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無細胞百日咳を含む混合ワクチンの熱性痙攣リスク、てんかんリスクは?

ジフテリア破傷風・無細胞百日咳/ポリオ/ヘモフィルスインフルエンザb型菌(DTaP-IPV-Hib)混合ワクチンの接種後リスクについて、接種当日の熱性痙攣のリスクが、3ヵ月齢での接種第1回目、5ヵ月齢での接種第2回目当日のリスクは4~6倍に増大することが報告された。しかし、絶対リスクは小さく、てんかんのリスクについては増大は認められなかった。デンマーク・Aarhus大学のYuelian Sun氏らが、約38万人の乳幼児について行ったコホート試験の結果、明らかにしたもので、JAMA誌2012年2月22・29日号で発表した。これまで、全細胞百日咳ワクチンは熱性痙攣リスクを増大することが知られていたが、無細胞百日咳ワクチンについての同リスクとの関連は明らかではなかった。ワクチン接種後の熱性痙攣リスクと初回接種後てんかんリスクを評価研究グループは、デンマークで2003年1月1日~2008年12月31日に生まれた37万8,834人を対象に、2009年末まで追跡調査を行った。主要アウトカムは、生後3ヵ月、5ヵ月、12ヵ月で接種されるDTaP-IPV-Hibワクチン接種後7日以内(0、1~3、4~7日)の熱性痙攣発症と、初回ワクチン接種後のてんかんの発症(ハザード比)についてであった。自己対照ケースシリーズ法(SCCS)を用いて、相対罹患率を割り出した。結果、被験者のうち、生後18ヵ月以内に熱性痙攣を発症したのは7,811人だった。そのうち初回ワクチン接種後7日以内に発症したのは17人(0.8人/10万人・日)、第2回接種後の同発症は32人(1.3人/10万人・日)、第3回接種後の同発症は201人(8.5人/10万人・日)だった。初回ワクチン接種当日の熱性痙攣リスクは6倍、第2回接種当日の同リスクは4倍に全体として、ワクチンの1~3回接種後7日以内の熱性痙攣発症リスクは、参照コホートと比べて有意な増大は認められなかった。しかし、初回ワクチン接種当日(ハザード比:6.02、95%信頼区間:2.86~12.65)、第2回接種当日(同:3.94、2.18~7.10)で同リスクは有意に増大することが認められた。ただし、第3回接種当日の同発症リスクの増大はみられなかった。SCCSによる分析結果も、同様だった。てんかんの発症については、7年間の追跡調査期間中、ワクチン非接種群で131人、ワクチン接種群で2,117人の発症が認められた。ワクチン接種後3~15ヵ月に、てんかんであると診断されたのは813人(1,000人・年当たり2.4)、その後に診断されたのは1,304人(同1.3)だった。接種群と非接種群との比較で、てんかん発症リスクは、ワクチン接種後3~15ヵ月では低く(ハザード比:0.63、95%信頼区間:0.50~0.79)、その後は同等だった(同:1.01、0.66~1.56)。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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重大な食品汚染物質PFCは、子どものワクチン接種効果を半減

