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非入院COVID-19患者へのブデソニド、回復期間を3日短縮/Lancet

 合併症リスクの高い居宅療養の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者において、ブデソニド吸入薬は回復までの期間を短縮し、優越性は示されなかったが入院または死亡も減少することが示された。英国・オックスフォード大学のLy-Mee Yu氏らが、2,530例を対象に行った無作為化対照非盲検アダプティブプラットフォーム解析「PRINCIPLE試験」の結果で、ブデソニド吸入薬の14日間投与で、回復までの期間は2.94日短縮したという。これまでの有効性試験で、ブデソニド吸入薬のCOVID-19居宅療養者への効果は示されていたが、高リスク患者への効果については明らかになっていなかった。Lancet誌オンライン版2021年8月10日号掲載の報告。COVID-19疑いの4,700例を対象に試験、うちSARS-CoV-2感染者について解析 試験は中央試験地からは遠隔の英国のプライマリケア施設で行われた。被験者は、65歳以上または併存疾患のある50歳以上で、COVID-19が疑われ具合の悪い状態が最長14日間続いたが入院はしなかった患者。 被験者4,700例は無作為に3群に割り付けられ、通常の治療(1,988例)、通常の治療とブデソニド吸入(800μgを1日2回14日間、1,073例)、通常の治療とその他の治療(1,639例)をそれぞれ受けた。 主要エンドポイントは複数で、28日以内の自己申告による初回の回復報告と、COVID-19による入院または死亡で、ベイズモデルで解析した。 主要解析集団には、SARS-CoV-2陽性で、試験開始からブデソニド治療群が終了するまで3群に割り付けられた全適格患者を包含し評価が行われた。入院・死亡リスクも低減の可能性示す 試験は2020年4月2日に開始。ブデソニド治療群への割り付けは同年11月27日から、事前規定の回復までの期間の優越性基準が満たされた2021年3月31日まで行われた。主要解析には、2,530例が包含された(ブデソニド治療群787例、通常治療群1,069例、その他治療群974例)。 自己申告による初回回復までの期間推定値は、通常治療群14.7日(95%ベイズ信頼区間[BCI]:12.3~18.0)に対し、ブデソニド治療群11.8日(10.0~14.1)で、推定2.94日(1.19~5.12)短縮した(ハザード比[HR]:1.21[95%BCI:1.08~1.36])。優越性確率は0.999超で、事前に規定した優越性閾値0.99を満たし優越性が示された。 入院・死亡アウトカムについては、推定発生率は通常治療群8.8%(95%BCI:5.5~12.7)に対しブデソニド治療群6.8%(4.1~10.2)だった(推定絶対差:2.0%[95%BCI:-0.2~4.5]、オッズ比[OR]:0.75[95%BCI:0.55~1.03])。優越性確率は0.963で、優越性閾値0.975を満たさなかった。 ブデソニド治療群2例と通常治療群4例で、重篤な有害事象が発生したが、COVID-19とは無関係の入院だった。

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中等症~重症喘息、3剤併用vs.2剤併用/JAMA

 中等症~重症の小児(6~18歳)および成人喘息患者において、吸入ステロイド薬(ICS)と長時間作用型β2刺激薬(LABA)に長時間作用型抗コリン薬(LAMA)を併用する3剤併用療法は、2剤併用療法(ICS+LABA)と比較して重度増悪の減少ならびに喘息コントロールの中等度改善と有意に関連し、QOLや死亡に差は認められなかった。カナダ・マックマスター大学のLisa H. Y. Kim氏らが、システマティックレビューとメタ解析の結果を報告した。中等症~重症の喘息患者に対する3剤併用療法の有益性と有害性は、これまで不明であった。JAMA誌オンライン版2021年5月19日号掲載の報告。無作為化試験20件、合計約1万2,000例について解析 研究グループは、MEDLINE、Embase、CENTRAL、ICTRP、FDA、EMAの2017年11月~2020年12月8日のデータベースから、中等症~重症喘息患者を対象に3剤併用療法(ICS、LABA、LAMA)と2剤併用療法(ICS、LABA)を比較した無作為化臨床試験を、言語を問わず検索した。 2人の研究者が独立して選択し、2人の評価者が独立してデータを抽出しバイアスリスクを評価した。メタ解析には、患者個々の増悪データを含むランダム効果モデルを用い、GRADEに従ってエビデンスの質を評価した。 主要評価項目は、重度増悪、喘息コントロール(7項目の喘息コントロール質問票[ACQ-7]で評価、各項目スコアは0[完全にコントロール]~6[重度のコントロール不良]、最小重要差は0.5)、生活の質(喘息関連QOL質問票[AQLQ]で評価、スコアは1[重度の障害]~7[障害なし]、最小重要差は0.5)、死亡率および有害事象とした。 3種類のLAMAを使用した20件の無作為化臨床試験が解析に組み込まれた。解析対象は、小児および成人喘息患者計1万1,894例(平均年齢52歳、範囲9~71歳、女性57.7%)であった。3剤併用療法により、重度増悪が減少し喘息コントロールが中等度改善 エビデンスの質が高い臨床試験による3剤併用療法vs.2剤併用療法の比較において、重度増悪リスクの減少(9試験[9,932例]、22.7% vs.27.4%、リスク比:0.83[95%信頼区間[CI]:0.77~0.90])、および喘息コントロールの改善(14試験[1万1,230例]、標準平均差[SMD]:-0.06[95%CI:-0.10~-0.02]、ACQ-7の平均差:-0.04[95%CI:-0.07.~-0.01])が有意であることが示された。 一方、喘息関連QOL(7試験[5,247例]、SMD:0.05[95%CI:-0.03~0.13]、AQLQ平均差:0.05[95%CI:-0.03~0.13]、エビデンスの質:中)、ならびに死亡(17試験[1万1,595例]、0.12% vs.0.12%、リスク比:0.96[95%CI:0.33~2.75]、エビデンスの質:高)については、有意差はなかった。 3剤併用療法は、口喝および発声障害の増加と有意に関連していたが(10試験[7,395例]、3.0% vs.1.8%、リスク比:1.65[95%CI:1.14~2.38]、エビデンスの質:高)、治療関連および重篤な有害事象は両群で有意差はなかった(エビデンスの質:中)。

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喘息吸入薬が効かない原因を突き止めデバイスを変更【うまくいく!処方提案プラクティス】第35回

 今回は、喘息患者さんの吸入デバイスの変更についてです。吸入指導では吸入デバイスの使い方に注力しがちですが、加圧噴霧式定量吸入器(pMDI)とドライパウダー吸入器(DPI)の特徴をしっかりと把握し、患者さんの状態変化に応じてデバイス自体を見直すことも重要です。患者情報90歳、女性(施設入居)基礎疾患気管支喘息、うつ病、高血圧症、逆流性食道炎、過活動膀胱介護度要介護2服薬管理施設スタッフが管理処方内容1.アミトリプチリン塩酸塩錠10mg 1錠 分1 就寝前2.モンテルカスト錠10mg 1錠 分1 就寝前3.ビラスチン錠20mg 1錠 分1 就寝前4.ボノプラザン錠10mg 1錠 分1 就寝前5.ミラベグロン錠50mg 1錠 分1 就寝前6.ブデソニド・ホルモテロールフマル酸塩水和物吸入薬 1回1吸入 1日2回 朝夕本症例のポイントある日、介護施設職員から、患者さんが吸入薬を頻回に使用しているが一向に症状が良くならないと相談がありました。状況を確認したところ、ブデソニド・ホルモテロールフマル酸塩水和物吸入薬(タービュヘイラー)を定期的に朝夕吸入しても、しばらくすると喘息発作が出現し、頓用吸入してもあまり効果がないことから、最高量の1日8吸入を吸入する日が続いていました。そこで、施設を訪問して吸入の様子を確認してみましたが、吸入手技や操作自体に大きな問題はありませんでした。しかし、吸入時の吸気をデモ機で確認したところ、強く深く吸入するところで苦しそうにしていて、吸気速度が十分ではありませんでした。これでは追加吸入しても十分な治療効果は得られず、いたずらに吸入回数が消費されてしまうだけです。そこで、患者さんの問題点と対応策について下記のようにまとめました。【問題点】この数日、ブデソニド・ホルモテロールフマル酸塩水和物吸入薬を追加吸入しているが喘息発作は改善しない。吸入前の薬剤残量カウンターの確認や回転グリップを半時計回りで止まるまで回すなどの基本操作は問題なし。吸入時に口角の隙間はなく、上部・下部の吸気口を手や口でふさいでしまうこともない。吸入前の深呼吸が浅く、吸気速度が十分ではない。吸入後の息止めのタイミングが難しい。【対応策】吸気速度が十分でないことから、気流制限に対応したpMDI製剤への変更を検討。薬剤ボンベのアルミ缶底部を強く押すことができない可能性があるため、スペーサーを装着する。デバイス切り替え後はゆっくり深い吸入を意識するように服薬指導する必要がある。処方提案と経過上記のことから、pMDI製剤であるフルチカゾンプロピオン酸エステル・ホルモテロールフマル酸塩水和物吸入薬(エアゾール)への変更を提案することにしましたが、情報量も多く、文書での提案が困難であると判断し、医師の訪問診療に同行して直接相談することにしました。同行時に、現状のDPI製剤と変更提案するpMDI製剤の吸入練習器を持参して、患者さんにそれぞれを操作・吸入してもらいました。実際にDPI製剤では吸気速度が十分に保たれておらず、pMDI製剤であれば問題ないことが確認でき、患者さんからもpMDI製剤であれば吸入時に力まなくて済むのが良いと好評でした。そこで、効率的な吸入を行うためにスペーサーを装着して、フルチカゾンプロピオン酸エステル・ホルモテロールフマル酸塩水和物吸入薬へ変更することを提案し、承認をいただきました。pMDI製剤導入当日に介護職員にも立ち会っていただき、練習器を用いながら吸入基本操作や吸入時の注意点のデモを行い、理解を深めました。スペーサーを装着したことで吸気同調の課題も解決し、変更の翌日から夜間の発作も改善しました。現在は、スペーサーがなくても吸気同調が可能となり、過剰使用や突発発作もなく経過しています。大林浩幸. メカニズムから見る 吸入デバイスのピットホール. 日経BP;2016.

