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ウィルソン病〔Wilson disease〕

1 疾患概要■ 定義肝臓およびさまざまな臓器に銅が蓄積し、臓器障害を来す常染色体劣性遺伝性の先天性銅代謝異常症である。■ 疫学わが国での発症頻度は約3万5千人に1人、保因者は約120人に1人とされている。■ 病因・病態本症は、銅輸送ATPase(ATP7B)の遺伝子異常症で、ATP7Bが機能しないために発症する。ATP7B遺伝子の変異は症例によりさまざまで、300以上の変異が報告されている。正常では、ATP7Bは肝細胞から血液および胆汁への銅分泌を司どっており、血液中への銅分泌のほとんどは、セルロプラスミンとして分泌されている。ATP7Bが機能しない本症では、肝臓に銅が蓄積し、肝障害を来す。同時に血清セルロプラスミンおよび血清銅値が低下する。さらに肝臓に蓄積した銅は、オーバーフローし、血液中に出てセルロプラスミン非結合銅(アルブミンやアミノ酸に結合しており、一般に「フリー銅」といわれている)として増加し、増加したフリー銅が脳、腎臓などに蓄積し、臓器障害を来すとされている(図1)。画像を拡大する■ 症状・分類5歳以上のすべての年齢で発症する。40~50歳で発症する例もある。神経型は肝型に比較して、発症年齢は遅く、発症は8歳以上である。ウィルソン病は、症状・所見により、肝型(肝障害のみ)、肝神経型(肝機能異常と神経障害)、神経型(肝機能は異常がなく、神経・精神症状のみ)、溶血発作型、その他に分類される。本症での肝障害は非常に多彩で、たまたま行った検査で血清トランスアミナーゼ(ALT、AST)高値により発見される例(発症前)から、慢性肝炎、急性肝炎、劇症型肝炎、肝硬変などで発症する例がある。神経症状の特徴はパーキンソン病様である。神経型でも肝臓に銅は蓄積しているが、一般肝機能検査値としては異常がみられないだけである。肝機能異常が認められなくても、表1の神経・精神症状の患者では、本症の鑑別のために血清セルロプラスミンと銅を調べるべきである。画像を拡大する神経・精神症状は多彩で、しばしば診断が遅れる。本症患者で当初はパーキンソン病、うつ病、総合失調症、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、パラノイア症候群(偏執病)などと誤診されていた例が報告されている。表1の「その他の症状」が初発症状を示す患者もいる。したがって、表1の症状・所見の患者で原因不明の場合は、本症を鑑別する必要がある。■ 予後本症に対する治療を行わないと、病状は進行する。肝型では、肝硬変、肝不全になり致命的になる。肝細胞がんを発症することもある。神経型では病状が進行してから治療を開始した場合、治療効果は非常に悪く、神経症状の改善がみられない場合もある。また、改善も非常に緩慢であることが多い。劇症型肝炎や溶血発作型では、迅速に対応しなければ致命的になる。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)診断に有効な検査を表2に示す。また、診断のフローチャートを図2に示す。表2の補足に示すように、診断が困難な場合がある。現在、遺伝子診断はオーファンネットジャパンに相談すれば実施してくれる。画像を拡大する症状から本症を鑑別する場合、まずは血清セルロプラスミンと銅を測定する。さらに尿中銅排泄量およびペニシラミン負荷試験で診断基準を満たせば、本症と診断できる。遺伝子変異が同定されれば確定診断できるが、臨床症状・検査所見で本症と診断できる患者でも変異が同定されない場合がある。確定診断に最も有効な検査は肝銅濃度高値である。しかし、劇症肝不全で肝細胞が著しく壊死している場合は、銅濃度は高くならないことがある。患者が診断されたら、家族検索を行い、発症前の患者を診断することも必要である。鑑別診断としては、肝型では、慢性肝炎、急性肝炎、劇症型肝炎、肝硬変、自己免疫性肝炎などが挙げられる。神経型はパーキンソン病、うつ病、総合失調症、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、パラノイア症候群(偏執病)などである。また、関節症状では関節リウマチ、心筋肥大では心筋症、血尿が初発症状では腎炎との鑑別が必要である。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)本症の治療薬として、キレート薬(トリエンチン、ペニシラミン)、亜鉛製剤がある(表3)。また、治療の時期により初期治療と維持治療に分けて考える。初期治療は、治療開始後数ヵ月で体内に蓄積した銅を排泄する時期でキレート薬を使用し、その後は維持治療として銅が蓄積しないように行う治療で、亜鉛製剤のみでよいとされている。画像を拡大する肝型では、トリエンチンまたはペニシラミンで開始する。神経型では、キレート薬、とくにペニシラミンは使用初期に神経症状を悪化させる率が高い。したがって神経型では、亜鉛製剤またはトリエンチンで治療を行うのが望ましい。ウィルソン病は、早期に診断し治療を開始することが重要である。とくに神経型では、症状が進行すると予後は不良である。早期に治療を開始すれば、症状は消失し、通常生活が可能である。しかし、怠薬し、急激な症状悪化を来す例が問題になっている。治療中は怠薬しないように支援することも大切である。劇症型肝炎、溶血発作型では、肝移植が適応になる。2010年現在、わが国での本症患者の肝移植数は累計で109例である。肝移植後は、本症の治療は不要である。発症前患者でも治療を行う。患者が妊娠した場合も治療は継続する。亜鉛製剤で治療を行っている場合は、妊娠前と同量または75mg/日にする。キレート薬の場合は、妊娠後期には、妊娠前の50~75%に減量する。4 今後の展望1)本症は症状が多彩であるために、しばしば誤診されていたり、診断までに年月がかかる例がある。発症前にマススクリーニングで、スクリーニングされる方法の開発と体制が構築されることが望まれる。2)神経型では、キレート薬治療で治療初期に症状が悪化する例が多い。神経型本症患者の神経症状の悪化を来さないテトラチオモリブデートが、米国で治験をされているが、まだ承認されていない。3)欧米では、本症の診断治療ガイドラインが発表されている。わが国では、2015年に「ウィルソン病診療指針」が発表された。5 主たる診療科小児科、神経内科、消化器内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)患者会情報ウィルソン病友の会1)Roberts EA, et al. Hepatology. 2008; 47: 2089-2111.2)Kodama H, et al. Brain & Development.2011; 33: 243-251.3)European Association for the Study of the Liver. J Hepatology. 2012; 56: 671-685.4)Kodama H, et al. Current Drug Metabolism.2012; 13: 237-250.5)日本小児栄養消化器肝臓学会、他. 小児の栄養消化器肝臓病診療ガイドライン・指針.診断と治療社;2015.p.122-180.公開履歴初回2013年05月30日更新2016年02月02日

