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鎖骨下静脈穿刺後の無気肺で死亡したケース

感染症最終判決判例時報 1589号106-119頁概要金属プレス機に両手を巻き込まれた19歳男性。救急搬送された大学病院にて、手袋の繊維、機械油で汚れた手をガーゼ、ブラシで洗浄し、消毒、デブリードマンを施行した。左手には有茎植皮術、右手には一時的な創縫合手術を施行し、術後抗菌薬を投与した。投与後、創部から黄緑色の浸出液と刺激臭があり、緑膿菌感染を疑い硫酸ゲンタマイシンンなどを追加。その後、浸出液と刺激臭は消失し、壊死部の除去を含めた右手皮弁切離術、左手小指端形成術を施行した。さらに右手では左胸部有茎植皮術、左手では腹部有茎植皮術を行った。約1週間後に41.1℃の発熱があり、敗血症疑いから血液培養を施行(結果は陰性)。しかし、翌日に軽度の呼吸困難があり、突然の痙攣発作と意識障害が出現したことからエンドトキシンショックを疑い、血管確保の目的で鎖骨下静脈穿刺が行われた。穿刺中に患者が上体を起こしたことから中止し、身体拘束後に再度右鎖骨下静脈にラインを確保した。しかし、胸部X線写真で右鎖骨下に血腫を認めたため、再度右そけい部からカテーテルを挿入した。その後、瞳孔散大傾向、対光反射喪失、嘔吐もみられたので気管内挿管を施行。諸検査を行おうとしたところ、心肺停止状態となり、蘇生が開始されたが、死亡した。詳細な経過患者情報19歳男性経過1990年8月17日12:10金属プレス機のローラーに両手を挟まれて受傷した19歳男性。某大学病院に救急搬送された時には、受傷時につけていた手袋の繊維、機械油などで両手の傷は著しく汚染されていた。13:30頃創洗浄開始。14:45緊急手術のための麻酔開始。同時にガーゼ、ブラシを用いた洗浄、消毒、デブリードマン施行。洗浄用の生食水(500mL)40本使用。左手:手掌皮膚は手関節から基節骨までグローブ状に剥離:有茎植皮術施行右手:手背の皮膚欠損および筋挫滅、一部では骨にまで達する:一時的な創縫合手術施行術後抗菌薬としてセフメタゾールナトリウム(商品名:セフメタゾン)、硫酸ジベカシン(同:パニマイシン)を使用。8月30日はじめて創部から黄緑色の浸出液と刺激臭があり、緑膿菌感染が疑われたため、硫酸ゲンタマイシン(同:ゲンタシン軟膏)、セフタジジム(同:モダシン)を投与。9月4日黄緑色浸出液と刺激臭はほとんど消失。9月10日右手皮弁切離術、左手小指断端形成術(壊死部の除去も行う)。9月26日浸出液が消失する一方、壊死部もはっきりとしてきたので、右手は左胸部有茎植皮術、左手は腹部有茎植皮術施行。術後から38~39℃の発熱が持続。10月1日41.1℃の発熱があり、敗血症を疑って血液培養施行(結果は陰性)。10月2日15:20軽度の呼吸困難出現。15:30突然痙攣発作と意識障害が出現。血圧92mmHg、脈拍140、呼吸回数22回。内科医師の往診を受け、エンドトキシンショックが疑われたため、血管確保目的で鎖骨下静脈穿刺が行われた。ところが穿刺中に突然上体を起こしてしまったため、いったん穿刺を中止。その後身体を拘束したうえで再度右鎖骨下静脈にラインを確保した。ところが、胸部X線写真で右鎖骨下に血腫を認めたため、カテーテルを抜去、右そけい部から再度カテーテルを挿入した。16:30瞳孔散大傾向、対光反射がなくなり、嘔吐もみられたため気管内挿管施行。腰椎穿刺にて採取した髄液には異常なかった。そこで頭部CTを施行しようと検査室に移動したところで心肺停止状態となる。ただちに蘇生が開始されたが反応なし。19:57死亡確認。病理解剖の結果、両肺無気肺(ただし左肺は一部換気)、(敗血症性)脳内小血管炎、脳浮腫、感染脾、全身うっ血傾向、右鎖骨下血腫、右胸水が示された。当事者の主張患者側(原告)の主張生命の危険性、あるいは手指の切断についての説明がないのは説明義務違反がある適切な感染症対策を行わず、敗血症に罹患させたのは注意義務違反である鎖骨下静脈穿刺により、無気肺を生じさせたのは注意義務違反である緑膿菌などに感染し、敗血症性の呼吸困難が生じていたことに加え、鎖骨下静脈穿刺の際に生じた鎖骨下血腫および血性胸水が無気肺をもたらしたことが原因となり、呼吸不全から心停止にいたり死亡した病院側(被告)の主張容態急変する前の9月26日までは順調に経過しており、手術前にその急変を予測して説明を行うのは不可能であった創は著しく汚染されていたので、無菌化することは困難であった。感染すなわち失敗という考え方は妥当ではない鎖骨下静脈穿刺により、無気肺を生じたとしても、患者が突然寝返りを打つなどして動いたことが原因である。患者救命のための緊急事態下で行われた措置であることを考慮すれば、不可抗力であった病理解剖所見では、突然の呼吸停止とまったく蘇生不能の心停止が同時に生じるという臨床的経過と符合しないため、結局突然死と診断されており、死亡原因の特定はできない裁判所の判断1.病院側は原因不明の突然死というが、病理解剖の結果心臓には心停止をもたらすような病変は確認されておらず、敗血症性の感染症および無気肺の存在以外には死亡に結びつく病変は確認されていないので、原告の主張通り、緑膿菌などに感染し、敗血症性の呼吸障害ないしは呼吸機能の低下、ならびに鎖骨下静脈穿刺の際に生じた鎖骨下血腫および血性胸水が無気肺をもたらしたことによる換気能力の低下、呼吸不全から心停止にいたり死亡した2.ゴールデンアワー内に十分な洗浄、消毒、デブリードマンなどを徹底して行い、その後も十分な洗浄、消毒、デブリードマンを行うべき注意義務があったにもかかわらず、これを怠った。その結果、敗血症性の重篤な感染症に罹患させたものである3.鎖骨下静脈穿刺の時にはいつ痙攣や不穏状態が生じるか予測できない状態であったので、穿刺時の不測の体動を予見することは十分に可能であった。そのため、身体を拘束したうえで鎖骨下静脈穿刺を行うべき注意義務を違反した4.説明義務違反は十分な洗浄や消毒を行わなかった過失に含まれる原告側合計7,077万円の請求に対し、5,177万円の判決考察この判決内容を熟読してみて、臨床を熱心に実践されている先生方のご苦労と、ひとたび結果が悪かった時に下される司法の判断との間には、大きな相違があると感じずにはいられませんでした。まず、最大の誤解は、「手の開放創からの感染は、十分な洗浄、消毒、デブリードマンを徹底して施行すれば、ほぼ確実に防止できるものである」と断定していることだと思います。いくら抗菌薬が発達した現代であっても、本件のような難治性の感染症を完全に押さえ込むのが難しいことは、われわれが常日頃感じているジレンマのような気がします。本件で不十分と判断されてしまった創の消毒・洗浄方法をもう一度みてみると、12:40(受傷後30分)救急搬入、バイタルサインが安定していることを確かめた後、両手に付着していた線維などを取り除いたうえで、ポビドンヨード(商品名:イソジン)、クロルヘキシジングルコン酸(同:ヒビテン)で消毒。13:30(受傷後1時間20分)抗菌薬を静注しながら、両腋窩神経、および腕神経叢ブロックを施行したうえで、ただちに創洗浄を開始。14:45(受傷後2時間35分)全身麻酔下の手術が必要と考えたため麻酔導入。麻酔完了後、ガーゼ、ブラシを用いながらヒビテン®液で軟部組織、骨、皮膚に付着した油様のものなどをよく洗浄したうえで消毒し、壊死組織、挫滅組織を切除、さらに生理食塩水でブラッシングしデブリードマンを完了。この間に使用した生食は20L。とあります。裁判ではしきりに、受傷後6時間以内のゴールデンタイムに適切な処置が行われなかったことが強調されましたが、このような病院側の主張をみる限り、けっして不注意があったとか、しなければならない処置を忘れてしまったなどという、不誠実なものではなかったと思います。少なくとも、受傷6時間の間に行った処置は、他人から批判を受けなければならないような内容とはいえないのではないでしょうか。にもかかわらず、「きちんと洗浄、消毒をすれば菌は消える」などと安易に考え、「菌が消えないのならば最初の処置が悪かったに決まっている」と裁判官が即断してしまったのは、あまりにも短絡しすぎていると思います。あくまでも過誤があると主張するのならば、洗浄に用いた生食が20Lでは足りなくて、30Lだったらよかったのでしょうか?そこまで医師の措置を咎めるのであれば、当時の医師たちのどこに不適切な点があって、どのような対策を講じたら敗血症にまでいかずにすんだのか、つまり今回と同様な患者さんが来院した場合には、どうすれば救命することができるのか、(権威ある先生にでも聞いたうえで)示すべきだと思うのですが、裁判官はその点をまったく考慮せず、一方的な判決となってしまいました。それ以外にも、容態急変時の血液ガスで酸素分圧が137.8mmHg(正常値は85~105)という数値をみて、「酸素分圧が正常値を大きく越えるものであり、無気肺により換気能力の低下を来した」と判断している点は、裁判官の勉強不足を如実に示しています。この当時、当然酸素投与がなされているはずですから、酸素分圧が137.8mmHgとなっても不思議に思わないし、それをもって換気障害があるとは判断しないのが常識でしょう。にもかかわらず、ことさら「酸素分圧が正常値を越えた」というだけで「注意義務違反に該当する医療行為があった」と短絡しているのは、どうも最初から「医者が悪い」という結論を導くために、こじつけた結果としか思えません。少なくとも、そのような間違った見解を判決文に載せる前に、専門家に確認するくらいの姿勢はみせるべきだと思います。鎖骨下静脈穿刺についても、同じようなことがいえると思います。当時の内科医師は、鎖骨下静脈穿刺前の局所麻酔の時に、患者がとくに暴れたり痛がったりしなかったので、あえて押さえつけながら穿刺を行わなかったと証言しています。これはごく当たり前の考え方ではないでしょうか。この裁判官の判断が正しいとするならば、意識がもうろうとしている患者さんに注射する時には、全員身体を拘束せよ、という極端な結論となります。実際の臨床現場では、そのようなことまであえてしないものではないでしょうか。病院側は不可抗力であったと主張していますが、そのように考えるのももっともであり、すべてが終わった後で判断する立場でこのような判決文を書くのは、少々行き過ぎのような気がしてなりません。ただ一方で、前途ある19歳の若者が命を落としてしまったのも事実です。その過程では、よかれと思った医療行為が裏目に出て、敗血症に至ったり、鎖骨下血腫を形成して死亡に少なからず寄与しました。しかし、ではどこでどのような反省をして、今後どのような対処をするべきかという、前向きの考え方がなかなかこのケースでは検討しにくいのではないでしょうか。つまり、本ケースのように医療行為の結果が悪くて裁判に発展してしまい、本件のような裁判官に当たると、医師にとって不利な判決にならざるを得ないという、きわめて釈然としない「医療過誤」になってしまうと思います。感染症