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第56回 COVID-19の自宅ステロイド治療が有望/血栓症はワクチン後よりCOVID-19後の方が多い

COVID-19のステロイド治療で回復が早まり、悪化を減らしうる非入院の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者が入院せずに済むようにしうる治療幾つかをまとめて調べている英国の無作為化試験PRINCIPLE1)でステロイド・ブデソニド(商品名:パルミコート)吸入の効果が判明しました。65歳以上か持病がある50歳以上のCOVID-19患者の回復までの日数は通常療法に加えてブデソニドを14日間1日2回吸入する群751人の方が通常療法のみの群1,028人に比べて約3日間(3.011日間)短かったのです2,3)。入院率はブデソニド吸入群では8.5%、通常療法のみの群では10.3%でした。その差のベイズ95%確信区間(-0.7%~+4.8%)上限は0を超えており、今回の途中解析では残念ながらブデソニドが入院を減らす効果は示せませんでした。しかしPRINCIPLE試験の担当医一覧にも名を連ねるMona Bafadhel氏等が率いた別の無作為化試験STOICでは有望なことにブデソニド治療で救急科(ED)受診や入院を含む急な医療動員を減らすことができました。Lancet Respiratory Medicine誌4)に最近掲載されたSTOIC試験はPRINCIPLE試験よりも小規模で被験者数は146人です。PRINCIPLE試験では重症化の恐れが大きい高齢者への効果が調べられたのとは違ってSTOIC試験の被験者はより若く、18歳以上の患者を対象としました。軽度のCOVID-19発症から7日以内のそれら被験者の住まいに看護師が出向いて同意を得、通常療法かブデソニド吸入群に無作為に振り分け、吸入器を渡し、PCR検査用の鼻喉の拭い液を回収しました。患者には研究チームが毎日電話して酸素飽和度や体温が確認され、有害事象が把握されました。患者とそのようにやり取りして28日間追跡した結果、咳には蜂蜜(honey)、発熱症状にはアセトアミノフェンやアスピリン等の解熱剤使用が指示された通常療法群73人では15%(11/73人)がED受診や入院を含むCOVID-19関連の急な医療の出番を要しました。一方、残り半分73人のブデソニド吸入群でのその割合は僅か3%(2/73人)で済みました。ブデソニド吸入はCOVID-19感染初期に有効な治療として世界で広く利用しうると著者は言っています。今後の課題の一つとしてSTOIC試験で示されたCOVID-19悪化予防効果がブデソニドに限るのかそれともどの吸入コルチコステロイドにもあまねく備わっているのかを調べる必要があります5)。稀な血栓症・脳静脈血栓症はCOVID-19後の方がワクチン後より生じ易いAstraZenecaやJohnson & Johnson(J&J)のワクチンの稀な血栓症・脳静脈血栓症が心配されていますが、ではそれらワクチンで防ぎうるCOVID-19後はどうなのか?米国の8,100万人を網羅する医療情報集TriNetX Analyticsを使った解析によると脳静脈洞血栓症(CVST)とも呼ばれる脳静脈血栓症はどうやらワクチン後に比べてCOVID-19の後の方がずっと生じ易いようです6)。TriNetX Analyticsに記録されたCOVID-19患者51万3,284人のうち20人がその診断から2週間以内に脳静脈血栓症を発現しました。Pfizer/BioNTechやModerna のmRNAワクチンを接種した48万9,871人での発現数は2人のみでした。100万人当たりに換算するとCOVID-19後2週間の脳静脈血栓症発現数は39例、かたやmRNAワクチン接種後2週間は僅か4例であり、COVID-19後はmRNAワクチン接種後より10倍ほど生じ易いことが示されました。著者が言及している最近の欧州医薬品庁(EMA)推定によるとAstraZenecaのCOVID-19ワクチン接種後の脳静脈血栓症の発生率は100万人あたり5人です。AstraZeneca と同じくアデノウイルスを下地とするJ&Jワクチンがどうかは今回の解析では言及されていません。Pfizerは今回の結果に納得しておらず、同社のmRNAワクチンと血栓塞栓症は無縁との見解を科学ニュースThe Scientistに送っています7)。米国の疾病管理センター(CDC)や英国の医薬品医療製品規制庁(MHRA)の最近の検討でもPfizerワクチンと血栓症の関連はないと判断されていると同社は言っています。参考1)PRINCIPLE Trial2)Asthma drug budesonide shortens recovery time in non-hospitalised patients with COVID-19 / PRINCIPLE Trial3)Inhaled budesonide for COVID-19 in people at higher risk of adverse outcomes in the community: interim analyses from the PRINCIPLE trial. medRxiv. April 12, 20214)Ramakrishnan S, et al. Lancet Respir Med. 2021 Apr 9:S2213-2600.00160-0. 5)Agusti A, et al. Lancet Respir Med. 2021 Apr 9:S2213-2600.00171-5.6)Cerebral venous thrombosis: a retrospective cohort study of 513,284 confirmed COVID-19 cases and a comparison with 489,871 people receiving a COVID-19 mRNA vaccine. Center for Open Science. 2021-Apr-157)Blood Clot Risk from COVID-19 Higher than After Vaccines: Study / TheScientist

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総合内科専門医試験オールスターレクチャー 呼吸器

第1回 慢性閉塞性肺疾患(COPD) オーバーラップ症候群(ACO)第2回 特発性間質性肺炎(IIPs)第3回 咳嗽・喀痰第4回 喘息第5回 肺炎第6回 肺癌 総合内科専門医試験対策レクチャーの決定版登場!総合内科専門医試験の受験者が一番苦労するのは、自分の専門外の最新トピックス。そこでこのシリーズでは、CareNeTV等で評価の高い内科各領域のトップクラスの専門医を招聘。各科専門医の視点で“出そうなトピック”を抽出し、1講義約20分で丁寧に解説します。キャッチアップが大変な近年のガイドラインの改訂や新規薬剤をしっかりカバー。Up to date問題対策も万全です。呼吸器については、島根大学医学部附属病院の長尾大志先生がレクチャーします。ガイドラインの改訂がとくに顕著な呼吸器領域。疾患の概念や治療方針に関する大きな変更点、新たに採用された診断基準に注目します。※「アップデート2022追加収録」はCareNeTVにてご視聴ください。第1回 慢性閉塞性肺疾患(COPD) オーバーラップ症候群(ACO)タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することで生じる慢性閉塞性肺疾患(COPD)。2018年のガイドライン改訂により、炎症だけでなく非炎症性機転も重視され、FEV1の数値と合わせて、各症状の程度を加味した総合的な重症度の判断が求められるようになりました。喘息とCOPDを合併したACOは、COPD全体の10~20%を占め、治療には吸入ステロイドを併用します。増悪した際の治療手順も試験で問われやすいポイントです。第2回 特発性間質性肺炎(IIPs)特発性間質性肺炎(IIPs)は、明らかな原因を特定できない間質性肺炎の総称。主要6疾患と、その他の希少疾患に分類されます。各疾患名だけでなく、対応する病理組織パターンもしっかり確認しておきましょう。中でも重要なのが特発性肺線維症(IPF)。IPFの診断は、病理診断は必須ではありませんが、アルゴリズムに沿って複数の項目をチェックします。他のIIPsと唯一異なるIPF治療のポイントは、ステロイドを使用しないこと。第3回 咳嗽・喀痰「咳嗽喀痰の診療ガイドライン2019」では、咳嗽と密接に関連している喀痰の項目を新たに追加。咳嗽と喀痰の原因疾患は、急性と慢性に大別されます。狭義の感染性咳嗽、いわゆる風邪には、抗菌薬は不要です。多彩な疾患が鑑別に上がる遷延性・慢性の咳嗽。鑑別診断では、結核や肺癌など危険な疾患を見逃すことなく、後鼻漏の原因となる好酸球性副鼻腔炎や、喘息、胃食道逆流症なども念頭に置きます。※この番組は2020年3月に収録したものです。新型コロナウイルス感染症については取り上げていません。第4回 喘息変動性を持った気道狭窄や咳などの症状を起こす喘息。これまで明確な診断基準は示されていませんでしたが、「喘息とCOPDのACO診断と治療の手引き2018」に、呼気一酸化窒素濃度(FeNO)値が診断に有効な指標として記載されました。近年の重要な治療方針の変更点は、以前は重症のみに使用されていた抗コリン薬が、比較的初期から吸入ステロイドと併用可能になったこと。重症例に効果的な抗体医薬も増えているので、しっかり押さえておきましょう。第5回 肺炎市中肺炎、院内肺炎、医療・介護関連肺炎の3つの肺炎が統合されたガイドラインが2017年に発表されました。終末期の症例が含まれる院内肺炎と医療・介護関連肺炎を1つの診療群とし、市中肺炎と区別した診療プロセスが示され、終末期における患者の意志やQOLを尊重した治療・ケアのあり方が重要なトピックとなっています。肺炎の種別の重症度スコアリング法や、段階別の治療戦略、適応できる薬剤を解説します。第6回 肺癌今回は非小細胞肺癌について詳しく解説します。肺癌については新規薬剤の開発が盛んで、それに伴ってガイドラインもオンラインで頻繁に更新されています。まずTMN分類で、手術、放射線治療、または薬剤治療のどれを採用するか適応判断。キナーゼ阻害薬や免疫チェックポイント阻害薬の登場によって、生存期間の延長が見込めるようになりました。副作用に耐えられるか、患者さんの体力も考慮しながら使用できる薬剤を選択します。

