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片頭痛は脳出血や心房細動とも関連/BMJ

 片頭痛は、虚血性脳卒中や心筋梗塞との関連が知られている。デンマーク・オーフス大学病院のKasper Adelborg氏らは、一般集団ベースのコホート研究を行い、片頭痛は出血性脳卒中や静脈血栓塞栓症、心房細動/粗動とも関連することを示した。BMJ誌2018年1月31日号掲載の報告。片頭痛患者と一般集団で心血管疾患リスクを比較 研究グループは、片頭痛患者と一般集団において、7つの心血管疾患のリスクを比較する全国的な一般集団ベースのコホート研究を実施した(オーフス大学などの助成による)。 1995~2013年に、デンマーク全国患者登録(DNPR)に記録された片頭痛患者5万1,032例と、年齢、性別、暦年をマッチさせた一般集団51万320例が解析の対象となった。主要評価項目は、Cox回帰分析に基づく、併存疾患としての心血管アウトカムの補正後ハザード比(HR)とした。 片頭痛群の診断時の年齢中央値は35歳(IQR:22~47)であり、全体の71%が女性であった。片頭痛群は、わずかに心血管疾患リスク因子や併存疾患が多かった。 解析の結果、ほとんどのアウトカムの絶対リスクは、フォローアップ期間を通じて、片頭痛群が一般集団に比べて高かった。脳卒中は片頭痛診断後早期のリスクが高い フォローアップ期間19年時における心筋梗塞の累積発生件数(1,000人当たり)は、片頭痛群が25件、一般集団は17件であり、虚血性脳卒中はそれぞれ45件、25件、出血性脳卒中は11件、6件、末梢動脈疾患は13件、11件、静脈血栓塞栓症は27件、18件、心房細動/粗動は47件、34件、心不全は19件、18件であった。 これらの発生率に対応して、片頭痛群は一般集団に比べ、心筋梗塞(補正後HR:1.49、95%信頼区間[CI]:1.36~1.64)、虚血性脳卒中(2.26、2.11~2.41)のリスクが有意に高く、さらに出血性脳卒中(1.94、1.68~2.23)、静脈血栓塞栓症(1.59、1.45~1.74)、心房細動/粗動(1.25、1.16~1.36)とも有意な関連を示した。一方、末梢動脈疾患(補正後HR:1.12、95%CI:0.96~1.30)と心不全(1.04、0.93~1.16)には、片頭痛との意味のある関連を認めなかった。 心不全を除く6つの心血管疾患は、いずれも片頭痛診断後1年以内の補正後HRが高い傾向がみられ、とくに脳卒中は、診断後1年以内の補正後HRが、全フォローアップ期間(0~19年)に比べて高く(虚血性脳卒中の補正後HR:8.37 vs.2.26、出血性脳卒中の補正後HR:7.89 vs.1.94)、診断後早期の発症に注意を要することが示唆された。 静脈血栓塞栓症と心不全を除く5つの心血管疾患については、前兆のある片頭痛群は前兆のない群に比べ補正後HRが高かった。また、前兆のある片頭痛群は、心筋梗塞、虚血性脳卒中、出血性脳卒中、静脈血栓塞栓症の長期リスクとの関連が認められた。 片頭痛と心血管疾患の関連は、女性が男性よりもやや強かったが、男女とも長期に持続しており、全般に加齢に伴って減弱した。また、予想どおり、若年層ではすべての心血管疾患の絶対リスクが低かった。さらに、喫煙とBMIを加えて補正しても、片頭痛と心血管疾患の関連は保持されていた。 著者は、「これらの知見は、男女ともに、片頭痛はほとんどの心血管疾患の強力かつ持続的なリスク因子であることを示唆する」と結論している。

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HbA1cと認知機能低下との関連~縦断研究

 HbA1c値および糖尿病の状況と、その後の10年間の認知機能低下について縦断的に調査したところ、これらの間に有意な関連が認められたことを中国科学院のFanfan Zheng氏らが報告した。Diabetologia誌オンライン版2018年1月25日号に掲載。 本研究では、English Longitudinal Study of Ageing(ELSA)のwave 2(2004~05年)からwave 7(2014~15年)のデータを分析した。認知機能をベースライン(wave 2)で評価し、wave 3~7で2年ごとに再評価した。線形混合モデルを使用して縦断的な関連を評価した。 主な結果は以下のとおり。・参加者は、ベースライン時のHbA1c値が15.9~126.3mmol/mol(3.6~13.7%)であった5,189人(女性55.1%、平均年齢65.6±9.4歳)。・平均追跡期間は8.1±2.8年、認知機能評価の平均回数は4.9±1.5回であった。・ベースライン時の年齢、性別、総コレステロール、HDLコレステロール、トリグリセライド、高感度CRP、BMI、教育、婚姻状況、うつ症状、現在の喫煙状況、飲酒、高血圧、CHD、脳卒中、慢性肺疾患、がんに関する調整後、HbA1cが1mmol/mol増加すると、認知機能全般のzスコア(-0.0009 SD/年、95%CI:-0.0014~-0.0003)、記憶のzスコア(-0.0005 SD/年、95%CI:-0.0009~-0.0001)、実行機能のzスコア(-0.0008 SD/年、95%CI:-0.0013~-0.0004)の低下速度が有意に増加した。・多変量調整された認知機能全般の低下速度は前糖尿病および糖尿病に関連して増加し、正常血糖の参加者と比べ、それぞれ-0.012 SD/年(95%CI:-0.022~-0.002)および-0.031 SD/年(95%CI:-0.046~-0.015)増加した(傾向のp<0.001)。・同様に、記憶、実行機能、見当識のzスコアから、糖尿病による認知機能低下速度の増加が示された。

