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妊娠中のビタミンD摂取は子どもの骨を強くする

 妊娠中のビタミンDの摂取は、子どもの骨と筋肉の発達に良い影響をもたらすようだ。英サウサンプトン大学MRC Lifecourse Epidemiology CentreのRebecca Moon氏らによる研究で、妊娠中にビタミンDのサプリメントを摂取した女性の子どもは、摂取していなかった女性の子どもに比べて、6〜7歳時の骨密度(BMD)と除脂肪体重が高い傾向にあることが明らかにされた。この研究結果は、「The American Journal of Clinical Nutrition」11月号に掲載された。Moon氏は、「小児期に得られたこのような骨の健康への良い影響は、一生続く可能性がある」と話している。 ビタミンDは、人間の皮膚が日光(紫外線)を浴びると生成されるため「太陽のビタミン」とも呼ばれ、骨の発達と健康に重要な役割を果たすことが知られている。具体的には、ビタミンDは、丈夫な骨、歯、筋肉の健康に必要なミネラルであるカルシウムとリン酸のレベルを調節する働きを持つ。 今回の研究では、妊娠14週未満で単胎妊娠中の英国の妊婦(体内でのビタミンDの過不足の指標である血液中の25-ヒドロキシビタミンD濃度が25~100nmol/L)を対象に、妊娠中のビタミンD摂取と子どもの骨の健康との関連がランダム化比較試験により検討された。対象とされた妊婦は、妊娠14~17週目から出産までの期間、1日1,000IUのコレカルシフェロール(ビタミンDの一種であるビタミンD3)を摂取する群(介入群)とプラセボを摂取する群(対照群)にランダムに割り付けられた。これらの妊婦から生まれた子どもは、4歳および6~7歳のときに追跡調査を受けた。 6〜7歳時の追跡調査を受けた454人のうち447人は、DXA法(二重エネルギーX線吸収法)により頭部を除く全身、および腰椎の骨の検査を受け、骨面積、骨塩量(BMC)、BMD、および骨塩見かけ密度(BMAD)が評価された。解析の結果、介入群の子どもではプラセボ群の子どもと比較して、6〜7歳時の頭部を除く全身のBMCが0.15標準偏差(SD)(95%信頼区間0.04~0.26)、BMDが0.18SD(同0.06~0.31)、BMADが0.18SD(同0.04~0.32)、除脂肪体重が0.09SD(同0.00~0.17)高いことが明らかになった。 こうした結果を受けてMoon氏は、「妊婦に対するビタミンD摂取による早期介入は、子どもの骨を強化し、将来の骨粗鬆症や骨折のリスク低下につながることから、重要な公衆衛生戦略となる」と述べている。 では、妊娠中のビタミンD摂取が、どのようにして子どもの骨の健康に良い影響を与えるのだろうか。Moon氏らはサウサンプトン大学のニュースリリースで、2018年に同氏らが行った研究では、子宮内の余分なビタミンDが、「ビタミンD代謝経路に関わる胎児の遺伝子の活動を変化させる」ことが示唆されたと述べている。さらに、2022年に同氏らが発表した研究では、妊娠中のビタミンD摂取により帝王切開と子どものアトピー性皮膚炎のリスクが低下する可能性が示されるなど、妊娠中のビタミンD摂取にはその他のベネフィットがあることも示唆されているという。

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高用量ビタミンDは心血管マーカーを低下させるか

 観察研究において、血清ビタミンD値が低い高齢者の心血管疾患(CVD)リスクが高いことが示されているが、ランダム化比較試験ではビタミンDサプリメントによるCVDリスクの低下効果は実証されていない。今回、米国・ハーバード大学医学部のKatharine W Rainer氏らの研究で、高用量ビタミンD投与は低用量ビタミンD投与と比較し、血清ビタミンD値が低い高齢者の潜在的心血管マーカーに影響を与えなかったことが明らかになった。American Journal of Preventive Cardiology誌オンライン版2024年12月号掲載の報告。 STURDY試験は、潜在的なCVDを特徴付ける心血管マーカーの高感度心筋トロポニン(hs-cTnI)とN末端プロb型ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)が、高用量ビタミンD投与によって低下するかを検証するため、ビタミンD3を4用量(200、1,000、2,000、4,000IU/日)で投与し、効果を検証する二重盲検ランダム化適応型試験で、本研究はこのSTURDY試験の付随研究であった。血清25-ヒドロキシビタミンD(25[OH]D)濃度が低く(10~29ng/mL)、転倒リスク予防のためにビタミンDを投与された高齢者を低用量治療群(200IU/日)と高用量治療群(1,000IU以上/日)に割り付け、Hs-cTnI値およびNT-proBNP値をベースライン、3ヵ月、12ヵ月、24ヵ月のタイミングで測定した。主要評価項目は最初の転倒または死亡までの時間であった。なお、ビタミンDの投与量によるバイオマーカーへの影響は、回帰分析であるトービットモデルを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・解析対象者688例の平均年齢±SDは76.5±5.4歳で、女性が43.6%、CVD既往歴を有する者は29.4%であった。・hs-cTnIは低用量群で5.2%、高用量群で7.0%の増加がみられた。・NT-proBNPではそれぞれ11.3%と9.3%の増加がみられた。・調整モデルではベースラインの血清25[OH]D値はベースラインのHs-cTnIと関連していなかった。・低用量群と比較して高用量のhs-cTnIは1.6%差(95%信頼区間[CI]:-5.3~8.9)、NT-proBNPは-1.8%差(95%CI:-9.3~6.3)であった。・いずれのマーカーにおいても、3ヵ月後、12ヵ月後、24ヵ月後に有意な変化はみられなかった(Hs-cTnI:傾向のp=0.21、NT-proBNP:傾向のp=0.38)。 研究者らは、「ビタミンD値とhs-cTnIの間には逆相関関係があるものの、ビタミンD3の投与量を増やしても時間経過に伴うhs-cTnIの改善は見られなかった。本結果は、CVDイベントを予防するためにビタミンD3の高用量使用を支持するものではない」としている。

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ビタミンD値が低いとサルコペニアのリスクが高い可能性

 血清ビタミンD値が低い高齢者は骨格質量指数(SMI)が低くて握力が弱く、サルコペニアのリスクが高い可能性のあることが報告された。大阪大学大学院医学系研究科老年・総合内科学の赤坂憲氏らの研究結果であり、詳細は「Geriatrics & Gerontology International」に8月1日掲載された。 サルコペニアは筋肉の量や筋力が低下した状態であり、移動困難や転倒・骨折、さらに寝たきりなどのリスクが高くなる。また日本の高齢者対象研究から、サルコペニア該当者は死亡リスクが男性で2.0倍、女性で2.3倍高いことも報告されている。 サルコペニアの予防・改善方法として現状では、筋肉に適度な負荷のかかる運動、および、タンパク質を中心とする十分な栄養素摂取が推奨されており、治療薬はまだない。一方、骨粗鬆症治療薬として用いられているビタミンD(VD)に、サルコペニアに対する保護的作用もある可能性が近年報告されてきている。ただし、一般人口におけるVDレベルとサルコペニアリスクとの関連は不明点が少なくない。これを背景として赤坂氏らは、東京都と兵庫県の地域住民対象に行われている高齢者長期縦断研究(SONIC研究)のデータを用いて、年齢層別に横断的解析を行った。 SONIC研究参加者のうち、年齢層で分けた際のサンプル数が十分な70歳代(平均年齢75.9±0.9歳、男性54.2%)と、90歳代(92.5±1.6歳、男性37.5%)を解析対象とした。全員が自立して生活していた。 血清25(OH)D(以下、血清VDと省略)の平均は、70歳代では21.6±5.0ng/mLであり、35.8%が欠乏症(20ng/mL未満)だった。90歳代では平均23.4±9.1ng/mLであり、43.8%が欠乏症だった。なお、VDは日光曝露によって皮膚で生成されるため、日照時間の違いを考慮して季節性を検討したところ、70歳代の男性では、冬季測定群に比べて夏季測定群の方が有意に高値だった。 サルコペニアのリスク評価に用いられている、SMI、握力、歩行速度、および、BMIや血清アルブミン、血清クレアチニンと、血清VDとの関連を単回帰分析で検討すると、年齢層にかかわらず、SMIと握力が血清VDと有意に正相関し、その他の因子は関連が見られなかった。それぞれの相関係数(r)は、以下の通り。70歳代の血清VDとSMIは0.21、血清VDと握力は0.30(ともにP<0.0001)、90歳代の血清VDとSMIは0.29(P=0.049)、血清VDと握力は0.34(P=0.018)。 続いて、SMIおよび握力を従属変数、性別を含むその他の因子を独立変数とする重回帰分析を施行した。その結果、70歳代のSMIについては、血清VDが有意な正の関連因子として特定された(β=0.066、P=0.013)。一方、70歳代の握力に関しては、血清VDは独立した関連が示されなかった。また90歳代では、SMI、握力ともに血清VDは独立した関連因子でなかった。 著者らは本研究の限界点として、横断的解析であり因果関係は不明なこと、日光曝露時間や栄養素摂取量が測定されていないことなどを挙げた上で、「地域在住の自立した高齢者では、血清VDレベルはSMIや握力と関連しているが、歩行速度とは関連のないことが明らかになった。この結果は90歳代よりも70歳代で明確だった」と総括。また、「さらなる研究が必要だが、血清VDレベルを維持することが骨格筋量の維持に寄与する可能性があるのではないか」と付け加えている。

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ビタミンB1が便秘リスクを軽減、とくに有効な人は?