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第51回 コロナワクチンの最新版手引き、1瓶から6回接種が前提に

<先週の動き>1.コロナワクチンの最新版手引き、1瓶から6回接種が前提に2.医師の働き方改革が衆議院通過、日医の見解は?3.接触確認アプリの杜撰な運用実態、業者が1,200万円を返納4.初の費用対効果評価で薬価引き下げ、類似品目も適用5.健康保険証の交付廃止、マイナンバーカード一体化を提案/財務省1.コロナワクチンの最新版手引き、1瓶から6回接種が前提に厚生労働省は、16日に新型コロナウイルス感染症にかかわる予防接種について、医療機関向け手引きの改訂版(2.1版)を公開した。今後、医療従事者の優先接種用として、1バイアルから6回分接種可能な注射針およびシリンジを配布する。また高齢者の優先接種についても、調整が順調に進めば、5月中には同注射器の配布が可能になることが明記された。優先接種順位については、居宅・訪問サービス事業所等の従事者も、高齢者以外で基礎疾患を有する患者と同じ優先対象とされた。なお、医療機関がワクチンを入手するためには、V-SYS(ワクチン接種円滑化システム)を導入しなければならない。(参考)資料 新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する医療機関向け手引き(2.1版)(厚労省)新型コロナワクチンの供給の見通し(同)「1瓶6回」の注射器、5月10日から供給 河野氏(日経新聞)2.医師の働き方改革が衆議院通過、日医の見解は?現在開催されている通常国会で、医師の働き方改革を含む医療法等の改正案が衆議院を通過し、参議院での法案審議が始まる。これを踏まえ、日本医師会は14日に記者会見を行った。大学病院・基幹病院における地域医療支援については、地方への医師派遣は「地域医療提供体制の観点からは必須である」とするとともに、「全国医学部長病院長会議とも連携し、継続されている大学病院からの医師派遣が妨げられることのないよう取り組んでいく」との考えを表明。医師の労働時間短縮計画については、各医療機関に対して「労働時間の把握など、36協定の締結、健康診断の実施などの基本的事項からしっかりと取り組んで欲しい」としたほか、評価機能の仕組みについては、医療機関を取り締まったり、罰則を与えたりするものではなく、体制が整備されていない医療機関に対し、取り組みの支援を行っていくものであることに理解を求めた。なお、4月14日の参議院本会議では医療法改正案について趣旨説明と質疑が行われ、その様子が川田 龍平参議院議員のブログに掲載されている。(参考)医師の働き方改革の進捗状況について(全国医学部長病院長会議との連携)(日本医師会)川田 龍平参議院議員ブログ3.接触確認アプリの杜撰な運用実態、業者が1,200万円を返納厚労省は、新型コロナウイルス感染者と濃厚接触した可能性を知らせるアプリ(COCOA)について、不具合の発生要因や再発防止策について、報告書を公開した。陽性者との接触通知が届かない状態のまま放置されたのは、アプリを管理する事業者と厚労省の間で認識が共有できていなかったと説明。また、短期スケジュールの中、アプリの開発ならびに保守運用を受託していたパーソルプロセス&テクノロジーが他社に再委託、再々委託することを容認し、事業者間の役割分担が不明確になったことや、厚労省の人員体制も不十分だったことが今回の不具合につながったと考えられる。厚労大臣は事務次官らを厳重注意処分しており、再発防止が求められる。また、パーソルプロセス&テクノロジーは、昨年8月以降の業務対価の1,200万円を自主返納することを発表した。(参考)接触確認アプリ「COCOA」の不具合の発生経緯の調査と再発防止の検討について(報告書)(厚労省)厚労省、COCOA不具合の検証結果を公表 業者任せ、多重下請けなどの課題が浮き彫りに(ITmedia)コロナ接触アプリ業者が対価返納 1200万円、COCOA不具合(共同通信)4.初の費用対効果評価で薬価引き下げ、類似品目も適用14日に行われた中央社会保険医療協議会総会において、費用対効果評価専門組織からの報告をもとに、CAR-T細胞療法(患者由来T細胞の遺伝子組み換えを行い、がん細胞を攻撃しやすくして患者の体内に戻す免疫細胞療法)に使われるチサゲンレクルユーセル(商品名:キムリア点滴静注)の価格調整が行われた。現行薬価3,411万3,655円から約146万円(約4.3%)引き下げられ、3,264万7,761円となる。なお、医療機関における在庫への影響などを踏まえ、調整後価格は7月1日付で適用。同日に、CAR-T細胞製品2番手のアキシカブタゲン シロルユーセル(商品名:イエスカルタ点滴静注)が薬価3,411万3,655円で承認されたが、21日の収載と同時に価格調整が適用され、保険償還価格は1番手と同じ3,264万7,761円となることが報告された。同様に、フルチカゾン/ウメクリジニウム/ビランテロール(商品名:テリルジー)の価格調整を受けて、類似品目のブデソニド/グリコピロニウム/ホルモテロール(同:ビレーズトリ)、インダカテロール/グリコピロニウム/モメタゾン(同:エナジア)も引き下げを受けた。(参考)中医協総会 イエスカルタの保険償還価格は3264万円 収載日に費用対効果評価結果を反映(ミクスonline)中医協総会 キムリアとテリルジーの薬価引下げを了承 初の費用対効果評価で7月1日から(同)資料 キムリアの費用対効果評価結果に基づく価格調整について(厚労省)資料 テリルジーの費用対効果評価結果に基づく価格調整について(同)5.健康保険証の交付廃止、マイナンバーカード一体化を提案/財務省13日に、首相が議長を務める経済財政諮問会議が総理大臣官邸で開催された。参加した民間議員からは、マイナンバーカードを健康保険証として使えるようにするため、単独交付を取りやめ、マイナンバーカードへの完全な一体化を実現すべきとの提案が示された。ほかにも、企業が希望する従業員に対して「選択的週休3日制」の導入を求める提言が出された。従業員のスキルアップや多様な働き方を支援し、育児や介護との両立を後押しするのが目的で、これらを「骨太の方針」に盛り込む見込み。ただし、マイナンバーカードとの一体化により、従来の健康保険証と異なり、受領には顔写真付きの身分証明書の提示が必須になるため、認知症や身体障害者などにも対応できる自治体の体制整備が必須となる。(参考)健康保険証の交付廃止を マイナンバーカードと一体化―民間議員が提言へ・諮問会議(時事通信)経済財政諮問会議 健康保険証の単独交付取りやめ マイナンバーカードへの一体化を民間議員が提案(ミクスonline)週休3日制、環境整備議論 諮問会議(日経新聞)資料 令和3年第4回経済財政諮問会議(内閣府)

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オマリズマブ、免疫チェックポイント阻害薬および抗HER2薬のそう痒症を改善/Ann Oncol

 IgE阻害薬オマリズマブ(商品名:ゾレア)はアトピー性皮膚炎、蕁麻疹などのそう痒症に有効である。がん領域におけるそう痒関連皮膚有害事象(paCAE)は、免疫チェックポイント阻害薬や抗HER2薬で多くみられる。これらの薬剤による難治性paCAEを伴うがん患者に対してオマリズマブを評価する多施設後ろ向き研究の結果が発表された。・対象:免疫チェックポイント阻害薬または抗HER2薬によるGrade2〜3の掻痒を有し、局所ステロイドと1つ以上の全身療法に抵抗性の患者・介入:オマリズマブを月1回投与・主要評価項目:paCAEのGrade0〜1への改善 主な結果は以下のとおり。・34例(女性50%、年齢中央値67.5歳)、がん治療関連paCAE(免疫チェックポイント阻害薬71%、抗HER2薬29%)に対するオマリズマブ投与を受けた。・対象は、すべて固形腫瘍(乳房29%、泌尿生殖器29%、肺15%、その他26%)で、64%に蕁麻疹が認められた。 ・オマリズマブの奏効は34例中28例(82%)に認められた。 ・paCAEの支持療法として経口コルチコステロイドを投与された患者の割合は、50%から9%に減少した(P

