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HR+/HER2-転移乳がん、SG+ペムブロリズマブvs.SG(SACI-IO HR+)/ASCO2024

 既治療の切除不能な局所進行または転移を有するHR+/HER2-乳がんに対して、sacituzumab govitecan(SG)+ペムブロリズマブを、SG単独と比較した無作為化非盲検第II相SACI-IO HR+試験で、ペムブロリズマブ併用による無増悪生存期間(PFS)の有意な改善は認められなかった。米国・ダナファーバーがん研究所のAna Christina Garrido-Castro氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)で発表した。 SGはトポイソメラーゼI阻害薬(SN-38)をペイロードとする抗TROP2抗体薬物複合体(ADC)で、その作用機序から抗PD-1抗体との相乗効果が期待されている。・対象:切除不能な局所進行または転移を有するHR+/HER2-乳がんで、転移後に1ライン以上の内分泌療法歴があるか、術後補助内分泌療法中もしくは12ヵ月以内に進行した患者(活動性脳転移のある患者、トポイソメラーゼI阻害薬ADC、イリノテカン、抗PD-1/L1抗体による治療歴のある患者は除外)・試験群(併用群):SG(1、8日目に10mg/kg静注)+ペムブロリズマブ(1日目に200mg静注)、21日ごと・対照群(SG群): SG単独・評価項目:[主要評価項目]PFS[副次評価項目]PD-L1陽性患者のPFS、全生存期間(OS)、奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、奏効までの期間(TTOR)、臨床的有用率(CBR)、安全性 主な結果は以下のとおり。・治療開始した104例(併用群52例、SG群52例)が解析に組み入れられた。・年齢中央値は57.0歳(範囲:27.0~81.0歳)、40例(38.5%)がPD-L1陽性(CPS≧1)、56例(69.1%)が術前/術後化学療法歴があり、51例(49.0%)が転移乳がんに対する1ラインの化学療法歴があった。・追跡期間中央値12.5ヵ月(データカットオフ:2024年3月9日)におけるPFS中央値は併用群が8.12ヵ月で、SG群の6.22ヵ月より数字上は延長したが、統計学的に有意ではなかった(ハザード比[HR]:0.81、95%信頼区間[CI]:0.51~1.28、p=0.37)。・OSデータはimmatureであるが、OS中央値は併用群18.52ヵ月、SG群17.96ヵ月で有意な差は認められなかった(HR:0.65、95%CI:0.33~1.28、p=0.21)。・PD-L1陽性(CPS≧1)患者において、PFS中央値は併用群がSG群より4.4ヵ月長く(HR:0.62、95%CI:0.29~1.36、p=0.23)、OS中央値は6ヵ月長く(HR:0.61、95%CI:0.18~2.04、p=0.42)、どちらも有意ではないが併用群で改善傾向が認められた。・ORRは、併用群21.2%、SG群17.3%で有意な差はなかった(p=0.80)。また、CBR(p=0.84)、DOR(p=0.31)、TTOR(p=0.68)も有意な差は認められなかった。・主なGrade3以上のTEAE(治療中に発現した有害事象)は、併用群では好中球減少症(54%)、白血球減少症(23%)、リンパ球減少症(12%)、発熱性好中球減少症(6%)、貧血(6%)、下痢(6%)で、単独群では好中球減少症(44%)、貧血(10%)、悪心(10%)、下痢(8%)、白血球減少症(8%)、疲労(6%)、高血圧(6%)であった。 Garrido-Castro氏は、「これらの結果は、転移を有するPD-L1陽性HR+/HER2-乳がん患者におけるSG+ペムブロリズマブのさらなる検討を支持している。ADCと免疫チェックポイント阻害薬併用によりベネフィットが得られる予測因子を調査するために、追加の研究が必要である」と述べた。

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転移乳がんへのT-DXd、HER2-ultralowでもPFS延長(DESTINY-Breast06)/ASCO2024

 従来のHR陽性(+)かつHER2陰性の転移を有する乳がんのうち、約60~65%がHER2-low(IHC 1+またはIHC 2+/ISH-)、約20~25%がHER2-ultralow(膜染色を認めるIHC 0[IHC >0<1+])とされているため、約85%がトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)が有用である可能性がある。米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)において、HR+かつHER2-lowおよびHER2-ultralowで化学療法未治療の転移・再発乳がん患者を対象とした第III相DESTINY-Breast06試験の結果、T-DXdは化学療法群と比較して、有意に無増悪生存期間(PFS)を延長したことを、イタリア・ミラノ大学のGiuseppe Curigliano氏が発表した。・試験デザイン:国際共同第III相非盲検無作為化比較試験・対象:転移に対する治療として1ライン以上の内分泌療法※を受け、化学療法は未治療の、HR+かつHER2-low(HER2-ultralowも含む)の転移・再発乳がん患者866例・試験群(T-DXd群):T-DXd(3週間間隔で5.4mg/kg)を投与 436例・対照群(TPC群):治験医師選択の化学療法(カペシタビンまたはパクリタキセル、nab-パクリタキセル)を投与 430例・評価項目:[主要評価項目]盲検独立中央判定(BICR)によるHER2-low集団のPFS[主要副次評価項目]BICRによるITT集団(HER2-lowおよびHER2-ultralow)のPFS、HER2-low集団およびITT集団の全生存期間(OS)・層別化因子:CDK4/6阻害薬の使用有無、HER2発現状況、転移がないときのタキサン使用有無・データカットオフ:2024年3月18日※内分泌療法:(1)2ライン以上の内分泌療法±分子標的薬、(2)初回の内分泌療法+CDK4/6阻害薬で6ヵ月以内に病勢進行、(3)術後の内分泌療法開始から24ヵ月以内に再発 のいずれか。 主な結果は以下のとおり。・866例がT-DXd群とTPC群に1対1に無作為に割り付けられた。年齢中央値はそれぞれ58.0歳(範囲:28~87)/57.0歳(32~83)、IHC 1+が54.8%/54.4%、IHC 2+/ISH-が26.8%/27.4%、内分泌療法抵抗性が29.4%/32.6%、診断時のde novoが30.5%/30.7%、骨転移のみありが3.0%/3.0%、内臓転移ありが86.2%/84.7%、肝転移ありが67.9%/65.8%であった。・TPC群では、カペシタビンが59.8%、nab-パクリタキセルが24.4%、パクリタキセルが15.8%に投与された。ITT集団(HER2-lowおよびHER2-ultralow):866例・ITT集団におけるPFS中央値は、T-DXd群13.2ヵ月、TPC群8.1ヵ月であり、T-DXd群で統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示した(ハザード比[HR]:0.63、95%信頼区間[CI]:0.53~0.75、p<0.0001)。・12ヵ月OS率は、T-DXd群87.0%、TPC群81.1%であった。・全奏効率(ORR)は、T-DXd群57.3%(CRが3.0%)、TPC群31.2%(0%)であった。臨床的有用率(CBR)はそれぞれ76.6%、51.9%であった。HER2-low集団:713例・主要評価項目であるHER2-low集団におけるPFS中央値は、T-DXd群13.2ヵ月、TPC群8.1ヵ月であり、T-DXd群で統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を認めた(HR:0.62、95%CI:0.51~0.74、p<0.0001)。・12ヵ月OS率は、T-DXd群87.6%、TPC群81.7%であった。・ORRは、T-DXd群56.5%(CRが2.5%)、TPC群32.2%(0%)であった。CBRはそれぞれ76.6%、53.7%であった。・HER2-low集団のすべてのサブグループ解析においてT-DXd群が良好な結果であった。HER2-ultralow集団:152例・HER2-ultralow集団におけるPFS中央値は、T-DXd群13.2ヵ月、TPC群8.3ヵ月であった(HR:0.78、95%CI:0.50~1.21)。・12ヵ月OS率は、T-DXd群84.0%、TPC群78.7%であった。・ORRは、T-DXd群61.8%(CRが5.3%)、TPC群26.3%(0%)であった。CBRはそれぞれ76.3%、43.4%であった。安全性・新たな安全性シグナルは確認されなかった。・Grade3以上の試験治療下における有害事象(TEAE)は、T-DXd群40.6%、TPC群31.4%に発現した。T-DXd群で多かったGrade3以上のTEAEは、好中球減少症(20.7%)、白血球減少症(6.9%)、貧血(5.8%)などであった。・T-DXd群における薬剤関連間質性肺疾患の発現は11.3%で、Grade1が1.6%、Grade2が8.3%、Grade3が0.7%、Grade4が0%、Grade5(死亡)が0.7%であった。 これらの結果より、Curigliano氏は「本試験によって、T-DXdは、1種類以上の内分泌療法を受けたHR+かつHER2-lowおよびHER2-ultralowの転移・再発乳がん患者の新たな治療選択肢となった」とまとめた。