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未治療小児患者への抗精神病薬投与、その影響は

 未治療の小児および未成年者における抗精神病薬の神経学的有害事象への影響について調べた結果、リスペリドンはジスキネジアおよびパーキンソニズムの出現リスクが高いこと、一方でクエチアピンは神経学的有害事象が少ない抗精神病薬であることが明らかにされた。スペインのマドリード・コンプルテンセ大学のMargarita Garcia-Amador氏らが、平均年齢14.4歳の265例について調べ報告した。また、遅発性ジスキネジアリスク増について、低年齢、精神疾患、治療が予測因子であることも報告した。結果を踏まえて著者らは、「抗精神病薬は、未治療および未治療に類する小児集団の神経学的有害事象を増加する。慎重にモニタリングする必要がある」と述べている。Journal of Clinical Psychopharmacology誌2015年12月号の掲載報告。 研究グループは、未治療(および未治療に類する)小児および未成年者を対象とした抗精神病薬治療の1年間の多施設共同観察研究を行い、抗精神病薬の神経学的有害事象への影響について、人口統計学的、臨床的、治療的要因を評価した。最も使用されている3種の抗精神病薬を投与した被験者サブサンプルと、抗精神病薬未治の被験者サブサンプルを用いて2つのサブ解析を実施した。総ジスキネジアスコア(DyskinesiaS)、総パーキンソンスコア(ParkinsonS)、総UKU-認知機能スコアを算出して評価。また、ロジスティック回帰法で、Schooler-Kaine基準判定後に定義された遅発性ジスキネジアのリスク因子を分析した。 主な結果は以下のとおり。・登録された被験者は、DSN-4のさまざまな第1軸疾患患者265例(平均年齢14.4[SD:2.9]歳)であった。・観察期間1年において、DyskinesiaS(p<0.001)およびParkinsonS(p<0.001)の増加を認めた。・リスペリドンはクエチアピンに比べ、DyskinesiaSの増加と関連していた(p<0.001)。・クエチアピンと比べて、リスペリドン(p<0.001)、オランザピン(p=0.02)のParkinsonS増加が有意に高かった。・総UKU認識スコアは、観察期間中に低下した。・抗精神病薬未治療患者の解析においても、有意な結果が得られた。・観察期間中に15例(5.8%)がSchooler-Kane基準を満たす遅発性ジスキネジアDを呈した。・観察期間中の遅発性ジスキネジアと関連していたのは、低年齢、精神症状歴、高い累積曝露期間であった。関連医療ニュース 小児への抗精神病薬使用で推奨される血糖検査、その実施率は 非定型抗精神病薬、小児への適応外使用の現状 青年期統合失調症の早期寛解にアリピプラゾールは有用か?  担当者へのご意見箱はこちら

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パーキンソン病への免荷歩行リハビリ どれほど有効?

 パーキンソン病患者のリハビリテーションの1つとして、機械で足元にかかる重みを軽減した状態で流れるベルトの上を歩行する「部分免荷トレッドミル歩行訓練(PWSTT)」がある。PWSTTのパーキンソン病患者における有用性はこれまで検討されてきたが、運動を行わない場合や、従来の歩行訓練を行った場合と比較した検証はない。このことから、米国イリノイ大学のMohan Ganesan氏らは前向きに研究を行い、運動を行わない群、従来の歩行訓練を行った群と比較して、PWSTを行った群で歩行能力指標が有意に改善することを明らかにした。Archives of physical medicine and rehabilitation誌2015年9月号掲載の報告。 研究グループは、安定量のドパミン受容体作動薬を使用中の特発性パーキンソン病患者60例(平均年齢58歳[SD 15±8.7])を、「歩行訓練を行わない群」「従来の歩行訓練群」「PWSTT群」(各群n=20)の3群に無作為に割り付けた。歩行訓練はどちらも1日30分、週4日間、4週間実施した。主要アウトカムは臨床的重症度と歩行能力指標とした。臨床的重症度はパーキンソン病統一スケール(UPDRS)とそのサブスコアで測定した。歩行能力指標は歩く速度・左右のステップの長さとその変動係数であり、2分間のトレッドミル歩行と10m歩行テストより測定・算出された。アウトカムは、ベースライン時および2週、4週時に評価した。 主な結果は以下のとおり。・「従来の歩行訓練群」と「PWSTT群」では、4週間の歩行訓練により、UPDRS総スコアの有意な改善が見られた。(ベースライン時 vs.4週時 各々p=0.03、p<0.001)・「PWSTT群」は、ベースラインと比較して、4週時においてすべてのUPDRSサブスコア、すべての歩行能力指標で有意な改善を示した。・「PWSTT群」は、「従来の歩行訓練群」と比較して、4週時にすべての歩行能力指標を有意に改善した。 研究グループは、「PWSTTは、パーキンソン病患者における臨床および歩行能力のアウトカムを改善するための有望な介入ツールだ」と結論付けている。

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非精神科医のための、高齢者のうつの特徴と治療法(解説:岡村 毅 氏)-436

 本論文は、高齢者のうつ病治療において治療抵抗性の場合に、抗うつ薬に加えてアリピプラゾールを加える増強療法が、効果に優れ、忍容性も良好であることを示したものである。 明日からの臨床に役立つ、きわめて臨床的な論文だ。では、どう役に立つのかを精神科以外の方々にわかりやすく説明してみたい。 現在、わが国の高齢者は人口の25%を超え、今後40%にまで上昇する。高齢期は、喪失体験、体の病気、社会的役割の変化(多くは減少する)が一般に多くみられ、心理的苦悩は大きい。さらに、単身独居高齢者が増えている。苦悩を緩衝するのは家族や仲間やコミュニティであるが、そういった機会がない高齢者も多い。加えて、高齢期の経済格差は苛烈であり、経済苦を抱える方は多い。うつ病になりやすいのである(細かいことであるが本研究では60歳以上を高齢者としているが、ご承知のとおり、わが国では65歳以上を高齢者とする)。 調査によれば、わが国でうつ病の方がまず受診するのは、精神科・心療内科ではなく、多くの場合内科である。プライマリケアを担う皆さまの外来には、多くの高齢のうつ病の方が受診していることであろうし、今後も増え続けるであろう。 ここから先は、精神科特有のおしゃべりに聞こえるかもしれないが、「こころ」という見えないものを対象とし、また「ことば」で多くが表出される内的世界を、やはり「ことば」で捉えなければならないという精神科特有の事情をご理解いただきたい。さて、高齢期のうつ病はいくつか特徴があるとされてきた。 なかでも、高齢期の焦燥うつ病(agitated depression)はしばしば言及される概念である。うつ病とは元気がなくなり思考が制止した状態と思っている方もいるかもしれないが、焦燥感に苛まれながら多くのことばを語る患者さんもいる。彼らの思考は制止していない、ただ1ヵ所をぐるぐると巡っているだけである。これをうつ状態と躁状態の混合状態と考えた、いにしえの人々もいた。この考え方は、実はうつ病と思っている病態の多くに躁が隠れている(Bipolar spectrum)という、近年の考え方に合致するものであり、精神疾患の分類とは何かという根源的問題を提起する。 おしゃべりが過ぎたので臨床に戻ると、焦燥が非常に強い高齢者のうつは、治療に抵抗性であることが多く、まずは落ち着かねば基本中の基本である休養すら取れないため、抗うつ薬の次に(抗うつ薬内部のクラス変更や抗うつ薬併用ではなく)抗精神病薬による増強療法を選択することが多い。個人的には、SSRIなどで焦燥が賦活されて大変つらい思いをされていた高齢者の方を紹介され、抗精神病薬を少量導入したところ、劇的に改善したという経験は多い。ただし、抗精神病薬の有害事象(パーキンソン症状など)は高齢者には出現しやすいので、専門医でなければ使用を躊躇してしまうかもしれない。パーキンソン症状の少ないクエチアピンという手もあるが、代謝系の副作用が問題になる。 よって今回の報告は、このような方にアリピプラゾールを使うときのリスクベネフィットの評価において、非常に大きな臨床的意思決定の基盤をもたらしてくれた。明日からの臨床に役立つであろう。 さて、おしゃべりに戻ろう。本報告では焦燥うつ病という概念は出てこない。最近のうつ病一般の分類においては「軽症」、「中等・重症だが(妄想などの)精神病症状はない」、「中等・重症で精神病症状を伴う」とすることが支配的で、焦燥うつ病や躁うつ混合状態などは一般的でなく、エビデンスとする(社会に還元する)にはこの思考に乗らねばならない。しかし、実地臨床においては焦燥うつ病は使える概念であり、専門医以上の精神科医は皆知っている概念である。 説明は以上であるが、伝わったであろうか。精神科医はついおしゃべりが過ぎる傾向があるが、私のつたないコラムで、精神科の臨床が一方で最新のエビデンスに目を配りつつ、一方では現在支配的ではない思想も知識として知っていなければならず、また最終的には目の前の個人の固有のQOLを目指すものである、という感じでやっていますということが伝われば本望である。

