1.
米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のMegan Halbrook氏らは、ブンディブギョ型エボラウイルス(BDBV)によるエボラウイルス病の過去最大の流行(2026 outbreak)が続いているコンゴ(旧ザイール)における縦断的コホート研究の結果、エボラウイルス(EBOV)によるエボラウイルス病に対して承認されている組み換え水疱性口内炎ウイルス-ザイールエボラウイルス糖タンパク質(rVSVΔG-ZEBOV-GP)ワクチンは、BDBVに対して交差反応性抗体反応を示したことを報告した。ただし、地域によってその反応性は異なっていた。BDBVによるエボラウイルス病に対して承認されたワクチンは存在しない。これまでに、rVSVΔG-ZEBOV-GPワクチン接種後にBDBVに対する交差反応性抗体反応が生じることはヒトにおいて示されているが、BDBV流行中に同ワクチン接種を受けた集団における反応の持続性や経時的な動態は不明であった。著者らは、「血清反応性に地域による違いがみられたことから、関連する疫学的および免疫学的要因についてさらなる研究が必要である。今回の知見は、現在のBDBV流行地の居住集団における、承認済みエボラウイルス病ワクチン接種後のBDBV血清反応性を明らかにした初めてのデータであり、本流行中にrVSVΔG-ZEBOV-GPワクチンの厳密な臨床評価を行うことを支持するものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2026年8月25日号掲載の報告。接種後5年間のBDBV糖タンパク質に対する血清反応性を調査 研究グループは、赤道州のムバンダカおよび北キブ州のベニにおいて、エボラウイルス病流行により導入されたWHOのリングワクチン接種プロトコールに基づきrVSVΔG-ZEBOV-GPワクチン接種を受けた1歳以上で、エボラウイルス病の確定診断を受けた者、エボラウイルス病患者の接触者またはその2次接触者、およびエボラウイルス病の流行地域における医療従事者または最前線で働く人々を登録した。血清検体を採取して汎フィロウイルス・マルチプレックス免疫測定法を用いて抗体反応性を評価した。 登録は、ムバンダカでは2018年6月2日~7月3日、ベニでは2018年8月15~29日のワクチン接種当日に行われた。 両コホートとも5年間追跡調査し、この間に参加者は、あらかじめ設けられた7回のデータ収集期間に研究者による診察と簡単な身体検査および採血を受けた。 全検体の血清学的検査には汎フィロウイルス・マルチプレックス免疫測定法を用い、EBOVおよびBDBV糖タンパク質に対する血清反応性(蛍光強度中央値から算出した相対平均抗体価[MFI])の経時的推移を評価した。BDBV糖タンパク質に対する交差反応性抗体反応あり 2018年6月2日~2023年12月14日の5年間の追跡調査において、計1,081例から得られた血清検体5,849件を分析した(ムバンダカ:482例2,552件、ベニ:599例3,297件)。参加者は男性715例(66%)、女性366例(34%)、大半は19~55歳で、6歳未満は登録されておらず、各コホートの3分の1は医療従事者であった。 BDBV糖タンパク質に対する血清反応性は、コホート間で著しい差が認められた。 ムバンダカコホート(482例)では、ベースラインで16例(3%)がBDBV糖タンパク質に、139例(29%)がEBOV糖タンパク質に対して血清反応性を示した。 rVSVΔG-ZEBOV-GPワクチン接種後、BDBV糖タンパク質に対するMFIは、ワクチン接種後2.5年時まで変化はなかったが、2.5年時の1,238(SD 1,599)から3.5年時には4,845(SD 5,881)に有意に増加し(p<0.0001)、329例中116例(35%)がカットオフ基準に基づき血清反応性が認められた。その後は、4.2年時および5年時と有意に低下した(それぞれ、3.5年時および4.2年時との比較)。 一方、ベニコホート(599例)では、ベースラインで62例(10%)がBDBV糖タンパク質に、23例(4%)がEBOV糖タンパク質に対して血清反応性を示した。 BDBV糖タンパク質に対するMFIは、ベースラインの1,653(SD 111)から、同ワクチン接種後21日時には6,678(SD 300)に急激に増加し(p<0.0001)、52%(283/541例)が血清反応性を示した。6ヵ月時も同様に抗体価は高く(MFI:6,852[SD 6,560])、54%(270/501例)が血清反応性を示した。その後は抗体価の低下がみられたものの、BDBV糖タンパク質ならびにEBOV糖タンパク質に対する抗体価は、ワクチン接種後5年間にわたりベースライン値を上回る水準を維持していた。