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免疫チェックポイント阻害薬、放射線治療の心毒性、どう回避する?【見落とさない!がんの心毒性】第11回

がん治療は大きく進歩しており、がんの生物学的特性が明らかになるにつれ、疾患の臓器特性を超えた臓器横断的治療が開発され承認されるようになりました。今回は前回の予告通り、臓器横断的治療における心毒性についてのアンケート結果をお示しいたします。ここでは、免疫チェックポイント阻害薬と放射線療法に焦点を当てます。さらに、がんゲノム医療の進歩により遺伝子変異の解析が進み、それに伴い開発されたTRK阻害薬(NTRK(neurotrophic receptor tyrosine kinase)融合遺伝子陽性固形がんに投与される)による心毒性や、同じ薬剤でも投与される臓器別に異なる副作用が発生するなど新たな問題が出現しているようです。これからのがん治療は、ゲノム関連も含めた病院全体を巻き込んだ臓器横断的な診療科の協力が必要となっています。免疫チェックポイント阻害薬における心毒性第9回、第10回でお届けしてきた読者アンケートからも見えてきたのは、多くの読者においてやはり免疫チェックポイント阻害薬(ICI)による心毒性の影響に関心があることでした。このICIに関する点については第5回「免疫チェックポイント阻害薬:“予後に影響大”の心筋炎を防ぐには?」(塩山 渉氏、筆者)で解説しました。ICIは臓器横断的に発症する悪性腫瘍に適応が拡大することで、がん治療に大きな変化をもたらしました。その一方で、全身に及ぶ免疫関連副作用(irAE)が大きな問題となっています。irAEに対応するためには、腫瘍科医のみならず、免疫専門医、内分泌内科医、神経内科医、循環器科医、さらには呼吸器内科医や皮膚科医など幅広い医療スタッフの参加が必要です。irAE症例によっては救急治療医の参加も必要ですね!がん免疫療法において、ICI療法の中心は血管新生阻害薬や放射線療法を併用する複合免疫療法へ移行しており、心毒性においてirAEに併用療法による副作用が加わりその管理がより複雑化しています。しかし複合免疫療法は、がん免疫における血管新生阻害因子の作用が解明したことから生み出されており、血管・がん・免疫に共通点があるところなどは腫瘍循環器医として非常に興味深く感じています。放射線関連心血管合併症(RACD:Radiation Associated Cardiovascular diseases)第7回では「進化する放射性治療に取り残されてる?new RTの心毒性対策とは」(志賀 太郎氏)について解説しました。免疫療法と同様に臓器横断的に用いられる放射線治療は、その有効性から使用頻度が急速に増加している反面、やはりRACDが大きな問題となりつつあります。とくに遅発性に出現することから、その病態や対応に関して多くの腫瘍科医や循環器科医に十分理解されているとは言えない病態でした。このような背景の元で2021年9月に開催された第4回日本腫瘍循環器学会学術集会で、このRACDに関するシンポジウムが日本心血管インターベンション治療学会との共催で開催され、とても好評でした。今後は、放射線治療医の先生方が主体となり日本放射線腫瘍学会でも日本腫瘍循環器学会との共催プログラムの開催が決定しています。課題としては、放射線治療後晩期障害に対するフォローアップ診療の構築が成されていない点でしょうか。学会間交流をきっかけに異業種間連携の拡がりを期待し、将来的には連携網の発達により実地医家への連携発展を期待します。また、実地医家の方との連携が深まる事で、放射線治療後晩期障害のすくい上げに繋がる「放射線治療後の遠隔期・長期的フォローアップ」の仕組み作りに結び付く事を期待します。循環器医(心血管インターベンション専門医)における放射線障害と放射線治療医の放射線障害の概念は微妙に異なっていたようです。さらに、がん治療において放射線療法は腫瘍科医ではなく放射線治療医が行うことから、両者の間にも微妙な隙間があったかもしれません。その一方で、小児・AYA世代がんサバイバーにおける放射線化学療法による晩期合併症は、心毒性のみならず内分泌毒性、神経毒性、そして二次発生がんなど多くの問題点を有しています。今後は、腫瘍循環器医は急性期・慢性期そして晩期心毒性などを通じて腫瘍科医、放射線治療科、そして小児科の間をつなぐ役割を果たすことが期待されています。今回のアンケート結果(前編、中編含む)でご紹介した内容以外にもたくさんのご意見をいただき誠にありがとうございました。紙面の関係から一部のご紹介となりました。がんと循環器における関係は、2017年の日本腫瘍循環器学会設立を機に、国や学会レベルでも学際領域の連携が進み、基礎・臨床・疫学研究への支援が加速しています。今回の企画により、今まで触れることのなかった多くの皆さまにおかれましてOnco-Cardiology(腫瘍循環器学)が身近なものになりましたら幸いです。第二部では、症例編として症例クイズ形式にて臨床で難渋した例など興味ある事柄について解説していく予定です。臨床の現場で毎日がん診療を行っている私どもにとって、総論だけでは語りつくせないたくさんの事柄やさまざまな問題点がございます。そして、同じく第一線で診療をなさっておられる読者の皆さまはさらに多くの疑問をお持ちなのではないでしょうか。読者の皆さまの声、リクエストは以下よりお待ちしております。講師紹介

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食道扁平上皮がんに対する1次治療における新たな抗PD-L1阻害薬sintilimabの有用性(解説:上村直実氏)

 切除不能進行・再発食道扁平上皮がんに対するファーストライン治療は、シスプラチンを中心とした白金製剤と5-FUないしはパクリタキセルの2剤併用化学療法であったが、最近、1次治療から化学療法に免疫チェックポイント阻害剤(抗PD-L1阻害薬)を加えたレジメンの有用性が次々と報告され、日常診療における治療方針が急激に変化している。すなわち、最近のランダム化比較試験の結果、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、camrelizumab、toripalimabと化学療法の併用群が化学療法単独群と比較して安全性に差を認めない一方、全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)が有意に延長することが示されている。今回は、すでに報告されている4剤と同様の試験デザインによって、5番目の抗PD-L1阻害薬であるsintilimabの切除不能食道扁平上皮がんに対する同様の有効性がBMJ誌に報告されている。 わが国の臨床現場でも食道学会ガイドラインに記載されるとともに、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)とペムブロリズマブ(同:キイトルーダ)が保険収載され、切除不能食道がんに対する1次治療における有用性が実際の診療において役に立つ体制が整備されつつあると思われる。ただ一方では、これら高価な抗PD-L1阻害薬によるOSの延長期間は3ないしは4ヵ月間であるが、コストパフォーマンスの観点からこの延命期間がコストに適合したものかどうか議論されていることも事実である。 最後に、筆者のコメントでは必ず述べているが、日本における食道がん診療は欧米と異なる保険診療体制の下「がんの早期発見」による死亡率低下に注力しており、内視鏡検査により小さな早期がんを発見し、内視鏡的切除により根治することが可能となっていることを強調したい。

