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統合失調症への抗うつ薬追加は有益なのか

 統合失調症治療において、抗精神病薬に抗うつ薬を追加した際の安全性および有効性をドイツ、ルートヴィヒ・マクシミリアン大学のBartosz Helfer氏らが検討を行った。The American journal of psychiatry誌オンライン版2016年6月10日号の報告。 2015年6月までの複数のデータベースと出版物より、統合失調症に対する抗うつ薬追加とプラセボまたは未治療とを比較したすべての無作為化比較試験を抽出した。抑うつ症状と陰性症状(主要アウトカム)、全体の症状、陽性症状、副作用、精神症状の悪化、レスポンダーレートを調査した。サブグループ分析、メタ回帰分析、感度分析を実施した。また、同様に出版バイアスとバイアスリスクを調査した。 主な結果は以下のとおり。・82件の無作為化比較試験より、3,608例が抽出された。・抗うつ薬の追加は、各症状などに対しより有効であった。  抑うつ症状(SMD:-0.25、95%CI:-0.38~-0.12)  陰性症状(SMD:-0.30、95%CI:-0.44~-0.16)  全体の症状(SMD:-0.24、95%CI:-0.39~-0.09)  陽性症状(SMD:-0.17、95%CI:-0.33~-0.01)  QOL(SMD:-0.32、95%CI:-0.57~-0.06)  レスポンダーレート(RR:1.52[95%CI:1.29~1.78]、NNT:5[95%CI:4~7])・抑うつ症状と陰性症状への影響は、これら症状の最小閾値が包含基準であった際、より堅調にみられた(抑うつ症状[SMD:-0.34、95%CI:-0.58~-0.09]、陰性症状[SMD:-0.58、95%CI:-0.94~-0.21])。・精神症状の悪化、早期中止、少なくとも1つ以上の有害事象を経験した患者数については、抗うつ薬追加と対照群との間に有意な差は認められなかった。・抗うつ薬を追加した多くの患者において、腹痛、便秘、めまい、口渇が認められた。 結果を踏まえ、著者らは「主要アウトカム(抑うつ症状、陰性症状)の分析では、抗うつ薬補助療法の有用な効果は小さかった。抗うつ薬補助療法は、精神症状や副作用の悪化リスクが低いと考えられる。しかし、2次およびサブグループ解析により慎重に検討すべきである」としている。関連医療ニュース 統合失調症患者への抗うつ薬併用、効果はどの程度か 統合失調症の陰性症状に対し、抗うつ薬の有用性は示されるのか 統合失調症治療、ベンゾジアゼピン系薬の位置づけは

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絶望の外来【Dr. 中島の 新・徒然草】(119)

百十九の段 絶望の外来先日も外来で延々、便秘の話に苦しめられました。患者「便秘になって全然出ないんです」中島「それは、大変ですね。ところで…」患者「薬を出してくれませんか」中島「えっ?」患者「ぜひお願いします」中島「じゃあ、ラキソベロンでも出しておきましょう」患者「どうやってのむんですか?」中島「コップ1杯の水に何滴か入れてのんで下さい」患者「何滴入れるんですか?」中島「そんなもん適当ですよ」患者「何滴入れたらいいんですか?」中島「じゃあ…5滴入れてください」私自身、どちらかといえば緩いほうなので、ラキソベロンはのんだことがありません。ほかの系統の薬なら自分でもいろいろのんで試してみたりしているのですが、下剤のサジ加減はさっぱりわからないのです。患者「5滴入れたら便秘は治りますか?」中島「効く人もいるし、下痢になってしまう人もいるんじゃないかな?」患者「下痢するんですか?」中島「する人もいるでしょうね」患者「下痢したらどうすればいいんですか?」中島「5滴で多いということだから減らしたらいいと思いますよ」患者「4滴にするんですか?」中島「5滴が4滴になっても、あまり変わらないんじゃないかな」ここで同行してきた奥さんが一言。奥さん「お友達がなんとかマグネシウムという薬をのんでいるそうなんですけど」中島「ああ、それは酸化マグネシウムですね。われわれはカマグと呼んでいますね」患者「どっちがいいんですか?」中島「どっちがいいってアアタ、それは相性でしょう」患者「マグネシウムのほうがいいんですか?」中島「いやいやラキソベロン屋さんは『ラキソベロンこそ1番です』と言うでしょうし、カマグ屋さんは『ウチの薬はよく効きますよ』と言うでしょうし、結局、のんでみないとわかりませんよ、そんなもん」患者「マグネシウムのほうがよく効くんですか?」中島「いやいやいや、先ほどから申し上げているように、実際にのんでみないことにはですね」そこから後の記憶はあまり残っていません。下剤の話があり、浣腸の話があり、足が重いという話があったような、なかったような。ふと気がついたときには、休憩スペースのソファにへたり込んでいました。看護師「先生、お疲れですね」中島「疲れた」看護師「『ウンコの話ばかりしないでくださいよ』とか、こっちまで聞こえていましたよ」中島「僕が言いそうな台詞やな、それ」看護師「ラキソベロンって、5滴ぐらいから始めたらちょうどいいんじゃないですか」中島「そこまで聞こえていたんやったら助けてくれたらエエやんか」そこに登場したのが同僚のA先生。A医師「心中お察し申し上げます。僕なんてね、ウンコを触りたくないから脳外科医になったくらいですから」中島「奇遇やな、僕もそうなんや!」ウンコがすべてとは言いませんが、案外、こういう動機で脳外科医になった人は多いのではないでしょうか。A医師「ラキソベロン5滴なんて言わずに、20滴くらい使ったらいんじゃないですか」中島「そんな無茶な」A医師「下痢だったらね、大惨事になるかもしれんけど、とにかく決着はつきますよ」中島「それもそうやな!」A医師「延々と続く便秘のほうがタチが悪いわけです」妙に説得力のあるアドバイスでした。確かに5滴などというショボい使い方は、下痢気味の人間の発想ですね。なんだか次の再診の時にも頑張れそうな気がしてきました。最後に1句   延々と 長い質問 続くのは       溜まり溜まった 便のせいかも

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多発性骨髄腫、ixazomib追加の3剤併用療法でPFS延長/NEJM

