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静脈血栓塞栓症の治療に難渋した肺がんの一例(前編)【見落とさない!がんの心毒性】第23回

※本症例は、患者さんのプライバシーに配慮し一部改変を加えております。あくまで臨床医学教育の普及を目的とした情報提供であり、すべての症例が類似の症状経過を示すわけではありません。《今回の症例》年齢・性別30代・男性既往歴なし併存症健康診断で高血圧症、脂質異常症を指摘され経過観察喫煙歴なし現病歴発熱と咳嗽が出現し、かかりつけ医で吸入薬や経口ステロイド剤が処方されたが改善せず。腹痛が出現し、総合病院を紹介され受診した。胸部~骨盤部造影CTで右下葉に結節影と縦隔リンパ節腫大、肝臓に腫瘤影を認めた。肝生検の結果、原発性肺腺がんcT1cN3M1c(肝転移) stage IVB、ALK融合遺伝子陽性と診断した。右下肢の疼痛と浮腫があり下肢静脈エコーを実施したところ両側深部静脈血栓塞栓症(deep vein thrombosis:DVT)を認めた。肺がんに伴う咳嗽以外に呼吸器症状なし、胸部造影CTでも肺塞栓症(pulmonary embolism:PE)は認めなかった。体重65kg、肝・腎機能問題なし、血圧132/84 mmHg、脈拍数82回/min。肺がんに対する一次治療としてアレクチニブの投与を開始した。画像所見を図1に、採血データを表1に示す。(図1)中枢性DVT診断時の画像所見画像を拡大する(表1)診断時の血液検査所見画像を拡大する【問題1】DVTに対し、どのような治療が考えられるか?【問題2】筆者が本症例でがん関連血栓塞栓症のリスクとして注目した患者背景は何か?第24回(VTEの治療継続で生じた問題点とその対応)に続く。1)Dou F, et al. Thromb Res. 2020;186:36-41.2)Al-Samkari H, et al. J Thorac Oncol. 2020;15:1497-1506.3)Wang HY, et al. ESMO Open. 2022;7:100742.4)Qian X, et al. Front Oncol. 2021;11:680191.講師紹介

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妊婦の親子関係の不良は妊娠中高血糖の予測因子

 両親との親子関係にあまり満足していない妊婦は、妊娠中に高血糖を来すリスクが高いというデータが報告された。東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科国際健康推進医学分野の藤原武男氏らの研究によるもので、詳細は「BMC Pregnancy and Childbirth」に4月4日掲載された。藤原氏は、「妊婦健診の際に親子関係を尋ねることが、妊娠中高血糖のリスク評価に役立つのではないか」と述べている。 妊娠中に血糖値の高い状態が続いていると、難産や巨大児出産などのリスクが高くなるため、妊娠中の積極的な血糖管理を要する。また、妊娠以前から糖代謝異常のリスク因子を有する女性は、妊娠糖尿病などの妊娠中高血糖(HIP)のリスクが高く、その糖代謝異常のリスク因子の一つとして、子ども期の逆境体験(ACE)が挙げられる。そのためACEのある女性は、HIPになりやすい可能性がある。とはいえ、妊婦健診などにおいて全妊婦のACEの有無を把握することは現実的でない。 一方、成人後の親子関係が良くないことは、ACEの表現型の一つと考えられている。よって、妊婦の現在の親子関係を確認することでACEの有無を推測でき、それによってHIPリスクを評価できる可能性が想定される。以上を背景として藤原氏らは、妊婦に対して親子関係の良し悪しを質問し、その答えとHIPリスクとの間に関連があるか否かを検討した。なお、HIPには、妊娠糖尿病(妊娠中に生じる高血糖)と、妊娠前からの糖尿病、および妊娠時に判明した糖尿病を含めた。 解析対象は、2019年4月~2020年3月に、4府県(大阪、宮城、香川、大分)の産科施設58件を受診した全妊婦から、データ欠落者などを除外した6,264人。初診時に行った「両親との関係について満足しているか?」との質問に対して、93.3%が「満足している」、5.5%が「あまり満足していない」、1.2%が「全く満足していない」と回答。この3群間に、年齢、未婚者の割合には有意差がなかった。親子関係の満足度が高い群ほど教育歴(高卒以上の割合)は有意に高く、自己申告による精神疾患既往者の割合(全体で5.6%)は低かった(いずれもP<0.01)。 HIPは4.4%に認められた。「親子関係に満足している」群を基準とするロジスティック回帰分析の結果、交絡因子未調整の粗モデルでは、「あまり満足していない」群のHIPのオッズ比(OR)が1.77(95%信頼区間1.11~2.63)であり有意に高かった。ただし、年齢、教育歴、精神疾患の既往を調整すると、OR1.53(同0.98~2.39)でありわずかに非有意となった(P=0.06)。「全く満足していない」群は、粗モデルでも有意な関係が認められなかった。 次に、HIPの既知のリスク因子である精神疾患の既往の有無で層別化して検討。すると、精神疾患の既往がなく親子関係に「あまり満足していない」群のHIPリスクは、粗モデルでOR1.85(1.17~2.95)、年齢と教育歴を調整後にもOR1.77(1.11~2.84)であり、独立した有意な関連が認められた。一方、精神疾患の既往があり親子関係に「あまり満足していない」群では、有意なオッズ比上昇は認められなかった。なお、親子関係に「全く満足していない」群は、精神疾患の既往の有無にかかわらず非有意だった。 著者らは既報研究に基づく考察から、親子関係の不良がHIPリスクを高めるメカニズムとして、喫煙や体重管理の悪化などの不健康な行動が関与している可能性があると述べている。また、親子関係に「あまり満足していない」群でHIPリスクが高いのに対して「全く満足していない」群はそうでなかった理由については、後者の群にはACEリスクがより高いために児童福祉支援を受けて育った女性が多く含まれており、逆説的にACEによるHIPリスクを高めるような行動増加などの影響が小さくなった可能性が考えられるとしている。 以上より論文の結論は、「精神疾患の既往のない妊婦では親子関係の良くないことがHIPリスクと有意に関連していた。妊婦の診察においてACEの有無を直接評価することは困難だが、親子関係を問うだけでACEの影響により生じるHIPリスクを推測できるのではないか」とまとめられている。なお、研究の限界点として、BMIや喫煙習慣、妊娠中の体重増加、血圧など、HIPの既知のリスク因子を考慮していないことなどを挙げ、さらなる研究が必要としている。

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孤立や孤独が寿命を縮める可能性

 孤立や孤独が寿命にかかわる可能性のあることを示唆する研究結果が報告された。研究参加者数の合計が220万人以上に及ぶ世界各国から報告された90件の研究データを統合した解析から、社会的に孤立している、または孤独を感じている人は、早期死亡のリスクが高いことが示された。ハルビン医科大学(中国)のMaoqing Wang氏、Yashuang Zhao氏らの研究によるもので、詳細は「Nature Human Behaviour」に6月19日掲載された。 社会的孤立や孤独が人々の健康や幸福にどのような影響を与えるのかについて、完全には理解されていないものの、両者を結びつける多くの理論が存在すると、研究者らは述べている。例えば、そのような状況にある人には、体に良い食事や運動をせず、喫煙や飲酒の習慣のある人が多く含まれていたり、社会とのつながりが少ないために必要な医療を受ける機会が限られていたりする可能性があるという。また、社会的孤立が炎症や免疫力の低下と関連していることも報告されているとのことだ。 社会的孤立と孤独は同じではない。前者はほかの人々との接点が欠如した状態を指し、後者はそのような状況とかかわりなく、自分が1人きりだと感じることを指す。今回の研究では、90件、220万5,199人の研究データのメタ解析が行われた。その結果、社会的孤立と孤独の双方が、全死亡(あらゆる原因による死亡)やがん死のリスク上昇と有意に関連していることが分かった。また社会的孤立に関しては、心血管死リスクとの関連も有意だった。ただし、社会的孤立と孤独の評価指標が研究によって異なることや、大半の研究が高所得国で行われたものといった限界点もあり、結果の一般化には留意が求められるという。 この報告について、研究には関与していない米ブリガムヤング大学のJulianne Holt-Lunstad氏は、「われわれは2015年に、孤立と孤独の双方が死亡リスクの重要な予測因子であるというメタ解析の結果を報告しているが、今回報告された結果もそれと一致している。また、米国公衆衛生総局の孤立と孤独に関する勧告とも重なり合う」と話している。同氏はその勧告の著者陣の1人でもある。 Holt-Lunstad氏はまた、「人は孤立していても孤独でないこともあるし、孤独であっても孤立はしていないこともある。今回の研究結果は、孤立の方が死亡リスクへの影響が強いことを示している」と解説。さらに、「社会的孤立と孤独に焦点を当てた啓発活動や公衆衛生対策の推進が求められる。個人的に孤立や孤独を好むという人もいるだろう。しかし、90件のメタ解析の結果から、それが早期死亡のリスクとなる可能性が明らかになったからには、そのような人はそのままにしておいて良いとする考え方には賛同できない」とも語っている。 米国癌協会のRobin Yabroff氏もこれに同調。「社会的孤立や孤独と闘い、健康を獲得するためにすべきことは多々ある。例えば、個人個人が社会的コミュニティーグループに積極的に参加すること、孤立して孤独に直面している人たちに手を差し伸べること、孤独感につながりやすいソーシャルメディアの過度の使用を避けることなどが必要だ」と述べている。

