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第250回 エムポックス薬の日本承認に専門家が驚いている

エムポックス薬の日本承認に専門家が驚いているエムポックスに適応を有する抗ウイルス薬tecovirimatをこの年末に日本が承認したことに専門家が驚いています1)。というのも、昨年に結果が判明した無作為化試験2つ・PALM007試験とSTOMP試験のどちらでもエムポックス治療効果が認められなかったからです。東京の日本バイオテクノファーマが先月12月27日に日本でのtecovirimatの承認を手にしました2,3)。日本での商品名はテポックスで、適応にはエムポックスに加えて、痘そう、牛痘、痘そうワクチン合併症の治療を含みます。コンゴ民主共和国(Democratic Republic of the Congo)での無作為化試験であるPALM007試験の結果は昨夏2024年8月に発表され、クレードIのエムポックスの小児や成人の病変消失の比較で残念ながらtecovirimatはプラセボに勝てませんでした4)。PALM007試験で対象としたクレードIはコンゴ民主共和国やコンゴ共和国(Republic of the Congo)などの中央アフリカのいくつかの国で多く5)、感染の病状はより重く、西アフリカで広まるクレードIIに比べて死亡率が高いことが知られます(クレードIIの死亡率は約4%、クレードIは約11%6))。先月12月に結果が速報されたもう1つの無作為化試験であるSTOMP試験はクレードIIのエムポックス患者を対象とし、病変消失までの期間がtecovirimat群とプラセボ群でやはり差がありませんでした7)。ヒトへ安全に投与しうるが効果のほどはわかっていなかった2022年に、欧州連合(EU)と英国は男性と性交する男性(MSM)におけるエムポックス蔓延を受けてtecovirimatを承認しています。その承認時にEUは新たな試験結果が判明したらその扱いを見直すとしており、実際PALM007試験とSTOMP試験の結果を俎上に載せると欧州医薬品庁(EMA)の部門長Marco Cavaleri氏は言っています1)。また、ブラジル、スイス、アルゼンチンで進行中の試験結果も検討されます。そういう状況で日本がtecovirimatを承認したことはなんとも不可解だとCavaleri氏は話しています。エムポックスの疫学、ワクチン、治療、政策に関する論文8)を昨年11月に発表したメリーランド大学の薬理学者John Rizk氏は、承認の経緯が不可解なことが多いのは承知しているが、それでも日本のtecovirimat承認には驚愕した(shocker to me)と言っています。EUと同様に2022年にtecovirimatを承認した英国はというと、異例な事態の下で承認された薬すべてを毎年見直すことにしているとScienceに伝えています1)。米国FDAはエムポックスへのtecovirimat使用を承認していません。しかし、生物兵器として悪用される恐れがある痘そう(smallpox)への使用を日本と同様に承認しています。tecovirimatのエムポックスと痘そうに対する効果の仕組みは同じであり、痘そうへの同剤の承認も再考が必要かもしれません。生物兵器の襲来に備えた治療は必要だと思うが、tecovirimatに頼るのは気乗りしないとSTOMP試験リーダーTimothy Wilkin氏は言っています1)。参考1)In a ‘shocker’ decision, Japan approves mpox drug that failed in two efficacy trials / Science 2)新医薬品として承認された医薬品について / 厚生労働省3)テポックスカプセル 200mg(Tecovirimat)製造販売承認を取得 / 日本バイオテクノファーマ株式会社4)NIH Study Finds Tecovirimat Was Safe but Did Not Improve Mpox Resolution or Pain / NIH 5)Epidemiology of Human Mpox ‐ Worldwide, 2018-2021 / CDC 6)Bunge EM, et al. PLoS Negl Trop Dis. 2022;16:e0010141.7)The antiviral tecovirimat is safe but did not improve clade I mpox resolution in Democratic Republic of the Congo / NIH8)Rizk Y, et al. Drugs. 2025;85:1-9.

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第226回 インフルエンザ流行深刻化、医療現場は逼迫 子供の脳症にも注意/厚労省

<先週の動き>1.インフルエンザ流行深刻化、医療現場は逼迫 子供の脳症にも注意/厚労省2.新型コロナ感染拡大に歯止めかからず、5年間で死者13万人、高齢者が96%/厚労省3.民間病院に300億円超の財政支援、物価高騰や人件費上昇に対応/東京都4.東京女子医大元理事長を逮捕 1億円超の背任容疑で/東京女子医大5.カテーテル治療後死亡の10件、病院側は医療事故を否定/神戸徳洲会病院6.2度の救急受診も適切な対応取らず後遺障害、病院に5,000万円賠償命令/彦根市立病院1.インフルエンザ流行深刻化、医療現場は逼迫 子供の脳症にも注意/厚労省現在、全国的にインフルエンザが流行し、医療現場は逼迫した状況にある。国立感染症研究所のデータによると、2024年12月29日までの1週間の感染者数は、1医療機関当たり64.39人と過去最多を記録した。年末年始を挟んで感染者数は減少したものの、依然として高い水準で推移しており、予断を許さない状況となっている。今冬の流行の要因として、コロナ禍でインフルエンザの流行が抑制されていたことにより、集団免疫が低下していることが考えられている。とくに、コロナ禍の間に生まれた0~4歳の抗体保有率が低いという調査結果も出ており、今後の感染拡大が懸念されている。現在流行しているウイルスは、2009年に「新型」として流行した「A型」(H1N1)だが、2月以降は「B型」が広がる可能性もあり、型が異なると再度感染する恐れもある。インフルエンザの感染拡大を受け、厚生労働省は治療薬の在庫状況を公表した。1月12日時点で、全国の医療機関における治療薬の在庫は約1,110万人分あり、当面の需要に対応できる見込み。ただし、インフルエンザ治療薬のオセルタミビル(商品名:タミフル ドライシロップ)は供給不足の状態が続いており、厚労省は、同カプセルを調整して使用する場合には「院内製剤加算を算定できる」という見解を示している。インフルエンザの流行により、救急搬送が困難な事例も増加している。群馬県では、1月第2週(6~12日)の救急搬送困難事案が過去最多の159件に上った。また、インフルエンザ患者の増加により、多くの医療機関で病床が逼迫しており、東京都や島根県では、一部の病院で入院制限を行うなど、医療体制に影響が出ている。小児では、インフルエンザ脳症の発症に注意が必要である。けいれんや意識障害、異常行動などがみられる場合は、速やかに医療機関を受診する必要がある。また、高齢者や基礎疾患を持つ患者においても、インフルエンザは重症化のリスクが高いため、注意が必要。インフルエンザの流行は、今後もしばらく続く可能性があり、専門家は、今からでもワクチン接種などを推奨している。参考1)インフルエンザ流行レベルマップ 第2週(国立感染症研究所)2)2025年1月17日 直近1ヶ月間の通常流通用抗インフルエンザウイルス薬の供給状況について[1月12日時点](厚労省)3)インフルエンザ感染者、2週ぶり増加…現在流行の「A型」に続き2月以降は「B型」広がる可能性(読売新聞)4)子どものインフルエンザ脳症に注意を 意識障害や異常行動、重症化も(朝日新聞)5)「一気に増えた」インフル入院 コロナも増加、病院「高齢者に脅威」(同)6)インフルで病床逼迫 救急搬送困難最多159件、状況深刻 群馬県内(上毛新聞)7)インフル流行でタミフルドライシロップ等不足、タミフルカプセル調整使用で【院内製剤加算】等認める(Gem Med)2.新型コロナ感染拡大に歯止めかからず、5年間で死者13万人、高齢者が96%/厚労省新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者が再び増加傾向にある。厚生労働省によると、1月12日までの1週間における定点1医療機関当たりの患者報告数は7.08人で、前の週から1.33倍に増加した。新規感染者数が増加するのは2週ぶりで、全国的な流行期に入ってから患者数が増加するのは4週連続。都道府県別では、岩手県が12.82人と最も多く、次いで宮城県(11.99人)、徳島県(11.51人)と続いている。1月12日までの1週間に、新たに入院した患者数は2,889人で、前の週と比べて295人増えた。厚労省は、冬休みが終わったことで、学校などで感染がさらに広がる恐れもあるとして、引き続き対策の徹底を呼びかけている。COVID-19の感染者が国内で初めて確認されてから、1月15日で5年になる。この5年間で、感染者数は7,000万人以上、死者は13万人に上ると推計され、このうち96%が高齢者となっている。専門家は、COVID-19は依然として脅威であり、高齢者や基礎疾患を持つ人にとってはとくに危険であると指摘している。また、若い人でも後遺症のリスクがあることから、引き続き感染対策を継続する必要があると呼びかけている。具体的には、手洗い、マスクの着用、咳エチケットなどの基本的な感染対策に加え、ワクチン接種も有効な予防策となる。参考1)新型コロナ患者数 前の週の1.33倍に 厚労省“対策徹底を”(NHK)2)新型コロナ患者が前週比1.6倍増 約3.5万人に-定点報告数は3割増の7.08人 厚労省(CB news)3)新型コロナ国内初確認から5年、死者13万人・高齢者が96%(読売新聞)3.民間病院に300億円超の財政支援、物価高騰や人件費上昇に対応/東京都東京都は、2025年度予算案に、都内の全民間病院を対象とした総額321億円の財政支援を盛り込む方針を固めた。コロナ禍後の病院経営は、物価高や人件費の上昇、患者数の減少により厳しさを増しており、医療提供体制の安定確保が課題となっている。都は、都内に約600あるすべての民間病院に対し、入院患者1人当たり1日580円を給付するほか、高齢患者の受け入れや小児科、産科、救急医療の体制確保に対する支援を行う。1病院当たりの給付額は最大で2億円に達する見込みで、いずれの支援も1~3年間の時限措置となる。小池 百合子知事は、「本来は国が診療報酬の改定などで対応すべきものだが、緊急的、臨時的な対応として都内の物価を考慮した支援を行う」と述べている。病院経営は、物価高騰による光熱費や食材費の増加、人手不足による人件費の上昇、コロナ禍の収束後も続く患者の受診控えなどにより、悪化の一途をたどっており、都病院協会のアンケート調査によると、2023年度上半期に赤字だった都内の病院は49.2%に上り、前年同期より17.2ポイント上昇していた。こうした環境を踏まえ都は、安定的な医療体制を支えるには、民間病院への早急な財政支援が不可欠と判断し、今回の財政支援を決定した。高齢化が進む中、医療需要は増加が見込まれる一方、医療従事者の不足や病院の経営難など、医療提供体制の維持には多くの課題がある。都では、今回の財政支援により、医療機関の経営安定化を支援し、都民への医療提供体制の確保を目指すとしている。参考1)東京都 物価高騰対策等で民間病院に321億円支援 来年度予算は約9兆1,500億円(テレビ朝日)2)東京都、都内の全民間病院に総額300億円超の財政支援へ…医療提供体制の安定確保へ(読売新聞)4.東京女子医大元理事長を逮捕 1億円超の背任容疑で/東京女子医大東京女子医科大学元理事長の岩本 絹子容疑者(78)が、大学の資金約1億1,700万円を不正に流用したとして、1月13日に背任容疑で警視庁に逮捕された。岩本容疑者は、2014年に副理事長に、2019年には理事長に就任し、大学病院で起きた医療事故の影響で赤字に転落した大学の経営再建を主導した。しかし、その過程で、人事や経理などの権限を集中させ、「女帝」と呼ばれるほどの強権的な体制を築き、不透明な資金運用を行っていた疑いが持たれている。具体的には、2018年7月~2020年2月にかけて、新校舎建設工事を巡り、1級建築士の男性に実態のないアドバイザー業務の報酬として、大学に約1億1,700万円を支払わせ、その一部が岩本容疑者に還流していたとみられている。警視庁は、2023年3月に大学関係者から告発を受け捜査を開始し、2024年3月には大学本部や岩本容疑者の自宅などを家宅捜索した。その後、押収した資料などを分析した結果、今回の逮捕に至った。大学側は、岩本容疑者の逮捕を受け、謝罪し、再発防止に努めるとしている。警視庁では、岩本容疑者が、大学に他にも損害を与えた疑いがあるとみて、捜査を進めている。参考1)元理事長の逮捕について(東京女子医大)2)東京女子医大の岩本絹子元理事長を逮捕、新校舎工事で不正支出疑い 費用の一部還流か(産経新聞)3)東京女子医科大 元理事長 足立区の病院建設でも5,000万円還流か(NHK)4)岩本絹子容疑者が「5,000万円狙い」で東京女子医大理事会で「工作」(東京新聞)5)東京女子医大元理事長、不正資金送金用の専用口座作らせる…3,700万円自身に還流(読売新聞)5.カテーテル治療後死亡の10件、病院側は医療事故を否定/神戸徳洲会病院神戸徳洲会病院は、カテーテル治療後に患者が死亡した事例など10件について、外部専門家を含む院内検証の結果、医療事故には該当しないと発表した。同病院では2023年1月以降、カテーテル治療後に患者が死亡するなどの事例が12件発生し、うち3件は医療過誤と認められていた。今回検証された10件のうち9件は死亡事例だったが、病院側は「カテーテル検査や治療が死亡の原因になったものはない」と結論付けた。また、治療中に冠動脈損傷の合併症を引き起こした1件についても、処置は適切だったとしている。その一方で、患者や家族への説明が不十分だったことや、医師1人で治療方針を決めていた体制などについては問題があったと認めた。また、残る2件については、第三者による調査などを行い、引き続き医療事故に当たるかどうか検証を進めるとしている。検証対象のうち、唯一の生存例である80代女性は、カテーテル手術後に血管損傷が起こり、術後は息苦しさに襲われたと証言している。病院側は報告書で、血管損傷について「合併症として想定されるもの」と結論付けたが、女性は病院の説明に納得していない様子。カテーテルの専門医は、女性の血管損傷について「合併症は非常にまれで、あっても血がにじむ程度。医師は明らかに訓練不足」と指摘し、報告書でその点への言及がないことを問題視している。神戸徳洲会病院では、2023年7月に循環器内科の男性医師が関わったカテーテル治療後、複数の患者が死亡していたことが発覚し、神戸市から改善命令を受けていた。その後、病院側は改善計画を提出しているが、今回の検証結果を受け、さらなる改善が必要となる可能性もある。参考1)調査報告 循環器内科カテーテル治療・検査に関する事例(神戸徳洲会病院)2)神戸徳洲会病院_カテーテル検査治療個別検証報告(同)3)神戸徳洲会病院 カテーテル治療10件“医療事故にあたらず”(NHK)4)死亡など10件「事故あたらず」…神戸徳洲会がカテーテル報告書公表(読売新聞)5)神戸徳洲会病院、10件「医療事故該当せず」患者死亡問題で見解公表(産経新聞)6.2度の救急受診も適切な対応取らず後遺障害、病院に5,000万円賠償命令/彦根市立病院彦根市立病院(滋賀県彦根市)で2019年、頭痛を訴えて2度にわたり救急受診した高齢女性に対し、医師が適切な検査を行わなかったため、慢性硬膜下血腫の診断が遅れ、女性に高度意識障害などの後遺症が残ったとして、大津地裁は1月17日、彦根市におよそ5,000万円の損害賠償を命じる判決を言い渡した。女性は2度の受診時に「今までに経験したことがない頭痛」などと訴えていたが、医師は鎮痛剤などを処方し、帰宅させていた。2度目の受診の翌日、女性は意識障害を起こして救急搬送され、慢性硬膜下血腫などと診断されて手術を受けたが、後遺症が残ったという。判決で、大津地裁の池田 聡介裁判長は、女性が訴えていた症状や服用していた薬などから、医師は脳の病気などを疑うべきだったと指摘。遅くとも2度目の受診時にCT検査などを行っていれば、後遺症を回避できた可能性が高いとして、病院側の過失を認めた。女性は提訴後の2022年に老衰で死亡しており、遺族が訴訟を引き継いでいた。彦根市立病院は、「判決文が届いていないため、現時点ではコメントを差し控えます」としている。参考1)頭痛で受診した高齢女性めぐり病院運営する市に賠償命令 大津地裁「後遺症、回避できた可能性高い」(京都新聞)2)市に5,000万円賠償命令 彦根市立病院、診断ミスで重い後遺症 地裁(毎日新聞)