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1日1本のタバコでも心血管疾患リスク増大/BMJ

 1日1本であっても、喫煙は冠動脈疾患および脳卒中の発症リスクを予想以上に増大させ、心血管疾患の発症に害のない安全な喫煙レベルは存在せず、リスク低減には減煙では不十分であることが、英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのAllan Hackshaw氏らが実施した141件のコホート試験のメタ解析で示された。研究の成果は、BMJ誌2018年1月24日号に掲載された。喫煙者の多くはタバコの本数を減らすことで関連疾患の発症リスクを低減できると考えているが、これまでにも冠動脈疾患のリスクは軽度の喫煙(1日5本未満)でも予想以上に高いことが報告されている。コホート試験141件を含む55論文のメタ解析 研究グループは、軽度の喫煙(1~5本/日)による冠動脈疾患および脳卒中のリスクを評価するために、系統的レビューとメタ解析を行った(Cancer Research UKの助成による)。 医学データベース(Medline)を用いて、1946~2015年に発表された論文を検索した。冠動脈疾患および脳卒中のリスクに関して、非喫煙者と比較したハザード比または相対リスクの記述があり、心血管疾患のイベント数が50件以上の前向きコホート試験を対象とした。 回帰モデルを用いて、非喫煙者と比較した、1日の喫煙本数が1本、5本、20本の場合の相対リスクを推算した。主要評価項目は、喫煙本数1日20本と比較した1日1本の相対リスクの変化率(過剰相対リスク)とした。たとえば、相対リスクが1日1本で1.4、20本で1.9の場合の過剰相対リスクは44%[(1.4-1)/(1.9-1)]となる。 141件のコホート研究を含む55件の論文がメタ解析の対象となった。リスク低減には、減煙でなく禁煙を 男性の冠動脈疾患の相対リスクは、すべての試験では喫煙本数1日1本が1.48、1日20本は2.04であったが、複数の交絡因子で調整した試験に限定すると、それぞれ1.74、2.27といずれも増加した。女性の相対リスクは、全試験では1日1本が1.57、20本は2.84であったのに対し、交絡因子調整済み試験ではそれぞれ2.19、3.95であった。 冠動脈疾患の、喫煙本数1日20本に対する1日1本の過剰相対リスクは、男性が46%(調整済み相対リスクを用いた場合は53%)、女性は31%(同:38%)であった。これは、男性における1日1本の冠動脈疾患リスクは、1日20本の約半分、女性は約3分の1であることを意味する。 脳卒中については、男性の相対リスクは1日1本が1.25、20本は1.64であり、調整済み相対リスクはそれぞれ1.30、1.56であった。また、女性の相対リスクはそれぞれ1.31、2.16で、調整済み相対リスクは1.46、2.42であった。 脳卒中の、喫煙本数1日20本に対する1日1本の過剰相対リスクは、男性が41%(調整済み相対リスクを用いた場合は64%)、女性は34%(同:36%)だった。 相対リスクは、全般的に男性に比べ女性のほうが高かった。 著者は、「男性では、1日1本の喫煙により、非喫煙者に比べ冠動脈疾患のリスクが48%(調整済み:74%)、脳卒中のリスクは25%(同:30%)増加し、女性ではそれぞれ57%(同:119%)、31%(同:46%)増加した」とまとめ、「喫煙者は、これら2つの一般的な主要疾患のリスクを統計学的に有意に低減させるには、喫煙本数を減らすのではなく、喫煙を止めるべきである」と指摘している。

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喫煙による日本人の肺がんリスクモデルとその性能

 喫煙量、喫煙期間、禁煙期間などの喫煙習慣、年齢、性別をスコア化し、肺がん発症の10年間の累積確率を評価する予測モデルが開発され、喫煙量による用量依存的な影響が確認された。国立がん研究センターのHadrien Charvat氏らは、日本の多目的コホート研究のデータを用いて、喫煙者における肺がん発症リスクの予測モデルを構築した。著者は、「このモデルを活用することで、リスクの高い人に禁煙を促し、監視を強化することができる」とまとめている。Cancer science誌オンライン版2018年1月18日掲載の報告。 著者らは、JPHC研究コホートII(5万9,161例)のデータを用いて、パラメトリック生存モデルにより、年齢、性別、喫煙関連因子(pack-years、喫煙開始年齢、禁煙期間から計算した累積喫煙強度)の影響を評価。他の原因による死亡の競合リスクを考慮したうえで、肺がん発症の10年間の累積確率を計算した。なお、JPHC研究コホートIの4万7,501例のデータを用いて、モデルの妥当性を外部データにより検証した。 主な結果は以下の通り。・98万6,408人年のフォローアップ期間中、全体で1,210例が肺がんを発症した。・肺がん発症の10年間の累積確率は、男性で0.04~11.14%、女性で0.07~6.55%の範囲であった。・現在も喫煙している場合、累積タバコ喫煙量が15pack-years未満(pack-years=1日の喫煙箱数[1箱20本として計算]×喫煙年数。15pack-yearsの例:1日1箱×15年)の場合はハザード比3.78(2.00~7.16)、75pack-years以上では15.80(9.67~25.79)に及んだ。・肺がん発症リスクは禁煙期間の長さとともに減少した。・本モデルは、識別能(交差検証されたC-index=0.793)および較正(交差検証されたχ2=6.60、p=0.58)において、良好な予測性能を示した。・また、外部集団(C-index=0.772)との検証においても、識別能は良好であった。

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正常組織で正確に発がんリスク診断。国がんが測定法開発

 国立研究開発法人国立がん研究センター(理事長:中釜斉、東京都中央区)は2018年1月23日、これまで測定困難であった正常組織に蓄積された微量の点突然変異の測定法の開発に成功したと発表。この新たな測定法を用いて正常な胃と食道での点突然変異とDNAメチル化異常両者の蓄積量を測定し、発がんリスクとの関連を調べた。 研究の結果、発がんリスクに応じて点突然変異とDNAメチル化異常の両者または一方の蓄積が増加すること、胃と食道ではその重要性が異なることを発見した。さらに、この両者測定により、正確な発がんリスクの予測が可能であることがわかった。 本研究は、国立がん研究センター研究所エピゲノム解析分野(牛島俊和分野長)の研究グループによるもので、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の革新的がん医療実用化研究事業および次世代がん医療創生研究事業の支援を受け行った。また、研究成果は米国科学アカデミーの機関誌Proceeding of National Academy of Science誌オンライン版201年11月22日号に掲載された。 対象は、発がんリスクほぼなし:食道30人(男20人、女10人)、胃32人(男18人、女14人)。リスクややあり:食道32人(男32人、女0人)、胃32人(男22人、女10人)。リスク高:食道31人(がん罹患 男31人、女0人)、胃32人(がん罹患 男25人、女7人)であった。発がんリスクの上昇に応じて点突然変異とDNAメチル化異常の両者または一方の蓄積が増加 食道では発がんリスクが高いほど、点突然変異とDNAメチル化異常の両者とも蓄積量が増加することを確認した。一方、胃では発がんリスクが高いほどDNAメチル化異常の蓄積量は増加したが、点突然変異の増加と発がんの関連は確認できなかった。点突然変異やDNAメチル化異常の上昇はライフスタイルを反映 食道がんの場合、喫煙、飲酒、ビンロウ(噛みタバコ)使用が、誘発要因として知られているが、これらは突然変異とDNAメチル化異常の両者を誘発する。今回の食道がんにおける点突然変異とDNAメチル化異常が同程度に重要という結果と合致する。胃がんの場合、その誘発要因としてピロリ菌感染歴が知られているが、ピロリ菌感染は胃粘膜に強い慢性炎症を誘発して、DNAメチル化異常を強力に誘発する。今回の胃がんにおけるDNAメチル化異常が重要という結果と合致する。点突然変異とDNAメチル化異常の蓄積を組み合わせることで正確なリスク診断へ これまでは、正常な組織に蓄積したDNAメチル化異常のみが測定可能であったが、点突然変異と組み合わせることにより発がんリスク予測精度がより向上することが考えられる。食道がんの場合、点突然変異とDNAメチル化異常を組み合わせると、発がんリスク予測の感度・特異度が非常に高くなった。胃がんの場合、DNAメチル化異常のみの場合でも相当に高く、点突然変異追加の効果は不明確であった。 本研究成果により、正常組織に蓄積した点突然変異とDNAメチル化異常の両者を測定し、検討することで、より正確に発がんリスクの診断が可能となることが示された。今後さまざまながんでライフスタイルに応じた両者の異常の蓄積を検討することで、さらに多くのがんリスク診断の発展が期待される。■参考国立がん研究センタープレスリリースYamashita S, et al. Proc Natl Acad Sci U S A. 2018 Jan 22. [Epub ahead of print]

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ADHDと電子タバコ、水タバコ、可燃性タバコの使用との関連は?

