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ビタミンC、Eの摂り過ぎは、むしろ変形性膝関節症リスクを増大

 先行研究により、ビタミンCとビタミンEは変形性膝関節症(膝OA)の発症を抑制することが示唆されていた。しかし、米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のRamani Krishna Chaganti氏らが多施設共同変形性関節症研究(Multicenter Osteoarthritis Study:MOST)の参加者を対象にコホート内ケースコントロール研究を行った結果、ビタミンCおよびビタミンEの血中濃度高値は膝OAの発症を抑制しないどころか発症リスクの増加と関連していたことを報告した。Osteoarthritis and Cartilage誌2014年2月号(オンライン版2013年11月28日号)の掲載報告。 研究グループは、MOST研究に登録された膝OA患者またはそのリスクが高い50~79歳の男女3,026例を対象に、X線検査で確認される膝OA(X線膝OA)の発症とビタミンCおよびビタミンEの血中濃度との関連を調べた。 膝OA発症例は、研究開始時に脛骨大腿関節(TF)または膝蓋大腿関節(PF)のOA症状がなく、30ヵ月の観察期間中にTFやPF(両方もしくはどちらか)のOAを発症した症例と定義した。 研究開始時に、血漿中ビタミンC濃度および血清中ビタミンE(α-トコフェロール)濃度を測定した。 主な結果は以下のとおり。・研究開始時にX線膝OAがなくビタミンC値が最高三分位群は、同最低三分位群と比較してX線膝OAの発症率が高かった(補正後オッズ比[OR]:2.20、95%信頼区間[CI]:1.12~4.33、p=0.021)。・ビタミンE値についても、同様の結果であった(補正後OR:1.89、96%CI:1.02~3.50、p=0.042)。・ビタミンC三分位値およびビタミンE三分位値は、X線膝OAの発症と関連があることが認められた(それぞれの傾向p=0.019、0.030)。

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軽~中等度アルツハイマー病にもビタミンEが有効/JAMA

 軽度~中等度のアルツハイマー病(AD)に対するビタミンE(α-トコフェロール)の投与は、身体機能の低下を遅延する効果があることが示された。米国・ミネアポリスVAヘルスケアシステムのMaurice W. Dysken氏らが、AD患者600例超を対象に行った、二重盲検プラセボ対照並行群間無作為化臨床試験「TEAM-AD VA共同無作為化試験」の結果、報告したもので、JAMA誌2014年1月1日号で発表した。なお、ビタミンE+メマンチン投与およびメマンチン単独投与ではプラセボ群と比べて有意差はみられなかったという。これまでの研究で、中等度~重度ADに対するビタミンEの効果は示されていたが、軽度~中等度ADについては、その効果に関するエビデンスは限定的だった。被験者を4群に分け、平均2.27年追跡 研究グループは、2007年8月~2012年9月にかけて、軽度~中等度ADの患者613例を対象に試験を行った。被験者を、(1)α-トコフェロールを2,000 IU/日、(2)メマンチンを20mg/日、(3)(1)と(2)を併用、(4)プラセボをそれぞれ投与する4群に無作為化した。 主要アウトカムは、Alzheimer's Disease Cooperative Study/Activities of Daily Living (ADCS-ADL) 評価尺度(0~78点)のベースライン時からの変化だった。副次アウトカムには、認知力、神経精神医学的評価、機能評価、介護者評価などを含んだ。 追跡期間の平均値は2.27年(標準偏差:1.22)で、追跡を完了したのは、ビタミンE群140例、メマンチン群142例、ビタミンE+メマンチン群139例、プラセボ群140例だった。ビタミンE群、プラセボ群より年間19%の臨床的な進行遅延 追跡期間中のADCS-ADLスコアは、プラセボ群と比べてビタミンE群では、3.15低下(95%信頼区間[CI]:0.92~5.39、補正後p=0.03)したが、メマンチン群では、1.98低下(同:-0.24~4.20、p=0.40)にとどまった。 ビタミンE群のADCS-ADLスコアのベースライン時からの最小二乗平均差は-13.81であり、プラセボ群の-16.96に比べ有意に小さかった。この違いは、ビタミンE群ではプラセボ群に比べ、年間19%の臨床的進行の遅延、追跡期間では平均6.2ヵ月の遅延に相当した。 メマンチン群とビタミンE+メマンチン群では、ADCS-ADLスコアの減少幅に有意差はなかった。 介護者が費やした時間も、ビタミンE群が最も増加しなかった。 一方、全死亡率と安全性の解析では、感染症または寄生虫感染の重症有害事象発生についてのみ、メマンチン群(23例・31イベント)、ビタミンE+メマンチン群(31例・44イベント)が、プラセボ群(11例・13イベント)に比べ有意に高率であることが示された。 著者は、「軽度~中等度ADへのビタミンE投与は、機能低下を緩やかにし、介護者の負担を軽減するという点でベネフィットが認められることが示された」と結論している。

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統合失調症患者への抗精神病薬追加投与、うまくいくポイントは

