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新規インフルエンザ薬S-033188、先駆け審査指定制度下で国内承認申請

 塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功)は、自社創製の新規キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬S-033188について、成人および小児におけるA型又はB型インフルエンザウイルス感染症を適応症として、2017年10月25日付で日本国内における製造販売承認申請を行ったと発表。 S-033188は、既存の薬剤とは異なる作用機序でインフルエンザウイルスの増殖を抑制する新規化合物であり、2015年10月に厚生労働省より先駆け審査指定制度の対象品目に指定されている。S-033188は、成人または小児を問わず、経口による1回のみの錠剤の服用で治療が完結するため、利便性が高く、確実なアドヒアランスが期待できるという。 これまでに実施した健常なインフルエンザ患者を対象とした臨床試験(CAPSTONE-1)では、S-033188は、既存薬のオセルタミビルと比較して、抗ウイルス効果が高く、投与翌日には50%以上の患者(小児を含む)でウイルス力価の陰性化が認められている。そのため、家庭内や学校、職場等でのウイルス伝播、飛沫/空気感染拡大に対しても一定の抑制効果を示すことが期待される。また、薬剤との関係性が疑われる有害事象の発現率がオセルタミビルと比較して有意に低く、従来の治療と同等以上の安全性を示すと考えられる。さらに、S-033188は、非臨床試験において、鳥インフルエンザウイルス(H5N1やH7N9)や、既存のインフルエンザ治療薬に耐性を有するウイルス株を含む、さまざまな亜型のA型インフルエンザウイルスに対してもウイルス増殖抑制効果が確認されている。そのため、パンデミックへの備えとしても重要な薬剤になると考えられる。■参考シオノギ製薬株式会社ニュースリリース■関連記事新インフルエンザ治療薬S-033188、第III相試験結果発表/IDWeek2017

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トファシチニブは乾癬性関節炎にも有益か/NEJM

 腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬の効果が不十分だったコントロール不良の乾癬性関節炎の患者に対し、トファシチニブはプラセボと比較して、3ヵ月後のACR20改善率が向上するなど、疾患活動性の低下に有効であることが示された。有害事象の頻度は、トファシチニブがプラセボよりも高かった。カナダ・トロント大学のDafna Gladman氏らが、395例を対象に行った試験の結果で、NEJM誌2017年10月19日号で発表した。トファシチニブは、経口ヤヌスキナーゼ阻害薬で、乾癬性関節炎の治療薬として検討されていた。トファシチニブ5mg、10mgを1日2回投与 研究グループは、TNF阻害薬に対し反応性が不十分でコントロール不良の乾癬性関節炎の患者395例を対象に、6ヵ月間の第III相の無作為化プラセボ対照二重盲検試験を行った。 被験者を、2対2対1対1の割合で4群に分け、(1)トファシチニブ5mgを6ヵ月1日2回経口投与(132例)、(2)トファシチニブ10mgを6ヵ月1日2回投与(132例)、(3)プラセボを投与し3ヵ月以降はトファシチニブ5mgを1日2回投与(66例)、(4)プラセボを投与し3ヵ月以降はトファシチニブ10mgを1日2回投与(65例)した。 主要エンドポイントは、米国リウマチ学会基準による20%以上の改善(ACR20改善)の達成率と、健康評価質問票の機能障害指数(HAQ-DI、スコア0~3:スコアが高いほど障害が重度であることを示す)のベースラインからの変化だった。トファシチニブ投与群のACR20改善率は約50% 3ヵ月時点におけるACR20改善率は、プラセボ群24%に対し、トファシチニブ5mg群は50%、トファシチニブ10mg群は47%と、いずれも有意に高率だった(各トファシチニブ群のプラセボ群に対するp<0.001)。 ベースラインからのHAQ-DIスコア変化の平均値も、プラセボ群-0.14に対し、トファシチニブ5mg群は-0.39、トファシチニブ10mg群は-0.35と改善幅が有意に大きかった(各トファシチニブ群のプラセボ群に対するp<0.001)。 重篤な有害事象は、トファシチニブ5mg継続投与群の4%、トファシチニブ10mg継続投与群の6%で認められた。また、6ヵ月の試験期間中に、重篤な感染症が4件、帯状疱疹が3件、心筋梗塞と虚血性脳卒中がそれぞれ1件報告された。また、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ値とアラニンアミノトランスフェラーゼ値が、正常上限値の3倍以上に達した被験者が、プラセボ投与後にトファシチニブを投与した群に比べ、トファシチニブ継続投与群で多かった。

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エボラウイルスは生存者精液中に長期残存/NEJM

 エボラウイルス病(EVD)の男性生存者では、エボラウイルスRNAが精液中に長期に残存し、時間が経過するに従って徐々に減少することが、シエラレオネ保健衛生省のGibrilla F. Deen氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、NEJM誌2017年10月12日号に最終報告として掲載された。西アフリカのエボラ流行を根本的にコントロールするには、EVD生存者におけるエボラウイルス排出の期間を理解し、さらなる感染を予防することが不可欠とされる。すでに本研究の準備報告に基づき、世界保健機関(WHO)と米国疾病管理予防センター(CDC)、中国CDCが、被災3国(シエラレオネ、ギニア、リベリア)の保健省との協働で精液検査プログラムと予防的行動カウンセリングを確立し、実行に移している。220例を登録、RT-PCR法で解析 本研究は、シエラレオネのEVDの成人男性生存者220例を便宜的標本とし、エボラ治療施設(ETU)を退院後の精液中のエボラウイルスRNAの存在を評価する観察的コホート試験である(WHOなどの助成による)。 患者登録は、ETUを退院後の種々の時点で、2期に分けて行った。第1期(2015年5月27日~7月7日)は首都フリータウン市の都市部で100例、第2期(2015年11月11日~2016年5月12日)はフリータウン市の都市部(60例)と準都市部のルンギ地区(60例)で120例を登録した。 第1期はエボラウイルスのNPとVP40遺伝子、第2期はNPとGP遺伝子を標的配列とし、定量的逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)法を用いてベースライン時に採取した精液検体を検査した。第1期の検査はCDCが、第2期は中国CDCが行い、データ解析と管理はWHO、CDC、中国CDCが行った。 第2期は精液以外の体液の検査も行ったが、今回は精液のみの結果が報告された。また、この研究ではEVDの性行為感染リスクの直接的な評価は行われなかった。初回陽性率は27%、3ヵ月時の検出率100%から19ヵ月以降は0%に ベースラインの全体の平均年齢は31.5±9.5歳、ETU退院から検体採取までの平均期間は10.0±4.9ヵ月であった。フリータウン市都市部の参加者に比べ、ルンギ地区の参加者はわずかに年齢が高く、正規の教育をまったく受けていない者や、婚約、結婚している者の割合が高かった。また、世帯人数や世帯内のエボラウイルス感染者数も多かった。HIV検査に同意した195例のうち1例が陽性だった。 初回精液検体を提供した210例のうち、57例(27%)が定量的RT-PCRでエボラウイルスRNAが陽性であった。ETU退院後の期間別のエボラウイルスRNAの検出率は、退院後3ヵ月以内に検体が採取された7例では100%、4~6ヵ月後に採取された42例は62%(26例)、7~9ヵ月後の60例は25%(15例)、10~12ヵ月後の26例は15%(4例)、13~15ヵ月の38例は11%(4例)、16~18ヵ月後の25例は4%(1例)であり、19ヵ月以降に採取された12例では検出されなかった。 第1期にエボラウイルスRNA陽性であった46例では、標的となったNPとVP40のベースラインのサイクル閾値(cycle-threshold value、数値が高いほどRNA量が少ない)の中央値が、ETU退院後3ヵ月以内の検体採取例(7例)ではNPが32.4、VP40が31.3であり、4~6ヵ月の採取例(25例、それぞれ34.3、33.1)、7~9ヵ月(13例、37.4、36.6)、10~12ヵ月(1例、37.7、36.9)と比べて低かった。 第2期に、標的となったNPとGPが陽性であったのは11例であり(ETU退院後4.1~15.7ヵ月に検体採取)、サイクル閾値はNPが32.7~38.0、GPが31.1~37.7であった。 著者は、「生存者に付与されたさらなるスティグマの悪影響を軽減するには、地域社会の、内なる強力で持続的な支援が伴う、相応の敬意や継続的な努力がきわめて重要である」と指摘している。