 最近、電子タバコや水タバコなどの代替タバコ製品の使用が、若者の間で増加している。代替タバコ製品の使用開始が、ADHD症状と関連しているかは、よくわかっていない。米国・南カリフォルニア大学のNicholas I. Goldenson氏らは、青年期の喫煙や電子タバコなどの使用開始とADHD症状との関連について、調査を行った。Journal of pediatric psychology誌オンライン版2018年1月2日号の報告。ADHD症状と電子タバコの使用開始に関連が認められた ベースライン時に、いずれのタバコ製品を一度も使用していなかった9年生(Ninth grade high school students[日本では中学3年生に当たる])1,921人を対象として、2014~15年に縦断調査を行った。ADHDの全体的な症状および不注意や多動性・衝動性などのサブタイプについて、ベースライン時に評価を行った。過去6ヵ月間の電子タバコ、水タバコ、可燃性タバコの使用について、半年ごとに3回のフォローアップにより調査を行った。ベースライン時のADHD症状とフォローアップ期間中のタバコ製品の使用開始との関連を、反復測定ロジスティック回帰モデルを用いて評価を行った。 ADHD症状とタバコ製品の使用開始との関連について調査した主な結果は以下のとおり。・ADHDの主要影響評価において、フォローアップ期間中のタバコ製品の使用に関する未調整のオッズは、電子タバコで45%、水タバコで33%、可燃性タバコで37%増加しており、ベースライン時のADHD症状が1SDユニット増加するたびにタバコ製品の使用も増加した。・他のリスク因子を調整した後、ADHDと、水タバコまたは可燃性タバコの使用に関連は認められなかった。・調整後、電子タバコの使用開始は、全体的なADHD症状(オッズ比[OR]:1.22、95%信頼区間[CI]:1.04~1.42)および多動性・衝動性症状(OR:1.26、95%CI:1.09~1.47)と関連が認められたが、不注意症状(OR:1.13、95%CI:0.97~1.32)では認められなかった。・ADHDと時間との相互関係は有意ではなく、ADHDは電子タバコの使用開始のオッズを高めたが、使用開始者のフォローアップ期間中、使用軌道の形に変化は認められなかった。 著者らは「若者に電子タバコが普及している現代において、ADHD症状と電子タバコ使用の心理社会的メカニズムを理解することは、タバコ製品の病因論や予防促進を行ううえで重要である」としている。■関連記事メチルフェニデート使用で“喫煙”が加速ADHD発症しやすい家庭の傾向ADHDの小児および青年における意図しない怪我のリスクとADHD薬の影響

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高齢者のスタチン非順守に関連する因子~メタ分析

 高齢者のスタチン服用における非順守や中断には、非白人、喫煙、低収入、高い患者負担金、1次予防などが関連することを、オーストラリア・Monash大学のRichard Ofori-Asensoらが報告した。著者らは「金銭的・社会的バリア、疾患リスクに関する患者の認識、ポリファーマシーなど、潜在的に修正可能な因子を対象とした介入によって、高齢者のスタチン服用を改善する可能性がある」としている。The Journals of Gerontology誌Series Aオンライン版2018年1月19日号に掲載。 本研究では、2016年12月12日までに公表された、高齢者(65歳以上)のスタチンの非順守や中断に関連する因子を報告した英語論文について系統的レビューを行った。データはランダム効果メタ分析を用いて統合した。 主な結果は以下のとおり。・45論文、13ヵ国180万人以上の高齢スタチン服用者のデータを分析した。・スタチン服用非順守の増加に関連する因子のオッズ比(95%信頼区間)  黒人もしくは非白人:1.66(1.39~1.98)  女性:1.08(1.03~1.13)  現在喫煙:1.12(1.03~1.21)  高い患者負担金:1.38(1.25~1.52)  新規の服用者:1.58(1.21~2.07)  併用する心血管用薬が少ない:1.08(1.06~1.09)  1次予防:1.49(1.40~1.59)  呼吸器疾患の存在:1.17(1.12~1.23)  うつ病の存在:1.11(1.06~1.16)  腎疾患なし:1.09(1.04~1.14)・スタチン服用中断の増加に関連する因子のオッズ比(95%信頼区間)  低収入:1.20(1.06~1.36)  現在喫煙:1.14(1.06~1.23)  高い患者負担金:1.61(1.53~1.70)  薬剤数が多い:1.04(1.01~1.06)  認知症の存在:1.18(1.02~1.36)  がんの存在:1.22(1.11~1.33)  呼吸器疾患の存在:1.19(1.05~1.34)  1次予防:1.66(1.24~2.22)  高血圧なし:1.13(1.07~1.20)  糖尿病なし:1.09(1.04~1.15)