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低用量デキサメタゾンの予防的投与はTKAの術後悪心・嘔吐および疼痛軽減に有効

 デキサメタゾン(商品名:デカドロンほか)は強力な鎮痛薬であり、かつ制吐薬である。人工膝関節置換術(TKA)後のデキサメタゾン投与の利点は不明であったが、韓国・カトリック大学校議政府聖母病院のIn Jun Koh氏らは無作為化試験にて、ラモセトロン(同:ナゼアほか)単独投与に比べ、ラモセトロン+デキサメタゾンの予防的投与のほうが、創傷合併症のリスクが増加することなく術後嘔吐および疼痛が減少することを明らかにした。Clinical Orthopaedics and Related Research誌オンライン版2013年5月4日号の掲載報告。 本研究の目的は、ラモセトロン+デキサメタゾンの予防的投与がラモセトロン単独投与と比較して、術後悪心・嘔吐(PONV)ならびに術後疼痛を減少させ、TKA後の創傷合併症のリスクを増加させるかどうかを評価することであった。 TKA施行予定患者269例を、手術1時間前にデキサメタゾン10mgを投与し手術直後にラモセトロンを投与する群(Dexa-Ra群、135例)と、ラモセトロン単独投与群(Ra群、134例)に無作為化し、術後0~6時間、6~24時間、24~48時間および48~72時間におけるPONV発生率、悪心の重症度、制吐薬の要求頻度、完全抑制率、疼痛の程度およびオピオイド使用量を調べた。  また、術後少なくとも1年以内に、創傷合併症および人工関節術後感染について評価した。 主な結果は以下のとおり。・Dexa-Ra群では、術後72時間までのPONV発生率が低かった。また、術後0~6時間における悪心の重症度が低かったが、6~72時間においてはそうではなかった。・概して制吐薬のレスキュー使用は少なく、完全抑制率はDexa-Ra群で高かった。・Dexa-Ra群は疼痛の程度が低く、術後6~24時間および全期間を通してオピオイド使用量が少なかった。・両群間で創傷合併症の頻度に差はなかった。人工関節周囲感染症は各群1例ずつにみられた。■「デキサメタゾン」関連記事術前デキサメタゾン追加で術後24時間の嘔吐が低減/BMJ

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皮膚科外来施設でのMRSA、過去3年間で17.0%増

 Zabielinski M氏らが米国マイアミ大学病院の皮膚科外来施設において、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)およびメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)の相対的な検出割合の動向などを調べた結果、MRSAが2008~2010年の3年間で17.0%増加していたことが明らかになった。また、MRSAはシプロフロキサシン(商品名:シプロキサンほか)への感受性が増していた一方で、MSSAはシプロフロキサシン、クリンダマイシン(同:ダラシン)、ゲンタマイシン(同:ゲンタシン)、スルファメトキサゾール・トリメトプリム(ST合剤、同:バクタほか)への耐性が増大していたことも報告した。JAMA Dermatology誌2013年4月号(オンライン版2013年1月16日号)の掲載報告。 本調査は、皮膚科外来施設でのMRSA、MSSAの検出割合の変化、および黄色ブドウ球菌分離株の抗菌薬感受性プロファイルを調べることを目的とした。  2005年1月1日~2010年12月31日の各年データ、および2011年1月1日~6月30日までの半年間の各月データから、皮膚培養組織分離株データをそれぞれ後ろ向きに集め分析した。 主な結果は以下のとおり。・2005年1月1日~2011年6月30日の間、成人から小児の患者にわたる合計387例から分離した黄色ブドウ球菌株について分析した。・全体におけるMRSAの相対的割合は35.7%、MSSAは64.3%であった。・試験終了前の6ヵ月間では、MRSAは33.3%、MSSAは66.7%であった。・MRSAの相対的割合は、2008年1月1日~2010年12月31日が、2005年1月1日~2007年12月31日と比べて有意に高かったことが明らかになった(45.3%対28.3%、p=0.001)。・抗菌薬感受性プロファイルについては、MRSAのシプロフロキサシンへの感受性が増加していた一方で、MSSAではシプロフロキサシン、クリンダマイシン、ゲンタマイシン、ST合剤への耐性が増していた。

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再発性下肢蜂窩織炎、ペニシリン投与で再発リスクは半減/NEJM

 下肢蜂窩織炎の再発予防を目的としたペニシリン投与は、再発リスクをおよそ半減することが示された。ただしその効果は投与期間中においてであり、投与中止後は徐々に漸減した。英国・ノッティンガム大学病院のKim S. Thomas氏らが、274例を対象に行ったプラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果で、NEJM誌2013年5月2日号で発表した。ペニシリンを12ヵ月投与し、3年間追跡 Thomas氏らは、英国およびアイルランドの28病院を通じて、下肢蜂窩織炎を2回以上発症した患者274例を対象に試験を行った。同グループは被験者を2群に分け、一方にはペニシリン(250mg、1日2回)を、もう一方にはプラセボを、それぞれ12ヵ月間投与した。 主要アウトカムは、初回再発までの期間だった。追跡期間は3年間であった。下肢蜂窩織炎再発に関する、ペニシリン投与の必要治療数は5 初回再発までの期間の中央値は、プラセボ群が532日に対し、ペニシリン群では626日だった。 予防投与期間中に再発した人の割合は、プラセボ群が138例中51例(37%)だったのに対し、ペニシリン群は136例中30例(22%)と、およそ半減した(ハザード比:0.55、95%信頼区間[CI]:0.35~0.86、p=0.01)。下肢蜂窩織炎の再発予防1件に対する必要治療数は、5(95%CI:4~9)であった。 しかし、ペニシリン投与を中止して以降は、両群の同再発率はいずれも27%と、群間差は認められなかった(p=0.78)。 全追跡期間でみると、再発件数はプラセボ群が164例に対し、ペニシリン群が119例と有意に少なかった(傾向のp=0.02)。内訳をみると、最初の12ヵ月間の再発件数はプラセボ群が122例に対し、ペニシリン群が76例であり(p=0.03)、その後の追跡期間ではそれぞれ42例と43例だった(p=0.88)。 有害事象については、プラセボ群が48例に対しペニシリン群が37例と、両群間に有意差はみられなかった(p=0.50)。

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キャッスルマン病〔Castleman's disease〕

