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オリーブ橋小脳萎縮症〔OPCA: olivopontocerebellar atrophy〕

1 疾患概要■ 概念・定義オリーブ橋小脳萎縮症(olivopontocerebellar atrophy:OPCA)は、1900年にDejerine とThomasにより初めて記載された神経変性疾患である。本症は神経病理学的には小脳皮質、延髄オリーブ核、橋核の系統的な変性を主体とし、臨床的には小脳失調症状に加えて、種々の程度に自律神経症状、錐体外路症状、錐体路徴候を伴う。現在では線条体黒質変性症(striatonigral degeneration:SND)、Shy-Drager症候群とともに多系統萎縮症(multiple system atrophy:MSA)に包括されている。多系統萎縮症として1つの疾患単位にまとめられた根拠は、神経病理学的にこれらの3疾患に共通してα-シヌクレイン(α-synuclein)陽性のグリア細胞質内封入体(glial cytoplasmic inclusion:GCI)が認められるからである。なお、MSAという概念は1969年にGrahamとOppenheimerにより1例のShy-Drager症候群患者の詳細な臨床病理学的報告に際して提唱されたものである。OPCA、SND、Shy-Drager症候群のそれぞれの原著、さらにMSAという疾患概念が成立するまでの歴史的な経緯については、高橋の総説に詳しく紹介されている1)。その後、2回(1998年、2008年)のコンセンサス会議を経て、現在、MSAは小脳失調症状を主体とするMSA-C(MSA with predominant cerebellar ataxia)とパーキンソン症状を主体とするMSA-P(MSA with predominant parkinsonism)に大別される2)。MSA-Cか、MSA-Pかの判断は、患者の評価時点での主症状を基になされている。したがって従来OPCAと診断された症例は、現行のMSA診断基準によれば、その大半がMSA-Cとみなされる。この点を踏まえて、本稿ではMSA-CをOPCAと同義語として扱う。■ 疫学欧米ではMSA-PがMSA-Cより多いが(スペインでは例外的にMSA-Cが多い3))、わが国ではこの比率は逆転しており、MSA-Cが多い3-6)。このことは神経病理学的にも裏付けられており、英国人MSA患者では被殻、淡蒼球の病変の頻度が日本人MSA患者より有意に高い一方で、橋の病変の頻度は日本人MSA患者で有意に高いことが知られている7)。特定医療費(指定難病)受給者証の所持者数で見ると平成30年度末にはMSA患者は全国で11,406人であるが、この中には重症度基準を満たさない軽症者は含まれていない。そのうち約2/3はMSA-Cと見積もられる。■ 病因いまだ十分には解明されていない。α-シヌクレイン陽性GCIの存在からMSAはパーキンソン病やレビー小体型認知症と共にα-シヌクレイノパチーと総称される。神経症状が見られないpreclinical MSAというべき時期にも黒質、被殻、橋底部、小脳には多数のGCIの存在が確認されている(神経細胞脱落はほぼ黒質、被殻に限局)8)。このことはGCIが神経細胞脱落に先行して起こる変化であり、MSAの病因・発症に深く関与していることを推察するものと思われる。MSAはほとんどが孤発性であるが、ごくまれに家系内に複数の発症者(同胞発症)が見られることがある。このようなMSA多発家系の大規模ゲノム解析からCOQ2遺伝子の機能障害性変異がMSAの発症に関連することが報告されている9)。COQ2はミトコンドリア電子伝達系において電子の運搬に関わるコエンザイムQ10の合成に関わる酵素である。このことから一部のMSAの発症の要因として、ミトコンドリアにおけるATP合成の低下、活性酸素種の除去能低下が関与する可能性が推察されている。また、Mitsuiらは、MSA患者ではGaucher病の原因遺伝子であるGBA遺伝子の病因変異を有する頻度が健常対照者に比べて有意に高いことを報告している10)。このことは日本人患者のみならず、ヨーロッパ、北米の患者でも実証されており、これら3つのサンプルシリーズのメタ解析ではプールオッズ比2.44(95%信頼区間:1.14-5.21)であった。しかも変異保因者頻度はMSA-C患者群がMSA-P患者群よりも高かったとのことである。GBA遺伝子の病因変異は、パーキンソン病やレビー小体型認知症の危険因子としても知られており、MSAが遺伝学的にもパーキンソン病やレビー小体型認知症と一部共通した分子基盤を有するものと考えられる。さらにこの仮説を支持するかのように、中国から日本人MSA患者に高頻度に見られるCOQ2遺伝子のV393A変異がパーキンソン病と関連するという報告が出ている11)。■ 症状MSA-Cの発症は多くは50歳代である3-6)。通常、小脳失調症状(起立時、歩行時のふらつき)で発症する。中には排尿障害などの自律神経症状で発症する症例が見られる。初診時の自覚症状として自律神経症状を訴える患者は必ずしも多くないが、詳細な問診や診察により排尿障害、起立性低血圧、陰萎(勃起不全)などの自律神経症状は高率に認められる。初診時にパーキンソン症状や錐体路徴候が見られる頻度は低い(~20%)6)。診断時には小脳失調症状および自律神経症状が病像の中核をなす。経過とともにパーキンソン症状や錐体路徴候が見られる頻度は上がる。パーキンソン症状が顕在化すると、小脳症状はむしろ目立たなくなる場合がある。パーキンソン症状は動作緩慢、筋強剛が見られる頻度が高く、姿勢保持障害や振戦はやや頻度が下がる。振戦は姿勢時、動作時振戦が主体であり、パーキンソン病に見られる古典的な丸薬丸め運動様の安静時振戦は通常見られない2)。パーキンソン病に比べて、レボドパ薬に対する反応が不良で進行が速い。また、抑うつ、レム睡眠期行動異常、認知症(とくに遂行機能の障害など、前頭葉機能低下)、感情失禁などの非運動症状を伴うことがある。注意すべきは上気道閉塞(声帯外転麻痺など)による呼吸障害である12)。吸気時の喘鳴、いびき(新規の出現、従来からあるいびきの増強や変質など)、呼吸困難、発声障害、睡眠時無呼吸などで気付かれる。これは病期とは関係なく初期でも起こることがある。上気道閉塞を伴う呼吸障害は突然死の原因になりうる。■ 予後日本人患者230人を検討したWatanabeらによれば、MSA全体の機能的予後では発症から歩行に補助具を要するまでが約3年、車いす生活になるまでが約5年、ベッド臥床になるまでが約8年(いずれも中央値)とされる5)。また、発症から死亡までの生存期間は約9年(中央値)である。発症から診断まではMSA全体で3.3±2.0年(MSA-Cでは3.2±2.1年、MSA-Pは3.4±1.7年)とされており5)、したがって診断がついてからの生命予後はおよそ6年程度となる。MSA-CのほうがMSA-Pよりもやや機能的予後はよいとされるが、生存期間には大差がない。発症から3年以内に運動症状(小脳失調症状やパーキンソン症状)と自律神経症状の併存が見られた患者では、病状の進行が速いことが指摘されている5)。The European MSA Study Groupの報告でも、発症からの生存期間(中央値)は9.8年と推定されている4)。また、予後不良の予測因子として、MSA-Pであること、尿排出障害の存在を挙げている。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)広く普及しているGilmanらのMSA診断基準(ほぼ確実例)を表に示す2)。表 probable MSA(ほぼ確実なMSA)の診断基準2)孤発性、進行性、かつ成人発症(>30歳)の疾患で以下の特徴を有する。自律神経機能不全―尿失禁(排尿のコントロール不能、男性では勃起不全を伴う)、あるいは起立後3分以内に少なくとも収縮期血圧30mmHg、あるいは拡張期血圧15 mmHgの降下を伴う起立性低血圧― かつ、レボドパ薬に反応が乏しいパーキンソニズム(筋強剛を伴う動作緩慢、振戦、あるいは姿勢反射障害)あるいは、小脳失調症状(失調性歩行に構音障害、四肢失調、あるいは小脳性眼球運動障害を伴う)ここで強調されているのは孤発性、進行性、成人発症(>30歳)である点と自律神経症状が必須である点である。したがって、本症を疑った場合には起立試験(Schellong試験)や尿流動態検査(urodynamic study)が重要である。他疾患と鑑別するうえでもMRI検査は必ず施行すべきである。MSAではMRI上、被殻、中小脳脚、橋、小脳の萎縮は高頻度に見られ(図)、かつ特徴的な橋の十字サイン(hot cross bun sign、図)、被殻外側部の線状高信号(hyperintense lateral putaminal rim)、被殻後部の低信号(posterior putaminal hypointensity)(いずれもT2強調像)が見られる。概してMSA-CではMSA-Pに比べて、橋十字サインを認める頻度は高く、一方、被殻外側部の線状高信号を認める頻度は低い。また、MSAでは中小脳脚の高信号(T2強調像、図)も診断の助けになる。画像を拡大するKikuchiらは[11C]-BF-227を用いたpositron emission tomography(PET)にて、MSA患者では対照者に比べて大脳皮質下白質、被殻、後部帯状回、淡蒼球、一次運動野などに有意な集積が見られたことを報告している13)。BF-227は病理切片にてGCIを染め出すことから、これらの所見はMSA患者脳内のGCI分布を捉えているものと推察されている。上記したようにGCIはMSAのごく早期から生じる病変であることから、[11C]-BF-227 PETは早期診断に有用な画像バイオマーカーになる可能性がある。MSA-Cの鑑別上、最も問題になるのは、皮質性小脳萎縮症(cortical cerebellar atrophy:CCA)である。CCAは孤発性のほぼ純粋小脳型を呈する失調症である。とくに病初期のMSA-Cで自律神経症状やパーキンソン症状が見られない時期(GilmanらのMSA診断基準では“疑い”をも満たさない時期)では両者の鑑別は困難である。仮にCCAと診断しても発症後5年程度はMSAの可能性を排除せず、小脳外症状(特に自律神経症状)の出現の有無やMRI上の脳幹・中小脳脚の萎縮、橋十字サインの出現の有無について注意深く経過観察すべきである。この点は運動失調症研究班で提唱した特発性小脳失調症(idiopathic cerebellar ataxia: IDCA、IDCAは病理診断名であるCCAに代わる臨床診断名である)の診断基準でも強調している14)。なお、桑原らは、MSA-Cにおいては橋十字サインの方が起立性低血圧より早期に出現する、と報告している15)。MSA-CではCCAに比べて臨床的な進行は圧倒的に速い16)。また、Kogaらは臨床的にMSAと診断された134例の剖検脳を検討したが、このうち83例(62%)は病理学的にもMSAと確定診断されたものの、他の51例にはレビー小体型認知症が19例、進行性核上性麻痺が15例、パーキンソン病が8例含まれたと報告している17)。レビー小体型認知症やパーキンソン病がMSAと誤診される最大の理由は自律神経症状の存在によるとされ、一方、進行性核上性麻痺がMSAと誤診される最大の理由は小脳失調症状の存在であった。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)有効な原因療法は確立されていない。個々の患者の病状に応じた対症療法が基本となる。対症療法としては、薬物治療と非薬物治療に大別される。■ 薬物治療1)小脳失調症状プロチレリン酒石酸塩水和物(商品名:ヒルトニン)やタルチレリン水和物(同:セレジスト)が使用される。2)自律神経症状主な治療対象は排尿障害(神経因性膀胱)、起立性低血圧、便秘などである。MSAの神経因性膀胱では排出障害(低活動型)による尿勢低下、残尿、尿閉、溢流性尿失禁、および蓄尿障害(過活動型)による頻尿、切迫性尿失禁のいずれもが見られる。排出障害に対する基本薬はα1受容体遮断薬であるウラピジル(同:エブランチル)やコリン作動薬であるべタネコール塩化物(同:ベサコリン)などである。蓄尿障害に対しては、抗コリン薬が第1選択である。抗コリン薬としてはプロピベリン塩酸塩(同:バップフォー)、オキシブチニン塩酸塩(同:ポラキス)、コハク酸ソリフェナシン(同:ベシケア)などがある。起立性低血圧には、ドロキシドパ(同:ドプス)やアメジニウムメチル硫酸塩(同:リズミック)などが使用される。3)パーキンソン症状パーキンソン病に準じてレボドパ薬やドパミンアゴニストなどが使用される。4)錐体路症状痙縮が強い症例では、抗痙縮薬が適応となる。エペリゾン塩酸塩(同:ミオナール)、チザニジン塩酸塩(同:テルネリン)、バクロフェン(同:リオレサール、ギャバロン)などである。■ 非薬物治療患者の病期や重症度に応じたリハビリテーションが推奨される(リハビリテーションについては、参考になるサイトの「SCD・MSAネット」のSCD・MSAリハビリのツボを参照)。上気道閉塞による呼吸障害に対して、気管切開や非侵襲的陽圧換気療法が施行される。ただし、非侵襲的陽圧換気療法によりfloppy epiglottisが出現し(喉頭蓋が咽頭後壁に倒れ込む)、上気道閉塞がかえって増悪することがあるため注意が必要である12)。さらにMSAの呼吸障害は中枢性(呼吸中枢の障害)の場合があるので、治療法の選択においては、病態を十分に見極める必要がある。4 今後の展望選択的セロトニン再取り込み阻害薬である塩酸セルトラリン(商品名:ジェイゾロフト)やパロキセチン塩酸塩水和物(同:パキシル)、グルタミン酸受容体の阻害薬リルゾール(同:リルテック)、オートファジー促進作用が期待されるリチウム、抗結核薬リファンピシン、抗菌薬ミノサイクリン、モノアミンオキシダーゼ阻害薬ラサギリン、ノルエピネフリン前駆体ドロキシドパ、免疫グロブリン静注療法、あるいは自己骨髄あるいは脂肪織由来の間葉系幹細胞移植など、さまざまな治療手段の有効性が培養細胞レベル、あるいはモデル動物レベルにおいて示唆され、実際に一部はMSA患者を対象にした臨床試験が行われている18, 19)。これらのうちリルゾール、ミノサイクリン、リチウム、リファンピシン、ラサギリンについては、無作為化比較試験においてMSA患者での有用性が証明されなかった18)。間葉系幹細胞移植に関しては、MSAのみならず、筋萎縮性側策硬化症やアルツハイマー病など神経変性疾患において数多くの臨床試験が進められている20)。韓国では33名のMSA患者を対象に無作為化比較試験が行なわれた21)。これによると12ヵ月後の評価において、対照群(プラセボ群)に比べると間葉系幹細胞治療群ではUMSARS (unified MSA rating scale)の悪化速度が遅延し、かつグルコース代謝の低下速度や灰白質容積の減少速度が遅延することが示唆された21)。ただし、動注手技に伴うと思われる急性脳虚血変化が治療群29%、対照群35%に生じており、安全性に課題が残る。また、MSA多発家系におけるCOQ2変異の同定、さらにはCOQ2変異ホモ接合患者の剖検脳におけるコエンザイムQ10含量の著減を受けて、国内ではMSA患者に対してコエンザイムQ10の無作為化比較試験(医師主導治験)が進められている。5 主たる診療科神経内科、泌尿器科、リハビリテーション科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン2018.(監修:日本神経学会・厚生労働省「運動失調症の医療基盤に関する調査研究班」.南江堂.2018)(医療従事者向けのまとまった情報)難病情報センター オリーブ橋小脳萎縮症SCD・MSAネット 脊髄小脳変性症・多系統萎縮症の総合情報サイト(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報NPO全国脊髄小脳変性症・多系統萎縮症友の会(患者とその家族および支援者の会)1)高橋昭. 東女医大誌. 1993;63:108-115.2)Gilman S, et al. Neurology. 2008;71:670-676.3)Kollensperger M, et al. Mov Disord. 2010;25:2604-2612.(Kollenspergerのoはウムラウト)4)Wenning GK, et al. Lancet Neurol. 2013;12:264-274.5)Watanabe H, et al. Brain. 2002;125:1070-1083.6)Yabe I, et al. J Neurol Sci. 2006;249:115-121.7)Ozawa T, et al. J Parkinsons Dis. 2012;2:7-18.8)Kon T,et al. Neuropathology. 2013;33:667-672.9)The Multiple-System Atrophy Research Collaboration. N Engl J Med. 2013;369:233-244.10)Mitsui J, et al. Ann Clin Transl Neurol. 2015;2:417-426.11)Yang X, et al. PLoS One. 2015;10:e0130970.12)磯崎英治. 神経進歩. 2006;50:409-419.13)Kikuchi A, et al. Brain. 2010;133:1772-1778.14)Yoshida K, et al. J Neurol Sci. 2018;384:30-35.15)桑原聡ほか. 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業)「運動失調症の医療基盤に関する調査研究」2019年度研究報告会プログラム・抄録集. P30.16)Tsuji S, et al. Cerebellum. 2008;7:189-197.17)Koga S, et al. Neurology. 2015;85:404-412. 18)Palma JA, et al. Clin Auton Res. 2015;25:37-45.19)Poewe W, et al. Mov Disord. 2015;30:1528-1538.20)Staff NP, et al. Mayo Clin Proc. 2019;94:892-905.21)Lee PH, et al. Ann Neurol. 2012;72:32-40.公開履歴初回2015年04月09日更新2020年03月09日

