サイト内検索|page:2

検索結果 合計:49件 表示位置:21 - 40

21.

簡易懸濁法に合わせた薬剤への変更提案【うまくいく!処方提案プラクティス】第37回

 2020年の診療報酬改定において、簡易懸濁法導入時の薬剤師の活動が評価され、経管投薬支援料が新設されました。簡易懸濁法を導入するには、服薬管理の手順の確認や問題点の整理など薬剤師の積極的な介入が必要です。今回は、簡易懸濁法導入の際に処方提案を行った事例を紹介します。患者情報80歳、女性(グループホーム入居)基礎疾患アルツハイマー型認知症、高血圧症、慢性便秘症介護度要介護3服薬管理施設職員が管理障害自立度B-2認知症自立度IIIb処方内容 ※嚥下困難のため粉砕指示あり1.ドネペジル錠5mg 1錠 分1 朝食後2.ベニジピン錠4mg 1錠 分1 朝食後3.カンデサルタン錠4mg 1錠 分1 朝食後4.アトルバスタチン錠10mg 1錠 分1 朝食後5.エスゾピクロン錠1mg 1錠 分1 就寝前本症例のポイント介入時の患者さんは、日中は怒りっぽい様子で夜間も大声を出し、食事などの介護拒否があるなど介護負担が大きい状況でした。また、嚥下機能も低下していて、服薬時に錠剤がそのまま口中に残っていることが多いため、施設職員がすべて粉砕して、食事に混ぜて服薬させていました。この施設では同様の理由で粉砕指示となっている施設利用者が半数を占めていたため、介護負担が大きく、粉砕時の曝露に不安を覚える職員も多くいました。そこで、主任介護士と相談のうえで簡易懸濁法導入のための勉強会とデモンストレーションを実施したところ、溶解が容易な口腔内崩壊錠に統一して懸濁投与にしたいという意向を聞き取りました。提案前の整理内容1)興奮を抑えるためにドネペジルの中止を検討ドネペジル錠5mgを入居前から長期的(開始時期不明)に服用していて、賦活化作用から過覚醒状態となっている可能性があると考えました。患者家族・施設側としても本人らしさを失うような治療は望んでいません。そこで、ドネペジルの治療効果よりも薬物有害事象の問題が大きいと考え、暴力行為などが問題になる前にドネペジルの中止を提案することにしました。2)口腔内崩壊錠への変更を検討簡易懸濁法導入のため、降圧薬とスタチンを当薬局採用の口腔内崩壊錠へ変更することを検討しました。ベニジピン錠4mg→アムロジピン口腔内崩壊錠5mg 1錠カンデサルタン錠4mg→オルメサルタン口腔内崩壊錠20mg 1錠アトルバスタチン錠10mg→ピタバスタチン口腔内崩壊錠2mg 1錠3)エスゾピクロン錠からゾルピデム口腔内崩壊錠への変更を検討粉砕したエスゾピクロン服用時の苦味あるいは起床時まで残る苦味が、不機嫌や食事拒否に影響しているのではないかと考えました。エスゾピクロンはゾピクロンと比較して苦味が軽減した薬剤ですが、依然として苦味を感じる患者は多いです1)。そこで、短時間作用型薬剤かつ口腔内崩壊錠のあるゾルピデムを提案することにしました。処方提案と経過訪問診療に同行し、ラウンド前の会議で医師に上記の提案を直接伝えたところ、1)のドネペジルの件は介護士との協議後に中止の承認を得ました。2)の口腔内崩壊錠への変更についても承認いただき、変更後のバイタル推移や患者さんの状況を慎重に確認していくことになりました。なお、事前に勉強会を行っていたこともあり、介護士の簡易懸濁の手技に問題はなく、患者さんからも好意的に受け入れられました。3)の提案については、エスゾピクロンの苦味が不機嫌や食事拒否につながるのは意外な悪影響だと注目され、変更して様子を見るという条件で承認を得ることができました。変更して1週間後には患者さんの易怒性や介護拒否はなくなり、介護負担も減少したことが介護士との会話で確認できました。血圧も乱れることなく140/80台で推移しています。肝心の服薬管理も簡易懸濁法導入により、粉砕・開封・食事への混入時の施設職員への曝露や薬剤ロスを減らすことができました。1)日病薬誌. 2017;53:192-196.

22.