1 疾患概要■ 概念・定義キャッスルマン病は多様な病態を呈する多クローン性リンパ増殖疾患であり、臨床的に限局型と多中心(全身)型に大きく分類される。限局型では無症状で経過することが一般的であるが、多中心(全身)型では多くが血清IL-6の上昇に伴う全身倦怠感、発熱、貧血、高CRP血症、低アルブミン血症、高γグロブリン血症などの多彩な症状を伴う。欧米では、human immunodeficiency virus(HIV)感染を基礎としたhuman herpes virus(HHV)-8の感染が原因となっている症例が多いが、わが国ではHIV感染と関連のないHHV-8陰性の症例がほとんどである。■ 疫学1)患者数希少な疾患であり、国内に約1,500人と推測する資料もあるが、正確な数は不明である。2)病型臨床的には限局型(localized type/unicentric Castleman's disease: UCD)と多中心(全身)型(multicentric Castleman's disease: MCD)に分類される。病理学的には、形態からhyaline-vascular type(HV type)とplasma cell type(PC type)に分類されるが、両者の中間型(mixed type)も見受けられる。一般的に限局型はHV typeの病理像を示し、多中心型はPC typeの病理像を示すことが多い。割合としてはHV typeが全体の約90%を占め、残りの約10%がPC typeまたは中間型とされている。上述の通り、限局型は無症状で経過することが多く発症年齢が若年の傾向があるが、多中心(全身)型はIL-6産生の亢進に伴う多彩な症状を呈することが多く、50~60代の中・高年に好発がみられる。■ 病因欧米ではHIV感染による免疫不全を背景としたHHV-8感染が基礎となるケースが多く、IL-6のviral homologyであるvIL-6がHHV-8によって産生されることが病因と考えられている。また、HIV感染のない症例でもHHV-8が陽性の症例が多い。一方、わが国ではHIV感染を伴う例は珍しく、HHV-8自体もほとんどの症例で検出されない。まったく別の病因が関係しているものと考えられるが、いまだ不明な点が多く、特定はされていない。■ 症状1)限局型典型的には縦隔リンパ節の腫脹がみられるが、他のリンパ節やリンパ節以外の部位に病変を形成することもしばしばある。周囲臓器の圧迫に伴う症状が出ることはあるが基本的には無症候性であり、画像検査で偶然発見されるケースもある。まれに多中心型のような症状を呈するもの例もみられる。2)多中心(全身)型多中心型では全身リンパ節腫脹がみられ、IL-6の過剰産生に伴うリンパ球・形質細胞の増加、慢性炎症、血管新生などにより、以下の表に示すような多彩な症状がみられる。リンパ節以外に肺、腎、神経、皮膚などにも病変を形成することがある。画像を拡大する■ 予後限局型は無症候で経過し、完全切除により予後は非常に良好である。一方、多中心(全身)型は、日本人の多くは緩徐な経過を辿るケースが多いが、時に進行性のものもある。ステロイド治療によりコントロール良好な例もあるが、多くは抗IL-6受容体抗体の適応になることが多い。また、治療抵抗性となり多臓器不全に陥って死亡するケースも存在する。HIV陽性例では陰性例よりも急速に進行することが多い。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 臨床診断1)限局型一般的に症状はないが、血液検査所見は正常範囲のものと炎症反応や貧血を伴うものがある。後者では病変部の摘出で正常化するものが多い。病変部の切除生検による病理組織診断が行われる。2)多中心(全身)型診断基準は確立されていない。症状も多彩で非特異的であるため、臨床経過や血液検査所見、画像所見を総合的に判断する必要がある。鑑別疾患としては、悪性リンパ腫、POEMS症候群、膠原病、感染症、IgG4関連疾患などが挙げられる。画像を拡大する画像を拡大する■ 病理診断最終的な確定診断は病理組織診断で行われる。上述のように、形態からHV typeとPC typeに分けられる。HV typeは以下に挙げる特徴的な所見を有することが多いが、PC typeの病理組織像は非特異的な所見が主体で、膠原病や薬剤に対する反応性リンパ節腫脹、IgG4関連疾患などと鑑別が困難なことが多い。そのため、キャッスルマン病は、初診から確定診断に至るのに長期間を要する場合もまれではない。臨床所見、血液検査結果、画像所見などとで総合的に判断する必要がある。画像を拡大する画像を拡大する3 治療 (治験中・研究中のものも含む)キャッスルマン病の治療については、症例数の少なさもあり無作為化試験が組まれたことはなく、標準的な治療法は確立されていないのが現状である。限局型は、完全切除によりほぼ全例で治癒が見込まれる。全身型についてはステロイドの投与が基本であるが、ステロイド抵抗例では、抗IL-6受容体抗体(トリシズマブ)の適応となる。■ 限局型一般的に無症候性で予後良好であるが、悪性リンパ腫などの腫瘍との鑑別が必要となるため、病理組織による確定診断の意味も含め、病変部を切除することが多い。症状がある場合でも完全切除により症状の消失が期待できる。第1選択は完全切除であり、切除が難しい場合には局所放射線治療が選択されることもある。■ 全身型症状がある場合は、一般的にはステロイドの全身投与が行われる。無症状の場合は経過観察も選択肢となる。海外ではリツキシマブ(商品名:リツキサン)が使用されることがあるが、日本ではキャッスルマン病に対する使用については、まだ保険適応となっていないのが現状である。免疫抑制薬や化学療法が選択されることがあるが、見解の一致を得ない。抗IL-6受容体抗体であるトシリズマブ(同:アクテムラ)が2005年に承認されてからは、ステロイド抵抗例で使用され、効果を挙げている。HIV陽性例についてはリツキシマブや抗がん剤などが使用されるが、わが国でのHIV陽性例はまれであり、知見は少ない。4 今後の展望全身型キャッスルマン病の治療には、ステロイドを用いるのが一般的であるが、ステロイド抵抗性の症例や耐糖能に問題のある症例では管理が難しくなる。近年では、抗IL-6受容体抗体であるトシリズマブの有効性が示されてきており、今後はこのような分子標的薬がkey drugに加わっていくと考えられる。5 主たる診療科血液内科、免疫内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)患者会情報社会福祉法人 復生あせび会(希少疾病患者の会)1)Van Rhee F, et al. Clinical advances in hematology & Oncology. 2010; 8: 486-498.2)本田元人. HIV感染症とAIDSの治療. 2012; 3: 12-18.3)西本憲弘. 実験医学. 2010; 28: 2026-2031.

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ソホスブビル、既治療の遺伝子型2、3型HCV感染患者に有効/NEJM

 ペグインターフェロン(PEG)+リバビリン(RBV)療法が適応外または無効な、遺伝子型2、3型C型肝炎ウイルス(HCV)感染患者に対し、ソホスブビル(SOF)+RBV療法は高い有効性と安全性を示すことが、米国ワイルコーネル大学(ニューヨーク市)のIra M. Jacobson氏らの検討で明らかとなった。欧米では現在、これらの患者の治療選択肢として承認されたレジメンはない。ソホスブビルはHCV特異的NS5Bポリメラーゼのヌクレオチド誘導体阻害薬で、in vitroではすべての遺伝子型のHCVを抑制し、第II相試験で2、3型HCV感染患者に対する有効性が確認されている。NEJM誌オンライン版2013年4月23日号掲載の報告。2つの第III相試験で、12週投与とプラセボまたは16週投与を比較 研究グループは、遺伝子型2、3型の慢性HCV感染患者に対するソホスブビル(SOF)+リバビリン(RBV)療法の有用性を評価する2つの無作為化第III相試験(POSITRON試験、FUSION試験)を行った。 POSITRON試験では、インターフェロンを含むレジメンが適応外の患者(有害事象で治療を中止した患者や禁忌例など)を対象に、12週のSOF+RBV療法とプラセボの比較が行われた。 2012年3月~5月の間に4ヵ国(米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド)63施設から278例が登録され、SOF+RBV群に207例(平均年齢52歳、男性57%、肝硬変15%)、プラセボ群には71例(52歳、48%、18%)が割り付けられた。 FUSION試験は、インターフェロンを含むレジメンによる前治療が無効であった患者を対象とし、16週と12週のSOF+RBV療法の比較を行った。 2012年5月~7月までに3ヵ国(米国、カナダ、ニュージーランド)67施設から201例が登録され、16週投与群に98例(平均年齢54歳、男性68%、肝硬変33%)、12週投与群(54歳、71%、35%)には103例が割り付けられた。 主要評価項目は、いずれの試験も治療終了後12週の持続的なウイルス学的著効(SVR)とした。3型の肝硬変例、前治療無効例では長期投与が有効な可能性も POSITRON試験のSVR率は、SOF+RBV群が78%と、プラセボ群の0%に比べ有意に良好であった(p<0.001)。FUSION試験のSVR率は、16週投与群が73%、12週投与群は50%であり、有意な差が認められた(p<0.001)。 両試験ともに、2型よりも3型HCV感染患者でSVR率が低かった(POSITRON試験のSOF+RBV群:93 vs 61%、FUSION試験の16週投与群:94 vs 62%、12週投与群:86 vs 30%)。3型では、肝硬変なしよりも肝硬変ありの患者でSVRが低かった(68 vs 21%、63 vs 61%、37 vs 19%)。 全体として、最も頻度の高い有害事象は頭痛、疲労感、悪心、不眠であった。治療中止率はPOSITRON試験のSOF+RBV群が2%、FUSION試験の16週投与群が0%、12週投与群は1%だった。安全性プロフィールは肝硬変ありとなしの患者で類似しており、16週投与群と12週投与群の間にも差はなかった。 著者は、「PEG+RBV療法が適応外または無効の2、3型HCV感染患者の治療において、SOF+RBV療法は12週投与、16週投与ともに有効であった。とくに2型および非肝硬変患者に対する効果が高く、3型では16週投与が12週投与よりも優れていた(SVR:62 vs 30%)」とまとめている。

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中国で見つかった鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス感染症の疫学調査(コメンテーター:小金丸 博 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(97)より-

