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<先週の動き> 1.7対1でも安泰ではない? 急性期病院A・Bが迫る機能再編/中医協 2.診療報酬46億円返還、医師14人が資格喪失、不正請求は「見逃されない」時代へ/厚労省 3.緊急避妊薬(アフターピル)が国内初の市販化、2月から全国販売へ/厚労省 4.相次ぐ汚職でトップが謝罪―卓越大認定に暗雲、不退転の改革へ/東大 5.臓器移植改革が始動 ドナー関連業務を地域法人に移行/藤田医大 6.介護事業者倒産が過去最多176件 突出する訪問介護の経営危機/厚労省 1.7対1でも安泰ではない? 急性期病院A・Bが迫る機能再編/中医協2026年度の診療報酬改定で中央社会保険医療協議会(中医協)は、新たに「急性期病院A・B(急性期病院入院基本料)」を設け、急性期医療の評価軸が病棟単位中心から「病院機能・実績」へと一段強まることになる。Aは「地域の急性期医療の拠点」を想定し、年間の救急搬送2,000件以上かつ全身麻酔手術1,200件以上など、高い実績要件が柱となる。Bは一般的な急性期を幅広く捉え、救急搬送1,500件以上、または救急搬送500件以上+全身麻酔手術500件以上などを求める。加えて、Aでは地域包括医療病棟・地域包括ケア病棟との併設を認めない一方で、Bは地域包括医療病棟のみを除外するなど、ケアミクスの許容範囲でも差を付けた。注目は救急実績の「質」の担保で、介護保険施設入所者の救急搬送は、協力医療機関での受入困難など例外を除き、A・Bいずれでも原則として救急搬送件数に算入しない方向が示された。その一方で、現行7対1病院の相当数がA基準を満たしにくいとの指摘もあり、急性期の集約・機能分化を加速させる可能性がある。今後は、地域で救急・手術を集約する「A志向」か、高齢者救急や包括期との接続を含めた「B/他入院料志向」か、病院ごとの役割の再設計が不可避となりそうだ。 参考 1) 【急性期】厚労省が個別改定項目を提示 救急・手術件数を評価する急性期病院一般入院基本料を新設(日経メディカル) 2) 7対1病院の6割、11万床が急性期Aの基準未達(CB news) 3) 「地域の急性期医療の拠点」病院を評価する【急性期病院一般入院料】を新設、病院単位での救急搬送・手術実績が要件にー中医協総会(Gem Med) 2.診療報酬46億円返還、医師14人が資格喪失、不正請求は「見逃されない」時代へ/厚労省厚生労働省は1月29日、2024(令和6)年度に実施した保険医療機関などへの指導・監査の状況を公表し、診療報酬の不正請求などを理由に、「医科・歯科を含む9施設の保険医療機関指定を取り消した」と発表した。処分に先立ち廃業した施設を含めると、指定取消相当は14施設にのぼる。これに伴い、保険医の登録が取り消されたのは医師5人、歯科医師12人の計17人で、返還を求めた診療報酬額は約48億5,000万円と、前年度を上回った。その一方で、厚労省があわせて公表した2023年度の指導・監査実績によると、個別指導を受けた保険医療機関は1,464件で前年度比2.7%減少したものの、対象となった医師数は2,774人と大幅に増加している。医科に限れば、個別指導件数・対象医師数ともに増加しており、医科領域での請求内容に対する点検が一層強化されている実態がうかがえる。2023年度に実施された監査は46件で、その結果、保険指定取消または取消相当となった医療機関は21件、医師ら14人が資格を喪失した。返還された診療報酬総額は46億2,338万円に達し、前年度から26億円以上増加した。とくに施設基準を満たさない入院料の請求、実施していない診療行為の請求(架空請求)、実診療で行っていない行為を上乗せする付増請求など、基本的ルール逸脱が繰り返し確認されている。注目すべき点として、保険指定取消などの端緒(発覚のきっかけ)の多くが、保険者や医療機関従事者、患者からの情報提供であったことが挙げられる。医療費通知やマイナンバーカード利用の進展により、請求内容の「見える化」が進み、不正請求は発覚しやすい環境となっている。