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COVID-19疑いへのアジスロマイシン追加の臨床的意義/Lancet

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の市中感染疑い例の治療において、アジスロマイシンを通常治療に追加するアプローチは通常治療単独と比較して、回復までの期間を短縮せず、入院リスクを軽減しないことが、英国・オックスフォード大学のChristopher C. Butler氏らPRINCIPLE Trial Collaborative Groupが行った「PRINCIPLE試験」で示された。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2021年3月4日号に掲載された。アジスロマイシンは、抗菌作用と共に抗ウイルス作用や抗炎症作用が期待できるためCOVID-19の治療に使用されているが、市中の無作為化試験のエビデンスは不足しているという。英国のプライマリケアの適応的プラットフォーム試験 本研究は、英国のプライマリケアをベースとし、合併症のリスクの高い市中COVID-19疑い例の治療における複数の薬剤の有用性を同時に評価する、非盲検無作為化適応的プラットフォーム試験である(英国研究技術革新機構[UKRI]と同国保健省の助成による)。本研究ではこれまでに、ヒドロキシクロロキン、アジスロマイシン、ドキシサイクリン、吸入ブデソニドの検討が行われており、今回はアジスロマイシンのアウトカムが報告された。 対象は、年齢65歳以上または1つ以上の併存症を有する50歳以上で、直近の14日以内にCOVID-19(確定例、疑い例)による症状(発熱、新規の持続的な咳嗽、臭覚または味覚の変化)がみられる患者であった。被験者は、通常治療+アジスロマイシン(500mg/日、3日間)、通常治療+他の介入、通常治療のみを受ける群のいずれかに無作為に割り付けられた。 無作為化から28日以内に2つの主要エンドポイントの評価が行われた。1つは患者の自己申告による初回の回復(ベイズ区分指数モデルで評価)、もう1つはCOVID-19関連の入院または死亡(ベイズロジスティック回帰モデルで評価)であった。 2020年4月2日にPRINCIPLE試験の最初の参加者が登録され、アジスロマイシンの試験には、2020年5月22日~11月30日の期間に英国の1,460の総合診療施設から2,265例が登録された。このうち2,120例(94%)で追跡データが得られ、500例がアジスロマイシン群、823例が通常治療単独群、797例は他の介入群だった。 11月30日、予定されていたデータ監視・安全性審査委員会による中間解析において、事前に規定された無益性基準を満たしたため、PRINCIPLE試験運営委員会によりアジスロマイシン試験への患者の割り付けの中止が勧告された。28日回復割合:80% vs.77%、入院/死亡割合:3% vs.3% アジスロマイシン試験(1,388例、アジスロマイシン群526例、通常治療単独群862例)の全体の平均年齢は60.7(SD 7.8)歳、女性が57%で、88%が併存症を有し、無作為化前の罹病期間中央値は6日(IQR:4~10)、83%がポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法による重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の検査を受け、全体の31%が陽性だった。アジスロマイシン群の87%がアジスロマイシンの1回以上の投与を受け、71%は全3回の投与を受けた。 28日以内に回復したと報告した患者の割合は、アジスロマイシン群が80%(402/500例)、通常治療単独群は77%(631/823例)であった。初回回復の報告までの期間に関して、アジスロマイシン群は通常治療単独群と比較して意義のある有益性は認められず(ハザード比[HR]:1.08、95%ベイズ信用区間[BCI]:0.95~1.23)、初回回復までの期間中央値の有益性の推定値は0.94日(95%BCI:-0.56~2.43)であった。回復までの期間が臨床的に意義のある有益性を示すとされる1.5日以上の短縮を達成する確率は0.23だった。 入院は、アジスロマイシン群が3%(16/500例)、通常治療単独群も3%(28/823例)で認められた(絶対有益性割合:0.3%、95%BCI:-1.7~2.2)。死亡例は両群ともみられなかった。入院/死亡が臨床的に意義のある有益性を示すとされる2%以上の低下を達成する確率は0.042であった。 また、安全性アウトカムは両群で同程度だった。試験期間中に、COVID-19と関連しない入院が、アジスロマイシン群で1%(2/455例)、通常治療単独群で1%(4/668例)に認められた。 著者は、「抗菌薬の不適切な使用は抗菌薬耐性の増加につながるため、今回のCOVID-19の世界的大流行中は抗菌薬の適正使用の支援が重要な意義を持つことを、これらの知見は示している。他の研究により、今回の世界的大流行中の英国におけるアジスロマイシン使用の増加のエビデンスが報告されている」とまとめ、「これまでのエビデンスと今回の知見を統合すると、市中でも病院でも、アジスロマイシンはルーチンの使用を正当化する十分な有効性を持つ治療ではないことが示唆される」と指摘している。

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「喘息患者の受診控え」に緊急提言、花粉時期はさらなる注意を

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により、患者の受診控えの傾向が続いている。アストラゼネカは日本呼吸器学会と共同で「『喘息患者の受診控え』に緊急提言 ~コロナ禍が続く中で迎える花粉飛散シーズン、どう喘息悪化を防止するか~」と題したセミナーを開催した。 この中で、 高知大学の横山 彰仁氏(呼吸器・アレルギー内科学 教授)が「喘息における継続治療の重要性~ウイルスや花粉の影響~」と題した講演を行った。この中で横山氏は、・喘息は治療継続が必要な病気。受診控えや治療中断は悪化要因となる・喘息は、ウイルス感染やタバコの煙、花粉といった刺激で症状が悪化する。今年は多くの地域で昨年より花粉飛散量が大幅に増えると予測されており、注意が必要・COVID-19を理由とした受診控えが多いが、これまでの研究では喘息はCOVID-19の罹患因子でも重症化因子でもなく1)、COVID-19悪化入院患者のうち喘息患者の割合はインフルエンザ患者よりも低い2)、とし「喘息のコントロールができていればCOVID-19を過度に恐れる必要はない」と述べた。 さらに、今後予定されるCOVID-19のワクチン接種に関し、基礎疾患を持つ人は優先接種の対象となり、厚生労働省が発表した基礎疾患の基準には「慢性呼吸器疾患」が入っている。ただし、この基準に対する意見を求められた日本アレルギー学会・日本呼吸器学会は、下記の見解を伝えたことを紹介した。・気管支喘息患者は優先接種の対象とする必要はない。ただし、1)経口ステロイド薬使用患者、2)吸入ステロイド薬使用者のうち喘息コントロールが不良である(過去1年以内の入院歴がある)患者、3)過去1年以内に2回以上の予定外外来あるいは救急外来受診歴がある患者、は対象とする。・慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者、喘息患者のうちCOPD併存患者は対象とする。 続いて、慶應義塾大学の福永 興壱氏(呼吸器内科 教授)が「新型コロナウイルス流行下での喘息患者の受診状況と受診控えが喘息患者に及ぼす影響」というテーマで講演を行った。この中で福永氏はCOVID-19流行が拡大した2020年4月から10月にかけて、喘息吸入薬の処方数が激減した3)。一方で、同じ慢性疾患である糖尿病薬剤は処方数が変わっておらず3)、受診控えがさほど起きていない状況を紹介し、「喘息は症状が治まると疾患の自覚が乏しく、受診控えが起きやすいのでは」と分析した。さらに、自院での感染防止対策を紹介したうえで「治療をせずに発作を繰り返すと、リモデリングといって気管が硬化し、喘息が重症化しやすくなる。今の時期は花粉をきっかけとした重症化も多い。電話診療等を行う医療機関も増えているので、適切な受診と治療継続をしてほしい」と呼びかけた。

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「ゾレア」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第38回

第38回 「ゾレア」の名称の由来は?販売名ゾレア皮下注用75mg、ゾレア皮下注用150mgゾレア皮下注75mgシリンジ、ゾレア皮下注150mgシリンジ一般名(和名[命名法])オマリズマブ(遺伝子組換え) (JAN)効能又は効果○気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)○季節性アレルギー性鼻炎(既存治療で効果不十分な重症又は最重症患者に限る)○特発性の慢性蕁麻疹(既存治療で効果不十分な患者に限る)用法及び用量<気管支喘息>通常、オマリズマブ(遺伝子組換え)として1回75~600mgを2又は4週間毎に皮下に注射する。1回あたりの投与量並びに投与間隔は、初回投与前血清中総IgE濃度及び体重に基づき、下記の投与量換算表により設定する。<季節性アレルギー性鼻炎>通常、成人及び12歳以上の小児にはオマリズマブ(遺伝子組換え)として1回75~600mgを2又は4週間毎に皮下に注射する。1回あたりの投与量並びに投与間隔は、初回投与前血清中総IgE濃度及び体重に基づき、下記の投与量換算表により設定する。投与量換算表(1回投与量)4週間毎投与画像を拡大する2週間毎投与画像を拡大する投与量換算表では、本剤の臨床推奨用量である0.008mg/kg/[IU/mL]以上(2週間間隔皮下投与時)又は0.016mg/kg/[IU/mL]以上(4週間間隔皮下投与時)となるよう投与量が設定されている。<特発性の慢性蕁麻疹>通常、成人及び12歳以上の小児にはオマリズマブ(遺伝子組換え)として1回300mgを4週間毎に皮下に注射する。警告内容とその理由該当しない禁忌内容とその理由禁忌(次の患者には投与しないこと)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者※本内容は2021年2月10日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2019年12月改訂(第16版)医薬品インタビューフォーム「ゾレア®皮下注用75mg/ゾレア®皮下注用150mg・ゾレア®皮下注75mgシリンジ/ゾレア®皮下注150mgシリンジ」2)ノバルティスファーマ:DR’sNet