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レビー小体病変を伴うアルツハイマー病、その特徴は

 遅発性アルツハイマー病(AD)では、しばしばレビー小体病変が認められる。韓国・仁済大学校医科大学のEun Joo Chung氏らは、レビー小体病変の存在がADの臨床表現型や症状進行に影響を及ぼすかどうかを検討する目的で、レトロスペクティブな病理学的コホート研究を行った。その結果、AD病変とレビー小体病変の両方を有する患者とAD病変のみの患者とでは臨床表現型が異なり、両者を識別できることが明らかとなった。著者らは、「ADにおけるレビー小体の頻度やレビー小体とAPOEε4アレルとの関係から、ADとレビー小体の病理学的なメカニズムは共通していることが示唆される」とまとめている。JAMA Neurology誌オンライン版2015年5月18日号の掲載報告。 研究グループは、米国・国立老化研究所とレーガン研究所による神経病理学的診断基準で、ADである可能性が高い(または中間)の基準を満たした531例の剖検例について、死亡前2年以内の臨床評価と剖検により得られた神経病理学的評価を解析した。主な結果は以下のとおり。・死亡年齢(平均[SD])は、レビー小体を伴うAD(LB併存AD)患者が、レビー小体を伴わないAD(非併存AD)患者より、統計学的に有意に低かった(77.9 [9.5]歳vs. 80.2 [11.1]歳、p=0.01)。・認知症発症年齢(平均[SD])も、LB併存AD患者が非併存AD患者より有意に低かった(70.0 [9.9]歳vs. 72.2 [12.3]歳、p=0.03)。・女性より男性のほうが、LB併存AD患者が多かった(p=0.01)。・1つ以上のAPOEε4アレル保有者の割合は、LB併存AD患者が非併存AD患者より有意に高かった(p=0.03)。・Neuropsychiatric Inventory Questionnaireスコア(平均[SD])は、年齢、性別、教育、老人斑/拡散斑の頻度、神経原線維変化ステージで補正後も、LB併存AD患者(6.59 [1.44]、95%信頼区間[CI]:3.75~9.42)が、非併存AD患者(5.49[1.39]、同:2.76~8.23)より有意に高かった(p=0.04)。・同様にパーキンソン病統一スケール(UPDRS)の運動スコアも、LB併存AD患者(0.81 [0.18]、95%CI:0.45~1.17)が、非併存AD患者(0.54 [0.18]、同:0.19~0.88)より有意に高かった(p<0.001)。関連医療ニュース 認知症、アルツハイマー型とレビー小体型の見分け方:金沢大学 レビー小体型認知症、パーキンソン診断に有用な方法は せん妄はレビー小体型認知症のサイン

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パーキンソン病はスマホで検出可能

 パーキンソン病は専門医による診断が不可欠であるが、これまで専門医の診断をサポートする遠隔非侵襲的客観テストはほとんどなかった。そこで英国・アストン大学のS Arora氏らは、スマートフォンを用いたパーキンソン病診断の有用性についてパイロットスタディを行った。その結果、スマートフォンを用いてパーキンソン病の症状を評価することは可能であり、診断サポートツールとして潜在的な価値があることがわかった。Parkinsonism & Related Disorders誌オンライン版2015年3月7日号の掲載報告。 本試験の対象者は、パーキンソン病患者10例と対照群10例。被験者は統一パーキンソン病評価尺度(UPDRS)を含めたベースライン評価をクリニックで行い、声・姿勢・歩行・指タッピング・反応時間を測定するためのスマートフォンアプリが入ったアンドロイド携帯を支給された。 被験者はスマートフォンを自宅に持ち帰り、1日4回5つのタスクを1ヵ月間実施した。試験期間中、週に1回パーキンソン病の専門医による遠隔医療が行われ、固縮とバランス評価を除いたUPDRSが評価された。5つのタスクの記録について統計的分析を行い、1)パーキンソン病の有無が判別可能か、2)UPDRSの運動領域の変化を予測できるか、を検討した。 主な結果は以下のとおり。・20例の参加者は試験期間中(平均34.4日)、自宅や地域で1日平均2.7回テストを行った(遵守率68.9%)。・5つのタスクの解析結果は、パーキンソン病患者と対照群とで異なっていた。・パーキンソン病の検出感度は96.2%(標準偏差[SD]:2%)、特異度は96.9%(SD:1.9%)であった。・UPDRS(範囲:11~34)の運動領域の変化予測における平均誤差は1.26(SD:0.16)であった。

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山中伸弥氏が語るiPS細胞研究の発展と課題

 2015年3月19日、日本再生医療学会にて、京都大学 iPS細胞研究所(Center for iPS Cell Research and Application, Kyoto University、以下CiRA)の山中 伸弥氏が「iPS細胞研究の現状と医療応用に向けた取り組み」と題して講演した。進むiPS細胞再生医療 理化学研究所などのiPS細胞を使った加齢黄斑変性患者を対象とした臨床研究が承認され、iPS細胞研究の医療応用に向けて大きな一歩を踏み出した。CiRAでもいくつもの研究が進んでいる。パーキンソン病:ドパミン産生神経細胞の高純度の作製に成功し、現在サルのパーキンソン病モデルを用いて効果と安全性を検証中である。良好な結果であることから、年内に臨床研究の申請へと進める予定である。iPS細胞による輸血:血小板の元である巨核球、赤血球前駆細胞作製に成功。とくに血小板は大量培養のシステムを確立している。早い段階で臨床研究に入ると予想される。血小板も赤血球も放射線を当てることができ、増殖性の残っている細胞はすべて殺せるため安全性を確保できるという。本邦は急速な高齢化により今後10年以内に献血だけでは輸血が補えなくなると予想される。このように献血を補うアプローチは喫緊の課題だ。糖尿病:2次元カルチャーと3次元カルチャーでアプローチしている。2次元カルチャーでは、すでにiPS細胞からインスリン産生細胞の作製に成功している。マウスへの移植で血中のヒトC-ペプチドが増加することも確認されている。将来糖尿病の再生医療を実現。また3次元カルチャーでは、iPS細胞から膵臓を丸ごとつくることを目指す。現在、膵臓のオルガノイド作製に成功しており、今後の発展に期待がかかる。心筋再生治療:大阪大学では、すでに骨格筋芽細胞シートで重症心不全に対する良好な成績をあげているが、iPS細胞由来の心筋細胞シートについても大阪大学との共同研究で、作製に成功。動物での改善が示されている。さらに、心筋細胞シートに加え、心筋、内皮細胞、血管壁細胞で構成された心臓細胞シートの作製に成功。こちらも動物モデルで有意な心機能の改善が確認されている。心臓移植の待機中に亡くなる方も少なくない。そのような患者の延命につながると期待される。関節疾患:関節軟部疾患に対する再生医療アプローチを行っており、ヒトiPS細胞からの軟骨細胞作製に成功している。iPS細胞由来の軟骨細胞の移植により外傷等比較的欠損が小さい症例への治療に期待がかかる。筋ジストロフィー:筋ジストロフィー患者由来のiPS細胞から骨格筋幹細胞を作製し、この細胞を筋ジストロフィーモデルの免疫不全マウスへ移植することで病態の再現に成功。今後臨床応用を目指す。iPS細胞によるがん免疫の若返り:T細胞などの免疫細胞はがん細胞を攻撃するが、加齢に伴い免疫細胞は疲弊し、がん細胞の増殖転移が進む。そこで、がん細胞を攻撃する特定のT細胞を採取し、その細胞からiPS細胞を誘導・増殖させ、攻撃特性を持ったT細胞を再び作製することに成功している。がんに対する将来の治療として期待される。再生医療用iPS細胞ストック 倫理問題、費用、時間など多くの面で自家移植には限界がある。iPS細胞による再生医療を実現するためには、他家移植が主流となる。CiRAではiPS細胞をストックする計画を進めている。京大病院のiPS外来では患者の診察とともにiPS細胞ドナー候補ボランティアから献血を行っている。採取した血液はCiRA内のCPCに持ち込まれ、iPS細胞の樹立を行っている。  しかしながら、拒絶反応を減らすためにはHLAの一致が必要。HLAは膨大なバリエーションがあり、一致する確率はきわめて低い。効率よく一致させるためには、HLAホモドナーからの細胞作製が必須だ。日本人で最頻度のHLAタイプのホモドナー1人からiPS細胞をつくると、日本人の20%をカバーできる。違うホモで作製すると80%、140人で95%がカバーできる。最初の目標は日本人の50%のカバーだという。とはいえ、数十人のホモドナーを見つけるには数十万人を調べる必要がある。そのため、臍帯血バンク、日本赤十字社、骨髄バンクといったHLAの情報を管理している外部との連携を進めている。医療応用に必要な人材の確保 iPS細胞の研究には研究者だけでなく、優秀な技術員、規制専門家、契約専門家、知財専門家、広報専門家、事務職員など多くの人材が必要である。一方、国立大学の定員ポストは研究員のみである。実際のCiRAでは300人以上が雇用されているが、無期雇用は1割で、残りの9割は有期雇用である。これは国立大学の研究機関に共通する課題であり、安定雇用に活用できる運営費交付金の割合を増やすよう要望している。 とはいえ、米国では州からの援助は予算の5%。残りの95%はトップがさまざまなスポンサーから集め、安定的な雇用を確保している。そのため、CiRAもiPS細胞基金を立ち上げ、山中氏自ら活動し、研究者の長期雇用、研究環境改善、若手研究者教育に資金を募っているという。iPS細胞研究基金HP

