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抗うつ薬の皮膚疾患に関連する抗炎症作用

 モノアミン作動性抗うつ薬の臨床的に関連する抗炎症作用についてのエビデンスが増加している。ノルウェー・オスロ大学のShirin Eskeland氏らは、慢性蕁麻疹、乾癬、アトピー性皮膚炎、他の湿疹、円形脱毛症の5つの一般的な炎症性皮膚疾患と関連した抗うつ薬の使用および有効性について、PubMedおよびOvidデータベースをシステマティックに検索した。Acta dermato-venereologica誌オンライン版2017年5月17日号の報告。 主な結果は以下のとおり。・1984年1月~2016年6月に報告された臨床試験または症例報告28件より、皮膚疾患患者1,252例が抽出された。・これらの患者において、抗うつ薬治療に関連した皮膚症状の明確な軽減が報告されていた。・新規抗うつ薬の研究は通常オープンラベルであった一方、第1世代抗うつ薬でのいくつかは無作為化比較試験であった。 著者らは「全体的にポジティブな結果は、抗うつ薬使用が、併存する精神疾患を治療するだけでなく、皮膚疾患に対する根拠を示している可能性がある。SSRIやミルタザピンおよびbupropionを含む新規抗うつ薬に関するさらなる研究が必要とされる」としている。■関連記事たった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能抗炎症薬の抗うつ効果を検証皮膚がんとの関連研究で判明!アルツハイマー病に特異的な神経保護作用

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アトピー性皮膚炎、重症度に応じ眼合併症リスク増

 アトピー性皮膚炎において、疾患そのものに伴って、または薬物療法の結果として眼疾患がみられることが知られている。これまで成人アトピー性皮膚炎における眼合併症の有病率に関する大規模な疫学データはなかったが、デンマーク・国立アレルギー研究センターのJacob P. Thyssen氏らは、国内の登録データを用いて調査を行い、成人アトピー性皮膚炎は有意に、かつ重症度に依存して、結膜炎、角膜炎および円錐角膜の発症リスク増加と関連していることを明らかにした。なお、著者は「観察研究であり、因果関係を明らかにすることはできない」と研究の限界を述べている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2017年6月7日号掲載の報告。 研究グループは、成人アトピー性皮膚炎患者における眼合併症の有病率とリスクを調査する目的で、18歳以上すべてのデンマーク人が登録する全国データを用いて解析し、Cox回帰により補正ハザード比(HR)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・解析対象となったアトピー性皮膚炎患者は、軽度(5,766例)あるいは重度(4,272例)に分類された。・眼科用抗炎症薬を1回以上処方されていた割合は、軽度患者で12.0%、重度患者で18.9%であった。・結膜炎のHRは、軽度患者で1.48(95%信頼区間[CI]:1.15~1.90)、重度患者で1.95(95%CI:1.51~2.51)であった。・角膜炎のHRは、軽度患者1.66(95%CI:1.15~2.40)、重度患者3.17(95%CI:2.31~4.35)であった。・重度患者では、円錐角膜のHRが10.01(95%CI:5.02~19.96)であった。・50歳未満の患者において、アトピー性皮膚炎と“白内障のみ”との関連が認められた。

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湿疹性紅皮症

【皮膚疾患】湿疹性紅皮症◆病状全身の皮膚が赤くなり、激しい痒み、リンパ節の腫れ、皮膚がフケのように落ちるなどの症状がみられ、時に発熱、脱水、体温調節ができなくなることもあります。◆原因アトピー性皮膚炎など湿疹が悪化して生じることが多い疾患ですが、ウイルス感染、膠原病、血液の腫瘍などからも起きます。免疫力の低下、肝・腎臓などの機能低下、あやまった治療や放置により紅皮症へ進みます。◆治療と予防・ステロイド外用薬が治療の基本ですが、重症の場合はステロイドや免疫抑制剤の内服、点滴などを行います。入院が必要となる場合もあります。・紅皮症に至る前に、きちんと皮膚疾患の治療をする必要があります。監修:浅井皮膚科クリニック 院長Copyright © 2017 CareNet,Inc. All rights reserved.浅井 俊弥氏

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鶏卵アレルギー予防、生後6ヵ月から微量鶏卵摂取を推奨 日本小児アレルギー学会提言

 6月16日、日本小児アレルギー学会から「鶏卵アレルギー発症予防に関する提言」が公表された。提言では、鶏卵アレルギー発症予防の方策として、アトピー性皮膚炎の乳児において、医師の管理のもと生後6ヵ月から微量の鶏卵摂取を推奨。鶏卵摂取はアトピー性皮膚炎が寛解した上で進めることが望ましいとしている。この提言は2016年に発刊された「食物アレルギー診療ガイドライン2016」および国立成育医療センターが報告したPETITスタディに基づく。 なお、すでに鶏卵アレルギーの発症が疑われる乳児に鶏卵摂取を促すことは極めて危険として、これに関しては「食物アレルギー診療ガイドライン2016」に準拠した対応を求めている。また、アトピー性皮膚炎に罹患していない乳児の鶏卵摂取については「授乳・離乳の支援ガイド2007」を参照するよう勧めている。