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メリオイドーシス(類鼻疽)【1分間で学べる感染症】第19回

画像を拡大するTake home messageメリオイドーシス(類鼻疽)は主に東南アジアや北オーストラリアで多発する感染症。国内への持ち込み例もあるため注意が必要。臨床症状は多様で致死率が高いため、迅速な診断と治療が重要。皆さんは、メリオイドーシス(類鼻疽:るいびそ)という感染症を耳にしたことがありますか。日本で遭遇することはまれではあるものの、さまざまな症状を呈し、20~40%と致死率も高いため、臨床としては疾患の概念と治療のポイントを知っておくことが重要です。今回は、このメリオイドーシスに関して重要なポイントを学んでいきます。原因菌メリオイドーシスは、主に東南アジアや北オーストラリアで発生する感染症で、Burkholderia pseudomalleiという好気性グラム陰性桿菌が原因となります。渡航者を中心として日本でも散見されています。流行地、潜伏期間メリオイドーシスの潜伏期間は1~21日間で、中央値は9日とされています。流行地として東南アジア、北オーストラリアを中心に、中南米でも報告されています。最近では、2022年に米国において、輸入のアロマ用品を媒介としたアウトブレイクが発生しました。臨床症状メリオイドーシスの臨床症状は非常に多様で、肺炎、皮膚や内臓(とくに肝臓や脾臓)の膿瘍、菌血症、さらに骨関節感染症などが報告されています。不明熱として慢性の経過をたどる場合が多いですが、菌血症や肺炎などの基礎疾患を持つ患者では急速に致死的な転帰をたどることもあります。したがって、流行地域への渡航帰りの患者においては、常に鑑別診断の1つとして念頭に置くことが重要です。治療法、注意点治療法としては、初期治療と根治治療の両方が推奨されます。急性期には、セフタジジムまたはメロペネムの点滴が用いられます。状態が改善した後には、ST合剤やアモキシシリン・クラブラン酸による長期の内服治療が必要です。治療の遅れが不幸な転帰を起こす可能性が高いため、迅速な診断と治療介入が求められます。本疾患は、バイオテロリズムの潜在的リスクがあることでも注目されています。感染力の高さから、監視対策の強化や輸入例への迅速な対応、国内外の臨床医に対する啓蒙が求められています。以上、メリオイドーシスは東南アジアや北オーストラリアからの渡航帰りの患者を中心に、上記の臨床症状を見た際に迅速な診断と治療を遂行できるよう心掛けましょう。1)Limmathurotsakul D, et al. Nat Microbiol. 2016;1:15008.2)Wiersinga WJ, et al. N Engl J Med. 2012;367:1035-1044.3)Gee JE, et al. N Engl J Med. 2022;386:861-868.4)Gassiep I, et al. Clin Microbiol Rev. 2020;33:e00006-e00019.

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再発・難治性MMへのtalquetamab+teclistamab、第Ib-II相で有望(RedirecTT-1)/NEJM

 イスラエル・テルアビブ・ソウラスキー医療センターのYael C. Cohen氏らRedirecTT-1 Investigators and Study Groupが、再発・難治性の多発性骨髄腫に対するtalquetamab+teclistamab併用療法の安全性と有効性を評価するRedirecTT-1試験の第Ib-II相の結果を報告した。Grade3/4の感染症の発現頻度がそれぞれの単剤療法と比べて高率であったが、すべての用量群において高い割合の患者で奏効が観察され、推奨された第II相レジメンでは持続的な奏効が示された。talquetamab(抗Gタンパク質共役受容体ファミリーCグループ5メンバーD:GPRC5D)およびteclistamab(抗B細胞成熟抗原)は、CD3を標的としT細胞を活性化する二重特異性抗体薬であり、3種類の標準的な前治療歴を有する再発または難治性の多発性骨髄腫の治療薬として承認されている(本邦では承認申請中)。NEJM誌2025年1月9日号掲載の報告。第Ib-II相試験で、有害事象と用量制限毒性を評価 第Ib-II相試験は、多施設共同非無作為化非盲検試験として現在も進行中である。適格被験者の募集は、カナダ、イスラエル、韓国で行われた。第I相の用量漸増試験では、5つの用量群を評価。その結果を踏まえて第II相試験では、talquetamab 0.8mg/kg+teclistamab 3.0mg/kgの隔週投与が推奨レジメンとされた。 第Ib-II相試験の主要な目的は、有害事象と用量制限毒性の評価であった。Grade3/4の有害事象96%、奏効率は推奨レジメン群で80% 2020年12月9日~2023年4月26日に116例がスクリーニングされ、2024年3月15日時点で94例が治療を受け、そのうち44例に推奨された第II相レジメンが用いられた。 追跡期間中央値は20.3ヵ月(範囲:0.5~37.1)、推奨された第II相レジメンを受けた患者の追跡期間中央値は18.2ヵ月(0.7~27.0)であった。5つの全レジメン群において、計49例(52%)が併用療法を継続していた。年齢中央値は64.5歳、診断後期間中央値は6.1年、前治療歴中央値は4種類であった。 用量制限毒性は3例に発生した(第II相レジメン群のGrade4血小板減少症1例を含む)。 5つの全レジメン群で最も多くみられた有害事象は、サイトカイン放出症候群、好中球減少症、味覚の変化、皮疹を除く皮膚障害であった。 Grade3/4の有害事象は全レジメン群で96%に発現し、最も多くみられたのは血液学的事象であった。Grade3/4の感染症は64%に発現した。 奏効が認められた患者の割合は、第II相レジメン群で80%(髄外病変を有する患者では61%)、5つの全レジメン群で78%であった。奏効が持続している患者の割合は、18ヵ月時点で第II相レジメン群86%(髄外病変を有する患者では82%)、5つの全レジメン群77%であった。

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敗血症が疑われる入院患者に対するバイオマーカーガイド下の抗菌薬投与期間(解説:寺田教彦氏)