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新インフルエンザ治療薬S-033188、第III相試験結果発表/IDWeek2017

 新たな作用機序キャップエンドヌクレアーゼ(CEN)阻害のインフルエンザ治療薬であるS-033188の第III相試験CAPSTONE-1の結果が、米国感染症学会週間Infectious Disease Week 2017(IDWeek2017)で発表された。 CAPSTONE-1試験は、多施設無作為化二重盲検プラセボ対照試験。対象は、年齢12〜64歳、発熱(腋窩温38.0℃以上)、一般症状と呼吸器症状(中程度〜重度)を有し、発症48時間以内の患者。20〜64歳の患者は、S-033188(経口単回投与)、プラセボ、オセルタミビル(75mg×2/日、5日間)の3群に、2:2:1で無作為に割り付けられた。12歳〜19歳の患者は、S-033188とプラセボの経口投単回与に2:1で無作為に割り付けられた。主要有効性評価項目は、インフルエンザ症状の罹病期間(TTAS)であった。鼻咽頭スワブによる投与前後のウイルス力価およびRNA含量も分析された。 主な結果は以下のとおり。・計1,436人の患者が無作為化された。・TTASはS-033188群53.7時間、プラセボ群80.2時間で、S-033188群で有意に短かった(p<0.0001)。・ウイルス排出期間中央値は、S-033188群24時間、オセルタミビル群72時間(p<0.0001)、プラセボ群96時間(p

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抗ジカウイルスDNAワクチン、ヒトで免疫応答/NEJM

 開発中の抗ジカウイルスDNAワクチン(GLS-5700)の、ヒト接種の安全性と免疫原性を検討した第I相非盲検臨床試験の速報結果が、NEJM誌オンライン版2017年10月4日号で発表された。米国・ペンシルベニア大学のPablo Tebas氏らが、米国とカナダの3施設で健康なボランティア成人40例(年齢中央値38歳)を集めて1mgまたは2mg接種について検討した結果、全例で安全に免疫応答を誘発したことを報告した。ジカウイルス(ZIKV)感染症に対する承認ワクチンは、現状ではない。今回の結果を受けて著者は、「さらなる試験を行い、ワクチンの有効性と長期的安全性を評価する必要がある」とまとめている。接種&エレクトロポレーションで免疫原性を高める 試験は2016年8~9月に、ペンシルベニア大学(フィラデルフィア)、QPS-Miami Research Associates(マイアミ)、ラヴァル大学(ケベック)で、健康なボランティアを集め、デング熱検査が陰性であった40例を登録して行った。 GLS-5700は、ZIKVのpremembrane and envelopeタンパク質をコードする合成DNAワクチンで、皮下注後に接種部位でエレクトロポレーション(ワクチンに封入されたDNAシーケンスを、パルス電界を利用して細胞に導入する方法)を行い、免疫原性を高める。 今回の第I相試験では、被験者を2群に分けて(各群20例)、GLS-5700を1mgまたは2mg皮下注投与し安全性と有効性を調べた。接種とエレクトロポレーションは、ベースライン、4週後、12週後に行った。3回投与の安全性と有効性を確認 被験者の年齢中央値は38歳(四分位範囲:30~54歳)、60%が女性で、人種は78%が白人、22%が黒人であった。また、被験者をヒスパニック系か否かで分類した場合、ヒスパニック系は30%であった。 14週の中間解析の時点(ワクチン3回接種後を含む)で、重篤な副反応の報告はなかった。ワクチン接種部位反応(注射部位の痛み、発赤、腫脹、かゆみなど)は、被験者の約50%で報告された。 ワクチン3回接種後、ELISA法にて、全被験者で結合抗体が検出された。幾何平均抗体価(GMT)は、1mg投与群1,642、2mg投与群2,871であった。中和抗体は、Vero細胞培養アッセイにて、62%で発現が認められた。神経細胞培養アッセイでは、70%の血清サンプルで、ZIKV感染を90%阻止したことが認められ、95%のサンプルでは50%の感染阻止が認められた。 IFNARノックアウトマウス(インターフェロンαおよびβ受容体をコードする遺伝子欠損モデル)を用いたワクチン接種後の評価では、致死量のZIKV-PR209株のチャレンジ試験において、103/112例(92%)で感染阻止が認められた。ベースライン接種後にチャレンジ試験を受けたマウスでは生存例はみられず、生存は中和抗体価と無関係であった。