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糖尿病になりやすい民族…(解説:吉岡成人 氏)-806

オリジナルニュース糖尿病リスクに人種間格差はあるか?/JAMA(2018/1/11掲載)糖尿病発症リスクと人種 糖尿病の発症リスクには人種間格差があり、コホート研究では、白人に比べアジア人やヒスパニック、黒人で糖尿病の発症率が高いことが知られている。また、中年女性を対象とした米国におけるNurses’ Health Study(NHS)では、18歳以降の5kgの体重増加に伴う糖尿病の発症リスク(相対リスク)について、白人が1.37であるのに対し、黒人1.38、ヒスパニック1.44、アジア人では1.84と、アジア人はわずかな体重増加でも糖尿病を発症しやすいことが報告されている(Shai I, et al. Diabetes Care. 2006;29:1585-1590.)。CARDIA研究 生活習慣などと冠動脈疾患発症のリスクなどとの関連を検討した結果について、いくつもの報告がある観察試験であるCARDIA(Coronary Artery Risk Development in Young Adults Study)では、1985年から1986年の登録時に18歳から30歳の糖尿病を持たない青年男女を20年間にわたって追跡した結果、ベースラインと7年後の比較で、トレッドミル負荷試験における運動耐容能の低下が少ないものほど糖尿病の発症リスクが低く、20年後に糖尿病を発症したものでは運動耐容能が低下していることがすでに報告されている (Carnethon MR , et al. Diabetes Care. 2009;32:1284-1288.)。人種間格差と環境の格差 今回の報告はCARDIA試験のデータを2015年から2016年まで追跡し、2型糖尿病発症のリスクといわれている人種間の差異と青年期における修正可能なリスク因子についての関連について検証したものである。修正可能なリスク因子として、空腹時血糖値、BMIなどの生物学的要因、人種差別や貧困といった地域的要因のほか、うつ症状などの心理的要因、本人や親の教育レベル、職業などの社会経済学的な側面、アルコール摂取や喫煙などの行動学的要因について検討が加えられている。その結果、平均年齢25歳、黒人49%、女性54%の4,251人のなかで、平均追跡期間24.5年の間に糖尿病を発症したのは504例(11.9%)であった。黒人では男性、女性ともに白人に比較して糖尿病の発症率が高かった(ハザード比:男性1.67、女性2.86)。しかし、空腹時血糖値、BMI、人種差別や貧困などの地域的要因、心理的要因、社会経済学的要因、行動学的要因で補正した場合は、中年期における糖尿病の発症リスクには人種間格差が認められなかった(ハザード比:男性0.92、女性0.79)と報告されている。 今回の検討からは、人種間格差といわれるものの本質は環境因子であり、環境因子は人種の差を十分に埋めるものであることが示されたと受け止めることもできる。現在の米国第一主義が、「修正可能なリスク因子(modifiable risk factors)」として選択された要因を修正できるような社会として成り立っているのかどうかについても考えさせる論文である。

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大腸ポリープも身体活動や座位時間に関連

 定期的なレクリエーションでの中~高強度の身体活動(rMVPA)は大腸がん(CRC)リスク低下と関連しているが、前がん状態の前駆病変である大腸ポリープとの関連を検討した研究はほとんどない。今回、カナダ・アルバータヘルスサービスのDarren R. Brenner氏らが、大規模なCRCスクリーニング集団でスクリーニング時の身体活動および座位時間とポリープとの関連を調べたところ、とくに女性で、rMVPAの増加とポリープ有病率の減少の関連が示唆された。また、とくに男性で、習慣的な座位時間が短くてもポリープの存在に関連していた。Cancer epidemiology誌オンライン版2018年1月17日号に掲載。 本研究は、カナダ・アルバータ州カルガリーで、スクリーニングで大腸内視鏡検査を受けた2,496人における横断研究である。身体活動と座位時間は、身体活動の勧告に沿ったrMVPAの時間と、国際標準化身体活動質問票での自己申告データによる座位時間を用いて特徴付けた。rMVPAおよび座位時間に関連するポリープの存在について、ロジスティック回帰モデルを用いて、粗および調整オッズ比(OR)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・150分/週以上の身体活動指針の達成は、1つ以上のポリープ存在のオッズにおいてわずかに減少したが有意ではなかった(調整OR:0.95、95%CI:0.80~1.14)。・男性では、座位時間に関する閾値効果は20時間/週まで観察された(座位時間当たりの調整OR:1.07、95%CI:1.01~1.13)。・層別解析では、統合された結果と比較し、女性・肥満者・過去喫煙者におけるポリープの存在と身体活動の間に、より強い逆相関が認められた。 著者らは、「前がん状態の大腸病変の頻度を減らすための戦略をより明確にするためには、rMVPAおよび座位時間に関するさらなる研究が必要である」としている。

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病的肥満、肥満外科手術で死亡率減少/JAMA

 肥満症患者において、肥満外科手術(腹腔鏡下での胃バンディング術、ルーワイ胃バイパス術、またはスリーブ状胃切除術)は、手術治療を行わない通常ケアと比較して、全死因死亡率の低下と関連することが示された。イスラエル・Clalit Health ServicesのOrna Reges氏らが、イスラエルの半数超の国民が加入する健康保険データを用いて行った後ろ向きコホート研究の結果で、追跡期間中央値は約4.5年間であった。著者は「通常ケアの肥満症マネジメントのみと比較した、3タイプの肥満外科手術の有益性アウトカムの文献記述は限られているが、それらに今回のエビデンスを加えたい」とまとめている。JAMA誌2018年1月16日号掲載の報告。3タイプの肥満外科手術群vs.非手術群で検討 研究グループは、肥満症患者における3タイプの肥満外科手術と非手術治療の死亡率および臨床的アウトカムの関連を比較する目的で、イスラエルの大規模総合健康保険(国民の54%が加入し、特色として約1%の年間ターンオーバー率)のデータを用いて、後ろ向きコホート研究を行った。 2005年1月1日~2014年12月31日に肥満外科手術(腹腔鏡下での胃バンディング術、ルーワイ胃バイパス術、またはスリーブ状胃切除術)を受けた肥満症患者を特定し、年齢、性別、BMI値、糖尿病で適合した非手術肥満症患者(食事指導と行動変容などを含むと思われる、プライマリケア医による肥満症マネジメントの通常ケアのみ)と比較した。最終フォローアップは2015年12月31日。検討には、3万3,540例の患者が包含された。 主要アウトカムは全死因死亡で、手術前のBMI値、年齢、性別、社会経済的地位、糖尿病、脂質異常症、高血圧症、心血管疾患、喫煙について適合および補正を行い評価した。非手術群の手術群に対する死亡ハザード比は2.02倍、タイプ別では1.60~2.65倍 肥満外科手術を受けたのは8,385例(年齢中央値46歳[IQR:37~54]、女性65.5%、ベースラインBMI中央値40.6[IQR:38.5~43.7])、適合した非手術患者は2万5,155例(46歳[37~54]、65.5%、40.5[37.0~43.5])であった。手術タイプの内訳は、バンディング術3,635例、バイパス術1,388例、スリーブ状胃切除術3,362例。全死因死亡に関するフォローアップデータは、100%を入手できた。 追跡期間中央値4.3年(IQR:2.8~6.6)において、肥満外科手術群の死亡は105例(1.3%)で、内訳はバンディング術群61例(1.7%)、バイパス術群18例(1.3%)、スリーブ状胃切除術群26例(0.8%)であった。一方、追跡期間中央値4.0年(IQR:2.6~6.2)において、非手術群の死亡は583例(2.3%)であった。 手術群の死亡は非手術群と比べて、絶対差で2.51(95%信頼区間[CI]:1.86~3.15)/1,000人年少なかった。非手術群の手術群に対する死亡率の補正後ハザード比は、全登録患者集団ベースでは2.02(95%CI:1.63~2.52)であり、手術タイプ別にみると、バンディング術群2.01(1.50~2.69)、バイパス術群2.65(1.55~4.52)、スリーブ状胃切除術群1.60(1.02~2.51)であった。