GERDを増悪させる薬剤を徹底見直しして負のスパイラルから脱出【うまくいく!処方提案プラクティス】第32回

 今回は、胃食道逆流症(GERD)を悪化させる薬剤を中止することで症状を改善し、ポリファーマシーを解消した事例を紹介します。GERDは胸焼けや嚥下障害などの原因となるほか、嚥下性肺炎、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患、慢性咳嗽などの呼吸器疾患を発症・増悪させることもあるため、症状や発症時期を聴取して薬剤を整理することが重要です。患者情報70歳、女性(外来患者)基礎疾患発作性心房細動、慢性心不全、高血圧症、逆流性食道炎診察間隔循環器内科クリニックで月1回処方内容<循環器内科クリニック(かかりつけ医)>1.エドキサバン錠30mg 1錠 分1 朝食後2.ビソプロロール錠2.5mg 1錠 分1 朝食後3.スピロノラクトン錠25mg 1錠 分1 朝食後4.ニフェジピン徐放錠40mg 1錠 分1 朝食後(1ヵ月前から増量)5.エソメプラゾールマグネシウム水和物カプセル20mg 1カプセル 分1 朝食後<内科クリニック>1.モンテルカスト錠10mg 1錠 分1 就寝前(2週間前に処方)2.テオフィリン徐放錠100mg 2錠 分2 朝食後・就寝前(2週間前に処方)本症例のポイントこの患者さんは、なかなか胸焼けが治らないことを訴えて、半年前にGERDの診断を受けました。プロトンポンプ阻害薬による治療によって症状は改善したものの、最近はまた症状がぶり返しているとお悩みでした。患者さんの生活状況を聴取したところ、喫煙や飲酒はしておらず、高脂肪食なども5年前の心房細動の診断を機に気を付けて生活していました。心不全を併発していますが、体重は47.5kg程度の非肥満で増減もなく落ち着いていて、とくにGERD増悪の原因となる生活習慣や体型の問題は見当たりませんでした。さらに確認を進めると、最近の変化として、血圧が高めで推移したため1ヵ月前にニフェジピン徐放錠が20mgから40mgに増量になっていました。また、2週間前に咳症状のため、かかりつけの循環器内科クリニックとは別の内科クリニックを受診し、喘息様発作でモンテルカストとテオフィリンを処方されていました。GERDにおける食道内への胃酸の逆流は、嚥下運動と無関係に起こる一過性の下部食道括約筋(lower esophageal sphincter:LES)弛緩や腹腔内圧上昇、低LES圧による食道防御機構の破綻などにより発生します1)。また、GERDを増悪させる要因として、Ca拮抗薬やテオフィリン、ニトロ化合物、抗コリン薬などのLES弛緩作用を有する薬剤、NSAIDsやビスホスホネート製剤、テトラサイクリン系抗菌薬、塩化カリウムなどの直接的に食道粘膜を障害する薬剤があります1,2)。Ca拮抗薬は平滑筋に直接作用してCaイオンの流れを抑制することで、LES圧を低下させるとも考えられています3)。上記のことより、1ヵ月前に増量したCa拮抗薬のニフェジピン徐放錠がGERD症状の再燃に影響しているのではないかと考えました。その食道への刺激によって乾性咳嗽が生じて他院を受診することになり、そこで処方されたテオフィリンによってさらにLESが弛緩してGERD症状が増悪するという負のスパイラルに陥っている可能性も考えました。かかりつけ医では他院で処方された薬剤の内容を把握している様子がなかったため、状況を整理して処方提案することにしました。処方提案と経過循環器内科クリニックの医師と面談し、別の内科クリニックから乾性咳嗽を主体とした症状のためモンテルカストとテオフィリンが処方されていることと、患者さんの胸焼けや咳嗽がニフェジピン増量に伴うLES弛緩により出現している可能性を伝えしました。医師より、ニフェジピン増量がきっかけとなってGERD症状から乾性咳嗽に進展した可能性が高いので、ニフェジピンを別の降圧薬に変更しようと回答をいただきました。そこで、ACE阻害薬は空咳の副作用の懸念があったため、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)を提案し、医師よりニフェジピンをオルメサルタン40mgに変更する指示が出ました。また、現在は乾性咳嗽がないため、心房細動への悪影響を考慮してテオフィリンを一旦中止し、モンテルカストのみ残すことになりました。変更した内容で服用を続けて2週間後、フォローアップの電話で胸焼け症状は改善していることを聴取しました。その後の診察でモンテルカストも中止となり、患者さんは乾性咳嗽や胸焼け症状はなく生活しています。1)藤原 靖弘ほか. Medicina. 2005;42:104-106.2)日本消化器病学会編. 患者さんとご家族のための胃食道逆流症(GERD)ガイド. 2018.3)江頭かの子ほか. 週刊日本医事新報. 2014;4706:67.

