サイト内検索|page:38

検索結果 合計:2145件 表示位置:741 - 760

741.

TN乳がんへの術前CBDCA+PTXにアテゾリズマブ追加でpCR改善/第II相試験

 StageII/IIIのトリプルネガティブ乳がん(TNBC)の術前療法として、アントラサイクリンを含まないカルボプラチン(CBDCA)+パクリタキセル(PTX)にアテゾリズマブの追加を評価する無作為化第II相試験において、病理学的完全奏効(pCR)率の有意な増加が示された。米国・ワシントン大学のFoluso O. Ademuyiwa氏らが、NPJ Breast Cancer誌2022年12月30日号に報告。 これまで、転移を有するPD-L1陽性TNBCを対象としたIMpassion130試験ではnab-PTXへのアテゾリズマブ追加による無増悪生存期間と全生存期間の改善、また早期TNBCを対象としたIMpassion031試験ではアテゾリズマブとアントラサイクリンおよびタキサンをベースとした術前化学療法によるpCR改善が報告されている。 本試験では、StageII/IIIのTNBC 67例(年齢中央値:52歳、範囲:25~78歳)をArm A(CBDCA+PTX)22例、Arm B(CBDCA+PTX+アテゾリズマブ)45例に無作為に割り付け、アテゾリズマブ追加でpCR率および腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の割合が増加するかどうかを、修正ITT集団(評価可能で1回以上併用療法を受けた全患者)で評価した。 主な結果は以下のとおり。・修正ITT集団において、pCR率はArm Aで18.8%(95%信頼区間[CI]:4.0~45.6)、Arm Bで55.6%(同:40.0~70.4)だった(群差の推定値:36.8%、95%CI:8.5~56.6、p=0.018)。・Grade3以上の治療関連有害事象は、Arm Aで62.5%、Arm Bで57.8%に発現した。・TILの割合は、ベースラインから第1サイクルまで、Arm A(平均±SD:0.6%±21.0%)およびArm B(同:5.7%±15.8%)ともわずかに増加した。・TILの割合の中央値は、pCR例(24.8%)で非pCR例(14.2%)より高かった(p=0.02)。 本試験において、術前化学療法のみよりアテゾリズマブ追加でpCR率が有意に高かった。著者らは「非アントラサイクリンベースの化学療法+免疫療法は、早期TNBC治療の代替オプションとなる可能性がある」としている。

742.

ペムブロリズマブ+化学療法の1次治療がHER2陰性胃/食道胃接合部腺がんの生存期間を改善(KEYNOTE-859)/MSD

 2022年11月22日、メルク社(米国とカナダ以外ではMSD)は、HER2陰性の局所進行切除不能または転移のある胃腺がんまたは食道胃接合部腺がん患者に対する1次治療としてペムブロリズマブと化学療法の併用療法を評価した第III相KEYNOTE-859試験で良好な結果が得られたことを報告した。 KEYNOTE-859試験は、上記集団の1次治療としてペムブロリズマブと化学療法の併用療法を化学療法と比較する無作為化二重盲検第III相試験である。主要評価項目は全生存期間(OS)、副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)、奏効期間、安全性などであった。 同試験の中間解析では、ペムブロリズマブと化学療法の併用療法は化学療法単独群と比較して、主要評価項目であるOSにおいて統計学的に有意な改善が認められた。副次評価項目であるPFSおよびORRについても、統計学的に有意かつ臨床的に意味のある改善が認められた。 この試験におけるペムブロリズマブの安全性プロファイルはこれまでに報告されている試験で認められているものと一貫しており、新たな安全性の懸念は特定されなかった。この結果については今後さまざまな腫瘍関連学会における演題発表および規制当局への申請を予定している。

743.

抗CTLA-4抗体トレメリムマブ+デュルバルマブ、非小細胞肺がん1次治療に承認/AZ

 アストラゼネカは、2022年12月23日、デュルバルマブ(製品名:イミフィンジ)と、新たな抗CTLA-4抗体トレメリムマブ(同:イジュド)の併用療法が、「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」の適応症で承認されたと発表した。 今回の承認は、切除不能な進行・再発非小細胞肺がん(NSCLC)を対象に、1次治療として、デュルバルマブ+トレメリムマブ+化学療法、デュルバルマブ+化学療法化学療法を比較した第III相無作為化非盲検多施設共同国際試験POSEIDONの結果に基づくもの。 ESMO2022のPOSEIDON試験の発表では、長期追跡(36.5ヵ月)においても、トレメリムマブ+デュルバルマブ+化学療法の全生存期間(OS)延長のベネフィットが報告されている。

744.

デュルバルマブ+化学療法が胆道がんに、トレメリムマブ+デュルバルマブが肝がんに承認/AZ

 アストラゼネカは、2022年12月23日、デュルバルマブ(製品名:イミフィンジ)が「治癒切除不能な胆道癌」および「切除不能な肝細胞癌」を適応症として承認されたと発表。また、新たな抗CTLA-4抗体トレメリムマブ(同:イジュド)はデュルバルマブとの併用療法が、「切除不能な肝細胞癌」を適応症として承認されたと発表した。胆道がん(BTC)におけるデュルバルマブ 今回の承認は第III相TOPAZ-1試験の中間解析に基づいたもの。デュルバルマブと化学療法の併用療法が承認されたことにより、限られた治療法しかなかった治癒切除不能なBTCに免疫治療が可能となる。 TOPAZ-1試験は、切除不能な進行または転移のあるBTCを対象とした無作為化二重盲検プラセボ対照国際多施設共同試験。BTCの1次療法として、デュルバルマブと化学療法の併用療法と、プラセボと化学療法の併用療法を比較している。肝細胞がん(HCC)におけるデュルバルマブとトレメリムマブ 今回の承認は第III相HIMALAYA試験の結果に基づくもの。デュルバルマブとトレメリムマブの併用療法が承認されたことにより、切除不能なHCCに対して2剤の免疫治療薬による治療が可能になる。 HIMALAYA試験は、未治療の切除不能進行HCCを対象とし、デュルバルマブ単剤療法群、デュルバルマブにトレメリムマブを初回単回追加投与し、その後デュルバルマブを投与する群と標準治療薬のソラフェニブを比較した第III相無作為化非盲検国際多施設共同試験である。

745.

褐色細胞腫・パラガングリオーマ〔PPGL:pheochro mocytoma/paraganglioma〕

1 疾患概要褐色細胞腫・パラガングリオーマ(PPGL)は副腎髄質または傍神経節のクロム親和性細胞から発生するカテコールアミン産生腫瘍で、前者を褐色細胞腫、後者をパラガングリオーマ、総称して「褐色細胞腫・パラガングリオーマ」と呼ぶ。カテコールアミン過剰分泌による症状と腫瘍性病変による症状がある。カテコラミン過剰により、動悸、頭痛などの症状、高血圧、糖代謝異常などの種々の代謝異常、心血管系合併症、さらには各種の緊急症(高血圧クリーゼ、たこつぼ型心筋症による心不全、腫瘍破裂によるショックなど)を呈することがある。すべてのPPGLは潜在的に悪性腫瘍の性格を有し、実際、約10〜15%は悪性・転移性を示す。それ故、早期の適切な診断と治療が極めて重要である。原則として日本内分泌学会「褐色細胞腫・パラガングリオーマ診療ガイドライン2018」1)(図)に基づき、診断と治療を行う。図 褐色細胞腫・パラガングリオーマの診療アルゴリズム画像を拡大する2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ PPGLを疑う所見カテコラミン過剰による頭痛、動悸、発汗、顔面蒼白、体重減少、悪心・嘔吐、心筋梗塞類似の胸痛、不整脈などの多彩な症状を示す。肥満はまれである。高血圧を約85%に認め、持続型、発作型、混合型があるが、特に発作性高血圧が特徴的である。持続型では治療抵抗性高血圧の原因となる。発作型では各種刺激(運動、ストレス、過食、排便、飲酒、腹部触診、メトクロプラミド[商品名:プリンペラン]静注など)で高血圧発作が誘発される(高血圧クリーゼ)。さらに、急性心不全、肺水腫、ショックなどを合併することもある。発作型の非発作時には、まったくの「無症候性」であることも少なくない。また、高血圧をまったく呈さない無症候性や、逆に起立性低血圧を示すこともある。副腎や後腹膜の偶発腫瘍として発見される例も多い。■ スクリーニングの対象PPGLは二次性高血圧の中でも頻度が少なく、希少疾患に位置付けられるため、全高血圧でのスクリーニングは、費用対効果の観点から現実的ではない。PPGLガイドラインでは、特に疑いの強いPPGL高リスク群(表)での積極的なスクリーニングを推奨している。表 PPGL高リスク群1)PPGLの家族歴ないし既往歴(MEN、Von Hippel-Lindau病など)のある例2)特定の条件下の高血圧(発作性、治療抵抗性、糖尿病合併、高血圧クリーゼなど)3)多彩な臨床症状(動悸、発汗、頭痛、胸痛など)4)副腎偶発腫特に近年、副腎偶発腫瘍、無症候例の頻度が増加しているため、慎重な鑑別診断が必須である。スクリーニング方法カテコールアミン過剰の評価に際しては、運動、ストレス、体位、食品、薬剤などの測定値に影響する要因を考慮する必要がある。まず、外来でも実施可能な血中カテコールアミン(CA)分画(正常上限の3倍以上)、随時尿中メタネフリン分画(メタネフリン、ノルメタネフリン)(正常上限の3倍以上または500ng/mg・Cr以上)の増加を確認する。メタネフリン、ノルメタネフリンはカテコールアミンの代謝産物であり、随時尿でも安定であるため、スクリーニングや発作型の診断に有用である。近年、海外で第1選択である血中遊離メタネフリン分画も実施可能となったが、海外とは測定法が異なるため注意を要する。機能診断法上記のスクリーニングが陽性の場合、24時間尿中カテコールアミン分画(≧正常上限の2倍以上)、24時間尿中総メタネフリン分画(正常上限の3倍以上)の増加を確認する。従来実施された誘発試験は著明な高血圧を来すため推奨されない。アドレナリン優位の腫瘍は褐色細胞腫、ノルアドレナリン優位の腫瘍はパラガングリオーマが多い。画像診断臨床的にPPGLが疑われる場合は腫瘍の局在、広がり、転移の有無に関する画像診断(CT、MRI)を行う。約90%は副腎原発で局在診断が容易であり、副腎偶発腫瘍としての発見も多い。約10%はPGLで時に局在診断が困難なため、CT、 MRI、123I-MIBGシンチグラフィなどの複数のモダリティーを組み合わせる。(1)CT副腎腫瘍確認の第1選択。造影剤使用はクリーゼ誘発の可能性があるため、わが国では原則禁忌であり、実施時には患者への説明・同意とフェントラミンの準備が必須となる。(2)MRI副腎皮質腫瘍との鑑別診断、頭頸部病変、転移性病変の診断に有用である。(3)123I-MIBGシンチグラフィ疾患特異性が高いが偽陰性、偽陽性がある。PGLや転移巣の診断にも有用である。ヨウ化カリウムによる甲状腺ブロックを行う。(4)18F-FDG PET多発性病変や転移巣検索に有用である。病理学的診断(1)良・悪性を鑑別する病理組織マーカーは未確立である。組織所見とカテコールアミン分泌パターンを組み合わせたスコアリング(GAPP)が悪性度と予後判定に有用とされる。(2)コハク酸脱水素酵素サブユニットB(SDHB)の免疫染色の欠如はSDHx遺伝子変異の存在を示唆する。遺伝子解析(1)PPGLの30~40%が遺伝性で、19種類の原因遺伝子が報告されている2)。(2)若年発症(35歳未満)、PGL、多発性、両側性、悪性では生殖細胞系列の遺伝子変異が示唆される2)。(3)SDHB遺伝子変異は遠隔転移が多いため悪性度評価の指標となる。(4)全患者において遺伝子変異の頻度と臨床的意義、遺伝子解析の利益と不利益の説明を行うことが推奨されるが、必須ではなく、[1]遺伝カウンセリング、[2]患者の自由意思による判断、[3]質の担保された解析施設での実施が重要である。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)過剰カテコールアミンを阻害する薬物治療と手術による腫瘍摘除が治療原則である。1)薬物治療α1遮断薬が第1選択で、効果不十分な場合、Ca拮抗薬を併用する。頻脈・頻脈性不整脈ではβ遮断薬を併用するが、α1遮断薬に先行しての単独投与は禁忌である。循環血漿量減少に対して、術前に高食塩食あるいは生理食塩水点滴を行う。α1遮断薬でのコントロール不十分な場合はカテコールアミン合成阻害薬メチロシン(商品名:デムサー)を使用する。2)外科的治療小さな褐色細胞腫では腹腔鏡下副腎摘除術、悪性度が高い例では開腹手術を施行する。潜在的に悪性であることを考慮して、腫瘍被膜の損傷に注意が必要である。家族性PPGLや対側副腎摘除後の症例では副腎部分切除術を検討する。悪性の可能性があるため、全例で少なくとも術後10年間、悪性度が高いと判断される高リスク群では生涯にわたる経過観察が推奨される。3)悪性PPGL131I-MIBG内照射、CVD化学療法、骨転移に対する外照射などの集学的治療を行う。治癒切除が困難でも、原発巣切除術による予後改善が期待される。■ 診断と治療のアルゴリズム上述の日本内分泌学会診療ガイドラインの診療アルゴリズム(図)を参照されたい。PPGL高リスク群で積極的にスクリーニングを行う。外来にて血中カテコラミン、随時尿中メタネフリン分画などを測定、疑いが強ければ、蓄尿でのCA分画と画像診断を行う。内分泌異常と画像所見が合理的に一致していれば、典型例での診断は容易である。無症候性、カテコールアミン産生能が低い例、腫瘍の局在を確認できない場合の診断は困難で、内分泌検査の反復、異なるモダリティーの画像診断の組み合わせが必要である。単発性病変であれば、α1ブロッカーによる適切な事前治療後、腫瘍摘出術を行う。術後、長期にわたり定期的に経過観察を要する。悪性・転移性の場合は、ガイドラインに準拠して集学的な治療を行う。診断と治療は専門医療施設での実施が推奨される。4 今後の展望今後解決すべき課題は以下の通りである。PPGL疾患概念の変遷:分類、神経内分泌腫瘍との関連診療アルゴリズムの改変診断基準の精緻化機能検査:遊離メタネフリン分画の位置付け画像検査:オクトレオチドスキャンの位置付け、68Ga-DOTATEシンチの応用遺伝子検査の臨床的適応頸部パラガングリオーマの診断と治療内科的治療:デムサの適応と治療効果核医学治療:123I-MIBG、ルテチウムオキソドトレオチド(商品名:ルタテラ)の適応と実態5 主たる診療科初回受診診療科は一般的に代謝・内分泌科、循環器内科、泌尿器科、腎臓内科など多岐にわたるが、以下の場合には専門医療施設への紹介が望ましい。(1)PPGLの家族歴・既往歴のある患者(2)高血圧クリーゼ、治療抵抗性高血圧、発作性高血圧などの患者(3)副腎偶発腫瘍で基礎疾患が不明な場合(4)PPGLの局所再発や遠隔転移のある悪性PPGL(5)遺伝子解析の実施を考慮する場合6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難治性副腎疾患プロジェクト(医療従事者向けのまとまった情報)1)成瀬光栄、他. 厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業「褐色細胞腫の実態調査と診療指針の作成」研究班 平成22年度報告書.2010.2)Lenders JW、 et al. J Clin Endocrinol Metab. 2014;99:1915-1942.3)日本内分泌学会「悪性褐色細胞腫の実態調査と診療指針の作成」委員会(編).褐色細胞腫・パラガングリオーマ診療ガイドライン2018.診断と治療社;2018.公開履歴初回2023年1月5日