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アトピー性皮膚炎

【皮膚疾患】アトピー性皮膚炎◆症状①痒み、②特徴的な身体症状(特有の皮膚症状と左右対称の分布)、③持続する症状(乳児は2ヵ月以上、そのほかは6ヵ月以上)の3つの要件があれば、アトピー性皮膚炎を考えます。皮膚症状は多彩で、年齢によって異なります。◆原因遺伝、生活環境、アレルギーなどが複雑に関係しています。悪化の原因は、ひとそれぞれ違います。◆治療と予防・皮膚の病変はステロイド外用薬とタクロリムス軟膏で治療します。痒み止めの服用も有効です。・予防としては、保湿薬を定期的に外用し皮膚のバリアを正常に保つようにします。●一言アドバイス悪化の原因を見きわめ、避けるようにしましょう。定期的な症状の観察と根気よい治療が必要となります。監修:浅井皮膚科クリニック 院長Copyright © 2017 CareNet,Inc. All rights reserved.浅井 俊弥氏

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IgG4関連疾患〔IgG4-related disease〕

1 疾患概要■ 概念・定義IgG4関連疾患とは、リンパ球とIgG4 陽性形質細胞の著しい浸潤と線維化により、同時性あるいは異時性に全身諸臓器の腫大や結節・肥厚性病変などを認める原因不明の疾患である。罹患臓器としては膵臓、胆管、涙腺・唾液腺、中枢神経系、甲状腺、肺、肝臓、消化管、腎臓、前立腺、後腹膜、動脈、リンパ節、皮膚、乳腺などが知られている。病変が複数臓器に及び、全身疾患としての特徴を有することが多いが、単一臓器病変の場合もある。臨床的には各臓器病変により異なった症状を呈し、臓器腫大、肥厚による閉塞、圧迫症状や細胞浸潤、線維化に伴う臓器機能不全など、時に重篤な合併症を伴うことがある。治療にはステロイドが有効なことが多い。ステロイド抵抗性・依存性や臓器障害を生じたIgG4関連疾患症例は、2015年7月から難病に指定された。■ 疫学IgG4関連疾患の診療は、種々の診療科にまたがるので、その患者数の推定は困難である。石川県で行われた調査では、年間336~1,300人のIgG4関連疾患の新規発症があり、わが国では2万6,000人の患者がいると推定される。わが国で2016年に行われた自己免疫性膵炎の全国調査では、自己免疫性膵炎の年間推計受療者数は1万3,436人、年間罹患患者数は3,984人、有病率10.1人/10万人と推定され、2011年の調査時の罹患患者数より倍増した。臓器によって異なるが、高齢の男性に多く発症する傾向がある。■ 病因IgG4関連疾患の病因は解明されていないが、免疫遺伝学的背景に自然免疫系、Th2にシフトした獲得免疫系、制御性T細胞などの異常が病態形成に関与する可能性が報告されている。■ 症状臨床症状・徴候は、罹患した臓器によって異なるが、臓器腫大や肥厚による閉塞・圧迫症状が主体となる。自己免疫性膵炎やIgG4関連硬化性胆管炎では膵腫大や胆管閉塞による閉塞性黄疸、IgG4関連涙腺・唾液腺炎では涙腺・唾液腺腫大、後腹膜線維症では尿管圧迫による水腎症や腎機能障害などがみられる。また、病態が持続進行すると、涙腺・唾液腺機能障害による乾燥症状や、膵内外分泌機能低下などが生じうる。■ 分類自己免疫性膵炎以外は、罹患した臓器の前に「IgG4関連」をつけて呼ぶ。IgG4関連疾患はほぼ全身の諸臓器に認められるが、現在IgG4関連疾患として明らかに認知されている疾患・病態を表1に示す。表1 IgG4関連疾患に包括される疾患・病態■ 予後IgG4関連疾患はステロイドが奏効するので、短期的予後は良好であるが、再燃する例が少なからず存在し、長期的予後は不明である。自己免疫性膵炎では、再燃を繰り返す例で、膵石が形成されることがある。また、IgG4関連疾患では、悪性腫瘍を合併しやすいとの報告もあり、注意を要する。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ IgG4関連疾患包括診断基準いくつかのIgG4関連疾患には、その診断基準があるが、IgG4関連疾患を包括する診断基準が2011年に作られ、2020年に改訂された。この基準は、各臓器病変の専門医以外の臨床医の使用、各臓器の診断基準との併用、簡潔化、病理組織診断の重要視、ステロイドの診断的治療は推奨しないなどを基本的なコンセプトとして作成された。臨床的所見、血液所見、病理所見の組み合わせにより診断する(表2)。表2 2020改訂IgG4関連疾患包括診断基準できる限り組織診断を加えて、各臓器の悪性腫瘍(がんや悪性リンパ腫など)や類似疾患(原発性硬化性胆管炎、シェーグレン症候群、キャッスルマン病、2次性後腹膜線維症、ウェゲナー肉芽腫、サルコイドーシス、チャーグ・ストラウス症候群など)と鑑別することが大事である。