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多量飲酒と3個以上の心代謝リスク因子は肝疾患リスクを上昇させる

 腹部肥満や糖尿病、高血圧などを有する人の飲酒は肝疾患リスクを高める可能性があるようだ。飲酒量の多い人では、3個以上の心血管代謝疾患のリスク因子(cardiometabolic risk factor;CMRF)が肝線維化の進行リスクを顕著に高めることが、新たな研究で示唆された。米南カリフォルニア大学ケック医学校のBrian Lee氏らによるこの研究結果は、「Clinical Gastroenterology and Hepatology」に2月3日掲載された。 代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)は、脂肪肝に加え、肥満や高血圧、高コレステロールなどのCMRFを1つ以上併発している状態を指す。MASLDがあり、かつアルコール摂取量が多い場合には、代謝機能障害アルコール関連肝疾患(MetALD)として分類される。しかし、飲酒自体がCMRFを引き起こす可能性があることから、この定義は議論を呼んでいる。 今回Lee氏らは、米国国民健康栄養調査(NHANES)参加者から抽出した、飲酒量とCMRFの状態が判明している20歳以上の参加者4万898人を対象に、飲酒者におけるCMRFの数と肝疾患関連アウトカムとの関連を調べた。CMRFはNCEP-ATP IIIの基準に基づき、腹部肥満、中性脂肪高値、HDL-C低値、高血圧、空腹時血糖高値と定義した。対象者の飲酒量は、純アルコール量換算で男性は210g/週、女性は140g/週を基準とし、これを超える場合は「飲酒量が多い」と判断された。主要評価項目は、FIB-4インデックス>2.67とした。FIB-4インデックスは、AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)、ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)、血小板数、年齢の4つの指標からスコアを算出して肝線維化を予測するもので、>2.67は「肝硬変、もしくはそれに近い状態で線維化が進んでいる可能性」があることを意味する。 対象者のうち、2,282人が飲酒量の多い「多量飲酒群」、残る3万8,616人は「非多量飲酒群」とされた。多量飲酒群および非多量飲酒群において、FIB-4>2.67に該当する対象者の割合はCMRFの数が増えるにつれ増加し、常に多量飲酒群の方が高かった。具体的には、CMRFが0個の場合では多量飲酒群2.3%、非多量飲酒群0.7%、1個では3.0%と1.7%、2個では3.3%と2.1%、3個では5.9%と2.5%、4または5個では6.1%と4.0%であった。多量飲酒群においてFIB-4>2.67になる調整オッズ比(0個の場合との比較)は、1個で1.24(95%信頼区間0.41〜3.69)、2個で1.39(同0.56〜3.50)、3個で2.57(同0.93〜7.08)、4または5個では2.64(同1.05〜6.67)であり、CMRFが3個以上になるとリスクが2倍以上高くなり、特に4〜5個では統計学的に有意なリスク上昇が認められた。 Lee氏は、「この研究結果は、肝疾患リスクが高い集団を特定するとともに、既存の健康問題が、飲酒が肝臓に与える影響に大きく関与する可能性があることを示唆している」と述べている。 本研究には関与していない、南カリフォルニア大学ケック医学校のAndrew Freeman氏は、人々は自分の飲酒量を過小評価していると指摘する。同氏は、「レストランで、5オンス(150mL)に相当するワイン(米国での1杯あたりの純アルコール量〔14gm〕に相当)を注いでもらったら、量が少ないと不満に思うはずだ。人々は自分が思っているよりもずっと多くのアルコールを摂取している可能性がある」と話す。 また、Freeman氏は、高度に加工された高脂肪、高糖質の食品の摂取によりインスリンが過剰に分泌され、インスリン抵抗性が生じて血糖値が過剰になり、脂肪肝になると説明する。そこにアルコールが加わると、「リスクはさらに増大するだけだ」と語る。さらに、アルコールは単独でも肝細胞にダメージを与え、炎症や瘢痕化を引き起こし、長期的には肝硬変や肝臓がんに進行する可能性があるという。 なお、今年の1月、当時、米国公衆衛生局長官であったVivek Murthy氏は、飲酒によるがんリスクについて強い警告を発している。同氏は、「アルコールは、がんの予防可能な原因として確立されており、米国では年間約10万人のがん患者と2万人のがんによる死亡の原因となっている。これは、米国における年間1万3,500人のアルコールに関連する交通事故による死者数よりも多い。それにもかかわらず、米国人の大半はこのリスクを認識していない」と述べている。

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妊娠糖尿病とメトホルミン―「非劣性試験で有意差なし」の解釈は難しい(解説:住谷哲氏)

 妊娠糖尿病患者が食事療法のみで血糖管理が困難になれば、インスリンを投与するのがゴールドスタンダードである。わが国では妊娠糖尿病に対するメトホルミン投与は禁忌であるが、米国での妊娠糖尿病患者の69%はメトホルミンまたはグリブリド(グリベンクラミドと同じ)が投与され1)、英国では薬物療法が必要となった妊娠糖尿病患者の59%にメトホルミンが投与されているとのデータがある2)。さらに英国のNICEガイドラインではメトホルミンが妊娠糖尿病に対する第一選択薬に推奨されている3)。 妊娠糖尿病に対するメトホルミンの有効性を検討した試験にMiG試験がある4)。同試験の主要評価項目は新生児複合アウトカムであり、メトホルミン群は必要であればインスリンが追加投与されている。Discussionに“a methodologic limitation”として記載されているが、試験デザインはインスリンのメトホルミンに対する優越性を検証する優越性試験であった。しかし、事後解析として実施された非劣性デザインを用いた解析において、メトホルミンのインスリンに対する非劣性が証明された。ちなみに同論文の付属論説では明確にnon-inferiority trialとしている。 本試験はMiG試験とは異なり、メトホルミン投与で血糖が管理できなかった際にインスリンではなくグリブリドを投与する群と、最初からインスリンを投与する群との比較である。また主要評価項目は、LGA(large for gestational age)の発生率である。さらに試験デザインはインスリン群に対するメトホルミン群の非劣性を検証する非劣性試験である。結果は絶対リスク差4.0%(95%信頼区間[CI]:-1.7~9.8、p=0.09)であり、95%CIの上限が設定した非劣性マージンの8%を超えており、結論は「非劣性が証明されなかった」となった。 「非劣性が証明されなかった」試験の正しい解釈は、有効性に関して介入群は対照群と比較して「優越 superior」でも「同等 equivalent」でも「劣性 inferior」でもなく、統計学的に「判定不能」である。つまり本試験の結果からは、群間差について統計学的には何も言えないことになる。 近年、非劣性試験は多用される傾向にある。糖尿病領域でもほとんどのCVOTは非劣性試験であり、循環器領域でのワルファリンに対するDOACの有用性を検討した試験も同様である5)。冒頭に述べたように、妊娠糖尿病患者にメトホルミンの使用ができないわが国ではリスクとベネフィットを天秤に掛ける必要はないが、メトホルミンへの追加薬剤としてはインスリンが無難だろう。

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認知症リスク因子のニューフェイス【外来で役立つ!認知症Topics】第26回