 統合失調症に対する抗精神病薬の治療効果を妨げる要因として脂質代謝と酸化還元レギュレーションが関係する可能性が示唆されている。ノルウェー・Diakonhjemmet病院のH Bentsen氏らは、急性エピソード統合失調症患者に、抗精神病薬を追加投与する場合、ω-3脂肪酸とビタミンE+Cの両剤を追加することが安全であるという研究結果を報告した。どちらか単剤の追加からはベネフィットは得られず、血中多価不飽和脂肪酸(PUFA)値が低い患者では精神病性症状が誘発されることが示された。Translational Psychiatry誌オンライン版2013年12月17日号の掲載報告。 研究グループは、抗精神病薬にω-3脂肪酸おまたはビタミンE+C(あるいはその両方)を追加投与した場合の臨床効果について調べた。検討に当たっては、ベースライン時のPUFA値が低値の患者では、追加投与でより多くのベネフィットが得られると仮定した。 試験は、多施設共同の無作為化二重盲検プラセボ対照2×2要因配置にて、ノルウェーの精神医療施設に入院した統合失調症または関連する精神疾患を有する18~39歳の連続患者を対象に行われた。被験者には、抗精神病薬とは別に1日2回2剤ずつ、実薬またはプラセボの、EPAカプセル(2g/日)とビタミンE(364mg/日)+ビタミンC(1,000mg/日)が16週間にわたって与えられた。追加投与する薬剤により被験者は、EPAとビタミン剤いずれもプラセボ(グループ1)、EPAは実薬(グループ2)、ビタミン剤は実薬(グループ3)、両剤とも実薬(グループ4)に分類された。主要評価項目は、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)の総スコアとサブスケールスコアで、線形混合モデルにより分析した。 主な結果は以下のとおり。・被験者数は99例であった。そのうち97例が、ベースライン時の血中PUFA値が測定されていた。・EPAとビタミン剤が単剤追加投与されたグループ2とグループ3は、脱落者の割合が高かった。一方、両剤を追加投与したグループ4の脱落率は、両剤プラセボのグループ1と変わらなかった。・ベースライン時PUFAが低値の患者では、EPAのみ追加した場合に、PANSS総スコア(Cohen's d=0.29、p=0.03)、精神病性症状(d=0.40、p=0.003)、とくに被害妄想(d=0.48、p=0.0004)が悪化した。・また同じくPUFA低値の患者においてビタミン剤のみ追加した場合では、精神病性症状(d=0.37、p=0.005)、とくに被害妄想(d=0.47、p=0.0005)の悪化がみられた。・一方、ビタミン剤とEPAの両剤を追加した場合は、精神疾患への有害な影響の中和がみられた(相互作用のd=0.31、p=0.02)。・ベースライン時PUFAが高値の患者では、試験薬の有意な影響がPANSS尺度ではみられなかった。関連医療ニュース 日本の統合失調症入院患者は低栄養状態:新潟大学 うつ病補助療法に有効なのは?「EPA vs DHA」 統合失調症患者の脳組織喪失に関わる脂肪酸、薬剤間でも違いが

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重症患者へのグルタミン早期投与、死亡率が増加/NEJM

 集中治療室(ICU)に入室した多臓器不全を呈する重症患者では、グルタミンの早期投与によりむしろ死亡率が上昇し、抗酸化薬の投与は臨床転帰に影響を及ぼさないことが、カナダ・キングストン総合病院のDaren Heyland氏らの検討で示された。重篤な病態にある患者は多大な酸化ストレスを受けており、グルタミンや抗酸化物質の投与により死亡率が抑制される可能性が指摘されているが、これまでに得られたデータは相反するものだという。NEJM誌2013年4月18日号掲載の報告。2×2ファクトリアル試験で有効性を評価 研究グループは、重症患者に対する早期のグルタミンや抗酸化物質(セレニウム、亜鉛、βカロチン、ビタミンE、ビタミンC)の投与の有効性を評価するために、2×2ファクトリアルデザインの二重盲検無作為化試験を実施した。 対象は、機械的換気を受けてICUに入室中で、複数の臓器不全を呈する患者とした。これらの患者が、グルタミン群、抗酸化薬群、グルタミン+抗酸化薬群、プラセボ群のいずれかに無作為に割り付けられた。投与はICU入室後24時間以内に開始され、静脈内投与と経腸投与が行われた。 主要評価項目は28日死亡率とした。中間解析が計画されたため、最終解析のp値が0.044未満の場合に統計学的に有意と判定することとした。28日死亡率:グルタミン投与群32.4% vs 非投与群27.2%、院内死亡率:37.2 vs 31.0% 2005年4月~2011年12月までに、カナダ、米国、欧州の40のICUから1,223例の多臓器不全患者が登録され、そのうち1,218例が評価可能であった。 グルタミン群に301例(平均年齢62.5歳、女性36.5%)、抗酸化薬群に307例(63.6歳、42.3%)、グルタミン+抗酸化薬群に310例(64.3歳、41.9%)、プラセボ群には300例(62.8歳、40.7%)が割り付けられた。 28日死亡率は、グルタミン投与群(611例)が非投与群(607例)に比べ高い傾向が認められた(32.4 vs 27.2%、調整オッズ比[OR]:1.28、95%信頼区間[CI]:1.00~1.64、p=0.05)。 院内死亡率(37.2 vs 31.0%、p=0.02)および6ヵ月死亡率(43.7 vs 37.2%、p=0.02)は、グルタミン投与群が非投与群よりも有意に高かった。グルタミンの投与は臓器不全や感染性合併症の発生率には影響を及ぼさなかった。 抗酸化薬投与群(617例)と非投与群(601例)の間に28日死亡率の差は認めず(30.8 vs 28.8%、調整OR:1.09、95%CI:0.86~1.40、p=0.48)、いずれの副次的評価項目についても差はみられなかった。 重篤な有害事象の報告は52件(46例)あり、そのうち試験薬との関連が疑われるのは4件で、発現率には群間で差がなかった(p=0.83)。尿素>50mmol/Lの頻度が、グルタミン投与群で有意に高かった(13.4 vs 4.0%、p<0.001)。 著者は、「多臓器不全を呈する重症患者に対するグルタミンの早期投与は死亡率を上昇させ、抗酸化薬は臨床転帰に影響を及ぼさなかった」と結論し、「種々のサブグループに関する解析を行ったが、グルタミンが有効な患者は同定できなかった。グルタミンの有害性のメカニズムは不明である」としている。

