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非小細胞肺がん、術後補助化学療法の有効性を確認:2つのメタ解析から

切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)に対して切除術後あるいは切除術+放射線療法後に補助化学療法を行うと、これを施行しない場合に比べ放射線療法の有無にかかわらず5年生存率が改善されることが、イギリス医学研究評議会(MRC)臨床試験ユニットのSarah Burdett氏らNSCLCメタ解析共同研究グループの検討で示された。毎年約150万人が肺がんを発症し、その約85%がNSCLCだが、治癒切除が可能なのは20~25%にすぎない。同研究グループの以前の検討ではシスプラチンベースの術後補助化学療法が生存期間を延長する傾向が示された(ハザード比:0.87、95%信頼区間:0.74~1.02、p=0.08)が、切除術+放射線療法後の補助化学療法の価値は明確ではないという。Lancet誌2010年4月10日号(オンライン版2010年3月24日号)掲載の報告。個々の患者データに基づく2つのアプローチに関するメタ解析研究グループは、早期NSCLCにおける手術後あるいは手術+放射線療法後の補助化学療法の有効性を確立するために、これら2つのアプローチについて包括的な系統的レビューとメタ解析を行った。解析の対象となったのは、1965年1月1日以降に開始された手術→化学療法と手術単独、あるいは手術+放射線療法→化学療法と手術+放射線療法を比較した試験で、2群間に追加治療による交絡がない無作為化試験とした。各試験に登録された個々の患者の最新のデータを収集して照合し、試験ごとに層別化したメタ解析を実施した。無作為割り付けから全原因による死亡までの期間を全生存期間と定義し、これを主要評価項目とした。両アプローチとも、化学療法追加で5年生存率が有意に改善手術→化学療法と手術単独のメタ解析の対象となったのは34試験(そのうち18試験が日本の研究)、8,447例(3,323例が死亡)であった。5年生存率は、手術単独群の60%から補助化学療法群では64%へ上昇し、絶対値で4%[95%信頼区間(CI):3~6%]、ハザード比(HR)で14%改善された(HR:0.86、95%CI:0.81~0.92、p<0.0001)。手術+放射線療法→化学療法と手術+放射線療法のメタ解析の対象は13試験(日本の研究は1試験)、2,660例(1,909例が死亡)であった。5年生存率は、手術+放射線療法群の29%から補助化学療法群では33%へ上昇し、絶対値で4%(95%CI:1~8%)、ハザード比で12%の改善が得られた(HR:0.88、95%CI:0.81~0.97、p=0.009)。いずれのメタ解析でも、化学療法のレジメンやタイミング、手術の範囲、患者背景、サブグループの違いによる効果の変動は認められなかった。著者は、「切除可能NSCLCに対する手術あるいは手術+放射線療法のいずれのアプローチでも、補助化学療法の追加によって生存率が改善される」と結論している。また、「化学療法の効果は毒性とのバランスを考慮する必要があるが、本試験では毒性の評価はできない。併存疾患についても、それがみられないか、または軽度の患者を対象としているため評価できない」とし、「以前のメタ解析では術後放射線療法はむしろ生存率を低下させることが示されているが、使用された治療技術は旧来のものであった。今回の試験は術後放射線療法を評価するようにはデザインされていない。今後、最新技術を用いた放射線療法の、術後補助化学療法としての有用性を評価する無作為化試験を行う必要がある」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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5-HT3受容体拮抗型制吐剤「アロキシ」製造販売承認取得