重大な食品汚染物質であることが明らかとなっているペルフルオロ化合物(PFC)は、子どもの免疫力を低下することが明らかとなった。米国・ハーバード大学公衆衛生院のPhilippe Grandjean氏らが、約600人の子どもの血中PFC値とワクチン効果との関連について行った、前向きコホート試験の結果明らかにしたもので、5歳時で同値が高い子どもは、7歳時のジフテリア破傷風抗体レベルの低下するなどが認められたという。PFCは防水・防虫剤として食品包装材などに広く使われている。これまでの研究で、免疫応答が低下した齧歯目モデルの血中濃度と同レベルの血中濃度が米国人においても認められるが、PFC曝露の健康被害への影響については十分には解明されていなかった。JAMA誌2012年1月25日号掲載報告より。出生前後の血中PFC値と、5歳、7歳時の血中ワクチン抗体レベルとの関連を分析研究グループは、PFC曝露が幼児期のワクチン接種に対する免疫応答に影響するかを調べるため、1999~2001年にかけて、フェロー諸島で生まれた単胎児656例について追跡調査を行った。被験児の母親について妊娠32週時点で、および出生した被験児が5歳時に血中PFC値の測定をそれぞれ行った。被験児は全員、ジフテリア破傷風などの予防接種を受けており、その血中ワクチン抗体レベルを5歳時、7歳時に調べ、PFC値との関連を分析した。被験児のうち587例が2008年まで追跡された。母親の血中PFOSレベルが2倍高い群では、5歳時のジフテリア抗体濃度は39%減少結果、PFCのうち最も血中レベルが高かったのは、ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)とペルフルオロオクタン酸(PFOA)だった。この結果は、以前に報告された弁国での研究結果と同じだった。母親のPFCレベルと5歳児の抗体レベルとの逆相関が最も強かったのは、PFOSレベルで、母親の同値が2倍増大すると、子どもの5歳時のジフテリア抗体レベルは、39%減少(95%信頼区間:-55~-17)した。また、子どもの5歳時の主なPFCレベルが2倍増大すると、7歳時のジフテリア破傷風の抗体レベルは49%(同:-67~-23)減少した。5歳時点で血中PFOS濃度と血中PFOA濃度が2倍増大すると、7歳時の抗体レベルが臨床的防御値である0.1 IU/mLを下回るオッズ比は、ジフテリアについては2.38(同:0.89~6.35)、破傷風については4.20(同:1.54~11.44)だった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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HIV感染の母親から生まれた非感染乳児、Hibなど抗体低値だがワクチン投与反応は良好

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染する母親から生まれたHIV非感染の乳児は、出生時のインフルエンザ菌b型ワクチン(Hib)や百日咳、肺炎球菌などの抗体値が、HIV非感染の母親から生まれた乳児に比べ、低いことが明らかになった。同時に、そうした乳児の、ルーチンのワクチン投与に対する反応は良好だったことも示されたという。英国Imperial College LondonのChristine E. Jones氏らが、南アフリカで100人超の妊婦とその乳児について調べ明らかにしたもので、JAMA誌2011年2月9日号で発表した。母親がHIV感染の乳児、Hib、百日咳、肺炎球菌、破傷風の抗体値がいずれも低値Jones氏らは、2009年3月3日~2010年4月28日にかけて、南アフリカの首都ケープタウン近郊の旧黒人居住区であるカエリチャで、HIV感染・非感染の妊婦109人とその乳児について、地域ベースのコホート試験を行った。対象者のうち、HIVに感染する母親は47人(43%)だった。出生後に検査を行った幼児でHIV非感染だった100児について、出生時と出生後16週間の時点で抗体値を調べ比較した。これら被験者100児のうち、HIV感染の母親から生まれた乳児は46児だった。出生時の検査では、母親HIV感染群は非感染群に比べ、Hib(母親HIV感染群:0.37mg/L、 vs. 非感染群:1.02 mg/L、p<0.001)、百日咳(同16.07 FDA U/mL vs. 36.11 FDA U/mL、p<0.001)、肺炎球菌(同17.24mg/L vs. 31.97 mg/L、p=0.02)、破傷風(同0.08 IU/mL vs. 0.24 IU/mL、p=0.006)の抗体値が、いずれも低かった。ルーチン予防接種後の百日咳と肺炎球菌の抗体値は、母親HIV感染群の方が高値母親についても比較したところ、HIV感染群(46人)は非感染群(58人)に比べ、Hib(HIV感染群:0.67mg/L vs. 非感染群1.34mg/L、p=0.009)と、肺炎球菌(同33.47mg/L vs. 50.84mg/L、p=0.03)の抗体値は低かった。百日咳や破傷風の抗体値については、両群で同等だった。一方で、母親がHIV感染者の乳児はルーチンの予防接種に対する反応は良好だった。百日咳(母親HIV感染群:270.1 FDA U/mL vs. 非感染群:91.7 FDA U/mL、p=0.006)と肺炎球菌(同47.32mg/L vs. 14.77mg/L、p=0.001)については、母親HIV感染群の幼児の方が、接種後の抗体値が高かった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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ワクチン接種時の幼児に対する解熱薬のルーチンな予防投与は推奨されない