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治療が変わる!希少疾病・難病特集 ~潰瘍性大腸炎~

潰瘍性大腸炎の治療は従来、5-ASA製剤と免疫抑制剤に不応であれば、TNFα抗体が用いられてきた。しかしTNFα抗体不応例も少なくないため、現在、TNF-α以外の経路に介入して炎症を抑制すべく、以下のような薬剤の開発が進められている。まず注射剤としては、IL-23p19モノクローム抗体のリサンキズマブである。中等症以上の活動性潰瘍性大腸炎を対象に、維持療法としての有用性を検討する第III相試験が、2013年末の終了を目指してわが国で進行中である [参考] 。同じくIL-23阻害剤のグセルクマブも、同様の第IIb/III相試験が国内で走っており、'24年夏の終了を見込んでいる。同様にミリキズマブでも第III相試験が進んでいるが、終了予定時期不明である[参考]。一方、IL-36モノクローム抗体のSpesolimabは、中等症以上の活動性潰瘍性大腸炎を対象とした第II/III相試験が2020年3月に終了している [NCT03482635]。新規免疫抑制剤の開発も進んでいる。TLR9アゴニストであるコビトリモド(cobitolimod)は治療抵抗性左側潰瘍性大腸炎を対象とした第IIb相試験で、プラセボに比べ、臨床的寛解が有意に多かった [Lancet GH 2020; 5: 1063]。経口薬では、JAK阻害薬と抗α4β7インテグリン抗体製剤が先頭を走っている。まずJAK阻害薬のウパダシチニブは、中等症以上例を対象とした第III相試験において、プラセボを上回る臨床的寛解が得られた [Abbvi Press Release 2020 Dec. 24] 。フィルゴチニブも現在、第III相試験が進んでいる[Gilead Press Release 2020 May 20]。一方抗α4β7インテグリン抗体製剤であるベドリズマブは、中等症以上の活動期潰瘍性大腸炎患者において、アダリアマブを上回る臨床的寛解率がすでに報告されている [NEJM 2019; 381:1215] 。なお、ベドリズマブと異なり、経口投与が可能なカロテグラストメチル(AJM300)は本年1月、第III相試験においてプラセボを上回る臨床的寛解率を達成したと公表された [Kissei Press Release 2021 Jan 13]。消化管へのリンパ球動員抑制を介した抗炎症作用が期待されるスフィンゴシン-1-リン酸(S1P1)受容体1、5アゴニストは、オザニモド(RPC1063)による寛解率がプラセボを上回り [NEJM 2016; 374: 1754]、寛解例を延長介入した試験も昨年10月に終了したが、本年になり長期間の寛解維持作用が報告された [Sandborn WJ et al. J Crohns Colitis. 2021 Jan 13]。またIL-12や23情報系を下流でブロックするチロシンキナーゼ 2(TYK2)の阻害剤は現在、BMS-986165を用いた第II相試験が始まっており、2023年夏に終了予定である [NCT03934216] 。また、すでに注腸製剤として潰瘍性大腸炎に用いられているブデソニドは、経口投与による有用性も検討されており、メサラジンに対する非劣性を調べたわが国における第III相試験が、2020年5月に終了している [NCT03412682] 。

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春は他人の「くしゃみ」が気になる季節/ノバルティスファーマ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が収束をみせない中で迎える花粉症の季節。花粉症の患者さんは、くしゃみや目のかゆみ、鼻水などの諸症状で、マスクを外したり、顔を不用意に触れる機会が増えそうだ。 万が一、COVID-19の感染者であった場合、周囲に感染させる恐れとなる「くしゃみ」について、ノバルティスファーマ株式会社は、「新型コロナウイルス感染症流行下における、くしゃみに対する意識・実態調査」と題し、アンケート調査を行い、その結果を発表した。 今回の調査では、人のくしゃみに対する意識や、自分自身のくしゃみに対する意識と対策について探った。アンケート調査の概要 期間:2020年12月11日~12月13日 対象:首都圏在住の20~40代の男女 調査人数:600人アンケートの概要〔回答者の花粉症状況〕・花粉症と自覚する人が56.5%・花粉症と自覚する人のうち、1~4月の期間に症状が出るという人は85.5%・「くしゃみ」が重症花粉症にあたる「1日に11回以上」の人は約半数の49.8%・花粉症と自覚する人のうち、病院で治療を受けるという人は24.2%〔くしゃみに対する意識〕・COVID-19流行後、人の「くしゃみ」が気になる度合が増した人が80.3%・場面別にみると、「電車の同じ車両内で」人が「くしゃみ」をしていると気になる人が89.5%、「飲食店内で」が87.7%、「職場のデスクで」が80.0%。一方、「家庭内で」は61.2%・「くしゃみ」をする人がマスクをしていても「変わらず気になる」という人が8.7%、「少し安心するけどやはり気になる」という人が62.3%・新型コロナウイルス感染症の流行後、自身が「くしゃみ」をした際に周囲の目が気になる度合が増した人は88.4%。家庭内では「特に気にならない」が40.3%〔新型コロナウイルス感染症流行下における花粉症への意識〕・花粉症による「くしゃみ」が人に感染させるリスクになると思う人が83.8%・花粉症の治療に前年より力を入れたいと思っている人は23.9%(特に変わらない72.6%) 以上のアンケート結果を受け、大久保 公裕氏(日本医科大学大学院医学系研究科頭頸部感覚器科学分野 教授)は、「新型コロナウイルス感染症の流行下では『くしゃみ』や『目のかゆみ』など花粉症の症状はリスクになるので、今シーズンはとにかく症状が出ないようにしなければならない。この点、7割もの人が治療に関して昨年と変わらないとしていることは心配」と不安をのぞかせるとともに、「重症花粉症の場合には、症状のひどさだけではなく、花粉量が少なくても症状が出やすく、症状を抑えるのは簡単ではないということがあるので、しっかりした対処が必要。重症度が高い患者さんの症状を抑えるための治療というのもあるので、重症度に応じた治療法を選択し、今年はしっかりと症状の発現を抑えるように努めていただきたい」と花粉症治療でのCOVID-19リスクへの対応を提案している。

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COVID-19へのシクレソニド、肺炎増悪抑制せず/国立国際医療研究センター

 COVID-19の治療薬候補として期待されているシクレソニドについて、肺炎のない軽症COVID-19患者90例を対象に肺炎の増悪抑制効果および安全性を検討した、全国21施設における多施設共同非盲検ランダム化第II相試験の結果、有効性が示されなかった。2020年12月23日、国立国際医療研究センターが発表した。米国含む海外にて実施されている検証的な臨床試験の結果も踏まえて判断する必要があるが、今回の研究結果からは無症状・軽症のCOVID-19患者に対するシクレソニド吸入剤の投与は推奨できないとしている。 気管支喘息の治療薬である吸入ステロイド薬シクレソニド(商品名:オルベスコ)は、SARS-CoV-2に対する「抗ウイルス活性」が非臨床試験で報告されており、また国内においてCOVID-19患者3例で症状改善を認めたとの報告があることから、国立国際医療研究センターが中心となって有効性および安全性を検討するための臨床試験を厚生労働科学研究として実施した。 肺炎のない軽症COVID-19患者90例をシクレソニド吸入剤投与群と対症療法群にランダム化。主要評価項目は、胸部CT画像による入院8日目以内の肺炎増悪割合、主な副次評価項目は鼻咽頭ぬぐい液のウイルス量の変化量であった。 その結果、肺炎増悪率は、シクレソニド吸入剤投与群41例中16例(39%)、対症療法群48例中9例(19%)であり、リスク差0.20(90%信頼区間:0.05~0.36)、リスク比2.08(同:1.15~3.75)、p=0.057であった。p値は両側有意水準10%を下回り、対症療法群と比べてシクレソニド吸入剤投与群で有意に肺炎増悪が多かった。 本剤は、厚生労働省が公開している「新型コロナウイルス感染症診療の手引き」の第4版では「日本国内で入手できる薬剤の適応外使用」のその他の薬剤例として記載されており、「現在国内において特別臨床研究が実施されているほか、観察研究に関しても実施中」と紹介されている。

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喘息治療で初のLABA/LAMA/ICS配合吸入薬「エナジア吸入用カプセル中用量/高用量」【下平博士のDIノート】第60回