2013年3月に中国で鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスの人への感染例が初めて報告されて以降、中国から継続して感染者が発生している。4月には中国帰りの男性が台湾で発症し、中国以外から初めて報告された。本稿執筆時点では日本国内での感染例は報告されていないが、国内発生時に冷静に対応できるよう準備しておく必要がある。  本論文は、4月17日までに確定した鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス感染症82例の臨床情報と、濃厚接触者の追跡調査をまとめた報告である。 鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスの感染は、リアルタイムRT-PCR法、ウイルス分離、血清学的検査のいずれかで確認した。確定診断された患者の平均年齢は63歳(範囲:2~89歳)で、46%が65歳以上であった。5歳未満は2例のみで、どちらも軽い上気道症状を呈するのみだった。性別は男性が73%と多かった。  情報が得られた77例のうち、4例が家禽を扱う労働者であった。59例で動物との接触歴があり、そのうち45例に鳥との接触歴を認めた。 確定診断された82例のうち、81例は入院加療され、17例がARDSや多臓器不全で死亡した。発症から死亡までの期間の中央値は11日だった。軽症だった4例はすでに退院した。情報が得られた64例のうち、41例でオセルタミビルが投与された。発症から投与開始までの期間の中央値は6日だった。  感染患者との濃厚接触者1,251名を7日間追跡調査した。呼吸器症状を呈した19名(研修医1名を含む)で咽頭スワブ検体を用いてリアルタイムRT-PCR法が行われたが、鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスは1例も検出されなかった。  同一家族内で複数の患者が発生した3事例のうち、調査中の1事例を除く2事例の調査の結果では、鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスのヒト-ヒト感染は否定できなかった。 本論文のポイントの1つは、確定患者に重症例が多いことである。通常の季節性インフルエンザと比較すれば死亡率は高そうである。ただし、もともと原因微生物不明の肺炎患者を対象とした調査であり、重症例が選択的に拾い上げられていた可能性が高い。調査範囲が拡大され、症状の軽い患者も報告されるようになってきており、本当の重症度は今後判明していくだろう。 もう1つのポイントは、濃厚接触者にヒト-ヒト感染が起きていることが確認されなかったことである。現時点では、鳥インフルエンザA(H7N9)はあくまで鳥に感染するインフルエンザである。同一家族内での感染事例が存在し、限定的なヒト-ヒト感染が起こっている可能性は否定できないが、パンデミックを起こす可能性は低いと推測する。 鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス感染症は、人にとって未知の感染症であり、感染源、感染経路、検査診断、治療法、重症度などは依然として明らかとなっていないため、今後も個々の症例を集積していく必要がある。

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生年月日でわかるあなたの風疹感染リスク! ワクチン接種済んでますか?

現在、大都市を中心に風疹の感染拡大が懸念されている。国立感染症研究所の発表によれば5月1日現在で5,442人(2012年では2,392人)の患者が報告され、昨年の2倍以上の感染者が確認されている。とくにワクチン接種を受けていない20~50代の成人を中心に感染が拡大、厚生労働省が中心となり、今後さまざまな施策が準備、施行される予定である。今回、この風疹の感染拡大とその対応について大曲 貴夫氏に話を聞いた。今回の風疹流行の原因について教えてください風疹は、実は2011年頃からじわじわと患者数は増えてきていました。原因としては、ワクチン未接種の免疫がない方が、人口密集地域で感染し、一気に拡大したと考えられています。現在、広くワクチン接種が呼びかけられていますが、接種のモデルタイプはどのような方ですか?やはりワクチン接種歴がないとされる20~50代の成人の方(とくに男性)です(図)。母子手帳などで過去のワクチン接種の正確な確認ができない場合は、未接種と考えてワクチン接種をした方がいいでしょう。よく、家族の方が、「子どもの頃に風疹をした」と言っていても、風疹かどうか曖昧な場合がほとんです。罹患した確実な証拠がない、あるいはワクチンの接種歴が分からないのであれば、まずはワクチンを接種すべきと考えた方がよいと思います。生年月日ごとの風疹含有ワクチンの定期接種の状況画像を拡大する風疹が引き起こす、成人や妊婦への影響について教えてください成人の方であれば、発疹、発熱、リンパ節の腫れなどが現れます。風疹は飛沫感染するために、他人に感染させないように症状が軽くても会社や学校を休まねばなりません。また、特に妊婦さん(妊娠24週頃まで)が、風疹に感染すると胎児の死亡、流早産につながったり、先天性風疹症候群を発症し、胎児が心疾患や難聴、白内障などの障害を持った状態で生まれてきます。そのため、妊婦さんやこれから妊娠を希望される方には、特に気をつけてもらいたいと思います。妊娠予定の方は、パートナーと共にワクチン接種を受け、その周囲の人も風疹にならないための配慮が必要です。現行のワクチン接種の問題点について教えてください現在の風疹ワクチンの接種については、大きく3つの問題があります。1つ目はワクチン接種の診療科の問題、2つ目は接種するワクチンの問題、3つ目は経済的な問題です。1つ目の問題は、どの診療科でワクチンを接種するかです。小児科が推奨されていますが、小児科に成人の方が集中する事態も問題であり、かといって一般内科のクリニックには、風疹ワクチンが用意されていないのが実情ではないでしょうか。地域の基幹病院などが推奨されますが、多忙な社会人が受診しやすい夜間や週末の診療はしていないところが多いです。もう少し接種へのアクセスがよくなればということが挙げられます。例えば東京都では、医療機関案内サービス「ひまわり」などで情報の提供を行っています。2つ目の接種するワクチンの問題ですが、風疹ワクチンだけではなくMRワクチンでも良いというのは、実はあまり知られていません。どちらかが自院に用意されているのであれば、接種を希望する方に勧めた方がよいということです。 過去に麻疹になったことがあったり、ワクチン接種済みの方が追加接種となっても、特に問題はありません。どちらもしっかり免疫をつけることができる、そして費用的にもお得です。3つ目は経済的な問題です。現在、各自治体が風疹への問題意識を持ってワクチン接種の助成を行っています。これは良い施策だと思いますが「妊娠を希望する女性とその配偶者」というように、非常に狭い枠での助成となっています。財政的な問題もあると思いますが、インフルエンザの予防接種並みに気軽に接種できるくらいまで、財政支援などの対応をいただきたいと思います。今後、地域の医療従事者が貢献できることを教えてください1つには、地域のワクチン対象者への啓発と誘導です。風疹の問題点は、飛翔感染で多くの人にも感染させることです。自分だけでなく、家庭、職場、学校でも迷惑をかけるということを、医療従事者が、何度も繰り返し説明していくことでワクチン接種の重要性を伝えていく必要があります。とくに妊娠適齢の女性の方は、先天性風疹症候群について詳しく知りません。今、ワクチン接種しておかないとどうなるのか、メリット・デメリットを含めて医療従事者が、外来の機会を通じて説明して、接種ができる医療機関へ誘導していくことが大事だと考えます。もちろん国立国際医療センター病院では、ワクチンを常備していますので、こうした医療機関を医療従事者が知っておくことも大切です。次は、ワクチン接種へのアクセス改善と接種時の問題発生への備えです。理想的には、なるべく多くの医療機関にワクチンを揃えてもらいたいと思います。また、ワクチン接種の時に、何らかの副反応が起る可能性もあります。一般的には発疹、紅斑、発熱などですが、重大な副反応であるアナフィラキシー様症状が出た場合の対応手順と緊急搬送先の確認など、再度チェックしていただきたいと思います。最後に風疹対策は、今行うことで先天性風疹症候群を防ぎ、子どもの未来を救うことになります。この点を医療に携わる方は意識していただければと思います。国立感染症研究所 風疹 参考 東京都感染症情報センター「ストップ 風疹」 参考 東京都医療機関案内サービス「ひまわり」 

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鳥インフルエンザは怖くない!でも備えは万全に!!