 再発または難治性の多発性骨髄腫の治療において、標準治療にixazomibを加えた経口薬の3剤併用療法は、標準治療のみに比べ無増悪生存期間(PFS)を有意に延長し、毒性は許容できるものであることが、フランス・オテル・デュー大学病院のPhilippe Moreau氏らが行ったTOURMALINE-MM1試験で示された。研究の成果は、NEJM誌2016年4月28日号に掲載された。ixazomibは、経口投与が可能なペプチドボロン酸型プロテアソーム阻害薬で、ボルテゾミブとは化学構造や薬理学的特性が異なる。前臨床試験でレナリドミドとの相乗効果が確認され、未治療の多発性骨髄腫の早期臨床試験ではレナリドミド+デキサメタゾンとの併用で有望な効果と安全性が報告されている。上乗せ効果をプラセボ対照無作為化試験で評価 TOURMALINE-MM1試験は、多発性骨髄腫に対する従来の標準治療へのixazomibの上乗せ効果を検討する二重盲検プラセボ対照無作為化第III相試験(Millennium Pharmaceuticals社の助成による)。 対象は、測定可能病変を有し、全身状態(ECOG PS)が0~2、前治療レジメン数が1~3の再発、難治性、再発・難治性の多発性骨髄腫で、軽度~中等度の腎機能障害がみられる患者も含めた。 被験者は、ixazomib+レナリドミド+デキサメタゾンを投与する群(ixazomib群)またはプラセボ+レナリドミド+デキサメタゾンを投与する群(プラセボ群)に無作為に割り付けられた。両治療群とも28日を1サイクルとし、病勢進行または許容できない毒性が発現するまで継続することとした。 主要評価項目は、無増悪生存期間(PFS)とした。副次評価項目には、全生存期間(OS)、17p欠失例のOS、完全奏効(complete response)+最良部分奏効(very good partial response)の割合などが含まれた。 2012年8月28日~2014年5月27日までに、26ヵ国147施設に722例が登録され、ixazomib群に360例、プラセボ群には362例が割り付けられた。 PFS中央値が約6ヵ月延長、完全+最良部分奏効割合も良好 背景因子は両群間でバランスがよく取れていた。全体の年齢中央値は66歳(範囲:30~91歳)で、65歳以上が52%、男性が57%含まれた。前治療レジメン数は1が61%、2が29%、3が10%であり、再発例が77%、難治例が11%、再発・難治例は12%であった。 フォローアップ期間中央値14.7ヵ月におけるPFS中央値は、ixazomib群が20.6 ヵ月と、プラセボ群の14.7ヵ月よりも有意に延長した(ハザード比[HR]:0.74、p=0.01)。PFSの事前に規定されたサブグループ解析では、高リスクの細胞遺伝学的異常を有する患者などのすべてのサブグループにおいて、ixazomib群がプラセボ群よりも良好であった。 全奏効率はixazomib群が78%と、プラセボ群の72%に比べ有意に優れた(p=0.04)。また、完全奏効+最良部分奏効の割合は、それぞれ48%、39%であり、ixazomib群で有意に良好だった(p=0.01)。奏効までの期間中央値は、ixazomib群が1.1ヵ月と、プラセボ群の1.9ヵ月よりも短く(p=0.009)、奏効期間中央値はそれぞれ20.5ヵ月、15.0ヵ月であった。 フォローアップ期間中央値が約23ヵ月の時点におけるOS中央値は両群とも未到達で、フォローアップが継続されている。 重篤な有害事象の発現率はixazomib群が47%、プラセボ群は49%で、試験期間中の死亡率はそれぞれ4%、6%であり、いずれも両群でほぼ同じであった。また、Grade 3以上の有害事象は、それぞれ74%、69%に認められた。 Grade 3および4の血小板減少症の頻度は、ixazomib群(それぞれ12%、7%)がプラセボ群(5%、4%)よりも高かった。 発疹は、ixazomib群が36%であり、プラセボ群の23%に比べ頻度が高かった。消化器系の有害事象(下痢、便秘、悪心、嘔吐)は多くが低Gradeであったが、ixazomib群のほうが高頻度であった。また、末梢神経障害の発生率は、ixazomib群が27%,プラセボ群は22%であった(Grade3は両群とも2%)。 患者報告による健康関連QOL評価(EORTC QLQ-C30、EORTC QLQ-MY20)のスコアは、試験期間を通じて両群でほぼ同等であった。 著者は、「この経口薬3剤併用レジメンは、再発、難治性、再発・難治性多発性骨髄腫の新たな治療選択肢となるだろう」としている。

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便秘はCVD死亡リスクを高める~日本のコホート研究

 排便回数は、日本人集団でのCVD死亡リスクと関連することが、東北大学の本藏 賢治氏らによる研究で明らかになった。今後、慢性便秘とCVD死亡リスクとの関連の根底にあるメカニズムの解明を目指した研究が、ますます進むことが期待される。Atherosclerosis誌2016年3月号(オンライン版2016年1月13日号)の掲載報告。 便秘は、心血管疾患(CVD)の発症と関連することが示唆されているが、排便頻度とCVDによる死亡リスクとの関連を検討した大規模研究は、これまで報告されていない。そこで著者らは、「大崎国保コホート研究」のデータを用いて、排便頻度と13年間のCVDによる死亡との関連について分析を行った。 大崎コホート研究に参加した4万5,112人(40~79歳)に生活習慣に関するアンケートを実施し、排便頻度に関する質問への回答を検討した。排便頻度によって「1日1回以上群」「2~3日に1回群」「4日に1回以下群」の3群に分け、循環器疾患による死亡、虚血性心疾患による死亡、脳卒中による死亡との関連を検討した。ハザード比は、Cox比例ハザードモデルを用いて算出した。 主な結果は以下のとおり。・13.3年のフォローアップ期間中、2,028人がCVDにより死亡した。・「2~3日に1回群」、「4日に1回以下群」の全体的なCVD死亡リスクは、「1日1回以上群」と比較して、有意に高かった[多変量ハザード比はそれぞれ1.21(95%CI:1.08~1.35)、1.39(95%CI:1.06~1.81)]。