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中條・西村症候群〔NNS:Nakajo-Nishimura syndrome〕

1 疾患概要■ 概念・定義1939年に東北帝国大学医学部皮膚科泌尿器科の中條により報告された血族婚家系に生じた兄妹例に始まり、1950年に和歌山県立医科大学皮膚科泌尿器科の西村らが血族婚の2家系に生じた和歌山の3症例も同一疾患としたことで確立した「凍瘡ヲ合併セル続発性肥大性骨骨膜症」(図1)が、中條・西村症候群(Nakajo-Nishimura syndrome:NNS)の最初の呼称である。図1 中條先生と西村先生の論文画像を拡大する2009年に本疾患が稀少難治性疾患として厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業研究奨励分野の対象疾患に採択された際に、中條‐西村症候群との疾患名が初めて公式に用いられ、2011年のPSMB8遺伝子変異の同定を報告した論文により国際的に認められた。その後も厚生労働科学研究において継続的に本疾患の病態解明や診断基準の策定が行われ、「中條・西村症候群」として2014年に小児慢性特定疾病19番、2015年に指定難病268番に登録された。1985年に大阪大学皮膚科の喜多野らが、自験4症例を含む中條の報告以来8家系12症例について臨床的特徴をまとめ、わが国以外で報告のない新しい症候群“A syndrome with nodular erythema,elongated and thickened fingers,and emaciation”として報告したのが、英文で最初の報告である。さらに、1993年に新潟大学神経内科の田中らが、皮膚科領域からの報告例も合わせてそれまでの報告症例をまとめ、新しい膠原病類似疾患あるいは特殊な脂肪萎縮症を来す遺伝性疾患として、“Hereditary lipo-muscular atrophy with joint contracture,skin eruptions and hyper-γ-globulinemia”として改めて報告した。これらの報告を受け、国際的な遺伝性疾患データベースであるOnline Mendelian Inheritance in Man(OMIM)に、1986年にNakajo syndromeとして登録番号256040に登録された。本症は長くわが国固有の疾患と考えられてきたが、2010年に脂肪萎縮症を専門とするアメリカのグループによって、類症がjoint contractures,muscular atrophy,microcytic anemia and panniculitis-induced lipodystrophy(JMP)症候群として、わが国以外から初めて報告された。症例はポルトガルとメキシコの2家系4兄妹例のみであり、いずれも発熱の記載はなく、全身の萎縮と関節拘縮が目立つ(図2)。程なく原因としてPSMB8遺伝子変異が同定された。図2 プロテアソーム関連自己炎症性症候群の臨床像画像を拡大するさらに、2010年にスペインの皮膚科医のTorreloらによって報告されたヒスパニックの姉妹例を含む4症例に始まり、脱毛を伴うイスラエルの症例、バングラデシュの姉妹例、ブラジルの症例など、世界中から報告された類症が、chronic atypical neutrophilic dermatosis with lipodystrophy and elevated temperature(CANDLE)症候群である。未分化なミエロイド系細胞の浸潤を伴う特徴的な皮膚病理所見から命名され、スイート症候群との鑑別を要する。冬季の凍瘡様皮疹の有無は明らかでないが、肉眼的にNNSと酷似する(図2)。それらの症例の多くに、JMP症候群と同じ変異を含む複数のPSMB8遺伝子変異が同定されたが、ヘテロ変異や変異のない症例、さらにPSMB8以外のプロテアソーム関連遺伝子に変異が見出される症例も報告されている。これら関連疾患の報告と共通する原因遺伝子変異の同定を受け、NNS・JMP症候群・CANDLE症候群をまとめてプロテアソーム関連自己炎症性症候群(proteasome-associated autoinflammatory syndrome:PRAAS)と呼ぶことが提唱され、OMIM#256040に再編された。現在では、PSMB8以外のプロテアソーム関連遺伝子変異によるPRAAS2や3と区別し、PRAAS1と登録されている。これらの疾患名の変遷を図3にまとめた。図3 プロテアソーム関連自己炎症性症候群の疾患名の変遷画像を拡大する■ 疫学既報告・既知例は東北・関東(宮城、東京、秋田、新潟)の5家系7症例と関西(和歌山、大阪、奈良)の19家系22症例であるが、現在も通院中で生存がはっきりしている症例は関西のみであり、10症例ほどである。中国からもNNSとして1例報告があるほか、諸外国からJMP症候群、CANDLE症候群、PRAASとして25例ほど報告されている。■ 病因・病態NNSは、PSMB8遺伝子のp.G201V変異のホモ接合によって発症する常染色体劣性遺伝性疾患である。わが国に固有の変異で、すべての患者に同じ変異を認める。JMP症候群においては、ヒスパニックの症例すべてにPSMB8 p.T75M変異がホモ接合で存在する。一方、CANDLE症候群においては、ヒスパニック、ユダヤ人、ベンガル人などの民族によって、PSMB8の異なる変異のホモ接合が報告されている。PRAASとして、PSMB8の複合ヘテロ変異を持つ症例も報告されているが、さらに、PSMB8とPSMA3やPSMB4のダブルヘテロ変異、PSMB9とPSMB4のダブルヘテロ変異、PSMB4単独の複合ヘテロ変異、複合体形成に重要なシャペロンであるPOMP単独のヘテロ変異などさまざまな変異の組み合わせを持った症例もCANDLE/PRAASとして報告されている。PSMB8遺伝子は、細胞内で非リソソーム系蛋白質分解を担うプロテアソームを構成するサブユニットの1つである、誘導型のβ5iサブユニットをコードする。ユビキチン-プロテアソーム系と呼ばれる、ポリユビキチン鎖によってラベルされた蛋白質を選択的に分解するシステムによって、不要・有害な蛋白質が除去されるだけでなく、細胞周期やシグナル伝達など多彩な細胞機能が発揮される。特に、プロテアソーム構成サブユニットのうち酵素活性を持つβ1、β2、β5が、誘導型のより活性の高いβ1i、β2i、β5iに置き換わった免疫プロテアソームは、免疫担当細胞で恒常的に発現し、炎症時にはその他の体細胞においてもIFNαやtumor necrosis factor(TNF)αなどの刺激によって誘導され、効率的に蛋白質を分解し、major histocompatibility complex(MHC)クラスI提示に有用なペプチドの産生に働く。NNSでは、PSMB8 p.G201V変異によって、β5iの成熟が妨げられそのキモトリプシン様活性が著しく低下するだけでなく、隣接するβ4、β6サブユニットとの接合面の変化のために複合体の形成不全が起こり、成熟した免疫プロテアソームの量が減少するとともに、β1iとβ2iがもつトリプシン様、カスパーゼ様活性も大きく低下する。その結果、NNS患者の炎症局所に浸潤するマクロファージをはじめ表皮角化細胞、筋肉細胞など各種細胞内にユビキチン化・酸化蛋白質が蓄積し、このためにIL-6やIFN-inducible protein(IP)-10などのサイトカイン・ケモカインの産生が亢進すると考えられる。MHCクラスI提示の障害による免疫不全も想定されるが、明らかな感染免疫不全は報告されていない。一方、JMP症候群では、PSMB8 p.T75M変異によりβ5iのキモトリプシン様活性が特異的に低下し、発現低下は見られない。したがって、本症発症にはプロテアソーム複合体の形成不全は必ずしも必要ないと考えられる。種々の変異を示すCANDLE症候群においても、酵素活性低下の程度はさまざまだが、ユビキチン蓄積やサイトカイン・ケモカイン産生亢進のパターンはNNSと同様であり、さらに末梢血の網羅的発現解析からI型IFN応答の亢進すなわち「I型IFN異常」が示されている。プロテアソーム機能不全によってI型IFN異常を来すメカニズムは明らかではないが、最近、Janusキナーゼ(JAK)阻害薬の臨床治験において、I型IFN異常の正常化とともに高い臨床効果が示され、I型IFN異常の病態における役割が明らかとなった。NNS患者由来iPS細胞から分化させた単球の解析においても、β5iの活性が有意に低下するIFNγ+TNFα刺激下においてI型IFN異常を認めた。ただ、この系においては、IFNγ-JAK-IP-10シグナルとTNFα-mitogen-activated protein(MAP)キナーゼ-IL-6シグナルが双方とも亢進しており、酸化ストレスの関与や各シグナルの細胞内での相互作用も示唆されている。これらの結果から想定されるNNSにおける自己炎症病態モデルを図4に示す。図4 中條・西村症候群における自己炎症病態画像を拡大する■ 症状NNSは、典型的には幼小児期、特に冬季に手足や顔面の凍瘡様皮疹にて発症し、その後四肢・体幹の結節性紅斑様皮疹や弛張熱を不定期に繰り返すようになる。ヘリオトロープ様の眼瞼紅斑を認めることもある。組織学的には、真皮から筋層に至るまで巣状にリンパ球・組織球を主体とした稠密だが多彩な炎症細胞の浸潤を認め、内皮の増殖を伴う血管障害を伴う。筋炎を伴うこともあるが、筋力は比較的保たれる。早期より大脳基底核の石灰化を認めるが、精神発達遅滞はない。次第に特徴的な長く節くれだった指と顔面・上肢を主体とする脂肪筋肉萎縮・やせが進行し、手指や肘関節の屈曲拘縮を来す。やせが進行すると咬合不全や開口障害のため摂食不良となり、また、嚥下障害のため誤嚥性肺炎を繰り返すこともある。LDH、CPK、CRP、AAアミロイドのほか、ガンマグロブリン特にIgGが高値となり、IgEが高値となる例もある。さらに進行すると抗核抗体や各種自己抗体が陽性になることがあり、I型IFN異常との関連から興味を持たれている。早期より肝脾腫を認めるが、脂質代謝異常は一定しない。胸郭の萎縮を伴う拘束性呼吸障害や、心筋変性や心電図異常を伴う心機能低下のために早世する症例がある一方、著明な炎症所見を認めず病院を受診しない症例もある。■ 予後NNSの症例は皆同じ変異を持つにもかかわらず、発症時の炎症の程度や萎縮の進行の速さ、程度には個人差が認められる。小児期に亡くなる症例もあるが、成人後急速に脂肪筋肉萎縮が進行する例が多く、手指の屈曲拘縮のほか、咬合不全や重度の鶏眼などによりQOLが低下する。心肺のほか肝臓などの障害がゆるやかに進み、60歳代で亡くなる例が多いが、早期から拘束性呼吸障害や心機能低下を来して30歳代で突然死する重症例もあり、注意が必要である。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)難病指定の基準となるNNSの診断手順と重症度基準を表に示す。臨床症状8項目のうち5項目以上陽性を目安にNNSを疑って遺伝子解析を行い、PSMB8に疾患関連変異があれば確定(Definite)、変異がなくても臨床症状5項目以上陽性で他疾患を除外できれば臨床診断例(Probable)とする。わが国の症例ではPSMB8 p.G201V以外の変異は見つかっていないが、CANDLE症候群やPRAASで報告された変異や新規変異が見出される可能性も考慮されている。進行性の脂肪筋肉萎縮が本疾患で必発の最大の特徴であるが、個人差が大きく、皮疹や発熱などの炎症症状が強い乳幼児期には目立たない。むしろ大脳基底核石灰化が臨床診断の決め手になることがあり、積極的な画像検査が求められる。ただ、凍瘡様皮疹と大脳基底核石灰化は、代表的なI型IFN異常症であるエカルディ・グティエール症候群の特徴でもあり、鑑別には神経精神症状の有無を確認する必要がある。神経症状のない家族性凍瘡様ループスも鑑別対象となり、凍瘡様皮疹は各種I型IFN異常症に共通な所見と考えられる。臨床的に遺伝性自己炎症性疾患が疑われるも臨床診断がつかない場合、既知の原因遺伝子を網羅的に検討し遺伝子診断することも可能であるが、新規変異が見出された場合、その機能的意義まで確認する必要がある。表 中條・西村症候群診断基準と重症度分類画像を拡大する3 治療 (治験中・研究中のものも含む)ステロイド全身投与は発熱、皮疹などの炎症の軽減には有効だが、減量によって容易に再燃し、また脂肪筋肉萎縮には無効である。むしろ幼小児期からのステロイド全身投与は、長期内服による成長障害、中心性肥満、緑内障、骨粗鬆症など弊害も多く、慎重な投与が必要である。メトトレキサートや抗IL-6受容体抗体製剤の有効性も報告されているが、ステロイドと同様、効果は限定的で、炎症にはある程度有効だが脂肪筋肉萎縮には無効である。CANDLE症候群に対してJAK1/2阻害薬のバリシチニブのグローバル治験が行われ、幅広い年代の10例の患者に3年間投与された結果、5例が緩解に至ったと報告されている。4 今後の展望2020年よりPSMB8遺伝子解析が保険適用となり、運用が待たれる。また、NNS患者末梢血の遺伝子発現解析にてI型IFN異常が見られることが明らかとなりつつあり、診断への応用が期待されている。治療においても、NNSに対してJAK1/2阻害薬が有効である可能性が高く、適用が期待されているが、病態にはまだ不明な点が多く、さらなる病態解明に基づいた原因療法の開発が切望される。5 主たる診療科小児科・皮膚科その他、症状に応じて脳神経内科、循環器内科、呼吸器内科、リハビリテーション科、歯科口腔外科など。※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報小児慢性特定疾病情報センター 中條・西村症候群(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)難病情報センター 中條・西村症候群(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)自己炎症性疾患サイト 中條-西村症候群(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)1)金澤伸雄ほか. 日臨免会誌.2011;34:388-400.2)Kitano Y, et al. Arch Dermatol.1985;121:1053-1056.3)Tanaka M, et al. Intern Med. 1993;32:42-45.4)Arima K, et al. Proc Natl Acad Sci U S A.2011;108:14914-14919.5)Kanazawa N, et al. Mod Rheumatol Case Rep.2018;3:74-78.6)Kanazawa N, et al. Inflamm Regen.2019;39:11.7)Shi X, et al. J Dermatol.2019;46:e160-e161.8)Okamoto K, et al. J Oral Maxillofac Surg Med Pathol.(in press)公開履歴初回2020年03月09日

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アキレス腱断裂の治療効果、石膏ギプスvs.機能的装具/Lancet