連日報道される中国で発生した鳥インフルエンザA(H7N9)(以下、鳥インフル(H7N9)記す)。WHO(世界保健機構)の発表によれば、131人の確定患者、32名の死亡と報告されている(5月9日現在)。折しもゴールデンウイークでの海外への大量渡航や行楽地への人口の集中があったことから、わが国での感染流行が危惧されていた。今回、医師、医療従事者がこの鳥インフル(H7N9)に、どのように対応したらよいか大曲貴夫氏に話を聞いた。今回の鳥インフル(H7N9)の特徴や感染経路について教えてください今回の鳥インフル(H7N9)は、鳥では重症化しないのに(高病原性ではない)ヒトで重症化していることが言えます。死亡率は現時点での報告によると約20%です。一見死亡率が高いようにみえますが、これについては今後精査が必要だと考えています。また、感染経路については、トリからの感染がほぼ確定しており、現在ヒトからヒトの感染は確認されていません。中国でも生鳥を扱う市場を閉鎖する対策をとったことで、感染者が格段に減少したとの見方もあるため、感染ルートがトリ-ヒトだけなのであれば、このまま終息に向かう可能性も高いと思われます。今回の鳥インフル(H7N9)は、市販の迅速キットで検出できるものでしょうか市販の迅速キットの性能は不明です。ただし通常の鼻腔内や上気道の検体採取では、PCR法を用いても陰性反応が出るレポートもあります。確定には、下気道・肺からの検体採取が必要だと考えています。よって、迅速キットで上咽頭から検体をとって検査しても、陰性になる可能性が高いと推測します。現在、症状から疑って、気道分泌物を用いてPCR法で診断する方法しかないように思われます。診療時のポイントについて教えてくださいこれは今回の鳥インフル(H7N9)だけではないのですが、「最も大切なことは、疾病を思いつくこと!」です。患者さんが、急な発熱、倦怠感で来院した場合、病歴聴取の時に渡航歴がないかどうか聞くことが重要です。問診で「渡航歴を聞く」ことは、実際の医療現場では意外と軽んじられています。そこで中国渡航歴があれば、鳥インフル(H7N9)の可能性も考え、診療をすすめていきます。このように適切な問診をすることで、可能性のある疾患を思いつくことが出来るかどうか、ここが早期発見のポイントとなります。診断で確定患者がいた場合の治療やその後の措置について教えてください実際には、鳥インフル(H7N9)ウイルスによる感染と確定診断がつくまでには、少し時間がかかります。よって現実には、まだ確定診断がついていない状況で、患者さんの症状を診て、治療をどうするかを決めることになります。お年寄りや基礎疾患のある重症化が懸念される患者さんには、WHOが推奨しているように早期に抗インフルエンザ薬の処方をした方がよいかもしれません。ただし抗インフルエンザ薬の効果は、まだ十分検討されていませんので、その点は念頭に置くべきですね。診療時に医療従事者が気をつける点について教えてください鳥インフル(H7N9)に限らず、呼吸器症状を訴える患者さんを診療するときに大事なことは、患者からウイルスをもらわないことです。そのため、呼吸器症状のある患者を診療する場合には、サージカルマスクを着用し、手指衛生に気を配ること。これらを、今だけ実施するのではなく、常日頃から実践し、診療スタッフ全員で習慣化しておくことが大事だと考えます。実際に鳥インフル(H7N9)の疑い例を診療する場合、感染対策をどうするかについては、実はさまざまな意見があります。ただ、実際の診療では、患者さんの中国渡航歴がわかるまで、時間がかかることもあります。それがわかるまで、医療者は何も対策をしていなかった・・・では意味がありません。鳥インフル(H7N9)の疑い例を診療する場合には、状況がはっきりするまではN95マスクを着用すべきと言う意見もあります。しかし、症状のない患者に対応する場合に、濃厚接触の無い時点で長時間の着用勤務が難しいN95マスクの着用を標準にする根拠は乏しいです。仮にN95マスクをつけていなかったとしても、サージカルマスクをつけて接していれば、かなり感染を防御できるはずです。呼吸器症状・発熱のある方の診療では、サージカルマスクを着用し、手指衛生に気を配ること。これらを、今だけ実施するのではなく、常日頃から実践しておくことが、まずは重要でしょう。それと鳥インフル(H7N9)疑いの患者さんがいる場合は、待合室を分けたり、別室で待っていただくなどの配慮も必要になります。実際に、鳥インフル(H7N9)を強く疑う場合に医療者が取るべき感染対策は、それぞれの現場の特性に合わせて考える必要があります。事前に感染対策の専門家に相談して、対応を決め、スタッフで共有しておくことが大切でしょう。不安を訴える方への健康相談について、教えてください医療者がきちんと鑑別、対応し、安心させることが重要です。医療者が舞い上がると、患者さんにも伝わり、周囲や社会にも誤解を与えますので気をつけたいところですね。今回の鳥インフル(H7N9)が行政より検疫感染症に指定されました(5/6より施行)。これに伴い今後、医療従事者が行わなければいけない事項などについて教えてください鳥インフル(H7N9)だと確定した患者さんがいる場合、担当した医師は直ちに保健所に届出を行う必要があります。また、状況によっては患者さんの転院や入院を行う必要がでてきます。今回の指定は、入院勧告や就業制限が罰則つきでできる、強制力のあるものです。患者さんに対してもその点を十分説明しないと、納得頂けないでしょう。「今回の鳥インフル(H7N9)流行について」最後に一言お願いします重症例が多いと報道されています。しかし、冷静に構えてもらいたいと思います。繰り返しになりますが、診療にあたる医療者は、普段から感染防止対策の習慣化を心がけておくことが大切です。例えばN95マスクを装着する場合もありますが、このマスクの着用には少しテクニックが必要ですから、普段からその練習をしておく、あるいは連携する医療機関や保健所などの行政機関との連絡体制の確認など、今回のような事態にきちんと対応できるように備えておくことが大切です。「特別な状況だから、特別な対策をする」と言うことは簡単ですが、実はこれは極めて非現実的です。日頃から対策を適切に行えるよう、準備しておくことが必要と思います。国立感染症研究所 鳥インフルエンザ特集ページ 

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鳥インフルH7N9型ウイルスの感染源を同定、症状はH5N1型に類似/Lancet

 2013年2月、中国東部地域で鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスのヒトへの感染が発生し、感染者と家禽との接触が確認された。浙江大学医学部(杭州市)のYu Chen氏らは、同定した感染患者4例の感染源が同省の市場の家禽である可能性が高く、臨床症状は高い致死性を示すH5N1型ウイルス感染と類似するとの調査結果を、Lancet誌オンライン版2013年4月25日号で報告した。臨床像の評価とウイルスのゲノム解析 研究グループは、鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス感染患者の臨床像およびウイルス学的な特徴を検討し、ヒト由来のウイルスと浙江省の市場の家禽由来のウイルスを比較するゲノム解析を行った。 2013年3月7日~4月8日の間に、初発の呼吸器症状を呈し、胸部X線検査で原因不明の肺浸潤影を認め、検査でH7N9型ウイルス感染が確認された入院患者を対象とした。 これらの患者の病歴および種々の検査結果を収集した。咽喉および喀痰のサンプルを採取し、RT-PCR法でM、H7、N9遺伝子の検索を行うとともに、メイディン・ダービー・イヌ腎臓(MDCK)細胞で培養した。重複感染の評価を行い、6つのサイトカインとケモカインの血清濃度をモニタリングした。 疫学的に関連のある市場(6ヵ所)から86羽の鳥(ニワトリ20羽、ウズラ4羽、ハト5羽、アヒル57羽)の排泄腔スワブを採取して、RT-PCR法で分離株の同定と分類を行った。さらに、患者とニワトリのウイルス分離株の8つの遺伝子セグメントを系統発生的に解析した。4例中2例が死亡、ハトとニワトリから近縁ウイルスを検出 4例のH7N9型ウイルス感染患者(39歳、68歳、64歳の男性、51歳の女性)を同定した。4例とも発症前の3~8日に家禽と接触していた。 全例に発熱および抗菌薬が無効で急速に進行する肺炎を認めた。白血球数およびリンパ球数の減少や、肝・腎機能の低下がみられ、血清サイトカインやケモカイン濃度が高度に上昇し、病態の進行に伴って播種性血管内凝固(DIC)をきたした。2例(39歳と64歳の男性)が死亡し、残りの2例は回復した。喀痰サンプルは、咽喉スワブよりもH7N9型ウイルス陽性率が高かった。 2羽(40%)のハトおよび4羽(20%)のニワトリからH7N9型ウイルスが検出された。患者(死亡した64歳の男性)由来のウイルスと、疫学的に関連のある市場のニワトリ由来のウイルスはきわめてよく類似していた。すべてのウイルス遺伝子セグメントが鳥由来であった。 分離されたH7N9型ウイルスのH7は浙江省のアヒル由来のH7N3型ウイルスのH7と最も近縁であり、N9は韓国の野鳥由来のH7N9型ウイルスのN9と近縁だった。 H7の受容体結合部位の解析では、ヒトウイルスのGln226Leuの置換およびヒトとニワトリのウイルスのGly186Valの置換(α-2,6結合シアル酸受容体への親和性の増大に関連)が認められ、ヒトウイルスのPB2のAsp701Asn突然変異(ほ乳類への適応に関連)も確認された。また、M2遺伝子ではアダマンタン(アマンタジンはその誘導体)抵抗性に関連するSer31Asnの突然変異もみつかった。 著者は、「同定された鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス感染患者の感染源は浙江省の市場の家禽である可能性が示唆された。この新たな再集合体H7N9型ウイルスの種を超えた家禽-ヒト間の伝播は、ヒトに致死的な重度の肺炎および多臓器不全をもたらす。症状はH5N1型ウイルス感染と類似していた」とまとめている。

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聖路加GENERAL【Dr.衛藤の皮膚科疾患アーカイブ】<下巻>