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ASCO2023 レポート 肺がん

レポーター紹介2023年のASCOはCOVID-19の影響をまったく感じさせず、ハイブリッド形式とはいえ現地をベースとした印象を強く打ち出した形で実施された。肺がん領域では、ここ数年肺がんの演題がなかったPlenaryでADAURAのOverall survival(OS)が採択されるなど、久しぶりに話題の多い年であったといえる。引き続き周術期の演題が大きな注目を集めているものの、進行肺がんにおいてもAntibody-drug conjugate(ADC)を用いた治療開発がさらに進展、成熟の段階を迎えており、免疫療法や分子標的薬についても新たな取り組みが報告されている。本稿では、その中から重要な知見について解説したい。ADAURA試験EGFR遺伝子変異陽性、完全切除後のStageIB、II、IIIA非小細胞肺がんを対象として、オシメルチニブを試験治療(36ヵ月)とし、プラセボと比較した第III相試験がADAURA試験である。プラチナ併用療法による標準的な術後療法を受けていない患者の登録も許容されており、両群とも約半数が術後療法を受けている。682例の患者が1:1で両群に割り付けられた。主要評価項目はII期、IIIA期の患者における無病生存割合、副次評価項目として全患者集団での無病生存期間(DFS)、全生存期間(OS)等が設定されている。2020年のASCOで、DFSがハザード比0.17、95%信頼区間0.12~0.23という驚異的な結果と共にPlenaryで発表された。従来、試験治療群のDFSが36ヵ月の投与期間後に明らかに悪化していること、CTONG1104やIMPACT試験等の第1、2世代のEGFR-TKIを用いた術後療法の試験がOS延長を示さなかったことなどから、オシメルチニブを用いたADAURAのOS結果への注目が高まる一方であった。3年を経て今年のASCOで、2度目のPlenaryでOSの最終解析の結果が報告された。II期、IIIA期のOSは、ハザード比0.49、95%信頼区間0.33~0.73で有意な延長を示し、5年時点での生存割合は術後オシメルチニブ群で85%、プラセボ群で73%と、12%の上乗せを示している。最も懸念されていた、DFSのような観察期間の後半、とくに36ヵ月を過ぎた後の試験治療群での悪化は今回の解析では明らかではなかったことも、好印象であった。フォローアップ期間は術後オシメルチニブ群で61.7ヵ月、プラセボ群で60.4ヵ月といずれも5年を超えて一見十分のように見えるが、OSのイベントは、オシメルチニブ群で15%、プラセボ群で27%と両群合わせても21%であり、報告された生存曲線を見ても48ヵ月時点以降は打ち切りの表示が多数存在していた。幸いなことに、今回の「最終解析」以降も、OSについてはフォローアップ結果を報告することが触れられていた。DFSで認められたような解析後半での試験治療群の動向を、OSで確認するためにはおそらく7年や8年のフォローアップが必要になる可能性が高いことから、より成熟した解析結果から得られる情報も重要になってくる。従来と同様のサブセット解析結果も同時に報告されており、IB期を加えた全患者で、プラチナベースの術後療法の有無で分けた解析、いずれにおいてもハザード比はほぼ変わらず、いずれの切り口でも術後オシメルチニブの優越性が示されている。発表後に世界中の肺がん専門家の間で、「思ったよりも良かった」OSの結果についてさまざまな議論が巻き起こっている。その中でも最も強く指摘されている点が、プラセボ群での再発後の治療としてのオシメルチニブの実施割合である。後治療の解析において、プラセボ群で再発し後治療が行われた184例中、オシメルチニブが使用されたのは79例(43%)にとどまり、114例(62%)は他のEGFR-TKIで治療されていることが報告された。この点について、批判的な意見として「OSの違いはオシメルチニブを術後に使用したかしなかったかではなく、タイミングによらずオシメルチニブが使用できたか否かを反映しているだけ」という点が提起されている。一方、擁護的な意見として、「オシメルチニブでないにしても何らかのEGFR-TKIがほとんどの患者の後治療で使用されているため大きな問題ではない」という見解も存在する。議論はあるものの、大局的には、術後にEGFR遺伝子変異をチェックし、術後オシメルチニブにアクセスできない国や地域を減らすことが重要と考えられる。KEYNOTE-671試験病理学的に確認された臨床病期II、IIIA、IIIB(N2)期、切除可能非小細胞肺がんを対象として、術前ペムブロリズマブ+プラチナ併用療法最大4サイクル後の切除、術後ペムブロリズマブ(13サイクル)を試験治療とし、術前プラセボ+プラチナ併用療法最大4サイクル後の切除、術後プラセボ(13サイクル)による標準治療と比較する第III相試験がKEYNOTE-671試験である。割付調整因子として、II期vs.III期、PD-L1 50%未満vs.以上、組織型、東アジアかそれ以外か、が設定されている。786例の患者が1:1で両群に割り付けられた。主要評価項目は無イベント生存(EFS)とOSのCo-primaryであり、副次評価項目としてmPR、pCR、安全性等が設定されている。今回発表されたEFSはハザード比0.58、95%信頼区間0.46~0.72でペムブロリズマブによる術前、術後療法を行ったほうが有意に延長するという結果であった。24ヵ月時点のEFSの点推定値は術前術後ペムブロリズマブ群で62.4%、術前術後プラセボ群で40.6%であり、22%程度の上乗せを認めている。OSはまだ未成熟であるものの、ハザード比0.72と術前術後ペムブロリズマブ群が良好な傾向を示している。病理学的な奏効に応じたサブセット解析において、pCRが達成された患者、達成されなかった患者、いずれにおいてもペムブロリズマブを術前術後に上乗せすることでEFSの延長傾向が示されていた。mPRで行われた同様の解析でも、同じ傾向が示されている。24ヵ月時点のEFSの点推定値は、すでに発表され実地診療にも導入されているニボルマブ+プラチナ併用療法を術前に3サイクルのみ実施したCheckMate 816試験において65%と報告されており、術前術後ともにペムブロリズマブを実施したKEYNOTE-671の62.4%という結果は異なる試験、異なる患者集団の比較ではあるもののほぼ同一であった。病理学的な奏効に基づくサブセット解析において、とくにpCRやmPRを達成した患者でもペムブロリズマブの上乗せ効果が存在する可能性がある点は注目に値するものの、標準治療がプラチナ併用療法であることから、術前だけでなく術後にペムブロリズマブを追加することの意義を示すことは、本試験のこの解析だけでは難しいと考えられる。いずれにせよ、まずは初回解析の結果が得られたところであり、今後のアップデートに注目したい。NEOTORCH試験臨床病期II、III期、切除可能非小細胞肺がんを対象として、術前toripalimab+プラチナ併用療法3サイクル後の切除、術後toripalimab+プラチナ併用療法1サイクル、術後toripalimab(13サイクル)を試験治療とし、術前プラセボ+プラチナ併用療法3サイクル後の切除、術後プラセボ+プラチナ併用療法1サイクル、術後プラセボ(13サイクル)による標準治療と比較する第III相試験がNEOTORCH試験である。術前3サイクルだけでなく、術後にもtoripalimabもしくはプラセボとプラチナ併用療法を1サイクル実施した後に、toripalimabもしくはプラセボによる術後療法を実施するという、少し変わったレジメンが設定されている。主要評価項目であるIII期でのEFS、II~III期でのEFS、III期でのmPR、II~III期でのmPRについて、αをリサイクルしながら順に評価するデザインであり、副次評価項目としてOS、pCR、DFS、安全性等が設定されている。500例が1:1に両群に割り付けられている。中国で開発された薬剤を用いた、中国国内で実施された試験であるが、これだけの大規模試験を単一の国で立案し、このスピード感で実施できることは驚くべきことである。実施の背景を反映して、喫煙率が8割以上と非常に高く、扁平上皮がんが8割を占める点が、結果の解釈にも影響するポイントといえる。また、解析方法も変則的であり、今回の初回解析ではIII期のみが対象となっている。III期のEFSは、ハザード比0.40、95%信頼区間0.277~0.565と、有意に試験治療群が良好な結果であり、24ヵ月時点のEFS点推定値は試験治療群で64.7%、標準治療群で38.7%であった。KEYNOTE-671試験同様に、CheckMate 816試験と24ヵ月時点のEFSの点推定値は同等ともいえるが、今回はIII期のみの解析であること、扁平上皮がんの割合が非常に高いことなどが、結果の解釈を複雑にしている。病理学的奏効に基づくサブセット解析も報告されており、mPRとなった集団においてもtoripalimabの上乗せが示されているが、KEYNOTE-671同様、標準治療がプラチナ併用療法であることから術後ICIの意義を検証できるデザインとはなっていない。toripalimabが日本国内で使用可能になる可能性は高いとはいえないものの、他のGlobal trialとは異なる特徴を持った試験として、今後のアップデートに注目したい。KEYNOTE-789試験EGFR-TKIで治療後のEGFR ex19delもしくはL858R遺伝子変異を有する進行非小細胞肺がんを対象として、ペムブロリズマブ+ペメトレキセド+プラチナ併用療法最大4サイクル後のペムブロリズマブ(最大31サイクル)+ペメトレキセド維持療法を試験治療とし、プラセボ+ペメトレキセド+プラチナ併用療法最大4サイクル後のプラセボ(最大31サイクル)+ペメトレキセド維持療法による標準治療と比較する第III相試験がKEYNOTE-789試験である。割付調整因子として、PD-L1 50%未満vs.50%以上、オシメルチニブ投与歴の有無、東アジアかそれ以外か、が設定されている。492例の患者が1:1で両群に割り付けられた。主要評価項目はPFSとOSのCo-primaryであり、副次評価項目として奏効割合、DOR、安全性、PRO等が設定されている。PFSのハザード比は0.80、95%信頼区間は0.65~0.97で、事前に設定された有効性の判断規準であるp=0.0117に対してp=0.0122と、Negativeであったことが報告されている。PFSの中央値も、試験治療群で5.6ヵ月、標準治療群で5.5ヵ月とほぼ一致しており、12ヵ月時点のPFS割合も試験治療群14.0%、標準治療群10.2%と大きな違いはなかった。OSについても同様の結果であり、昨年のESMO Asiaで報告されたCheckMate 722試験と同様Negativeな結果であった。サブグループ解析において、PD-L1が1%以上の群でPFSが良好な傾向が示されているものの、ハザード比は0.77とそれほど大きな違いではなかった。EGFR遺伝子変異陽性肺がんにおける免疫チェックポイント阻害薬の意義については、IMpower150試験のサブセット解析で良好な結果が示されて以来注目されてきたが、検証的な試験では軒並み結果が出せていない。EGFR-TKI耐性化後の治療については、耐性機序に基づく分子標的薬、ADC等による戦略への期待がさらに高まる状況となっている。TROPION-Lung02試験TROP2を標的としたADCであるdatopotamab deruxtecan(Dato-DXd)の第 Ib相試験の中で、Dato-DXdとペムブロリズマブの併用療法にプラチナ併用療法を追加した群(Triplet群)と、追加しなかった群(Doublet群)を評価した試験がTROPION-Lung02試験である。Dato-DXdは4mg/kgもしくは6mg/kg、ペムブロリズマブは200mg 3週おきで実施されている。初回治療の患者において、Doublet群での奏効割合が44%、Triplet群での奏効割合が55%であった。安全性については、Grade3以上の治療関連の有害事象がDoublet群で31%、Triplet群で58%に発生している。試験治療に関連した死亡はなかったものの、Dato-DXdとペムブロリズマブの併用療法でとくに留意すべき口内炎Grade3以上はDoublet群8%、Triplet群6%、間質性肺炎All gradeはDoublet群17%(Grade3以上3%)、Triplet群22%(Grade3以上3%)と報告されている。TROP2に対するADCは、TROP2がNSCLCにおいて幅広く発現する良い標的蛋白であることから注目されているが、分子標的薬とは異なりADCでは細胞障害性抗がん剤の毒性も加味されることから安全性については留意が必要となることが、本試験の結果でも明らかにされている。現在、TROPION-Lung07試験(PD-L1 50%未満でのKEYNOTE-189レジメンと、Doublet、Tripletの3群比較試験)、TROPION-Lung08試験(PD-L1 50%以上でのペムブロリズマブとDoubletの比較試験)が実施されている。sunvozertinibEGFR exon20 insertionに対して開発が進められているsunvozertinib(DZD9008)を用いた、単群WU-KONG6試験の結果が報告された。EGFR exon20 insertion変異が確認され、3ラインまでの前治療歴を有する97例の患者が登録されている。年齢中央値は58歳、女性が59.8%、非喫煙者が67%、変異のタイプは769_ASVが39.2%、770_SVDが17.5%、プラチナ併用療法のほかにEGFR-TKIが26.8%、免疫チェックポイント阻害薬が35.1%で実施されていることが患者背景として報告された。独立評価委員会による奏効割合はPRが60.8%、SDが26.8%であり、exon20 insertion変異のタイプによらず有効性が示されている。主なGrade3以上の毒性は、下痢7.7%、CK上昇17.3%、貧血5.8%などであり、皮疹や爪囲炎等のEGFR wild typeの阻害に基づく有害事象の頻度は比較的低く抑えられている。EGFR exon20 insertionを標的とする薬剤の開発はこのところ過熱しており、EGFR wild type阻害に基づく有害事象を抑制しつつ、高い奏効割合を示す薬剤に期待が集まっている。SCARLET(WJOG14821L)試験SCARLET(WJOG14821L)試験は、KRAS G12C変異を有する、未治療進行非小細胞肺がん患者を対象として、ソトラシブとカルボプラチン+ペメトレキセドを併用する第II相試験である。期待奏効割合を65%、閾値奏効割合を40%と設定し、α0.1、β0.1として30例を必要症例数として実施された。患者背景からは、年齢中央値は70歳、男性/女性25/5、非喫煙/喫煙1/29であり、KRAS G12Cらしい患者集団であることが報告されている。主要評価項目であるBICRによる奏効割合は88.9%、80%信頼区間は76.9~95.8と統計学的にPositiveな結果であった。PFSの中央値はBICRで5.7ヵ月であり、6ヵ月時点のOS割合は87.3%と報告されている。KRAS G12Cに対する、ソトラシブ単剤の奏効割合は30%から35%と報告されており、必ずしも満足できる水準ではないことから、本試験の高い奏効割合は注目を集めている。一方、同じく今年報告された、KontRASt-01試験における新たなKRAS G12C阻害薬であるJDQ443により、Early phaseの試験ではあるものの57.1%という良好な奏効割合も報告されている。さらに、KRASやRASを対象とした薬剤開発は加速しており、Pan-KRAS阻害薬、Pan-RAS阻害薬などが次々と早期臨床試験に入り、有効性の向上が期待されている。