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ペットは老化の進行を抑制する?/BMJ

 動物との交遊は、老化の修正可能な特性である可能性があるが、高齢者がペットを飼うことと老化のバイオマーカーとの関連はほとんど知られていない。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのG. David Batty氏らは、約8,800例の高齢者を調査し、ペットの飼育は老化のバイオマーカーに影響を及ぼさないことを示した。研究の成果は、BMJ誌2017年12月13日号に掲載された。英国では高齢者の半数がペットを飼っており、オーストラリアの調査では高齢者の12%が「動物は交遊の主要形態」と答えているという。ペットの有無で11のバイオマーカーを比較 研究グループは高齢者を対象に、動物を飼うことと老化のバイオマーカーの関連を前向きに評価するコホート研究を行った(米国国立老化研究所と、英国経済社会研究会議が組織した政府機関の助成による)。 英国で進行中の全国的なコホート研究であるEnglish Longitudinal Study of Ageing(ELSA試験)へ2010~11年に登録された8,785例(平均年齢67歳[SD 9]、女性55%)を、約2年間フォローアップした(平均年齢69歳[SD 8])。 ペット(イヌ、ネコ、その他)の有無別に、老化との関連が確立されている11項目のバイオマーカー(身体機能、免疫学的機能、心理学的機能)との関連を評価した。すべてのバイオマーカーが、ペットの飼育と強い関連なし ベースライン時に対象者の約3分の1がペットを飼っており(イヌ1,619例[18%]、ネコ1,077例[12%]、その他274例[3%])、5,815例は飼っていなかった。ペットを飼っている高齢者は飼っていない高齢者に比べ、年齢が4~5歳若く、あまり運動しない者の割合がわずかに低く、喫煙者は多い傾向がみられた。イヌの飼い主は、孤独感が強く、健康状態が劣る傾向があった。 多変量で補正した解析では、ペットを飼っていることと、歩行速度、肺機能(1秒量)、椅子からの立ち上がり時間、握力、レッグレイズ(足上げ)、身体バランス、3つの全身性炎症のマーカー(C反応性蛋白、白血球数、フィブリノゲン)、記憶、うつ症状には関連がなかった。 イヌの飼い主はペットを飼っていない高齢者に比べ、歩行速度がわずかに遅く、椅子から立ち上がる時間が長かったが、肺機能はわずかに高かった。ネコの飼い主はその他のペットの飼い主に比べ、レッグレイズ検査に失敗する傾向がみられた。 著者は、「大小を問わず、動物と交遊することは、標準的な身体的、心理学的な老化のバイオマーカーとは基本的に関連しないことが示された」と結論している。

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貧血と認知症の関係:韓国国民健康スクリーニング研究

 貧血が高齢者における認知症発症と関連しているか、韓国・ソウル大学のSu-Min Jeong氏らが調査を行った。Alzheimer's research & therapy誌2017年12月6日号の報告。 認知症および脳卒中でない66歳の高齢者3万7,900例を、NHIS-HEALS(韓国国民健康保険サービス-国民健康スクリーニングコホート)のデータベースを用いて抽出した。貧血(ヘモグロビン濃度:女性12g/dL未満、男性13g/dL未満)および貧血の重症度(軽度、中等度、重度)は、WHO(世界保健機構)の基準で定義した。認知症の発症は、ICD-10(国際疾病分類 第10版)の認知症診断コード(F00、F01、F02、F03、G30)で確認され、抗認知症薬を処方された患者とした。貧血による認知症発症のハザード比(HR)は、Cox比例ハザード回帰モデルを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・性別、ベースラインの認知機能状態、BMI、喫煙、世帯収入、障害、うつ病、高血圧、糖尿病、脂質異常症で調整した後、貧血と認知症との間に有意な関連が認められた(調整HR:1.24、95%CI:1.02~1.51)。・貧血の重症度に応じた認知症発症率の調整HRは、軽度の場合1.19(95%CI:0.98~1.45)、中等度の場合1.47(95%CI:0.97~2.21)、重度の場合5.72(95%CI:1.84~17.81)であり、有意なp for trendが認められた(p=0.003)。 著者らは「貧血は、認知症発症の独立したリスク因子であり、重度においては顕著なリスク増加を伴うと考えられる」としている。■関連記事婚姻と認知症リスクに関するシステマティックレビューアルツハイマー病に対する新規ベンゾジアゼピン使用に関連する死亡リスクのコホート研究認知症発症への血圧の影響、ポイントは血圧変動:九州大

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糖尿病リスクに人種間格差はあるか?/JAMA

 米国において中年期男女の糖尿病リスクは、黒人のほうが白人に比べ有意に高いが、青年期の体格指数や本人・親の教育レベルといった修正可能なリスク因子で補正後は、人種間のリスク格差は認められなくなることが示された。米国・ノースウェスタン大学のMichael P. Bancks氏らが、1985~86年の期間から米国で行われている冠動脈疾患リスクに関する観察研究「CARDIA」(Coronary Artery Risk Development in Young Adults Study)の参加者4,251例のデータを解析し明らかにしたもので、JAMA誌2017年12月26日号で発表した。ベースライン時に糖尿病を有さない18~30歳を対象に追跡 研究グループは、CARDIA試験データを2015~16年の期間まで追跡し、2型糖尿病リスクの人種間格差と、青年期の修正可能リスク因子の関連について検証した。被験者はベースライン時(1985~86年)に糖尿病を有していない18~30歳の4,251例だった。 性別層別化・多変量補正Cox比例ハザードモデルを用いて、糖尿病リスクを解析した。 自己申告に基づく人種、空腹時血糖やBMIなどの生物学的要因、人種差別や貧困といった地域的要因、うつ症状などの心理学的要因、本人や親の教育レベル、現在の職業といった社会経済学的要因、習慣的アルコール摂取や喫煙といった行動学的要因について、糖尿病リスクへの影響を検証した。黒人被験者と白人被験者を比較するため、β係数(対数でハザード比[HR]を算出)の%低下を算出し評価した。生物学的要因など補正前の糖尿病リスク、黒人女性は白人女性の約2.9倍 被験者のベースライン時の平均年齢は25歳(標準偏差:3.6)、黒人は49%(2,066例)、女性は54%(2,304例)だった。平均追跡期間である24.5年の間に、糖尿病を発症したのは504例だった。 性別層別化・多変量補正Cox比例ハザードモデルで解析の結果、年齢および試験センターを補正後、黒人の女性・男性は、それぞれ白人の女性・男性に比べ、糖尿病発症リスクが高かった(黒人女性の白人女性に対するハザード比[HR]:2.86[95%信頼区間[CI]:2.19~3.72]、リスク差:89件/1,000例[95%CI:61~117]/黒人男性の白人男性に対するHR:1.67[95%CI:1.28~2.17]、リスク差:47件/1,000例[95%CI:15~78])。なかでも生物学的要因が、同リスクの人種格差の大きな要因だった。女性における黒人と白人のβ係数の%低下値は112%、男性は同86%だった。 生物学的要因、地域的要因、心理学的要因、社会経済学的要因、行動学的要因で補正後、中年期の糖尿病リスクには黒人・白人による差は認められなかった(黒人女性の白人女性に対するHR:0.79[95%CI:0.55~1.14]/同男性のHR:0.92[95%CI:0.62~1.38])。

