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第259回 脳老化を遅らせうる薬やサプリメント13種を同定

脳老化を遅らせうる薬やサプリメント13種を同定脳がとりわけ早く老化することと7つの遺伝子がどうやら強く関連し、それらの影響を抑制しうる薬やサプリメントが見出されました。生まれてからどれだけの月日が過ぎたかを示す実年齢とMRI写真を人工知能(AI)技術で解析して推定しうる脳年齢の乖離、すなわち脳年齢のぶれ(brain age gap)は、脳がどれだけ健康かを示す指標として有望視されています。中国の浙江大学のZhengxing Huang氏とそのチームは、脳年齢のぶれを指標にして脳老化の原因となりうる遺伝子を見つけ、それら遺伝子を標的として抗老化作用を発揮しうる薬やサプリメント13種を同定しました1)。Huang氏らはUK Biobankの3万人弱(2万9,097人)のMRI情報を利用してAI技術の一種である深層学習の最新版7つをまず比較し、それらの1つの3D-ViTが脳年齢をより正確に推定しうることを確認しました。3D-ViTが同定しうる脳年齢加速兆候はレンズ核と内包後脚にとくに表れやすく、脳年齢のぶれが大きくなるほど被験者の認知機能検査の点数も低下しました。レンズ核は注意や作業記憶などの認知機能に携わり、内包後脚は大脳皮質の種々の領域と繋がっています。続いて脳年齢のぶれと関連する遺伝子を探したところ、手出しできそうな64の遺伝子が見つかり、それらのうちの7つは脳の老化の原因として最も確からしいと示唆されました。先立つ臨床試験を調べたところ、薬やサプリメントの13種がそれら7つの遺伝子の相手をして抗老化作用を発揮しうることが判明しました。ビタミンD不足へのサプリメントのコレカルシフェロール、ステロイド性抗炎症薬のヒドロコルチゾン、非ステロイド性抗炎症薬のジクロフェナク、オメガ3脂肪酸のドコサヘキサエン酸(doconexent)、ホルモン補充療法として使われるエストラジオールやテストステロン、子宮頸管熟化薬のprasterone、降圧薬のmecamylamine、赤ワインの有益成分として知られるレスベラトロール、免疫抑制に使われるシロリムス、禁煙で使われるニコチンがそれら13種に含まれます2)。特筆すべきことに、サプリメントとして売られているケルセチンと白血病治療に使われる経口薬ダサチニブも含まれます。ダサチニブとケルセチンといえば、その組み合わせで老化細胞を除去しうることが知られており、軽度認知障害があってアルツハイマー病を生じる恐れが大きい高齢者12例が参加したSTAMINAという名称の予備調査(pilot study)では有望な結果が得られています。結果はこの2月にeBioMedicine誌に掲載され、ダサチニブとケルセチンが安全に投与しうることが示されました3)。また、遂行機能や認知機能の改善が示唆されました。結果は有望ですが、あくまでも極少人数の試験結果であって、たまたま良い結果が得られただけかもしれません。その結果の確かさや老化細胞除去治療の可能性のさらなる検討が必要と著者は言っています4)。参考1)Yi F, et al. Sci Adv. 2025 Mar 14;11:eadr3757.2)The 13 drugs and supplements that could slow brain ageing / NewScientist 3)Millar CL, et al. eBioMedicine. 2025;113:105612. 4)Pilot study hints at treatment that may improve cognition in older adults at risk for Alzheimer’s disease / Eurekalert

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肺機能に有利なビタミンはどれ?【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第277回

肺機能に有利なビタミンはどれ?ここで、問題です。肺機能に最も有利なビタミンは何でしょうか。「うーん、ビタミンCかビタミンBかなあ…」……違います!Chen YC, et al. Associations between vitamin A and K intake and lung function in the general US population: evidence from NHANES 2007-2012. Front Nutr . 2024 Sep 20;11:1417489.1つ目の研究は、ビタミンAとKの摂取と肺機能の関係を評価することを目的としたものです。この横断的研究は、20~79歳の成人を対象とし、2007~12年の米国国民健康栄養調査(NHANES)のデータを利用しました。肺機能は、1秒量(FEV1)、努力肺活量(FVC)、そしてこれらの比である1秒率(FEV₁/FVC)を測定することで評価しました。ビタミンAとKの摂取と結果の関連性を判断するために回帰モデルが用いられました。1万34人の参加者(米国の成人1億4,296万5,892人)のデータが分析された。関連する交絡因子を調整した後、多変量解析により、ビタミンA摂取量の1µg/日の増加ごとに、FEV1が0.03mL増加(p=0.004)し、FVCが0.04mL増加すること(p<0.001)と関連していることが明らかになりました。さらに、ビタミンK摂取量の1µg/日の増加ごとに、FEV1の0.11mL増加と有意に関連していました(p=0.022)。1秒率や気道閉塞とは関連していませんでした。以上のことから、アメリカの比較的健康な集団では、ビタミンAまたはKの摂取量が多いと、スパイロメトリーで評価した肺機能の向上と独立して関連していることが示されました。Mongey R, et al. Effect of vitamin A on adult lung function: a triangulation of evidence approachThorax. 2025 Feb 12. [Epub ahead of print]2つ目の研究は、観察データと遺伝子データの両方から得たエビデンスから、成人の肺機能に対するビタミンAの影響を調査することを目的とした、UKバイオバンクの解析です。食事によるビタミンA摂取量(総ビタミンA、カロチン、レチノール)とFVC、1秒率との関連性を調査しました。次に、メンデルランダム化を使用してこれらの関連性の因果関係を評価し、ビタミンAに関連する39の遺伝子が成人の肺機能に与える影響と、ビタミンA摂取量との相互作用を調査しました。その結果、観察分析では、カロチン摂取量とFVCのみ(100µg/日増加ごとに13.3mL、p=2.9×10-9)の間に正の相関が見られ、喫煙者では相関が強いものの、レチノール摂取量とFVCまたは1秒率との相関は見られませんでした。メンデルランダム化でも同様に、血清βカロチンがFVCのみに有益な効果を示し、血清レチノールがFVCにも1秒率にも影響を与えないことが示されました。―――というわけで、上記2つの研究からは、ビタミンAのカロチンが最も肺にイイ!ということになりますね。