大鵬薬品工業株式会社は20日、5-HT3(セロトニン)受容体拮抗型制吐剤 「アロキシ静注0.75mg」(一般名:パロノセトロン塩酸塩)の製造販売承認を取得したと発表した。アロキシは2004年1月の大鵬薬品とスイスのヘルシン社(HELSINN HEALTHCARE SA)とのライセンス契約に基づき、同社が国内開発した薬剤。海外においては、2003年7月に米国、2005年3月に欧州で承認され、2009年 12月現在、世界62ヵ国で承認されている。アロキシは、がん化学療法(シスプラチン等)実施前の1回投与で、急性悪心、嘔吐のみならず、現行の治療薬では効果の不十分であった遅発性悪心、嘔吐にも有効性が確認されている。同剤は、血中消失半減期が約40時間と非常に長く、5-HT3受容体に対して高い結合親和性と選択性を有している。また、 NCCNの「制吐療法ガイドライン」で、高度催吐性化学療法に伴う悪心、嘔吐の予防に用いる薬剤として推奨されているという。詳細はプレスリリースへhttp://www.taiho.co.jp/corporation/news/2010/20100120.html

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ペメトレキセドによる維持療法、進行非小細胞肺がんに対する有用性を確認

進行非小細胞肺がんに対するペメトレキセド(商品名:アリムタ)による維持療法は良好な耐用性を示し、プラセボに比べ無進行生存期間(PFS)および全生存期間(OS)を有意に改善することが、ルーマニアIon Chiricutaがん研究所のTudor Ciuleanu氏らが実施した無作為化第III相試験で明らかとなった。ペメトレキセドは葉酸代謝拮抗薬であり、欧米ではシスプラチンとの併用で悪性胸膜中皮腫の1次治療として、単剤で非扁平上皮型の進行非小細胞肺がんの2次治療として、またシスプラチンとの併用で非扁平上皮型の進行非小細胞肺がんの1次治療として承認されている。本試験は2009年米国臨床腫瘍学会(ASCO)で最終報告が行われ、注目を集めた。Lancet誌2009年10月24日号(オンライン版2009年9月20日号)掲載の報告。20ヵ国83施設が参加した二重盲検無作為化第III相試験研究グループは、進行非小細胞肺がんに対するペメトレキセドを用いた維持療法の有効性および安全性を評価する二重盲検無作為化第III相試験を行った。20ヵ国83施設から、1次治療としてプラチナ製剤ベースの2剤併用療法を4コース施行後に増悪が見られなかったIIIB/IV期病変を有する663例が登録された。これらの患者が、21日を1コースとしてペメトレキセド500mg/m2(第1日)+対症療法(BSC)を施行する群(441例)あるいはプラセボ+BSCを施行する群(222例)に無作為に割り付けられた。治療は病勢が進行する(PD)まで継続することとした。患者と研究者には治療の割り付け情報は知らされなかった。全例にビタミンB12、葉酸、デキサメタゾンが投与された。主要評価項目はPFS、副次評価項目はOSとし、intention-to-treat解析を行った。PFSが1.7ヵ月、OSは2.8ヵ月延長、特に非扁平上皮がんで優れる無作為割り付けされた全例が解析の対象となった。PFSは、ペメトレキセド群が4.3ヵ月と、プラセボ群の2.6ヵ月に比べ有意に優れた(ハザード比:0.50、p<0.0001)。OSはそれぞれ13.4ヵ月、10.6ヵ月であり、ペメトレキセド群で有意に延長した(ハザード比:0.79、p=0.012)。薬剤関連毒性による治療中止率は、ペメトレキセド群が5%(21/441例)と、プラセボ群の1%(3/222例)に比べ多かった。薬剤関連のgrade 3以上の毒性は、それぞれ16%(70/441例)、4%(9/222例)であり、ペメトレキセド群で有意に頻度が高かった(p<0.0001)。特に、ペメトレキセド群で疲労感[5%(22/441例) vs. 1%(1/222)、p=0.001]と好中球減少[3%(13/441例) vs. 0%、p=0.006]が有意に高頻度に見られた。ペメトレキセドによる治療関連死は認めなかった。治療中止後の後治療としての全身療法の施行率は、ペメトレキセド群が51%(227/441例)と、プラセボ群の67%(149/222例)に比べ有意に低かった(p=0.0001)。著者は、「進行非小細胞肺がんに対するペメトレキセドによる維持療法は良好な耐用性を示し、プラセボに比べPFS、OSを有意に改善した」と結論している。また、組織型によるサブ解析では扁平上皮がんに比べ非扁平上皮がん(特に腺がん)でPFS、OSが有意に優れたことをふまえ、「本療法は、初回導入療法後に病勢が進行しなかった非扁平上皮型の進行非小細胞肺がんに対する新たな治療選択肢となるだろう」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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アリムタ注射用100mg発売