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植物由来cytisinicline、禁煙効果を第III相試験で検証/JAMA

 行動支援との併用によるcytisiniclineの6週間および12週間投与は、いずれも禁煙効果と優れた忍容性を示し、ニコチン依存症治療の新たな選択肢となる。米国・ハーバード大学医学大学院のNancy A. Rigotti氏らが米国内17施設で実施した無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「ORCA-2試験」の結果を報告した。cytisinicline(cytisine)は植物由来のアルカロイドで、バレニクリンと同様、ニコチン依存を媒介するα4β2ニコチン性アセチルコリン受容体に選択的に結合する。米国では未承認だが、欧州の一部の国では禁煙補助薬として使用されている。しかし、従来の投与レジメンと治療期間は最適ではない可能性があった。JAMA誌2023年7月11日号掲載の報告。cytisinicline 6週間投与と12週間投与の有効性をプラセボと比較検証 研究グループは2020年10月~2021年6月に、現在1日10本以上タバコを吸っており、呼気一酸化炭素(CO)濃度が10ppm以上で、禁煙を希望する18歳以上の成人810例を、cytisinicline 3mgを1日3回12週間投与(12週間投与群、270例)、cytisinicline 3mgを1日3回6週間投与後プラセボ1日3回6週間投与(6週間投与群、269例)、プラセボ1日3回12週間投与(プラセボ群、271例)の3群に、1対1対1の割合で無作為に割り付けた。全例が無作為化から12週目までにカウンセラーによる10分間の禁煙行動支援を受け(最大15回)、16週、20週および24週時には短いセッションが行われた。 主要アウトカムは、投与期間の最終4週間における生化学的に確認された禁煙継続(すなわち、6週間投与では3~6週目、12週間投与では9~12週目)。副次アウトカムは、投与期間の最終4週間から24週目まで(すなわち、6週間投与では3~24週目、12週間投与では9~24週目)の禁煙継続とした。 2週目から12週目までの禁煙継続は、毎週評価した前回受診時からの禁煙の自己申告と呼気CO濃度10ppm未満で確認し、16週、20週および24週目の禁煙は、判定基準のRussell Standard(前回の受診時から5本以上喫煙していない)を用いて自己申告で確認した。禁煙継続率はcytisinicline群でプラセボ群の約3~6倍 無作為化された810例(平均年齢52.5歳、女性54.6%、1日平均喫煙数19.4本)のうち、618例(76.3%)が試験を完遂した。 禁煙継続率は、cytisinicline 6週間投与群とプラセボ群との比較では、3~6週目で25.3% vs.4.4%(オッズ比[OR]:8.0、95%信頼区間[CI]:3.9~16.3、p<0.001)、3~24週目で8.9% vs.2.6%(3.7、1.5~10.2、p=0.002)であった。また、cytisinicline 12週間投与群とプラセボ群との比較では、9~12週目で32.6% vs.7.0%(OR:6.3、95%CI:3.7~11.6、p<0.001)、9~24週目で21.1% vs.4.8%(5.3、2.8~11.1、p<0.001)であった。 主な有害事象は悪心、頭痛、異常な夢、不眠症であったが(各群10%未満)、そのうち異常な夢と不眠症のみプラセボ群よりcytisinicline群で発現率が高かった。 有害事象による投与中止は、cytisinicline群で539例中16例(2.9%)(6週間投与群:2.2%、12週間投与群:3.7%)、プラセボ群で270例中4例(1.5%)であった。試験薬に関連する重篤な有害事象は認められなかった。 なお、著者は研究の限界として、参加者が主に白人であったこと、有害事象の検証が短期間であったこと、本試験における行動支援の強度等は一般的な医療現場で提供できるものを超えている可能性があることなどを挙げている。