 これまでの多くの研究から、食事からの微量栄養素の摂取と便秘発生との相関関係が示されている。中国・蘇州大学付属病院Wenyi Du氏らは、国民健康栄養調査(NHANES)の成人参加者におけるデータを用い、食事におけるビタミンB1摂取と慢性便秘との関連を調べた。BMC Gastroenterology誌2024年5月17日号の報告。 2005~10年に実施されたNHANESのデータを使用した。ビタミンB1摂取に関するデータは24時間の総栄養摂取量インタビューを通じて収集された。参加者はデータ収集前の30日間に記録された糞便の特徴と排便頻度に関する情報を提供し、便秘は排便頻度(週3回未満)または便の硬さ(ブリストル便スケールタイプ1または2)によって判定された。ビタミンB1摂取量に基づいて低量群(0.064~1.20mg)、中量群(1.21~1.75mg)、多量群(1.76~12.61mg)の3群に分け、年齢、性別、人種、BMI、婚姻状況、アルコール摂取、喫煙状況、世帯収入と貧困率の比率(PIR)、既存の併存疾患、食事摂取因子で調整した。 主な結果は以下のとおり。・対象となった成人1万371例のうち1,123例(10.8%)が慢性便秘症だった。多重ロジスティック回帰分析により、ビタミンB1の食事摂取量の増加が便秘のリスク低下と有意に関連していることが示された(オッズ比[OR]:0.87、95%信頼区間[CI]:0.77~0.99)。・ビタミンB1摂取量が多いほど、便秘の発生率が有意に低下した。便秘の有病率は多量群では7.69%、中量群では10.7%、低量群では14.09%だった。・サブグループ分析により、ビタミンB1摂取量と便秘有病率に有意な逆相関が見られるグループが特定された。男性は20%、高血圧のない人は16%、糖尿病のない人は14%、それぞれ便秘リスクが減少することが判明した。 研究者らは「この研究で、食事中のビタミンB1の摂取と慢性便秘の発生との間に逆相関があることが明らかになった。この関連は、食事によるビタミンB1の摂取量を増やすと便が柔らかくなり、腸の運動が活発になり、便秘症状が緩和される可能性があることを示唆している。医療専門家は、医学的介入に先立つ初期治療アプローチとして、バランスの取れた食事の促進を優先するようアドバイスすべきだ」としている。

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大田原症候群〔OS:Ohtahara syndrome〕

1 疾患概要■ 定義大田原症候群は、1976年に大田原俊輔らが“特異な年齢依存性てんかん性脳症:The Early-Infantile Epileptic Encephalopathy with Suppression-Burst”として日本小児神経学研究会(現 日本小児神経学会)機関誌に報告し1)、2001年に国際抗てんかん連盟(ILAE)によって公式に“Ohtahara syndrome”と称された。乳児早期(多くは新生児期)に発症し、頻回の強直発作もしくはてんかん性スパズムとサプレッション・バーストとよばれる脳波所見を特徴とする。■ 疫学発生頻度は、ウエスト症候群の約1/40以下と推測され、国内の患者数は数百人と考えられる。■ 病因遺伝素因が最も多く、次いで脳形成異常が多い(表)。2007年に介在ニューロンの発生に関与するARX遺伝子の変異が2家系で同定され、その後、STXBP1、KCNQ2、SCN2A、GNAO1など多数の原因遺伝子が同定されている。脳形成異常では、片側巨脳症や限局性皮質異形成、孔脳症などが多い。ミオクロニー発作主体だが、サプレッション・バーストの脳波所見が共通する早期ミオクロニー脳症は、非ケトン性高グリシン血症、ミトコンドリア異常症、ビタミンB6依存性脳症などの代謝障害が多い(後述の分類の項を参照)。表 大田原症候群の病因画像を拡大する■ 症状新生児期にてんかん発作を来し、その後発達遅滞が現れる。てんかん発作は強直発作とてんかん性スパズムが特徴である。てんかん性スパズムは、群発(シリーズ形成)よりも単発が多い。発作は1日に数〜数十回、時に数百回と頻回で、睡眠・覚醒を問わず認められる。焦点性運動発作が1/3から約半数に認められる。ミオクロニー発作はまれであり、早期ミオクロニー脳症との鑑別点になっている。しかし、同一症例でも経過中にスパズム主体の時期とミオクローヌス主体の時期が前後することもあり、時期によって大田原症候群と早期ミオクロニー脳症の併発もあり得る。てんかん発作の他に、知的障害、運動障害を併発することが多い。また、基礎疾患による併発症状を示す。■ 分類2022年にILAEによるてんかん症候群の分類が大幅に改訂された。新生児期にサプレッション・バーストを示し、ミオクロニー発作を主体とする早期ミオクロニー脳症と強直発作を主体とする大田原症候群が統合され、「早期乳児発達性てんかん性脳症:early infantile developmental and epileptic encephalopathy(EIDEE)」と呼ばれる2)。■ 予後てんかん発作は難治であり、乳児期にはてんかん性スパズムの群発傾向が強くなり、脳波はヒプスアリスミアに変容し、約3/4の症例はウエスト症候群(現在の呼称は「乳児てんかん性スパズム症候群」)に移行する。てんかん発作が抑制された場合でも、知的障害を併発することが多く、その程度も一般に重度である。また、自閉症や多動など併発症も多い。重症例では運動障害を呈し、全介助が必要になる。少数ながら正常発達例も報告されている。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)検査で最も重要なのは、「サプレッション・バースト」と呼ばれる発作間欠期の脳波パターンである(図)。数秒間のサプレッション(平坦)相と数秒間の150~300μVの不規則な高振幅徐波に棘波が混入するバースト(群発)相が交互に出現する。通常は広汎性であるが、脳梁欠損を伴うアイカルディ症候群などでは左右で非同期性に認められる。ヒプスアリスミアへの移行過程では、平坦相にθ波やδ波が混入し、持続時間が短くなり、ヒプスアリスミアの脱同期desynchronizationと区別が難しくなる。原因検索として頭部MRIと代謝スクリーニングが必須である。代謝異常の鑑別として、ミトコンドリア異常に対する髄液の乳酸/ピルビン酸とグリシン脳症に対する髄液/血漿グリシン濃度比を確認する。MRIと代謝に異常がなければ、遺伝子検査(国内では厚労科研の研究班で実施)が望ましい。図 大田原症候群でみられる脳波のサプレッション・バーストパターン画像を拡大する双極誘導。9秒間の平坦なサプレッション相の前後に3秒間の棘波や徐波のてんかん様放電が群発するバースト相が認められる。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)現時点では特定の治療薬はないが、症例によってビタミンB6、フェノバール大量療法、バルプロ酸Na、ケトン食が有効である。片側巨脳症や限局性皮質異形成は、早期に外科手術を考慮する。KCNQ2変異による大田原症候群では、大田原症候群の治療には一般に用いられないカルバマゼピンやフェニトインなどNaチャネルの阻害作用を有する薬剤がてんかん発作の抑制に有効である3)。4 今後の展望原因によって、分子標的治療薬や遺伝子治療、アンチセンスオリゴヌクレオチド治療の開発が行われている4)。5 主たる診療科小児科、神経小児科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 大田原症候群(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)小児慢性特定疾病 大田原症候群(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)日本小児神経学会(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)厚労科研難治性疾患政策研究事業「稀少てんかんの診療指針と包括医療の研究」班 てんかんの難病ガイド(医療従事者向けのまとまった情報)1)大田原俊輔ほか. 脳と発達. 1976;8:270-280.2)Zuberi SM, et al. Epilepsia. 2022;63:1349-1397.3)Kato M, et al. Epilepsia. 2013;54:1282-1287.4)Kato M, et al. Ann Clin Transl Neurol. 2022;9:181-192.公開履歴初回2024年10月24日

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掌蹠角化症〔PPK:palmoplantar keratoderma〕