746.

HR+/HER2+転移乳がん1次治療、ET有無の転帰への影響

 ホルモン受容体陽性(HR+)/HER2陽性(ERBB2+)転移乳がん(MBC)患者における内分泌療法(ET)の位置付けは明確になっていない。フランス・Institut CurieのMarcela Carausu氏らは、HER2陽性患者におけるホルモン受容体の状態やETの1次治療での投与有無と転帰の関連を評価することを目的としてコホート研究を実施。JAMA Network Open誌2022年12月15日号に報告した。 本研究は、フランスの臨床疫学・医療経済(ESME)コホートの臨床データを解析したもので、2008~17年に治療を開始したMBC患者が含まれた。最終フォローアップ日は2020年6月18日。ETによる維持療法と転帰との関連を評価するために、対象患者にはHER2標的療法の第1選択薬に加え、化学療法(CT)±ETあるいはET単独療法が行われた。 Kaplan-Meier法による全生存期間(OS)と初回治療の無増悪生存期間(PFS)が主な評価項目とされ、予後因子を報告・調整するために、Cox比例ハザードモデルおよび傾向スコアが構築された。多変量解析では、転移・再発の年齢、転移・再発までの期間、転移部位数、転移の種類、PSが考慮された。 主な結果は以下のとおり。・HER2陽性のMBC女性患者4,145例のうち、2,696例がHR+(年齢中央値:58.0歳)、1,449例がHR-(56.0歳)の腫瘍を有していた。・HR+ vs.HR-患者のOS中央値は、55.9ヵ月(95%信頼区間[CI]:53.7~59.4)vs.42.0ヵ月(95%CI:38.8~45.2)、ハザード比(HR):1.40(95%CI:1.26~1.56、p<0.001)だった。・HR+ vs.HR-患者のPFS中央値は、12.2ヵ月(95%CI:11.5~12.9)vs.9.8ヵ月(95%CI:9.2~11.0)、HR:1.15(95%CI:1.06~1.26、p<0.001)だった。・多変量解析の結果、HER2標的療法の種類(トラスツズマブまたはトラスツズマブ+ペルツズマブ)にかかわらず、HER2標的療法+CT(±ET)を受けた患者1,520例とHER2標的療法+ETを受けた患者203例のOSまたはPFSに有意差は認められなかった。・傾向スコアマッチングの結果、HER2標的療法+CTを受けた患者をET療法の有無により時間依存のCoxモデルで比較すると、ETを受けた患者は同時期にまだETを受けていない患者よりも有意にPFSが良好だった(調整HR:0.70、95%CI:0.60~0.82、p<0.001)。なお、ETをCT開始の3ヵ月前または24ヵ月後に開始した場合には、関連は認められなかった。・さらに、CT開始後6ヵ月以上経過してからETを開始した場合にのみ、ETを受けた患者はETを受けなかった患者よりもOSが有意に良好だった(調整HR:0.47、95%CI:0.39~0.57、p<0.001). 著者らは、本研究が後ろ向きのコホート研究であることに触れたうえで、ETを含む1次治療レジメンが、HR+/HER2+MBC患者において有益である可能性が示唆されたとまとめている。

747.

CDK4/6阻害薬+ETで増悪したHR+/HER2-転移乳がん、パルボシクリブ継続投与は有効か(PACE)/SABCS2022

 CDK4/6阻害薬+内分泌療法(ET)による治療で増悪した、ホルモン受容体陽性/HER2陰性(HR+/HER2-)転移乳がん(MBC)患者において、CDK4/6阻害薬を継続投与すべきかは明らかでない。増悪後、フルベストラントへの変更を伴うパルボシクリブの継続が、フルベストラント単独への変更よりも転帰を改善するかどうかを前向きに評価し、パルボシクリブ・フルベストラント・アベルマブの3剤投与の活性を探る第II相PACE試験の結果を、米国・ダナ・ファーバーがん研究所のErica L. Mayer氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2022)で発表した。・対象:CDK4/6阻害薬+ETで増悪したHR+/HER2-MBC患者(MBCに対するETが≦2ライン/化学療法が0~1ライン、フルベストラント治療歴なし)・試験群フルベストラント+パルボシクリブ群(F+P群):フルベストラント 500mg+パルボシクリブ 125mg 111例フルベストラント+パルボシクリブ+アベルマブ群(F+P+A群):フルベストラント 500mg+パルボシクリブ 125mg+アベルマブ 10mg/kg 54例・対照群(F群):フルベストラント 500mg 55例・評価項目:[主要評価項目]F+P群とF群のRECIST評価による無増悪生存期間(PFS)の比較[副次評価項目]F+P+A群とF群のPFSの比較、奏効に関するエンドポイント、安全性、ESR1/PIK3CA/Rbなどのあらかじめ定義された分子的サブグループにおける転帰※ctDNA解析のための血液は、ベースライン時、腫瘍評価時(8週ごと)、進行時に採取された。 主な結果は以下のとおり。・2017年9月~2022年2月に米国の13施設から220例が組み入れられ、F群:F+P群:F+P+A群に1:2:1の割合で無作為に割り付けられた。2022年7月のデータロック時点での追跡期間中央値は23.6ヵ月。・ベースライン特性は3群でバランスがとれており、全体の年齢中央値は57(25~83)歳、閉経後が81%、de novo症例が40%、内臓転移例が60%だった。前治療で使用されたCDK4/6阻害薬はパルボシクリブが91%を占め、前治療(CDK4/6+ET)からの期間は>12ヵ月が76%だった。16%がMBCに対する化学療法歴を有していた。・PFS中央値は、F群4.8ヵ月に対しF+P群4.6ヵ月(ハザード比[HR]:1.11、90%信頼区間[CI]:0.74~1.66、p=0.62)で改善はみられなかった。・F群と比較したF+P+A群のPFS中央値は、8.1ヵ月でHR:0.75、90%CI:0.47~1.20、p=0.23だった。・PFSのサブグループ解析の結果、最初のCDK4/6阻害薬による治療から本試験の治療までの間に化学療法などの他治療を受けていた患者および内分泌療法抵抗性の患者でパルボシクリブ継続のベネフィットがある傾向がみられた。・ベースライン時の分子的サブグループ別にPFSをみると、ESR1およびPIK3CA変異を有する患者でパルボシクリブ継続のベネフィットがある傾向がみられた。・奏効率(ORR)はF群10.8% vs.F+P群13.7% vs.F+P+A群17.9%、臨床的ベネフィット率(CBR)は29.1% vs.32.4% vs.35.2%だった。・Grade3以上の有害事象について、F+P群でみられたのは好中球減少症(32.7%)、貧血(4.5%)、疲労(1.8%)など。F+P+A群でみられたのは好中球減少症(49.1%)、疲労(5.7%)などだった。・免疫関連有害事象の発生率は低く、予期せぬ有害事象は報告されていない。 ctDNAおよび血中循環腫瘍細胞(CTC)の連続サンプルの評価が継続中で、変異や耐性と治療効果の関連、および免疫療法に感受性のあるマーカーが探索される予定となっている。

748.

IO+Chemoへのベバシズマブ add onの成績(APPLE)/日本肺癌学会

 非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療はIO+化学療法にパラダイムシフトしている。ベバシズマブは化学療法の効果を増強することが報告されているだけでなく、VEGF阻害に伴う免疫抑制の解除による免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の効果増強も期待されている。 そのような中、NSCLCおいて、ICIであるアテゾリズマブ・化学療法併用へのベバシズマブの追加効果を評価するAPPLE試験が行われている。第63回 日本肺癌学会学術集会では、APPLE試験の初回解析結果を九州大学病院の白石 祥理氏が発表した。・ 対象:未治療のStageIII/IVの非扁平上皮NSCLC・試験薬群:アテゾリズマブ+化学療法(CBDCA+ペメトレキセド)+ベバシズマブ 4サイクル→アテゾリズマブ+化学療法+ベバシズマブ PDまで最長2年投与(APPB群)・対照薬群:アテゾリズマブ+化学療法(CBDCA+ペメトレキセド) 4サイクル→アテゾリズマブ+化学療法 PDまで最長2年投与(APP群)・評価項目: [主要評価項目]盲検下独立中央評価委員会(BICR)評価の無増悪生存期間(PFS) PFSのハザード比[HR]は0.727に設定された。 [副次評価項目]治験担当医評価のPFS、全生存期間(OS)、奏効率(RR)、奏効期間、有害事象 主な結果は以下のとおり。・ITT集団のPFS中央値はAPPB群9.6ヵ月、APP群7.7ヵ月で、HRは0.86(95%信頼区間[CI]:0.77~1.07、p=0.92)であり、当初の基準に及ばず、主要評価項目は達成されなかった。・OS中央値はAPPB群29.4月、APP群25.3ヵ月であった(HR:0.86、95%CI:0.65~1.13)。・RRはAPPB群63%、APP群51%であった。・サブグループを見ると、APPB群のPFSが良好であったドライバー遺伝子異常陽性、肝転移であった。・EGFR変異陽性例のPFS中央値はAPPB群9.6ヵ月、APP群5.7ヵ月で、HRは0.70(95%CI:0.46~1.06)であった。・治療関連有害事象はAPPB群2.4%、APP群0.5%に発現した。安全性プロファイルは従来と同様であった。

749.