また、この基準で確定診断ができなくても、各臓器の診断基準により診断が可能である。■ 自己免疫性膵炎1型自己免疫性膵炎は、IgG4が関連する1型と、IgG4とは無関係で好中球の膵管上皮内浸潤を特徴とする2型に分かれる。自己免疫性膵炎1型は、自己免疫性膵炎臨床診断基準2018(表3)を用いて診断する。表3-1 自己免疫性膵炎臨床診断基準2018表3-2 自己免疫性膵炎臨床診断基準2018本症の診断においては、膵がんや胆管がんなどの腫瘍性の病変を否定することがきわめて重要である。診断基準では、膵腫大、主膵管の不整狭細像、高IgG4血症、病理所見、膵外病変とオプションとしてのステロイド治療の効果の組み合わせにより診断する。びまん性の膵腫大を呈する典型例では、高IgG4血症、病理所見か膵外病変のどれか1つを満たせば自己免疫性膵炎と診断できる。限局性膵腫大例では、膵がんとの鑑別がしばしば困難であり、ERP(内視鏡的逆行性膵管造影)による主膵管の膵管狭細像が必要であったが、改訂基準ではMRCP、EUS-FNAとステロイド治療の効果で確定診断できるようになった。膵のびまん性腫大は、本症に特異性の高い所見である。腹部ダイナミックCTでは遅延性増強パターンと被膜様構造(capsule-like rim)が特徴的である(図1)。画像を拡大するERPによる主膵管のびまん性不整狭細像も本症に特異的である。狭細像とは閉塞像や狭窄像と異なり、ある程度広い範囲に及んで、膵管径が通常より細くかつ不整を伴っている像を意味する(図2)。画像を拡大する限局性の病変では膵がんとの鑑別がとくに困難であるが、狭細部より上流側の主膵管には著しい拡張を認めない、狭細部からの分枝の派生や非連続性の複数の主膵管狭細像(skip lesions)は、膵がんとの鑑別に有用である。血中IgG4値の上昇は高率に認められるので、その診断的価値は高い。しかし、IgG4値の上昇は他疾患(アトピー性皮膚炎、天疱瘡、喘息など)や一部の膵臓がんや胆管がんでも認められるので注意を要する。病理組織像は、lymphoplasmacytic sclerosing pancreatitis(LPSP)と呼ばれる特徴的な所見で、高度のリンパ球とIgG4陽性の形質細胞の浸潤と、紡錘形細胞が錯綜配列を示す花筵状線維化(storiform fibrosis)と閉塞性静脈炎(obliterative phlebitis)を呈する(図3、4)。画像を拡大する画像を拡大する合併する他のIgG4関連疾患として、膵外胆管の硬化性胆管炎、涙腺・唾液腺炎と後腹膜線維症が取り上げられている。ステロイド治療の効果判定は、画像で評価可能な病変が対象であり、臨床症状や血液所見は対象としない。ステロイド開始2週間後に効果不十分の場合には、再精査が必要である。できる限り病理組織を採取する努力をすべきであり、ステロイドによる安易な診断的治療は厳に慎むべきである。■ IgG4関連硬化性胆管炎IgG4関連硬化性胆管炎の診断は、IgG4関連硬化性胆管炎臨床診断基準2020(表4)に基づいて、胆道画像検査、高IgG4血症、他のIgG4関連疾患(自己免疫性膵炎、IgG4関連涙腺・唾液腺炎、IgG4関連後腹膜線維症)の合併、胆管壁の病理組織所見、オプションとしてのステロイド治療の効果の組み合わせによって診断する。表4-1 IgG4関連硬化性胆管炎臨床診断基準2020表4-2 IgG4関連硬化性胆管炎臨床診断基準2020IgG4関連硬化性胆管炎の胆管像では、下部胆管狭窄を呈することが多いが、上部~肝門部胆管狭窄や肝内胆管狭窄を呈する例では、肝門部胆管がんや原発性硬化性胆管炎(PSC)との鑑別が問題となる。自己免疫性膵炎を合併しないIgG4関連硬化性胆管炎では、診断がとくに困難である。PSCでよくみられる全周性の輪状狭窄(annular stricture)、数珠状変化(beaded appearance)や肝内胆管の減少(pruned-tree appearance)などはIgG4関連硬化性胆管炎ではほとんど認められない(図5)。画像を拡大するIgG4関連硬化性胆管炎では、CTやUSなどにおいて、胆管狭窄部だけでなく狭窄のない部位の胆管にも壁肥厚が高頻度に認められ、この所見は胆管がんとの鑑別に有用である。経乳頭的胆管生検では採取検体が小さいため、IgG4関連硬化性胆管炎と診断できるだけの材料を採取できる例が少ない。肝内胆管に病変が及ぶIgG4関連硬化性胆管炎では、肝生検がPSCとの鑑別に有効なこともある。ステロイドへの良好な反応性は、IgG4関連硬化性胆管炎の診断をより確実なものとするので、ステロイドトライアルも診断の一手段となる。しかし、診断目的の安易なステロイド投与は慎むべきである。■ IgG4関連涙腺・唾液腺炎従来ミクリッツ病やキュットナー腫瘍と呼ばれていた疾患で、診断にはIgG4関連ミクリッツ病の診断基準が用いられる。