で有意差はなかった(p=0.0654)。その大半が好中球減少症(各群頻度は20%、16%)であった。なお、致死的な毒性作用(好中球減少症に伴う敗血症)が1例、化学療法先行群で発生した。

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TAS-102の第III相試験~既治療の切除不能大腸がんに有用/NEJM

 TAS-102(トリフルリジン・チピラシル塩酸塩配合薬)は、難治性の切除不能大腸がんの治療において、最良の支持療法(best supportive care:BSC)のみに比べ全生存期間(OS)が有意に延長することが、日本のほか欧米諸国とオーストラリアが参加した第III相試験(RECOURSE試験)で示された。研究の成果は、米国ダナ・ファーバーがん研究所のRobert J Mayer氏らにより報告された。本薬は、チミジンベースの核酸アナログであるトリフルリジンと、チミジンホスホリラーゼ阻害薬であるチピラシル塩酸塩を配合したヌクレオシド系経口抗がん剤。トリフルリジンはDNAに取り込まれることで抗腫瘍効果を発揮し、チピラシル塩酸塩はトリフルリジンの分解に関与するチミジンホスホリラーゼを阻害することでトリフルリジンの適切な血中濃度を維持するという。日本人を対象とするプラセボ対照無作為化第II相試験で、既治療の切除不能大腸がんに対する有用性が確認されていた。NEJM誌2015年5月14日号掲載の報告より。BSCへの追加効果をプラセボ対照無作為化試験で評価 RECOURSE試験は、切除不能な進行・再発大腸がんに対するTAS-102の有用性を評価する国際的な二重盲検プラセボ対照無作為化試験。対象は、年齢18歳以上、全身状態が良好(ECOG PS 0/1)で、生検で結腸または直腸の腺がんが確定され、2レジメン以上の標準的化学療法による前治療歴のある患者であった。 被験者は、TAS-102またはプラセボを投与する群に2対1の割合で無作為に割り付けられた。投与スケジュールは、TAS-102 35mg/m2(1日2回)の週5日投与、2日休薬を2週行ったのち2週休薬する4週を1サイクルとしてこれを繰り返した。また、全例にBSCが施行された。 主要評価項目は全生存期間(OS)、副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)、奏効率、病勢コントロール率などであった。 2012年6月17日~2013年10月8日に、日本を含む13ヵ国116施設に800例が登録され、TAS-102群に534例、プラセボ群には266例が割り付けられた。798例(533例、265例)が治療を開始し、760例(502例、258例)で腫瘍反応の評価が行われた。OS、PFS、病勢コントロール率のほか、PS増悪までの期間も改善 ベースラインの年齢中央値は、TAS-102群が63歳、プラセボ群も63歳、男性がそれぞれ61%、62%で、日本人が33%ずつ含まれた。KRAS変異陽性例は51%ずつ、前治療レジメン数≧4は60%、63%を占めた。また、全例がフッ化ピリミジン系薬、オキサリプラチン、イリノテカンを含むレジメンによる前治療を受けており、プラセボ群の1例を除きベバシズマブの投与歴があった。 OS中央値は、TAS-102群が7.1ヵ月であり、プラセボ群の5.3ヵ月に比べ有意に延長した(ハザード比[HR]:0.68、95%信頼区間[CI]:0.58~0.81、p<0.001)。1年OSはそれぞれ27%、18%であった。また、事前に規定されたサブグループのほとんどで、プラセボ群よりもTAS-102群のOS中央値が良好であった。 PFS中央値も、TAS-102群が2.0ヵ月と、プラセボ群の1.7ヵ月に比し有意に延長した(HR:0.48、95%CI:0.41~0.57、p<0.001)。また、すべてのサブグループでTAS-102群のPFS中央値が有意に優れた。 TAS-102群の8例で部分奏効(PR)が、プラセボ群の1例で完全奏効(CR)が得られ、奏効率はそれぞれ1.6%、0.4%であった(p=0.29)。また、これに6週以上持続する病勢安静(SD)を加えた病勢コントロール率はそれぞれ44%、16%であり、TAS-102群で有意に優れた(p<0.001)。 ベースラインのPS 0/1が試験期間中に2以上へと増悪した患者は、TAS-102群が72%(383例)、プラセボ群は81%(216例)であり、増悪までの期間中央値はそれぞれ5.7ヵ月、4.0ヵ月と、TAS-102群で有意に長かった(HR:0.66、95%CI:0.56~0.78、p<0.001)。 Grade 3以上の有害事象の発現率は、TAS-102群が69%、プラセボ群は52%であった。TAS-102関連の臨床的に重要なgrade 3以上の有害事象として、好中球減少が38%、白血球減少が21%にみられた。また、発熱性好中球減少が4%に発現し、治療関連死が1例(敗血症性ショック)認められた。 そのほか、TAS-102群で頻度の高いGrade 3以上の有害事象として、貧血(18 vs. 3%)や血小板減少(5 vs. 1%)が認められた。一方、重篤な肝および腎機能障害、食欲不振、口内炎、手足症候群、心イベントには両群間に臨床的に重要な差はなかった。 著者は、「TAS-102は、日本人および西欧人において、フルオロウラシルに不応となった患者を含め、多種類の前治療歴のある切除不能大腸がんに対し臨床的な抗腫瘍効果をもたらした」とまとめ、「これらの知見は、TAS-102の作用機序はフッ化ピリミジン系薬とは異なるとの前臨床データを臨床的に支持するもの」と指摘している。