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パーキンソン病治療はどう変わっていくか

 パーキンソン病は「予後が悪い」と説明する医師もいる。しかし、パーキンソン病の予後は決して悪くなく、さらに最近の治療法の進歩によってより良い方向へ変化しつつある。 2016年4月6日、アッヴィ合同会社主催のプレスセミナー「パーキンソン病治療の現状と将来への期待」が行われた。講師は順天堂大学脳神経内科 服部 信孝氏と、全国パーキンソン病友の会常務理事の高本 久氏だ。パーキンソン病治療は今どのような課題があり、今後どう変わっていくのか。セミナーの内容から解説していく。パーキンソン病治療の抱える課題 パーキンソン病の主症状は「手足のふるえ」「筋肉のこわばり」「動作の鈍化」「バランスが取りづらさ」といった運動症状である。一方で、パーキンソン病では「便秘」「睡眠障害」「抑うつ」「関節の変性」「嗅覚障害」といった症状もみられ、これらは非運動症状と呼ばれる。非運動症状は、患者にとってパーキンソン病の症状だとわかりにくいことがある。そのため、受診先に内科・精神科・整形外科を選んでしまい、5~6年間も適切な診断・治療を受けられない患者もいるという。このような患者を「正しい受診先へと導く」ことは今後の大きな課題である。 また、治療法についても課題が挙げられる。全国パーキンソン病友の会が行ったアンケートでは、半分以上の患者が現在の治療に満足しておらず、とくに重症例ではその割合が多い(図1)。また、新しい治療法に対する意識についての質問では、90%以上の患者が「新しい治療法を試したい」という意向を示した(図2)。このことから、パーキンソン病の患者、とくに重症例の患者ではより良い治療法へのニーズが高いという現状がうかがえる。  図1画像を拡大する  図2画像を拡大するパーキンソン病治療はどう変わっていくのか では、今後どのような治療法が期待されているか。現在、薬物治療の中心はL-dopa内服療法であり、多くの患者が症状の改善を実感している。しかし、薬剤が過剰であると「ジスキネジア※1」に、薬剤が効かない・不足していると「オフ※2」になってしまうこと、そして「薬が適切に効いている時間(オン※3)」は病状の進行につれて狭まっていくことが問題になっている。そのためジスキネジアやオフ時間が出にくい薬物療法、または薬物療法以外の治療法に期待が集まっている。 ジスキネジアやオフ時間が出にくいと期待される治療法が「持続性ドパミン刺激療法」だ。ドパミン刺激が持続的になされ、ドパミンの血中濃度が安定することでジスキネジア、wearing off※4といった運動合併症を緩和・発現防止すると考えられている。現在、日本ではレボドパ/カルビドパ合剤を、携帯型注入ポンプ・チューブを介して直接的に十二指腸へ投与する「持続的十二指腸内投与」の治療薬の承認申請も進んでいる。また、薬物療法で症状の改善に限界がある場合には、「脳深部刺激療法」が治療選択肢となる。脳深部に電極を、胸部に小型刺激電源を埋め込み、両者をリード線でつないで脳の奥深くに電流を持続的に流し刺激を与える。この治療法によりジスキネジアやwearing-offの改善が期待でき、薬剤増量が困難な患者における有用な一手となりうる。 「持続的十二指腸内投与」、「脳深部刺激療法」は双方ともパーキンソン病患者のより良い症状改善につながる治療法であるが、手術が必要になるなど、患者と医師にとってはややハードルが高いといえる。服部氏は「海外では治療効果が優先されるが、日本では安全性が重要視される。これらの治療法を行う際、患者や医師のフォローをどのように充実させていくかが課題だ」と述べた。  また、その他の新規治療法として「水素水飲用」「COQ10服用」によるUPDRS※5の改善といったトピックスが注目を浴び、研究が進められている。(図3参照)  図3画像を拡大する パーキンソン病は症状が進行すると非常に多くの薬剤を服薬する必要があり、患者に大きな負担がかかる。また高齢化社会に伴い、パーキンソン病患者は増加すると予想されている。患者により良い治療の選択肢を提案していくためにも、新規治療法の研究には関心が高まっていくだろう。※1 ジスキネジア:体や手足がくねくねと勝手に動くなどの症状(不随意運動)※2 オフ:薬の効果が切れている時間※3 オン:薬が適切に効いている時間※4 wearing off:薬剤の薬効時間が短縮して、薬剤服用前に症状が悪化する現象※5 UPDRS:パーキンソン病統一スケール(Unified Parkinoson's Disease Rating Scale)、パーキンソン病の重症度を点数で表す指標

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特技と悲劇【Dr. 中島の 新・徒然草】(113)

百十三の段 特技と悲劇「中島先生は毎週ケアネットに書いておられて凄いですね」とよく感心されます。実際、書くということがあまり苦にならないのは確かで、この特技らしきものは、電子カルテ記載に大いに役立ちます。そもそも高齢の患者さんは順序立てて話をしてくれません。時系列は無茶苦茶、話題も飛びまくりで、こちらの質問に対してまったく関係のない答えが返ってくるのはいつもの事です。これをその場で整理編集しつつ、電子カルテに入力してみると、いかにも理路整然とした病歴が完成します。そして再診の時に「まず先日のカルテを確認しましょう」と言ってから前回の記載を読み上げると、「まさに私の言いたかった事だわ!」と、患者さんは大きく頷いてくれるのです。患者さんからみると、自分のうまく表現できないことをお医者さんが的確な言葉で表現してくれるので大満足。ところが、その喜びに比例して話のほうもどんどん長くなってしまいます。その結果、いつまで経っても外来が終わらず、昼食を摂れるのはいつのことやら。皮肉なことに「特技」がむしろ悲劇を招いてしまうわけですね。患者「今回の交通事故では裁判を考えて弁護士さんに頼んでいまして」中島「なるほど」患者「中島先生、弁護士さんと話をしてもらってもいいですか?」中島「いいですよ」患者「でも先生は忙しそうですし」中島「むしろ忙しいから弁護士さんと話がしたいんですよ(泣)」患者「なんでですか?」中島「弁護士さんとだったら話は1分で済むでしょ」患者「すみません、私の話が長いってことですよね」中島「よくおわかり……あ、いや、その」患者「でも中島先生はよく話を聞いてくれはるから」中島「いやいやいや、私も便秘とか、巻き爪とかですね。もう少し気持ちの余裕を持ってお聞きしたいのはヤマヤマなんですけど」患者「本当ですか?(喜)」巻き爪の話が始まっても、「これは何か交通事故に関係あるに違いない」と思って一生懸命にカルテに書いていたら、最後はウンコまで登場してきて仰天させられるわけですね。とにかく効率のいい外来診療を行うことは、私にとって永遠の課題です。最後に1句得意技 調子こいたら 悲劇待つ