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腸チフス予防、ワクチンは有効か/Lancet

 Vi-破傷風トキソイド結合型(Vi-TT)ワクチン接種は、18~60歳の腸チフスの疾病負荷を軽減し健康格差を減らす可能性が示された。英国・オックスフォード大学のCelina Jin氏らが、健康なボランティア成人を対象に行った初となるヒト対象の第IIb相単一施設無作為化試験の結果で、Lancet誌オンライン版2017年9月28日号で発表した。世界の貧困地域では毎年、チフス菌亜型(S Typhi)に約2,000万人が感染し、20万人が死亡している。莢膜Vi多糖体蛋白結合型ワクチン(Vi結合型ワクチン)は免疫原性があり乳児期から使用できるが、接種普及のための主要ワクチン候補とするには有効性に関するデータが乏しく、そのギャップを埋めるため、研究グループは、S Typhiの感染確立モデルを使ってVi-TTワクチンの有効性を評価した。ワクチン接種1ヵ月後にチフス菌を経口投与 研究グループは2015年8月18日~2016年11月4日の間に、腸チフスのワクチン接種歴および感染症歴なし、または腸チフス流行地域の長期滞在歴がない18~60歳の健康なボランティアを集めて、試験を行った。 被験者を無作為に3群に分け、Vi-TTワクチン、Vi多糖体蛋白結合型(Vi-PS)ワクチン、髄膜炎ワクチン(対照群)をそれぞれ単回投与した。被験者と試験担当医は接種割り付けについてマスキングされたが、ワクチン接種を担当した看護師は認識していた。 被験者は、ワクチン接種の約1ヵ月後にチフス菌の経口投与(チャレンジ試験)を受け、その後2週間にわたり毎日血液検査を受け、腸チフス感染症罹患(38℃以上、12時間以上の持続的発熱またはチフス菌血症)の診断を受けた。 主要エンドポイントは、腸チフス感染症者の割合(罹患率)であった。腸チフス罹患率、対照群77%、Vi-TT群とVi-PS群は35% 被験者は112例(Vi-TT群41例、Vi-PS群37例、対照群34例)で、そのうち、チャレンジ試験を完了した103例を対象に分析を行った。 腸チフス感染基準を満たし罹患したと診断された割合は、対照群77%(24/31例)だったのに対し、Vi-TT群(13/37例)、Vi-PS群(13/35例)はいずれも35%で、ワクチン有効率は、Vi-TT群54.6%(95%信頼区間:26.8~71.8)とVi-PS群52.0%(同:23.2~70.0)だった。 セロコンバージョンは、Vi-TT群が100%、Vi-PS群が88.6%で達成が認められ、ワクチン投与後1ヵ月の幾何平均抗体価はVi-TT群で有意に高率だった。 試験期間中、重篤な有害事象が4件(Vi-TT群1件、Vi-PS群3件)報告されたが、いずれもワクチンとの関連は認められなかった。

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エイズ治療薬:横綱同士の優勝決定戦(解説:岡慎一氏)-742

 先に報告したGS-US-380-1489試験は、ともに1日1回1錠で治療できる合剤同士(bictegravir/エムトリシタビン/テノホビル・アラフェナミド vs.ドルテグラビル/アバカビル/ラミブジン)のRCTであったが、今回の試験は、bictegravirの合剤とドルテグラビル+エムトリシタビン/テノホビル・アラフェナミドの2剤の治療を比較するRCTである。 先のコメントの中で最近治療される9割方がドルテグラビルを含んだ治療と書いたが、実際には、その中の半分がドルテグラビル/アバカビル/ラミブジンの合剤で、残り半分がドルテグラビル+エムトリシタビン/テノホビル・アラフェナミド2剤の治療である。 なぜすべてが1回1錠の合剤にならないかというと、エムトリシタビン/テノホビル・アラフェナミドとアバカビル/ラミブジンの違いにあった。明らかに前者のほうが後者より、治療効果や副作用の面で優れているため、1回2錠になってでもこちらを使用することがあったのである。また、エムトリシタビン/テノホビル・アラフェナミドは、B型肝炎にも極めて有効であり、B型肝炎にも感染しているHIV患者への同時治療や、B型肝炎に感染するリスクの高い男性同性愛者のHIV患者に対してB型肝炎予防にもなっているのである。 さて、今回のRCTでも非劣性が証明された。こうなると、やはり使いやすさの点で、1日1回1錠のQD治療が主流になってくる可能性が高い。GS-US-380-1489試験とGS-US-380-1490試験の結果を合わせて考えると、今後の治療の新しい流れを示唆する臨床試験であった可能性がある。

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エイズ治療薬:横綱同士のQD本割り決戦(解説:岡慎一氏)-741

 2000年以降のエイズ治療薬の進歩は著しく、いまや1日1回1錠を飲めば、HIV感染者の余命は、一般人とほぼ同じである。先進国で、この10年間の治療薬の変遷をみると、当時はプロテアーゼ阻害薬(PI)が治療の中心であった。しかし、PIは他剤との相互作用が問題になることや、副作用として脂質や糖代謝異常が起こり、それが原因での心筋梗塞が増加することが明らかになり、この数年は今回の試験薬であるインテグラーゼ阻害薬(INSTI)がよく用いられている。 現在、新規に治療を開始する患者は、ほぼ9割方INSTIであるドルテグラビルを含んだ治療であり、ドルテグラビルはまさに抗HIV薬の横綱である。 今回のRCTの対照薬であるドルテグラビル/アバカビル/ラミブジンの合剤は、本当に優れた薬剤であるが、唯一の弱点は、成分として含まれているアバカビルが、HLA-B*5701の患者に投与されると重篤な過敏反応を引き起こすため、事前にHLA検査を必要とすることであった。 今回の新薬は、同じINSTIを主成分としたbictegravir/エムトリシタビン/テノホビル・アラフェナミドの合剤である。まさに、現在と未来の横綱対決である。今回のRCTによる第III相試験において非劣性が証明された。今後、使いやすさの勝負になると、HLAの事前検査が不要で、錠剤が小さめな今回の新薬がやや勝る可能性がある。新しい横綱の時代が来るかもしれない。

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敗血症の早期蘇生プロトコル戦略、開発途上国では?/JAMA