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生理痛の強さと生活習慣との関連が明らかに

 朝食を欠かさずビタミンDやB12が不足しないようにすること、毎日入浴することなどが、月経痛(生理痛)の痛みを和らげてくれるかもしれない。月経痛の重い人と軽い人の生活習慣を比較したところ、それらの有意差が認められたという。順天堂大学の奈良岡佑南氏らの研究結果であり、詳細は「Healthcare」に4月30日掲載された。 日本人女性の月経痛の有病率は78.5%という報告があり、生殖年齢にある多くの女性が周期的に生じる何らかの症状に悩まされていると考えられる。月経痛は本人の生活の質(QOL)低下を来すだけでなく、近年ではそれによる労働生産性の低下も含めた経済的負担が、国内で年間6830億円に上ると試算されるなど、社会的な対策の必要性も指摘されるようになった。 これまでに、ビタミンやミネラルなどの摂取量、または食事や運動・睡眠習慣などと月経痛の強さとの関連を個別に検討した研究結果が、いくつか報告されてきている。ただし、研究対象が学生に限られている、または一部の栄養素や食品の摂取量との関連のみを調査しているといった点で、結果の一般化に限界があった。これを背景として奈良岡氏らは、就労年齢の日本人女性を対象として、摂取栄養素・食品、朝食欠食の有無、睡眠・運動・入浴習慣など、多くの生活習慣関連因子と月経痛の強さとの関連を検討する横断研究を行った。 研究参加者は、2018年5~6月に、一般社団法人Luvtelli(ラブテリ)のオンラインプラットフォームを通じて募集された511人から、年齢40歳以上、妊娠中・授乳中、何らかの疾患治療中、経口避妊薬使用、摂食障害、データ欠落などの該当者を除外し、20~39歳の健康な女性321人(平均年齢30.53±4.69歳、BMI20.67±2.62、体脂肪率27.02±5.29%)を解析対象とした。 調査項目は、月経周期や月経痛の程度、自記式の食事調査票、および、就労状況、飲酒・喫煙・運動・睡眠習慣などに関する質問で構成されていた。そのほかに、身長、体重、体組成を評価した。なお、月経痛の強さは、「寝込むほどの痛み」、「薬を服用せずにいられない」、「痛むものの生活に支障はない」、「痛みはほとんどない」の四者択一で回答してもらい、前二者を月経痛が「重い」、後二者を「軽い」と判定した。 解析対象者のうち、76.19%が月経痛を経験しており、痛みが重いと判定された人が101人、軽いと判定された人が220人だった。この2群を比較すると、年齢、BMI、体脂肪率、摂取エネルギー量は有意差がなかった。ただし、総タンパク質、動物性タンパク質、ビタミンD、ビタミンB12、魚の摂取量は、月経痛が重い群の方が有意に少なかった。反対に、砂糖、ラーメン、アイスクリームの摂取量は、月経痛が重い群の方が有意に多かった。また、朝食を欠かさない割合は、月経痛が軽い群73.6%、重い群64.4%で、後者が有意に低値だった。 栄養・食事以外の生活習慣に着目すると、毎日入浴する割合が、前記と同順に40.5%、26.7%で有意差があり、月経痛が重い人は入浴頻度が少なくシャワーで済ます人が多かった。睡眠時間や1日30分以上の運動習慣のある人の割合については有意差がなかった。 これらの結果について著者らは、以下のような考察を述べている。まず、糖質の摂取量の多さが月経痛の強さと関連していることは、先行研究と同様の結果だとしている。その一方で、欧州からは肉類の摂取量の多さは月経痛の強さと関連していると報告されており、今回の研究では異なる結果となった。この点については、日本人の肉類の摂取量が欧州に比べて少ないことが、相違の一因ではないかとしている。 このほか、ビタミンDは子宮内膜でのプロスタグランジン産生抑制、ビタミンB12はシクロオキシゲナーゼの合成阻害などの作用が報告されており、炎症抑制と疼痛緩和につながる可能性があり、魚はビタミンDとビタミンB12の良い供給源であるという。また、朝食摂取や入浴は体温を高め、血行改善や子宮収縮を抑制するように働いて月経痛を緩和する可能性があるが、本研究では体温を測定していないことから、今後の検証が必要と述べている。 論文の結論は、「日々の食事で魚、タンパク質、ビタミンB12、ビタミンDを十分に摂取し、朝食や入浴などによって体温を上げるような生活習慣とすることが、月経痛の緩和に効果的である可能性が考えられる」とまとめられている。

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炎症性腸疾患の患者は脳卒中リスクが高い

 炎症性腸疾患(IBD)患者は脳卒中リスクが高いことを示唆するデータが報告された。カロリンスカ研究所(スウェーデン)のJiangwei Sun氏らの研究によるもので、詳細は「Neurology」に6月14日掲載された。この研究結果はIBDと脳卒中との間に因果関係が存在することは示していないが、「IBD患者と医師はそのリスクを認識しておく必要がある。IBD患者の脳卒中リスク因子のスクリーニングとその管理は、緊急の臨床課題であるかもしれない」とSun氏は述べている。 この研究の対象は、1969~2019年にスウェーデンで、生検によって診断されたIBD患者8万5,006人(クローン病2万5,257人、潰瘍性大腸炎4万7,354人、未分類のIBD1万2,395人)と、年齢、性別、居住地域が一致するIBDでない一般住民40万6,987人。平均12年追跡して、脳卒中リスクを比較検討した。 追跡期間中の脳卒中発生件数は、IBD群では3,720件(1万人年当たり32.6)、非IBD群では1万5,599件(同27.7)だった。肥満や高血圧、心疾患などの脳卒中リスクに影響を及ぼし得る因子を調整後、IBD群は非IBD群に比べて13%ハイリスクであることが分かった〔調整ハザード比(aHR)1.13(95%信頼区間1.08~1.17)〕。 脳卒中のタイプ別に見ると、IBD群でのリスク上昇は虚血性脳卒中でのみ認められ〔aHR1.14(同1.09~1.18)〕、出血性脳卒中のリスク差は非有意だった〔aHR1.06(0.97~1.15)〕。虚血性脳卒中のリスク上昇は全てのIBDサブタイプで認められた。調整ハザード比は以下の通り。クローン病1.19(1.10~1.29)、潰瘍性大腸炎1.09(1.04~1.16)、未分類のIBD1.22(1.08~1.37)。また、脳卒中のリスク差はIBD診断から25年経っても存在しており、Sun氏によると、「それまでの間にIBD患者93人につき1人の割合で、脳卒中イベントがより多く発生していたと計算される」という。 この研究では、遺伝的背景の影響も考慮された。ほかの多くの疾患と同様に、IBDや脳卒中も遺伝的因子が発症リスクに関与していることが知られている。そこで、IBD群の患者のきょうだいの中で、IBDや脳卒中の既往のない10万1,082人を比較対象とする解析が行われた。その結果、IBD群はそのきょうだいと比べても、脳卒中リスクが11%高いことが明らかになった。 以上より著者らは、「IBD患者はIBDのサブタイプにかかわりなく、脳卒中、特に虚血性脳卒中のイベントリスクが高い。リスク差はIBD診断後25年が経過しても続いていた。これらの知見は、IBDの臨床において、患者の脳卒中イベントリスクを長期間にわたって留意する必要のあることを意味している」と結論付けている。 一方、研究の限界点としては、本研究は前述のように1969~2019年にIBDと診断された患者を対象としているが、この間にIBDや脳卒中の診断方法・基準が変化しており、それが解析結果に影響を及ぼした可能性を否定できないことが挙げられるという。また、解析対象者の脳卒中リスクに影響を及ぼし得る、食事・喫煙・飲酒などの既知のリスク因子の全てを把握して調整できたわけではないとも追記されている。

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感染防御対策が徹底した職場ほど独身者の恋愛活動が活発

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック下で、感染防止対策をより厳格に行っていた職場ほど、独身の人の恋愛活動が活発に行われていたことが明らかになった。産業医科大学環境疫学研究室の藤野善久氏らの研究によるもので、詳細は「Frontiers in Public Health」に2月16日掲載された。 COVID-19パンデミック発生後、外出自粛などのために社会的交流が少なくなり、「孤独」が公衆衛生上の問題としてクローズアップされてきた。若年者や独身者において、より孤独感が強まったとする研究報告も見られる。独身者では、新たな恋愛関係を構築することで孤独感が抑制されると考えられるが、パンデミックによりそのハードルがより高くなったとも言える。例えば、労働者の場合は職場がパートナーとの出会いの場となることが少なくないが、在宅勤務の奨励をはじめとするさまざまな対策によって、出会いの機会が減った。 一方で、孤独感が募りがちな状況下では、その孤独感を解消しようとする目的のために、独身者の恋愛活動が活発になった可能性も考えられる。藤野氏らはその可能性を、産業医科大学が行っている「COVID-19流行下における労働者の生活、労働、健康に関する調査(CORoNaWork研究)」のデータを用いた縦断的研究により検証した。 2020年12月に、インターネット調査パネル登録者を対象にアンケート調査を行い、20~65歳で独身の労働者2万7,036人から有効回答を得た。これをベースライン調査として、その1年後の2021年12月に追跡調査を実施。1万8,560人(68.7%)が回答した。 追跡調査では、この1年間で「恋愛パートナーを探す活動を行ったか?」、「新しい恋愛パートナーができたか?」という二つの質問を行い、その回答内容と、職場での感染防御対策の厳格さとの関連を検討した。感染防御対策の厳格さは、職場で取られている対策(在宅勤務の奨励、出勤前の体温測定の推奨、マスク常時着用、パーテーション設置、屋内での飲食禁止など7種類)の実施状況、および、「勤務先の感染防御対策は十分だと思うか?」との質問(強い否定~強い同意の四者択一で回答)により評価した。 追跡調査回答者の約6割が男性だった。恋愛活動と感染防御対策との関連の解析に際しては、年齢、性別、婚姻状況(未婚、離婚、死別)、職種、収入、教育歴、飲酒・喫煙習慣、主観的健康観、勤務先の従業員数などの影響を統計学的に調整。解析の結果、職場で実施された感染防御対策の種類が多いほど(傾向性P<0.001)、および、勤務先の感染防御対策が十分だと感じているほど(傾向性P=0.003)、「恋愛パートナーを探す活動を行った」割合が高いという有意な関連が認められた。さらに、実際に「新しい恋愛パートナーができた」割合についても、感染防御対策の種類が多いほどその割合が高いという有意な関連が認められた(傾向性P<0.001)。 このような関連が生じた背景について著者らは、以下のように三つの可能性を考察として述べている。第一に、感染防御対策が厳格に行われている職場で働く人では、感染リスクをコントロールできるという自己効力感が高まり、恋愛行動に積極的になること。第二に、感染防御対策が厳格であることで職場での接触の機会が減り、それを補うために恋愛活動への意欲が高まること。第三に、感染防御対策を徹底した会社は、社員同士の交流を推進する活動も推進していた可能性が高いこと。 以上を基に論文の結論は、「COVID-19パンデミック下で、職場の厳格な感染防御対策の実施とそれに対する満足感が、恋人のいない独身者の恋愛を後押ししたと考えられる。独身者は孤独のリスクが高いが、しっかりとした感染防御対策を取った上で恋愛パートナーとの関係を築くことが、精神的な健康の維持に重要な要素となるのではないか」と記されている。

