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マルチビタミン剤を毎日10年間服用しても心血管疾患予防には効果なし/JAMA

 毎日のマルチビタミン剤服用が、心血管疾患予防には結びつかないことが、ブリガム&ウィメンズ病院・ハーバードメディカルスクールのSesso HD氏らが、米国男性(医師コホート)を10年間追跡した無作為化試験「Physicians' Health Study II」の結果、報告された。マルチビタミン剤はビタミンとミネラル不足を防ぐために用いるもので、心血管疾患予防の可能性が知られていた。ただしこれまでの観察研究でもマルチビタミン剤の定期服用と心血管疾患との関連は一貫しておらず、また長期服用の臨床試験は行われていなかった。JAMA誌2012年11月7日号掲載報告より。50歳以上男性医師1万4,641例を追跡 試験は、マルチビタミンサプリメントの長期服用が男性における重大心血管イベントリスクを減少するのかをプラセボ服用と目的とした無作為化二重盲検プラセボ対照試験で、1997年に開始され、2011年7月1日まで追跡した。 登録被験者は米国医師1万4,641例(無作為化時点で心血管疾患歴のあった754例含む)で、試験開始時50歳以上(平均年齢64.3歳、SD 9.2)であった。 主要アウトカムは、重大心血管疾患(非致死的心筋梗塞・非致死的脳卒中・心血管疾患による死亡の複合)であり、副次アウトカムには、心筋梗塞、脳卒中などが含まれた。ベースラインでの心血管疾患有無で検討した場合も有意差みられず 追跡期間中央値11.2年(範囲:10.7~13.3)の間に、1,732例の重大心血管イベントの発生が確認された。 重大心血管イベント発生に関する毎日のマルチビタミン服用の効果は、プラセボ群と比較して有意ではなかった[1,000人・年当たりマルチビタミン群11.0 vs. プラセボ群10.8、ハザード比(HR):1.01(95%信頼区間:0.91~1.10)、p=0.91]。 また、疾患を個別にみた場合も効果はみられなかった。全心筋梗塞(同3.9 vs. 4.2、0.93(0.80~1.09)、p=0.39)、全脳卒中(同:4.1 vs. 3.9、1.06(0.91~1.23)、p=0.48)、心血管疾患死亡(同:5.0 vs. 5.1、0.95(0.83~1.09)、p=0.47)。 さらに、全死亡との関連についても有意差はみられなかった(HR:0.94、0.88~1.02、p=0.13)。 ベースラインでの心血管疾患有無で検討した場合も有意な効果は認められなかった(相互作用のp=0.62)。

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HAARTを受けているHIV患者、マルチビタミン高用量服用にメリットみられず

 多剤併用抗レトロウイルス療法(HAART)を受けているHIV患者で、マルチビタミンサプリメントを併用する場合の高用量と標準量とを比較した結果、高用量服用により疾患進行および死亡が抑制されることはなく、むしろアラニントランスアミナーゼ(ALT)が増加してしまう可能性が示された。米国・ハーバード公衆衛生大学院のSheila Isanaka氏らが、タンザニアで行った約3,400例を対象とする無作為化二重盲検対照試験の結果、報告した。先行研究ではHAARTを受けていないHIV患者で、微量栄養素がCD4細胞数を増加し、疾患進行と死亡を抑制したことが報告されていたが、HAARTを受けている場合のサプリメント服用の安全性および有効性については検証されていなかった。JAMA誌2012年10月17日号掲載より。高用量群でALT上昇がみられ、試験は早期に終了 研究グループは、マルチビタミンサプリメントの高用量服用は、標準量服用と比べてHIV進行や死亡のリスクを低下し、免疫学的、ウイルス学的、栄養学的な指標を改善すると仮定して検証試験を行った。 試験は、タンザニアの7つのクリニックで2006年11月~2008年11月の24ヵ月間にわたって、HAARTを開始した3,418例を対象として行われた。 マルチビタミンサプリメントは、ビタミンB6、B12、C、Eなどを含む経口剤で、毎日服用した。 主要評価項目は、HIVのあらゆる要因での疾患進行または死亡とした。 試験は2009年3月に、高用量群でALT値増大のエビデンスにより早期に終了となった。高用量群と標準量群のリスク比、HIV進行および死亡については1.00 試験中止時点で3,418例が試験に登録(追跡期間中央値15ヵ月)しており、疾患死高イベントが認められたのは2,374例、死亡は453例観察された(複合イベント合計2,460件)。 標準用量群と比べて高用量群のHIV進行および死亡の抑制は認められなかった。 高用量群のHIV進行および死亡の絶対リスクは72%、標準群も72%だった[リスク比(RR):1.00、95%信頼区間(CI):0.96~1.04]。 高用量服用によるCD4細胞数や血漿中ウイルス量、BMI、ヘモグロビン濃度への効果はみられなかった。一方で、高用量群では標準量群に比べてALTの有意な上昇がみられた(>40 IU/L上昇のRR:1.44、95%CI:1.11~1.87、p=0.006)。

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生活保護受給者の「医療費一部負担案」、いかがお考えですか?