喘息治療で初のLABA/LAMA/ICS配合吸入薬「エナジア吸入用カプセル中用量/高用量」今回は、喘息治療薬「インダカテロール酢酸塩/グリコピロニウム臭化物/モメタゾンフランカルボン酸エステル(商品名:エナジア吸入用カプセル中用量/高用量、製造販売元:ノバルティス ファーマ)」を紹介します。本剤は1カプセル中にLABA/LAMA/ICSの3成分を配合しており、1日1回1吸入で良好な喘息コントロールが得られることが期待されています。<効能・効果>本剤は、気管支喘息(吸入ステロイド剤[ICS]と長時間作用性吸入β2刺激薬[LABA]、長時間作用性吸入抗コリン薬[LAMA]の併用が必要な場合)の適応で、2020年6月29日に承認され、2020年8月26日より発売されています。<用法・用量>通常、成人には中用量(インダカテロールとして150μg、グリコピロニウムとして50μg、モメタゾンフランカルボン酸エステルとして80μg)を1日1回1カプセル、本剤専用の吸入用器具(ブリーズヘラー)を用いて吸入します。なお、症状に応じて高用量(インダカテロールとして150μg、グリコピロニウムとして50μg、モメタゾンフランカルボン酸エステルとして160μg)を1日1回1カプセル吸入することもできます。<安全性>国際共同QVM149B2302試験および国内B1304試験で本剤が投与された日本人被験者において、主な副作用として発声障害(8.7%)が認められました(承認時)。なお、重大な副作用として、アナフィラキシー、重篤な血清カリウム値の低下、心房細動(いずれも頻度不明)が報告されています。<患者さんへの指導例>1.この薬は、長時間作用する気管支拡張薬を2種類と、ステロイド薬を1種類含んだ吸入薬です。毎日同じ時間帯に規則正しく吸入することで、喘息の症状を改善します。2.専用の吸入用器具にカプセルを1つセットし、両脇の緑色のボタンを押してカプセルに穴を開けてから吸入します。うまく吸入できていたら、カラカラというカプセルの回転音が鳴ります。3.吸入が終わった後は、カプセルや粉末に触れないように気を付けて捨ててください。カプセル内に粉末が残っている場合は、再度吸入を行ってください。4.声枯れや感染症を予防するため、吸入後は必ず上を向いてうがいをして、うがいが困難な場合は口腔内をすすいでください。その際、口に含んだ水を飲み込まないように気を付けてください。5.吸入開始後に、動悸、手足の震え、尿が出にくいなどの症状が現れた場合は、すぐに受診してください。<Shimo's eyes>本剤は、喘息治療吸入薬として世界で初めてのLABA/LAMA/ICS配合製剤です。『喘息予防・管理ガイドライン2018』において、治療ステップ3~4に該当する中用量または高用量ICS/LABAによる治療でも喘息コントロールが不十分な場合は、LAMAを追加することが治療選択肢の1つとして推奨されています。しかし、これまで喘息の適応を有するLABA/LAMA/ICS配合薬は販売されていませんでした。LABA/ICS配合薬の多くが1日2回吸入ですが、本剤は1日1回でLABA/LAMA/ICSの3成分を一度に吸入できるため、服薬アドヒアランスの向上が期待できます。また、複数の製剤を組み合わせて使用するよりも1日薬価が下がり、経済的負担が軽減できるというメリットもあります。専用の吸入器である「ブリーズヘラー」は、喘息治療薬として初めて適用されました。本吸入器は最大吸気流量が低下している患者でも比較的使用しやすいデバイスです。しかし、カプセルをセットする手間がかかり、カプセルの誤飲に注意する必要があります。主な副作用は発声障害なので、使用後のうがいを徹底することも大切です。本剤は、同時に発売された喘息治療配合薬「インダカテロール酢酸塩/モメタゾンフランカルボン酸エステル(商品名:アテキュラ)」にLAMA(グリコピロニウム)を加えたものです。本剤とはモメタゾンの用量が不一致ですが、効果発現が期待できるモメタゾンの粒子量としては同程度です。薬剤師にとっても、多種多様の吸入薬のデバイス操作と指導法を覚えるのは大変なことですが、2020年度の調剤報酬改定で「吸入薬指導加算」が導入されたように、薬剤師の活躍が期待されている分野です。治療方針の決定とデバイス選択は医師が行い、吸入指導は薬剤師が重要な担い手となるという密な病薬連携が吸入指導の成功の鍵になると考えられます。薬局では、処方医に指導・経過のフィードバックを細やかに行い、しっかりと情報共有することで、患者さんのよりよい治療継続を目指しましょう。参考1)PMDA 添付文書 エナジア吸入用カプセル中用量/エナジア吸入用カプセル高用量

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「アドエア」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第21回

第21回 「アドエア」の名称の由来は?販売名アドエア100ディスカス28吸入用アドエア100ディスカス60吸入用アドエア250ディスカス28吸入用アドエア250ディスカス60吸入用アドエア500ディスカス28吸入用アドエア500ディスカス60吸入用アドエア50エアゾール120吸入用アドエア125エアゾール120吸入用アドエア250エアゾール120吸入用一般名(和名[命名法])サルメテロールキシナホ酸塩(JAN)フルチカゾンプロピオン酸エステル(JAN)効能又は効果○気管支喘息(吸入ステロイド剤及び長時間作動型吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)○慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎・肺気腫)の諸症状の緩解(吸入ステロイド剤及び長時間作動型吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)用法及び用量<気管支喘息>成人通常、成人には1回サルメテロールとして50µg及びフルチカゾンプロピオン酸エステルとして100µgを1日2回吸入投与する。アドエア100ディスカス 1回1吸入アドエア50エアゾール 1回2吸入なお、症状に応じて以下のいずれかの用法・用量に従い投与する。1回サルメテロールとして50µg及びフルチカゾンプロピオン酸エステルとして250µgを1日2回吸入投与アドエア250ディスカス 1回1吸入アドエア125エアゾール 1回2吸入1回サルメテロールとして50µg及びフルチカゾンプロピオン酸エステルとして500µgを1日2回吸入投与アドエア500ディスカス 1回1吸入アドエア250エアゾール 1回2吸入小児小児には、症状に応じて以下のいずれかの用法・用量に従い投与する。1回サルメテロールとして25µg及びフルチカゾンプロピオン酸エステルとして50µgを1日2回吸入投与アドエア50エアゾール 1回1吸入1回サルメテロールとして50µg及びフルチカゾンプロピオン酸エステルとして100µgを1日2回吸入投与アドエア100ディスカス 1回1吸入アドエア50エアゾール 1回2吸入<慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎・肺気腫)の諸症状の緩解>成人には、1回サルメテロールとして50µg及びフルチカゾンプロピオン酸エステルとして250µgを1日2回吸入投与する。アドエア250ディスカス 1回1吸入アドエア125エアゾール 1回2吸入警告内容とその理由設定されていない禁忌内容とその理由禁忌(次の患者には投与しないこと)1.有効な抗菌剤の存在しない感染症、深在性真菌症の患者[ステロイドの作用により症状を増悪するおそれがある]2.本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者※本内容は2020年10月14日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2020年3月改訂(第18版)医薬品インタビューフォーム「アドエア250ディスカス28・60吸入用/125エアゾール120吸入用、アドエア100・500ディスカス28・60吸入用/50・250エアゾール120吸入用」2)gsk:製品情報

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慢性閉塞性肺疾患(COPD)への3剤配合吸入薬治療について(解説:小林英夫氏)-1255

 呼吸機能検査において1秒率低下を呈する病態は閉塞性換気障害と分類され、COPD(慢性閉塞性肺疾患)はその中心的疾患で、吸入薬による気道拡張が治療の基本であることはすでに常識となっている。その吸入療法にどのような薬剤が望ましいのか、短時間作用型抗コリン薬(SAMA)、長時間作用型抗コリン薬(LAMA)、短時間作用型β2刺激薬(SABA)、長時間作用型β2刺激薬(LABA)などが登場している。さらに、COPDの一種として気管支喘息要素を合併している病態(ACO)が注目されてからは吸入ステロイド薬(ICS)が追加される場合もある。そして、これら薬剤を個別に使用するより合剤とすることで一層の効果を得ようと配合薬開発も昨今の流れである。 本論文はICS+LABA+LAMAの3剤配合薬(本邦商品名ビレーズトリ)でICS含有量が異なった2タイプ薬、LABA+LAMA 2剤配合薬、ICS+LABA 2剤配合薬、の4群でのCOPD治療効果を検証している。当然とはいえ、研究スポンサーは発売元の製薬会社である。結論を簡略化すると、3剤配合吸入薬は2用量のいずれでも、2剤配合吸入薬に比べCOPD増悪頻度を有意に改善したとなっている。登録例数8,500超と大規模臨床研究で、喘息要素を交じるACO例の存在が記載されていないものの、症例背景の好酸球数や気道可逆性試験から推測すると30%程度がACOのようである。 複数の単剤を別途吸入するよりも配合薬とすることで、服薬アドヒアランス向上と治療効果上昇が期待される。2019年以降、3剤配合吸入薬として本邦ではテリルジー、ビレーズトリがCOPDの適応で上梓され、1日換算薬価は300円弱と3剤を別途処方するよりも低額になっている。また2020年8月頃にエナジアが気管支喘息の適応で販売予定である。各製剤の吸入装置や吸入回数は異なり、優劣も不明である。治療選択肢の増加は個人的には歓迎だが、配合剤では症例に応じた細やかな用量調整は難しく、ビレーズトリも本邦では1種類(欧米のICS半量タイプ)のみの販売である。