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ドセタキセル後のアビラテロン+カバジタキセル、転移を有する去勢抵抗性前立腺がんでPFS改善(CHAARTED2)/ASCO2024

 ドセタキセル治療歴のある、転移を有する去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者において、アビラテロンとカバジタキセルの併用療法が無増悪生存期間(PFS)を有意に改善した。米国・ウィスコンシン大学カーボンがんセンターのChristos Kyriakopoulos氏が、第II相無作為化非盲検EA8153(CHAARTED2)試験の結果を、米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)で報告した。・対象:去勢感受性前立腺がん(CSPC)に対する3サイクル以上のドセタキセル治療歴のあるmCRPC患者(ECOG PS>2、CRPCに対する治療歴、Grade≧2の末梢性ニューロパチーを有する患者は除外)・試験群(カバジタキセル併用群):カバジタキセル(25mg/m2を3週ごとに最大6サイクルまで静脈内投与)+アビラテロン(1,000mgを1日1回)+prednisone(5mgを1日2回) 111例・対照群(アビラテロン単独群):アビラテロン+prednisone 112例・評価項目:[主要評価項目]PFS[主要な副次評価項目]PSA反応、PSA増悪までの時間(TTPP)、全生存期間(OS)、安全性と忍容性 主な結果は以下のとおり。・ベースラインにおける患者特性は両群でバランスがとれており、年齢中央値は64(41~80)歳、PS 0が58.3%、Gleasonスコア8~10が83.1%、アンドロゲン除去療法(ADT)開始からCRPCへの進行までの期間≦12ヵ月が50.9%、high-volume diseaseが76.0%、診断時に内臓転移ありが24.2%であった。・追跡期間中央値47.3ヵ月において、PFS中央値はカバジタキセル併用群14.9ヵ月vs.アビラテロン単独群9.9ヵ月となり、カバジタキセル併用群で有意に改善した(ハザード比[HR]:0.73[80%信頼区間[CI]:0.59~0.90]、p=0.049)。・PFSのサブグループ解析の結果、65歳未満(15.6ヵ月vs.9.8ヵ月、HR:0.65)、PS 0(20.9ヵ月vs.10.1ヵ月、HR:0.56)、CRPCへの進行までの期間≦12ヵ月の患者(12.9ヵ月vs.5.1ヵ月、HR:0.56)、および内臓転移のない患者(18.1ヵ月vs.10.1ヵ月、HR:0.62)でより顕著なベネフィットがみられた。・ベースラインから12週のPSAの変動について、カバジタキセル併用群の89%、アビラテロン単独群の77%で減少がみられた(p=0.03)。治療中のPSA nadir中央値はカバジタキセル併用群1.0ng/mL vs.アビラテロン単独群3.7ng/mLであった(p=0.002)。・TTPP中央値は、カバジタキセル併用群10.0ヵ月vs.アビラテロン単独群6.1ヵ月となり、カバジタキセル併用群で良好であった(HR:0.60[95%CI:0.44~0.83]、p=0.002)。・OS中央値は、カバジタキセル併用群25.0ヵ月vs.アビラテロン単独群26.9ヵ月となり、両群で差はみられなかった(HR:0.93[95%CI:0.68~1.29]、p=0.67)。ただし、本研究はOSに対する検出力が不足していた。・カバジタキセル併用群で多くみられたGrade3以上の治療関連毒性は、好中球数減少(10.1% vs.0%)、白血球数減少(8.3% vs.0%)、貧血(6.4% vs.0.9%)、疲労(5.5% vs.1.9%)であった。 Kyriakopoulos氏は、アビラテロンおよびプレドニゾンにカバジタキセルを追加することでPFSを有意に改善し、併用による安全性上の新たな懸念は確認されなかったが、mCSPCに対する2剤および3剤併用療法の導入による治療環境の変化で、今回の結果の適用は限定的な可能性があるとまとめている。

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食道腺がん、周術期化学療法が術前化学放射線療法を上回る(ESOPEC)/ASCO2024

 切除可能な局所進行食道腺がんに対する世界的な標準治療は、術前化学放射線療法(CROSS療法)+手術とされてきた。一方、切除可能な胃がんに対しては、周術期化学療法(FLOT療法)+手術といった新たな治療戦略の開発が進められている。これらの両治療戦略を直接比較した第III相ESOPEC試験の結果、FLOT療法がより優れた治療成績を示した。米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)のPlenary Sessionにおいて、ドイツ・ビーレフェルト大学のJens Hoeppner氏が本試験の詳細を報告した。・試験デザイン:多施設共同前向きランダム化比較試験・対象:cT1N+またはcT2-4a、cN0/+、cM0の切除可能食道線がん患者・試験群(FLOT群):術前化学療法(5-FU/ロイコボリン/オキサリプラチン/ドセタキセル、8週ごと4サイクル)+手術+術後化学療法 221例・対照群(CROSS群):術前化学放射線療法(41.4Gy、カルボプラチン/パクリタキセル、5週ごと5サイクル)+手術 217例・評価項目:[主要評価項目]全生存期間(OS)[副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、術後病理学的病期、術後合併症など 主な結果は以下のとおり。・2016年2月~2020年4月、ドイツの25施設から438例が2群にランダムに割り当てられた(FLOT群221例、CROSS群217例)。ベースライン時の特性は男性89.3%、年齢中央値63歳(SD 30~86)、cT3/4 80.5%、cN+79.7%だった。・術前補助療法は403例(FLOT群207例、CROSS群196例)、手術は371例(FLOT群191例、CROSS群180例)で行われた。うち351例(FLOT群180例、CROSS群171例)でR0切除が達成された。・術後90日死亡率は4.3%(FLOT群3.2%、CROSS群5.6%)であった。追跡期間中央値55ヵ月時点で218例が死亡した(FLOT群97例、CROSS群121例)。・OS中央値は、FLOT群66ヵ月(95%信頼区間[CI]:36~推定不能)、CROSS群37ヵ月(95%CI:28~43)であった。・3年OS率は、FLOT群57.4%(95%CI:50.1~64.0)、CROSS群50.7%(95%CI:43.5~57.5)であった(HR:0.70、95%CI:0.53~0.92、p=0.012)。・腫瘍縮小グレードが判明している359例のうち、FLOT群35例(18.3%)、CROSS群24例(13.3%)で病理学的完全奏効(pCR)が達成された。 Hoeppner氏は「FLOT療法+手術はCROSS療法+手術と比較して、OSを改善した。今後はFLOT療法を優先して選択すべきだろう」とした。日本では現在の標準治療が欧米とは異なるため、即時の治療戦略変更につながることはなさそうだが、食道がんにおいて術前化学療法の有用性が検証されたことは、今後の上部消化管腫瘍領域における治療戦略の検討に影響を与えそうだ。

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HER2+進行乳がん1次療法、エリブリン+HP vs.タキサン+HP(JBCRG-M06/EMERALD)/ASCO2024