不正受給問題に端を発し、生活保護のあり方が議論されている中、現在窓口負担がゼロである医療費について患者の一部負担を求める、あるいは後発医薬品の使用を義務付けるという案も出ています。今回の「医師1,000人に聞きました!」ではこれを踏まえ、現場の立場でこの問題がどのようにとらえられているのか尋ねてみました。コメントはこちら結果概要医師の7割以上が生活保護受給者の医療費一部負担に賛成医療費一部負担案に賛成したのは全体の73.1%。勤務形態別に見ると病院医師では76.2%、一般診療所医師では64.9%と、窓口業務まで管理する立場である一般診療所医師は若干低い結果となった。賛成派からは「年金生活者や、働きながら保険料を納め医療費の一部負担をしている低所得者がいることを考えると、生活保護受給者のみ全て無料というのは不公平」といった意見が見られた。「違った方法を考えるべき」医師、『いったん支払い、後日返還しては』など次いで15.6%の医師が「違った方法を考えるべき」と回答。コスト意識を持ってもらうために『いったん支払ってもらい返還する形に』、複数の施設を回って投薬を受ける患者や、悪用する施設の存在を踏まえた『受診施設の限定』などが挙げられた。「現状のままで良い」医師、『理念を維持しながら受給認定を厳密に』一方「現状のままで良い」とした11.3%の医師からは、『生活保護の本質まで変えるべきではない』『受給認定を厳格にすることで対応すべき』といった意見のほか、『現実に支払ができなければ病院の負担になるのが見えているので』といった医師もいた。"後発医薬品の使用義務付け"、病院医師の約6割が賛成、一般診療所医師では意見割れる薬の処方にあたり、生活保護受給者へは価格の安い後発医薬品を義務付けるという案に対しては全体の54.1%が賛成、「現状のままで良い」とした医師は28.9%であったが、一般診療所医師に絞ると賛成40.3%、現状維持37.3%と割れる結果となった。賛成派からは、『後発品は国が「先発品と同等」としているので問題ない』、現状維持派からは『必ずしも薬効が同じとは限らないと考えるため』『院内処方で扱いがない場合がある』『処方の裁量権は医師にある』といったコメントが寄せられた。設問詳細生活保護受給者の医療費負担についてお尋ねします。現在、生活保護受給者が医療サービスを受ける場合、その費用は直接医療機関に支払われ本人負担はありません。市町村国保の被保険者などと比べて生活保護受給者1人当たりの医療費のほうが高いことなどを理由に、適正化のための取り組みを強化すべきだという意見も挙がっています。これに関し、10月23日の日本経済新聞では『三井辨雄厚生労働相は23日の閣議後の記者会見で、生活保護の医療費の一部を受給者に負担させることに関して「自己負担を導入すれば必要な受診を抑制する恐れがあり、慎重な検討が必要だ」と述べた。価格が安い後発医薬品の使用を義務付けることについては「一般の人にも義務付けられていないのに生活保護受給者だけに義務付けるのは難しい」との認識を示した。 生活保護受給者の医療費は全額公費で負担しており、生活保護費の約半分は医療費が占める。財務省は22日の財政制度等審議会の分科会で、医療費を抑制するために医療費の一部自己負担の導入と後発医薬品の使用を受給者に義務付けることを提案していた。』と報じられています。そこで先生にお伺いします。Q1. 医療費適正化のため、生活保護の医療費の一部を受給者に負担させることについて、いかがお考えですか。賛成違った方法を考えるべき現状のままで良いQ2. 生活保護受給者に後発医薬品の使用を義務付けることについて、いかがお考えですか。賛成違った方法を考えるべき現状のままで良いQ3. コメントをお願いします(Q1・2の選択理由、「違った方法を考えるべき」とした方は代替案、その他患者さんとの具体的なエピソード、など、どういったことでも結構です)2012年10月26日(金)実施有効回答数:1,000件調査対象:CareNet.com医師会員CareNet.comの会員医師に尋ねてみたいテーマを募集中です。採用させて頂いた方へは300ポイント進呈!応募はこちらコメント抜粋 (一部割愛、簡略化しておりますことをご了承下さい)「先発品と後発品の効果がまったく同じと保証できない現状では後発品の義務は困難。感冒薬程度なら問題ないが高度医療を必要とするような患者さんでは問題が出ると思う。」(50代診療所勤務,消化器科)「全くの無料は無駄の原因。工夫の余地をなくす。」(50代病院勤務,内科)「後発品をとるか否かは自由意志とすべき、その代り 医薬品の5%(0.5割負担)でも徴収すべきと思う。そうすれば、安い方を望むなら自ら選択することになる。」(60代以上病院勤務,血液内科)「一部負担は、真面目な方には受診抑制になって、重症化する可能性が出る。生活保護に甘えている方は病院で怒って現場の混乱を生むだけで何の意味もない。それよりは、医療費の適正化をすすめるべきである。求められても不要なお薬は出さない。出さないからと暴れたり、怒ったりする方へのペナルティを明確化する方が良い。後発品義務付けは、治療内容の権利の侵害に当たる可能性があるので勧奨程度にすべき。例えば、糖尿病の治療であっても同じようにHbA1cを下げる薬はあるが、合併症などを防ぐそいう視点で新薬が使用できない場合、将来の合併症を増やし結局医療費の高騰につながる」(40代病院勤務,呼吸器科)「一部負担にしたとして、お金を払ってくれない人を診療拒否できるのなら生保の負担金をつくっても良い。」(50代診療所勤務,内科)「不正受給ばかりが報道されているが、大多数の受給者は後ろめたさから声を上げられないと思います。もちろんどんな医療機関にもフリーに何度でも受診できるということは良くないので、受診可能な機関を一定の生活圏内に制限することや、通院手段を制限するなどの方策も考えられます。」(40代病院勤務,内科)「救急外来への頻繁な来院はペナルティがあっても良い。」(50代診療所勤務,小児科)「負担がないことですべて許されていると考えている受給者が多く、一人ひとりに理解させることは極めて困難であり、一律に決めるべきである」(50代病院勤務,外科)「受給金をパチンコで使い果たし無料で入院、なんてことができないよう方策を考えてほしい。」(50代診療所勤務,腎臓内科)「医療費の負担増加とこれに対する原資の増加を期待する事の難しい情勢からみてやむを得ない事と思います。逆にそのことで負担が少しでも軽減されるのではないかと思います。」(50代病院勤務,産婦人科)「抗けいれん剤を後発品に変更して、ずっと起こっていなかった発作が起こったことがある。後発品を義務づけるなら、特定の薬品に限定すべきと思う。」(50代病院勤務,リハビリテーション科)「一部負担といっても幅があるのでどの程度負担させるのかによって意見が違うと思う」(60代以上病院勤務,腎臓内科)「先発薬と後発薬両方を揃えるのは医療機関に負担となるので反対。」(40代診療所勤務,腎臓内科)「一般の患者は医療費負担は上限ありになっている。生活保護者も基本的には同じ枠組みで良い。上限額に配慮するとか、いったん支払いさせて申請後(部分的に)返ってくるとか。」(40代病院勤務,耳鼻咽喉科)「自己負担をつけても支払いをたぶんしないで病院の負担になるので、現状のままでよい」(50代病院勤務,循環器科)「一律というのは如何か。生活保護を必要としてないのに受給されている人と 本当に必要な人がいることがそもそもおかしいのだが。この両者は区別して、必要ない人は切って欲しい」(40代病院勤務,消化器科)「医療費一部負担は受診抑制に繋がる。また、後発品を使用していない当院では、診察できないことになる。いまだに後発品に不安要素がある事を先に改善すべき。」(50代診療所勤務,内科)「最低保証賃金より保護費の方が高い現状は異常。ワーキングプアの方々が強いられている窮状は、生活保護の方々にも受け入れていただく必要がある。」(40代病院勤務,精神・神経科)「当院受診の生活保護者の半分は疑問に感じる人が多いのは事実、「魚釣りに行って風邪をひいた、点滴をしてくれ」などざら」(50代病院勤務,神経内科)「目に余るケースがあるから、と言って生活保護の本質まで変えるべきではない。取り締まるには人件費などかかるので、現状のままのほうがよい。」(60代以上診療所勤務,精神・神経科)「服薬指導を徹底させ、薬の無駄を少なくすることが大切だと思います。みんながその費用を負担していることを自覚する必要があります。生保患者さんが立て替えで支払うことも一つの案だと思います。」(50代診療所勤務,内科)「後期高齢の生活保護者は無料のままで、若年者は就労を図る意味でも有料化すべき。」(60代以上診療所勤務,内科)「今ほど生保の継続が必要な時期はない」(50代診療所勤務,内科)「他の患者さん同様に窓口負担分をとって、還付を検討すべきでしょう。」(40代病院勤務,内科)「『生活保護で自己負担がないから先発品を処方してくれ』と堂々と言う患者がいて腹が立った」(50代診療所勤務,整形外科)「生活保護でも本当に働きたい人もおり、そういう方はむしろ病気があってもギリギリまで我慢してしまう傾向が強いと思います。元々自分は生保でもそうでなくても基本的に必要不可欠なことしかせず、差はつけていない。この議論自体がおかしいと思う。」(40代診療所勤務,内科)「薬代がタダなので、あまり必要の無い薬を「念のため・・」などと言ってもらって無駄にしていることが有る。」(40代病院勤務,内科)「受診できる病院を限定するとか、カルテを1つにするとか、不正な薬剤処方をなくしたり、不要な受診を減らしたりの工夫が必要」(30代以下病院勤務,小児科)「コンビニ受診は避けるべきだが、本当に加療の必要なひとには受診萎縮にならないようすべき」(50代診療所勤務,口腔外科)「低収入であるが故に受診を控えて病状の悪化を招いたり、経済的理由で後発医薬品しか選択できない勤労者が存在することを考えれば、生活保護受給者が何の躊躇もハンディも無く医療を求めることは問題である」(40代診療所勤務,呼吸器科)「行政側から患者(生保受給者)に説明し、後発品使用を了解(同意)させ、医療機関にその旨「書面で」申し出る。しかし、その場合も最終的には医師の処方権は留保される。」(60代以上診療所勤務,消化器科)「小額でも一部負担とすることで、毎日不要な点滴をしたりする方は減るでしょう。」(40代病院勤務,内科)「薬品は、好みもあり人によっては効果の違いもあるので、義務付けは賛成しかねます。」(50代病院勤務,整形外科)「働ける様な若者も生活保護を受け、日中ぷらぷらしやたらと必要以上に病院へ来る方、結構見かけます。生活保護を受ける基準や負担額なども細かく等級を設けて、等級に応じて設定したらいいのではないか。」(40代診療所勤務,内科)「生活保護を受けている割に子供にピアス、アクセサリーがジャラジャラ・・・本当に必要な家族への受給を充実させ、このような家庭へ受給はしないようにしっかりした制度設計をやり直すべき」(40代病院勤務,小児科)「『どうせタダなんだから薬だしてよ、検査してよ、病院のもうけになるんでしょ』という患者もいる。町のドラッグストア感覚(それよりも手軽)みたいに思っている。一部でも自己負担させるべき。後発品は合う・合わないもあるので義務づけはちょっと乱暴。」(40代診療所勤務,内科)「どの医院も薬局もすべてのものに対応できるものではないので、義務付けではなく、やはり努力目標にせざるを得ないと思う」(50代診療所勤務,泌尿器科)「生活保護になりやすくなっている状態を検討すべき。ならなくていい人もなっている感じと一度生活保護になってしまった人がぬけたくなるような部分も必要なのではないか」(40代病院勤務,血液内科)「『おいしい』ことはなるべく少なくしていくことで、本当に必要な人が「仕方なく受ける」最後の砦にするべき。」(40代病院勤務,内科)「薬を貰うために何軒も医療機関を回るので、公的な指定医療機関を設置しては」(50代診療所勤務,循環器科)「生活保護一歩手前の患者様(化学療法中)を何人か診ているが、その方のほうが、よっぽど生活は苦しいと思います。高額の治療を断念している方もおられます。生活保護受給者は、医療に関しては恵まれすぎ!です。生保以外の方で後発薬を希望される方は多いですし、私自身も抵抗はありません。一部でも自分で負担できないなら後発薬で我慢するべきだし、一時金を払うことは、むやみな受診の抑制に効果あると思います。 上記のような何らかの対策をとらないと、さらに他の人たちの負担が増えてしまうと思います」(40代病院勤務,外科)「一部負担といっても現実に負担できない患者がいれば、それは結局支払われずに病院の負担になる。末端の医療機関への責任転嫁である。現状の後発品制度には多大な問題がある。制度自体に根本的な議論がなされない限り簡単に賛成とはいえない。」(50代病院勤務,循環器科)「国策として後発医薬品の使用を推進するのであれば、先発品にこだわる必要はないはず。生活保護とはあくまでも援助なのだから受給者に選択権はないはずである。」(40代病院勤務,皮膚科)「一旦納付→後日給付にすべき.疾患によっては(アレルギー疾患等)後発薬を使うことは避けるべきで全て義務付けというのは不適切」(40代病院勤務,内科)「風邪などの軽症疾患は自己負担を導入し、慢性疾患や重症疾患はこれまでどおりにしては。」(30代以下病院勤務,小児科)「生活保護が本当に必要な人もいることを忘れてはいけない。」(40代病院勤務,精神・神経科)「働いて健康保険料などを納め、医療費の一部負担をしている、生活保護とあまり年収のかわらない人もいるのだから、何らかの負担は必要と思います」(50代診療所勤務,内科)「ともに、大いに賛成です。 現場の目から見て、「生保だから必要のない受診を気軽に繰り返している人がいる」ということは明白。必要な受診を抑制する可能性も皆無とは言えませんが、本当に必要な場合には、収入や家庭環境などについて綿密な精査を行った上で、自己負担金の免除を決める制度を別途設ければ良いと思います。 もっといえば、不適切受診の内容や明らかに贅沢な生活実態などを医師側から通報できる制度があれば良い」(30代以下病院勤務,循環器科)「基本は後発品とし、医師の判断で変更できればと思います。一部負担で受診抑制を心配するのであれば、その前にワーキングプアといわれきちんと保険料を収めているのに窓口負担を心配して受診できない方々に補助すべきだ。生活保護は最低限の生活を保証すればよいのだから、そうしたものをもらわず働くワーキングプアの方々以上の保護は要らないはず。」(30代以下病院勤務,小児科)「一部の不心得者のために、真に保護が必要な人への援助を削るべきではない。マクロの視点しか持っていない役人やマスコミの怠慢が世の中をどんどん歪めている。不正受給をなくすべく、役人がきっちりと精査することだ」(50代診療所勤務,内科)「生活に必要なお金を受給されているのだから、医療機関の受診、薬代も他の方と同様に支払うべきである。」(40代病院勤務,内科)「不必要に多くの薬をもらって余っていてもなくなったと主張し、さらに多く持って帰る患者がいる。量や種類の制限は必要と思う。」(30代以下病院勤務,整形外科)「経済的理由からジェネリックを希望する人が多い中、全額免除の人だけが高い薬を使うのはヒトとして納得できない。」(30代以下病院勤務,呼吸器科)「生活保護受給者は高価な治療薬を使えるが、通常の被保険者はお金の関係で使いたい薬も使わないでいることがある。何かおかしいです。」(50代病院勤務,呼吸器科)「生活保護受給者が時間外に不必要な受診をすることが度々みうけられるので、時間外受診料などに自己負担を導入すればよいと思う」(30代以下病院勤務,整形外科)「多くの人に不正がないと信じるが、隣人などから薬をもらうよう頼まれてくる人もいるようである。」(50代診療所勤務,内科)「望ましいことではないが、すべてのことについて性悪説にたった制度が必要になってきていると思う。」(50代病院勤務,内科)「生活保護がsafety-netとしての役割を担っていることを考えると、生活保護の医療費の一部を受給者に負担させることは少し賛成しにくい。しかし生活保護を延々と受け取って無料であることを良いことに薬の処方を欲しがる患者がいることは事実であり、それを悪用して薬を無駄に処方させている病院があるのも事実なので、必要以上の処方を行なっていると判断された医師に厳罰が発生するような仕組みのほうが抑制効果があるのではないかと思う。ただし、その基準を明確にする必要があるが、その基準は非生活保護受給者よりも厳しい基準であるべきだと思う。」(30代以下病院勤務,外科)「生活保護の患者さんがブランド物のバッグをもって受診しましたが、このような人に私たちが支払った税金が使われていると思うと、憤りを感じます。」(50代診療所勤務,内科)「もともと、病気で仕事ができないことによる生保受給が多く、一般人に比べ医療費が高くなるのは当然だと思います。 むしろ、何万円ものタクシー代や、飛行機利用を許した対応など、自治体側の対応の仕方が不適切なことの方が問題かと思います。」(50代診療所勤務,消化器科)「医療費の膨張に歯止めをかけるためにはやむを得ないと思う。ただ、原疾患で働けなくて生活保護になっている人は別に扱う事が必要。」(50代診療所勤務,皮膚科)「後発品の場合、特に呼吸器系後発医薬品に変更した際に効果が落ちる例も経験している。効果が落ちた場合は、受診回数の増加や時間外受診の発生などに繋がる場合があるので、義務づけはあまり賛成できない。」(30代以下その他医師,呼吸器科)「奈良の山本病院の事例を含め悪用が目に余り歯止めが利かない」(50代診療所勤務,内科)「利益を享受する分の負担は当然」(30代以下病院勤務,神経内科)「本当に医療を必要とする患者の医療費公費負担と、無料をよいことに安易に行なわれる受診やそれを食い物にする医療機関を選別する方法が必要である。」(50代病院勤務,内科)「低所得者、年金生活者などの方たちは、少ない収入の中で保険料も払い、さらに医療費の何割かを負担している。生活費を切りつめてもいるわけで、生活保護費を丸々自由に使える生活保護者と比べると非常に不公平。 後発医薬品は、無料であるならば選択の自由はなくしてもいいと思っています。厚労省の認可していない薬ならいざ知らず、認可されている薬品なので義務付けてもいいのではないでしょうか。 」(50代病院勤務,泌尿器科)「薬を多めにもらっては売って酒代に換える患者がいますし、月の前半でパチンコをして下旬はお金がなくなり栄養失調の病名で入院、月が変わった受給日には必ず退院する無料の宿泊施設としている患者もいます。ごくごくわずかでも良いので自己負担とすれば少しは抑制できるのでは。本当に必要な人の負担にならないくらいわずかな手数料が必要。」(30代以下病院勤務,脳神経外科)「無料では不必要受診を生む。昔のお年寄りの健康保険無料化のときと同じ弊害。 後発医薬品は薬効が低いというわけではないので、生活保護に関しては当然安い薬に限定するべきでしょう。」(50代病院勤務,その他診療科)「生活保護に限らずまるっきりただはよくない。 ワンコインでも負担すべき」(50代病院勤務,小児科)「タダだからとビタミン剤や感冒薬、睡眠薬などの無駄な薬や検査など何でも要求してくる。負担金を取ったほうが医療費の抑制になる。」(50代病院勤務,内科)