第5回「症状のない皮膚疾患(1)-黒い疾患-」第6回「症状のない皮膚疾患(2)-赤い疾患-」第7回「内臓系の皮膚疾患(1)-爪の皮膚疾患-」第8回「内臓系の皮膚疾患(2)-舌の皮膚疾患-」第9回「内臓系の皮膚疾患(3) -黒色表皮腫と皮膚筋炎- 」 第5回「症状のない皮膚疾患①-黒い疾患-」症状のない皮膚疾患、なかでもPaget病(ページェット病)と黒い疾患を中心にみていきます。最初の症例は75歳男性。3年ほど前から陰嚢に発赤を認めたが、毎日80キロを自転車走行するための摩擦だと思い放置。ところが3ヵ月前から特に赤みが増したため来院。ステロイド軟膏を処方するが回復せず検査をしてみると乳房外Paget病でした。乳房Paget病は、症状が湿疹と似ていること、乳房以外の部位にも発症するのが特徴です。乳房Paget病の鑑別ポイントを解説します。他にも間違えてはならない湿疹の鑑別疾患を詳しくみていきます。黒い皮膚疾患には、脂漏性角化症のような良性のものの他に悪性黒色腫のように早期に発見しなければならない危険なものもあります。症例を通して鑑別法を学びましょう。第6回「症状のない皮膚疾患②-赤い疾患-」 乾癬は日本でも多くみられるようになってきましたが、湿疹と似ているのでしっかり鑑別する必要があります。爪に見られる乾癬から、膿疱性乾癬のように、場合によっては命に関わる重篤な疾患まで、さまざまなものがあります。また、最近増えてきた乾癬性関節炎についてもわかりやすく紹介します。二つめは皮膚がんです。半年前に猫に噛まれた傷が治らず、化膿して悪化したため受診した68歳の女性。猫に噛まれたことが直接の原因とは考えにくく、このような経過を辿り徐々に増大しているというのは腫瘍性の増殖を起こしている可能性があります。生検の結果、この方は扁平上皮がんでした。痛みや痒みもないのに赤い腫瘤は重篤な皮膚疾患の場合もあるので、早期に発見することが鍵となります。その他の皮膚がんについてもわかりやすい症例写真をまじえて詳しく紹介していきます。第7回「内臓系の皮膚疾患①-爪の皮膚疾患-」 第7回は実態がわかりにくい内臓系の皮膚疾患です。中でも様々な病変が現れる爪にフォーカスします。症例は約半年前から手指の爪甲に変形が現れた63歳男性。進行が気になり皮膚科を受診することにしました。爪にはclubbingが見られ、全身倦怠感や息切れも進んでおり、喫煙歴も20本×40年と高いリスク因子がありました。この患者さんは呼吸器疾患のデルマドロームで、検査の結果肺がんとわかりました。他にもばち状指に出現する先天性疾患などの原因疾患を詳しくみていきます。また、爪の病変は様々で、砒素中毒や化学療法、ステロイド治療や重症疾患等が原因となるケースがあり多岐に渡りますが、その見極め方を豊富な症例写真をとおして解説します。第8回「内臓系の皮膚疾患②-舌の皮膚疾患-」 第8回は内蔵にまつわる皮膚疾患から“舌”の皮膚疾患をとりあげます。症例は36歳男性。半年前から舌が荒れて白い斑点のようなものが出現。最近では発熱と下痢を繰り返し、約10㎏の体重減少もみられました。この患者はHIV感染に起因する舌カンジダ症でした。一口にカンジダ症と言っても、その分類、病因は様々です。カンジダ感染症を中心に地図状舌、黒毛舌、全身性強皮症など特徴のある舌の皮膚疾患や総合内科領域で見られる皮膚病変を解説します。その昔ヒポクラテスの時代から「診療のときはまず舌と爪を診ろ」と言われたほど、爪や舌の疾患は内蔵の状態を表します。先生方も普段の診察から爪と舌に注意してみてはどうでしょうか。第9回「内臓系の皮膚疾患③ ―黒色表皮腫と皮膚筋炎― 」 最終回は内臓系皮膚疾患の中から黒色表皮腫と皮膚筋炎をとりあげます。半年前から脇の下が粗造になってきて、褐色の色素沈着が現れたため受診した62歳の女性。診断は黒色表皮腫でした。さらに内臓の検査を行うと大腸がんが見つかりました。“皮膚は内臓の鏡”というようにさまざまな内臓病変が現れ、重篤な病気が隠れていることがあります。日々の診察では多岐に渡る内臓悪性腫瘍のデルマドロームを見落とさないことが重要です。今回も様々な皮膚症例から診察のポイントと間違えやすい注意すべき病変を解説していきます。

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閉塞性肺疾患の増悪に対する新たな非侵襲性バイオマーカーとなるのは?

 閉塞性肺疾患の増悪の診断において、非侵襲性バイオマーカー、とくに喀痰中のインターフェロンγ誘導タンパク(IP-10)、ネオプテリン、呼気濃縮液(Exhaled breath condensate:EBC)のpHは有用な非侵襲性バイオマーカーとなりうることが、オーストラリア ・セントビンセント病院のGeoffrey Warwick氏らによって報告された。Respirology誌オンライン版2013年3月25日号の掲載報告。  現在の気管支喘息やCOPDにおける増悪の診断法は、それぞれの病因や病態生理にほとんど光を投じていない。こうした状況の下、非侵襲性バイオマーカーが有用となる可能性がある。  本試験では、気管支喘息の増悪の既往を有する患者28人、COPDの増悪の既往を有する患者29人、呼吸器感染症を有するコントロール患者28人を対象に、呼吸器症状、EBC、誘発喀痰、CRPの分析を行った。対象患者には回復後、再び同様の検査を実施した。EBCおよび誘発喀痰中のタンパク、過酸化水素、インターフェロンγ誘導タンパク(IP-10)、ネオプテリン、IL-6、IL-8、ロイコトリエンB4(LTB4)、TNF-αの分析に加え、誘発喀痰細胞数とEBCのpHも分析した。  主な結果は以下のとおり。・EBCのpHは、増悪期の患者では回復期と比較して有意に低かった(p<0.001)。・誘発喀痰の上澄み液中のインターフェロン誘導タンパク質10(IP-10)およびネオプテリンは増悪期で有意に増加していた(それぞれ、増悪期vs 安定期:188.6 ± 102.1 vs 5.40 ± 1.28 pg/ml, p=0.006、 15.81 ± 2.50 vs 5.38 ± 0.45 nmol/L, p<0.0001)。同様に、TNF-αも有意に増加していた(137.8 ± 49.64 vs 71.56 ± 45.03 pg/ml, p=0.018)。・その他のバイオマーカーについては、増悪期と回復期で有意な差が認められなかったが、増悪期では末梢血のCRPが上昇していた。

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新型鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス感染、82例の疫学的特性/NEJM

 中国疾病予防管理センター(CDC)・公衆衛生緊急センターのQun Li氏らは、2013年4月17日時点で入手できた新型鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス感染に関する情報を基に解析した疫学的特性についてまとめ、NEJM誌オンライン版2013年4月24日号に予備報告として発表した。その中で著者らは「H7N9ウイルス感染は中国内6地点で確認され、感染確認患者の多くが非常に重篤であった。疫学的な関連性はなかった」と述べたうえで、「ヒト-ヒト感染について2家族集団でルールアウトはできなかったが、7日間の疾患モニタリングで呼吸器症状を呈した患者の濃厚接触者(1.5%)からウイルスは検出されなかった」と報告している。H7N9感染者の疫学情報を分析、患者の濃厚接触者についても7日間モニタリング 新型鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス感染事例の疫学的特徴をまとめるためのフィールド調査は、H7N9感染が確認された症例(リアルタイムRT-PCR法、ウイルス分離、血清学的検査による)を対象とした。特定された患者の人口統計学的特性、曝露歴、病状変化の情報を入手した。 また、患者の濃厚接触者について7日間にわたり疾患症状についてモニタリングした。症状を発現した人には咽頭スワブを行い、H7N9ウイルスの有無をリアルタイムRT-PCR法にて調べた。入院81例の死亡率は21%、発症から死亡までの中央値は11日 3月25日以降4月17日現在までにH7N9ウイルス感染が確認されたのは82例であった(原因不明の肺炎による入院患者664例のうち)。症例患者は、平均年齢63歳(範囲:2~89)、男性が73%、84%が中心都市の住民だった。 症例が確認されたのは6地点で、上海市(確定31例、疑い1例)、浙江省(確定25)、江蘇省(確定20、疑い1)、安徽省(確定3)、河南省(確定2)、北京市(確定1)であった。 解析データを入手できた77例のうち、4例が鶏肉を扱う労働者であった。また77%(59例)が生きた動物との接触歴があり、そのうち鳥との接触歴があったのは76%(45例)だった。次いでイヌが20%(12例)、ブタは7%(4例)だった。 症例患者の発症から初診までの期間中央値は1日で、入院までは同4.5日だった。 入院例は、小児1例を除く81例で、そのうち4月17日現在、17例(21%)が死亡、発症から死亡までの期間中央値は11日であった。また、60例は予断の許さない状況が続いている。退院例は4例でいずれも症状が軽度であった。2家族集団のヒト-ヒト感染はルールアウトできず 家族集団の検討は4月17日現在、2行政区3家族で行われ、そのうち2家族のデータが解析可能であった。この2家族について、H7N9ウイルスのヒト-ヒト感染はルールアウトできなかった。 一方で、7日間の疾患モニタリングが完了したのは、患者の濃厚接触者1,689例のうち1,251例で、そのうち呼吸器症状の発症がみられたのは19例(1.5%)であったが、H7N9ウイルスは検出されなかった。

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慢性HCV感染患者、新規ヌクレオチドポリメラーゼ阻害薬の上乗せ効果を確認/NEJM