 日本で実施された第III相JBCRG-M06/EMERALD試験の結果、HER2陽性(+)の局所進行または転移を有する乳がんの1次療法として、トラスツズマブ+ペルツズマブ+エリブリン併用療法は、トラスツズマブ+ペルツズマブ+タキサン併用療法と比較して、無増悪生存期間(PFS)が非劣性であったことを、神奈川県立がんセンターの山下 年成氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)で発表した。 現在、トラスツズマブ+ペルツズマブ+タキサンは、HER2+の再発・転移乳がんに対する標準的な1次療法である。しかし、タキサン系抗がん剤による浮腫や脱毛、末梢神経障害などは患者QOLを低下させうるため、同等の有効性を有し、かつ副作用リスクが低い治療法の開発が求められていた。そこで山下氏らは、非タキサン系の微小管阻害薬エリブリンをトラスツズマブ+ペルツズマブと併用した場合の、トラスツズマブ+ペルツズマブ+タキサンに対する非劣性を評価するために本研究を実施した。・試験デザイン:多施設共同ランダム化非盲検非劣性第III相試験・対象:進行・転移に対する化学療法(T-DM1を除く)未治療のHER2+乳がん患者446例・試験群(エリブリン群):21日サイクルで、エリブリン1.4mg/m2(1・8日目)とペルツズマブ+トラスツズマブ(1日目)を病勢進行または許容できない毒性が認められるまで継続・対照群(タキサン群):21日サイクルで、ドセタキセル75mg/m2(1日目)またはパクリタキセル80mg/m2(1・8・15日目)とペルツズマブ+トラスツズマブ(1日目)を病勢進行または許容できない毒性が認められるまで継続・評価項目:[主要評価項目]PFS[副次評価項目]奏効率(ORR)、奏効期間、全生存期間(OS)、患者報告の健康関連QOL、安全性など 主な結果は以下のとおり。・2017年8月~2020年4月に、エリブリン群224例、タキサン群222例に無作為に割り付けられ、2022年4月まで追跡された。追跡期間中央値は35.7ヵ月(範囲:0.3~66.5)であった(データカットオフ:2023年6月30日)。・ベースライン時の年齢中央値はエリブリン群56.0歳(範囲:27~70)/タキサン群57.0歳(32~70)、閉経後が67.9%/76.6%、ER+が57.1%/58.1%、de novo StageIVが58.0%/59.9%、周術期のタキサン治療歴ありが31.7%/30.2%、内臓転移ありが65.2%/65.8%であった。・主要評価項目であるPFS中央値は、エリブリン群14.0ヵ月(95%信頼区間[CI]:11.7~16.2)、タキサン群12.9ヵ月(95%CI:10.8~15.6)であった。ハザード比(HR)は0.96(95%CI:0.76〜1.19、p=0.6817)であり、95%CIの上限値が非劣性マージン(1.33)を下回ったため、エリブリン群の非劣性が示された。・ORRは、エリブリン群76.8%(CRが11.6%)、タキサン群75.2%(13.5%)であった。・OS中央値は、エリブリン群は未達、タキサン群は65.3ヵ月であった(HR:1.09、95%CI:0.76~1.58、p=0.7258)。・試験治療下における有害事象は、エリブリン群93.3%(うちGrade3以上が58.9%)、タキサン群96.3%(59.2%)に発現した。好中球減少症(エリブリン群61.6%、タキサン群30.7%)と末梢神経障害(61.2%、52.8%)はエリブリン群で多く、下痢(36.6%、54.1%)と浮腫(8.5%、42.2%)はタキサン群で多かった。・末梢神経障害がエリブリン群で多かったのは、エリブリン群のほうが投与期間が長かったことに起因していると推測された(投与期間中央値:エリブリン28.1ヵ月、ドセタキセル18.1ヵ月、パクリタキセル20ヵ月)。 これらの結果より、山下氏は「本研究は、HER2+の局所進行・転移乳がんの1次療法として、トラスツズマブ+ペルツズマブと併用した場合の、エリブリンのタキサンに対する非劣性を示した初めての研究である。トラスツズマブ+ペルツズマブ+タキサンと同等の効果を有する代替治療として、トラスツズマブ+ペルツズマブ+エリブリンは第1選択となる可能性がある」とまとめた。

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高リスクHR+/HER2-乳がんの術前療法、レトロゾール+アベマシクリブ12ヵ月投与vs.化学療法(CARABELA)/ESMO BREAST 2024

 高リスクのHR+/HER2-早期乳がんに対する術前療法として、レトロゾール+アベマシクリブ12ヵ月投与を化学療法と比較した第II相無作為化非盲検CARABELA試験で、主要評価項目であるResidual Cancer Burden(RCB)インデックス0~Iの割合は達成できなかったが、臨床的奏効率(CRR)は同様であった。スペイン・Instituto de Investigacion Sanitaria Gregorio MaranonのMiguel Martin氏が、欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer 2024、5月15~17日)で報告した。・対象: HR+/HER2-、Ki67≧20%、StageII/IIIの乳がん・試験群(レトロゾール+アベマシクリブ群):レトロゾール2.5mg+アベマシクリブ300mg±LHRHアナログを12ヵ月投与(100例)・対照群(化学療法群):アントラサイクリン(4サイクル)→タキサン(weeklyパクリタキセルを12サイクルもしくは3週ごとドセタキセルを4サイクル)(100例)・層別化基準:TMN Stage(II vs.III)、閉経の有無、Ki67(<30% vs.≧30%)・評価項目:[主要評価項目]RCBインデックス0~Iの割合[副次評価項目]MRIによるCRR、RCBインデックスの分布、RCBインデックス中央値、安全性など 主な結果は以下のとおり。・レトロゾール+アベマシクリブ群と化学療法群で年齢中央値は共に53歳、閉経後が56%と58%、StageIIが78%と80%、Ki67≧30%が78%と76%であった。・RCBインデックス0~Iの割合は、レトロゾール+アベマシクリブ群が13%(95%信頼区間:7~21)で化学療法群の18%(同:12~26)と同等ではなかった。・RCBインデックスの中央値は、レトロゾール+アベマシクリブ群が2.8、化学療法群が1.9だった(p=0.0182)。・RCBインデックスの分布は、レトロゾール+アベマシクリブ群(98例)で0~Iが13例、IIが60例、IIIが25例、化学療法群(98例)で順に18例、57例、23例だった(p=0.62)。・CRRはレトロゾール+アベマシクリブ群78%、化学療法群71%で有意差はなかった(p=0.26)。・有害事象による治療中止は、レトロゾール+アベマシクリブ群9例(9%)、化学療法群 4例(4%)であった。 現在、レトロゾール+アベマシクリブで最大のベネフィットを得られる患者を同定するべく、分子的研究を実施中。

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高リスク早期乳がんへのテーラードdose-dense化学療法、10年時解析で無再発生存期間を改善(PANTHER)/ESMO BREAST 2024

 高リスク早期乳がん患者において、テーラードdose-dense化学療法は標準化学療法と比較して10年間の乳がん無再発生存期間(BCRFS)を改善し、新たな安全性シグナルは確認されなかった。スウェーデン・カロリンスカ研究所のTheodoros Foukakis氏が、第III相PANTHER試験の長期追跡調査結果を欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer 2024、5月15~17日)で報告した。・対象:18~65歳、リンパ節転移陽性もしくは高リスクリンパ節転移陰性で、初回手術後の乳がん患者・試験群(tdd群):白血球最下点を基にエピルビシン+シクロホスファミドを2週ごと4サイクル、その後ドセタキセルを2週ごと4サイクル(用量は前サイクルの血液毒性に応じて調整)・対照群(標準化学療法群):フルオロウラシル+エピルビシン+シクロホスファミドを3週ごと3サイクル、その後ドセタキセルを3週ごと3サイクル・評価項目:[主要評価項目]BCRFS[副次評価項目]5年無イベント生存期間(EFS)、遠隔無病生存期間(DDFS)、全生存期間(OS)、Grade3/4の有害事象発現率 主な結果は以下のとおり。・2007年2月~2011年9月にスウェーデン、ドイツ、オーストリアの施設から2,017例を登録、2,003例が解析対象とされ、両群に1:1の割合で無作為に割り付けられた。・追跡期間中央値10.3年において、tdd群は標準化学療法群と比較して主要評価項目であるBCRFSを有意に改善した(ハザード比[HR]:0.80、95%信頼区間[CI]:0.65~0.98、log-rank検定のp=0.041、10年イベント率:18.6% vs.22.3%、絶対差:3.7%±1.9%)。・BCRFSの改善は、ホルモン受容体やHER2の発現状況、病期、およびそのほかの人口統計学的・病理学的要因によらずサブグループ全体で認められたが、とくに50歳以上のホルモン受容体陽性患者でdose-denseスケジュールによる一貫したベネフィットがみられたほか、術後にトラスツズマブ投与を受けたHER2陽性患者では用量強化によるベネフィットがみられた。・DDFSはtdd群で有意な改善がみられたが(HR:0.79、95%CI:0.64~0.98、log-rank検定のp=0.039)、OSについては有意な差はみられなかった(HR:0.82、95%CI:0.65~1.04、log-rank検定のp=0.095)。 Foukakis氏は今回の結果を受けて、術後の高リスク早期乳がん患者において、dose-denseスケジュールは標準治療として考慮されるべきではないかとし、また毒性に応じた用量調整は化学療法を最適化するために有望な戦略であるとして、さらなる研究が必要と結んだ。