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血中ビタミンD値が高くても、抗皮膚がん効果は認められず

 ビタミンDは、抗皮膚がん効果を有する可能性があるとされるが、これまで住民ベースの検討によるエビデンスはほとんどなかった。オーストラリア・クイーンズランド医学研究所のJolieke C van der Pols氏らは、同国の亜熱帯地域住民を対象に、血中ビタミンDレベルと皮膚がんリスクの関連について評価。その結果、血中ビタミンDが高いと、高い日光曝露の発がん性を打ち消すという可能性は示されなかったことを報告した。J Invest Dermatol誌オンライン版2012年10月18日号の掲載報告。 オーストラリア亜熱帯地域に住む、ベースラインで血中25(OH)ビタミンDの評価を受けた成人を11年間、前向きに追跡し、皮膚がん発生率について解析した。 年齢、性、普段外で過ごす時間、表現型特性、その他の可能な限りの交絡因子を補正後、多変量ロジスティック回帰分析を用いてリスクを算出し検討した。 主な結果は以下のとおり。・対象は、1,191例(平均年齢54歳)であった。・血中25(OH)ビタミンD値が75nmol/L超であった被験者は、75nmol/L以下であった被験者と比べ、基底細胞がん[オッズ比(OR):1.51、95%CI:1.10~2.07、p=0.001]、メラノーマ(OR:2.71、0.98~7.48、p=0.05)を発症した頻度が高かった。・一方で、扁平上皮がんの発症は、75nmol/L超であった被験者のほうが低い傾向がみられた(同:0.67、0.44~1.03、p=0.07)。・血中25(OH)ビタミンD値を50nmol/L超または以下で階層化した場合も、ビタミンDと皮膚がん発生との関連はみられなかった。・高い日光曝露の発がん性が、高いビタミンD状態によって相殺される可能性は示されなかった。高いビタミンD状態を達成する手段として、高い日光曝露は回避されるべきである。

