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双極性うつ病に対するドパミン作動薬の効果は

 双極性うつ病のアウトカムに対するドパミン作動薬(モダフィニル、armodafinil、プラミペキソール、メチルフェニデート、アンフェタミン)の影響について、アルゼンチン・Favaloro UniversityのA G Szmulewicz氏らは、システマティックに検討を行った。Acta psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2017年3月3日号の報告。 双極性うつ病に対するドパミン作動薬治療の有効性、安全性を評価するため、ランダム化比較試験のメタ解析を行った。2次解析として、無作為化比較試験と高品質の観察研究の両方から得られた知見を、ドパミン作動薬治療に関連する新規の躁症状を探るため、メタ解析手順によりプールした。 主な結果は以下のとおり。・無作為化比較試験のメタ解析には、9件の研究(1,716例)が含まれた。・ドパミン作動薬による双極性うつ病治療は、治療反応率(1,671例、RR:1.25、95%CI:1.05~1.50)および寛解率(1,671例、RR:1.40、95%CI:1.14~1.71)の増加と関連していた。・この治療による気分変動リスクの増加は認められなかった(1,646例、RR:0.96、95%CI:0.49~1.89)。・2次解析(1,231例)では、平均フォローアップ期間7.5ヵ月間の気分変動累積発生率は、3%(95%CI:1.0~5.0)であった。 著者らは「予備的知見では、ドパミン作動薬は、双極性うつ病治療のための有用な代替法でありうることを示唆しており、短期経過観察中の気分不安定化のリスク増加を来さない」としている。関連医療ニュース 双極性障害の再発リスク、1年目で4割超 難治性うつ病、抗うつ薬変更とアリピプラゾール追加、どちらが有用か 日本人うつ病患者に対するアリピプラゾール補助療法:名古屋大学

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MCIからAD、DLBへの進行を予測するには:順天堂大

 アルツハイマー病(AD)とレビー小体型認知症(DLB)の鑑別診断には、18F-フルデオキシグルコース(FDG)PETと123I-ヨードアンフェタミン(IMP)SPECTが使用される。しかし、軽度認知障害(MCI)における鑑別診断に関する情報は少ない。順天堂大学・横浜市立大学の千葉 悠平氏らは、MCIがADによるものかDLBによるものかの鑑別が、FDG PETおよびIMP SPECTで可能かを検討した。Psychiatry research誌2016年3月30日号の報告。 対象は、十分に特徴付けられた通常のデータベースとstereotactic extraction estimation(SEE)法を用いて、FDG PETとIMP SPECT の情報を有するAD群9例、DLB群9例、ADによるMCI患者(MCI-AD群)8例、DLBによるMCI患者(MCI-DLB群)9例。 主な結果は以下のとおり。・AD群とDLB群では、後頭部のROC解析で、FDG PET、IMP SPECTともに有意な精度が示された。・MCI-AD群とMCI-DLB群では、ROC解析で、鑑別診断においてFDG PETのみが有意な精度を示した。 著者らは「FDG PETとIMP SPECTはどちらもADとDLBの鑑別に有効である。また、MCI-ADとMCI-DLBの鑑別には、FDG PETのほうがIMP SPECTよりも有用である」としている。関連医療ニュース レビー小体型とアルツハイマー型を見分ける、PETイメージング SPECT+統計解析でアルツハイマー病の診断精度改善:東北大

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酔いがさめたら、うちに帰ろう。(前編)【アルコール依存症】