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耐性菌が増加する尿路感染症に有望な抗菌薬/Lancet

 複雑性下部尿路感染症や腎盂腎炎に対し、新規抗菌薬セフトロザン/タゾバクタム配合薬は、高用量レボフロキサシンに比べ高い細菌学的効果をもたらすことが、ドイツ・ユストゥス・リービッヒ大学のFlorian M Wagenlehner氏らが実施したASPECT-cUTI試験で示された。尿路感染症は生命を脅かす感染症の発生源となり、入院患者における敗血症の重要な原因であるが、抗菌薬耐性の増加が治療上の大きな課題となっている。本薬は、新規セファロスポリン系抗菌薬セフトロザンと、βラクタマーゼ阻害薬タゾバクタムの配合薬で、多剤耐性緑膿菌のほか、基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBL)産生腸内細菌などのグラム陰性菌に対する効果がin vitroで確認されている。Lancet誌オンライン版2015年4月27日号掲載の報告。セフトロザン/タゾバクタム配合薬の有効性を非劣性試験で評価 ASPECT-cUTI試験は、セフトロザン/タゾバクタム配合薬の高用量レボフロキサシンに対する非劣性を検証する二重盲検ダブルダミー無作為化試験。対象は、年齢18歳以上、膿尿を認め、複雑性下部尿路感染症または腎盂腎炎と診断され、治療開始前に尿培養検体が採取された入院患者であった。 被験者は、セフトロザン/タゾバクタム配合薬(1.5g、8時間ごと、静脈内投与)または高用量レボフロキサシン(750mg、1日1回、静脈内投与)を7日間投与する群に1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要評価項目は、治療終了後5~9日における細菌学的菌消失と臨床的治癒の複合エンドポイントであった。細菌学的菌消失は、治癒判定時の尿培養検査におけるベースラインの尿路病原菌の104コロニー形成単位(CFU)/mL以上の減少と定義した。また、臨床的治癒は、複雑性下部尿路感染症または腎盂腎炎の完全消失、著明改善、感染前の徴候、症状への回復であり、それ以上の抗菌薬治療を必要としない場合とした。 非劣性マージンは10%とし、両側検定による群間差の95%信頼区間(CI)の下限値が-10%より大きい場合に非劣性と判定した。また、95%CIの下限値が0を超える場合は優位性があるとした。セフトロザン/タゾバクタム配合薬群の優位性を確認 2011年7月~2013年9月に、25ヵ国209施設に1,083例が登録され、800例(73.9%)が解析の対象となった(セフトロザン/タゾバクタム配合薬群:398例、レボフロキサシン群:402例)。 656例(82.0%)が腎盂腎炎で、274例(34.3%)が軽度~中等度の腎機能障害を有し、199例(24.9%)が65歳以上であった。菌血症の62例(7.8%)の原因菌のほとんどは大腸菌で、多くが腎盂腎炎患者であった。また、776例(97.0%)が単一菌感染で、629例(78.6%)が大腸菌、58例(7.3%)が肺炎桿菌、24例(3.0%)がプロテウス・ミラビリス、23例(2.9%)が緑膿菌だった。 複合エンドポイントの達成率は、セフトロザン/タゾバクタム配合薬群が76.9%(306/398例)、レボフロキサシン群は68.4%(275/402例)であった(群間差:8.5%、95%CI:2.3~14.6)。95%CIの下限値が>0であったことから、セフトロザン/タゾバクタム配合薬群の優位性が確証された。 副次的評価項目であるper-protocol集団における複合エンドポイントの達成率にも、セフトロザン/タゾバクタム配合薬群の優位性が認められた(83.3% vs. 75.4%、群間差:8.0%、95%CI:2.0~14.0)。セフトロザン/タゾバクタム配合薬の優位性は複雑性尿路感染症でも セフトロザン/タゾバクタム配合薬群で治癒判定時の複合エンドポイントの優位性がみられたサブグループとして、65歳以上、複雑性尿路感染症、レボフロキサシン耐性菌、ESBL産生菌、非菌血症が挙げられ、他のサブグループもレボフロキサシン群に比べ良好な傾向にあり、いずれも非劣性であった。 有害事象の発現率は、セフトロザン/タゾバクタム配合薬群が34.7%、レボフロキサシン群は34.4%であった。最も頻度の高い有害事象は、両群とも頭痛(5.8%、4.9%)および便秘(3.9%、3.2%)、悪心(2.8%、1.7%)、下痢(1.9%、4.3%)などの消化管症状であった。 重篤な有害事象はそれぞれ15例(2.8%)、18例(3.4%)に認められた。セフトロザン/タゾバクタム配合薬群の2例(クロストリジウム・ディフィシル感染)は治療関連と判定されたが、いずれも回復した。同群の1例が膀胱がんで死亡したが治療とは関連がなかった。 著者は、「この新規配合薬は、複雑性尿路感染症や腎盂腎炎の薬物療法の有用な手段に加えられるだろう。とくに、治療が困難なレボフロキサシン耐性菌やESBL産生菌の治療に有望と考えられる」としている。