 本研究は、敗血症が疑われる重篤な入院成人患者に対して連日血液検査を行い、バイオマーカー(プロカルシトニン[PCT]またはC反応性タンパク質[CRP])のモニタリングプロトコールに基づいた抗菌薬中止に関する助言を臨床医が受けた際の、標準治療と比較した有効性(総抗菌薬投与期間)と安全性(全死因死亡率)を評価している。 本論文の筆者は、ジャーナル四天王「敗血症疑い患者の抗菌薬の期間短縮、PCTガイド下vs.CRPガイド下/JAMA」にもあるように、有効性(無作為化から28日までの総抗菌薬投与期間)はDaily PCTガイド下プロトコール群(以下PCT群)で認め(期間短縮)、Daily CRPガイド下プロトコール群(以下CRP群)では有意差なし。安全性(無作為化から28日までの全死因死亡)はPCT群で非劣性だが、CRP群では非劣性の確証は得られなかった、と結論付けている。 本研究を評価するに当たって、まず、ガイド下とは具体的にどのような手順だったのかを確認する。 本文のInterventionによると、試験患者らは、無作為化後、敗血症に対する抗菌薬の中止あるいは退院まで毎日血液を採取された。そして、患者の治療医師らは、以下のような抗菌薬中止に関する書面助言を毎日受け取っていた(Supplement3のeTable1参照)。(1)PCT群:PCT<0.25μg/Lの場合は、強く抗菌薬中止を支持する(STRONGLY SUPPORTS)。PCTがベースラインから80%以上低下、あるいは0.25μg/L≦PCT≦0.50μg/Lの場合は、抗菌薬中止を支持する(SUPPORTS)。それ以外の場合は、標準療法を支持する。(2)CRP群:CRP<25mg/Lの場合は、強く抗菌薬中止を支持する(STRONGLY SUPPORTS)。CRPがベースラインから50%以上低下した場合は、抗菌薬中止を支持する(SUPPORTS)。それ以外の場合は、標準療法を支持する。(3)標準治療群:常に標準療法を支持する。 次に、上記のプロトコールにより、書面助言で抗菌薬中止の推奨や強い推奨をされた頻度を確認する。 無作為化から抗菌薬を最初に中止あるいは強く中止の書面助言を受け取るまでの期間は、eTable29によると、PCT群が中止の推奨を受け取るまでの時間は平均3.7日、SDは1.9日、件数は502件だった。強く中止の推奨を受け取るまでの時間は平均3.5日、SDは3.8日、件数は248件だった。CRP群では中止の推奨を受け取るまでの時間は平均3.7日、SDは2.3日、件数は519件だった。強く中止の推奨を受け取るまでの時間は平均5.1日、SDは4.0日、件数は139件だった。 敗血症期間の抗菌薬総投与期間は、PCT群では平均7.0日、SDは5.7日で、CRP群では平均7.4日、SDは6.0日だった。 それぞれの治療群で受け取った書面助言の割合は、Supplement3のeFigure6とeTable30に示され、以下のような結果である。PCT群は、1日目の書面助言で約10%程度が強く中止の助言を受けており、その後も10%以上程度は強く中止の助言を受けていそうなグラフだが、CRP群は強く中止の助言は多くはなされず、中止の助言の割合が高かった。このグラフは、上記のPCT群とCRP群の中止や強く中止の推奨の件数と一致する情報と考えられた。 以上のことを参考に、本研究で得られたアウトカムについて考えてみる。今回のアウトカムは抗菌薬総投与期間だが、バイオマーカー結果は臨床医に抗菌薬中止に関する書面助言を与えたのみで、最終的に抗菌薬の投与中止を判断したのは臨床医だった。臨床医は、抗菌薬中止の書面助言が、PCTに基づく推奨かCRPに基づく推奨かはわからなかったため、書面助言結果を科学的な判断材料には用いづらかったのではないかと思う。 本研究での、PCTやCRPに基づく抗菌薬の中止助言の役割は、科学的な知見を臨床医に与えることで抗菌薬を中止したというよりも、単に臨床医に抗菌薬終了のプレッシャーをかけたのではないだろうか。そして、PCTはCRPよりも強く中止を推奨する助言の割合が高かったので、抗菌薬投与期間が短縮されたのではないかと予測する。 本研究結果からわかったこととして、「この研究に参加した医療機関では、PCTガイドにより全死因死亡率を上げることなく、0.88日の抗菌薬投与期間短縮を示した」は事実ではあるが、臨床医の判断基準は所属施設や国により異なる可能性があり、他の医療機関や本邦でも当てはめることができるかは疑問である。また、本研究では連日の採血と生化学検査を必要とするが、本研究で示されたメリットが、連日の血液検査およびPCT/CRP評価による医療従事者(採血者、検査技師)や患者の肉体的・金銭的負担の割に合うかを考える必要もあるだろう。 本研究ではPCTの比較対象としてCRPが用いられた。CRPガイドでは「抗菌薬投与期間の短縮なしで、全死因死亡の非劣性の確証が得られなかった」ことは、PCTが優れていると考えるよりも、CRPの結果をうのみにする診療は避けるべきであることを示唆しているのだろう。 抗菌薬投与期間について、バイオマーカーを利用して患者ごとに適切な治療期間を判断するという試みには興味をそそられるが、現時点では、感染症の治療期間は患者背景や感染臓器、原因微生物のすべてを考慮して決定するのがよいと考える(「抗微生物薬適正使用の手引き 第三版」)。

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第245回 レプリコンワクチンを求め上京した知人、その理由と副反応の状況は?

前回も触れた新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)に対する次世代mRNAワクチンのコスタイベだが、インターネット上でネガティブな情報が氾濫する一方、逆にこのワクチンを接種したいと希望する一般人もいる。もっとも現在のコスタイベは1バイアルが16回接種分であり、接種前調整で生理食塩水10mLに溶解して6時間以内に使い切らねばならない。つまり医療機関側がこのワクチンを使おうとすると、あらかじめ16人という大人数を集めておかねばならないのだ。これは大規模医療機関でも至難の業である。実は私も次の接種ではこれを選択しようと思っており、コスタイベの接種希望者をほぼ常時募集しているある医療機関を知っている。しかし、インターネット隆盛のこの時代でも一般人がこのワクチン選択をするならば、多くは“接種可能な医療機関探し”という入口で壁にぶち当たるのが常である。とりわけコスタイベの場合、昨秋からスタートした定期接種から対象ワクチンに加わったばかりで、1バイアル16回接種分を棚上げしても、医療機関の多くは使い慣れたファイザー製やモデルナ製を選択しがちである。さらに前回でも触れたように、このワクチンに対する懐疑派の人たちがこのワクチンを接種しようとする医療機関に嫌がらせを行ってしまうため、余計に医療機関側は奥手になってしまうだろう。実は秋冬接種が始まった昨年10月、私はある人から「コスタイベを接種したいが、医療機関が見つからず難渋している」と相談を受けた。実はこの方は、以前に本連載で取り上げた、仙台市内からさいたま市まで新幹線代をかけて新型コロナワクチンを接種しに行った大学教員のA氏だ。A氏は結局、私が知っていたコスタイベ接種可能な医療機関で無事接種を終えた。ということで、再びA氏に接種に至る経緯から、接種終了後までの話を聞いてみた。SNS炎上をきっかけにコスタイベを希望まず、A氏は以前の本連載で紹介したように2024年6月に任意接種で新型コロナワクチンを接種。この時から「半年に1度くらいの頻度で接種できれば」と漠然と考えていたという。そうした中で10月初旬、“コスタイベは比較的長期間、高い抗体価が持続する”というLancet Infectious Diseases誌に公表された論文1)を目にした。畑違いではあるが、英語論文を読み慣れているA氏は、それならばコスタイベを接種しようと思い立った。「実はコスタイベに興味を持ったきっかけは、むしろ懐疑的な人たちがSNS上で騒いでいたことがきっかけなんですよ。彼らが『効果が長い間残る』と書いていて、自分の場合は新型コロナワクチンを定期的に受けたいと思っていたので、効果が長く続くなら逆にありがたいと思ったんです。そこで医師や研究者の方の発信を辿って、割と簡単に(前述の)論文1)にたどり着いたというわけです。その意味では懐疑的な人たちの情報発信は私にとっては、逆効果でしたね(笑)」A氏は早速ネット上で接種可能な医療機関を検索。コスタイベ接種希望者を募っていた都内のクリニックをみつけ、仮予約をした。仮予約とは、16人の接種希望者が集まり次第実施の最終決定ということである。当時をA氏は次のように振り返る。「反対派の嫌がらせを避けるため、接種希望者同士でまるで違法薬物の裏取引のように、ネットで隠語や非公開のダイレクトメッセージで接種の情報をやりとりしているのが稀有な経験でした」実際、定期接種の開始当時、私もX(旧Twitter)などを見ていたが、新型コロナワクチンの接種情報を積極的に発信しているインフルエンサー的なアカウントでは、明らかにコスタイベを指すと思われる「あれ」という用語が盛んに使われていた。しかし、ここで災難が起こった。まさに前回の連載でも触れたようにコスタイベ接種を公言したこのクリニックに嫌がらせが殺到し始めたのだ。このため、A氏の仮予約翌日にクリニック側のホームページはコスタイベ接種の予約受付中止を宣言。同時に接種そのものを中止することを示唆するお知らせを掲載し、コスタイベ接種の試みは半ばふりだしに戻ってしまった。対応施設の検索から接種まで2週間しかし、ここからA氏は本領を発揮。新たなコスタイベの接種可能な医療機関を見つけるべく、仙台市の新型コロナウイルスワクチン定期接種登録医療機関に片っ端から問い合わせの電話を入れたという。「最初は仙台市役所にコンタクトを取りましたが、すでに仙台市新型コロナウイルスワクチン接種専用コールセンターは廃止されたので、仙台市総合コールセンター『杜の都おしえてコール』に電話をしました。ですが、定期接種登録医療機関が掲載されていることは教えてもらえましたが、個別医療機関で採用しているワクチンの種類はわかりませんとのことでした」結果的に休診日などで不通も含め約200件に連絡したが、コスタイベの取り扱いは皆無だった。ちなみにこの約200件の発信履歴は、取材時にA氏に見せてもらっている。「医療機関の受付がコスタイベという商品名を知らないことも多く、コスタイベという単語を聞き取ってもらえないことも当たり前でした。結局、『そちらで接種できるコロナワクチンの種類はなんですか』と聞くのが一番早いとわかりましたが、多くはファイザーかモデルナ、時に第一三共や武田薬品のワクチンが打てる医療機関はありましたが、コスタイベを接種できる医療機関はありませんでした」最終的に、私が教えた医療機関に仮予約し、状況確認の連絡をしたところ「このペースなら多分ほぼ確実に16人の枠は埋まるでしょう」と言われ、最終的に10月16日にこの医療機関へ16人の接種希望者が集まったことから、最終意志確認の電話連絡を経て正式予約となり、10月22日に接種となった。10月22日、A氏は新幹線で上京。当該医療機関には午後1時半ごろに窓口に顔を出した。目の前には複数の診察室があり、A氏がしばらくして入るよう指示を受けたのは、そのうちただ1つ担当医の名札が下げられていない診察室だった。診察室に入ると、担当医からワクチン接種前の問診を受け、A氏が「これを打ちたくて仙台から来ました」と話を振ると、担当医からは「住所を見て、あれ?って思いました」と返答された。副反応、他剤と比べると?接種後の副反応について、A氏は最初に接種したモデルナ製ワクチンでは、「翌日に38.5℃の発熱なのにつらくない」という不思議な体験をし、以後はファイザー製を選択して強い副反応はほとんど経験してこなかったそうだが、今回のコスタイベではどうだったのか? あくまで個人的な感想として次のように語った。「翌日に1時間弱、寒気を感じたのと、接種部位が数日間、少しズキズキした程度で終わりました」前回の任意接種よりは接種医療機関探しは楽だったものの、「今回はコスタイベを選ぼうとしたことで自ら苦労してしまった」と苦笑いするA氏。前回の接種のきっかけとなった新型コロナ感染後の後遺症とみられる咳喘息は、今は小康状態。そして以前は年1回、風邪を引いた直後に使用する程度だった吸入薬は、現在も毎日1回の使用を続けている。参考1)Oda Y, et al. Lancet Infect Dis. 2024;24:e729-e731.