1 疾患概要■ 概念・定義掌蹠角化症は、手掌と足底の高度な過角化を主な臨床症状とする疾患群である。主として遺伝的素因により生じるが、非遺伝性の病型もある。掌蹠角化症の中には、掌蹠角化症の皮膚症状に加えて、がんあるいは他臓器の異常を伴うまれな遺伝性疾患も存在し、このような疾患群は掌蹠角化症症候群と呼ばれる。これらの合併症が重篤になると生命予後が悪化する。臨床所見ならびに病理組織像の検討のみから病型を決定するのは困難な場合が多く、遺伝歴の詳細な聴取、最終的には遺伝子変異の同定が必要となる。■ 疫学長島型掌蹠角化症の頻度は、日本および中国ではそれぞれ1万人当たり1.2人ならびに3.1人と見積もられている。ボスニア型掌蹠角化症の頻度はスウェーデンの北部(ボスニア湾沿岸地域)で、一般人口当たり0.3~0.55%(1万人当たり30~55人)と報告されている。筆者らは、2015年に掌蹠角化症の患者数についての全国1次アンケート調査を行った。全国の500床以上の病院の皮膚科ならびに小児科にアンケート用紙を送付して掌蹠角化症全国疫学調査を施行した。この調査では、過去5年間に期間を限定し、掌蹠角化症患者の家系の数、患者数を回答してもらうようにした。型が明らかな家系についてはそれぞれの型の家系の数、患者数の記載を依頼した。また、自由記載欄も設け、アンケート調査についての感想・要望などを記載も求めた。全国690施設の皮膚科ならびに小児科にアンケート用紙を送付した。うち325施設より回答を得た。病型が明らかな家系は113家系、患者数は147例(人口100万人当たり1.2人)であった。約9割は大学病院にて診断されていた。人口100万人当たりの患者数でみると、青森県が最多で、100万人当たり30.6人であった。■ 病因掌蹠角化症を構成するそれぞれの疾患は、大部分が遺伝性疾患である。原因遺伝子に遺伝子変異が生じることにより個々の疾患が引き起こされる。現在、個々の疾患の遺伝子変異は(掌蹠角化症を構成する)大多数の疾患において同定されている。■ 症状手掌と足蹠の過角化が存在する。過角化の程度や罹患部位は、個々の病型により異なる。過角化の状態も病型によりさまざまである。過角化の臨床症状に加え、手掌と足蹠の潮紅を伴う病型(わが国では最も多い病型である長島型掌蹠角化症)もある。■ 分類日本皮膚科学会作成の「掌蹠角化症診療の手引き」では、(1)びまん性角化を示す掌蹠角化症、(2)限局型・先天性爪甲肥厚症・線状・点状掌蹠角化症、(3)掌蹠角化症症候群の3群に分類している。びまん性角化を示す掌蹠角化症には8疾患、限局型・先天性爪甲肥厚症・線状・点状掌蹠角化症には9疾患、掌蹠角化症症候群には22疾患が含まれている。■ 予後びまん性角化を示す掌蹠角化症、限局型・先天性爪甲肥厚症・線状・点状掌蹠角化症は、生命予後は良い。掌蹠角化症症候群のうち、がん、拡張型心筋症を合併するものがあり、これらの疾患を合併すると予後不良である。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)図の病型診断アルゴリズムにしたがって、おおよその病型の見当を付ける。これは外来において視診で行える。Transgrediensとは、掌蹠を超えて、指趾背側や手首、足首、アキレス腱部にまで皮疹が拡大していることである。日本皮膚科学会の掌蹠角化症診療の手引きを参考にすると、調べるべき原因遺伝子が判明する。上記の臨床的診断に引き続いて、患者より採血を行い、白血球よりDNAを抽出、病型の原因遺伝子の塩基配列を決定する。病因遺伝子変異を同定することが出来れば、病型が診断できる。可能であれば、家族の遺伝子変異同定も診療上非常に有益である。。家系図を描くことができれば、遺伝形式が判明し、確定診断に役立つとともに、患者ならびに家族に対して遺伝カウンセリングを行うことができる。図 (遺伝性・非症候性)掌蹠角化症の病型診断アルゴリズム画像を拡大する3 治療 (治験中・研究中のものも含む)掌蹠角化症は症例数が少なく、大規模な治験が不可能である。そのためエビデンスレベルの高い治療法は確立されていない。現在、有効とされている治療法は、症例報告に基づくものである。1)外用療法サリチル酸ワセリンや尿素軟膏などの角質溶解剤の塗布やカルシポトリオール含有軟膏の塗布を行う。2)皮膚切削術コーンカッター、長柄カミソリ、生検用パンチ、眼科剪刀などを用いて肥厚した角質を除去する。3)内服療法レチノイド内服を行う。ただし、この薬剤には催奇形性があるので、妊婦または妊娠している可能性のある女性には投与してはならない。また、エトレチナートに対し、過敏症の既往歴のある患者、肝障害のある患者、腎障害のある患者、ビタミンA製剤投与中の患者、ビタミンA過剰症の患者には禁忌である。エトレチナートを処方するときには、処方のたびに所定の様式の文書での同意を得る。4)合併症に対する治療絞扼輪や皮膚がんなどの合併症に対しては早期発見に留意し、外科的に対処する。難聴、食道がん、歯周病、心筋症、真菌症、細菌感染症などの合併症に対しては専門医に治療を依頼すると同時に適切な抗真菌薬や抗生物質の投与などを行う。5)患者自身によるケア掌蹠に亀裂ができて疼痛をともなう場合、長柄カミソリなどを用いて、角質を削り、就寝時にワセリンを使用して密封療法(ODT)を行う。掌蹠の亀裂がなくなり、疼痛がやわらぐ。4 今後の展望核酸医薬低分子干渉RNA(siRNA)を用いる治療法も報告されている。KRT6A遺伝子に対するsiRNAを用いて、培養ヒト表皮角化細胞とマウスの皮膚におけるケラチン6aタンパク質の発現を抑制したという報告もある。この治療法は、先天性爪甲厚硬症患者にも使用されており、将来実行可能な方法であるがいまだ明らかになっていない部分もある。リードスルー薬を治療に用いたという報告もある。5例の長島型掌蹠角化症の患者に対してリードスルー薬としてゲンタマイシンを使用して有効であったという報告もあるが、報告例が少なく現時点ではその有効性についての結論は出ていない。ただ、ゲンタマイシンは安全かつ簡便に使用が可能で、本症以外の疾患でも効果が期待されているので、将来有望な治療薬であろう。5 主たる診療科皮膚科、小児科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 掌蹠角化症(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)掌蹠角化症診療の手引き(医療従事者向けのまとまった情報)公開履歴初回2024年10月14日

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ビタミンC摂取と片頭痛との関係

 これまでの研究で、ビタミンCが片頭痛の発症や重症度の低下と関連している可能性が示唆されているが、サンプル数が少なく、このエビデンスは限られている。中国・Sichuan Mental Health CenterのDehua Zhao氏らは、一般集団における食事中のビタミンC摂取と片頭痛との関連を明らかにするため、横断的研究を実施した。Journal of Human Nutrition and Dietetics誌オンライン版2024年9月10日号の報告。 1999〜2004年の国民健康栄養調査(NHANES)データを用いた。過去3ヵ月以内に重度の頭痛または片頭痛を経験した患者を、片頭痛患者として分類した。食事中のビタミンC摂取量は、24時間食事想起システムを用いて評価した。食事中のビタミンC摂取量と片頭痛との関連を評価するため、ロジスティック回帰モデル、制限付き3次スプライン(RCS)回帰、層別分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・本研究の参加者4,101例中、片頭痛患者は702例(17.12%)であった。・人口統計学的共変量、ライフスタイル共変量、臨床検査値、身体検査、身体活動、食事共変量、合併症で調整した後、食事中のビタミンC摂取と片頭痛との間に逆相関があることが明らかとなった(オッズ比[OR]:0.89、95%信頼区間[CI]:0.83〜0.96、p=0.002)。・ビタミンC摂取量で分類すると、ビタミンC摂取量が最も多い(Q4)場合、最も少ない場合(Q1)と比較し、片頭痛の調整済みORは0.64(95%CI:0.49〜0.84)であった(p=0.001)。・RCS回帰分析では、食事中のビタミンC摂取量と片頭痛との間に、直線的な逆相関が認められた(Pnon-linearity=0.449)。・結果には一貫性が認められ、異なるグループ間で有意な相互作用が認められなかった。 著者らは「食事中のビタミンC摂取量と片頭痛との逆相関が認められ、その関連性は、直線的な負の相関であることが明らかとなった」と結論付けている。

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高齢男性の筋肉量、食事摂取量に左右されず?

 地域在住高齢者の筋肉量の多寡と食事・栄養素摂取量の関係を、性別に検討した結果が報告された。女性で筋肉量の少ない人は食事摂取量が少ないが、男性はそのような差がないという。順天堂大学大学院医学研究科代謝内分泌内科学の加賀英義氏らの研究によるもので、詳細は「BMC Geriatrics」に7月18日掲載された。著者らは、性差に配慮したサルコペニア予防戦略の必要性を指摘している。 高齢社会の進展とともにサルコペニア(筋肉量や筋力低下)対策が公衆衛生上の喫緊の課題となっている。筋肉量や筋力を高めるために、タンパク質を中心とする十分な栄養素摂取が推奨されているが、高齢者の筋肉量と栄養素摂取量の関連については不明点も残されている。そこで加賀氏らは、都市在住高齢者コホート研究である「文京ヘルススタディ」のベースラインデータを横断的に解析し、詳細な検討を行った。 解析対象は東京都文京区に住む65~84歳の高齢者1,618人(平均年齢73.1±5.4歳、男性42.0%)。生体インピーダンス法で測定した四肢骨格筋量を基に骨格筋量指数(SMI)を算出し、アジアのサルコペニア診断基準(男性は7.0kg/m2未満、女性は5.7kg/m2未満)に基づいて二分すると、男性の31.1%、女性の43.3%が低SMIと判定された。男性・女性ともに低SMI群は、年齢が高く、BMIが低値だった。ただし体脂肪率については、女性は低SMI群で低値だったが(29.6対32.7%、P<0.001)、男性は有意差がないという(24.3対24.6%、P=0.544)、性別による違いが認められた。 食事・栄養素摂取量は、簡易型自記式食事歴質問票で調査した。年齢、身長、体重、身体活動量で調整後、女性は低SMI群の方が、摂取エネルギー量と主要栄養素(炭水化物、タンパク質、脂質)の摂取量が有意に少なく、また微量栄養素(ビタミン、ミネラル)についてもその多くで、低SMI群の摂取量が有意に少なかった。その一方、男性では、低SMI群と高SMI群とで摂取エネルギー量や主要栄養素の摂取量に有意差がなく、また大半の微量栄養素の摂取量も有意差がなかった(マンガンと銅のみ低SMI群で低値)。 食品の摂取量を比べた場合、男性は全ての食品群で差が観察されなかった。女性では、脂肪分の多い魚や豆腐、油揚げは低SMI群の摂取量が少なく、反対に小麦製品の摂取量は高SMI群の方が少なかった。 著者らは本研究が横断研究であるという限界点を挙げた上で、「都市在住高齢者の筋肉量の多寡と食事・栄養素摂取量の関係には性差が存在しており、サルコペニア予防のための栄養介入では性別を考慮する必要があるのではないか。女性に対しては摂取エネルギー量を全体的に増やすようにアドバイスすることが重要と考えられる」と結論付けている。他方、男性については低SMI群と高SMI群とで摂取エネルギー量および、ほぼ全ての栄養素・食品の摂取量に有意差が認められなかったため、「サルコペニアの予防法を探るさらなる研究が必要」としている。 なお、論文の考察では、男性において食事や栄養素の摂取量に差がないにもかかわらずSMIに差が生じるメカニズムとして、消化・吸収や体タンパク質の同化・異化の違いなどが関与している可能性が述べられている。また、有意水準未満ながら、低SMI群では米の摂取量が少ない一方でパンの摂取量が多く、さらに動物性タンパク質の摂取量も非有意ながら低SMI群で少なかったことなどが記されている。