 医療資源が限られる開発途上国において、大半がHIV陽性で敗血症と低血圧症を有する成人患者への、輸液および昇圧薬投与による早期蘇生プロトコル戦略では、標準治療と比較して院内死亡が増大したことが示された。米国・ヴァンダービルト大学のBen Andrews氏らがザンビア共和国で行った無作為化試験の結果で、著者は「さらなる試験を行い、異なる低中所得国の臨床設定および患者集団における、敗血症の患者への静脈内輸液と昇圧薬投与の影響を明らかにする必要がある」とまとめている。開発途上国における敗血症への早期蘇生プロトコルの効果は、これまで明らかにされていなかった。JAMA誌オンライン版2017年10月3日号掲載の報告。ザンビアの212例を対象に、無作為化試験で標準治療と比較 研究グループは、輸液、昇圧薬、輸血による早期蘇生プロトコルが、敗血症と低血圧症を有するザンビアの成人患者において、標準治療と比べて死亡率を低下させるかを調べた。2012年10月22日~2013年11月11日に、ザンビア国立病院(1,500床)の救急部門を受診した敗血症および低血圧症を有する成人患者212例を対象に無作為化試験が行われ、2013年12月9日までデータが収集された。 被験者は、1対1の割合で(1)敗血症のための早期蘇生プロトコルの介入を受ける群(107例)、または(2)標準治療を受ける群(105例)に無作為に割り付けられた。(1)は静脈内輸液ボーラス投与と、頸静脈圧、呼吸数、動脈血酸素飽和度のモニタリング、および平均動脈圧65mmHg以上を目標値とした昇圧薬投与の治療、輸血(ヘモグロビン値7g/dL未満)を、(2)は担当医の裁量の下で血行動態管理を行った。 主要アウトカムは院内死亡率で、副次アウトカムは、投与を受けた輸液量、昇圧薬投与の状況などであった。早期蘇生プロトコル群の院内死亡発生が1.46倍に 無作為化を受けた212例のうち3例が適格条件を満たしておらず、残る209例が試験を完了し解析に包含された。209例は、平均年齢36.7歳(SD 12.4)、男性117例(56.0%)、HIV陽性187例(89.5%)であった。 主要アウトカムの院内死亡の発生は、敗血症プロトコル群51/106例(48.1%)、標準治療群34/103例(33.0%)であった(群間差:15.1%[95%信頼区間[CI]:2.0~28.3]、相対リスク:1.46[95%CI:1.04~2.05]、p=0.03)。 救急部門受診後6時間で投与を受けた輸液量は、敗血症プロトコル群は中央値3.5L(四分位範囲:2.7~4.0)、標準治療群は同2.0L(1.0~2.5)であった(群間差中央値:1.2L、95%CI:1.0~1.5、p<0.001)。 昇圧薬の投与を受けたのは、敗血症プロトコル群15例(14.2%)、標準治療群2例(1.9%)であった(群間差:12.3%、95%CI:5.1~19.4、p<0.001)。

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迅速分子検査法、超多剤耐性結核菌を検出可能か/NEJM

 試薬カートリッジを用いて喀痰検体から直接、薬剤耐性結核菌の同定が可能な自動分子検査法について、研究開発中の試薬カートリッジを臨床評価した結果、イソニアジド、フルオロキノロン系薬、アミノグリコシド系薬への耐性と関連する結核菌の変異を、正確に検出可能であることが確認された。米国・国立アレルギー・感染症研究所のYingda L. Xie氏らが、NEJM誌2017年9月14日号で報告した。同検査法については、試薬カートリッジXpert MTB/RIFと解析器GeneXpertを用いたシステムが、2時間で結核菌群およびリファンピシン耐性遺伝子を検出可能であり、世界中の結核プログラムで使用されている。一方、フルオロキノロン系薬と注射二次薬は、多剤耐性結核の治療の柱であるが、これらに耐性を示す場合は超多剤耐性結核と定義される。開発中の試薬カートリッジは、そうした患者の迅速な検出や、リファンピシン耐性患者の適切な抗菌薬選択に有用なものと期待されていた。表現型薬剤感受性試験、DNAシーケンスと比較検証 研究グループは、中国の鄭州と韓国のソウルで結核症状を呈する成人を登録し、開発中の試薬カートリッジ(GeneXpertで分析)アッセイと、表現型薬剤感受性試験およびDNAシーケンスを比較する、前向き診断精度研究を行った。 各参加者の喀痰検体を用いて、まず、ダイレクトに開発中アッセイおよびXpert MTB/RIFアッセイを行い、さらに、喀痰検体を前処理後に塗抹法、液体培養、固体培養を行った。結核菌分離株を用いて、表現型薬剤感受性試験と、katG、gyrA、gyrB、rrsの各遺伝子と、eis、inhAのプロモーター領域のDNA塩基配列決定を行った。迅速ポイントオブケア検査としての将来性は十分 2014年6月~2015年6月に、総計405例が登録され、401例が試験適格基準を満たした。このうち、結核菌培養陽性であった308例が、主要解析集団に包含された。 308例において、表現型薬剤感受性試験を参照基準とした場合、開発中アッセイの表現型耐性検出の感度は、イソニアジドが83.3%(95%信頼区間[CI]:77.1~88.5)、オフロキサシンは88.4%(95%CI:80.2~94.1)、モキシフロキサシン(限界濃度0.5μg/mL)87.6%(95%CI:79.0~93.7)、モキシフロキサシン(限界濃度2.0μg/mL)は96.2%(95%CI:87.0~99.5)、カナマイシン71.4%(95%CI:56.7~83.4)、アミカシン70.7%(95%CI:54.5~83.9)であった。 また、表現型耐性検出の特異度は、モキシフロキサシン(限界濃度2.0μg/mL)については84.0%(95%CI:78.9~88.3)であったが、それ以外のすべての薬剤については94.3%以上であった。 DNA塩基配列決定を参照基準とした場合、開発中アッセイの耐性関連変異検出感度は、イソニアジド98.1%(95%CI:94.4~99.6)、フルオロキノロン系薬が95.8%(95%CI:89.6~98.8)、カナマイシン92.7%(95%CI:80.1~98.5)、アミカシンは96.8%(95%CI:83.3~99.9)であった。特異度はすべての薬剤について99.6%(95%CI:97.9~100)以上であった。 今回の結果を踏まえて著者は、「開発中のアッセイは、結核患者の治療決定をガイドするための、迅速ポイントオブケア検査としての将来性が確信される」とまとめている。

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米国で経鼻弱毒生インフルエンザワクチンが非推奨へ変更された理由(解説:小金丸博氏)-739

 米国では2003年より、経鼻タイプの弱毒生インフルエンザワクチンが導入された。経鼻弱毒生ワクチンは一般的な不活化ワクチンと比べて予防効果が高いとされ、とくに小児領域で高い評価を受けてきた。日本でも2016年に承認申請が出され、国内での流通開始が待ち望まれていたワクチンだったが、米国予防接種諮問委員会(ACIP)は一転「2016-17年シーズンの弱毒生インフルエンザワクチンの接種を推奨しない」と勧告した。本論文を読むことで、経鼻弱毒生ワクチンが非推奨へ変わった理由を知ることができる。 本研究は、米国における2015-16年シーズンのインフルエンザワクチンの有効性をtest-negative designを用いて評価した症例対照研究である。急性呼吸器疾患で受診した生後6ヵ月以上の患者を対象とし、鼻咽頭スワブ検体のRT-PCR陽性をもって確定診断とした。その結果、あらゆるインフルエンザ疾患に対するインフルエンザワクチンの効果は48%(95%信頼区間:41~55、p<0.001)だった。2~17歳の小児における効果をワクチンのタイプ別にみてみると、不活化ワクチンの効果は60%だったが、弱毒生ワクチンは5%と効果を確認できなかった。とくに、インフルエンザA(H1N1)pdm09に対して弱毒生ワクチンは予防効果を示さなかった。 本試験で用いられたtest-negative designは、診断陰性例を対照(コントロール)としてワクチン効果を判定する方法である。毎年、各国から報告されるインフルエンザワクチンの効果判定の多くはtest-negative designを用いて行われており、世界的には広く浸透している手法である。 2013-14年シーズンから弱毒生インフルエンザワクチンの効果が落ちていることが報告されはじめた。その傾向が2014-15年シーズン、2015-16年シーズンと続き、米国では経鼻弱毒生インフルエンザワクチンが推奨から外れることにつながった。日本での導入にも少なからず影響が出ると思われる。これらのシーズンでは不活化ワクチンは有効性を示しており、ワクチン株と流行株が不一致だったわけではない。弱毒生ワクチンの効果が低くなってしまった理由として、ワクチン株の耐熱性やワクチンに含まれるウイルス間の干渉などが指摘されているが、明確な理由は判明しておらず、今後の原因究明を期待したい。