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早期再発TN乳がんへのアテゾリズマブ上乗せ、予後を改善せず(IMpassion132)/ESMO BREAST 2024

 切除不能な局所進行または転移を有する早期再発トリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者を対象に、化学療法に抗PD-L1抗体アテゾリズマブを上乗せした第III相IMpassion132試験の結果、PD-L1陽性患者においても予後が改善しなかったことを、シンガポール・国立がんセンターのRebecca A. Dent氏が欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer 2024、5月15~17日)で報告した。 IMpassion130試験において、進行TNBCへの1次治療としてのアテゾリズマブ+nab-パクリタキセル併用療法は、PD-L1陽性患者の全生存期間(OS)を改善した。しかし、早期再発TNBCにおけるデータは限られている。そこで研究グループは、治験医師選択の化学療法にアテゾリズマブまたはプラセボを上乗せして、病勢進行または許容できない毒性が認められるまで継続した場合の有効性と安全性を評価した。・試験デザイン:第III相二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験・対象:アントラサイクリンおよびタキサンを含む早期TNBCの治療完了後12ヵ月以内に再発した手術不能な局所進行または転移を有するTNBC患者※・試験群(アテゾリズマブ群):治験医師選択の化学療法(カペシタビン1,000mg/m2を21日サイクルの1~14日目に1日2回経口投与、またはカルボプラチンAUC 2+ゲムシタビン1,000mg/m2を21日サイクルの1・8日目に静注)+アテゾリズマブ(1,200mgを21日ごとに静注)・対照群(プラセボ群):上記の治験医師選択の化学療法+プラセボ・評価項目:[主要評価項目]PD-L1陽性集団(SP142によるPD-L1発現状況が1%以上)におけるOS[副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)、安全性・層別化因子:選択された化学療法、内臓転移(肺、肝臓)の有無、PD-L1発現状況※2018年1月からPD-L1が陰性でも陽性でも登録されたが、IMpassion130試験の結果により、2019年8月からはPD-L1陽性患者に限定された。 主な結果は以下のとおり。・合計594例が登録され、うちPD-L1陽性は354例(アテゾリズマブ群177例、プラセボ群177例)であった。・両群の患者特性はバランスがとれていた。アテゾリズマブ群は年齢中央値48歳(範囲:23~77)、無病期間が6ヵ月未満であったのは66%、肺および/または肝転移ありは60%であった。プラセボ群はそれぞれ48歳(範囲:25~83)、69%、62%であった。両群ともに治験医師選択の化学療法としてカルボプラチン+ゲムシタビンが選択されたのは73%であった。・追跡期間中央値9.8ヵ月時点で、アテゾリズマブ上乗せによるPD-L1陽性患者のOSの有意な改善は認められなかった(ハザード比[HR]:0.93[95%信頼区間[CI]:0.73~1.20]、p=0.59)。 -アテゾリズマブ群:OSイベント発生70%、OS中央値12.1ヵ月(95%CI:10.1~15.1) -プラセボ群:OSイベント発生72%、OS中央値11.2ヵ月(95%CI:9.0~13.3)・PFS中央値は、アテゾリズマブ群4.2ヵ月(95%CI:3.7~5.6)、プラセボ群3.6ヵ月(95%CI:3.4~4.2)で有意差は認められなかった(HR:0.84[95%CI:0.67~1.06])。・未確定のORRは、アテゾリズマブ群40%(95%CI:32~48)、プラセボ群28%(95%CI:21~36)であった(群間差11%[95%CI:>0~22])。・奏効期間中央値は、アテゾリズマブ群6.6ヵ月(95%CI:4.6~8.0)、プラセボ群4.1ヵ月(95%CI:3.5~5.8)であった(HR:0.73[95%CI:0.48~1.11])。・これらの結果は、PD-L1陰性集団を含む修正ITT集団でも同様の傾向にあった。・安全性解析集団(587例)における有害事象の発現率は両群でおおむね同等で、新たな安全性シグナルは報告されなかった。

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未治療MCL、免疫化学療法+イブルチニブ±ASCT(TRIANGLE)/Lancet

 未治療・65歳以下のマントル細胞リンパ腫(MCL)患者において、自家造血幹細胞移植(ASCT)+免疫化学療法へのイブルチニブ追加はASCT+免疫化学療法に対する優越性を示したが、ASCT後のイブルチニブの投与継続により有害事象が増加した。ドイツ・ミュンヘン大学病院のMartin Dreyling氏らEuropean Mantle Cell Lymphoma Networkが欧州13ヵ国およびイスラエルの165施設で実施した無作為化非盲検第III相優越性試験「TRIANGLE試験」の結果を報告した。結果を踏まえて著者は、「導入療法および維持療法にイブルチニブを追加することは、65歳以下のMCL患者の1次治療の一部とすべきで、イブルチニブを含むレジメンにASCTを追加するかどうかはまだ決定されていない」とまとめている。Lancet誌オンライン版2024年5月2日号掲載の報告。治療成功生存期間(FFS)を評価 TRIANGLE試験の対象は、組織学的にMCLと確定診断された未治療の、Ann Arbor病期II~IV、測定可能な病変が1つ以上、Eastern Cooperative Oncology Groupのパフォーマンスステータスが2以下の、ASCTの適応がある18~65歳の患者であった。 研究グループは、被験者をASCT+免疫化学療法群(A群)、ASCT+免疫化学療法+イブルチニブ群(A+I群)、免疫化学療法+イブルチニブ群(I群)の3群に、試験グループおよびMCL国際予後指標リスクで層別化し、1対1対1の割合で無作為に割り付けた。 3群とも導入免疫化学療法は、R-CHOP(リツキシマブ+シクロホスファミド+ドキソルビシン+ビンクリスチン+prednisone)と、R-DHAP(リツキシマブ+デキサメタゾン+シタラビン+シスプラチン)またはR-DHAOx(リツキシマブ+デキサメタゾン+シタラビン+オキサリプラチン)を交互に6サイクル行った。A+I群およびI群ではR-CHOPサイクルの1~19日目にイブルチニブ(560mg/日経口投与)を追加した。その後、A群およびA+I群ではASCTを施行し、A+I群ではASCT後に、I群では導入免疫化学療法に引き続き、イブルチニブによる維持療法(560mg/日経口投与)を2年間継続した。なお、3群とも、リツキシマブ維持療法を3年間追加することが可能であった。 主要評価項目は、治験責任医師評価による治療成功生存期間(failure-free survival:FFS[導入免疫化学療法終了時に安定、進行、または死亡のうちいずれかが最初に起こるまでの期間と定義])で、3つのペアワイズ片側ログランク検定により比較し、ITT解析を行った。 2016年7月29日~2020年12月28日に、計870例(男性662例、女性208例)が無作為化され(A群288例、A+I群292例、I群290例)、そのうち866例が導入療法を開始した。イブルチニブ併用+ASCTで3年治療成功生存率88%、ただしGrade3~5の有害事象が増加 追跡期間中央値31ヵ月において、3年FFS率はA群72%(95%信頼区間[CI]:67~79)、A+I群88%(84~92)であり、A+I群のA群に対する優越性が認められた(ハザード比[HR]:0.52、片側98.3%CI:0.00~0.86、片側p=0.0008)。一方、I群の3年FFS率は86%(95%CI:82~91)であり、A群のI群に対する優越性は示されなかった(HR:1.77、片側98.3%CI:0.00~3.76、片側p=0.9979)。A+I群とI群の比較検討は現在も進行中である。 有害事象については、導入療法中またはASCT中のGrade3~5の有害事象の発現率について、R-CHOP/R-DHAP療法とイブルチニブ併用R-CHOP/R-DHAP療法で差は認められなかった。 一方、維持療法中または追跡調査中においては、ASCT+イブルチニブ(A+I群)が、イブルチニブのみ(I群)やASCT(A群)と比較してGrade3~5の血液学的有害事象および感染症の発現率が高く、A+I群では血液学的有害事象50%(114/231例)、感染症25%(58/231例)、致死的感染症1%(2/231例)が、I群ではそれぞれ28%(74/269例)、19%(52/269例)、1%(2/269例)が、A群では21%(51/238例)、13%(32/238)、1%(3/238例)が報告された。

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薬剤溶出性バルーンがもたらす新たな世界(解説:山地杏平氏)