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ICUの肥満パラドックス、該当する患者は?

 一般集団においては肥満が死亡率の増加と関連しているが、危篤状態の患者では、BMIが高いほど死亡率が低いという逆説的相関がみられる。これは「肥満パラドックス」と呼ばれているが、どのようなサブグループが最も影響されるのかは不明である。東京大学臨床疫学・経済学分野の笹渕 裕介氏らは、ICU入室患者について人口呼吸器の装着有無で比較することにより、肥満が低死亡率と関連するかどうかを検討した。その結果、人工呼吸器あり群ではBMIが高いと死亡率が低かったが、人工呼吸器なし群では逆J字型の関連が認められた。また両群とも低体重患者の死亡率が高かった。Respiratory care誌オンライン版2015年2月17日号に掲載。 著者らは、全国のデータベースから、2010年7月~2012年3月に退院もしくは死亡したICU入室患者33万4,238例を評価した。主要転帰は院内死亡率とした。 主な結果は以下のとおり。・評価患者のうち23.3%が、ICU入室後2日以内に人工呼吸器管理を開始していた。・人工呼吸器あり群は、人工呼吸器なし群より、敗血症、肺炎、昏睡が多くみられた。・人工呼吸器あり群は、人工呼吸器なし群より、ICU入室後2日以内により多くの治療が施行された。・制限付き3次スプライン関数によると、人工呼吸器あり群ではBMIが高いと死亡率が低かったが、人工呼吸器なし群ではBMIが増加するほど死亡率が増加した。

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ESORT研究:疾病負担度に応じた研究投資が必要な時代(解説:折笠 秀樹 氏)-310