23.

「ブイフェンド」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第28回

第28回 「ブイフェンド」の名称の由来は?販売名ブイフェンド®錠 50mgブイフェンド®錠 200mgブイフェンド®ドライシロップ 2800mgブイフェンド®200mg 静注用一般名(和名[命名法])ボリコナゾール(JAN)効能又は効果下記の重症又は難治性真菌感染症侵襲性アスペルギルス症、肺アスペルギローマ、慢性壊死性肺アスペルギルス症カンジダ血症、食道カンジダ症、カンジダ腹膜炎、気管支・肺カンジダ症クリプトコックス髄膜炎、肺クリプトコックス症フサリウム症スケドスポリウム症造血幹細胞移植患者における深在性真菌症の予防___下線は錠剤・ドライシロップのみ用法及び用量ブイフェンド錠50mg・錠200mg・ドライシロップ2800mg:画像を拡大するブイフェンド200mg 静注用:画像を拡大する警告内容とその理由【警 告】(1)本剤による治療にあたっては、感染症の治療に十分な知識と経験を持つ医師又はその指導のもとで、重症又は難治性の真菌感染症患者を対象に行うこと。(2)重篤な肝障害があらわれることがあるので、投与にあたっては、観察を十分に行い、肝機能検査を定期的に行うこと。異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。(3)羞明、霧視、視覚障害等の症状があらわれ、本剤投与中止後も症状が持続することがある。本剤投与中及び投与中止後もこれらの症状が回復するまでは、自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないように十分注意すること。禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む)【禁 忌(次の患者には投与しないこと)】(1)次の薬剤を投与中の患者:リファンピシン、リファブチン、エファビレンツ、リトナビル、カルバマゼピン、長時間作用型バルビツール酸誘導体、ピモジド、キニジン硫酸塩水和物、イバブラジン塩酸塩、 麦角アルカロイド(エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン、ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩、エルゴメトリンマレイン酸塩、メチルエルゴメトリンマレイン酸塩)、トリアゾラム、チカグレロル、アスナプレビル、ロミタピドメシル酸塩、ブロナンセリン、スボレキサント、リバーロキサバン、リオシグアト、アゼルニジピン、オルメサルタンメドキソミル・アゼルニジピン、ベネトクラクス(用量漸増期)(2)本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者(3)妊婦又は妊娠している可能性のある患者※本内容は2020年12月2日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2020年11月改訂(第20版)医薬品インタビューフォーム「ブイフェンド®錠50mg・200mg/200mg静注用/ドライシロップ2800mg」2)Pfizer PROFESSIONALS:製品情報

24.