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鳥インフルエンザA(H5N1)、ヒト感染例の特徴/NEJM

 米国疾病予防管理センター(CDC)のShikha Garg氏らは、米国で2024年3月~10月に確認された高病原性鳥インフルエンザA(H5N1)のヒト感染症例46例の特徴について報告した。1例を除き、感染動物への曝露により短期間の軽度の症状を呈し、ほとんどの患者は迅速な抗ウイルス治療を受け、ヒトからヒトへのA(H5N1)ウイルスの伝播は認められなかったという。NEJM誌オンライン版2024年12月31日号掲載の報告。米国での46例について調査報告 米国の州および地域の公衆衛生当局は、A(H5N1)ウイルスの感染疑いまたは感染が確認された動物(家禽、乳牛)に、職業上曝露した人々を曝露後10日間モニタリングし、症状のある人から検体を採取してCDCのヒトインフルエンザリアルタイムRT-PCR診断パネルインフルエンザA(H5)亜型アッセイを用いてA(H5N1)ウイルスが検出された人を特定した。感染が確認された患者に対し、標準化された新型インフルエンザ症例報告書を用いて調査が行われた。 2024年3月28日~10月31日に、6州でA(H5N1)のヒト感染症例が18歳以上の成人において46例確認された。このうち、感染家禽への曝露が20例、感染牛への曝露が25例で、1例は動物または症状のある人への曝露が特定できなかった。 この1例は、複数の基礎疾患を有しており非呼吸器症状で救急外来を受診・入院し、インフルエンザA陽性であったためオセルタミビルによる治療を受け3日後に退院したが、定期サーベイランスにより州公衆衛生研究所にてA(H5N1)感染が検出された。感染動物への曝露症例は全例が殺処分作業従事者、症状は軽度 動物曝露45例の年齢の中央値は34歳で、全例、感染動物の殺処分作業に従事しており、感染患者同士の直接接触は確認されなかった。 全例が軽症で、入院や死亡は報告されなかった。最も多い症状は結膜炎(42例、93%)で、次いで発熱22例(49%)、呼吸器症状16例(36%)の順であった。15例(33%)は結膜炎のみであった。症状発症日のデータがあり症状が消失した16例において、症状持続期間中央値は4日(範囲:1~8)であった。 ほとんどの患者(39例、87%)はオセルタミビルを投与され、データ入手できた患者において、症状発現から投与開始までの期間中央値は2日(範囲:0~8)、投与期間中央値は5日(範囲:3~10)であった。 動物曝露患者の家庭内接触者97例において、新たな感染症例は確認されなかった。 なお、最も多く使用されていた個人防護具(PPE)の種類は、手袋(71%)、保護メガネ(60%)、フェイスマスク(47%)であった。

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いざお見合いへ!オンラインvs.対面【アラサー女医の婚活カルテ】第6回

アラサー内科医のこん野かつ美です☆前回は、結婚相談所(以下、相談所)での婚活の事前準備についてご紹介しました。今回は、実際のお見合いでの経験をシェアしたいと思います。「長期戦」となったマイ婚活プロフィールページを見て、双方が「会ってみたい」と思えば、いよいよ次のステップ、すなわち「お見合い」に進みます。大手の「連盟」(連盟については第3回参照)であるIBJが発行した「2023年度版 成婚白書」を見てみましょう。「年齢別『お見合い数』比較」では、成婚に至った女性のお見合い数(中央値)は、25~29歳の場合は9.0回、30~34歳の場合は11.0回だったそうです1)。では、私自身のお見合い回数はどうだったか…というと、なんと自分自身も驚きの「31回」でした!婚活の「活動期間」としても、成婚に至った女性の「在籍日数」(中央値)が25~29歳が205.0日、30~34歳が252.0日であるのに対し、「約1年半」でしたから、同年代に比べて長めだったことがわかります。われながら、よく頑張ったものです。ちまたの婚活マニュアルや、SNS上の「婚活アドバイザー」たちは、短期間での成婚を推奨する傾向があるようです。年齢が上がれば上がるほど成婚しづらくなるため、「とにかく誰かと結婚すること」を最優先に考えるのであれば、私の活動は褒められたものではないでしょう。しかし、前回にも触れたように、私は結婚相手に求める条件が比較的多く、「とにかく結婚したい」というよりは「結婚はあくまで人生の通過点。子どもは欲しいけれど、合わない相手と無理して結婚するよりは、独身のままのほうが良い」と思っていました。また、相手を医師に限定せずに活動しており、相手よりも私のほうが高年収である場合、「合わない相手と結婚して、その後離婚したら、財産分与で多額のお金を支払う羽目になる」という懸念も、頭の片隅にありました(笑)。そのため、夫と出会うまで、結果的に長期戦の婚活をすることになりました。「オンラインお見合い」は使いよう婚活業界では、2020年、日本結婚相手紹介サービス協議会がコロナ禍を考慮して「『オンライン』で出来ることは、『オンライン』で実施しましょう」との声明2)を出したことで、多くの連盟・相談所でオンラインお見合いが活発化しました。私も、活動開始当初はオンラインお見合いを多く活用していました。私なりに、オンラインお見合いと、対面のお見合いとを比較してみます。オンラインのメリットオンラインお見合いのメリットその1は、「感染の心配がない」ことです。職業柄、コロナに感染したら欠勤などで周りに迷惑を掛けてしまいますし、患者さんを感染させてしまったともなれば大問題ですから、オンラインお見合いの仕組みがあって助かりました。メリットその2は、「移動の手間・交通費やお茶代がかからない」ことです。オンコールがない休日に、30分程度の短いインターバルを置いて、同じ日に複数件のお見合いを組んだこともありました(精神的に疲れるのであまりお勧めはしませんが……)。メリットその3は、「遠方の人とも会える」ことです。前回触れたように、私にとって「将来的に同じ県内で生活できること」が結婚相手に求める条件の1つだったため、基本的には遠方在住の方とお会いすることはあまりありませんでしたが、ありがたいことに「成婚すればこん野さんの職場近くに移住してもよい」と言ってくれる方が時々いて、何度かお見合いしました。一番遠かったのは、なんとシンガポール在住の方でした!(ご縁はありませんでしたが…)。オンラインお見合いのデメリット一方、私が思うオンラインお見合いの最大のデメリットは、対面で会うときに比べて「お相手の雰囲気がわかりづらい」ことです。オンラインお見合いは、対面のお見合いに比べて、次のステップである「仮交際」に進む確率が高い、という記事3)を読みましたが、おそらくオンラインお見合いでは、完全に「なし」と判定したお相手以外は、いったん「交際希望」を出す場合が多いのではないかと思います。私の場合も、オンラインお見合いで「あり」か「なし」かの判断に迷ったら、取りあえず仮交際に進んでみて、仮交際のデート1回目で判断する場合が多かったです。結果として、直接会うよりも時間が取られることが多いと感じます。デメリットその2は、「回線トラブルが起こりうる」ことでした。一度、お相手が予定時刻を30分過ぎてもお見合いのオンラインミーティングに入室してこなかったことがありました。後日、回線トラブルだったので日程の再設定をとの依頼が来ましたが、トラブル時の対応力もその方の一面だと思ったので、お断りしました。デメリットその3は、「追加料金が発生しうる」ことでした。お相手の相談所のシステム次第では、オンラインお見合いの場合、1回当たり数千円の追加料金が徴収されることがあったようで、お見合い後にお断りする際、申し訳ない気持ちになりました。上記のようなメリット、デメリットを踏まえ、オンラインお見合いと対面でのお見合いを使い分けると良いと思います。おまけ~オンラインお見合いのコツ余談ですが、オンラインお見合いの際は、画面に映る印象がとても大切ですから、服装やメイクだけではなく、部屋の調光やインテリアにも気を配ると良いようです。私は、顔を明るく照らしてくれる、いわゆる「女優ライト」を活用していました。学会のWeb発表などでも使えるので、なかなか良い買い物でした。いかがでしたか?今回は、筆者自身のお見合い回数や、オンラインお見合いと対面でのお見合いの比較について書きました。次回も引き続き、お見合いでの体験談をお届けしたいと思います。お楽しみに。参考1)成婚白書/IBJ1)新型コロナウイルス感染症拡大防止に向けた結婚相手紹介サービス業界ガイドライン/JMIC 1)「オンラインお見合い」で約半数が仮交際へ。IBJ日本結婚相談所連盟、自宅での婚活を支援。/IBJ

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第130回 年始、「肺炎」大暴れ

歴史的流行ご存じのとおり、今年のインフルエンザ感染者数は想像を超えるレベルに達しています。抗インフルエンザ薬が出荷調整を強いられています。2025年第1週になってようやく報告数が減りましたが、年末年始で正しい統計が取れているかどうかはよくわからないです1)。とりあえず、このままピークアウトしてくれると助かるところです。ただ、不気味なのは、数は多くないものの新型コロナウイルスが暗躍していることです。「当院かかりつけの患者さまで、39度の発熱で来られました」というコールを、この2週間で何度受けたことか。そんなとき、まず頭に浮かぶのはインフルエンザ。しかし、同時に新型コロナの検査もすると、意外にも新型コロナが陽性になることがあります。症状だけでは、もはや判別が難しいという現実を痛感しています。さらに、「左右両肺に肺炎があるので紹介させていただきます」といった紹介状を持って来院する患者さんも急増中です。胸部CTを撮影してみると、細気管支炎パターンが見られ、「これはマイコプラズマか?」と疑って迅速検査をしても陰性。代わりに肺炎球菌尿中抗原が陽性、さらに血液培養からも肺炎球菌が検出されるケースがありました。ダマシか!この年末年始の呼吸器臨床を端的に表すと、「肺炎大暴れ」です。インフルエンザも過去こんなに肺炎の頻度は高くなかったのに、感染中も感染後も肺炎を起こす事例が多いです。新型コロナも相変わらず器質化肺炎みたいなのをよく起こす。そして、そのほかの肺炎も多い。細菌性肺炎や膿胸も多い。もともと冬はこういった呼吸器感染症が多かったとは思います。だがしかし、いかんせん度が過ぎておる。ワシャこんな呼吸器臨床を約20年経験した記憶がないぞ。「感染症の波」は、いったい何が理由なのか?この異常事態の背景には、何があるのでしょうか。コロナ禍で国全体が感染対策に力を入れていた時期と比べると、確かに感染対策は甘めではあります。交絡要因が多いので、これによって感染症が増えているか判然としませんが、感染対策の緩和と感染症の流行には一定の相関がみられているのは確かです。長期間にわたってウイルス曝露が減り、免疫防御機能が低下するという「免疫負債説」を耳にしていましたが、新型コロナ流行から4年が経過し、むしろ「免疫窃盗」されているという考え方が主流でしょうか。感染症免疫は神々の住まう領域であり、言及するとフルボッコの懸念があるため、この議論はやめておきます。昨年のように二峰性の流行曲線になる可能性はありつつも、インフルエンザはさすがにピークアウトすると予想されます。しかし、新型コロナもマイコプラズマも含めて、呼吸器感染症に関してはまだ予断を許しません。今シーズンは新型コロナのワクチン接種率が低いことも懸念材料です。自己負担額が高いため、接種を見送る人が増えました。当院の職員も、接種率がかなり落ちました。いずれ混合ワクチンとなり、安価となればインフルエンザと同時に接種していく時代が来るかもしれません。ちなみに、年末年始に「中国でヒトメタニューモウイルスが流行している」という報道がありましたが、冬季に流行しやすいウイルスで、それほど肺炎合併例も多くなく、世界保健機関(WHO)も「異常な感染拡大はない、過度に恐れる必要はない」とコメントしています2)。参考文献・参考サイト1)厚生労働省:インフルエンザ・新型コロナウイルス感染症の定点当たり報告数の推移(2025年1月14日)2)WHO:Trends of acute respiratory infection, including human metapneumovirus, in the Northern Hemisphere(2025 Jan 25)

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尿閉【いざというとき役立つ!救急処置おさらい帳】第22回