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9月20日 子供の成長啓発デー【今日は何の日?】

【9月20日 子供の成長啓発デー】〔由来〕内分泌疾患の患者や家族の支援団体で構成する国際組織“International Coalition of Organizations Supporting Endocrine Patients(ICOSEP)”が設立された日を記念し、2013(平成25)年に「子どもの成長啓発デー実行委員会」が制定。子どもの内分泌疾患に関する正しい知識の普及、内分泌疾患の早期発見・早期治療の促進、成長曲線の普及と利用促進を目的に啓発活動が行われている。関連コンテンツビタミンD依存症【希少疾病ライブラリ】週1回投与のヒト成長ホルモン製剤「ソグルーヤ皮下注5mg/10mg」【下平博士のDIノート】見分けづらい・見逃しやすい酵素欠損がもたらす疾患『ムコ多糖症』

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TAVI周術期の経口抗凝固薬、継続vs.中断/NEJM

 経口抗凝固療法の適応を有する経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)施行患者において、周術期の経口抗凝固薬継続は中断と比較し、TAVI後30日以内の心血管死、全脳卒中、心筋梗塞、主要血管合併症または大出血の複合アウトカムに関する非劣性は認められなかった。オランダ・St. Antonius HospitalのDirk Jan van Ginkel氏らが、欧州22施設で実施された医師主導の無作為化非盲検非劣性試験「Periprocedural Continuation versus Interruption of Oral Anticoagulant Drugs during Transcatheter Aortic Valve Implantation trial:POPular PAUSE TAVI試験」の結果を報告した。TAVIを受ける患者の3分の1は、併存疾患のため経口抗凝固薬の適応がある。TAVI中の経口抗凝固薬中断は出血リスクを軽減する可能性がある一方で、継続は血栓塞栓性イベントのリスクを軽減する可能性があった。NEJM誌オンライン版2024年8月31日号掲載の報告。約869例を無作為化、主要アウトカムは心血管死、全脳卒中、心筋梗塞等の複合 研究グループは、長期間経口抗凝固薬の投与を受けており大腿動脈または鎖骨下動脈アプローチによるTAVIを受ける予定の患者を、周術期に経口抗凝固薬を継続する群または中断する群に、施設および経口抗凝固薬の種類(ビタミンK拮抗薬、直接経口抗凝固薬)で層別化して1対1の割合で無作為に割り付けた。 中断群では、ダビガトラン投与中の腎不全合併患者を除き、直接経口抗凝固薬を投与中の患者はTAVIの48時間前、ダビガトラン投与中でeGFRが50~80mL/分/1.73m2の患者は72時間前、同30~50mL/分/1.73m2未満の患者は96時間前に中断した。ビタミンK拮抗薬投与中の患者では、acenocoumarolはTAVIの72時間前、phenprocoumonおよびワルファリンは120時間前に中断した。ヘパリンまたは低分子ヘパリンによるブリッジングは開始しなかった。TAVI後は、いずれも術者または担当医が安全と判断した時点で再開した。 継続群では、TAVI当日も含めて経口抗凝固薬を継続した。 主要アウトカムは、TAVI後30日以内の心血管死、全脳卒中、心筋梗塞、主要血管合併症、または大出血(VARC-3基準の2以上)の複合であった。主要解析は、無作為割り付けされた全患者のうち、TAVIが予定日の5日以上前にキャンセルされた患者を除いた修正ITT集団を対象とした。 2020年11月~2023年12月に計869例が無作為に割り付けられ(継続群435例、中断群434例)、858例が修正ITT集団となった(それぞれ431例、427例)。16.5% vs.14.8%、継続群の非劣性は示されず 主要アウトカムの複合イベントは、継続群で71例(16.5%)、中断群で63例(14.8%)に発生した。絶対群間差(リスク差)は1.7%ポイント(95%信頼区間[CI]:-3.1~6.6、非劣性のp=0.18)で、事前に設定した非劣性マージン(4.0%)を満たさなかった。 副次アウトカムである血栓塞栓性イベントは、継続群で38例(8.8%)、中断群で35例(8.2%)に発生した(群間リスク差:0.6%ポイント、95%CI:-3.1~4.4)。また、全出血は、それぞれ134例(31.1%)、91例(21.3%)に認められた(9.8%ポイント、3.9~15.6)。 なお、著者は、非盲検試験であること、神経学的検査や神経画像検査は行われなかったこと、血栓塞栓症と出血の2つのアウトカムではなく主要複合アウトカムとして非劣性の検出力が設定されたこと、ほぼ全例で大腿動脈アプローチが用いられたため本結果をTAVIの他の血管アクセスアプローチに一般化できないことなどを、研究の限界として挙げている。

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貧血改善も期待できる骨髄線維症薬「オムジャラ錠100mg/150mg/200mg」【最新!DI情報】第22回

貧血改善も期待できる骨髄線維症薬「オムジャラ錠100mg/150mg/200mg」今回は、ヤヌスキナーゼ(JAK)/アクチビンA受容体1型(ACVR1)阻害薬「モメロチニブ塩酸塩水和物(商品名:オムジャラ錠100mg/150mg/200mg、製造販売元:グラクソ・スミスクライン)」を紹介します。本剤は約10年ぶりの骨髄線維症の新薬であり、抗腫瘍効果だけでなく、貧血改善効果も示すことが期待されています。<効能・効果>骨髄線維症の適応で、2024年6月24日に製造販売承認を取得し、同年8月15日より発売されています。<用法・用量>通常、成人にはモメロチニブとして200mgを1日1回経口投与します。なお、患者の状態により適宜減量します。<安全性>重大な副作用として、感染症(2.3%)、骨髄抑制(血小板減少症[18.3%]、貧血[5.8%]、好中球減少症[4.7%]など)、肝機能障害(6.4%)、間質性肺疾患(頻度不明)があります。その他の副作用として、悪心(10%以上)、ビタミンB1欠乏、頭痛、浮動性めまい、錯感覚、末梢性ニューロパチー、回転性めまい、霧視、低血圧、潮紅、咳嗽、下痢、腹痛、嘔吐、便秘、四肢痛、関節痛、疲労、無力症(いずれも1%以上~10%未満)、失神、血腫、発熱、挫傷(いずれも1%未満)があります。<患者さんへの指導例>1.この薬は、骨髄線維症にかかわるタンパク質(JAK)の働きを選択的に阻害することにより、脾臓の腫れ(脾腫)を縮小します。また、骨髄線維症に伴う貧血にかかわるタンパク質(ACVR1)の働きを選択的に阻害することにより、血液中の鉄分を増やして造血を促します。2.体の抵抗力が弱まり、感染症(発熱、寒気、体がだるいなど)にかかりやすくなることがあります。人ごみを避けるなど、感染症にかからないように気をつけてください。3.帯状疱疹が現れることがあります。初期症状が現れた場合は、ただちに医師に連絡してください。4.妊婦または妊娠している可能性がある人は医師に相談してください。5.セント・ジョーンズ・ワートを含有する食品は、この薬の効果を下げる可能性があるので、控えてください。<ここがポイント!>骨髄線維症(MF)は、骨髄に広範な線維化を来す疾患の総称であり、脾臓の腫れ、貧血および血小板減少症を含む血液細胞の産生異常、サイトカインの過剰産生による全身性炎症がみられる血液がんです。MFの罹患期間中に高度な貧血や血小板減少が生じると、輸血を含む追加の支持療法が必要となり、輸血依存の患者の予後は悪く、生存期間が短縮されることが示されています。モメロチニブは日本における約10年ぶりとなるMF治療の新薬です。ヤヌスキナーゼ(JAK)1およびJAK2阻害による腫瘍増殖抑制作用に加え、アクチビンA受容体1型(ACVR1)阻害による造血作用を有しています。既存薬であるルキソリチニブ(商品名:ジャカビ錠)では骨髄抑制による貧血が高頻度で認められますが、モメロチニブはACVR1阻害作用により、MF治療の重要な課題である貧血に対する効果も期待できます。JAK阻害薬による治療歴のないMF患者を対象とした国際共同第III相試験(SIMPLIFY-1試験)において、24週時の脾臓容積がベースラインから35%以上縮小した患者の割合(SRR)は、モメロチニブ群で26.5%、ルキソリチニブ群で29.5%、非劣性の群間差は9%(95%信頼区間[CI]:2~16、p=0.014)であり、両側95%CIの下限が0を上回ったため、ルキソリチニブに対する非劣性を示しました。日本人集団では、24週時のSRRはモメロチニブ群で50.0%、ルキソリチニブ群で44.4%でした。一方、24週時の輸血非依存割合では、モメロチニブ群で66.5%、ルキソリチニブ群で49.3%、割合の群間差は18%(95%CI:9~26、p<0.001:名目上のp値)でした。

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心筋梗塞既往の糖尿病患者へのキレーション療法、有効性は?/JAMA