 パクリタキセルを用いた薬剤溶出性バルーン(商品名:Agent、 ボストン・サイエンティフィックジャパン)が、再狭窄に対する治療においてFDAで認可を受けるに当たり、通常のバルーンと比較するRCTが行われた。1次エンドポイントは、1年のIschemia-driven target lesion failureであり、予想通り、通常のバルーンでの28.6%のイベント発生率と比較し、Agentバルーンは17.9%と有意にイベント発生率は低く、これを受けて米国においてFDAで認可が得られた。 本邦では、2013年以降ビー・ブラウンのSeQuent Pleaseシリーズが、薬剤溶出性バルーンとして広く使われてきたが、こちらとAgentとを直接比較したAGENT Japan SV試験において、いずれの群もイベント発生率が低く、非劣性が示されることで、承認を受けている。 より新しい世代のバルーンを用いたボストン・サイエンティフィックジャパンのAgentは、通過性も良く、今まで治療が困難であった高度屈曲病変や、高度石灰化病変などにも使用が可能となることが予想される。一方で臨床研究に登録されるような症例は、そのような高リスク病変での治療は含まれておらず、その有用性については今後の知見が待たれる。さらには、これらのような薬剤溶出性バルーンを用いることで、その安全性が確認されれば、ステント留置に伴う遠隔期リスクが懸念される若年症例や、塞栓症リスクが高い症例において、ステント植え込みを行わないstrategyが可能となるかもしれない。

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薬剤コーティングバルーンでステントは不要となるか、不射之射の境地【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第71回

PCI発展の過程急性心筋梗塞や狭心症に代表される冠動脈疾患の治療では、冠動脈の流れを回復させるために冠血行再建が決定的に重要です。その方法として冠動脈バイパス手術(CABG)と、カテーテル治療である冠動脈インターベンション(PCI)があります。PCIの発展の過程は再狭窄をいかに克服するかが課題でした。再狭窄とはPCIで治療した冠動脈が再び狭くなることです。バルーンのみで病変を拡張していた時代は、再狭窄率が約50%でした。金属製ステント(BMS)が登場してからは約30%まで減少しましたが、それでも高い再狭窄率でした。再狭窄の要因は、ステント留置後に血管内の細胞が増殖しステントを覆ってしまい内腔が狭小化することです。この新生内膜の増殖抑制を治療ターゲットとして薬剤溶出ステント(DES)が開発されました。当初はステント血栓症などの問題もありましたが、DESの改良が進み再狭窄は劇的に改善されました。現在は、本邦だけでなく世界中でDESを用いたPCIが広く普及しています。「不射之射」皆さんは、「不射之射(ふしゃのしゃ)」という言葉をご存じでしょうか。小生の最も敬愛する作家である中島 敦の作品の『名人伝』に詳しく書かれています。中島 敦(1909~42年)は喘息により33歳という若さで没しています。『山月記』や『李陵』などが代表作ですが、その格調高い芸術性と引き締まった文章が魅力です。「名人伝」のあらすじを紹介します。紀元前3世紀に、中国の都で、天下第一の弓の名人を目指した紀昌(きしょう)という男がいました。伝説の弓の名人である甘蠅老師(かんようろうし)に勝負を挑みに出かけます。そこで、名人に想像を超えた境地を教えられます。弓の名人は、「弓」という道具を使わずに、「無形の弓」によって飛ぶ鳥を射落とすのです。「射之射」とは、弓で矢を射て鳥を撃ち落とすこと、 不射之射とは、矢を射ることなく射るのと同様の結果が得られることです。紀昌は、不射之射を9年かけて会得し都へ帰還します。「弓をとらない弓の名人」となった紀昌は、晩年には「弓」という道具の使い方も、名前すらも忘れてしまうという境地に到達したといいます。野球の川上 哲治氏は「打撃の神様」と言われた強打者で、日本プロ野球史上初の2,000安打を達成しました。全盛期には、ピッチャーの投げたボールが「止まって見えた」と言っていたそうです。このような境地に到達した者を名人と称賛し憧れるのが日本人です。ステントに代わる、薬剤コーティングバルーン(DCB)の登場日本におけるPCIで、注目されているコンセプトがステントレス PCIです。薬剤溶出ステント (DES) を留置するPCIは、冠動脈疾患の治療に革命をもたらし、最も行われている治療法の1つとなっています。しかし、DESは金属性のデバイスであり、その使用により冠動脈内に異物が永続的に留まるという制限があります。これを克服するために登場したのが、薬剤コーティングバルーン(DCB)です。このDCBによる治療は、金属製ステントを使用せず、バルーンに塗布されたパクリタキセルなどの薬剤を血管の壁に到達させて再狭窄を予防するものです。DCBによる、ステントレス PCI のメリットを考えてみましょう。DESを留置した後にはステント血栓症を防ぐため抗血小板薬の2剤併用(DAPT)が必要ですが、抗血小板薬1剤に比べて出血が増加します。高齢の患者では出血性の合併症が問題となります。DCBで治療すれば、抗血小板薬を減弱化することが可能となります。冠動脈CTによる評価法が普及していますが、金属製ステントがあるとノイズとなり冠動脈ステントの内部がよく見えません。PCI術後に何年か経ってから病変が進行し、CABGや2回目のPCIが必要になった場合には、既存の冠動脈ステントが治療の邪魔になる可能性があります。このような利点もありDCBの使用は増加しています。一方で、金属製ステントの効能の1つである、急性冠閉塞の予防効果がDCBでは期待できないことからリスク増加も懸念されます。DCBは、冠動脈内に異物を残さない治療を実現するもので、このコンセプトを、「leave nothing behind」と呼んでいます。欧米や諸外国においてもDCBを用いたステントレス PCIが話題として取り上げられることはありますが、日本ほど注目されている訳ではありません。日本でステントレス PCIへの議論が高まってきているのは、その背景に「不射之射」を尊ぶ東洋的思想があるように思います。ステントを用いずにPCIを完遂することが、あたかも弓矢を用いずに飛ぶ鳥を射落とすが如く捉えられているのです。冠動脈疾患の予防治療が将来さらに進化して、冠血行再建を必要とする患者がゼロとなり、CABGやPCIという道具や手技の名前を忘れてしまうという、「紀昌」の境地までに到達する日を夢みております。

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HER2+早期乳がん、PET pCR例の化学療法は省略可?(PHERGain)/Lancet

 HER2陽性の早期乳がん患者において、18F-FDGを用いたPET検査に基づく病理学的完全奏効(pCR)を評価指標とする、化学療法を追加しないトラスツズマブ+ペルツズマブ併用療法でのde-escalation戦略は、3年無浸潤疾患生存(iDFS)率に優れることが示された。スペイン・International Breast Cancer CenterのJose Manuel Perez-Garcia氏らが、第II相の無作為化非盲検試験「PHERGain試験」の結果を報告した。PHERGain試験は、HER2陽性の早期乳がん患者において、化学療法を追加しないトラスツズマブ+ペルツズマブ併用療法での治療の実現可能性、安全性、有効性を評価するための試験。結果を踏まえて著者は、「この戦略により、HER2陽性の早期乳がん患者の約3分の1が、化学療法を安全に省略可能であることが示された」とまとめている。Lancet誌オンライン版2024年4月3日号掲載の報告。PET実施はベースラインと治療2サイクル後 PHERGain試験は、欧州7ヵ国の45病院を通じて行われ、HER2陽性、StageI~IIIAの手術可能な浸潤性乳がんで、PETで評価可能な病変が1つ以上ある患者を、1対4の割合でA群とB群に無作為に割り付けた。 A群では、ドセタキセル(75mg/m2、静脈内投与)、カルボプラチン(AUC 6、静脈内投与)、トラスツズマブ(600mg固定用量、皮下投与)、およびペルツズマブ(初回投与840mg、その後420mgの維持用量、静脈内投与)(TCHPレジメン)を投与した。 B群では、トラスツズマブ+ペルツズマブ(±内分泌療法)併用療法を3週ごと投与した。 無作為化は、ホルモン受容体の状態で層別化。PETはベースラインと治療2サイクル後に実施し、中央判定で評価した。B群の患者は、治療中のPETの結果に従って治療を変更。2サイクル後のPET反応例は、トラスツズマブ+ペルツズマブ(±内分泌療法)併用療法を6サイクル継続し、PET無反応例にはTCHPを6サイクル投与した。術後、B群でpCRを達成した患者は、トラスツズマブ+ペルツズマブ(±内分泌療法)併用療法を10サイクル投与し、pCRを達成しなかった患者は、TCHPを6サイクル、トラスツズマブ+ペルツズマブ(±内分泌療法)併用療法を4サイクル投与した。PET無反応例は、トラスツズマブ+ペルツズマブ(±内分泌療法)併用療法を10サイクル投与した。 主要評価項目は、治療2サイクル後のB群のpCR(結果は既報[37.9%]1))と、B群の3年iDFS率だった。本論では、後者の結果が報告されている。有害事象の発現はグループBで低率に 2017年6月26日~2019年4月24日に、356例が無作為化された(A群71例、B群285例)。手術を受けた患者の割合は、A群が89%(63例)、B群が94%(267例)。2回目の解析時までの追跡期間中央値は43.3ヵ月だった。 主要評価項目であるB群の3年iDFS率は、94.8%(95%信頼区間[CI]:91.4~97.1)だった(p=0.001)。 治療関連有害事象(TRAE)および重篤な有害事象(SAE)は、A群がB群より高率だった(Grade3以上発現率:62% vs.33%、SAE:28% vs.14%)。B群のPET反応例でpCRが認められた患者は、Grade3以上のTRAEの発現率は1%と最も低く、SAEはみられなかった。