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ワインは心血管に良い影響?22試験のメタ解析

 アルコール摂取と心血管イベントにはJ字型、U字型の関連があるという報告もあり、多量のアルコール摂取は心血管に悪影響を及ぼす一方、少量であれば心血管に良い影響を及ぼす可能性が指摘されているが、結果は一貫していない1-3)。また、ワインの摂取が心血管の健康に及ぼす効果についても、意見が分かれている。そこで、スペイン・Universidad de Castilla-La ManchaのMaribel Luceron-Lucas-Torres氏らは、ワインの摂取量と心血管イベントとの関連について、システマティックレビューおよび22試験のメタ解析を実施した。その結果、ワインの摂取は、心血管イベントのリスク低下と関連していた。また、年齢や性別、追跡期間、喫煙の有無はこの関連に影響を及ぼさなかった。Nutrients誌2023年6月17日号の報告。 Pubmed、Scopus、Web of Scienceを用いて、2023年3月26日までに登録されたワインの摂取量と冠動脈疾患(CVD)、冠動脈性心疾患(CHD)、心血管死との関連を検討した研究を検索した。その結果25試験が抽出され、22試験についてDerSimonian and Laird Random Effects Modelを用いてメタ解析を実施した。また、ワインの摂取量と心血管イベント(CVD、CHD、心血管死)との関連に影響を及ぼす因子を検討した。異質性はτ2値を用いて評価した(0.04未満:小さい、0.04~0.14:中等度、0.14~0.40:大きい)。 主な結果は以下のとおり。・ワイン摂取はCHD、CVD、心血管死のリスクをいずれも有意に低下させた。リスク比(95%信頼区間)およびτ2値は以下のとおり。 -CHD:0.76(0.69~0.84)、0.0185 -CVD:0.83(0.70~0.98)、0.0226 -心血管死:0.73(0.59~0.90)、0.0510・試験参加者の平均年齢、性別(女性の割合)、追跡期間、喫煙の有無はワイン摂取とCHD、CVD、心血管死との関連に影響を及ぼさなかった。・メタ解析を実施した研究のバイアスリスクはいずれの研究も良好であった。出版バイアスについては、CVDに関する研究において認められたが(p=0.003)、CHD、心血管死に関する研究では認められなかった(それぞれp=0.162、0.762)。 著者らは、「年齢、薬物、病態の影響によりアルコールに対する感受性が高い患者では、ワインの摂取量を増やすことが有害となる可能性があるため注意が必要である」と指摘しつつも、「システマティックレビューおよびメタ解析によって、ワイン摂取はCVD、CHD、心血管死のリスクを低下させることが示された。今後、ワインの種類によってこれらの効果を区別する研究が必要である」とまとめた。

310.

脳卒中後の血糖管理が認知機能低下抑止の鍵となる可能性

 脳卒中を発症後に血糖値が高い状態で推移していると、認知機能の低下が速くなる可能性が報告された。一方、血圧やLDL-コレステロール(LDL-C)が高いことに関しては、そのような関連は認められないという。米ミシガン大学のDeborah Levine氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Network Open」に5月17日掲載された。 Levine氏によると、「脳卒中の発症後は認知症のリスクが最大50倍増加するが、これまで、脳卒中の再発を防ぐこと以外に、そのリスクを抑制する治療アプローチはなかった」という。そのような状況で明らかになった今回の研究結果は、「脳卒中後に血糖値の高い状態が続いていることが、認知機能の低下を速めることを示唆しており、糖尿病に該当するか否かにかかわりなく、脳卒中後の慢性高血糖が認知機能低下を抑制するための潜在的な治療標的である可能性を示唆している」と話している。 Levine氏らの研究は、米国で1971~2019年に行われた4件のコホート研究のデータを統合して解析するという手法で実施された。脳卒中発症前に認知症がなく、解析に必要なデータが記録されている982人〔年齢中央値74.6歳(四分位範囲69.1~79.8)、女性48.9%、糖尿病20.9%〕を中央値4.7年追跡。脳卒中後に行われた検査での空腹時血糖値、収縮期血圧、LDL-Cの累積平均値を算出。主要評価項目として総合的な認知機能の変化との関連、副次的評価項目として実行機能と記憶力の変化との関連を検討した。 結果に影響を及ぼし得る因子〔年齢、BMI、喫煙・飲酒・運動習慣、腎機能、心疾患の既往、遺伝的背景(ApoE4)、教育歴、収入など〕を調整後の解析で、収縮期血圧、LDL-Cの累積平均値については、認知機能との有意な関連が認められなかった。それに対して空腹時血糖値については、累積平均値が10mg/dL高いごとに、1年間での総合的な認知機能の評価が-0.04ポイント(95%信頼区間-0.08~-0.001)、より速く低下するという有意な関連が認められた。実行機能や記憶力との関連は非有意だった。この結果についてLevine氏は、「脳卒中を発症した後の厳格な血糖コントロールが、認知機能低下や認知症発症のリスクを抑制するかという疑問の答えを得るには、さらなる研究が必要とされる」としている。 糖尿病患者においては、血糖コントロールを厳格に行うことで、目や腎臓、神経という細小血管障害による合併症のリスクが抑制されるという強固なエビデンスが存在する。研究者によると、厳格な血糖コントロールによって、脳の細小血管障害による疾患のリスクも軽減される可能性があるものの、証明はされていないという。ただ、脳卒中や一過性脳虚血発作を経験した人は、医療チームと相談して、血糖値のモニタリングとコントロールに関して最適な方法を検討すべきであり、その対象者には糖尿病患者に限らず、前糖尿病の人も含まれるとのことだ。その一方でLevine氏は高血糖の反対に当たる、血糖値が低くなりすぎる「低血糖」も認知症のリスクとなるため、低血糖を避けることも重要と付け加えている。 なお、本研究は米国立老化研究所(NIA)などの資金提供により実施された。

311.

双極性障害ラピッドサイクラーの特徴

 双極性障害(BD)におけるラピッドサイクリング(RC、1年当たりのエピソード回数:4回以上)の存在は、1970年代から認識されており、治療反応の低下と関連する。しかし、1年間のRCと全体的なRC率、長期罹患率、診断サブタイプとの関連は明らかになっていない。イタリア・パドヴァ大学のAlessandro Miola氏らは、RC-BD患者の臨床的特徴を明らかにするため、プロスペクティブに検討を行った。その結果、BD患者におけるRC生涯リスクは9.36%であり、女性、高齢、BD2患者でリスクが高かった。RC患者は再発率が高かったが、とくにうつ病では罹患率の影響が少なく、エピソードが短期である可能性が示唆された。RC歴を有する患者では転帰不良の一方、その後の再発率の減少などがみられており、RCが持続的な特徴ではなく、抗うつ薬の使用と関連している可能性があることが示唆された。International Journal of Bipolar Disorders誌2023年6月4日号の報告。 RCの有無にかかわらずBD患者1,261例を対象に、記述的および臨床的特徴を比較するため、病例および複数年のフォローアップによるプロスペクティブ調査を実施した。 主な結果は以下のとおり。・1年前にRCであったBD患者の割合は9.36%(BD1:3.74%、BD2:15.2%)であり、男性よりも女性のほうが若干多かった。・RC-BD患者の特徴は以下のとおりであった。 ●年間平均再発率が3.21倍高い(入院なし) ●罹患率の差異は小さい ●気分安定に対する治療がより多い ●自殺リスクが高い ●精神疾患の家族歴なし ●循環性気質 ●既婚率が高い ●兄弟や子供がより多い ●幼少期の性的虐待歴 ●薬物乱用(アルコール以外)、喫煙率が低い・多変量回帰モニタリングでは、RCと独立して関連した因子は、高齢、抗うつ薬による気分変調、BD2>BD1の診断、年間エピソード回数の増加であった。・過去にRC-BDであった患者の79.5%は、その後の平均再発率が1年当たり4回未満であり、48.1%は1年当たり2回未満であった。

312.