日本イーライリリー株式会社は、9月24日より、代謝拮抗性悪性抗悪性腫瘍剤「アリムタ注射用100mg」(一般名:ペメトレキセドナトリウム水和物)の販売を開始した。アリムタ注射用100mgは、既に販売されている500mg製剤と同じ効能・効果である「悪性胸膜中皮腫」および「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」で承認を受けた。アリムタはシスプラチンとの併用で、国内では2007年1月に、アスベストへの曝露と関係が強い悪性胸膜中皮腫の効能・効果で承認を受けている。また、本年5月20日には、単剤で「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」の効能・効果で承認を受けた。アリムタは、非小細胞肺癌のファーストライン治療試験としては最大規模である、1,725例を対象とした、アリムタ及びシスプラチンの併用群(アリムタ群)と、ジェムザール (一般名:ゲムシタビン塩酸塩)及びシスプラチンの併用群(ジェムザール群)を比較した第III相試験において、ジェムザール群と比較して非劣性が証明された。非扁平上皮癌の組織型を示す患者においては、生存期間を有意に延長することが示され、非小細胞肺癌の化学療法は、「組織型」の違いによって、薬剤の選択が可能となった。詳細はプレスリリースへhttp://www.lilly.co.jp/pressrelease/news_2009_24.aspx

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化学療法+放射線療法は、ステージIIIA(N2)非小細胞肺がん患者の治療オプション

ステージIIIA(N2)非小細胞肺がん患者の治療として、化学療法+放射線療法は、外科的切除(望ましいのは肺葉切除)の有無にかかわらず「選択肢の1つである」との報告が、米国シカゴ・ロヨラ大学のKathy S Albain氏らにより発表された。本療法をめぐっては、第2相無作為化試験(化学療法+放射線療法後の切除)で生存率が有望視される結果が得られていた。その結果を踏まえAlbain氏らは、切除ありと切除なしの比較を検討する第3相無作為化試験を行った。本報告は、Lancet2009年8月1日号(オンライン版2009年7月27日号)にて掲載されている。化学療法+放射線療法を受けた患者を2グループ(切除有・無)に分け全生存期間検証第3相試験は教育病院および地域の病院で行われ、ステージT1-3pN2M0非小細胞肺がん患者が1対1の割合で、2群(グループ1、グループ2)に無作為化され実行された。グループ1に割り付けられた患者は202例(平均年齢59歳、範囲:31~77歳)、グループ2は194例(平均年齢61歳、範囲:32~78歳)だった。両群患者には、導入化学療法として2サイクルの、シスプラチン(商品名:ブリプラチン、ランダ)50mg/m(2)を1、8、29、36日目に投与とエトポシド(商品名:ベプシド、ラステット)50mg/m(2)を1~5、29~33日に投与。加えて、放射線療法(45Gy)が行われた。進行が認められない場合、グループ1の患者には切除術が行われ、グループ2の患者には最大61Gyの放射線療法が行われ、さらに2サイクルのシスプラチン投与とエトポシドが両群ともに投与された。主要エンドポイントは、全生存期間。intention to treat解析にて行われた。治療オプションとなるが、患者にはリスクとベネフィットをきちんと伝えることが必要全生存期間中央値は、グループ1は23.6ヵ月(IQR:9.0、非到達)、グループ2は22.2ヵ月(範囲:9.4~52.7ヵ月)で、ハザード比は0.87(95%信頼区間:0.70~1.10、p=0.24)だった。5年生存者は、グループ1は37例(推定27%)、グループ2は24例(同20%)で、オッズ比は0.63(95%信頼区間:0.36~1.10、p=0.10)だった。開胸時N0状態での全生存期間中央値は、34.4ヵ月だった(IQR:15.7、非到達、5年生存者19例・41%)。無進行生存期間(PFS)は、グループ1のほうが勝っていた。グループ1のPFSは12.8ヵ月(範囲:5.3~42.2)、グループ2は10.5ヵ月(同:4.8~20.6)で、ハザード比は0.77(95%信頼区間:0.62~0.96、p=0.017)だった。また、5年無進行患者数は、グループ1は32例(推定22%)、グループ2は13例(推定11%)だった。一方で、化学療法+放射線療法に関連した主なグレード3および4毒性は、好中球減少と食道炎で、グループ1では77件(38%)、グループ2では20例(10%)報告されている。治療と関連がある死亡例は、グループ1では16例(8%)、グループ2では4例(2%)だった。また、予備解析から、全生存期間は、肺切除ではなく肺葉切除を受けた患者のほうが改善されていた。以上から、化学療法+放射線療法は、ステージIIIA(N2)非小細胞肺がん患者の治療オプションとなると結論しているが、「切除を行うべきか否かの結論には長期の検証が必要になる。また前向き試験では切除のアプローチの確認も難しい。患者にはリスクとベネフィットについてきちんと伝える必要がある」と述べている。