CAR-T liso-cel、再発・難治性大細胞型B細胞リンパ腫の2次治療に承認/BMS

 ブリストル・マイヤーズ スクイブは、2022年12月20日、CD19を標的とするCAR-T細胞療法リソカブタゲン マラルユーセル(liso-cel、商品名:ブレヤンジ)について、自家造血幹細胞移植への適応の有無にかかわらず、再発・難治性の大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)の2次治療として、再生医療等製品製造販売承認事項一部変更承認を取得した。 今回の承認は、自家造血幹細胞移植適応患者を対象とした国際共同第III相試験(JCAR017-BCM-003試験)、自家造血幹細胞移植非適応患者を対象とした海外第II相試験(017006試験)および国際共同第II相試験(JCAR017-BCM-001試験)コホート2を含む、1次治療後の再発・難治性のアグレッシブB細胞非ホジキンリンパ腫患者を対象とした臨床試験の成績に基づいている。 1次治療後に再発・難治性の自家造血幹細胞移植適応のアグレッシブB細胞非ホジキンリンパ腫患者184例(日本人9例を含む)を対象に、liso-cel群と標準療法群(救援化学免疫療法および自家造血幹細胞移植併用大量化学療法)を無作為化比較したJCAR017-BCM-003試験の中間解析では、主要評価項目である無イベント生存期間(EFS)において、liso-cel群は標準療法群と比較して統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善(HR:0.349、95%信頼区間[CI]:0.229~0.530、p<0.0001)を示した。主な副次評価項目である完全奏効割合、無増悪生存期間(PFS)についても、標準療法群と比較してliso-cel群で統計学的に有意な改善が認められた。1次治療後の再発・難治性のLBCL患者で認められたliso-cel群の新たな安全性シグナルは認められなかった。

750.

乳がん領域、Practice changeにつながる重要な発表【Oncology主要トピックス2022 乳がん編】【Oncologyインタビュー】第43回

今年も乳がん領域では今後の標準治療を変え得る重要な研究結果が報告された。大きく分類すると1)HER2低発現と新規薬物療法、2)CDK4/6阻害薬のOS結果、3)CDK4/6阻害薬耐性後の治療戦略となる。その他の話題も少し加えてまとめてみたい。1)HER2低発現に対する新規薬物療法:DESTINY-Breast04試験・TROPiCS-02試験DESTINY-Breast04試験トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)はHER2 抗体薬物複合体(ADC)製剤であり、DESTINY-Breast01、02、03試験の結果から、HER2陽性で転移を有する乳がんの2次治療以降の標準治療である。ASCO2022のプレナリーセッションでHER2低発現に対するDESTINY-Breast04試験の結果が報告された。HER2低発現は今回新たに注目された新たな分類であり、IHC2+/ISH-またはIHC1+と定義され、全乳がんの約50%程度を占めると考えられる。T-DXdはBystander effectの結果、HER2低発現の腫瘍に対しても効果を示す。DESTINY-Breast04試験は1~2ラインの化学療法を受けたHER2低発現の転移を有する乳がん患者(N=557)を対象に、T-DXd群と治験医師選択治療(TPC)群(カペシタビン、エリブリン、ゲムシタビン、パクリタキセル、nab-パクリタキセルから選択)が比較された。主要評価項目は、ホルモン受容体陽性(HR)陽性患者における盲検下独立中央判定による無増悪生存期間(PFS)で、副次評価項目は全体集団におけるPFS、HR陽性患者および全体集団における全生存期間(OS)などだった。T-DXd群(N=373、HR陽性89%)、TPC群(N=184、HR陽性90%)で、脳転移は約5%であった。転移乳がんとして前治療化学療法レジメン中央値は1で、HR陽性乳がんでは内分泌療法は前治療で中央値2レジメン、CDK4/6阻害薬は約65%で使用されていた。主要評価項目であるHR陽性患者におけるPFS中央値は、T-DXd群10.1ヵ月、TPC群5.4ヵ月でT-DXd投与群で有意に延長していた。全体集団でもPFS中央値はT-DXd群、TPC群それぞれ9.9ヵ月vs. 5.1ヵ月でありT-DXd群で有意に延長していた。OSも同様にHR陽性(23.9ヵ月vs. 17.5ヵ月)、全体集団(23.4ヵ月vs. 16.8ヵ月)であり、T-DXd群で有意に延長していた。全体の約1割程度の患者であるがHR陰性集団(N=58:トリプルネガティブ乳がん)の解析も探索的解析として行われたがPFS(8.5ヵ月vs. 2.9ヵ月)、OS(18.2ヵ月vs. 8.3ヵ月)ともにT-DXd群で良好であった。奏効率に関してはHR陽性で52.6%vs. 16.3%、HR陰性で50.0%vs. 16.7%であった。またHER2発現(IHC1+vs IHC2+/ISH-)で奏効率に差はなかった。薬剤性肺障害(ILD)はT-DXd群の12.1%に認められたが、ほとんどがGrade2以下で10.0%、Grade5は0.8%(3/371)だった。これらの結果より新たな乳がんカテゴリーであるHER2低発現に対してT-DXdは標準治療となり、プレナリーセッション発表後は盛大なスタンディングオベーションが起こった。このようにADC製剤の登場により新たなサブタイプとしてHER2低発現が脚光を浴びることとなった。HER2低発現(とくにHER2 0と1+の境界について)の定義についても今後の検討課題である。TROPiCS-02試験Trop-2は腫瘍増殖に関連している分子で、乳がんではサブタイプによらず約80%に発現している。Sacituzumab Govitecan(SG)は抗Trop-2抗体にトポイソメラーゼI阻害剤をペイロードとしたTrop-2 ADCである。転移を有するトリプルネガティブ乳がんではASCENT試験の結果を受け米国ではすでに承認されている。転移を有するHR陽性乳がんを対象としてはTROPiCS-02試験が行われ、ASCO2022でPFS最終解析とESMO2022でOS第2回中間解析の結果が報告された。転移を有するHR陽性乳がん患者で内分泌療法、CDK4/6阻害薬、タキサン既治療、転移乳がんとして2~4ラインの化学療法を受けた543例を対象に、SG群(272人)とTPC群(271人:カペシタビン、ビノレルビン、ゲムシタビン、エリブリンから選択)が比較された。主要評価項目は、盲検下独立中央判定(BICR)によるPFSでSG群が5.5ヵ月、TPC群が4.0ヵ月でありSG群で有意に延長した。OS第2回中間解析の結果、中央値はSG群14.4ヵ月vs. TPC群11.2ヵ月で統計学的に有意な延長がみられた。奏効率はSG群21%、TPC群が14%であった。SG群で多くみられた有害事象は好中球減少、貧血、白血球減少、下痢、嘔気、脱毛などであった。これらの結果からSGは前治療としてCDK4/6阻害薬を含む内分泌療法、少なくとも2レジメン以上の化学療法などを濃厚に受けたHR乳がんに対して臨床的に意味のある治療選択肢となり得ると思われる。対象としては上記のDESTINY Breast 04試験と重なる部分もあるが、TROPiCS-02試験の方がやや前治療が多く入っており、またHER2 0も含み一致はしていない。今後この標的分子の異なる両ADC製剤をどのように使い分け、どの順に使っていくのか、またその耐性機序についても解明が必要となる。画像を拡大する2)CDK4/6阻害薬のOS結果:PALOMA-2試験・MONARCH 3試験PALOMA-2試験PALOMA-2は、閉経後転移を有するHR陽性乳がんに対する1次治療としてCDK4/6阻害薬であるパルボシクリブとアロマターゼ阻害薬であるレトロゾール併用群(併用群:N=444)と、プラセボとレトロゾールの群(単独群N=222)にランダム化されたフェーズ第III相試験である。これまでにパルボシクリブ併用でPFSが有意に延長することが示されている。ASCO2022でPALOMA-2試験のOS結果が報告された。OS中央値は併用群53.9ヵ月 vs単独群51.2ヵ月、HR 0.956(95% CI:0.777~1.177)p=0.3378で有意差を認めなかった。OSサブグループ解析では、PS 1/2、無病生存期間(DFI)12ヵ月超、内分泌療法既治療、骨転移のみの患者で併用群が良好な傾向を示した。本邦未承認薬ribociclibのMONALEESA-2では、併用群のOSの有意な延長が既に示されており、PALOMA-2の結果とは大きく異なった。その違いについては1)CDK4/6阻害薬としての薬効の違い、2)後治療の影響、3)対象とする集団の違いなどが考えられる。1)についてはPFSに関してどのCDK4/6阻害薬もほぼ同様の結果が示されているが、生物学的活性、阻害作用を示す分子が異なるとの報告もある。2)の後治療が影響した可能性については増悪後のCDK4/6阻害薬の使用はMONALEESA-2では併用群で21.7%、単独群で34.4%とPALOMA-2より高かった。HR陽性乳がんでは増悪後の生存期間が長く、後治療がOS結果に影響を及ぼした可能性はあるが、今回のPALOMA-2の報告では詳細は不明で今後の報告を待つ必要がある。3)に関して、2つの試験は同じ1次治療の試験であるが、大きく異なっている。PALOMA-2では術後内分泌療法中または終了後1年以下での再発症例が22%含まれていたのに対し、MONALEESA-2では全員術後内分泌療法終了後1年超経過した症例が対象であった。この術後内分泌療法中または終了後1年以下の集団は内分泌療法感受性が低い集団であり、パルボシクリブは内分泌療法抵抗性に対しては効果が弱い可能性が示唆されているため、PALOMA-2でこの内分泌療法抵抗性の集団を一部含んだことにより、効果の差が薄まった可能性がある。今回の発表では、ほぼ同様の患者を対象とした第II相試験のPALOMA-1試験とPALOMA-2試験の統合解析でDFI 12ヵ月超でのOSサブグループ結果も示されたが、併用群64.0ヵ月、単独群44.6ヵ月であり、HR:0.736、 95%CI:0.780~1.120であり、MONALEESA-2のOSハザード比0.76に近似する値であった。しかしこれは統合解析のサブグループ解析であり、あくまで参考値の評価である。MONARCH 3試験本邦では別のCDK4/6阻害薬であるアベマシクリブも承認されているが、この薬剤の1次治療試験であるMONARCH 3の第2回OS中間解析結果がESMO2022で報告された。まだ中間解析であり、残念ながら統計学的有意差は示されなかったが、OS中央値は併用群で67.1ヵ月、単独郡で54.4ヵ月(HR:0.754、95%CI:0.584~0.974)であった。この結果は前述のMONALEESA-2とほぼ同様であり、来年解析予定のOS最終解析が非常に楽しみな結果であった。MONARCH 3はMONALEESA-2と同じく、術後内分泌療法終了後1年超経過した患者が対象であった。以上より、これまでPFSでは差を認めなかったCDK4/6阻害薬であるが、異なるOSの結果が得られたことは今後の処方に少なからず影響することが予想される。薬剤選択の際には効果のみならず、有害事象(骨髄抑制、下痢など)、患者の価値観などの情報を共有し、ともに薬剤選択をする(Shared decision making: SDM)が重要となる。画像を拡大する3)CDK4/6阻害薬耐性後の治療戦略:AKT阻害薬、経口SERD、CDK4/6阻害薬継続CDK4/6阻害薬増悪後の治療に関してこれまでエビデンスはなく、「乳癌診療ガイドライン2022年版」のFRQ10aでは、「一次内分泌療法として、アロマターゼ阻害薬とサイクリン依存性キナーゼ4/6阻害薬の併用療法を行った場合、閉経後ホルモン受容体陽性HER2陰性転移・再発乳がんの二次内分泌療法として何が推奨されるか?」に対して、二次内分泌療法として、・最適な治療法は確立しておらず、耐性機序を考慮した臨床試験が進行中である、との記載がある。主なものとしては1)CDK4/6阻害薬既治療例に対するPTEN/PI3K/AKT/mTOR経路、2)AIとCDK4/6阻害薬併用療法後のESR1変異、3)AIとCDK4/6阻害薬併用療法後のその他の機序、4)AIとCDK4/6阻害薬併用療法後のCDK4/6阻害薬の継続の治療開発が行われている。3)-1)CDK4/6阻害薬既治療例に対するPTEN/PI3K/AKT/mTOR経路阻害:AKT阻害薬capivasertib(CAPItello-291試験)今年のSABCSではこのうちAKT阻害薬capivasertibの第III相試験であるCAPItello-291試験の報告があった。閉経前/後のホルモン受容体陽性進行・再発乳がん患者を対象(AI投与中/後に再発・進行、転移再発に対する治療歴として2ライン以下の内分泌療法、1ライン以下の化学療法、CDK4/6阻害薬治療歴ありも許容)として、試験治療群capivasertib+フルベストラント、対照群プラセボ+フルベストラントが比較された。主要評価項目は全体集団およびAKT経路に変異(≧1のPIK3CA、AKT1、PTEN遺伝子変異)を有する患者におけるPFSであった。約69%でCDK4/6阻害薬が前治療として使用されていた。AKT経路に変異を有する患者は44%vs. 38%だった。全体集団におけるPFS中央値は、プラセボ群3.6ヵ月に対しcapivasertib群7.2ヵ月で有意に改善した。またAKT経路に変異を有する患者でもPFS中央値は、プラセボ群3.1ヵ月に対しcapivasertib群は7.3ヵ月で有意に改善した。capivasertibで多く報告されたGrade3以上以上の有害事象は、下痢(9.3% vs. 0.3%)、斑状丘疹(6.2%vs. 0%)、発疹(5.4%vs. 0.3%)、高血糖(2.3%vs. 0.3%)だった。治療中止につながる有害事象の発生は、13.0% vs. 2.3%であり、効果と有害事象のバランスは考慮しなければならないものの、CDK4/6阻害薬治療後の新たな治療選択肢として期待できる結果であった。3)-2) AIとCDK4/6阻害薬併用療法後のESR1変異:経口SERD (SERENA-2試験・EMERALD試験)これまで選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)は臀部筋肉注射のフルベストラントが標準治療として使用されているが、ESR変異に対して抗腫瘍効果を発揮することが期待される経口SERDが複数開発されている。このうちcamizestrantとelacestrantの報告があった。経口SERDであるcamizestrantの第II相SERENA-2試験の結果がSABCS2022で報告された。HR陽性の閉経後進行乳がん患者(1ライン以上の内分泌療法後の再発または進行で内分泌療法・化学療法は1ライン以下)を対象に試験群:camizestrant75mg(C75)群74例、camizestrant150mg(C150)群73例と対照群:フルベストラント(F)群73例が比較された。術後内分泌療法歴ありが66.7%、転移再発乳がんに対して化学療法ありが19.2%、内分泌療法ありが68.8%、CDK4/6阻害薬による治療歴ありは49.6%だった。ESR1変異ありが36.7%だった。主要評価項目のPFS中央値は、F群3.7ヵ月に対しC75群7.2ヵ月、C150群7.7ヵ月で、camizestrantの両用量群で有意に改善した。camizestrantのGrade3以上の有害事象は、血圧上昇、倦怠感・貧血・関節痛・ALT上昇・四肢痛・低ナトリウム血症であった。現在、SERENA-4およびSERENA-6の2つの第III相試験が進行中となっている。上記治験はいずれも日本からも参加している。もう1つ、経口SERDとしてelacestrantの第III相EMERALD試験のUpdate結果もSABCS2022で報告された。EMERALD試験は、HR陽性でCDK4/6阻害薬治療後に進行した男性および女性の閉経後乳がん患者(1~2ラインの内分泌療法歴[うち1ラインはCDK4/6阻害薬との併用]と1ライン以下の化学療法歴有)を対象としてelacestrantとフルベストラントが比較された初めての第III相試験であり、これまで主要評価項目であるPFSはelacestrant群で有意な延長が報告されていた。今回のSABCS2022では前治療におけるCDK4/6阻害薬の治療期間別の治療成績が報告された。CDK4/6阻害薬の投与期間を6ヵ月未満、6~12ヵ月、12~18ヵ月、18ヵ月以上と細かく分けてもelacestrant群でPFSは延長することが示された。elacestrantの主な有害事象は悪心、倦怠感、嘔吐、食欲不振、関節痛である。ESR1変異は転移再発治療としてCDK4/6阻害薬+AIを治療中に起こってくる耐性機序の1つであるが、新たに開発された経口SERDはその解決策として非常に有望である。長期の治療成績については今後の続報を待つ必要がある。3)-3) AIとCDK4/6阻害薬併用療法後のCDK4/6阻害薬の継続(MAINTAIN試験)今回初めて前向き試験であるMAINTAIN試験の結果が報告された。MAINTAIN試験はHR陽性転移乳がんに対してCDK4/6阻害薬と内分泌療法後に増悪した症例に対してフルベストラントまたはエキセメスタンとribociclibを併用投与する群(併用群)と、フルベストラントまたはエキセメスタンとプラセボを投与する群(プラセボ群)が比較された。初回CDK4/6阻害薬としてパルボシクリブが86%で使われておりribociclibは10%強であった。主要評価項目のPFS中央値は併用群5.29ヵ月、プラセボ群2.76ヵ月で、HR:0.57(95%CI:0.39~0.95)、p=0.006と有意に併用群のPFSが延長した。奏効率は併用群20%、プラセボ群11%、臨床的有用率は併用群43%、プラセボ群25%でどちらも併用群で良好な結果であった。ESR1変異有無別では非常に症例数の少ないサブグループ解析ではあるがESR1変異なしでは併用群が優れている傾向を示したが、ESR1変異ありでは両群間に差を認めなかった。本試験は小規模な第II相試験であり、標準治療をすぐに変えるものではないが、CDK4/6阻害薬増悪後の後治療として、併用するホルモン治療を変更することでCDK4/6阻害薬の効果を維持できる可能性が示唆された。妊娠希望のあるHR陽性乳がん患者の新たなエビデンスPOSITIVE試験若年乳がん患者にとって妊孕性温存は重要な問題であり、特にHR陽性においては長期に術後補助内分泌療法が必要なため、内分泌療法を一時中断した場合のアウトカムが待望されていた。今回、SABCSにて内分泌療法を2年間中断した場合の乳がん再発の観点から見た安全性について、前向き単群試験のPOSITIVE試験の結果が報告された。対象は術後補助内分泌療法を18~30ヵ月間受けたStage I~IIIのHR陽性乳がん患者で、妊娠を希望し内分泌療法を中断する42歳以下の閉経前女性。内分泌療法を、wash out期間(3ヵ月)を含み、妊娠企図、妊娠、出産、授乳で2年間中断し、再開後5~10年追跡された。主要評価項目は乳がん無発症期間(BCFI)、副次評価項目は妊娠および出生児のアウトカムなどであった。2014年12月~2019年12月に518例が登録され、登録時の年齢中央値は37歳、75%が出産歴がなく、94%がStage I/IIであった。内分泌療法はタモキシフェン単独が最も多く(42%)、次いでタモキシフェン+卵巣機能抑制(36%)で、62%が術前もしくは術後化学療法を受けていた。追跡期間中央値41ヵ月においてBCFIイベントが44例に発生し、3年間累積発生率は8.9%だった。これはSOFT/TEXT試験(Breast. 2020)の対照コホートで算出した9.2%と同様だった。妊娠アウトカムを評価した497例中368例(74%)が1回以上妊娠し、317例(64%)が1回以上出産し、365児が誕生した。その後の内分泌療法は、競合リスク分析によると76%が再開し、8%は再開前に再発/死亡し、15%は再開していなかった。この結果はHR陽性乳がんとしてはフォローアップがまだ短いものの、妊娠を希望する若い乳がん患者が安全に内分泌療法を中断し、出産可能であることを示した重要な結果である。