涙腺、耳下腺、顎下腺の持続性(3ヵ月)、対称性の2対以上の腫脹を基本として、高IgG4血症か、涙腺・唾液腺組織に著明なIgG4陽性形質細胞浸潤(強拡大5視野でIgG4陽性/IgG4陽性細胞が50%以上)のいずれかを満たした場合に診断される。多くは対称性に涙腺、耳下腺、顎下腺、舌下腺、小唾液腺のいずれかが腫脹する。シェーグレン症候群との鑑別が問題となるが、シェーグレン症候群に比べて、抗SS-A/SS-B抗体が陰性であり、乾燥性角結膜炎や唾液腺分泌障害が軽度である。■ IgG4関連腎臓病IgG4関連腎臓病診断基準(表5)により診断される。表5 IgG4関連腎臓病診断基準IgG4関連腎臓病では、びまん性腎腫大、腎実質の多発性造影不良域、腎腫瘤、腎盂壁肥厚などの特徴的な画像所見を呈することが多い。腎組織は間質性腎炎が主体であるが、膜性腎症などの糸球体病変を伴う場合もある。■ IgG4関連後腹膜線維症腹部大動脈周囲や尿管周囲の軟部組織の肥厚が特徴で、腫瘤を形成したり水腎症を起こしたりする。生検困難例も多く、悪性疾患や感染症などによる2次性後腹膜線維症との鑑別が問題となる。■ IgG4関連呼吸器病変画像上、肺門縦隔リンパ節腫大、気管支壁/気管支血管束の肥厚、小葉間隔壁の肥厚、結節影、浸潤影、胸膜病変などの胸郭内病変を呈する。また、病理組織学的には、気管支血管束周囲、小葉間隔壁、胸膜などの間質に、著明なリンパ球とIgG4陽性細胞の浸潤と線維化を認める。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)経口ステロイド治療が、IgG4関連疾患の標準治療法である。経口プレドニゾロン0.6mg/kg/日の初期投与量を2~4週間投与し、その後画像検査や血液検査所見などを参考に約2週間の間隔で5mgずつ漸減し、3~6ヵ月ぐらいで維持量まで減らす。治療への反応が悪い例では悪性腫瘍などを疑診して、再検査を行う必要がある。IgG4関連疾患では、ステロイド中止後にしばしば再燃が起こるので、再燃予防に少量のプレドニゾロン(5mg/日程度)の維持療法を1年前後行うことが多い。ただし、IgG4関連疾患は基本的に予後良好な疾患であることに加え、高齢者発症が多いので、ステロイド長期投与の副作用(腰椎圧迫骨折、大腿骨頭壊死、耐糖能異常など)を考慮して、画像診断および血液検査で十分な改善が得られた症例では、ステロイド投与の早期中止が望まれる。ステロイドを中止する際には、個々の症例における活動性を見極め、できるだけ少量投与に切り替えて中止するほうが安全である。また、ステロイド治療中止後も慎重な経過観察が必要である。ステロイド治療後に再燃を来しやすい因子として、治療後の画像上の改善が不十分、治療後も血中IgG4高値が続く、治療前の血中IgG4値が著しく高値である、などが挙げられる。再燃例では、ステロイドの再投与や増量により寛解が得られることが多い。欧米では、再燃例に対して、免疫抑制薬やリツキシマブを投与して、良好な成績が報告されている。2017年に作成された自己免疫性膵炎の治療に関する国際コンセンサスでは、ステロイドに抵抗性または副作用でステロイドが投与できない症例では、リツキシマブを第1選択とすると記載された。4 今後の展望IgG4の病因の解明と確実性のより高い血清学的マーカーの開発が望まれる。治療に関しては、Bリンパ球の表面免疫グロブリンのCD20抗原に対する抗体であるリツキシマブ(キメラ型抗CD20抗体、商品名:リツキサン)が、ステロイドや免疫抑制薬使用後に再燃したIgG4関連疾患に有効であったと海外で報告されている。しかし、リツキシマブは高価な薬剤であり、また、わが国ではIgG4関連疾患に対する投与は保険適用になっていない。5 主たる診療科消化器内科、リウマチ科、内分泌科、耳鼻咽喉科、腎臓内科、呼吸器内科、泌尿器科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報がん・感染症センター 都立駒込病院 IgG4関連疾患センター(世界で初めての専門外来センター)日本膵臓学会ホームページ さまざまなガイドライン(医療従事者向けのまとまった情報)難病情報センター IgG4関連疾患(一般利用者向け、医療従事者向けのまとまった情報)1)厚生労働省難治性疾患等政策研究事業 IgG4関連疾患の診断基準ならびに診療指針の確立を目指す研究班. 日内誌. 2021;110:962-969.2)日本膵臓学会 厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患等政策研究事業) IgG4関連疾患の診断基準ならびに診療指針の確立を目指す研究班. 膵臓. 2018;33:902-913.3)中沢貴宏ほか. 胆道. 2021;35:593-601.4)IgG4関連腎臓病ワーキンググループ.日腎会誌.2011;53:1062-1073.公開履歴初回2015年10月20日更新2017年04月18日更新2022年07月28日