今回のキーワード進化医学報酬系(ドパミン)問題飲酒(プレアルコホリズム)否認共依存心の居場所毒をもって毒を制すアルコール依存症の映画とは?皆さんは、アルコール依存症の人たちとかかわったことはありますか? 彼らは、なぜアルコール依存症になるのでしょうか? そもそもなぜアルコール依存症は「ある」のでしょうか? そして、どうすれば良いのでしょうか?これらの疑問を解き明かすために、今回、2010年の映画「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」を取り上げます。 この映画の原作者は、「毎日かあさん」などを代表作とする漫画家の西原理恵子さんの元夫です。実際にアルコール依存症になり、最後は末期がんが判明するまでの彼とその家族の様子が赤裸々に描かれ、 笑いと共感を誘います。また、描写が忠実であるため、アルコール依存症の理解を深める教材としても最適です。 この映画を通して、依存症の心理を、進化医学的な視点で解き明かし、回復のポイントを探っていきましょう。どんな症状がある?―表1主人公の安行は38歳の元戦場カメラマン。 本を書いたことはありましたが、定職には就かず、毎日、酒をひたすら飲み続けてきました。 彼は、それを「朝から晩までのノンストップの飲酒マラソン」と言い表します(連続飲酒)。 かつて、酒を飲んでは妻の由紀に絡み、暴言を吐き、引っぱたくなどの暴力を振るい、 挙句の果てに、妻が一生懸命に描いた大切な漫画の原稿を破り捨てたことがありました(脱抑制)。 そして、「(実の子どもたちを)おれの子じゃねえ」「太田(安行の親友)とやったんだろ!?」と言い出し、怒り出したこともありました。 アルコール依存症の人は、自分に引け目があるため、妻が自分に愛想を付かせて浮気をするのではないかという不安から妄想に発展しやすくなります(嫉妬妄想)。現在、安行は、由紀とは離婚し、2人の子どもとも別れて、実家で母親と暮らしています。居酒屋では飲み過ぎて気を失い(ブラックアウト)、嫌がる店員たちに介抱されます。意識がもうろうとする中、介抱する由紀と子どもたちの幻覚が現れます。帰り道に酒を買い、自宅でさらに飲み続けると、「何とかなるよ、まあ酒でも飲めよ」という自分に都合の良い幻覚も現れます(願望充足型の幻覚)。 その後、失禁をして、吐血もします。吐血(食道静脈瘤破裂)はとうとう10回目に達していました。安行は、断酒を決意します。クリニックで処方された抗酒薬(アルコールを飲むと体調不良になる薬)を飲むのですが、それも束の間。すぐにお酒が欲しくてたまらなくなり(渇望)、ふらふらと探し求め(探索行動)、けっきょくお酒を飲んでしまいます。そして、抗酒薬の効き目で倒れてしまいます。安行の様子は、以下のアルコール依存症の診断基準に照らし合わせると、11項目のほぼ全てを満たしています。安行は、典型的なアルコール依存症です。表1 アルコール使用障害(アルコール依存症)の診断基準(DSM-5) 精神依存身体依存耐性項目(1)長期間で大量の摂取(2)コントロールの失敗(3)探索行動(4)渇望(5)無責任(6)対人的問題(7)のめり込む(仕事や他の娯楽の放棄)(8)身体的な危険性(9)身体的または精神的問題(10)離脱(11)耐性備考上記11項目中2つ以上苦痛があるなぜアルコール依存症になるの?―表2由紀の友人の医師が「(原因は)環境もありますね」「挫折感とか劣等感とかそういったものが引き金になることもある」と言います。ここで、安行がアルコール依存症になった原因として、その危険因子を、個体因子と環境因子に分けて、整理してみましょう。(1)個体因子個体因子としては、まず体質(生物学的感受性)、つまりアルコールの欲しやすさ(嗜癖性) が挙げられます。これは、お酒が好きになる人とならない人という個人差です。嗜癖性が強ければ強いほど、機会飲酒から習慣飲酒、そして連続飲酒に至りやすくなります。昨今の双子研究や養子研究により、酒好き(嗜好性)は約50%遺伝することが分かっています。実際に安行の父親もアルコール依存症でした。さらに、アルコール摂取が1日5合以上、週5日以上、5年以上で多くの人はアルコールをやめられなくなる、つまりアルコール依存症になることが指摘されています。一方、法律で禁止されている覚醒剤は、一度摂取するとすぐにやめられなくなります。つまり、アルコールは、欲する体質に加えて、量と時間をかけることで、人にとって覚醒剤と同じものになってしまうということです。 もう1つは、アルコール依存症に関連した独特の気質、つまりアルコール依存症ならではの性格(パーソナリティ特性)が挙げられます。これには、3つの特徴があります。1つ目は、ついやってしまう軽々しさです(衝動性)。安行は、10回目の吐血をした時、由紀に「あーごめん、またやっちゃったよ」と謝ります。断酒を誓って抗酒剤を飲んだ直後、食べた奈良漬けのアルコール分が引き金となり、「たかがビールだもんな」「大丈夫だよ、これくらい」とつい飲んでしまいます。また、入院中に、制限されている食事であると言われているのに、診察中に「(回復の兆し)だったらカレー食わせろよ!」と主治医につい怒鳴っています。この特徴は、注意欠如多動性障害(ADHD)との関連も指摘されています。2つ目は、とても寂しがり屋であることです(愛着不全)。安行は再び飲んでしまう直前に、由紀と子供たちと別れて「寂しいよ」「悲しい」とつぶやいています。この特徴は、 反応性愛着障害との関連も指摘されています。3つ目は、助けを当てにすることです(依存性)。安行は、「ほんとのほんとに(酒を)やめるよ」と断酒の宣言を繰り返しています。飲んだ直後に、抗酒薬の影響で、倒れて頭を打って流血して、由紀と母親にまた迷惑をかけた時、呆れて何も言わない2人に向かって「なんか言わないの?」「説教とかないんだ」と物足りなく感じています。説教されることで関係性が保たれ、今後も助けてもらえる保証を得たいのです。この特徴は、依存性パーソナリティ障害との関連も指摘されています。 これらの性格の傾向が強ければ強いほど、お酒をやめられなくなります。さらに、長期間の大量の飲酒によって、頭の働きが弱まり(認知機能障害)、この特性がますます際立っていくのです。(2)環境因子環境因子としては、まずストレスが適度に一定ではないことが挙げられます。安行は、もともと戦場カメラマンです。危険な仕事であることやフリーランスで収入が不安定であることは大きなストレスです。そのストレスが多ければ多いほど、そのストレスを和らげるための飲酒量が増えていきます。それでは、逆にストレスが全くない状況が良いでしょうか? 仕事をしていないなどやることがない状況では、刺激を求めて暇つぶしで飲酒量が増えてしまいます。これは、仕事人間だったサラリーマンが退職後に暇を持て余して、朝からお酒を飲み続けてしまうことと同じです。つまり、ストレスは、多すぎることもなく少なすぎることもなく、適度で一定であることが望ましいのです。もう1つは、アルコール依存症を助長する周りとの独特な人間関係(共依存)が挙げられます。これには、3つの特徴があります。1つ目は、周りが流されやすいことです(同調)。母親のかかわり方をみてみましょう。安行が病院で3日ぶりに目覚めて起き上がろうとすると、母親は「だめ!ベッドで安静にって言われてる」と言いつつ、「ちょっとだけ上げてみよっか」と言います。この「ちょっとだけ」は依存症の人たちやその家族がよく使うキーワードです。「だめなものはだめ」とは対照的な言い回しです。2つ目は、周りが助けすぎることです(過保護)。母親は「そんなに死にたけりゃ独りでどっか行って勝手に死んでちょうだい」「家族を巻き添えにしないで」「あとはどうとでも好きにすればいいわ」と厳しく言っていますが、無職の安行を実家で養い、酒を買う金を与え、毎回、トラブルが起きると助けます。入院中も付きっきりです。放っておかずに、毎回、巻き込まれています。言っていること(言語的コミュニケーション)とやっていること(非言語的コミュニケーション)が一致しません(ダブルバインド)。このような状況では、やっていることの方がまさって伝わるため、けっきょく厳しい言葉に逆の意味が込められてしまいます。それは、このパターンが繰り返されることで、「(なんだかんだ言うけど)けっきょくどんな時もあなたを助けるわよ」という逆のメッセージとして強調されて伝わっていくのです。由紀も同じコミュニケーションのパターンをとっています。由紀が入院中の安行のお見舞いに来た時、「そのうちコロッと逝くね、あんた」と子どもたちの前で悪い冗談を言います。そして、子どもたちがいなくなると、「このばかちん」と言い、すでに離婚しているのに、安行にキスをします。由紀は、子どもたちのためとは言え、けっきょく安行が好きで放っておけないのです。3つ目は、周りが手なずけたがることです(過干渉)。母親は、アルコール依存症の専門病棟に入院させるために、有無を言わさず安行を連れ出し、「ここは精神病院。あなたは入院するんです」と一方的に言い放ちます。安行が手ぶらなのに対して、母親は安行の重そうな荷物を運んでいます。なお、映画では強制的に入院されているように描かれていますが、実際は、人権擁護の観点から、そして本人の主体性が治療動機に重要であるという観点から、依存症病棟には、本人の同意による任意入院が一般的です。表2 安行がアルコール依存症になった原因個体因子環境因子体質(生物学的感受性)遺伝気質(パーソナリティ特性)ついやってしまう軽々しさ(衝動性)寂しがり屋(愛着不全)助けを当てにする(依存性)ストレスが適度に一定ではない危険な仕事不安定な収入やることがない共依存的な人間関係周りが流されやすい(同調)周りが助けすぎる(過保護)周りが手なずけたがる(過干渉)依存症の3つの要素とは?―図1依存とは、「依(よ)って存(あ)ること」、つまり何かに頼って生きることで、私たち人間に必要なことです。その何かとは、食べ物や飲み物など体に取り入れるもの(物質の依存)であり、生活習慣などの行動パターン(過程の依存)であり、家族やその周囲とのつながり(人間関係の依存)です。そして、依存症とは、これらにのめり込んでコントロールできなくなること、つまりはやめたくてもやめられなくなることです。 ここから、安行の状況に照らし合わせながら、アルコール依存症を、飲酒そのもの(嗜好の依存症)、飲酒までに至る行動パターン(行動の依存症)、その行動パターンを支える人間関係(人間関係の依存症)の3つの要素に分けて整理してみましょう。(1)アルコールをコントロールできない―嗜好の依存症―図2安行は、入院してしばらくの間、アルコールによる胃腸の障害から、食事が制限されていたため、定期的に献立になっているカレーライスを食べることができませんでした。その後に食事制限がなくなり、目の前のカレーライスを見た時、彼の胸は高まります。そして、病院食の普通のカレーライスを格別な気分で幸せそうに頬張るのです。また、私たちは喉がカラカラの時に水をとてもおいしく感じます。しかし、普段、水はただの水で、おいしいとは感じません。水に限らず、塩、糖、タンパク質、脂肪などもともと自然界にあるものも同じです。このように、私たちの脳は、不足すると気になり(サリエンス)、欲しくなります(渇望)。摂取すると気持ち良くなります(快感)。そして満足すると飽きてきます(無関心)。そうなるように調節が働き(フィードバック)、一定の健康状態を維持しています(恒常性)。これは、私たちがより適応的な行動をするために進化したメカニズムです(報酬系)。ここで、私たちの脳を車に例えてみましょう。すると、報酬系のメカニズムはエンジン(ドパミン)です。何かが足りないストレスの状態(興奮)では、アクセル(ノルアドレナリン)が踏まれ、そのアクセルでエンジン(ドパミン)の回転数も上がります。一方、満たされているリラックスの状態(抑制)では、ブレーキ(GABA)が踏まれ、そのブレーキでエンジン(ドパミン)の回転数も下がります。ところが、アルコールを摂取すると、代わりのブレーキ(ベンゾジアゼピン受容体)が踏まれ、リラックスの状態になります。それは、本家のブレーキ(GABA)の働きを阻み、このブレーキ(GABA)が利かなくなることでエンジン(ドパミン)の回転数が逆に上がってしまうのです。これが、酩酊感や高揚感という気持ちの良い状態です。さらに、多量のアルコール摂取によってエンジン(ドーパミン)の回転数が上がりすぎる、つまり空回転するとどうなるでしょうか? これが、酒乱(中毒せん妄)、泣き上戸や笑い上戸(脱抑制)と呼ばれる悪酔いの状態です。この状態は昔では宗教的な意味付けがされていました。アルコール摂取の問題点は、エンジン(ドパミン)の回転数を上げるばかりで下げるメカニズムがないので、やがていつも欲しくなってしまうのです(精神依存)。お酒が世界の全てになってしまい、起きている時はお酒のことしか考えず、問題が起きてもお酒を飲み続けます。さらには、アルコールが一定濃度、体に満たされ続けるとやがてそれが定常状態になる、つまりアルコールが脳にとって「あるべきもの」になります。よって、アルコールを切らしてしまうと、脳が異常と誤って感知して、禁断症状(離脱症状)が出てしまうようになります(身体依存)。こうして、アルコールの摂取をコントロールできなくなるのです(物質の依存症)。 なお、覚せい剤では、エンジン(ドパミン)の回転数を直接的に上げるため、高揚感を伴う興奮が得られます。よって、アルコールが「ダウナー」(抑制性薬物)と呼ばれるのに対して、覚せい剤は「アッパー」(興奮性薬物)と呼ばれます。ちなみに、ベンゾジアゼピン系薬剤である睡眠薬や抗不安薬も、副作用としてアルコールと同じように「悪酔い」(脱抑制、中毒せん妄)を引き起こすリスクがあります。しかし、精神科を専門としない医師がよくやってしまう間違いとして、もともとの脱抑制やせん妄の患者に対して、落ち着かせようとしたり眠らせようとして、ベンゾジアゼピン系薬剤を投薬し、その後に症状を悪化させるケースがあります。脱抑制やせん妄には、原則として、ベンゾジアゼピン系薬剤を投薬しないように注意する必要があります。(2)行動をコントロールできない―行動の依存症安行は、入院中、周りの患者たちがカレーライスを食べているのに自分だけ食べられないことに腹を立てて、「何だよ、ケンカを売る気かよ」「売られたケンカは買ってやろうじゃないの」とわざと独り言を言って看護師を威圧しています。患者同士が言い争いをしている時、安行は直接関係がないのに、良く思っていない方に「てめえが帰れ、くそじじい」とぼそっと小さな声でわざと挑発し、殴られてしまいます。また、かつて戦場カメラマンとして命の危険にさらされたり、作家として生計を立てようとしたりと、ギャンブルのような不安定な生活をあえて選んでいます。一見、男らしくも見えます。この男らしさに由紀は惚れてしまっているのでした。このように、安行にはアルコール依存症ならではの独特な行動パターンがあります。本来、行動パターンとは、生存や生殖に有利になるために進化した本能・習性や学習能力です。これは、脳の神経回路に刻み込まれるもので、一度覚えたらなかなか忘れません。