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抗精神病薬の併用療法、有害事象を解析

 抗精神病薬の併用療法は、有効性や安全性が確立していないにもかかわらず、一般的に行われている。米国・ザッカーヒルサイド病院のBritta Galling氏らは、抗精神病薬併用療法と単独療法を比較した報告について調査した。Expert opinion on drug safety誌オンライン版2016年3月11日号の報告。 著者らは、言語制限なしで、2015年5月25日までのPubMed、PsycInfo、CJN、WangFan、CBMから、20歳以上の成人における抗精神病薬併用療法と単独療法を比較した無作為化試験のうち、有害事象のメタ解析が可能な報告についてシステマティックサーチを行った。 主な結果は以下のとおり。・67件(4,861例、期間:10.3±5.2週)のメタ分析によると、抗精神病薬併用療法は、不耐性に関連する中止において、単独療法と同様であった(RR:0.84、95%CI:0.53~1.33、p=0.455)。・1つ以上の有害事象の発生率は、抗精神病薬の併用療法で低かった(RR:0.77、95%CI:0.66~0.90、p=0.001)。これらの結果は、もっぱら非盲検で有効性に焦点を当てた試験でみられたものだった。・補助的D2アンタゴニストは、吐き気(RR:0.220、95%CI:0.056~0.865、p=0.030)、不眠(RR:0.26、95%CI:0.08~0.86、p=0.028)の発生率は低かったが、高プロラクチン(SMD:2.20、95%CI:0.43~3.96、p=0.015)は高かった。・アリピプラゾールのような補助的部分D2アゴニストは、心電図異常(RR:0.43、95%CI:0.25~0.73、p=0.002)、便秘(RR:0.45、95%CI:0.25~0.79、p=0.006)、よだれ/唾液分泌過多(RR:0.14、95%CI:0.07~0.29、p<0.001)、プロラクチン(SMD:-1.77、95%CI:-2.38~-1.15、p<0.001)、総コレステロール(SMD:-0.33、95%CI:-0.55~-0.11、p=0.003)、LDLコレステロール(SMD:-0.33、95%CI:-0.54~-0.10、p=0.004)の発生率が低かった。 著者らは「抗精神病薬の併用療法に関連する有害事象の認識を改める二重盲検のエビデンスは見出せなかった。有害事象の報告は、不十分かつ不完全であり、フォローアップ期間が短かった。補助的部分D2アゴニストは、いくつかの有害事象に対し、有効であると考えられる。総合的に有害事象を評価するために、質の高い長期的研究が必要とされる」とまとめている。関連医療ニュース 経口抗精神病薬とLAI併用の実態調査 急性期統合失調症、2剤目は併用か 切り換えか:順天堂大学 難治例へのクロザピン vs 多剤併用

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過敏性腸症候群に新たな光が(解説:内藤 正規 氏)-493

 過敏性腸症候群は、日本人の約10~15%に認められる頻度の高い疾患であり、消化器症状により受診する人の約3割を占めるといわれている。内視鏡検査や血液検査で明らかな異常がないにもかかわらず、腹痛や腹部不快感を伴う便秘や下痢が長く続き、多くの人々を悩ませている。そのような人々に光を差す可能性がある、下痢型の過敏性腸症候群に対しての新たな治療薬である混合型オピオイド作用を有する製剤eluxadolineの有効性を示す第III相試験の結果が、Anthony J Lembo氏らのグループにより報告された。 オピオイド受容体には、μ・κ・δの3種類のサブタイプがあり、主な発現部位や薬理作用が異なる。μ受容体の刺激は、鎮痛作用と消化管運動の抑制作用を発揮し、κ受容体の活性化は鎮痛・鎮静作用を発揮する。一方、δ受容体は、情動・神経伝達物質の制御や依存に関与する。eluxadolineは、μ・κ受容体のアゴニスト、δ受容体のアンタゴニストであり、鎮痛・鎮静作用と消化管運動の抑制作用を有し、依存性を回避できる薬といえる。 eluxadolineの投与により、腹痛の軽減、便性状の改善が得られた症例の割合は投与期間を問わず、プラセボ群、150mg/日を投与した群、200mg/日を投与した群の順に有意に高くなり、下痢型の過敏性腸症候群に対して量依存性に有効であった。一方、悪心・便秘・腹痛といった有害事象は、有意ではないものの量依存性にプラセボ群と比較して高い傾向にあり、少ないものの膵炎の発症も認めた。 本試験の結果から、過敏性腸症候群に対してeluxadolineが有効で安全であることが示された。下痢型の過敏性腸症候群の治療に新たな光を差す薬剤であると考えられるが、有害事象に対する医療者の注意も必要である。

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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第27回

第27回:食事における栄養の「神話」は本当?監修:吉本 尚(よしもと ひさし)氏 筑波大学附属病院 総合診療科 日々の食事は健康の維持やあらゆる疾患管理に重要な役割を持っています。そして、健康的な食事は罹患率や早期死亡の減少に関係しています。 今回は、微量栄養素(ビタミンやミネラル)、主要栄養素(炭水化物、タンパク質、および脂肪)、非栄養素、食物エネルギーに関しての「神話」とエビデンスの比較をみてみましょう。日常診療における食事指導の参考になれば幸いです。 タイトル:臨床における栄養療法の神話と食事指導についてNutrition Myths and Healthy Dietary Advice in Clinical Practice以下、American family physician 2015年5月1日号1) より◆「骨の健康のために集中的なカルシウム摂取が必要」骨折予防に対するカルシウムサプリメントの効果は限定的で、NNT=1,000(住民女性)、NNT=111(施設入所者)である(推奨レベルA)。また、腎結石のリスクを高め、心血管イベントや大腿骨頸部骨折を高めるかもしれない(推奨レベルB)。乳製品など自然食品は、骨の健康に関する利点は明らかでないものの、サプリメントと同様のリスクはもたらさないと思われる。◆「脂質は肥満につながり、心血管系に有害」高脂質食の摂取は、低脂質食やカロリー制限食の摂取と比較して、同等かそれ以上の体重減少を示す(推奨レベル A)。ultra-processed食品(過剰加工食品:甘味料や乳化剤などをわざわざ添加しすぐに食べられるようにした食品、保存肉など)は飽和脂肪酸が多く含まれており、心血管イベントや全死亡率の増加と関連している。一方、飽和脂肪酸を含む自然食品(乳製品など)は不慮の心血管疾患、2型糖尿病、肥満の減少と関連している(推奨レベルB)。◆「あらゆる食物繊維は有益である」自然の食物繊維を豊富に摂取すると、心血管イベントや糖尿病、便秘、消化器がん、乳がんの発症を抑制しうる。しかし人工的な食物繊維の有用性は示されていない(推奨レベルB)。◆「3,500カロリーは体重1ポンド(0.45kg)に相当する」1週間で3,500カロリー制限しても体重0.45kg減量するわけではない(推奨レベルC)。しかし1日100カロリー制限すれば、ほかに何をしなくても1年後には50%の人が、3年後には95%の人が体重4.5kg減少する(推奨レベルC)。ここに示した「神話」は微量栄養素、主要栄養素、非栄養素、エネルギーとして多くの栄養学、食品成分の評価に基づいているが、患者は食品成分ではなく食品として食べているということに注意が重要である。また、ultra-processed食品の消費量を制限し、できるだけ自然に近い形の加工食品の摂取が勧告されている。家庭医は、患者のために上記の神話を払拭し、実際の食品や広い食事パターンに着目してアドバイスを与えることが望ましい。※推奨レベルはSORT evidence rating systemに基づくA:一貫した、質の高いエビデンスB:不整合、または限定したエビデンスC:直接的なエビデンスを欠く※本内容は、プライマリ・ケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。 1) Lesser LI, et al. Am Fam Physician. 2015;91:634-638.