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開発中のBIBW 2992、EGFR感受性変異を有する非小細胞肺がん患者を対象に一次治療での第III相試験開始

ドイツ・ベーリンガーインゲルハイム社は3日、米国/サンフランシスコで実施された第13回世界肺がん学会で、開発中の抗がん剤BIBW 2992(海外での予定製品名:TOVOK)について、上皮成長因子受容体(EGFR)感受性変異を有する非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に、一次治療での第III相試験を開始すると発表した。BIBW 2992はEGFRとHER2(ヒト上皮受容体)の両チロシンキナーゼを不可逆的に阻害する初の経口投与製剤で、NSCLCの適応取得を目的として第III相試験を進めることになった初めての薬剤。BIBW 2992の第III相試験であるLUX-Lung 3試験は、EGFR感受性変異を有するNSCLC患者に、一次治療として投与した場合の有効性と安全性を、現在の標準化学療法(シスプラチン/ペメトレキセド)と比較検討するもの。LUX-Lung臨床試験プログラムでは、現在BIBW 2992のNSCLC患者に対する有効性と安全性を種々の背景のNSCLC患者群で検討する、2つの第III相国際共同試験が進められているとのこと。なお、LUX-Lung 3の開始を発表するのと並行して、同学会にて他の試験で得られたBIBW 2992の臨床成績が新たに発表された。詳細はプレスリリースへhttp://www.boehringer-ingelheim.co.jp/com/Home/Newscentre/pressrelease/news_detail.jsp?paramOid=5468

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Herceptinの主要な試験(ToGA)でHER2陽性胃がんにおいて延命効果あり

中外製薬株式会社は5日、スイス・ロシュ社が行ったToGA試験のデータより、Herceptin(trastuzumab)を標準的な化学療法(Xelodaまたは5-FU持続静注にシスプラチンを併用)に追加すると、この進行性のがんに罹患している患者の生存期間中央値が3ヵ月近く延長され13.8ヵ月になることを示したと発表した。このデータはフロリダ州オーランドで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)の年次学術集会において発表されたもの。進行性胃がんの予後は不良で、診断後の平均的な生存期間は現行治療法では約10ヵ月だという。多国籍第III相臨床試験において、HER2陽性の手術不能な進行性胃がんの患者さんの死亡リスクは、Herceptin投与群ではHerceptin非投与群と比べて26%減少することを示した。さらにHER2が強く発現(FISH+/IHC2+ならびにIHC3+)しているがん患者は、Herceptinの併用によりさらに大きなベネフィットが得られ、生存期間中央値が16ヵ月に延長したとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.chugai-pharm.co.jp/generalPortal/pages/detailTypeHeader.jsp?documentId=doc_14209&lang=ja

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悪性胸膜中皮腫、化学療法のベネフィットはほとんど期待できないが…