Lancetが報告した修正可能な14のリスク因子世界的な医学雑誌Lancetは、2017年から認知症のリスク因子について最先端のデータを発表してきた。第2報告は2020年、そして最新報告は2024年に発表された1)。これら3回の報告の内容は少しずつ変化してきた。なお、示された結果は、この作業部会が継続的に最新の報告などを吟味してその結果をまとめたものである。それだけに古典的なリスク因子、たとえば運動不足、教育不足、飲酒や喫煙といったもの以外に、いわばニューフェイスが現れてきた。そのようなものとして最も有名なのは2017年の発表2)でデビューした「中年期からの難聴」だろう。また、大気汚染、最新の報告では視力低下と低密度リポタンパク質(LDL;Low Density Lipoprotein)コレステロールの高値が加わった。そして2024年の報告にある14のリスク因子のすべてに対応できたら、認知症発症は45%抑制できるとされる。画像を拡大する本稿では、こうしたリスク因子がなぜ悪いのかに注目してみる。古典リスク因子として、まず若年期の教育不足。これは基本的な神経回路の成長が十分なされないということだろう。中年期のリスク因子については、頭部外傷と難聴以外は、脳血管に悪影響を及ぼすとまとめられるだろう。頭部外傷に関しては、ボクサー脳などさまざまなスポーツ外傷や交通事故による後年の害が知られてきた。外傷から10年以上も後に、認知症が発症してくるとされる。また老年期のうつ、社会的交流の乏しさについては、社会的な存在である人間がそれらしい活動を失うということかもしれない。運動不足については、神経細胞や脳血管の新生につながらないことが大きいのだろう。さらに糖尿病では、インスリンとアミロイドβの両方を分解するインスリン分解酵素が注目されてきた。大気汚染比較的新しいリスク因子の大気汚染については、PM2.5(PM;Particulate Matter)が注目されている。これは大気中を浮遊する径2.5ミクロン以下の微粒子であり、従来は呼吸器系や循環器系への悪影響が注目された。これは脳にも悪影響を及ぼすとされる。また近年では大気汚染は、地球の温暖化や緑地の減少などと相乗的な悪循環を形成するといわれる。中年期からの難聴さて2017年にいわば衝撃のデビューをした「中年期からの難聴」だが、この発表中の全リスク因子のうちで最も影響が大きいと報告された。2024年の報告でも影響力7%とやはり最強である。このような難聴がなぜリスク因子になるかについての考え方は、以下のようにまとめられている3)。(1)蝸牛とその上行経路(難聴)および海馬など側頭葉内側(認知症)のいずれもアルツハイマー病病理で侵される。(2)難聴による音刺激の欠乏が1次聴覚野と海馬の形態変化をもたらし認知予備能を減らすことで準備状態を作る。(3)本来記憶などの認知機能に費やすべき知的エネルギーを、難聴者は聴覚理解に回す必要がある。(4)聴覚的理解用のエネルギー増加がシナプスに悪影響する。より単純ながら、聴覚刺激が入らないことは、たとえば社会交流をしても脳に対する重要な刺激が届かないことになるという考えもある。高LDLコレステロール2024年には新たなリスク因子についても報告された1)。まず生化学的な知見として、中年期からの「悪玉コレステロール」といわれるLDLコレステロールの高値である。これは以前から脳動脈硬化の促進因子として有名であった。つまり動脈を詰まらせ、柔軟性を低下させる堆積物であるプラークの構築に寄与するため悪玉と呼ばれる。このLDLコレステロールが100以上、また「善玉コレステロール」といわれるHDL(High Density Lipoprotein)コレステロールのレベルが40以下の場合、アルツハイマー病(AD)発症の可能性が増加するとされる。AD発症のリスクを高めるだけでなく、「悪玉コレステロール」は脳の一般的な認知機能を損なうこともわかっている。またLDLコレステロール値が高いと、そうでない人に比べて記憶に障害がありがちで、脳動脈がアテローム性動脈硬化症を発症して脳卒中のリスクを高める。さらにLDLコレステロール値が高くなることで、脳内の血流が減少し、白質の密度が低下する状態につながる可能性もある。視力低下次に老年期の視力低下である。その原因では、白内障と糖尿病性網膜症が重視され、緑内障と加齢性黄斑変性症は関連しないとされる。英国では200万人が視力低下していると推定される。加齢とともに視力障害は多くなるだけに、視力障害を持つ人々のほぼ80%は65歳以上である。視力低下の程度と認知症のリスクは相関する。もっともこれは未矯正・未治療の視力喪失者には当てはまり、矯正・治療すればリスクは高まらない。たとえば、白内障の手術をした人は、しない人に比べて認知症になる可能性が30%低いとした報告もある。ところで、ヒトの情報の80%は目から入る、それに対して耳からは20%以下だといわれる。だから筆者には、視力喪失がリスク因子とされたのが遅いとも思われるのだが、聴覚と視覚が認知症という大脳の変化にもたらす影響は、それぞれが持つ情報量とは別なのかもしれない。参考1)Livingstone G, et al. Dementia prevention, intervention, and care: 2024 report of the Lancet standing Commission. Lancet. 2024;404:572-628.2)Livingston G, et al. Dementia prevention, intervention, and care. Lancet. 2017;390:2673-2734.3)Ray M, et al. Dementia and hearing loss: A narrative review. Maturitas. 2019;128:64-69.

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2型糖尿病患者はビタミン、ミネラルが不足している

 2型糖尿病患者の半数近くが、微量栄養素不足の状態にあるとする論文が、「BMJ Nutrition, Prevention & Health」に1月29日掲載された。国際健康管理研究所(インド)のDaya Krishan Mangal氏らが行ったシステマティックレビューとメタ解析の結果であり、特に、ビタミンD、マグネシウム、鉄、ビタミンB12の不足の有病率が高いという。研究を主導した同氏は、「この結果は2型糖尿病患者における、栄養不良の二重負荷の実態を表している」と述べ、糖尿病治療のための食事療法が栄養不良につながるリスクを指摘している。 この研究では、システマティックレビューとメタ解析のガイドライン(PRISMA)に準拠して、Embase、ProQuest、PubMed、Scopus、コクランライブラリ、およびGoogle Scholarといった文献データベースを用いた検索が行われた。また、灰色文献(学術的ジャーナルに正式に発表されていない報告書や資料など)も、包括基準(2型糖尿病患者〔合併症の有無は問わない〕でのランダム化比較試験、縦断研究、横断研究、コホート研究)に照らし合わせて採用した。なお、1型糖尿病や妊娠糖尿病、18歳未満の2型糖尿病での研究、症例報告、レビュー論文などは除外した。 2人の研究者が独立してスクリーニング等を行い、最終的に132件(研究対象者数は合計5万2,501人)の報告を抽出した。メタ解析の結果、2型糖尿病患者における微量栄養素不足の有病率は45.30%(95%信頼区間40.35~50.30)と計算された。性別にみると、男性の42.53%(同36.34~48.72)に対して女性は48.62%(42.55~54.70)であり、女性の方が高値を示した。 微量栄養素不足の分布を正規分布に近づけるための統計学的処理の後、不足の有病率が最も高い微量栄養素はビタミンD(60.45%〔55.17~65.60〕)で、次いでマグネシウムが(41.95%〔27.68~56.93〕)であり、鉄が27.81%(7.04~55.57)、ビタミンB12が22.01%(16.93~27.57)だった。これらのうちビタミンB12については、メトホルミンが処方されている患者に限ると、26.85%(19.32~35.12)とより高値となった。 以上の結果に基づき著者らは、「2型糖尿病の食事療法では、エネルギー出納や主要栄養素の摂取量を重視する傾向がある。しかし本研究によって、いくつかの微量栄養素不足の有病率が高いことが明らかになった。栄養バランスを総合的に把握した上での最適化が、常に優先されるべきであることを再認識する必要がある」と総括している。 また、代謝にはさまざまな栄養素が関わっているため、微量栄養素の不足が糖尿病を悪化させたり、糖尿病以外の健康問題を引き起こしたりすることもあるという。さらに、「微量栄養素の不足は糖代謝とインスリンシグナル伝達経路に影響を及ぼし、2型糖尿病の発症と進行につながることも考えられる」と述べ、栄養不良自体が2型糖尿病の潜在的なリスク因子である可能性を指摘している。

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GLP-1受容体作動薬はパーキンソン病全般にも有効か?(解説:内山真一郎氏)

 パーキンソン病患者に対するGLP-1受容体作動薬の効果を検討する第III相無作為化比較試験が英国で行われた。25~80歳でドーパミン治療を行っているHoehn & Yahrステージが2.5以下のパーキンソン病患者に、徐放型エキセナチド2mgかプラセボを96週間にわたって週1回皮下注射し、1次評価項目としてパーキンソン病の運動障害スケールであるUPDRS Part IIIを評価したところ、エキセナチド群とプラセボ群の悪化度には有意差がなく、疾患修飾薬としてのエキセナチドの有効性は証明されなかった。このエキセナチドの臨床効果の欠如は、DATスキャンの画像所見上の効果の欠如とも一致していた。 この試験結果が否定的だったのは、中枢神経へのエキセナチドの移行が不十分であったことが原因である可能性も否定できないが、2型糖尿病患者ではパーキンソン病の進行がGLP-1受容体作動薬により抑制されたという強力なエビデンスがあることを考えると、GLP-1受容体作動薬はインスリン抵抗性による神経炎症反応を抑制して効果を発揮している可能性があり、HbA1cが比較的高いサブグループのパーキンソン病患者に標的を絞った臨床試験を行う価値があるように思われる。