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精神疾患の治療開発-今、見逃せない新たな取り組み

「精神疾患の治療開発」のスタディ・グループでは、従来のパラダイムにとらわれず新しい発想で効果的な精神疾患の治療開発を目指している。第22回日本臨床精神神経薬理学会・第42回日本神経精神薬理学会合同年会にて、橋本恵理氏(札幌医科大学医学部神経精神医学講座)の司会のもと、4名が新しい精神疾患の治療の取り組みについて紹介した。PAK阻害薬によるグルタミン酸シグナルの阻害林(高木)朗子氏(東京大学大学院医学系研究科疾患生命工学センター構造生理学部門)は、グルタミン酸シグナルの阻害によるシナプス保護の観点から新薬開発の可能性を紹介した。大脳皮質の70%のシナプスが樹状突起棘(スパイン)であり、そのほとんどがグルタミン酸作動性シナプスである。死後脳の剖検から、統合失調症患者では背外側前頭前野や聴覚野、海馬台ではスパイン密度が減少しており、また多くの統合失調症関連遺伝子がグルタミン酸作動性シナプスに局在していることが報告されている。記憶や認知、適応をもたらす細胞基盤はシナプスの可塑性であり、シナプスの機能はその形態と著しく相関しているため、形態(サイズ)から機能を評価することができる。林氏らはDISC1遺伝子をノックアウトすることによりスパインサイズが減少し、NMDA受容体によるRac1/PAK1シグナル伝達経路が過剰に活性化されることを明らかにした(Hayashi-Takagi A, et al. Nat Neurosci. 2010; 13: 327-332)。次いで林氏らは、PAK阻害薬のスパインに対する効果を検討したところ、PAK阻害薬はDISCノックダウンによるスパイン消滅を予防し、スパインサイズを回復することが示された(Hayashi-Takagi A投稿中)。さらに、PAK阻害薬の他の機能に及ぼす影響についても検討を進めている。また、統合失調症患者では発症前後で前頭野皮質が強い収縮を示し(Sun D, et al. Schizophr Res. 2009; 108: 85-92)、疾患の進行過程でグルタミン酸レベルが低下することが知られている(Theberge J, et al. Br J Psychiatry. 2007;191:325-334)。林氏は最後に、マウスで脳のスパインの形態変化を顕微鏡下で直接観察するというin vivoスパインイメージングの動物モデルの開発について紹介した。精神疾患の炎症モデルからみたミノサイクリンの治療への応用統合失調症患者では炎症性サイトカインの亢進が認められ、神経炎症機序が関与していることが指摘されている(Meyer U. Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry. 2011 Nov 15, Epub)。また、中枢神経系の炎症の機序にはミクログリアが深く関わり、発症から5年以内の統合失調症患者ではミクログリア活性化が認められる(van Berckel BN, Biol Psychiatry. 2008;64:820-822)。橋本謙二氏(千葉大学社会精神保健教育研究センター病態解析研究部門)は、第二世代抗生物質製剤であるミノサイクリンが、ミクログリアの活性化を強力に抑制することに着目し、統合失調症治療への応用について紹介した。統合失調症のマウスモデルでミノサイクリンの効果を検討したところ、ジソシルピンにより惹起されるプレパルスインヒビション(PPI)の障害や、フェンサイクリジンによる統合失調症様の認知機能障害を抑制することが示された。さらに橋本氏は、ミノサイクリンが脳神経にアミロイドβ蛋白を蓄積させるγセクレターゼの活性をコントロールする5-リポキシゲナーゼを阻害し、アルツハイマー型認知症の発症を抑制する可能性にも言及した(Hashimoto K. Ann Neurol. 2011; 69: 739)。カルボニルストレスの代謝制御による統合失調症の治療酸化ストレスが加わるとカルボニル化合物であるメチルグリオキサール(MG)が生成し、このMGを消去するために、グリオキシラーゼ(GLO)解毒回路が働く。この解毒回路にもれたMGはメイラード反応によって終末糖化産物(AGEs)となる。AGEsはビタミンB6(カルボニル・スカベンジャー)により補足されて分解される。AGEsが体内に蓄積する状態をカルボニルストレスといい、動脈硬化の進展や糖尿病合併症との関連で着目されていたが、糸川昌成氏(東京都医学総合研究所精神行動医学研究分野)らは、この病態を標的とした統合失調症の新しい治療の可能性を紹介した。糸川氏らは、統合失調症患者で解毒酵素のGOL1にフレームシフト変異を発見し、その患者ではAGEsの蓄積と、それに伴うビタミンB6の枯渇が認められたことから、統合失調症患者のなかで、AGEs蓄積と関連した「カルボニルストレス性統合失調症」の存在を明らかにした(Arai M, et al. Arch Gen Psychiatry. 2010; 67: 589-597)。AGEsの蓄積は統合失調症のリスクを25倍上昇させ、ビタミンB6欠乏は10倍リスクを上昇させることが示されている。さらに、AGEs蓄積は統合失調症の重症度とも相関していた。そこで糸川氏らは、治療により症状が改善した統合失調症患者ではAGEsも低下すると推測して検討したところ、外来患者では入院患者に比べてAGEsが有意に低く、AGEsの低下が退院につながることがわかった。さらに糸川氏らは、ビタミンB6欠乏のあるカルボニルストレス性統合失調症患者にビタミンB6を補充することにより症状の改善が得られないか検討を重ねている。ビタミンB6はピリドキサミン、ピリドキサール、ピリドキシンの3種類の化学物質の混合体であり、このうちAGEs解毒作用を有するのはピリドキサミンのみである。糸川氏らはまず、健常者24名を対象に第I相試験を行ったところ、ピリドキサミン1,800mg/日の投与量で有効血中濃度に達し、有害事象は認めなかった。この成績に基づいて、統合失調症患者を対象とした医師主導第II相試験が進行中である。GLO1遺伝子にフレームシフトをもつ患者では発症前からAGEsが高い可能性があり、糸川氏らはそのような患者には発症前からピリドキサミンを投与してAGEs蓄積を抑制するという、統合失調症の発症予防を視野にいれた治療法も検討中である。神経幹細胞移植を用いた再生医療的アプローチの可能性鵜飼渉氏(札幌医科大学医学部神経精神医学講座)は、治療抵抗性または難治性の統合失調症やうつ病、胎児性アルコール・スペクトラム障害(FASD)などの治療として、神経幹細胞を経静脈的に投与する再生医療的な取り組みを紹介した。実験方法は、妊娠期のマウスにPoly(I:C)(TLR3リガンド)を投与して生まれた統合失調症のモデルマウスを用い、生後1ヶ月時に神経幹細胞を経静脈的に投与し、6ヵ月時にその行動の評価および脳の剖検を行った。その結果、神経幹細胞移植群では、新奇オブジェクトの探索時間を有意に延長し、記憶学習や認知機能の障害が抑制された。また、社会性の評価において神経幹細胞移植群では能動的な社会的行動の減少が抑制されることも示された。一方、FASDモデルラットでは神経幹細胞移植により、強制水泳試験における無動時間の延長を抑制して、うつ状態の改善にも効果がみられた。札幌医科大学ではすでに、12名(男性9名、女性3名)の脳梗塞患者を対象として自己骨髄間葉系幹細胞を静脈内投与する治療が試みられており、移植をきっかけに脳卒中スコアが改善し回復スピードが加速することや、MRIで脳梗塞病変の縮小が確認されている(Honmou O, et al. Brain. 2011; 134: 1790-1807)。鵜飼氏らは、治療抵抗性難治性うつ病患者を対象とした本治療法の精神疾患への臨床応用を検討している。神経幹細胞移植のメカニズムとして、短期的にはサイトカインを介した神経栄養因子増強作用や抗炎症作用、血管新生作用が考えられ、また長期的には神経新生の増加がもたらされるとしている。鵜飼氏らは、細胞電気生理学的解析やシナプス機能・構造学的解析、オプトジェネティクス解析など最先端の手法を用いて、神経幹細胞移植の効果について解析を進めている。関連リンク