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IDH1変異陽性AML、ivosidenib併用でEFS延長/NEJM

 イソクエン酸脱水素酵素1(IDH1)をコードする遺伝子に変異のある急性骨髄性白血病と新たに診断された患者の治療において、ivosidenibとアザシチジンの併用療法はプラセボとアザシチジン併用と比較して、無イベント生存期間(EFS)を有意に延長し、発熱性好中球減少症や感染症の発現頻度は低いものの好中球減少や出血は高いことが、スペイン・Hospital Universitari i Politecnic La FeのPau Montesinos氏らが実施した「AGILE試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2022年4月21日号で報告された。20ヵ国155施設の無作為化プラセボ対照第III相試験 研究グループは、IDH1変異陽性急性骨髄性白血病の治療における、アザシチジン治療へのivosidenib追加の安全性と有効性の評価を目的とする二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験を行い、2018年3月~2021年5月の期間に、20ヵ国155施設で参加者を登録した(Agios PharmaceuticalsとServier Pharmaceuticalsの助成を受けた)。 対象は、18歳以上、新規のIDH1変異陽性急性骨髄性白血病と診断され、強力な導入化学療法が適応とならず、Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)performance-statusスコア(0~4点、点数が高いほど機能障害度が高い)が0~2点の患者であった。 被験者は、ivosidenib(500mg、1日1回、経口投与)+アザシチジン(75mg/m2体表面積、28日サイクルで7日間、皮下または静脈内投与)、またはプラセボ+アザシチジンの投与を受ける群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントはEFSであり、無作為化の時点から、治療不成功(24週までに完全寛解が達成されない)、寛解後の再発、全死因死亡のいずれかまでの期間と定義された。完全寛解、客観的奏効、IDH1変異消失の割合も良好 146例が登録され、ivosidenib群に72例(年齢中央値76.0歳[範囲:58.0~84.0]、女性42%、二次性25%)、プラセボ群に74例(75.5歳[45.0~94.0]、49%、28%)が割り付けられた。 追跡期間中央値12.4ヵ月の時点におけるEFSは、ivosidenib群がプラセボ群に比べ有意に長かった(治療不成功、寛解後の再発、死亡のハザード比[HR]:0.33、95%信頼区間[CI]:0.16~0.69、p=0.002)。また、無イベント生存割合は、ivosidenib群が6ヵ月時40%、12ヵ月時37%で、プラセボ群はそれぞれ20%および12%と推定された。 追跡期間中央値15.1ヵ月時の全生存期間中央値は、ivosidenib群が24.0ヵ月と、プラセボ群の7.9ヵ月に比し有意に延長した(死亡のHR:0.44、95%CI:0.27~0.73、p=0.001)。 完全寛解の割合は、ivosidenib群が47%(95%CI:35~59)であり、プラセボ群の15%(8~25)よりも高率だった(オッズ比[OR]:4.8、95%CI:2.2~10.5、p<0.001)。また、完全寛解の期間中央値はそれぞれ未到達(95%CI:13.0~評価不能)および11.2ヵ月(95%CI:3.2~評価不能)、12ヵ月時の完全寛解割合は88%および36%、完全寛解までの期間中央値は4.3ヵ月(範囲:1.7~9.2)および3.8ヵ月(1.9~8.5)であった。 客観的奏効(完全寛解、血球数の回復を伴わない完全寛解、部分寛解、形態学的に白血病ではない状態)の割合は、ivosidenib群が62%(95%CI:50~74)と、プラセボ群の19%(95%CI:11~30)に比べ有意に高かった(OR:7.2、95%CI:3.3~15.4、p<0.001)。奏効期間中央値は、それぞれ22.1ヵ月(95%CI:13.0~評価不能)および9.2ヵ月(6.6~14.1)だった。 完全寛解または部分的な血球数の回復を伴う完全寛解の検体におけるIDH1変異消失の割合は、ivosidenib群が52%、プラセボ群は30%であり、骨髄単核細胞からのIDH1変異消失のデータがある患者におけるIDH1変異消失を伴う完全寛解の割合は、それぞれ33%および6%(p=0.009)であった。 全グレードの有害事象は、両群で貧血(ivosidenib群31%、プラセボ群29%)、発熱性好中球減少(28%、34%)、好中球減少(28%、16%)、血小板減少(28%、21%)、悪心(42%、38%)、嘔吐(41%、26%)の頻度が高く、出血イベント(41%、29%)と感染症(28%、49%)も高頻度に認められた。Grade3以上の有害事象では、貧血(25%、26%)、発熱性好中球減少(28%、34%)、好中球減少(27%、16%)、肺炎(23%、29%)、感染症(21%、30%)の頻度が高かった。全グレードの分化症候群は、14%および8%に認められた。 著者は、「ivosidenib+アザシチジン併用療法は、優れたIDH1変異消失割合とともに持続的で深い奏効をもたらし、健康関連QOLや輸血依存離脱も良好であったことから、変異型IDH1蛋白を標的とする治療の有用性が明らかとなった」とまとめ、「今後、ベネトクラクスをベースとする治療との比較や、これらのレジメンの併用を評価する試験が期待される」としている。

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進行食道扁平上皮がん1次治療、化療にsintilimab併用でOS延長/BMJ