 未治療の慢性C型肝炎ウイルス(HCV)感染患者の治療において、新規ヌクレオチドポリメラーゼ阻害薬ソホスブビルを標準治療であるペグインターフェロンアルファ2a+リバビリン療法に追加すると有効性が改善され、ソホスブビル+リバビリン療法の効果は標準治療に対し非劣性であることが、米国テキサス大学健康科学センターのEric Lawitz氏らの検討で示された。慢性HCV感染患者は世界で約1億7,000万人に及び、年間35万人以上がHCVに起因する肝疾患で死亡しているという。ソホスブビルは、第II相試験で未治療の遺伝子型1、2、3型の慢性HCV感染患者に対する有効性が確認されている。NEJM誌オンライン版2013年4月23日号掲載の報告。遺伝子型別の2つの第3相試験で評価 研究グループは、未治療の慢性C型肝炎患者に対するソホスブビル(SOF)の有用性を評価する2つの第3相試験(FISSION試験、NEUTRINO試験)を実施した。 NEUTRINO試験は、遺伝子型1、4、5、6型のHCV感染患者(98%が1と4型)を対象にSOFとペグインターフェロンアルファ2a(PEG)+リバビリン(RBV)の併用療法(治療期間12週)の評価を行う非盲検単群試験。2012年6月~8月までに米国の56施設から327例(平均年齢52歳、男性64%)が登録された。 FISSION試験は、遺伝子型2、3型のHCV感染患者を対象にSOF+RBV療法(治療期間12週)とPEG+RBV療法(治療期間24週)を比較する非盲検無作為化非劣性試験。2011年12月~2012年5月までに6ヵ国(米国、オーストラリア、ニュージーランド、イタリア、スウェーデン、オランダ)97施設から499例[SOF+RBV群:256例(平均年齢48歳、男性67%)、PEG+RBV群243例(48歳、64%)]が登録された。 両試験とも、主要評価項目は治療終了12週後の持続的なウイルス学的著効(SVR)とした。3剤併用でSVRが90%に、3型には3剤併用が有用な可能性も NEUTRINO試験におけるSOF+PEG+RBV療法の治療終了後12週のSVRは90%(95%信頼区間[CI]:87~93)であった。以前の試験で得られた調整済みSVRは60%であり、今回のほうが有効性が有意に優れた(p<0.001)。 FISSION試験では、SVRは両群ともに67%であった。層別因子で調整後の両群のSVRの絶対差は0.3ポイント(95%CI:-7.5~8.0)で、SOF+RBV群で良好な傾向を認めた。 補足的な解析でSOF+RBV群のPEG+RBV群に対する非劣性が確認された(p<0.001)。SOF+RBV群では、3型のSVRが56%と、2型の97%に比べ不良であった。 治療期間中の重篤な有害事象は、SOF+PEG+RBV群が1%(4例)、SOF+RBV群が3%(7例)、PEG+RBV群は1%(3例)に認められた。有害事象による治療中止率はそれぞれ2%(5例)、1%(3例)、11%(26例)だった。 SOF+RBV群は、PEGを含む群に比べ全般的に有害事象の頻度が低く、とくに疲労感、頭痛、悪心、不眠、貧血が少なく、好中球減少は1例もみられなかった。 著者は、「SOF+PEG+RBV療法による12週の治療は、主に1型と4型から成るHCV感染患者群で90%という高いSVRを示し、2型と3型のHCV感染患者群ではSOF+RBV療法とPEG+RBV療法の非劣性が確認された」とまとめ、「SOF+RBV療法では3型HCV感染患者のSVRが低かったが、これらの患者は治療期間を延長するか、SOF+PEG+RBV療法を行うことでSVRが改善する可能性がある」と指摘している。

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(89)〕 C型慢性肝炎に対する治療法はいよいよ最終段階へ!-3剤併用療法のreport-

C型慢性肝炎に対する従来の標準治療は、PEG-Interferon(PEG-IFN)とRibavirin(Rib)の併用療法であった。しかし、この治療法では、(日本のC型肝炎患者の半数を占める)1b型高ウイルス量のいわゆる<難治例>に対する治療効果として、Sustained Virological Response(SVR:治療終了後6ヵ月の時点での血中HCV陰性化)を得られる頻度は、約50%であった。 さらに治療効果を向上させるために、さまざまな取り組みが進められている。新たな薬剤として、(1) NS3 Protease阻害薬、(2) NS5B Polymerase阻害薬(核酸型・非核酸型)、(3) NS5A阻害薬などが登場した。 本論文は、PEG-IFN・RibにNS5B Polymerase阻害薬であるSofosbuvir(GS-7977, PSI-7977)を加えた3剤併用療法の、米国での第2相試験に関する報告である。この報告では、3剤併用療法12週間あるいは24週間のSVR24(ITT解析)が、どちらも89%と良好な成績が得られた。現在、本邦でも、PEG-IFN・Ribに上記の(1)、(2)、(3)のいずれかを併用した複数の治療法の治験が進められており、数年後には治療法の選択肢が広がることが期待されている。 さらに、IFNを含まない複数の経口薬のみの併用による治療法の治験が進行、あるいは予定されており、いよいよC型慢性肝炎の治療法の開発は最終のステップに入ったと考えらえる。

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エキスパートに聞く!「関節リウマチ」Q&A part2

CareNet.comでは4月の関節リウマチ特集を配信するにあたって、事前に会員の先生より関節リウマチ診療に関する質問を募集しました。その中から、とくに多く寄せられた質問に対し、慶應義塾大学 花岡 洋成先生にご回答いただきました。今回は生物学的製剤の投与方法や新規薬剤に関する質問です。生物学的製剤の開始時期について教えてください。また、開始時にルーチンで実施する検査を教えてください。日本リウマチ学会より、関節リウマチに対するTNF阻害薬、トシリズマブ、アバタセプト使用ガイドラインが発行されている。これに基づくと、1.既存の抗リウマチ薬通常量を3ヵ月以上継続して使用してもコントロール不良の関節リウマチ患者(コントロール不良の目安として、圧痛関節数6関節以上、腫脹関節数6関節以上、CRP 2.0mg/dL以上あるいはESR 28mm/hr以上)や、画像検査における進行性の骨びらんを認める患者、DAS28-ESRが3.2(moderate disease activity)以上の患者2.既存の抗リウマチ薬による治療歴のない場合でも、罹病期間が6ヵ月未満の患者では、DAS28-ESRが5.1超(high disease activity)で、さらに予後不良因子(RF陽性、抗CCP抗体陽性または画像検査における骨びらんを認める)を有する患者には、メトトレキサート(MTX)との併用による使用を考慮するとある。開始時のルーチンで施行する検査は、上記ガイドラインに記されている禁忌・要注意事項に該当する患者を除外する目的で、以下の検査を行う。白血球分画を含む末梢血検査、β-Dグルカン、胸部X線、ツベルクリン反応、クォンティフェロン(QFT)、HBs抗原、HBs抗体、HBc抗体また開始後の骨破壊の進展を評価するために、生物学的製剤開始前の関節X線を撮影することが多い。生物学的製剤の休薬や中止の判断基準を教えてください。いくつかの生物学的製剤で、休薬後、寛解や低疾患活動性を維持できるか(バイオフリー)を検証されている。日本発のエビデンスで最初の報告はRRR studyである(Ann Rheum Dis. 2010; 69: 1286-1291)。これはインフリキシマブによって低疾患活動性および寛解を24週間以上維持できた患者を対象に、インフリキシマブを中止し、その1年後の休薬達成率を確認したものである。その結果、55%が休薬を達成し続けた。ここで、休薬を達成し続けられた群は、そうでない群と比較して罹病期間が短く(4.7 vs 8.6年、p=0.02)、mTSS(modified total sharp score)が低値(46.9 vs 97.2、p=0.02)であると報告されている。他の製剤については検証中のものが多く確定的なことは言えないが、早期例で骨破壊が少なく、深い寛解を維持できた症例はバイオフリー寛解を維持しやすいようである。生物学的製剤投与中の感染症の早期発見方法について教えてください。わが国で施行した市販後全例調査の結果、生物学的製剤使用者の1~2%で重篤な細菌性肺炎の報告があった。ただし、早期発見する確実な手段はない。重要なことは感染症のリスクを評価し、リスクが高い症例は注意深く慎重に観察していくことである。さらに、事前の肺炎球菌ワクチンや冬期のインフルエンザワクチン接種を推奨する。生物学的製剤において感染症のリスクとして共通しているのは、ステロイドの内服、既存の肺病変、高齢、長期罹患などである(Arthritis Rheum. 2006; 54: 628-634)。さらに、インフリキシマブでは投与開始20~60日に細菌性肺炎の発症が増加する(Ann Rheum Dis. 2008; 67: 189-194)。よって投与2ヵ月以内は注意しながら診療する。また、トシリズマブ投与例ではCRPは上昇しないことが知られているため、スクリーニングの画像検査を積極的に行うことが望ましい。また、ニューモシスチス肺炎も0.2~0.3%程度報告されている。これについては、β-Dグルカンの測定を定期的に行い、労作時呼吸困難や咳嗽などを訴えた症例は慎重に精査を進めていく。間質性肺炎を合併した関節リウマチ患者に対して、どのように治療したらよいでしょうか?間質性肺疾患合併例ではMTX肺炎を誘発する懸念があるため、MTXを軸とした管理ができないことがある。米国リウマチ学会の治療推奨(Arthritis Care Res. 2012; 64: 625-639)などに基づき治療戦略を決定するが、一般的にわが国では、まず推奨度Aの抗リウマチ薬(ブシラミン、サラゾスルファピリジン、タクロリムスなど)で疾患活動性のコントロールを試みることが多い。これで活動性が抑制できなければ生物学的製剤の適応を考慮する。例外的に、活動性がきわめて高く、予後不良因子を有する症例や短期間で骨破壊が進行する症例などでは、生物学的製剤を積極的に第一選択薬として用いることもある。この場合、MTX併用を必須とするインフリキシマブは投与できない。よって、残りの製剤のどれかを選択することになるが、「既存の肺病変」の存在は生物学的製剤において重篤感染症やニューモシスチス肺炎などのリスク因子になりうる(N Engl J Med. 2007; 357 : 1874-1876)ため、リスクとベネフィットを考慮して治療方針を決定する。JAK阻害薬(トファシチニブ)など、新規薬剤の可能性について教えてください。生物学的製剤の登場によって関節リウマチの診療は大きく変わった。これらは劇的な効果をもたらしたが、無効例も存在することは間違いなく、TNFやIL-6などの阻害だけでは病態を十分制御できないことを示唆している。これを受けて、現在、新規治療薬として1,000kDa以下の低分子化合物の開発が進行しており、なかでもJAK阻害薬の有効性が臨床でも確認されている。FDAが、2012年11月に関節リウマチの治療薬として、JAK1/JAK3阻害薬であるトファシチニブを認可した。承認用量である5mg 1日2回12週間の投与によって、12.5%の寛解率を示した(Arthritis Rheum. 2012; 64: 617-629)。その効果は生物学的製剤に匹敵する。一方、JAK阻害によって多数のサイトカインシグナルが阻害され、炎症と免疫に与える影響は複雑である。高分子化合物である生物学的製剤が細胞外の受容体に作用するのに対して、低分子化合物であるJAK阻害薬は細胞内で作用する。細胞内で作用した同薬剤が、最終的にヒトにおける長期安全性にどのような影響を及ぼすのか、今後の解明が待たれる。