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標準対強化禁煙薬物治療の初ガチンコ。非盲検比較試験結果によると禁煙率は同等!(解説:島田 俊夫 氏)-482

禁煙薬物標準治療と強化治療の禁煙率は同等 深刻な喫煙による健康被害のために、薬物治療を徹底的に比較評価することは禁煙率改善上重要である。2016年1月26日発行のJAMA誌に掲載された米国・ウイスコンシン大学公衆衛生学部門のTimothy B. Baker氏らは、禁煙治療に関心を持つ成人に対して、ニコチンパッチ、バレニクリン、併用ニコチン代替治療(C-NRT:ニコチンパッチ+ニコチントローチ)を使って12週間薬物治療後、26週、52週後の禁煙率を生化学的検査により裏付けた結果から評価し、3群間に有意差は認めなかったと報告した。禁煙薬物治療初ガチンコの非盲検無作為化比較試験 ニコチンパッチ単独を除く、2種類の禁煙強化薬物治療、C-NRTとバレニクリンによる禁煙強化療法が、標準治療より優れているようにみられてきた。バレニクリン治療とC-NRTは費用面、処方の必要性、およびスクリーニングと継続モニタリングの強さの点で異なっている。そこで、米国ウイスコンシン州マジソンとミルウォーキーの喫煙者1,086例を対象に非盲検無作為化臨床試験を実施した。喫煙者は12週間禁煙薬物治療を受けるため、3群中のいずれかの群に非盲検でランダムに割り付けられた。(1)ニコチンパッチ単独群(n=241)、(2)バレニクリン単独群(n=424)、(3)C-NRT群(n=421)。 この期間に6回のカウンセリングが実施され、主要評価項目は呼気一酸化炭素濃度測定により裏付けられた自己申告7日間禁煙率、副次評価項目は自己申告による初回禁煙、26週後の禁煙維持率、4、12、52週時点での7日間禁煙率とした。 26週での禁煙率はニコチンパッチ群23%、バレニクリン群24%、C-NRT群27%、また52週での禁煙率はニコチンパッチ群21%、バレニクリン群19%、 C-NRT群20%で、いずれの群間においても有意差は認めなかった。研究対象となった薬物治療は、すべて忍容性の高い治療薬であったが、バレニクリン治療はニコチンパッチ治療に比べて、鮮明な夢、不眠、嘔気、便秘、眠気、および消化不良といった有害事象をより多く引き起こした。本研究からのメッセージ 本研究は、バレニクリン治療とC-NRT薬物治療法を最初に直接比較した研究であり、研究の持つ意義は大きい。著者らは薬物投与終了後26週、52週での禁煙評価項目のいずれにおいても、これら3群間薬物治療に有意差を認めず、これまでの禁煙強化療法の優位性に関して疑問を投じた。本研究は、禁煙強化療法の優位性をうのみにせず、また否定することなく真実を明らかにすることの必要性について言及している。

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禁煙のための薬物療法、長期効果は同等/JAMA

 禁煙を希望する喫煙成人において、ニコチンパッチ、バレニクリン、ニコチンパッチ+ニコチントローチのいずれの介入も長期の禁煙効果は同等であることが、米国・ウィスコンシン大学のTimothy B. Baker氏らが1,086例を対象に行った非盲検無作為化試験の結果、示された。12週間治療を行い、26週、52週間後の禁煙率を生化学的検査で調べたが、その値に有意差は認められなかったという。著者は、「今回の結果は、禁煙治療の薬物強化療法に関する相対的な効果について疑問を呈するものであった」と述べている。JAMA誌2016年1月26日号掲載の報告。26週後の7日間禁煙率を比較 研究グループは、2012年5月~15年11月にかけて、米国・ウィスコンシン州マジソンとミルウォーキーで、喫煙者1,086例を対象に試験を行った。 被験者を無作為に3群に分け、ニコチンパッチのみ(241例)、バレニクリンのみ(424例)、ニコチンパッチ+ニコチントローチ(C-NRT群、421例)を、それぞれ12週間投与した。全被験者に対し、6回のカウンセリングを行った。 主要評価項目は、26週後の自己報告による7日間禁煙率で、呼気一酸化炭素濃度により確認した。副次評価項目は、自己報告による初回禁煙と26週後の禁煙持続率、4、12、52週時点における7日間禁煙率だった。26週、52週の7日間喫煙率、いずれの群も同等 被験者のうち女性は52%、平均年齢は48歳、平均喫煙量は17本/日だった。被験者のうち12ヵ月時点で追跡データが得られたのは917例(84%)だった。 結果、26週後の7日間禁煙率は、ニコチンパッチ群が22.8%、バレニクリン群が23.6%、C-NRT群が26.8%で、有意な差はみられなかった。また、52週時点の7日間禁煙率も、それぞれ20.8%、19.1%、20.2%と同等だった。 26週後の禁煙維持に関する群間リスク差も、ニコチンパッチ群 vs.バレニクリン群が-0.76%、ニコチンパッチ群 vs.C-NRT群が-4.0%、バレニクリン群 vs.C-NRT群が-3.3%で有意差は認められなかった。 なお、いずれの薬剤も忍容性は良好だったが、バレニクリン群で明晰夢や不眠、吐き気、便秘、眠気、消化不良といった副作用の発生頻度が高かった。

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下痢型過敏性腸症候群、新規オピオイド受容体作動薬が有効/NEJM