幼児に対するワクチン接種時のパラセタモール(別名アセトアミノフェン)の予防投与により、発熱の発症率は有意に低減するものの、ワクチン抗原に対する抗体反応を減弱させる場合があることがわかった。チェコ共和国・防衛大学陸軍保健科学部のRoman Prymula氏らの検討で判明したもので、同氏は「それゆえ、パラセタモールのルーチンの予防投与は推奨されない」としている。発熱はワクチン接種後の正常な炎症反応の一種だが、高熱や熱性痙攣の緩和を目的に解熱薬の予防投与が推奨されることがあるという。Lancet誌2009年10月17日号掲載の報告。パラセタモールの予防投与群と非予防投与群を比較する無作為化試験研究グループは、パラセタモールの予防投与がワクチン接種時の幼児の発熱やワクチン反応に及ぼす影響を評価する無作為化対照比較試験を実施した。チェコ共和国の10施設から459人の健常な幼児(登録時:生後9~16週、追加接種時:生後12~15ヵ月)が登録され、ワクチン接種後24時間以内に6~8時間毎にパラセタモールを3回予防投与する群(226人)あるいは同薬剤の予防投与を行わない群(233人)に無作為に割り付けられた。主要評価項目は38℃以上の発熱の解熱効果とし、副次評価項目は免疫原性の獲得とした。予防投与群で、いくつかのワクチン抗原における抗体価の幾何平均値が有意に低下両群とも発熱が39.5℃を超える例はまれであった[初回接種時:予防投与群<1%(1/226人)、非予防投与群1%(3/233人)、追加接種時:予防投与群2%(3/178人)、非予防投与群1%(2/172人)]。少なくとも1回のワクチン接種後に38℃以上の発熱が見られた幼児は、予防投与群[初回接種時:42%(94/226人)、追加接種時:36%(64/178人)]が、非予防投与群[初回接種時:66%(154/233人)、追加接種時:58%(100/172人)]よりも、有意に少なかった。初回接種後の抗体価の幾何平均値(geometric mean concentration; GMC)は、10種の肺炎球菌ワクチンの血清型、抗ジフテリア抗体、抗破傷風抗体などで、予防投与群が非予防投与群よりも有意に低かった。追加接種後も、非予防投与群に比べ予防投与群で、全肺炎球菌ワクチン血清型、抗破傷風抗体、抗ジフテリア抗体の低い抗体価GMCが持続していた。著者は、「ワクチン接種時の解熱薬の予防投与により発熱をきたす幼児は有意に少なくなったが、いくつかのワクチン抗原に対する抗体反応を減弱させるため、ルーチンの予防投与は推奨すべきでない」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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武田薬品がノバルティスからHibワクチンを導入へ

武田薬品工業株式会社は26日、スイス・ノバルティス社と、インフルエンザ菌b型(以下、「Hib」)による感染症の予防を目的としたワクチン(以下、Hibワクチン)の導入に関する契約を締結したと発表した。今回、同社が導入するHibワクチン(製品名:Vaxem Hib)は、無毒化したジフテリア毒素と結合させることで免疫原性を高め、乳幼児においても有効に抗体を産生できるようにしたもの。今回の契約により、同社は、ノバルティス社製Hibワクチンの国内における独占的開発および企業化に関する権利と、同ワクチンを用いた各種混合ワクチンの全世界における開発、製造および企業化に関する権利を有することになるという。また、同社が海外において他社と共同で当該混合ワクチンを企業化する場合は、ノバルティス社が優先交渉権を有するとのこと。なお、本契約に基づき、同社はノバルティス社に対し契約一時金1億円を支払うとともに、販売時マイルストーンならびに販売額に応じたロイヤルティを支払うという。詳細はプレスリリースへhttp://www.takeda.co.jp/press/article_34370.html