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脂肪の多い筋肉は心疾患リスクを高める

 霜降り肉のステーキはグリル料理で高く評価されるが、人間の筋肉に霜降り肉のように脂肪が蓄積していると命取りになるかもしれない。新たな研究で、筋肉中に脂肪が多い人は、心臓に関連した健康問題で死亡するリスクが高いことが明らかになった。米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院心臓ストレス研究室のViviany Taqueti氏らによる研究で、詳細は「European Heart Journal」に1月20日掲載された。 この研究は、冠動脈疾患(CAD)の評価のために、2007年から2014年の間に同病院で全身PET/CT検査を用いた心臓ストレステストを受けた669人の患者(平均年齢63歳、女性70%)を対象にしたもの。PET/CT検査で左室駆出率(LVEF)、心筋血流量(MBF)、冠血流予備能(CFR)などを評価するとともに、CTで胸部の体組成として、皮下脂肪、骨格筋、筋肉間脂肪組織(IMAT)などを調べ、骨格筋内の脂肪の比率(fatty muscle fraction;FMF)を算出した。対象患者を中央値で5.8年にわたって追跡し、追跡期間中の主要心血管イベント(MACE、死亡または心筋梗塞か心不全による入院と定義)発生の有無を調べた。 その結果、筋肉中の脂肪が多い人は、心臓に血液を供給している微小血管に障害が生じる冠微小循環障害(coronary microvascular dysfunction;CMD)のリスクが有意に上昇することが明らかになった。具体的には、FMFが1%増加するごとに、CMD発症の指標であるCFRが2未満となるオッズが上昇していた(オッズ比1.02、95%信頼区間〔CI〕1.01〜1.04、P=0.04)。また、MACEリスクについても7%増加していた(ハザード比1.07、95%CI 1.04〜1.09、P<0.001)。さらに、CFRとIMATとの間には有意な交互作用が認められ、筋肉中の脂肪レベルが高くCMDを有する人は、特にMACEリスクが高いことも示された。一方、骨格筋量や皮下脂肪の多さは、MACEリスクの低下と関連することも明らかになった。 Taqueti氏は、「皮下脂肪と比べると、筋肉に蓄積した脂肪は炎症や糖代謝の変化を促し、それがインスリン抵抗性やメタボリックシンドロームを引き起こす可能性がある」と説明。「その結果として、こうした慢性的な障害は、心臓に血液を供給するものを含めた血管や心筋そのものに損傷を引き起こす可能性がある」と付け加えた。 またTaqueti氏らは、「BMIが適正範囲の人でも、筋肉中に脂肪が蓄積している可能性はある」と指摘する。実際、IMATがMACEリスクを高めることは、BMIや他の既知の心臓リスク因子とは独立して認められたという。Taqueti氏は、「筋肉中の脂肪が心疾患のリスクを高めることが分かったことで、BMIに関係なくリスクが高い人を特定する新たな方法が得られる可能性がある」とニュースリリースの中で述べている。 今回の研究の結果についてTaqueti氏らは、「BMIやウエスト周囲径のような指標は、あらゆる人の心臓病リスクを正確に評価するには適切ではないとする主張の高まりを支持する、さらなるエビデンスとなるものだ」と述べている。ただ、残念ながら、筋肉中の脂肪が多い人の心臓リスクを低下させる方法については、現時点では不明であるとTaqueti氏は言う。同氏は、「例えば、減量療法などの治療法が、体内の筋肉以外の部分の脂肪や除脂肪組織、最終的には心臓に与える影響と比較して、筋肉中の脂肪にどのような影響を与えるのかは分かっていない」と述べている。

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2型糖尿病に対する新たな週1回インスリン製剤(解説:安孫子亜津子氏)

 本論文では、新たな週1回注射の基礎インスリンであるefsitoraの2型糖尿病に対する第III相試験(QWINT-2)の結果が報告された。 2型糖尿病に対する治療としては、インクレチン関連薬やSGLT2阻害薬の登場後、インスリン導入が遅くなったり、インスリン使用量が減量できる症例も増えてきている。ただし、わが国ではインスリン分泌能の低下した痩せ型の2型糖尿病で、インスリンを確実に補充することが必要な患者も多く認められる。とくに長期間SU薬を使用してきたような高齢者2型糖尿病に対するインスリン治療では、頻回注射や毎日の注射ができなくなる症例もあり、注射回数の減少は、わが国の糖尿病治療において必須の課題である。 今回の第III相試験においては、新たな週1回efsitoraが、基礎インスリンとしては効果持続時間の長いタイプであるデグルデクに比較して、52週までのHbA1cの変化量が非劣性であり、既存の基礎インスリンと同等の効果が証明された。また低血糖の頻度も多くはなってはおらず、むしろefsitora群で重症低血糖が認められなかった。さらに本試験ではCGMによる評価も行われており、興味深いことにefsitora群では70~180mg/dLのTime in Target Rangeが68.9%であり、非常に理想的な血糖変動にも近づけていることが認められている。 週1回と注射回数が少ないことは、インスリン治療のハードルを下げ、インスリンユーザーやその周囲の人たちの負担を軽くすることが期待できる。なおかつ、低血糖を増やさずに安全に目標血糖値を目指すことができる新たなインスリン製剤の使用が待ち遠しい限りである。

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患者さんの血糖管理を楽にする週1回注射のインスリン イコデク/ノボ

 ノボノルディスクファーマは、世界初の週1回投与のインスリンアナログ製剤インスリン イコデク(商品名:アウィクリ)の1月30日の発売に合わせ、「これからの2型糖尿病におけるインスリン治療」をテーマに都内でプレスセミナーを開催した。 セミナーでは、イコデクの製品説明のほか、専門医によるインスリン治療のアンメットニーズ、イコデクの第III相臨床試験である「ONWARDS試験」の詳しい内容、使用に適する患者像などが説明された。インスリン導入の障壁を超すことに期待 「企業紹介と製品説明」をテーマに杉井 寛氏(同社取締役副社長経営企画本部 本部長)が、企業概要とイコデクの製品概要を説明した。デンマークに本社を置く同社の社会的意義は「糖尿病で培った知識や経験を基に、変革を推進し深刻な慢性疾患を克服する」ことであり、現在、糖尿病、肥満症、希少疾患、心血管および新疾患領域で活躍をしている。 そして、主要製品を上梓している糖尿病について、「2型糖尿病におけるインスリン導入の遅延」について触れ、医師に聴取したアンケートを示し、概要を説明した。 アンケートで「医師自身が2型糖尿病だとしたらインスリン治療を開始するHbA1c値」についての回答は8.2%、「患者さんのインスリン治療を開始するべきと考えるHbA1c値」についての回答は8.7%、「インスリン治療を実際に患者さんに勧めたHbA1c値」についての回答は9.6%と医師の理想と実際の導入時期には大きな隔てがあることを示した1)。そして、注射回数の多さが導入遅延の原因の1つであり、こうした障壁の解決が模索されていた。 今回登場したイコデクは週1回持効型溶解インスリンアナログ注射液であり、糖尿病患者の負担を軽減すると期待されている。イコデクは、ヒトインスリン分子を修飾して半減期が延長されるように設計されている。注射をすると1週間分のイコデクが1度に投与されることになるが、そのほとんどがアルブミンと結合し、時間と共に蓄積し、循環血液中の不活性な貯蔵体(デポー)が形成される。そして、イコデクは標的組織にゆっくりと、少量ずつ移行し、血糖降下を促す機序となっているという。臨床試験では第III相試験としてONWARDS試験が行われ、いずれもほかのインスリンと比較しても非劣性であり、低血糖の発現など安全性の面でも良好な結果だった。杉井氏は、これらの結果を踏まえ、インスリン導入が今後進展することに期待を寄せた。医師と患者さんの望みに合うインスリン製剤 「これからの2型糖尿病におけるインスリン治療」をテーマに綿田 裕孝氏(順天堂大学大学院医学研究科 代謝内分泌内科学 教授)が、インスリン治療の概要やONWARDS試験について説明を行った。 インスリンは血糖を下げる唯一のホルモンであり、2型糖尿病ではインスリン分泌能が低下するか、インスリン抵抗性が増大することで、体内のインスリン作用が不足し、食後や空腹時高血糖となる。こうした糖尿病で懸念されるのが神経障害や腎障害、眼障害の合併症であり、最近では、心疾患や肝臓障害、認知症も併存しやすい疾患として知られている。 糖尿病の治療では、近年、多くの血糖降下薬などが使用できるようになり、血管合併症予防のための血糖管理を容易にする薬剤が登場している。そのためわが国の糖尿病治療の目標も「糖尿病のない人と変わらない寿命とQOL」を掲げ、糖尿病合併症の発症、進展の阻止を目指して診療が行われている。 非インスリン依存状態の治療では、生活習慣改善のために食事療法と運動療法がまず第1選択として行われ、さらに効果不良の場合に血糖降下薬などが追加される。 インスリン依存状態の治療では、インスリン分泌が著しく低下している患者さんには、基礎インスリンと追加インスリンの治療が、インスリン分泌が比較的保たれている患者さんには、基礎インスリンと血糖降下薬での治療が通常行われている。 ただ、インスリン治療の障壁として、低血糖の発生、治療の複雑化、患者さんの注射の実施率などの課題が指摘されている。実際、医師への「インスリン治療に対する認識」のアンケートでは、「毎日注射しなくても良好にコントロールできるインスリンが欲しい」と91.2%の医師が回答し、「毎日の注射の回数が患者さんの障害になっている」と58.5%の医師が問題性を指摘している2)。また、患者さん側の週1回インスリン製剤の認識として「利便性が高い」「アドヒアランスの向上」「治療への抵抗感の改善」などの声もあり、医師と患者双方の側で週1回のインスリン製剤が望まれていることが報告された。他のインスリンと比較し効果は非劣性かつ安全 今回発売されたイコデクは、第III相臨床試験で“ONWARDS試験”が行われ、6つの試験が実施された。 ONWARDS1はインスリン治療歴のない2型糖尿病患者を対象とした試験で、イコデク群492例(週1回投与)とグラルギンU100群492例(1日1回投与)を78週にわたり有効性と安全性を比較したもの(日本人164例を含む国際共同治験)。52週までのHbA1c変化量と推移では、ベースラインからイコデク群が-1.6%だったのに対し、グラルギンU100群は-1.4%で非劣性が検証され、統計的な有意差が認められた。また、78週経過後も同様の変化量で推移していた。HbA1c7.0未満の達成率は、78週でイコデク群が54.5%だったのに対し、グラルギンU100群は46.4%だった。CGMパラメータについて、投与後48~52週のTIR(time in range:血糖値が70~180mg/dLの範囲にある時間の割合)について、イコデク群が71.9%だったのに対し、グラルギンU100群は66.9%と統計的に有意に高い値だった。安全性につき重大または臨床的に問題となる低血糖の発生は、83週でみた場合、イコデク群が61件(12.4%)だったのに対し、グラルギンU100群は70件(14.2%)だった3)。 ONWARDS2は、Basalインスリンで治療中の2型糖尿病患者を対象としたインスリン以外の糖尿病治療薬の併用/非併用下でのイコデク群263例(週1回投与)とグラルギンU100群263例(1日1回投与)を26週にわたり有効性と安全性を比較したもの(日本人100例を含む国際共同治験)。26週までのHbA1c変化量と推移では、ベースラインからイコデク群が-0.9%だったのに対し、グラルギンU100群は-0.7%で非劣性が検証され、統計的な有意差が認められた。HbA1c7.0未満の達成率は、26週でイコデク群が40.3%だったのに対し、グラルギンU100群は26.5%だった。安全性につき重大または臨床的に問題となる低血糖の発生は、26週でみた場合、イコデク群が37件(14.1%)だったのに対し、グラルギンU100群は19件(7.2%)だった。 また、副次的評価項目として糖尿病治療満足質問票(DTSQ)の総スコアでは、26週でイコデク群が4.2だったのに対し、グラルギンU100群は3.0で、イコデク群の方が高いスコアで、有意に改善していた。「満足度」、「利便性」、「融通性」などの各スコアでいずれもイコデク群の方が高かった4)。 最後に綿田氏は、イコデクの使用に適切な患者像として具体的に次の7つを示した。(1)2型糖尿病で基礎インスリンによる治療を開始する患者さん(2)これまでにインスリン導入がなかなかできなかった患者さん(3)若い方~壮年の患者さん(4)毎日のインスリン注射、もしくはそのサポートが負担になっている患者さん(5)高齢でインスリン分泌が少なくなっている患者さん(家族による投与も含む)(6)訪問診療/訪問看護、来院での週1回投与が可能な患者さん(医療従事者が投与)(7)1型糖尿病で毎日のインスリン注射ができない患者さん(高血糖や糖尿病性ケトアシドーシス回避のために) 綿田氏は、「今後、こうした患者さんを対象に使用されると考えられるが、実臨床での効果を検討しつつ、学会などで知見を集積していきたい」と展望を語り、講演を終えた。