 本研究では疾病負担度(Disease burden)と研究投資の関係について、疾病別および国別に調査しています。疾病負担度という聞き慣れない概念が出てきますが、ある疾病で負担になっている程度を示します。それを障害調整生存年数(DALY)で測定しています。 それは生存年数、つまり寿命のことなのですが、障害を持って生存していることを考慮している指標です。たとえば、寿命は80年でも、最後の10年間は障害があったとします。仮に障害を半分で調整すれば5年となり、障害調整生存年数は75年になります。 研究投資については、ランダム化比較試験の件数で測定しています。世界各国で問題になっている疾病の負担度に応じて、それ相応の研究費が投じられているかを調査したものです。結論としては、先進国では疾病負担度に応じて適切な研究費が投じられていることがわかったものの、発展途上国ではそうではなかったのです。 糖尿病の疾病負担度は46.9 [×106 DALY]と高く、研究投資も61試験と高い結果でした。研究投資は妥当だと判断されます。骨粗鬆症、脳卒中なども両指標は強く相関しており、研究投資は適切になされていると思われます。一方、COPDの疾病負担度は76.7(単位省略)と糖尿病より高いものの、研究投資は12試験と低い結果でした。COPDは大変重要な疾病なのに、そのための臨床試験はあまり行われていなかったのです。逆に、女性不妊症の疾病負担度(約0.15)は当然低いわけですが、研究投資として18件もの臨床試験が実施されていました。一方、発展途上国で問題となる乳幼児敗血症という疾病については、疾病負担度は44.2と高いものの、研究投資としての臨床試験はたった1件のみでした。 このように、先進国では疾病負担度に応じた研究投資がなされていましたが、発展途上国では疾病負担度と研究投資にはほとんど関連が見られませんでした。発展途上国で臨床試験を実施することなど無理なわけですから、先進国が発展途上国で問題となっている疾病に対する臨床試験をもっと手がけるべきでしょう。これは、いわゆる医療の格差問題でもあります。先進国は発展途上国に対して技術・財政支援を行っていることは周知のとおりですが、発展途上国の疾病対策となる臨床試験を実施するという支援は少な過ぎます。もっと臨床試験を通しての支援が期待されるところでしょう。 研究資金の配分を考える際に、わが国では死亡率や罹患数をベースにしていたと思います。そうではなく、これからは疾病負担度という指標で見直すことが必要なのではないでしょうか。とりわけ介護が重視される中、障害調整生存年数はその意義を増すことでしょう。

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高齢者は酷暑が2日続くと入院リスク増大/JAMA

 夏に非常に気温の高い日が2日続くと、高齢者の水分・電解質異常や腎不全などによる入院リスクは増大することが明らかにされた。米国・ハーバード公衆衛生大学院のJennifer F. Bobb氏らが、約2,400万人の米国公的高齢者向け医療保険メディケア受給者について調査を行い報告した。JAMA誌2014年12月24・31日号掲載の報告より。米国1,943郡を対象に調査 研究グループは1999~2010年にかけて、夏の連日の気温データが95%超記録されている米国1,943郡で、2,370万人の65歳以上、出来高払いメディケア受給者を対象に調査を行った。 調査対象郡の日中気温の99パーセンタイル超の暑さが2日以上続いた期間を、「熱波期間(heat wave periods)」と定義し、そうでない期間と比較して高齢者の入院リスクとの関連を分析した。熱波期間の熱中症による入院リスクは2.5倍、水分・電解質異常は1.2倍に その結果、水分・電解質異常や腎不全、尿路感染症、敗血症、熱中症による入院リスクは、熱波期間における発生が、そうでない期間に比べ有意に高かった。具体的には、熱波期間の水分・電解質異常による入院に関する相対リスクは、1.18(95%信頼区間:1.12~1.25)、腎不全は1.14(同:1.06~1.23)、尿路感染症は1.10(同:1.04~1.16)、敗血症は1.06(同:1.00~1.11)、熱中症は2.54(同:2.14~3.01)それぞれ高かった。 入院の絶対リスクの増大差は、水分・電解質異常が10万人中0.34件、腎不全は同0.25件、尿路感染症は0.24件、敗血症は0.21件、熱中症は0.16件だった。 一方で、熱波期間のうっ血性心不全による入院リスクは、そうでない期間に比べ有意に低かった(p<0.05)。 リスクは概して熱波期間中に最も高く、その後5日間も高いままだった。 以上を踏まえて著者は、「高齢者では酷暑は入院リスク増大と関連していた。しかし絶対リスクの増大はわずかで、臨床的重大性については不明のままである」とまとめている。

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再発多発性骨髄腫へのカルフィルゾミブ上乗せ~第III相試験/NEJM