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(87)〕 クリプトコッカス髄膜炎に対する抗真菌薬の併用療法は単独療法より有効か?

クリプトコッカス髄膜炎は、進行したHIV感染症患者でよくみられる日和見感染症である。HIV感染症に合併したクリプトコッカス髄膜炎の治療は、導入療法、地固め療法、維持(あるいは抑制)療法の3段階に分けられる。米国感染症学会のガイドラインでは、導入療法としてアムホテリシンBとフルシトシンの併用療法を第一選択と位置付けている。この治療法は、アムホテリシンB単独投与と比べ、髄液の無菌化に要する時間を短縮させることがわかっていたものの、死亡率を低減させるかどうかについては明らかになっていなかった。  本研究は、HIV感染症患者のクリプトコッカス髄膜炎における抗真菌薬の併用療法の有効性を調べるために行った、オープンラベルのランダム化比較試験(299例)である。導入療法に用いる抗真菌薬を(1) アムホテリシンB単独(1mg/kg/日)4週間、(2) アムホテリシンBとフルシトシン併用(それぞれ1mg/kg/日、100mg/kg/日)2週間、(3) アムホテリシンBと高用量フルコナゾール併用(それぞれ1mg/kg/日、800mg/日)2週間、の3群に分け、その後地固め療法としてフルコナゾール(400mg/日)を10週間まで投与し、生存率などを比較検討した。  その結果、アムホテリシンB単独群よりもアムホテリシンBとフルシトシン併用群の方が、14日時点、70日時点での死亡が少なかった(14日時点:p=0.08、70日時点:p=0.04)。アムホテリシンBとフルコナゾール併用群では、アムホテリシンB単独群と比較し、生存率に有意差を認めなかった(14日時点:p=0.42、70日時点:p=0.13)。髄液の無菌化に要する時間は、アムホテリシンBとフルシトシン併用群が他の2群より有意に短かった。有害事象の発生率は3群間で同等だった。  アムホテリシンBとフルシトシンの併用療法が、アムホテリシンB単独療法と比較し、死亡率を有意に低減させたことを示した意義は大きい。本研究の対象患者には、治療開始時に髄液の真菌量が多い患者や意識障害の強い患者が多く含まれており、とくに重症患者ではアムホテリシンBとフルシトシンの併用療法を考慮すべきと考える。  日本の施設では、アムホテリシンBではなくアムホテリシンBリポソーム製剤が多く使用されているだろう。したがって、厳密にはこちらの製剤での検討も必要である。また、本研究では導入療法の期間を限定していたが、実際の現場では、全身状態が悪化していたり、髄液の無菌化が図れていない場合は、導入療法の期間を延長してもよいだろう。  最後に、本研究では、アムホテリシンBとフルシトシン併用群でも、14日死亡率が15%、70日死亡率が31%と高い。このため、治療薬の選択や治療期間について、今後も検討する余地があると考える。

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「メトトレキサートをいかに安全に使いこなせるか」が関節リウマチ治療の鍵

 関節リウマチ治療においては、アンカードラッグであるメトトレキサート(MTX)をいかに安全に使いこなせるかが重要となる。第57回日本リウマチ学会総会・学術集会(4月18~20日、京都)における教育研修講演「DMARDsの適応と使い方」のなかで、京都府立医科大学大学院免疫内科学の川人 豊氏が非生物学的抗リウマチ薬(DMARDs)の問題点や使い方などを紹介した。メトトレキサートの最大目標投与量 現在、関節リウマチ診療では、早期診断、およびメトトレキサート(商品名:リウマトレックスなど)を始めとしたDMARDsによる早期治療開始が推奨されている。川人氏は、DMARDsの問題点として、副作用発現率が20~50%と高いことを挙げ、効果が出ている症例でも要注意であると注意を促した。そのため、副作用のモニタリングが重要であるとし、投与2週後の血液検査では血球減少や肝・腎機能のチェックが必須であること、その後も2~3週ごとに検査を行い、副作用出現がない用量まで増量すること、安定期に入れば4~6週ごとの経過観察も可能となることを説明した。 次に、川人氏はメトトレキサートがリウマチ治療のアンカードラッグであることから、この薬剤をいかに安全に使いこなせるかがポイントであると述べ、自身が行っているメトトレキサートの投与方法を紹介した。川人氏は、メトトレキサートの最大目標投与量を、体重(kg)×0.2~0.25mg/週とし、2週ごとに2mgずつ増量し、6~8週程度でこの用量になるようにしている。また、70歳以上の症例には8割程度の用量を考慮し、腎機能障害例に対してはGFR 60mL/分以下で減量、45mL/分以下で半量以下(もしくは中止も考慮)としていることを紹介した。 さらに、メトトレキサート投与患者における死亡症例511例の検討から、禁忌症例へは投与しないように注意すべきと忠告した。川人氏は、メトトレキサート以外のDMARDsについて紹介し、それらの使い分けとして、慢性気道感染症例にはサラゾスルファピリジン(商品名:アザルフィジンEN)、金チオリンゴ酸ナトリウム(同:シオゾール)、ミノサイクリン(同:ミノマイシンほか)、腎機能障害例にはミゾリビン(同:ブレディニン)(投与量は減量)、サラゾスルファピリジン、イグラチモド(同:ケアラム、コルベット)、高齢者にはアクタリット(同:オークル、モーバー)、ミゾリビン、少量のタクロリムス(同:プログラフ)が適しているのではないかと述べた。 3月に承認されたJAK阻害薬であるトファシチニブ(同:ゼルヤンツ)については、生物学的製剤並みの効果があり期待できる薬剤であるが、副作用を考慮し慎重に投与していくべきというのが世界における共通認識であると紹介した。しかしながら、メトトレキサートと生物学的製剤に加えて、経口JAK阻害薬が承認されたことによって、今後、治療戦略に変化が出てくるのではないか、との考えを述べた。関連コンテンツ特集「関節リウマチ」

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生物学的抗リウマチ薬~各製剤における特徴・違いは?

 この数年で、関節リウマチの治療薬として生物学的製剤が次々と発売され、薬剤選択の幅が広がった。その一方で、既存の抗リウマチ薬で効果不十分な関節リウマチ患者に対し、どの生物学的製剤を選択すればよいのか迷うことが多いのではないだろうか。第57回日本リウマチ学会総会・学術集会(4月18~20日、京都)における教育研修講演「関節リウマチにおける生物学的製剤の選択とその使い方」では、生物学的製剤のTNF阻害薬、IL-6遮断薬、CD80/86阻害薬の6製剤について、京都大学医学部附属病院リウマチセンターの藤井隆夫氏が私見を含めそれぞれの特徴を紹介した。<TNF阻害薬>■インフリキシマブ(商品名:レミケード)・バイオフリー寛解の可能性がある・増量や投与期間短縮が可能・安定後は2ヵ月おきの点滴でよい・メトトレキサートとの併用が必須■アダリムマブ(同:ヒュミラ)・バイオフリー寛解の可能性がある・メトトレキサートと同時に開始することが可能■ゴリムマブ(同:シンポニー)・月1回皮下注射のため、投与の負担が少ない・皮下注射量が少なく、痛みが少ない・免疫原性が比較的低い■エタネルセプト(同:エンブレル)・免疫原性が低く、投与継続率が高い・25~50mg/週で調節可能<IL-6遮断薬>■トシリズマブ(同:アクテムラ)・メトトレキサート依存性が低い・免疫原性が低い・hepcidin抑制による貧血の改善・アミロイド蛋白を抑制・感染症合併時でも炎症反応が上がりにくい点に注意(日常臨床でカバー可能)<CD80/86阻害薬>■アバタセプト(同:オレンシア)・感染症が少ない・メトトレキサート依存性が低い・免疫原性が低く、投与継続性が高い・ESRやCRPが下がりにくい関連コンテンツ特集「関節リウマチ」

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