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貨幣状湿疹

【皮膚疾患】貨幣状湿疹◆症状コインのように丸くもりあがった湿疹で、かゆみがあります。掻きこわしになるとジクジクして、離れた場所にも同様の湿疹ができることがあります(自家感作性皮膚炎)。◆原因肌の乾燥が原因のことが多いので、高齢者によくみられます。とくに冬季に多い湿疹です。アトピー性皮膚炎やかぶれが原因のこともあります。◆治療と予防・ステロイド外用薬で治療します。ジクジクしたら、包帯で保護します。・肌の乾燥を防ぐため、お風呂上りに保湿をしましょう。●一言アドバイス再発したらすぐにステロイド外用薬を塗るようにしましょう。監修:浅井皮膚科クリニック 院長Copyright © 2017 CareNet,Inc. All rights reserved.浅井 俊弥氏

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抗IL-31抗体、アトピー性皮膚炎のかゆみに有効/NEJM

 抗インターロイキン(IL)-31受容体Aヒト化モノクローナル抗体nemolizumab(CIM331)は、月1回の皮下投与により中等症~重症アトピー性皮膚炎患者のそう痒を有意に改善することが示された。ドイツ・ルートヴィヒ・マクシミリアン大学のThomas Ruzicka氏らが、nemolizumabの有効性と安全性を評価した第II相国際共同試験(XCIMA試験)の結果、報告した。IL-31は、アトピー性皮膚炎とそう痒の病理学的機序に重要な役割を果たしている可能性があり、第I相試験ではnemolizumab単回皮下投与により、中等症~重症アトピー性皮膚炎患者のそう痒が軽減され、睡眠障害やステロイド外用剤併用の減少がもたらされることも示唆されていた。今回の結果を踏まえて著者は、「アトピー性皮膚炎のかゆみに対し、IL-31受容体Aを標的とした治療が有効であることが示された」とまとめている。NEJM誌2017年3月2日号掲載の報告。中等度~重度アトピー性皮膚炎患者264例でnemolizumabの有効性を評価 XCIMA試験は、12週間の無作為化二重盲検プラセボ対照第II相試験である。対象は、外用治療を行うもコントロール不良の中等症~重症アトピー性皮膚炎成人患者(18~65歳)264例で、nemolizumabの各群(0.1mg、0.5mgまたは2.0mg/kgを4週ごと皮下投与、あるいは2.0mg/kgを8週ごと皮下投与)、およびプラセボ群(4週ごと皮下投与)に1対1対1対1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要評価項目は、12週時におけるベースラインからの、そう痒視覚的評価スケール(VAS)スコア変化率。副次評価項目は、12週時の湿疹面積重症度指数(Eczema Area and Severity Index:EASI)変化率および皮膚病変体表面積などであった。月1回皮下投与で、3ヵ月後にかゆみが改善 264例中216例(82%)が試験を完遂した。 12週時のそう痒VASスコア変化率は、nemolizumabを4週ごと0.1mg投与群で-43.7%、同0.5mg投与群で-59.8%、同2.0mg投与群で-63.1%であったのに対し、プラセボ群は-20.9%であった(いずれもp<0.01)。また、EASI変化率はnemolizumab 4週ごと投与群でそれぞれ-23.0%、-42.3%、-40.9%に対してプラセボ群-26.6%、皮膚病変の体表面積変化率はそれぞれ-7.5%、-20.0%、-19.4%と-15.7%であった。 治療中止に至った症例は、4週ごと投与の0.1mg群で53例中9例(17%)、0.5mg群で54例中9例(17%)、2.0mg群で52例中7例(13%)、プラセボ群は53例中9例(17%)であった。 なお著者は、試験期間の短さや症例数の少なさを研究の限界として挙げ、「有害事象に関しては結論を出すことはできない」と述べている。

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乾癬とアトピー性皮膚炎、EDリスクとの関連は?