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難治性しゃっくり、抗精神病薬で治るのはなぜか

 しゃっくりは横隔膜のリズミカルな不随意運動であり、延髄や脊柱上の吃逆中枢の神経核機能阻害などさまざまな条件により引き起こされる。しゃっくりの病態に関与する神経伝達物質や受容体は十分に定義されていないが、ドパミンは重要な役割を果たすと考えられている。難治性のしゃっくりの治療には、クロルプロマジンや他の抗精神病薬が使用されることがあるが、その有効性は限られている。島根県・清和会西川病院の西川 正氏らは、難治性しゃっくり患者のエピソードを紹介した。Annals of general psychiatry誌オンライン版2015年3月5日号の報告。 本ケースレポートは、数週間または数ヵ月持続するストレス誘発性の難治性しゃっくりの2つのエピソードを経験した18歳の患者について報告するものである。 主な結果は以下のとおり。・どちらのエピソードでも、ハロペリドールを最初に使用したが、有意な効果は認められなかった。・対照的に、ドパミンとセロトニンに拮抗作用を有する第2世代抗精神病薬であるリスペリドンを使用すると、しゃっくりは6時間後に完全に止まった。・本ケースレポートは、1人の患者に対し2種類の抗精神病薬を使用し、薬物治療効果が明らかに異なった、数少ない症例報告の1つである。 結果を踏まえ、著者らは「しゃっくり症例の病態生理にはドパミン作動系に加え、セロトニン作動系が関与している可能性があり、リスペリドンのようなセロトニン作動性抗精神病薬を難治性しゃっくりの薬物治療選択肢として考慮すべきである」とまとめている。関連医療ニュース 強迫的行動の抑制にセロトニン5-HT2Aが重要 パーキンソン病患者でみられる衝動性にセロトニンが関与か EPA、DHA、ビタミンDは脳にどのような影響を及ぼすか  担当者へのご意見箱はこちら

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統合失調症患者のEPSと認知機能の関連は

 カナダ・トロント大学のGagan Fervaha氏らは、統合失調症患者における錐体外路症状(EPS)と、認知障害との関連を調べた。結果、EPSの重症度と認知テストの低スコアとが強く結び付いていることを実証した。EPSは統合失調症における最も一般的な運動障害である。同患者の運動障害は、抗精神病薬を服用していない患者でも認められるが、認知といった疾患のその他の特性との関連については十分に解明されていなかった。Schizophrenia Research誌オンライン版2014年12月1日号の掲載報告。 検討は、統合失調症患者で、あらゆる抗精神病薬または抗コリン薬の投与を受けていない325例を対象に行われた。被験者は、Clinical Antipsychotic Treatment of Intervention Effectiveness試験のベースライン訪問に関与していた患者であった。EPSの評価には、Simpson-Angus尺度が用いられ、認知の評価は、総合的な神経心理学的テストにて行われた。EPSと認知テスト結果との関連性について、数的および分類学的両面から評価した。 主な結果は以下のとおり。・EPSの重症度がより大きいと、複合スコア評価による認知テストの結果は、より悪化するという有意な関連が認められた。・86例の患者はパーキンソン症候群を有していることが特定された。これらの患者は非パーキンソン症候群患者と比べて認知テストの結果は悪かった。・同所見は、精神病理、鎮静、アカシジア、ジスキネジアなどの重症度といった変数で補正後も有意なままであった。・これらの結果は、神経筋および神経認知の障害の基礎を成す病態生理が共通していることを示す。ただし、パーキンソン症候群がテストを受ける能力を障害している可能性もある。・いずれにせよ機序に関係なく、認知障害に関する推論は、EPSの存在を考慮すべきであることを示唆するものであり、認知試験の所見を媒介するその他の変数と同様の示唆を与えるものと思われた。関連医療ニュース 統合失調症患者の抗コリン薬中止、その影響は 統合失調症患者の認知機能低下への関連因子は 統合失調症の寛解に認知機能はどの程度影響するか:大阪大学  担当者へのご意見箱はこちら

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【医療ニュース トップ100】2014年、最も読まれた「押さえておくべき」医学論文は?