 多発性骨髄腫の再発例の治療において、カルフィルゾミブ(carfilzomib)を標準治療のレナリドミド+デキサメタゾン療法に加えると、無増悪生存期間(PFS)が9ヵ月近く延長することが、米国・メイヨー・クリニックのA Keith Stewart氏らが行ったASPIRE試験で示された。多発性骨髄腫患者の生存率は改善しているが、再発率は依然として高く、新たな治療アプローチが求められている。カルフィルゾミブは、構成型プロテアソームと免疫型プロテアソームに選択的かつ不可逆的に結合するエポキシケトン型プロテアソーム阻害薬であり、これら3剤の併用療法は第I/II相試験でその有効性が確認されている。NEJM誌オンライン版2014年12月6日号掲載の報告。上乗せによるPFS改善効果を無作為化試験で評価 ASPIRE試験は、再発多発性骨髄腫に対する標準治療へのカルフィルゾミブの上乗せ効果を評価する非盲検無作為化第III相試験(資金提供:Onyx Pharmaceuticals社)。対象は、1~3レジメンの前治療歴のある多発性骨髄腫患者で、一定の条件を満たせばボルテゾミブ治療歴やレナリドミド+デキサメタゾン療法歴のある患者の参加も許容された。 被験者は、カルフィルゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン療法を行う群またはレナリドミド+デキサメタゾン療法を施行する群(対照群)に無作為に割り付けられた。治療は、患者の希望による中止、病勢進行または許容されない毒性が発現するまで継続することとした。 主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)であり、intention-to-treat解析が行われた。副次的評価項目には全生存期間(OS)、全体の奏効率(完全奏効[CR]+部分奏効[PR])、奏効期間などが含まれた。PFS中央値:26.3 vs. 17.6ヵ月、OS、奏効率、QOLも良好 2010年7月~2012年3月までに、北米、ヨーロッパ、中東から792例が登録され、カルフィルゾミブ群に396例、対照群にも396例が割り付けられた。全体の年齢中央値は64.0歳、前治療レジメン数中央値は2.0であり、ボルテゾミブ治療歴は65.8%、レナリドミド治療歴は19.8%に認められた。 PFS中央値は、カルフィルゾミブ群が26.3ヵ月であり、対照群の17.6ヵ月に比べ有意に延長した(ハザード比[HR]:0.69、95%信頼区間[CI]:0.57~0.83、p=0.0001)。事前に規定されたサブグループのすべてで、PFS中央値に関するカルフィルゾミブ群のベネフィットが認められた。 中間解析時の2年OSは、カルフィルゾミブ群が73.3%、対照群は65.0%であり、OS中央値には両群とも到達していなかったが、カルフィルゾミブ群で良好な傾向がみられた(HR:0.79、95%CI:0.63~0.99、p=0.04)。この結果は、事前に規定された中間解析時のOSによる試験中止基準を満たさなかった。 全体の奏効率は、カルフィルゾミブ群が87.1%、対照群は66.7%であり、有意な差が認められた(p<0.001)。CR率はそれぞれ31.8%、9.3%と、カルフィルゾミブ群が有意に優れた(p<0.001)。奏効までの平均期間はそれぞれ1.6ヵ月、2.3ヵ月、奏効期間中央値は28.6ヵ月、21.2ヵ月であった。また、健康関連QOLもカルフィルゾミブ群で有意に改善した(p<0.001)。 カルフィルゾミブ群では、対照群よりも5%以上頻度の高い有害事象として、低カリウム血症、咳嗽、上気道感染症、下痢、発熱、高血圧、血小板減少、鼻咽頭炎、筋攣縮が認められた。Grade 3以上の有害事象の発症率は、カルフィルゾミブ群が83.7%、対照群は80.7%であり、重篤な有害事象の発症率はそれぞれ59.7%、53.7%であった。有害事象による治療中止は15.3%、17.7%に認められた。 とくに注目すべきGrade 3以上の有害事象として、呼吸困難(2.8 vs. 1.8%)、高血圧(4.3 vs. 1.8%)、急性腎不全(3.3 vs. 3.1%)、心不全(3.8 vs. 1.8%)、虚血性心疾患(3.3 vs. 2.1%)がみられた。治療関連死はそれぞれ6例、8例であった(心筋梗塞、心不全、敗血症など)。 著者は、「カルフィルゾミブの追加により病勢進行と死亡のリスクが31%低減し、PFS中央値が8.7ヵ月延長した」とまとめ、「移植を行わない場合のPFS中央値が、これに匹敵するレジメンはほかにない」と指摘している。