高齢者特有のリスクを考慮した抗ヒスタミン薬の提案【うまくいく!処方提案プラクティス】第20回

 今回は、抗ヒスタミン薬の追加提案について紹介します。高齢者で抗ヒスタミン薬を選択する際には、鎮静やせん妄などのリスクを十分に考慮する必要があります。経過をフォローすることで、漫然投与も防ぎましょう。患者情報75歳、男性(施設入居)基礎疾患:高血圧症、便秘症訪問診療の間隔:2週間に1回処方内容1.オルメサルタン錠20mg 1錠 分1 朝食後2.酸化マグネシウム錠500mg 2錠 分2 朝夕食後3.センノシド錠12mg 1錠 分1 夕食後4.d-クロルフェニラミンマレイン酸塩錠2mg 3錠 分3 朝昼夕食後(今回追加)5.ヘパリン類似物質油性クリーム 50g 1日2回 全身に塗布(今回追加)6.ジフルプレドナート軟膏 10g 1日2回 体幹部位に塗布(今回追加)本症例のポイントこの患者さんは、全身の乾燥と体幹部に強い痒みを伴う湿疹があり、夜間も痒くて眠れないので飲み薬も出してほしい、という訴えを訪問診療の同行時に聴取しました。そこで医師より、しっかりとした作用が必要なのでd-クロルフェニラミンマレイン酸塩錠2mgを1日3回でどうかという相談がありました。ここでの処方薬のポイントは3点あります。1.高齢者における第1世代抗ヒスタミン薬のリスク第1世代の抗ヒスタミン薬は、中枢神経を抑制して鎮静作用が強く生じることがあります。この患者さんが眠れないと訴えたことから、鎮静作用を期待している可能性もありますが、抗コリン作用などに伴う口渇や便秘、認知機能低下、せん妄があり、高齢者ではリスクが大きいと懸念されます。2.第2世代抗ヒスタミン薬の代謝と排泄経路、鎮静作用代替薬として、よりH1受容体に選択的に作用する第2世代抗ヒスタミン薬を検討しました。多くの薬剤が発売されていますが、高齢者では肝・腎機能などの低下を考慮して、安全に使用できる薬剤が望ましいです。また、鎮静の強さも各薬剤で違いがありますので、鎮静作用が比較的弱いフェキソフェナジン、ロラタジン、エピナスチンが適切と考えました。3.併用薬との相互作用相互作用の面では、現在服用中の酸化マグネシウムとフェキソフェナジンは併用注意です。酸化マグネシウムがフェキソフェナジンの作用を減弱させるため候補から外れました。服用回数の少なさも薬剤選択の大きなポイントですが、ロラタジンもエピナスチンも1日1回ですので、今回は腎臓への負担の少ないエピナスチンが妥当と考え、医師に提案しました。処方提案と経過医師には、冒頭の処方内容では、鎮静が強く生じて転倒するリスクがあり、口渇や便秘、認知機能低下、せん妄リスクもあることを伝えました。代替薬として、エピナスチン錠20mg(後発品)を提示し、服用薬との薬物相互作用もなく、腎機能への影響も少なく、服用回数も1回で済むことを紹介しました。医師からは、高齢者での第1世代抗ヒスタミン薬のリスクを軽視するわけにはいかないと返答があり、提案のとおりに変更されました。患者さんはエピナスチン錠を服用開始した翌日の夜には掻痒感が改善し、よく眠れたと聴取することができました。2週間後には皮疹もきれいに治っていたことから、エピナスチン錠を中止し、保湿剤によるスキンケアのみを継続することを医師に提案しました。この提案も採用され、保湿剤のみとなりましたが現在も経過は良好です。抗ヒスタミン薬は漫然と飲み続けているケースも多く見受けられますが、継続的にフォローして、治療終了を判断することも重要と考えます。画像を拡大する※2020年5月時点の薬価※肝・腎:肝機能低下、腎機能低下でそれぞれ血中濃度上昇の可能性あり1)各薬剤のインタビューフォーム2)「透析患者に対する投薬ガイドライン」, 白鷺病院.3)谷内一彦ほか. 日耳鼻. 2009;112:99-103.

25.