大量飲酒は後年の筋肉量減少のリスクを高める

 中年期や老年初期における大量の飲酒は、骨格筋量が減少するサルコペニアやフレイル(虚弱)のリスク増加をもたらす可能性のあることが、新たな研究で示唆された。英イースト・アングリア大学(UEA)ノリッジ医学部教授のAilsa Welch氏らによる研究で、「Calcified Tissue International」に5月25日掲載された。 Welch氏はこの研究の実施に至った背景について、「加齢に伴う骨格筋量の減少は、後年の筋力低下やフレイルの問題につながる。アルコール摂取は、多くの疾患において修正可能な主要リスク因子であることから、われわれは、飲酒と加齢に伴う筋肉の健康との関係について調べようと考えた」と振り返る。 研究では、UKバイオバンク参加者の中から本研究の適格基準を満たした19万6,561人(37〜73歳、男性8万8,116人、女性10万8,445人)を対象に、アルコールの摂取量とサルコペニアの指標〔骨格筋量、除脂肪量(FFM)、握力〕との関連を、体格によるFFMの違いや喫煙状況、身体活動量などについても考慮して検討した。 その結果、骨格筋量とFFM%(体重に占めるFFMの割合)の値は中等度の量のアルコール摂取(男性:それぞれ6.8g/日、4.8g/日、女性:それぞれ14.7g/日、13.5g/日)でピークに達するが、摂取量がそれ以上増えると低下の一途をたどることが明らかになった。これらのアウトカムはアルコールを摂取しない場合と比べて、男性では、48g/日の摂取でそれぞれ0.23%、0.47%、80g/日の摂取で1.34%、1.55%、160g/日の摂取で3.59%、3.64%低く、女性では80g/日の摂取でそれぞれ0.57%、1.10%、160g/日の摂取で4.92%、6.10%低かった。これに対して、握力の強さはアルコールの摂取量の増加に伴い増強していた。 研究論文の筆頭著者である、UEAノリッジ医科大学のJane Skinner氏は、「ほとんどが50〜60歳代だった本研究参加者において、体格やその他の要因を考慮しても、アルコールを大量に飲む人ではあまり飲まない人に比べて骨格筋量が少ないことが明らかになった」と述べる。その上で、「ワイン1本やビール4〜5パイント(英国での1パイント=568mL)に相当する、1日に10ユニット(1ユニットの純粋アルコール量は約8g)以上のアルコールを摂取する人では、後年になって確実に問題が生じるとわれわれは考えている」と話す。 ただし、本研究では、骨格筋量とアルコールの摂取量を同時に測定したため、両者が因果関係にあるのかどうかを明らかにすることはできない。それでもWelch氏は、「この研究は、アルコールの大量摂取が骨格筋量に有害な影響を与える可能性があることを示すものだ」と強調する。そして、「加齢に伴う骨格筋量の減少が筋力低下やフレイルにつながり得ることは、すでに明らかにされている。つまりは、中高年期に日常的に多量の飲酒を避けるべき新たな理由がまた増えたということだ」と付け加えている。

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退職後には心疾患のリスクが低下する――35カ国の縦断研究

 退職後には心疾患のリスクが低下することが、世界35カ国で行われた縦断研究のデータを統合した解析の結果、明らかになった。京都大学大学院医学研究科社会疫学分野の佐藤豪竜氏らの研究によるもので、詳細は「International Journal of Epidemiology」に5月8日掲載された。著者らは、「退職年齢の引き上げで、新たな医療コストが発生する可能性もある」と述べている。 現在、多くの国が人口の高齢化を背景に、退職年齢と年金支給開始年齢の引き上げを検討・実施している。しかし、退職による疾患リスクへの影響は十分検討されていない。仮に退職によって疾患リスクが変わるのであれば、国民医療費にも影響が生じることになる。これを背景として佐藤氏らは、退職前後での健康状態の変化を検討可能な世界各国の縦断研究のデータを用いて、特に心疾患とそのリスク因子に焦点を当てた解析を行った。 日本の「くらしと健康の調査(JSTAR)」や、米国、欧州、中国、韓国など35カ国の縦断研究の参加者のうち、退職というライフイベントが生じ得る50~70歳、計10万6,927人を平均6.7年間追跡。各国の年金給付開始年齢を操作変数とし(退職年齢と見なし)、その年齢の前後での疾患リスクなどの変化を解析した。 その結果、退職により心疾患のリスクが2.2パーセントポイント低下することが明らかになった〔係数-0.022(95%信頼区間-0.031~-0.012)〕。また、運動不足(中~高強度運動の頻度が週1回未満)の該当者が3.0パーセントポイント減少することも示された〔同-0.030(-0.049~-0.010)〕。 性別に検討すると、心疾患のリスク低下は男性と女性の双方で認められたが、女性でのみ、喫煙者〔-0.019(-0.034~-0.004)〕の減少が認められた。また、就業中の勤務内容が肉体労働か否かで二分した場合、心疾患のリスク低下や運動不足該当者の減少は、非肉体労働者でのみ観察された。さらに肥満の割合に関しては、非肉体労働者では退職後に低下が見られたのに対して〔-0.031(-0.056~-0.007)〕、肉体労働者では退職後に上昇していた〔0.025(0.002~0.048)〕。 このほかに、教育歴の長さで全体を3群に層別化した検討では、心疾患のリスクは3群全てで退職後に低下していた。また、教育歴が最も長い群では、脳卒中リスクの低下〔-0.014(-0.026~-0.001)〕や、肥満の割合の低下〔-0.029(-0.057~-0.001)〕、運動不足該当者の減少〔-0.045(-0.080~-0.011)〕も観察された。 以上を基に論文の結論は、「われわれの研究結果は、退職が心疾患リスクの低下と関連していることを示唆している。その一方、心疾患のリスク因子と退職との関連については、個人の特徴による影響の違いが認められた」とまとめられている。また、各国の政策立案者への提言として、「退職と年金給付開始年齢とを引き上げることの財政上のメリットだけでなく、退職を先延ばしすることで、高額な医療コストが発生することの多い心疾患患者が増加する可能性のあることも、考慮する必要があるのではないか」と述べられている。

314.

カナダ政府がタバコ1本1本に健康被害警告の表示を義務化

 カナダ政府でメンタルヘルス・依存症担当大臣兼保健副大臣を務めるCarolyn Bennett氏は、世界禁煙デーに当たる5月31日に、カナダでは間もなく、紙巻きタバコ1本1本への健康被害警告の表示が義務付けられるようになると発表した。このような警告表示の義務化に踏み切るのは、世界でカナダが初めての国となる。 Bennett氏は、「この思い切った措置により、タバコ製品を使用する誰もが健康被害に関する警告を目にすることになる。こうした警告は、パッケージにともに表示される最新画像とともに、喫煙がもたらす健康被害について、リアルで衝撃的な注意を喚起することになるだろう」と述べる。同氏はさらに、「われわれは今後も、より多くの人が喫煙をやめ、また、若者がタバコを吸うことなく健康的な生活を送るのに役立つことは、何であれするつもりだ」と話した。 カナダでは、喫煙により毎年約4万8,000人が死亡しているとBennett氏は指摘する。今回の「Tobacco Products Appearance, Packaging and Labelling Regulations(タバコ製品の外観、パッケージ、表示に関する規制)」は、成人の禁煙を支援し、また若者や非喫煙者をニコチン中毒から守り、さらにはタバコ製品の魅力を減じるようとする、カナダ政府のたゆまぬ努力の成果の一つだ。また、この規制は、Canada’s Tobacco Strategy(カナダのタバコ戦略)と2035年までに喫煙率を5%未満にするという同戦略の目標を支援するものでもある。 規制は、2023年8月1日より段階的に施行される。小売業者は、2024年4月末までに新しい健康に関するメッセージを付したタバコ製品のパッケージを取り扱うことになる。次いで、2024年7月末までにキングサイズのタバコで健康被害警告の表示が義務化される予定だ。その後、2025年4月末までに、同様の警告が表示されたレギュラーサイズのタバコ、チッピングペーパー付きリトルシガー(葉巻の一種)、およびチューブ(手巻きタバコ用のさや紙)も販売されることになる。 AP通信は、メッセージには、「タバコの煙は子どもに有害」「吸うごとに毒も吸入」などの文言が使われる予定だと報じている。そのほか、健康被害に関わるメッセージの義務化には、1)タバコ製品のパッケージへのメッセージを強化・更新すること、2)健康被害のメッセージをあらゆるタバコ製品のパッケージに表示すること、3)メッセージを定期的に変えること、の要件を満たすことが求められる。 カナダ肺協会の会長兼CEOであるTerry Dean氏は、「本日発表されたタバコ製品の表示強化のための大胆な措置は、肺の健康に対するタバコ製品の危険性を喫煙者が確実に目にするようにするためのものだ。紙巻きタバコの1本1本に直接、警告を表示することには、タバコの魅力を減じる効果があり、特に若者に対する効果は高いだろう」と述べる。そして、「カナダは、タバコの使用を減らすために断固とした行動を取り続ける必要がある」と強調している。

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COVID-19緊急事態は過ぎたが依然として対策意識の維持・向上を―AHAニュース