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リツキシマブ維持療法、ANCA関連血管炎に有効/NEJM

 抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎の治療において、リツキシマブ(商品名:リツキサン)はアザチオプリン(同:アザニン、イムラン)に比べ良好な寛解維持をもたらすことが、フランス・コシャン病院のL. Guillevin氏らが行ったMAINRITSAN試験で示された。主なANCA関連血管炎として、多発血管炎性肉芽腫症(以前はウェゲナー肉芽腫症と呼ばれた)、顕微鏡的多発血管炎、腎限局型ANCA関連血管炎があり、患者の多くはシクロホスファミドとグルココルチコイドの併用療法により寛解に至るが、アザチオプリンやメトトレキサートによる維持療法を行った場合でも、依然として再燃率が高い。リツキシマブ維持療法の有効性は示唆されているが、いまだ十分な検討は行われていない。NEJM誌2014年11月6日号掲載の報告。リツキシマブとアザチオプリンの2つの、維持療法レジメンを無作為化試験で評価比較 MAINRITSAN試験は、ANCA関連血管炎患者に対するリツキシマブによる維持療法の有用性を評価する非盲検無作為化試験。対象は、年齢18~75歳の多発血管炎性肉芽腫症、顕微鏡的多発血管炎、腎限局型ANCA関連血管炎の新規診断または再燃例で、シクロホスファミドのパルス療法とグルココルチコイドの併用により完全寛解が得られた患者であった。 被験者は、リツキシマブ500mgを0、14日、6、12、18ヵ月に投与する群またはアザチオプリンの連日投与を22ヵ月(1~12ヵ月:2mg/kg/日、13~18ヵ月:1.5mg/kg/日、19~22ヵ月:1mg/kg/日)行う群に無作為に割り付けられた。 主要評価項目は、28ヵ月時の重症再燃率とした。重症再燃は、疾患活動性の再発または増悪[バーミンガム血管炎活動性スコア(BVAS、0~63点、点数が高いほど疾患活動性が高い)0超]、および1つ以上の主要臓器への転移、疾患関連の致死的イベントあるいはその両方と定義された。リツキシマブによる維持療法に明確な臨床ベネフィット重症再燃率:29 vs. 5%、軽症再燃率:16 vs. 11% 2008年10月~2010年6月までに、115例(多発血管炎性肉芽腫症:87例、顕微鏡的多発血管炎:23例、腎限局型ANCA関連血管炎:5例)が登録され、アザチオプリン群に58例、リツキシマブ群には57例が割り付けられた。全体の平均年齢は55歳、女性が43%で、新規診断後の寛解例が80%、再燃後の寛解例が20%であった。 28ヵ月時の重症再燃率は、アザチオプリン群が29%(17例)、リツキシマブ群は5%(3例)であり、有意な差が認められた(再燃のハザード比[HR]:6.61、95%信頼区間[CI]:1.56~27.96、p=0.002)。 軽症再燃(BVASスコア0超;重症ではないが軽度の治療強化を要する再燃)率は、アザチオプリン群が16%(9例)、リツキシマブ群は11%(6例)であり、両群間に差はみられなかった(p=0.43)。一方、軽症/重症再燃のHRは3.53(95%CI:1.49~8.40、p=0.01)であり、リツキシマブ群が有意に良好であった。 重篤な有害事象が両群とも25例に発現し、アザチオプリン群が44件、リツキシマブ群は45件であった(p=0.92)。重症感染症が、それぞれ8例、11例に認められ、がんが2例(膵、基底細胞)、1例(前立腺)に発生した。また、重篤な血液学的イベントがそれぞれ9例、1例にみられた。アザチオプリン群の2例が死亡した(敗血症1例、膵がん1例)。 著者は、「リツキシマブによる維持療法の明確な臨床ベネフィットが確認された」と結論し、「この知見は、抗ミエロペルオキシダーゼANCA陽性血管炎患者においてリツキシマブの有用性を評価する試験を行う論拠となる」と指摘している。