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喘息治療薬2剤の製造販売承認を取得/ノバルティス ファーマ

 ノバルティス ファーマ株式会社は、6月29日、LABA/LAMA/ICS配合喘息治療剤インダカテロール酢酸塩/グリコピロニウム臭化物/モメタゾンフランカルボン酸エステル(商品名:エナジア)とLABA/ICS配合喘息治療剤インダカテロール酢酸塩/モメタゾンフランカルボン酸エステル(同:アテキュラ)の製造販売承認を取得したと発表した。1日1回で3成分を同時に吸入 喘息は世界中で3億5,800万人(うちわが国では約800万人が罹患)の患者が推定され、症状がコントロール不十分な場合、個人的、健康的、経済的負担の点から重大な問題が生じるリスクが高くなる。また、症状コントロールが不十分な喘息患者は、疾患の重症度を軽視または過小評価する傾向があり、増悪、入院または死亡のリスクが高くなるという報告もある。そのため、治療法が合わない、経口ステロイド剤の安全性、生物学的製剤の不適応など喘息に対するアンメット・メディカル・ニーズはまだ多く存在する。今回承認された両剤は、こうした臨床現場からの要望に応えたもので単一吸入器による1日1回投与で3成分を同時に吸入でき、十分な喘息コントロールが得られるものと期待されている。スマホと連動し、患者の服薬状態もチェックできる 今回発売されたエナジアは、長時間作用性β2刺激剤(以下「LABA」という)のインダカテロール酢酸塩、長時間作用性抗コリン剤(以下「LAMA」という)のグリコピロニウム臭化物、吸入ステロイド剤(以下「ICS」という)のモメタゾンフランカルボン酸エステルのLABA/LAMA/ICS配合剤で、専用の吸入器「ブリーズヘラー」による1日1回投与で気管支拡張作用および抗炎症作用を発揮する。中用量および高用量の2規格ともにインダカテロールは150μg、グリコピロニウムは50μgを含有し、モメタゾンフランカルボン酸エステルはそれぞれ80μgおよび160μgを含有する。同じくアテキュラも、ブリーズヘラーを用いて1日1回投与するLABA/ICS配合剤で、低用量、中用量および高用量の3規格ともにインダカテロールは150μgを含有し、モメタゾンフランカルボン酸エステルはそれぞれ80μg、160μg、320μgを含有する。 また、特色として、両剤は日本で初めて吸入器に装着してスマートフォンと連動させ、日々の服薬記録や服薬リマインダー機能を持つブリーズヘラー用センサーにより医師を通じて提供される仕組みが付き、アドヒアランス向上などに役立てることができる。エナジアの概要製品名:「エナジア」(吸入用カプセル中用量/高用量)一般名:インダカテロール酢酸塩/グリコピロニウム臭化物/モメタゾンフランカルボン酸エステル効能または効果:気管支喘息(吸入ステロイド剤、長時間作用性吸入β2刺激剤および長時間作用性吸入抗コリン剤の併用が必要な場合)用法および用量:通常、成人にはエナジア吸入用カプセル中用量1回1カプセル(インダカテロールとして150μg、グリコピロニウムとして50μgおよびモメタゾンフランカルボン酸エステルとして80μg)を1日1回本剤専用の吸入用器具を用いて吸入する。なお、症状に応じてエナジア吸入用カプセル高用量1回1カプセル(インダカテロールとして150μg、グリコピロニウムとして50μgおよびモメタゾンフランカルボン酸エステルとして160μg)を1日1回本剤専用の吸入用器具を用いて吸入する。承認取得日:2020年6月29日製造販売:ノバルティス ファーマ株式会社なお、薬価・発売日は未定。アテキュラの概要製品名:「アテキュラ」(吸入用カプセル低用量/中用量/高用量)一般名:インダカテロール酢酸塩/モメタゾンフランカルボン酸エステル効能または効果:気管支喘息(吸入ステロイド剤および長時間作用性吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)用法および用量:通常、成人にはアテキュラ吸入用カプセル低用量1回1カプセル(インダカテロールとして150μgおよびモメタゾンフランカルボン酸エステルとして80μg)を1日1回本剤専用の吸入用器具を用いて吸入する。なお、症状に応じて以下用量の1回1カプセルを1日1回本剤専用の吸入用器具を用いて吸入する。・アテキュラ吸入用カプセル中用量(インダカテロールとして150μgおよびモメタゾンフランカルボン酸エステルとして160μg)・アテキュラ吸入用カプセル高用量(インダカテロールとして150μgおよびモメタゾンフランカルボン酸エステルとして320μg)承認取得日:2020年6月29日製造販売:ノバルティス ファーマ株式会社なお、薬価・発売日は未定。

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COPDへの3剤配合吸入薬、ICS半量でも有効/NEJM

 中等症~最重症の慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者において、ブデソニド標準用量または半量によるブデソニド/グリコピロニウム/ホルモテロール3剤配合吸入薬(ブデソニド半量の3剤配合吸入薬は本邦未承認)はいずれも、グリコピロニウム/ホルモテロールまたはブデソニド/ホルモテロールの2剤配合吸入薬と比較し、中等度~重度のCOPD増悪頻度を抑制したことが示された。ドイツ・LungenClinic GrosshansdorfのKlaus F. Rabe氏らが、26ヵ国で実施した52週間の第III相無作為化二重盲検比較試験「Efficacy and Safety of Triple Therapy in Obstructive Lung Disease trial:ETHOS試験」の結果を報告した。COPDに対する固定用量の吸入ステロイド(ICS)+長時間作用型抗コリン薬(LAMA)+長時間作用型β2刺激薬(LABA)3剤併用療法は、これまで1つの用量のICSでのみ検討されており、低用量ICSでの検討が不足していた。NEJM誌オンライン版2020年6月24日号掲載の報告。ICS標準用量/半量による3剤配合の有効性を2剤配合と比較 研究グループは、過去1年間に1回以上の増悪を認めた中等症~最重症のCOPD患者8,588例を、ブデソニド320μg/日+グリコピロレート(グリコピロニウム臭化物として18μg/日、以下、グリコピロニウム)+ホルモテロール(ホルモテロールフマル酸塩水和物9.6μg/日)(ブデソニド標準用量3剤配合群)、ブデソニド160μg/日+グリコピロニウム+ホルモテロール(ブデソニド半量3剤配合群)、グリコピロニウム/ホルモテロール2剤配合群、またはブデソニド(320μg/日)/ホルモテロール2剤配合群に、1対1対1対1の割合で無作為に割り付け、1日2回52週間吸入投与した。 主要評価項目は、52週間における中等度~重度増悪(中等度増悪:3日以上の全身性ステロイドまたは抗生物質の投与、重度増悪:入院または死亡)の年率(推定平均回数/患者/年)であった。標準用量・半量とも3剤配合吸入薬は、2剤配合吸入薬に比べ増悪頻度を有意に改善 無作為割り付けから治験薬投与中止までの間にデータが得られた8,509例(修正intention-to-treat:mITT集団)を主要評価項目の解析対象集団とした。 中等度~重度の増悪頻度は、ブデソニド標準用量3剤配合群(2,137例)が1.08回/患者/年、ブデソニド半量3剤配合群(2,121例)が1.07回/患者/年、グリコピロニウム/ホルモテロール2剤配合群(2,120例)は1.42回/患者/年、ブデソニド/ホルモテロール2剤配合群(2,131例)は1.24回/患者/年であった。 ブデソニド標準用量3剤配合群は、グリコピロニウム/ホルモテロール2剤配合群(24%減少、率比:0.76、95%信頼区間[CI]:0.69~0.83、p<0.001)、およびブデソニド/ホルモテロール2剤配合群(13%減少、0.87、0.79~0.95、p=0.003)と比較して増悪頻度が有意に減少した。ブデソニド半量3剤配合群も同様に、グリコピロニウム/ホルモテロール2剤配合群(25%減少、0.75、0.69~0.83、p<0.001)、およびブデソニド/ホルモテロール2剤配合群(14%減少、0.86、0.79~0.95、p=0.002)と比較して、増悪頻度が有意に減少した。 有害事象の発現頻度は治療群間で類似していた(範囲:61.7~64.5%)。独立評価委員会で確定された肺炎の発現頻度は、ブデソニドを用いた治療群で3.5~4.5%、グリコピロニウム/ホルモテロール2剤配合群で2.3%であった。