751.

ニボルマブのNSCLCネオアジュバント、日本人でも有効(CheckMate 816)/日本肺癌学会

 ニボルマブの非小細胞肺がん(NSCLC)に対する術前補助療法(ネオアジュバント)は、日本人でもグローバルと同様の良好な結果を示した。 この結果はニボルマブのNSCLCネオアジュバントの第III相試験CheckMate 816の日本人サブセットの解析によるもので、第63回日本肺癌学会学術集会で近畿大学の光冨 徹哉氏が発表した。・対象:StageIB~IIIAの切除可能なNSCLC(ECOGPS≦1)・試験薬群:ニボルマブ+プラチナダブレット化学療法 3週ごと3サイクル→手術・対照薬群:プラチナダブレット化学療法 3週ごと3サイクル→手術 根治手術は治療から6週間以内に行われた・評価項目:[主要評価項目]盲検化独立委員会評価の病理学的完全奏効(pCR)および無イベント生存率(EFS)[探索的評価項目]手術実施状況、手術関連有害事象 CheckMate 816試験のグローバルでのEFSハザード比(HR)は0.63(95%信頼区間[CI]:0.43~0.91、p=0.005)、病理学的完全奏効(pCR)率は24.0%(対化学療法のOR:13.94、99%CI:13.49〜55.75)であった。 主な結果は以下のとおり。・日本人はニボルマブ+化学療法群33例、化学療法群25例に無作為に割り付けられた。・上記の中で、手術を受けられた患者はニボルマブ+化学療法群では31例(94%)、化学療法群では29例(83%)と、ニボルマブ+化学療法群で多い傾向だった。・EFS中央値はニボルマブ+化学療法群30.6ヵ月、化学療法群19.6ヵ月で、HRは0.60(95%CI:0.30〜1.24)と、グローバルと同程度であった。2年EFS率は64%と44%であった。・pCR率はニボルマブ+化学療法群30.5%、化学療法群5.7%であった(OR:14.01、95%CI:1.73〜113.22)・Grade3/4の有害事象はニボルマブ+化学療法群62%、化学療法群46%であった。グローバルでのニボルマブ+化学療法群の発現率は41%であり、日本人集団のほうが多い傾向が見られた。日本人の治療関連死は両群ともみられなかった。 光冨氏は、ニボルマブ+化学療法のNSCLCに対するネオアジュバントは、日本人においても有効性を示し、手術の施行も妨なかった。これらの結果はニボルマブ+化学療法のネオアジュバントが日本人NSCLCにおいても治療選択肢になることを支持するものと結論付けた。

752.

2022年、がん専門医に読まれた記事は?Doctors’Picksランキング

 ケアネットが運営する、オンコロジーを中心とした医療情報キュレーションサイト「Doctors'Picks」は、2022年を通して、がん専門医によく読まれた記事ランキングを発表した。1位は新型コロナに関する話題だったが、その他は肺がん分野の話題が多数ランク入りしたほか、がん横断的なトピックスである新たな免疫療法の開発に関する話題(4位)や、米国臨床腫瘍学会(ASCO2022)でプレナリーセッションに登壇した国立がんセンター東病院 消化管内科長・吉野 孝之氏の演題(6位)も大きな注目を集めた。【1位】3回目接種を受けた医療従事者の新型コロナ感染率は?(1/11)/JAMA 2022年1月10日にJAMA誌に掲載された、イスラエルの医療従事者におけるSARS-CoV-2感染の発生率とBNT162b2ワクチンの3回目接種との関連についての研究。ブースター接種から約1ヵ月間におけるSARS-CoV-2感染のハザード比は、2回接種者と比較して0.07(95%CI:0.02~0.20)と有意に低下することが示された。【2位】PD-L1高発現の1次治療、ICIにChemoを上乗せしてもOSの延長なし?(3/24)/Annals of Oncology PD-L1高発現の非扁平上皮非小細胞肺がん(Nsq-NSCLC)の1次治療において、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)に化学療法を上乗せする効果を見た試験。結果として上乗せ効果は認められなかったという。【3位】小細胞肺がん、アテゾリズマブ+化学療法+tiragolumabの成績/SKYSCRAPER-02(5/28)/ASCO ASCO2022で発表された、進展型小細胞肺がんの標準療法の1つであるアテゾリズマブ+カルボプラチン/エトポシドの併用療法に、抗TIGIT抗体tiragolumab追加併用の有効性を見たSKYSCRAPER-02試験。主要評価項目である全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)の延長は示されなかったという。【4位】PD-1阻害薬を超える!?新たな免疫療法PD1-IL2v開発の基礎(10/4)/nature PD-1を発現しているT細胞特異的に、IL-2R(βとγ)アゴニスト作用を持つ新たな免疫療法として、PD1-IL2vという薬剤が開発されたという報告。PD-1治療抵抗性のメラノーマに対して、PD-1阻害薬と比較しても圧倒的な効果を発揮したという、その作用機序を解説。【5位】おーちゃん先生のASCO2022 肺癌領域・オーラルセッションの予習 9000番台(5/30)/Doctors'Picks ASCO2022で発表される数千の演題の中から注目すべきものをエキスパート医師が事前にピックアップして紹介する恒例企画。肺がん分野は山口 央氏(埼玉医科大学国際医療センター)がオーラルセッションを全解説した。 6~10位は以下のとおり。【6位】国立がんセンター東病院・吉野 孝之氏がプレナリーセッション登壇(6/2)/ASCO【7位】進行NSCLC、PD-1/L1阻害薬PD後のペムブロリズマブ継続の意義(2/7)/Clinical Cancer Research【8位】転移のある大腸がん、原発巣部位とゲノム異常の解析結果(5/9)/Target Oncol【9位】EGFR陽性NSCLCに対するオシメルチニブ/アファチニブ交替療法の有効性(4/13)/Lung Cancer【10位】ctDNAの臨床応用に関するESMOの推奨事項(7/14)/ESMO

753.