細菌感染の可能性が低い炎症でのリンデロン-VG軟膏の変更提案【うまくいく!処方提案プラクティス】第19回

 今回は、湿疹や皮膚炎で頻用されているベタメタゾン吉草酸エステル・ゲンタマイシン硫酸塩軟膏(商品名:リンデロン-VG軟膏)についてです。細菌感染の可能性が低くても処方される「ステロイドあるある」ともいえる乱用に対して、薬剤師として行った介入を紹介します。患者情報70歳、男性(グループホーム入居、要介護2)基礎疾患:高血圧、心不全、陳旧性心筋梗塞訪問診療の間隔:2週間に1回処方内容1.アスピリン腸溶錠100mg 1錠 分1朝食後2.ラベプラゾール錠10mg 1錠 分1 朝食後3.フロセミド錠40mg 1錠 分1 朝食後4.スピロノラクトン錠25mg 1錠 分1 朝食後5.カルベジロール錠2.5mg 1錠 分1 朝食後6.ニコランジル錠5mg 3錠 分3 朝昼夕食後7.オルメサルタン錠40mg 1錠 夕食後8.ヘパリン類似物質油性クリーム 50g 1日2回 全身に塗布本症例のポイント訪問診療の同行時に、上記患者さんの下腿の皮膚に赤みがあり、痒そうなので、以前処方されたリンデロン-VG軟膏を使ってもよいかという質問を施設スタッフより受けました。医師の診察では、心不全もあるのでうっ滞性皮膚炎の可能性があり、炎症を引かせるためにもリンデロン-VG軟膏でよいだろうという判断でした。リンデロン-VG軟膏は、外用ステロイドであるベタメタゾン吉草酸エステルとアミノグリコシド系抗菌薬であるゲンタマイシンの配合外用薬です。ゲンタマイシンは、表在性の細菌性皮膚感染症の主要な起炎菌であるブドウ球菌や化膿性連鎖球菌に有効ですので、その抗菌作用とベタメタゾンのStrongという使いやすいステロイド作用ランクから皮膚科領域では大変頻用されています。しかし、長期的かつ広範囲の使用によって、耐性菌の出現やゲンタマイシンそのものによる接触性皮膚炎のリスク、さらには腎障害や難聴の副作用も懸念されています。そこで処方内容への介入を行うこととしました。<抗菌外用薬による接触性皮膚炎>アミノグリコシド系抗菌薬は基本構造骨格が類似しており、ゲンタマイシン、アミカシン、カナマイシン、フラジオマイシンで交叉反応による接触性皮膚炎が生じやすい。とくにフラジオマイシンで高率に生じると報告されている。処方提案と経過まず、医師にゲンタマイシンによる上記の弊害を紹介し、細菌感染の可能性が低いのであれば、抗菌薬が配合されているリンデロン-VGではなく外用ステロイド単剤で治療するのはどうか提案しました。なお、その際に医師がステロイド単剤のリンデロン-V軟膏やリンデロン-DP軟膏を認識していなかったことがわかりました。さらに、炎症の強さから外用ステロイドとしての作用強度がワンランク上のVery Strongが望ましいと感じましたが、リンデロン-DP軟膏だと患者さんや施設、および薬局での取り違えの可能性もあったことから、ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル軟膏(商品名:アンテベート軟膏)を提案しました。その結果、今回は細菌感染の可能性が低いことからベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル軟膏がよいだろうと変更の承認を得ることができました。治療を開始して4日目には皮膚の発赤と掻痒感は改善し、既処方薬のヘパリン類似物質油性クリームのみの治療へ戻すこととなりました。Sugiura M. Environmental Dermatology. 2000;7:186-194.

26.

SARS-CoV-2との戦いーACE2は、味方か敵か?(解説:石上友章氏)-1218

原著論文Renin-Angiotensin-Aldosterone System Inhibitors in Patients with Covid-19 COVID-19は、新興感染症であり、科学的な解明が不十分である。これまでの報告から、致死的な重症例から、軽症例・無症候例まで、幅広い臨床像を呈することがわかっており、重症化に関わる条件に注目が集まっている1,2)。中国からの報告により、疾病を有する高齢者、なかでも高血圧を有する高齢者が多く重篤化する可能性が指摘された3,4)。 SARS-CoV-2の類縁であるSARS-CoVは、SARS(Severe Acute Respiratory Syndrome)の原因ウイルスである。標的である肺胞上皮細胞に感染する際に、細胞表面にあるACE2(アンジオテンシン変換酵素2)を受容体として、ウイルス表面のスパイク蛋白と結合する。ACE2と結合したスパイク蛋白は、細胞表面の膜貫通型セリン・プロテアーゼであるTMPRSS2などにより切断され、標的細胞の細胞膜と融合することで細胞内に侵入することが知られている(『感染の成立』)5,6)。SARS-CoV-2の感染症であるCOVID-19でも、同様の機序が想定されている。 降圧薬(ACE阻害薬、ARB)の使用とCOVID-19との関係が注目されており、Vaduganathanらの手による、Special ReportがNEJM誌に掲載された7)。ACE2がSARS-CoV-2の感染の成立に重要な働きを有していることから、高齢者・高血圧患者におけるACE阻害薬、ARBの使用と、感染の重篤化との間に因果関係があるのではないかという疑問があがった。有効な治療法が確立していない現在、既存の蛋白分解酵素阻害薬である、ナファモスタット、カモスタットの、TMPRSS2の阻害作用により、SARS-CoV-2の感染を抑制する可能性があると報告されたことも、既存薬であるRA系阻害薬とCOVID-19との関連が注目された一因であろう8,9)。 図のように、ACE2はAng(1-7)-Mas受容体系に関与していると考えられており、ACE2の活性化はアンジオテンシンIIの働きに拮抗・相殺する作用であり、生体にとって好ましいとされている10)。ACE2が、SARS-CoV-2の感染の成立に重大な働きをすることから、直接的にCOVID-19の発症に関わっている可能性がある。ACE2活性の亢進や抑制が、COVID-19の発症・重篤化に関係しているのであれば、RA系阻害薬の内服によるACE2活性の変化によって、予後が決定される可能性がある。(原図:石上 友章氏) 個々の研究に目をやると、SARS-CoVによる重症肺炎が、ロサルタンの投与で軽快すると報告されている5)。またオルメサルタンには、ACE2活性化作用を介して、Ang II→Ang(1-7)への変換を促進し臓器保護作用があると報告されているが11)、いずれもげっ歯類を対象にした動物実験であり、ヒトではっきりと証明された報告はない。したがって、米国・欧州の主要な学会のポジション・ステートメントは、RA系阻害薬使用とCOVID-19との間の相関には否定的で、RA系阻害薬の内服の継続を推奨している。(https://www.eshonline.org/spotlights/esh-statement-covid-19/ほか) ARB(ロサルタン)ならびに、ACE2賦活薬(APN01:recombinant human soluble ACE2)を使った、臨床研究(NCT00886353、NCT04311177、NCT04312009)が計画されている。ヒトでのPOCがとれるか否かで、今回の降ってわいたような疑問への回答を得られることが期待される。References1)Bouadma L, et al. Intensive Care Med. 2020;46:579-582.2)Wu Z, et al. JAMA. 2020 Feb 24. [Epub ahead of print]3)Zhou F, et al. Lancet. 2020;395:1054-1062.4)Pan X, et al. Lancet Infect Dis. 2020;20:410-411.5)Kuba K, et al. Nat Med. 2005;11:875-879.6)Imai Y, et al. Circ J. 2010;74:405-410.7)Vaduganathan M, et al. N Engl J Med. 2020 Mar 30. [Epub ahead of print]8)Yamamoto M, et al. Antimicrob Agents Chemother. 2016;60:6532-6539.9)Hoffmann M, et al. Cell. 2020;181:271-280.e8.10)Ishigami T, et al. Hypertens Res. 2006;29:837-838.11)Agata J, et al. Hypertens Res. 2006;29:865-874.