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チェックポイント阻害薬でOSを得られる2次治療の肺がん患者

 進行非小細胞肺がん(NSCLC)2次治療における、チェックポイント阻害薬の生存ベネフィットに関する臨床的・分子的な予測因子はどのようなものか。この研究は、チェックポイント阻害薬とドセタキセルの効果の関係を、全体的な観点および臨床病理的特徴によって定義されたサブグループにおいて予測するため、システマティックレビューが行われた。JAMA Oncology誌オンライン版2017年12月21日号掲載のオーストラリア・シドニー大学による研究。・データソースはMEDLINE、Embase、PubMed、Cochrane Central Register of Controlled Trialsから検索した1996年1月1日~2017年1月30日に英語で発表された無作為化臨床試験。・その中からチェックポイント阻害薬(ニボルマブ、ペムブロリズマブ、atezolizumab)とドセタキセルを比較した試験が選択された。・2名の査読者によって研究選択、データ抽象化、バイアスリスク評価が実施された。・全体集団およびサブグループについて、ハザード比(HR)および95%信頼区間を抽出。・治療の統合推定値は逆分散加重法を用いて算出した。 主な結果・進行NSCLC患者3,025例を対象とした合計5件の試験がレビュー対象となった。・これらの試験で、患者はチェックポイント阻害薬であるニボルマブ427 例(14.1%)、ペムブロリズマブ691例(22.8%)、atezolizumab569例(18.8%)とドセタキセル1,338例 (44.2%)に無作為に割り付けされていた。・チェックポイント阻害薬は、ドセタキセルと比べOSを延長した(HR:0.69、95%CI:0.63~0.75、p<0.001)。・EGFR野生型サブグループではチェックポイント阻害薬によるOSの延長が確認されたが(HR:0.67、95%CI:0.60~0.75、p<0.001)、EGFR変異サブグループでは認められなかった(HR:1.11、95%CI:0.80~1.53、p=0.54、interaction p=0.005)。・チェックポイント阻害薬によるOSの延長は、KRAS変異サブグループでもみられたが(HR:0.65、95%CI:0.44~0.97、p=0.03)、KRAS野生型サブグループでは認められなかった(HR:0.86、95%CI:0.67~1.11、p=0.24、interaction p=0.24)。・喫煙、PS、年齢、組織形、性別による治療ベネフィットの相関はみられなかった。

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わかる統計教室 第4回 ギモンを解決!一問一答 質問23

インデックスページへ戻る第4回 ギモンを解決!一問一答質問23 ロジスティック回帰の各種統計量の求め方前回は、ロジスティック回帰分析の具体的な事例についてご説明しました。今回は、ロジスティック回帰分析の各種統計量の計算方法について、ご説明いたします。■AIC(赤池情報量基準)ロジスティック回帰の関係式の算出方法は、判別スコアから尤度(尤もらしい度合い)を求めます。求めた尤度の対数(対数尤度)を求め、対数尤度の合計が最大となるように回帰係数を求めます(これを「最尤法」といいます)。"対数尤度の合計"を最大化した値をLLと表現します。LL=-2.168-2LLを「逸脱度」といいます。-2LL=4.336モデル選択基準「AIC」は次式によって求められます。AIC=-2LL+2×(説明変数個数+1)AIC=-2×(-2.168)+2×(2+1)=4.336+6=10.336AICの第1項はモデルの当てはまりの良さ、第2項は変数の増加に伴うペナルティーを表し、AICは小さいほど望ましいといえます。■寄与率表1をご覧ください。表1 寄与率算出の元データLL0=(a)+(b)-(c)=-6.1827「寄与率」=(-2LL0-(-2LL))/(-2LL0)-2LL0=12.365 -2LL=4.336=(12.365-4.336)÷12.365=8.029÷12.365=0.649寄与率が高いほど判別精度は良いといえます。■モデル適合情報「検定統計量」=-逸脱度-2kk=n1×log(n1)+n2×log(n2)-n×log(n)ただし、n1、n2、n は群1、群2、全体の個体数k=4×log(4)+5×log(5)-9×log(9) =4×1.386+5×1.609-9×2.197=5.544+8.045-19.773=-6.184検定統計量=-4.336-2×(-6.184)=-4.336+12.368=8.032自由度=説明変数個数=2検定統計量は自由度2のカイ2乗分布に従います。カイ2乗分布における、検定統計量の上側確率p値を求めます。Excel関数 =CHIDIST(8.032,2)→ Enterキー → 0.0180p=0.0180<0.05 より、モデルは観察データの判別に適合していると判断できます。■ピアソン残差表2について、目的変数1,0データと判別スコアの残差を算出します。表2 ピアソン残差のための事例データ計3.561を「ピアソン残差」といいます。自由度=n-説明変数個数-1=9-2-1=6検定統計量は自由度6のカイ2乗分布に従います。カイ2乗分布における、検定統計量の上側確率p値を求めます。Excel関数 = CHIDIST(3.561,6)→ Enterキー → 0.736p=0.736>0.05 より、モデルは観測データの判別に適合していると判断できます。※ピアソン残差の検定は「p>0.05」が有意なので注意してください。※逸脱度は、自由度(n-説明変数の個数-1)のカイ2乗分布に従います。この検定の判定は「p<0.05」が有意です。■Wald検定回帰係数の有意性を確認するために用いられる検定です。回帰係数を標準誤差で割ったものを2乗した値を「Wald-square」といいます。表3の事例で具体的に説明します。帰無仮説:回帰係数は0である。対立仮説:回帰係数は0でない。検定統計量:Wald-square=(回帰係数÷標準誤差 )2表3 Wald検定のためのデータ表検定統計量は、自由度1のカイ2乗分布に従います。p値 Excelの関数で求められます。= CHIDIST(検定統計量,1)喫煙本数、飲酒日数は、いずれも「p>0.05」より、帰無仮説を棄却できず、対立仮説を採択できません。喫煙本数、飲酒日数の回帰係数は、いずれも有意でなく、不整脈の有無の判別に寄与しているといえません。■オッズ比からの寄与順位の把握説明変数のデータ単位がすべて同じ場合は、オッズ比は寄与順位に適用できます。しかし、データ単位が異なる場合、オッズ比の単純比較はできません。Wald統計量は、先述の通り(回帰係数÷標準誤差)の2乗で検定統計量です。標準誤差で割ることによって基準化され、寄与順位に適用できます。■信頼区間:Confidence Interval(CI)CIについて上掲の表3の事例を利用して説明していきます。●回帰係数CI:95%下限値:b1=回帰係数-1.96×標準誤差上限値:b2=回帰係数+1.96×標準誤差●オッズ比:95%下限値=eb1上限値=eb299%CIは、定数1.96を2.58として計算します。同じく表3を例に喫煙本数のオッズ比95%CIを求めます。●回帰係数CI:95%下限値:b1=0.3079-1.96×0,3099=-0.2994上限値:b2=0.3079+1.96×0.3099=0.9152●オッズ比:95%下限値=e-0.2994=0.7413上限値=e0.9152=2.4973同様の計算で飲酒日数のオッズ比の95%CIを求めます。●オッズ比:95%下限値=0.7038上限値=2.4231次回は、カイ2乗分布による検定、カイ2乗検定についてご説明いたします。インデックスページへ戻る