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COVID-19診療の手引きの改訂版を公開/厚生労働省

 5月18日、厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部は、全国の関係機関ならびに医療機関に「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第 2 版」を事務連絡として発出した。 同手引きの第1版は、3月17日に発出されているが、第2版となる改訂版では、国内外の最新知見を更新し、ページ数も約2倍となるなど、大幅に改訂されている。約3割の患者で嗅覚異常、味覚異常がある 追加された項目として「臨床像」では、「初期症状はインフルエンザや感冒に似ており、この時期にこれらとCOVID-19を区別することは困難である」とし、「嗅覚障害・味覚障害を訴える患者さんが多いことも分かってきた。イタリアからの報告によると約3割の患者で嗅覚異常または味覚異常があり、特に若年者、女性に多い」など追加の症状が述べられている。 「合併症」では、「若年患者であっても脳梗塞を起こした事例が報告されており、血栓症を合併する可能性が指摘されている。また、軽症患者として経過観察中に突然死を起こすことがあり、これも血栓症との関連が示唆される。小児では、川崎病様の症状を呈する事例もあることが欧米から報告されている」と血栓に関する注意も追加された。 「重症化マーカー」では、(1)D ダイマーの上昇、(2)CRP の上昇、(3)LDH の上昇、(4)フェリチンの上昇、(5)リンパ球の低下、(6)クレアチニンの上昇などが挙げられるが、「全体的な臨床像を重視して、臨床判断の一部として活用する必要がある」としている。 「薬物療法」では、「日本国内で入手できる適応薬」としてRNA合成酵素阻害薬 レムデシビル(2020 年5 月7日に特定薬事承認)を示すとともに、「日本国内で入手できる薬剤の適応外使用」として「RNA合成酵素阻害薬 ファビピラビル」「吸入ステロイド薬 シクレソニド」「蛋白質分解酵素阻害剤 ナファモスタット」「ヒト化抗IL-6 受容体モノクローナル抗体 トシリズマブ」「同 サリルマブ」を紹介している。目次 第2版1 病原体・臨床像伝播様式/臨床像/重症化マーカー/画像所見2 症例定義・診断・届出症例定義/病原体診断/抗原検査/抗体検査/届出3 重症度分類とマネジメント重症度分類/軽症/中等症/重症4 薬物療法5 院内感染対策個人防護具/換気/環境整備/廃棄物/患者寝具類の洗濯/食器の取り扱い/死後のケア/職員の健康管理/非常事態におけるN95マスクの例外的取扱い/非常事態におけるサージカルマスク、長袖ガウン、ゴーグルおよびフェイスシールドの例外的取扱い6 退院・生活指導退院等基準/生活指導引用・参考文献 診療の手引き検討委員会・作成班は「はじめに」で、「再流行のリスクもあり、予断を許しません。本手引きが広く医療現場で参考にされ、患者の予後改善と流行の制圧の一助となることを期待します」と活用を呼び掛けている。

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第4回 COVID-19診療医療機関の具体的な支援策が取りまとめられた

<先週の動き>1.COVID-19診療医療機関の具体的な支援策が取りまとめられた2.地域でのがん患者、透析患者、妊産婦などへの医療提供体制がまとまる3.医療・介護現場で足りないマスク、防護具、消毒薬の対策が進む4.新型コロナウイルスに対する新薬開発状況が明らかに1.COVID-19診療医療機関の具体的な支援策が取りまとめられた新型コロナウイルス感染による重症患者を診療する医療機関に対して、17日に開催された中央社会保険医療協議会 総会(第455回)において、具体的な支援策が打ち出された。中等症・重症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の受入れに係る特例的な対応は以下の3点にまとめられている。1)重症COVID-19患者の治療に係る評価体外式心肺補助(ECMO)や人工呼吸器による管理が必要な重症患者などへの対応として、救命救急入院料、特定集中治療室管理料またはハイケアユニット入院医療管理料を算定する病棟において、2倍の点数を算定できる。また、急性血液浄化(腹膜透析を除く)を必要とする状態、急性呼吸窮迫症候群または心筋炎・心筋症のいずれかに該当する患者については21日間、ECMOを必要とする状態の患者については35日間まで、算定日数が延長される。2)患者の重症化等を防ぐための管理および医療従事者の感染リスクを伴う診療の評価中等症以上のCOVID-19患者については、患者の重症化や他患者および医療従事者への感染拡大を防ぐための管理の評価として、救急医療管理加算の2倍相当(1,900点)を算定可能になった。さらに、人員配置に応じて、追加的に二類感染症患者入院診療加算に相当する加算を算定できる。3)受入れに伴い必要な手続き等への柔軟な対応救命救急入院料、特定集中治療室管理料およびハイケアユニット入院医療管理料と同等の人員配置とした病床において、COVID-19患者または本来当該入院料を算定する病床において受け入れるべき患者を受け入れた場合には、運用開始日や人員配置など簡易な報告をした上で、該当する入院料を算定できる。なお、救命救急入院料について、COVID-19患者の受入れなどにより、当該医療機関内の特定集中治療室管理料などを算定する病棟に入院できない場合には、患者の同意を得た上で、入院経路を問わず算定可能。(参考)新型コロナウイルス感染症患者(中等症・重症患者)への診療報酬における対応について(中医協 第455回総会)2.地域でのがん患者、透析患者、妊産婦などへの医療提供体制がまとまる地域で医療提供体制を協議する上で配慮が必要となるがん患者、透析患者、障害児者、妊産婦、小児に係る対応について、厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部が、都道府県などに向けて14日付で事務連絡を発出した。がん治療を受けている患者がCOVID-19に罹患した場合には、重症化する可能性を念頭に置き、がん治療を中断し、コロナに対応した医療機関への入院を原則とするなど、細心の注意を要する。日本透析医学会の報告によると、国内の透析患者の感染者数は累計47人だ。全体の死亡率は、8.5%(4/47人)と、基礎疾患のない患者と比較して高率であることも含め、適切な病床の確保などが望まれる。都道府県には、各学会から発出される情報を参考にし、医療機関への周知を行うなどの対応が求められている。(参考)新型コロナウイルス感染症に対応したがん患者・透析患者・障害児者・妊産婦・小児に係る医療提供体制について(厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部)透析患者における累積の新型コロナウイルス感染者数(2020年4月17日)(一般社団法人 日本透析医学会)3.医療・介護現場で足りないマスク、防護具、消毒薬の対策が進む厚生労働省は10日に「N95マスクは滅菌により2回までの再利用等が可能」とする事務連絡を出していたが、現場で増え続ける疑い症例への防護策として必要なマスクや防護具の不足に対して、新たな工夫をして乗り越えようとする動きが見られる。東京都医師会では、COVID-19の流行に伴うマスク不足を受け、「【縫わずに作れる!】簡易マスクの作り方」をホームページで公開している。フェイスシールドについても、100円ショップなどで入手可能なクリアファイルを利用して自作する代用案が動画サイトで共有されるなど、さまざまなアイデアが共有されている。消毒用アルコールについては、13日から若鶴酒造(富山県砺波市)が「砺波野スピリット77%」の発売開始、今月下旬からサントリースピリッツ大阪工場で医療機関等向けにアルコールの提供開始などが発表されており、不足が徐々に解消すると考えられる。また、17日に北里大学大村智記念研究所の片山 和彦教授らの研究グループが発表した「医薬部外品および雑貨の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)不活化効果について」により、一般の医薬部外品や生活雑貨の中でも、消毒用に使えるものが公開されている。(参考)N95 マスクの例外的取扱いについて(厚労省 事務連絡 令和2年4月10日/4月15日一部追記)消毒アルコール、酒で代替 品不足受け、業者次々参入―行政も柔軟対応・新型コロナ(時事通信)医薬部外品および雑貨の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)不活化効果について(学校法人 北里研究所)4.新型コロナウイルスに対する新薬開発状況が明らかに第94回 日本感染症学会学術講演会 特別シンポジウム(テーマ:COVID-19シンポジウム -私たちの経験と英知を結集して-)が18日に開かれた。最後の演題「臨床試験の進行状況と新知見」では、藤田医科大学の土井 洋平教授より、国内におけるファビピラビルの治療成績について観察研究の報告がされた。新型コロナウイルス感染患者300例に投与した結果、軽・中等症の患者で約9割、人工呼吸器が必要な重症・重篤患者で約6割に症状の改善が見られた一方、高尿酸血症や肝機能障害といった有害事象が17%で報告されたという。ほかにも、喘息治療に用いる吸入ステロイド薬シクレソニド(商品名:オルべスコ)、抗インフルエンザ薬のファビピラビル(同:アビガン)、エボラ出血熱の治療薬として開発されていた抗ウイルス薬レムデシビル(ギリアド・サイエンシズ)などが挙げられる。また、抗マラリア薬の一つで、新型コロナウイルスの治療薬として期待されるヒドロキシクロロキンについては、ブラジルで行われた治験で81例の被験者のうち11例が死亡し、臨床試験は6日目で中止となった。フランスでも同様の臨床試験に着手したが、副作用と心臓損傷のリスクのため直ちに中止になるなど、当初の期待通りとはいかないものもある。なお、日本感染症学会のCOVID-19シンポジウムについては、NHKチーフ・ディレクター市川 衛氏によるシンポジウム関連ツイートのまとめが掲載されている。(参考)アビガン投与2週間で重症者6割が改善、軽症者では9割…「それぞれの薬に長所と短所」(読売新聞)新型コロナ治療薬、開発急ピッチ 世界で治験650件(日経新聞)日本感染症学会ウェブセミナー COVID-19シンポジウムまとめ(市川衛@医療の「翻訳家」/@mam1kawa)

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