 進行または転移のある食道扁平上皮がんの1次治療において、シスプラチン+パクリタキセル併用療法へのsintilimab上乗せは、プラセボと比較し全生存(OS)期間および無増悪生存(PFS)期間を有意に延長することが示された。中国・Peking University Cancer Hospital and InstituteのZhihao Lu氏らが多施設共同無作為化二重盲検第III相試験「ORIENT-15試験」の結果を報告した。進行または転移のある食道扁平上皮がんの1次治療は、これまで標準ガイドラインに従いプラチナ製剤を含む2剤併用化学療法に限られてきたが、一部の無作為化試験では、1次化学療法後に進行した食道扁平上皮がんに対して抗PD-1抗体単剤療法が有効であることが示されていた。BMJ誌2022年4月19日号掲載の報告。進行食道扁平上皮がん患者659例においてOSを評価 研究グループは、2018年12月14日~2021年4月9日の期間に、中国の66施設および中国外(フランス、スペイン、米国、オーストラリア)の13施設において、18歳以上の未治療進行または転移のある食道扁平上皮がん成人患者659例を、化学療法に加えてsintilimab(体重60kg未満は3mg/kg、体重60kg以上は200mg)またはプラセボを投与する群に、1対1の割合で無作為に割り付けた(sintilimab群327例、プラセボ群332例)。化学療法は、当初、シスプラチン75mg/m2+パクリタキセル175mg/m2の3週間ごと併用投与であったが、後に治験担当医師がシスプラチン+パクリタキセルまたはシスプラチン+5-FU(800mg/m2、1~5日目)のいずれかを選択できるよう修正された。 主要評価項目は、全患者およびPD-L1陽性(CPS≧10)患者におけるOSであった。 無作為化された659例中、616例(93%)がシスプラチン+パクリタキセル、43例(7%)がシスプラチン+5-FUの投与を受けた。sintilimab+化学療法群のOS期間、4ヵ月以上有意に延長 中間解析(データカットオフ日2021年4月9日)において、OS期間中央値は全患者でsintilimab群16.7ヵ月、プラセボ群12.5ヵ月(ハザード比[HR]:0.63、95%信頼区間[CI]:0.51~0.78、p<0.001)、PD-L1陽性患者でそれぞれ17.2ヵ月、13.6ヵ月(0.64、0.48~0.85、p=0.002)であり、いずれもsintilimab群で有意に延長した。 また、PFS期間中央値も、全患者でsintilimab群7.2ヵ月、プラセボ群5.7ヵ月(HR:0.56、95%CI:0.46~0.68、p<0.001)、PD-L1陽性患者でそれぞれ8.3ヵ月、6.4ヵ月(0.58、0.45~0.75、p<0.001)であり、いずれもsintilimab群で有意に延長した。 治療関連有害事象の発現率は、sintilimab群98%(321/327例)、プラセボ群98%(326/332例)、Grade3以上の治療関連有害事象の発現率はそれぞれ60%(196/327例)、55%(181/332例)であった。

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ニボルマブ+化学療法の非小細胞肺がん術前補助療法を申請/小野・BMS

 小野薬品工業は、2022年4月25日、ニボルマブ(製品名:オプジーボ)について、化学療法との併用療法による切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)の術前補助療法に対する効能又は効果に係る国内製造販売承認事項一部変更承認申請を行った。 今回の承認申請は、切除可能なNSCLC患者の術前補助療法として、ニボルマブと化学療法の併用療法を評価した多施設国際共同無作為化非盲検第III相試験であるCheckMate-816試験(ONO-4538-55)の結果に基づいている。 同試験において、ニボルマブと化学療法の併用療法の3回投与は、化学療法単独と比較して、本試験の主要評価項目である無イベント生存期間(EFS)および病理学的完全奏効(pCR)で統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示した。また、安全性プロファイルは、これまでにNSCLC患者を対象としたニボルマブおよび化学療法の各薬剤または併用療法の試験で報告されているものと一貫していた。

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乳がん術後化学療法後、長期QOLが悪化しやすい患者の特徴/JCO

 乳がん術後補助化学療法後のQOLの長期的経過は個人差が大きい。今回、フランス・Gustave RoussyのAntonio Di Meglio氏らが術後補助化学療法を受けた乳がん患者のQOLの長期的経過の特徴を調査し、関連する健康行動パターンを特定した結果、ほとんどの患者は経過が良好だったが、QOLが著しく悪化し、診断後4年間は治療前の値に回復しなかった集団が特定された。このグループでは、過体重、身体的不活動、喫煙がとくに多く、その他のリスク因子として、若年、併存疾患あり、低所得、内分泌療法ありが示唆された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2022年4月21日に掲載。 本研究の対象は、CANTO(CANcer TOxicity)試験において化学療法を受けているStageI〜IIIの乳がん患者。QOL(European Organization for Research and Treatment of Cancer Quality of Life Questionnaire-C30 Summary Score)の経過と各グループの患者との関連は、それぞれ、グループを基にした経過モデルと多変量多項ロジスティック回帰の反復推定によって調べた。 主な結果は以下のとおり。・QOLの経過によって、大変良好(51.7%)、良好(31.7%)、悪化(10.0%)、悪い(6.6%)の4グループが特定された(4,131例)。・QOLが悪化したグループは、ベースラインのQOL(平均:78.3/100、95%CI:76.2〜80.5)が良好で、1年目(平均:58.1/100、95%CI:56.4〜59.9)で著しく悪化し、診断後4年目(平均:61.1/100、95%CI:59.0~63.3)まで治療前の値に回復しなかった。・健康的な行動は、より良い経過のグループの患者と関連していた。診断時における肥満(痩せに対する調整オッズ比[OR]:1.51、95%信頼区間[CI]:1.28〜1.79、p<0.0001)および現在喫煙(非喫煙に対する調整OR:1.52、95%CI:1.27〜1.82、p<0.0001)はQOLが悪化したグループの患者と関連しており、4年目まで過体重で身体活動が不十分な患者が多く、化学療法中にもしばしば喫煙していたことも特徴としてみられた。・悪化したグループの患者に関連するその他の因子として、若年(1歳低下による調整OR:1.01、95%CI:1.01~1.02、p=0.043)、併存疾患あり(なしに対する調整OR:1.22、95%CI:1.06~1.40、p=0.005)、低所得(裕福な家計に対する調整OR:1.21、95%CI:1.07〜1.37、p=0.002)、内分泌療法あり(なしに対する調整OR:1.14、95%CI:1.01〜1.30、p=0.047)などがあった。

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NSCLCの術前補助療法、ニボルマブ追加でEFS延長(CheckMate-816)/NEJM