例えば、自転車の運転や水泳のような運動神経から、食事や睡眠リズムのような生活習慣、プラス思考やマイナス思考のような思考パターンまで様々あります。生存や生殖という目的に向かって、遺伝的な傾向をもとに記憶や経験が快感(報酬)と結び付いて、そう行動するようにエンジン(ドパミン)の回転数が上がるというわけです。安行の行動パターンの問題点は、アルコールをコントロールできていない以前に、自分の感情や行動をコントロールできていないことです(行動の依存症)。言うならば、飲む前から酔っ払っている、つまり、しらふでも行動が酔っ払っています(空酔い、ドライドランク)。これは、アルコール依存症にまだなっていない人で、アルコールでトラブル(問題飲酒)を繰り返し起こす人にも当てはまります(プレアルコホリズム)。本来、アルコール依存症にならない人は、ストレスを溜め込んで飲酒量が増えたり、問題飲酒などうまく行かないことが起きた時点で、周りの意見に耳を傾け、自分を振り返り、早い段階で行動パターンを修正します。しかし、アルコール依存症になる人は、この修正をなかなかしません。その原因は、「まだ大丈夫」「それほど重くない」「やめようと思えばやめられる」と考えて、問題の深刻さに薄々気付いてはいるのですが、それをはっきり認めようとしない否認の心理があるからです。アルコール依存症は「否認の病」とも呼ばれます。この否認の心理によって、アルコール依存症を完成させてしまうのです。それでは、安行にはなぜ否認の心理があるのでしょうか? その答えは、彼の父親が「教えた」からです。安行は、母親から「2人の子どものことだけはよーく考えてください」と言われると、「おやじは考えてくれなかったよね、子ども(安行)のこと」と言い返します。実際に、「(父親は)毎日のように酒を飲んでは母親に暴力をふるっていました」と入院患者たちに語っています。ここから分かるのは、彼の父親は、子ども(安行)のことだけでなく、自分のことも考えることができない不安定な行動パターン(否認)の悪いお手本(モデル)を見せていたことです。そして、安行は、父親から否認の仕方を「学んだ」のでした。安行は飲酒を中学生から始めています。本来、父親というものは子どもに生き方(社会)のルールを教える役割(父性)があるはずですが、それがないのです(父性不在)。安行は、入院中に「やっちゃったよ。父さんの真似なんかしたくないのに」と嘆いています。体験発表で「けっきょく嫌いだった父親と同じことをしてしまっていたんです」と振り返ります。一方、お見舞いに来た小学生の息子は、安行に「父さん、何やってんだよ」と笑っていいます。まさに否認という行動パターンの「文化」が脈々と受け継がれようとしている危うさが読み取れます(世代間連鎖)。(3)人間関係をコントロールできない―人間関係の依存症安行は、入院して、初対面の若い看護師にいきなり下の名前を聞き出します。また、主治医の女医に「なんでコンタクトにしないんですか?」と個人的な質問をします。人懐っこくて相手の懐に飛び込むのにとても長けていることが分かります。このように、安行には心理的距離が近すぎる独特の人間関係があります。本来、人間関係とは、生存や生殖に有利になるために、約300万年前に進化した社会性(社会脳)です。これは、周りとうまくやる能力であり、助け合い(協力)の心理であり、人間関係における行動パターンとも言えます。安行が築く人間関係の問題点は、心理的距離が近すぎて相手との境界(バウンダリー)が弱まっているために、その人間関係をコントロールできていないことです(人間関係の依存症)。言うなれば、人間関係も酔っ払っています。例えば、安行は、母親の保護や由紀の支援に甘んじて頼り切ってしまい、迷惑をかけっぱなしです。「すいまんせん」「反省しています」と言うわりに、同じことを繰り返しています。これは依存の心理(依存パーソナリティ)です。それでは、安行にはなぜ依存の心理があるのでしょうか? その答えは、彼の母親が「教えた」からです。彼女のかかわり方は、良く言えば優しくて献身的ですが、悪く言えば過保護で過干渉で支配的です。彼女は、必要とされることを必要としている、言い換えれば依存されることに依存しています(共依存)。そのかかわり方を、かつてアルコール依存症の自分の夫にし続けました。彼女は華道の先生ですが、生徒たちに「この枝は『私はここ(生ける場所)に入りたい』と言っていました」「なんて、枝がそんなこと言うわけありませんよね」「ただ私が勝手にそう思っただけです」「でも昔、私はこの勘で夫の浮気を見破りました(笑)」と冗談を交えて説くシーンにその傾向が現れています。そして、当時に同じようなかかわり方を子ども時代の安行にもし続けてきたのです。安行は、母親を相手に人間関係での依存の仕方を小さい頃から「学んだ」のでした。本来、母親というものは子どもに安心感や安全感を与える役割(母性)があるはずですが、それが行きすぎています(母性過剰)。そして、実は、由紀はこの安行の母親と似ています。由紀の父親もアルコール依存症で、由紀の母親はそんな夫に尽くしてきました。由紀はその母親の悪いお手本(モデル)を見て育ちました。そして、由紀は、父親と同じような依存的な安行に惚れてしまい、母親と同じように共依存的に接するのです。このように、アルコール依存症を助長する家族などの周りをイネーブラー(enabler)と呼びます。アルコール依存症を「enable(可能にする)+er(人)」という意味です。そもそもアルコール依存症でい続けるには、依存する体だけでなく、依存するためのお金や依存する相手が必要です。つまり、安行の望ましくない行動パターンを下支えしてしまっているのは、母親や由紀です。逆に言えば、健康とお金と人間関係が続く限り、依存症はなかなか回復しないということです。由紀と安行の子どもである息子と娘は、由紀と安行が夜中に激しい夫婦喧嘩をしていても、寝たふりをして静かにしています。由紀は「大丈夫。あの子(娘)は泣いた顔を人に見せない子です」と胸を張って言っています。娘も息子も、母親の由紀の姿を見て、もの分りが良く我慢をする「良い子」にもなっています。そして、彼らが思春期になった時、その我慢の反動により依存的に振れるか、またはその我慢の順応により共依存的に振れるか、さらにはその両方を行ったり来たりするかといういずれかのこのような極端で独特の人間関係を築いてしまうのです。まさに依存と共依存の「文化」が脈々と受け継がれようとしている危うさが読み取れます(世代間連鎖)。なぜアルコール依存症は「ある」の?―図3これまで、「なぜアルコール依存症になるのか?」という疑問の答えを解きあかしてきました。それでは、そもそもなぜアルコール依存症は「ある」のでしょうか? その答えを探るために、アルコールの歴史をひも解いてみましょう。アルコールの自然発酵が発見されたのは、旧石器時代(数万年前?)と考えられています。それは、人類が手にした最も古いバイオテクノジーです。当時から、アルコールの摂取による一時の酩酊感や高揚感は、非日常(非現実)を味わう神秘体験の道具として祝祭(宗教的儀式)で重宝されてきました。しかし、当初はまだアルコール依存症として問題になることはほとんどありませんでした。その理由は、製造技術が原始的なために、低純度で希少で高価で、手に入りにくかったからです。その後、1万5千年前に農耕牧畜が開発され、それまでの狩猟採集社会から農耕牧畜社会へと社会構造が変わっていきました。特に東アジアでは早くから米作が広まり、それに伴い早くからアルコールの醸造が広まっていたと考えられています。なお、このことが原因で、ヨーロッパ人(コーカソイド)やアフリカ人(ネグロイド)と比べて、東洋人(モンゴロイド)はアルコールに弱い体質が多くなったという説があります。実際に、飲酒後すぐに表れる赤ら顔はフラッシング反応と呼びますが、東洋人に独特であるため、別名はオリエンタルフラッシュ(Oriental flush)と呼ばれます。例えば、日本人は、アルコールに強い人(ALDH1型)が50%強、アルコールに弱い人(ALDH2型部分欠損型)が45%弱、アルコールが全く飲めない人(ALDH2型完全欠損型)が5%です(グラフ1)。この東洋人はアルコールに弱いという説の根拠として、3つの可能性が考えられます。1つ目は、アルコールに強い遺伝子の淘汰がより早い時代からあった可能性です。これは、アルコールに強い人は、それだけアルコールを多く飲むので、アルコール依存症になりやすいということです。そして、アルコール依存症によって、働けなくなります(生存の困難)。また、配偶者として選ばれにくくなり(生殖の困難)、子孫を残しにくくなります。かつてアルコールは「きちがい水」とも呼ばれていました。結果的に、アルコールに強い遺伝子を持つ人は減っていくということです。2つ目は、アルコールに強い遺伝子の淘汰がより広い地域であった可能性です。狩猟採集民族が多く残るヨーロッパやアフリカは、狩りなどで衝動性や独自性が求められる社会です。そこでは、アルコールに強い人に寛容になります。その理由は、衝動性からアルコールを多く飲み酔っぱらって一時だらしなくなっても、酔いから醒めて、また本人のペースで狩りをすれば良いからです。また、飲みっぷりの良さは、豪快さ(衝動性)として男らしさに結び付いていきました。その価値観は現在でも根強いです。もともと狩猟採集と衝動性(ADHD)は関連性が高いですが、同時にアルコール依存症と衝動性(ADHD)も関連性が高いと言えます。一方、農耕牧畜民族が多く広まった東アジアは、田植えや稲刈りなどで計画性や協調性が求められる社会です。そこでは、アルコールに強い人に不寛容になります。その理由は、アルコールを多く飲み酔っぱらって一時でもだらしなくなったら、計画的にそして協調的に働けないからです(生存の困難)。そして、配偶者として選ばれにくくなり(生殖の困難)、子孫を残しにくくなります。結果的に、アルコールに強い遺伝子を持つ人は減っていくということです。3つ目は、アルコールに弱い遺伝子の選択がより多くあった可能性です。これは、アルコールに弱い方がより適応的であるという逆転の発想です。もともとアルコール摂取は、単なる気晴らしなどの娯楽ではなく、神聖な儀式の一環でした。この時、少しのアルコールですぐに酔えて非日常を味わえるアルコールに弱い人は、より神に近付ける人としてステータスが高まります。結果的に、アルコールに弱い遺伝子を持つ人は、配偶者として選ばれやすくなり、子孫を残しやすくなります。つまり、アルコールに弱い遺伝子を持つ人は増えていくということです。なお、アルコールが全く飲めない遺伝子は、ほんの少しのアルコールですぐに気持ち悪くなるだけで酔えないので、神に近付くことはできないため、この遺伝子を持つ人は増えなかったという解釈ができます。アルコール依存症が世界的に社会問題となっていったのは、18世紀の産業革命です。その理由は、10世紀以降にアルコールの蒸留法が発明されて純度を高めることが可能になった上に、産業革命による大量生産や広範囲の流通が可能になったからです。つまり、高純度で大量で安価で、手に入りやすくなったからです。もともとアルコールは、自然界に限りあるもので、人はなかなかアルコール依存症になれませんでした。しかし、文明が進歩した現在、ほとんど限りなく手に入るようになり、人は簡単にアルコール依存症になれるようになってしまったのです。つまり、アルコール依存症とは、文明の代償と言えます。もともと自然界にある水、糖、塩、タンパク質、脂肪などの物質は、調節をするメカニズムが進化しています。ところが、アルコールは、人工的に作られ始めてからまだせいぜい1万5千年です。そのため、その調節(フィードバック)をするメカニズムが進化するには、あと数万年以上は必要と思われます。もしかしたら東洋人(モンゴロイド)にアルコールに弱い体質が多いのは、その進化の先駆けかもしれません。 なぜ欲しがる心(嗜癖)は「ある」の?ここまで、アルコール依存症の起源が明らかになってきました。それでは、アルコール依存症などの嗜好の依存症(物質依存)から、行動の依存症(過程依存)、人間関係の依存症(関係依存)までを全て含んで、そもそもなぜ欲しがる心(嗜癖)は「ある」のでしょうか? 由紀と安行の生き方を通して、進化心理学的に解き明かしてみましょう。安行の母親は、「(安行は)何から逃げるためにあんなにお酒飲むのか」と由紀に呆れて言います。一方、安行は主治医に「(夢で)何か探してるんだけど、探しているものが何か分からなくてイライラする」と言います。由紀は、知り合いの医師から「離婚した相手のことをどうしてそんなに心配するんですか?」と聞かれて、「一度好きになった人はなかなか嫌いになりにくいし」と答えます。また、「体を満たしているのがたとえ(安行を末期がんで失う)悲しみであっても、とにかく体がいっぱい満たされているわけだから、悲しいんだか嬉しいだか分かんなく(なって)」と言っています。安行と由紀に共通する心理は、心が「何か」で満たされていないことです。そして、その「何か」を「代わりの何か」で満たそうと駆り立てられ、必死で追い求めます(渇望)。これが、欲しがる心(嗜癖)です。安行は、戦場カメラマンとしてベストショットを追い求め、がむしゃらで無茶でギャンブルのような生き様をしました。そして、追い求めるものはお酒にすり替わっていきました。由紀は、離婚しても安行を追い求め、安行を最期はがんで失うという「悲しみ」で心を満たそうとしています。この映画のラストシーンで、由紀は安行の母親に「子どもたちのいる場所だと思います、(死期が間近な)あの人の帰るところ」と言うと、母親は「居場所があるのねえ、まだあの子に」と言います。ここでようやく、心を満たす「何か」とは、家族の絆という心のよりどころ、つまりは「心の居場所」であることが分かります。安行や由紀は、この「心の居場所」の感覚が幼少期にうまく育まれなかったため、この感覚が充分に満たされていないのです。この心理は、オキシトシンとドパミンという神経伝達物質によって調整されています。この心理が満たされないと、オキシトシンと結び付いているドパミンによって、他の「何か」を欲しがる心理(嗜癖)が強まってしまうのです。オキシトシンが「心の居場所」の心理として働くようになったのは、私たちの祖先が人類として社会脳が進化して大家族をつくるようになった約300万年前と考えられます。さらに、このオキシトシンの起源は、私たちの祖先が哺乳類として授乳(哺乳)するようになった2億年以上前です。ドパミンの起源は、さらに遡って、私たちの祖先が原始生物として捕食対象に接近するようになった数億年前以上前です。これが私たちの欲しがる心(嗜癖)の起源であると言えます。私たちは、本能的に何かに近付いて欲しがる心(嗜癖)を持っており、問題はその相手(対象)や程度であるということです。 1)鴨志田穣:酔いがさめたら、うちに帰ろう。講談社文庫、20102)斎藤学:アルコール依存症に関する12章、有斐閣新書、19863)ディヴィッド・J・リンデン:快感回路、河出文庫、20144)アンソニー・スティーブンズほか:進化精神医学、世論時報社、20115)長尾博:図表で学ぶアルコール依存症、星和書店、2005