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ビタミンD服用、上気道感染症の発症・重症度を抑制しない

 健常者が半年間、月1回10万IUのビタミンDを服用し続けても、上気道感染症の発症および重症度を抑制しなかったことが、ニュージーランド・オタゴ大学病理学部門のDavid R. Murdoch氏らによる無作為化比較試験の結果、示された。これまで観察研究で、血中25-ヒドロキシビタミンD(25-OHD)値と上気道感染症発生率との逆相関の関連が報告されていたが、ビタミンDサプリメントによる臨床試験の結果は確定的なものはなかった。JAMA誌2012年10月3日号掲載報告より。健康な成人322例を対象に無作為二重盲検プラセボ対照試験研究グループは、ニュージーランドのクライストチャーチで2010年2月~2011年11月の間、健康な成人322例を対象に無作為二重盲検プラセボ対照試験を行った。被験者は無作為に、月1回10万IUの経口ビタミンD3薬を服用する群(初回量20万IU、その1ヵ月後20万IU、その後は月1回10万IU:161例)と、プラセボで同一レジメンの治療を受ける群(161例)に割り付けられた。治療は合計18ヵ月間行われた。主要エンドポイントは、上気道感染症エピソード数とし、副次エンドポイントは、上気道感染症エピソードの持続期間、同重症度、発症により仕事ができなかった日数だった。血中25-OHDは増大するが、上気道感染症エピソード被験者のベースラインでの平均25-OHD値は29(SD 9)ng/mLであった。ビタミンDサプリメントの服用は血清25-OHD値を増大し、本試験の間48ng/mL超を維持した。上気道感染症エピソードは、ビタミンD群593例、プラセボ群611で、統計的有意差(エピソード数/被験者数)は認められなかった(平均値はビタミンD群3.7/人、プラセボ群3.8/人、リスク比:0.97、95%信頼区間:0.85~1.11)。その他の、上気道感染症発症により仕事ができなかった日数(平均値は両群とも0.76日、リスク比:1.03、95%信頼区間:0.81~1.30)、エピソードごとの症状を呈した期間(平均値は両群とも12日、0.96、0.73~1.25)、上気道感染症エピソードの重症度も統計的有意差はみられなかった。これらの所見は、季節ごとに分析をしても、またベースラインの25-OHD値で分析をしても変化はみられなかった。

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ニジェールの子どもの死亡率、MDG4達成を上回る勢いで低下

 西アフリカのニジェールでは、1998~2009年の5歳未満の子どもの死亡の年間低下率が5.1%に達し、ミレニアム開発目標4(MDG4)の達成に必要とされる4.3%を上回ったことが、米国・ジョンズ・ホプキンス・ブルームバーグ公衆衛生大学院のAgbessi Amouzou氏らが行った調査で明らかとなった。MDG4は、2015年までに5歳未満児の死亡率を1990年の水準の3分の1に削減することを目標とする。近年、ニジェールでは、近隣の他の西アフリカ諸国に比べ子どもの死亡率の大幅な低減が達成され、生存のための介入が積極的に進められているが、その実情はよくわかっていなかった。Lancet誌2012年9月29日号(オンライン版2012年9月20日号)掲載の報告。LiSTを用いて2009年の救済された子どもの生命を推算研究グループは、1998~2009年までにニジェールで実施された子どもの生存プログラムについて詳細な解析を行った。2010年の世帯調査に基づいて、1998~2009年の子どもおよび新生児の死亡率の新たな推算法を開発した。この期間に行われた8つの全国調査のデータを用いてカバレッジ指標を再計算し、1995年以降の妊婦、新生児、子どもの健康に関するプログラムおよび施策を記録した。生命救済ツール(Lives Saved Tool:LiST)を用いて2009年の救済された子どもの生命を推算した。5歳未満の子ども5万9,000人の生命を救済生児出生1,000人当たりの5歳未満の子どもの死亡率は、1998年の226人から2009年には128人へと43%低下した。年間低下率は5.1%で、MDG4の達成に必要とされる4.3%を上回った。これは近隣の低~中所得国であるベニンの2.2%、ブルキナファソの0.8%、チャドの0.9%、マリの1.8%、ナイジェリアの2.0%に比べはるかに高い値であった。発育不良は24~35ヵ月児でわずかに低下し、痩せは2歳未満の子どもで最も大きく改善し、約50%低下した。調査期間中に、子どもへのほとんどの生存介入のカバレッジが大幅に増加した。LiSTにより、2009年に5歳未満の子ども5万9,000人の生命が救済されたことが示された。そのうち25%が殺虫剤処理した蚊帳の導入、19%が栄養状態の改善、9%がビタミンAの補給、22%が経口補水塩と亜鉛の補給による下痢の治療および発熱、マラリア、小児肺炎の治療探索、11%はワクチン接種によるものであった。著者は、「ニジェールでは、誰でも利用できる環境づくり(ユニバーサル・アクセス)、母子保健の無料提供、栄養プログラムの地方への普及を支援する政府施策が、MDG4の達成に必要とされる以上の迅速さで子どもの死亡率を低下させたと考えられる」と結論している。

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認知症患者のうつ症状、介護者のうつ症状と関連

 認知症の行動・心理症状(BPSD)は、介護者にとって大きな重荷となる。BPSDは、うつ病、身体的攻撃性、妄想性障害などさまざまな患者行動を含むが、それらが介護者に対し特異な影響をもたらすかどうかは明らかではなかった。米国・マウントサイナイ医科大学のOrnstein K氏らは、(1)BPSDを階層化し、介護者のうつ症状にどのように影響するのかを評価すること、(2)BPSDクラスターが介護者のうつ症状に影響を与える経路を検証することを目的とする検討を行った。Am J Geriatr Psychiatryオンライン版2012年9月24日号の掲載報告。 アルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症の患者を対象とした追跡研究のデータを用いて、断面解析を行った。被験者は、米国の複数の認知症クリニックの認知症患者とその介護者160組であった。 多変量一般化推定方程式のロジスティックモデルを用いて、4つのBPSDクラスター(患者のうつ症状、非難めいた/攻撃的な行動、非脅迫的精神病性症状、統制困難な行動)と介護者のうつ症状との関連性を分析し、それらと関連するメディエーターを調べた。主な結果は以下のとおり。・患者のうつ症状だけが、介護者うつ症状と関連した(オッズ比:1.55、95%CI:1.14~2.1)。・この関連は、介護者が患者の症状の影響を報告すること、および介護者の負荷の認知の双方が媒介となっていた。・患者のうつ症状は、BPSDと介護者うつ病との関連において最も重要なドライバーである可能性があった。・BPSD個々の影響についてのさらなる検証が必要である。そして、介護の負担増大や患者への感情移入が起こることにより、介護者のうつ症状にどのような悪影響がもたらされるかについても検討する必要がある。関連医療ニュース ・アルツハイマー病にビタミンD不足が関連 ・高齢者うつ病患者への運動療法は有効 ・なぜ、うつ病患者はアルツハイマー病リスクが高いのか?

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アルツハイマー病にビタミンD不足が関連

 認知症の予防に食生活や栄養が関連していることが、多くの研究より報告されている。Balion氏らはビタミンDの摂取が認知機能や認知症発症に与える影響をメタアナリシスにより検討した。Neurology誌2012年9月25日号の報告。 2010年8月までに公表された英語文献を5つのデータベースから検索した(すべての報告は比較群を有する)。認知機能、認知機能障害は全体または領域の認知機能テストにより定義し、認知症は定められた基準に従って診断された。ビタミンDの測定は必須とした。2名のレビュアーによりデータ抽出後、事前に定義された基準を用い研究の質を評価した。異質性の評価にはQ検定、I(2)統計量を用いた。加重平均差(WMD)、Hedge's gによるランダム効果モデルを用いたメタアナリシスを行った。主な結果は以下のとおり。・37報が基準を満たし、8報はビタミンDが50nmol/L未満/50nmol/L以上によって比較可能な平均MMSE(ミニメンタルステート検査)スコアを含んでいた。・MMSEの加重平均差を比較した研究では有意な異質性が認められたが、高ビタミンD群では全体的に肯定的な結果であった(1.2、95%CI=0.5 ~1.9、I(2)=0.65、p=0.002)。・複数の感度分析の結果、肯定的な効果は小さいながらも持続した。・アルツハイマー病をコントロール群と比較した報告は6報。そのうち、商用的利用のため排除した2報を除いた4報では、アルツハイマー病群ではコントロール群と比較しビタミンD濃度が低かった(WMD= -6.2nmol/L、95%CI= -10.6 ~ -1.8)。また、異質性は認められなかった(I(2)