 切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)の術前補助療法において、PD-1免疫チェックポイント阻害薬ニボルマブと化学療法の併用療法は化学療法単独と比較して、無イベント生存期間が有意に延長し、病理学的完全奏効の割合は有意に高率であり、ニボルマブ追加による有害事象や手術の実行可能性の妨げとなる事象の増加は認められないことが、米国・ジョンズホプキンス大学KimmelがんセンターのPatrick M. Forde氏らが実施した「CheckMate-816試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2022年4月11日号で報告された。14ヵ国の無作為化第III相試験 本研究は、NSCLCの術前補助療法における、化学療法へのニボルマブ追加の有用性の評価を目的とする非盲検無作為化第III相試験であり、東アジアの4ヵ国(中国、日本、韓国、台湾)を含む世界14ヵ国の施設が参加し、2017年3月~2019年11月の期間に患者の登録が行われた(米国Bristol Myers Squibbの助成を受けた)。 対象は、Stage IB(腫瘍径≧4cm)~IIIAの切除可能NSCLC(American Joint Committee on Cancer[AJCC]第7版の病期判定基準に準拠)で、Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)パフォーマンスステータス(0~4点、点数が高いほど身体機能の障害度が高い)のスコアが0または1で、がんに対する治療歴のない成人患者であった。 被験者は、根治手術を受ける前に、ニボルマブ(360mg)+プラチナ製剤を含む2剤併用化学療法、またはプラチナ製剤を含む2剤併用化学療法のみの投与を、3週(1サイクル)ごとに3サイクル施行する群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。手術は、術前補助療法終了から6週間以内に行われ、術後補助療法は化学療法、放射線療法あるいはこれら双方を最大4サイクル実施してよいこととされた。 主要エンドポイントは、無イベント生存期間(病勢進行、再発、死亡までの期間)と病理学的完全奏効(切除肺とリンパ節に生存かつ増殖可能な腫瘍細胞が存在しない)とされた。根治手術施行率:83.2% vs.75.4% 358例が登録され、ニボルマブ併用群に179例(年齢中央値64歳、女性28.5%、アジア人47.5%)、化学療法単独群に179例(65歳、29.1%、51.4%)が割り付けられた。術前補助療法を完遂した患者の割合は、ニボルマブ併用群が93.8%、化学療法単独群は84.7%、術後の補助化学療法はそれぞれ11.9%および22.2%、後治療は21.2%および43.6%が受けた。 最も短い追跡期間が21ヵ月の時点で、無イベント生存期間中央値はニボルマブ併用群が31.6ヵ月(95%信頼区間[CI]:30.2~未到達)と、化学療法単独群の20.8ヵ月(95%CI:14.0~26.7)に比べ有意に長かった(ハザード比[HR]:0.63、97.38%CI:0.43~0.91、p=0.005)。1年無イベント生存率はそれぞれ76.1%および63.4%、2年無イベント生存率は63.8%および45.3%であった。 また、病理学的完全奏効の割合は、ニボルマブ併用群が24.0%(95%CI:18.0~31.0)であり、化学療法単独群の2.2%(0.6~5.6)よりも有意に高かった(オッズ比[OR]:13.94、99%CI:3.49~55.75、p<0.001)。 無イベント生存期間と病理学的完全奏効の結果は、ほとんどのサブグループが化学療法単独群よりもニボルマブ併用群で良好であった。 根治手術は、ニボルマブ併用群が83.2%、化学療法単独群は75.4%で行われた。R0切除(遺残腫瘍なし)は、根治手術例のそれぞれ83.2%および77.8%で達成された。 一方、事前に規定された1回目の中間解析では、両群とも全生存期間中央値には到達せず、統計学的有意性の判定基準(p<0.0033)は満たされなかった(HR:0.57、99.67%CI:0.30~1.07、p=0.008)。 Grade 3/4の治療関連有害事象は、ニボルマブ併用群が33.5%、化学療法単独群は36.9%で発現した。治療中止の原因となった全Gradeの治療関連有害事象は、それぞれ10.2%および9.7%で認められた。全体として免疫介在性有害事象の発生頻度は低く、多くがGrade1/2であり、ニボルマブ併用群で最も頻度が高かったのは皮疹(8.5%)だった。 手術関連有害事象(手術合併症)は、ニボルマブ併用群が41.6%(うちGrade3/4は11.4%)、化学療法単独群は46.7%(同14.8%)で認められた。Grade5の手術関連有害事象(発症後24時間以内に死亡)はニボルマブ併用群で2例(肺塞栓症、大動脈破裂)にみられたが、いずれも試験薬との関連はないと考えられた。 本試験の結果に基づき、米国では、ニボルマブとプラチナ製剤を含む2剤併用化学療法の併用が、切除可能(腫瘍径≧4cmまたはリンパ節転移陽性)NSCLCの成人患者の術前補助療法として承認された。

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日本人乳がん経験者、皮膚関連副作用で困っていること

 がん治療後の皮膚関連症状の多くは生命予後にあまり影響しないことから軽視されがちであり、患者自身も治療から長期間経った場合に医療関係者に相談してよいものか悩んでいるケースがある。しかしその実態は十分に調査されていない。身原皮ふ科・形成外科クリニックの身原 京美氏らは国内の乳がん経験者約370人に対してアンケート調査を実施。その結果をProgress in Medicine誌2022年3月号に報告した。乳がん生存者を対象に皮膚関連症状のアンケート調査を実施 本研究では、日本国内の9つの乳がん患者会を通じて20歳以上の女性の乳がん生存者を対象にアンケート調査を実施した。調査票は、1)回答時点における主要な皮膚関連症状の有無と、Numerical Rating Scale(NRS)を用いた0~10の11段階で困っている程度を評価、2)症状の低減が期待できる治療(一般薬、医薬部外品などを含む)に対する1ヵ月当たりの自己負担での支出意欲の確認、3)皮膚関連の国際的なQOL評価尺度であるSkindex-29を用い、回答時点の直近1週間における皮膚関連症状に起因する現状のQOLの評価から構成された。乳がん生存者の50%以上が乾燥、色素沈着、しびれ・感覚異常を訴えた 乳がん生存者を対象に皮膚関連症状のアンケート調査を実施した主な結果は以下のとおり。・369人の回答者の平均年齢は60.3歳で50代が最も多かった(33.9%)。・乳がんと診断されてからの経過年数は最短が5ヵ月、最長が35年0ヵ月(平均8年10カ月)と広く分布しており、全体の7割は10年以内であった。・乳がんの治療内容は、手術に関しては乳房温存手術が55.3%、乳房切除術が48.0%であった。放射線治療は62.1%が受けたと回答した.薬物療法に関しては、59.6%が化学療法、19.0%が分子標的薬による治療、78.0%がホルモン療法を受けていた。再発・転移について「ある」と回答したのは15.2%であった。・乳房およびその周辺での乳がん治療薬あるいは放射線治療による皮膚関連症状の有無については、63.1%が「副作用がある」と回答した。・皮膚症状として50%を超えたのは、カサカサ・乾燥(70.8%)、色素沈着(50.6%)、しびれ・感覚異常(50.6%)であった。・困っている程度は、NRSスコアが高い順に、むくみ(4.78)、しびれ・感覚異常(4.65)、つっぱる・かたい(4.78)であった。・脱毛や髪質の変化については58.3%が「ある」と回答し、困っている程度はNRSスコアが5.41と、今回確認した項目の中で最も高かった。・手や足の爪については、3割前後が変色や変形、爪が折れやすいなどの症状の持続を自覚しており、困っている程度はNRSスコアが高い順に、爪が折れやすい(4.53)、爪の変形(4.26)、爪の変色(3.98)であった。・症状軽減を目的とした治療費の支払い意思額は、「月額3,000円まで」が最も多かった(38.5%)。・皮膚関連症状の有無を治療内容別に比較したところ、乳房温存手術と乳房切除術の比較において、カサカサ・乾燥、かゆみ、汗が出ないの3症状は乳房温存手術で有意に多く認められ、しびれ・感覚異常は乳房切除術で有意に多く認められた。・放射線治療ありとなしの比較において、放射線治療ありで、カサカサ・乾燥、色素沈着、汗が出ないが有意に多く認められた.・化学療法ありとなしの比較において、化学療法ありで、むくみ、爪の変色、爪の変形、爪が折れやすい、脱毛や髪質の変化が有意に多く認められた.・ホルモン療法は、その有無で症状の頻度に有意な差を認めなかった.・乳がん診断からの経過年数と、それぞれの皮膚関連症状のために困っている程度(NRSスコア)や支出意欲との相関をみると、脱毛や髪質の変化のみで時間経過に伴う有意な低減がみられたが、これ以外の項目で有意差はなかった。 著者らは、個人差はあるものの、60%以上が何らかの皮膚関連症状を有しており、各皮膚関連症状の困りごとの程度や治療に対する支出意欲は、乳がんと診断されてからの期間による大きな変化はなく、乳がん経験者の多くは長期にわたり皮膚に関連する症状に悩み、負担を感じていることが示唆されたとしている。