2022年の肺がん薬物療法の進歩を振り返る!【Oncology主要トピックス2022 肺がん編】【肺がんインタビュー】 第90回

1.ソトラシブの承認(CodeBreaK 100試験とCodeBreaK 200試験)KRAS遺伝子変異陽性は、EGFR遺伝子変異に次いで本邦では多い遺伝子変異である。このKRAS遺伝子変異のうち、KRAS G12C遺伝子変異陽性を対象としたソトラシブが2次療法以降での使用で日常臨床に導入された。ソトラシブの重要な試験としては、KRAS G12C遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん(126例)を対象としたPhase II試験(CodeBreaK 100試験:Skoulidis F, et al. N Engl J Med. 2021;384:2371-2381.)において、奏効率37.1%、無増悪生存期間(PFS)中央値6.8ヵ月、全生存期間(OS)中央値12.5ヵ月であり、毒性も下痢・悪心・倦怠感・肝障害を認めるものの比較的軽度であった。また、ソトラシブとドセタキセルを比較したPhase III試験(CodeBreaK 200試験:Johnson ML, et al. ESMO 2022.)も報告され、PFS中央値はソトラシブ群が5.6ヵ月、ドセタキセル群が4.5ヵ月で、ハザード比(HR)は0.66(95%信頼区間[CI]:0.51~0.86)であった。奏効率はソトラシブ群が28.1%、ドセタキセル群が13.2%でp<0.001とソトラシブ群が有意に高かった。また、OS中央値はソトラシブ群が10.6ヵ月、ドセタキセル群が11.3ヵ月でHRは1.01(95%CI:0.77~1.33)で有意差は認めなかった(クロスオーバー率26.4%)。2.術前化学療法:ニボルマブ・プラチナ併用療法(CheckMate-816試験)本年度のトピックは周術期治療が中心であったと思われるが、切除可能非小細胞肺がん(腫瘍径≧4cmまたはリンパ節転移陽性)に対するニボルマブ・プラチナ併用療法(3週間ごとに3サイクル)のネオアジュバント療法については、CheckMate-816試験(Forde PM, et al. N Engl J Med. 2022;386:1973-1985.)が報告されている。この試験は、ニボルマブ・プラチナ併用療法とプラチナ併用療法の術前化学療法を比較するPhase III試験で行われ、中間解析におけるイベントフリー生存期間(EFS)中央値は、ニボルマブ・プラチナ併用療法群で31.6ヵ月、プラチナ併用療法群では20.8ヵ月で、ニボルマブ・プラチナ併用療法群で有意に改善した(HR:0.63、97.38%CI:0.43〜0.91、p=0.005)。また、病理学的complete response(pCR)はニボルマブ・プラチナ併用療法群の24%に対し、プラチナ併用療法群は2.2%であった(p<0.0001)。OSのHRは0.57(99.67%CI:0.3〜1.07)とニボルマブ・プラチナ併用療法群で良好だが統計学的有意差は示しておらず、長期フォローアップの結果が待たれるところである。3.術後化学療法:アテゾリズマブ(IMPower010試験)完全切除されたIB-IIIA期(TMS分類第7版)の非小細胞肺がん患者を対象とし、プラチナ併用療法による術後化学療法終了後のアテゾリズマブ療法(3週間ごと、1年投与)が日常臨床に導入された。術後化学療法アテゾリズマブの重要な試験として、完全切除されたIB-IIIA期(TMS分類第7版)の非小細胞肺がん患者を対象とし、アテゾリズマブを支持療法と比較したPhase III試験(IMPower010試験:Felip E, et al. Lancet. 2021;398:1344-1357.)が報告された。その結果、PD-L1陽性のII-IIIA期(882例)における無再発生存期間(DFS)中央値は、アテゾリズマブ群で未到達、支持療法群で35.3ヵ月であり、HRは0.66(95%CI:0.50~0.88)と統計学的に有意に改善した。なお、DFSのHRは、PD-L1 50%以上では0.43(95%CI:0.27~0.68)と良好であったのに対して、PD-L1 1-49%では0.87(95%CI:0.6~1.26)であり、PD-L1の発現で効果が異なる傾向が示された。さらに、先日のWCLC 2022(Felip E, et al. WCLC 2022.)では、フォローアップ期間延長の結果が示され、36ヵ月時点での生存率はそれぞれ82.1%と78.9%であった(HR:0.71、95%CI:0.49~1.03)。4.術後化学療法:オシメルチニブ(ADAURA試験)完全切除されたIB-IIIA期(TMS分類第7版)に対するEGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん患者を対象とし、3年間のオシメルチニブ療法(1日80mg[1錠])が日常臨床に導入された。術後化学療法オシメルチニブの重要な試験として、完全切除されたIB-IIIA期(TMS分類第7版)に対するEGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん患者を対象とし、オシメルチニブをプラセボと比較したPhase III試験(ADAURA試験:Wu YL, et al. N Engl J Med. 2020;383:1711-1723.)(682例)が報告され、EGFR遺伝子変異陽性のII-IIIA期における24ヵ月時点での無再発生存率は、オシメルチニブ群で90%、プラセボ群で44%、HRは0.17(99.06%CI:0.11~0.26)と統計学的に有意に大きく改善した。なお、EGFR遺伝子変異陽性のIB-IIIA期における24ヵ月時点での無再発生存率は、オシメルチニブ群で89%、プラセボ群で52%であり、HRは0.20(99.12%CI:0.14~0.30)で、統計学的に有意に改善した。さらに、先日のESMO 2022(Tsuboi M, et al. ESMO 2022.)では、フォローアップ期間延長の結果が示され、Stage II/IIIAのDFS中央値は、オシメルチニブ群65.8ヵ月、プラセボ群21.9ヵ月で、HRは0.23(95%CI:0.18〜0.30)であった。また、Stage IB-IIIAのDFS中央値はオシメルチニブ群65.8ヵ月、プラセボ群28.1ヵ月で、HRは0.27(95%CI:0.21〜0.34)であった。5.外科の切除 肺葉切除vs.肺区域切除2cm以内の小細胞はいがんにおける肺区域切除と肺葉切除を比較したPhase III試験(JCOG0802/WJOG4607L: Saji H, et al. Lancet 2022:399:1607-1617.)が報告された。登録患者は、無作為割り付けの後、肺葉切除術(554例)または肺区域切除術(552例)(肺区域切除術群では、22例が肺葉切除に変更)が施行されている。5年全生存率は肺区域切除術群で94.3%、肺葉切除術群で91.1%であり、HRは0.663(95%CI:0.474~0.927、非劣性p<0.0001、優位性p=0.0082)と肺区域切除術群が統計学的に有意に良好であった。また、5年無再発生存率は肺区域切除術群で88.0%、肺葉切除術群で87.9%であり、HRは0.998(95%CI:0.753~1.323、p=0.9889)であった。局所再発率は肺区域切除術群で10.5%、肺葉切除術群で5.4%(p=0.0018)であり、肺区域切除術群で高いものの、術後呼吸機能低下については肺区域切除術群のほうが肺葉切除術群より有意に軽いことが報告され、条件がそろった場合の縮小手術の有用性が証明された。6.HER2陽性非小細胞肺がんのトラスツズマブ デルクステカン(ADC)トラスツズマブ デルクステカンは、抗体にトラスツズマブ、薬物がデルクステカンで構成されている。HER2陽性非小細胞肺がんにおけるトラスツズマブ デルクステカンの有効性と安全性を確認したPhase II試験(DESTINY-Lung01試験:Li BT, et al. N Engl J Med. 2022;386:241-251.)が報告された。非小細胞肺がんでは初となる免疫薬物複合体(ADC)の有効性を示した報告である。91例の患者が参加しており、奏効率55%(95%CI:44~65)で、病勢コントロール率は92%(95%CI:85~97)であった。また、治療奏効期間は9.3ヵ月(95%CI:5.7~14.7)、PFS中央値は8.2ヵ月(95%CI:6.0~11.9)、OS中央値は17.8ヵ月(95%CI:13.8~22.1)であった。主な毒性は血液毒性であったが、死亡例も含む肺障害も報告されている。今後、日常臨床への導入が進むと思われるが、毒性にも注意を払う必要があるといえる。7.ICI+Chemo、ICI+ICIの5年生存の発表PD-L1 50%以上のペムブロリズマブの5年生存率が31.9%と報告(Reck M, et al. J Clin Oncol. 2021;39:2339-2349.)され、ドライバー遺伝子変異陰性非小細胞肺がんでも長期生存の期待が高まってきている中、今年はESMO 2022において、扁平上皮がんのPhase III試験であるKEYNOTE-407試験の5年生存率(Nivello S, et al. ESMO2022.)と非扁平上皮がんのPhase III試験であるKEYNOTE-189試験の5年生存率(Garassino MC, et al. ESMO2022.)が報告された。5年生存率は、PD-L1の発現に関わらない全体集団において、KEYNOTE-407試験ではペムブロリズマブ・プラチナ併用療法群で18.4%、KEYNOTE-189試験ではペムブロリズマブ・プラチナ併用療法群で19.4%であった。さらにPD-L1 50%以上、PD-L1 1-49%、PD-L1陰性におけるペムブロリズマブ・プラチナ併用療法群の5年生存率は、KEYNOTE-407試験では、それぞれ23.3%、20.6%、10.7%であり、KEYNOTE-189試験では、それぞれ29.6%、19.8%、9.6%であった。プラチナ併用療法は短期の病勢増悪を防ぐという意味では重要であるが、長期生存への寄与という点では十分でないのかもしれない結果であった。また、同時期にニボルマブ+イピリムマブ療法の5年生存の結果も報告された(Brahmer JR, et al. J Clin Oncol. 2022 Oct 12. [Epub ahead of print])。同試験ではPD-L1陽性の5年生存率は24%であり、その中でもPD-L1 50%以上の5年生存率は32%、PD-L1 1-49%の5年生存率は16%であった。それに対して、PD-L1陰性の5年生存率は19%であった。長期生存の観点からは、ニボルマブ+イピリムマブ療法はPD-L1陰性では良好な生存率を示したのに対し、PD-L1陽性ではイピリムマブの上乗せ効果が限定的である可能性が示されており、イピリムマブの効果を予測するバイオマーカーの開発が待たれるところである。免疫チェックポイント阻害薬の日常臨床導入により、一般臨床においても、ドライバー遺伝子変異陰性非小細胞肺がんでも長期生存が期待できるようになりつつあることは、意義が大きいことである。

754.