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高用量ビタミンD摂取、65歳以上の骨折リスクを低減

メタ解析の結果、65歳以上高齢者の高用量ビタミンD摂取(毎日≧800 IU)は、大腿骨頸部骨折およびあらゆる非椎体骨折の予防に多少ではあるが有望であることが示された。スイス・チューリッヒ大学のHeike A. Bischoff-Ferrari氏らによる解析結果で、「居住場所、年齢、性別とは独立して骨折リスクを低減する可能性があることが示された」と報告している。ビタミンD摂取と骨折の減少についてこれまでのメタ解析の結果は一貫していない。Bischoff-Ferrari氏らは、11の二重盲検無作為化比較試験の被験者を対象に解析を行った。NEJM誌2012年7月5日号掲載報告より。11試験の65歳以上被験者3万1,022例のデータをメタ解析解析には、カルシウムを併用または非併用のビタミンD経口摂取群(毎日、毎週、4ヵ月ごと)について、プラセボ群と比較またはカルシウム単独群との比較が行われた11の二重盲検無作為化比較試験の65歳以上被験者3万1,022例(平均年齢76歳、女性91%)が含まれた。主要エンドポイントは、年齢、性別、居住場所、試験で補正後のCox回帰分析による大腿骨頸部骨折とあらゆる非椎体骨折の発生だった。主要目的は、全試験の介入群におけるビタミンDの実際摂取量(各被験者の治療アドヒアランス分と試験プロトコール以外のサプリメント摂取分を含む)の四分位範囲からのデータを、対照群と比較することだった。骨折リスク低下は実際摂取の最高用量群でのみ解析の結果、大腿骨頸部骨折発生は1,111件、非椎体骨折発生は3,770件だった。ビタミンD摂取群に無作為化された被験者は、対照群と比較して、有意ではなかったが、大腿骨頸部骨折リスクが10%低く(ハザード比:0.90、95%信頼区間:0.80~1.01)、非椎体骨折リスクは7%低かった(同:0.93、0.87~0.99)。実際摂取量の四分位範囲での解析の結果、骨折リスクの低下は、最高用量摂取群(毎日の摂取量範囲:792~2,000 IU、平均800 IU)でのみ示され、大腿骨頸部骨折リスクは30%低下(ハザード比:0.70、95%信頼区間:0.58~0.86)、非椎体骨折リスクは14%低下(同:0.86、0.76~0.96)した。高用量のビタミンD摂取のベネフィットは、年齢層、居住場所、ベースラインの25-ヒドロキシビタミンD値、カルシウム摂取によって定義されるサブグループ群別にみた場合も一貫していた。(武藤まき:医療ライター)

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統合失調症患者は“骨折”しやすいって本当?

近年、統合失調症患者では骨粗鬆症の罹患率が高いことが明らかになってきているが、著しい骨密度(BMD)の減少にいたる機序や臨床的意味はまだわかっていない。慶応義塾大学の岸本氏(Zucker Hillside Hospital留学中)らは統合失調症患者における骨粗鬆症と骨折リスク、さらに抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症の骨代謝への影響について、最近の知見をもとにレビューを行った。Curr Opin Psychiatry誌オンライン版2012年6月30日付の報告。主な結果は以下のとおり。 ・16報告中15件(15/16:93.8%)において、統合失調症患者は対照群と比較して、低BMDまたは骨粗鬆症の高い罹患率のうち、少なくともいずれかと相関していた。ただし、全体の一貫性はなかった。・高い骨折リスクは、統合失調症と関係し(2/2)、抗精神病薬投与とも関係していた(3/4)。・これらの要因として、運動不足、栄養不足、喫煙、アルコール摂取、ビタミンD不足が示唆された。・抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症とBMD低下との関係を調べた報告(9/15:60.0%)では、高プロラクチン血症の影響が少なからず認められた。・本結果は、サンプルが少なく効果の小さなものが含まれており、またプロスペクティブ研究は2報だけであった。・高プロラクチン血症や不健康な生活による影響はまだ明らかになっていないが、統合失調症患者ではBMD低下や骨折リスクとの関係が示唆されることから、予防や早期発見、早期介入が必要であると考えられる。(ケアネット 鷹野 敦夫)関連医療ニュース ・肥満や糖尿病だけじゃない!脂質異常症になりやすい統合失調症患者 ・せん妄対策に「光療法」が有効! ・厚労省も新制度義務化:精神疾患患者の「社会復帰」へ

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ギブンのカプセル内視鏡に保険適用 クローン病など全小腸疾患に拡大

ギブン・イメージング株式会社は5日、カプセル内視鏡検査前に実施する崩壊性カプセル「PillCam パテンシーカプセル」を使用した開通性評価技術が7月1日付で保険適用されたことを発表した。同時に、これまで小腸カプセル内視鏡検査において原因不明の消化管出血のみ保険適用だったが、「PillCam SB 2 plus カプセル」を使用することで、小腸疾患が既知または疑われる患者すべての小腸カプセル内視鏡検査が保険適用できることが厚生労働省より通知された。また、PillCam SB 2 plus カプセルは、特定保険医療材料として収載された。PillCam パテンシーカプセルには、消化管(小腸)の狭窄または狭小化を有する、あるいは疑われる患者に対して、カプセル内視鏡を使用する前に消化管の開通性を評価するために使用するバリウム(造影剤)が入っている。このカプセルは、PillCam SB 2 plus カプセルとともに、2012年3月に新規承認を日本の厚生労働省から取得している。従来、小腸カプセル内視鏡検査において禁忌疾患であったクローン病患者をはじめ小腸疾患の疑いのある患者に対して、安全かつ低侵襲な方法で小腸の画像診断検査が可能になる。また、造影剤が体内に存在した場合もX線検査で確認が可能である。「PillCam パテンシーカプセル」の特長は以下の3点。 (1)消化管(小腸)の狭窄又は狭小化を有する、あるいは疑われる患者に対してPillCam SB 2 plus カプセル内視鏡を使用する前に消化管の開通性を評価する(2)大き目のビタミン剤サイズのカプセル(26㎜×11㎜)を飲み込むだけで検査が行えるため、従来の評価方法(注腸造影など)に比べて侵襲性が低く、患者への身体的負担が軽減される(3)狭窄部で停滞した場合においても、嚥下後、100時間~200時間以内に自然崩壊し、非溶解性のコーティング膜だけが自然排出される詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.givenimaging.com/ja-jp/AboutGivenImaging/Documents/%E3%83%91%E3%83%86%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%97%E3%82%BB%E3%83%AB%E4%BF%9D%E9%99%BA%E9%81%A9%E7%94%A8%E6%89%BF%E8%AA%8D0705.pdf

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株式会社ケイセイ

医療機関を対象に化粧品・医薬部外品の企画・開発・販売を行っています。平成7年7月の創業以来、安全性を重視した医療機関専用化粧品として多くの先生方のご支持をいただいております。主な商品【低刺激性化粧品】ダーマメディコセブンシリーズ:低刺激性トイレタリー製品、基礎化粧品ダーマメディコADシリーズ:アトピー肌用洗浄剤、保湿剤ダーマメディコシリーズ:低刺激性ファンデーション、UVケア製品【制汗・デオドラントシリーズ】D-bar・D-tube【ケミカルピーリング】ジョルビシリーズ:グリコール酸ピーリング製剤・ホームケア商品【クリニックプライベート商品】ハイドロキノン・レチノイン酸・高濃度ビタミンC誘導体・CoQ10・アスタキサンチン・過酸化ベンゾイル製剤などクリニックオリジナル製剤のご相談を承ります。爪白癬用アプリケーター(東レメディカル製)画像を拡大する商品お問い合せ、サンプル等のご請求はinfo@e-keisei.co.jpまたは0120-888-913にて承ります。

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CKD患者では血糖値の日内変動が大きく、食後血糖の急激な上昇が認められた