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外陰部硬化性苔癬にはプロアクティブな維持療法が効果的であり安全

 外陰部硬化性苔癬(VLS)のプロアクティブな維持療法について、局所ステロイド治療で症状が安定した後、週に2回の0.1%フランカルボン酸モメタゾン軟膏(商品名:フルメタほか)を56週間塗布した結果、寛解維持と再発防止が得られ、効果的で安全な治療オプションであることが示された。イタリア・フェラーラ大学のA. Virgili氏らが、無作為化試験の中間結果を報告した。British Journal of Dermatology誌オンライン版2013年2月12日号の掲載報告。 外陰部硬化性苔癬の慢性化や再発は、局所ステロイド治療で効果が得られた後の、長期間にわたる症状管理において問題となる。研究グループは、プロアクティブな治療(週2回の0.1%フランカルボン酸モメタゾン軟膏塗布)の効果を、1日1回の局所ビタミンEあるいはコールドクリーム塗布との比較で、3ヵ月間の局所ステロイド治療後の寛解維持と再発リスクの低下について調べた。 被験者はまず12週間のアクティブ治療期に登録され、1日1回の0.1%フランカルボン酸モメタゾン軟膏塗布を受けた。その後、寛解が得られた患者は52週間の維持治療期に登録され、無作為に週2回の0.1%フランカルボン酸モメタゾン軟膏塗布群、1日1回のコールドクリーム塗布、1日1回の局所ビタミンE治療群に割り付けられた。 主要有効性指標は、再発率と再発までの平均期間であった。 主な結果は以下のとおり。・試験登録された被験者は27例であった。アクティブ治療期後に、完全(あるいはほぼ完全)な寛解を得た25例が維持治療期に入った。・52週の維持治療期終了までに、再発を認めたのは10例(40%)であった。5例(55.6%)はビタミンE群、5例(62.5%)はコールドクリーム群であった。・一方で同期間に、0.1%フランカルボン酸モメタゾン軟膏塗布群での再発はみられなかった。・再発率は、ビタミンEおよびコールドクリーム両治療群のほうが、プロアクティブな治療群よりも有意に高率であった。・ビタミンEおよびコールドクリーム治療群の再発までの平均期間は同一で、21.6週であった。

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日本人のうつ病予防に期待?葉酸の摂取量を増やすべき

 日本人労働者を対象とした研究の結果、抑うつ度は、教育レベルならびに収入と有意な関連があり、栄養面では葉酸摂取と有意な関連があることが明らかにされた。国立国際医療研究センターの宮木幸一氏らが、本邦初の研究報告として発表したもので、「葉酸の摂取増を図る運動が、メンタルヘルスに関する社会的格差の問題解消に結びつく可能性がある」と報告した。Nutrients誌2013年2月18日号の掲載報告。 世界的に、社会経済状況(SES)と健康アウトカムとの関連は注目されており、これまで、低SES群は高SES群と比べて健康によいとされる栄養成分の摂取量が低いことなどが報告されていた。食事摂取量に関する先行研究では、葉酸と心血管疾患や大腸がん、うつ病、認知機能との関連を示す報告が複数ある。研究グループは、葉酸の摂取は収入による影響を受けることが考えられるとして、SESと葉酸摂取量および健康アウトカムとの関連を調べることを目的とした。なお先行研究では、収入などと葉酸摂取量を検討したものはあるが、教育との関連を検討したものはないという。本研究は、文部科学省助成研究であるJ-HOPE研究(Japanese study of Health, Occupation and Psychosocial factors related Equity:労働者コホート「仕事の健康に関する調査」)の参加者(13コホート、1万4,534人)のうち、製造業の大企業(京都に本社があり全国に21支社がある)の従業員約2,500人に本検討参加への同意を呼びかけ行われた。SESは自己記入式質問票を、葉酸摂取量はBDHQを用いて調査した。摂取量と交絡因子との関連性の評価にあたっては重回帰分析と層別解析を行い、摂取量が健康アウトカムに及ぼす影響を表すためにパス解析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・研究対象の日本人労働者コホート(同意を得た)は、2,266人であった。平均年齢は43.4±9.8歳、平均BMI値は23.1±3.3、女性は241人(10.6%)であった。・教育レベルと世帯収入は、葉酸摂取量および抑うつ度(日本語版K6スケールで評価)と有意に関連していた(p<0.05)。・年齢、性、総エネルギー摂取量で補正後、教育年数は葉酸摂取量に有意な影響を及ぼしていることが認められた(β=0.117、p<0.001)。・構造方程式モデリング(SEM)解析の結果、葉酸摂取量は、教育レベルならびに抑うつ度について、統計的に有意で強い間接的な影響があることが示唆された(p<0.05、直接的影響は56%)。・被験者のうち、日本人に推奨される葉酸の1日の摂取量(RDA)240μg/日を摂取していた人は63.6%であった。関連医療ニュース ・うつ病患者の食事療法、ポイントは「トリプトファン摂取」 ・統合失調症患者の脳組織喪失に関わる脂肪酸、薬剤間でも違いが ・認知症の進行予防にビタミンEは有効か?