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日本人と胃がん―ピロリ菌と気を付けるべき3つの習慣

 世界的に見れば、罹患率・死亡率共に減少傾向にあるとはいえ、依然、最も診断されているがんであり、死因としては第3位の胃がん。今月、都内で開かれたプレスセミナー(ブリストル・マイヤーズスクイブ株式会社主催)では、津金 昌一郎氏(国立がん研究センター 社会と健康研究センター長)が、ピロリ菌をはじめとする胃がんのリスク因子と予防について講演した。環境要因?日本で胃がんが多い地域、少ない地域 講演で津金氏が示した日本の統計データによると、全がん種で死亡した人は、2015年に37万人(男性22万人、女性15万人)で、このうち胃がんで死亡した人は4万6,000人(男性3万人、女性1.5万人)となっており、肺、大腸について第3位だった。また罹患率については、新たに診断されたのは、2013年時点のデータで、全がん種で推定86万例(男性50万例、女性36万例)。このうち胃がんと診断されたのは推定13万例(男性9万例、女性4万例)となっており、最も多かった。ただ、年次推移を見ると、罹患率の減少と生存率の向上により、死亡率は確実に減少傾向にある。 また、患者の分布を見ると、東北地方の日本海側地域に多く、九州・沖縄地域で少ない傾向があるという。津金氏は、「食生活を含めた生活習慣などの環境要因が、遺伝要因よりも影響が大きいのでは」と述べた。3つの習慣の見直しで胃がん予防を では、胃がんリスクとして挙げられるのは何か。日本人のエビデンスに基づいた研究によると、「確実」とみられているリスク要因は、ピロリ菌感染と喫煙であり、「ほぼ確実」なのは塩分、確実とまではいかないが可能性が示唆されているのは、野菜や果物の低摂取である。 このうちピロリ菌については、幼児期にピロリ菌を保有する大人から食べ物の口移しなどによる感染経路が知られており、本人以外の第三者の注意や心掛けがなければ防ぎようがない側面がある。一方で、喫煙や塩分や塩蔵食品(漬物や塩辛、干物など)の高摂取、野菜や果物の低摂取については、患者の自助努力において大いに改善の余地がある生活や食事の習慣である。とりわけ喫煙は、非喫煙者に比べ胃がんリスクが約1.6倍増加することも明らかになっており、禁煙を勧めることが何よりのがん防止になると津金氏は強調する。リスクは知るべきだが、ピロリ菌除菌は「成人以降で」 胃がんの確実なリスク因子であるピロリ菌感染の有無は、尿素呼気試験のほか、便や尿、血液の検査などで簡便にわかるようになった。日本では、2000年に「胃潰瘍、十二指腸潰瘍」に対し、ピロリ菌の感染診断および治療が保険適用となり、13年には「ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎」に対するピロリ菌除菌も保険適用となった。 胃がんのリスク分類は4つの分類(ABC分類)が知られている。これは、ピロリ菌感染の有無と、萎縮性胃炎の有無(血中のペプシノーゲン値で判別)の組み合わせによる分類で、ピロリ菌感染(-)/胃粘膜の萎縮なしは「A」、ピロリ菌感染(+)/胃粘膜の萎縮なしは「B」、ピロリ菌感染(+)/胃粘膜の萎縮進行は「C」、ピロリ菌感染(+)/胃粘膜の萎縮が高度に進行は「D」と評価される。 また、国立がん研究センターが作成した、今後10年の胃がん罹患リスクを予測する診断ツールも有用である。年齢、性別、喫煙習慣、食習慣、胃がんの家族歴、それにピロリ菌感染の有無を入力すれば、上記のABC分類のいずれに該当するかを即座に知ることができる。津金氏は、こうした手軽なツールも活用して、患者自身に胃がん予防に対する意識付けを促すことの必要性を述べる一方、リスクを低減させるピロリ菌除菌については、その有効性を認めつつ、「小児期に抗生剤を使うことが正しいのか不明な点も多い。検査や除菌、自治体や親に強制されるべきものではなく、成人になって自らの判断で行うべきと考える」と私見を述べた。

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わかる統計教室 第4回 ギモンを解決!一問一答 質問22