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3種混合ワクチン接種の公式報告は実態反映せず

小児に対する3種混合ワクチンの実施状況は、実態調査に基づくデータと各国の公式報告の間に乖離が見られ、目的志向型かつ業績志向型のグローバル イニシアチブが過大な公式報告を助長している可能性があることが、ワシントン大学(アメリカ)健康基準/評価研究所のStephen S Lim氏らが行った系統的な解析で明らかとなった。Lancet誌2008年12月13日号掲載の報告。長年の懸案事項を検証子どものおもな死因を、ワクチンで予防可能な疾患が占める国は多い。それゆえ、小児予防接種の実現は保健システムの最重要事項とされ、「ミレニアム開発目標」にもMDG4として含まれる。小児予防接種の実施率向上を目指し、これまでにUniversal Childhood Immunisation(UCI)キャンペーンやGlobal Alliance on Vaccines and Immunisations(GAVI)などのグローバル イニシアチブを通じて多額の資金が投じられてきた。しかし、UCIやGAVIの予防接種サービス支援(ISS)のような目的志向型かつ業績志向型のイニシアチブは過大な報告を助長する可能性があるとの懸案が、長きにわたり存在するという。研究グループはこの懸案の検証を行った。193ヵ国における1986~2006年の入手可能な全データを用いてジフテリア/破傷風/百日咳3種混合ワクチン(DTP3)の粗実施率の傾向を系統的に検討した。また、各国の公式なDTP3実施報告と、実態調査に基づく実施率のずれを解析することで、UCIやGAVI ISSなどのグローバル ヘルス イニシアチブがDTP3実施の過大な報告を助長しているか否かを評価した。DTP3の粗実施率は段階的に改善、公式報告は実態とは異なる実態調査に基づくDTP3の粗実施率は、1986年の59%から1990年には65%、2000年には70%、2006年には74%にまで増加した。UCI期間中のDTP3実施の公式報告と、調査に基づく実施率には実質的な乖離が認められた。また、CAVI ISSによって、DTP3実施の公式報告と調査による実施率の差が有意に拡大した。2006年までに、公式報告によるDTP3接種小児の推定人数1,390万人に加えて、GAVI ISSの資金提供を受けた51ヵ国で新たに740万人の小児がDTP3の接種を受けた。調査で判明したDTP3接種を受けた小児の増加人数に基づいて解析を行ったところ、これに必要なGAVI ISSの提供資金は1億5,000万ドルと推算されたが、実際の支出額は2億9,000ドルに達していた。著者は、「実態調査に基づくDTP3予防接種の施行率は段階的に改善したが、各国の公式報告やWHO/UNICEFの推定から示唆されるレベルには達していなかった」と総括し、「小児予防接種が目的志向型のグローバル イニシアチブの主導で推進され、実績に基づいて資金提供が行われる時代においては、健康指標の独立かつ競争可能な(contestable)モニタリング法を確立することが急務である」と指摘する。(菅野守:医学ライター)

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米国FDA、小児用3種混合ワクチンDAPTACELの5回目接種分を承認

サノフィ・アベンティスグループのワクチン事業部門であるサノフィパスツールは、ジフテリア破傷風、百日咳の予防を目的とした4~6歳の小児に対するDAPTACELワクチン(ジフテリア破傷風トキソイド、無細胞型百日咳沈降精製ワクチン)の5回目接種が、米国医薬品食品局により承認されたと発表した。DAPTACELワクチンは2002年に4回接種ワクチンとしてFDAの承認を取得、現在は2,4,6ヶ月齢と15-20ヶ月齢に接種されている。今回の承認により5回接種すべてに対する承認を取得した。詳細はプレスリリースへhttp://www.sanofi-aventis.co.jp/live/jp/ja/layout.jsp?scat=D85FC173-8D5D-4C22-94DB-93D72F0A86EC

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ワクチン接種は疾患発現減少に功を奏したか?