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加糖飲料により毎年世界で数百万人が糖尿病や心血管疾患を発症

 加糖飲料の影響で、世界中で毎年200万人以上の人が2型糖尿病(T2DM)を発症し、120万人以上の人が心血管疾患(CVD)を発症しているとする論文が、「Nature Medicine」に1月6日掲載された。米ワシントン大学のLaura Lara-Castor氏らの研究によるもので、論文の筆頭著者である同氏は、「T2DMやCVDによる早期死亡を減らすためにも、加糖飲料消費量削減を目指したエビデンスに基づく対策を、世界規模で直ちに推し進めなければならない」と話している。 この研究では、184カ国から報告されたデータを用いた統計学的な解析により、加糖飲料摂取に関連して発症した可能性のあるT2DMとCVDの新規患者数を推定した。その結果、2020年において、約220万人(95%不確定区間200~230万)の新規T2DM患者、および、約120万人(同110~130万)の新規CVD患者が、加糖飲料摂取に関連するものと推定された。この数はそれぞれ、2020年の新規T2DM患者全体の9.8%、新規CVD患者の3.1%を占めていた。また、加糖飲料摂取に起因するT2DM患者の死亡が8万人、CVD患者の死亡が約26万人と推定された。 人口規模が上位30カ国の中で、加糖飲料摂取に関連する新規T2DM患者が多い国は、メキシコ(成人100万人当たり2,007人、新規T2DM患者全体に対して30%)、コロンビア(同1,971人、48.1%)、南アフリカ(1,258人、27.6%)などであり、新規CVD患者については、コロンビア(1,084人、23.0%)、南アフリカ(828人、14.6%)、メキシコ(721人、13.5%)などだった。なお、日本の加糖飲料摂取に関連する新規T2DM患者数は2万8,981人、新規CVD患者数は8,396人、死亡はそれぞれ158人、1,947人と推定されている。 加糖飲料がこれほどの害をもたらす理由の一つとして、栄養価が低いにもかかわらずカロリーは高く、また吸収が早いために満腹感を感じる前に飲み過ぎてしまいやすいことなどの影響が考えられている。長期にわたる加糖飲料の習慣的な摂取は、体重増加、インスリン抵抗性、そして、世界の死亡原因の上位を占めるT2DMやCVDの発症につながる。さらに加糖飲料は安価で、広く入手可能だ。論文の共著者である米タフツ大学のDariush Mozaffarian氏は、「低所得国や中所得国では加糖飲料が盛んに宣伝・販売されている。それらの国々では、長期的な健康への影響という視点での対策が十分講じられておらず、人々は健康に有害な食品を摂取してしまいやすい」と解説。また、著者らによると、国が発展し国民の所得が伸びるにつれて、加糖飲料がより入手しやすい飲み物になり、好まれるように変化していくという。 ソーダ税などの政策が、この問題の拡大を遅らせるかもしれない。米国の一部の地域で行われた研究は、そのような取り組みが効果的であることを示している。米ボストン大学公衆衛生大学院のデータによると、シアトルやフィラデルフィアといった米国内5都市で、課税に伴う加糖飲料の価格上昇による消費量減少が観察されたという。さらに最近の調査からは、カリフォルニア州の複数の都市で課税が導入された後、加糖飲料の売上減少とともに、若者のBMIの平均値が低下したことが明らかにされた。 課税を含む公衆衛生アプローチは、米国以外の国でも有効な可能性がある。また著者らは、課税などの戦略に加えて、人々の意識を高めるための公衆衛生キャンペーンや、広告の規制を求めている。現在すでに80カ国以上が、加糖飲料の消費削減を目的とした対策を実施しており、著者らによると「一部の国では介入効果が現れ始めている」という。

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GIP/GLP-1受容体に作用する週1回の肥満症治療薬「ゼップバウンド皮下注」【最新!DI情報】第32回