 下痢型過敏性腸症候群(IBS)に対し、新規経口薬eluxadolineは男女を問わず下痢症状を軽減し新たな治療薬となりうることが、Anthony J. Lembo氏らによる2件の第III相試験(多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験)の結果、示された。100mgの1日2回投与で6ヵ月間の持続効果が確認された。eluxadolineは混合型オピオイド作用(μ/κオピオイド受容体アゴニストとδオピオイド受容体アンタゴニスト)を有する製剤。対プラセボの100mg、200mg用量(いずれも1日2回)の検討が行われた第II相試験では、200mg用量の効果に優位性はなく、むしろ有害事象が多かったことから、第III相試験では75mg、100mg用量について対プラセボの有効性(26週)、安全性(52週)を評価した。NEJM誌2016年1月21日号掲載の報告。eluxadoline75mgまたは100mg/1日2回とプラセボを比較 試験は2,427例の下痢型IBS成人患者を、eluxadoline(75mgまたは100mg)またはプラセボを1日2回投与する群に無作為に割り付けて、26週間(IBS-3002試験)または52週間(IBS-3001試験)の治療を行った。 主要エンドポイントは、腹痛の軽減(ベースライン平均スコアより30%以上軽減)、便性状の改善(便性状スコアが5未満)の両効果が同一日に確認された患者(レスポンスあり)の割合とした。レスポンスありの定義は、初期12週間(米国FDA規定のエンドポイント)、26週間(欧州医薬品庁[EMA]エンドポイント)のそれぞれの評価期間中50%以上(最低60日、110日)効果ありの記録日があった患者とした。12週間評価、26週間評価とも100mg群の効果が優れる 第1~12週では、eluxadoline(75mgまたは100mg)群のほうがプラセボ群よりも、主要エンドポイントを達成した患者の割合が多かった。IBS-3001試験被験者ではプラセボ群17.1%に対し、75mg群23.9%(p=0.01)、100mg群25.1%(p=0.004)。IBS-3002試験被験者ではプラセボ群16.2%に対し、75mg群28.9%(p<0.001)、100mg群29.6%(p<0.001)であった。 第1~26週の評価については、IBS-3001試験被験者ではプラセボ群19.0%に対し、75mg群23.4%(p=0.11)、100mg群29.3%(p<0.001)。IBS-3002試験被験者ではプラセボ群20.2%に対し、75mg群30.4%(p=0.001)、100mg群32.7%(p<0.001)であった。 安全性の評価(IBS-3002試験とIBS-3001試験の両被験者データ)では、プラセボ群と比較して75mg/100mg群で最も多く共通してみられた有害事象は、悪心(5.1% vs.8.1%/7.5%)、便秘(2.5% vs.7.4%/8.6%)、腹痛(4.1% vs.5.8%/7.2%)であった。膵炎の発症は、安全性評価集団(1,666例)中5例(0.3%)であった(75mg群2例、100mg群3例)であった。

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排便時の姿勢、理想は「考える人」

 排便の際、通常の座位姿勢よりも、彫刻「考える人」の姿勢がより効率的になりうることを、米国・クリーブランドクリニックフロリダ 大腸外科のS.Takano氏らが報告した。Techniques in Coloproctology誌2016年2月号の掲載。排便時の姿勢「考える人」による影響を評価 著者らは、上体を曲げて「考える人」の姿勢を取ると、排便が容易になるという仮説のもと、排便時の「考える人」の姿勢による影響を評価した。 本研究は、単一グループの前向き研究であり、2013年1月~6月の期間、シネデフェコグラフィー中に、通常の座位姿勢でペーストを排泄できなかった患者が登録された。シネデフェコグラフィーは、初めに座った姿勢で行われたが、もし患者が、ペーストを排泄できなかった場合には、「考える人」を模擬した姿勢を取らせた。通常の座位姿勢でペーストを排泄することができた患者は、本研究から除外し、両方の姿勢(通常の座位、および「考える人」)で、いきんでいる間の肛門直腸角(ARA)、会陰面の距離(PPD)、恥骨直腸筋の長さ(PRL)をX線写真から測定した。 排便時の「考える人」の姿勢による影響評価の主な結果は以下のとおり。・22人の患者が、通常の座位姿勢ではバリウムペーストを排泄できず、「考える人」の姿勢でシネデフェコグラフィーを受けた。・22人中、17人の患者は、平均56歳(22~76歳)の女性であった。・「考える人」の姿勢は、通常の座位姿勢よりも、いきんでいる間のARAが有意に広く(113° vs. 134°、それぞれp=0.03)、PPDが有意に長く(7.1cm vs. 9.3cm、それぞれp=0.02)、PRLが有意に長かった(12.9cm vs. 15.2cm、それぞれp=0.005)。・22人中、11人の患者は、「考える人」の姿勢を取ることで、完全に排泄することができた。 著者らは、便秘患者を再教育する際、「考える人」の排便姿勢を取らせるという方法が役立つかもしれないとまとめている。

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日本人における便秘と心血管疾患死のリスク

 大阪大学の久保田 康彦氏らは、排便頻度および下剤使用と心血管疾患(CVD)との関連について、日本人の大規模コホート研究であるJACC(Japan Collaborative Cohort)Studyで検討した。その結果、便秘はCVD危険因子への曝露を示すマーカーとなる可能性があり、下剤使用は冠動脈疾患と虚血性脳卒中による死亡の危険因子となりうることが示唆された。Journal of epidemiology誌オンライン版2015年12月26日号に掲載。 本研究では、1988~90年にCVDやがんの既往のない7万2,014人(40~79歳、男性2万9,668人、女性4万2,346人)について、排便頻度(毎日・2~3日に1回・4日以上に1回)と下剤使用(はい・いいえ)に関する情報を含むライフスタイルのアンケートを開始時に実施し、2009年まで追跡した。 主な結果は以下のとおり。・116万5,569人年のフォローアップの間に死亡した参加者は、冠動脈疾患が977人(男性561人、女性416人)、脳卒中全体が2,024人(男性1,028人、女性996人)、虚血性脳卒中が1,127人(男性606人、女性521人)、出血性脳卒中が828人(男性388人、女性440人)であった。・CVDの危険因子(糖尿病、ストレス、うつ病、運動不足など)の保有率は、下剤使用者と排便頻度の低い人で高かった。・多変量解析による下剤使用者のハザード比(95%CI)は以下のとおり。 冠動脈疾患:1.56(1.21~2.03) 脳卒中全体:1.27(1.08~1.49) 男性における虚血性脳卒中:1.37(1.07~1.76) 女性における虚血性脳卒中:1.45(1.17~1.79)・追跡期間初期の死亡を除外しても同様の結果が認められた。・排便頻度とCVDによる死亡の間に有意な関連は認められなかった。

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NASHへのリラグルチド、第II相試験で有望/Lancet