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CareNet座談会 「高齢者の肺炎診療 ~新しい肺炎球菌ワクチンで変わる高齢者肺炎予防~」

<座長><出席者>高齢者肺炎の現状と肺炎球菌ワクチンの重要性賀来(座長) 本日は、感染症の専門の先生方にお集まりいただき、高齢者の肺炎の現状と新しい肺炎球菌ワクチンについて伺います。私どもは東日本大震災後の感染症について解析しており、災害後の集団感染リスクから被災者を守る必要性を感じています。震災後に東北大学病院に入院した感染症患者は、高齢者の誤嚥性肺炎を含めた市中肺炎などの呼吸器感染症が67%を占め、肺炎の原因菌の25.8%が肺炎球菌であり(図1)1)、肺炎球菌ワクチン接種による肺炎発症予防の重要性を感じました。図1 東北大学病院における震災関連感染症の解析画像を拡大するはじめに、高齢者における肺炎球菌感染症対策の重要性について伺います。門田 肺炎はわが国の死因の第3位の疾患であり、死亡者の大半を高齢者が占める現状がありますが、なかでも肺炎球菌による肺炎が多く、65歳以上の市中肺炎入院患者を対象とした検討では肺炎球菌が約30%を占めることが報告されています2)。また、生命を脅かす重篤な疾患である髄膜炎や敗血症などの侵襲性肺炎球菌感染症も高齢者に多く起こりますので、肺炎球菌感染症の予防はきわめて重要です。三鴨 高齢者ではさまざまな基礎疾患を有することが多く、それらが肺炎リスクを高めていると考えられます。例えば、糖尿病患者では白血球の貪食能、殺菌能の低下により、感染症リスクが高まると考えられます。また、脳梗塞や一過性脳虚血発作の後遺症がある場合は、誤嚥が関連する肺炎のリスクが高いと考えられます。さらに、高齢者に対する治療を考えると、腎機能低下例が多いために抗菌薬療法を十分に行えない可能性があります。腎機能や肝機能に留意した治療が求められるのが高齢者の特徴です。賀来(座長) 誤嚥は肺炎の要因になりますが、そこでも原因菌として肺炎球菌は重要でしょうか。門田 誤嚥の疑いのある高齢者の肺炎において肺炎球菌が26%を占めていたという報告もあり3)、意外に多いことが明らかになりつつあります。三鴨 とくに不顕性誤嚥(睡眠中に無意識のうちに唾液などが気道に入る)があると誤嚥性肺炎のリスクが高まり、免疫機能の低下が加わることでさらにリスクが増加します。肺炎球菌が意外に多いことを考えると、やはり肺炎球菌ワクチンによる予防が重要となります。また、高齢者の基礎疾患と肺炎リスクは関連があると考えられますので、高齢者全員にワクチンを接種するユニバーサルワクチネーションの考え方が重要です。高齢者肺炎の診断と病態の特徴賀来(座長) 次に、高齢者肺炎の診断と病態の特徴について伺います。門田 高齢者肺炎において注意していただきたいのは、細菌性肺炎であっても白血球数が上昇しない場合があること、また、症状が潜在性の場合があることです。典型的な症状がなくとも、食欲減退・不活発・会話の欠如などがあり、肺炎が疑われる場合には早めに胸部画像検査をしていただきたいです。三鴨 高齢者の肺炎で、もう1つ臨床上重要な点は、不顕性誤嚥があると肺炎を繰り返す例が多いことです。門田 肺炎を繰り返すと、抗菌薬治療を繰り返すことで耐性菌が出現するリスクも高まります。三鴨 おっしゃるとおりです。そのため、私たちは高齢者の肺炎患者に対しては退院時に積極的に肺炎球菌ワクチンを接種するようにしています。新しい肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)のエビデンス賀来(座長) これまで高齢者に対しては肺炎球菌多糖体ワクチン(PPV)が用いられてきましたが、先頃、小児において使用実績の高い肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)が成人(65歳以上)に対しても適応が認められ、選択肢が広がりました。この新しいワクチンの特徴と期待されるメリットについて伺います。門田 PPVは肺炎球菌の莢膜多糖体を抗原とするワクチンですが、PCV13は莢膜多糖体にキャリアタンパクを結合させたワクチンであり、免疫原性が高いことが特徴です(図2)。