血液がん、今年押さえておくべき論文&学会発表【Oncology主要トピックス2022 造血器腫瘍編】

2022年に発表、論文化された造血器腫瘍の重要トピックを大阪医療センター 柴山 浩彦氏が一挙に解説。今年の造血器腫瘍領域におけるプラクティスチェンジの要点がわかる。1)Polatuzumab vedotin in previously untreated diffuse large B-cell Lymphoma. (Tilly H, et al. N Engl J Med. 2022;386:351-363.)未治療のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対する標準治療は、2000年代初頭に抗CD20抗体薬のリツキシマブが登場して以降、CHOP療法と併用するR-CHOP療法が、約20年間、標準治療であった。これまで、さまざまな治療法がR-CHOPと比較されてきたがR-CHOPを凌駕する治療法はなかった。抗CD79b抗体にリンカーを介してMMAEを結合した抗体薬物複合体のポラツズマブ ベドチン(Pola)をオンコビンと入れ替えたPola-R-CHP療法を二重盲検法でR-CHOPと比較したPOLARIX試験において、主要評価項目のPFSについて有意にPola-R-CHP療法が優る結果が示された。本試験の結果を基に、日本でも未治療DLBCLに対し、Pola-R-CHP療法が保険適応となり、新たな標準治療となる可能性が示された。2)Overall survival with brentuximab vedotin in stage III or IV Hodgkin’s lymphoma.(Ansell SM, et al. N Engl J Med. 2022;387:310-320.)未治療の進行期ホジキンリンパ腫に対し、標準治療であったABVD療法と、抗CD30抗体にリンカーを介してMMAEを結合した抗体薬物複合体のブレンツキシマブ ベドチン(アドセトリス)をブレオマイシンと入れ替えたA-AVD療法を比較した試験(ECHELON-1試験)にて、主要評価項目のmodified PFSは有意にA-AVD療法が優り、その結果は、NEJM誌に報告された。この結果によって、日本では未治療ホジキンリンパ腫に対するA-AVD療法が保険適用で使用可能となっている。その後、ECHELON-1試験は6年間のフォローアップが実施され、全生存期間(OS)についても、有意にA-AVDを受けた患者群がABVDを受けた患者群よりも優れていることが示された。この結果によって、A-AVD療法は未治療の進行期ホジキンリンパ腫に対する真の標準治療とみなすことができると考えられた。3)Ibrutinib plus bendamustine and rituximab in untreated mantle-cell lymphoma.(Wang ML et al. N Engl J Med. 2022;386:2482-2494.)Efficacy and safety of ibrutinib combined with standard first-line treatment as substitute for autologous stem cell transplantation in younger patients with mantle cell lymphoma: results from randomized triangle trial by the European MCL network.(ASH 2022 #1:プレナリー演題)再発・難治のマントル細胞リンパ腫(MCL)に対し、BTK阻害薬のイブルチニブは、保険適用での単剤治療が認められている。自家移植併用大量化学療法の適応とならない高齢未治療MCLに対し、BR療法との併用の第III相試験(プラセボとの比較、SHINE試験)の結果が約7年のフォローアップののちに2022年のASCOにて発表され、NEJM誌にpublishされた。主要評価項目の無増悪生存期間(PFS)においてイブルチニブ併用群が有意に優れているという結果であった。同様に、自家移植の適応となる未治療MCLに対し、自家移植を行わずとも、イブルチニブをR-CHOP/R-DHAP療法に併用し、その後、イブルチニブの維持療法を行うことで、FFS、OSともに差がみられなかったという結果が2022年ASHにおいてプレナリー演題として報告された。以上の2試験の結果、未治療MCLに対してはイブルチニブ併用の化学療法ののち、イブルチニブを維持療法として継続する治療が新たな標準治療となることが示された(日本では、2022年12月10日時点で未治療MCLに対するイブルチニブは未承認)。4)Triplet therapy, transplantation, and maintenance until progression in myeloma.(Richardson PG, et al. N Engl J Med. 2022;387:132-147.)自家移植併用メルファラン大量化学療法(Auto)の適応となる未治療多発性骨髄腫患者においては、ボルテゾミブ、レナリドミド、デキサメサゾン併用療法(VRD療法)を3~4サイクル行い、自家末梢血幹細胞採取を行ったあと、Autoを行い、その後、レナリドミドやイキザゾミブによる維持療法を行うのが標準療法とされている。本試験(DETERMINATION試験)では、VRDを8サイクル行い、その後レナリドミドの維持療法を行う群と、3サイクル後にAutoを行い、その後2サイクルのVRDを追加したあとレナリドミドの維持療法を行う群にランダム化し、PFS、奏効率、OSを比較している。その結果、主要評価項目のPFSではAutoを行った群で有意に優れていたがCR以上の奏効率、OSには差を認めなかった。この試験の結果から、Up-frontのAuto治療は、全患者に画一的に行うより、患者ごとに決定することも許容されることが示された。5)Treatment of adults with Philadelphia chromosome-positive acute lymphoblastic Leukemia-from intensive chemotherapy combinations to chemotherapy-free regimens: A review.TKIが登場し、Ph+ALLの治療成績は格段に向上した。現在の未治療Ph+ALLの標準治療は、TKIと化学療法の併用治療を行い、血液学的寛解を得たのちに、適格症例においては同種移植を行うこととなっている。最近になって、TKI(ダサチニブやポナチニブ)とCD3XCD19二重抗体薬のブリナツモマブを併用したケモフリー治療によるPh+ALLに対する良好な治療成績が報告されている。本論文では、それらの臨床試験の結果をレビューしており、第1寛解期における同種移植の役割を疑問視している。今後、TKI+ブリナツモマブのケモフリーレジメンによる治療で、分子学的寛解が得られた場合は、従来の化学療法や同種移植は不要となる可能性が示唆されている。6)Second-line Tisagenlecleucel or standard care in aggressive B-cell lymphoma. (Bishop MR, et al. N Engl J Med. 2022;386:629-639.)Axicabtagene Ciloleucel as second-line therapy for large-B cell lymphoma.(Locke FL, et al. N Engl J Med. 2022; 386:640-654.)Lisocabtagene maraleucel versus standard of care with salvage chemotherapy followed by autologous stem cell transplantation as second-line treatment in patients with relapsed or refractory large B-cell lymphoma (TRANSFORM): results from an interim analysis of an open-label, randomised, phase 3 trial. (Kamdar M, et al. Lancet. 2022;399:2294-2308.)再発・難治性DLBCLに対し、現在、日本では3種類のCD19-CAR-T細胞治療(Tisa-cel、Axi-celLiso-cel)を保険適用で行うことができる。それぞれのCAR-T治療をDLBCLの標準的2次治療(自家移植併用大量化学療法:Auto)と比較する試験が実施され、その結果が発表された。対象となる患者背景に違いを認めたり、標準治療群で、実際に、Autoが実施できた患者の割合が異なったりしており、これらの試験を横並びに比較することはできないが、主要評価項目のEFS(Event-free survival)において、Axi-celとLiso-celは標準治療群よりも有意に優れていたが、Tisa-celは差がなかった。これらの試験結果より、一部の患者において、2次治療としてのCAR-T治療の有用性が認められることが明らかとなったが、CAR-T治療は高額であり、実施できる施設も限られていることから、どのような患者に2次治療としてCAR-T治療を行うべきか、今後の実臨床での症例の蓄積を待つ必要がある。7)Treatment outcomes after undetectable MRD with first-line ibrutinib (Ibr) plus venetoclax (Ven): Fixed duration treatment (placebo) versus continued Ibr with up to 5 years median follow-up in the CAPTIVATE study.(ASH 2022 #92)CLLの治療において、BTK阻害薬(イブルチニブやアカラブルチニブ)単剤治療が、抗CD20抗体と化学療法薬を組み合わせた免疫化学療法よりもPFSやOSが優れていることが示されている。ただし、BTK阻害薬単剤治療では、深い奏効が得られることは稀であり、長い期間治療を継続する必要がある。BTK阻害薬のイブルチニブとBCL-2阻害薬のベネトクラクスを併用することで、約1年間の固定期間の治療で、MRD陰性の深い奏効が得られ、MRD陰性が得られた症例では、継続治療が不要であることが、本年のASHにおいて、4~5年のフォローアップのデータとして示された。今後、とくに、若年のCLL患者に対しては、BTK阻害薬、BCL-2阻害薬、さらに抗CD20抗体薬を併用するケモフリーレジメンで、約1年程度の固定期間の治療を行い、MRD陰性を目指す治療法が標準治療となる可能性が示された。

755.