 非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に対するリラグルチドの有効性と安全性が、第II相多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照試験の結果、報告された。組織所見の改善が認められ、安全性および良好な忍容性が確認されたという。英国・バーミンガム大学のMatthew James Armstrong氏らが報告した。結果を踏まえて著者は「長期試験を行う根拠が得られた」と述べている。GLP-1アナログ製剤については、マウスモデルで肝脂肪、肝酵素濃度、インスリン抵抗性の改善が確認されている。製剤は2型糖尿病治療薬としては承認されているが、非アルコール性脂肪性肝炎に対する有効性は明らかになっていない。Lancet誌オンライン版2015年11月19日号掲載の報告。プラセボ対照でベースラインから48週の治療終了時の肝組織所見改善を評価 試験は、2010年8月1日~13年5月31日に、英国の4医療施設で行われた。被験者は無作為に2群に分けられ、一方にはリラグルチド1.8mg/日静注投与、もう一方にはプラセボが投与された。被験者は、過体重で臨床的に非アルコール性脂肪性肝炎と認められた52例で、割り付けは1対1の割合でコンピュータを使用し中央管理下で行われた。なお、試験施設別および糖尿病有無別の層別化も行われた。 本試験のデザインには、A'Hern's single-group法が用いられ、リラグルチドの有効性については、同群38%(8/21例)の臨床的に意義のある効果が認められた場合とした。 患者、研究者、臨床試験施設スタッフ、病理医は試験期間中、治療割り付けを知らされなかった。 主要評価項目は、ベースラインから治療終了時(48週)の線維化無増悪で非アルコール性脂肪性肝炎の組織所見消失とし、中央施設で2人の病理医がそれぞれ評価した。39%で改善を確認、線維化進行は9%に留まる 試験薬投与を受け試験終了時に肝生検を受けた被験者で、組織所見の改善は、リラグルチド群では23例のうち9例(39%)で認められたのに対し、プラセボ群は22例のうち2例(9%)であった(相対リスク:4.3、95%信頼区間[CI]:1.0~17.7、p=0.019)。 また、線維化進行は、リラグルチド群が23例のうち2例(9%)であったのに対し、プラセボ群は22例中8例(36%)であった(同:0.2、0.1~1.0、p=0.04)。 有害事象はGrade1(軽症)~2(中等度)の頻度が最も高く、いずれも一過性で、両群の発現頻度は類似していた。ただし、消化器障害については、リラグルチド群21/23例(81%)でみられた。プラセボ群は17/22例(65%)。症状としては、下痢(リラグルチド群38%、プラセボ群19%)、便秘(27%、なし)、食欲不振(31%、8%)などが報告された。

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~プライマリ・ケアの疑問~  Dr.前野のスペシャリストにQ!【消化器編】

第1回 帰してはいけない腹痛の見分け方は? 第2回 専門医でもヒヤリとした腹痛の症例を教えてください! 第3回 腹痛の部位で疾患の鑑別はできる? 第4回 虫垂炎を見逃さないコツは? 第5回 ピロリ菌検査は何を使うのがよい? 第6回 ピロリ菌除菌後にすべきことはある? 第7回 胃潰瘍治療のベストな処方は? 第8回 PPIが効かないとき、プライマリ・ケア医はどうするべき? 第9回 便秘の治療、どうしたらいい? 第10回 便秘症状から重篤な疾患を疑うことはできる? 第11回 GERDの診断と治療について教えてください! 第12回 止瀉薬を出してはいけない下痢の見分け方は? 第13回 過敏性腸症候群、診断のコツは? 第14回 プライマリ・ケアで膵臓がんを早期発見するコツは? 腹痛や虫垂炎、胃潰瘍にGERD。日常臨床でよく遭遇する消化器疾患の診察・検査・治療に関する14の質問を、番組MCを務める総合診療医の前野哲博先生が経験豊富な消化器科専門医 西野徳之先生にぶつけます。プライマリケア医視点のまとめも加え、すぐに現場で役立つ知識を詰め込みました!第1回 帰してはいけない腹痛の見分け方は?プライマリケアで日常的にみるからこそ油断してはいけないのが腹痛。軽症の患者のなかに緊急手術が必要な患者が埋もれていることも。今回はズバリ、帰していい腹痛の条件・帰してはいけない症例をお教えいただきます。精度が高く、診療所でも使える診断ツールは必見です。第2回 専門医でもヒヤリとした腹痛の症例を教えてください!第1回の帰してはいけない腹痛の鑑別に続き、今回も腹痛を取り上げます。腹部の痛みは局在性に乏しいうえ、鑑別疾患も多種多様。専門医ですら重篤な症例を見逃しかけてヒヤっとしたことはあるといいます。今回は西野先生に症例を提示いただき、見逃さないコツを教わります。第3回 腹痛の部位で疾患の鑑別はできる? 腹痛の部位で疾患を鑑別する方法は複数知られていますが、局在性に乏しい腹部疾患では思っているほど役立たないことも。今回は実臨床で使えるひとつの考え方をレクチャーします。前野先生がこれなら研修医にもわかりやすい!と太鼓判を押したスペシャリスト西野先生のノウハウをお見逃しなく!第4回 虫垂炎を見逃さないコツは? この腹痛は虫垂炎?それとも?虫垂炎は決して見逃せない疾患ですが、典型的な症状をきたす患者ばかりでなく、鑑別に苦慮することも多いのではないでしょうか。今回は、確定診断でなくとも虫垂炎を見逃さないコツをズバリお教えいただきます。第5回 ピロリ菌検査は何を使うのがよい? ピロリ菌感染の検査には、呼気試験、血液、便などの様々な検査法があります。どのように検査法を選択し、結果を解釈すればよいのか?専門医が勧める検査方法、またピロリ菌についての最新トピックも交えて明日から使えるノウハウをお届けします。第6回 ピロリ菌除菌後にすべきことはある? ピロリ菌感染が明らかになった際に、何をどんな手順で行うべきか?除菌治療と治療後の注意点を簡潔にレクチャー。また除菌が成功しなかったとき、プライマリケアでどう対応すべきかも解説します。第7回 胃潰瘍治療のベストな処方は? 今回は胃潰瘍の治療がテーマです。胃潰瘍の治療には、主流であるPPIのほかに、H2ブロッカーや粘膜保護薬などの薬が使われています。それぞれの薬の使い分けや注意点はどのように考えればよいのか、薬剤選択についての疑問にズバリお答えします。第8回 PPIが効かないとき、プライマリ・ケア医はどうするべき?胃潰瘍のファーストチョイスとして使われるPPIですが、その効果がなかったとき、プライマリケア医はどのように考えればいいのでしょうか。今回は西野先生に症例を提示いただき、臨床に役立つヒントを見つけていきます。第9回 便秘の治療、どうしたらいい? 今回のテーマは便秘です。便秘は日常臨床で頻繁にみられる症状ですが、生活に支障のある「便秘症」の診断は実は難しいもの。プライマリケア医はどのように情報を集め、どう評価し、どのように治療方針を立てればよいでしょうか。診断、治療についてスペシャリストの知恵を伝授してもらいましょう!第10回 便秘症状から重篤な疾患を疑うことはできる? 実際は重篤な疾患でも、患者の自覚症状は「便秘」ということは往々にしてあります。今回は西野先生が遭遇した症例を例に、便秘を訴える患者の中から異常を見逃さないためのポイントを学びます。第11回 GERDの診断と治療について教えてください! 今回はGERDがテーマです。GERDはプライマリケアできわめてよく遭遇する疾患のひとつですが、どのように診断し、治療すればよいのでしょうか。診断の際に気を付けるべきことなどを解説します。第12回 止瀉薬を出してはいけない下痢の見分け方は? 今回は下痢の治療がテーマです。安易に下痢を止めてはいけないといわれますが、実際には患者さんは薬を希望することもよくあります。どんな条件ならば止瀉薬を出していいのか?処方するときの注意点は?日常診療で感じる疑問にズバリ回答します!第13回 過敏性腸症候群、診断のコツは?今回は過敏性腸症候群がテーマです。過敏性腸症候群は訴えが多彩で、コントロールに難渋することもしばしばある疾患。IBSを治療するうえで必ず除外したい疾患は?どの薬を初めに処方すべきか?コントロール不良の場合、どうやって薬剤を変更していくのか?様々な疑問に答えていきます。第14回 プライマリ・ケアで膵臓がんを早期発見するコツは?自覚症状が出にくく、早期発見が難しいといわれる膵臓がん。しかし発見する機会がないわけではなく、プライマリケアでこそ特に注意して疑ってほしいと西野先生は強調します。今回は異変に気付くためのポイントや考え方についてレクチャーします!