 乾癬は心血管疾患のリスクを高めるが、アトピー性皮膚炎については明確になっていない。一方、冠動脈疾患のリスクマーカーとして、勃起障害(ED)を使用できることは確立されている。そこで、デンマーク・コペンハーゲン大学のAlexander Egeberg氏らは、乾癬、あるいはアトピー性皮膚炎を有する男性におけるEDの罹患率、有病率とリスクを調べた。その結果、乾癬を有する男性においてEDの有病率およびリスクの増加が認められた一方、アトピー性皮膚炎の男性では、EDリスクは一般集団と同等(あるいはわずかに低い程度)であった。Journal of Sexual Medicine誌オンライン版2017年1月18日号掲載の報告。 研究グループは、30歳以上のデンマークの全男性を対象に調査を行った。アトピー性皮膚炎あるいは乾癬を有する場合、全身治療の有無に基づき重症度を判定した。 横断研究として2008年1月1日に、ロジスティック回帰法を用いてEDの有病率およびオッズ比を推定するとともに、コホート研究として2008年1月1日~2012年12月31日まで追跡調査を行い、Cox回帰モデルにより、新規ED発症の補正ハザード比を推定した(年齢、社会経済学的状態、医療サービス消費量、喫煙、アルコール、糖尿病および脂質異常症薬の使用など、潜在的な交絡因子)。なお、新規ED発症とは、ED治療のための薬物療法の開始とした。 主な結果は以下のとおり。・デンマーク人の男性(30~100歳)175万6,679例のうち、アトピー性皮膚炎有病者は2,373例(軽度1,072例、重度1,301例)、乾癬有病者は2万6,536例(軽度2万1,775例、重度4,761例)で、平均年齢(±SD)は一般集団53.0±14.6歳、アトピー性皮膚炎有病者46.7±12.0歳、乾癬有病者56.3±13.8歳であった。・EDの有病率は、一般集団8.7%、アトピー性皮膚炎有病者6.7%、乾癬有病者12.8%であった。・EDの補正オッズ比は、アトピー性皮膚炎有病者で低下したが(0.68、0.57~0.80)、乾癬有病者では増加した(1.15、1.11~1.20)。・重症度別にみた補正オッズ比は、アトピー性皮膚炎有病者で軽度0.63(0.48~0.82)、重度0.72(0.58~0.88)、乾癬有病者で軽度1.16(1.11~1.21)、重度1.13(1.03~1.23)であった。・新規ED発症の補正ハザード比は、アトピー性皮膚炎有病者で0.92(0.76~1.11)、乾癬有病者で1.14(1.08~1.20)であった。・EDリスクは、軽度アトピー性皮膚炎(0.85、0.63~1.14)あるいは重度アトピー性皮膚炎(0.97、0.76~1.24)の男性では増加は認められなかったが、軽度乾癬(1.13、1.09~1.20)および重度乾癬(1.17、1.04~1.32)の男性では顕著な増大がみられた。

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アトピー性皮膚炎での入院患者は健康な人より短命?

 アトピー性皮膚炎と乾癬はいずれも慢性炎症性皮膚疾患で、乾癬では死亡リスクが高まることが知られている。アトピー性皮膚炎については死亡率に関する研究がほとんどなかったが、デンマーク・コペンハーゲン大学のAlexander Egeberg氏らは、デンマークの全国登録を用いて調査を行い、アトピー性皮膚炎による入院後の死亡率を調べた。その結果、10年死亡率は、乾癬に比べると低かったものの健康対照者と比較すると高いことが明らかになったという。なお、今回の検討について著者は「ライフスタイルが死亡リスクに影響を及ぼす可能性がある点で、研究には限界がある」と述べている。Journal of the American Academy of Dermatology誌2017年1月号(オンライン版2016年10月11日号)掲載の報告。 研究グループは、全国登録から1996~2002年の間に、アトピー性皮膚炎または乾癬のために初回入院した18歳以上の患者データを抽出し、アトピー性皮膚炎患者とマッチさせた健康対照者と比較した。解析は多変量Cox回帰法を用い、年齢、性別、社会経済学的状態、チャールソン併存疾患指数スコア、喫煙および薬物療法に関して調整したハザード比(HR)を求めた。 主な結果は以下のとおり。・最長10年の追跡期間で、入院患者はアトピー性皮膚炎576例、乾癬951例であった。・研究期間中の死亡例は、それぞれ65例および286例であった。・アトピー性皮膚炎患者の死亡リスクは、乾癬患者に比べ低かったが(HR:0.75、95%信頼区間[CI]:0.57~1.00)、健康対照者(5,760例)と比較すると高かった(HR:1.71、95%CI:1.20~2.44)。・アトピー性皮膚炎で入院した患者は、健康対照者よりも平均8.3歳短命であった。