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スタチンは片頭痛予防に有効か?~メタ解析

 近年、スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)が片頭痛のリスクを低減し、予防治療として有効である可能性が示唆されているが、そのエビデンスは確証されていない。エジプト・Minia大学のHamdy A. Makhlouf氏らの研究チームは、スタチンの片頭痛の予防効果について、システマティックレビューおよびメタ解析で評価した。その結果、スタチンは片頭痛予防に有効であり、片頭痛頻度を有意に減少させることなどが判明した。The Journal of Headache and Pain誌2025年2月3日号に掲載。 本研究では、2024年10月までに公表された、HMG-CoA還元酵素(HMGCR)遺伝子と片頭痛リスクとの関連性、および片頭痛患者におけるスタチンの有効性に関する論文を、PubMed、Scopus、Web of Science、Cochrane Libraryを含む複数のデータベースで検索し、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・13件の研究(ランダム化比較試験[RCT]6件、観察研究:メンデルランダム化研究4件、コホート研究2件、クロスセクション研究1件)がシステマティックレビューに含まれた。・メンデルランダム化研究では、HMGCRの発現が片頭痛のリスク増加と関連していることが認められた(オッズ比[OR]:1.38~1.55、p<0.001)。・スタチンと片頭痛リスクの関連を調べた3件の観察研究では、スタチン使用が片頭痛リスクを低減した(OR:0.73~0.94、p<0.001)。・RCTのメタ解析では、スタチン群はプラセボ群と比較して、月間片頭痛発作頻度(MMF)が有意に減少することが認められた(平均差:-3.16回[95%信頼区間[CI]:-5.79~-0.53]、p=0.02、I2=79%)。・スタチンは、とくに前兆を伴う片頭痛とビタミンD値が高い患者で、片頭痛リスクを大幅に低減させることが認められた。・コホート研究によると、スタチン使用者の56.7%がトリプタン使用量を30%減少した(OR:1.28、95%CI:1.19~1.38)。・スタチンと他の薬剤との比較において、シンバスタチン(20mg)とプロプラノロール(60mg)の比較では、両方とも片頭痛を有意に減少させたが、シンバスタチンのほうがより効果が大きかった(月間片頭痛日数[MMD]の平均差:-20.65日vs.-14.85日、p<0.001)。・アトルバスタチン(40mg)とバルプロ酸ナトリウム(500mg)の比較では、両方とも片頭痛の頻度・強度・持続時間を減少させた。有害事象はアトルバスタチンのほうが少なかった(32%vs.66%)。 本結果について著者らは「スタチンが片頭痛予防において、安全性プロファイルが良好で、標準治療に匹敵する有効性を示している。とくに心血管系と神経系の疾患が重複する患者にとって有望な選択肢となることを示唆している。ただし、研究デザインの異質性が大きいため、今後さらなる大規模研究が必要だ」とまとめている。

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風邪予防にビタミンDは効果なし?~メタ解析

 ビタミンD補充による急性呼吸器感染症(ARI)予防効果については、2021年に37件のランダム化比較試験(RCT)のメタ解析で有意な予防効果(オッズ比[OR]:0.92、95%信頼区間[CI]:0.86~0.99)が示されているが、それ以降に1件の大規模試験(1万5,804人)を含む6件の適格なRCTが完了している。そこで、英国・Queen Mary University of LondonのDavid A. Jolliffe氏らがRCTデータを更新し検討した結果、ビタミンD補充によるARI予防効果の点推定値は以前とほぼ同様であったが、統計学的に有意な予防効果がないことが示された。The Lancet Diabetes & Endocrinology誌オンライン版2025年2月21日号に掲載。 本研究では、ランダム効果モデルを用いて、ARI予防のためのビタミンDに関するRCTのデータを更新し、系統的レビューとメタ解析を行った。さらに、ベースラインの25-ヒドロキシビタミンD濃度、投与レジメン、年齢によってビタミンDの効果が異なるかどうかを調べるため、サブグループ解析を行った。2人の研究者が、2020年5月1日(前回のメタ解析の検索終了日)以降、2024年4月30日までに発表された研究を、MEDLINE、EMBASE、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Web of Science、ClinicalTrials.govを用いて検索した。なお、言語は制限しなかった。著者から、ベースラインの25-ヒドロキシビタミンD濃度と年齢で層別化した集計データを入手した。 主な結果は以下のとおり。・新たに同定した6件のRCT(1万9,337人)のうち、3件の新規RCTにおける1万6,085人(83.2%)のデータを入手し、前回のメタ解析で同定された43件のRCTにおける4万8,488人のデータと合わせた。・ビタミンDとプラセボとの比較で、介入がARIリスクに統計学的に有意な影響を及ぼさなかった(OR:0.94、95%CI:0.88~1.00、p=0.057、40試験、6万1,589人、I2=26.4%)。・事前に指定されたサブグループ解析において、年齢、ベースラインにおけるビタミンDの状態、投与頻度、投与量による効果修飾のエビデンスは認められなかった。・ビタミンDは、重篤な有害事象を1つ以上経験した参加者の割合に影響を及ぼさなかった(OR:0.96、95%CI:0.90~1.04、38試験、I2=0.0%)。・Funnel plotは左側非対称性を示した(p=0.0020、Eggerの検定)。