図2 多糖体ワクチンと結合型ワクチンにより誘導される免疫応答の概略画像を拡大するキャリアタンパクを結合することでB細胞のみならずT細胞を活性化することが可能であり、免疫応答の惹起に加え、メモリーB細胞を介した免疫記憶の確立が期待できます。賀来(座長) これらの特徴は臨床試験からも確認されているのでしょうか。三鴨 国内における第III相試験4)では、肺炎球菌ワクチン未接種の65歳以上の日本人高齢者764例を対象として、従来のPPVを対照群とする非劣性試験が実施されました。接種1ヵ月後のオプソニン化貪食活性(OPA)を比較した結果、両ワクチンに共通する12種類の血清型のいずれについてもPCV13はPPVに対して非劣性を示しました。このうち9血清型についてはPCV13におけるOPAの有意な上昇が認められ、PCV13の免疫原性が示されました(図3)。図3 ワクチン血清型別OPA*幾何平均力価比画像を拡大する一方、海外における第III相試験5)では、1回目にPCV13またはPPVを接種し、その3~4年後にPPVを再接種した場合のOPAの上がり方を検討しており、PCV13を接種した群における再接種時の免疫応答からPCV13による免疫記憶の確立が示されています(図4)。この結果から、1回目にPCV13を接種すると、PCV13に続いて2回目に接種されるワクチンの免疫応答も増大すると考えられ、今後、両ワクチンの特性を活かして接種スケジュールを検討する際の参考にできると思います。図4 肺炎球菌ワクチンの2回目接種前後のワクチン血清型別OPA画像を拡大する高齢者に対する肺炎球菌ワクチン接種の今後の展望賀来(座長) PCV13が高齢者にも使用可能になったことにより肺炎球菌感染症の予防にさらなる期待がもたれます。今後、高齢者へのワクチン接種をさらに普及させるうえでどのような方策が必要でしょうか。門田 日本呼吸器学会では「ストップ肺炎キャンペーン」を展開しており、一般向け・医療従事者向けの冊子をWebでも公開しています6)。今後、呼吸器科のみならず他科の先生方にも肺炎予防の重要性を周知し、他疾患領域の学会とも連携して取り組む必要があると思います。三鴨 糖尿病やリウマチでは、新薬の登場により治療成績が向上していますが、その一方で感染症リスクが高まる場合もあるため、高齢者の感染症予防に対する関心が高まっています。こうした面からも肺炎球菌ワクチン接種の意義を訴求していけると思います。また、ワクチンの普及には行政の役割も重要です。2014年10月から、65歳以上を対象に成人用肺炎球菌ワクチンが定期接種化されました(表1)。国の制度では5年間で順次接種することになっていますが、私はすべての高齢者に接種することが望ましいと考えています。そのため、居住地である岐阜市の市長がワクチン接種の公費助成に力を入れる方針を示していることを知り、この地域に居を構えるアカデミアの一人として肺炎球菌ワクチンについて提言を行いました(表2)。その結果、岐阜市では本年度に65歳以上全員を接種対象として予算を組んでくれました。高齢者医療はこうした比較的小規模な枠組みからも改善でき、非常に重要な動向であると思っています。賀来(座長) 本日は、高齢者に対する肺炎球菌ワクチンの現状と今後の展望について詳細にお話を伺うことができました。皆さま、ありがとうございました。表1 65歳以上の成人用肺炎球菌ワクチン定期接種(B型)の経過措置を含めた接種対象年齢画像を拡大する表2 肺炎球菌ワクチンについての提言画像を拡大する参考文献1)賀来 満夫. 日本内科学会雑誌. 2014; 103: 572-580.2)石田 直. Infection Control. 2005; 14: 645-649.3)Ishida T, et al. Intern Med. 2012; 51: 2537-2544. 4)ファイザー(株) 社内資料 国内第Ⅲ相試験(非劣性試験、未接種者、B1851088試験).5)Jackson LA, et al. Vaccine. 31; 2013: 3594-3602.6)日本呼吸器学会ホームページ PCV13についての詳細は製品添付文書をご覧ください。

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