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尿路上皮がんニボルマブのアジュバントに期待/小野・BMS

 ニボルマブに尿路上皮がんに対する術後補助療法の適応が追加された。なかでも、筋層浸潤性尿路上皮がん(MIUC)の術後補助療法には課題が残っており、ニボルマブの適応追加に期待が寄せられている。弘前大学 泌尿器科学講座の大山力氏は、小野薬品/ブリストル・マイヤーズ スクイブ共催プレスセミナーにて、MIUC治療のアンメット・ニーズとニボルマブ補助療法の位置付けについて紹介した。筋層浸潤性膀胱がん(MIBC)は手術+術前補助療法(NAC)で治療成績向上 尿路上皮がんの90%は膀胱がん、残りを腎盂がんと尿管がんが2対1で占める。進行度からみると、腫瘍が固有筋層におよぶMIUCは、尿路上皮がんの3割である。MIUCは拡散リスクが高く、急速に生命を脅かす1)。 MIUCの大部分を占める筋層浸潤性膀胱がん(MIBC)の標準治療は膀胱全摘である。膀胱全摘によりMIBCの5年生存率は約50%まで改善した。 そのあと50年にわたり大きな変化は見られなかったが、NACを加えると、治療成績は向上した。M-VAC療法※によるNACを評価した日本のJCOG0209試験の5年生存率は70%を超える2)。※M-VAC療法:メトトレキサート、ビンブラスチン、アドリアマイシン、シスプラチンの併用レジメン筋層浸潤性膀胱がん(MIBC)のNAC実施例では再発に有効な手段がない NACの導入でMIBCの再発は減った。しかし、NAC実施例(NAC+)の術後再発はNACを実施しなかった例(NAC−)よりも早期に起こる。さらに、NAC+例での再発は化学療法抵抗性であることが弘前大学の研究でも示されている。NAC+例が再発すると、現状では有効な手段がない状況であった。ニボルマブによる術後補助療法承認の意義 上記の臨床課題が残る中、ニボルマブのMIUCのへの術後補助療法の有用性を評価するCheckMate−274試験が行われた。CheckMate−274試験の対象は根治的切除術を受けたMIUC患者で、NAC実施例も含まれる。この試験でのニボルマブ群の無病生存期間(DFS)は20.76ヵ月で、10.84ヵ月のプラセボ群と比べ有意に再発までの期間を延長した([ハザード比]HR:0.70、p=0.0008)。PD-L1≦1%の症例ではHR0.55、とさらに良好な結果を示す(p=0.0005)。 MIUCの切除後再発例は予後不良であり治療手段がない。そのため、再発を抑えることが重要だ、と大山氏は述べる。ニボルマブの術後補助療法は、DFSを改善し再発を抑える有望な選択肢として期待される。(ケアネット 細田 雅之)1)NICE Guideline, No. 2 Bladder Cancer Diagnosis and Management2)Kitamura H,et al.Ann Oncol. 2014;25:1192-1198.

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根治手術を受けた肺がん患者さんは術後補助化学療法をどう捉えているか【肺がんインタビュー】 第79回

第79回 根治手術を受けた肺がん患者さんは術後補助化学療法をどう捉えているか出演:広島大学 腫瘍外科 岡田 守人氏非小細胞肺がん(NSCLC)の周術期治療のエビデンスが続々と発表されている。その一方で、手術後の患者さんが抱く不安や心情、術後補助化学療法に対する考え方は明らかではない。それらを把握するため100名を超える根治手術を受けた非小細胞肺がん患者さんへのアンケートが行われた。同アンケートの監修者である広島大学の岡田守人氏に、アンケートの結果とそこから得られた知見について聞いた。

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化学療法誘発性悪心・嘔吐(CINV)に対する新規NK-1受容体拮抗薬:CONSOLE試験【肺がんインタビュー】 第77回

第77回 化学療法誘発性悪心・嘔吐(CINV)に対する新規NK-1受容体拮抗薬:CONSOLE試験出演:神戸低侵襲がん医療センター 秦 明登氏化学療法誘発性悪心・嘔吐(CINV)に対する新規NK-1受容体拮抗薬fosnetupitantの第III相CONSOLE試験の結果がJournal of Clinical Oncology誌で発表された。この試験ではfosnetupitantの評価にあたりbeyond delayed emesisという概念も採用されている。論文筆頭著者の神戸低侵襲がん医療センターの秦明登氏に、試験の主要結果について聞いた。参考Hata A,et al. JCO.2021;40:180-188.