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50代の半数がフレイルに相当!早めの対策が重要/ツムラ

 2月1日は「フレイルの日」。ツムラはこの日に先立つ1月30日に「50歳からのフレイルアクション」プロジェクトの発足を発表し、フレイル対策の重要性を啓発するメディア発表会を開催した。セミナーでは東京都健康長寿医療センターの秋下 雅弘氏がフレイルの基本概念と対策の重要性について講演し、ツムラのコーポレート・コミュニケーション室長・北村 誠氏がプロジェクト概要を説明、そしてタレントの山口 もえ氏を交えてトークディスカッションを行った。秋下氏の講演「中年世代から大切なフレイル対策-ライフコースアプローチの観点から」の概要を紹介する。 平均寿命が延伸するとともに、日常生活に制限なく生活できる年齢である「健康寿命」や身体的・精神的・社会的に良好な状態を示す「ウェルビーイング」の重要性が高まっている。これを阻害する要因の1つである「フレイル」とは、歳とともに体力・気力が低下した、いわば健康と要介護の間の状態を指す。 フレイルの症状には、筋力が低下して転びやすくなるといった「身体的な問題」、もの忘れや気分の落ち込みが続くといった「心理・認知的な問題」、社会交流の減少や経済的な困窮といった「社会的な問題」という3つの要素がある。これらは別々に存在しているわけではなく、知恵の輪のように複雑に絡まり合っている。「加齢によるもの」と説明すると不可逆的なものと捉えられることが多いが、適切な対策を講じることで健康な状態に戻ることが可能という点が重要だ。 今回、ツムラは40~69歳の男女を対象に、厚生労働省が作成した「基本チェックリスト」に基づいてアンケート調査を行った1)。結果としては、50代の回答者の半数以上がフレイル相当で、前段階のプレフレイル相当を合わせると該当者は約9割に上った。このチェックリストは高齢者を対象としたもので、該当者がそのままフレイルというわけではないが、対策をせずにそのまま年齢を重ねれば確実にフレイルとなる可能性が高い予備軍だ。実際、フレイル/プレフレイル該当者のうち、約9割が「対策を行っていない」と回答した。50代は働き盛りで「自分はまだまだ大丈夫」という意識があるうえ、ポストコロナでのリモート生活の影響で運動量が減っているという要因もありそうだ。 フレイル対策はシンプルだ。栄養、運動、社会参加が3つの基本となる。栄養は朝昼夜の食事をバランス良く食べ、とくにタンパク質とビタミンDを意識的に摂取し、口腔衛生を保つこと。運動はウォーキングのような有酸素運動と筋トレのようなレジスタンス運動を併用して継続すること。社会参加は休日の外出や趣味や習い事などで人とのつながりを持つことが重要だ。患者説明用スライド「フレイルの定義と対策」※ツムラ作成 「50歳からのフレイルアクション」発表会  秋下 雅弘氏講演資料より 50代は筋力、筋肉量は減少してくるものの、通常はまだ生活に影響するほどではない。また、職場の健康診断もメタボリックシンドロームなどの生活習慣病による心血管病の予防と、がんの早期発見に重点が置かれ、フレイルなど高齢期の問題まで行き届いているとは言えない。しかし、50代という変化の大きな時期に何も対策を講じないでいると、60~70代でさらに筋肉は減少し、少しの動作や生活にも影響が出るようになり、また気分的にも行動変化に結び付けるのが難しい、まさに取り返しのつかない状況に陥るリスクがある。ライフコースアプローチの観点からも50代であればまだ十分に加齢変化を止め、あるいは回復までも期待できる。「まだ間に合う」という意味で、ぜひ50代からフレイル対策をはじめてほしい。 秋下氏は医師へのメッセージとしては、「体調不良を訴える中高年の診察時には、フレイルを気に留め、上記の栄養、運動、社会参加についてのアドバイスをしてほしい。また疲れやすさや気持ちの落ち込みといったよくある訴えの裏に、がんなどの疾患が潜んでいることもある。よくある主訴の背後にあるものを見逃さず、必要に応じて専門医につないでほしい」とした。フレイルのチェック方法患者説明用スライド「フレイルのチェックリスト」※ツムラ作成 「50歳からのフレイルアクション」発表会  秋下 雅弘氏講演資料より1)基本チェックリスト/厚生労働省7項目25の質問からなるチェックリストで、介護支援事業者が高齢者を対象に生活機能評価を行うために作成されたもの。2)J-CHS基準のチェックリスト国立研究開発法人 国立長寿医療研究センターが、J-CHS基準を一部改訂したもの。3)5項目のフレイルチェックJ-CHS基準をもとに秋下氏が監修し、よりわかりやすい表現にしたフレイルチェックリスト。5項目のうち1つでも該当するとフレイルの可能性がある。4)ペットボトルチェック筋力低下を測る1つの目安が握力とされており、男性は28kg以下、女性は18kg以下だとフレイルの可能性があると言われている。女性の握力目安と同じ程度とされているのがペットボトルのふたを開ける動作で、身近にチェックできる方法の1つ。一般的な「側腹つまみ」で開けられなかったら要注意。

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フレイルの定義と対策

そもそも フレイルとはフレイルとは、「加齢に伴う予備能力低下のため、ストレスに対する回復力が低下した状態」を表す “frailty” の日本語訳として日本老年医学会が提唱した用語である。自立フレイルは、要介護状態に至る前段階として位置づけられるが、頑健・健常フレイル加齢要介護身体的脆弱性のみならず精神・心理的脆弱性や社会的脆弱性などの多面的な問題を抱えやすく、自立障害や死亡を含む健康障害を招きやすいハイリスク状態を意味する。適切な対策で、健康な状態に戻ることも可能です。「フレイル診療ガイド 2018 年版」(日本老年医学会/国立長寿医療研究センター、2018)ツムラ作成 「50歳からのフレイルアクション」発表会  秋下 雅弘先生講演資料よりフレイル対策 3つの基本栄養運動社会参加ツムラ作成 「50歳からのフレイルアクション」発表会  秋下 雅弘先生講演資料よりフレイル対策 栄養朝、昼、晩バランスよく食べる。筋肉をつくる「たんぱく質」と骨の発育に大切な「ビタミンD」を摂る。栄養口の中を清潔に保ち、定期的に歯科を受診する。ツムラ作成 「50歳からのフレイルアクション」発表会  秋下 雅弘先生講演資料よりフレイル対策 運動ウォーキングや水泳などの「有酸素運動」。筋力トレーニングのような「レジスタンス運動」。運動体調や体力に合った運動を継続する。ツムラ作成 「50歳からのフレイルアクション」発表会  秋下 雅弘先生講演資料よりフレイル対策 社会参加休日は外出をして体のリズムを整える。趣味や習い事などの楽しみをつくる。社会参加人とのつながりをもち脳に刺激を与える。ツムラ作成 「50歳からのフレイルアクション」発表会  秋下 雅弘先生講演資料より

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2型糖尿病患者はビタミン、ミネラルが不足している

 2型糖尿病患者の半数近くが、微量栄養素不足の状態にあるとする論文が、「BMJ Nutrition, Prevention & Health」に1月29日掲載された。国際健康管理研究所(インド)のDaya Krishan Mangal氏らが行ったシステマティックレビューとメタ解析の結果であり、特に、ビタミンD、マグネシウム、鉄、ビタミンB12の不足の有病率が高いという。研究を主導した同氏は、「この結果は2型糖尿病患者における、栄養不良の二重負荷の実態を表している」と述べ、糖尿病治療のための食事療法が栄養不良につながるリスクを指摘している。 この研究では、システマティックレビューとメタ解析のガイドライン(PRISMA)に準拠して、Embase、ProQuest、PubMed、Scopus、コクランライブラリ、およびGoogle Scholarといった文献データベースを用いた検索が行われた。また、灰色文献(学術的ジャーナルに正式に発表されていない報告書や資料など)も、包括基準(2型糖尿病患者〔合併症の有無は問わない〕でのランダム化比較試験、縦断研究、横断研究、コホート研究)に照らし合わせて採用した。なお、1型糖尿病や妊娠糖尿病、18歳未満の2型糖尿病での研究、症例報告、レビュー論文などは除外した。 2人の研究者が独立してスクリーニング等を行い、最終的に132件(研究対象者数は合計5万2,501人)の報告を抽出した。メタ解析の結果、2型糖尿病患者における微量栄養素不足の有病率は45.30%(95%信頼区間40.35~50.30)と計算された。性別にみると、男性の42.53%(同36.34~48.72)に対して女性は48.62%(42.55~54.70)であり、女性の方が高値を示した。 微量栄養素不足の分布を正規分布に近づけるための統計学的処理の後、不足の有病率が最も高い微量栄養素はビタミンD(60.45%〔55.17~65.60〕)で、次いでマグネシウムが(41.95%〔27.68~56.93〕)であり、鉄が27.81%(7.04~55.57)、ビタミンB12が22.01%(16.93~27.57)だった。これらのうちビタミンB12については、メトホルミンが処方されている患者に限ると、26.85%(19.32~35.12)とより高値となった。 以上の結果に基づき著者らは、「2型糖尿病の食事療法では、エネルギー出納や主要栄養素の摂取量を重視する傾向がある。しかし本研究によって、いくつかの微量栄養素不足の有病率が高いことが明らかになった。栄養バランスを総合的に把握した上での最適化が、常に優先されるべきであることを再認識する必要がある」と総括している。 また、代謝にはさまざまな栄養素が関わっているため、微量栄養素の不足が糖尿病を悪化させたり、糖尿病以外の健康問題を引き起こしたりすることもあるという。さらに、「微量栄養素の不足は糖代謝とインスリンシグナル伝達経路に影響を及ぼし、2型糖尿病の発症と進行につながることも考えられる」と述べ、栄養不良自体が2型糖尿病の潜在的なリスク因子である可能性を指摘している。