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うつ病患者の食事療法、ポイントは「トリプトファン摂取」

 うつ病では悲哀感、希望喪失、易刺激性、身体機能障害などの特徴がみられ、数週間にわたり重症の症状を呈する。また、気分変調症は軽度の抑うつ気分が漫然と続いた状態である。うつ病の治療には、精神療法、薬物療法、光線療法などがあるが、これまでの臨床的および経験的エビデンスから、適切な食事が抑うつ症状を軽減しうることが示唆されている。オランダ領アンティル・Saint James School of MedicineのFaisal Shabbir氏らは、食事が抑うつに及ぼす影響について考察した。神経伝達物質であるセロトニンの低下はうつ病の一因であるが、セロトニンの前駆体であるトリプトファンを多く含む食事の摂取が抑うつ症状の軽減に有用であることを示唆した。Neurochemistry international誌オンライン版2013年1月7日号の報告。トリプトファンの含有量が少ない食事を摂取しているとうつに陥る可能性 トリプトファンを多く含む食事が抑うつ症状の軽減に有用であることを示唆した主な知見は以下のとおり。・脳内で合成される神経伝達物質のセロトニン(5-HT)は、気分緩和、満足感、睡眠の調節などに重要な役割を果たしている。5-HTを多く含む果物や野菜があるが、血液脳関門の存在により5-HTは中枢神経系に容易に到達できない。しかしながら、5-HTの前駆体であるトリプトファンは容易に血液脳関門を通過できる。・トリプトファンは、ビタミンB6誘導体であるピリドキサールリン酸存在下で、トリプトファンハイドロキシダーゼおよび5-HTPデカルボキシラーゼにより5-HTに変換される。・タンパク質の多い食品であっても、必須アミノ酸は体内でつくることができないため、トリプトファンの含有量が少ない食事を摂取しているとうつに陥る可能性がある。・たとえば月経前後の女性、心的外傷後ストレス障害、慢性疼痛、がん、てんかん、パーキンソン病、アルツハイマー病、統合失調症、薬物依存など、うつに陥りやすい状況にある患者ではトリプトファンを多く含む食事の摂取が重要である。・中枢神経におけるトリプトファンのバイオアベイラビリティは炭水化物の欲求に関連するが、炭水化物を多く含む食事はインスリン反応の引き金となりトリプトファンのバイオアベイラビリティを高める。・セロトニン再取り込み阻害薬は(SSRI)は、抑うつ症状を呈する肥満患者に処方されるが、これらの患者ではセロトニン濃度が厳格に調節されず、モノアミンオキシダーゼ阻害薬と併用した際には生命を脅かす有害事象が発現する可能性がある。しかし、トリプトファンを多く含む適切な食事を摂取することでセロトニン合成が調節されうる。・以上より、さまざまな神経変性疾患で観察される抑うつ症状に対し、セロトニン神経伝達を助ける上でトリプトファンを多く含む食事とビタミンB6は臨床的に重要と言える。ただし、うつに対するセロトニン神経伝達を修飾する薬理学的介入は、従来と変わらず臨床的に重要な事項である。また、うつの病態にはその他にもいくつかの分子メカニズムが関わっている可能性がある。関連医療ニュース ・うつ病予防に「脂肪酸」摂取が有効? ・うつ病補助療法に有効なのは?「EPA vs DHA」 ・認知症の進行予防に有効か?「ビタミンE」

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認知症の進行予防にビタミンEは有効か?