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1万超の爪からの薬物検出分析、薬物乱用を見抜けるか

 米国・United States Drug Testing Laboratories社の Irene Shu氏らは、薬物の蓄積リスクが高いと考えられる1万を超える爪のサンプルを用いて、ELISA法またはLC-MS-MS法により薬物の検出を試みた。その結果、さまざまな薬物が検出され、薬物の長期使用および乱用を評価するうえで、爪の分析が有用な可能性を示唆した。Journal of Analytical Toxicology誌2015年10月号の掲載報告。 爪(手と足爪)はケラチンでできている。爪の成長に伴い、薬物はケラチン線維に取り込まれ、使用3~6ヵ月後にそのケラチン線維内から検出される。その特性を生かして本研究では、ハイリスク症例から3年間にわたり採取した1万349サンプルについて薬物テストを実施した。全指の爪2~3mmを切り取ってサンプルを採取した(100mg)。得られたサンプルについて、有効とされる方法を用いて分析を行った。最初のテストは主に酵素免疫吸着測定法(ELIZA)により行ったが、一部は液体クロマトグラフィー質量分析法(LC-MS-MS)によって行った。陽性と推定されるサンプルについて、薬物の種類ごとに適した洗浄、微粉砕、分解、抽出などの過程を経て確認試験を行った。 主な結果は以下のとおり。・合計サンプル7,799例を用いてアンフェタミンに関する分析を行った。・すべてのアンフェタミン分析において、濃度は40~57万2,865pg/mg(中央値100~3,687)の範囲にあった。・サンプルの14%で、アンフェタミンメタンフェタミンが認められ、22例で3,4メチレンジオキシメタンフェタミン陽性(0.3%)、7例でメチレンジオキシアンフェタミン陽性(0.09%)、4サンプルで3,4-メチレンジオキシ-N-エチルアンフェタミン陽性(0.05%)であった。・サンプルの5%(合計7,787例における)で、コカインとその関連分析物が検出された。濃度は20~26万5,063pg/mg(中央値84~1,768)の範囲にあった。・オピオイド濃度は40~11万8,229pg/mg(中央値123~830)の範囲にあった。・オキシコドン(15.1%)、ヒドロコドン(11.4%)は、モルヒネ、コデイン、ヒドロモルフォン、メタドン、2-エチリデン-1,5-ジメチル‐3,3-ジフェニルピロリジン、オキシモルホンなど他のオピオイド(1.0~3.6%)に比べ高率で検出された。・カルボキシ-Δ-9-テトラヒドロカンナビノールカルボン酸の陽性率は18.1%(0.04~262pg/mg、中央値6.41)であった。・サンプル3,039例のうち756例(24.9%)が、エチルグルクロニド陽性(20~3,754pg/mg、中央値88)であった。・爪の中に認められる他の薬物にはバルビツール酸塩、ベンゾジアゼピン、ケタミン、メペリジン、トラマドール、ゾルピデム、プロポキシフェン、ナルトレキソン、ブプレノルフィンがあった。・高感度分析機器、主にLC-MS-MSが、爪における薬物をフェムトグラム(10-15g)単位での検出を可能にしている。本研究では、ハイリスク集団からサンプルを採取しているため、陽性率は非常に高かった。関連医療ニュース 薬物過剰摂取のリスクを高める薬物は 薬物依存合併の初発統合失調症患者、精神症状の程度に違いがあるか 日本人薬物乱用者の自殺リスクファクターは

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グルタミン酸受容体阻害薬、気分障害での可能性は

 新規の選択的な代謝性グルタミン酸5(mGlu5)受容体ネガティブアロステリックモジュレータであるDSR-98776について、齧歯目モデル試験の結果、有効な経口抗うつ薬および抗躁薬として作用することが示され、躁うつ病態を呈する幅広い気分障害の治療オプションと成りうることが示された。大日本住友製薬のTaro Kato氏らが報告した。European Journal of Pharmacology誌オンライン版2015年3月28日号の掲載報告。 モノアミン・モジュレーション・システムは、気分障害治療の主流である。しかし、最近のエビデンスとして、グルタミン酸システムが、この障害の病理生体において重要な役割を担うことが示唆されている。そこで研究グループは、mGlu5受容体ネガティブアロステリックモジュレータのDSR-98776の薬理学的な特徴および躁うつマウスモデルにおける効果を評価した。はじめに、in vitroのDSR-98776プロファイルを細胞内カルシウムと放射性リガンド結合アッセイを用いて評価した。次に、in vivoでDSR-98776の治療ベネフィットについて、一般的な躁うつ齧歯目モデルで評価した。 主な結果は以下のとおり。・DSR-98776は、mGlu5受容体に対し用量依存の阻害活性を示した。同活性は、mGlu5インヒビターとして知られる同一アロステリック部位の2-methyl-6-(phenylethynyl)-pyridine(MPEP)との結合によるものであった。・ラットの強制水泳試験において、DSR-98776(1~3mg/kg)は7日間の治療後、無動時間を有意に短縮した。一方でパロキセチン(3または10mg/kg)は2週間の連続治療後に、無動時間が短縮した。・マウスの強制水泳試験では、DSR-98776(10~30mg/kg)の急速投与が、無動時間を有意に短縮した。この効果は、4-chloro-DL-phenylalanineメチルエステル塩酸塩誘発5HTの減少には影響しなかった。・最後に、DSR-98776(30mg/kg)は、マウスにおいてメタンフェタミン/クロルジアゼポキシド誘発の機能亢進を有意に減少させ、この複雑な抗躁病様薬の効果を反映する結果が示された。関連医療ニュース 精神疾患におけるグルタミン酸受容体の役割が明らかに:理化学研究所 精神疾患のグルタミン酸仮説は支持されるか セロトニン3受容体、統合失調症の陰性症状改善に期待:藤田保健衛生大学  担当者へのご意見箱はこちら

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聴覚障害と精神疾患リスク、ドパミンとの関連は

 聴覚障害を有する人では精神疾患リスクの増大が観察されている。社会的挫折論(social defeat hypothesis)によれば、長期的に排除されるという経験が、脳内のドパミンシステムの活性や感受性の強化に結び付き、精神疾患リスクを増大するとされている。オランダ・アムステルダム大学のMartin Gevonden氏らは、その関連性を実証するため、重度聴覚障害の若年成人におけるドパミン放出と、前述の社会的挫折論との関連を調べた。JAMA Psychiatry誌2014年12月号の掲載報告。 検討では、重度聴覚障害を有する若年成人が、より強い社会的挫折を感じているかどうか、デキストロアンフェタミンへの反応としてより多くのドパミン放出がみられるか、また、同物質に対して正常聴覚成人よりもより強い主観的反応を示すのかについて調べた。また、ドパミン放出が、社会的排除感を訴えること、およびデキストロアンフェタミンにより誘発された精神疾患と関連しているかについても調べた。対象は、19例の患者と、喫煙・年齢・性別で適合した健常対照19例であった。被験者は、大学病院で硫酸デキストロアンフェタミン(0.3mg/kg)の静脈投与を受け、その前後にSPECT画像検査で評価を受けた。主要評価項目は、ベースラインのD2/3レセプター結合と内因性ドパミンの放出とした。 主な結果は以下のとおり。・患者群のほうが、より多くの社会的挫折感(U=109、z=-2.09、p=0.04)、孤独感(U=87.5、z=-2.72、p<0.001)を報告したが、ベースラインの精神症状に差はみられなかった(U=156.5、z=-0.70、p=0.48)。・ベースラインのD2/3レセプター結合に有意な差はみられなかった。・しかし、年齢(単位:月齢)、喫煙(同年間パック数)を共変数とした反復計測多変量解析の結果、健常群よりも患者群のほうが、アンフェタミンにより誘発された線条体のドパミン放出がより多いことが示された(F1,34=4.55、p=0.04)。・アンフェタミン投与後、患者群は健常群よりも変化が大きかったが、精神症状は増大しなかった。・同様に、社会的排除感の報告と精神症状の増大は、ドパミン放出とは関連していなかった。 結果を踏まえ著者らは、「以上のような所見が、聴覚障害者の社会的排除感におけるドパミン感受性のエビデンスとして示された。さらに、他の排除感を有するグループにおける検討で同様の所見が得られれば、今回の所見は精神障害の基礎を成す機序の理解において、またその予防に重大な意味を持つことになるだろう」とまとめている。関連医療ニュース アリピプラゾールの聴覚認知機能改善に対する影響は 認知症では味覚に関する機能も低下:東北大学 自殺念慮と自殺の関連が高い精神疾患は何か

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開発中のブレクスピプラゾール、その実力は

 新規開発中のブレクスピプラゾール(brexpiprazole、OPC-34712)について、同薬は抗精神病作用を有し、錐体外路症状の副作用リスクは低いこと、統合失調症に関連する認知障害に有効である可能性などが、動物実験の結果、示唆された。同薬を開発する大塚製薬のMaeda Kenji氏らが報告した。Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics誌オンライン版2014年6月19日号の掲載報告。 ブレクスピプラゾール(7-{4-[4-(1-benzothiophen-4-yl)piperazin-1-yl]butoxy}quinolin-2(1H)-one)は、セロトニン-ドーパミン活性のモジュレーターであり、5-HT1Aおよび D2/3受容体に結合してパーシャルアゴニストとして働くほか、5-HT2A、α1B-およびα2C-アドレナリン受容体に結合してアンタゴニストとして働く。本検討で研究グループは、動物モデルを用いて、ブレクスピプラゾールの行動薬理学的特性を評価し、さらに他の2種の第二世代抗精神病薬(アリピプラゾール、リスペリドン)との比較を行った。 主な知見は、以下のとおり。・ブレクスピプラゾールは、臨床的に意味のあるD2受容体占拠状況下において、ラットの条件回避反応を阻害したほか(ED506.0mg/kg)、アポモルフィンまたはd-アンフェタミン誘発過活動の阻害(それぞれED502.3 および0.90)、アポモルフィン誘発性常同行動の阻害(ED502.9)することが示された。・また、サルにおいて、アポモルフィン誘発性のまばたきも強力に阻害した。・これらの結果から、ブレクスピプラゾールが抗精神病作用を有することが示唆された。・ブレクスピプラゾールは、臨床的に意味のあるD2受容体占拠を超える濃度でカタレプシーを誘発したことから(ED5020)、錐体外路症状の副作用リスクは低いことが示唆された。・ラットにおいて、フェンサイクリジン(PCP)による亜慢性治療が認知障害を引き起こすことが、novel object recognition(NOR)テストとattentional set-shifting(ID-ED)テストの両方で示された。・PCPに誘発される認知障害は、NORテストにおいてはブレクスピプラゾール1.0および3.0mg/kgで、ID-EDテストにおいては1.0 mg/kgで改善することが確認された。・一方で、アリピプラゾール(10mg/kg)は、臨床的に意味のあるD2受容体占拠を示していたにもかかわらず、PCP誘発の認知障害に対する効果は確認されなかった。・5-HT1A アゴニストのbuspironeおよび 5-HT2A アンタゴニストのM100907は、部分的ではあるが、PCP誘発性障害を有意に改善することがNORテストにより確認された。・さらに、ブレクスピプラゾールの効果は5-HT1AアンタゴニストのWAY-100635と併用した際に消失した。・上記のように、ブレクスピプラゾールは抗精神病薬様活性を有し、統合失調症に関連する認知障害モデルに対する強力な効果があることが示された。・また、認知テストにおいてブレクスピプラゾールの有効性は、アリピプラゾールよりも優れていることが示された。・ブレクスピプラゾールの薬理学的プロファイルは、5-HT1A 、D2受容体に及ぼす影響と5-HT2A受容体に及ぼす影響との良好なバランスに基づくものであり、その他のモノアミン受容体の活性を調節できる可能性があると考えられた。関連医療ニュース 統合失調症患者の認知機能に対するアリピプラゾール vs リスペリドン 急性期の新たな治療選択となりうるか?非定型抗精神病薬ルラシドン 新規抗うつ薬「ノルアドレナリン・ドパミン脱抑制薬」その実力とは?