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血清ビタミンDレベルと片頭痛との関連

 ビタミンDは片頭痛の発症と関連していると考えられているが、その関連の本質は、十分に解明されているとはいえない。いくつかの研究において、ビタミンD欠乏と片頭痛との関連が示唆されているが、一貫性はなく、決定的な結果が得られていない。中国・河南中医薬大学のShunfa Hao氏らは、ビタミンDと片頭痛の関連をより深く理解するため、本研究を実施した。その結果、血清ビタミンDレベルと片頭痛有病率との間に、負の相関が認められたことを報告した。PloS One誌2025年1月3日号の報告。 対象患者は、2001〜04年の米国国民健康栄養調査(NHANES)データより抽出した9,142人。血清ビタミンDレベルの定義は、25(OH)D2+25(OH)D3(nmol/L)とした。片頭痛に関する情報は、NHANES質問票のその他の頭痛の項より、自由記入に基づき収集した。ビタミンDと片頭痛リスクとの関連性の評価には、多重ロジスティック回帰、smoothed curve fitting、層別化解析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・片頭痛の有病率は20.53%であった。・血清ビタミンDレベルが低い人は、片頭痛の有病率が高かった。・完全に調整したモデルにおいて血清ビタミンDレベルの最高四分位群は、最低四分位群と比較し、片頭痛の有病率が16%低かった(オッズ比:0.84、95%信頼区間:0.71〜0.99)。・この結果は、層別化解析、smoothed curve fittingでも同様であった。

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診療科別2024年下半期注目論文5選(糖尿病・代謝・内分泌内科編)

Intensive Blood-Pressure Control in Patients with Type 2 DiabetesBi Y, et al. N Engl J Med. 2024 Nov 16. [Epub ahead of print]<BPROAD試験>:2型糖尿病において、目標収縮期血圧を120mmHg未満にすることで心血管イベントリスクが低減2型糖尿病における至適な血圧目標値は、一般に130/80mmHg未満とされています。心血管疾患高リスクの2型糖尿病を有する中国人を対象とした本研究(RCT)では、収縮期血圧120mmHg未満を目標にすることにより、心血管イベントが統計学的に有意に低下することが示されました。Randomized Trial for Evaluation in Secondary Prevention Efficacy of Combination Therapy-Statin and Eicosapentaenoic Acid (RESPECT-EPA)Miyauchi K, et al. Circulation. 2024;150:425-434.<RESPECT-EPA>:EPAをスタチンに上乗せ投与しても心血管イベントリスクは低減しないEPA(eicosapentaenoic acid)は動脈硬化を抑制することが想定されています。しかしながら、ハイリスクの日本人冠動脈疾患患者にEPAをスタチンに上乗せ投与しても心血管イベントリスクは有意には低減しませんでした。一方、心房細動リスクが有意に上昇しました。Insulin Efsitora versus Degludec in Type 2 Diabetes without Previous Insulin TreatmentWysham C, et al. N Engl J Med. 2024;391:2201-2211.<QWINT-2>:肥満2型糖尿病において、efsitoraの効果はデグルデクに非劣性大きな期待がかけられているweeklyタイプのインスリン・efsitora。肥満2型糖尿病患者において、efsitoraの効果と安全性はインスリン・デグルデクと比較し非劣性であることが示されました。低血糖や体重増加は両剤とも同等でした。Once-weekly insulin efsitora alfa versus once-daily insulin degludec in adults with type 1 diabetes (QWINT-5): a phase 3 randomised non-inferiority trialBergenstal RM, et al. Lancet. 2024;404:1132-1142.<QWINT-5>:1型糖尿病において、efsitoraの効果はデグルデクに非劣性1型糖尿病患者を対象としたRCTで、インスリン・デグルデクに対するインスリン・efsitoraによる血糖降下作用の非劣性が示されたものの、中等度~重度の低血糖リスクが有意に上昇しました。1型糖尿病におけるインスリン・イコデク(weekly製剤)投与に伴う低血糖リスクも同様であったことが報告されています(Russell-Jones D, et al. Lancet. 2023;402:1636-1647.)The Effect of Denosumab on Risk for Emergently Treated Hypocalcemia by Stage of Chronic Kidney Disease : A Target Trial EmulationBird ST, et al. Ann Intern Med. 2024 Nov 19. [Epub ahead of print]<デノスマブによる低カルシウム血症>:重症低カルシウム血症リスクはCKD病期と関連CKD進展に伴い、ビスフォスフォネートと比較しデノスマブで重症低カルシウム血症のリスクが高まることが示唆されました。デノスマブを投与する際には、デノタス®(カルシウム/天然型ビタミンD3/マグネシウム配合剤)の投与と血清カルシウム値のモニタリングが重要です。

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健康な高齢者では高用量ビタミンDで糖尿病リスクは低下しない