尿閉の患者さんを診ることはよくあると思います。最も頻度が高い原因は前立腺肥大症とされていますが、他の疾患で生じることもあるため、系統立てて除外する必要があります1)。今回は救急外来を受診した患者さんを通じて、さまざまな可能性を考えながら対応してみましょう。<症例>63歳、男性主訴尿が出ない既往歴前立腺肥大症、高血圧内服薬アムロジピン病歴受診日前日夕方より尿意があるが尿が出ない状況が続いている。深夜2時ごろに腹痛が出現し、耐えられなくなったため救急外来を受診した。救急外来で働いているとよく聞く病歴だと思います。しかしながら、尿閉のアプローチはさまざまです。今回は、Emergency Medicine Practiceの「An Evidence-Based Approach To Emergency Department Management Of Acute Urinary Retention」のアプローチをベースにまとめてみたいと思います2)。(A)本当に尿閉かどうかを鑑別上記症例であれば、ほぼほぼ尿閉で間違いないのですが、無尿を「まるで尿閉」のように訴えて来院する患者さんがいます。とくに認知症のある人や、前立腺肥大症など排尿に問題がある人に多いです。以前、「尿閉」の主訴で受診したものの、実はS状結腸憩室炎に伴う急性腎不全のため無尿という結果になったケースがありました。別のパターンで、尿閉を「便秘」と訴えて受診した人もいました。便秘と考えて排便をしようと腹圧をかけると、少し尿が出て楽になり、「便秘」と判断してしまったようです。これらのケースでは、腹部超音波検査が有用です。拡張し緊満した膀胱を認めれば、尿閉と診断できます。私は、便秘の訴えがある患者さんで、初回もしくは「いつもの便秘と違う」という訴えがある場合は腹部超音波を行うことがあります。この患者さんは下腹部に膨隆を認めて、腹部超音波検査をしたところ膨満した膀胱を認めました。(B)外陰部の診察非常にまれですが、外陰部の障害が原因となり尿閉を発症することがあります。男性であれば包茎、嵌頓包茎、腫瘤などで、女性であれば子宮脱、膀胱脱、腫瘤などが挙げられます。本症例はとくに問題がありませんでした。なお、ここまでの(A)(B)は手短に終了しましょう。というのも尿閉に伴う腹痛はかなりつらいためです。(C)導尿まれに包茎で尿道が同定できない、前立腺肥大症による通過障害で導尿が難しいということがあります。私は2トライして難しいようでしたら泌尿器科に相談しています。通過障害であれば先端が固いチーマンカテーテルなど、種々の導尿デバイスがありますが、手馴れていない場合は無理をしないほうがよいと考えます。続いてバルーン留置するか、単回の導尿にするかどうかです。これはケースバイケースと考えます。本症例のように深夜帯に受診し、朝になればかかりつけ医を受診できるような場合であればバルーン留置は必要ないと考えます。しかし、フォローアップまでに時間がかかり、再度尿閉症状が出てまた救急外来を受診しなければならないリスクが高い場合はバルーン留置を実施します。私は最終的には患者さんと相談し決定していますが、この患者さんの場合は日中すぐ受診できるため、単回導尿としました。800mLほど排尿があり、腹痛症状が消失ました。(D)尿閉の原因を探索思わず「前立腺肥大症が原因でしょう」と言いたくなりますが、ほかの可能性を否定しましょう。私は大きく4つは救急外来で必ず否定するようにしています。(1)神経因性膀胱、(2)薬剤性、(3)尿路感染症、(4)便秘による通過障害、です。(1)に関してはとくに脊髄に障害がないかを確認する必要がありますが、ほとんどの場合は排便に障害があるなどの病歴で絞れます。懸念があれば、肛門周囲の感覚や肛門括約筋の収縮を確認します。(2)については、多数の薬が尿閉を誘発することがあります。新規に開始した薬剤がないかを確認しましょう。私がよく経験するのが、抗ヒスタミン薬やエフェドリンを含有した風邪薬を内服しているケースです。いずれも膀胱の収縮を弱めます。(3)は膀胱炎や尿道炎により尿の通過が悪くなるため発生します。こちらは尿検査で確認しましょう。(4)は蓄積した便が直腸を通じて尿道を圧排して尿閉が生じることがあります。排便の経過をチェックしましょう。この患者さんは、排便に問題なく、新規薬剤もなく、尿検査で膿尿や細菌尿は認めませんでした。最終的に前立腺肥大症の可能性が高いと判断しました。(E)血液検査の必要性の検討尿閉で血液検査が必要になるのはどういったときでしょうか? 私は尿閉の経過が数日以上の場合には実施しています。(A)で述べたように便秘だと思って数日間我慢したケースや、認知症などにより意思疎通がとれず、いつから尿閉なのかわからないケースです。なぜかというと、腎後性腎不全を生じている可能性があるからです。腎不全を起こしていた場合、入院して適切な体液管理が必要になることが多いです。本症例は数時間前からの発症なので血液検査は必要ないと判断しました。この患者さんは排尿後に症状が軽快して帰宅となりました。上記がさまざまな可能性を考えながら尿閉に対応した場合の流れです。日々の診療に役立てばと思います。1)Selius BA, et al. Am Fam Physician. 2008;77:643-650.2)Marshall JR, et al. Emerg Med Pract. 2014;16:1-20.

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高腫瘍量濾胞性リンパ腫1次治療に対するモスネツズマブ皮下注の評価(MITHIC-FL1)/ASH2024

 高腫瘍量濾胞性リンパ腫(HTB-FL)の1次治療に対する、CD20/CD3二重特異性抗体モスネツズマブ皮下注射の多施設第II相試験の結果が第66回米国血液学会(ASH2024)で発表された。 初発進行期のHTB-FLでは、抗CD20抗体併用化学療法が行われる。一方、近年の研究で、FLは深い免疫抑制状態を特徴とし、腫瘍内のT細胞の機能不全が臨床経過に影響するとの報告もある1)。そのような中、CD3陽性T細胞に、CD20陽性FL細胞を認識させ排除させるCD20/CD3二重特異性抗体が、FL治療の鍵を握る選択肢2)として期待される。・試験デザイン:第II相多施設試験・対象:未治療のCD20陽性Stege II~IVのHTB-FL(Grade1~3A)GELF規準により治療が必要とされる患者・介入:mosunetuzumab 21日サイクル(1サイクル目:day1に5mg、day8、15に45mg、2~8サイクル:45mg)→完全奏効(CR)症例:経過観察、部分奏効症例:45mgを17サイクルまで継続投与、PR未満症例:試験中止・評価項目【主要評価項目】CR割合(Lugano分類による効果判定)【副次評価項目】奏効割合(ORR)、安全性、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)など 主な結果は以下のとおり。・2022年6月~2024年7月に78例が登録された。・カットオフ(2024年11月1日)時点の追跡期間中央値は13.3ヵ月。・有効性評価対象76例のORRは96%で、CR割合は80%であった。86%(65例)の患者が最小でも80%の腫瘍量減少を示した。・12ヵ月推定PFS割合は91%であった。・12ヵ月CR割合は90%であった。・12ヵ月推定OS割合は99%であった。・頻度の多い(≧20%)治療中発現有害事象(TEAE)は、注射部位反応(70%)、感染症(56%)、サイトカイン放出症候群(CRS)(54%)、発疹、皮膚乾燥などであった。・CRSを発現した症例は42例、そのうち40例はGrade1、残りの2例はGrade2だった。CRSの48%が1サイクルのday1に発現していた。・免疫細胞関連神経毒性症候群(ICANS)、腫瘍崩壊症候群は認められなかった。

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2025年に医師会が掲げる4つの課題/日医

 日本医師会(会長:松本 吉郎氏[松本皮膚科形成外科医院 理事長・院長])は、定例会見を開催し、2025年の医師会の課題を語った。 新年の挨拶として松本氏は、年末年始にインフルエンザ患者の診療対応にあたった診療所の医師、医療者などに感謝の意を示すとともに、地域によっては予想を超えるインフルエンザ患者が来院したことを明らかにした。また、依然としてインフルエンザの検査キット、注射薬、治療薬などが不足していること、厚生労働省と協議し、各メーカーに増産を要請していることを述べるとともに、引き続き、マスクの着用や手指衛生など感染対策の実施と医療機関にはなるべく診療時間内に診療を受診するように述べた。 その他、年始に恒例となっている「箱根マラソン」に触れ、たすきを渡してゴールへ向かうチームの結束に思いを寄せ、医師会も次世代にたすきを渡し、継承を途切れることなく行っていきたいと決意を新たに語った。引き続く医療機関の経営悪化に適切な支援を望む 2025年の医師会の課題として4つを示し、説明を行った。1)参議院選挙について 先の衆議院議員選挙で少数与党となり、不安定な政局となっている。今夏に行われる参議院議員選挙は医療の未来を左右する重要な選挙と考えている。今後も医療現場の声を政府に的確につなげていく。2)令和8年度の診療報酬改定について 社会経済がインフレ局面であり、物価・賃金上昇に診療報酬が追いついていない現状。全国の医療・介護施設が赤字経営となり、逼迫性が増している。医療界では病院の経営が危機的な状況となっている。 昨年、医師会では物価高騰への考慮を政府にお願いし、今回補正予算で認められたことは評価している。しかし、人員の補充や設備投資に回せないなど支援はまだ不十分である。 これからも急騰していく物価などに対し、地域医療に影響がでないように補助金など機動的な経済対応をお願いしていく。 今回の診療報酬改定では、物価賃金の上昇に応じて、適切な仕組み作りが行われることを求めていく。併せて、地域医療機関の逼迫した経営状況を考慮し、まずは補助金での迅速な対応を希望し、必要があれば期中の改定も視野に要望していく。 また、財政の見直しを行い物価賃金の伸びに合わせた上昇をお願いし、骨太の方針に向けて別次元の対応を求めていく。 その他、小児・周産期医療では、急激な少子化により対象が減少しているだけでなく、医療の担い手も減少という相互に関連することであり、今後、抜本的な解決が必要とされる。3)新たな地域医療構想と医師の偏在の対策について 地域医療構想は、昨年、国が関係ガイドラインを策定し、実施が待たれるとともに、医師偏在対策では区域設定で是正プランができるなど実効性のある取り組みが期待される。医師会としては、これらの施策の中に「地域の実情を加味する」という文言が入り評価している。 医師会は昨年、医師偏在への提言を行い、厚生労働省から対策への総合パッケージが示された。この中には医師会の提言や要望も含まれており、解決にはあらゆる方策を相互に駆使して取り組む必要であることも示されるとともに、今回の総合パッケージには、若手医師だけでなく、すべての世代の医師への配慮もされていることも評価している。 一方、地域医療に従事しない医師などに「勧告」など罰則的な事項も掲げられており、こうした対応には反対する。医師会は、かかりつけ機能の充実に向け、地域医療の取り組みに一層取り組んでいく。4)かかりつけ医機能報告制度の施行について 2026年からスタートする「かかりつけ医機能報告制度」について、その目的は、地域医療機能と医療資源の不足などの把握と理解している。医師会としては、面としての地域かかりつけ医機能を発揮するためにも、より多くの医療機関に参加してもらうことが重要と考えている。 松本氏は、これらの課題について、「地域医師会とともに対応に向けて、情報発信をしっかりと行っていく」と述べ、新年の挨拶を終えた。 続いて、平成24年より開催されている「日本医師会 赤ひげ大賞」の第13回の受賞者5名と「赤ひげ功労賞」の受賞者14名が発表された。本賞は都道府県医師会からの推薦で決定され、今回は選考委員にはじめて医学生が加わったことが説明された。

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qSOFAによる敗血症アラートで院内死亡率が低下/JAMA