GIP/GLP-1受容体に作用する週1回の肥満症治療薬「ゼップバウンド皮下注」今回は、持続性GIP/GLP-1受容体作動薬「チルゼパチド(商品名:ゼップバウンド皮下注2.5mg/5mg/7.5mg/10mg/12.5mg/15mgアテオス、製造販売元:日本イーライリリー)」を紹介します。本剤は、週1回投与の肥満症治療薬であり、食欲を調節すると同時に、脂質などの代謝を亢進させることによって体重を減少させることが期待されています。<効能・効果>肥満症を適応として、2024年12月27日に製造販売承認を取得しました。本剤は高血圧、脂質異常症または2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、以下に該当する場合に使用されます。BMIが27kg/m2以上であり、2つ以上の肥満に関連する健康障害を有するBMIが35kg/m2以上<用法・用量>通常、成人には、チルゼパチドとして週1回2.5mgから開始し、4週間の間隔で2.5mgずつ増量し、週1回10mgを皮下注射します。患者の状態に応じて適宜増減し、週1回5mgまで減量、または4週間以上の間隔で2.5mgずつ週1回15mgまで増量することができます。なお、本剤は週1回投与する薬剤であり、同一曜日に投与します。<安全性>重大な副作用として、低血糖、胆嚢炎、胆汁うっ滞性黄疸、アナフィラキシー、血管性浮腫(いずれも頻度不明)、急性膵炎、胆管炎(いずれも0.1%未満)が報告されています。胃腸障害が現れた場合は急性膵炎の可能性を考慮し、必要に応じて画像検査などによる原因の精査が行われることがあります。また、下痢や嘔吐が続くことで脱水となり、急性腎障害を起こす恐れがあるため、適度な水分補給が必要です。その他の副作用は、悪心、嘔吐、下痢、便秘、腹痛、消化不良、食欲減退、注射部位反応(紅斑、そう痒感、疼痛、腫脹など)(いずれも5%以上)、腹部膨満、胃食道逆流性疾患、おくび、鼓腸、疲労、浮動性めまい、脱毛症(いずれも1~5%未満)、心拍数増加、低血圧、血圧低下、胆石症、糖尿病網膜症、過敏症(湿疹、発疹、そう痒性皮疹など)、味覚不全、異常感覚、膵アミラーゼ増加、リパーゼ増加、体重減少(いずれも1%未満)があります。<患者さんへの指導例>1.この薬は肥満症の患者さんのうち、高血圧や脂質異常症、または2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られない人に用いられます。2.この薬は食欲を調節すると同時に、脂質などの代謝を亢進させることによって体重を減少させる作用があります。3.美容やダイエットの目的で使用しないでください。4.この薬の使用中も食事療法・運動療法を継続してください。5.週1回の投与で効果が持続するように製剤的な工夫をした注射薬です。毎週、同じ曜日に注射してください。6.のどの渇きや立ちくらみなどの脱水症状が現れた場合は、十分な水分摂取を行い、速やかに主治医に相談してください。<ここがポイント!>ゼップバウンドは、持続性のグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)およびグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)の2つの受容体に作用する持続性GIP/GLP-1受容体作動薬です。本剤の成分であるチルゼパチドは、2023年4月より2型糖尿病の治療薬としてマンジャロの商品名で販売されていますが、今回新たに肥満症の治療薬として承認を取得しました。肥満症は個人の生活習慣のみによって引き起こされるという誤解がありますが、遺伝的、心理的、社会的なさまざまな要因が複合的に影響し発症する慢性疾患です。チルゼパチドは中枢神経系においてGIP/GLP-1受容体に作用して食欲を調節すると同時に、脂肪細胞のGIP受容体に作用して脂質などの代謝を亢進し、体重を減少させる効果があります。本剤は、食事療法や運動療法を行っても十分に効果が得られない高血圧、脂質異常症または2型糖尿病のいずれかを有する患者を対象にしています。美容や痩身、ダイエットなど肥満症治療以外の目的で使用することはできません。投与には1回使い切りのオートインジェクター型注入器(商品名:アテオス)を使用し、週1回皮下注射します。適切な在宅自己注射教育を受けた患者または家族は自宅で自己注射が可能です。日本人肥満症患者を対象とした国内第III相試験(GPHZ試験:SURMOUNT-J)において、投与72週時の体重のベースラインからの平均変化率は、プラセボ群が-1.8%であったのに対し、チルゼパチド10mg群では-18.4%、チルゼパチド15mg群では-22.6%であり、チルゼパチド両群でプラセボ群に対する優越性が示されました。また、5%以上の体重減少を達成した試験参加者の割合は、プラセボ群が21.2%であったのに対し、チルゼパチド10mg群では94.9%、チルゼパチド15mg群では96.9%であり、チルゼパチド両群でプラセボ群に対する優越性を示しました。

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過体重/肥満の2型糖尿病、ダパグリフロジン併用で寛解率が大きく改善/BMJ

 過体重または肥満を伴う2型糖尿病患者において、カロリー制限療法単独と比較してSGLT2阻害薬ダパグリフロジンと定期的なカロリー制限の併用は、大幅に高い糖尿病寛解率を達成し、体重減少やさまざまな代謝性リスク因子(体脂肪率、インスリン抵抗性指数[HOMA-IR]、収縮期血圧、空腹時血糖値、HbA1c値など)も有意に改善することが、中国・復旦大学のYuejun Liu氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2025年1月22日号に掲載された。中国の無作為化プラセボ対照比較試験 研究グループは、2型糖尿病の寛解に及ぼすダパグリフロジン+カロリー制限療法の有効性の評価を目的に多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験を行い、2020年6月~2023年1月に中国の16の施設で患者を登録した(中国国家自然科学基金などの助成を受けた)。 年齢20~70歳の2型糖尿病(罹患期間6年未満)で、BMI値25以上、HbA1c値6.5~10%の患者328例を対象とした。これらの患者を、カロリー制限療法に加え、ダパグリフロジン(10mg/日)を投与する群(165例)、またはプラセボを投与する群(163例)に無作為に割り付けた。 主要アウトカムは、糖尿病の寛解(抗糖尿病薬の投与を2ヵ月以上受けておらず、HbA1c値<6.5%かつ空腹時血糖値<126mg/dL)とした。 全体の平均年齢は46.7歳、男性が218例(66%)で、平均BMI値は28.2、平均HbA1c値は7.3%であり、148例(45%)がベースラインでメトホルミンの投与を受けていた。介入期間中央値は、ダパグリフロジン群が9ヵ月(四分位範囲:4~12)、プラセボ群は12ヵ月(4~12)だった。HDLコレステロール、トリグリセライドも改善 12ヵ月の時点での糖尿病寛解率は、プラセボ群が28%(46例)であったのに対し、ダパグリフロジン群は44%(73例)と有意に良好であった(リスク比:1.56[95%信頼区間[CI]:1.17~2.09]、p=0.002)。 また、副次アウトカムであるベースラインから最終受診時までの体重の変化量(ダパグリフロジン群-5.0[SD 4.5]kg vs.プラセボ群-3.2[3.8]kg、推定群間差:-1.3kg[95%CI:-1.9~-0.7]、p<0.001)およびHOMA-IRの変化量(-1.8 vs.-0.6、-0.8[-1.1~-0.4]、p<0.001)も、プラセボ群に比べ、ダパグリフロジン群で優れた。 同様に、体脂肪率の変化量(-2.1[SD 2.8]% vs.-1.4[3.4]%、-0.5%[95%CI:-0.9~0]、p=0.05)、収縮期血圧の変化量(-4.0[12.3]mmHg vs.-3.6[13.1]mmHg、-1.9mmHg[-3.0~-0.7]、p=0.002)、空腹時血糖値の変化量(-23.4[25.0]mg/dL vs.-13.8[29.1]mg/dL、-9.2mg/dL[-11.8~-6.7]、p<0.001)、HbA1c値の変化量(-1.0[1.0]% vs.-0.8[0.9]%、-0.2%[-0.3~-0.1]、p=0.003)のほか、HDLコレステロール値の変化量(4.8[6.9]mg/dL vs.2.3[6.2]mg/dL、1.3mg/dL[0.4~2.2]、p=0.003)、トリグリセライド値の変化量(-17.3[-62.0~7.1]mg/dL vs.-4.4[-35.4~20.4]mg/dL、-16.4mg/dL[-31.3~-1.6]、p=0.03)もダパグリフロジン群で良好だった。軽度~中等度の有害事象の発現率は同程度 ダパグリフロジン群で重篤な有害事象が2例(1.2%、いずれも尿路感染症による入院)に発現した。試験期間中の死亡例はなく、軽度~中等度の有害事象の発現率は両群で同程度だった。 著者は、「これらの知見は、初期の2型糖尿病患者の寛解の達成において、強力な体重管理以外の新たな選択肢として、より実践的な戦略を提供するものである」としている。

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イコデクが発売、世界初の週1回皮下投与のインスリン/ノボ

 ノボ ノルディスク ファーマは、週1回投与のインスリンアナログ製剤インスリン イコデク(商品名:アウィクリ、以下、イコデク)を1月30日に発売した。イコデクは、「インスリン療法が適応となる糖尿病」を適応症として世界で初めてとなる週1回投与の新しいBasalインスリン製剤。半減期は約1週間で、長時間作用が持続する。皮下投与後、イコデクは可逆的にアルブミンと結合するが、緩徐にアルブミンから解離し、インスリン受容体と結合して作用することで、血糖降下作用が1週間にわたり持続する。イコデクは週1回でも1日1回の持効型溶解インスリンと比較して非劣性 Basalインスリン製剤は、生理的なインスリンの基礎分泌を補充する目的で糖尿病を有する患者の血糖管理に用いられ、通常1日1回もしくは2回の皮下注射が必要となる。イコデクは週1回皮下注射製剤のため、従来のインスリン製剤よりも投与回数を大幅に減らすことができ、利便性が高いだけでなく、患者の心理的な治療負担の軽減により生活の質や治療実施率の向上が期待される。 本剤の承認は、イコデクの第III相試験プログラムである「ONWARDS試験」の結果に基づいている。ONWARDS試験は、成人の1型または2型糖尿病の患者4,000例以上を対象とした6つのグローバル第III相臨床試験で構成され、そのうち4つの試験(ONWARDS1、2、4および6)に日本人400例以上が参加している。ONWARDS試験はいずれも、イコデクの有効性および安全性を実薬対照と比較する無作為割り付け、並行群間、多施設共同、国際共同試験。これらの試験を通じて、週1回投与のイコデクでは、1日1回投与の持効型溶解インスリンと比較し非劣性が検証され、良好な有効性が認められた。また、すべての試験において、イコデクの投与は安全かつ忍容性は良好であり、予期されない安全性の問題は認められなかった。 同社では「週1回の投与であれば、Basalインスリン製剤の注射回数は少なくとも1年間に365回から約52回に減り、心理的な治療の負担軽減や注射実施率の向上が期待できる。イコデクは、糖尿病治療における有用な新しいオプションになると考えている」と期待を寄せている。【製品概要】一般名:インスリン イコデク(遺伝子組換え)販売名:アウィクリ注フレックスタッチ 総量300単位効能または効果:インスリン療法が適応となる糖尿病用法および用量:通常、成人では1週間に1回皮下注射する。初期は通常1回30~140単位とし、患者の状態に応じて適宜増減する。薬価:アウィクリ注フレックスタッチ総量300単位:2081円/キット製造販売承認:2024年6月24日薬価収載日:2024年11月13日発売日:2025年1月30日製造販売元:ノボ ノルディスク ファーマ

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肥満症治療薬、減量効果が特に高いのはどれ?

 GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)受容体作動薬などの肥満症治療薬のうち、肥満や過体重の人の減量に最も効果的なのはどれなのだろうか? マギル大学(カナダ)医学部教授のMark Eisenberg氏らにより「Annals of Internal Medicine」に1月7日掲載された新たな研究によると、その答えは、デュアルG(GIP〔グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド〕/GLP-1)受容体作動薬のチルゼパチド(商品名ゼップバウンド)、GLP-1受容体作動薬のセマグルチド(商品名ウゴービ)、および開発中のトリプルG(GLP1/GIP/グルカゴン)受容体作動薬のretatrutide(レタトルチド)であるようだ。これに対し、GLP-1受容体作動薬のリラグルチド(商品名サクセンダ)の減量効果は、これら3種類ほど高くないことも示された。 GLP-1受容体作動薬は、食物を摂取したときに小腸から分泌されるホルモンのGLP-1の作用を模倣した薬剤で、もともと糖尿病の治療薬として開発された。GLP-1は、胃の内容物の排出を遅らせることで食後の血糖値の急上昇を抑えるとともに、中枢神経に作用して満腹感を高める効果を持つ。これにより、食物の摂取量が減り、それが体重減少につながる。デュアルGやトリプルG受容体作動薬は、GLP-1受容体に加え、GIP受容体やグルカゴン受容体などをターゲットにすることで、血糖値上昇を抑制したり満腹感を促進したりする効果を高めようとするもの。 今回Eisenberg氏らは、総計1万5,491人(女性72%、平均BMI 30〜41、平均年齢34〜57歳)を対象にした26件のランダム化比較試験(RCT)のデータを用いて、糖尿病のない肥満者に対する肥満症治療薬の有効性と安全性を検討した。これらのRCTでは、3種類の市販薬(リラグルチド、セマグルチド、チルゼパチド)およびretatrutideなど9種類の承認前薬剤の計12種類の効果が検討されており、治療期間は16週間から104週間(中央値43週間)に及んだ。 その結果、プラセボ投与と比較して、72週間のチルゼパチド(週1回15mg)投与により最大17.8%、68週間のセマグルチド(週1回2.4mg)投与により最大13.9%、48週間のretatrutide(週1回12mg)投与により最大22.1%の体重減少が確認された。また、これらの効果に比べると控え目ではあるものの、26週間のリラグルチド(1日1回3.0mg)投与によっても最大5.8%の体重減少が認められた。安全性の点では、吐き気、嘔吐、下痢、便秘などが一般的な副作用として報告されていたが、薬の服用を中止しなければならないほどひどい副作用はまれだった。 論文の上席著者であるEisenberg氏は、「われわれの調査で対象とした12種類の肥満症治療薬のうち、RCTにおいて最も大きな減量効果が報告されていたのは、retatrutide、チルゼパチド、セマグルチドであることが判明した」と結論付けている。 研究グループは、これらの肥満症治療薬の欠点の一つは、治療効果を維持するために継続的な服用が必要な点であると指摘し、「われわれが実施したシステマティックレビューでは、治療期間が長いRCTでは、追跡期間の短いRCTと同様の減量結果が示されている。この結果は、継続的な治療の必要性を裏付けている」と述べている。なお、retatrutideは、イーライリリー社により開発が進められている薬剤で、現在、臨床試験が進行中である。

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妊娠糖尿病、メトホルミン±SU薬vs.インスリン/JAMA

 妊娠糖尿病治療において、経口血糖降下薬(メトホルミンおよび必要に応じてグリベンクラミドを追加)は、インスリンと比較して、在胎不当過大児の出生割合に関する非劣性基準を満たさなかった。オランダ・アムステルダム大学医療センターのDoortje Rademaker氏らが、無作為化非盲検非劣性試験の結果を報告した。妊娠糖尿病のコントロールにおいて、メトホルミンおよびグリベンクラミドの単剤投与はインスリンの代替として使用されているが、これらの経口血糖降下薬による治療がインスリン単独の治療と比較して、周産期アウトカムに関して非劣性であるかどうかは明らかになっていなかった。JAMA誌オンライン版2025年1月6日号掲載の報告。在胎不当過大児の増加予防に関して非劣性であるかを検証 研究グループは、2016年6月~2022年11月にオランダの25医療センターで、経口血糖降下薬による治療戦略がインスリン療法に対して、在胎不当過大児の増加予防に関して非劣性であるかを検証した。最終フォローアップは2023年5月。 試験には、2週間の食事療法後に血糖コントロールが不十分(空腹時血糖値95mg/dL超[5.3mmol/L超]、食後1時間血糖値140mg/dL超[7.8mmol/L超]、食後2時間血糖値120mg/dL超[6.7mmol/L超]のいずれかとして定義)であった単胎妊娠16~34週の妊娠糖尿病患者820例が登録された。 被験者は、メトホルミン(1日1回500mgで開始し、3日ごとに1日2回1,000mgまたは最大許容量まで増量、409例)またはインスリン(試験施設の処方による、411例)による治療を受ける群に無作為に割り付けられた。メトホルミン群では必要に応じてグリベンクラミドを追加投与した。その後、必要に応じてグリベンクラミドに代えてインスリンを用いた。 主要アウトカムは、在胎不当過大児(在胎期間と性別に基づく出生体重が90パーセンタイル超)の割合の群間差であった。副次アウトカムは、母体の低血糖、帝王切開、妊娠高血圧症候群、妊娠高血圧腎症、母体の体重増加、早産、分娩損傷、新生児の低血糖、新生児の高ビリルビン血症、新生児集中治療室(NICU)入室などであった。在胎不当過大児は経口血糖降下薬群23.9%、インスリン療法群19.9% 被験者820例のベースライン(試験登録時)の平均年齢は33.2(SD 4.7)歳、妊娠時BMI値30.4(6.2)、35%が初産であった。アウトカムの解析(per protocol解析)には、同意を得られなかった被験者、追跡データを得られなかった被験者を除外した、経口血糖降下薬群406例、インスリン療法群398例が対象に含まれた。 試験期間中、インスリンを使用せずに経口血糖降下薬のみ(メトホルミン単剤および必要に応じてグリベンクラミド追加)で血糖コントロールを維持したのは320例(79%)であった。 新生児における在胎不当過大児の割合は、経口血糖降下薬群23.9%(97例)、インスリン療法群19.9%(79例)であり(絶対リスク差:4.0%、95%信頼区間[CI]:-1.7~9.8、非劣性のp=0.09)、絶対リスク差の95%CI値は非劣性マージンの8%を超えていた。 母体の低血糖は、経口血糖降下薬群53例(20.9%)、インスリン療法群26例(10.9%)であった(絶対リスク差:10.0%、95%CI:3.7~21.2)。その他の副次アウトカムは、群間差は認められなかった。

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診療科別2024年下半期注目論文5選(糖尿病・代謝・内分泌内科編)