今年も、4大医学誌の論文を日本語で紹介する『ジャーナル四天王』をはじめ、1,000本以上の論文をニュース形式で紹介してきました。その中で、会員の先生方の関心の高かった論文は何だったのでしょう? ここでは、アクセス数の多いものから100本を紹介します。 1位 日本男性の勃起硬度はアレと関連していた (2014/11/13) 2位 日本人若年性認知症で最も多い原因疾患は:筑波大学 (2014/1/7) 3位 子供はよく遊ばせておいたほうがよい (2014/3/28) 4位 思春期の精神障害、多くは20代前半で消失/Lancet (2014/1/27) 5位 なぜコーヒーでがんリスクが低下? (2014/7/31) 6位 メロンでかゆくなる主要アレルゲンを確認 (2014/4/15) 7位 新たな輸液プロトコル、造影剤誘発急性腎障害の予防に有効/Lancet (2014/6/9) 8位 体幹を鍛える腹部ブレーシング、腰痛に効果 (2014/5/7) 9位 コーヒーを多く飲む人は顔のシミが少ない (2014/8/7) 10位 スタチンと糖尿病リスク増大の関連判明/Lancet (2014/10/9) 11位 スルピリドをいま一度評価する (2014/5/16) 12位 米国の高血圧ガイドライン(JNC8)のインパクト/JAMA (2014/4/16) 13位 インフルエンザワクチン接種、無針注射器の時代に?/Lancet (2014/6/16) 14位 新規経口抗凝固薬4種vs.ワルファリン-心房細動患者のメタ解析-/Lancet (2013/12/25) 15位 アルコール依存症、薬物治療の減酒効果は?/JAMA (2014/5/29) 16位 SGLT2阻害薬「トホグリフロジン」の日本人への効果 (2014/2/28) 17位 大人のリンゴ病 4つの主要パターン (2014/7/29) 18位 脳動脈瘤、コイルvs. クリッピング、10年転帰/Lancet (2014/11/12) 19位 ACE阻害薬を超える心不全治療薬/NEJM (2014/9/8) 20位 アルツハイマーに有用な生薬はコレ (2014/11/14) 21位 塩分摂取と死亡リスクの関係はJカーブ/NEJM (2014/8/25) 22位 スタチン投与対象者はガイドラインごとに大きく異なる/JAMA (2014/4/14) 23位 食後血糖によい食事パターンは?(低脂肪vs低炭水化物vs地中海式) (2014/3/27) 24位 成人ADHDをどう見極める (2014/5/21) 25位 各種ダイエット法の減量効果/JAMA (2014/9/16) 26位 牛乳1日3杯以上で全死亡リスクが2倍/BMJ (2014/11/13) 27位 腰痛持ち女性、望ましい性交体位は? (2014/11/21) 28位 ロマンチックな恋愛は幸せか (2014/3/26) 29位 無糖コーヒーがうつ病リスク低下に寄与 (2014/5/8) 30位 下肢静脈瘤、ベストな治療法は?/NEJM (2014/10/10) 31位 せん妄管理における各抗精神病薬の違いは (2014/9/18) 32位 降圧薬投与量の自己調整の有用性/JAMA (2014/9/11) 33位 深部静脈血栓症の除外診断で注意すべきこと/BMJ (2014/3/20) 34位 StageII/III大腸がんでのD3郭清切除術「腹腔鏡下」vs「開腹」:ランダム化比較試験での短期成績(JCOG 0404) (2014/2/26) 35位 たった1つの質問で慢性腰痛患者のうつを評価できる (2014/2/21) 36位 スタチン時代にHDL上昇薬は必要か/BMJ (2014/8/7) 37位 就寝時、部屋は暗くしたほうがよいのか:奈良医大 (2014/8/29) 38位 認知症のBPSD改善に耳ツボ指圧が効果的 (2014/10/28) 39位 統合失調症患者の突然死、その主な原因は (2014/4/18) 40位 うつ病と殺虫剤、その関連が明らかに (2014/7/9) 41位 帯状疱疹のリスク増大要因が判明、若年ほど要注意/BMJ (2014/5/26) 42位 慢性のかゆみ、治療改善に有用な因子とは? (2014/7/1) 43位 女性の顔の肝斑、なぜ起きる? (2014/5/8) 44位 DES1年後のDAPT:継続か?中断か?/Lancet (2014/7/30) 45位 駆出率が保持された心不全での抗アルドステロン薬の効果は?/NEJM (2014/4/23) 46位 レビー小体型認知症、パーキンソン診断に有用な方法は (2014/10/30) 47位 アトピー性皮膚炎患者が避けるべきスキンケア用品 (2014/2/6) 48位 タバコの煙を吸い込む喫煙者の肺がんリスクは3.3倍:わが国の大規模症例対照研究 (2014/6/18) 49位 世界中で急拡大 「デング熱」の最新知見 (2014/10/17) 50位 円形脱毛症とビタミンDに深い関連あり (2014/4/10) 51位 不眠の薬物療法を減らすには (2014/7/23) 52位 オメプラゾールのメラニン阻害効果を確認 (2014/11/6) 53位 タバコ規制から50年で平均寿命が20年延長/JAMA (2014/1/16) 54位 ICUでの栄養療法、静脈と経腸は同等/NEJM (2014/10/15) 55位 認知症のBPSDに対する抗精神病薬のメリット、デメリット (2014/3/17) 56位 COPDにマクロライド系抗菌薬の長期療法は有効か (2014/1/13) 57位 座りきりの生活は心にどのような影響を及ぼすか (2014/5/12) 58位 PSA検診は有用か:13年後の比較/Lancet (2014/8/22) 59位 気道感染症への抗菌薬治療 待機的処方 vs 即時処方/BMJ (2014/3/17) 60位 血圧と12の心血管疾患の関連が明らかに~最新の研究より/Lancet (2014/6/19) 61位 マンモグラフィ検診は乳がん死を抑制しない/BMJ (2014/2/21) 62位 機能性便秘へのプロバイオティクスの効果 (2014/8/14) 63位 超高齢の大腸がん患者に手術は有用か:国内での検討 (2014/2/14) 64位 糖尿病予防には歩くよりヨガ (2014/8/4) 65位 乳がん術後リンパ節転移への放射線療法、効果が明確に/Lancet (2014/3/31) 66位 75歳以上でのマンモグラフィ検診は有効か (2014/8/11) 67位 大腸がん術後の定期検査、全死亡率を減少させず/JAMA (2014/1/23) 68位 「歩行とバランスの乱れ」はアルツハイマーのサインかも (2014/5/13) 69位 食事由来の脂肪酸の摂取状況、国によって大きなばらつき/BMJ (2014/4/28) 70位 心房細動合併の心不全、β遮断薬で予後改善せず/Lancet (2014/9/19) 71位 薬剤溶出ステントの直接比較、1年と5年では異なる結果に/Lancet (2014/3/24) 72位 ピロリ除菌、糖尿病だと失敗リスク2倍超 (2014/8/21) 73位 認知症にスタチンは有用か (2014/7/25) 74位 RA系阻害薬服用高齢者、ST合剤併用で突然死リスク1.38倍/BMJ (2014/11/20) 75位 腰痛へのアセトアミノフェンの効果に疑問/Lancet (2014/8/6) 76位 食べる速さはメタボと関連~日本の横断的研究 (2014/9/12) 77位 うつになったら、休むべきか働き続けるべきか (2014/9/16) 78位 英プライマリケアの抗菌治療失敗が増加/BMJ (2014/10/1) 79位 総胆管結石疑い 術前精査は必要?/JAMA (2014/7/21) 80位 歩くスピードが遅くなると認知症のサイン (2014/10/8) 81位 前立腺がん、全摘vs.放射線療法/BMJ (2014/3/10) 82位 緑茶が認知機能低下リスクを減少~日本の前向き研究 (2014/6/3) 83位 高力価スタチンが糖尿病発症リスクを増大させる/BMJ (2014/6/16) 84位 乳がんの病理学的完全奏効は代替エンドポイントとして不適/Lancet (2014/2/27) 85位 Na摂取増による血圧上昇、高血圧・高齢者で大/NEJM (2014/8/28) 86位 抗グルタミン酸受容体抗体が神経疾患に重大関与か (2014/8/15) 87位 歩数を2,000歩/日増加させれば心血管リスク8%低下/Lancet (2014/1/8) 88位 肩こりは頚椎X線で“みえる”のか (2014/3/19) 89位 地中海式ダイエットと糖尿病予防 (2014/4/7) 90位 閉塞性睡眠時無呼吸、CPAP vs. 夜間酸素補給/NEJM (2014/6/26) 91位 揚げ物は肥満遺伝子を活性化する?/BMJ (2014/4/3) 92位 6.5時間未満の睡眠で糖尿病リスク上昇 (2014/9/4) 93位 セロトニン症候群の発現メカニズムが判明 (2014/3/14) 94位 日本発!牛乳・乳製品を多く摂るほど認知症リスクが低下:久山町研究 (2014/6/20) 95位 肥満→腰痛のメカニズムの一部が明らかに (2014/8/8) 96位 低炭水化物食 vs 低脂肪食 (2014/8/7) 97位 認知症患者の調子のよい日/ 悪い日、決め手となるのは (2014/3/21) 98位 統合失調症患者は、なぜ過度に喫煙するのか (2014/7/2) 99位 血糖降下強化療法の評価―ACCORD試験続報/Lancet (2014/8/20) 100位 小児BCG接種、結核感染を2割予防/BMJ (2014/8/21) #feature2014 .dl_yy dt{width: 50px;} #feature2014 dl div{width: 600px;}