 病棟入院患者では、敗血症スクリーニングを行わない場合と比較して、quick Sequential Organ Failure Assessment(qSOFA)スコアを用いた電子的敗血症スクリーニングは、90日院内死亡率を有意に低下させ、昇圧薬治療や多剤耐性菌の発現を減少させることが、サウジアラビア・Ministry of National Guard-Health Affairs(MNG-HA)のYaseen M. Arabi氏らが実施した「SCREEN試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2024年12月10日号に掲載された。サウジアラビアのStepped Wedgeクラスター無作為化試験 SCREEN試験は、病棟入院患者における電子的敗血症スクリーニングによる死亡率の抑制効果の評価を目的とするStepped Wedgeクラスター無作為化試験であり、2019年10月~2021年7月にサウジアラビアの5つのMNG-HA病院で行われた(MNG-HAのKing Abdullah International Medical Research Centerによる助成を受けた)。 45の病棟(クラスター)を5病棟ずつ9つのシークエンスに無作為に割り付け、各シークエンスで介入を2ヵ月ずつずらして開始した。介入として、qSOFAの3つの構成要素(収縮期血圧≦100mmHg、呼吸数≧22回/分、グラスゴー昏睡尺度スコア<15点)のうち2つ以上を満たした場合に、電子医療記録(EMR)にアラートを発生させた。ベースラインの2ヵ月は、全病棟で医師と看護師へのアラートを非公開モードとし、その後各シークエンスで2ヵ月ごとに順次、アラートを公開モードとした。 主要アウトカムは、90日時の院内死亡率とした。副次アウトカムには、緊急事態(コードブルー)の発動、昇圧薬治療、腎代替療法の導入、多剤耐性菌の発現、Clostridioides difficileの発生など11の項目が含まれた。スクリーニング群は乳酸値検査、静脈内輸液が多い 6万55例を登録した。2万9,442例がスクリーニング群、3万613例が非スクリーニング群であった。全体の年齢中央値は59歳(四分位範囲:39~68)、3万596例(51.0%)が男性だった。 アラートは、スクリーニング群で4,299例(14.6%)、非スクリーニング群で5,394例(17.6%)に発生した。非スクリーニング群に比べスクリーニング群は、アラートから12時間以内に血清乳酸値の検査(補正後相対リスク[aRR]:1.30、95%信頼区間[CI]:1.16~1.45)および静脈内輸液の指示(2.17、1.92~2.46)を受ける可能性が高かった。 90日院内死亡率は、スクリーニング群が3.2%、非スクリーニング群は3.1%であり、両群間に差はなかった(群間差:0.0%、95%CI:-0.2~0.3)が、介入時期、病棟のクラスター化、病院、COVID-19の感染状況で補正すると、90日院内死亡率はスクリーニング群で有意に低かった(aRR:0.85、95%CI:0.77~0.93、p<0.001)。コードブルー、腎代替療法、C. difficile発生は増加 スクリーニング群では、昇圧薬治療(aRR:0.86、95%CI:0.78~0.94、p=0.002)および新規の多剤耐性菌の発現(0.88、0.78~0.99、p=0.03)が有意に低下したが、コードブルーの発動(1.24、1.02~1.50、p=0.03)、腎代替療法の導入(1.20、1.11~1.31、p<0.001)、C. difficileの新規発生(1.30、1.03~1.65、p=0.03)が有意に増加した。 著者は、「アラートによって死亡リスクの高い患者が同定された」「死亡率の低下は感染の有無にかかわらず一貫して観察されたことから、スクリーニングの効果は敗血症患者に限定されないことが示唆された」「この試験のプロトコールでは、アラート後の看護師と医療チームとのコミュニケーションが義務付けられており、これによっておそらく治療の調整と早期発見が改善されたものと考えられる」としている。

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多剤耐性結核の家庭内曝露小児、予防的レボフロキサシン投与は有効か/NEJM

 多剤耐性(MDR)結核に家庭内で曝露した小児は、レボフロキサシンによる予防的治療を受けた集団で、プラセボと比較し結核の発症率が低いもののその差は有意ではなく、Grade3または4の有害事象の頻度は同程度であることが、南アフリカ共和国・ステレンボッシュ大学のAnneke C. Hesseling氏らが実施した「TB-CHAMP試験」で示された。研究の詳細は、NEJM誌2024年12月19・26日号で報告された。南アフリカ共和国のクラスター無作為化プラセボ対照試験 TB-CHAMP試験は、南アフリカ共和国の5施設が参加した二重盲検クラスター無作為化プラセボ対照試験であり、2017年9月~2023年1月に行われた(Unitaidなどの助成を受けた)。 対象は、細菌学的に確認されたMDR肺結核の成人に家庭内で曝露した小児であった。5歳未満はインターフェロンγ遊離試験の結果またはヒト免疫不全ウイルス(HIV)への感染状態を問わず適格とし、5~17歳はインターフェロンγ遊離試験またはHIV感染が陽性の場合に適格とした。個々の世帯を試験レジメンに無作為に割り付け、これらの世帯の小児にレボフロキサシンまたはプラセボを24週間1日1回投与した。 有効性の主要エンドポイントは、無作為化から48週目までの、結核による死亡を含む結核の発症とした。安全性の主要エンドポイントは、投与期間中に発現した試験レジメンに関連する可能性があるとされたGrade3以上の有害事象であった。有効性の主要エンドポイントは1.1% vs.2.6% 922例を登録し、レボフロキサシン群に453例、プラセボ群に469例を割り付けた。全体の年齢中央値は2.8歳(四分位範囲:1.3~4.2)で、91.0%が5歳未満であり、49.2%が男児であった。各群の86%が、割り付けられた用量の80%以上の投与を受けた。 48週目までに結核を発症したのは、レボフロキサシン群5例(1.1%)、プラセボ群12例(2.6%)で、それぞれ100人年当たり1.2例(95%信頼区間[CI]:0.5~2.9)および2.9例(95%CI:1.6~5.2)であり、両群間に有意な差を認めなかった(ハザード比[HR]:0.44、95%CI:0.15~1.25、p=0.12)。感度分析の結果は、この主解析と一致していた。Grade3以上の試験レジメン関連有害事象は0.9% vs.1.7% 投与期間中のGrade3以上の有害事象は、レボフロキサシン群で4例(0.9%)、プラセボ群で8例(1.7%)に発現し、担当医により試験レジメンに関連する可能性があると判定された(HR:0.52、95%CI:0.16~1.71、p=0.29)。 追跡期間中に2例(各群1例ずつ)が死亡したが、いずれも担当医によって試験レジメンまたは結核による死亡ではないと判定された。また、レボフロキサシン群の1例にGrade2の腱炎がみられたが、投与中止から21日後に治癒した。有害事象による投与中止が、レボフロキサシン群の6例(1.3%)、プラセボ群の1例(0.2%)にみられた(HR:5.00、95%CI:0.61~41.32、p=0.14)。 著者は、「これらの知見は、異なる集団における他の試験の結果と統合し、世界的な施策や実臨床に役立てる必要がある」としている。

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インフルワクチン、小児の救急外来・入院を50%減少/CDC

 今シーズンはインフルエンザが猛威を振るっている。厚生労働省の1月9日の発表によると、インフルエンザの定点当たりの報告数は全国平均で1施設当たり64.39例(2024年第52週時点)で、同時期の報告数として過去10年で最多となった。 インフルエンザは小児に重篤な疾患を引き起こす可能性があり、とくに5歳未満の小児ではリスクが高い。米国疾病予防管理センター(CDC)のKelsey M. Sumner氏らは、2015~20年の5年間にわたり、急性呼吸器疾患(acute respiratory illness:ARI)で救急外来受診や入院治療を受けた生後6ヵ月~17歳を対象にインフルエンザワクチンの有効性を検証した。その結果、ワクチンはすべての重症度において一貫して、50%以上の有効性を示すことが明らかとなった。JAMA Network Open誌2024年12月27日号に掲載。 本研究は、検査陰性デザイン(test-negative design)の症例対照研究で、2015年11月6日~2020年4月8日に、New Vaccine Surveillance Networkに参加している米国8州の医療機関8施設のデータを使用し、急性呼吸器疾患(ARI)で入院や救急外来受診した生後6ヵ月~17歳を対象に実施された。対象者は、インフルエンザ検査陽性群とインフルエンザ検査陰性の対照群に分類された。また、ワクチン接種歴に基づいて分類され、ARIの重症度を基準に登録された。重症度は救急外来受診、非重篤な入院、重篤な入院(ICU入院や死亡を含む)の3段階とした。多変量ロジスティック回帰モデルを用いてワクチン接種オッズを比較してワクチン効果を推定し、ワクチン接種の有無による重症化リスクの低減効果を評価した。 主な結果は以下のとおり。・ARIで治療を受けた小児1万5,728例(男児:55.4%、6ヵ月~8歳:1万3,450例[85.5%]、9~17歳:2,278例[14.5%])のうち、2,710例(17.2%)がインフルエンザ検査陽性(症例群)、1万3,018例(82.8%)がインフルエンザ検査陰性(対照群)であった。・インフルエンザ陽性群のうち、1,676例(61.8%)が救急外来を受診し、896例(33.1%)が非重篤な入院、138例(5.1%)が重篤な入院であった。・全体の約半数(7,779例[49.5%])がワクチン接種を受けていた。症例群の接種率は32.6%、対照群の接種率は53.0%であった。・推定ワクチン効果として、インフルエンザワクチンを少なくとも1回接種すると、インフルエンザ関連の救急外来受診または入院リスクが、接種しなかった場合と比較して推定55.7%(95%信頼区間[CI]:51.6~59.6)低下した。・推定ワクチン効果は、年少児(6ヵ月~8歳:58.1%[95%CI:53.7~62.1])のほうが、年長児(9~17歳:42.6%[95%CI:29.2~53.5])よりも高かった。・重症度別のワクチン効果は、救急外来受診では52.8%(95%CI:46.6~58.3)、非重篤な入院では52.3%(95%CI:44.8~58.8)、重篤な入院では50.4%(95%CI:29.7~65.3)で、いずれの重症度でも同様だった。 インフルエンザワクチンを少なくとも1回接種すると、インフルエンザに関連する小児救急外来受診または入院が50%強減少することが判明した。著者らは本結果について、小児がインフルエンザ関連の重篤な症状を予防するために、毎年のワクチン接種が重要であることを示唆している、とまとめている。

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多剤耐性結核の家庭内感染予防、レボフロキサシンは有効か/NEJM

 ベトナムの多剤耐性(MDR)結核患者の家庭内接触者の感染予防において、プラセボと比較してレボフロキサシンの連日投与は、30ヵ月の時点での結核の発生率が低いものの、その差は有意ではなく、有害事象はレボフロキサシンで多かったがGrade3/4の頻度は同程度であることが、オーストラリア・シドニー大学のGreg J. Fox氏らが実施した「VQUIN MDR試験」で示された。研究の詳細は、NEJM誌2024年12月19・26日合併号に掲載された。ベトナムの無作為化対照比較試験 VQUIN MDR試験は、ベトナムの都市部と農村部を含む10の省で行われた二重盲検無作為化対照比較試験であり、2016年3月~2019年8月に参加者のスクリーニングを実施した(オーストラリア国立保健医療研究評議会[NHMRC]の助成を受けた)。 対象は、細菌学的に確認されたリファンピシン耐性またはMDRの結核菌(Mycobacterium tuberculosis)感染患者(過去3ヵ月以内に治療開始)の家庭内接触者であった。ツベルクリン皮膚検査陽性または免疫機能が低下している接触者を、年齢を問わず適格とした。 被験者を、レボフロキサシンまたはプラセボを1日1回、180日間経口投与する群に無作為に割り付けた。錠剤は4週ごとに調剤され、1日の投与量は成人が体重1kg当たり10~15mg、小児は15~20mgで、最大投与量は750mgであった。 主要エンドポイントは、30ヵ月以内に細菌学的に確認された結核とした。副次エンドポイントにはGrade3または4の有害事象、全死因死亡、薬剤耐性の獲得などが含まれた。per-protocol集団でも差はない ITT集団として2,041例を登録し、レボフロキサシン群に1,023例、プラセボ群に1,018例を割り付けた。全体の年齢中央値は40歳(四分位範囲[IQR]:28~52、範囲:2~87)、36.0%が男性であり、1世帯当たりの接触者数中央値は1例(IQR:1~2、最大:13)だった。1,995例(97.7%)が30ヵ月の追跡を完了し、6ヵ月の試験レジメンを完遂したのはプラセボ群の82.9%に比べ、レボフロキサシン群は68.4%と低率であった(群間差:-14.5%ポイント、95%信頼区間[CI]:-19.4~-9.6)。 30ヵ月の追跡期間中に、ITT集団ではレボフロキサシン群で6例(0.6%)、プラセボ群で11例(1.1%)に、細菌学的に確認された結核が発生した。発生率比は0.55(95%CI:0.19~1.62)であり、両群間に有意な差を認めなかった。また、臨床的に結核と診断された患者はレボフロキサシン群で1例、プラセボ群で2例であった(発生率比:0.49、95%CI:0.04~5.46)。 per-protocol集団では、細菌学的に確認された結核がレボフロキサシン群で3例、プラセボ群で6例に発生し、発生率比は0.60(95%CI:0.15~2.40)だった。 両群とも、結核性病変の発生率は、試験レジメンを完遂した患者よりも完遂しなかった患者で高かった。耐性の獲得は認めない Gradeを問わない1つ以上の有害事象の報告は、プラセボ群で125例(13.0%)であったのに対し、レボフロキサシン群では306例(31.9%)と有意に多かった(リスク差:18.9%ポイント、95%CI:14.2~23.6、p<0.001)。 重度(Grade3/4)の有害事象は、レボフロキサシン群で29例(3.0%)、プラセボ群で19例(2.0%)に発生した(リスク差:1.0%ポイント、95%CI:-0.3~2.4、p=0.14)。 有害事象による恒久的な投与中止は、プラセボ群の11例(1.1%)に比べ、レボフロキサシン群は71例(7.4%)と有意に頻度が高かった(リスク差:6.3%ポイント、95%CI:4.3~8.2、p<0.001)。 両群とも最終投与から21日以内の死亡の報告はなく、30ヵ月の追跡期間中に発生した7件の死亡(レボフロキサシン群4例、プラセボ群3例)は、専門家の臨床評価委員会によっていずれも結核とは関連がないと判定された。また、フルオロキノロン耐性の獲得は観察されなかった。 著者は、「レボフロキサシンによる結核発生率の数値上の低下は、家庭内接触者における結核感染予防に、この薬剤が役割を持つ可能性を示唆しているが、推定される効果は明確ではなかった」「プラセボ群での結核発生率(1.1%)は、サンプルサイズ推定の根拠とした数値(3%)よりも低く、先行のコホート研究やメタ解析で報告された値よりもかなり低かった」「本試験で得られた知見を他の試験環境で得られた知見と組み合わせることで、さらに理解が深まるであろう」としている。