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乳がん免疫療法中の抗菌薬投与が予後に影響?

 ペムブロリズマブによる術前治療中のHER2陰性高リスク早期乳がん患者において、抗菌薬の投与と高い残存腫瘍量(RCB)との関連が示唆された。これまで、免疫療法中の抗菌薬への曝露が、さまざまな種類のがんにおいて臨床転帰に悪影響を与えることが報告されている。米国・ミネソタ大学のAmit A. Kulkarni氏らは、ISPY-2試験でペムブロリズマブが投与された4群について、抗菌薬への曝露がRCBおよび病理学的完全奏効(pCR)へ与える影響について評価した2次解析の結果を、NPJ Breast Cancer誌2024年3月26日号に報告した。 ISPY-2試験では、ペムブロリズマブの4サイクル投与と同時にパクリタキセルを12週間投与し、その後ドキソルビシンとシクロホスファミドを2~3週間ごとに4サイクル投与した。免疫療法(IO)と同時に少なくとも1回の抗菌薬の全身投与を受けた患者が抗菌薬曝露群に、それ以外のすべての患者が対照群に割り付けられた。 RCBインデックスとpCR率は、t検定とカイ二乗検定、線形回帰モデルとロジスティック回帰モデルを使用してそれぞれ両群間で比較された。 主な結果は以下のとおり。・66例が解析に含まれ、うち18例(27%)が抗菌薬投与を受けていた。・免疫療法中の抗菌薬の投与は、より高い平均RCBスコア(1.80±1.43 vs.1.08±1.41)および低いpCR率(27.8% vs.52.1%)と関連していた。・抗菌薬の投与とRCBスコアについて、多変量線形回帰分析においても有意な関連がみられた(RCBインデックス係数:0.86、95%信頼区間:0.20~1.53、p=0.01)。 著者らは、より大規模なコホートでの検証が必要としている。

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レンバチニブ+ペムブロリズマブ進行・再発子宮体がん1次治療の成績(LEAP-001)/SGO2024

 進行子宮体がんにおけるレンバチニブ+ペムブロリズマブの1次治療は主要評価項目を達成できなかった。 レンバチニブ+ペムブロリズマブは第III相KEYNOTE‐775試験で、既治療の進行子宮体がんにおける生存改善が示されている1)。米国婦人科腫瘍学会(SGO2024)では、オーストリア・インスブルック医科大学のChristian Marth氏が1次治療でのレンバチニブ+ペムブロリズマブを評価したENGOT-en9/LEAP-001試験の中間解析結果を報告した。・対象:進行・再発子宮体がん・試験群:レンバチニブ 連日+ペムブロリズマブ 3週ごと(Len+Pembro群)・対照群:カルボプラチン+パクリタキセル 3週ごと(TC群)・評価項目[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)評価の無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)[副次評価項目]奏効率、安全性、健康関連QOL事前に設定した基準:pMMR集団のPFS優越性ハザード比(HR)0.7、pMMR集団のOS非劣性HR0.8、優越性のHR0.7 主な結果は以下のとおり。・pMMR集団のPFS中央値はLen+Pembro群9.6ヵ月、TC群10.2ヵ月、HRは0.99(95%信頼区間[CI]:0.82~1.21)で事前に設定した基準を達成できなかった。・全集団のPFS中央値はLen+Pembro群12.5ヵ月、TC群10.2ヵ月で(HR:0.91、95%CI:0.76~1.09)であった。・pMMR集団のOS中央値はLen+Pembro群30.9ヵ月、TC群29.4ヵ月、HRは1.02(95%CI:0.83~1.26)で、事前に設定した基準を達成できなかった。・全集団のOS中央値はLen+Pembro群37.7ヵ月、TC群32.1ヵ月であった(HR:0.93、95%CI:0.77~1.12)。・dMMR集団におけるPFSおよびOSのHRは0.61(95%CI:0.40~0.92)と0.57(95%CI:0.36~0.91)であった。・術前/術後補助療法を受けたpMMR集団のPFSおよびOSのHRはそれぞれ0.60(95%CI:0.37~0.97)と0.67(95%CI:0.41~1.11)であった。・全Gradeの治療関連有害事象(TRAE)はLen+Pembro群の97.9%、TC群の96.8%で発現した。Len+Pembro群で頻度の高いのTRAEは高血圧(62.6%)、甲状腺機能低下(59.0%)、下痢(42.1%)などであった。

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ペムブロリズマブ+化学療法の進行・再発子宮体がんに対するOS(NRG GY018)/SGO2024

 化学療法・ペムブロリズマブ併用は、ミスマッチ修復機能(MMR)状況にかかわらず、未治療の進行・再発子宮体がんの全生存期間(OS)を改善する傾向を示した。 進行・再発子宮体がんを対象とした第III相無作為化プラセボ対照NRG GY018試験において、ペムブロリズマブ+化学療法(カルボプラチン+パクリタキセル)とペムブロリズマブのシークエンス治療は、MMR状況を問わず主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を有意に改善した1)。米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のRamez Eskander氏は、米国婦人科腫瘍学会(SGO2024)で、NRG GY018試験の副次評価項目の結果(中間解析1)を発表した。・対象:未治療の再発または進行子宮体がん・試験群:ペムブロリズマブ+化学療法(カルボプラチン+パクリタキセル) 3週ごと6サイクル→ペムブロリズマブ 6週ごと14サイクルまで(Pembro+CT群)・対照群:プラセボ+化学療法(カルボプラチン+パクリタキセル) 3週ごと6サイクル→プラセボ 6週ごと14サイクルまで(CT群)・評価項目[主要評価項目]治験担当医評価のPFS[副次評価項目]MMR欠損(pMMR)およびMMR正常(dMMR)集団のOS、pMMR およびdMMR集団のPD-L1発現状況、pMMRおよびdMMR集団におけるPD-L1発現状況による治験担当医評価のPFS、MMRステータス別の盲検下独立中央判定(BICR)と治験担当医評価の結果比較 主な結果は以下のとおり。[MMR状況別の結果]・pMMR集団のOS中央値は試験完了度(information fraction)27.2%の時点で、Pembro+CT群27.96ヵ月、CT群27.37ヵ月と、Pembro+CT群で良好な傾向であった(ハザード比[HR]:0.79、95%信頼区間[CI]:0.53~1.17、p=0.1157)・dMMR集団のOS中央値はinformation fraction18.0%の時点で、Pembro+CT群、CT群とも未到達だったが、Pembro+CT群で良好な傾向であった(HR:0.55、95%CI:0.25~1.19、p=0.0617)[PD-L1発現別の結果]・pMMR、dMMR集団ともにPD-L1陽性(CPS≧1)患者が7割以上(71〜87%)を占めていた。・pMMR集団におけるPFSのHRはPD-L1≧1%患者群で0.59(95%CI:0.43~0.80)、PD-L1<1%患者群では0.44(95%CI:0.26~0.75)と、PD-L1発現レベルを問わずPembro+CT群で良好な傾向を示した。・dMMR集団におけるPFSのHRはPD-L1≧1%患者群で0.27(95%CI:0.16~0.47)、PD-L1<1%患者群では0.30(95%CI:0.11~0.83)と、PD-L1発現レベルを問わずPembro+CT群で良好な傾向を示した。 対照となるCT群における後治療の免疫療法の割合が高かった(45~55%)にもかかわらず、Pembro+CT群はOSの改善傾向を示唆した。Eskander氏は、これらの結果は化学療法へのペムブロリズマブの追加を、MMR状態に関係なく進行・再発子宮体がんの1次治療として支持するものだとしている。