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精神疾患におけるグルタミン酸受容体の役割が明らかに:理化学研究所

 理化学研究所 脳科学総合研究センター精神疾患動態研究チームの窪田 美恵氏らは、気分障害および統合失調症におけるグルタミン酸受容体のADAR2とRNA編集(RNA editing)の役割を明らかにした。両者の剖検脳から、気分障害および統合失調症ではADAR2発現の低下が認められ、同低下がAMPAグルタミン酸受容体でのRNA編集の減少と関連していることが示唆されたという。これらの所見を踏まえて著者は、「ADAR2発現低下によるAMPA受容体のRNA編集の効率が、精神疾患の病態生理に関与している可能性がある」と述べている。Molecular Brain誌2014年1月号の掲載報告。 AMPA(2-amino-3-(3-hydroxy-5-methyl-isoxazol-4-yl)-propanoic acid)/カイニン酸グルタミン酸受容体の前mRNAは転写後に修正される。RNA編集として知られるこの修正はADAR2(adenosine deaminase acting on RNA type 2)を介して行われ、受容体のアミノ酸配列と機能が変化する。気分障害や統合失調症で、グルタミン酸シグナルが関与していることは示唆されていたが、AMPA/カイニン酸受容体のRNA編集が病態生理学的に意味を持つのかについては明らかにされていなかった。 研究グループは、剖検脳(双極性障害例32例、統合失調症例35例、対照群34例)、凍結脳組織片(同11例、13例、14例とうつ病例11例)、またAdar2ノックアウトマウス脳を用いて、ADAR2の発現とRNA編集について調べた。 得られた主な知見は以下のとおり。・剖検脳において気分障害や統合失調症患者は、ADAR2発現が低下する傾向があることが判明した。ADAR2発現の低下は、AMPA受容体のR/G部位の編集減少と関連していた。・へテロ接合型Adar2ノックアウトマウス( Adar2+/-マウス)においても、AMPA受容体R/G部位の編集は減少していた。・ Adar2+/-マウスは、オープンフィールド試験で活動性が増加する傾向を示した。また、強制水泳試験では静止に対して抵抗する傾向を示した。また、アンフェタミン誘導の活動亢進もみられた。・野生型マウスと Adar2+/-マウスにおいて、AMPA/カイニン酸受容体拮抗薬(2,3-dihydroxy-6-nitro-7-sulfamoyl-benzo[f]quinoxaline)投与後、アンフェタミン誘導の活動亢進に有意差はみられなかった。・著者は、「これらの所見は、全体的に、ADAR2発現低下によるAMPA受容体のRNA編集の効率が、精神疾患の病態生理に関与している可能性を示唆するものである」とまとめている。関連医療ニュース 精神疾患のグルタミン酸仮説は支持されるか グルタミン酸作動性システムは大うつ病の効果的な治療ターゲット グルタミン酸トランスポーター遺伝子と統合失調症・双極性障害の関係

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“喫煙者の採用拒否”もアリな時代、タバコの適正価格はいくら?