 アルツハイマー型認知症(AD)および軽度認知障害(MCI)進行予防としてのビタミンEについて、ベネフィットがあるという確実なエビデンスはみつからなかったと、英国・サセックス大学のNicolas Farina氏らが報告した。結果を受けて著者は、「今後の試験では、ADにおけるビタミンEの評価をα‐トコフェロールに限定しないで行うべきかもしれない」と提言している。本研究は、ビタミンEにはフリーラジカルを消失する抗酸化作用があり、一方でフリーラジカルがADなど病理学的な認知障害プロセスに寄与するとのエビデンスがあることを踏まえて行われた。Cochrane database of systematic reviews 2012年11月14日掲載の報告。認知症進行予防としてビタミンEとプラセボを比較 Cochrane Dementia and Cognitive Improvement Group(ALOIS)、The Cochrane Library、MEDLINEなどSpecialized Register(2012年6月25日時点)で、「Vitamin E」「vitamin-E」「alpha-tocopherol」の単語を用いて文献検索を行い、非交絡で二重盲検の無作為化試験(ADまたはMCI患者を対象に、あらゆる投与量でのビタミンE投与とプラセボを比較した試験)を同定した。レビュワー2名が個別に選択基準を適用して試験の質を評価し、データの抽出と解析を行った。各転帰尺度は無作為化された患者ごとに調べ、データ抽出をできる患者がいなくなった時点で解析を行った。プール解析は試験間で比較可能な転帰尺度が不足していたため行われなかった。 主な内容は以下のとおり。・認知症進行予防のためのビタミンE投与の選定基準を満たしたのは3試験だけであった(AD集団について2試験、MCI集団について1試験)。・1つ目のAD試験(佐野、1996)では著者は、ビタミンE投与(2,000 IU/日)は若干のベネフィットがあったこと[2年以内の、死亡・施設収容・CDR(Clinical Dementia Rating)スコア3のエンドポイントに達成した患者がより少なく、基本日常生活動作の低下も少なかった]を報告していた。・投与を完了した患者において、エンドポイント達成について、ビタミンE群58%(45/77)に対しプラセボ群は74%(58/78)であった[オッズ比(OR):0.49、信頼区間(CI):0.25~0.96]。・2つ目のAD試験(Lloret、2009)は、酸化ストレスとの関連でビタミンE(800 IU/日)投与の認知障害の進行に対する効果を検討したものであった。結果、ビタミンE投与で患者は酸化ストレスマーカーが低下したが、MMSEスコア変化率(ベースラインから6ヵ月間、対プラセボ)の有意差は認められなかった。・MCI試験(Petersen、2005)の主要な目的は、MCIからのADを含む認知症の変化・進行までの時間についてビタミンE投与(2,000 IU/日)の効果を検討したものであった。結果、被験者総計769例のうち214例が認知症へと進行し、そのうち212例はADがほぼ確実もしくはその可能性が高いと分類された。・MCIからADへの進行の可能性についてビタミンE群とプラセボ群で有意差はみられなかった(ハザード比:1.02、95%CI:0.74~1.41、p=0.91)。

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ビタミンE摂取、前立腺がんの長期発症リスクを1.17倍に増大

ビタミンE摂取は、前立腺がんの発症リスクを有意に増大することが、無作為化プラセボ対照試験「Selenium and Vitamin E Cancer Prevention Trial」(SELECT)の結果、示された。米国・クリーブランドクリニックのEric A. Klein氏らの報告で、JAMA誌2011年10月12日号で発表した。SELECT試験の結果は2009年に、追跡期間中央値5.5年時点の解析結果が発表され、セレン摂取もビタミンE摂取も前立腺がん発症リスクを減少しないことが認められた。同時に、統計的に有意な増大ではなかったが、ビタミンE摂取群で前立腺がんリスクの増加傾向が懸念される結果が示されていた。今回、より長期の追跡データを分析した結果、ビタミンE群の前立腺がん発症リスクの有意な増加が明らかになったという。前立腺がんの疑いのない約3万6,000人を7~12年追跡Klein氏らは、2001年8月22日~2004年6月24日の間に、米国、カナダ、プエルトリコの427ヵ所で、前立腺がんの兆候が認められない3万5,533人の男性について、無作為化プラセボ対照試験を行った。被験者は、黒人は50歳以上、それ以外は55歳以上で、前立腺特異抗原(PSA)血中濃度が4.0ng/mL以下、直腸診の結果でも前立腺がんの疑いはなかった。研究グループは被験者を無作為に4群に分け、セレン(200μg/日、8,752人)、ビタミンE(400 IU/日、8,737人)、セレンとビタミンEの両者併用(8,702人)、プラセボ(8,696人)をそれぞれ投与した。2011年7月5日まで追跡し、前立腺がんの発症率について比較した。追跡期間は7~12年だった。前立腺がんの絶対リスク増加、ビタミンEは1.6/1,000人・年追跡期間中に前立腺がんを発症したのは、プラセボ群529人に対し、ビタミンE群で620人で、ハザード比1.17(99%信頼区間:1.004~1.36、p=0.008)と、同発症リスクは有意に上昇した。セレン群で同発症が認められたのは575人で、同ハザード比は1.09(同:0.93~1.27、p=0.18)、セレン/ビタミンE群では555人で同ハザード比は1.05(同:0.89~1.22、p=0.46)と、いずれも同発症リスクの有意な増大は認められなかった。プラセボと比較した、1,000人・年当たりの前立腺がん発症に関する絶対リスク増加は、ビタミンEが1.6、セレンが0.8、両者併用が0.4だった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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ビタミンEは脳卒中を予防するか?:約12万人のメタ解析