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NSCLCへの周術期ニボルマブ上乗せ、術前療法が未完了でも有効か(CheckMate 77T)/ELCC2024

 切除可能非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象とした国際共同第III相無作為化二重盲検比較試験(CheckMate 77T試験)において、周術期にニボルマブを用いるレジメンが良好な結果を示したことがすでに報告されている。本レジメンは、術前にニボルマブと化学療法の併用療法を4サイクル実施するが、有害事象などにより4サイクル実施できない患者も存在する。そこで、CheckMate 77T試験において術前薬物療法が4サイクル未満であった患者の治療成績が検討され、4サイクル未満の患者でも周術期にニボルマブを用いるレジメンが治療成績を向上させることが示された。米国・ダナ・ファーバーがん研究所のMark M. Awad氏が、欧州肺がん学会(ELCC2024)で報告した。・試験デザイン:国際共同第III相無作為化二重盲検比較試験・対象:StageIIA〜IIIB(American Joint Committee on Cancer[AJCC]第8版)の切除可能NSCLC患者・試験群:ニボルマブ(360mg、3週ごと)+プラチナダブレット化学療法(3週ごと)を4サイクル→手術→ニボルマブ(480mg、4週ごと)を最長1年(ニボルマブ群、229例)・対照群:プラセボ+プラチナダブレット化学療法(3週ごと)を4サイクル→手術→プラセボを最長1年(プラセボ群、232例)評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央判定に基づく無イベント生存期間(EFS)[副次評価項目]盲検下独立病理判定に基づく病理学的完全奏効(pCR)、病理学的奏効(MPR)、安全性など 今回報告された主な結果は以下のとおり。・ニボルマブ群の17%(38例)、プラセボ群の12%(27例)が術前薬物療法を3サイクル以下で中止した。このうち、有害事象による中止はそれぞれ55%(21例)、41%(11例)であった。・術前薬物療法のサイクル数別にみたEFS中央値は以下のとおり。 -4サイクル完了:ニボルマブ群未到達、プラセボ群未到達(ハザード比[HR]:0.57、95%信頼区間[CI]:0.42~0.79) -4サイクル未満:それぞれ未到達、7.8ヵ月(同:0.51、0.23~1.11)・術前薬物療法のサイクル数と手術の有無別にみたpCR率は以下のとおり。 -4サイクル完了:ニボルマブ群26.7%、プラセボ群5.4%(群間差:21.3%、95%CI:14.3~28.4) -4サイクル未満:それぞれ18.4%、0%(同:18.4%、2.9~33.4) -4サイクル完了かつ手術あり:それぞれ32.3%、6.5%(同:25.7%、17.4~33.9) -4サイクル未満かつ手術あり:それぞれ35.0%、0%(同:35.0%、2.5~56.7)・術前薬物療法のサイクル数と手術の有無別にみたMPR率は以下のとおり。 -4サイクル完了:ニボルマブ群38.2%、プラセボ群13.7%(群間差:24.6%、95%CI:16.1~32.7) -4サイクル未満:それぞれ21.1%、0%(同:21.1%、5.1~36.3) -4サイクル完了かつ手術あり:それぞれ46.2%、16.7%(同:29.5%、19.6~38.7) -4サイクル未満かつ手術あり:それぞれ40.0%、0%(同:40.0%、6.9~61.3)・無作為化された全患者および術前薬物療法のサイクル数別にみた死亡または遠隔転移までの期間の中央値は以下のとおり。 -全患者:ニボルマブ群未到達、プラセボ群38.8ヵ月(HR:0.62、95%CI:0.44~0.85) -4サイクル完了:それぞれ未到達、38.8ヵ月(同:0.61、0.42~0.88) -4サイクル未満:それぞれ未到達、10.9ヵ月(同:0.46、0.22~0.98)・術後薬物療法を受けた患者の割合は、術前薬物療法を4サイクル完了した集団ではニボルマブ群69%(131例)、プラセボ群71%(145例)であり、4サイクル未満の集団ではそれぞれ29%(11例)、26%(7例)であった。術後薬物療法のサイクル数中央値は、いずれの集団においても両群13サイクルであり、多くの患者が術後薬物療法を完了した。 Awad氏は、本結果について「CheckMate 77T試験の探索的解析において、切除可能NSCLC患者に対する周術期のニボルマブ上乗せは、術前薬物療法4サイクル完了の有無にかかわらず有効であった。手術を実施した患者集団において、4サイクル完了した患者集団と4サイクル未満の患者集団のpCR率とMPR率は同様であった」とまとめた。

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dostarlimab+化学療法+ニラパリブが進行子宮体がんの生存改善(RUBY)/SGO2024

 抗PD-1抗体dostarlimab+化学療法からdostarlimab+PARP阻害薬ニラパリブのシークエンス治療は進行・再発子宮体がんの全集団およびミスマッチ修復機能正常(pMMR)集団の生存を改善した。 dostarlimabと化学療法の併用は第III相RUBY試験Part1で進行子宮体がんの無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)の有意な改善を示している1)。免疫療法へのPARP阻害薬の追加は、pMMR集団も含めた進行子宮体がんに対してさらなる生存改善が期待されている。米国婦人科腫瘍学会(SGO2024)では、デンマーク・コペンハーゲン大学のMansoor Raza Mirza氏がRUBY試験Part2の初回中間解析の結果を発表した。・対象:未治療または再発進行子宮体がん・試験群:dostarlimab+カルボプラチン+パクリタキセル 3週ごと6サイクル→dostarlimab 6週ごと+ニラパリブ 毎日 3年以内(Dostar+Nira+CP群、245例)・対照群:プラセボ+カルボプラチン+パクリタキセル 3週ごと6サイクル→プラセボIV 6週ごと+プラセボPO 毎日 3年以内(プラセボ+CP群、249例)・評価項目[主要評価項目]治験担当医評価のPFS→pMMR集団のPFS[副次評価項目]OS、盲検下独立中央判定(BICR)評価のPFS、PFS2、全奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性など 主な結果は以下のとおり。・全集団のPFS中央値はDostar+Nira+CP群14.5ヵ月、プラセボ+CP群8.3ヵ月とDostar+Nira+CP群で有意に改善した(ハザード比[HR]:0.60、95%信頼区間[CI]:0.43~0.82、p=0.0007)・pMMR集団のPFS中央値はDostar+Nira+CP群14.3ヵ月、プラセボ+CP群8.3ヵ月とDostar+Nira+CP群で有意に改善した(HR:0.63、95%CI:0.44~0.91、p=0.0060)。・ミスマッチ修復機能欠損(dMMR)集団のPFS中央値はDostar+Nira+CP群未到達、プラセボ+CP群7.9ヵ月とDostar+Nira+CP群で臨床的に意義のある差を示した(HR:0.48、95%CI:0.24~0.96、名目上p=0.0174)。・Grade3以上の治療関連有害事象はDostar+Nira+CP群の84.8%、プラセボ+CP群の49.0%で発現した。

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デュルバルマブ+化学療法±オラパリブの進行子宮体がん第III相試験、副次評価項目も改善(DUO-E)/SGO2024