 アキレス腱断裂で保存療法を受ける患者の管理では、早期の荷重負荷(アキレス腱断裂スコア[Achilles tendon rupture score:ATRS]で評価)において、従来の石膏ギプスは機能的装具に優越せず、資源利用の総費用はむしろ高い傾向にあることが、英国・オックスフォード大学のMatthew L. Costa氏らが行った無作為化試験「UKSTAR試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2020年2月8日号に掲載された。保存療法を受けるアキレス腱断裂患者では、従来、数週間にわたり石膏ギプスで腱を固定する治療が行われてきた。機能的装具は、より早期に運動を可能にする非手術的な代替療法であるが、有効性と安全性のエビデンスは十分ではないという。経済的評価を含む無作為化試験 研究グループは、保存療法を受けるアキレス腱断裂患者において、ギプスと機能的装具の機能・QOLアウトカムおよび資源利用の費用を比較する目的で、実用的な無作為化対照比較優越性試験を実施した(英国国立衛生研究所[NIHR]医療技術評価計画の助成による)。 対象は、年齢16歳以上、初発のアキレス腱断裂の患者であった。患者は外科医とともに、標準的な処置として保存療法が適切かを検討し、患者が手術をしないと決めた場合に、試験への参加が可能とされた。 被験者は、ギプスまたは機能的装具による治療を受ける群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。介入の期間は8週間だった。 主要アウトカムは、9ヵ月時の患者報告によるATRSとし、修正intention-to-treat(ITT)集団で解析した。ATRSは、アキレス腱関連の症状、身体活動性、疼痛を評価する10項目からなるスコア(0~100点、100点が最も良好)である。安全性アウトカムとして再断裂の評価を行った。また、患者は資源利用質問票に回答し、資源利用の値を費用に変換した。9ヵ月時ATRS:ギプス群74.4点vs.機能的装具群72.8点 2016年8月~2018年5月の期間に540例(平均年齢48.7[SD 13.8]歳、男性79%)が登録され、ギプス群に266例、機能的装具群には274例が割り付けられた。断裂の原因は70%がスポーツ活動であった。527例(98%)が修正ITT集団に含まれた。 受傷後9ヵ月時の平均ATRSは、ギプス群が74.4(SD 19.8)点、機能的装具群は72.8(20.4)点であり、両群間に有意な差は認められなかった(補正後平均群間差:-1.38点、95%信頼区間[CI]:-4.9~2.1、p=0.44)。8週時のATRSは機能的装具群で優れた(ギプス群35.3点vs.機能的装具群40.3点、補正後平均群間差:5.53、95%CI:2.0~9.1、p=0.0024)が、この差に臨床的な意義があるかは不明であった。また、3および6ヵ月時にも有意な差はなかった。 健康関連QOL(EQ-5D-5L)は、ATRSと同様のパターンを示し、受傷後8週時は機能的装具群で有意に良好であったが、それ以降は両群間に差はみられなかった。 合併症(腱再断裂、深部静脈血栓症、肺塞栓症、転倒、踵の痛み、足部周辺の感覚異常、圧迫創傷)の発現にも差はなかった。腱再断裂は、ギプス群が266例中17例(6%)、機能的装具群は274例中13例(5%)で発現した(p=0.40)。 介入の直接費用の平均額は、ギプス群が36ポンドと、機能的装具群の109ポンドに比べ有意に安価であった(平均群間差:73ポンド、95%CI:67~79、p<0.0001)。一方、医療と個別の社会サービスの総費用の平均額は、それぞれ1,181ポンドおよび1,078ポンドであり、機能的装具群でわずかに低いものの有意な差はなかった(平均群間差:103ポンド、95%CI:-289~84)。 著者は、「早期の荷重負荷において、ギプスの安全で費用効果が優れる代替法として、機能的装具を考慮してもよいと考えられる」としている。

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本特集に寄せられたコメント

遭遇の可能性があるので、学習したい。(東京都/内科/50代)変えれる症状に気づける目の数を増やしてください。(広島県/外科/60代)自分の知識を発展させるために応援します。(鹿児島県/内科/50代)医師の常識範囲として知っておきたい(神奈川県/小児科/70代以上)希少疾患の、新たな診断、治療方法の開発に期待します。(山梨県/内科/50代)より多くの症例を診たご経験がある先生方の知見やお話を伺えることを楽しみにしています。(茨城県/呼吸器外科/50代)最新の治療指針について学習していきたいと思います。(大阪府/神経内科/60代)患者発見の糸口を学習して備えたい(東京都/小児科/60代)希少疾患は、経験値も高まりにくいですので、頑張っていただきたいです。(大阪府/内科/50代)良く知らない症状の患者に役立つことを期待している。(東京都/腎臓内科/60代)なかなか忙しくて見れないが、時間が有ったら、是非じっくり見たい。(東京都/内科/60代)難病疾患に悩む患者さんの支えに少しでもなれる医師を増やすために(大阪府/外科/50代)微力ながら、お手伝いできればと思っています。(山口県/放射線科/30代)今後遭遇する可能性があり勉強したい。(兵庫県/麻酔科/60代)知らないより知っている方が良いと思います。(東京都/精神科/60代)地方では希少疾病であっても大都市の病院に通えず,頑張っている患者さんや診療しているスタッフがいます.そのためwebは力強いアイテムです.応援します.(長野県/外科/50代)貴重な内容なので、ぜひ勉強したいです(東京都/呼吸器内科/40代)日本全体として応援したほうが良いと思う(山形県/内科/30代)学生への講義に反映させます。(愛知県/病理診断科/50代)なかなか勉強する機会が少ないので楽しみにしています(埼玉県/循環器内科/40代)知識として持っていたいと思います(奈良県/耳鼻咽喉科/50代)ぜひ最新の診断,治療を知りたい(長崎県/循環器内科/50代)診察する機会は少ないが重要な臨床課題(静岡県/消化器内科/40代)日常診療で難病を思い浮かべ難いので学習したい。(神奈川県/乳腺外科/40代)まず知ることが大事と思う。(沖縄県/臨床研修医/30代)知らない病気は診断できない(大阪府/小児科/50代)知らなければ、疑わなければ助けられない。非常に医者にとって責任の重い疾患。(山形県/小児科/50代)希少疾患に対する認知の普及に期待します(石川県/消化器内科/40代)非専門医が実臨床で役立つ情報を期待します(奈良県/内科/40代)有識者の声、患者の声を参考にしたいと思う(京都府/血液内科/30代)顧みられにくい疾患への理解が深まることを願います(福岡県/病理診断科/20代)患者数が少ないほど情報も少ない。医療に関しては需要供給バランスでなく、少数であっても情報に対して需要があるので情報発信をしていただきたい。(長野県/整形外科/30代)難解になりがちな難病の講義ですが、わかりやすい解説を期待しています。(新潟県/皮膚科/30代)今後の治療展望を明らかにしてくれることを期待します(愛知県/腎臓内科/30代)知識の獲得で応援します。(茨城県/脳神経外科/50代)知識の再構築に使用したい。(京都府/呼吸器内科/30代)これを機にぜひ知識をブラッシュアップしたいと思います(千葉県/臨床研修医/30代)最新の知見解説で学習します 動画楽しみです(群馬県/内科/30代)そもそも疾患を知らないと診療できないので、しっかり学習していきたい(北海道/内科/20代)できるだけ勉強して困っている方を助けたいです。(長崎県/内科/60代)希少疾患の知見を得て治療に役立てたい(福岡県/その他/50代)最新の知見解説等で学習したいと思います。(神奈川県/内科/50代)エビデンスに基づいた臨床的知見を勉強したいです(佐賀県/臨床研修医/20代)一般啓発活動の参考にしたい(埼玉県/小児科/60代)医師の中でも認識されていないので、是非とも。(山口県/消化器内科/50代)忘れがち、見逃しがちの疾患を思い起こしたいと思います(神奈川県/糖尿病・代謝・内分泌内科/50代)少しでも症例が蓄積して集学的治療につながっていくことを願っています。(埼玉県/呼吸器外科/60代)自身の知見が少しでも増すことを期待しています。(新潟県/内科/60代)他に勉強できる機会があまりなく、今後の診療の参考にできればと思います。(岡山県/腎臓内科/40代)少なくとも、見逃しの無いようにしたい(大阪府/リハビリテーション科/60代)治療方法を患者に示すことが出来るので、助かります。(青森県/産婦人科/40代)深く理解でき、勉強になります。有難うございます。(岐阜県/腎臓内科/60代)応援します。参考になるサイトを開設してください。(徳島県/泌尿器科/40代)希少疾患の教科書として期待しています。(京都府/内科/50代)希少疾病・難病に対する最新の知見が周知できるとよいと思います(福井県/小児科/40代)日常診療に役立つ情報を共有する機会を作りましょう!(埼玉県/内科/50代)新たな展開が始まることを期待しています(東京都/神経内科/40代)情報共有することでより理解が進むことを期待します(静岡県/心臓血管外科/40代)難病、希少疾患の原因究明および有効な治療法開発に期待します。(佐賀県/麻酔科/40代)動画などの学習は繰り返しもしやすいので期待してます(三重県/眼科/40代)何とか勉強してしかるべき疾患の発見をしたいと思います。(青森県/内科/60代)知らないでは済まされない。(愛知県/精神科/30代)インパクトのある情報提供をお願いします。(青森県/小児科/60代)最新の知見を吸収するように努力したい。(北海道/耳鼻咽喉科/40代)未経験、未知の疾患について、知識を得たい。(静岡県/脳神経外科/60代)教科書では得られない希少疾患の患者さんの実生活(どんなことに困るのかなど)を、様々なメディアを通じて知るようにしたいと思います。(東京都/内科/40代)情報発信を期待しています(宮城県/内科/60代)どうしても専門分野に偏りますが最新の知見解説で学習したい。(大阪府/内科/60代)小さい病院なので診ることがすくないのですが、勉強させてください。(千葉県/整形外科/60代)是非日常診察の参考にさせて頂きたい(静岡県/内科/50代)ケアネットの希少疾患の特集は、極めて内容が良い(福島県/神経内科/70代以上)もしかしたら身近に存在するかもしれない希少疾患です。知識を持っておきたいのでぜひ教えてください。(滋賀県/乳腺外科/40代)希少疾患・難病の患者様がhappyになると良いと思います(神奈川県/神経内科/30代)希少疾患であっても苦しんでいる患者さんへの助けになればいいと思います(福岡県/内科/50代)意外に身近にいる希少疾患の見つけ方、ぜひ応援したい。(愛媛県/内科/50代)難病疾患について、正しい情報発信に期待しています。(神奈川県/皮膚科/60代)この機会に最新の知識をしっかり勉強したいと思います(東京都/眼科/30代)普段勉強する機会がすくないので、とてもありがたいです。(福岡県/麻酔科/40代)これを機にあまり知識のない稀な疾患を勉強します。(山口県/内科/50代)ライブラリーの数が増えるのが楽しみです。(東京都/循環器内科/40代)有意義な情報提供になると確信しています。(新潟県/内科/50代)徴候を見逃さないための勉強をしたいと思います。(大阪府/消化器外科/60代)自分の分野の難病の知識を深めていきたい。(広島県/精神科/30代)難しいですが頑張ってください(京都府/泌尿器科/30代)勉強して患者さんに役立てていきたいと思います。(大分県/精神科/40代)知識を身に着けるために参考にしたいです(神奈川県/消化器外科/50代)最新の動画配信にて学習します。(京都府/消化器外科/60代)発見することが、治療の第一歩と思います。動画で勉強したいと思います。(東京都/糖尿病・代謝・内分泌内科/20代)過去の難病の中には難病でなくなっている疾患もあるので、今後に期待しながら勉強させていただきます。(静岡県/その他/50代)少しでも手伝えるよう、情報の発信を(福岡県/小児科/40代)ぜひとも。この機会にに勉強させて欲しい。特集とか、機会作って下さい。(香川県/内科/40代)様々な症例報告の蓄積をきたいします。(静岡県/消化器外科/30代)希少疾患は疑うところから知るところからですので、知識の吸収に努めます。(愛知県/血液内科/30代)治療のある病気も増えてきているので,早期診断できるよう意識します.(東京都/神経内科/40代)難病について正しい疾患知識を発信して下さい。(東京都/皮膚科/30代)動画だと知識が入りやすいのでありがたいです(愛知県/呼吸器内科/30代)こういった企画はありがたいです。勉強させていただきたいと思います。(千葉県/脳神経外科/40代)興味深い内容を期待(神奈川県/腎臓内科/30代)診断に役立つコンテンツに期待します(東京都/小児科/30代)みなさんの関心が高まることを期待(東京都/循環器内科/30代)その他のコメントはこちら

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希少疾病ライブラリ

これらは、希少疾病に関してケアネットドットコムの会員医師から寄せられたご意見の一部です。このような先生方に少しでもお役に立てることを目指して、疾病の基本情報・診断・治療などを解説した「希少疾病ライブラリ」を立ち上げました。今後も随時、追加・更新していきますので、ぜひご活用ください。呼吸器科▼詳細はこちら循環器内科/心臓血管外科▼詳細はこちら消化器科▼詳細はこちら腎臓内科▼詳細はこちら糖尿病・代謝・内分泌科▼詳細はこちら血液内科▼詳細はこちら感染症内科▼詳細はこちら腫瘍科▼詳細はこちらアレルギー科▼詳細はこちら膠原病・リウマチ科▼詳細はこちら神経内科▼詳細はこちら精神科/心療内科▼詳細はこちら脳神経外科▼詳細はこちら外科/乳腺外科▼詳細はこちら整形外科▼詳細はこちら泌尿器科▼詳細はこちら産婦人科▼詳細はこちら小児科▼詳細はこちら皮膚科▼詳細はこちら耳鼻咽喉科▼詳細はこちら眼科▼詳細はこちら放射線科▼詳細はこちら麻酔科▼詳細はこちら救急科▼詳細はこちらリハビリテーション科▼詳細はこちら■掲載疾患についてわが国では、国内における患者数が5万人未満で、難病など重篤な疾病や医療上の必要性が高い疾病であることが、希少疾病用医薬品/医療機器の指定条件に挙げられています。本ライブラリでは、「希少疾病」について厳密には定義せず、「患者数が少なく、重篤な疾病や医療上の必要性が高い疾病」と考え、順次追加していく予定です。厚生労働省では、希少疾病などにさまざまな医療費助成の施策を行っています。代表的なものを下記に示しますが、各地方自治体の施策も用意されていますので、患者・家族等からお問い合わせがありました際は、「自治体の窓口にてご相談ください」とお伝えください。高額療養費制度を利用される皆さまへ小児慢性特定疾患情報センター先進医療の概要について

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第5回 サルコペニアを合併する高齢患者に必要な心リハとは?【今さら聞けない心リハ】