アメリカにおける全国的なワクチン接種プログラムの勧告は、対象疾患発現の減少、排除または根絶を目標に行われている。その目標は果たされているのか。CDC(疾病予防管理センター)のSandra W. Roush氏らワクチン予防接種専門調査委員会(Vaccine-Preventable Disease Table Working Group)は、2005年までに行われてきた13疾患対象の予防的なワクチン接種について、勧告・実行前後の罹患率および死亡率の比較を行った。JAMA誌11月14日号掲載の報告から。ワクチン対象13疾患の死亡率、罹患率を過去と現在で比較検証された13ワクチン対象疾患は、ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ、はしか、耳下腺炎、風疹(先天性風疹症候群を含む)、侵襲性のインフルエンザ桿菌b型(Hib)、急性B型肝炎、A型肝炎、水痘、肺炎球菌性肺炎と天然痘。ワクチン勧告前の基線データは、主要なデータソースからの代表的・歴史的に有名なデータとし、それらと直近の罹患率(2006年)、死亡率(2004年)とを比較した。主要評価項目は、疾患発現の症例数、死亡数と疾患による入院数。症例数は最低を記録するに至っているジフテリア、耳下腺炎、百日咳、破傷風は、1980年以前の状況よりも、ワクチン接種の勧告・実行によって、症例数は92%以上減少、死亡数は99%以上減少していた。地域流行性のポリオウイルス、はしか、風疹の伝染は、米国内では排除された。天然痘は、世界的に根絶に至っている。A型肝炎、急性B型肝炎、インフルエンザ桿菌b型、水痘を含む1980年以降にターゲットとされてきた大半のワクチン接種対象疾患については、症例数、死因数とも80%以上減少していた。侵襲性の肺炎球菌性肺炎は症例数は34%、死因数は25%減少していた。委員会は、「大部分のワクチン接種で予防可能とされる疾患の症例数は、最低を記録するに至っている。入院および死亡についても、減少は著しい」と述べ、ワクチンはバイオメディカルおよび公衆衛生の最も偉大な業績の1つであり、今後もワクチン開発・資金調達・調査・評価・配布に努力していくべきと結論づけている。(武藤まき:医療ライター)

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健康・福祉サービスの充足は受給者の「権利」認識不足解消から

発展途上国の中でも特に社会・経済的地位の低い人々が、権利として与えられているはずの健康・福祉サービスを十分に受け取ることができていないのは、そもそもサービスを受け取れるという認識不足が原因ではないか。世界銀行(アメリカ・ワシントン)南アジア人財開発部門のPriyanka Pandey氏らは、世界でアフリカ・サハラ以南に次いで貧困層が多いインド(全人口の35%が1日1ドル未満で暮らす)を対象に、情報資源に乏しい農村部の人々に情報をもたらすことで、どれぐらいサービス送達量に変化が生じるのかを調査した。JAMA誌10月24日号掲載の報告から。インドでクラスタ無作為化試験本研究は地域ベースのクラスタ無作為化試験で、2004年5月~2005年5月の間、インド北部のUttar Pradesh州105村を対象とした。低カーストおよび中~高位カーストの世帯を含む497世帯の介入群と548世帯の対照群が、系統的サンプリング法で選択され行われている。介入群には、村単位で4~6回の公的ミーティングが開催され、権利として与えられている保健サービスおよび教育サービスと、村の自治権に関する情報が伝えられた。対照群には何も行われていない。主要評価項目は、助産師訪問の有無、妊婦が受ける権利を与えられている出生前検査と破傷風予防接種および出生前補助食品の授受、乳児が受けることができる予防接種、超過学費の請求、村議会会議の開催、そして村での発展的な動きとされた。1年後には介入群と対照群にかなりの違いが試験開始時は介入群と対象群で、健康・福祉サービスの送達状況に有意差は見られなかったが、1年後には両群間にかなりの違いが生じていた。出生前検査では30%以上の差が(P < 0.001)、破傷風予防接種27%以上(P < 0.001)、出生前補助食品24%以上(P = 0.003)、乳児予防接種25%以上(P = 0.004)が認められ、超過学費の請求は介入群で8ルピー減少した(P < 0.001)。また、村議会会議開催は21%以上の差(P = 0.01)があった。助産師訪問と村での発展的な動きについての改善は認められなかったが、前記の認められた有意な改善は、世帯のカーストの高低を問わず見られた。Pandey氏らは、「情報伝達を強化する教育的介入が、サービスの送達を改善することにつながるようだ」と結論付けている。(武藤まき:医療ライター)