 デュルバルマブ+化学療法による1次治療とデュルバルマブ+オラパリブの維持療法の組み合わせは、進行子宮体がんに対する全生存期間(OS)の延長など有効性を示した。 ベルギー・Cliniques大学のJean-Francois Baurain氏が米国婦人科腫瘍学会(SGO2024)で発表した進行・再発子宮体がんに対する上記レジメンの第III相試験DUO-Eの副次評価項目の結果である。・対象:未治療の進行StageIII/IV(FIGO2009)または再発子宮体がん・試験群1: 化学療法(カルボプラチン+パクリタキセル:CP)+デュルバルマブ→デュルバルマブ(CP+D群)・試験群2:CP+デュルバルマブ→デュルバルマブ+オラパリブ(CP+D+O群)・対照群:CP→プラセボ(CP群)・評価項目:[主要評価項目]無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目]OS、最初の後治療までの時間(TFST)、PFS2、2回目の後治療までの時間(TSST)、安全性 主な結果は以下のとおり。[ITT集団]・OS中央値はCP群25.9ヵ月に対し、CP+D群では未到達(対CP群HR:0.77、95%信頼区間[CI]:0.56〜1.07、p=0.102)、CP+D+O群でも未到達(対CP群HR:0.59、95%CI:0.42〜0.83、p=0.003)とCP+D+O群で有意に改善した。・TFST中央値はCP群11.1ヵ月に対し、CP+D群では14.0ヵ月(対CP群HR:0.72、95%CI:0.57〜0.91)、CP+D+O群では21.4ヵ月(対CP群HR:0.50、95%CI:0.39〜0.64)であった。・PFS2中央値はCP群19.1ヵ月に対し、CP+D群では22.2ヵ月(対CP群HR:0.80、95%CI:0.59〜1.07)、CP+D+O群では未到達(対CP群HR:0.55、95%CI:0.40〜0.76)であったた。・TSST中央値はCP群23.9ヵ月に対し、CP+D群では未到達(対CP群HR:0.77、95%CI:0.57〜1.05)、CP+D+O群でも未到達(対CP群HR:0.57、95%CI:0.40〜0.78)であった。[dMMR集団]・OS中央値はCP群23.7ヵ月に対し、CP+D群では未到達(対CP群HR:0.34、95%CI:0.13〜0.79)、CP+D+O群でも未到達(対CP群HR:028、95%CI:0.10〜0.68)であった。・TFST中央値はCP群8.8ヵ月に対し、CP+D群では未到達(対CP群HR:0.44、95%CI:0.23〜0.82)、CP+D+O群では未到達(対CP群HR:0.26、95%CI:0.12〜0.52)であった。・PFS2中央値はCP群15.2ヵ月に対し、CP+D群では未到達(対CP群HR:0.32、95%CI:0.14〜0.68)、CP+D+O群でも未到達(対CP群HR:0.19、95%CI:0.07〜0.46)であったた。・TSST中央値はCP群16.9ヵ月に対し、CP+D群では未到達(対CP群HR:0.34、95%CI:0.15〜0.73)、CP+D+O群でも未到達(対CP群HR:0.22、95%CI:0.08〜0.52)であった。[ミスマッチ修復機能正常(pMMR)集団]・OS中央値はCP群25.9ヵ月に対し、CP+D群では未到達(対CP群HR:0.91、95%CI:0.64〜1.30)、CP+D+O群でも未到達(対CP群HR:069、95%CI:0.47〜1.00)であった。・TFST中央値はCP群11.7ヵ月に対し、CP+D群では12.9ヵ月(対CP群HR:0.80、95%CI:0.62〜1.03)、CP+D+O群では19.1ヵ月(対CP群HR:0.56、95%CI:0.43〜0.73)であった。・PFS2中央値はCP群19.5ヵ月に対し、CP+D群では20.4ヵ月(対CP群HR:0.97、95%CI:0.70〜1.33)、CP+D+O群では未到達(対CP群HR:0.68、95%CI:0.48〜0.95)であった。・TSST中央値はCP群25.1ヵ月に対し、CP+D群では未到達(対CP群HR:0.93、95%CI:0.65〜1.29)、CP+D+O群でも未到達(対CP群HR:0.68、95%CI:0.47〜.0.97)であった。 Baurain氏は、この試験結果はCP+D群、CP+D+O群を進行子宮体がんに対する新たな治療選択肢として支持するものだとの見解を示した。

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抗PD-1抗体dostarlimab+化学療法が進行子宮体がんの生存改善(RUBY)/SGO2024

 新たな抗PD-1抗体dostarlimabと化学療法の併用が進行子宮体がんの全生存期間(OS)を改善した。 10年以上もの間、原発進行または再発子宮体がんに対する1次治療は化学療法であった。しかし、長期成績は不良でOS中央値は3年未満であった。進行または再発子宮体がんに対するdostarlimabと化学療法の併用はミスマッチ修復機能欠損(dMMR)/高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)と全集団のOS傾向を初回の中間解析で改善した。米国婦人科腫瘍学会(SGO2024)では、米国・ワシントン大学のMathew A. Powell氏が2回目の中間解析としてOS、無増悪生存期間(PFS)、PFS2および安全性の結果を発表した。・対象:未治療または再発進行子宮体がん・試験群:dostarlimab+カルボプラチン+パクリタキセル 3週ごと6サイクル→dostarlimab 6週ごと3年以内(dostarlimab+CP群、245例)・対照群:プラセボ+カルボプラチン+パクリタキセル 3週ごと6サイクル→プラセボ 6週ごと3年以内(プラセボ+CP群、249例)・評価項目[主要評価項目]治験担当医評価のPFS、OS[副次評価項目]BICR評価のPFS、PFS2、全奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性など 主な結果は以下のとおり。[全集団]・OS中央値はdostarlimab+CP群44.6ヵ月、プラセボ+CP群28.2ヵ月(ハザード比[HR]:0.69、95%信頼区間[CI]:0.54~0.89、p=0.002)・PFS2中央値はdostarlimab+CP群32.3ヵ月、プラセボ+CP群18.4ヵ月(HR:0.66、95%CI:0.52~0.84)[dMMR集団]・OS中央値はdostarlimab+CP群未到達、プラセボ+CP群31.4ヵ月(HR:0.32、95%CI:0.17~0.63、名目上p=0.0002)・PFS2中央値はdostarlimab+CP群未到達、プラセボ+CP群21.6ヵ月(HR:0.33、95%CI:0.18~0.63)[ミスマッチ修復機能正常(pMMR)集団]・OS中央値はdostarlimab+CP群34.0ヵ月、プラセボ+CP群27.0ヵ月(HR:0.79、95%CI:0.60~1.04、名目上p=0.0493)・PFS2中央値はdostarlimab+CP群24.6ヵ月、プラセボ+CP群15.9ヵ月(HR:0.74、95%CI:0.57~0.97)[安全性]Grade3以上の治療関連有害事象はdostarlimab+CP群の72.2%、プラセボ+CP群の60.2%に発現した。

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早期乳がん術前・術後化療にペルツズマブ上乗せ、長期有効性は?(PEONY試験)

 HER2陽性の早期または局所進行を有するアジア人乳がん患者に対して、術前および術後化学療法にペルツズマブを上乗せした第III相PEONY試験の最終解析の結果、5年間の長期有効性が認められたことを、中国・Fudan University Shanghai Cancer CenterのLiang Huang氏らが明らかにした。Nature Communications誌2024年3月9日号掲載の報告。・対象:早期または局所進行乳がんのアジア人女性329例・試験群:ドセタキセル+トラスツズマブ+ペルツズマブ(4サイクル)→手術→FEC療法(3サイクル)→トラスツズマブ+ペルツズマブ(13サイクル)【ペルツズマブ群:219例】・対照群:ドセタキセル+トラスツズマブ+プラセボ(4サイクル)→手術→FEC療法(3サイクル)→トラスツズマブ+プラセボ(13サイクル)【プラセボ群:110例】 これまでの本試験の解析では、主要評価項目である盲検下独立中央判定(BICR)による病理学的完全奏効(pCR)は、ペルツズマブ群39.3%、プラセボ群21.8%であり、群間差は17.5%(95%信頼区間[CI]:6.9~28.0%、p=0.001)で、統計学的に有意な差を示したことが報告されている。今回は、副次評価項目である最終的な長期有効性(無イベント生存期間[EFS]、無病生存期間[DFS]、全生存期間[OS])および安全性が報告された。 主な結果は以下のとおり。・5年EFS率は、ペルツズマブ群84.8%、プラセボ群73.7%で有意差を認めた(群間差:11.1%、95%CI:1.2~21.0、p=0.027)。・5年DFS率はそれぞれ86.0%と75.0%、群間差は11.0%(95%CI:1.2~20.7、p=0.028)で有意差を認めた。・5年OS率では有意差が認められなかった(ペルツズマブ群93.9%、プラセボ群90.0%、群間差3.9%[95%CI:2.9~10.7、p=0.262])。・術後の抗HER2療法中に発現したGrade3以上の有害事象(AE)の割合は、ペルツズマブ群11.3%、プラセボ群13.1%であった。AEによる死亡はそれぞれ0.9%、1.8%であった。

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