第5回 サルコペニアを合併する高齢患者に必要な心リハとは?今回のポイント高齢心不全患者では半数以上でサルコペニアを合併しているサルコペニアは生活の質を低下させるだけでなく、生命予後の不良因子である高齢心不全患者こそ、心リハでの積極的介入が重要第2回でも紹介しましたが、心臓リハビリテーション(以下、心リハ)は、現在、心筋梗塞や狭心症だけではなく心不全患者にも保険適用となっています。日本人口の高齢化に伴い、心不全患者が増加し続けており、2020年には120万人を超えると予想されています。最近の日本の急性心不全入院患者の多施設前向き研究では、心不全入院患者の年齢中央値は80歳でした1)。さて、読者の皆さまは、高齢の急性心不全入院患者に心リハを行うべきと考えるでしょうか? よく内科医の方から、『高齢の急性心不全患者では足腰の問題もあり、エルゴメータやトレッドミルの運動ができないので、心リハは適応外ではないですか?』『急性心不全入院患者では循環動態が不安定なので、できるだけ負担をかけないために安静にしているほうがいいのでは?』といった質問を受けます。果たして、高齢の急性心不全入院患者では安静が良いのでしょうか? このような患者は、退院後も運動療法が適応外なのでしょうか?心リハ=エルゴメータ運動ではない通常、心リハの運動療法では、大腿四頭筋群を中心に使う律動的な運動を行いやすいエルゴメータ運動が用いられます。しかし、当然ながらエルゴメータの上で座位を保持できるバランス力に加え、自転車こぎ運動ができる最低限の筋力・持久力が必要になります。エルゴメータでは負荷量を調整できますが、通常のエルゴメータには機器の重みとして最低10W(ワット)の負荷がかかります。このため、10Wの負荷で持久的な自転車こぎ運動ができる患者でなければ、通常のエルゴメータによる有酸素運動の適応にはなりません。高齢者に限らず、重症心不全患者などで運動耐容能が高度に低下し通常のエルゴメータ運動ができない場合には、椅子からの立ち上がり運動(スクワット)やつま先立ち運動(カーフレイズ)などのごく軽度の筋力トレーニングを行ってもらいます。このような筋力トレーニング5~10回を1セットとして1日に頻回に行う方法により、体幹・下肢の筋量増加を目指します(「少量頻回」の原則)。また、このような患者では、歩行をはじめ日常生活動作(ADL)が不安定な患者も多いので、歩行訓練や移乗訓練などADL訓練を行います。いわゆる廃用症候群のリハビリと似たトレーニング内容となりますが、心不全患者ではリスク管理が重要です。リハビリを実施する際には、心電図モニタリング・血圧・Borg指数を確認し、専門医の監督のもとで行います。急性心不全では安静臥床が適切か?急性心不全により循環動態が悪化している際には安静が必要です。病状によっては、トイレ動作ですら、さらなる循環動態の悪化を招くことがあります。しかし、最近では循環動態のモニタリング機器の性能が格段に向上し、循環器救急患者のリハ中のリスク管理が容易になりました。そのような中で、リスク管理下での超急性期リハの安全性や有効性が検討された結果、現在では急性心不全患者でも「初期治療により循環動態の改善が認められれば、速やかに心リハを開始すべきである」と考えられています。安静臥床は筋萎縮だけでなく、せん妄や・無気肺・肺炎・自律神経機能異常などの合併症を来しやすく、それらの合併症により、治療は一層複雑化してしまいます。したがって、超急性期の心リハでは、初期治療により循環動態および自覚症状の改善傾向を認めたら速やかに(できれば治療開始後48時間以内に)リハ介入し、ベッド上あるいはベッド周囲での運動を開始することを目指します。循環動態・自覚症状の速やかな改善は心不全患者の長期予後とも関連することが知られており、早期の循環動態改善を目指した治療薬も開発が進められています。これらの治療に並行した早期リハ介入は、とくにサルコペニアに陥りやすい高齢心不全患者にとって重要です。近年の臨床研究にて、心不全患者の体重減少、すなわちサルコペニアはADLを低下させるだけではなく、生命予後不良因子であることがわかっています2)。心リハでサルコペニアの進行を予防することは、心不全患者のADLのみならず生命予後にも関わる重要な介入であるといえます。とくに高齢心不全患者では同化抵抗性によりトレーニングを行っても筋肉量が増加しにくいことや社会的事情により回復期の通院心リハへ参加することが困難なことも多いため、入院中に低下した筋量・身体機能を退院後に回復させることは容易ではありません。介護を要する高齢患者の増加を防ぐために、また介護負担を少しでも軽減するために、入院中の心リハがカギとなると考えられます。最後に臨床の現場では、入院中に積極的なリハがないまま、退院日前日まで“原則安静”とされている心不全患者が多いようです。退院後、患者は必要に応じて身体を動かす必要がありますが、医師の大半はそれに無関心で、「きつい活動は控えましょう」の一言のみ。疾患管理において安静や運動制限が本当に重要と考えるのであれば、入院中から患者がどの程度の身体活動を症状・循環動態の悪化なく行えるのかを医学的に評価した上で、退院時に「あなたはここまでの活動は問題なくできますが、これ以上のきつい活動は控えてくださいね」というように具体的に指導するべきではないでしょうか。高齢者診療に関わる医療者は、安静のもたらす功罪について今以上に意識を高める必要がありそうです。<Dr.小笹の心リハこぼれ話>「心リハ=エルゴメータ運動ではない」と書きましたが、運動耐容能の低下した高齢心不全患者では通常のエルゴメータ運動が困難でも、ストレングスエルゴ8®(アシスト機能付きエルゴメータ)や、てらすエルゴ®(仰臥位用負荷量可変式エルゴメータ)などを用いれば、自転車こぎ運動が可能になることも多く、当院でもこれらの機器を用いて高齢心不全患者に対して有酸素運動の指導を行っています3)。また、当院では導入していませんが、アームエルゴ®など上肢を使うエルゴメータもあります。患者ごとに適切な運動の種類を検討することも運動処方のポイントです。運動に用いる器具はいくつかバリエーションを用意し、どのような器具を用いるのか、患者ごとに指導できると良いですね(図1)。画像を拡大する1)Yaku H, et al. Circ J. 2018;82:2811-2819.2)Anker SD, et al. Lancet. 2003;361:1077-1083.3)Ozasa N, et al. Circ J. 2012;76:1889-1894

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医師数32万7,210人、増えた科や多い都道府県は?―厚労省調査

 厚生労働省は19日、「医師・歯科医師・薬剤師統計」の最新結果を取りまとめ、公表した。それによると、全国の医師数は、32万7,210人で、前回調査(16年)に比べ2.4%増となり、一貫して増加傾向が続いている。このうち、女性医師は7万1,758人で、前回よりも6.3%増と大きく数字を伸ばし、過去最多を更新した。一方、医療施設に従事する医師の平均年齢は上がり続けており、診療所に従事する医師の平均年齢は初めて60歳代となり、高い年齢層が支えていることがわかる。 「医師・歯科医師・薬剤師統計」は、厚労省が2年おきに実施しており、今回は2018(平成30)年12月31日時点に調査を行ったもの。それによると、全国の医師数は32万7,210人(前回比で7,730人、2.4%増)、歯科医師数は10万4,908人(同375人、0.4%増)、薬剤師数は31万1,289人(同9,966人、3.3%増)であった。都道府県別にみた医師数が最も多いのは徳島県 医師数を男女別にみると、男性医師は25万5,452人(前回比で3,465人、1.4%増)、女性医師は7万1,758人(同4,265人、6.3%増)となっており、女性医師数の躍進が顕著であった。 医師のうち、医療施設従事者は31万1,963人(総数の95.3%)で、前回比で7,204人(2.4%)増加した。平均年齢は49.9歳。このうち、病院は44.8歳で前回調査時から0.3ポイント上昇し、診療所は60.0歳で前回から0.4ポイント上昇して、初めて60歳代となった。 主たる診療科別にみると、前回調査時より従事者が増えたのは、美容外科が最も多く(対前回比で130%)、以下、産科(同112%)、腎臓内科・救急科(同111%)、リハビリテーション科(同109%)などとなっている。一方、従事者が減ったのは、気管食道外科が最も多く(対前回比で94%)、以下、外科(同95%)、肛門外科(同97%)、内科・産婦人科・臨床検査科(同99%)などとなっている。なお、本稿で紹介した診療科別の統計結果においては「臨床研修医」や「不詳」および「その他」の回答はいずれも除外している。 従業地の都道府県別にみた医療施設に従事する人口10万人当たりの医師数は、全国では246.7人で、前回比で6.6人増加した。このうち、医師数が最も多いのは徳島県(329.5人)で、次いで京都府(323.3人)、高知県(316.9人)などとなっている。一方、最も少ないのは埼玉県(169.8人)で、次いで茨城県(187.5人)、千葉県(194.1人)などとなっている。

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要支援高齢者に対するリハビリテーション専門職主導の短期集中型自立支援プログラムの効果

 医療経済研究機構の服部 真治氏らは、介護保険サービスを利用する必要がなくなり、その利用を終了(介護保険サービスから卒業)するための短期集中型自立支援プログラムの有効性を評価した。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2019年10月17日号の報告。 短期集中型自立支援プログラムの構成は、一般的な通所型サービスCと同様であるが、今回のプログラムは、リハビリテーション専門職が中心となり、随時、管理栄養士、歯科衛生士も加わり、毎回20分間(状況に応じて10~30分間)の動機付け面談を実施することにより、利用者が自身の可能性に気付き、元の生活を取り戻すための日々の暮らし方を知り、意欲的に自分自身を管理できるようにすることを目的に開発されている。 大阪府寝屋川市にて、2群間並行ランダム化比較優越性試験を実施した。対象は、介護保険における要支援の認定を受けた65歳以上の高齢者のうち、参加同意が得られた介護保険サービス利用者。対象者は、短期集中型自立支援プログラムを追加で受ける介入群と通常の介護保険サービスのみを受ける対照群にランダムに割り付けられた。主要アウトカムは、介護保険サービスからの卒業とした。 主な結果は以下のとおり。・対象者375例は、介入群190例、対照群185例にランダムに割り付けられた。・介護保険サービスからの卒業の割合は、介入群11.1%、対照群3.8%であった(絶対差:7.3、95%CI:2.0~12.5)。・重篤な有害事象リスクは、両群間で差は認められなかった。 著者らは「本研究で開発した短期集中型自立支援プログラムの追加的な利用により、介護保険サービスからの卒業を促進できることが示唆された」としている。

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第4回 動脈硬化で死なないためには?【今さら聞けない心リハ】

第4回 動脈硬化で死なないためには?今回のポイント心血管疾患患者にとって、食習慣の改善は運動と同様に大切画一的な指導ではなく、病状に応じた栄養指導が重要動脈硬化疾患の予防には〇〇を断つべし!?動脈硬化予防に良い食事とは?本連載の第1~3回では、主に運動療法について書きましたが、今回は心疾患患者に対する栄養指導についてお話します。心臓リハビリテーション(以下、心リハ)において、心疾患患者は何を食べるべきか(あるいは何を食べないべきか)ということは、実は運動と同じくらい、あるいはそれ以上に大切と考えられています。わが国の心血管疾患の治療ガイドラインには、食事についての記載はほとんど認められません。わずかに、減塩や適正なカロリーの摂取についての記載があるのみです。一方、米国のガイドラインではかなり多くのページが食事・栄養に割かれており、総説や論文も多数、毎年のように出されています。日本がフィットネス後進国と言われていることは第1回でも話しましたが、実は運動だけではなく食事についても関心のある医師が少ない状況です。高血圧・糖尿病・脂質異常症・肥満などの生活習慣病の発症は、運動不足も関係しますが、食事が最も重要であるのは自明のことです。運動不足でも、食べなければ太れません。それでも、食事の根本的改善のないままに、各管理目標値を目指して薬物治療が開始されることが多いのではないでしょうか。では、動脈硬化の予防には実際どのような食事をとれば良いのでしょう。避けるべき食品はなんでしょうか。動脈硬化は、食事と運動だけでも改善できるのでしょうか?徹底的な食事療法と運動療法により冠動脈のプラーク(動脈硬化病変)が退縮することを実際に示した有名な臨床研究があります。カリフォルニア大学のOrnish氏らが1998年のJAMA誌に発表したもので、Ornish氏とその関係者は、現在もカリフォルニアを拠点にこの研究で示された有効性をもとに食事・運動療法の啓発活動を続けています。この研究では、中~高度の冠動脈疾患患者を「徹底的な食事療法・運動療法を行う介入群:28例」と、「ガイドラインで推奨されるレベルの食事療法・運動療法を行う対照群:20例」にランダムに割り付けし、冠動脈造影検査による冠動脈狭窄率の変化を5年間追跡しました。徹底的な食事療法とは、ホールフード・ベジタリアンダイエット、つまり未加工の野菜中心に油脂を使わず少ない調味料で調理するもので、脂質が占めるエネルギー量は全体の10%未満と非常に少ないものでした。また、介入群では食事療法とともに週5時間の有酸素運動を実施しました。一方、対照群でも食事中の脂質は30%未満に抑えられ、週3時間程度の有酸素運動を実施しました。1年後、介入群では37%の血清LDLコレステロール低下を認めるとともに評価部位の冠動脈の平均狭窄率が40%から37.8%に改善したのに対して、対照群ではLDLコレステロールは6%低下したものの、冠動脈の平均狭窄率は42.7%から46.1%に悪化しました。その後、対照群では過半数の患者において脂質異常症治療薬の内服が開始されましたが、5年後の両群の冠動脈狭窄率差はより顕著でした(介入群:37.3%、対照群:51.9%)。後に、同氏らはこのプログラムを冠動脈疾患の進行抑制だけではなく改善させるものとして、Intensive Cardiac Rehabilitation(包括型心リハ)と名付けています(図1)。(図1)画像を拡大するこの研究データには説得力があり、すでに1,854もの論文で引用されています(2019/11/21時点)。私の知る限り、ほかにはこのように明確に食事・運動療法の動脈硬化改善効果を示した研究はありません。Ornish食を続けるコツと適した人ホールフード・ベジタリアンダイエットは、いわゆる高血圧研究で有名なDASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)食とは異なり、乳製品や魚すらとりません。DASH食でさえ毎日続けるのは難しそうと感じた方には、よりハードルが高そうですが、研究に参加した患者の7割以上が、5年間この食事療法を継続できたようです。同氏によると、継続率が高いのは、これを実践した患者が速やかに自覚症状の改善を感じたからだそうです。ホールフード・ベジタリアンダイエットを本気で実践しようとすると、あれもこれも食べられませんし、それを理想と考えるなら、通常の入院食も不適切な食事です。それに、野菜は高いし調理も面倒…さまざまな事情により、実践を諦める人が多いでしょう。多くの患者にとって、同氏らの研究の中で対照群が実施したような、脂質30%未満という通常の診療で推奨されている一般的な食事療法が、許容できるぎりぎりのレベルかもしれません(一般的な食事療法でも、きっちりと指導を受け、さらに実践できている患者は多くないと思われます)。ただし、同氏の研究はあくまで中年の肥満型冠動脈疾患患者を対象にしたものであり、日本で診療する患者の多数派である高齢者を対象としていないことに注意が必要です。高齢の心疾患患者では低栄養のことも多く、そもそも野菜をかむ力すら衰えてしまっているようなオーラル・フレイルの患者も多いので、多量の野菜を摂取する必要のあるOrnish食は適応にならないでしょう。画一的な指導ではなく、患者の病状や生活環境に応じた指導が必要です。高齢の心疾患患者の場合には、少量でもしっかりとカロリーやタンパク質を補うことができるような食事のメニューを組む必要があります。これについては、第5回で詳しく説明しましょう。動脈硬化予防に食べてはいけない物最後に、“何を食べてはいけないか”―最近JACCで発表された心血管疾患予防のための栄養に関する臨床ガイドの記事を紹介します。ここでは、避けるべき食品、積極的に摂取すべき食品についてのリストとともに、詳細に記述されています。この臨床ガイドの中で、避けるべき食品としてまず挙げられているのが、「砂糖」。とくに果糖ブドウ糖液糖をはじめとする合成糖類です。砂糖の1日摂取量上限は25gまで、合成糖類は基本とらない、甘い飲料は飲んではいけないことが、エビデンスとともに記されています。詳しくリストを確認したい方は、原著をお読みください。塩のとり過ぎは高血圧を発症させるので減塩が大切ということは広く知られていますが、砂糖のとり過ぎに気を付けることも大事なのですね。ちなみに、私は甘いお菓子が大好きです。こうした情報を知ってからは、なるべく気を付けるようにしています…が、さっき頂き物のクッキーの小袋を食べてしまいました(汗)。徹底的な食事療法の実践は、なかなか難しいですね。「moderation kills」という言葉がありますが、よほどの決心がつかないと、「なるべく気を付ける」くらいの食事療法で満足してしまいそうです。読者の皆さまは、いかがでしょうか?<Dr.小笹の心リハこぼれ話>医師による栄養指導と真の対価心リハのメインは運動、食事は重要だけれど補助的役割。運動処方は医師がチェックするけれど、栄養指導は管理栄養士任せ…。心リハに携わり始めた頃は、正直、栄養については知識不足でした。そのため、患者さんに聞かれても、「塩分に気を付けてバランスの良い食事をとりましょう、具体的には栄養指導で聞いてくださいね」という、間違ってはいないものの何にも具体性がないことしか言えませんでした。現在、医学部には栄養学の講義はほとんどありません。栄養指導は管理栄養士任せという医師は多いと思われます。しかし、長年心リハで患者指導をするうちに、運動だけではだめなんだ、と気付かされるようになりました。毎日2時間も速歩でウォーキングしていてもHbA1cが8%を下回らない糖尿病患者さん、外来心リハに週3回通い、かつ自宅でも指導通り運動しているのに体重がまったく変わらないどころか逆に増えるような肥満患者さん。これらの患者さんたちは、明らかに食事に問題があるのです。今では、心リハの患者さんの栄養指導も管理栄養士にすべてお任せではなく、管理栄養士と一緒に個々の症例について介入ポイントを話合っています。それにしても、運動だけではなく、栄養指導や心リハで重要な心理ケア(ストレスマネジメントプログラム:SMP)について、1回1時間の心リハで行うことは時間的にかなり厳しいものがあります。今回紹介したOrnish氏の心リハプログラムは、米国で保険適応とされています。通常の心リハプログラムが1回1時間、週3回、12週間(合計36時間)の運動を中心としたものであるのに対して、包括型心リハでは1回4時間で運動、栄養指導、SMPを各1時間、そして残りの1時間がグループでの対話セッションで構成され、週2回、9週間(合計72時間)というもののようです(図1)。このような心リハを日本で実践するには、診療報酬制度の見直し、そして心リハを支えるマンパワーが必要です。日本でIntensive Cardiac Rehabilitation(包括型心リハ)を実現するには、今以上にコストがかかるということですね。でも、その投資は、冠動脈疾患の再発や悪化によりPCIやCABGなどの血行再建術を実施するコストに比べたら、十分価値があるのではないでしょうか。何より、患者さんにとっては疾患の再発や悪化がないことこそがHappyですよね!