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レビー小体型認知症の排尿障害、その頻度は:東邦大学

 レビー小体型認知症(DLB)は、認知症の中でも2番目に多い疾患であるが、DLB患者の下部尿路(LUT)機能については、これまで十分に検討されてこなかった。東邦大学医療センター佐倉病院の舘野 冬樹氏らは、尿流動態検査により、DLBのLUT機能を調べた。Movement disorders誌オンライン版2014年10月30日号の報告。 対象はDLB患者32例(男性:23例、女性:9例、年齢:59~86歳[平均:75.9歳]、罹病期間:0.2~17年[平均:3.3年])。すべての患者において筋電図-膀胱内圧測定を実施し、21例で括約筋の運動単位電位分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・DLB患者の91%はLUT症状を有していた(夜間頻尿[>8回]84%、尿失禁[>1回/週]50%)。・排尿筋過活動は87.1%でみられ、排尿後の残尿量は最小であった。・神経原性変化は50%で認められた。 LUT機能不全はDLBに共通の特徴であり、認知症や不動状態だけでなく、中枢および末梢の体性-自律神経障害に起因すると考えられる。関連医療ニュース レビー小体型認知症、パーキンソン診断に有用な方法は 認知症、アルツハイマー型とレビー小体型の見分け方:金沢大学 レビー小体型認知症、アルツハイマー型との違いは?

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レビー小体病を画像診断で層別解析

 パーキンソン病(PD)、認知症を伴うパーキンソン病(PDD)、レビー小体型認知症(DLB)は、レビー小体病(LBD)と総称される。神経症状を欠く一次性レビー小体病(pure psychiatric presentation:PPP)は、明らかなパーキンソン症候がなく、長年にわたり認知障害が続くという精神症状において、第四のサブタイプといえるかもしれない。石川県・粟津神経サナトリウムの小林 克治氏らは、60例のmeta-iodobenzylguanidine(MIBG)心筋シンチグラフィー検査の解析を行い、層別解析結果を報告した。International Journal of Geriatric Psychiatry誌オンライン版2014年10月22日号の掲載報告。 本研究では、心筋MIBG検査で低集積がみられる被験者が、PPPを有するかを検討することが目的であった。心筋MIBGを受けた60例(女性28例、男性32例)を、精神医学的な画像診断に基づき、うつ病群(D群、27例)、単独幻視群(V群16例)、精神病群(P群17例)の3群に層別化した。56例については、脳SPECT検査も行われ、37例で血流低下が認められ、19例で異常所見はみられなかった。それらに基づき最終的な診断(PD、PDD、DLB、PPP)を、DSM-IV、統合パーキンソン病評価尺度(UPDRS)、Mini-mental state examination(MMSE)を用いて行った。 主な結果は以下のとおり。・D群(うつ病)患者のうち、40%はパーキンソン症候を伴わないうつ病と診断された。しかし、約50%は典型的なパーキンソン症候が認められた。・P群(精神病)患者の大半は、PDDまたはDLBの病像を呈した。・統計的分析により、「V-DLB後頭葉血流低下群」「SPECT異常なしD-PD群」「側頭葉血流低下P-PDD群」「SPECT異常なしD-PPP群」の4つの組み合わせが示された。・PPPは大うつ病性障害を特徴とし、LBD予備群、PDのうつの前駆症状の可能性がある。PDDを特徴付けるにあたり、精神病と認知症は質的に同等であった。関連医療ニュース レビー小体型認知症、パーキンソン診断に有用な方法は 認知症、アルツハイマー型とレビー小体型の見分け方:金沢大学 たった2つの質問で認知症ルールアウトが可能

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レビー小体型認知症、パーキンソン診断に有用な方法は

 パーキンソン症候群はレビー小体型認知症(DLB)の中核症状とされているが、ときに軽度であったり、症状が現れない場合もある。一方で、線条体取り込みの低下はニューロン喪失と関連していると考えられており、画像診断法123I-FP-CIT Brain SPECTは、その診断サポートツールになるとみなされていた。イタリア・ミラノ大学のDel Sole, Angelo氏らは、黒質線条体が変性する疾患と考えられているDLBにおける、123I-FP-CIT Brain SPECTとパーキンソン症候群との相関性について調べた。結果、SPECTは、パーキンソン症候群に関して疑いの余地がない場合(すなわち症候群が存在しない、もしくは明らかに認められる場合)には不要となるが、錐体外路症候群(EPS)が臨床的に認められる患者では、シナプス前部の黒質線条体変性を特定するのに有用である可能性を明らかにした。Clinical Nuclear Medicine誌オンライン版2014年10月6日号の掲載報告。 研究グループは、probable DLB(臨床的ほぼ確実DLB)患者を対象とした後ろ向き研究にて、線条体での123I-FP-CIT取り込みとEPSとの相関について調べ、運動機能障害と関連する123I-FP-CITの支持役割の範囲を明らかにすることを目的とした。半定量法で123I-FP-CIT取り込みを分析し、パーキンソン病統一スケール(UPDRS)パートIIIスコアと関連付けた。 主な結果は以下のとおり。・被験者は、probable DLBと診断され、広範なEPSが認められた22例であった。・123I-FP-CIT取り込みとUPDRSパートIIIスコアとの間には、有意な負の線形相関が、線条体を構成する尾状核(r=-0.69)、被殻(r=-0.72)で見つかった(p<0.001)。・EPSがみられないか疑われた患者における線条体取り込みは、年齢適合健常被験者の記録と類似していた(被殻における取り込みは99%[22%])。しかし、軽度および重度EPS患者では有意な低下がみられた(それぞれ43%[35%]、30%[17%]、p<0.0001だが軽度と重度の間には有意差なし)。関連医療ニュース 認知症、アルツハイマー型とレビー小体型の見分け方:金沢大学 せん妄はレビー小体型認知症のサインか レビー小体型認知症、アルツハイマー型との違いは?

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レビー小体型認知症(DLB)、アルツハイマー型(AD)との違いは?