2022年のプラクティスチェンジ【Oncology主要トピックス2022 泌尿器がん編】【Oncologyインタビュー】第42回

2022年に発表、論文化された泌尿器がんの重要トピックを国立がん研究センター東病院 腫瘍内科 近藤千紘氏が一挙に解説。今年の泌尿器がんにおけるプラクティスチェンジの要点がわかる。2022年のプラクティスチェンジ進行腎がんにおける標準治療は、免疫チェックポイント阻害薬 (ICI) の併用療法およびICIと血管新生阻害チロシンキナーゼ阻害薬 (TKI) の併用療法が主流になっている。2022年2月に、4種類目のICI+TKI療法である、ペムブロリズマブ+レンバチニブが適応承認となり、日常診療で用いられるようになった。この試験結果で、これまでの標準治療であったスニチニブと比較を行ったICI+TKI療法はすべて主要評価項目を達成したことになり、プラクティスチェンジとなったと結論付けられる。【CLEAR試験:307/KEYNOTE-581試験】また、腎がん領域では初となる術後薬物療法のペムブロリズマブが8月24日に保険適応を取得した。腎がんの術後薬物療法の開発は、TKIやmTOR阻害薬でこれまで評価されてきた。これらの薬剤は長期投与に伴う有害事象が問題となり、減量、中止をやむなくされることもあり、主要評価項目の無再発生存割合 (DFS)の延長は達成できても全生存割合 (OS)の改善までは示されず、各国で適応を取得するまでには至らなかった。ペムブロリズマブは、ICIで術後薬物療法の意義を検証した初の第III相試験であったが、DFSの延長という主要評価項目の達成のみで、保険適応を取得した。TKI単独療法と異なり、有害事象が比較的軽度であったことや、対象となる患者選択に成功した試験の結果を反映していると考えられる。【KEYNOTE-564試験】尿路上皮がんにおいて、ICIによる術後薬物療法として初となるニボルマブの保険適応が3月28日に承認された。尿路上皮がんのICIは、進行再発の2次治療としてペムブロリズマブが、1次治療のプラチナ併用化学療法後の維持療法としてアベルマブがすでに標準治療となっており、今回の保険承認は、さらに前の段階である術後における再発抑制効果を示したという薬物療法の歴史的な進歩の結果といえる。【CheckMate 274試験】非筋層浸潤性膀胱がんの術前化学療法では、長らくMVAC療法が無治療に比べてOSを改善する治療のエビデンスがあるとされてきた。しかしながら、毒性の強さには問題があることから、進行再発症例にて用いられるゲムシタビン+シスプラチン (GC)療法を用いることもガイドライン上では勧められてきた。進行再発症例におけるエビデンスとして、dose-dense MVAC療法は、MVAC療法に比べて安全性が高まり、病理学的奏効(pCR)割合が増加する治療法として注目され、術前化学療法での役割を期待された。2022年3月にJournal of Clinical Oncologyに出版された、筋層非浸潤性膀胱がんにおける術前療法としてのdose-dense MVAC(dd-MVAC)療法とGC療法のランダム化比較第III相試験の結果は、術前化学療法を考えさせられる重要なエビデンスであった。【VESPER試験:GETUG/AFU V05試験】【CLEAR試験; 307/KEYNOTE-581試験】1)2)CLEAR試験は、進行淡明細胞腎細胞がん患者を対象にレンバチニブ+ペムブロリズマブ併用療法(Len+Pem)および、レンバチニブ+エベロリムス併用療法(Len+Eve)をスニチニブ単剤(Sun)と比較するランダム化比較第III相試験であり、1069例の対象症例が各群に1:1:1でランダム化割付された。主要評価項目は独立中央画像判定による無増悪生存期間(PFS)であり、2つの試験治療群のSunに対するハザード比(HR)は0.714と設定されていた。Len+Pemには90%の検出力および両側α=0.045を、Len+Eveには70%の検出力および両側α=0.0049で統計設定された。3群に割り付けられた患者背景に偏りはなく、Len+Pem群のIMDC予後因子分類ではFavorable/Intermediate/Poor riskに27.0/63.9/9.0%が含まれていた。PFS中央値は、Len+Pem群は23.9ヵ月、Len+Eve群は14.7ヵ月、Sun群は9.2ヵ月であり、Len+Pem群のSun群に対するHRは0.39(95%信頼区間[CI]:0.32~0.49、p<0.001)、Len+Eve群のSun群に対するHRは0.65(95%CI:0.53~0.80、p<0.001)であり、いずれも優越性が示された。Key Secondary endpointのOSにもαが配分されており、中間解析時点においてLen+Pem群でα=0.0227、Len+Eve群でα=0.0320が優越性の基準とされていた。観察期間中央値26.6ヵ月の時点のOS中央値は、Len+Pem群 到達せず、Len+Eve群 到達せず、Sun群 30.7ヵ月であり、Len+Pem群のSun群に対するHRは0.66 (95%CI:0.49~0.88、p<0.001)、Len+Eve群のSun群に対するHRは1.15(95% CI:0.88~1.50、p<0.30)であり、Len+Pem群のみ優越性が示された。客観的奏効割合(ORR)は、Len+Pem群で71.0%、Sun群で36.1%であり、奏効期間中央値はそれぞれ25.8ヵ月および14.6ヵ月であった。安全性において、Grade3以上の重篤な有害事象がLen+Pem群は82.4%、Sun群は71.8%であったが、プレドニゾロン換算で40mg以上のステロイド使用は15%と比較的少ない印象の結果となっている。【KEYNOTE-564試験】3)4)この試験は、腎がん術後で再発ハイリスクの定義にあてはまる症例を、ペムブロリズマブあるいはプラセボで1年間治療を行い、主要評価項目はDFS、HR:0.67を片側α=0.025、検出力95%で検証する統計設定であった。また1回目の中間解析において、α=0.0114を消費することとしていた。報告は、1回目の中間解析、観察期間中央値24.1ヵ月時点のものである。994人の患者が2群にランダムに割り付けられた。再発ハイリスクの定義は、T2で核異型度4あるいは肉腫様分化あり、T3以上、N1、転移巣切除後(M1 NED)であったが、実際のペムブロリズマブ群の患者背景はintermediate-to-highリスクのT2-3N0M0が86.1%、high riskのT4あるいはN1が8.1%、M1 NEDが5.8%であり、プラセボ群もほぼ同等の割合であった。DFSは両群ともに中央値に到達しなかったが、HR:0.68(95%CI:0.53~0.87、p=0.002)であり、ペムブロリズマブはプラセボと比較し再発のリスクを32%減少した。OSの結果はイベント数が少なく比較は困難であった。安全性に関し、重篤な有害事象はペムブロリズマブ群で32.4%、プラセボ群で17.7%とペムブロリズマブ群で多く認めたが、死亡はそれぞれ0.4%と0.2%と大きな差はなかった。なお、観察期間中央値30.1ヵ月時点のアップデートの結果が報告されたが、intermediate-to-highリスクのHRは0.68(95%CI:0.52~0.89)、highリスクのHRは0.60(95%CI:0.33~1.10)、M1 NEDのHRは0.28(95%CI:0.12~0.66)であり、いずれのリスクでも効果は十分ありそうだが、とくにM1 NEDにおいては治療の意義が大きいことが示唆される結果であった。【CheckMate 274試験】5)この試験は、筋層浸潤性尿路上皮がんの術後薬物療法として、ニボルマブとプラセボを比較したランダム化第III相試験であり、主要評価項目をDFSとし全体集団とPD-L1陽性(腫瘍のPD-L1発現;TPSで1%以上と定義)集団の両者に設定した。全体集団において、87%の検出力で両側α=0.025としHR:0.72、PD-L1陽性集団において、80%の検出力で両側α=0.025としHR:0.61を検証する統計設定となっていた。1回目の中間解析で全体集団ではα=0.01784、PD-L1陽性集団ではα=0.01282を消費することがあらかじめ決められていた。1回目の中間解析において、709例の患者がランダムに2群に割り付けられ、PD-L1陽性は282例であった。観察期間中央値は20.9ヵ月の時点であったが、全体集団のDFS中央値はニボルマブ群で20.8ヵ月、プラセボ群で10.8ヵ月であり、HR:0.70(95%CI:0.55~0.90)、p<0.001であった。またPD-L1陽性集団においては、HR:0.55(98.72%CI:0.35~0.85)、p<0.001と良好な結果を示した。なおOSの結果は現時点で報告はない。安全性においては、重篤な有害事象はニボルマブ群で42.7%、プラセボ群で36.8%であったが、新たなシグナルは認められなかった。本試験は、術後のニボルマブを検証した試験であったが、これまでの術後治療の試験にはない広い対象症例を含んでいた。シスプラチンに適格となる筋層浸潤膀胱がんでは術前化学療法(NAC)を行うことが標準であるため、このような集団では術後にypT2以上の残存病変がある場合に本試験に適格となった。一方シスプラチンに不適格となる筋層浸潤膀胱がんでは、NACのエビデンスはないため手術をまず行い、術後にカルボプラチンを含む化学療法を行うことを検討する。また上部尿路がんは術前の組織診断や病期診断が困難であるため、まず手術を選択することが多い。これらの手術先行症例においては、pT3以上であった場合にこの試験の対象となった。日常診療において、ニボルマブを必要な患者に届けるためには、術前からの治療計画を医療者だけでなく患者にも共有し、適切に治療を進めることが大切と思われる。【VESPER試験; GETUG/AFU V05試験】6)7)フランスで行われた周術期化学療法のランダム化比較第III相試験である。転移のない筋層浸潤性膀胱がんの患者をDose-dense MVAC療法(メトトレキサート30mg/m2 day1、ビンブラスチン3mg/m2 day2、ドキソルビシン30mg/m2 day2、シスプラチン70mg/m2 day2、G-CSF day3~9、2週ごと)6サイクルと、GC療法(ゲムシタビン1250mg/m2 day1、8、シスプラチン70mg/m2 day1、3週ごと)4サイクルの2群にランダムに割り付け、術前の症例は化学療法後に膀胱全摘術を行い、術後の症例は膀胱全摘後に化学療法を行った。主要評価項目は3年PFSであった。493例がランダム化され、PFS中央値はddMVAC群で64%、GC群で56%、HRは0.77(95%CI:0.57~1.02)、p=0.066であり、ネガティブな結果であった。副次評価項目であるpCR割合は、ddMVAC群で42%、GC群で36%(p=0.20)、OSはimmatureな段階ではあるが、ddMVAC群に良好な傾向(HR:0.74、95%CI:0.47~0.92)を認めていた。安全性では、重篤なものは両群同等であったが、ddMVAC群で多かったのは、貧血と無力症、消化器毒性であった。手術関連の合併症はGC群で20例、ddMVAC群で14例であった。NACかAdjuvantかを層別化因子に設定していたが、患者背景はAdjuvant症例においてリンパ節転移陽性がGC群73%、ddMVAC群60%、NAC症例ではcT4がGC群1.8%、ddMVAC群4.1%などと偏りがみられた。3年PFSにおける予後因子の多変量解析において、術前後の選択と化学療法の違いにinteractionがあったことから、Adjuvant症例とNAC症例は区別して検討することが望ましいと判明した。NAC症例においては、3年PFSはddMVAC群で66%、GC群で56%、HR:0.70(95%CI:0.51~0.96)、p=0.025であった。この結果を受けて米国National Comprehensive Cancer Network(NCCN)ガイドラインでは、ddMVAC療法をPreferred regimenに指定した。このレジメンを実際に適用する場合には、本試験に登録された患者背景から、63歳前後(最高でも68歳まで)であることも考慮して十分な副作用対策を講じる必要があると考える。参考1)Motzer R, Alekseev B, Rha SY, et al. Lenvatinib plus Pembrolizumab or Everolimus for Advanced Renal Cell Carcinoma. N Engl J Med 2021, 384:1289.2)Motzer R, Alekseev B, Rha SY, et al. Lenvatinib plus Pembrolizumab or Everolimus for Advanced Renal Cell Carcinoma. N Engl J Med 2021, 384:1289.3)Choueiri TK, Tomczak P, Park SH, et al. Adjuvant Pembrolizumab after Nephrectomy in Renal-Cell Carcinoma. N Engl J Med 2021, 385:683.4)Powles T, Tomczak P, Park SH, et al. Pembrolizumab versus placebo as post-nephrectomy adjuvant therapy for clear cell renal cell carcinoma (KEYNOTE-564): 30-month follow-up analysis of a multicentre, randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 3 trial. Lancet Oncol 2022,23:1133.5)Bajorin DF, Witjes JA, Gschwend JE, et al. Adjuvant Nivolumab versus Placebo in Muscle-Invasive Urothelial Carcinoma. N Engl J Med 2021, 384:2102.6)Pfister C, Gravis G, Fléchon A, et al. Dose-Dense Methotrexate, Vinblastine, Doxorubicin, and Cisplatin or Gemcitabine and Cisplatin as Perioperative Chemotherapy for Patients With Nonmetastatic Muscle-Invasive Bladder Cancer: Results of the GETUG-AFU V05 VESPER Trial. J Clin Oncol 2022, 40:2013.7)NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology, Bladder Cancer. Version 2.2022

756.

進行悪性黒色腫、TIL療法でPFSが延長/NEJM

 進行悪性黒色腫の治療において、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を用いた養子免疫細胞療法は、抗細胞傷害性Tリンパ球抗原-4(CTLA-4)抗体であるイピリムマブと比較して、無増悪生存期間(PFS)を有意に延長させ、病勢進行と死亡のリスクが半減したとの研究結果が、オランダがん研究所(NKI)のMaartje W. Rohaan氏らによって報告された。研究の成果は、NEJM誌2022年12月8日号に掲載された。欧州2施設の無作為化第III相試験 本研究は、進行悪性黒色腫の1次または2次治療におけるTILとイピリムマブの有用性の比較を目的とする非盲検無作為化第III相試験であり、2014年9月~2022年3月の期間に、2施設(NKI、デンマーク国立がん免疫療法センター[CCIT-DK])で参加者の登録が行われた(Dutch Cancer Societyなどの助成を受けた)。 対象は、年齢18~75歳、StageIIICまたはIVの切除不能または転移を有する悪性黒色腫の患者であった。被験者は、TILまたはイピリムマブ(3mg/kg[体重]、3週ごと、最大4回、静脈内)の投与を受ける群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 TIL群は、骨髄非破壊的リンパ球除去化学療法(シクロホスファミド+フルダラビン)を施行された後、5×109~2×1011個のTILを1回注入され、次いで高用量インターロイキン-2(60万IU/kg/回、8時間ごと、最大15回)の投与が行われた。 主要評価項目は、PFSであった。PFS、奏効割合が2倍以上に 168例が登録され、TIL群に84例、イピリムマブ群にも84例が割り付けられた。全体の年齢中央値は59歳(範囲26~77)、男性が100例(60%)であった。前治療歴のある患者は89%で、残りの11%は未治療だった。149例(89%)は、全身療法(術後抗PD-1療法が40例[24%]、抗PD-1療法による1次治療が105例[62%])を受けたのち病勢が進行した患者であった。追跡期間中央値は33.0ヵ月。 PFS中央値は、TIL群が7.2ヵ月(95%信頼区間[CI]:4.2~13.1)と、イピリムマブ群の3.1ヵ月(3.0~4.3)に比べ有意に延長した(病勢進行と死亡のハザード比[HR]:0.50、95%CI:0.35~0.72、p<0.001)。6ヵ月時のPFS率は、それぞれ52.7%(95%CI:42.9~64.7)および21.4%(14.2~32.2)であった。 客観的奏効の割合は、TIL群が49%(95%CI:38~60)、イピリムマブ群は21%(13~32)であった。このうち、完全奏効がそれぞれ20%および7%、部分奏効は29%および14%であった。 全生存期間(OS)中央値は、TIL群が25.8ヵ月(95%CI:18.2~未到達)、イピリムマブ群は18.9ヵ月(13.8~32.6)であった(死亡のHR:0.83、95%CI:0.54~1.27)。2年OS率は、それぞれ54.3%および44.1%だった。 Grade3以上の治療関連有害事象は、TIL群が全例、イピリムマブ群は57%で発現し、TIL群は主に化学療法関連の骨髄抑制であった。重篤な治療関連有害事象は、それぞれ15%および27%で認められた。TIL群では、前処置としてのリンパ球除去化学療法によるGrade 3以上の好中球数減少が全例で、インターロイキン-2関連の毛細血管漏出症候群(全Grade)が30%で発現した。 著者は、「本試験では、前治療歴のない集団、術後補助療法として抗PD-1療法を受けた集団、1次治療で抗PD-1療法を受けた集団において、無増悪生存期間中央値に大きな差はなかった。これは、TIL療法の1次治療としての可能性を示唆するが、治療法の選択では、患者や疾患の特性(脳転移、血清乳酸脱水素酵素の高値、全身状態不良)、潜在的な毒性などが重要な役割を担う」としている。

757.