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脊髄小脳変性症〔SCD : spinocerebellar degeneration〕

1 疾患概要■ 概念・定義脊髄小脳変性症は、大きく遺伝性のものと非遺伝性のものに分けられる。非遺伝性のものの半分以上は多系統萎縮症であり、多系統萎縮症では小脳症状に加えてパーキンソン症状(体の固さなど)や自律神経症状(立ちくらみ、排尿障害など)を伴う特徴がある。また、脊髄小脳変性症のうち、遺伝性のものは約3分の1を占め、その中のほとんどは常染色体優性(顕性)遺伝性の病気であり、その多くはSCA1、SCA2などのSCA(脊髄小脳失調症)という記号に番号をつけた名前で表される。SCA3型は、別名「Machado-Joseph病(MJD)」と呼ばれ、頻度も高い。常染色体性劣性(潜性)遺伝形式の脊髄小脳変性症は、頻度的には1.8%とまれであるにもかかわらず、数多くの病型がある。近年、それらの原因遺伝子の同定や病態の解明も進んできており、疾患への理解が深まってきている。多系統萎縮症は一般的に重い病状を呈し、進行がはっきりとわかるが、遺伝性の中には進行がきわめてゆっくりのものも多く、ひとまとめに疾患の重症度を論じることは困難である。一方で、脊髄小脳変性症には痙性対麻痺(主に遺伝性のもの)も含まれる。痙性対麻痺は、錐体路がさまざまな原因で変性し、強い下肢の突っ張りにより、下肢の運動障害を呈する疾患の総称で、家族性のものはSPG(spastic paraplegia)と名付けられ、わが国では遺伝性ではSPG4が最も多いことがわかっている。本症も小脳失調症と同様に、最終的には原因別に100種類以上に分けられると推定されている。細かな病型分類はNeuromuscular Disease CenterのWebサイトにて確認ができる。■ 症状小脳失調は、脊髄小脳変性症の基本的な特徴で、最も出やすい症状は歩行失調、バランス障害で、初期には片足立ち、継ぎ足での歩行が困難になる。Wide based gaitとよばれる足を開いて歩行するような歩行もみられやすい。そのほか、眼球運動のスムーズさが損なわれ、注視方向性の眼振、構音障害、上肢の巧緻運動の低下なども見られる。純粋に小脳失調であれば筋力の低下は見られないが、最も多い多系統萎縮症では、筋力低下が認められる。これは、錐体路および錐体外路障害の影響と考えられる。痙性対麻痺は、両側の錐体路障害により下肢に強い痙性を認め、下肢が突っ張った状態となり、足の曲げにくさから足が運びにくくなり、はさみ歩行と呼ばれる足の外側を擦るような歩行を呈する。進行すると筋力低下を伴い、杖での歩行、車いすになる場合もある。脊髄が炎症や腫瘍などにより傷害される疾患では、排尿障害や便秘などの自律神経症状を合併することが多いが、本症では合併が無いことが多い。以下、本稿では次に小脳失調症を中心に記載する。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 鑑別診断小脳失調症については、治療可能なものを調べる必要がある。治療可能なものとして、橋本脳症が多く混ざっていることがわかってきており、甲状腺機能が正常かどうかにかかわらず、抗TPO抗体、抗TG抗体陽性例の測定が必要である。陽性時には、診断的治療としてステロイドパルス療法などの免疫療法の反応性を確認する必要がある。ステロイド治療に反応すれば橋本脳症とするのが妥当であろう。その他にもグルテン失調症などの免疫治療に反応する小脳失調症も存在する。また、抗GAD抗体陽性の小脳失調症も知られており、測定する価値はある。悪性腫瘍に伴うものも想定されるが、実際に悪性腫瘍の関連で起こることはまれで、腫瘍が見つからないことが多い。亜急性の経過で重篤なもの、オプソクローヌスやミオクローヌスを伴う場合には、腫瘍関連の自己抗体が関連していると推定され、悪性腫瘍の合併率は格段に上がる。男性では肺がん、精巣腫瘍、悪性リンパ腫、女性では乳がん、子宮がん、卵巣がんなどの探索が必要である。ミトコンドリア病(脳筋症)の場合も多々あり、小脳失調に加えて筋障害による筋力低下や糖尿病の合併などミトコンドリア病らしさがあれば、血清、髄液の乳酸、ピルビン酸値測定、MRS(MRスペクトロスコピー)、筋生検、遺伝子検査などを行うことで診断が可能である。劣性遺伝性の疾患の中に、ビタミンE単独欠乏性運動失調症(ataxia with vitamin E deficiency : AVED)という病気があり、本症は、わが国でも見られる治療可能な小脳変性症として重要である。本症は、ビタミンE転送蛋白(α-tocopherol transfer protein)という遺伝子の異常で引き起こされ、ビタミンEの補充により改善が見られる。一方、アルコール多飲が見られる場合には、中止により改善が確認できる場合も多い。フェニトインなど薬剤の確認も必要である。おおよそ小脳失調症の3分の1は多系統萎縮症である。まれに家族例が報告されているが孤発例がほとんどである。通常40代以降に、小脳失調で発症することが多く、初発時にもMRIで小脳萎縮や脳血流シンチグラフィー(IMP-SPECT)で小脳の血流低下を認める。進行とともに自律神経症状の合併、頭部MRIで橋、延髄上部にT2強調画像でhot cross bun signと呼ばれる十字の高信号や橋の萎縮像が見られる。SCAの中ではSCA2に類似の所見が見られることがあるが、この所見があれば、通常多系統萎縮症と診断できる。さらに、小脳失調症の3分の1は遺伝性のものであるため、遺伝子診断なしで小脳失調症の鑑別を行うことは難しい。遺伝性小脳失調症の95%以上は常染色体性優性遺伝形式で、その80%以上は遺伝子診断が可能である。疾患遺伝子頻度には地域差が大きいが、わが国で比較的多く見られるものは、SCA1、 SCA2、 SCA3(MJD)、SCA6、 SCA31であり、トリプレットリピートの延長などの検査で、それぞれの疾患の遺伝子診断が可能である。常染色体劣性遺伝性の小脳失調症は、小脳失調だけではなく、他の症状を合併している病型がほとんどである。その中には、末梢神経障害(ニューロパチー)、知的機能障害、てんかん、筋障害、視力障害、網膜異常、眼球運動障害、不随意運動、皮膚異常などさまざまな症候があり、小脳失調以上に身体的影響が大きい症候も存在する。この中でも先天性や乳幼児期の発症の疾患の多くは、知能障害を伴うことが多く、重度の障害を持つことが多い。小脳失調が主体に出て日常生活に支障が出る疾患として、アプラタキシン欠損症(EAOH/AOA1)、 セナタキシン欠損症(SCAR1/AOA2)、ビタミンE単独欠乏性運動失調症(AVED)、シャルルヴォア・サグネ型痙性失調症(ARSACS)、軸索型末梢神経障害を伴う小脳失調症(SCAN1)、 フリードライヒ失調症(FRDA)などがある。このうちEAOH/AOA1、SCAR1/AOA2、 AVED、ARSACSについては、わが国でも見られる。遺伝性も確認できず、原因の確認ができないものは皮質小脳萎縮症(cortical cerebellar atrophy: CCA)と呼ばれる。CCAは、比較的ゆっくり進行する小脳失調症として知られており、小脳失調症の10~30%の頻度を占めるが、その病理所見の詳細は不明で、実際にどのような疾患であるかは不明である。本症はまれな遺伝子異常のSCA、多系統萎縮症の初期、橋本脳症などの免疫疾患、ミトコンドリア病などさまざまな疾患が混ざっていると推定される。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)小脳失調症の治療は、正確な原因診断に関わっている。上記の橋本脳症、GAD抗体小脳失調、そのほかグルテン失調症など他の自己抗体の関与が推定される疾患もあり、原因不明であれば、一度はステロイドパルスをすることも検討すべきであろう。ミトコンドリア病では、有効性は確認されていないがCoQ10、L-アルギニンなども治療薬の候補に挙がる。ミトコンドリア脳筋症、乳酸アシドーシス、脳卒中様発作症候群(MELAS)においてはタウリンの保険適用も認められ、その治療に準じて、治療することで奏功できる例もあると思われる。小脳失調に対しては、保険診療では、タルチレリン(商品名: セレジスト)の投与により、運動失調の治療を試みる。また、集中的なリハビリテーションの有効性も確認されている。多系統萎縮症の感受性遺伝子の1つにCoQ2の異常が報告され、その機序から推定される治療の臨床試験が進行中である。次に考えられる処方例を示す。■ SCDの薬物療法(保険適用)1) 小脳失調(1) プロチレリン(商品名:ヒルトニン)処方例ヒルトニン®(0.5mg) 1A~4A 筋肉内注射生理食塩水(100mL) 1V 点滴静注2週間連続投与のあと、2週間休薬 または 週3回隔日投与のどちらか。2mg投与群において、14日間連続投与後の評価において、とくに構音障害にて、改善を認める。1年後の累積悪化曲線では、プラセボ群と有意差を認めず。(2) タルチレリン(同:セレジスト)処方例セレジスト®(5mg)2T 分2 朝・夕食後10mg投与群において、全般改善度・運動失調検査概括改善度で改善を認める。28週後までに構音障害、注視眼振、上肢機能などの改善を認める。1年後の累積悪化曲線では、プラセボ群と有意差を認めず。(3) タンドスピロン(同:セディール)処方例セディール®(5~20mg)3T 分3 朝・昼・夕食後タンドスピロンとして、15~60mg/日有効の症例報告もあるが、無効の報告もあり。重篤な副作用がなく、不安神経症の治療としても導入しやすい。2) 自律神経症状起立性低血圧(orthostatic hypotension)※水分・塩分摂取の増加を図ることが第一である。夜間頭部挙上や弾性ストッキングの使用も勧められる。処方例(1) フルドロコルチゾン(同:フロリネフ)〔0.1mg〕 0.2~1T 分1 朝食後(2) ミドドリン(同:メトリジン)〔2mg〕 2~4T 分3 毎食後(二重盲検試験で確認)(3) ドロキシドパ(同:ドプス)〔100mg〕 3~6T 分3 毎食後(4) ピリドスチグミン(同:メスチノン)〔60mg〕 1T/日■ 外科的治療髄腔内バクロフェン投与療法(ITB療法)痙性対麻痺患者の難治性の症例には、検討される。筋力低下の少ない例では、歩行の改善が見られやすい。4 今後の展望多系統萎縮症においてもCoQ2の異常が報告されたことは述べたが、CoQ2に異常がない多系統萎縮症の例のほうが多数であり、そのメカニズムの解析が待たれる。遺伝性小脳失調症については、その原因の80%近くがリピートの延長であるが、それ以外のミスセンス変異などシークエンス配列異常も多数報告されており、正確な診断には次世代シークエンス法を用いたターゲットリシークエンス、または、エクソーム解析により、原因が同定されるであろう。治療については、抗トリプレットリピートまたはポリグルタミンに対する治療研究が積極的に行われ、治療薬スクリーニングが継続して行われる。また、近年のアンチセンスオリゴによる遺伝子治療も治験が行われるなど、遺伝性のものについても治療の期待が膨らんでいる。そのほか、iPS細胞の小脳への移植治療などについてはすぐには困難であるが、先行して行われるパーキンソン病治療の進展を見なければならない。患者iPS細胞を用いた病態解析や治療薬のスクリーニングも大規模に行われるようになるであろう。5 主たる診療科脳神経内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 脊髄小脳変性症(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)Neuromuscular Disease Center(医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報全国脊髄小脳変性症・多系統萎縮症友の会(患者、患者家族向けの情報)1)水澤英洋監修. 月刊「難病と在宅ケア」編集部編. 脊髄小脳変性症のすべて. 日本プランニングセンター;2006.2)Multiple-System Atrophy Research Collaboration. N Engl J Med. 2013; 369: 233-244.公開履歴初回2014年07月23日更新2019年11月27日

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今シーズンのインフルエンザ診療の動向は?

結果概要ここ数年、過去最大規模の流行を繰り返すインフルエンザだが、今年は早くも流行が始まっている。現場での診療方針はどのような傾向にあるのだろうか。ケアネットでは先月、会員医師を対象に「今シーズンのインフルエンザ診療について」のアンケートを行い、325人から回答を得た。アンケートでは、早期流行の実感、迅速診断キットの使用頻度、抗インフルエンザウイルス薬の処方頻度、外来での抗インフル薬の選択について答えていただいた。主な結果は、以下のとおり。6割超の医師が、インフルエンザの早期流行を実感している約8割の医師が、迅速診断キットと抗インフル薬をほぼ全例に使用最も処方頻度が高い抗インフル薬はオセルタミビル、次いでザナミビル集計結果の詳細と、寄せられたご意見を以下にまとめた。62%の医師が、早期流行を実感している厚生労働省により、例年より早期の流行開始が報告されたが、実臨床ではどう感じているのだろうか。アンケート回答の結果を見ると、62%の医師がインフルエンザの早期流行を「実感している」と答えた。早期流行は、臨床現場の感覚ともおおむね一致していることが示された。迅速診断キットはほぼ全例に使用されるが、「不要」という意見も「外来でのインフルエンザ診断に、どのくらい迅速診断キットを使用しますか」という設問に対しては、「インフルエンザが疑われる患者のほぼ全員に使用する」と答えた医師が78%に上った。次いで、「ほかの重篤疾患との鑑別など、必要性が高い場合のみ使用する」(13%)、「患者から希望があった場合のみ使用する」(7%)、という結果だった。迅速診断キットについて、日本医師会は「検査は必ずしも全例に実施する必要はない」との見解1)を示しているが、現場に広く受け入れられるには時間がかかりそうだ。インフルエンザのほぼ全例に抗インフル薬が処方次に、「抗インフル薬の外来処方についてお聞かせください」という問いに対し、77%の医師が「発症後48時間以内と想定される患者のほとんどに、抗インフル薬を処方する」と答えた。「高リスク患者には抗インフル薬を処方するが、低リスク患者にはなるべく処方しない」は17%、「抗インフル薬は基本的に処方しない」は5%だった。オセルタミビルの次に多いのはザナミビル薬剤選択に関しては、オセルタミビル(商品名:タミフル)が最も多く61%、次いでザナミビル(同:リレンザ)22%、ラニナミビル(同:イナビル)7%、バロキサビル(同:ゾフルーザ)6%、ペラミビル(同:ラピアクタ)1%という回答結果となった。「処方しない」と答えた医師は3%に留まった。2018年に10代への使用制限が解除され、経口投与かつ剤形選択ができるオセルタミビルを第1候補とする医師が多いと考えられる。高リスク患者にはペラミビル、インフル疑い・48時間経過例には麻黄湯かさらに、「前問で選択した薬剤以外の抗インフル薬を処方するのは、どのような場合ですか?」という記述形式の設問に対しては、「年齢(小児・高齢者など)」、「経口/吸入の可否」、「予防投与の場合」、「妊娠の有無」、「患者アドヒアランス」、「アレルギーや副作用などの既往歴」、「患者負担(経済面)」など、患者の希望や状況によって、処方を調整しているという声が多数寄せられた。また、入院症例や重症例などの高リスク群には、ペラミビルを処方するという意見が多かった。このほか、アンケートの選択肢にはなかったが、麻黄湯を積極的に使うという意見も見られた。全身状態が安定している人や理解がしっかりしている人には説明後、麻黄湯を処方することがある。(小児科・40代・岡山県)症状が強い症例には麻黄湯を併用している。周囲の発生状況を確認している。(内科・50代・高知県)偽陰性を疑う場合は麻黄湯を使う。(内科・50代・京都府)48時間以上経過した場合は麻黄湯を選択する。(循環器内科・60代・埼玉県)耐性ウイルスや、全例における薬物治療に対する懸念の声も最後に、日頃のインフルエンザ診療で取り組んでいる工夫や、困っている点について尋ねたところ、さまざまな意見が寄せられたので、その中から一部を抜粋して紹介する。診療での工夫に関しては、30~40代の医師による意見が目立った。不要な抗インフル薬の処方は減らすよう、心掛けている。(呼吸器内科・30代・大分県)小児症例では危険度が高いと判断し、小児科に受診を勧めている。(内科・40代・大阪府)今年は院内発生があり、感染拡大予防に努めている。(消化器内科・30代・広島県)一方、困っている点に関しては、耐性ウイルスを気にする声が多かった。12歳以下の小児ではザナミビル吸入やオセルタミビルを投与する方針である。(循環器内科・60代・福岡県)耐性ウイルスが疑われ、いったん解熱した患者が再発熱した場合の対応に困る。(消化器内科・50代・愛知県)耐性を気にするが、どちらかというと皆さんが苦しいのを少しでも和らげたいと思うので、効果が出るものを処方したい。(内科・50代・長野県)さらに、抗インフル薬を使用した薬物治療については、疑問の声も挙がった。本当に全症例に抗インフル薬が必要か疑問に思っている。対症療法の方が免疫獲得できていいような気もする。(その他・50代・静岡県)軽症インフルエンザの扱いには疑問を感じることもある。(放射線科・40代・京都府)インフルエンザ診療における情報は、治療薬の選択肢が増えたり、使用上の注意が改訂されたりと、シーズンを問わず更新されている。今年の流行ピークが訪れる前に、最新の情報を確認して、万全の体制で臨みたいところだ。アンケート概要タイトル今シーズンのインフルエンザ診療についてお聞かせください実施日2019年10月28~11月3日調査方法インターネット対象ケアネット会員医師(有効回答数:325人)【分類詳細】内科系:内科、神経内科、循環器内科、消化器内科、血液内科、呼吸器内科、糖尿病・代謝・内分泌内科、腎臓内科、感染症内科、心療内科、総合診療科外科系:外科、整形外科、消化器外科、形成外科、脳神経外科、心臓血管外科、呼吸器外科、乳腺外科その他:小児科、精神科、放射線科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、眼科、皮膚科、産婦人科、泌尿器科、麻酔科、救急科、腫瘍科、臨床研修医アンケート調査にご協力いただき、ありがとうございました。参考1)インフルエンザ診療で不要なこと:医師会の見解今季インフルエンザ治療のポイントとは?東京都でインフルエンザ流行開始、昨年比で3ヵ月早くゾフルーザに低感受性の変異株に関する調査結果ゾフルーザに「使用上の注意」の改訂指示