大手リゾート、製薬、IT、広告代理店など“喫煙者は採用いたしません”と明言する企業が増えていること、ご存知ですか?映画やドラマの喫煙シーンも減らすべきだという声すら上がり、嫌煙モードは高まる一方の今のご時世。2010年10月以降大きく下がった喫煙率、喫煙への抑止力として働いたタバコ価格を医師はどう見ているのか?そもそも医師の喫煙率はどうなのか?「医師なのにタバコを吸うなんてもってのほか」「脳梗塞でも喫煙する患者に辟易」「もっと値上げしたら自分もやめられるかも」などなど、“タバコと喫煙者の負担”について言いたいことを吐き出していただきました!コメントはこちら結果概要60代以上の医師の約半数が禁煙に成功、30代以下の約8割は喫煙経験なし現在喫煙している人の割合は回答者全体で8.7%(国民全体では21.1%:JT実施「2012年全国たばこ喫煙者率調査」より)。世代別に見ると最も高い40代で10.2%、最も低い30代以下では6.6%であり、大幅な差は見られなかった。しかし喫煙経験の有無では大きく異なり、30代以下の約8割は喫煙経験自体がないのに対し、60代以上の約半数が『禁煙成功を経ての非喫煙者』という結果となった。「自分が吸っていては患者に対して説得力がないから」といった声が多く見られた。“喫煙者の負担増”6割が賛成、「明らかに悪影響を及ぼす疾患は医療費の負担率上げるべき」“喫煙は医療費増につながるため、喫煙者の保険料や医療費などの負担額を上げるべき”との考え方に対する賛否を尋ねたところ、全体の61.1%が賛成と回答。「理屈はわかるが実際の運用は困難では」との声がある一方で、「脳梗塞、COPD、心疾患ほか喫煙が悪影響を及ぼすとのエビデンスがある疾患は自己負担率増に」といった意見も複数寄せられた。医師の8割以上がいっそうの値上げ支持、過半数は“1,000円以上が適正”適正だと感じる一箱あたりの価格について尋ねたところ、最も多かった回答は『1,000~1,400円程度』で33.6%。次いで『1,500円以上』『800円程度(100%値上げ)』がそれぞれ19.5%となり「若年層が手を出しにくい価格にすることが大切」との意見が見られた。喫煙者でも3人に1人は値上げすべきと考えており、「いっそ1,000円以上になれば自分もやめられるのでは」といった声も挙がった。喫煙をめぐる環境、“全館禁煙”で院外にあふれる患者や職員に苦言、表現活動をめぐっては賛否が病院機能評価の項目に“全館禁煙の徹底”が含まれることもあって「敷地の一歩外の歩道上で入院患者が集団で喫煙し、かえって見苦しい」「職員が隠れて吸っている」など、病院周辺の喫煙状況を問題視する医師が多く、「病院こそ最も喫煙者の採用を拒否すべき職場だ」との声も挙がった。表現活動については「喫煙シーンは極力減らすべき」「映画などの規制はやり過ぎでは」と賛否が見られた。設問詳細タバコについてお尋ねします。JTが2013年5月に実施した「全国たばこ喫煙者率調査」によると、全国の喫煙者率は20.9%(前年比-0.2ポイント)、男女別では男性が32.2%(前年比-0.5ポイント)、女性は10.5%(前年比+0.1ポイント)という結果となりました。2010年10月の増税・定価改定による値上げ直後に比較すると減少傾向は緩やかになりつつあるものの、喫煙者の採用拒否を明言する企業も出てくるなど社会全体での嫌煙モードは高まっています。また政府は2012年6月に新たな「がん対策推進基本計画」を閣議決定し、2010年時点で19.5%の喫煙率を、2022年度までに12%に引き下げるとの考えを示しています。一方、禁煙運動を推進するNPO法人がアニメ映画内での喫煙シーンについて問題視した要望書を提出したことで議論が起こるなど、物理的環境の制限のみならず表現活動にも踏み込む向きについては、行き過ぎであるとして疑問視する声も挙がっています。そこで先生にお尋ねします。Q1.先生は喫煙されていますか。喫煙している以前喫煙していた喫煙したことがないQ2.「喫煙は医療費増につながっているため、喫煙者は保険料や医療費などの負担額を上げるべき」という考え方がありますが、いかがお考えですか。賛成反対どちらともいえないQ3.タバコの価格はどの程度が適正だとお考えになりますか。400円程度(現状維持)600円程度(50%値上げ)800円程度(100%値上げ)1,000~1,400円程度1,500円以上Q4.コメントをお願いします。2013年8月16日(金)実施有効回答数1,000件調査対象CareNet.com会員の医師コメント抜粋(一部割愛、簡略化しておりますことをご了承下さい)「禁煙の最も有効な手段の一つは、徐々にではなく急激なたばこ価格の上昇と思う。またJTによる健康被害に対する訴訟も必要だろう」(呼吸器内科,70代以上,男性)「ヨーロッパやオーストラリアと同程度にするべきです。特に医療関係者は無条件で禁煙にするべきです」(神経内科,40代,男性)「喫煙は百害あって一利なしであり、医療者が就職する際、喫煙習慣の有無をチェックし、喫煙習慣があるヒトに対して、一定期間での禁煙を課すべきと考えます」(小児科,50代,男性)「喫煙で得られるものは何もない。迷惑千万であり税金、医療費等、もっともっと高くするべき。タバコ吸って肺がんになって助けてと言われても助ける気にならないので、成人の診察は絶対したくない」(小児科,40代,男性)「生活保護を受けている心筋梗塞の患者さんに煙草をやめるように促したところ逆切れされました。その後まもなくその患者さんは脳梗塞を併発し、寝たきりとなりました。医療に対して真摯でない人に医療費が無料というのはいまだに納得できない状況です」(救急科,40代,男性)「喫煙者と非喫煙者の保険料負担は差があってしかるべきだと思います」(循環器内科,40代,男性)「血管障害の治療を受けている生活保護受給者が医師の禁煙指導に従わない場合、何らかの対策が必要と思われます」(脳神経外科,50代,男性)「大学入学後18歳から喫煙していたが、運動部で走りへの影響があり、20歳で禁煙。病院は敷地内禁煙だが、院長、副院長が喫煙者なため、職員の敷地内喫煙がしばしば見られ、禁煙対策が徹底していない。院長の喫煙の有無で敷地内禁煙の徹底が分かれてしまうように思う」(小児科,50代,男性)「循環器を専門としていますが、家族を持ってからは怖くて吸えなくなったというのが正直なところです。これが合法的なものであることすら疑問です。危険性を啓蒙することも必要ですが、ほとんどの喫煙者には現実的に受け止められないため、積極的に吸いたくても吸えない環境を整備してあげるべきです」(循環器内科,40代,男性)「根本的には、喫煙者の自覚と意志によるところが大きいとつくづく思います」(内科,50代,男性)「喫煙者の医療負担額を上げるのは,現実的には困難。たばこ税として徴収した中から医療費に回すべき」(血液内科,40代,男性)「自分自身は喫煙経験が全くないし、経営しているクリニックは全館禁煙で、職員も喫煙者は採用しない方針を採っているが、他人の喫煙にはとやかく言うつもりは無い」(精神科,40代,男性)「病院評価機構の認定基準?で、院内が全面禁煙となり(喫煙室も作れない)、入院患者がすぐ隣の公園や道ばたで座り込んで喫煙している状態が日常化しておりみっともない状態です」(小児科,30代,男性)「日本はまだ喫煙者に甘い。非喫煙者が過半数を超えた今、飲食店での全面禁煙等を早く導入すべき」(外科,40代,男性)「きちんと分煙されれば、吸おうが吸うまいが構いません」(小児科,40代,男性)「タバコは1本100円以上が適正価格。さらに自動販売機での販売を禁止すべき」(小児科,40代,男性)「たばこだけを悪者にするのは不公平。車の排気ガス、食品添加物、ファーストフード、甘い炭酸飲料など他にも色々あるでしょう」(麻酔科,50代,男性)「たばこが健康状況に悪影響があるとわかっていても禁煙できない医療関係者をみると、禁煙治療の難しさを感じる」(産婦人科,40代,女性)「少なくとも自身や家族の喫煙には絶対反対ですが、喫煙者の存在を否定するつもりはありません。飲食店などではもう少し厳密に禁煙スペースと喫煙スペースを区切ってもらえればと」(総合診療科,20代,男性)「喫煙は体に有害だとは思うが、喫煙者に肩身の狭い状況を次々と作っていくようなやり方は、ちょっとどうかと思う」(小児科,50代,男性)「若いうちは格好つけてタバコを吸っていました。40過ぎて、格好悪い、体に気をつけなければと思い止めました。患者さんにも『タバコは高校生が格好つけて吸うもの、この年になっても吸っているのは格好悪いでしょ』と指導しています」(脳神経外科,40代,男性)「医療関係者の喫煙はなくなるべきだと思いますが、職員の禁煙もなかなか進みません。生命保険料などに差をつけるのは賛成です」(内科,50代,男性)「私は職業柄、禁煙に成功したが、なかなかそうはいかない方も多いでしょう。人に迷惑をかける観点からすれば、酒のほうがよっぽど社会悪だと思います。あまり極端な締め付けは新たな問題を引き起こします。」(形成外科,40代,男性)「疾患の誘因になる上、においがつくので嫌いです。次回の値上げは、一本1円でもいいので、医療費に回してもらいたいです」(内科,50代,男性)「受動喫煙の問題もあるが、麻薬として禁止されていないのだから吸いたい人は吸えばよい」(内科,60代,男性)「子供の出生と同時に喫煙はやめました.さまざまな病気の発症(特に悪性疾患)との関連が指摘されており,抗癌剤治療等の高額医療を削減するためにはたばこの価格をもっと上げれば良いと思います」(消化器外科,50代,男性)「私も15年前に禁煙しましたが、禁煙までに苦労しました。たばこの値段を上げるのには賛成ですが、保険料や医療費まで上げることにはちょっと抵抗があります」(外科,60代,男性)「周りで吸われると臭くて汚いうえに受動喫煙による被害を被る。本人は癌やCOPDなどで医療費を食い、やめようとしても禁煙薬は保険適応となっており医療費を使う。タバコの価格は1箱5000円以上が適正」(内科,50代,男性)「喫煙者はたばこを吸う事が自他に亘って健康及び環境に対して害を与えることを十分理解しているのか調査して、理解していなければ十分啓蒙し、なおも喫煙を続けようというのなら、それ相応の対価を支払わせるのは至極当然のことと考える」(その他,50代,男性)「大人っぽく見せるために喫煙していたが、健康のため禁煙をした。それから葉タバコの臭いが大嫌いになりました。非喫煙者には大迷惑ということがよくわかった。また、排水溝のゴミにも吸い殻は大量に含まれその除去費用も、街の清掃業務にもたくさんの税金がかかっています。税金を高くするのは当然です」(整形外科,50代,男性)「健康被害や依存性が明らかな喫煙…、煙草の販売そのものをやめてほしいと思います(まあ、もろもろの事情で難しいのはわかりますが・・)」(内科,40代,女性)「症状は無かったが冠動脈に動脈硬化がわかり禁煙しました。肺がんは関係ないとの意見もありますが、口腔、食道がんやCOPDを考えると患者さんもしかり、周りの方もつらい思いをする。そのような不幸な方が少しでも減ればと思う」(整形外科,40代,男性)「禁煙外来を担当しておりますが、禁煙治療の保険適応に対する過剰な規制が気になります。ニコチン依存症の診断基準としてブリンクマン指数(1日喫煙本数×年数)があるため、若年者では診断基準を満たさず、最も対策が必要であろう中高生や20代の禁煙治療が保険で行えないことや、禁煙治療の期間が12週間と規定されており、それを過ぎると保険を使えないこと、入院患者に対しては禁煙治療を開始できないことなどです。こうした規制をはやく取り払って欲しいものです」(その他,30代,男性)「JTは『マナー問題』にすることでプロパガンダに成功している」(内科,40代,男性)「子供たちに健康上悪影響を与えるとの思いから禁煙したが、子供たちは喫煙しており、割り切れない思い」(その他,60代,男性)「20年前に禁煙した。診療所内は禁煙、患者さんにはやめるよう毎回指示している。1箱の値段が1000円を超えれば、喫煙者は相当減るのではないか」(内科,70代以上,男性)「健康政策で最も効果的なのは,喫煙者を減らすこと。しかも,徐々に(たばこ農家や零細なたばこ屋さんへの対策を行いながら)値段を上げるだけで良いのだから,極めて簡単。税収減を心配する意見もあるが,長期的には医療費削減効果が大きいので,むしろ国の収支は改善されるともされており,早急にたばこを値上げすべし」(内科,60代,男性)「喫煙に関連が深い疾病では、喫煙者の保険医療支払いを高くできないのか?」(皮膚科,50代,男性)「当院は禁煙外来をしており、病院評価も受けているため敷地内禁煙となっている。しかし、一歩敷地外では入院患者の喫煙光景がみられ敷地外に吸殻が捨てられていたり、中にはまだくすぶっている吸殻もみられ非常に危険。といって敷地外に吸い殻入れを置くのもおかしい。喫煙自体は勧められたことではないが、病院内すべてを禁煙にするのではなく空港ロビーのように換気扇のついた喫煙室の設置を義務付けてはいかがか?入院患者に禁煙していただきたいのは山々であるが100%禁煙なんて無理。厚労省の役人だってどこかで吸っているのでしょう!こんな馬鹿馬鹿しい規制はやめてほしい」(消化器内科,60代,男性)「喫煙が自分の体に良くないことは自覚した上での喫煙はやむをえないと思います。自分も以前していたので、気持ちはわかります。ただ周囲の人への受動喫煙は避けるべきと考え、喫煙場所を今後も限定していくべきと思います。禁煙できず状態が悪化した場合は、家族ともどもいっさい医療側に苦情を言わないことも条件と考えます」(脳神経外科,50代,男性)「喫煙は百害あって一利なし。わかった上でなお喫煙をやめない方は、喫煙が悪影響を及ぼすとエビデンスのある疾患に関しては医療費の全額自己負担が妥当と考えます。そもそも確実に体に悪いのだから法律で全面禁止にしたら良い。税収の減少は医療費の削減で相殺可能でしょう。また現時点で喫煙している方から特別税を徴取し、一時的な財源に充てればいいと思います」(臨床研修医,20代,男性)「可処分所得が少ない若年層が、タバコに手を出せない環境を作るのが大事」(泌尿器科,50代,男性)「喫煙はがんを増加させるだけでなく、動脈硬化を著しく促進してしまいます。高血圧症や腎疾患を診療している医師としては、病気を進行させないためなんとしても説得して禁煙して頂いております」(腎臓内科,50代,男性)「喫煙が医療費を上げるという説に根拠はあるのか。喫煙で寿命が短くなればその分医療費も減るのでは」(内科,50代,男性)「喘息の子たちが苦しそうにしてるのが見ていられないのに、平気で近くで吸う人たちが許せない」(小児科,40代,女性)「タバコの依存性を考えると麻薬よりもたちが悪い面もあると聞く。2,000円くらいでも吸うヒトはいると思うのでどんどん釣り上げればよいという立場です。自分はneversmokerです」(泌尿器科,30代,男性)「施設内全面禁煙ですが、屋外の建物の陰で医療従事者が喫煙しているところが病棟から丸見え。患者さんも雨のなかでも傘さして外で喫煙してます。どうしようもないかも…」(整形外科,50代,男性)「煙草ばかりやり玉にあげられていることに違和感をおぼえます。お酒についてももっと厳密な論議をすべき」(精神科,40代,男性)「嗜好品なので、社会保険料や医療費の負担額を上げるべきではないが、税金を増やすことはいいと思います」(内科,50代,女性)「当地の某県立病院内は全面禁煙。