 50歳以上の心筋梗塞既往の糖尿病患者において、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)キレーション療法はプラセボと比較し、血中鉛濃度が有意に低下したが、心血管イベントは減少しなかった。米国・マウントサイナイ医療センターのGervasio A. Lamas氏らが、米国とカナダの88施設で実施した「Trial to Assess Chelation Therapy 2:TACT2試験」の結果を報告した。2013年には、心筋梗塞既往患者1,708例を対象とした「TACT試験」で、EDTAキレーション療法により心血管イベントが18%有意に減少したことが報告されていた。JAMA誌オンライン版2024年8月14日号掲載の報告。主要エンドポイントは全死因死亡、心筋梗塞、脳卒中、冠動脈血行再建術、不安定狭心症による入院の複合 研究グループは、登録の少なくとも6週間前に心筋梗塞の既往がある50歳以上の糖尿病患者を、2×2要因デザイン法を用いて、EDTAキレーション療法群とプラセボ点滴静注群(いずれも週1回3時間の点滴静注を計40回)、または高用量マルチビタミン・ミネラル経口投与群とプラセボ経口投与群(1日2回60ヵ月間経口投与)に無作為に割り付けた。本論文ではキレーション療法群とプラセボ点滴静注群の比較について報告されている。 EDTAキレーション溶液は、推定クレアチニンクリアランスに基づきEDTA-二ナトリウム最大3g、ならびにアスコルビン酸、塩化マグネシウム、プロカイン塩酸塩、未分画ヘパリン、塩化カリウム、炭酸水素ナトリウム(重炭酸ナトリウム)、パントテン酸、チアミン、ピリドキシンおよび注射用水で構成された。 主要エンドポイントは、全死因死亡、心筋梗塞、脳卒中、冠動脈血行再建術、不安定狭心症による入院の複合であった。 2016年10月27日~2021年12月31日に、1,000例がキレーション療法群(499例)またはプラセボ群(501例)に無作為に割り付けられた。最終追跡調査日は2023年6月30日であった。追跡期間4年の主要エンドポイント発生、キレーション療法群35.6% vs.プラセボ群35.7% 解析対象は、少なくとも1回試験薬の投与を受けた959例(キレーション療法群483例、プラセボ群476例)で、年齢中央値67歳(四分位範囲:60~72)、女性27%、白人78%、黒人10%、ヒスパニック20%であった。 追跡期間中央値48ヵ月において、主要エンドポイントはキレーション療法群で172例(35.6%)、プラセボ群で170例(35.7%)に発生した(補正後ハザード比[HR]:0.93、95%信頼区間[CI]:0.76~1.16、p=0.53)。Kaplan-Meier法による主要エンドポイントの推定5年累積発生率は、キレーション療法群45.8%(95%CI:39.9~51.5)、プラセボ群46.5%(39.7~53.0)であった。 主要エンドポイントの各イベントの発生率も治療群間で差はなかった。心血管死、心筋梗塞または脳卒中のイベントはキレーション療法群で89例(18.4%)、プラセボ群で94例(19.7%)に認められた(補正後HR:0.89、95%CI:0.66~1.19)。全死因死亡は、キレーション療法群で84例(17.4%)、プラセボ群で84例(17.6%)であった(0.96、0.71~1.30)。 血中鉛濃度中央値は、キレーション療法群ではベースラインの9.0μg/Lから、40回が終了した時点で3.5μg/Lに低下し(p<0.001)、プラセボ群ではそれぞれ9.3μg/L、8.7μg/Lであった。 重篤な有害事象は、キレーション療法群で81例(16.8%)、プラセボ群で79例(16.6%)にみられた。

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ビタミンDが2型糖尿病患者の心不全リスクを抑制

 2型糖尿病患者における血清25-ヒドロキシビタミンD(25[OH]D)と心不全リスクとの関連性を調査した結果、血清25(OH)D値が高いほど心不全リスクが低くなるという関連があり、メンデルランダム化(MR)解析では潜在的な因果関係が示唆されたことを、中国・Huazhong University of Science and TechnologyのXue Chen氏らが明らかにした。The American Journal of Clinical Nutrition誌オンライン版2024年7月23日号掲載の報告。 2型糖尿病患者は心不全の発症リスクが高く、またビタミンDの不足/欠乏を呈しやすいことが報告されているが、2型糖尿病患者における25(OH)Dと心不全リスクとの関連性に関するエビデンスはほとんどない。そこで研究グループは、2型糖尿病患者における血清25(OH)Dと心不全リスクとの関連性を前向きに評価し、さらに潜在的な因果関係を検討するためにMR解析を実施した。 観察研究は、英国バイオバンクに登録された40~72歳の2型糖尿病患者1万5,226例を対象に実施された。心不全の発症は電子健康記録で確認した。Cox比例ハザードモデルを用いて、2型糖尿病患者の血清25(OH)D値と心不全リスクの関連性についてハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を推定した。MR解析は、血縁関係のない2型糖尿病患者1万1,260例を対象に実施された。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時の血清25(OH)Dの平均値は43.4(SD 20.4)nmol/Lであった。・追跡期間中央値11.3年において、836件の心不全イベントが発生した。・血清25(OH)D値が高いほど心不全リスクが低くなるという非線形の相関関係があり、リスクの減少は50nmol/L付近で横ばいになる傾向があった。・25(OH)D値が25nmol/L未満の群と比較すると、50.0~74.9nmol/L群の多変量調整HRは0.67(95%CI:0.54~0.83)、75nmol/L以上群の多変量調整HRは0.71(95%CI:0.52~0.98)であった。・MR解析では、遺伝的に予測される25(OH)D値が7%増加するごとに、2型糖尿病患者の心不全リスクが36%低下することが示された(HR:0.64[95%CI:0.41~0.99])。 これらの結果より、研究グループは「これらの所見は、2型糖尿病患者の心不全予防において、適切なビタミンD状態の維持が重要な役割を果たすことを示している」とまとめた。

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産後うつ病リスクとビタミンDとの関連

 妊婦、産後女性、非産後女性、男性の抑うつ症状発現に対するビタミンDの影響を評価するため、米国・南イリノイ大学のVictoria Rose Barri Benters Hollinshead氏らは、血清ビタミンD濃度と抑うつ症状との関連を調査した。Nutrients誌2024年6月14日号の報告。 研究対象集団は、2007〜18年のNHANES公開データより抽出された20〜44歳の妊婦、産後女性、非産後女性(非妊婦/産後の女性)、男性。抑うつ症状、血清ビタミンD濃度、栄養摂取量、人工統計学的データなどの主観的な聴取データおよび客観的な臨床検査データを用いた。主成分分析を用いて2つの食事パターンを作成し、各サブグループのうつ病アウトカムを予測するため、ベイジアン多項モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・ビタミンDの対数傾斜パラメータの推定値は、すべてのコホートにおいてネガティブであり、ビタミンDが増加すると、うつ病割合の減少、非うつ病割合の増加が認められた。・妊婦コホートにおいて、ビタミンDの傾斜は最も急激であり、次いで産後女性、非産後女性、男性の順であった。・妊娠中および産後女性では、ビタミンD濃度が高いと、非産後女性および男性と比較し、うつ病リスクの減少に大きな影響が認められた。・産後女性において授乳中の女性は、授乳していない女性と比較し、ビタミンD濃度の高さとうつ病リスク減少により大きな影響が認められた。