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日本初、ワルファリンでの出血傾向を迅速に抑える保険適用製剤

 ワルファリン服用者の急性重篤出血時や、重大な出血が予想される手術・処置の際に、出血傾向を迅速に抑制する日本初の保険適用製剤として、乾燥濃縮人プロトロンビン複合体(商品名:ケイセントラ静注用)が9月19日に発売された。発売に先立ち、15日に開催されたCSLベーリング株式会社による記者発表において、矢坂 正弘氏(国立病院機構九州医療センター脳血管センター 部長)が、本剤の開発経緯や臨床成績、位置付けについて講演した。その内容をお届けする。ケイセントラは厚生労働省への早期開発要望により開発 ワルファリンは直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)より適応が広く、腎機能が低下している高齢者など幅広い患者に使用できる。しかし、ワルファリン投与中は頭蓋内出血を発症しやすく、大出血時には休薬などの処置に加え、ビタミンKの投与、新鮮凍結血漿の投与が行われる。これらの投与に関して矢坂氏は、ビタミンKは緊急止血には間に合わず、新鮮凍結血漿は800mL~1Lの投与が必要だが心不全を防ぐためにゆっくり投与せざるを得ず、また輸血による感染症のリスクもあったことを指摘した。 今回発売されたケイセントラは乾燥濃縮人プロトロンビン複合体であり、1996年にドイツで承認されて以降、欧州各国で承認され、2017年1月時点で米国を含む42の国と地域で承認されている。日本では、2011年に厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会」の開発要望募集で日本脳卒中学会が早期開発要望書を提出し、厚生労働省がCSLベーリング社に開発を要請、今年3月に「ビタミンK拮抗薬投与中の患者における、急性重篤出血時、又は重大な出血が予想される緊急を要する手術・処置の施行時の出血傾向の抑制」を効能・効果として承認された。30分以内の速やかなPT-INRの是正効果においてケイセントラの非劣性が確認された ケイセントラの臨床試験成績について、矢坂氏はまず、海外で実施された2つの第III相試験を紹介した。1つは、ビタミンK拮抗薬投与中に急性重篤出血を来した患者を対象に、全例にビタミンKを静脈内投与し、ケイセントラ投与もしくは血漿投与に無作為に割り付け、止血効果と速やかなPT-INRの是正効果を比較した無作為化非盲検非劣性多施設共同試験である。本試験で、投与終了後30分以内にPT-INRが1.3以下に低下した患者の割合は、ケイセントラ群が62.2%で血漿群の9.6%に対して非劣性が確認された。また、投与開始から24時間までの止血効果が有効であった患者の割合についても、ケイセントラ群が72.4%と血漿群の65.4%に対して非劣性が確認された。 もう1つは、ビタミンK拮抗薬投与中で緊急の外科手術または侵襲的処置を要する患者を対象とした無作為化非盲検非劣性多施設共同試験で、全例にビタミンKを投与し、ケイセントラ投与もしくは血漿投与に無作為に割り付けた。試験の結果、投与終了後30分以内にPT-INRが1.3以下に低下した患者の割合は、ケイセントラ群55.2%、血漿群9.9%、また投与開始から外科手術または侵襲的処置終了までの間に止血効果が有効であった患者の割合は、ケイセントラ群89.7%、血漿群75.3%と、どちらも血漿群に対しケイセントラの非劣性が確認された。 また、日本人を対象とした国内の第III相試験では、ビタミンK拮抗薬療法に起因する抗凝固状態で急性重篤出血を来した、あるいは外科手術または侵襲的処置を要する患者に対して、ビタミンKとケイセントラ投与により、PT-INR中央値はベースラインの3.13から、投与終了後30分で1.15に減少した。 最後に矢坂氏は、「ワルファリンは幅広い適応を持っているので今後も使われていく薬剤だが、注意すべきは出血性合併症」と述べ、ケイセントラの発売で「ワルファリン治療中の大出血時、緊急手術が必要な場合にワルファリン作用の緊急是正に使用できるようになり、非常に期待される」と締め括った。

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HIV-1の初回治療レジメン、bictegravir vs.ドルテグラビル/Lancet

 未治療のHIV感染成人患者において、新規インテグラーゼ阻害薬(INSTI)のbictegravirとヌクレオチド逆転写酵素阻害薬(NRTI)エムトリシタビン(FTC)/テノホビル・アラフェナミド(TAF)の配合薬による48週時のHIV抑制効果は、ドルテグラビル+FTC/TAFに対して非劣性であることが確認された。どちらのレジメンも治療下で治験薬に対する耐性は確認されず、bictegravirレジメンはドルテグラビルレジメンより忍容性が良好であった。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のPaul E. Sax氏らが、第III相多施設共同無作為化二重盲検非劣性比較試験(GS-US-380-1490)の結果を報告した。INSTIとNRTI 2剤の併用投与は、HIVの初回治療として推奨されているが、アドヒアランス向上のためには固定用量の配合薬が好まれている。Lancet誌オンライン版2017年8月31日号掲載の報告。未治療HIV感染成人患者約650例で有効性と安全性を比較 研究グループは、2015年11月11日~2016年7月15日に、オーストラリア、欧州、中南米、北米の10ヵ国126施設において、HIV-1 RNA≧500コピー/mLの未治療HIV感染成人患者(推定糸球体濾過量30mL/分以上、慢性B型肝炎またはC型肝炎ウイルスの重感染を含む)657例を、bictegravir(50mg)/FTC(200mg)/TAF(25mg)固定用量配合薬群(bictegravir群、327例)、またはドルテグラビル(50mg)+FTC(200mg)/TAF(25mg)配合薬併用療法群(ドルテグラビル群、330例)のいずれかに1対1の割合で無作為に割り付け、それぞれ1日1回144週間経口投与した。研究者、患者、試験スタッフおよび評価者は、割り付けに関して盲検化された。 主要エンドポイントは、48週時に血漿中HIV-1 RNAが50コピー/mL未満を達成した患者の割合(ウイルス学的著効率)で、事前に設定した非劣性マージンは-12%(米国FDAが定義したsnapshot アルゴリズム解析)。1回以上治験薬の投与を受けたすべての患者を、有効性および安全性の解析対象とした。bictegravir群とドルテグラビル群、どちらもウイルス学的著効率は約90% 有効性評価解析(bictegravir群320例、ドルテグラビル群325例)において、48週時のウイルス学的著効率は、bictegravir群89%、ドルテグラビル群93%(群間差:-3.5%、95.002%信頼区間[CI]:-7.9~1.0、p=0.12)で、bictegravir群のドルテグラビル群に対する非劣性が認められた。 治験薬に対する耐性は観察されなかった。有害事象の発現率および重症度は両群間で類似しており、有害事象により治療を中止した患者はほとんどいなかった(bictegravir群320例中5例[2%]、ドルテグラビル群325例中1例[<1%])。試験薬関連の有害事象の発現率は、bictegravir群がドルテグラビル群より少なかった(18% vs.26%、p=0.022)。