境界の歩道上で患者さんがたむろして喫煙しているのが早朝の風景。当然職員はそれを毎日見ているが改善されたとは思えない。嗜好であるから難しいし、モラルの問題になるのだと思う。価格を吊り上げれば多少の抑制はかかるかもしれないが、無くなることもないと考える」(産婦人科,50代,男性)「病院も全館禁煙にしたいところですが、職員の喫煙者も多くなかなか賛同が得られません」(精神科,40代,女性)「当院も敷地内禁煙のはずなんですが、タバコ臭い職員がいるんですよね。病院なんて喫煙者の採用拒否を一番にしていい職場だと思うんですが」(小児科,40代,男性)「喫煙者は保険料や医療費などの負担増であるなら、飲酒者、肥満者、高血圧者、糖尿病者、その他リスクを持つ全ての者に対して負担増を強いるべきである」(リハビリテーション科,40代,男性)「嗜好品が将来的な病気のリスクを高め、その病気を社会全体で支えることが非喫煙者の理解を得ているとは思えません。値上げのみで解決できる問題ではないが、抑止力の一つとして考慮されるべき。現時点での税収減少を心配するのではなく、若年人口が減少し社会的に高齢者を支えることが不十分になっている今だからこそ将来のことをきちんと考えるべき」(消化器外科,50代,男性)「缶コーヒー1本とタバコ1本と同等くらいがいいんじゃないかと思います。が、他国とつり合いがとれないくらいの価格だと、差益を狙った組織が暗躍するのではと危惧されます」(泌尿器科,40代,男性)「生活保護の母子家庭の母親に喫煙者が多い。値段を上げても、子供の特別手当や手帳からくる公費を使って買っているのが実情なので、喫煙が減るとは思えない。子供が犠牲になるだけ。また禁煙外来も、自己負担なしなのであまり成功していない。困っています」(小児科,60代,女性)「1000円以上でも止められない方は多いと思います。呼吸器内科部長がヘビースモーカーで、禁煙外来を行っていながら休憩時間には吸っていましたね。依存の問題は難しいです」(消化器内科,50代,女性)「喉頭がんになってもまだやめない人がいる。こんな人に医療費を使うのはどうかと思う」(消化器内科,50代,女性)「全てを吸い込むのなら(副流煙もなく、吐き出しもない)許さなくもない」(小児科,40代,男性)「全面的に煙草を違法なものとして禁止してもいいのでは?吸わない人間からするとただただ迷惑なだけ。タバコ以外の嗜好品もあるのだから、タバコがなくても生きていけないわけではない」(内科,40代,女性)「禁煙外来へ紹介しているが、成功率は半分くらいで、最終的には本人の意志による」(内科,40代,男性)「被ばくより発がんリスクが高いことをなぜ伝えないのでしょう?値段は段階的に1500円以上にすべき」(消化器外科,40代,男性)「ヒステリックに騒ぎ過ぎかと思います」(泌尿器科,40代,男性)「学位論文のストレスで一時喫煙したが、運動が身体的に明らかに辛かった為禁煙した。また喫煙依存者に肺気腫等が多く、高齢になって症状に苦しむ姿を多くみて禁煙を広めるべきと感じ、抑止力として高額化することはかなり有効と感じる」(外科,50代,女性)「禁煙外来はやってませんが、よく勧めます。やってみて成功する人は少ないし、それよりも他人事と思って問題視しない人の方が多いですね。タバコの値段を引き上げれば絶対喫煙者は減ります。あとは健康というよりは政治の問題と言うしかないでしょう。前回の値上げの時に、3倍の1000円にするべきでした。400円で喫煙者数の現状維持を成功させましたね!総務省・財務省の勝ちで厚労省はいつも負けますね。もし1000円になれば1/3が禁煙、1/3が減煙、値上げ分で税金、生産者・JTの減収分は確保されて、結果的には喫煙者が減り、タバコの弊害が減って医療費分は浮くのではと予測してましたが」(精神科,50代,男性)「購入することにちょっと躊躇するような値段にすべきです」(腎臓内科,40代,男性)「たばこは嫌いですが、法律で禁止されているわけでもないのに、ここまで喫煙者が差別されるのもおかしな話だと思います。完全分煙、医療費負担増で自己責任でよいと思います」(心臓血管外科,40代,男性)「禁煙して『吸えないストレス』から解放されて、とても楽になりました」(消化器内科,40代,男性)「喫煙による被害の啓蒙VTRを小学生の頃から奨励したり、基本的にたばこ会社を撤退させたらどうか」(循環器内科,40代,女性)「喫煙者があまりにも迫害されているような気がします」(整形外科,50代,男性)「今年の世界禁煙デーの標語で厚生労働省の弱腰が明らか。WHOは『Bantobaccoadvertising,promotionandsponsorship』(タバコの宣伝、販売促進活動、スポンサー活動を禁止しよう)、対して厚生労働省の標語は『たばこによる健康影響を正しく理解しよう』。日本政府は本当に禁煙を推進する覚悟があるのか!」(循環器内科,50代,男性)「わかっちゃいるけど・・・と思っている方も多いと思うので、もっと容易に禁煙外来にかかれる(例えば小児の様に公費負担にするとか)体制を作るべきと思う」(内科,70代以上,男性)「敷地内禁煙にしていても抜け道はいくらでもあり、当院でも受動喫煙対策にかなり悩まされています。生活保護費を受給している膀胱がん患者が、ぬけぬけとタバコがやめられないとおっしゃるのが許せません」(泌尿器科,40代,男性)「過度の禁煙押し付けでうつ状態になった患者を診察したことがある。喫煙をやめさせようとする余り他の病気を発症させては本末転倒では。また、低所得層・過酷勤務層ほど喫煙率が高いことがわかっている。単にたばこの価格を上げるだけでは低所得者層への逆進課税になってしまう。販売禁止のほうが理に適っているのではないか」(内科,40代,男性)「禁煙したいと以前から思っておりますが、無理でした。値段を上げることが喫煙者を減らす第一歩ではないかと思います」(腎臓内科,40代,男性)「自分は吸わないが、安定税収入のために国民をニコチン中毒にしておいて今更医療費抑制のためにタバコの価格を上げるのはおかしいと思う」(循環器内科,60代,男性)「禁煙をした医師として『禁煙支援外来』に携わっている。吸ったことのない先生よりは適切な指導が出来ると自負している」(循環器内科,60代,男性)「病院のみならず、人格形成に大きく関わる小中学校教員自身の禁煙を徹底させる。校内禁煙は当然であるが校門近くでたばこを吸っている、あるいは駐車場の車内で吸っている教師を児童が見かけたという話をよく聞く」(消化器外科,50代,男性)「25年前結婚を機に、一つぐらい体に良いことをと思いたばこをやめました。やめてから良いことばかりです。患者への教育のためにも、少なくとも医師が率先して禁煙すべき」(外科,50代,男性)「禁煙歴27年。患者さんに禁煙を勧める時に自分が吸っていたのでは迫力ないし、自分の体験を話しながら説明しやすい」(精神科,60代,男性)「19歳頃から60歳まで吸いました。診察中にCOPDの患者さんが多くおられ、それが怖くて禁煙し13年。医療費が掛かるからと値段を上げるのは賛成できませんが、COPD等で苦しまれていることを知らせることが必要と考えます」(外科,70代以上,男性)「実の父が脳梗塞を患い、それでもタバコを吸って、再アタックが起きて寝たきりになり、ぼろぼろになって行くのを目の当たりにして禁煙した」(内科,50代,男性)「『風立ちぬ』で喫煙シーンが多かったが、監督自身がヘビースモーカーなので作品の製作にあたり何も考慮しないと思われる。映画やドラマでも喫煙の場面を極力減らしてほしい」(消化器内科,50代,男性)「早く禁煙しなければと思いながらきっかけが持てずにいます。いっそ1000円以上になればやめると思う」(内科,40代,女性)「価格を上げることが一番禁煙に繋がる早道と思う」(内科,70代以上,男性)「(呼吸器学会など)専門医取得に禁煙証明が必要となるといった動きは非常に良いと思う。医師が率先して禁煙し、患者への啓蒙活動に取り組むべき」(糖尿病・代謝・内分泌内科,30代,女性)「精神科ではたばこを必要とする患者さんがいるのは事実ですが,そういう方は一部に減りました。禁煙ってできるんだなあという印象をもちました」(精神科,40代,女性)「高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病、心筋梗塞・脳梗塞・閉塞性動脈硬化症、悪性腫瘍、肺疾患などの病名での治療では、喫煙患者の医療費自己負担率を8割位に上げるのが、禁煙促進に有効と考えます」(心臓血管外科,60代,女性)「10年以上前から間接喫煙の弊害を病院管理者に訴えましたが何も聞いてもらえませんでした。病院機能評価などで世間体が気になって初めて対策が取られました。情けないの一言です」(小児科,50代,男性)「アニメや映画での自粛や規制はやりすぎ」(小児科,40代,男性)「患者さんから『たばこ臭い人(助手)がいてリハビリを受けたくない』と苦情あり」(整形外科,50代,男性)「400円への値上げを契機に喫煙を止めた。値上げが無ければ喫煙を続けていた。経済的な理由ではなかったけれど…」(内科,60代,男性)「自分自身もなかなかやめられず、患者さんにダメですという時に心が痛い」(循環器内科,20代,男性)「広く禁煙運動が叫ばれ始めた頃に職業柄模範を示す必要があると考え半年間くらいかけて禁煙に成功。1日6-7本程度で50年くらい続けたが、結構苦労した思いがある」(その他,70代以上,男性)「喫煙者の『他人には迷惑かけてない』という妄言にはウンザリ。健康保険から金を取り、火事の原因や受動喫煙、路上喫煙で小児に火傷など、他人に直接的にも迷惑をかけているのに。大幅値上げ、健康保険からの排除などすべき」(耳鼻咽喉科,40代,男性)「喫煙本数と疾患には明確な関係があります。価格を上げ若年者には手に入りにくいところ(例えば1箱10000円)まで値上げすべきでしょう」(呼吸器内科,50代,男性)「1本100円程度にして、喫煙でリスクの上がるがん治療にJTから寄付してもらう」(皮膚科,40代,男性)「禁煙の推進や分煙には賛成するが、喫煙者の人格や喫煙行為そのものを害とみなすようなスタンス(今回の『風立ちぬ』に対する日本禁煙学会の意見など)は、原理主義的で違和感を感じる」(小児科,30代,男性)「喫煙者の患者の声として、今度値上げするなら禁煙するという声が多い。小刻みな値上げより、思い切った値上げが効果的なのではと考える」(皮膚科,30代,女性)「生活環境の変化に伴い自然にやめました。表現については、じゃあ過去の映画やドラマ等放送しないのか?レンタル等しないのか?どこまでが許容されて、どこからが問題かは、製作者が判断することと思います」(呼吸器内科,20代,女性)「煙草による経済振興と経済的損失を適正に数値表示してもらえれば功罪がわかり易くなるでしょう」(内科,60代,男性)「15年くらい吸っていたが、家族のために健康でいなければという意識からニコチンガム発売をきっかけに19年前に禁煙しました。大掃除の時、壁をふくと雑巾が真っ黒になりこれだけのタールが体内に入っていたのかと驚いた記憶がある」(内科,50代,男性)「タバコについては税金が課されているが、喫煙による疾病の医療費をまかなうほどではない事も事実。その辺の矛盾も検討すべき」(外科,30代,男性)「若いときから自動的に喫煙を始めてしまった。これからの若い人には喫煙を始めないように勧めるべきだ。医師の喫煙者は多いと思う」(産婦人科,70代以上,男性)「敷地内での禁煙で喫煙出来なくなった職員や入院患者が病院の正門で喫煙している。敷地外なので積極的に注意出来ない状況。病院のイメージが悪化しないか心配。」(臨床研修医,20代,男性)「喫煙者は、自分が中毒患者であるということを自覚すべき。患者は健康な人と同じに生命保険に入ることが難しいのは、ほかの慢性的で治療困難な疾患と同じですので、容易に理解できるはず。たばこが原因ということが明らかな癌は、保険診療を受ける権利はないと思います」(腫瘍科,40代,女性)「喫煙が健康被害があることがはっきりしているのだから、たばこの価格を上げその分を医療費に回せばよいと思う。不満なら吸わなければいい」(呼吸器内科,30代,男性)「禁煙出来ない患者は大勢いるため、タバコの値段を上げる以外にも保険料や医療負担額を上げる等の措置が必要であると思われる」(腎臓内科,30代,男性)「日本の法律上「20歳以上が許可」されているが、20歳にもなって「さあ吸おうか」などという馬鹿なことを考える人はいないでしょう。未成年で吸い始める人がほとんどでは。そういう観点で言えば「喫煙者はすべからく違法」と言っても過言ではないのでは」(循環器内科,40代,男性)「小児アレルギーを専門としています。子供が喘息で加療しているにもかかわらず、禁煙しない父親、祖父がいて困っています。日本では受動喫煙の害に対する意識が乏しいと思います」(小児科,50代,女性)「医師である限り、解剖のときに見たあの喫煙者の肺所見を知っていながら、よく自分が喫煙する気になると思う」(皮膚科,60代,男性)「喫煙者の話を聴くと、値段が1,000円以上になればやめる、という人が多いので、それくらいには値上げしても良いと思う」(膠原病・リウマチ科,50代,女性)「たばこを吸う人が減って、医療費が抑制できたらいいと思っています。私の家族もスモーカーでしたが、全然やめてくれず、最終的に脳梗塞になりました」(小児科,40代,女性)「生活保護の患者さんにヘビースモーカーが多い。禁煙指導しても聞く耳を持たない」(精神科,50代,女性)「喫煙者の保険料や医療費を上げるという意見は、理解出来るが非現実的。喫煙者の定義が困難であるし、抵抗も大きいと予想される。それよりも喫煙者の医療費に見合うだけタバコを値上げすべきであり、そうすれば喫煙の抑制にもなる」(麻酔科,50代,男性)「耳鼻咽喉科医ですが、タバコ関連癌が多いことがこの科の癌の特徴の一つです。タバコは心疾患や肺疾患の原因でもあり、「タバコは百害あって一利なし」だと思います。タバコ農家にはお気の毒ですが、JTもずいぶんタバコ以外の製品に移行できたでしょうから、容易に購買できない価格にして、喫煙をやめる人を増やすようにしていただきたい」(耳鼻咽喉科,50代,男性)「禁煙外来をしています。禁煙中にあっても再喫煙をなってしまうきっかけのほとんどは、飲み会です。会場内禁煙でありさえすれば、再喫煙の誘惑に負けてしまう確率はきわめて低くなります。喫煙シーンなど刺激を避けることが不可欠となります。また、禁煙中のがんばっている患者さんの中には、街で見える所で売って欲しくないと言っています。また、今回の一連の騒動ですが、作者自身がヘビースモーカーであり、自身の喫煙環境を満たすため(日本の社会の禁煙推進に反対するため)、作品を通して、訴えている側面がとても感じられ、危険であると感じます。反対意見を言われる方は、タバコがいかに依存性があって、反社会的な薬物であるという事が認識されていないかと思われます。」(内科,50代,男性)「日本のタバコは安すぎます。海外ではタバコに『killyou』とまで書いてあり、その上、1000円くらいです」(泌尿器科,40代,男性)「自身が喫煙しており、依存症であると認識している。麻薬や覚醒剤のように、非合法なものとして取り扱ってくれればさすがに禁煙すると思う」(内科,30代,男性)「主人は結婚を機に禁煙しました。そのときにはかなり喫煙と健康被害についてレクチャーをしましたが…」(産婦人科,40代,女性)