 世界保健機関(WHO)と米国政府の公式見解によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)はもはや緊急事態には当たらないという。これは大きな変化ではあるが、誰もがパンデミックを意に介さずに行動できるようになったわけではないと、多くの専門家が指摘している。その1人、米ミシガン大学のPreeti Malani氏は、「誰にとってもリスクがなくなったわけではない。ただ、3年以上前に緊急事態宣言が発出された時とは、大きく状況が変化した」と語る。 WHOが2020年1月30日に初めて「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言した時点で、COVID-19による死亡者はわずか213人しか判明していなかった。しかしその後、その数は世界中で700万人近くに増加した。WHOは今年5月5日に、緊急事態の終了を宣言し、5月11日には米国で公衆衛生上の緊急事態宣言が解除された。これに伴い、COVID-19のモニタリング体制や検査・ワクチン接種費用の公費負担も終了しつつある。とはいえ、COVID-19のウイルスが消え去ったわけではなく、WHOのMaria Van Kerkhove氏も、「緊急事態は終了したがCOVID-19の流行はまだ終わっていない」と、警戒の継続を呼びかけている。 米疾病対策センター(CDC)は、今年5月13日までの1週間で、米国内で281人がCOVID-19で死亡し、9,204人が入院したと報告している。週当たりの死亡者数が約2万6,000人だったピーク時から著減しているがゼロではない。一部の人々は依然、COVID-19重症化や死亡リスクが高い。CDCによれば、高齢者や心臓病、糖尿病、肥満、慢性腎臓病などの基礎疾患を抱えている人、および現喫煙者・元喫煙者がそれに該当するという。 米ヒューストン・メソジスト・デベイキー心臓血管センターのSafi U. Khan氏は、「健康を守るためにすべきことの中で、ワクチン接種はリストの最上位にある」と話す。CDCは、生後6カ月以上の全ての人に対してCOVID-19のワクチン接種を推奨している。これまでに米国人口の81%が少なくとも1回は接種を受けているが、最新の2価ワクチンのブースター接種を受けた人はわずか17%だという。 ワクチン接種以外にも、「屋内の混雑した空間でのマスク着用、手指衛生の実践は良い習慣であり、継続すべきだ」とKhan氏は語る。COVID-19流行の動向監視も忘れてはならない。Malani氏は、「CDCはモニタリングを放棄したわけではないが、緊急事態の終了によりデータ収集方法が変化し、以前より報告が遅れることになるだろう」と話す。ただ、Malani氏自身、「以前は毎日、検査陽性率などの指標を確認していたが、今はもう見ることはない」と述べ、それらのデータの価値が時とともに低下しているとしている。一方で同氏は今、下水中のウイルスレベルのモニタリングデータに注目しており、「多くの地域社会では依然として下水の監視が続けられていて、医療現場からの報告で症例数の増加が明らかになる前に、感染拡大を把握できるだろう」とのことだ。 Malani氏は、「ワクチン接種やCOVID-19感染によって免疫を有している人が増えたことを考えれば、人々がパンデミックの初期の頃ほど厳格に警戒する必要はないが、注意は必要であり、『前に進め。ただし、賢く行動せよ』というメッセージが適切ではないか」と語っている。例えば、混雑した空間で誰かが咳をした時に、すぐにマスクを着けられるように常時携帯するといった対策を提案している。またこのような対策とともに、外出を控え続けることによって社会的孤立の状態に陥り、健康上の懸念をかえって高めたりしないよう注意を呼び掛けている。同氏によると、孤独感を訴える高齢者の割合は、いまだパンデミック以前の水準より高いという。 Malani氏はまた、COVID-19の感染リスクに配慮して人生の大事なイベントを取りやめるという判断は、今後は慎重に行うように呼び掛けている。「誰もこの病気を永遠に避け続けることはできないし、家族との特別な行事、卒業式、結婚式などの重要なライフイベントを、感染リスクがあるから中止するという判断は適切でなく、その時の状況によって判断すべき」と語る。そして、「COVID-19のリスクは依然として残っているが、リスクをコントロールしながら人生に重要なことを行えるようにはなった。これは3年前にはできなかったことだ」と付け足している。 一方、Khan氏は、「COVID-19のパンデミックは、いくつかの重要な教訓をもたらした」と総括している。具体的には、「第1に、ワクチン接種や定期的な医師の診察など、予防医療の重要性を明確に示したことであり、第2に、健康的なライフスタイルの重要性も以前に増して明確に示された。体に良い食事、習慣的な運動、十分な睡眠は全て、免疫システムの良好な状態の維持に役立つ」としている。その上で同氏は、「しかし、おそらく最も強調されるべき点は、公衆衛生対策の重要性が再確認されたことだ。マスクの着用、ワクチン接種などが自分自身の安全を守るだけでなく、周囲の人々の安全にもつながることが明確になった」と述べている。[2023年5月25日/American Heart Association] Copyright is owned or held by the American Heart Association, Inc., and all rights are reserved. If you have questions or comments about this story, please email editor@heart.org.利用規定はこちら

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勃起不全治療用のゲル剤、米FDAがOTC製品として販売承認

 米食品医薬品局(FDA)は6月9日、22歳以上の男性向けの勃起不全治療用ゲル剤MED3000(商品名Eroxon)に対して、処方箋を必要としないOTC製品としての販売を初めて承認した。これにより、勃起不全を抱える男性は、症状の治療に外用ゲル剤を使用するという選択肢を持てるようになる。 同製品を製造する英フューチュラ・メディカル社のCEOであるJames Barder氏は、ニュースリリースの中で、「FDAは、新規医療製品の有効性と安全性を評価する際に、非常に高い基準を設けている。われわれがその基準を満たしたことをうれしく思う」と述べている。 米国では約3000万人の男性が、性行為に必要な勃起が得られない、または勃起を維持できない勃起不全に罹患しているという。勃起不全は、2型糖尿病などの疾患のほか、特定の薬剤、不安障害、喫煙、過度の飲酒、過体重、違法薬物の使用が原因で発生することが知られている。Eroxonは、1回分が1本のチューブに入った使い切りタイプのジェル剤で、性行為の前に陰茎頭部に塗布する。これにより、10分以内に勃起が得られ、約65%の使用者で性行為を行うのに十分な勃起時間を維持できる可能性があるという。 作用機序としては、このゲル剤に含まれる水とアルコールが塗布後に蒸発して亀頭部分を冷却し、その後、温まるに従って生じる温熱効果で神経が刺激され、腫脹と勃起をもたらすという。 同製品はベルギーと英国ですでに販売されており、販売価格は4本入りで31.22米ドル相当(1ドル142円換算で約4,400円)。米国での販売について同社の広報担当者は、「販売価格は、米国でEroxonを発売するパートナー企業によって最終的に決定されるため、まだ決まっていない」としている。米国での発売時期については不明だが、2025年になる見通しとも報じられている。

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夜型人間は本当に寿命が短い人の特徴なのか

 近年、「朝活」と称し、朝からスポーツや趣味、習い事などを行う朝型人間が増えてきている。その一方で、夜にならないと勉強も仕事も調子が出ないという夜型人間も多い。こうしたクロノタイプ(時間的特性)が健康に影響をもたらすかどうかは長く議論されてきた。過去には、夜型人間について全死因死亡率および心血管死亡率のわずかな増加が示唆されたという研究報告もある。 では、長期におよぶ追跡調査でも夜型人間は寿命が短い人の特徴であるという結果は変わらないものであろうか。フィンランド・国立労働衛生研究所のChrister Hublin氏は、フィンランドの成人ツインコホートを利用して、37年に及ぶ追跡調査を行い、アンケートを実施し(回答率84%)、その結果を解析、報告した。Chronobiology International誌オンライン版2023年6月15日掲載。夜型人間の寿命を短くする2つの要素 本研究は、「自分がどの程度、朝型人間、夜型人間かを評価してみてください」という質問に対して、4つの選択肢(「明らかに朝型人間」から「明らかに夜型人間」など)で回答した2万3,854人が対象。 回答者の内訳は、朝型が29.5%、やや朝型が27.7%、やや夜型が33.0%、夜型が9.9%。朝型と比較すると、夜型は若く、教育期間が長いカテゴリーの割合がやや高く、飲酒量と喫煙量が多かった。 バイタルステータスおよび死因のデータは、2018年末までの全国のレジスターから提供されたものを使用。死亡率のハザード比は、8,728人の死亡例に基づいて計算され、教育の程度、アルコール、喫煙、BMI、睡眠時間について調整した。 夜型人間は寿命が短い人の特徴であるか調査した結果は以下のとおり。・共変量調整モデルで、夜型人間グループの全死亡率が9%増加していた(ハザード比:1.09、95%信頼区間:1.01~1.18)。また、主に喫煙とアルコールが減衰原因としてみられた。・軽い飲酒をする程度の非喫煙者では、夜型人間グループの死亡率の増加がみられないことから、喫煙とアルコールの重要性が強く示唆された。・原因別死亡率も増加しなかったことから、死亡率に対する夜型人間や朝型人間というクロノタイプの独立した寄与は、ほぼ/またはまったくないことが示唆された。

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COPD患者の生存率向上につながり得る治療標的が明らかに