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骨パジェット病〔Paget disease〕

1 疾患概要■ 概念・定義骨パジェット病は、1877年、英国のSir James Pagetが変形性骨炎(osteitis deformans)として初めて詳細に報告した。限局した骨の局所で、異常に亢進した骨吸収と、それに続く過剰な骨形成が生じる結果、骨の微細構造の変化と疼痛を伴い、骨の肥大や弯曲などの変形が徐々に進行し、同時に罹患局所の骨強度が低下する疾患である。1ヵ所(単骨性)の骨が罹患する場合と複数ヵ所(多骨性)の場合がある。■ 疫学発症年齢は大半が40歳以降で、年齢とともに頻度が上昇する。発症頻度に明らかな人種差があり、欧米などは比較的頻度が高い(0.1~5%の有病率)が、アジアやアフリカ地域では、有病率がきわめて低い。わが国の有病率は100万人に2.8人ときわめて低い。わが国の患者の平均年齢は64.7歳で、90%以上が45歳以上であり、55歳以上では有病率が人口10万人あたり0.41人と上昇する。高齢者に多いこの年齢分布様式は欧米と大差がない。家族集積性に関しては日本では6.3%と、ほとんどの骨パジェット病の患者が散発性発症であり、欧米での15~40%程度と比較して少ない。また、多数の無症状例潜在の可能性がある。■ 病因骨パジェット病の病因は不明で、ウイルス説、遺伝子異常が考えられている。1970年代に、破骨細胞核内にウイルスのnucleocapsidに似た封入体が発見され、免疫組織学的にも麻疹、RS (respiratory syncytial)ウイルスの抗原物質が証明され、遅延性ウイルス感染説が考えられたが、明確な結論に至っていない。一方、破骨細胞の誘導や機能促進に関与するいくつかの遺伝子異常が、高齢者発症の通常型、早期発症家族性、またはミオパチーと認知症を伴う症候性の骨パジェット病患者に確認されている。好発罹患部位は体幹部と大腿骨であり、これらで75~80%を占める(骨盤30~75%、脊椎30~74%、頭蓋骨25~65%、大腿骨25~35%)。単骨性と多骨性について、わが国では、ほぼ同程度の頻度である。ほかに、脛骨、肋骨、鎖骨、踵骨、顎骨、手指、上腕骨、前腕骨など、いずれの部位も罹患骨となりうる。この分布は欧米と差はない。■ 症状1)無症状X線検査や血液検査で偶然発見される場合も多い。欧米では無症候性のものが多く、有症状の患者は、多い報告でも約30%程度だが、わが国の調査では75%が有症候性であった。2)疼痛最も多い症状は疼痛であり、罹患骨由来の軽度~中等度の持続的骨痛がみられ、夜間に増強する傾向がある。下肢骨では歩行で増強する傾向がみられる。疼痛部位は腰痛、股関節痛、殿部痛、膝関節痛の順に頻度が高い。3)変形疼痛の次に多い症状は、外観上の骨格変形であり、サイズの増大(例:頭)や弯曲変形(例:大腿骨、亀背)がみられ、頭蓋骨、顎骨、鎖骨など目立つ部位の腫脹、肥大や大腿骨の弯曲をみる。顎骨変形に伴い、噛み合わせ異常や開口障害といった歯科的障害を伴うこともある。4)関節障害・骨折・神経障害関節近傍の変形では、二次性の変形性関節症を生じる。長管骨罹患の場合、凸側ではfissure fractureと呼ばれる長軸に垂直な骨折線が全径に広がり、chalkを折ったような横骨折を起こすことがある。わが国の調査では、大腿骨罹患患者の約2割強に骨折が生じている。これは、欧米の骨折率に比して著しく高い。また、変形に伴い、神経障害(例:頭蓋骨肥厚で脳神経圧迫、圧迫骨折で脊髄圧迫)がみられ、難聴、視力障害や脊柱管狭窄症などがみられることがある。5)循環器症状循環器症状は、病変骨の血流増加や動静脈シャントによる動悸、息切れ、全身倦怠感を来し、広範囲罹患例では高送血性心不全がみられる。■ 予後まれだが、罹患骨で骨肉腫や骨原発悪性線維性組織球腫など悪性腫瘍の発生がある。その頻度は欧米で0.1~5%、わが国の調査では1.8%である。したがって、経過中に罹患部位の疼痛増強を来した場合や血清学的な悪化を来した場合には、常に悪性腫瘍の可能性を考えておく必要である。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)基本的に単純X線像で診断可能な疾患である(図)。X線像は骨吸収と硬化像の混在、骨皮質の粗な肥厚が一般的であるが、初期病変の骨吸収の著明な亢進があり、まだ骨形成が生じていない時期には、長管骨ではV字状骨吸収(割れたガラス片先端のような骨透過像)と、頭蓋骨ではosteoporosis circumscripta (境界明瞭なパッチ状の吸収像)が特徴的である。その後、骨梁の粗造化と呼ばれる、大きく太い海綿骨の出現や皮質骨の肥厚、骨硬化像がみられ、骨吸収像の部位と混在して存在するようになり、骨の横径や前後径が増加し骨輪郭が拡大する。頭蓋骨では斑点状の骨硬化像と骨吸収像の混在がみられ、綿帽子状(cotton wool appearance)を呈する。これらの多くの変化の中で、診断上、役立つのは骨吸収像ではなく、旺盛な骨形成による骨幅の拡大という形態上の変化であり、特徴的な所見である。骨シンチグラフィーは、病変部に病勢を反映する強い集積像を示す。画像により鑑別すべき疾患は、前立腺がん、乳がんの骨転移や骨硬化をもたらす骨系統疾患である。生化学的には血清アルカリフォスファターゼ(ALP)値とオステオカルシン上昇(骨新生)、尿中ヒドロキシプロリン(HP)値の上昇(骨吸収)が疾患の分布と活動性によりみられる(活動度は尿中HP値が血清ALP値より敏感)。また、骨形成指標の骨型ALP (BAP)と骨吸収マーカーの尿中N-telopeptide of human type collagen (NTX)、C-telopeptide of human type I collagen (CTX)、デオキシピリジノリン(DPD)値は高値を示す。病変が小さい場合は、ALP値が正常範囲のこともあり、わが国の調査で10.4%、欧米でも15%の患者がALP正常である。病理組織像では、多数の破骨細胞による骨吸収と、骨芽細胞の増生による骨形成が混在し、骨梁は層板が不規則になりcement lineを無秩序に形成し、モザイクパターンを示す。画像を拡大する3 治療 (治験中・研究中のものも含む)治療は疼痛や、破骨細胞を標的とした薬物療法、変形に対する装具療法、変形や骨折に対する手術療法が考えられる。■ 薬物療法疼痛には消炎鎮痛薬を使用する。最初の病態は破骨細胞による骨吸収亢進であり、破骨細胞の機能を抑制する、カルシトニン、ビスホスホネートなどの薬剤があるが、カルシトニンを第1選択に使用することはない。ビスホスホネートは日本では第一世代のエチドロン酸ナトリウム(商品名:ダイドロネル)の使用が認められ、最初に広く用いた治療薬だが、現在、第1選択薬に使用することはない。欧米では第二、第三世代のビスホスホネート製剤を主に治療に使用している。わが国では2008年7月に、リセドロン酸ナトリウム(同:ベネットなど) 17.5mg/日の56日連続投与が認可され、ようやく骨パジェット病患者の十分な治療ができるようになったが、現在、保険適用されている第二世代以降のビスホスホネート製剤は、リセドロン酸ナトリウムのみであり、他のビスホスホネートは適用されていない。しかし、リセドロン酸ナトリウムに対して低反応性の症例に、他のビスホスホネートで奏効した報告や、抗RANKL抗体のデノスマブ(同:ランマーク)の方がビスホスホネートより優れている報告もあり、抗RANKL抗体ではないがRANKL-RANK経路を抑制するosteoprotegerin(OPG)のrecombinant体を若年性多骨性の骨パジェット病に投与した報告もある。■ 手術療法長管骨の骨折、二次性変形性関節症、脊柱管狭窄症などに手術を行うこともある。4 今後の展望骨パジェット病のほか、骨粗鬆症やがんの骨転移にも破骨細胞が関与している。これらの疾患では、破骨細胞の活動が亢進しており、それによって、それぞれの疾患がつくり上げられている。現在、破骨細胞の活動を抑制する薬剤には、ビスホスホネートと抗RANKL抗体であるデノスマブ(商品名:ランマーク※)、抗RANKL抗体ではないが、RANKL-RANK経路を抑制するosteoprotegerin(OPG)などがあり、これら薬剤の骨パジェット病に対する有効例の報告がある。今後、治療法の選択肢を増やす意味でも治験の実施、保険の適応などに期待したい。※ 骨パジェット病には未承認5 主たる診療科整形外科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 骨パジェット病(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)1)橋本淳ほか. Osteoporosis Japan. 2007;15:241-245.2)高田信二郎ほか. Osteoporosis Japan. 2007;15:246-249.3)Takata S, et al. J Bone Miner Metab. 2006;24: 359-367.4)平尾眞. CLINICAL CALCIUM. 2011;21:1231-1238.公開履歴初回2013年02月28日更新2019年11月12日

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Dr.白石のLet's エコー 運動器編

第1回 外来超音波診療の実際第2回 MPS(筋膜性疼痛症候群)第3回 エコーガイド下穿刺第4回 肩こり第5回 腰臀部痛(前編)「特異的圧痛点」第6回 腰臀部痛(後編)「筋膜性疼痛症候群」第7回 五十肩(前編)第8回 五十肩(後編)第9回 膝痛 「肩が痛い」、「腰が痛い」、「膝が痛い」・・・そんな訴えをしてくる外来患者に湿布と痛み止めの処方だけで終わらせていませんか?外来超音波診療の達人Dr.白石が、外来で行う運動器 エコーの診療について、実技や実際の診療映像を用い、解説します。エコーのあて方や画像診断はもちろんのこと、身体診察、治療、フォローアップまでをしっかりとカバー。さらに痛みを軽減する手技”ハイドロリリース/Hydrorelease”の方法やコツについても詳しくお教えします。明日からの外来でちょっとエコーをあててみませんか?あなたの外来がガラリと変わります。第1回 外来超音波診療の実際初回は外来法音波診療の実際について解説します。外来のどのような場面で超音波が使えるか、あるいはどのように使えばいいのか、実際の症例の映像を使用しながら解説します。腰痛はもちろん、肋骨骨折、粉瘤、痛風、ばね指など、外来のさまざまな場面で超音波を使って診断、治療ができます。第2回 MPS(筋膜性疼痛症候群)今回はMPS:Myofascial Pain Syndrome(筋膜性疼痛症候群)についてです。MPSの定義や診断基準、トリガーポイントについて、詳しくお教えします。なぜ痛みが発生するのか、関連痛はどのようにして起こるのかをまずはしっかりと確認しましょう。そのうえで、痛みを取るために行う治療、エコー下のFascia(ファシア)を液体でリリースするHydroreleaseについて、実際の症例の映像を見ながら解説します。第3回 エコーガイド下穿刺今回はエコーガイド下で行う穿刺について実技を交えて解説します。さらには、穿刺や異物除去の練習の実際もレクチャー。明日からの超音波診療のためにまずは練習してみませんか?さらには、外来でのプローブの選択や使い方まで、Dr.白石の豊富な経験をもとにお教えします。第4回 肩こりさて、いよいよそれぞれの症状に合わせた診療について入っていきます。肩こりを訴える人は多いもの。しかしながら、これといった治療を行うことはないのが現状ではないでしょうか?そこで外来超音波診療です。今回は肩の筋肉の触診の仕方から、エコーのあて方・見方、Hydroreleaseによる治療、そして、その後の生活指導まで。Dr.白石が実技を交えてしっかりとお教えします。エコーを用いることによって、どこの筋肉が発痛源かがわかり、その治療は即時的な効果を得ることができます。ぜひ、明日からの診療に取り入れてみませんか?第5回 腰臀部痛(前編)「特異的圧痛点」腰痛を訴える患者の80~85%程度は、非特異的腰痛、すなわち、原因のわからない腰痛だと言われています。実は、その非特異的腰痛の多くはワンポイントの圧痛で特定できます。なんと78%は診断可能なのです。腰痛の診察では、まず。特異的腰痛を除外したのち、その圧痛点を探していくことです。触診で圧痛点が確認できたら、そこからはエコーの出番です!エコーで圧痛点を同定し、そのまま治療へと進めていくことができます。腰痛の診断に必要な診療テクニックを、実演および実際の症例を基にDr.白石が詳しく解説します。第6回 腰臀部痛(後編)「筋膜性疼痛症候群」腰臀部痛の中でもとくに多い筋膜性疼痛症候群(MPS)を症例を通して紹介します。腰臀部痛のMPSで代表されるのは「ぎっくり腰」。ぎっくり腰の患者さんにはどのように対処していますか?痛み止めを出すだけでなく、罹患した筋肉をリリースするだけで、劇的に痛みが改善します!そのためにも腰の筋肉をきちんと理解しておくことが重要です。Dr.白石の実演で、エコーをあてながら、腰のそれぞれの筋肉を確認していきます。皆さんも実際にエコーを当てながら、触診することで、触診の技術も向上します。この番組を見て、腰痛の患者さんへエコーをあててみませんか?第7回 五十肩(前編)今回は五十肩(肩関節周囲炎)の超音波診療について取り上げます。五十肩は、肩峰下滑液包炎、腱板断裂、上腕二頭筋長頭腱炎、変形性肩関節症、石灰沈着性腱板炎、凍結型などの疾患が含まれています。その中でX線で診断できる疾患は変形性肩関節症、石灰沈着性腱板炎のみで、五十肩のうちのわずか10%程度であると考えられます。五十肩の原因は肩関節周囲の軟部組織に原因があることが多く、エコーを用いることで診断することができ、さらには治療も可能となります。この番組では、身体診察から、エコーによる診断、治療について、実技と実際の症例を交え、解説します。第8回 五十肩(後編)今回はさらに一歩上の五十肩診療についてみていきます。前回紹介した五十肩の6~7割の患者の痛みを軽減させる「肩峰下滑液包へのヒアルロン酸注射」。その注射後も痛みが取れない場合、考えられる原因とその治療法を提示します。また、肩関節の可動域が制限される凍結肩に対しては行う手技「サイレントマニピュレーション」についても実際の症例映像を見ながら解説します。サイレントマニピュレーションは非観血的肩関節授動術のことで、覚醒下で徒手的に行います。エコーを用いることで、より安全により確実に行うことが可能です。第9回 膝痛膝が痛い、水がたまったなどという訴えは多いもの。その際、どう対応していますが、膝の関節穿刺では太い針を使うので、患者から「痛い!」といわれると心が折れませんか?エコーを使用することで、関節穿刺、注射がより安全にかつ正確に行うことができます。膝痛の患者に対する身体診察方法や、エコーのあて方、見方を実技を交えて、しっかりとお教えします。内側側副靭帯損創、関節液貯留、ベーカー嚢胞、変形性膝関節症など、実際の症例も多数提示。明日からの外来診療で、エコーを使ってみませんか?