ビタミンEの摂取により、虚血性脳卒中のリスクは10%低下するが、出血性脳卒中のリスクはむしろ22%増大することが、米国ブリガム&ウィメンズ病院のMarkus Schurks氏らが行ったメタ解析で明らかにされた。ビタミンEは、観察研究で冠動脈心疾患の予防効果が示唆されているが、無作為化対照比較試験では冠動脈リスクの抑制効果は示されず、サブグループ解析では出血性脳卒中のリスクを増大させる可能性が報告されている。また、メタ解析では高用量のビタミンEが全死因死亡率を増大させる可能性が示され、高い関心を呼んでいるという。BMJ誌2010年11月13日号(オンライン版2010年11月4日号)掲載の報告。2010年1月までに報告された無作為化プラセボ対照試験のメタ解析研究グループは、虚血性脳卒中および出血性脳卒中に対するビタミンEサプリメントの効果を評価するために、2010年1月までに報告された無作為化プラセボ対照試験の系統的なレビューとメタ解析を行った。データベース(Medline、Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trials)を検索し、論文の文献リストを調査して、ビタミンEの脳卒中に対する効果を検討した追跡期間が1年以上の無作為化プラセボ対照試験を抽出した。選ばれた論文の適格性を2人の研究者が別個に判定し、見解が異なる場合は合議によって解決した。2人の研究者が別個にデータを抽出し、個々の試験のリスク比とその95%信頼区間を算出した。見境のない使用に対しては警告を発すべき9つの試験に参加した11万8,765人(ビタミンE群:5万9,357人、プラセボ群:5万9,408人)が解析の対象となった。7試験には脳卒中全体のデータが含まれ、5試験には出血性脳卒中と虚血性脳卒中に分けたデータが記載されていた。解析の結果、ビタミンEには、全脳卒中のリスクを抑制する効果は認められなかった(相対リスク:0.98、95%信頼区間:0.91~1.05、p=0.53)。対象的だったのは、ビタミンEは虚血性脳卒中のリスクは抑制した(同:0.90、同:0.82~0.99、p=0.02)が、出血性脳卒中のリスクは増大させた(同:1.22、同:1.00~1.48、p=0.045)。試験間の不均一性はほとんど認められず、メタ回帰分析では、盲検化、ビタミンEの用量、罹病状況は不均一性の原因としては同定されなかった。絶対リスクに換算すると、476人がビタミンEを摂取すると1人の虚血性脳卒中が予防され、1,250人が摂取するごとに1人が出血性脳卒中を発症すると推定された。著者は、「今回のメタ解析では、ビタミンEは虚血性脳卒中のリスクを10%低下させ、出血性脳卒中のリスクを22%増大させることが示された。脳卒中全体のリスクのパターンは明確ではなかった」と結論し、「虚血性脳卒中のリスク低下は相対的に小さなものであり、一般的には出血性脳卒中の方が重篤なアウトカムの可能性が高いことを考慮すると、ビタミンEの見境のない広範な使用に対しては警告を発するべきである」と指摘する。(菅野守:医学ライター)

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世界初、ビタミンE浸漬浸透人工股関節ライナー第二世代が日本発売

バイオメット・ジャパン株式会社は1日、ビタミンE浸漬(しんせき)/浸透(しんとう)によって、高強度を保ったまま、抗酸化性、低摩耗を獲得した第二世代ハイリークロスリンクポリエチレン(以下HXLPE)採用の人工股関節ライナー「E1 HIP リングロックライナー」を、同日より日本に導入すると発表した。この製品は、世界初のビタミンEを含んだ人工股関節ライナーであり、摩耗を抑制する材料として期待されているという。E1 Antioxidant Infused Technology(ビタミンE浸漬/浸透技術)とは、1990年代後半から開発されたHXLPEを新しい世代=第二世代として進化させ、確立したもので、以下のような特徴がある。 ・HXLPE 人工股関節ライナーを、ビタミンE液に浸漬。・インプラント内の酸化反応分子(フリーラジカル)が酸素と結合する前にビタミンEと結合させ、酸化を防止、ポリエチレンの劣化を予防。・人工股関節に求められる「機械的強度」「耐摩耗性」「抗酸化性」に加え、「持続的抗酸化性」を獲得。・従来15年~20年と言われてきた人工股関節の耐用年数を、向上させる技術として注目される。同社では、第二世代HXLPE採用において、ビタミンEの安全性はもとより、強度テスト、耐摩耗性テスト、抗酸化性テストなど様々なテストにおいて、第一世代HXLPEよりも良好な結果を獲得していることを確認したため、今回、日本市場に導入したとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.biomet.co.jp/information/2010/11/post_1.html

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1型糖尿病妊婦に対するビタミンC/E投与は、子癇前症を予防しない

1型糖尿病の妊婦に対しサプリメントとしてビタミンCとビタミンEを投与する方法は、子癇前症のリスク低下には効果がないことが、イギリスRoyal Victoria病院(ベルファスト)のDavid R McCance氏らによる無作為化試験(DAPIT試験)で示された。子癇前症は、妊娠後期にみられる妊娠誘発性の高血圧と新規発症の蛋白尿で特徴付けられる多系統疾患であり、未経産、20歳未満、40歳以上、肥満、子癇前症の既往歴、多胎妊娠、慢性高血圧・腎疾患・自己免疫疾患・抗リン脂質症候群・糖尿病などの既存疾患がリスク因子となることが指摘されている。既存疾患のない妊婦に抗酸化物質を投与しても子癇前症は低下しないことがすでに報告されているが、糖尿病の妊婦に対するビタミン類の効果は不明だという。Lancet誌2010年7月24日号(オンライン版2010年6月26日号)掲載の報告。ビタミンC/Eとプラセボで子癇前症予防効果を評価DAPIT試験の研究グループは、1型糖尿病の妊婦を対象にサプリメントとしてのビタミンCとビタミンEの投与が子癇前症の発症に及ぼす効果を評価するために無作為化プラセボ対照比較試験を実施した。イギリスの25施設から、妊娠前に1型糖尿病に罹患しており、妊娠8~22週、単胎妊娠、16歳以上の女性が登録された。これらの妊婦が、分娩まで1日1回ビタミンC 1,000mg+ビタミンE 400IU(α-tocopherol)を投与する群あるいはプラセボ群に無作為に割り付けられた。試験関係者と参加者には、治療割り付け情報は知らされなかった。主要評価項目は、子癇前症(蛋白尿を伴う妊娠高血圧)の発症とし、modified ITT解析が行われた。子癇前症発症率:15% vs. 19%、有意差はないがベネフィットの可能性も2003年4月~2008年6月までに762人の妊婦が登録され、ビタミンC/E投与群に379人が、プラセボ群には383人が割り付けられた。子癇前症の評価は、ビタミンC/E投与群の375人、プラセボ群の374人で可能であった。子癇前症の発症率は、ビタミンC/E投与群が15%(57/375人)、プラセボ群は19%(70/374人)であり、両群間に差を認めなかった(リスク比:0.81、95%信頼区間:0.59~1.12)。母体および新生児ともに有害事象の報告はなかった。著者は、「サプリメントとしてビタミンCとビタミンEを投与する方法は、1型糖尿病の妊婦における子癇前症のリスクを低下させなかった」と結論したうえで、「ベースライン時に抗酸化物質が低下した状態にある女性では、サプリメントとしてのビタミン類の投与がベネフィットをもたらす可能性は残されているため、さらなる検討を要する」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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抗酸化サプリ、妊娠高血圧腎症の予防効果認められず