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早期乳がん、21遺伝子アッセイと内分泌療法反応性による治療ガイドは有用か/JCO

 ドイツ・West German Study Group(WGS)によるWSG-ADAPT HR+/HER2-試験において、再発スコアと内分泌療法への反応に基づく薬物療法のガイドが臨床で実行可能であり、リンパ節転移3個以下の閉経前および閉経後患者は化学療法なしですむことが示唆された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2022年4月11日号に掲載。 本試験では、早期乳がんの薬物療法について、21遺伝子アッセイ(再発スコア)と3週間の術前内分泌療法への反応の組み合わせによるガイドを検討した。ベースラインと内分泌療法後のKi67については中央で評価した。・対象:病理学的局所リンパ節転移(pN)0~1(リンパ節転移0~3個)の乳がん患者・試験群:再発スコア12~25点で、内分泌療法に反応した(内分泌療法後のKi67が10%以下)患者・対照群:再発スコア11点以下の患者試験群、対照群とも内分泌療法のみ実施。上記以外の患者(内分泌療法に反応しなかったN0~1、再発スコア12~25点の患者を含む)は、dose-dense化学療法後、内分泌療法を受けた。・評価項目[主要評価項目]5年無浸潤疾患生存期間(iDFS)[副次評価項目]遠隔DFS、全生存率(OS)など 主な結果は以下のとおり。・ITT集団は2,290例(試験群1,422例、対照群868例)、閉経前女性は試験群26.3%、対照群34.6%、pN1は試験群27.4%、対照群24.0%だった。・5年iDFS差の片側95%下方信頼限界は-3.3%で、事前設定による非劣性が認められた(p=0.05)。・5年iDFSは、試験群92.6%(95%CI:90.8〜94.0)、対照群93.9%(95%CI:91.8〜95.4)、5年遠隔DFSは、試験群95.6%、対照群96.3%、5年OSは、試験群97.3%、対照群98.0%だった。年齢とリンパ節転移別のサブグループにおいても結果は同様だった。・N0~1、再発スコア12~25点の患者では、内分泌療法に反応した患者(内分泌療法のみ実施)の結果は、50歳超では内分泌療法に反応しなかった患者(化学療法実施)の結果と同等であり、50歳以下では優っていた。・アロマターゼ阻害薬(主に閉経後女性)がタモキシフェン(主に閉経前女性)に比べて内分泌療法への反応が高かった(78.1% vs.41.1%、p<0.001)。・内分泌療法に反応したのは、再発スコアが0~11点で78.8%、12~25点で62.2%、25点超で32.7%だった(4,203例、p<0.001)。

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ニボルマブ+化学療法の非小細胞肺がん術前補助療法が生存改善示す(CheckMate-816)/BMS

 ブリストル・マイヤーズ スクイブは、2022年4月11日、Stage IB~IIIAの非小細胞肺がん(NSCLC)の術前補助療法を評価する第III相CheckMate-816試験で、主要評価項目である無イベント生存期間(EFS)の結果を発表した。 従来の病理学的完全奏効(pCR)に加え、米国癌学会年次総会(AACR2022)でEFSと全生存期間(OS)のデータが発表されたもの。CheckMate-816でニボルマブ+化学療法群はEFSリスクを37%有意に低下させた CheckMate-816の新たな結果では21.0ヵ月以上の追跡期間において、ニボルマブ+化学療法群は無作為化患者全体でのEFSリスクを37%有意に低下させた(ハザード比[HR]:0.63、97.38%信頼区間[CI]:0.43~0.91、p=0.0052)。 さらに、CheckMate-816は未成熟なデータではあるものの、ニボルマブ+化学療法群で2年OS率の改善傾向を示した(HR:0.57、99.67%CI:0.30〜1.07)。OSについては有意な結果は出ていないが、今後も引き続き追跡される。このCheckMate-816での同併用群の安全性プロファイルは以前の報告と同様で、シグナルは観察されていない。 CheckMate-816の試験担当医であるカナダ・マクギル大学のJonathan Spicer氏は「これらの結果は胸部外科医とその患者にとって非常に重要であるとともに、切除可能なNSCLCの治療における外科医と腫瘍科医の協力方法を完全に変えてしまう可能性がある」と述べる。 CheckMate-816の結果は、学会発表と同時にNew England Journal of Medicine誌2022年4月11日号に掲載された。 なお、CheckMate-816の結果に基づき、米国食品医薬品局(FDA)は2022年3月に、切除可能なNSCLCの成人患者(腫瘍径4cm以上またはリンパ節転移陽性)に対する、ニボルマブとプラチナダブレット化学療法の3週間ごとの術前補助療法を承認している。

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米国の肺がんアジュバント実施率53% ガイドライン準拠に改善の余地(ALCHEMIST)/JAMA Oncol

 米国の早期非小細胞肺がん(NSCLC)ではガイドラインに沿った標準治療をどの程度行っているのか。全米の後ろ向きコホート試験の結果、実施割合には改善の余地があることが明らかになった。 米国のNCCN(National Comprehensive Cancer Network)ガイドラインでは、リンパ節郭清を含めた外科的切除と術後補助化学療法を適切な患者に行うことが早期NSCLCの標準治療となっている。しかし、以前から多くの患者が、そのような治療を受けていないとされる。 そこでNCCNガイドラインに準拠した手術と補助化学療法がどの程度行われているかを、全米の補助療法の大規模スクリーニング試験ALCHEMIST(Adjuvant Lung Cancer Enrichment Maker Identification and Screening Trial)で確認した。 この試験では、リンパ節郭清を含めた外科的切除と術後補助化学療法を標準治療をする、4cm以上の原発腫瘍および/またはリンパ節転移を有するStage IB〜IIIA(AJCC7版)NSCLC患者が登録されている。 主な結果は以下のとおり。・2014年8月18日〜19年4月1日に登録された患者は2,833例であった。・そのうち外科切除を受けた患者は95%、2,699例であった。・適切と見なされるリンパ節郭清を受けた患者は53%に留まった。・術後補助療法を受けた患者についても57%に留まった。・4サイクルのプラチナベースの術後補助療法を受けた患者は44%、シスプラチンベースの術後補助療法を受けた患者は34%であった。・これらの結果は、人種や民族間で変わらなかった。 筆者は「この結果は術後補助療法試験の解釈に影響する。早期NSCLCに対する標準治療の使用を最適化するための努力が必要であることを示唆している」と述べている。

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ニボルマブ、尿路上皮がん術後補助療法と切除不能な進行、再発または転移性食道扁平上皮がん1次治療に対して欧州委員会より承認取得/BMS