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硬水と乳児アトピー性皮膚炎リスク増大の関連を確認

 アトピー性皮膚炎は、家庭用水の硬度が高い地域、および秋~冬に生まれた小児に多くみられるようだが、相乗作用があるかどうかはわかっていない。デンマーク・コペンハーゲン大学のKristiane Aa Engebretsen氏らは、大規模出生コホートを用いた研究を行い、生後早期の硬水への曝露ならびに秋~冬の出生は、生後18ヵ月以内におけるアトピー性皮膚炎の相対有病率の増加と関連していることを明らかにした。家庭用水の硬度と出生季節の間に相乗作用はなかったが、硬水とアトピー性皮膚炎との間には用量反応関係が観察されたという。Journal of Allergy and Clinical Immunology誌オンライン版2016年12月22日号掲載の報告。 研究グループは、デンマークにおける全国出生コホートの小児5万2,950例を対象に、アトピー性皮膚炎の既往(医師による診断)と人口統計学的特性について聞き取り調査を行うとともに、市民登録システムから出生データを、デンマーク・グリーンランド地質調査所から家庭用水の硬度に関するデータを入手し、log線形二項回帰モデルを用いてアトピー性皮膚炎の相対有病率を算出した。 主な結果は以下のとおり。・アトピー性皮膚炎の有病率は、15.0%(7,942/5万2,950例)であった。・アトピー性皮膚炎の相対有病率(RP)は、家庭用水の硬度(範囲:6.60~35.90 deg.dH[118~641mg/L])が5度増大するごとに、5%(RPtrend:1.05、95%信頼区間[CI]:1.03~1.07)高くなった。・アトピー性皮膚炎の相対有病率は、秋(RP:1.24、95%CI:1.17~1.31)または冬(RP:1.18、95%CI:1.11~1.25)の出生児で高かったが、家庭用水の硬度との有意な相互作用は観察されなかった。・アトピー性皮膚炎に対する硬水の人口寄与危険度は2%であった。

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ドライアイ患者の主観的健康感を損ねる因子とは

 ドライアイでは、しばしば自覚症状と他覚所見の間に乖離がみられる。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのJelle Vehof氏は、この不一致が主観的健康感の指標であることを大規模な横断研究により示した。不一致に関与する因子も明らかにされ、「その因子を認識しておくことは、日常診療においてドライアイ患者の評価に役立つ」とまとめている。Ophthalmology誌オンライン版2016年12月23日号掲載の報告。 研究グループは、オランダの3次ドライアイクリニックの患者コホートであるGroningen LOngitudinal Sicca StudY(GLOSSY)におけるドライアイ患者648例(女性82.7%、平均年齢±標準偏差55.8±15.6歳)を対象に、ドライアイの自覚症状と他覚所見の不一致に関する予測因子を検討した。 自覚症状はOcular Surface Disease Index(OSDI)質問票にて評価し、スコアに基づき0~1(合計スコアの最小値が0、最大値が1)にランク付けした。他覚所見は両眼の涙液浸透圧、シルマーテスト、涙液層破壊時間、角膜染色、結膜染色およびマイボーム腺機能不全により評価し、これら6つの検査から複合ドライアイ重症度スコアを算出後、同様にスコアに基づきランク付けした。 主要評価項目は、ドライアイの症状と所見の不一致に関与する因子(OSDIスコアランクと、ドライアイ重症度スコアのランクとの差)であった。 主な結果は以下のとおり。・他覚所見と比べ自覚症状がより強いことに有意に関連する因子は、慢性疼痛症候群の存在、アトピー性疾患、既知のアレルギー、抗ヒスタミン薬の使用(すべてのp<0.001)、うつ病(p=0.003)、変形性関節症(p=0.008)および抗うつ薬の使用(p=0.02)であった。・他覚所見と比べ自覚症状がより小さいことに関連する因子は、高齢者(p<0.001)、シェーグレン症候群(p<0.001)(原発性シェーグレン症候群:p<0.001、続発性シェーグレン症候群:p=0.08)、および移植片対宿主病(p=0.04)の存在であった。・他覚所見と比べ自覚症状がより強いことは、主観的健康感の低さ(p<0.001)と強く関連していた。

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新生児期の飼い犬との触れ合いがアトピーのリスク低下に関与