診療報酬は公費・保険料・患者負担で成り立つ共有財源であり、ルール遵守は医療者全体の信頼を支える前提条件である。近年の指導・監査の動向は、「悪質事例への厳正対応」と同時に、日常診療における請求の正確性や施設基準管理の重要性を、すべての医師に改めて突きつけるものと言えそうだ。 参考 1) 令和6年度における保険医療機関等の指導・監査等の実施状況について(厚労省) 2) 9施設の保険指定取り消し 24年度、返還請求48億円(産経新聞) 3) 不正請求等で21件・14人の医師等が「保険指定取り消し」等の処分、診療報酬46億円強を返還-2023年度指導・監査(Gem Med) 3.緊急避妊薬(アフターピル)が国内初の市販化、2月から全国販売へ/厚労省国内初となる市販の緊急避妊薬(アフターピル)が、2月2日から全国で販売される。第一三共ヘルスケアが販売するレボノルゲストレル(商品名:ノルレボ)は、これまで医師の処方箋が必要だったが、スイッチOTCとして薬局やドラッグストアで購入可能となる。希望小売価格は1錠7,480円で、年齢制限はなく、未成年でも保護者やパートナーの同意は不要とされた。ノルレボは、排卵を遅らせる作用があり、性交後72時間以内に1回服用すれば、約8割の確率で妊娠を防ぐとされる。24時間以内の服用では妊娠阻止率は約95%に達する一方、時間が経過するほど効果は低下し、49~72時間では約58%に下がる。販売は対面に限定され、厚生労働省が指定した研修を修了した薬剤師が、チェックシートによる確認と説明を行い、購入者本人がその場で服用する「面前服用」が要件となる。転売や誤用を防ぐ狙いで、ネット販売や持ち帰りは認められていない。服用後は、3週間を目安に妊娠検査や医療機関での確認が推奨されている。厚労省によると、販売開始時点で全国5,445店舗が取り扱い、今後はさらに拡大する見通しだ。イオンリテールは併設薬局69店舗で販売を開始し、ウエルシア薬局やクオールなど大手も全店展開を予定している。その一方で、緊急避妊薬はあくまで緊急時の対処法で、服用後は一時的に妊娠しやすくなる場合もある。専門家は、低用量ピルなど確実性の高い平時の避妊法や、性教育の充実が不可欠だと指摘する。世界では約90の国・地域で処方箋なしで購入可能であり、世界保健機関(WHO)の必須医薬品にも指定されている。今回の市販化は、望まない妊娠を防ぐ選択肢を広げる一方、適切な使用と制度運用が問われる転換点となりそうだ。 参考 1) 緊急避妊薬、2月から薬局などで販売 1錠7,480円購入は対面のみ(朝日新聞) 2) 緊急避妊薬、来年2月に初の市販開始 面前服用要件に-第一三共「ノルレボ」(時事通信) 3) 緊急避妊薬、72時間以内の服用で効果8割 2月から市販(日経新聞) 4) イオンリテール、緊急避妊薬を販売 2日から併設の薬局69店舗で(同) 5) 2月発売の緊急避妊薬、全国5,000超の店舗で取り扱い 厚労省集計(同) 4.相次ぐ汚職でトップが謝罪-卓越大認定に暗雲、不退転の改革へ/東大東京大学医学部附属病院で汚職事件が相次いだ問題で、同大は1月28日、藤井 輝夫総長が記者会見し「教育・研究機関として社会の信頼を著しく損ねた」と謝罪した。大学院医学系研究科の佐藤 伸一教授が、民間団体との共同研究(社会連携講座)に絡み、性風俗店を含む高額接待を受けたとして24日に収賄容疑で逮捕され、東大は26日付で懲戒解雇した。不祥事は単発ではなく、2025年11月にも同院の准教授が医療機器選定を巡る収賄容疑で逮捕・起訴されている。こうした事態を受け、田中 栄病院長は27日付で引責辞任。教職員宛てのメールで「短期間に複数の重大な不祥事が発生し、患者や社会の信頼を著しく損ねた。組織の長として管理監督責任を明確にする」と辞任理由を説明した。藤井総長は会見で、不祥事の背景として(1)教員の倫理意識の希薄さ、(2)民間資金受け入れを巡るチェック機能の不足、(3)閉鎖的でヒエラルキーの強い組織風土の3点を挙げた。責任を取り、総長は役員報酬の一部(1ヵ月分の50%)を自主返納し、担当理事らも返納する。さらに、全教職員約1万3,000人を対象とした調査で、倫理規程違反が22件判明し、うち3件で高額接待が認められたことも明らかにした。