妊娠高血圧腎症(子癇前症)の予防に、抗酸化サプリメント(ビタミンC、E)は、効果があるとは言えないようだ。妊娠高血圧腎症では、胎盤形成異常または灌流不全が、炎症反応および内皮細胞機能不全を増大し、次々と特有の臨床症状をもたらすと考えられ、この疾患症状を引き起こすメカニズムの一つに、酸化ストレスの関連が言われている。そこで米国ピッツバーグ大学産婦人科のJames M. Roberts氏ら研究グループは、妊娠早期からのビタミンC、Eの抗酸化サプリメント服用と妊娠高血圧に関連した母体・胎児・新生児の重篤な有害事象リスクとの関連を、多施設共同無作為化二重盲検試験で評価を行った。NEJM誌2010年4月8日号掲載より。低リスクの未産婦1万例を、ビタミン補給群とプラセボに無作為化試験は、2003年7月~2008年2月に16施設およびMFMU(母体-胎児医療)ネットワークセンターが協力し、妊娠高血圧腎症リスクが低い未産婦1万154例を対象に行われた。被験者は、妊娠9~16週目の間に、ビタミンC(1000mg/日)とビタミンE(400 IU/日)の補給を開始する群と、同プラセボ摂取群とに無作為に割り付けられ追跡された。主要転帰は、重度の妊娠高血圧のみ発症、または重度あるいは軽度の高血圧(肝酵素値上昇、血小板減少、血清クレアチニン値上昇、子癇発作、医学的に適応とされた早産、胎児発育不全、周産期死亡、のいずれかを伴う)とした。ビタミンC・E補給群(5,087例)とプラセボ群(5,065例)の基線データは、ほぼ同等だった。平均年齢23.5歳、服薬開始13.4週、13週未満で服薬開始が約43%、血圧(109/66、109/65)などで、服薬コンプライアンスも同等だった。妊娠高血圧腎症発生率、7.2% vs.6.7%評価可能なデータを入手できたのは、9,969例(補給群:4,993例、プラセボ群:4,976例)。結果、主要転帰について、両群で有意な差は認められなかった。主要複合転帰発生率は、補給群6.1%、プラセボ群5.7%(補給群の相対リスク:1.07、95%信頼区間:0.91~1.25)。妊娠高血圧腎症発生率は、同7.2%、6.7%(1.07、0.93~1.24)だった。周産期の有害アウトカムについても両群で違いは認められなかった。(医療ライター:武藤まき)

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ビタミンE・Cの服用、男性の前立腺がんやがん全体の発症予防に効果みられず

ビタミンEやCの服用は、男性の前立腺がんやがん全体の発症リスクを減少することはないようだ。がんなどの慢性病予防の効果を期待してビタミンEやCを服用する人は少なくないが、そうした期待とは裏腹の大規模試験の結果が出た。これは、米ハーバード大学のJ. Michael Gaziano氏らが、約1万5千人の男性医師を対象に行った「Physicians’ Health Study II」の研究結果で、JAMA誌2009年1月7日号(オンライン版2008年12月9日号)で発表した。プラセボ対照二重盲検試験で8年間追跡同氏らは、1997~2007年にかけて、試験開始時点で50歳以上の1万4,641人の男性医師を対象に、無作為化プラセボ対照二重盲検試験を行った。被験者には、がんの病歴のある1,307人も含んだ。平均追跡期間は8.0年だった。被験者を4群に分け、ビタミンE(400 IU/日)とビタミンC(500mg/日)、ビタミンEまたはCとプラセボ、プラセボ2種をそれぞれ服用させた。前立腺がん・がん全体ともに、ビタミンE・Cによる予防効果なし追跡期間中に診断された前立腺がんは1,008件、がん全体では1,943件だった。ビタミンEについて見てみると、前立腺がんではビタミンE群の発症率が9.1/1000人・年だったのに対し、プラセボ群は同9.5/1000人・年だった。同発症に関するビタミンE群のハザード比は、0.97(95%信頼区間:0.85~1.09、p=0.58)だった。またがん全体についても、ビタミンE群の発症率が17.8/1000人・年だったのに対し、プラセボ群は同17.3/1000人・年だった。同発症に関するビタミンE群のハザード比は、1.04(95%信頼区間:0.95~1.13、p=0.41)だった。またビタミンC群について見てみると、前立腺がんではビタミンC群の発症率が9.4/1000人・年だったのに対し、プラセボ群は同9.2/1000人・年だった。同発症に関するビタミンC群のハザード比は、1.02(95%信頼区間:0.90~1.15、p=0.80)だった。またがん全体についても、ビタミンC群の発症率が17.6/1000人・年だったのに対し、プラセボ群は同17.5/1000人・年だった。同発症に関するビタミンC群のハザード比は、1.01(同:0.92~1.10、p=0.86)だった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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ビタミンE・Cどちらも心血管疾患予防(50歳以上男性)に効果なし