Intensive Blood-Pressure Control in Patients with Type 2 DiabetesBi Y, et al. N Engl J Med. 2024 Nov 16. [Epub ahead of print]<BPROAD試験>:2型糖尿病において、目標収縮期血圧を120mmHg未満にすることで心血管イベントリスクが低減2型糖尿病における至適な血圧目標値は、一般に130/80mmHg未満とされています。心血管疾患高リスクの2型糖尿病を有する中国人を対象とした本研究(RCT)では、収縮期血圧120mmHg未満を目標にすることにより、心血管イベントが統計学的に有意に低下することが示されました。Randomized Trial for Evaluation in Secondary Prevention Efficacy of Combination Therapy-Statin and Eicosapentaenoic Acid (RESPECT-EPA)Miyauchi K, et al. Circulation. 2024;150:425-434.<RESPECT-EPA>:EPAをスタチンに上乗せ投与しても心血管イベントリスクは低減しないEPA(eicosapentaenoic acid)は動脈硬化を抑制することが想定されています。しかしながら、ハイリスクの日本人冠動脈疾患患者にEPAをスタチンに上乗せ投与しても心血管イベントリスクは有意には低減しませんでした。一方、心房細動リスクが有意に上昇しました。Insulin Efsitora versus Degludec in Type 2 Diabetes without Previous Insulin TreatmentWysham C, et al. N Engl J Med. 2024;391:2201-2211.<QWINT-2>:肥満2型糖尿病において、efsitoraの効果はデグルデクに非劣性大きな期待がかけられているweeklyタイプのインスリン・efsitora。肥満2型糖尿病患者において、efsitoraの効果と安全性はインスリン・デグルデクと比較し非劣性であることが示されました。低血糖や体重増加は両剤とも同等でした。Once-weekly insulin efsitora alfa versus once-daily insulin degludec in adults with type 1 diabetes (QWINT-5): a phase 3 randomised non-inferiority trialBergenstal RM, et al. Lancet. 2024;404:1132-1142.<QWINT-5>:1型糖尿病において、efsitoraの効果はデグルデクに非劣性1型糖尿病患者を対象としたRCTで、インスリン・デグルデクに対するインスリン・efsitoraによる血糖降下作用の非劣性が示されたものの、中等度~重度の低血糖リスクが有意に上昇しました。1型糖尿病におけるインスリン・イコデク(weekly製剤)投与に伴う低血糖リスクも同様であったことが報告されています(Russell-Jones D, et al. Lancet. 2023;402:1636-1647.)The Effect of Denosumab on Risk for Emergently Treated Hypocalcemia by Stage of Chronic Kidney Disease : A Target Trial EmulationBird ST, et al. Ann Intern Med. 2024 Nov 19. [Epub ahead of print]<デノスマブによる低カルシウム血症>:重症低カルシウム血症リスクはCKD病期と関連CKD進展に伴い、ビスフォスフォネートと比較しデノスマブで重症低カルシウム血症のリスクが高まることが示唆されました。デノスマブを投与する際には、デノタス®(カルシウム/天然型ビタミンD3/マグネシウム配合剤)の投与と血清カルシウム値のモニタリングが重要です。

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炭水化物制限で糖尿病患者のβ細胞機能が改善

 2型糖尿病患者を対象に、炭水化物制限食と高炭水化物食で介入した結果、前者において膵β細胞機能が改善したとする論文が、「The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism」に10月22日掲載された。米アラバマ大学バーミンガム校のBarbara A. Gower氏らが行った、12週間にわたるランダム化比較試験の結果として報告された。 この研究は、エネルギー量が等しい炭水化物制限(carbohydrate-restricted;CR〔炭水化物由来のエネルギーが約9%、脂質由来が約65%〕)食と、高炭水化物(higher carbohydrate;HC〔炭水化物由来が約55%、脂質由来が約20%〕)食が、2型糖尿病患者のβ細胞機能に与える影響を比較するために実施された。対象は、糖尿病診断からの経過が10年以内でHbA1cが8%以下のインスリン療法を行っていない、アフリカ系米国人(African American;AA)および欧州系米国人(European American;EA)の成人2型糖尿病患者57人。なお、AAは人種的にβ細胞の脆弱性がEAより高いと考えられている。 介入前後のデータが欠落しておらず解析対象とされたのは51人(CR群25人、HC群26人)だった。ベースライン時において、年齢、性別の分布、BMI、HbA1c、およびβ細胞機能(disposition index;DI)に有意差はなかった。HbA1cは、CR群が6.9±0.72%、HC群が6.7±0.47%であり、糖代謝異常の程度は比較的軽度の患者群だった。 血糖降下薬は介入前に中止され、介入中に3日連続で空腹時血糖が200mg/dLを超えた場合には投薬が再開された。食事は全てを支給し、宅配サービスによって参加者の自宅に届けられた。ベースライン時点と介入12週間後に、75g経口ブドウ糖負荷試験およびアルギニンを用いたグルコースクランプ法にて、糖代謝と膵β細胞機能を評価した。 12週後、急性C-ペプチド反応(アルギニン投与開始30分以内の上昇)は、CR群ではHC群に比べて約2倍に増加し有意な群間差が認められたが、人種別に見た場合、EAでは有意差がなかった。最大C-ペプチド反応はCR群では22%有意に増加し、HC群との間に有意差が認められたが、人種別に見た場合、AAでは有意差がなかった。DIはCR群では32%有意に上昇したが、これを人種別に見た場合、EAでは有意差がなかった。 著者らは、「われわれの研究は、エネルギー量が等しいCR食が、HC食に比べて急性および最大C-ペプチド反応の双方を含む、β細胞機能の指標に有益な影響をもたらすことを示唆しており、臨床的に重要な結果と言える。CRの継続が困難な患者が存在する可能性がある点は否めないが、CR食によって、軽度の2型糖尿病患者は投薬を中止し食事を楽しみながら、β細胞機能を改善できるのではないか」と総括している。なお、AAとEAで反応に差が見られた点について、「この反応の差の一部は人種固有のβ細胞機能の違いに起因するものと考えられる」と説明している。

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診療科別2024年下半期注目論文5選(消化器内科編)

Histological improvements following energy restriction and exercise: The role of insulin resistance in resolution of MASHMucinski JM, et al. J Hepatol. 2024;81:781-793.<MASHにおけるカロリー制限・運動療法の有用性>:肝臓、体組成、心肺フィットネスが大幅に改善代謝機能障害関連脂肪性肝炎(MASH)患者に対しカロリー制限、運動療法を同時に行うことにより肝臓、体組成、心肺フィットネスが大幅に改善することを証明しました。同治療によるMASH肝組織改善が、肝臓ではなく筋肉のインスリン感受性と関連していたことがとても興味深いです。Long-term liver-related outcomes and liver stiffness progression of statin usage in steatotic liver diseaseZhou XD, et al. Gut. 2024;73:1883-1892.<MASLDにおけるスタチンの有用性>:全死因死亡・肝関連有害事象発生を有意に低下国際共同研究で7,988例の代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)患者を平均4.6年観察。スタチンの使用は全死因死亡を76.7%、肝関連有害事象発生を62%低下させました。またスタチン使用は、フィブロスキャンで測定した肝硬度の進行も軽減させました。Alternating gemcitabine plus nab-paclitaxel and gemcitabine alone versus continuous gemcitabine plus nab-paclitaxel after induction treatment of metastatic pancreatic cancer (ALPACA): a multicentre, randomised, open-label, phase 2 trialDorman K, et al. Lancet Gastroenterol Hepatol. 2024;9:935-943.<ALPACA試験>:転移膵がんにおけるGEM+NabPTX減量療法の有用性と忍容性進行膵がんにおいてGEM+NabPTX療法は有害事象のため忍容性が問題となっていました。今回、 GEM+NabPTX を3サイクル実施後、 GEM+NabPTXとGEM単独投与を交互に行う減量レジメンが、従来の治療と同等の全生存期間と、より良好な忍容性を示すことが報告されました。[177Lu]Lu-DOTA-TATE plus long-acting octreotide versus high-dose long-acting octreotide for the treatment of newly diagnosed, advanced grade 2-3, well-differentiated, gastroenteropancreatic neuroendocrine tumours (NETTER-2): an open-label, randomised, phase 3 studySingh S, et al. Lancet. 2024;403:2807-2817.<NETTER-2試験>:進行NENに対する1次治療としてPRRTが有用これまで神経内分泌腫瘍(NEN)に対するPRRTは2次治療以降のレイトラインでの導入が推奨されてきましたが、本研究によりGrade2、3の高分化型NENにおいて1次治療でのPRRT早期導入の有用性が報告されました。Risk of colorectal neoplasia after removal of conventional adenomas and serrated polyps: a comprehensive evaluation of risk factors and surveillance use Polychronidis G, et al. Gut. 2024;73:1675-1683.<大腸がん・ポリープの再発予防>:高リスクの大腸ポリープは3年以内のサーベイランス大腸内視鏡が有益advanced adenomaのサーベイランスの最適な間隔は明らかではありませんでしたが、今回の報告では高リスクポリープが見つかった患者は、その後の大腸がんおよび高リスクポリープのリスクが高いため、3年以内の早期監視が有用である可能性が示されました。

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健康な高齢者では高用量ビタミンDで糖尿病リスクは低下しない