慶応義塾大学医学部腎臓内分泌代謝内科の細谷幸司氏は、第55回日本腎臓学会の口演にて、持続血糖測定装置(CGMs)を用いて観察した慢性腎臓病(CKD)患者の血糖日内変動について報告した。CKD患者では非糖尿病であっても、血糖日内変動が大きく、とくに食後高血糖が著明であることが明らかになった。飲酒と肝酵素上昇のどちらがCKDに関与しているのかCDK患者における糖代謝異常やインスリン抵抗性の亢進が報告されており、その原因として、腎機能低下に伴う炎症性サイトカインや活性酸素の産生、貧血、脂肪細胞機能不全、尿毒症、栄養不良、副甲状腺ホルモンの亢進、ビタミンD欠乏、代謝性アシドーシスなどが報告されている1)。しかし、CKD患者におけるHbA1cや空腹時血糖の実態は正確に把握されておらず、1日の血糖値の推移についても正確に調べられていなかった。そこで細谷氏らは、近年実用化されているCGMsを用い、CKD患者の血糖日内変動の実態について検討を行った。細谷氏らが用いたCGMsは、メドトロニック社のミニメドCGMS-Goldであり、皮下に留置したセンサを介して組織間質液中のグルコース濃度を24時間連続測定し、携帯型のモニタシステムに記録される。過去において、維持血液透析患者や腹膜透析患者の血糖変動を測定するためにCGMsを用いた検討はあったが、非糖尿病の非透析導入のCKD患者に対して、CGMsを用いて血糖日内変動を調べた研究はまだなかった。CKD患者では食後高血糖によるグルコーススパイクが心血管イベントに影響か細谷氏らは、CKD群として非糖尿病性腎症で透析導入目的にて入院したCKDステージ5の患者16名、またコントロール群として腎生検目的で入院した6名を含む正常者10名について、CGMsを用い36~48時間の血糖連続測定を行った。CGMsで得られた血糖日内変動のパラメータとして、平均血糖値、血糖変動値(SD値の平均)、血糖曲線下面積(AUC)、食後2時間の最大血糖値と最小血糖値の差、食後のAUCを比較した。コントロール群とCKD群との比較には、Mann-WhitneyのU検定を用いた。患者背景は、コントロール群とCKD群において年齢はそれぞれ53.9±19.1歳と57.67±11.4歳、HbA1cは5.0±0.41%と5.39±0.50%、eGFRは68.2±22.3mL/分と5±1.58mL/分(p<0.0001)であった。コントロール群およびCKD群で有意差のあった血液検査値は、尿素窒素(BUN)、クレアチニン値、総コレステロール、アルカリホスファターゼ(ALP)、GOT、尿酸、ヘモグロビン(Hb)、ヘマトクリット、血小板であった。血糖の日内変動パターンは、コントロール群では24時間を通して血糖値が安定していたのに対し、CKD群では血糖値の日内変動が大きく、とくに食後の血糖上昇が著明であった。コントロール群とCKD群において24時間血糖と夜間血糖を比較したところ、24時間血糖では平均血糖値(p<0.005)、血糖変動値(p<0.05)、AUC(p<0.005)のいずれにおいてもCKD群の方で有意に高かった。一方、夜間血糖ではCKD群の方が高い傾向にあるものの有意差はなかった。また、食後2時間血糖値と空腹時血糖の差は、朝食、昼食、夕食においてCKD群でコントロール群よりも大きく、とくに朝食では有意差(p<0.05)が認められた。全食事での比較においてもCKD群で食後と空腹時血糖の差は有意に大きかった(p<0.05)。食後2時間のAUCの比較では、朝食(p<0.005)、昼食(p<0.05)、夕食(p<0.05)、全食事(p<0.005)のすべてにおいて、CKD群が有意に高いことが示された。これらの結果より、細谷氏は「CKDステージ5の患者では腎機能の正常者と比べて、24時間平均血糖および血糖日内変動が増大し、とくに食後高血糖が著明に認められた」と述べた。持続的な高血糖よりも、グルコーススパイクと呼ばれる食後高血糖のような急峻な血糖変動が動脈硬化進展のリスクファクターである可能性が指摘されている2)。細谷氏は、CKD患者では非糖尿病であっても血糖日内変動が大きく、食後の間欠的な高血糖が認められ、このグルコーススパイクが心血管疾患に影響を与える可能性があると考察した。参考文献1)El-Atat FA et al:J Am Soc Nephrol 2004; 15: 2816-28272)Esposito K et al: Circulation 2004;110:214-219

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「今後の透析医療を考える」プレスセミナーレポート

2012年5月31日、「今後の透析医療を考える」と題したプレスセミナー(バイエル薬品株式会社主催)が開催された。第1部として、秋澤忠男氏(昭和大学医学部 腎臓内科教授)が、「慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常の診療ガイドラインによって変わる透析医療」を、第2部として、宮本高宏氏(全国腎臓病協議会 会長)が、「透析患者の治療における実態とガイドライン改訂への期待」を講演した。その内容をレポートする。「慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常の診療ガイドラインによって変わる透析医療」わが国の透析患者に対する治療は、世界でトップレベルにあり、日本の透析患者の死亡リスクは、米国の1/4、欧州の1/2.5である。しかし、一般人と比較すると透析患者の余命は半分で、とくに心不全などの脳・心血管系疾患による死亡リスクが高くなっている。この原因として、血中リン(P)濃度による血管の石灰化が考えられる。日本透析医学会は、この度、慢性腎臓病に伴う『骨・ミネラル代謝異常の診療ガイドライン(CKD-MBD)』を発表した。CKD-MBDは、2006年に発表されたガイドラインの改訂版で、主な変更点は、以下の通りである。 ○対象を透析患者だけでなく、保存期や移植期のCKDや小児CKDに拡大する○血管石灰化や透析アミロイドーシスなどの病態を加える○新規治療薬の評価・使用法を加える○エビデンスレベル評価とガイドライン推奨度を明示するまた、CKD-MBDでは、P、カルシウム(Ca)、副甲状腺ホルモン(PTH)の管理目標値も示されるとともに(P:3.5-6.0 mg/dL、Ca:8.4-10.0 mg/dL、PTH:60-240 pg/mL)、P、Caの管理を優先することが推奨されている。そして、管理方法としては、炭酸Ca、Ca非含有P吸着薬、活性型ビタミンD、副甲状腺作動薬を組み合わせて管理目標を達成する『9分割図』といわれる方法が提唱されている。演者の秋澤氏は、「CKD-MBDを活用したPの適切な管理が、透析患者の予後向上につながることを期待したい」として、講演を終えた。「透析患者の治療における実態とガイドライン改訂への期待」透析患者を対象とした治療に関する調査結果が発表された。調査は、2012年4月に、インターネットで実施され、人工透析を受けている患者200名から回答を得た。主な調査結果は以下の通りである。 ○透析患者の不安項目としては、合併症への不安(73%)が最も多く、とくに、循環器疾患への不安を覚えている人が多かった。○透析の治療に関するガイドラインは、約40%の人が認知していた。○ガイドラインに沿った治療を希望する人は、60%であった(わからない:34%)。○自分の服用している薬に対する意識調査では、薬について十分理解している人が91%おり、自分で調べたり勉強している人の割合も73%であった。演者の宮本氏は、自らも30年来の透析患者であることを明かしたうえで、透析患者の医療費負担に触れた。「透析にかかる医療費は年間約1兆5千万円で、国の医療財政を圧迫しているが、患者の自己負担額はほぼゼロに近い。この事実を鑑み、患者は、自分達が提供してもらっている医療に感謝し、自ら食事療法などの自己管理をしっかりと行うことが必要である」と強調した。(ケアネット 鈴木 渉)

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肺塞栓症に対するリバーロキサバン、標準療法に非劣性

肺塞栓症の初期治療および長期治療に対する、経口第Xa因子阻害薬リバーロキサバン(商品名:イグザレルト)の固定用量レジメンは、標準的な抗凝固療法との比較で非劣性であり、ベネフィット対リスク特性が改善されていることが報告された。EINSTEIN–Pulmonary Embolism(PE)Study研究グループの検討報告で、NEJM誌2012年4月5日号(オンライン版2012年3月26日号)で発表された。リバーロキサバンの固定用量レジメンは、検査室監視が不要で、効果は深部静脈血栓症治療の標準的な抗凝固療法と同程度であることが示されていた。そこで、肺塞栓症の治療をシンプルにする可能性があることから検討が行われた。4,832例をリバーロキサバン対標準療法に無作為化研究グループによる無作為化薬剤名表示イベント主導型非劣性試験は、深部静脈血栓症の有無にかかわらず、急性症候性肺塞栓症を呈した4,832例を、リバーロキサバン投与群(1日2回15mgを3週間、その後は1日1回20mg)と、標準療法群(エノキサパリン投与後、用量調整ビタミンK拮抗薬を投与)に無作為に割り付け、3、6、12ヵ月時点で比較した。主要有効性アウトカムは、症候性静脈血栓塞栓症の再発とし、主要安全性アウトカムは、重大出血または重大ではないが臨床的に意義のある出血とした。イベント発生率、有害事象とも標準療法を上回る結果結果、リバーロキサバン群は、主要な有効性アウトカムにおいて標準療法群に対し非劣性(非劣性マージン2.0、P=0.003)で、イベント発生率はリバーロキサバン群の50件(2.1%)に対し、標準療法群は44件(1.8%)だった(ハザード比:1.12、95%信頼区間:0.75~1.68)。主要安全性アウトカムは、リバーロキサバン群10.3%に対し標準療法群11.4%の患者に認められた(同:0.90、0.76~1.07、P=0.23)。重大出血は、リバーロキサバン群26例(1.1%)、標準療法群52例(2.2%)で観察された(同:0.49、0.31~0.79、P=0.003)。他の有害事象の発生率は両群で同程度だった。(朝田哲明:医療ライター)

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イグザレルト 肺塞栓症治療と深部静脈血栓症、PE再発抑制の適応症に関し、欧州連合の製造販売承認を申請