積極的症状コントロール(ASC)に化学療法を追加しても、悪性胸膜中皮腫の生存およびQOLにベネフィットはもたらされないことが、英国Leeds総合診療所のMartin F Muers氏らが実施した多施設共同無作為化試験(MS01)で明らかとなった。悪性胸膜中皮腫はほぼ致死的な疾患であり、現状では治療選択肢はほとんどない。これまでASCが推奨されてきたが、化学療法の役割についてはコンセンサスが得られていなかったという。Lancet誌2008年5月17日号掲載の報告。ASC単独とASCに2種類の化学療法レジメンを追加する3群を比較MS01試験には、2001年9月~2006年7月に英国の76施設およびオーストラリアの2施設から悪性胸膜中皮腫409例が登録され、以下の3群に無作為に割り付けられた。ASC単独群(136例):ステロイド薬、鎮痛薬、気管支拡張薬、緩和的放射線照射などを実施、ASC+MVP群(137例):ASCに加えマイトマイシンC 6mg/m2+ビンブラスチン6mg/m2+シスプラチン50mg/m2の3週ごとの投与を1コースとして4コース施行、ASC+V群(136例):ASCに加えビノレルビン30mg/m2を週1回、12週間投与。無作為割り付けはPS(WHO)、組織型、施設により層別化した。フォローアップは無作為割り付け後から3週ごとに21週行い、その後は8週ごとに実施した。症例登録の進捗が遅かったため、主要評価項目である全体の生存率については2つの化学療法併用群を統合してASC単独群と比較した。探索的な解析ではビノレルビンによる生存ベネフィットの可能性示唆解析時には393例(96%)が死亡していた[ASC単独群:132例(97%)、ASC+MVP群:132例(96%)、ASC+V群:129例(95%)]。ASC単独と比較してASC+化学療法の生存ベネフィットは大きくなく、有意差な差は認めなかった(ハザード比:0.89、95%信頼区間:0.72~1.10、p=0.29)。生存期間中央値はASC単独群が7.6ヵ月、ASC+化学療法群は8.5ヵ月であった。探索的な解析では、ASC+V群の生存期間中央値は9.5ヵ月であり、ASC単独に比べ有意差はないものの生存への寄与が示唆された(0.80、0.63~1.02、p=0.08)。ASC+MVP群の生存ベネフィットを示すエビデンスは得られなかった(0.99、0.78~1.27、p=0.95)。事前に設定されたQOLに関する4つのサブスケール[身体機能、疼痛、呼吸困難、全般的健康状態(global health status)]は、治療開始から6ヵ月間のいずれの時点の評価でも各群間に差は見られなかった。Muers氏は、「悪性胸膜中皮腫の管理では、ASCに化学療法を追加しても生存およびQOLに有意なベネフィットはもたらされない」と結論したうえで、「探索的な解析の結果により、1つの治療選択肢としてビノレルビンにシスプラチンやペメトレキセドを併用するアプローチは試みる価値があることが示唆されるが、他の多くの癌と同様に、悪性胸膜中皮腫の場合も新規抗癌剤や分子標的薬がもっとも有望かもしれない」と考察している。(菅野守:医学ライター)

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肛門管癌におけるフルオロウラシル/シスプラチン/放射線併用療法は不成功