27.

ビスホスホネート製剤を噛み続ける患者の中止提案【うまくいく!処方提案プラクティス】第6回

 服用状況を確認すると、意外な薬の飲み方をしているケースがしばしばあります。今回は、施設職員向けの勉強会を契機に副作用リスクを発見できた症例を紹介します。患者情報施設入居(5年目)、80歳、女性現病歴:骨粗鬆症、高血圧症、便秘症、アルツハイマー型認知症血圧推移:140/70台既往歴:大腿骨頸部骨折(78歳時)2週間に1回の往診あり(薬剤師も同行)処方内容1.アムロジピン錠5mg 1錠 分1 朝食後2.オルメサルタン錠20mg 1錠 分1 朝食後3.エルデカルシトールカプセル0.75μg 1錠 分1 夕食後4.酸化マグネシウム錠330mg 2錠 分2 朝夕食後5.アレンドロン酸錠35mg 1錠 分1 起床時 毎週土曜日症例のポイントこの患者さんは、アルツハイマー型認知症のため短期記憶が乏しく、入居時より施設職員が内服薬を管理していました。2年前に転倒、大腿骨頸部骨折のため入院し、骨粗鬆症が指摘されたためエルデカルシトールとアレンドロン酸の内服が開始となりました。しかし、その入院を契機に認知機能低下がさらに進行し、食事や排泄は全介助が必要になり、自立歩行も困難で臥床の時間が長くなったと施設職員から情報提供がありました。ある日、施設職員に向けて粉砕不可の薬についての勉強会を薬剤師主導で実施したところ、「この患者さんは内服薬を口にするとすべて噛み砕いてしまうが問題ないか」という相談がありました。アレンドロン酸などのビスホスホネート内服薬は、粉砕や分割することで口腔粘膜や食道に付着し、潰瘍などの刺激性症状を引き起こす可能性が知られており、薬剤の中止や剤形の変更が必要と考えました。患者は服用時に薬を噛み砕くことが習慣になっており、このままアレンドロン酸を継続すると、潰瘍発生の可能性がある。また、臥床の時間が長く、週1回の内服とはいえ、アレンドロン酸を服用するために起床直後に上体を起こしてその後30分間維持することは、患者、施設職員ともに負担に感じていた。アレンドロン酸の代替薬として、ビスホスホネート製剤の注射薬(月1回投与)があるが、ADLを考えると積極的な適応をどこまで優先させるか検討が必要である。エルデカルシトールは内容物が液状であり、脱カプセルや噛み砕くのに不適であるため、粉砕不可薬であり、服用しやすい剤形としてアルファカルシドールへの変更も検討したい。処方提案と経過その後の往診にて、患者さんがアレンドロン酸を含むすべての薬剤を服用時に噛み砕いていることや30分以上上体を起こしていることが負担となっていることを、医師に報告しました。リスク回避を目的にアレンドロン酸の処方中止または注射薬への変更と、エルデカルシトールをアルファカルシドールに変更することを提案したところ、ビスホスホネート製剤の積極的な治療適応ではないため、アレンドロン酸は中止となりました。エルデカルシトールはアルファカルシドールに変更したうえで、定期服用薬は本人が服用しやすいよう粉砕調剤の指示を受けました。現在、患者さんは服用薬によるむせ込みもなく施設で生活を続けています。