インデックスページへ戻る第4回 ギモンを解決!一問一答質問22 ロジスティック回帰分析の事例前回は、ロジスティック回帰分析の説明変数の選び方についてご説明しました。今回は、ロジスティック回帰分析の具体的な事例についてご説明いたします。■ロジスティック回帰分析の事例すでに確認されている「不整脈症状がある患者」のグループと、「ない患者」のグループでパソコン診断を行います。診断は、喫煙の有無、飲酒の有無、ギャンブル嗜好についてアンケートに回答してもらうものです。表1に20例の診断結果を示しました。表1のデータについて不整脈症状の有無と診断項目との関係を調べ、不整脈症状であるかどうかを判別するモデル式を作ります。このモデル式をパソコンにセットします。あとは来院した人がパソコンの質問に回答すると、その回答はモデル式にインプットされ、不整脈症状の有無が判定されます。この事例はモデル式の作り方、モデル式を使っての予測方法を示したものです。表1 事例のモデル式目的変数である不整脈症状の有無をカテゴリーデータ、説明変数である喫煙の有無、飲酒の有無、ギャンブル嗜好を1点、0点の数量データとして、ロジスティック回帰分析を適用します。■ロジスティック回帰分析の回帰係数はモデル式の係数ロジスティック回帰の回帰係数、調整済みオッズ比を表2に示します。表2 事例の回帰係数、調整済みオッズ比、Wald-square、p値回帰係数はモデル式の係数です。調整済みオッズ比は、説明変数の目的変数への影響度を調べる尺度です。値が大きいほど影響度が高い項目といえます。調整済みオッズ比から、不整脈症状の原因となる要因の1位は「喫煙の有無」で、次に「飲酒の有無」となります。「ギャンブル嗜好」は、不整脈症状にそれほど影響がないことがわかります。Wald-squareは検定統計量です。この値からp値が算出されます。p値は母集団において説明変数が有意であるかどうかを調べる値です。p<0.05である項目は、不整脈症状の有無の判別に有意であるといえます。喫煙の有無の調整済みオッズ比が14.1と大きいにもかかわらず、p>0.05です。これはサンプルサイズが20例と小さく、有意であるかどうか判断できないと解釈します。●留意点説明変数のデータ単位がすべて同じ場合、調整済みオッズ比は寄与順位に適用できます。データ単位が異なる場合、調整済みオッズ比の単純比較はできません。検定統計量Wald-squareの大小で比較できます。※検定統計量Wald-squareはこちら不整脈症状の有無の事例について、表3の分割表でリスク比、オッズ比を計算してみます。表3 分割表によるリスク比、オッズ比表4で調整済みオッズ比とオッズ比を比較します。両者の順位の違いがみられました。表4 事例のオッズ比の比較■変数相互の影響を除去した真の関係ギャンブル嗜好の順位をみると、ロジスティック回帰では3位、分割表では2位です。どちらの結果も事実ですが、統計学の世界では前者の順位を「真」、後者の順位を「偽」と考えます。後者が「偽」となる理由を考えてみます。表5は、項目間の相関係数を示したものです。表5 項目間の相関係数喫煙するからギャンブルが好きなのか、ギャンブルが好きだから喫煙するのか因果関係の方向はわかりませんが、両者には強い関係が見られます。また、ギャンブル嗜好と不整脈症状の相関が0.47と高いのは、ギャンブル嗜好が喫煙の有無の影響(相関0.68)を受けているからだと考えられます。このことから、ギャンブル嗜好と不整脈症状は見かけの相関(偽)と考えます。そのため、ギャンブル嗜好と不整脈症状との真の相関関係を調べることになります。真の相関関係とは喫煙の有無の影響を除去した関係のことです。そして、真の相関関係かどうかを解決してくれる解析手法が「ロジスティック回帰」です。ロジスティック回帰のギャンブル嗜好の調整済みオッズ比は、他要因(喫煙の有無)の影響を除去して算出され、順位は3位となりました。医学統計でよく用いられる多変量解析には、上記の2つに加えて、Cox比例ハザードモデルがあります。どのようなときにどの解析手法を用いるのかを誤ると、当然間違った解析結果がアウトプットされることになります。いずれの解析手法も、目的変数と説明変数のデータタイプ(数量データかカテゴリーデータ)の組み合わせです。表6のように、そこに時間的要素が入るかどうかで用いる解析手法は決まります。表6 解析方法の選択の考え方※Cox比例ハザードモデルについては、質問8 Cox比例ハザードモデルとは?をご参照ください。次回は、ロジスティック回帰の各種統計量の計算方法について、ご説明いたします。今回のポイント1)ロジスティック回帰分析の調整済みオッズ比は、説明変数の目的変数への影響度を調べる尺度、値が大きいほど影響度が高い項目といえる!2)ロジスティック回帰分析の調整済みオッズ比は、変数相互の影響を除去した真の関係を見いだすツール!インデックスページへ戻る

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「アメトーーク!」で“火がついた”IQOS人気、310万人が使用?/本邦疫学研究

 マスメディアは人々の行動に大きな影響を与える。非燃焼加熱式(Heat–Not-Burn、以下HNB)タバコ「IQOS」が人気娯楽番組「アメトーーク!」で取り上げられ、その人気に火がついたようである。大阪国際がんセンターの田淵 貴大氏らは、2つのデータソースを使用して、日本におけるIQOSを含むHNBタバコへの関心度、使用率、HNBタバコの2次的曝露による症状などについて研究した。Tobacco Control誌オンライン版2017年12月6日号に掲載。研究概要・Google Trendによる検索量(Ralative Serarch Volume)を使用して、HNBタバコ(IQOS、PloomTech、glo)に対する母集団の関心度を調査した。調査期間は2013年4月1日~2017年4月1日。・楽天リサーチパネル(15~69歳)8,240人のインターネット調査で、HNBタバコ使用率、HNBタバコ開始の予測因子、HNBタバコのエアロゾル暴露による症状を追跡調査した。ベースライン調査は2015年1~2月、追跡調査は1年後の2016年1~2月に、2年後の2017年1~2月に実施。「アメトーーク!」放映がきっかけとなりIQOSが急速に普及 2016年4月28日、人気の娯楽テレビ番組「アメトーーク!」でIQOSを取り上げた回が放映された。・IQOSのインターネット検索は、同番組放映週(2016年4月1~30日)において、急峻な上昇(スパイク状)を示し、最大値が記録された。その後は若干低下するものの、依然として高値を続けている。・「アメトーーク!」視聴者は、非視聴者に比べIQOSの使用率が高かった。2017年における使用率は、番組視聴者の10.3%に対し非視聴者は2.7%であった。・母集団におけるIQOSの使用率は、2015年1月~2月の0.3%、2016年1月~2月0.6%、番組放映後の2017年1月~2月には3.6%と、約10倍となった。IQOS国内使用者は310万人、禁煙意志のある喫煙者が使用する傾向・母集団の上記使用率から推計すると、17~71歳の本邦の人口8,600万人のうち、IQOS使用者は310万人となる。・ベースライン時に禁煙意志がある喫煙者は、禁煙意志のない喫煙者に比べ、IQOS使用率が高かった。2017年におけるIQOS使用率は、禁煙意志あり喫煙者18.8%に対し、禁煙意志なし喫煙者6.7%であった。 なお、HNBタバコと電子タバコを合わせた使用率は4.7%、HNBと電子タバコの併用者は3.4%であった。また、ほかのHNBタバコ(PloomTechとglo)の検索量は、IQOSに比べ低値であり、番組放映による変化もみられなかった。使用率については、いずれも増加しているものの、2017年のPloom Tech使用率は1.2%、gloは0.8%と、IQOSに比べかなり低い。HNBタバコのエアロゾル曝露による症状訴え37% 他者のHNBタバコのエアロゾルに2次的に曝露された経験については、以下のような結果であった。・曝露経験者は母集団の12%を占めた。・そのうち何らかの症状(のどの痛み、目の痛み、気分不快など)の体験者は37%であった。ただし、症状は重篤ではなかった。 HNBタバコ使用者への影響や、公衆衛生へのインパクトは十分にわかっていない。筆者らは、HNBタバコの急速な全国普及の可能性を示唆し、HNBタバコの監視を継続するとともに、規制方法を検討する必要がある、と述べている。

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