capivasertib+フルベストラント、CDK4/6治療歴によらずAI耐性進行乳がんでPFS延長(CAPItello-291)/SABCS2022

 アロマターゼ阻害薬(AI)耐性のエスロトゲン受容体(ER)陽性/HER2陰性進行・再発(ABC)乳がん患者において、AKT阻害薬capivasertib+フルベストラントが、プラセボ+フルベストラントと比較して無増悪生存期間(PFS)を約2倍に延長した。日本を含むグローバル第III相CAPItello-291試験の結果を、英国・王立マーズデン病院のNicholas Turner氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2022)で発表した。なお、本療法については第II相FAKTION試験で閉経後女性患者において全生存期間(OS)とPFSを有意に改善したことが報告されているが、CDK4/6阻害薬治療歴のある患者は含まれていなかった。・対象:閉経前/後のER+/HER-の進行・再発乳がん患者(AI投与中/後に再発・進行、ABCに対する治療歴として≦2ラインの内分泌療法・≦1ラインの化学療法、CDK4/6阻害薬治療歴ありも可、SERD・mTOR阻害薬・PI3K阻害薬・AKT阻害薬の治療歴ありは不可、HbA1c<8.0%) ・試験群(Capi群):capivasertib 400mgを4日間投与3日間休薬で1日2回経口投与+フルベストラント500mg 355例・対照群(プラセボ群):プラセボ+フルベストラント 353例・評価項目:[主要評価項目]全体集団およびAKT経路に変異(≧1のPIK3CA、AKT1、PTEN遺伝子変異)を有する患者におけるPFS[主要副次評価項目]全体集団およびAKT経路に変異を有する患者におけるOS、奏効率(ORR)[層別化因子]肝転移の有無、CDK4/6阻害薬治療歴の有無、地域 主な結果は以下のとおり。・ベースライン特性は両群でバランスがとれており、年齢中央値はCapi群59歳vs.プラセボ群58歳、女性が両群とも約99%を占め、閉経後患者は81% vs.74%、アジア人が両群とも約27%、肝転移ありが44% vs.43%だった。・前治療歴は1ラインのABCに対する内分泌療法歴ありが81% vs.71%、CDK4/6阻害薬治療歴ありが両群とも約69%だった。また術前/術後化学療法歴ありが51% vs.48%だった。・AKT経路に変異を有する患者は44% vs.38%だった。・全体集団におけるPFS中央値は、プラセボ群3.6ヵ月に対しCapi群7.2ヵ月(ハザード比[HR]:0.60、95%信頼区間[CI]:0.51~0.71、両側p<0.001)となり、Capi群で有意に改善した。・AKT経路に変異を有する患者におけるPFS中央値は、プラセボ群3.1ヵ月に対しCapi群7.3ヵ月(HR:0.50、95%CI:0.38~0.65、両側p<0.001)となり、Capi群で有意に改善した。・サブグループ別にPFSをみると、肝転移の有無およびCDK4/6阻害薬治療歴の有無を問わず、Capi群で改善がみられた。・全体集団におけるORRはプラセボ群12.2%に対しCapi群22.9%(オッズ比[OR]:2.19、95%CI:1.42~3.36)だった。・AKT経路に変異を有する患者におけるORRはプラセボ群9.7%に対しCapi群28.8%(OR:3.93、95%CI:1.93~8.04)だった。・immatureなデータではあるが、全体集団におけるOSのHRは0.74(95%CI:0.56~0.98)、AKT経路に変異を有する患者におけるOSのHRは0.69(95%CI:0.45~1.05)だった。・Capi群で多く報告されたGrade3以上の有害事象は、下痢(9.3% vs.0.3%)、斑状丘疹(6.2% vs.0%)、発疹(5.4% vs.0.3%)、高血糖(2.3% vs.0.3%)だった。治療中止につながる有害事象の発生は、13.0% vs.2.3%だった。 Turner氏は「capivasertib+フルベストラント併用療法は、内分泌療法ベースのレジメンで治療し進行したホルモン受容体陽性進行・再発乳がん患者における将来の治療オプションになる可能性がある」と結論付けた。OSフォローアップは進行中である。

758.

妊娠希望で乳がん術後内分泌療法を一時中断した場合の再発リスク(POSITIVE)/SABCS2022

 HR陽性早期乳がんの若年女性において、妊娠を希望して術後補助内分泌療法を一時中断した場合のアウトカムを検討した前向き試験はない。今回、内分泌療法を2年間中断した場合の乳がん再発の観点から見た安全性について、前向き単群試験のPOSITIVE試験で検討した結果、短期的には再発リスクに影響がないことが示唆された。米国・Dana-Farber Cancer InstituteのAnn H. Partridge氏が、サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2022)で発表した。・対象:術後補助内分泌療法を18~30ヵ月間受けたStageI~IIIのHR陽性乳がん患者で、妊娠を希望し内分泌療法を中断する42歳以下の閉経前女性・方法:内分泌療法を、wash out期間(3ヵ月)を含み、妊娠企図、妊娠、出産、授乳で2年間中断し、再開後5~10年追跡・評価項目:[主要評価項目]乳がん無発症期間(BCFI)[副次評価項目]妊娠および出生児のアウトカムなど 主な結果は以下のとおり。・2014年12月~2019年12月に518例が登録された。登録時の年齢中央値は37歳(範囲:27~43歳)、75%が出産歴がなく、94%がStage I/IIであった。内分泌療法はタモキシフェン単独が最も多く(42%)、次いでタモキシフェン+卵巣機能抑制(36%)で、62%が術前もしくは術後化学療法を受けていた。・追跡期間中央値41ヵ月においてBCFIイベントが44例に発生し、3年間累積発生率は8.9%だった。これはSOFT/TEXT試験(Breast. 2020)の対照コホートで算出した9.2%と同様だった。・妊娠アウトカムを評価した497例中368例(74%)が1回以上妊娠し、317例(64%)が1回以上出産し、365児が誕生した。・その後の内分泌療法は、競合リスク分析によると76%が再開し、8%は再開前に再発/死亡し、15%は再開していなかった。 Partridge氏は「これらのデータは、若年の乳がん女性の治療とフォローアップに、患者中心の生殖医療を取り入れる必要があることを強調している」と述べた。なお、本試験は、内分泌療法の再開と乳がんのアウトカムをモニターするために、2029年までフォローアップ予定という。

759.

術前化療でリンパ節転移が陰性化した乳がんのALND省略後の再発、SLNBとTADの比較(OPBC-04/EUBREAST-06/OMA)/SABCS2022

 リンパ節転移陽性乳がんで術前化学療法により転移が陰性化した患者において、診断がセンチネルリンパ節生検(SLNB)単独または標的腋窩郭清(TAD)併用のいずれであっても、腋窩リンパ節郭清(ALND)省略後の早期腋窩再発が非常にまれであったことを、米国・Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのGiacomo Montagna氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2022)で発表した。再発率は、標的腋窩郭清併用でもセンチネルリンパ節生検単独より有意に低くはなかったという。 4つの前向き試験で、術前化学療法後にリンパ節転移陽性の患者においてセンチネルリンパ節生検の偽陰性率が10%を超えることが示されているが、これらの試験では全例が腋窩リンパ節郭清を実施しているため腋窩再発のデータはない。標的腋窩郭清により偽陰性率の低下が報告されているが、腋窩再発率の低下につながるかどうかは不明である。またこの設定で、腋窩病期診断のためにセンチネルリンパ節生検単独と標的腋窩郭清併用のいずれを用いるべきかコンセンサスは得られていない。今回Montagna氏らは、術前化学療法でリンパ節の病理学的完全奏効を達成し腋窩リンパ節郭清を省略した、リンパ節転移陽性乳がん患者の大規模なリアルワールド集団において、腋窩の局所浸潤再発率を評価し、さらにデュアルトレーサーマッピングによるセンチネルリンパ節生検もしくは標的腋窩郭清後の腋窩再発率を比較した。 本研究の対象は、T1-4かつN1-3(生検による)で、術前化学療法後にデュアルトレーサーマッピングによるセンチネルリンパ節生検もしくは標的腋窩郭清(センチネルリンパ節生検との併用、デュアルトレーサーマッピングの有無は問わない)による診断で病理学的にリンパ節転移陰性だった乳がん患者。腋窩再発、局所再発、あらゆる浸潤性再発(局所もしくは遠隔)の累積発生率を競合リスク分析で解析し、さらにセンチネルリンパ節生検と標的腋窩郭清の3年累積発生率をGray検定で比較した。 主な結果は以下のとおり。・2013年4月~2020年12月に適格となった1,144例(センチネルリンパ節生検666例、標的腋窩郭清478例)を評価した。年齢中央値は50歳、臨床的T2が57%、臨床的N1が95%、HER2陽性が54%であった。・術前化学療法レジメンはセンチネルリンパ節生検群と標的腋窩郭清群で違いが見られた。・センチネルリンパ節の摘出個数の中央値は、センチネルリンパ節生検群4個(IQR:3~5)、標的腋窩郭清群3個(四分位範囲[IQR]:2~4)だった(p<0.001)。リンパ節の平均摘出個数も同様に標的腋窩郭清群が少なかった。・リンパ節放射線治療実施は、センチネルリンパ節生検78%、標的腋窩郭清85%だった(p=0.005)。・腋窩再発率は、全体で3年時0.65%(95%信頼区間[CI]:0.29~1.3)、5年時1.0%(同:0.49~2.0)だった。3年腋窩再発率はセンチネルリンパ節生検(0.8%)と標的腋窩郭清(0.5%)で差がなかった(p=0.55)。・局所再発率は、全体で3年時1.5%(95%CI:0.83~2.4)、5年時2.7%(同:1.6~4.1)だった。3年局所再発率はセンチネルリンパ節生検(1.9%)と標的腋窩郭清(0.8%)で差がなかった(p=0.19)。・浸潤性再発率は、全体で3年時7.5%(95%CI:5.9~9.3)で、5年時10%(同:8.3~13)だった。3年浸潤性再発率はセンチネルリンパ節生検(7.3%)と標的腋窩郭清(7.3%)で差がなかった(p=0.60)。 Montagna氏は「これらの結果は、術前化学療法でリンパ節転移陰性となった患者でのリンパ節郭清省略を支持している」と結論した。

760.

HER2+進行乳がん2次治療でのT-DXd、OSがT-DM1に対し36%改善(DESTINY-Breast03)/SABCS2022

 トラスツズマブおよびタキサン系薬剤の前治療歴があり、HER2+の切除不能または転移を有する乳がん患者に対する、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)とトラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)を比較した第III相DESTINY-Breast03試験のアップデート解析において、T-DXd群では全生存期間(OS)が36%改善したことを、米国・University of California Los AngelesのSara A. Hurvitz氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2022)で発表した。なお、この結果はLancet誌オンライン版2022年12月6日号に同時掲載された。 これまで、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)でDESTINY-Breast03試験の中間解析結果が発表され、T-DXd群ではT-DM1群よりも主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)が有意に延長したことが示されていた。副次評価項目のOSは両群ともに未到達であったため、今回初めてOSに関する解析が行われた。・対象:トラスツズマブおよびタキサン系薬剤の前治療歴があり、HER2+(IHCスコア3+、またはIHCスコア2+かつISH+)の切除不能または転移を有する乳がん患者524例・試験群(T-DXd群):T-DXdを3週間間隔で5.4mg/kg投与 261例・対照群(T-DM1群):T-DM1を3週間間隔で3.6mg/kg投与 263例・評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央評価委員会(BICR)によるPFS[副次評価項目]OS、BICRおよび治験医師などの判定による奏効率(ORR)、BICRによる奏効期間(DOR)、安全性 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値は、T-DXd群で28.4ヵ月(0.0~46.9ヵ月)、T-DM1群で26.5ヵ月(0.0~45.0ヵ月)であった(データカットオフ:2022年7月25日)。・治療期間中央値は、T-DXd群で18.2ヵ月(0.7~44.0ヵ月)、T-DM1群で6.9ヵ月(0.7~39.3ヵ月)であった。・T-DXd群の年齢中央値は54.3歳、HR+が50.2%で、T-DM1群の年齢中央値は54.2歳、HR+が51.0%であった。両群ともにアジア系が約60%で、過去に中央値2ラインの化学療法歴を有していた。・両群ともにOSの中央値には達しておらず、T-DXd群の95%信頼区間(CI)は40.5~NE、T-DM1群の95%CIは34.0~NE(ヵ月)であった。・OSのハザード比(HR)は0.64(95%CI:0.47~0.87、p=0.0037)で、事前に規定されていたp値(0.013)を下回っていた。・12ヵ月時点のOS率は、T-DXd群94.1%(95%CI:90.4~96.4)vs. T-DM1群86.0%(81.1~89.8)、24ヵ月時点は77.4%(71.7~82.1)vs. 69.9%(63.7~75.2)、36ヵ月時点は69.3%(62.5~75.1)vs. 55.4%(47.4~62.8)であった。・BICRによるPFS中央値は、T-DXd群28.8ヵ月vs. T-DM1群6.8ヵ月(HR:0.33、95%CI:0.26~0.43、p<0.000001)であった。・BICRによるORRは、T-DXd群で78.5%(CRは21.1%)、T-DM1群で35.0%(CRは9.5%)であった。・クリニカルベネフィット率は、T-DXd群で89.3%、T-DM1群で46.4%であった。・DOR中央値は、T-DXd群で36.6ヵ月、T-DM1群で23.8ヵ月であった。・治験医師などの判定によるPFS2中央値は、T-DXd群で40.5ヵ月、T-DM1群で25.7ヵ月であった。・Grade3以上の治療関連有害事象は、T-DXd群で56.4%、T-DM1群で51.7%であった。・外部判定委員会の判定による薬剤関連の間質性肺疾患は、T-DXd群で15.2%(Grade1:4.3%、Grade2:10.1%、Grade3:0.8%)、T-DM1で3.1%(Grade1:1.5%、Grade2:1.1%、Grade3:0.4%)であった。 Hurvitz氏は、「トラスツズマブおよびタキサン系薬剤の前治療歴があり、HER2+の切除不能または転移を有する乳がん患者において、T-DM1と比較して、T-DXdで治療を行った群では、臨床的かつ統計学的に有意なOSおよびPFSの改善がみられた。また、長期に及ぶ治療において、安全性プロファイルは管理可能で忍容性も高かった」とまとめた。

検索結果 合計:2145件 表示位置:741 - 760