 2022年4月5日、ブリストル マイヤーズ スクイブは、PD-L1発現レベル1%以上の根治切除後の再発リスクが高い筋層浸潤性尿路上皮がんの術後補助療法、切除不能な進行、再発または転移性食道扁平上皮がん(ESCC)の1次治療薬として、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)が欧州委員会より承認を受けたことを発表した。ESCCに関してはニボルマブとイピリムマブの併用療法、ニボルマブとフルオロピリミジン系およびプラチナ系薬剤を含む化学療法の併用療法の2つで承認を取得した。今回発表されたのは、CheckMate-274試験(尿路上皮がん)、CheckMate-648試験(ESCC)の結果に基づいたものである。 CheckMate-274試験において、DFSの中央値はニボルマブで未達、プラセボでは8.41ヵ月で、ニボルマブがプラセボと比較して、再発または死亡のリスクを47%低減させた(ハザード比[HR]:0.53、95%信頼区間[CI]:0.38~0.75、p=0.0005)。ニボルマブの忍容性は全体的に良好で、安全性プロファイルはこれまでに報告されたニボルマブの固形がん患者における試験のものと一貫していた。 CheckMate-648試験において、ニボルマブとイピリムマブの併用療法では、OSの中央値はニボルマブとイピリムマブの併用療法群で13.70ヵ月(95%CI:11.24~17.02)、化学療法群で9.07ヵ月(95%CI:7.69~9.95)であった(HR:0.64、95%CI:0.46~0.90、p=0.0010)。PFSの中央値は、ニボルマブとイピリムマブの併用療法群で4.04ヵ月(95%CI:2.40~4.93)、化学療法群で4.44ヵ月(95%CI:2.89~5.82)であった(HR:1.02、95%CI:0.73~1.43、p=0.8958)。  ニボルマブと化学療法の併用療法では、OSの中央値はニボルマブと化学療法の併用療法群で15.44ヵ月(95%CI:11.93~19.52)、化学療法群で9.07ヵ月(95%CI:7.69~9.95)であった(HR:0.54、95%CI:0.37~0.80、p<0.0001)。PFSの中央値は、ニボルマブと化学療法の併用療法群で6.93ヵ月(95%CI:5.68~8.34)、化学療法群で4.44ヵ月(95%CI:2.89~5.82)であった(HR:0.65、95%CI:0.46~0.92、p=0.0023)。

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乳がん術前・術後補助療法、乳がん死亡率とその他の死亡率への影響~系統的レビュー

 乳がん治療における術前補助療法や術後補助療法は、乳がんによる死亡率を低下させる可能性がある一方、乳がん以外による死亡率を増加させる可能性がある。今回、英国・オックスフォード大学のAmanda J. Kerr氏らが系統的レビューを実施したところ、ほとんどの比較試験で、がんによる死亡率または再発率が10〜25%減少し、乳がん以外による死亡率の増加はみられなかったが、アントラサイクリンでの化学療法と放射線療法については乳がん以外による全死亡率が増加していた。Cancer Treatment Reviews誌オンライン版2022年3月4日号に掲載。 本レビューでは、ガイドラインを検索し、早期浸潤性乳がんで推奨されている術前・術後補助療法を特定。各治療において最も高いレベルのエビデンスを、系統的に文献検索した。 主な結果は以下のとおり。・米国やその他の国において、化学療法(アントラサイクリン、タキサン、プラチナ、カペシタビン)、抗HER2療法(トラスツズマブ、ペルツズマブ、トラスツズマブエムタンシン、ネラチニブ)、内分泌療法(タモキシフェン、アロマターゼ阻害薬、卵巣摘出/卵巣機能抑制)、ビスホスホネートなどの治療が推奨されていた。・放射線療法の選択肢として、乳房温存術後において全乳房照射・乳房部分照射・腫瘍床ブースト照射・局所リンパ節照射、乳房切除術後において胸壁照射・局所リンパ節照射があった。・推奨されている治療選択は、無作為化比較試験(1万例超の試験が8件、1,000〜1万例の試験が15件、1,000人未満での試験が1件)で支持されていた。・ほとんどの比較試験で、乳がんによる死亡率または再発率が10〜25%減少し、乳がん以外による死亡率は増加しなかった。・アントラサイクリンでの化学療法と放射線療法は、乳がん以外による全死亡率を増加させた。アントラサイクリンリスクは心疾患と白血病によるものだった。・放射線リスクは主に心疾患、肺がん、食道がんによるものであり、心臓、肺、食道の放射線量の増加に伴い、それぞれの疾患が増加した。・タキサンは白血病リスクを上昇させた。

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ニボルマブ、尿路上皮がんにおける術後補助療法の国内承認取得

 2022年3月28日、小野薬品工業とブリストル マイヤーズ スクイブは、尿路上皮がんの術後補助療法に対して、ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体ニボルマブ(商品名:オプジーボ)の効能または効果の追加に係る製造販売承認事項一部変更承認を受けたことを発表した。今回発表されたのは、CheckMate-274試験(ONO-4538-33)の結果に基づいたものである。 CheckMate-274試験は、膀胱または上部尿路(腎盂または尿管)が原発である根治切除後の再発リスクが高い筋層浸潤性尿路上皮がん患者を対象に、ニボルマブ単剤療法群とプラセボ群を比較評価した多施設国際共同無作為化二重盲検第III相試験。ニボルマブが尿路上皮がんの術後補助療法として統計学的に有意な結果 主要評価項目は全無作為化患者およびPD-L1発現レベルが1%以上の患者における無病生存期間(DFS)であり、ニボルマブ単剤療法群で統計学的に有意な延長を示した。全無作為化患者におけるDFS中央値はニボルマブ単剤療法群で20.8ヵ月、プラセボ群で10.8ヵ月であり、ニボルマブ単剤療法群はプラセボ群と比較して、2倍近く延長し、再発または死亡リスクを30%低減した(ハザード比[HR]:0.70、98.22%信頼区間[CI]:0.55~0.90、p=0.0008)。PD-L1発現レベルが1%以上の患者におけるDFS中央値は、ニボルマブ単剤療法群で未達、プラセボ群で8.4ヵ月と、ニボルマブ単剤療法群はプラセボ群と比較して、再発または死亡リスクを45%低減した(HR:0.55、98.72%CI:0.35~0.85、p=0.0005)。ニボルマブ単剤療法の安全性プロファイルは、これまでにニボルマブの固形がんの試験で認められているものと一貫していた。 尿路上皮がんは腎盂、尿管、膀胱および尿道に発生する悪性腫瘍で、そのほとんどが膀胱がんである。膀胱がんの標準治療は術前補助化学療法とそれに続く根治的切除術であるが、転移性がんとして再発した患者の予後は不良であるため、再発抑制を目的とした術後補助療法への医療ニーズは高いと考えられている。

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NK1受容体拮抗型制吐薬ホスネツピタント承認 /大鵬薬品