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第3回 これぞ心リハによる恩恵!【今さら聞けない心リハ】

第3回 これぞ心リハによる恩恵!今回のポイント心臓リハビリテーション(心リハ)は心血管疾患患者の症状を改善するだけではなく、病因・病態を改善する「心血管治療」である心リハの効果は多くの臨床試験で証明されている心血管疾患を有するすべての患者に心リハが必要~薬剤を追加する前に心リハオーダを~ケアネットの読者の皆さん、心血管疾患患者に対する心リハの効果について、どの程度ご存じでしょうか?「運動耐容能を改善する」「自覚症状を改善する」と答えた方は正解ですが、それだけでは100点満点中30点程度です。心リハは、心血管疾患患者の運動耐容能(全身持久力・筋力・筋量)・自覚症状を改善するだけではなく、糖代謝、脂質代謝、血管内皮機能、自律神経機能を改善することで、疾患の再発・悪化を抑制し、生命予後をも改善させることが多くの臨床試験で示されています(表1)。(表1)心リハの効果画像を拡大する心リハの効果は、多くの薬剤による効果をひとまとめにしたようなものと言えますが、薬剤のような副作用はありません。また、心血管疾患を患うと多くの患者が鬱状態に陥りますが、心リハで運動療法や多職種介入を行うことでうつや不安が改善します(これがホントの“心”リハ!?)。なので「この患者は歩けるから心リハは必要ないだろう」などと言うことは誤りであり、虚血性心疾患や心不全などで通院加療を行うすべての患者に、心血管治療の一環として心リハが必要なのです。~運動制限と安静を一緒にすべからず~「心リハではエルゴメータを用いた自転車こぎ運動をするけれど、高齢で自転車にも乗れないような心不全患者のリハビリはどうなるの?」「慢性腎臓病(Chronic kidney disease:CKD)を合併している患者は運動してもいいの?」など、いろいろな疑問が湧き上がってくる方もいらっしゃるでしょう。まず、フレイルを合併した高齢者ですが、通常のエルゴメータに乗れなくても、普通の椅子に座ったまま専用の器具を使えば下肢の持久性運動は可能ですし、低強度の筋力トレーニングやバランス機能の改善を目的とした運動も生活機能改善や転倒予防に有用です。また、心リハ時に服薬状況の確認や薬剤の微調整を行うことで、病状悪化による再入院を防ぐことができます1)。次に、CKD患者はどうでしょう? 日本の急性心不全レジストリ研究によると、急性心不全の75%に腎機能障害が認められています2)。つまり、心血管疾患患者の多くがCKDを合併しているわけです。CKD患者で、「小さい頃に腎臓病になって以来、運動は制限されてきました。だから運動はしないんです。」と言う方にしばしば出会います。しかし、これは誤解です。小児が体育で長距離走やサッカーなどの激しい運動をすることと、成人がフィットネスとして自転車こぎ運動やウォーキングを行うことは、目的や身体への負荷量がまったく異なります。運動制限=安静ではないのです。~高齢者やCKD患者に適したプラン~中高年のCKD患者では、有酸素運動や軽度の筋力トレーニングを行うことで、腎機能が悪化することなく全身持久力や筋力、筋量を改善することが報告されており、CKDのガイドラインでも肥満やメタボリックシンドロームを伴うCKD合併心不全患者において運動療法は減量および最高酸素摂取量の改善に有効であるため、行うよう提案されています(小児CKDでも、QOLや運動機能、呼吸機能の点から、軽度~中等度の運動を行うよう提案3)されています)。一般的に中年以降は運動不足になりがちですから、意識的に運動習慣を作っていく必要があります。まだ研究数は多くはありませんが、保存期のCKD患者だけではなく、血液透析患者においても運動療法の有用性が明らかにされつつあります。日本では2011年に「日本腎臓リハビリテーション学会」が発足し、CKD患者に対する運動療法のエビデンス確立と普及を目指した活動が展開されつつあります。「えっ、心リハだけじゃなくて、腎リハもあるの?」そう、“腎リハ“もあるんです。CKD合併患者では、そもそも心血管疾患の合併が多く、透析患者の死亡原因の第1位は心不全です。CKD患者の生活の質と予後を改善するために、今後の心リハ・腎リハの普及が期待されています。心血管疾患と運動、本当に奥が深いですね。<Dr.小笹の心リハこぼれ話>実体験から心リハの有用性を学ぶ私が医学生の頃(約20年前)、心リハの講義はありませんでした。当然ながら、当時ほぼすべての医学生が持っていた医師国家試験の「バイブル」的参考書、イヤー・◯-トにも心リハについての記載はなかったと思います。その後、心リハを知ったのは研修医の時。急性心筋梗塞後の患者さんの離床にあたり、ベットサイド立位から1,000m歩行まで、日ごとに安静度をあげていくことを「心リハ」と呼んでおり、その際に立ち会い、12誘導心電図とモニタ心電図を確認することが研修医のDutyでした(今から思うと急性期の離床リハビリのみで、退院後の運動指導などはあまりできていませんでした)。当時、CCU(Coronary Care Unit)管理の重症患者を含め最大29人もの入院患者を担当し常にあくせくしていた私にとって、「心リハ」の時間はかなりゆったりとした、半ば退屈な時間でした。恥ずかしながら、その頃の私は、「循環器医の本命は救急救命医療!」と思っており、心リハの立ち会いは雑多なDutyの一つという認識でしかなかったのです。そんなある日、印象的な出来事が起こりました。“心リハ”プログラムの一環として、患者さんが500m歩行終了後、次のステップとして初回のシャワー浴前後で心電図・バイタルチェックがあり、シャワー後の心電図確認に呼ばれました。病室に入ると、ベッドに横たわり心電図検査中のその70代男性患者さんは「久々のシャワーは気持ちよかったです」と上機嫌でした。次の瞬間、「さっぱりしましたか、よかったですねー」と言いながら、12誘導心電図を見た私は凍りつきました。研修医の私が見てもびっくりするほど、心電図の胸部誘導でST部分が4~5mmほど“ガバ下がり”していたのです。「○○さん、胸、苦しくないですか!?」と尋ねると、「そういえば、ちょっともやもや…」とシャワーに入れた喜びもちょっと冷めて、少し不安そうな患者さん。ニトロを舌下すると、症状は少し改善しましたが、心電図は完全には戻りません。すぐに主治医へ連絡して、緊急カテーテル検査となりました。冠動脈造影では、2週間前に留置された前下行枝中間部のステント内に血栓性閉塞を認め、同部位に再度PCIを行いました。いわゆる亜急性ステント血栓症(Subacute stent thrombosis:SAT)でした。その後、2週間程度で患者さんは無事に自宅退院されましたが、あのとき、心リハでルーティンのシャワー後の心電図をとっていなかったら、その患者さんは元気に退院できていなかったかもしれません。この症例を含め、重篤な症状が明らかとなってから救命救急医療を行うのではなく、症状が出ていないうちから早期に異常を発見し対応することの大切さを、いくつもの症例で経験しました。病状が安定しているように見える場合であっても、循環器疾患の患者さんでは、“急変”がしばしば認められます。担当医とて一生懸命治療に取り組んでいるのに、なぜ急変してしまう患者さんがいるのか…それは常に後手後手に回っていた自分の診療姿勢や、患者さんのこれまでの生活歴・治療歴にも問題がある、と考えるようになりました。「発症してから、あるいは急変してから治療しても、できることは限られている…“急変”させないように早期から介入することが大事だ」-医師として3年目、もっと心血管疾患予防を学びたいと、私は大学院入学を決めていました。「患者さん自身が教科書である」とは、医学教育の父と言われるウィリアム・オスラーの名言ですが、私が今も心リハを専門にしているのは、研修医時代に担当させていただいた患者さんたちと、指導していただいた先生方のおかげです。1)Rich MW, et al. New Engl J Med. 1995;333:1190-1195.2)Yaku H, et al. Circ J. 2018;82:2811-2819.3)日本腎臓学会編. CKD診療ガイドライン2018

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大腿骨近位部骨折は社会的損失も大

 日本整形外科学会(理事長:松本 守雄氏[慶應義塾大学医学部整形外科学教室 教授])は、「骨と関節の日(10月8日)」を前に、9月5日に都内で記者説明会を開催した。説明会では、学会の概要や活動報告、運動器疾患の現況と今後の取り組みについて説明が行われた。また、「大腿骨近位部骨折とロコモティブシンドローム」をテーマに講演も行われた。ロコモティブシンドロームのさらなる認知度向上にむけて はじめに理事長挨拶として松本氏が登壇し、1926年の学会設立以来、順調に会員を増やし、現在では2万5,126名の会員数を誇る世界有数規模の運動器関連学会であると説明。従来の変性疾患、外傷、骨・軟部腫瘍、骨粗鬆症などのほか、今日ではロコモティブシンドローム(ロコモ)の診療・予防に力を入れ、ロコモの認知度向上だけでなく、ロコモ度テストの開発・普及、ロコモーショントレーニング(ロコトレ)の研究・普及などにも積極的に活動していることを紹介した。寝たきりになると介護・医療費は6.7倍に 続いて、澤口 毅氏(富山市民病院 副院長)が「大腿骨近位部骨折」をテーマに、本症の概要や自院の取り組み、予防への動きについて講演を行った。 大腿骨頸部/転子部骨折の患者は女性に多く、2017年の調査で約20万例の骨折が報告されているという。また、骨折が起きる場所として屋内が約70%、屋外が約20%であり、原因では約80%が「立った高さからの転倒」という日常生活内で起こることが説明された。 骨折後1年後の死亡率と機能障害では、死亡が20%、永続的機能障害が30%、歩行不能が40%、ADLの1つでも自立不能が80%と多大なリスクとなることも示された1)。同時に同部位の骨折で高齢者で寝たきりになった場合、寝たきりにならない場合と比べ、介護・医療費が約6.7倍(約1,540万円)と高く、このため家族が介護離職を余儀なくされ、復職できないなど、社会的経済損失も大きいという。 骨折の治療では、「合併症が少なく、生存率が高く、入院期間が短い」という理由から、早期の手術がガイドラインでは推奨されている(Grade B)。しかし、わが国の入院から手術までの日数は、平均4.2日と欧米の平均2日以内と比較しても長いことが問題となっている。また、入院期間についてもわが国は平均36.2日であるのに対し、欧米では数日~10日以内と大きく差があることが示された2)。この原因として、手術室の確保、麻酔科医の不足、執刀医の不在など医療機関側に問題があることを指摘した。 一方、オーストリアやドイツなど欧州では、高齢者の骨折に対し、医師、看護師、ソーシャルワーカー、理学療法士によるチーム医療が行われ、とくに整形外科と老年病科の医師の連携により、入院中や長期死亡率の減少、入院期間の短縮、重篤な合併症と死亡率の低下、再入院の減少、医療費の低下に成果をあげているという。手術待機日数、平均1.6日への取り組み 次に同氏が所属する富山市民病院の高齢骨折患者への取り組みを紹介した。同院では、2013年よりチーム医療プロジェクトを開始し、「骨折を有する高齢患者を病院全体で治療する」ことを基本方針に、さまざまな改革を行ったという。その一例として、電子カルテの専用テンプレート導入、職種・経験の有無にかかわらない統一・均一な初療体制の構築などが行われた。 現在では、大腿骨近位部骨折と診断されると3~5時間で手術を行うことができ、術後は病棟薬剤師による鎮痛やせん妄への対処、リハビリテーション科による早期離床と早期立位・歩行へのフォロー、精神科によるせん妄予防、肺炎予防、栄養管理(骨粗鬆症予防も含む)、高齢診療科医師による術後管理、退院サポートなどが行われている。 とくに大腿骨近位部骨折をした患者の再骨折率は高く2)、同院では転倒防止教室や電話によるフォロー、「再骨折予防手帳」の活用を行っているという。そして、これらの取り組みにより、「手術待機日数は平均1.6日(全国平均4.2日)、在院日数は平均19.6日(全国平均36.2日)と短縮されたほか、患者1人あたりの平均入院総医療費も全国平均に比べ少なくなっている」と成果を語った。運動で防ぐ骨折、再骨折 次に大腿骨近位部骨折とロコモについて触れ、「『大腿骨頸部/転子部骨折診療ガイドライン 改訂第2版』では、骨折の原因となる転倒予防に運動療法は有効(Grade A)となっている。開眼片脚立ちなどのロコトレを行うことで、骨粗鬆症予防と転倒予防に役立つと学会では推奨している」と説明。また、全国で行われている骨折予防の取り組みとして患者向けに「再骨折予防手帳」の発行、患者の退院後のフォローを専門スタッフが行う「骨折リエゾンサービス」の実施や地域連携として「骨粗鬆症地域連携手帳」の発行の取り組みなどを紹介した。 最後に同氏は、「将来、アジア地域で骨折患者の爆発的な発生も予想される。今のうちから各国間で診療ネットワーク作りをして備えたい」と展望を語り、講演を終えた。

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第6回 東京医科歯科大学「がんを考える」市民公開講座【ご案内】