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尿検体の迅速検査【とことん極める!腎盂腎炎】第5回

尿検査でどこまで迫れる?【後編】Teaching point(1)尿定性検査の白血球陽性反応の細菌尿に対する感度は70〜80%程度であり、白血球反応陰性で尿路感染症を除外しない(2)硝酸塩を亜硝酸塩に変換できない(もしくは時間がかかる)微生物による尿路感染症もあり、亜硝酸塩陰性で尿路感染症を除外しない(3)尿pH>8の際にはウレアーゼ産生菌の関与を考える《今回の症例》70代女性が昨日からの悪寒戦慄を伴う発熱を主訴に救急外来を受診した。いままでも腎盂腎炎を繰り返している既往がある。また糖尿病のコントロールは不良である。腎盂腎炎を疑い尿定性検査を提出したが、白血球反応は陰性、亜硝酸塩も陰性であった。今回は腎盂腎炎ではないのだろうか…?はじめに尿検査はさまざまな要因による影響を受けるため解釈が難しく、尿検査のみで尿路感染症を診断することはできない。しかし尿検査の限界を知り、原理を深く理解すれば重要な情報を与えてくれる。そこで、あえて尿検査でどこまで診断に迫れるかにこだわってみる。前回、「尿検体の採取方法と検体の取り扱い」「細菌尿と膿尿の定義や原因」について紹介した。今回は引き続き、迅速に細菌尿を検知するための検査として有用な尿定性検査(試験紙)や尿沈渣、グラム染色などの詳細を述べる。1.白血球エステラーゼ(試験紙白血球反応)尿定性検査での白血球の検出は、好中球に存在するエステラーゼが特異基質(3-N-トルエンスルホニル-L-アラニロキシ-インドール)を分解し、生じたインドキシルがMMB(2-メトキシ-4-Nホルモリノ-ベンゼンジアゾニウム塩)とジアゾカップリング反応し、紫色を呈することを利用している。そのため顆粒球しか検出できず、リンパ球には反応しない。多少崩壊した好中球や腟分泌物で偽陽性となりうる。糖>3g/dL、タンパク>500mg/dL、高比重、酸性化物質の混入(ケトン尿)などで偽陰性となる1)。尿試験紙を保存している容器の蓋が開いた状態で2週間以上放置すると試薬が変色し、約半数で亜硝酸は偽陽性となる2)のため注意が必要である。日本で市販されている白血球反応は、(±):10〜25個/μL、(1+):25〜75個/μL、(2+):75〜250個/μL、(3+):500個/μLに相当する(尿沈渣鏡検での陽性と判定するWBC≧5/HPFは20個/μL相当)。2.亜硝酸塩尿定性検査の亜硝酸塩は、細菌の存在を間接的に評価する方法である。細菌が硝酸塩を還元し、亜硝酸塩とすることを利用して検出している。細菌の細胞質内に亜硝酸をつくる硝酸還元酵素もあるが、主にNap(periplasmic dissimilatory nitrate reductase)と呼ばれる酵素を有する細菌がperiplasmic space(細胞膜と細胞外膜の間)に亜硝酸塩を作った場合に検出できると考えられている3)。食品などから摂取した硝酸塩が尿中に存在すること、前述のような菌種が膀胱内に存在すること、尿路への貯留時間が4時間以上あることが必要である4)。腸内細菌目細菌やStaphylococcus属は硝酸塩を亜硝酸塩に還元でき、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)も還元できるが還元するのに時間がかかり、レンサ球菌や腸球菌は還元できない5)。硝酸塩を亜硝酸塩に変換できない微生物、pH<6.0、ウロビロノーゲン陽性、ビタミンC(アスコルビン酸)が存在する場合に偽陰性となる1)。血清ビリルビン値が高いときは、機序不明だが偽陽性が報告されている6)。3.尿pH意外に思われるかもしれないが、実は尿路感染症の診断において、尿定性検査での尿pHも有用である。尿pH<4.5もしくは>8.0の場合は生理的範囲では説明できない。尿路感染症の場合に酸性尿となることもあるが、臨床的意義が高いのはアルカリ尿のほうである。尿pH>8であれば、ウレアーゼ産生菌の関与を考える。細菌のもつウレアーゼが尿素を加水分解し、アンモニアが生成され尿pHが上昇する(図)7)。画像を拡大する代表的菌種はProteus mirabilis、Klebsiella pneumoniae、Morganella morganiiなど8)である。また、Corynebacterium属もウレアーゼを産生する。Escherichia coliはウレアーゼを産生することはなく、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、Enterococcus属も産生率は低い。尿路感染症での尿pHと培養結果を検討した研究では、pHが高いほどProteus mirabilisの頻度が高かったという報告もあり、実臨床でも起因菌の推定に有用である9)。また、尿pHが高いことは、リン酸マグネシウムアンモニウム結石(ストルバイトとも呼ばれる)ができやすいことにも関連する10)。グラム染色や尿沈渣でこれらを確認することで間接的に尿pHを予測することもできる。閉塞性尿路感染症+意識障害ではウレアーゼ産生菌による高アンモニア血症を鑑別する必要がある。4. 迅速検査の組み合わせから尿路感染症を診断するここまで各種検査の詳細について述べてきたが、いずれも単独で尿路感染症を診断できるものではない。しかしながら各種検査を正確に解釈し、組み合わせることで診断に迫ることができる。各種検査とその組み合わせによる診断特性についてまとめると表1~311-16)となる。画像を拡大する画像を拡大する画像を拡大する白血球反応は膿尿検出の感度・特異度は比較的高いが、陽性であれば尿路感染症であるというわけではなく、また白血球反応が陰性で尿路感染症状がある患者では、尿沈渣や尿培養を検討する必要がある。亜硝酸塩は感度が低く、陰性でも尿路感染症を否定できないが、陽性なら尿路感染症を強く疑う根拠とはなる。逆に白血球エステラーゼと亜硝酸塩がともに陰性であれば尿路感染症の可能性を下げる。尿沈渣は簡便性に劣るが信頼性が高く、白血球数や細菌数によって尿路感染症の可能性を段階的に評価できる。尿グラム染色は迅速に施行することができ、得られる情報量も多く、診断特性が高い検査の1つである。とくに尿沈渣の検査を夜間・休日に施行できない施設では大きな武器となる。おわりに逆説的ではあるが、あくまで検査所見のみをもって尿路感染症を診断することができないことは繰り返し述べておく。検査を適切に解釈し、病歴・身体診察と組み合わせることでより正確な診断に迫れることは忘れないでほしい。本項が検査の解釈の一助となれば幸いである。《今回の症例の診断》昨日より頻尿を認めており、左CVA叩打痛も陽性であった。尿グラム染色ではレンサ状のグラム陽性球菌を認めた。尿定性での白血球反応陽性の感度が70%程度であること、腸球菌やレンサ球菌では亜硝酸塩は陰性になることを鑑みて、臨床所見とあわせて腎盂腎炎の疑いで入院加療とした。翌日、尿培養からB群溶連菌を認め、これに伴う腎盂腎炎と診断した。1)Simerville JA, et al. Am Fam Physician. 2005;71:1153-1162.2)Gallagher EJ et al. Am J Emerg Med. 1990;8:121-123.3)Morozkina EV, Zvyagilskaya RA. Biochemistry. 2007;72:1151-1160.4)Wilson ML, Gaido L. Clin Infect Dis. 2004;38:1150-1158.5)Sleigh JD. Br Med J. 1965;1:765-767.6)Watts S, et al. Am J Emerg Med. 2007;25:10-14.7)Burne RA, Chen YY. Microbes Infect. 2000;2:533-542.8)新井 豊ほか. 泌尿器科紀要 1989;35:277-281.9)Lai HC, et al. J Microbiol Immunol Infect. 2021;54:290-298.10)Daudon M, Frochot V. Clin Chem Lab Med. 2015;53:s1479-1487.11)Ramakrishnan K, Scheid DC. Am Fam Physician. 2005;71:933-942.12)Zaman Z, et al. J Clin Pathol. 1998;51:471-472.13)Williams GJ, et al. Lancet Infect Dis. 2010;10:240-250.14)Whiting P, et al. BMC Pediatr. 2005;5:4.15)Meister L, et al. Acad Emerg Med. 2013;20:631-645.16)Ducharme J, et al. CJEM. 2007;9:87-92.

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CKD-MBDガイドライン改訂に向けて新たな治療の方向性を議論/日本透析医学会

 日本透析医学会による『慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常(CKD-MBD)の診療ガイドライン』の改訂に向けたポイントについて、2024年6月9日、同学会学術集会・総会のシンポジウム「CKD-MBDガイドライン 新時代」にて発表があった。 講演冒頭に濱野 高行氏(名古屋市立大学病院 腎臓内科・人工透析部)がCKD-MBDガイドライン改訂方針について、「CKD-MBDの個別化医療を目指して、さまざまなデータを解析して検討を積み重ねてきた。新しいガイドラインでは、患者の背景に合わせた診療の実現へつなげるためのユーザーフレンドリーな内容になるよう努めていきたい」とコメント。続いて、6人の医師が今後のCKD-MBDガイドライン改訂のポイントに関して解説した。CKD-MBDガイドライン改訂で実臨床に則したプラクティスポイント作成を目指す 保存期CKD-MBDについて、藤崎 毅一郎氏(飯塚病院 腎臓内科)から低カルシウム血症・高リン血症のプラクティスポイントに関する提案があった。低カルシウム血症では、「まずは補正カルシウム値を確認。その後、低カルシウム血症を誘発する薬剤の確認やintact PTH(iPTH)、リン、マグネシウムを測定し、二次性副甲状腺機能亢進症の確認を行ったうえで、カルシウム製剤または活性型ビタミンD製剤の投与を検討すること」とし、高リン血症に関しても補正カルシウム値の確認を行ったうえで、「低い場合にはカルシウム含有リン吸着薬、正常であれば鉄欠乏の有無を考慮したうえで鉄含有、非含有リン吸着薬の投与を検討すること」とコメントした。最後にガイドラインの改訂に向けて、「実臨床に則したプラクティスポイントの作成を目指して検討を続けていく」と述べた。CKD-MBDへの関心が低い医師でも使えるフローチャートを 血液透析患者における血清カルシウム、リンの管理目標値について、後藤 俊介氏(神戸大学医学部附属病院 腎臓内科 腎・血液浄化センター)から提案があった。理事会へ提出された素案によると、血清カルシウムの下限は8.4mg/dL以上のまま、上限に関しては9.5mg/dL未満、血清リンに関しても下限は3.5mg/dL以上のまま、上限は5.5mg/dL未満が管理目標値として検討されている。同氏は、血清カルシウム、リンの管理について、「カルシミメティクスや骨粗鬆症治療薬によってカルシウムが下がりやすい環境にもあるため、低カルシウム血症には注意すること。血清リンに関しては年齢や栄養状態をよく考慮して検討すること。原疾患が糖尿病、動脈硬化性疾患の既往がある場合には目標値の上限を下げて管理することも検討する必要がある」とコメント。また、「CKD-MBDにそれほど関心がない先生方にとっても、フローチャートなどを使って診療の手助けになるものを示していくことが大切である」と述べた。CKD-MBDガイドライン改訂で患者の背景に応じたリン低下薬選択を支援 前回のCKD-MBDガイドライン以降、多くのリン低下薬が登場し、患者に合わせた薬剤選択の重要性が注目されている。山田 俊輔氏(九州大学病院 腎・高血圧・脳血管内科)からは、患者特性に基づくリン低下薬の選択について提案があった。リン低下薬を選択する際の切り口として、「リン低下だけでなく薬剤による多面的な効果、便秘などの消化器症状、PPIやH2ブロッカーなど胃酸分泌抑制薬による影響、服薬錠数や医療経済など、リン低下薬の特性だけでなく患者背景に合わせて使い分けることが大切である」と改訂に向けたポイントを述べた。プラクティスポイントとして、リン低下薬選択に関するアプローチの仕方を示した「一覧表」の紹介もあった。同氏は一覧表に関して、「基本的には患者と相談してリン低下薬を選択していくことになるが、どうやって患者に合わせて使い分けていくべきか、視覚的にわかりやすいツールがあれば判断しやすいのではないか」とコメントした。PTHの管理・治療の個別化へ向けて 血液透析患者における副甲状腺機能の評価と管理について、駒場 大峰氏(東海大学医学部 腎内分泌代謝内科学)からPTHの管理を中心に提案があった。同氏は、「PTH管理においても治療の個別化が必要である」とし、管理目標値としてiPTH 240pg/mL以下の範囲で症例ごとに個別化すること、とコメントした。具体的には、骨折リスクの高い症例(高齢・女性・低BMI・骨代謝マーカー上昇)では管理目標値を低く設定する、カルシミメティクスを使用する場合にはiPTHの下限値を設けない、活性型ビタミンD製剤を単独で使用する場合は高カルシウム血症を避けるため下限値を60pg/mLとすることなどであった。内科的治療に関しては、PTHが管理目標値より高い場合には、血清カルシウム値や患者背景に基づいて活性型ビタミンD製剤、カルシミメティクスによって管理を検討すること、血清カルシウム値が管理目標値内にあって腫大腺や65歳以上、心血管石灰化、心不全リスク、骨折リスク、高リン血症を有するなど、1つでも該当する場合にはカルシミメティクスの使用や併用をより積極的に考慮することなどを挙げた。また、内科的治療に抵抗する重度の二次性副甲状腺機能亢進症の場合には副甲状腺摘出術の適応となるが、こちらも症例ごとに検討していく必要があると述べた。CKD-MBDにおける骨折リスクの評価・管理のポイントとは CKD-MBDにおける骨折リスクへの介入について、谷口 正智氏(福岡腎臓内科クリニック)からプラクティスポイントに関する解説があった。評価・管理のポイントとして、「脆弱性骨折の有無や骨密度検査および血清ALP値による骨代謝の評価を行い、骨折リスクが高い場合には、運動、転倒防止、栄養状態の改善、禁煙指導を実施したうえで、カルシミメティクスの投与を優先してPTHを低く管理することが重要である」とコメント。同氏は、それでも骨密度の改善が得られない、または骨代謝マーカーの亢進が認められる場合には、骨粗鬆症治療薬の投与を検討するよう提案した。また、透析・保存期CKD患者に対する骨粗鬆症治療薬の選択に関しては、使用制限や投与における注意点が薬剤別にまとめられた表を作成し、CKD患者においてリスクの高い骨粗鬆症治療薬もあるため、ヒートマップを活用する形で警鐘を鳴らしていくことなども必要であると述べた。CKD-MBDガイドライン改訂に向けた管理目標値の提案 腹膜透析患者におけるMBDについて、長谷川 毅氏(昭和大学 統括研究推進センター研究推進部門/医学部内科学講座腎臓内科学部門)からCKD-MBDガイドライン改訂に向けたポイントに関する解説があった。同氏は「リン低下薬に関しては十分なシステマティック・レビュー、メタ解析による報告がないため、血液透析患者での推奨に準拠すること。CKD-MBDの管理目標値に関しては、生命予後の観点から、リン、カルシウムを目標値内でも低めの値、残腎機能保護、血液透析への移行防止のために、リン、PTHを目標値内でも低めの値を目標とすること」と提案。また、プラクティスポイントとして、残腎機能のある症例でカルシミメティクスを使用することでリンの管理が難しくなる可能性があること、腹膜透析液のカルシウム濃度は血清カルシウム値、PTH値をみて選択することを挙げた。