 たとえ高用量のビタミンDサプリメントを摂取したとしても、糖代謝異常がない高齢者の場合、2型糖尿病の発症リスク低下にはつながらないとする研究結果が発表された。東フィンランド大学のJyrki K. Virtanen氏らが行ったプラセボ対照二重盲検ランダム化比較試験によるもので、詳細は「Diabetologia」に12月2日掲載された。 過去の観察研究からは、血中ビタミンD濃度が低い場合に2型糖尿病の発症リスクが高いという関連が示されている。しかし、観察研究の結果のみでは、ビタミンDサプリの摂取が糖尿病リスク抑制につながるかどうかは不明。他方、既に血糖値がやや高い前糖尿病の人を対象に行われた研究では、ビタミンDサプリ摂取が糖尿病への移行リスクをわずかに抑制する可能性も示唆されているが、健康な集団での有用性のエビデンスはない。これを背景としてVirtanen氏らは、フィンランドの一般住民を対象にビタミンDサプリ摂取の影響を検討した大規模研究(FIND)のデータを用いた解析を行った。 FINDの参加者は60歳以上の男性と65歳以上の女性で、心血管疾患やがん、腎障害などの既往がなく、摂取している全てのサプリに含まれているビタミンDが合計20μg/日以下などの条件を満たす2,495人。一次評価項目として心血管疾患、二次評価項目としてがん、三次評価項目として2型糖尿病の発症が設定されていた。ビタミンDの中用量(40μg/日)群、高用量(80μg/日)群、およびプラセボ群の3群に、1対1対1でランダムに割り付け、平均4.2年間介入した。 全参加者のうちベースライン時点で血糖降下薬が処方されていた224人を除外した2,271人が、三次評価項目の解析対象とされた。この対象者の平均年齢は68.2±4.5歳、女性が43.9%、BMIは26.8±4.0であり、食事からのビタミンD摂取量は10.7±7.9μg/日で、66.0%はビタミンDサプリを摂取していなかった。解析対象者のうち504人は血中ビタミンD濃度(25〔OH〕D3)が測定されていて、その平均は29.8±7.2ng/mLだった。 追跡期間中に105人が2型糖尿病を発症。各群の発症者数は、ビタミンD中用量群が31人、高用量群36人、プラセボ群38人であり、100人年当たりの罹患率は同順に0.97、1.11、1.19だった。年齢と性別を調整後、プラセボ群を基準とする発症ハザード比は、中用量群が0.81(95%信頼区間0.50~1.30)、高用量群が0.92(同0.58~1.45)であり、ビタミンDの用量にかかわらず有意なリスク低下は観察されなかった。 追跡開始2年目までに2型糖尿病を発症した人を除外した解析や、性別、年齢層別、BMI別に層別化したサブグループ解析でも、ビタミンDサプリ摂取が2型糖尿病リスク低下につながる集団は特定されなかった。また、血糖値、血中インスリン値、インスリン抵抗性(HOMA-IR)、BMI、ウエスト周囲長の変化も検討されたが、いずれもビタミンD摂取による有意な影響は観察されなかった。 これらの結果から著者らは、「健康な高齢者を対象としたわれわれの研究では、中用量または高用量のビタミンDサプリの長期摂取による2型糖尿病の発症抑止効果は示されなかった」と結論付けている。

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事例014 1,25-ジヒドロキシビタミンD3検査の査定【斬らレセプト シーズン4】

解説事例では骨粗鬆症の患者に「D007血液化学検査(63)1,25-ジヒドロキシビタミンD3」を行ったところ、A事由(医学的に適応と認められないもの)にて査定となりました。同検査の留意事項には、「(前略)ビタミンD依存症I型(中略)の診断時またはそれらの疾患に対する活性型ビタミンD3剤による治療中に測定した場合に限り算定できる」とあります。事例の「骨粗鬆症」+「ビタミンD欠乏症」には適用がありません。また、「活性型ビタミンD3剤」の投与はありませんでした。したがって、算定要件を満たさないためにA事由が適用となったものと推測できます。カルテも参照したところ、オーダーには「D007(31)25-ヒドロキシビタミンD」の記述がありました。こちらは、「ビタミンD欠乏性くる病」もしくは「ビタミンD欠乏性骨軟化症」の診断時に使用する検査です。実際は、データ入力時に類似の検査を誤って選択していたことが判明しました。しかしながら、いずれの検査からみても該当する傷病名は見当たりません。査定対策として、医師には同様事例の場合に病名付与もしくは医学的必要性のコメントを入力いただけるようにお願いしました。また、入力担当には会計入力時に誤りやすい事例として院内共有しています。

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12月13日 ビタミンの日【今日は何の日?】

【12月13日 ビタミンの日】〔由来〕1910年の今日、鈴木梅太郎博士(農芸化学者)が、米糠から抽出した成分を「オリザニン」と命名し、東京化学会で発表した。このオリザニンは後に、ビタミンB1(チアミン)と同じ物質であることが判明し、「ビタミン」と呼ばれるようになったことを記念し「ビタミンの日」制定委員会が2000年に制定。関連コンテンツビタミンB1ってなあに?【患者説明用スライド】ビタミンC摂取と片頭痛との関係ビタミンB1で便秘リスク軽減、男性、高血圧・糖尿病既往なしで顕著認知機能の低下抑制、マルチビタミンvs.カカオ抽出物ビタミンDは高齢者の風邪を減らせるか、RCTで検証

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ビタミンDサプリで肥満高齢者の血圧低下

 高齢の肥満者がビタミンDサプリメントを摂取すると、血圧を下げられる可能性のあることが報告された。ただし、推奨される量よりも多く摂取したからといって、上乗せ効果は期待できないようだ。ベイルート・アメリカン大学医療センター(レバノン)のGhada El-Hajj Fuleihan氏らの研究の結果であり、詳細は「Journal of the Endocrine Society」に11月12日掲載された。 ビタミンDレベルが低いことが高血圧のリスクと関連のあることを示唆する研究報告があるが、その関連を否定する報告もあり、結論は得られていない。これを背景としてFuleihan氏らは、ビタミンDレベルが低下していて、血圧が高いことの多い肥満高齢者を対象とするランダム化比較試験を行った。 血清ビタミンDレベルが10~30ng/mLで、BMIが25超の過体重から肥満(日本ではBMI25以上は全て肥満)に該当する65歳以上の高齢者221人をランダムに2群に分け、1群にはビタミンDを600IU、他の1群には3,750IU投与し血圧への影響を評価した。研究参加者は平均年齢71.1±4.7歳、女性55.2%、BMI30.2±4.4であり、143人(64.7%)が高血圧(130/80mmHg以上)だった。なお、米国ではビタミンDの摂取量として、通常1日当たり600IU(約15μg)が推奨されている。 介入から1年後、収縮期血圧は全体平均で3.5mmHg有意に低下していた(P=0.005)。これをビタミンDの用量別に見ると、高用量群では4.2mmHg有意に低下していたのに対して(P=0.023)、低用量群の低下幅は2.8mmHgであり非有意だった(P=0.089)。同様に拡張期血圧に関しても、全体平均で2.8mmHg有意に低下し(P=0.002)、高用量群でも3.02mmHgの有意低下(P=0.01)、低用量群では2.6mmHg低下と有意水準未満の変化だった(P=0.089)。 ベースライン時のBMIで層別化(30以下/超〔30以上は米国における肥満に該当〕)すると、BMI30以下の過体重者(55.2%)ではビタミンDの用量にかかわらず収縮期/拡張期血圧に有意な変化が見られなかった。BMI30超の肥満者(44.8%)では、ビタミンD高用量群では収縮期血圧(P=0.006)と拡張期血圧(P=0.02)がともに有意に低下していたが、低用量群では収縮期血圧のみが有意に低下していた(P=0.024)。 多変量線形混合モデルによる解析の結果、介入後の収縮期血圧はベースライン時の収縮期血圧(β=0.160、P<0.0001)とBMI(β=0.294、P=0.055)によって予測され、ビタミンDの投与量の違い(β=0.689、P=0.682)は有意な予測因子でなかった。 これらの結果を基にFuleihan氏は、「ビタミンDサプリメントは、高齢、肥満、ビタミンDレベルが低いなどに該当する、特定のサブグループの血圧を下げる可能性があることが分かった。ただし、推奨量以上に摂取したとしても、血圧への上乗せ効果は得られないと考えられる」と述べている。