大学は4月に最高リスク責任者(CRO)を新設し、独立監査を含む「三線防御」によるガバナンス再構築を進める方針だ。10兆円規模の大学ファンド支援を受ける「国際卓越研究大学」の審査が継続している最中、改革の実効性と信頼回復への道筋が厳しく問われている。 参考 1) 本学教員の逮捕を受けて(東大) 2) 東京大学総長「信頼著しく損ねた」30秒頭下げ謝罪 教授の収賄事件(朝日新聞) 3) 東京大学総長謝罪 大学院教授の収賄など汚職相次ぎ(NHK) 4) 東大ガバナンス欠如、卓越大認定影響避けられず? 総長「急ピッチで改革進める」(産経新聞) 5) 東大総長が汚職事件で謝罪「信頼損ねる」 高額接待など新たな倫理違反22件も発覚(同) 5.臓器移植改革が始動 ドナー関連業務を地域法人に移行/藤田医大厚生労働省は1月30日、藤田医科大学などが設立した一般社団法人「中部日本臓器提供支援協会(CODA)」を、心臓や肺などの提供臓器をあっせんする「ドナー関連業務実施法人」として許可した。眼球を除く臓器あっせん業の許可は、日本臓器移植ネットワーク(JOT)以外では全国で初めてとなる。これまで、脳死や心停止下での臓器提供に際し、家族への説明や同意取得、摘出チームの受け入れ調整などのドナー関連業務はJOTが一元的に担ってきた。しかし近年、臓器提供数の増加に対し、コーディネーター不足や業務の集中による対応の遅れが指摘され、結果として移植が見送られる事例も生じていた。こうした状況を受け、厚労省は2024年12月、ドナー側業務を地域ごとに分担する体制改革を打ち出していた。CODAは中部7県(愛知、三重、岐阜、静岡、福井、富山、石川)を担当し、臓器提供が想定される医療機関にコーディネーターを派遣。ドナー家族への説明や同意取得、関係機関との調整を担う。その一方で、移植希望者の登録やレシピエント選定、臓器搬送は引き続きJOTが担当し、公平性は従来通り担保される。CODAは移植業務経験者5人を確保し、JOTでの研修を経て、2026年夏ごろの本格稼働を予定している。厚労省は今後、他地域でも同様のあっせん法人を募集する方針で、臓器提供体制は「全国一元」から「地域分担」へと大きな転換点を迎えた。ドナーの意思を確実に生かし、移植機会の拡大につながるかが注目される。 参考 1) ドナー関連業務実施法人を許可しました(厚労省) 2) 臓器提供 家族対応などの業務を新法人に許可 厚労省(NHK) 3) 臓器あっせん法人を初許可 ドナー対応、藤田医大設立(日経新聞) 4) 「中部日本臓器提供支援協会」、厚労省が臓器あっせん業を許可 藤田医科大などが設立(中日新聞) 6.介護事業者倒産が過去最多176件 突出する訪問介護の経営危機/厚労省訪問介護事業者の経営悪化が深刻さを増している。2024年度の介護報酬改定で訪問介護の基本報酬が引き下げられたことに加え、物価高や移動に伴うコスト増が重なり、収益を圧迫している。とりわけ人手不足が最大のボトルネックとなり、サービスの継続が困難になるケースが相次いでいる。こうした状況を受け、厚生労働省は人材確保に向けた広報を強化。昨秋以降、訪問介護の仕事の具体像を伝えるショート動画や漫画、ポスターなどを特設サイトで発信し、教材としての活用も見込むなど、職場の魅力を可視化して担い手拡大を狙っている。背景には介護事業者の倒産の増加への危機感がある。東京商工リサーチによると、2025年の介護事業者倒産は176件で過去最多を更新し、「訪問介護」は91件と3年連続で最多。倒産理由は「販売不振」が約8割を占め、「人手不足」倒産も最多を更新した。規模は小・零細が中心で、資金繰り余力の乏しさが表面化している。賃上げ支援や生産性向上策は進むが、他産業の賃上げに追いつかず、現場の人材確保は依然として厳しい。国・自治体には、倒産抑制と運営効率化支援を一体で進める対応が求められる。 参考 1) 2025年「介護事業者」倒産 過去最多の176件 「訪問介護」の倒産が突出、認知症GHも増加(東京商工リサーチ) 2) 訪問介護の倒産急増、人材確保に懸命の厚労省 PR動画・漫画など続々(日経新聞)