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第196回 6月からの生活習慣病管理料の導入、新たな事務負担と実質的な減収に/厚労省

<先週の動き>1.6月からの生活習慣病管理料の導入、新たな事務負担と実質的な減収に/厚労省2.iPhoneにマイナンバーカード機能を搭載、2025年春に実現へ/デジタル庁3.総合診療科の認知向上とオンライン診療の普及に向け提言を提出/規制改革推進会議4.グーグルマップの口コミ訴訟、眼科医院が名誉毀損で勝訴5.健康被害が急増の自由診療クリニック、名義貸しが横行6.出産費用の透明化進む、『出産なび』で安心の選択を/厚労省1.6月からの生活習慣病管理料の導入、新たな事務負担と実質的な減収に/厚労省2024年度の診療報酬改定が6月1日より適用される。高血圧、糖尿病、脂質異常症の治療において「特定疾患療養管理料」から「生活習慣病管理料(I)」「生活習慣病管理料(II)」への移行が行われる。この改定は、質の高い疾病管理を進めることを目的とし、具体的には患者と医療者が共通の理解を持ち、療養計画書を作成して共有することが求められる。新たに導入される「生活習慣病管理料(II)」は333点となり、従来の「特定疾患療養管理料」225点より高く設定されている反面、算定回数が月2回から1回に減少する。また、「外来管理加算」や「処方箋料」が併算定できなくなり、全体の診療報酬は減少することになる。都内の開業医によれば、1日50人の患者のうち6割が特定疾患療養管理料を算定していた場合、年間で約115万円の減収が予測されている。改定のもう1つの大きな変更点は、療養計画書の作成と患者の同意・署名の取得が必須となる点で、これにより医師やスタッフの業務負担が増加する。療養計画書には、患者と相談した達成目標や行動目標、食事や運動の指導内容、血液検査の結果などが記載され、これを患者に説明し、同意を得て署名をもらう必要がある。一方、改定により「生活習慣病管理料(I)」も引き続き存在し、点数が引き上げられた。脂質異常症は610点、高血圧症は660点、糖尿病は760点となり、一定条件下で療養計画書の交付義務が免除される場合がある。また、生活習慣病管理料(II)の算定には多職種連携が推奨され、管理栄養士などの専門職との協力が求められる。外来栄養食事指導が必要な場合は、他の医療機関と連携し、指導記録を共有する体制を整備することが重要となる。厚生労働省は、生活習慣病管理料の導入により計画的な治療管理を促進し、疾病管理を求めている。その一方で、医療機関側には新たな文章作成など負担が増大するため、業務改善が必要となる。参考1)診療報酬の改定で開業医が年間115万円の減収? 生活習慣病の治療、6月から何が変わるのか(東京新聞)2)生活習慣病管理料(II)を新設し、2区分に(CB news)3)糖尿病・高血圧症等治療は特定疾患療養管理料から生活習慣病管理料I・IIへシフト、計画的治療管理を(Gem Med)4)生活習慣病管理料への移行、当院の「療養計画書」の作成法(日経メディカル)2.iPhoneにマイナンバーカード機能を搭載、2025年春に実現へ/デジタル庁5月31日にデジタル庁は、2025年春をめどにiPhoneにマイナンバーカードの機能を搭載する計画を発表した。岸田 文雄首相と米アップル社のティム・クックCEOとの会談で、この計画が確認された。これにより、iPhoneを使って行政手続きや本人確認ができるようになる。すでにAndroid端末向けには2023年5月からスマホ用電子証明書の運用が開始されており、iPhoneへの対応が焦点となっていた。アップル社は、デジタル庁と協力してiPhoneのウォレット機能にマイナカードを追加する準備を進めており、物理的なカードがなくても、スマホだけで身分証明書として使用できるようになる。これによりコンビニエンスストアでの公的証明書の発行や、病院での本人確認などが可能となる。アップルウォレットの身分証明書機能が米国以外で展開されるのはわが国が初めてとなる。一方で、政府はマイナカード機能のスマホ搭載を進めるために法改正を行い、今回の法改正でマイナカードの全機能がスマホに搭載されることが可能となり、銀行口座や証券口座の開設がスマホだけで完結できるようになるほか、コンビニエンスストアなどでの年齢確認にも使用可能となる。さらに、マイナ保険証も2025年春以降にスマホで使用できるようになる見通し(なお現行の保険証は2024年12月に廃止され、マイナカードに1本化される)。しかし、マイナンバー制度には、個人情報の管理やセキュリティの面で課題が残っているため、政府は、デジタル庁が主体となり、個人情報の正確性を確保するための支援を行うことを新たに規定する。また、医療機関でのマイナ保険証の利用率が低いため、普及促進のための取り組みが必要とされている。iPhoneへのマイナンバーカード機能の搭載は、デジタル社会への移行を大きく進める重要な1歩となると予想され、今後も利用者が安心して使える環境を政府が整えることが求められる。参考1)マイナンバーカード機能のiPhoneへの搭載について(デジタル庁)2)iPhoneにマイナカードの機能搭載へ 来春を予定 デジタル庁(CB news)3)iPhoneにマイナ機能 かざして身分証明、病院などで アップル、来夏までに(日経新聞)3.総合診療科の認知向上とオンライン診療の普及に向け提言を提出/規制改革推進会議政府の規制改革推進会議は、規制改革推進に向けた答申をまとめ、5月31日に岸田 文雄首相に提出した。主な内容として、医療機関が「総合診療科」を標榜できるように広告規制の見直しを厚生労働省に求め、2025年までに結論を出す方針。これは、患者がプライマリケアにアクセスしやすくするための措置となる。現在の医療法の広告規制では、内科、外科、精神科など特定の診療科名しか単独で広告できないが、総合診療科はこの中に含まれていない。高齢化に伴い、複数の疾患を抱える高齢者が増える中、総合診療を提供する医療機関の認知度向上が求められ、これに対応するため規広告規制の見直しを求めたもの。また、在宅医療における薬物治療を円滑に提供するため、厚労省には、訪問看護ステーションにストックできる薬の種類を拡大することが検討されている。このほか、オンライン診療で精神療法が初診から利用できることにつき2025年までに結論を出し、診療報酬の見直しを行う方針。これは、オンライン診療の利用拡大を通じて、地域差を解消し、患者の利便性を高めることを目的としている。もう1つの重要な施策として、薬剤師が不在の店舗でもオンラインで市販薬を販売できるようにする規制改革が進められている。とくに、過疎地や深夜・早朝に薬剤師が常駐しない店舗に、遠隔で管理することで市販薬の販売を可能にする方針。これにより、薬剤師の人手不足を解消し、地域住民の利便性を向上させることを目指している。今回の答申を受け、政府は新たな規制改革実施計画を取りまとめ、近く閣議決定する予定。これにより、医療分野でのデジタル技術の活用などが具体的に進められることになる。参考1)規制改革推進に関する答申~利用者起点の社会変革~(規制改革推進会議)2)「総合診療科」の標榜容認検討へ、25年結論 規制改革推進の答申(CB news)3)人手不足、デジタルで解消 遠隔で薬販売/AIで要介護認定 規制改革会議が最終答申(日経新聞)4.グーグルマップの口コミ訴訟、眼科医院が名誉毀損で勝訴兵庫県尼崎市の眼科医院がグーグルマップの口コミ欄に一方的に悪評を投稿されたとして、損害賠償を求めた訴訟の判決が大阪地裁であった。5月31日に山中 耕一裁判官は、投稿者の大阪府豊能町の女性に対し、200万円の賠償と投稿の削除を命じた。訴えによると、眼科医院は3年前に「レーシック手術を受けたが左目だけで、右目はレンズを入れられた」や「何も症状がないのに勝手に一重まぶたにされた」といった内容の書き込みを受けた。医院の院長は、これらの内容に身に覚えがないとして、グーグルに情報開示を求めて投稿者を特定し、今年1月に女性を訴えた。山中裁判官は「書き込みは、眼科の医師が患者から承諾を得ずに勝手な医療行為をするという印象を与え、医院の社会的評価を低下させた」と述べ、投稿が名誉毀損にあたると判断した。眼科医院の代理人弁護士である壇 俊光氏は、「投稿者の特定には3年かかり、ネット社会における不当な投稿への対応の遅れを感じている。迅速な削除を求める司法判断が必要だ」と述べる。この判決により、インターネット上での名誉毀損行為に対する法的対応の重要性が再確認された。参考1)グーグルマップの口コミ欄で一方的に眼科医院の悪評、投稿者に200万円の賠償命じる判決(読売新聞)2)「クチコミ」投稿者に賠償命令 眼科医院長“評判落とされた”(NHK)5.健康被害が急増の自由診療クリニック、名義貸しが横行美容や健康への関心の高まりを背景に、公的な医療保険が適用されない自由診療を提供するクリニックが急増している。しかし、自由診療クリニックの増加に伴い、健康トラブルも多発しており、健康被害や契約上の問題が顕在化している。とくに、美容医療分野では、脱毛や薄毛治療、医療ダイエットなどの自由診療が行われ、患者は全額自己負担で利用している。NHKの報道によれば、都市部を中心に「一般社団法人」として設立された美容クリニックが急増し、その多くが自由診療を提供している。一般社団法人は、医師でなくても設立可能であり、登記のみで開業できるため、異業種からの参入が容易なために医師の「名義貸し」が横行、実際には医療行為に関与しない医師が管理者として名前を貸しているケースが多数報告されている。国民生活センターによると、美容医療に関するトラブルの相談件数は、2023年度に5,833件と、この5年間で約3倍に増加している。とくに健康被害の相談は839件に上り、過去5年間で約1.7倍に増加している。たとえば、高濃度のビタミン点滴によるアナフィラキシーショックなど、深刻な健康被害も報告されている。一般社団法人によるクリニックの運営に関しては、監督官庁がなく、医療法人のような規制も適用されないため、管理が不十分とされる。渋谷区保健所の熊澤 雄一郎生活衛生課長は、「一般社団法人のクリニックも医療法人と同様に業務内容の報告体制を整備する必要がある」と指摘する。厚生労働省は、専門家による検討会を立ち上げ、自由診療における美容医療の適切なあり方や対策を協議し、行政が事業内容を定期的にチェックできる制度について検討する予定。適切な監視体制の構築が急務となる。参考1)追跡“自由診療ビジネス”の闇 相次ぐ美容・健康トラブルの深層(NHK)2)一般社団法人のクリニック 都市部で増 医師「名義貸し」証言も(同)3)美容医療でトラブル増加 厚労省 検討会立ち上げ対策など協議へ(同)6.出産費用の透明化進む、『出産なび』で安心の選択を/厚労省5月30日に厚生労働省は、医療機関ごとの出産費用やサービス内容を比較できるウェブサイト「出産なび」を開設した。このサイトは、全国の病院や助産所など約2,000の出産施設を対象に、妊婦やその家族が適切な施設を選択できるよう情報を提供する。「出産なび」では、各施設の出産費用や分娩実績、サービス内容を一覧で確認でき、たとえば、無痛分娩の対応有無や24時間対応の可否、立ち会い出産の可否などが細かく紹介されている。施設の種類や希望するサービスにチェックを入れて検索すると、条件に合致する施設が一覧表示され、地図上で施設の位置を確認することもできる。出産費用の内訳も明示されており、基本的な分娩費用や個室の追加料金などがわかるようになっている。これにより、妊婦や家族が費用面での予測を立てやすくなり、出産に伴う経済的な負担を見通しやすくなる。「出産なび」の開設は、少子化対策の一環として、出産費用の透明化を図り、不透明な値上げを防ぐことを目的としている。また、正常分娩への保険適用に向けた議論の材料としても活用される予定。現在、正常分娩は保険適用外であり、費用は全額自己負担となっているが、2026年度をめどに保険適用を検討している。厚労省では、今後も「出産なび」の情報を定期的に更新し、利用者が最新の情報にアクセスできるよう努める。また、出産費用の保険適用についても議論を進め、妊婦や家族の負担軽減を図っていく方針。参考1)「出産なび」へようこそ(厚労省)2)お産の費用見える化サイト「出産なび」開設 全国の約2千施設が対象 厚労省(CB news)3)医療機関ごとの出産費用を検索「出産なび」開設…無痛分娩の対応有無や24時間対応可も紹介(読売新聞)4)出産費用丸わかり、厚労省が施設検索サイト「出産なび」(日経新聞)