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妊娠中のビタミンD摂取は子どもの骨を強くする

 妊娠中のビタミンDの摂取は、子どもの骨と筋肉の発達に良い影響をもたらすようだ。英サウサンプトン大学MRC Lifecourse Epidemiology CentreのRebecca Moon氏らによる研究で、妊娠中にビタミンDのサプリメントを摂取した女性の子どもは、摂取していなかった女性の子どもに比べて、6〜7歳時の骨密度(BMD)と除脂肪体重が高い傾向にあることが明らかにされた。この研究結果は、「The American Journal of Clinical Nutrition」11月号に掲載された。Moon氏は、「小児期に得られたこのような骨の健康への良い影響は、一生続く可能性がある」と話している。 ビタミンDは、人間の皮膚が日光(紫外線)を浴びると生成されるため「太陽のビタミン」とも呼ばれ、骨の発達と健康に重要な役割を果たすことが知られている。具体的には、ビタミンDは、丈夫な骨、歯、筋肉の健康に必要なミネラルであるカルシウムとリン酸のレベルを調節する働きを持つ。 今回の研究では、妊娠14週未満で単胎妊娠中の英国の妊婦(体内でのビタミンDの過不足の指標である血液中の25-ヒドロキシビタミンD濃度が25~100nmol/L)を対象に、妊娠中のビタミンD摂取と子どもの骨の健康との関連がランダム化比較試験により検討された。対象とされた妊婦は、妊娠14~17週目から出産までの期間、1日1,000IUのコレカルシフェロール(ビタミンDの一種であるビタミンD3)を摂取する群(介入群)とプラセボを摂取する群(対照群)にランダムに割り付けられた。これらの妊婦から生まれた子どもは、4歳および6~7歳のときに追跡調査を受けた。 6〜7歳時の追跡調査を受けた454人のうち447人は、DXA法(二重エネルギーX線吸収法)により頭部を除く全身、および腰椎の骨の検査を受け、骨面積、骨塩量(BMC)、BMD、および骨塩見かけ密度(BMAD)が評価された。解析の結果、介入群の子どもではプラセボ群の子どもと比較して、6〜7歳時の頭部を除く全身のBMCが0.15標準偏差(SD)(95%信頼区間0.04~0.26)、BMDが0.18SD(同0.06~0.31)、BMADが0.18SD(同0.04~0.32)、除脂肪体重が0.09SD(同0.00~0.17)高いことが明らかになった。 こうした結果を受けてMoon氏は、「妊婦に対するビタミンD摂取による早期介入は、子どもの骨を強化し、将来の骨粗鬆症や骨折のリスク低下につながることから、重要な公衆衛生戦略となる」と述べている。 では、妊娠中のビタミンD摂取が、どのようにして子どもの骨の健康に良い影響を与えるのだろうか。Moon氏らはサウサンプトン大学のニュースリリースで、2018年に同氏らが行った研究では、子宮内の余分なビタミンDが、「ビタミンD代謝経路に関わる胎児の遺伝子の活動を変化させる」ことが示唆されたと述べている。さらに、2022年に同氏らが発表した研究では、妊娠中のビタミンD摂取により帝王切開と子どものアトピー性皮膚炎のリスクが低下する可能性が示されるなど、妊娠中のビタミンD摂取にはその他のベネフィットがあることも示唆されているという。

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高用量ビタミンDは心血管マーカーを低下させるか

 観察研究において、血清ビタミンD値が低い高齢者の心血管疾患(CVD)リスクが高いことが示されているが、ランダム化比較試験ではビタミンDサプリメントによるCVDリスクの低下効果は実証されていない。今回、米国・ハーバード大学医学部のKatharine W Rainer氏らの研究で、高用量ビタミンD投与は低用量ビタミンD投与と比較し、血清ビタミンD値が低い高齢者の潜在的心血管マーカーに影響を与えなかったことが明らかになった。American Journal of Preventive Cardiology誌オンライン版2024年12月号掲載の報告。 STURDY試験は、潜在的なCVDを特徴付ける心血管マーカーの高感度心筋トロポニン(hs-cTnI)とN末端プロb型ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)が、高用量ビタミンD投与によって低下するかを検証するため、ビタミンD3を4用量(200、1,000、2,000、4,000IU/日)で投与し、効果を検証する二重盲検ランダム化適応型試験で、本研究はこのSTURDY試験の付随研究であった。血清25-ヒドロキシビタミンD(25[OH]D)濃度が低く(10~29ng/mL)、転倒リスク予防のためにビタミンDを投与された高齢者を低用量治療群(200IU/日)と高用量治療群(1,000IU以上/日)に割り付け、Hs-cTnI値およびNT-proBNP値をベースライン、3ヵ月、12ヵ月、24ヵ月のタイミングで測定した。主要評価項目は最初の転倒または死亡までの時間であった。なお、ビタミンDの投与量によるバイオマーカーへの影響は、回帰分析であるトービットモデルを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・解析対象者688例の平均年齢±SDは76.5±5.4歳で、女性が43.6%、CVD既往歴を有する者は29.4%であった。・hs-cTnIは低用量群で5.2%、高用量群で7.0%の増加がみられた。・NT-proBNPではそれぞれ11.3%と9.3%の増加がみられた。・調整モデルではベースラインの血清25[OH]D値はベースラインのHs-cTnIと関連していなかった。・低用量群と比較して高用量のhs-cTnIは1.6%差(95%信頼区間[CI]:-5.3~8.9)、NT-proBNPは-1.8%差(95%CI:-9.3~6.3)であった。・いずれのマーカーにおいても、3ヵ月後、12ヵ月後、24ヵ月後に有意な変化はみられなかった(Hs-cTnI:傾向のp=0.21、NT-proBNP:傾向のp=0.38)。 研究者らは、「ビタミンD値とhs-cTnIの間には逆相関関係があるものの、ビタミンD3の投与量を増やしても時間経過に伴うhs-cTnIの改善は見られなかった。本結果は、CVDイベントを予防するためにビタミンD3の高用量使用を支持するものではない」としている。