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民間保険加入小児に生じているワクチン投与格差

米国では最近5年間で小児および思春期の若者へのワクチンが倍増した。髄膜炎、3種混合(破傷風ジフテリア-百日咳)、A型肝炎、インフルエンザ、ロタウイルス、ヒトパピローマウイルス(HPV)など新たにもしくは拡大推奨されたワクチンを、小児全員に投与するための公的セクターのコストは7.5倍(1995年155ドル→2007年1,170ドル)に膨らんだという。 ワクチン投与は罹患率の低下など効果をもたらす一方、州の政策立案者や臨床家から、ワクチン接種をカバーしないタイプの民間保険に加入する小児(2000年時点で約14%)の問題が指摘されるようになった。彼らのワクチンコストは州がカバーすることになっているが、その適用に格差が生じているというのである。 ハーバード大学メディカルスクール&ハーバード・ピルグリム・ヘルスケアのGrace M. Lee氏らは、格差の実態と原因を調査。JAMA誌8月8日号に詳細が報告された。州担当者にワクチン購入・供給について聞き取り本研究は、各州の予防接種プログラム・マネジャーへの2段階の聞き取り調査によって行われた。州保健局に雇用される予防接種プログラム・マネジャーは、公的資金で必要なワクチンを購入し、公的セクター(保健所など)や民間クリニックの臨床家に配布する役割を果たしている。第1 段階の調査は2005年11月~12月にかけて、それぞれ異なる資金調達方針を掲げる9人のマネジャーに対する、1時間に及ぶ質的な質問項目からなる電話インタビュー。第2段階は2006年1月~6月にかけて、全国50州のマネジャーを対象とする電話と書面による調査が行われた。回答が得られたのは48州(96%)。格差の原因は資金調達システムにその結果、髄膜炎ワクチンについて、公的資金での購入・供給を民間クリニックに対して行っていないと回答したのが30/43州(70%)、公的セクターにしていないと回答したのは17/43州(40%)に上った。肺炎球菌ワクチンについてはそれぞれ24/48州(50%)、8/48州(17%)だった。また10の州で、新規ワクチン購入資金が限られていることを理由に2004年~2006年前半の間に、私的保険加入小児が公的資金で購入した新規ワクチンを接種できないように州の政策を変更していた。米国では、保険未加入およびメディケイドなど公的保険に加入する小児へのワクチン投与は連邦政府が資金を提供するVFCプログラムによって保障される。マネジャーはこのVFC資金、セクション317と呼ばれる資金と、州が割り当てる予算でワクチンを購入するのだが、調査ではマネジャーから「私的保険加入児の前には連邦および州政府の財源不足という壁が立ちふさがっている」との指摘が相次いだ。こうした結果を踏まえLee氏らは、「子どもたちがすべてのワクチン接種を受けられるような資金調達システムの戦略が必要だ」と提起した。(武藤まき:医療ライター)

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