50歳以上の男性に対して、ビタミンEやビタミンCを投与しても、心血管疾患イベントの予防には効果がないようだ。米Harvard大学医学部のHoward D. Sesso氏らが、約1万5,000人の男性医師を対象にした大規模試験「Physicians’ Health Study II」で明らかにしたもので、JAMA誌2008年11月12日号(オンライン版2008年11月9日号)で発表した。これまでに、ビタミンEやCが心血管疾患予防に効果があることを示した研究はあるが、元々リスクの低い男性を対象にした長期の研究結果は珍しい。ビタミンEは1日おき400 IU、Cは連日500mg投与で8年間追跡同研究グループは、試験開始時点の年齢が50歳以上の1万4,641人の男性医師に対し、無作為化プラセボ対照二重盲試験を行った。ビタミンEの投与量は1日おきに400 IU、ビタミンCは毎日500mgだった。試験の実施期間は1997~2007年で、平均追跡期間は8年。試験開始時点で心血管疾患を有する被験者は754人(5.1%)だった。主な心血管疾患としては、死に至らない心筋梗塞、同じく脳卒中と、心血管疾患による死亡と定義した。E・Cともに心血管疾患リスク予防効果はなく、Eは出血性脳卒中リスクを増大試験期間中に発生した主な心血管疾患イベントは、1,245件だった。ビタミンE群、ビタミンC群ともに、プラセボ群に比べ、主な心血管疾患イベント、心筋梗塞、脳卒中、心血管疾患による死亡、のいずれの発症リスクにも有意差はなかった。さらに、ビタミンE群、ビタミンC群ともに、総死亡率についてもプラセボ群と有意差が見られなかった。一方で、ビタミンE群はプラセボ群に比べ、出血性脳卒中の発症リスクは有意に高かった(ハザード比:1.74、95%信頼区間:1.04~2.91、p=0.04)。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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ビタミンEには心血管イベントの予防効果はない

 アスピリン、抗酸化サプリメントを、単独もしくは組み合わせて服用しても、心血管イベントの減少には結びつかないことが報告された。スコットランドの16病院・188開業医グループが参加して行われたPOPADAD試験(prevention of progression of arterial disease and diabetes trial)からの報告。BMJ誌2008年11月1日号(オンライン版2008年10月16日号)にて掲載された。糖尿病患者1,276例を2×2無作為化 POPADAD試験は多施設共同無作為化二重盲検2×2プラセボ対照試験で、「1型もしくは2型糖尿病」「40歳以上」「上腕血流比0.99未満」「無症候性末梢動脈疾患」に該当する患者1,276例が参加し行われた。 被験者は、「アスピリン100mg/日+抗酸化サプリ」(320例)、「アスピリン100mg/日+プラセボ」(318例)、「プラセボ+抗酸化サプリ」(320例)、「プラセボ+プラセボ」(318例)のいずれかに割り付けられ、プライマリエンドポイントは(1)虚血性心疾患あるいは脳卒中による死亡、無症候性心筋梗塞あるいは脳卒中、虚血による上下肢切断、(2)虚血性心疾患あるいは脳卒中による死亡、の2階層を指標に評価が行われた。 投与された抗酸化サプリメントは、ビタミンE 200mg、ビタミンC 100mg、ビタミンB6 25mg、亜鉛10mg、ニコチンアミド10mg、脂質9.4mg、ナトリウム0.8mgを成分とする。アスピリン、抗酸化サプリの単独・組み合わせいずれも効果を見いだせず 主要イベントの発生は、アスピリン投与群で18.2%(116/638例)、非アスピリン投与群では18.3%(117/638)、両群間のハザード比は0.98倍(95%信頼区間:0.76~1.26)だった。虚血性心疾患あるいは脳卒中による死亡は、アスピリン投与群6.7%(43/638例)、非アスピリン投与群5.5%(35/638)、ハザード比は1.23倍(0.79~1.93)。 一方、抗酸化サプリ投与群間では、投与群18.3%(117/640例)、非投与群18.2%(116/636例)で、ハザード比は1.03倍(95%信頼区間:0.79~1.33)。虚血性心疾患あるいは脳卒中による死亡は、投与群6.6%(42/640例)、非投与群5.7%(36/636例)で、ハザード比は1.21倍(0.78~1.89)であった。 本試験では、アスピリンと抗酸化サプリの相互作用を示すエビデンスを見出すこともできなかった。研究グループは、「糖尿病患者の心血管イベント発症および死亡の一次予防としてのアスピリン、抗酸化サプリ服用を推奨するエビデンスを本試験では得られなかった」と結論している。

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