29.

製薬メーカーから弁当をもらうと処方が増える【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第90回

製薬メーカーから弁当をもらうと処方が増える ぱくたそより使用 医師であれば、誰しも一度は製薬会社から弁当をもらったことがあるでしょう。「弁当配るんでウチの薬よろしくデース」という、ただそれだけのものです。え? 私はそんな経験、一度もない? それは、確固たるポリシーをお持ちの方なのでしょうね、エラい! 製薬会社からの弁当についてはいろいろな意見があると思いますが、このコーナーではそんな堅苦しい話を論じるつもりはありません。2016年、JAMA Internal Medicine誌で話題になった論文がありました。どのウェブサイトでもあまり取り上げられていないのでここで紹介しましょう。 DeJong C, et al.Pharmaceutical Industry-Sponsored Meals and Physician Prescribing Patterns for Medicare Beneficiaries.JAMA Intern Med. 2016;176:1114-10.この論文は、製薬会社から弁当をもらったら処方が増えるかどうか調べた横断研究です。いろいろな意味でオソロシイ研究だ…。調査の対象となった薬剤はロスバスタチン(商品名クレストール)、ネビボロール(商品名ネビスター、日本未承認)、オルメサルタン(商品名オルメテック)、デスベンラファキシン(商品名プリスティーク、日本未承認)です。これら4剤を宣伝した製薬会社の弁当を食べた医師を明らかにし、その処方動向を調べました。アウトカムは、宣伝された薬剤と同クラスの代替薬との処方率の差です。28万人近い医師が4剤合計で6万件の食事提供を受けていました。平均的な値段は20ドル以下だそうで、そこまで高価な弁当というわけではなさそうです。私も弁当の相場なんてほとんど知りませんが…。さて、弁当提供回数が1回の場合、ほかの同クラスの薬剤と比較して4剤の処方頻度が高くなったそうです(ロスバスタチン=オッズ比[OR]:1.18、95%信頼区間[CI]:1.17~1.18、ネビボロール=OR:1.70、95%Cl :1.69~1.72、オルメサルタン=OR:1.52、95%Cl :1.51~1.53、デスベンラファキシン=OR:2.18、95%Cl :2.13~2.23)。弁当提供回数が増えたり、弁当の値段が20ドルを超えたりすると、さらに処方率が高くなったそうです。弁当回数依存性・金額依存性アリということです。「なんともケシカラン結果だ!」という声が聞こえてきそうですが、ごにょごにょと口ごもってしまう医師も多そうですね。結論としては、「製薬会社からの弁当によって処方が増加するという関連性はあるが、因果関係があるかどうかはわからない」と書かれています。うーむ、横断研究だから確かにそうだけど…。ちなみに、弁当を食べた医師の半数以上が医師免許を取ってから20年以上経ったベテランドクターです。インデックスページへ戻る

33.

高血圧治療ガイドライン2014(JSH2014) ~改訂のポイント~

欧州、米国でも改訂が相次ぐ中、2014年4月1日、遂に日本の『高血圧治療ガイドライン2014(JSH2014)』が公表されました。今回のライブセミナーでは、作成委員長の島本和明先生が、改訂の重要なポイントをわかりやすく解説します。本動画は、4月8日に実施されたライブ講演会のアーカイブ配信です。ご期待ください。1.ガイドラインの作成方針2.家庭血圧評価と降圧目標3.第一選択薬と併用4.脳・心・腎合併高血圧5.糖尿病合併高血圧6.高齢者・女性の高血圧7.質疑応答(1)8.質疑応答(2)9.質疑応答(3)

検索結果 合計:49件 表示位置:21 - 40