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第225回 インフルエンザ猛威! 過去最多の感染者数で救急搬送困難事例が多発/厚労省

<先週の動き>1.インフルエンザ猛威! 過去最多の感染者数で救急搬送困難事例が多発/厚労省2.インフル治療薬不足が深刻化「過剰発注控えて」協力要請/厚労省3.2040年、医師の高齢化で自治体2割が「診療所なし」/厚労省4.高齢化社会の岐路、2040年の介護について検討開始/厚労省5.病院船で災害医療を強化、推進計画案パブコメ開始/政府6.看護師による不適切処置示唆のSNS投稿疑惑 病院が内部調査/千葉大1.インフルエンザ猛威! 過去最多の感染者数で救急搬送困難事例が多発/厚労省年末年始にかけて、インフルエンザと新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者が急増し、医療現場が逼迫している。とくに、救急搬送の困難事例が増加しており、患者の受け入れ先がみつからないケースが相次いでいる。厚生労働省によると、昨年12月23~29日の1週間に報告されたインフルエンザの患者数は、1医療機関当たり64.39人と、過去10年で最多を記録した。全国的に警報レベルを超えており、専門家はさらなる感染拡大を懸念している。COVID-19も増加傾向にあり、昨年12月23~29日の新規感染者数は、1定点当たり7.01人と、5週連続で増加している。感染拡大の影響で、発熱などを訴える患者が急増し、救急要請が殺到している。名古屋市では、12月の救急出動件数が過去最多を更新。救急車の稼働率が80%を超える「救急隊逼迫アラート」が頻繁に発令され、1月6日には稼働率が一時的に100%に達し、出動可能な救急車がない時間帯もあったという。救急搬送の困難事例が増加している背景には、医療従事者不足や病床不足など、医療体制の脆弱さがある。インフルエンザやCOVID-19だけでなく、他の疾患や怪我など、救急搬送が必要な患者は常に発生している。医療現場の逼迫を解消するためには、政府による医療体制の強化、国民一人ひとりの感染予防対策の徹底、そして、救急車の適切な利用などが求められる。参考1)全国インフルエンザ患者数 統計開始以来最多に(NHK)2)全国インフル定点報告64.39人、現行統計で最多 感染者数は30万人超え 厚労省(CB news)3)インフルエンザ流行、全国の感染者数が過去最多…タミフル後発薬は生産追いつかず供給停止(読売新聞)4)「救急搬送困難事案」も急増 ひっきりなしに鳴り続ける119番通報 名古屋(名古屋テレビ)5)インフルエンザの流行状況(東京都 2024-2025年シーズン)2.インフル治療薬不足が深刻化「過剰発注控えて」協力要請/厚労省インフルエンザの流行拡大を受け、治療薬の供給が逼迫し、各社が対応に追われている。沢井製薬は1月8日、インフルエンザ治療薬オセルタミビル(商品名:タミフル)の後発薬の供給を一時停止すると発表した。12月からの急激な流行拡大で需要が想定を上回り、生産が追いついていないためだ。カプセルは2月上旬、ドライシロップは1月下旬に供給を再開する予定という。厚生労働省は8日、タミフル後発薬の供給停止を受け、医療機関や薬局に対し、過剰な発注を控え、他社製品や代替薬への処方変更などを検討するよう要請した。中外製薬も9日、タミフルの先発品の一部を限定出荷すると発表した。昨年末以降、増産を続けてきたものの、製造が追いつかない状況だという。原料の入手が難しくなっていることなどから、増産分が今シーズンに間に合うか現時点では不明だという。塩野義製薬も9日、インフルエンザ治療薬バロキサビル マルボキシル(商品名:ゾフルーザ)の供給調整を始めると発表した。他社製品の供給状況などを踏まえ、限定出荷などの措置を講じることで、過剰発注を防ぎ、市中での適正在庫の維持を目指す。インフルエンザは12月中旬頃から感染が急拡大しており、治療薬の供給不足が長期化すれば、患者の治療に影響が出る可能性もある。参考1)オセルタミビルリン酸塩製剤の適正な使用と発注について(厚労省)2)厚労省が「過剰発注控えて」と協力要請 タミフルのジェネリック一時供給停止で(産経新聞)3)中外製薬のタミフル、一部で限定出荷に インフルエンザの急激な流行拡大うけ(産経新聞)4)塩野義、インフルエンザ治療薬の供給調整 過剰発注防ぐ(日経新聞)3.2040年、医師の高齢化で自治体2割が「診療所なし」/厚労省2025年は「団塊の世代」が全員75歳以上の後期高齢者となる年であり、医療現場では大きな変化が予想されている。高齢化の進展に伴い、在宅医療や救急搬送の需要増加が見込まれる一方で、医師不足が深刻化し、地域医療の維持が困難になる可能性が高まっている。厚生労働省の推計によると、75歳以上の患者数は2025年には1日当たり7万9,000人と、2020年と比べて1万人以上増加する見通しだ。救急搬送される75歳以上の高齢者も、2025年には1ヵ月当たり28万人と、2020年と比較し4万2,000人増加すると予測されている。また、医師の高齢化も進み、2040年には市区町村の2割で診療所がゼロになる可能性があるという。厚労省の試算では、医師が75歳で引退すると仮定した場合、診療所のない自治体数は2040年に342となり、全国約1,700自治体の2割に相当する。医師不足は、とくに地方部で深刻化している。青森県佐井村や埼玉県東秩父村のように、常駐医師のいない状態が続く地域も少なくない。医師不足が解消されなければ、高齢者が住み慣れた地域で医療を受け続けることが難しくなり、医療崩壊につながる可能性もある。地域医療を維持するためには、医師の確保が急務である。国は、地域医療構想に基づき、在宅医療や高齢者救急への対応強化、医療機関と介護施設の連携強化などを推進しているが、医師不足は深刻であり、抜本的な対策が必要とされている。参考1)高齢化 “2025年問題” 在宅医療や救急搬送の体制構築が課題に(NHK)2)自治体2割が「診療所なし」 2040年試算、医師高齢化響く(日経新聞)4.高齢化社会の岐路、2040年の介護について検討開始/厚労省厚生労働省は1月9日、「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会を立ち上げ、初会合を開いた。2040年に高齢者数がピークを迎える中、地域の実情に応じた介護サービスの提供体制や人材確保策を検討するのが狙い。検討会では、都市部、中山間地域、一般市といった地域特性に応じたサービス提供モデルの構築、介護人材の確保・定着、テクノロジー活用による生産性向上、経営支援、介護予防など、幅広い論点について議論が行われる。具体的には、中山間・人口減少地域では、介護ニーズの減少と人材不足に対応するため、介護報酬や人員基準の柔軟化、補助金などの財政支援の必要性が指摘されている。一方、都市部では増加する介護ニーズに対応するために新たなサービス提供体制の構築が課題となっている。今後不足するとみられる介護人材の確保・定着には、処遇改善の強化として、介護職員の賃金向上、キャリアアップ支援、働きがいのある職場環境作りなどが課題として、検討される。さらに外国人材の活用やICT・AIなどのテクノロジー活用による生産性向上も重要なテーマとなる。そのほか介護事業所の経営支援のほか、事業者間の連携、事業所の大規模化、職場環境改善などを促進するためのインセンティブや相談窓口の設置など具体的な支援策を検討する。検討会は今後、先進的な取り組みを行う自治体や事業者へのヒアリングなどを実施しながら、2025年春頃をめどに中間取りまとめを行う予定。この中間取りまとめは、今後の介護保険制度改正や2027年度の介護報酬改定に活用される。参考1)第1回「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会(厚労省)2)2040年の介護制度を議論 厚労省が検討会(日経新聞)3)「2040年問題」議論開始 高齢者数ピークも介護人材不足 厚労省(朝日新聞)4)少子高齢化が地域ごとにバラバラに進む「2040年」見据え、介護サービス提供や介護人材確保などの在り方を考える-厚労省検討会(Gem Med)5)介護の大規模化インセンティブ付与へ 春ごろ中間まとめ 厚労省・新検討会(CB news)5.病院船で災害医療を強化、推進計画案パブコメ開始/政府政府は1月8日、災害時などに海上で医療活動を行う「病院船」の活用に向けた推進計画案を公表し、パブリックコメントの募集を開始した。締め切りは1月20日。病院船は、大規模災害発生時に被災地で医療を提供する船舶のことで、昨年6月に施行された「病院船の活用促進に関する法律」に基づき、政府は年内をめどに病院船の整備計画を策定する方針。推進計画案では、病院船の役割として、被災地における医療提供機能の補完、医療従事者や物資の輸送、被災者の避難などを挙げている。また、船舶の確保については、当面の間、民間事業者の協力を得て、民間の既存船舶を活用する方向性を示している。具体的には、民間船舶に医療機材を積み込み、災害時に被災地へ派遣する。政府はDMAT(災害派遣医療チーム)や日本赤十字社救護班、JMAT(日本医師会災害医療チーム)などと連携し、医療従事者の確保や保健医療福祉調整本部への支援を行うとしている。病院船の活用は、東日本大震災以降、たびたび議論されてきた。大規模災害発生時に、陸上の医療機関の被災やアクセスが困難になった場合でも、海路を通じて医療を提供できるという利点がある。具体的な活用イメージは以下の通り。発災直後~72時間:沖合で活動し、被災地から脱出する透析患者や入院患者などを搬送する「脱出船」としての役割を担う。発災後1週間~1ヵ月:被災地付近の港に接岸し、現地で救護活動を行う「救護船」としての役割を担う。亜急性期・慢性期:陸上機能の回復に伴い、船舶での医療活動ニーズが低下する。課題としては、被災地から離れた場所への移送に対する患者の同意取得、救護船へのアクセス確保などがある。一方で、病院船の建造・維持費や医療従事者の確保、平時における活用方法などが問題点として挙げられている。政府は、これらの問題点を解決しながら、病院船の活用を進めていく方針。今回のパブリックコメント募集では、推進計画案に対する意見を広く国民から募り、計画に反映させることで、より実効性の高いものにすることを目指している。参考1)災害時等における船舶を活用した医療提供体制の整備の推進に関する計画(案)に関する意見募集について(内閣府)2)船舶活用医療推進本部(内閣官房)3)病院船、体制整備推進計画案でパブコメ 政府(MEDIFAX)4)病院船、25年度に運用開始へ 岸田首相が計画づくり指示(日経新聞)6.看護師による不適切処置示唆のSNS投稿疑惑 病院が内部調査/千葉大千葉大学医学部附属病院(千葉市中央区)の看護師が、患者への不適切な処置を示唆する内容をX(旧ツイッター)に投稿していた疑惑が浮上し、病院が内部調査に乗り出している。問題の投稿は2023年秋頃から確認されていたとされ、「インシデントを隠蔽している」「薬を捨てている」「褥瘡を発生させた」など、患者の安全を脅かすような内容が含まれていた。また、所属する科の医師への暴言もあったという。これらの投稿は、看護師を名乗る匿名アカウントから発信されていた。アカウントは現在削除されているが、投稿内容から同病院の看護師によるものと疑われている。病院側は1月6日に不適切な投稿を把握し、事実関係の確認を開始。8日には大鳥 精司病院長名で「現在、事実関係などを調査中です。今後、調査結果を踏まえ、病院として適切に対応してまいります」とのコメントをホームページに掲載した。10日には、調査対象となっている職員に自宅待機を命じたことを明らかにした。病院は、SNSでの個人的な情報発信を禁止していないものの、院内ガイドラインで責任ある投稿を求めている。今回の件を受け、病院側は改めて職員への注意喚起を行うとともに、再発防止に向けた対策を検討する方針。この問題は、患者の安全確保や病院への信頼に関わる重大な事態であり、調査の行方が注目される。参考1)当院に関する「X」の投稿について(第2報)2)患者への不適切な処置を示唆するSNS投稿? 千葉大病院が内部調査(朝日新聞)3)千葉大学病院 “不適切処置”投稿の可能性ある職員 自宅待機に(NHK)4)千葉大医学部附属病院めぐる看護師のX不適切投稿疑惑、調査対象の職員に「自宅待機を命じた」「まだ断定できる事実はなく」(ZAKZAK)5)「薬を患者に飲ませず捨てている」千葉大病院関係者がXに不適切投稿か 内部調査を実施(産経新聞)