 2014年9月19日、アルツハイマー型認知症(AD)治療薬アリセプト(一般名:ドネペジル)について、レビー小体型認知症(DLB)の効能・効果が承認された。都内で10月8日に開催されたエーザイ株式会社によるプレスセミナーでは、横浜市立大学名誉教授の小阪 憲司氏と、関東中央病院 神経内科部長の織茂 智之氏が講演した。世界で初めてDLB例を報告し、DLB家族を支える会の顧問でもある小阪氏は、「DLBは最もBPSD(行動・心理症状)を起こしやすい認知症であり、患者さんの苦しみも強く介護者の苦労も多い」と述べ、患者さんや介護者のQOLを高めるため、早期診断・早期治療の重要性を強調した。DLBは誤診されやすく、診断にはDLBの特徴を知ることが必要である。本稿では、織茂氏の講演からDLBの特徴を中心に紹介する。レビー小体型認知症とアルツハイマー型認知症の違い 剖検例の検討では、認知症例のうちDLBが12~40%を占める。わが国の久山町研究の剖検例ではDLBが41.4%と報告されており、従来認識されているより患者数は多いと考えられる。 織茂氏はまず、ADとは異なるDLBの特徴として、記憶障害の発症前に多くの身体症状が発現することを挙げた。90例のprobable DLB患者での検討では、記憶障害発症の9.3年前から便秘が、4.8年前からうつが、4.5年前からレム睡眠行動異常症が発現していたと報告されている。 DLBの症状の特徴として、以下の5つが挙げられる。1)幻視を主体とする幻覚2)パーキンソン症状(手足が震える・四肢が硬くなる・動作が遅くなる・歩行障害) ADでは発現しないため、これらの症状が発現すればDLBを疑う。3)認知機能の変動が大きい4)自律神経症状(血圧の変動・排尿障害・消化管運動障害・発汗障害など) ADでは発現しない。起立性低血圧による転倒骨折・頭部外傷、食事性低血圧による誤嚥、臥位高血圧による心臓・腎臓への負担や脳出血の危険がある。消化管運動障害としては、便秘のほか、時にイレウスを起こす危険がある。発汗障害としては、発汗減少や発汗過多が起こり、うつ熱、体温が外気温に左右されやすいなどがある。5)レム睡眠行動異常症 DLBでは病早期からみられるのに対し、ADではまれである。DLBを早期診断する努力の必要性を指摘 織茂氏は、DLBの臨床診断基準(CDLBガイドライン)における重要な点として、まず、必須症状である進行性認知機能障害について、病初期には記憶障害が必ずしも起こらないことを強調した。 DLBの診断基準では、3つの中核症状(認知機能障害の変動・繰り返す幻視・特発性パーキンソン症状)のうち2つあればprobable DLBと診断される。また、中核症状が1つでも、レム睡眠行動異常症、抗精神病薬への重篤な過敏性などの示唆的所見が1つ以上あればprobable DLBと診断される。 画像診断における特徴としては、脳MRI画像においてDLBでの海馬の萎縮はADほどではないという。また、MIBG心筋シンチグラフィにおいては、DLBは心臓が黒く写らないことからADとの鑑別が可能である。脳血流シンチグラフィやドパミントランスポーターシンチグラフィにおいても、ADとの違いが観察される。 小阪氏は、DLBの診断のポイントとして、認知症の存在にとらわれすぎないこと、早期には認知症が目立たないことが多いこと、特有な幻視・レム睡眠行動異常症・パーキンソン症状に注目することを挙げた。そのうえで、軽度認知障害のレベルでDLBを発見する努力の必要性を指摘している。DLBではさまざまな症状に対して適切な治療が必要 DLBでは、認知機能障害のほか、BPSD、パーキンソン症状、血圧変動や排尿障害などの自律神経症状など、さまざまな症状がみられることから、それぞれに対して治療を行う。 そのうち、認知機能障害に対しては、ADと同様、アセチルコリンの減少を防ぐコリンエステラーゼ阻害薬が有効である。DLBでは、中隔核のアセチルコリン系の神経細胞数がADより減少しているという。 織茂氏は、DLBではさまざまな症状に対して適切な治療が必要であるとし、また、薬剤治療を開始するときは、過敏性を考慮して少量から始めるよう注意を促した。

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エキスパートに聞く!「血栓症」Q&A Part2

CareNet.comでは特集「内科医のための血栓症エッセンス」を配信するにあたって、会員の先生方から血栓症診療に関する質問を募集しました。その中から、脳梗塞に対する質問に対し、北里大学 西山和利先生に回答いただきました。今回は、"かくれ脳梗塞"に抗血小板薬を使うべき?緊急を要する場合の見極めと対処法は?、高齢患者の内服コンプライアンスを改善するには?についての質問です。俗に使われている言葉で「かくれ脳梗塞」がありますが、かかる病態に抗血栓療法として、抗血小板薬を使う必要性(エビデンスではなく、病理学的な意味)を御教授ください。俗に言う「かくれ脳梗塞」とは、側脳室周囲に無症候性に多発するラクナ梗塞のことかと思います。これを想定して回答いたしますと、ラクナ梗塞に対する抗血栓療法の適応はあります。保険適応としてもラクナ梗塞には抗血小板薬は適応ありとなっていますし、治療ガイドラインでも同様です。ですので、「かくれ脳梗塞」が有症候性であれば、治療の適応があるわけです。脳梗塞の直接的な症状である片麻痺や構音障害などがなくても、「かくれ脳梗塞」に伴う認知症やパーキンソン症候群などがある場合は、ある意味で有症候性と考えられますので、治療の対象と考えるべきです。しかしながら、全くの無症候性の「かくれ脳梗塞」の場合に治療の適応があるかどうかはcontroversialです。年齢相応の「かくれ脳梗塞」の場合に、敢えて抗血小板薬を使用すべきかどうかについては明確な推奨はありません。日本人では抗血小板薬、特にアスピリン、による脳出血の合併が多いので、軽度の「かくれ脳梗塞」では無用なアスピリンの使用は避けるべきです。ラクナ梗塞型の「かくれ脳梗塞」は高血圧に基づく脳梗塞が多いわけですので、抗血小板薬投与ではなく、むしろ厳格な高血圧の治療を最初に行うべきであると考えられます。年齢相応を超えるような「かくれ脳梗塞」がある場合には、厳格な降圧療法などを行ったうえで、それでも「かくれ脳梗塞」が増加する場合には、抗血小板薬の使用を検討すべきでしょう。その場合、日本人ではアスピリンは脳出血や頭蓋内出血の合併が欧米よりもはるかに多いことが知られていますが、シロスタゾールやクロピドグレルはこうした出血性合併症が少ないというデータがあります。薬剤を選択する上での参考になるかも知れません。緊急を要する場合の見極めと対処法は?脳梗塞は、新規発症の場合は常に緊急の対応を要します。なぜなら、血管が閉塞して生じる脳梗塞では、血管再開通を得て完治をめざすには、発症からの数時間がカギであるからです。ではどのように脳卒中急性期と診断するかですが、急に生じた次のような症状は脳梗塞や脳卒中の可能性があるので、すぐに対応が必要であると考えていただきます。片麻痺(片側半身の運動麻痺)片側の感覚障害、構音障害(話しにくさ)運動失調発症から4.5時間以内であれば、rt-PA(recombinant tissue plasminogen activator)(アルテプラーゼ)静注療法による脳梗塞への超急性期治療が可能かもしれません。また最近ではカテーテルを用いた血栓回収治療などの血管内治療も普及しつつあります。こうした超急性期の治療が奏功すれば、脳梗塞の症状は劇的に改善します。ですので、発症後の時間が浅い脳梗塞症例では緊急で専門医療機関を受診させる必要があります。rt-PA静注療法に関しては、医療機関に到着してから治療開始までに行う検査などに1時間程度かかることが一般的です。発症後4.5時間を経過してしまうと、rt-PA静注療法の効果が減じるだけでなく、治療に伴う脳出血などの合併症の率が跳ね上がります。ですので、発症後4.5時間以内に治療開始というのが本邦でのルールであり、そのためには急性期医療機関に発症後3.5時間以内に到着できるかどうかが治療適応判定の目安になります。睡眠中に発症した脳梗塞など、いつ脳梗塞を発症したのか判然としないの症例もいます。そのような場合には、最後にその患者さんが元気だったことが確認できている時間(これを最終未発症時間と呼びます)をもって発症時間と計算するルールになっています。たとえば、目が覚めた時に片麻痺になっていた症例であれば、睡眠前に元気だったことが確認されている時間をもって発症時間と推定するわけです。高齢患者の内服コンプライアンスを改善するにはどのようにしたらよいのか?高齢者における内服のコンプライアンス不良、これは抗凝固薬に限らず、大きな課題です。若年者や中年までの患者さんでの内服コンプライアンス不良は、仕事や家事が忙しいといった理由が多いようです。ですので、内服回数を少なくしたり、内服しやすい時間帯に内服できるような工夫をしたり、出先でも内服できるような剤型にしたり、ということが大切です。一方、高齢患者での内服コンプライアンスは上記の事項以外にも、認知症のために内服を忘れる、といった理由もあるようです。これに対しては介護者が内服忘れが生じないように協力することが必要ですし、医療機関への受診頻度を上げて、適切に内服しているかどうかの確認をかかりつけ医がまめに行っていくことも重要でしょう。もちろん、高齢患者においても、内服回数が少なくてすむように工夫する、合剤を利用して錠数を減らす、といったことはコンプライアンスの改善につながると考えられます。