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HIV-1感染患者への初回治療、bictegravirレジメンが有用/Lancet

 未治療HIV-1感染患者に対する、新規の強力なインテグラーゼ阻害薬(INSTI)bictegravirを含むエムトリシタビンとテノホビル・アラフェナミドとの配合薬(B/F/TAF)の、48週後のウイルス学的著効率は92%で、ドルテグラビルとアバカビルおよびラミブジンの配合薬(DTG/ABC/3TC、商品名:トリーメク配合錠)に対する非劣性、および安全性、消化管系の忍容性が良好であることが示された。米国・Southwest CARE CenterのJoel Gallant氏らが、631例を対象に行った実薬対照無作為化非劣性試験の結果、明らかにし、Lancet誌オンライン版2017年8月31日号で発表した。結果を踏まえて著者は、「B/F/TAF投与は、事前のHLA-B*5701検査が不要で、HIVとB型肝炎の複合感染患者に対するガイドラインの推奨治療である。臨床における迅速または初回治療に向いたレジメンと思われる」とまとめている。48週の血漿HIV-1・RNA量50コピー/mL未満の割合を比較 研究グループは2015年11月13日~2016年7月14日にかけて、欧州、中南米、北米の122ヵ所の外来診療所を通じて、18歳以上のHIV-1感染患者631例を対象に試験を開始した。被験者は、HIV-1感染未治療(HIV-1・RNA量:500コピー/mL以上)、HLA-B*5701陰性、B型肝炎ウイルス陰性で、遺伝子型スクリーニングの結果、エムトリシタビン、テノホビル、ラミブジン、アバカビル感受性を示し、推定糸球体濾過量は50mL/分以上だった。 被験者を無作為に2群に分け、一方にはbictegravir 50mg、エムトリシタビン200mg、テノホビル・アラフェナミド25mgを(B/F/TAF群316例)、もう一方にはドルテグラビル50mg、アバカビル600mg、ラミブジン300mgの配合薬を(対照群315例)、それぞれ1日1回144週間にわたり投与した。 無作為化は、HIV-1・RNA量(10万以下、10万超~40万以下、40万超[単位:コピー/mL])、CD4数(50個未満、50~199個、200個以上[/μL])、試験地(米国内または外)で層別化。研究者、被験者、試験治療担当者、アウトカム評価者、データ収集者は、割り付けを知らされなかった。 主要エンドポイントは、48週時点における血漿HIV-1・RNA量50コピー/mL未満(米国FDAアルゴリズムによる定義)だった患者の割合。事前に規定した非劣性マージンは-12%だった。悪心発現率はB/F/TAF群でより低率 解析は、試験薬を1回以上服用したB/F/TAF群314/316例、対照群315/315例を対象に行われた。 48週時点で主要エンドポイントを達成した患者の割合は、B/F/TAF群92.4%(290/314例)に対し、対照群93.0%(293/315例)で、群間差は-0.6%(95.002%信頼区間[CI]:-4.8~3.6、p=0.78)と、B/F/TAF群の非劣性が示された。 試験治療下での治療抵抗性はいずれの群でも認められなかった。有害事象の発現率や重症度は両群で類似していたが、悪心の発現率について、B/F/TAF群(10%)が対照群(23%)に比べ有意に低率だった(p<0.0001)。 試験薬関連の有害事象もB/F/TAF群が少なかった(26% vs.40%)。群間の差は、薬剤関連の悪心の発現率の有意差に起因していた(5% vs.17%、p<0.0001)。