独バイエル ヘルスケア社は12日、経口抗凝固剤イグザレルト(リバーロキサバン)を成人における肺塞栓症(PE:pulmonary embolism)の治療、ならびに深部静脈血栓症(DVT:deep vein thrombosis)およびPEの再発抑制の適応症で、欧州医薬品庁(EMA:European Medicines Agency)に製造販売承認申請を行ったと発表した。リバーロキサバンは、静脈・動脈血栓症の主要な領域の大部分で、すでに承認されている。今回の承認申請は、グローバル第III相臨床試験 EINSTEIN-PEのデータに基づき行われた。試験結果は、今年3月に米国心臓病学会(ACC:American College of Cardiology)第61回年次学術集会で発表され、同時にニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(10.156/NEJMoa1113572)に掲載された。EINSTEIN-PE試験は、リバーロキサバン15mg1日2回を3週間投与した後、20mg 1日1回投与する経口単剤療法と、エノキサパリンを皮下注射した上で、その後、ビタミンK拮抗剤を投与する既存の標準治療法を比較したもの。同試験に参加した急性症候性PE患者4,833人は、3、6または12ヵ月の治療を受けたという。リバーロキサバンは、主要評価項目である症候性DVTと非致死性・致死性PEの複合からなる再発性症候性VTEの減少に関し、既存の標準治療法に少なくとも劣らない有効性を示したとのこと。全体的な出血事象発現頻度は治療グループ間で同程度であったが、重要なことは、リバーロキサバンは重大な出血事象の発現頻度が有意に低かったことだ。EINSTEIN-PE試験は、約1万人の静脈血栓症の治療に関し、リバーロキサバンの安全性と有効性を評価したグローバルEINSTEINプログラムの第III相臨床試験3試験のうちの一つ。ほかの2試験(EINSTEIN-DVT試験とEINSTEIN-EXT試験)は、ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに一緒に掲載された(10.1056/NEJMoa1007903)。イグザレルトは、2011年12月9日に、成人における急性DVT発症後の治療、ならびに再発性DVTおよびPE発症抑制の適応症に関し、欧州委員会から製造販売承認に関する承認を取得している。詳細はプレスリリースへhttp://byl.bayer.co.jp//scripts/pages/jp/press_release/press_detail.php?file_path=2012%2Fnews2012-04-13.html

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左室肥大を伴うCKD患者へのビタミンD投与、左室心筋重量係数に変化なし

左室肥大を伴う慢性腎臓病(CKD)に対し、48週間にわたる活性型ビタミンD化合物paricalcitolを投与した結果、左室心筋重量係数に変化は認められなかったことが示された。米国・マサチューセッツ総合病院のRavi Thadhani氏らが、約230人のCKD患者について行った無作為化試験で明らかにしたもので、JAMA誌2012年2月15日号で発表した。先行研究では、ビタミンDが心血管関連の罹患率や死亡率を減少することが示されていたが、それが心構造や心機能の修正に基づくものなのかについて、エビデンスは乏しかったという。48週間後の左室心筋重量係数の変化を心血管MRIで評価研究グループは、2008年7月~2010年9月にかけて、11ヵ国で登録したCKD患者(eGFR:15~60mL/分/1.73m2)227人を対象とする、無作為化プラセボ対照二重盲検試験を行った。被験者は軽度から中程度の左室肥大を伴い、左室駆出率は50%超だった。被験者を無作為に二群に分け、一方にはparicalcitolを(2μg/日、115人)、もう一方にはプラセボを(112人)それぞれ投与した。主要アウトカムは、48週間後の、心血管MRIにより測定した左室心筋重量係数の基線からの変化とした。左室心筋重量係数や拡張機能の変化に両群で有意差なし結果、48週間後の左室心筋重量係数の変化は、paricalcitol群で0.34g/m2.7(95%信頼区間:-0.14~0.83)に対し、プラセボ群で-0.07g/m2.7(同:-0.55~0.42)と、両群で有意差はなかった。ドップラー法により測定した拡張機能の変化についても、両群で有意差は認められなかった(paricalcitol群-0.01cm/秒、プラセボ群-0.30cm/秒)。なお、paricalcitol投与によって、副甲状腺ホルモン値は4週間で低下し、その後の試験期間中も同レベルを維持した。また、高カルシウム血症の発症率は、paricalcitol群でより高率だった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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経口抗凝固療法の自己モニタリング、血栓塞栓イベントを低減

患者自身が検査や用量の調整を行う自己モニタリングによる経口抗凝固療法は、本療法が適応となる全年齢層の患者において安全な治療選択肢であることが、英国・オックスフォード大学のCarl Heneghan氏らの検討で示された。ビタミンK拮抗薬による経口抗凝固療法を受ける患者は増加し続けているが、治療域が狭いため目標とする国際標準化比(INR)を維持するには頻回の検査や適切な用量の調整などを要するという問題がある。自己モニタリングは、その有効性を示す優れたエビデンスがあるものの、臨床導入には相反する見解がみられるという。Lancet誌2012年1月28日号(オンライン版2011年12月1日号)掲載の報告。自己モニタリングの意義を検証するメタ解析研究グループは、経口抗凝固薬の患者自身による自己モニタリング(自己検査[検査は患者が行い用量は医師が決める]または自己管理[検査、用量調整とも患者が行う])の意義を検証するために、自己モニタリングと医師によるモニタリングの有効性を比較した無作為化試験のメタ解析を行った。Ovid versions of Embase(1980~2009年)とMedline(1966~2009年)を検索し、Cochrane Central Register of Controlled Trialsなどで検索結果を調整した。UK National Research Register and Trials Centralなどで未出版の試験も検索した。抽出された全試験の著者と連絡を取り、死亡までの期間、初回大出血、初回血栓塞栓イベントに関する個々の患者データの提供を求めた。機械弁置換や心房細動の患者についても解析した。年齢別、対照群のケアのタイプ(抗凝固療法専門施設とプライマリ・ケア施設)、自己検査と自己管理、性別について、事前に規定されたサブグループ解析を行った。変量効果モデルで統合ハザード比(HR)を算出した。 血栓塞栓イベントが半減、特に55歳未満と機械弁置換患者で高い効果1992~2006年に患者登録がなされ、2000~2010年に発表された11試験(6,417例、1万2,800人・年)が解析の対象となった。全体の平均年齢は65.0歳(17~94歳)、女性が22%、心房細動患者は53%、機械弁置換患者は35.0%であった。血栓塞栓イベントは、医師によるモニタリング群に比べ自己モニタリング群で有意に減少した(HR:0.51、95%信頼区間[CI]:0.31~0.85)が、大出血(同:0.88、0.74~1.06)と死亡率(同:0.82、0.62~1.09)は両群間に差はみられなかった。特に、55歳未満の患者(HR:0.33、95%CI:0.17~0.66)と機械弁置換患者(同:0.52、0.35~0.77)で血栓塞栓イベントの抑制効果が高かった。85歳以上の患者(99例)では、自己モニタリングによる合併症の増加はみられず、死亡率は有意に低下した(同:0.44、0.20~0.98)。著者は、「経口抗凝固療法の自己検査および自己管理は、本療法が適応となる全年齢層の患者において安全な治療選択肢である」と結論し、「自己管理の選択肢は、適切な医療支援による保護の元で患者に提供すべき」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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ビタミンE摂取、前立腺がんの長期発症リスクを1.17倍に増大

ビタミンE摂取は、前立腺がんの発症リスクを有意に増大することが、無作為化プラセボ対照試験「Selenium and Vitamin E Cancer Prevention Trial」(SELECT)の結果、示された。米国・クリーブランドクリニックのEric A. Klein氏らの報告で、JAMA誌2011年10月12日号で発表した。SELECT試験の結果は2009年に、追跡期間中央値5.5年時点の解析結果が発表され、セレン摂取もビタミンE摂取も前立腺がん発症リスクを減少しないことが認められた。同時に、統計的に有意な増大ではなかったが、ビタミンE摂取群で前立腺がんリスクの増加傾向が懸念される結果が示されていた。今回、より長期の追跡データを分析した結果、ビタミンE群の前立腺がん発症リスクの有意な増加が明らかになったという。前立腺がんの疑いのない約3万6,000人を7~12年追跡Klein氏らは、2001年8月22日~2004年6月24日の間に、米国、カナダ、プエルトリコの427ヵ所で、前立腺がんの兆候が認められない3万5,533人の男性について、無作為化プラセボ対照試験を行った。被験者は、黒人は50歳以上、それ以外は55歳以上で、前立腺特異抗原(PSA)血中濃度が4.0ng/mL以下、直腸診の結果でも前立腺がんの疑いはなかった。研究グループは被験者を無作為に4群に分け、セレン(200μg/日、8,752人)、ビタミンE(400 IU/日、8,737人)、セレンとビタミンEの両者併用(8,702人)、プラセボ(8,696人)をそれぞれ投与した。2011年7月5日まで追跡し、前立腺がんの発症率について比較した。追跡期間は7~12年だった。前立腺がんの絶対リスク増加、ビタミンEは1.6/1,000人・年追跡期間中に前立腺がんを発症したのは、プラセボ群529人に対し、ビタミンE群で620人で、ハザード比1.17(99%信頼区間:1.004~1.36、p=0.008)と、同発症リスクは有意に上昇した。セレン群で同発症が認められたのは575人で、同ハザード比は1.09(同:0.93~1.27、p=0.18)、セレン/ビタミンE群では555人で同ハザード比は1.05(同:0.89~1.22、p=0.46)と、いずれも同発症リスクの有意な増大は認められなかった。プラセボと比較した、1,000人・年当たりの前立腺がん発症に関する絶対リスク増加は、ビタミンEが1.6、セレンが0.8、両者併用が0.4だった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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