 大鵬薬品とヘルシングループは、2022年3月28日、NK1受容体拮抗型制吐薬ホスネツピタント(製品名:アロカリス)について、抗悪性腫瘍薬(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)(遅発期を含む)の効能・効果で製造販売承認を取得した。NK1受容体拮抗型制吐薬ホスネツピタント、ホスアプレピタントとの有効性を比較 化学療法に伴い発現する悪心・ 嘔吐は、患者のQOLに負の影響をおよぼし、化学療法の施行を妨げる原因となる。ガイドラインでも積極的な予防対策が推奨されている。  今回のNK1受容体拮抗型制吐薬ホスネツピタントの承認は、高度催吐性抗悪性腫瘍薬(シスプラチン)投与患者を対象に、パロノセトロンおよびデキサメタゾン併用下で、NK1受容体拮抗型制吐薬ホスネツピタントとホスアプレピタントの有効性および安全性を比較した第III相試験(CONSOLE6) の結果に基づいたもの。本試験成績は、Journal of Clinical Oncology に掲載された。

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心毒性リスク、どんな薬剤に注意している?―アンケート結果(中編)【見落とさない!がんの心毒性】第10回

今回は、腫瘍科医の皆さまへ心毒性に関し注意している(困っている)薬剤について、がん種別にご紹介いたします。しかし、腫瘍科医の皆さま以上にお困りなのは循環器科医の皆さまではないでしょうか。日々進歩し増加する抗がん剤において、それぞれ異なる機序により出現する心毒性へ対応するための情報を集めて整理することは、循環器科医にとって最も頭の痛い問題の一つとなっているからです。さらに、最近のトピックとして臓器横断的な治療薬の登場が挙げられます。これらの心毒性へ対応するためには、ゲノム関連も含め複数の関連する科の協力と参加が必要となっています(こちらは、次回[後編]でご紹介する予定です)。CareNet.comにて行ったアンケートの結果画像を拡大する(表1)上記を基に向井氏が作成画像を拡大する心毒性は、多くのがん治療、そしてほとんどの抗がん剤で出現すると言っても過言ではありません。(表2)に主ながん治療に伴う循環器合併症[心毒性]を示します。(表2)主ながん治療に伴う循環器合併症[心毒性]画像を拡大するこの結果では、読者の皆さまが注意している薬剤として、“細胞障害性抗がん剤”が第一に挙げられています。使用頻度から言ってもやはりという結果で、前編のアントラサイクリン系抗がん剤に加え、シクロフォスファミド、タキサン系、プラチナ製剤などは重要な薬剤ですが、これらの心毒性のエビデンスはすでに確立しており、多くのガイドラインにも記載されています。ところが、実臨床での対応は決して十分とは言えない状況のようです。次に、分子標的薬、多標的チロシンキナーゼ阻害薬による頻度が高くなっています。第4回VEGFR -TKIの心毒性(草場 仁志氏・森山 祥平氏)で解説した血管新生阻害薬が心毒性の中心的存在となっています。血管新生阻害薬の心毒性には、用量依存性と時間依存性が認められており、一旦出現すると急速に進展し重篤化することが多いため、その対応には、腫瘍科医のみならず循環器科医の早期からの参加が必要と考えられています。(表3)血管新生阻害薬の投与用量/時間による血管毒性の変化画像を拡大するこのように分子標的薬は、細胞障害性抗がん剤による従来の化学療法とは大きく異なる心毒性、とくに血管毒性、腎毒性などが出現しやすく、腫瘍科医の皆さまが手強い合併症を多く経験する傾向にあるのが特徴です。また、近年開発された分子標的薬において不整脈毒性を認める薬剤が増加しています。中でもQT延長に伴う致死的不整脈や心房細動などの重篤な不整脈の管理には循環器科医の協力が必須となっています。しかしながら、これらの新しい標的に対する薬剤での心毒性発症の機序には不明な点が多く、その対応に苦慮することが少なくありません。さらに、循環器疾患に大きく影響する糖尿病などを含む代謝毒性は、免疫チェックポイント阻害薬の内分泌系irAEに加えmTOR阻害薬やPI3K阻害薬など代謝系に作用する抗がん剤を投与する際に、脂質異常症などと合わせて注意が必要です。その他、第6回新治療が心臓にやさしいとは限らない(大倉 裕二氏)で解説したように、がん治療では多種多様の薬剤が併用投与されており、支持療法に用いられる薬剤も含めそれぞれ心毒性が存在しており、添付文書に記載してある「警告」に対しては十分な注意が必要です。QT時間は心電図により容易に反復した計測が可能であり、古くから心毒性の有無を判断する指標として、CTCAE(Common Terminology Criteria for Adverse Events、有害事象共通用語規準)にも用いられてまいりました。しかし、実臨床で実際のQT時間延長の意義、QTc時間(心拍数補正)などについて、不安を抱えていらっしゃる腫瘍科医はどのくらいおられるでしょうか。この点を正しく理解いただき不安を払拭してもらうためにも、ぜひとも第二部(症例編)で取り上げ解説したいと思います。講師紹介

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英語で「~だとわかった」は?【1分★医療英語】第21回

第21回 英語で「~だとわかった」は?I’d like to hear about the result of the blood test...(血液検査の結果を聞きたいのですが…)It turned out that you have diabetes.(検査の結果、あなたは糖尿病だとわかりました)《例文1》It turned out that the patient has lung cancer.(その患者は肺がんに罹患しているとわかった)《例文2》The blood test has turned out/come out to be negative.(血液検査の結果は陰性でした)《解説》“turn”という動詞には、単独では「向きを変える」などの意味がありますが、“I’m turning 40 next month.”(私は来月40歳になる)の使い方のように、「ある状態になる」といった意味もあります。“turn out”で、「〜だとわかる」「〜という結果になる」という意味になりますが、ここには「予想していた結果と異なる」というニュアンスが含まれます。同様に、“The patient turned out to be allergic to dye.”(その患者は造影剤にアレルギーがあることがわかった)などのように、対象を主語にして用いることもできます。用例としては、“The chemotherapy turned out to be effective for the patient.”([予測に反して]化学療法はその患者には有効であることがわかった)、“The patient, as it turned out, hadn’t taken his insulin for the last couple of days.”(その患者は[期待に反して]、この数日間インスリンを打っていなかったことがわかった)などもあります。一方、“come out”も「何かが明らかになる」という意味があり、こちらは予測と結果の関係によらずに使うことができます。“The result has just come out.”(ちょうど結果が出たところだ)のように使われます。講師紹介

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