 肛門管癌患者にとって化学・放射線併用療法は根治療法の第一選択だが、フルオロウラシル/マイトマイシンとの併用療法では5年無病生存率は約65%にとどまる。そのためテキサス大学消化器腫瘍部門のJaffer A. Ajani氏らは、標準治療とされるマイトマイシン併用療法と比較するため、シスプラチン併用療法を試験的に実施、有効性について検証した。JAMA誌2008年4月23日号より。肛門管癌患者682例を2つの介入群に無作為割り付けUS Gastrointestinal Intergroup trial RTOG 98-11は、フルオロウラシル/マイトマイシン/放射線療法の併用と、フルオロウラシル/シスプラチン/放射線療法の併用とを、第III相多施設共同無作為化試験によって比較検証した。治験参加者は1998年10月31日~2005年6月27日の間に登録された肛門管癌患者682例。参加者は、2つの介入群の内のどれかに無作為に割り付けられた。(1)マイトマイシンをベースとしたグループ(n = 341):フルオロウラシル(1-4日目、29-32日目に1000mg/m2)とマイトマイシン(1日目と29日目に10mg/m2)と放射線療法(45-59Gy)、(2)シスプラチンをベースとしたグループ(n = 341):フルオロウラシル(1-4、29-32、57-60、85-88日目に1000mg/m2)とシスプラチン(1、29、57、85日目に75mg/m2)と放射線療法(45-59Gy、57日目に開始)の2群。主要エンドポイントは5年無病生存率、副次的エンドポイントは全生存率と再発までの期間とした。ほとんどの指標でマイトマイシン投与群が好結果計644例で評価が可能だった。全症例の追跡期間中央値は2.51年。年齢中央値は55歳、69%が女性で、27%は腫瘍径が5cm以上、26%は臨床的にリンパ節転移陽性だった。5年無病生存率は、マイトマイシン群が60%(95%信頼区間[CI] 53%-67%)、シスプラチン群が54%(95%CI 46%-60%)であった(P = 0.17)。5年の全生存率は、マイトマイシン群が75%(95%CI 67%-81%)とシスプラチン群が70%(95%CI 63%-76%)であった(P =0 .10)。シスプラチン群の5年後の肛門周囲での再発と遠隔転移率はそれぞれ25%(95%CI 20%-30%)と15%(95%CI 10%-20%)、マイトマイシン群はそれぞれ33%(95%CI 27%-40%)と19%(95%CI 14%-24%)であった。人工肛門造設術の頻度はマイトマイシン群の方がシスプラチン群より有意に低かった(10%対19%、P =0.02)。重度の血液学的毒性はマイトマイシン群でより重症だった(P

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頭頸部扁平上皮癌の導入化学療法に関する第3相無作為化試験

頭頸部扁平上皮癌はアメリカでは、成人で新たに癌と診断される者のうちの5%を、世界的には8%を占め、初期ステージでは根治も期待される疾患である。標準治療は化学療法(手術+放射線療法)だが、最適な治療スケジュールが確立しておらず、薬物療法+放射線療法の導入化学療法が実質的に標準治療となっている。薬物療法ではシスプラチン+フルオロウラシル(PF)療法が、局所進行例での有益性から標準とされているが、ドセタキセル(タキソール)を加えたTPF療法の有益性に関する臨床試験が進行中である。その第3相無作為化試験の結果がNEJM誌10月25日号に掲載された。TPF療法+放射線療法とPF療法+放射線療法を比較TAX 324と名付けられた本試験は、TPF療法後に放射線療法を行う方法と、従来型のPF療法後に放射線療法を行う方法とを比較するもので、501例の頭頸部扁平上皮癌患者をいずれかに無作為に割り付け行われた。患者はいずれも、遠隔転移は認められないが切除不能な腫瘍を有するステージ3あるいは4の臓器保存対象者。TPFあるいはPF療法を受けた後、週1回のカルボプラチン投与と週5日の放射線療法を受け比較された。主要エンドポイントは全生存率。TPF療法+放射線療法を新たな標準治療に追跡調査は最低2年、69%の患者で3年以上行われた。その結果、TPF群でPF群よりも有意に多数の患者が生存していた。死亡に対するハザード比は0.70(P=0.006)。3年時の生存率はPF群で48%なのに対しTPF群は62%、生存期間(中央値)はPF群30ヵ月に対しTPF群71ヵ月と推定された(P=0.006)。TPF群のほうがPF群よりも局所管理が良好で(P=0.04)、遠隔転移の発生率は両群で有意差がなかった(P=0.14)。好中球減少症と発熱性好中球減少症の発生率は、TPF群のほうが高かった。PF群では、血液系の有害事象のため、化学療法の実施が頻繁に遅延された。以上の結果を踏まえTAX 324研究グループは、TPF療法+放射線療法の有意性を結論付け、臨床家に新たな標準治療と考えるべきであると提起した。(武藤まき:医療ライター)

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