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ビタミンD値が低いとサルコペニアのリスクが高い可能性

 血清ビタミンD値が低い高齢者は骨格質量指数(SMI)が低くて握力が弱く、サルコペニアのリスクが高い可能性のあることが報告された。大阪大学大学院医学系研究科老年・総合内科学の赤坂憲氏らの研究結果であり、詳細は「Geriatrics & Gerontology International」に8月1日掲載された。 サルコペニアは筋肉の量や筋力が低下した状態であり、移動困難や転倒・骨折、さらに寝たきりなどのリスクが高くなる。また日本の高齢者対象研究から、サルコペニア該当者は死亡リスクが男性で2.0倍、女性で2.3倍高いことも報告されている。 サルコペニアの予防・改善方法として現状では、筋肉に適度な負荷のかかる運動、および、タンパク質を中心とする十分な栄養素摂取が推奨されており、治療薬はまだない。一方、骨粗鬆症治療薬として用いられているビタミンD(VD)に、サルコペニアに対する保護的作用もある可能性が近年報告されてきている。ただし、一般人口におけるVDレベルとサルコペニアリスクとの関連は不明点が少なくない。これを背景として赤坂氏らは、東京都と兵庫県の地域住民対象に行われている高齢者長期縦断研究(SONIC研究)のデータを用いて、年齢層別に横断的解析を行った。 SONIC研究参加者のうち、年齢層で分けた際のサンプル数が十分な70歳代(平均年齢75.9±0.9歳、男性54.2%)と、90歳代(92.5±1.6歳、男性37.5%)を解析対象とした。全員が自立して生活していた。 血清25(OH)D(以下、血清VDと省略)の平均は、70歳代では21.6±5.0ng/mLであり、35.8%が欠乏症(20ng/mL未満)だった。90歳代では平均23.4±9.1ng/mLであり、43.8%が欠乏症だった。なお、VDは日光曝露によって皮膚で生成されるため、日照時間の違いを考慮して季節性を検討したところ、70歳代の男性では、冬季測定群に比べて夏季測定群の方が有意に高値だった。 サルコペニアのリスク評価に用いられている、SMI、握力、歩行速度、および、BMIや血清アルブミン、血清クレアチニンと、血清VDとの関連を単回帰分析で検討すると、年齢層にかかわらず、SMIと握力が血清VDと有意に正相関し、その他の因子は関連が見られなかった。それぞれの相関係数(r)は、以下の通り。70歳代の血清VDとSMIは0.21、血清VDと握力は0.30(ともにP<0.0001)、90歳代の血清VDとSMIは0.29(P=0.049)、血清VDと握力は0.34(P=0.018)。 続いて、SMIおよび握力を従属変数、性別を含むその他の因子を独立変数とする重回帰分析を施行した。その結果、70歳代のSMIについては、血清VDが有意な正の関連因子として特定された(β=0.066、P=0.013)。一方、70歳代の握力に関しては、血清VDは独立した関連が示されなかった。また90歳代では、SMI、握力ともに血清VDは独立した関連因子でなかった。 著者らは本研究の限界点として、横断的解析であり因果関係は不明なこと、日光曝露時間や栄養素摂取量が測定されていないことなどを挙げた上で、「地域在住の自立した高齢者では、血清VDレベルはSMIや握力と関連しているが、歩行速度とは関連のないことが明らかになった。この結果は90歳代よりも70歳代で明確だった」と総括。また、「さらなる研究が必要だが、血清VDレベルを維持することが骨格筋量の維持に寄与する可能性があるのではないか」と付け加えている。

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掌蹠角化症〔PPK:palmoplantar keratoderma〕

1 疾患概要■ 概念・定義掌蹠角化症は、手掌と足底の高度な過角化を主な臨床症状とする疾患群である。主として遺伝的素因により生じるが、非遺伝性の病型もある。掌蹠角化症の中には、掌蹠角化症の皮膚症状に加えて、がんあるいは他臓器の異常を伴うまれな遺伝性疾患も存在し、このような疾患群は掌蹠角化症症候群と呼ばれる。これらの合併症が重篤になると生命予後が悪化する。臨床所見ならびに病理組織像の検討のみから病型を決定するのは困難な場合が多く、遺伝歴の詳細な聴取、最終的には遺伝子変異の同定が必要となる。■ 疫学長島型掌蹠角化症の頻度は、日本および中国ではそれぞれ1万人当たり1.2人ならびに3.1人と見積もられている。ボスニア型掌蹠角化症の頻度はスウェーデンの北部(ボスニア湾沿岸地域)で、一般人口当たり0.3~0.55%(1万人当たり30~55人)と報告されている。筆者らは、2015年に掌蹠角化症の患者数についての全国1次アンケート調査を行った。全国の500床以上の病院の皮膚科ならびに小児科にアンケート用紙を送付して掌蹠角化症全国疫学調査を施行した。この調査では、過去5年間に期間を限定し、掌蹠角化症患者の家系の数、患者数を回答してもらうようにした。型が明らかな家系についてはそれぞれの型の家系の数、患者数の記載を依頼した。また、自由記載欄も設け、アンケート調査についての感想・要望などを記載も求めた。全国690施設の皮膚科ならびに小児科にアンケート用紙を送付した。うち325施設より回答を得た。病型が明らかな家系は113家系、患者数は147例(人口100万人当たり1.2人)であった。約9割は大学病院にて診断されていた。人口100万人当たりの患者数でみると、青森県が最多で、100万人当たり30.6人であった。■ 病因掌蹠角化症を構成するそれぞれの疾患は、大部分が遺伝性疾患である。原因遺伝子に遺伝子変異が生じることにより個々の疾患が引き起こされる。現在、個々の疾患の遺伝子変異は(掌蹠角化症を構成する)大多数の疾患において同定されている。■ 症状手掌と足蹠の過角化が存在する。過角化の程度や罹患部位は、個々の病型により異なる。過角化の状態も病型によりさまざまである。過角化の臨床症状に加え、手掌と足蹠の潮紅を伴う病型(わが国では最も多い病型である長島型掌蹠角化症)もある。■ 分類日本皮膚科学会作成の「掌蹠角化症診療の手引き」では、(1)びまん性角化を示す掌蹠角化症、(2)限局型・先天性爪甲肥厚症・線状・点状掌蹠角化症、(3)掌蹠角化症症候群の3群に分類している。びまん性角化を示す掌蹠角化症には8疾患、限局型・先天性爪甲肥厚症・線状・点状掌蹠角化症には9疾患、掌蹠角化症症候群には22疾患が含まれている。■ 予後びまん性角化を示す掌蹠角化症、限局型・先天性爪甲肥厚症・線状・点状掌蹠角化症は、生命予後は良い。掌蹠角化症症候群のうち、がん、拡張型心筋症を合併するものがあり、これらの疾患を合併すると予後不良である。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)図の病型診断アルゴリズムにしたがって、おおよその病型の見当を付ける。これは外来において視診で行える。Transgrediensとは、掌蹠を超えて、指趾背側や手首、足首、アキレス腱部にまで皮疹が拡大していることである。日本皮膚科学会の掌蹠角化症診療の手引きを参考にすると、調べるべき原因遺伝子が判明する。上記の臨床的診断に引き続いて、患者より採血を行い、白血球よりDNAを抽出、病型の原因遺伝子の塩基配列を決定する。病因遺伝子変異を同定することが出来れば、病型が診断できる。可能であれば、家族の遺伝子変異同定も診療上非常に有益である。。家系図を描くことができれば、遺伝形式が判明し、確定診断に役立つとともに、患者ならびに家族に対して遺伝カウンセリングを行うことができる。図 (遺伝性・非症候性)掌蹠角化症の病型診断アルゴリズム画像を拡大する3 治療 (治験中・研究中のものも含む)掌蹠角化症は症例数が少なく、大規模な治験が不可能である。そのためエビデンスレベルの高い治療法は確立されていない。現在、有効とされている治療法は、症例報告に基づくものである。1)外用療法サリチル酸ワセリンや尿素軟膏などの角質溶解剤の塗布やカルシポトリオール含有軟膏の塗布を行う。2)皮膚切削術コーンカッター、長柄カミソリ、生検用パンチ、眼科剪刀などを用いて肥厚した角質を除去する。3)内服療法レチノイド内服を行う。ただし、この薬剤には催奇形性があるので、妊婦または妊娠している可能性のある女性には投与してはならない。また、エトレチナートに対し、過敏症の既往歴のある患者、肝障害のある患者、腎障害のある患者、ビタミンA製剤投与中の患者、ビタミンA過剰症の患者には禁忌である。エトレチナートを処方するときには、処方のたびに所定の様式の文書での同意を得る。4)合併症に対する治療絞扼輪や皮膚がんなどの合併症に対しては早期発見に留意し、外科的に対処する。難聴、食道がん、歯周病、心筋症、真菌症、細菌感染症などの合併症に対しては専門医に治療を依頼すると同時に適切な抗真菌薬や抗生物質の投与などを行う。5)患者自身によるケア掌蹠に亀裂ができて疼痛をともなう場合、長柄カミソリなどを用いて、角質を削り、就寝時にワセリンを使用して密封療法(ODT)を行う。掌蹠の亀裂がなくなり、疼痛がやわらぐ。4 今後の展望核酸医薬低分子干渉RNA(siRNA)を用いる治療法も報告されている。KRT6A遺伝子に対するsiRNAを用いて、培養ヒト表皮角化細胞とマウスの皮膚におけるケラチン6aタンパク質の発現を抑制したという報告もある。この治療法は、先天性爪甲厚硬症患者にも使用されており、将来実行可能な方法であるがいまだ明らかになっていない部分もある。リードスルー薬を治療に用いたという報告もある。5例の長島型掌蹠角化症の患者に対してリードスルー薬としてゲンタマイシンを使用して有効であったという報告もあるが、報告例が少なく現時点ではその有効性についての結論は出ていない。ただ、ゲンタマイシンは安全かつ簡便に使用が可能で、本症以外の疾患でも効果が期待されているので、将来有望な治療薬であろう。5 主たる診療科皮膚科、小児科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 掌蹠角化症(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)掌蹠角化症診療の手引き(医療従事者向けのまとまった情報)公開履歴初回2024年10月14日