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第244回 レプリコンワクチン懐疑派に共通することは?

2025年、本年もよろしくお願いいたします。さて年内最後の本連載でも触れたが、通称レプリコンワクチンと呼ばれるMeiji Seikaファルマの新型コロナウイルス感染症に対する次世代mRNAワクチン「コスタイベ」に関して、同社は12月25日付で、立憲民主党の衆議院議員・原口 一博氏に対して名誉棄損に基づく1,000万円の損害賠償を求める提訴に踏み切った。原口氏がX(旧Twitter)、YouTube、ニコニコ生放送、著書「プランデミック戦争 作られたパンデミック」で、コスタイベに関し事実に基づかない情報を発信・拡散していることを同社に対する名誉棄損と捉え、法的措置に踏み切ったものだ。同社はすでに2024年10月9日に原口氏に警告書を送付したものの、それに対して原口氏からは「衆院選挙後の国会で論点を明らかにしたい」という旨の回答しか得られず、その後も同様の発信を続けていることから提訴に踏み切ったとしている。今回の名誉毀損にあたる発言の類型同日開催された記者会見では、今回の提訴を担当する三浦法律事務所の弁護士・松田 誠司氏より、名誉棄損と考える発言の類型について、(1)Meiji Seikaファルマを731部隊になぞらえた発言、(2)コスタイベの審査過程を不公正とする発言、(3)コスタイベを生物兵器とする発言、(4)Meiji Seikaファルマが人体実験を行っているとの発言、の4つが挙げられた。軽く解説すると、731部隊とは旧帝国陸軍の関東軍防疫給水部の通称名であり、同部隊は生物兵器の研究開発と一部実戦使用を行い、その過程で捕虜などを利用した生体実験を行っていたことで知られる。類型(4)の人体実験とは、いわゆる臨床試験のことではなく、731部隊の生体実験のようなネガティブな意味での発言を指す。また、松田氏はMeiji Seikaファルマが被った損害は、有形損害が迷惑電話対応(損害120万円)、推定のコスタイベ利益損害(同55億6,000万円)、無形損害が原口氏のSNS上での発信による会社の名誉侵害と説明。「無形損害は1,000万円を下らない」(松田氏)とも語り、これら損害の一部として1,000万円を請求するとした。推定損害額に対して請求額がかなり低いことについて、同社代表取締役社長の小林 大吉郎氏は「今回の訴訟の目的は金銭ではない。あくまで意見・論評を超えた発言を法廷でつまびらかにして、名誉回復を図りたいというのが主な目的」と語った。さてこの会見では、小林氏よりコスタイベに懐疑的な人たちが行う抗議と称した活動の一端が明らかにされた。ワクチン懐疑派が行った具体的な抗議活動明らかにされたのは、懐疑派がX上にアップした治験施設一覧を基にしたと思われる6施設に対する嫌がらせのメール送付、電話、封書投函、Googleマップへの書き込み。そして、コスタイベの接種実施をホームページ(HP)上で明らかにした3医療機関に対する嫌がらせや誹謗中傷の電話殺到、SNSでの誹謗中傷の拡散、Googleマップへの低評価入力による診療への悪影響やHP閉鎖など。また、同社の本社前では頻繁に抗議活動が行われているが、同社の看板に「明治セイカファルマ、死ね バーカ!!」「殺人ワクチン ふざけるな」(原文ママ)などの付箋が張られた写真も示された。なお、原口氏はコスタイベの治験について具体的に「殺人に近い行為」とまで表現している。今回、提訴に至った経緯について小林氏が次のように説明した。長くなるが全文掲載する。なお、発言内の( )は私個人による補足である。「コロナワクチン開発に関わった医学専門家・研究者、接種に当たる多くの善意の医師、真摯に業務に取り組む社員、これはもう一般市民なんですよ、国民なんですよ。原口氏は相当な影響力があって、何十万人という(SNS)フォロワーがいる中で、こういったことを繰り返し拡散しているんですね。ワクチン反対派の活動のリーダー役となっているわけですけれども、そういったことによって実際こういった人たちは業務を妨げられ、精神的に大きな打撃を受けている。百歩譲って何か不正があったとか、データに瑕疵があったとかならば、何か言われるのは理解できますが、まったく瑕疵のない開発行為について、こういったことが繰り返される。実は承認を取ったときに若い研究者、開発者が本当に喜んだんですよ。情熱をもってやった行為ですから。ところが、殺人行為だとか原爆だと言われて、その人たちにも家族がいるわけですね。そういうことも考えますと、このまま放置できないというところまで来てしまったと。提訴をすることについては、極めて消極的だったんです。当初は。」個人的な印象を率直に言うと、SNS上でコスタイベに懐疑的な発信をする人の中には、その情報の審議は別にして強い信念に基づくと見受けられる人もいる反面、野次馬感覚でこのムーブメントに乗っかっていると思われる人も見受けられる。そうした“野次馬”は10年後には、コスタイベのことなど忘れて、ほかのことにかまけて、自分たちの行動によって傷付けられた人たちのことなぞ、おそらく忘れているだろう。私がそう思うのは実体験があるからだ。ワクチン懐疑派の一部は「何かを批判していたい」だけかつて「放射能瓦礫」なる言葉が流布されたことを覚えている人はいるだろうか?東日本大震災の時、主要な被災地域である岩手県、宮城県、福島県では津波被害などに伴い膨大な瓦礫が発生した。そしてご存じのように同震災では、東京電力・福島第一原発事故が起こり、同原発から漏れ出た放射性物質が風によって広範な地域に降り落ちた。こうした放射性物質の量は、地域によって濃淡があり、岩手県や宮城県の大部分の自治体では大きな問題になるほどではなかった。しかし、一部の人達は被災地で発生した瓦礫の多くもこうした放射性物質で濃厚に汚染されたと主張し、一部の人が「放射能瓦礫」と呼んだのである。この件は被災により廃棄物処理能力が大きく低下した被災自治体の支援策として、他の地域でその一部を焼却処分する広域瓦礫処理策が浮上すると、問題として顕在化した。東京都をはじめ実際に瓦礫処理を受け入れた自治体もあったが、一部では反対派が瓦礫を運搬する車両の通行をブロックするなどの妨害行為も発生した。被災自治体出身者の私はこの件に怒りと悔しさを覚え、当時一部の反対派とXでやり合ったことがある。あれから10年以上が過ぎたが、この間、瓦礫処理を請け負った被災地外の自治体で何か問題が起きたであろうか? 答えは否だ。最近、当時やり合った複数のXアカウントを覗いてみたが、あの時のことなぞどこ吹く風である。しかも、その一部は今コスタイベ批判を行っている。率直に言って、呆れるほかない。彼らはあの当時、私が感じた怒りと悔しさ、そして今回の小林氏が訴えた精神的打撃を受けた関係者のことを何と思っているのだろう?そして野次馬感覚とまでは言えないものの、コスタイベについてシェディングなる現象を訴え、それを証明するデータがないと主張する医師の一部では、自院のHPでほかのワクチン接種は行っていることがわかるケースもある。既存のワクチンでは承認に際し、彼らが主張するようなシェディングが起きないことを証明するデータ提出を製薬企業は行っていないし、規制当局もそのようなデータは求めていない。にもかかわらず、コスタイベのみにそれを証明せよなどと言うのは、もはや“信念”ではなく狂気である。言葉は悪いのを承知で言うならば、今回の件でコスタイベの危険性を声高に主張する面々は、私には“知ったかぶりの自己顕示”にしか映らないのである。

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テクリスタマブ、再発/難治多発性骨髄腫に承認/J&J

 Johnson & Johnson(法人名:ヤンセンファーマ)は、2024年12月27日、BCMA/CD3標的二重特異性抗体テクリスタマブ(商品名:テクベイリ)について、「再発又は難治性の多発性骨髄腫(標準的な治療が困難な場合に限る)」を効能又は効果として製造販売承認を取得したと発表した。 テクリスタマブはT細胞表面に発現するCD3受容体と骨髄腫細胞表面に発現するBCMAの両方に結合し、免疫系を活性化させるT細胞リダイレクト二重特異性抗体で、投与前の希釈が不要な皮下注製剤である。 今回の承認は、海外第I/II相MajesTEC-1試験4および国内第I/II相MMY1002試験の結果に基づくもの。両試験は、成人の再発/難治多発性骨髄腫(R/R MM)患者を対象にテクリスタマブの全奏効率(ORR)、最良部分奏効(VGPR)、完全奏効(CR)などの有効性および安全性を評価している。 MajesTEC-1試験は、免疫調節薬、プロテアソーム阻害薬および抗CD38抗体を含む少なくとも3つの標準治療歴を有する成人外国人のR/R MM患者を対象に、テクリスタマブの有用性を評価する第I/II相用量漸増単群非盲検多施設共同用量拡大試験。追跡期間中央値 30.4ヵ月において、ORR63%、CR以上46%を示した。有害事象は、好中球減少症(全Grade72%)、貧血(全Grade55%)、血小板減少症(全Grade42%)、リンパ球減少症(全Grade36%)、感染症(全Grade79%)などであった。MMY1002試験は成人日本人のR/R MM患者を対象に、テクリスタマブの有用性を評価する第I/II相用量漸増単群非盲検多施設共同試験。追跡期間中央値14.3か月において、ORR76.9%、VGPR以上76.9%、CR以上65.4%を示した。安全性に関する所見はMajesTEC-1の結果と一貫していた。

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1月9日 風邪の日【今日は何の日?】

【1月9日 風邪の日】〔由来〕寛政7(1795)年の旧暦の今日、第4代横綱で63連勝の記録を持つ谷風 梶之助が風邪で亡くなったことに由来して制定。インフルエンザや風邪が流行する季節でもあることから、医療機関や教育機関で風邪などへの予防啓発で周知されている。関連コンテンツこじれた風邪には…【漢方カンファレンス】風邪で冷えてきつい…【漢方カンファレンス】風邪の予防・症状改善に亜鉛は有用か?~コクランレビュー“風邪”への抗菌薬処方、医師の年齢で明確な差/東大小児の風邪への食塩水点鼻、有症状期間を2日短縮か/ERS2024

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