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ワクチンの安全性をどう伝えるか

 2017年8月23日、国立国際医療研究センターの国際感染症センター予防接種支援センターと、国際医療協力局グローバルヘルス政策研究センターは、国立国際医療研究センター病院内で「予防接種とコミュニケーション~メディアや専門家が伝えていること、いないこと~」をテーマに、講演とパネルディスカッションを開催した。ワクチンの正しい知識の底上げが大事 はじめに医療者の立場から氏家 無限氏(同センター予防接種支援センター)が、「定期の予防接種における一時中止・積極的勧奨の差し控え」と題して、講演を行った。 わが国では、国民の健康保持と予防接種被害の救済の目的のもと制定されている予防接種法に基づき、小児、成人への予防接種が行われている。また、万が一、健康被害が起こっても副反応報告制度とともに、予防接種健康被害救済制度などにより、被接種者の保護がなされている。 実際、1975年のDPT(三種混合)ワクチン、2000年のポリオワクチン(Lot.39)の一時中止、2005年の日本脳炎ワクチンの積極的勧奨差し控えを例に挙げ、いずれもその後に、安全性の確認されたワクチンなどが上市されても、社会的な影響は大きく長く続き、ワクチン未接種者を生む結果となったと問題を提起した。 そして今、HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンが同じような状態になっていると指摘する。2013年の積極的勧奨差し控え以降(公費助成は継続)、それまで実施対象者の75.3%が接種していたワクチン実施率も、2014年には0.7%にまで落ち込んだという。 同ワクチンは、現在も厚生労働省の審議会で安全性の審議がされているが、「デメリットが強調されやすいワクチンの特性を理解したうえで、医療従事者やメディアが中心となって、全体の関心、知識、理解の底上げを行っていくことが重要であろう」と述べ、レクチャーを終えた。若者の健康を守ることは次代への投資 同じく医療者の立場から北村 邦夫氏(一般社団法人 日本家族計画協会 理事長)が、「女性の健康」と題して、レクチャーを行った。 最初に『世界人口白書(2003年)』からの引用として「思春期の若者の健康と権利への投資は次世代に大きな利益をもたらす」と若年者への健康配慮の重要性を説いた。具体的には10代での避妊や性感染症の検査・治療、とくにコストについて触れ、クリニックの利用などほぼ公費で無料である欧米各国と比べ、わが国には補助制度がなく、著しく遅れている現状を紹介。デリケートな内容だけに、親や社会が触れることに積極的ではないと指摘する。 また、HPVワクチンについて言及し、わが国では1年間に約1万人の女性に子宮頸がんが発症し、1年間に約3,000人の女性が本症で死亡し、20~30代女性で罹患率・死亡率ともに増加している中で、ワクチン非接種の女性が出産年齢を迎えている。早急にワクチンの有効性をエビデンス1-4)を基に説明し、ワクチン接種の必要性と重要性を啓発する必要があると提案する。「諸外国より遅れているワクチンギャプを一刻も早く解消することが若者を救う近道」と述べ、レクチャーを終えた。●参考文献1)Ozawa N, et al. Tohoku J Exp Med. 2016;240:147-151.2)Tanaka H, et al. J Obstet Gynaecol Res. 2017 Jul 14. [Epub ahead of print]3)Matsumoto K, et al. Int J Cancer. 2017;141:1704-1706.4)World Health Organaization. Weekly epidemiological record. 2017;92:393-404.メディアは科学的根拠に基づいた報道で世論形成を 続いて報道の立場から岩永 直子氏(BuzzFeeD JAPAN)が、「子宮頸がんワクチンの報道について」をテーマに、現在の報道の在り方と今後の方向性についてレクチャーを行った。 HPVワクチンは、2013年6月の「積極勧奨の中止」以降、医療者の間でも接種に消極的な医師が増え、事実上、わが国では接種がストップしてしまった。 これについてメディアは、接種が再開されないことに疑問を呈しながらも、副反応やネガティブな情報の両論併記をすることで、一般の受け手の不安を増大させたと、同氏は指摘する。また、ワクチンの専門家が、接種中止の弊害を発信しても、それが一般の受け手に届いていないという現実もあるという。今、世界中でHPVワクチンの科学的知見が蓄積されている。これらの客観的な価値判断をメディアは行い、伝える必要性があると指摘する。 具体的には、「行政、医学界、メディアが科学的な根拠を捻じ曲げた判断をせずに、最新の科学的根拠を、この三者が連携して絶えず発信することで、世論形成をするべきではないか」と提案し、レクチャーを終えた。求められる情報の受け手に配慮した情報発信 続いて、堀 成美氏(国際感染症センター 感染症対策専門職)が、情報を受ける側の立場から、メディアへの要望などを述べた。 HPVワクチンの報道では、メディアが不安をあおるようなものが多数見られた。その情報を得て、受け手が不安になりWebなどで検索することで、さらに不安を増大させる現象があったと指摘する。問題は、メディアが「続報」をきちんと伝えないことであり、一度流れた情報が修正されないまま、今日まで来ているという。また、医学系学会などの情報発信も一般の受け手を意識した発信を行っているかどうか(たとえば専門用語で難しい、読みやすさなど工夫がないなど)、受け入れ易い情報発信をしているかどうか検討する必要があると語った。各国各様のワクチン啓発事情 後半では、ブータン、マレーシア、オーストラリア、スコットランド(イギリス)、デンマーク、アイルランドからのパネリストも交え「報道、専門家は何を伝え、伝えていないか~海外のHPVワクチン事情を例に~」をテーマに、パネルディスカッションが行われた。 ブータン、マレーシア、オーストラリア、スコットランドでは、HPVワクチンの学校接種が行われ、印刷物、ラジオ、テレビなどを使用し、予防接種推奨のメッセージを発信し続けている。その成果もあり、ワクチンに否定的なメディアもあまり見られないという。 一方、デンマークでは、2015年に放映された副反応を取り上げたテレビ番組などにより、日本と同様の問題に直面している。また、アイルランドでも、副反応の刺激的な取り上げ方がメディアで行われたものの、厚生大臣が先頭に立ち、政府がエビデンスに基づいた情報を発信、ワクチン接種推奨の啓発活動を行っていると紹介した。 このほか、今後の情報発信ツールとして「FacebookなどのSNS」を通じて、「短いメッセージでさまざまなワクチンの有効性を発信する」、「同じ内容を繰り返し動画配信する」などさまざまな事例や建設的な提案がなされディスカッションを終えた。■参考厚生労働省 予防接種情報

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動脈硬化へのカナキヌマブ、がん発症への影響は/Lancet

 インターロイキン‐1β(IL-1β)抗体カナキヌマブを、心筋梗塞歴があり、高感度CRP(hsCRP)値が2mg/L以上のアテローム性動脈硬化症患者に投与することで、肺がん発症リスクと同死亡リスクが有意に低下する可能性が示された。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のPaul M. Ridker氏らが、カナキヌマブの血管イベント再発抑制に関する無作為化二重盲検プラセボ対照試験「CANTOS試験」の、事前に規定していた2次(探索的)解析を行い明らかにした。Lancet誌オンライン版2017年8月25日号掲載の報告。1万例超を中央値3.7年で追跡 研究グループは、心筋梗塞歴があり、hsCRP値が2mg/L以上のアテローム性動脈硬化症患者で、がんの診断を受けたことがない1万61例を対象に試験を行った。 用量依存的な有効性を評価するため、被験者を4群に分け、カナキヌマブ50mg、150mg、300mg、プラセボをそれぞれ3ヵ月ごとに皮下投与した。追跡期間の中央値は3.7年だった。 2次解析のエンドポイントは、がん発症・死亡で、カナキヌマブ投与の割り付けをマスクされたがんエンドポイント委員会が判定を行った。解析はintention to treatにて行った。カナキヌマブ300mg群でがん死亡0.49倍、肺がん死亡0.23倍 ベースラインのhsCRP値とインターロイキン-6値の中央値は、追跡期間中に肺がんを発症した患者でいずれも高かった。どのがんも発症しなかった患者との比較で、それぞれ6.0 vs.4.2mg/L、3.2 vs.2.6ng/Lだった(いずれもp<0.0001)。 カナキヌマブ投与により、追跡期間中のhsCRP値とインターロイキン-6値には用量依存的抑制効果が認められ、それぞれ26~41%、25~43%の低下がみられた(すべての比較についてp<0.0001)。 がんによる死亡は全体で196例であり、カナキヌマブ投与プール群がプラセボ群に比べ有意に少なかった(傾向のp=0.0007)。カナキヌマブ投与量別にみると、300mg群でのみプラセボ群に比べがん死亡率が有意に低率だった(ハザード比[HR]:0.49、95%信頼区間[CI]:0.31~0.75、p=0.0009)。 肺がんを発症したのは129例だった。同発症率は、150mg群と300mg群でプラセボ群に比べ有意に低かった(HRは150mg群:0.61[95%CI:0.39~0.97、p=0.034]、300mg群:0.33[95%CI:0.18~0.59、p<0.0001]、また傾向のp<0.0001)。 肺がん死亡率は、300mg群ではプラセボ群に比べ大幅に低く、HRは0.23(95%CI:0.10~0.54、p=0.0002)で、カナキヌマブ投与群全体でも有意に低かった(傾向のp=0.0002)。 致死的感染症や敗血症は、カナキヌマブ群でプラセボ群に比べ高率だった。全死因死亡率は、両群で同等だった(HR:0.94、95%CI:0.83~1.06、p=0.31)。 これらの結果を踏まえて著者は、「肺がんは事前に規定した正式なエンドポイントではなかったが、発症および死亡が有意に低下する可能性が示された。これらのデータが、正式ながんスクリーニングや治療設定の下でも示されるかを調べる必要がある」とまとめている。