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の多くに気道の閉塞をもたらす粘液栓(粘液の塊)が、COPD治療の新たな標的となり得ることが、米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院呼吸器・救命医療部門のAlejandro Diaz氏らによる研究で示された。この研究結果は、米国胸部学会(ATS 2023、5月19〜24日、米ワシントン)で発表され、「Journal of the American Medical Association(JAMA)」に5月21日同時掲載された。 米国では、COPDは4番目に多い死因であり、その有病者数は1590万人に上る。COPDの原因としては、喫煙や長期間にわたる大気汚染への曝露などが挙げられる。COPDはそうしたものへの曝露を避けることで進行を遅らせることはできるが、治癒は不可能だ。さらに、研究グループによると、COPD患者の死亡に影響を与える要因に関しては、現時点ではほとんど分かっていない。その上、死亡に関係する要因の全てが症状として現れるわけではないという。 研究グループは今回、COPDに関する遺伝疫学研究(Genetic Epidemiology of COPD;COPDGene)に2007年から2011年の間に登録された、喫煙歴が10パックイヤー以上の1万198人のうち、4,363人のさまざまな重症度のCOPD患者のデータを用いて解析を行い、初診時の胸部CT検査で確認された気道の粘液栓と全死亡リスクとの関係について調べた。対象者は、年齢中央値が63歳(四分位範囲57〜70歳)で、女性が44%を占めていた。粘液栓が検出された肺の区域数(0〜18区域)で患者を分類すると、0区域が2,585人(59.3%)、1〜2区域が953人(21.8%)、3区域以上が825人(18.9%)だった。 中央値9.5年に及ぶ追跡期間中に1,769人(40.6%)が死亡した。粘液栓が検出された肺の区域数が0区域だった患者の全死亡率は34%だったのに対して、1〜2区域の患者では46.7%、3区域以上の患者では54.1%と高かった。粘液栓が検出された肺の区域数が0区域の患者と比べた全死亡の調整ハザード比は、1〜2区域の患者で1.15(95%信頼区間1.02〜1.29)、3区域以上の患者で1.24(同1.10〜1.41)だった。 Diaz氏は、「これらは粘液栓の増加と全死亡率に関連があることを示した説得力のあるデータだ。ただし、その関連要因については、現時点では何も明らかになっていない」と指摘する。その上で、「COPDを治癒に導くことはできないが、われわれの研究では、粘液栓を壊す治療によってCOPD患者の予後を改善できる可能性のあることが示された。これは、治癒の次に良いことだ」と述べている。 Diaz氏によると、粘液が作られるのは体の正常な免疫反応の一つであるが、通常、作られた粘液は回復過程で咳によって吐き出される。しかしCOPDでは、粘液が過剰に分泌されて排出されにくい状態になり、その結果、粘液栓が形成される。こうした粘液栓は、特定の症状とは強く関連しないため、看過されやすいのだという。 Diaz氏は、「過去40年間にわたってCOPDの治療にはわずか二つの標的しかなかった。一つは気管支拡張の促進、もう一つは気管支の炎症の抑制だ」と言う。一方、粘液に関しては、「COPD以外の疾患に対しては、粘液を標的とした治療法が既に数多く存在しており、開発段階のものもある。したがって、粘液はCOPDの治療標的としても極めて有望だ」との見方を示す。 研究グループは、既存の治療法をCOPD患者に試し、粘液栓を標的とした治療が患者の予後に影響を与えるかどうかを検討する研究を計画中だ。

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急性心筋梗塞患者の予後は、所得に関連するのか? (解説:三浦伸一郎氏)

 急性心筋梗塞(AMI)は、急性期の早期治療として冠動脈に対する血行再建術の有効性のエビデンスが確立し、わが国においても広く普及してきた。2020年のわが国における死因の第1位は悪性新生物、第2位が心疾患であり、その41%が心不全、33%が虚血性心疾患(その15%がAMI)となっている1)。AMIによる死亡率は年々低下してきているが、その後、心不全へ移行する患者もいるため、今なお、重要な心疾患である。最近、「脳卒中と循環器病克服第二次5ヵ年計画」が発表され、心血管疾患に対する多くの計画が進行中である。  今回、Landon氏らは、JAMA誌に66歳以上の高齢者AMI患者における興味深い報告をした2)。高齢AMI患者の予後と所得との関連性について、米国、カナダ、イングランド、オランダ、イスラエル、台湾について分析している。AMI患者で高所得者のほうが低所得者よりも、経皮的冠動脈形成術を受けた割合が高く、30日死亡率や1年死亡率が低率であったというものであった。わが国のAMI発症後の早期治療は、確立しているが、院内死亡率は依然として5~10%であり、患者の所得により血行再建術を受ける割合や予後に差異があれば問題である。JAMA誌では、「国民皆保険と強固な社会セーフティーネットシステムがある国であっても、所得に基づく格差が存在することを示唆する」となっている。理由は、低所得者では喫煙率が高いこと、地理的条件にも関連する高度医療施設へのアクセスが悪いこと、他の併存疾患の多い可能性などが挙げられている。わが国では、高額療養費制度があり、所得に応じて一定の医療費が払い戻される制度があり、いまだに地域差はあるが救急医療が整備されつつある。また、AMIの好発年齢は、男性で60歳、女性で70歳程度であり、男女差や年齢層別化による検討、ST上昇型AMIと非ST上昇型AMIの差異の検討も必要であり、わが国がJAMA誌の報告と同様の結果となるかは、今後の課題である。

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末梢性めまいで“最も頻度の高い”良性発作性頭位めまい症、BPPV診療ガイドライン改訂

 『良性発作性頭位めまい症(BPPV)診療ガイドライン』の初版が2009年に発刊されて以来、15年ぶりとなる改訂が行われた。今回、BPPV診療ガイドラインの作成委員長を務めた今井 貴夫氏(ベルランド総合病院)に専門医が押さえておくべきClinical Question(CQ)やBPPV診療ガイドラインでは触れられていない一般内科医が良性発作性頭位めまい症(benign paroxysmal positional vertigo)を疑う際に役立つ方法などについて話を聞いた。BPPVは末梢性めまいのなかで最も頻度が高い疾患 BPPVは末梢性めまいのなかで最も頻度が高い疾患である。治療法は確立しており予後は良好であるが、日常動作によって強いめまいが発現したり、症状が週単位で持続したりする点で患者を不安に追い込むことがある。また、BPPVはCa代謝の異常により耳石器の耳石膜から耳石がはがれやすくなって症状が出現することから、加齢(50代~)、骨粗鬆症のようなCa代謝異常が生じる疾患への罹患、高血圧、高脂血症、喫煙、肥満、脳卒中、片頭痛などの既往により好発するため、さまざまな診療科の医師による理解が必要になる。 よって、BPPV診療ガイドラインは耳鼻咽喉科や神経内科などめまいを扱う医療者向けにMinds診療ガイドライン作成マニュアルに準拠し作成されているが、BPPVの疫学(p.20)や鑑別診断(p.25~27)はぜひ多くの医師に一読いただきたい。 以下、BPPV診療ガイドラインの治療に関する全10項目のCQを示す。―――CQ1:後半規管型BPPVに耳石置換法は有効か?CQ2:後半規管型BPPVに対する耳石置換術中に乳突部バイブレーションを併用すると効果が高いか?CQ3:後半規管型BPPVに対する耳石置換法後に頭部の運動制限を行うと効果が高いか?CQ4:外側半規管型BPPV(半規管結石症)に耳石置換法は有効か?CQ5:外側半規管型BPPV(クプラ結石症)に耳石置換法は有効か?CQ6:BPPVは自然治癒するので経過観察のみでもよいか?CQ7:BPPV発症のリスクファクターは?CQ8:BPPVの再発率と再発防止法は?CQ9:BPPVに半規管遮断術は有効か?CQ10:BPPVに薬物治療は有効か?――― 今回、今井氏は「めまい診療を行う医師にはCQ5とCQ8に目を通して欲しい」と述べており、その理由として「両者に共通するのは、諸外国では積極的に行われているにもかかわらず日本ではまだ実績が少ない治療法という点」と話した。「たとえば、CQ8のBPPVの再発防止については、ビタミンDとカルシウム摂取が有効であると報告されているが、国内でのエビデンスがないため推奨度は低く設定された。次回のBPPV診療ガイドライン改訂までにエビデンスが得られ、推奨度が高くなることを期待する」とも話した。BPPVと鑑別すべきめまいを伴う疾患 めまいを伴う疾患はBPPVのほか、脳卒中やメニエール病をはじめ、前庭神経炎、めまいを伴う突発性難聴、起立性調節障害、起立性低血圧が挙げられる。とくに起立性低血圧はBPPVの34%で合併しており鑑別が困難であるので注意したい。なお、めまいの訴えが初回で単発性の場合、高血圧・心疾患・糖尿病が既往にある患者では脳卒中も鑑別診断に挙げるべきである。BPPVを疑う鍵は「めまいが5分以内で治まる」か否か BPPVの確定診断のためには特異的な“眼振”を確認することが必要であるので、フレンツェル眼鏡や赤外線CCDカメラといった特殊機材を有している施設でしか診断できないが、同氏は「BPPV診療ガイドラインには掲載されていないが、非専門医でもBPPVを疑うことは可能」とコメントしている。「眼振が確認できない施設では、われわれが開発した採点システム1)を用いて患者の症状をスコア化し、合計2点以上であればBPPVを疑って専門医に紹介して欲しい」と説明した。 本採点システムを開発するにあたり、同氏らは大阪大学医学部附属病院の耳鼻咽喉科およびその関連病院のめまい患者571例を対象に共通の問診を行い、χ2検定を実施。BPPV患者とそれ以外の患者で答えに有意差のあった問診項目を10個抽出した。同氏はこれについて「10個の項目に0~10点を付け、患者の答えから求めた合計点によりBPPVか否かを判断した際、感度、特異度の和が最も高くなるように点数を決定し、0点の項目を除外すると最終的に4項目に絞ることができた。なかでも“めまいが5分以内で治まる”は点数が2点と高く、BPPV診断で最も重要な問診項目であることも示された」と説明した。なお、本採点システムによる BPPVの診断の感度は81%、特異度は69%だった。 以下より、そのツールを基にケアネットで作成した患者向けスライドをダウンロードできるので、非専門医の方にはぜひ利用して欲しい。『良性発作性頭位めまい症の判別ツール』(患者向け説明スライド) なお、CareNeTVでは『ガイドラインから学ぶ良性発作性頭位めまい症(BPPV)診療のポイント』を配信中。話術でも定評のある新井 基洋氏(横浜市立みなと赤十字病院めまい平衡神経科 部長)が改訂BPPV診療ガイドラインを基に豊富な写真・イラストや動画を用いて解説している。

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