 東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍センター、同医学部附属病院 消化器化学療法外科、同大学院臨床腫瘍学分野、同大学院未来がん医療プロフェッショナル養成プランは、2019年9月23日(月・祝)に、第6回東京医科歯科大学「がんを考える」市民公開講座を開催する。本講座は、同学が地域がん診療連携拠点病院の活動の一環として、がんに関するさまざまなテーマで開催する公開講座の6回目となる。今回は『広がるがん治療の選択肢』をテーマに、最近話題の治療、新たに保険適用となった治療のメリットや留意点、自分に最適な治療を決めるためのサポートなどについて、さまざまな立場から情報提供する。各種ブース展示や体験コーナーなど、楽しく学べる企画が予定されている。 開催概要は以下のとおり。【日時】2019年9月23日(月・祝)《ブース展示》12:00~17:00《セミナー》13:00~16:40【場所】東京医科歯科大学 M&Dタワー2F 鈴木章夫記念講堂〒113-8519 東京都文京区湯島1-5-45【参加費】無料(※参加申し込み不要)【テーマ】広がるがん治療の選択肢【予定内容】《セミナー》鈴木章夫記念講堂 司会:佐藤 信吾氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍センター/整形外科)13:00~13:15 開会挨拶 日本のがん治療の現状 三宅 智氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍センター/緩和ケア科)13:15~13:45 講演1 広がる低侵襲手術(腹腔鏡からロボット手術まで) 徳永 正則氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 胃外科)13:45~14:15 講演2 広がる薬物療法の選択肢(分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤など) 坂下 博之氏(横須賀共済病院 化学療法科)14:15~14:45 講演3  がんゲノム医療ってどんなもの? 加納 嘉人氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍センター/がんゲノム診療科)14:45~15:05 休憩15:05~16:35 シンポジウム 広がるがん治療の選択肢 ~自分にとって最適な治療を決めるためには~ 座長:三宅 智氏(1)がん治療医の立場から   石川 敏昭氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 消化器化学療法外科)(2)精神科/心療内科医の立場から   竹内 崇氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 精神科/心身医療科)(3)緩和ケア看護師の立場から   本松 裕子氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 緩和ケア認定看護師)(4)がん相談支援センターの立場から   渡井 有紀氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 認定がん専門相談員)(5)患者の立場から   濱島 明美氏(再発乳がん患者)16:35~16:40 閉会挨拶 川﨑 つま子氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 看護部長)《ブース展示》講堂前ホワイエ 12:00~17:00 ■がんと栄養・食事 (東京医科歯科大学医学部附属病院 臨床栄養部)■お口の楽しみ、支えます (東京医科歯科大学歯学部 口腔保健学科)■「がんのリハビリテーション」ってどんなもの? -筋力維持のリハビリテーションと生活の工夫など- (東京医科歯科大学医学部附属病院 リハビリテーション部)■教えて!がんゲノム医療 (東京医科歯科大学医学部附属病院 がんゲノム診療科)■抗がん剤治療の味方「CVポート」ってどんなもの? (株式会社メディコン)■がん患者と家族へのピアサポートの紹介 (特定非営利活動法人 がん患者団体支援機構)■ウィッグを楽しもう! (株式会社東京義髪整形)■リレー・フォー・ライフ・ジャパン(RFLJ)のご紹介 (RFLJ御茶ノ水実行委員会)■その情報、図書館で調べられます (東京都立中央図書館)■「わたしらしく生きる」をサポートします (東京医科歯科大学医学部附属病院 がん相談支援センター)■「もっと知ってほしい」シリーズ冊子 (認定NPO法人 キャンサーネットジャパン)■看護師よろずミニ相談 (東京医科歯科大学医学部附属病院 専門・認定看護師チーム)【問い合わせ先】東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍センター〒113-8519 東京都文京区湯島1-5-45TEL:03-5803-4886(平日 9:00~16:30)【共催】東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍センター東京医科歯科大学医学部附属病院 消化器化学療法外科東京医科歯科大学大学院 臨床腫瘍学分野東京医科歯科大学大学院 未来がん医療プロフェッショナル養成プラン【協力】認定NPO法人キャンサーネットジャパン【後援】東京医科歯科大学医師会/東京都/文京区/東京都医師会詳細はこちら

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第2回 心臓リハビリ、誰に、何する、どうやって【今さら聞けない心リハ】

第2回 心臓リハビリ、誰に、何する、どうやって今回のポイント心臓リハビリテーション(心リハ)の保険診療上の適用疾患は7疾患心リハは患者の心血管疾患の治療状況に応じた運動療法を中心に生活全般の患者指導を行うプログラムであるQOLの改善・心血管疾患の再発悪化を予防することを目的とする医師・看護師のほか、理学療法士・栄養士などの多職種で患者の生活機能評価を行い、プログラム内容を決定第1回では、心リハの知識が心血管患者の診療だけではなく、ケアネット読者の皆様の健康のためにも大切であることを書きました。今回は、心リハの保険診療について説明します。~心リハ対象疾患は?~日本で心リハが初めて保険適用となったのは1988年のこと。当時、保険適用の疾患は急性心筋梗塞のみでした。その後、心リハの有用性についてのエビデンスが蓄積するに伴い対象疾患が追加され、2019年7月現在、以下の7つが心リハの対象疾患となっています。(表1)心大血管リハビリテーションの対象疾患画像を拡大するよくある質問として、『心リハには年齢制限はありますか?』というものがありますが、年齢制限はありません。100歳でも心リハを受けていただけます。ただし、心リハは、あくまで運動療法を中心に生活全般の患者指導を行うプログラムですので、たとえば、“認知機能の低下などによりベッド上で可動域訓練を行う介入”しかできないような患者では、通常は心リハではなく、廃用症候群リハビリテーションとして行われます。(図1)病期と心臓リハビリプログラム画像を拡大する心血管疾患の急性発症により入院となった患者に対し、初期治療を受けて血行動態が安定した後、心リハのオーダーが出されます。そして、心リハ担当医や看護師のほか、理学療法士、栄養士などの多職種で患者の生活機能評価、心リハ計画の立案などを分担し、インフォームドコンセントを通じてプログラム内容を決定します(急性期心リハ)。心リハの目的はQOL(生活の質)の改善と心血管疾患の再発悪化を予防することですので、心血管疾患の重症度や治療状況、ADL(日常生活動作)や運動耐容能のほか、栄養状態、嗜好品、鬱・認知症、仕事や家庭環境など、疾患の管理に影響するような項目を評価し、患者の希望を確認した上で具体的な運動指導・生活指導を行います。退院後も外来心リハを継続し、運動負荷試験や基礎代謝量の測定、体成分分析検査などの検査も定期的に行い、指導の効果についても1~3ヵ月ごとに経時的に評価していきます(回復期心リハ)。このような評価を行う中で、何らかの専門的介入が必要と考えられる状態が認められれば、専門医にコンサルトすることもしばしばあります。まれではありますが、心リハの評価としての体成分分析検査の結果、四肢の筋萎縮が著明・中心性肥満を認め、内分泌内科にコンサルトしたところ、クッシング症候群と診断された症例もあります。このような症例では、どんなに運動・栄養療法を理想的に実施しても、クッシング症候群の病態を改善しなければ筋量・運動耐容能の改善はなかなか得られないでしょう。~心リハは継続が力なり~心リハは、1単位=20分間、1回3単位を基本とし、発症日あるいはリハ開始日から150日間の算定が認められています。また、すべての疾患について、月13単位までであれば150日を超えて継続可能です(維持期心リハ)。このように、維持期にも算定が認められているのは心リハの特徴の一つです。心リハは手術治療のように1回の治療で大きな改善が得られるような治療ではありませんが、継続的に行うことで、その効果が現れてきます。こうした心リハの特性を踏まえ算定期間が定められているようです。ただし、多くの医療機関では維持期の患者を受け入れるだけの枠がないことが多いため、維持期の患者の多くは、心リハを続けることができていないのが現状です。維持期の心リハについて、若い患者ではスポーツクラブと積極的に連携をとっていく、高齢者では介護保険制度のリハへ繋げていくことが必要と考えられます。急性期・回復期・維持期の心リハ普及と発展を目指して、1995年に日本心臓リハビリテーション学会が、2005年にはジャパンハートクラブが設立されました。ご興味のある方はぜひ、ホームページをのぞいてみてください。<Dr.小笹の心リハこぼれ話>8番目の保険適用も間近?さて、保険診療上の対象疾患7つを見て、“あれ、なんで『経カテーテル大動脈弁置換術後?』”と違和感をおぼえた方はいらっしゃいませんか? そうです、7番目の“経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)後”だけが、特定の治療法後に限定した心リハの適応を示しています。こちらが2018年に新たな心リハの対象疾患として認可されたのには理由(わけ)があります。2013年にわが国でTAVIが認可されたことで、これまで、重度の大動脈弁狭窄症があっても大動脈弁置換術などの根本治療が適用されず、予後不良であった超高齢患者や重複障害をもつ患者が、治療を受けられるようになりました。その後2018年までの5年間に本邦でTAVIを施行された患者は6,000例を上回り、TAVIの実施施設は年々増加しています。TAVIを施行された患者は循環障害や症状により術前からあまり動けていないことが多く、筋量が減少し、筋力・持久力ともに低下しています。TAVIにより心臓の問題が解決しても、残念ながら筋量・筋力・持久力は直ちに改善するわけではなく、これらの患者が退院後自立していくために、あるいは介護負担を減らすために、術後のリハビリが非常に重要となります。現在、85歳、90歳、95歳でも、TAVIを受ける患者が多くいます。術後の心リハがなければ、これらの患者は“手術をして心臓は良くなっても、歩けない”という悲しい結果に陥ってしまいます。このため、TAVI後はほぼ全例に対し心リハがオーダーされます。この新しい治療法は、急速に心リハの適用患者を増加させることになったのです。循環器領域では最近、TAVI以外にも構造的心疾患(SHD:Structural Heart Disease)に対するさまざまな新しい治療法が次々と開発、臨床応用されており、SHDインターベンションと呼ばれています。SHDインターベンションを受ける患者が最終的に目標としているのは、健康寿命の延伸にほかなりません。治療に成功したら、その後の心リハはセットです。今後、SHDインターベンションは、新たな心リハの適用患者をどれほど生み出すことになるのでしょうか。

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内側に限局する膝OAに対してはTKRよりPKRが望ましい?― TOPKAT試験より(解説:小林秀氏)-1106

 内側型の末期変形性膝関節症(膝OA)に対する人工膝関節置換手術は、TKR(total knee replacement:全置換)とPKR(partial knee replacement:単顆置換[unicompartmental knee replacement]として知られる)の2種類に大別できる。TKRの多くは十字靭帯を切除し骨切除量も多くなるが、PKRでは内側コンパートメントのみを置換するため十字靭帯も温存でき骨切除量も少なく、早期回復が可能となる。TKRは古くから行われ、安定した長期成績が報告されているが、一方で患者満足度は約80%程度とされており、人工股関節手術に比べ術後満足度が低いことが知られている。近年PKRは、手術手技が改善され、侵襲の少なさから高い術後満足度が期待され普及しつつあるが、一方で手術適応(どこまでの変形に対して適応となるか)、長期成績、合併症の問題も懸念されるためか、施設によってはまったく施行されていないという現状がある。TKRとPKRの術後成績の比較は、適応のばらつきが大きく、確固たるエビデンスがほとんど示されていなかったため、今回のTotal or Partial Knee Arthroplasty Trial(TOPKAT)試験は多施設共同無作為化比較試験であり、これらの疑問に答える大変興味深い試験となった。 結果は術後5年後のオックスフォード膝スコア(Oxford Knee Score:OKS)で有意な差はなかったが、PKRがTKRに比べ、わずかにアウトカムが良好であった。過去の報告ではPKRは再置換率が高いとされていたが、本試験においては再置換率については両群間で差がなく、合併症についてはPKRよりもTKRのほうが多いという結果であった。また費用対効果の分析でも、PKRがTKRよりも5年の追跡期間中の効果が高く、医療費が削減されたことがわかった。 以上から、PKRの適応となる内側型の末期膝OAに対してはPKRが第1選択になるという結論が得られたことは妥当な結果と考えられた。前提として手術手技をしっかりと行うことが重要なことは言うまでもないが、今後の課題としては、どこまでの変形に対してPKRを行うべきか、併発する外側コンパートメントや膝蓋大腿関節の変形をどこまで許容するか、というPKRの適応の限界を知ることが重要となるだろう。

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手術不要な心不全患者の救急搬送を減らすには?

 救急車で運ばれた心不全患者のうち、約8割の患者は手術が不要であったことが、厚生労働省作成による診断群分類毎の集計結果(2017年)から明らかになった。これはいったい何を意味しているのだろうか-。2019年8月8日に開催されたメディアセミナー『ハート・トーク2019』において、磯部 光章氏(榊原記念病院 院長/東京医科歯科大学名誉教授)が「脳卒中・循環器病対策基本法について」、代田 浩之氏(順天堂大学大学院医学研究科循環器内科学)が「心臓病の二次予防と心臓リハビリテーション」について講演。トークセッションでは、俳優の渡辺 徹氏が心筋梗塞の発症当時のエピソードや再発予防策について語った(日本心臓財団、アステラス・アムジェン・バイオファーマ株式会社共催)。手術不要な心不全患者を救急搬送しないために 昨年12月、『脳卒中・循環器病対策基本法』が衆議院本会議で可決、成立した。この法律における基本的施策には、疾患予防、禁煙、救急搬送・受け入れ体制の整備、救急隊員の研修や患者のQOL向上、そして医療者教育などの項目が盛り込まれており、急性期治療に対する改革がなされることで、再発・再入院の予防や退院後のQOLの担保などが期待される。磯部氏はがん対策基本法を例に挙げ、「法律の公布によって専門医の養成、病院の拠点化、緩和医療の普及、健診事業が大きく進歩した」と述べ、医療の発展にいかに基本法が重要であるかを説明した。 しかしながら、特定健康診査(特定健診)の日本全体での受診率は51.4%とまだまだ低い。加えて、心不全の有無を確認できる項目は、医師が必要と判断した者にしか適用されないことから、「特定健診への心電図検査やBNP(NT-proBNP)測定の導入は、心不全を早期発見できるため全員必須にすべき」と訴えた。また、急性心筋梗塞や解離性大動脈瘤のように手術要否の割合がまったく異なる疾患が同じ“心不全”として扱われ、救急搬送されている現状に同氏は疑問を呈し、「今回の法律が成立したことを機に、治療内容や発症数が異なる急性疾患を同じ様に扱う現システムを見直し、手術が必要な患者へ効率の良い治療が行えるようになったら良い」と主張した。心不全患者の93%、外来心リハによる恩恵を受けられず 心不全の発症病態は、軽症、重症、そして突然死に分けられる。一命をとりとめた患者はその後、適切な治療や食事療法などにより回復する者もいれば、急性増悪を繰り返し、その都度入院を要する者もいる。磯部氏は「再発による再入院を予防するために日常管理が重要」とし、心臓リハビリテーション(心リハ)の活用を提唱。代田氏は急性冠症候群の二次予防(脳卒中・循環器病の早期治療と再発予防)の観点からLDL-Cの低下と心リハの有用性を説明。冠動脈プラークの変化率が運動によって変動した研究から「心リハが心筋梗塞や心不全予防への最善の鍵となる」と解説した。さらに、同氏は「回復ではなく“再発・発症予防”の概念の浸透が重要」と述べ、二次予防に対し、運動療法に薬物治療や食事療法などを複合させた『包括的心臓リハビリテーション』の導入を推奨した。心不全の治療方法も変われば患者像も変わる  既存の心リハ概念は1950年代に提唱された。当時は心筋梗塞の治療としてカテーテルや血行再建術はなく、6~8週間もベッドで安静に過ごして梗塞巣の瘢痕化を待つのが通常であった。その後、エビデンスが構築され早期離床が普及するようになると、安静臥床で起こる身体調節異常(デコンディショニング)の是正を目的として、心リハが始まった。1980年代には外来での心リハが開始、2000年代には心不全へ心リハが適用となった。代田氏は「長期臥床から積極的な再発予防対策が求められる時代」とし、「新たな心リハ概念には、フレイル予防や疾病管理が追加され有用である。しかし、心リハの社会認知度は低く、国内での普及活動が喫緊の課題」と語った。 近年、慢性心不全の患者像が変化し、それに伴い診療形態にも変化が求められている。このような現状の中でとくに問題となっているのが、心不全患者の高齢化に伴うフレイル発症である。身体・精神・社会的活動の3つを脅かすとされるフレイルについて、代田氏は「高齢心不全患者の予後規定因子」とコメント。磯部氏は、「治す医療から“治し支える”医療へ、生活習慣病予防からフレイル予防へ視野を広げる」など、循環器医に対し診療のシフトチェンジを求めた。心筋梗塞の“胸痛”以外の症状を広めてほしい 渡辺氏が心筋梗塞を発症した時、自覚症状は歩行速度の低下や階段昇降時の息切れが主で、 胸部症状は感じなかったという。しかし、渡辺氏にとって、“心臓病=胸の痛み”というイメージが強かったことから、まさか自分の心臓が危険な状態であるとは思わなかったそうだ。渡辺氏は「心臓の病気は心臓が痛くなると思っていたが、病院に行くときにその症状はなかった。息切れや疲れやすさが心臓病のサインであることを、医療者からも発信してほしい」と強調し、「治療を終えた後、主治医から『私は処置をしただけです。これから自分で治療を行うのです』という一言で、治療したからおしまいではなく、これから再発しない努力が必要なのだと感じた」と再発リスクを認識した当時を振り返った。現在は家族の協力のもとで食事や運動を意識した日々を過ごしている。 なお、日本心臓財団とアステラス・アムジェン・バイオファーマが行った「心筋梗塞患者さんとご家族の意識調査」によると、再発リスクの認知は低く、回答者の4割が認識していない、または誤解していたと回答した。

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