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日本脳炎に気を付けろッ! その2【新興再興感染症に気を付けろッ!】

ケアネットをご覧の皆さま、こんにちは。国立国際医療研究センター 国際感染症センターの忽那です。本連載「新興再興感染症に気を付けろッ!」、通称「気を付けろッ」は「新興再興感染症の気を付け方」についてまったりと、そして時にまったりと、つまり一貫してまったりと学んでいくコーナーです。今回は日本脳炎の続きのお話をしたいと思います。前回、日本国内での日本脳炎症例は戦後年間5,000例超を数えていましたが、現在では年間10例未満ほどまで減少しているというお話をしました。もはや「制圧寸前」と言っても過言ではないッ!では、日本脳炎ウイルスは、日本国内から消えようとしているというのかッ!? 実はそうではありません…日本脳炎ウイルスは今もわれわれの周りに存在しているのですッ!日本脳炎患者の発症傾向は「西高東低」画像を拡大する図は、国立感染症研究所が行ったブタさんの日本脳炎ウイルス抗体を地域ごとに調べたものです。なぜブタの抗体を調べるのかといいますと、1つは前回お話したとおり、ブタが日本脳炎ウイルスのリザーバーだからです。そしてもう1つは、ブタさんは必ず1年以内に出荷されてしまうからですッ!(泣) つまり、その地域のブタの抗体陽性率は、リアルタイムにその地域における日本脳炎ウイルスの流行状況を反映していると言えるのですッ! そういう点を踏まえて図をもう一度見てみましょう。2015年9月時点で、北海道から東北地方にかけては抗体陽性率が0%になっています。これらの地域では日本脳炎ウイルスは、蔓延しているとは言えないでしょう。福島県あたりから抗体陽性率<50%の地域が出てきます。そして、関東から西日本にかけては、抗体陽性率が高い地域が多くなってきます。九州・四国では抗体陽性率が80%以上の地域も珍しくありません。実際にこのブタさんの抗体陽性率と一致して、ヒトでの感染例も西高東低の傾向にあります。昨年も長崎県対馬市で4例の日本脳炎症が報告されています。というわけで、ヒトへの日本脳炎の感染者数は減ってはいますが、日本脳炎ウイルス自体は、日本国内でまだまだ蔓延している状況がおわかりいただけましたでしょうか。急がれる「より早期のワクチン接種」では、なぜここまでヒトでの感染者数が減ったのかといいますと、やはり日本脳炎ワクチンの接種率向上によるものが大きいと考えられています。ワクチン、素晴らしいッ! 定期接種、最高ッ! それでは現在の日本脳炎ワクチンの定期接種スケジュールが最高のものなのかというと…異議ありッ! というのが私の意見です。2015年に千葉県で生後11ヵ月児の日本脳炎感染例が報告されました。生後11ヵ月児が日本脳炎に…ここに現在の日本脳炎ワクチンの定期接種スケジュールの落とし穴があるのです!現在の日本脳炎ワクチンの定期接種スケジュールは、次の表のとおりです。画像を拡大する上のように、3〜4歳から接種を開始することになっているのです。だから0歳児には罹患するリスクがあるというわけです。ほかにも過去10年くらいでは、熊本県で2006年に3歳児、高知県で2009年に1歳児、沖縄県で2011年に1歳児が日本脳炎に罹患したと報告されています。3歳になるまでにも日本脳炎に罹患することがあるのに、なぜ3歳から接種開始なのか…それは誰にもわからないのですッ!!(泣) 先日、ワクチンの専門家にこの話を伺ったところ、とくに3歳からである必然性はないとのことでした。実は定期接種1期として接種可能な時期は生後6~90ヵ月となっており、生後6ヵ月以上であればいつでも接種可能なのです。実際に、千葉県などでは日本脳炎ワクチンの定期接種スケジュールを前倒しにして、生後6ヵ月から接種を開始している都道府県もあります(素晴らしいッ!泣)。最近、日本小児科学会も日本脳炎患者が発生した地域やブタの日本脳炎抗体保有率が高い地域に居住する小児に対しては、生後6ヵ月からの日本脳炎ワクチンの接種を推奨しています。この動きが広がると良いなあと思っております。アジアからアフリカに渡った日本脳炎さて、最後に今年の日本脳炎のトピックをご紹介いたします。日本脳炎といえば前回お話したとおり、アジアで流行している感染症なのですが、なんと最近アフリカでも日本脳炎の症例が報告されました1)。アフリカで日本脳炎って…すごい世の中になったものです。昨年、アンゴラで黄熱がアウトブレイクしたことは本連載「黄熱に気を付けろッ その1」でもご紹介したとおりですが、そのときの黄熱の症例の中に日本脳炎との共感染の事例があったという報告が先日“The New England Journal of Medicine”に掲載されました。前回のその1でもお話したとおり、人は最終宿主ですから、人がアジアからアフリカまでウイルスを運んだわけではないでしょう。そうすると蚊か鳥かブタかということになりますが、蚊はそんなに距離を移動できませんし、ブタは紅の豚以外は飛べませんし、だとすると渡り鳥が運んだのでしょうか…非常に興味深い事例であります。これからはアフリカ帰国後の脳炎患者では、日本脳炎を鑑別に挙げる必要が…あるのでしょうかねえ…。さて、次回は日本でも罹患するかもしれない感染症「バベシア症」についてご紹介したいと思いますッ!1)Simon-Loriere E, et al. N Engl J Med. 2017;376:1483-1485.

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