 たとえ高用量のビタミンDサプリメントを摂取したとしても、糖代謝異常がない高齢者の場合、2型糖尿病の発症リスク低下にはつながらないとする研究結果が発表された。東フィンランド大学のJyrki K. Virtanen氏らが行ったプラセボ対照二重盲検ランダム化比較試験によるもので、詳細は「Diabetologia」に12月2日掲載された。 過去の観察研究からは、血中ビタミンD濃度が低い場合に2型糖尿病の発症リスクが高いという関連が示されている。しかし、観察研究の結果のみでは、ビタミンDサプリの摂取が糖尿病リスク抑制につながるかどうかは不明。他方、既に血糖値がやや高い前糖尿病の人を対象に行われた研究では、ビタミンDサプリ摂取が糖尿病への移行リスクをわずかに抑制する可能性も示唆されているが、健康な集団での有用性のエビデンスはない。これを背景としてVirtanen氏らは、フィンランドの一般住民を対象にビタミンDサプリ摂取の影響を検討した大規模研究(FIND)のデータを用いた解析を行った。 FINDの参加者は60歳以上の男性と65歳以上の女性で、心血管疾患やがん、腎障害などの既往がなく、摂取している全てのサプリに含まれているビタミンDが合計20μg/日以下などの条件を満たす2,495人。一次評価項目として心血管疾患、二次評価項目としてがん、三次評価項目として2型糖尿病の発症が設定されていた。ビタミンDの中用量(40μg/日)群、高用量(80μg/日)群、およびプラセボ群の3群に、1対1対1でランダムに割り付け、平均4.2年間介入した。 全参加者のうちベースライン時点で血糖降下薬が処方されていた224人を除外した2,271人が、三次評価項目の解析対象とされた。この対象者の平均年齢は68.2±4.5歳、女性が43.9%、BMIは26.8±4.0であり、食事からのビタミンD摂取量は10.7±7.9μg/日で、66.0%はビタミンDサプリを摂取していなかった。解析対象者のうち504人は血中ビタミンD濃度(25〔OH〕D3)が測定されていて、その平均は29.8±7.2ng/mLだった。 追跡期間中に105人が2型糖尿病を発症。各群の発症者数は、ビタミンD中用量群が31人、高用量群36人、プラセボ群38人であり、100人年当たりの罹患率は同順に0.97、1.11、1.19だった。年齢と性別を調整後、プラセボ群を基準とする発症ハザード比は、中用量群が0.81(95%信頼区間0.50~1.30)、高用量群が0.92(同0.58~1.45)であり、ビタミンDの用量にかかわらず有意なリスク低下は観察されなかった。 追跡開始2年目までに2型糖尿病を発症した人を除外した解析や、性別、年齢層別、BMI別に層別化したサブグループ解析でも、ビタミンDサプリ摂取が2型糖尿病リスク低下につながる集団は特定されなかった。また、血糖値、血中インスリン値、インスリン抵抗性(HOMA-IR)、BMI、ウエスト周囲長の変化も検討されたが、いずれもビタミンD摂取による有意な影響は観察されなかった。 これらの結果から著者らは、「健康な高齢者を対象としたわれわれの研究では、中用量または高用量のビタミンDサプリの長期摂取による2型糖尿病の発症抑止効果は示されなかった」と結論付けている。

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糖尿病性腎症、コーヒーによるリスク減は摂取時間が重要

 糖尿病患者の食事内容、摂取タイミングに関する研究は多数あるが、コーヒー摂取量と摂取タイミングが糖尿病患者の慢性腎疾患(CKD)リスクと関連するかを検討した研究結果が報告された。中国・ハルビン医科大学のYiwei Tang氏らによる本研究は、Food Functon誌オンライン版2024年10月14日号に掲載された。 研究者らは、2003~18年のNHANES(全米国民健康栄養調査)から糖尿病患者8,564例を解析対象とした。24時間の食事調査を用いてコーヒーの摂取状況を評価し、摂取時間、または摂取の多い時間を4つの時間帯(1. 早朝から午前中[5:00~8:00]、2. 午前中から正午[8:00~12:00]、3. 正午から夕方[12:00~18:00]、4. 夕方から早朝[18:00~5:00])の4群に分類した。さらにコーヒー摂取量の多寡で3つに層別化した。CKDの定義は、eGFRが60mL/min/1.73m2未満、または尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)が30mg/g以上とした。年齢、性別、BMI、生活習慣などの交絡因子を調整したロジスティック回帰モデルを用いて、コーヒー摂取量、摂取時間とCKDリスクの関連を評価した。 主な結果は以下のとおり。・8,564例の糖尿病患者の平均年齢は61.9歳、男性4,480例(52.9%)だった。1人当たりのコーヒー摂取量の平均は2.83g/kgであり、CKD有病率は41.6%であった。・参加者のうちコーヒーを摂取しない人が3,331例(38.9%)、摂取者のうち1. 早朝から午前中に摂取する人が17.6%、2. 午前中から正午が27.6%、3. 正午から夕方が8.3%、4. 夕方から早朝が7.5%だった。・コーヒー摂取群は、非摂取群と比較してCKDの有病率が11%低かった(オッズ比[OR]:0.89、95%信頼区間[CI]:0.80~0.99)。・摂取のタイミングについては、1. 早朝から午前中に摂取する群は摂取しない群と比較してCKDのリスクが有意に低下した(OR:0.87、95%CI:0.77~0.98)。また、その中でもコーヒー摂取量が最も多い層のリスク低下が最も大きかった(OR:0.83、95%CI:0.70~0.98)。・一方で、3. 正午から夕方の摂取群では、コーヒー摂取量が最も多い層は最も少ない層と比較してCKDのリスクが上昇した(OR:1.35、95%CI:1.07~1.71)。4. 夕方から早朝の摂取群でも同様だった(OR:1.28、95%CI:1.01~1.64)。この結果はさまざまなサブタイプにおいても共通していた。 著者らは「研究結果から、コーヒー摂取のタイミングがCKDの予防に重要な役割を果たす可能性が示唆された。とくに、早朝から午前中に摂取することでリスクが低下する一方で、午後以降の大量摂取はリスクを増加させるという結果が得られた。この時間依存性の効果は、コーヒーに含まれるカフェインやその他の生理活性物質が代謝リズムやインスリン感受性に与える影響に関連している可能性がある。糖尿病患者の栄養指導においてコーヒー摂取のタイミングに関する知見を組み込むことで、CKD発症リスクを軽減する新たなアプローチが提案できる可能性がある」とした。

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糖尿病予備群が大動脈弁狭窄症を引き起こす

 糖尿病予備群の主要な原因であるインスリン抵抗性が、大動脈弁狭窄症のリスクを高めることを示唆するデータが発表された。クオピオ大学病院(フィンランド)のJohanna Kuusisto氏らの研究によるもので、詳細は「Annals of Medicine」に11月26日掲載された。 大動脈弁狭窄症(AS)は高齢者に多い心臓弁の病気の一つであり、心不全や死亡のリスクを高める。Kuusisto氏は、ジャーナル発のリリースの中で、「この新たな発見は、インスリン抵抗性がASの重大かつ修正可能なリスク因子である可能性を浮き彫りにしている。インスリンに対する感受性を高めることを意図した健康管理は、ASのリスクを減らし、高齢者の心血管アウトカムを改善するための新たなアプローチとなり得る」と語っている。 ASの発症後には、時間がたつにつれて大動脈弁が厚く硬くなっていき、心臓が血液を送り出す際の負担が大きくなる。しかし、胸痛や息切れ、動悸、疲労などが現れるまでに何年ものタイムラグがあり、それらの自覚症状が現れた時には既に重症化していることが少なくない。米国心臓協会(AHA)は、75歳以上の米国人の13%以上がASに罹患しているとしている。 一方、インスリン抵抗性は、血糖を細胞に取り込む時に必要なホルモンであるインスリンの作用が低下している状態のことで、2型糖尿病が発症する何年も前に起こり始めていることが多い。インスリン抵抗性がより進行すると、徐々に血糖値が高くなり、やがて糖尿病の診断基準を超える高血糖となる。 この研究では、ASのない45~73歳(平均年齢62歳)のフィンランド人男性1万144人を対象とする、メタボリックシンドロームの疫学調査のデータが解析に用いられた。平均10.8±1.4年の追跡期間中に、1.1%に当たる116人が新たにASと診断された。Cox回帰分析の結果、インスリン抵抗性を表す複数の指標が、ASの発症と関連していることが明らかになった。 例えば、血清Cペプチドが高い場合は、ASの発症ハザード比(HR)が1.47(95%信頼区間1.22~1.77)であった。血清Cペプチドが高いことはインスリン分泌が増加していることを示しており、インスリン抵抗性による血糖上昇の負荷が高まっていることを表している。また、Matsudaインデックスという指標が高い場合はHR0.68(0.56~0.82)だった。Matsudaインデックスは値が低いほどインスリン抵抗性がより強いことを意味する。これらの関連性は、ASの既知のリスク因子を調整した解析、および、糖尿病患者を除外した解析でも有意だった。 Kuusisto氏は、「体重管理や運動の励行などによってインスリン感受性を高めることが、ASの発症抑止につながるのかを確認するため、今後のさらなる研究が求められる」と述べている。

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