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日本人における果物や野菜の摂取と認知症リスク~JPHC研究

 果物や野菜には、ビタミンC、α-カロテン、β-カロテンなどの抗酸化ビタミンが豊富に含まれている。果物や野菜の摂取が認知症リスクに及ぼす影響を評価したプロスペクティブ観察研究はほとんどなく、結果には一貫性が認められていない。筑波大学の岸田 里恵氏らは、日本人における果物や野菜の摂取と認知症リスクとの関連を調査した。The Journal of Nutrition誌オンライン版2024年4月8日号の報告。 2000~03年(ベースライン時)に50~79歳の4万2,643例を対象としたJPHCプロスペクティブ研究(Japan Public Health Center-based Prospective Study)においてフォローアップ調査を実施した。食事による果物および野菜の摂取量、関連する抗酸化ビタミン(α-カロテン、β-カロテン、ビタミンC)の摂取量は、食事摂取頻度調査票(FFQ)を用いて収集した。認知障害の診断は、2006~16年の介護保険制度における認知症に係る日常生活障害の状況に基づいて行った。認知障害に関するハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)は、潜在的な交絡因子で調整した後、エリア層別Cox比例ハザードモデルを用いて推定した。摂取量の最低四分位と比較した最高四分位の多変量HRを算出した。 主な結果は以下のとおり。・4,990例で認知障害が認められた。・男女ともに、果物および野菜の総摂取症と認知症リスクとの間に逆相関が認められた。 【男性】多変量HR:0.87(95%CI:0.76~0.99)、p-trend=0.05 【女性】多変量HR:0.85(95%CI:0.76~0.94)、p-trend=0.006・抗酸化ビタミンの中でビタミンCの摂取量は、男女ともに、認知症リスクとの逆相関が認められた。 【男性】多変量HR:0.71(95%CI:0.61~0.84)、p-trend<0.001 【女性】多変量HR:0.76(95%CI:0.67~0.86)、p-trend<0.001 著者らは、「果物や野菜、ビタミンCの食事による摂取は、男女ともに認知障害のリスク低減につながる可能性が示唆された」としている。

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認知機能の低下抑制、マルチビタミンvs.カカオ抽出物

 市販のマルチビタミン・ミネラルサプリメント(商品名:Centrum Silver、以下「マルチビタミン」)の連日摂取が高齢者の認知機能に与える影響を詳細に調査したCOSMOS-Clinic試験の結果、マルチビタミンを摂取した群では、プラセボとしてカカオ抽出物(フラバノール500mg/日)を摂取した群よりも2年後のエピソード記憶が有意に良好で、サブスタディのメタ解析でも全体的な認知機能とエピソード記憶が有意に良好であったことを、米国・Massachusetts General HospitalのChirag M. Vyas氏らが明らかにした。The American Journal of Clinical Nutrition誌2024年3月号掲載の報告。 これまで、二重盲検無作為化2×2要因試験「COSMOS試験※」のサブスタディでは、電話やインターネットを用いた認知機能に関する評価において、マルチビタミン群ではカカオ抽出物群よりも良好な結果であったことが報告されている。しかし、対面式の詳細な神経心理学的評価は行われていなかった。そこで研究グループは、神経心理学的評価を対面で行って認知機能の変化に対するマルチビタミンの影響を検証するとともに、COSMOS試験のサブスタディのメタ解析も実施した。※COSMOS試験:60歳以上の米国成人2万1,442例を対象として、マルチビタミンおよび/またはカカオ抽出物の連日摂取によって心血管疾患およびがん発症リスクが軽減するかどうかを調査した大規模試験。無作為化は2015年6月~2018年3月に行われ、2020年12月31日まで追跡された。 COSMOS-Clinicの解析対象は、60歳以上で、ベースラインおよび2年後に対面で神経心理学的評価(45分間)を受けた573例であった。主要アウトカムは11つのテストの平均標準化スコアによる全体的な認知機能で、副次アウトカムはエピソード記憶、実行機能/注意力であった。メタ解析には、3つのCOSMOS試験のサブスタディ(COSMOS-Clinic[573例、2年間、対面]、COSMOS-Mind[2,158例、3年間、電話]、COSMOS-Web[2,472例、3年間、インターネット])を用いた(重複する参加者を含めずに実施)。 主な結果は以下のとおり。COSMOS-Clinic試験・参加者はマルチビタミン群272例(平均年齢69.3歳、男性51.1%)、カカオ抽出物群301例(69.8歳、50.5%)に無作為に割り付けられた。両群ともに2年後でも90%超がアドヒアランス良好であった。・エピソード記憶については、マルチビタミン群の平均標準化スコア(高いほど良好)はベースライン時0.01、2年後0.36、カカオ抽出物群はそれぞれ-0.01、0.23、平均差は0.12[95%信頼区間[CI]:0.002~0.23])であり、マルチビタミン群ではカカオ抽出物群と比較して統計的に有意な改善が認められた。・全体的な認知機能(平均差:0.06[95%CI:-0.003~0.13])および実行機能/注意力(0.04[-0.04~0.11])は、有意差はなかったもののマルチビタミン群で良好な傾向を示した。サブスタディのメタ解析・全体的な認知機能は、マルチビタミン群ではカカオ抽出物群と比較して、統計的に有意な改善が認められた(平均差:0.07[95%CI:0.03~0.11]、p=0.0009)。・エピソード記憶でも、マルチビタミン群では統計的に有意な改善が認められた(平均差:0.06[95%CI:0.03~0.10]、p=0.0007)。・マルチビタミン群の全体的な認知機能に対する効果は、2歳離れたカカオ抽出物群と同程度であり、マルチビタミン群の認知機能の老化を2年遅らせたことに相当する。

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