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FDA、ダビガトランの中和剤idarucizumabを承認

 米国食品医薬品局(FDA)は、抗凝固薬ダビガトラン(商品名:プラザキサ)の特異的中和剤idarucizumab(商品名:Praxbind)を迅速承認した。対象はダビガトラン服用中で緊急に抗凝固作用の中和を要する患者。 idarucizumabは初めて承認されたダビガトランの特異的中和薬。ダビガトランに結合し、その作用を無効化する。 idarucizumabの効果と安全性は、ダビガトランを服用した283例の健康成人(抗凝固治療を必要としない成人)による3つの試験で検討された。その結果、idarucizumabが投与された健康成人において、ダビガトランの血中量(非結合型ダビガトランの血漿中濃度を測定)は迅速に減少し、その作用は24時間持続した。また、ダビガトラン服用中で、止血困難な出血が発生した、あるいは緊急手術が必要となった123例の患者による試験が行われた。この進行中の試験では、89%の患者でダビガトランの抗凝固作用が完全に中和され、その作用はidarucizumab投与後 4時間以上持続した。同試験において、idarucizumabの頻度の高い副作用は高カリウム血症、意識錯乱、便秘、発熱、肺炎であった。 ダビガトランの作用中和により、患者は血栓や心房細動による脳卒中のリスクにさらされることになる。そのため、idarucizumabの添付文書では、医療者が医学的に適切だと判断し次第、すみやかに抗凝固療法を再開することを推奨している。FDAのプレスリリースはこちら。

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台詞は三択【Dr. 中島の 新・徒然草】(089)

八十九の段 台詞は三択医師をしていると、友人・知人から病気についてのいろいろな相談を受けます。中学校や高校時代の友人から遠慮がちの連絡があったり、病院職員から深刻な表情で悩みを聞かされたり。読者の皆さんも数多くの経験があることと思います。ところが、「3ヵ月ほど前から頭痛が続いていて」とか「脳ドックで脳動脈瘤と診断されたんだけど」とか、いかにも脳外科的な相談は少数です。むしろ、医療職からの「ウチの母がもう10日も便が出ていなくて心配で心配で」といった「何で私に?」と驚かされる相談のほうが多いくらいです。しかし、そのようなことを思っても口には出さないように私は努めています。ここで間髪を入れずに言うべき台詞は三択。 それは大変だ。今すぐ連れてきなさい それは大変だ。明日の朝に連れてきなさい それは大変だ。来週の私の外来に連れてきなさいつい「便秘だったら消化器内科で診てもらったほうが…」とか言いそうになるのですが、私はなるべく自分の目で診るように心掛けています。その上で、「腹痛もあり、吐き気もある」ということなら消化器内科に紹介します。でも、「配偶者が亡くなってから食欲がなくなり、10キロも痩せた。ずっと家にひきこもっている」ということなら、むしろ精神科に紹介することになると思います。結局、相談してきた職員が悩んでいることというのは、「母親を治してほしい」というよりも、「この程度のことで受診してもいいのだろうか」「どこの科に行ったらいいのかがわからない」ということだと思います。その結果、「この漠然とした不安を中島先生に聞いてもらおう」という結論になるわけです。なので、相談を受けた私が言うべき台詞は、 それは大変だ(=「受診すべきだ」と、正当化する) すぐに連れてきなさい(=「まず脳外科外来に」と、決めてしまう)となります。実際のところ又聞きでは何もわからないので、患者さんの話をよく聴いてから本来かかるべき診療科を判断し、治療のレールの上に乗せてあげましょう。ということで、大変喜ばれる三択台詞、読者の皆さまもぜひお使いください。最後に1句大変だ 連れてきなさい 今すぐに

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神経障害性疼痛、ノルトリプチリンとモルヒネは単剤より併用が有効

 神経障害性疼痛に対し、三環系抗うつ薬を含む1次治療は必ずしも有効ではないため、2次治療としてオピオイドが推奨されている。カナダ・クイーンズ大学のIan Gilron氏らは、三環系抗うつ薬であるノルトリプチリンとモルヒネの併用療法ついて有効性および安全性を評価する目的で、各単独療法と比較する無作為化二重盲検クロスオーバー試験を行った。その結果、併用療法において便秘、口乾および傾眠の副作用発現頻度が高かったものの、有効性は各単独療法と比較して優れていることが明らかとなった。Pain誌2015年8月号の掲載報告。 研究グループは、2010年1月25日~2014年5月22日の間に単施設にて神経障害性疼痛患者52例を登録し、経口ノルトリプチリン、モルヒネおよび併用療法に1対1対1の比で無作為に割り付けた。各治療期間は6週間とし、用量は最大耐用量(MTD)に漸増した。 主要評価項目は、MTDにおける1日の平均疼痛(0~10で評価)、副次評価項目は他の疼痛、気分、QOLおよび副作用などであった。 主な結果は以下のとおり。・39例が少なくとも2つの治療期間を完遂した。・平均1日疼痛スコアはベースライン時5.3で、MTD時は併用療法が2.6、ノルトリプチリン単独療法が3.1(p=0.046)、モルヒネ単独療法が3.4(p=0.002)であった。・簡易疼痛調査票(BPI)スコアも、各単独療法に比べ併用療法で有意に低かった。・中等度~重度の便秘の発現率は、併用療法43% vs.モルヒネ単独療法46%(p=0.82)、vs.ノルトリプチリン単独療法5%(p<0.0001)であった。・中等度~重度の口渇の発現率は、併用療法58% vs.モルヒネ単独療法13%(p<0.0001)、vs.ノルトリプチリン単独療法49%(p=0.84)であった。

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