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パーキンソン病初期治療は、レボドパ単独が長期的に有益/Lancet

 パーキンソン病の初期治療は、レボドパ単独療法がレボドパ併用療法(ドパミンアゴニストまたはモノアミン酸化酵素B阻害薬[MAOBI])よりもごくわずかではあるが、患者評価の運動能スコアについて持続的有益性があることが示された。また初回併用療法としてはMAOBI併用がドパミンアゴニスト併用よりも有効であった。英国・バーミンガム大学PD MED共同研究グループが非盲検プラグマティック無作為化試験の結果、報告した。これまでパーキンソン病の早期患者について、レボドパ、ドパミンアゴニスト、MAOBIの3種のうちどれを初期治療として用いることが有用なのか確認されていなかった。Lancet誌オンライン2014年6月11日号掲載の報告。レボドパvs.ドパミンアゴニストvs. MAOBI 研究グループは3種のうち、どれが長期の症状コントロールおよび最良のQOLに有効なのかを明らかにするため、新規にパーキンソン病を診断された患者を対象に試験を行った。 被験者はバーミンガム大学の電話コールセンターサービスにより無作為に1対1対1の割合で、レボドパ併用療法(ドパミンアゴニストまたはMAOBI)もしくはレボドパ単独療法に割り付けられた。 主要アウトカムは、39項目からなる患者評価パーキンソン病質問票(PDQ-39)で評価した運動能力であった。またパーキンソン病のQOLへの影響を評価(範囲:0~100、6ポイント差以上を意味があると規定)し、費用対コストも評価した。分析はintention to treatにて行われた。7年間の運動能スコアの平均差、レボドパ単独群が有意に高値を維持 2000年11月9日~2009年12月22日に、1,620例の患者が各試験群に割り付けられた(レボドパ群:528例、ドパミンアゴニスト群632例、MAOBI群460例)。 追跡期間中央値3年においてPDQ-39運動能スコアは、レボドパ単独群がレボドパ併用療法群よりも平均1.8点(95%信頼区間[CI]:0.5~3.0、p=0.005)良好で、7年の観察期間中、この有益性についての増減はみられなかった。またMAOBI群とドパミンアゴニスト群の比較では、MAOBI群が平均1.4点(同:0.0~2.9、p=0.05)良好であった。 副次アウトカムのEQ-5Dスコア(一般的なQOL測定指標)は、レボドパ単独群がレボドパ併用群よりも平均0.03点(95%CI:0.01~0.05、p=0.0002)良好だった。認知機能障害(ハザード比[HR]:0.81、95%CI:0.61~1.08、p=0.14)、施設への入所(同:0.86、0.63~1.18、p=0.4)、死亡(同:0.85、0.69~1.06、p=0.17)とも有意差はみられなかったが、いずれのCI上限値ともにレボドパ単独群がレボドパ併用群よりも大幅に高値であった。 副作用により試験薬を中断したのは、レボドパ群11/528例(2%)であったのに対し、ドパミンアゴニスト群は179/632例(28%)、MAOBI群は104/460例(23%)であった(p<0.0001)。

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日本発!家族性パーキンソン病患者におけるGBA遺伝子変異研究

 グルコセレブロシダーゼ(GBA)遺伝子変異がレビー小体形成を促進し、その結果、より重篤な家族性パーキンソン病もしくはレビー小体型認知症を引き起こす可能性があることが、順天堂大学のYuanzhe Li 氏らによって明らかとなった。Neurobiology of aging誌2014年4月号掲載の報告。 パーキンソン病(PD)患者において、GBA遺伝子が危険因子であることが知られている。本研究では、日本人の144家族のうち147例の家族性パーキンソン病患者と対照被験者100例のデータから、GBA遺伝子のエクソン配列とエクソン/イントロンの境界配列を決定した。 主な結果は以下のとおり。・家族のなかで初めて罹患したPD患者144例のうち27例(18.8%)で、ゴーシェ病変異として知られるGBA遺伝子のヘテロ接合変異が認められ、GBA遺伝子のヘテロ接合変異が強く家族性パーキンソン病と関連していることが示唆された。(オッズ比: 22.9、95%信頼区間: 3.1~171.2)・関連する頻度は、常染色体劣性PDに比べて常染色体優性PD(ADPD)で有意に高かった。・臨床的評価によると、GBA遺伝子変異を有するPD患者では、精神医学的な問題および/または認知機能低下を伴うL-ドパ反応性パーキンソニズムのようなPDもしくはレビー小体型認知症(DLB)の典型的な症状を示した。・興味深いことに、GBA遺伝子変異を有するPD患者では、心筋I-123-メタヨードベンジルグアニジン取り込みが減少していた。・今回の知見では、GBA遺伝子のヘテロ接合変異が、とくに常染色体優性PDの家族性PDにおいて強い危険因子であることがわかった。・GBA遺伝子のヘテロ接合変異をもつ患者のなかには、DLBの臨床症状を示す患者もいた。

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自殺リスクの高いパーキンソン病患者の特徴は

 トルコのパーキンソン病患者において、若年発症、罹病期間、うつ、衝動制御障害(ICD)が自殺念慮の高いリスクと関連していることが、トルコ・Erenkoy Mental Health and Neurology Training and Research病院のBetul Ozdilek氏らによって明らかとなった。Neuropsychiatric disease and treatment誌2014年3月26日号掲載の報告。 本研究は、トルコのパーキンソン病患者において、自殺念慮と自殺企図を予測する因子を調査することを目的とした。 120例のパーキンソン病患者を対象とした。臨床所見は統一パーキンソン病評価尺度(UPDRS)を基に評価を行った。重症度はホーエン・ヤール(H&Y)分類、障害の程度はSchwab & England ADLスケールを用いて評価を行った。精神鑑定は、精神障害の診断・統計マニュアル(DSM-IV)第1軸障害に基づいた構造化面接を基準とし、一人の精神科医によって行われた。うつの重症度は、ハミルトンうつ病評価尺度を用いて評価した。自殺念慮と自殺企図については、患者が生存期間中に経験した場合を「あり」とした。自殺リスクを評価するために、自殺確率尺度を用いた。データは、自殺念慮と自殺企図に関連する変数を識別するために、ロジスティック回帰モデルによって解析した。 主な結果は以下のとおり。・ロジスティック回帰分析の結果、教育レベル、病気の発症年齢、罹病期間、うつ病、および過去にICD行動が認められることが、自殺念慮の有意な予測因子であった。・とくに、うつ病および過去にICD行動を認めた患者では、自殺念慮リスクはそれぞれ5.92倍、4.97倍に増加した。・自殺企図患者は一人もいなかったが、パーキンソン病患者のうち11.6%(14/120例)の患者が生涯の間に自殺念慮を経験していた。

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