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新規sGC刺激薬リオシグアト、肺高血圧症に有効/NEJM

 リオシグアト(本邦では承認申請中)は、肺動脈性肺高血圧症(PAH)患者の運動能を改善し、肺血管抵抗やN末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)などの改善をもたらすことが、ドイツ・ギーセン大学のHossein-Ardeschir Ghofrani氏らが行ったPATENT-1試験で示された。リオシグアトは可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激薬と呼ばれる新たなクラスの薬剤で、内因性の一酸化窒素(NO)に対するsGCの反応性を高める作用、およびNOの刺激がない状態での直接的なsGC刺激作用という2つの作用機序を持ち、第1相、第2相試験でPAH患者の血行動態や運動能の改善効果が確認されていた。NEJM誌2013年7月25日号掲載の報告。症候性PAHに対する効果をプラセボ対照試験で評価 PATENT-1試験は、症候性PAH患者に対するリオシグアトの有用性を評価する第3相二重盲検無作為化プラセボ対照試験。対象は、肺血管抵抗>肺血管抵抗>300dyne・sec・cm-5、肺動脈圧>25mmHg、6分歩行距離150~450mの症候性PAH(特発性PAH、家族性PAH、結合組織病・先天性心疾患・肝硬変症状のある門脈圧亢進症に伴うPAH、食欲抑制薬やアンフェタミンの使用によるPAH)患者であった。 参加者は、プラセボ群、リオシグアトを最大2.5mg(1日3回、経口投与)まで投与する群、最大1.5mg(同)まで投与する群の3群に無作為に割り付けられた。1.5mg群には探索的検討を目的とする患者が含まれ、有効性の解析からは除外された。PAHに対する治療のみを受けている患者や、エンドセリン受容体拮抗薬、プロスタノイド(非静脈内投与)の投与を受けている患者の参加は可とした。 主要評価項目は、ベースラインから12週までの6分間歩行距離の変化とした。副次的評価項目は、肺血管抵抗、NT-proBNP、WHO肺高血圧症機能分類などであった。6分間歩行距離が30m延長 2008年12月~2012年2月までに443例が登録され、プラセボ群に126例、リオシグアトの最大用量2.5mg群に254例、最大用量1.5mg群には63例が割り付けられた。全体の平均年齢は51歳、女性が79%、特発性PAHが61%と最も多く、WHO機能分類クラスII/IIIが95%を占めた。38例が12週の治療を完遂できなかった。 12週後の6分間歩行距離は2.5mg群が平均30m延長し、プラセボ群は平均6m短縮した(最小二乗平均差:36m、95%信頼区間[CI]:20~52、p<0.001)。リオシグアトにより、PAH以外の治療は受けていない患者や、エンドセリン受容体拮抗薬、プロスタノイドの投与を受けている患者においても、6分間歩行距離が改善された。 肺血管抵抗(p<0.001)、NT-proBNP(p<0.001)、WHO機能分類クラス(p=0.003)、臨床的増悪までの期間(p=0.005)、Borg呼吸困難スコア(p=0.002)も、2.5mg群で有意に改善したが、QOLには有意な差を認めなかった(p=0.07)。 最も頻度の高い重篤な有害事象として、失神がプラセボ群の4%、2.5mg群の1%に認められた。 著者は、「リオシグアトにより、6分間歩行距離や肺血管抵抗のほか、有効性に関する副次評価項目のほとんどが改善された。一方、HIV感染症、住血吸虫症、慢性溶血性貧血に伴うPAHや、ホスホジエステラーゼ5型(PDE5)阻害薬、静脈内プロスタノイドの投与を受けている患者は除外されているため、これらの患者に対する効果は不明である」としている。

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長距離ドライバーのカフェイン摂取、事故リスク減少と関連/BMJ

 商業用自動車の長距離ドライバーにとって、お茶やコーヒー、カフェイン錠剤などの法的に認められているカフェイン添加物は、事故のリスクを6割強減少することが、オーストラリア・ジョージ国際保健研究所のLisa N Sharwood氏らによる症例対照研究の結果、明らかになった。長距離ドライバーに関しては、疲労対策として違法な刺激物(コカインなど)の使用が知られる。一方で、カフェインは法的に認められた刺激物で広く消費されており、シミュレーションでは運転者の敏捷性や作業効率を亢進することが示されていたが、リアルワールドでの研究は行われていなかったという。BMJ誌オンライン版2013年3月18日号の掲載報告。カフェイン添加物摂取と事故リスク減少の相関をリアルワールドで調査 研究グループは、カフェイン添加物摂取と事故リスク減少が相関しているのかについて調べた。 2008年12月~2011年5月の間、オーストラリアのニューサウスウェールズ州(人口730万人)とウェスタンオーストラリア州(230万人)において、長距離ドライバー(走行距離は原則200km以上)で、直近に警察が出動した事故を起こした人(症例群)と、過去12ヵ月は事故を起こしていない人(対照群)を特定して検討した。 主要評価項目は、事故とカフェイン添加物との尤度で、年齢、健康障害、睡眠パターン、睡眠障害症状、走行距離、睡眠を取った時間、休憩の取得、夜間走行スケジュールなどの因子で調整した。カフェイン摂取により事故リスクが63%低下 被験者は、事故を起こした症例群530例、事故を起こしていない対照群517例の合計1,047例であった。99%(1,039例)が男性で、症例群のほうが、平均年齢が若く(44.2歳vs. 46.1歳、p=0.004)、過去5年で1回以上事故を起こしている人が多かった(p=0.002)。一方、対照群のほうが、肥満者が多く(p=0.047)、運転経験の平均年数が長かった(19.9年vs. 15.1年、p<0.001)。 解析の結果、事故を起こしていない対照群では、43%がカフェイン添加物(お茶、コーヒー、カフェイン錠、エネルギードリンクなど)を眠気覚まし目的に摂取していた。一方で、違法な刺激物[アンフェタミン(通称:スピード)、3,4メチレンジオキシ・メタンフェタミン(通称:エクスタシー)]を使用していると回答した人はわずか3%であった。 カフェイン添加物の高用量を摂取している人は、対照群のほうが多かった(例:エネルギードリンク以外のカフェイン添加物の高用量摂取:対照群37%vs. 症例群13%)。 潜在的交絡因子で調整後、眠気覚ましを目的にカフェイン添加物を摂取している人では、非摂取者と比較して、事故リスクの尤度が63%抑制されていた(オッズ比:0.37、95%信頼区間:0.27~0.50)。 これらの結果を踏まえて著者は、「カフェイン添加物の摂取は、商業長距離ドライバーのリスク減少と関連しており、休憩や睡眠を取るなど総合的な疲労マネジメント戦力が優先すべきことではあるが、カフェイン添加物を摂取することも運転の敏捷性維持の補助戦略として有用である可能性はある」と結論している。

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薬物よりも勝るアルコールの有害事象…英国での多軸分析の結果

アルコール、タバコ、ヘロインなどの薬物乱用がもたらす有害な作用を、使用者自身と使用者以外に及ぼす害の判定基準で評価したところ、総合的にアルコールが最も有害で、特に使用者以外への有害度が著明に高いことが、イギリスImperial College London神経精神薬理学のDavid J Nutt氏らによる研究で明らかとなった。薬物乱用に起因する有害作用の適正な評価は、健康、規制、社会的ケアに関する施策の立案者に有益な情報をもたらすが、薬物の有害作用は多岐にわたるためこの作業は容易でない。そこで、薬物固有の身体的な有害作用から社会に及ぼす害や医療コストまでを、複数の判定基準で評価するアプローチが積極的に進められているという。Lancet誌2010年11月6日号(オンライン版2010年11月1日号)掲載の報告。20の薬物を16の判定基準でスコア化研究グループは、多基準決定分析(MCDA)モデルを用いてイギリスにおける薬物の有害作用の現況を広範に調査した。2名の招請された専門家を含む薬物に関する独立科学評議会のメンバーが対話形式の1日ワークショップを開催し、20の薬物を16の判定基準でスコア化した。16の基準のうち、9つは薬物の使用者自身に対する害、7つは使用者以外に及ぶ害に関するものであった。有害度の高さは100点を満点とし、判定基準は相対的重要性が示されるよう重み付けされた。対象となった薬物は、アルコール、タバコ、ヘロイン、コカイン、クラックコカイン、メタンフェタミンアンフェタミン、ケタミン、メタドン、メフェドロン、GHB(ガンマヒドロキシ酪酸)、ブプレノルフィン、ブタン、ベンゾジアゼピン系薬剤、アナボリックステロイド、エクスタシー(MDMA)、LSD、チャット(アラビアチャノキ)、大麻、マッシュルーム。低スコアの薬物が無害であることを意味しない使用者自身に対する有害作用が最も大きかった薬物はクラックコカイン(37点)であり、次いでヘロイン(34点)、メタンフェタミン(32点)の順であった。使用者以外に対する有害作用はアルコール(46点)が最も大きく、次いでヘロイン(21点)、クラックコカイン(17点)であった。使用者自身への害と使用者以外への害を合わせると、最も有害な薬物はアルコール(72点)であり、ヘロイン(55点)とクラックコカイン(54点)がこれに続いた。著者は、「これらの知見は、現在の薬物分類法がその有害作用のエビデンスとはほとんど関連しないことを示したイギリスとオランダの研究や、アルコールの有害作用をターゲットとした公衆衛生戦略は妥当かつ必須とした報告を支持するものである」と結論し、「低スコアの薬物が無害であることを意味しないことに留意すべきで、特定の状況下ではすべての薬物が有害たり得る」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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