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9月20日 子供の成長啓発デー【今日は何の日?】

【9月20日 子供の成長啓発デー】〔由来〕内分泌疾患の患者や家族の支援団体で構成する国際組織“International Coalition of Organizations Supporting Endocrine Patients(ICOSEP)”が設立された日を記念し、2013(平成25)年に「子どもの成長啓発デー実行委員会」が制定。子どもの内分泌疾患に関する正しい知識の普及、内分泌疾患の早期発見・早期治療の促進、成長曲線の普及と利用促進を目的に啓発活動が行われている。関連コンテンツビタミンD依存症【希少疾病ライブラリ】週1回投与のヒト成長ホルモン製剤「ソグルーヤ皮下注5mg/10mg」【下平博士のDIノート】見分けづらい・見逃しやすい酵素欠損がもたらす疾患『ムコ多糖症』

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ビタミンDが2型糖尿病患者の心不全リスクを抑制

 2型糖尿病患者における血清25-ヒドロキシビタミンD(25[OH]D)と心不全リスクとの関連性を調査した結果、血清25(OH)D値が高いほど心不全リスクが低くなるという関連があり、メンデルランダム化(MR)解析では潜在的な因果関係が示唆されたことを、中国・Huazhong University of Science and TechnologyのXue Chen氏らが明らかにした。The American Journal of Clinical Nutrition誌オンライン版2024年7月23日号掲載の報告。 2型糖尿病患者は心不全の発症リスクが高く、またビタミンDの不足/欠乏を呈しやすいことが報告されているが、2型糖尿病患者における25(OH)Dと心不全リスクとの関連性に関するエビデンスはほとんどない。そこで研究グループは、2型糖尿病患者における血清25(OH)Dと心不全リスクとの関連性を前向きに評価し、さらに潜在的な因果関係を検討するためにMR解析を実施した。 観察研究は、英国バイオバンクに登録された40~72歳の2型糖尿病患者1万5,226例を対象に実施された。心不全の発症は電子健康記録で確認した。Cox比例ハザードモデルを用いて、2型糖尿病患者の血清25(OH)D値と心不全リスクの関連性についてハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を推定した。MR解析は、血縁関係のない2型糖尿病患者1万1,260例を対象に実施された。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時の血清25(OH)Dの平均値は43.4(SD 20.4)nmol/Lであった。・追跡期間中央値11.3年において、836件の心不全イベントが発生した。・血清25(OH)D値が高いほど心不全リスクが低くなるという非線形の相関関係があり、リスクの減少は50nmol/L付近で横ばいになる傾向があった。・25(OH)D値が25nmol/L未満の群と比較すると、50.0~74.9nmol/L群の多変量調整HRは0.67(95%CI:0.54~0.83)、75nmol/L以上群の多変量調整HRは0.71(95%CI:0.52~0.98)であった。・MR解析では、遺伝的に予測される25(OH)D値が7%増加するごとに、2型糖尿病患者の心不全リスクが36%低下することが示された(HR:0.64[95%CI:0.41~0.99])。 これらの結果より、研究グループは「これらの所見は、2型糖尿病患者の心不全予防において、適切なビタミンD状態の維持が重要な役割を果たすことを示している」とまとめた。

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産後うつ病リスクとビタミンDとの関連

 妊婦、産後女性、非産後女性、男性の抑うつ症状発現に対するビタミンDの影響を評価するため、米国・南イリノイ大学のVictoria Rose Barri Benters Hollinshead氏らは、血清ビタミンD濃度と抑うつ症状との関連を調査した。Nutrients誌2024年6月14日号の報告。 研究対象集団は、2007〜18年のNHANES公開データより抽出された20〜44歳の妊婦、産後女性、非産後女性(非妊婦/産後の女性)、男性。抑うつ症状、血清ビタミンD濃度、栄養摂取量、人工統計学的データなどの主観的な聴取データおよび客観的な臨床検査データを用いた。主成分分析を用いて2つの食事パターンを作成し、各サブグループのうつ病アウトカムを予測するため、ベイジアン多項モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・ビタミンDの対数傾斜パラメータの推定値は、すべてのコホートにおいてネガティブであり、ビタミンDが増加すると、うつ病割合の減少、非うつ病割合の増加が認められた。・妊婦コホートにおいて、ビタミンDの傾斜は最も急激であり、次いで産後女性、非産後女性、男性の順であった。・妊娠中および産後女性では、ビタミンD濃度が高いと、非産後女性および男性と比較し、うつ病リスクの減少に大きな影響が認められた。・産後女性において授乳中の女性は、授乳していない女性と比較し、ビタミンD濃度の高さとうつ病リスク減少により大きな影響が認められた。

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