 デンマーク・コペンハーゲン大学のSunna Thorsteinsdottir氏らは、コペンハーゲン小児喘息前向きコホート研究(Copenhagen Prospective Studies on Asthma in Childhood:COPSAC)から2つの独立した出生コホートを用い、生後3年間における室内犬への曝露がアトピー性皮膚炎発症に影響を及ぼすかどうかを検討した。その結果、新生児の室内犬への曝露はアトピー性皮膚炎のリスク減少と強く関連しており、その関連は飼犬頭数に依存的であることを明らかにした。著者は、「機序は不明だが、今回の結果は胎児のときの曝露量がアトピー性皮膚炎のリスクに影響を及ぼす可能性を提起するもので、疾患の経過について早期における環境要因の重要性を強調するものである」とまとめている。Allergy誌2016年12月号(オンライン版2016年8月9日号)掲載の報告。 COPSACは、進行中の前向き出生コホート研究で、研究グループは、COPSAC2000から喘息を有する母親から生まれた児411例と、COPSAC2010から任意抽出した児700例のデータを解析した。 児のアトピー性皮膚炎はHanifin-Rajka基準に従って診断され、親の喘息、皮膚炎または鼻炎の既往歴は自己申告に基づく医師の診断と定義された。8つの吸入性アレルゲンに対する母体の特異血清IgEは、COPSAC2000コホートでは児の出生後、COPSAC2010では妊娠24週に評価された。 Cox比例ハザード回帰モデルを用い、室内犬への曝露とアトピー性皮膚炎との関連を検討した。 主な結果は以下のとおり。・COPSAC2000およびCOPSAC2010の両コホートにおいて、アトピー性皮膚炎のリスクは室内犬曝露がある小児で有意に低かった。COPSAC2000コホートの補正ハザード比(HR)は0.46(95%信頼区間[CI]:0.25~0.87、p=0.02)、COPSAC2010は同0.58(0.36~0.93、p=0.03)であった。・COPSAC2010において、アトピー性皮膚炎のリスクは飼犬頭数の増加に伴って減少した(補正後HR:0.58、95%CI:0.38~0.89、p=0.01)。・防御効果は、任意抽出のCOPSAC2010コホートにおいて、アトピー性疾患を有する母親から生まれた児に限定され(補正後HR:0.39、95%CI:0.19~0.82、p=0.01)、アトピー性疾患のない母親から生まれた児ではみられなかった(補正後HR:0.92、95%CI:0.49~1.73、p=0.79)。・父親のアトピー性疾患の状況、アトピー性皮膚炎のリスクによる影響はみられなかった。・両コホートとも、室内犬曝露とCD14のT/T遺伝子型との間に、重要な相互作用は認められなかった(COPSAC2000のp=0.36、COPSAC2010のp=0.42)。

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離乳期早期からの加熱卵摂取は卵アレルギーを予防/Lancet

 積極的なアトピー性皮膚炎治療と併用し、離乳期早期から加熱した卵を少量ずつ段階的に摂取することで、ハイリスク乳児の鶏卵アレルギーを安全に予防できることが明らかとなった。国立成育医療研究センターの夏目統氏らが、アトピー性皮膚炎の乳児を対象に行った無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「卵アレルギーの発症予防研究(Prevention of Egg Allergy with Tiny Amount Intake:PETIT研究)」の結果を報告した。近年、食物アレルギーの予防戦略として、摂取を遅らせるより早期摂取のほうが有効であるとのエビデンスが増えてきている。このような固形食物の早期摂取によりアレルギー反応が引き起こされることもあったが、著者は、「今回の研究で、食物アレルギーによって引き起こされるアレルギー発症の第二の波を克服する実用的な方法が開発された」とまとめている。Lancet誌オンライン版、2016年12月8日号掲載の報告。生後6ヵ月から、加熱卵粉末 vs.プラセボ(カボチャ粉末)摂取で検討 PETIT試験は国内の2施設で、アトピー性皮膚炎を有する生後4~5ヵ月の乳児を対象に実施された。在胎37週未満の出生児、鶏卵・卵製品の摂取歴、鶏卵に対する即時型アレルギーの既往歴、特定の食物に対する非即時型アレルギーの既往歴、重篤な併存疾患のある乳児は除外した。 対象乳児を生後6ヵ月から、加熱全卵粉末を含むカボチャ粉末を摂取する「卵群」と、カボチャ粉末のみの「プラセボ群」に1対1の割合で、二重盲検法により割り付けた(4ブロックのブロックランダム化:施設および性別で層別化)。卵群は、加熱全卵粉末50mg/日(ゆで卵0.2g相当)から開始し、生後9ヵ月以降は加熱全卵粉末250mg/日(ゆで卵1.1g相当)を摂取した。なお、全例、登録時および介入期間中、積極的にアトピー性皮膚炎の治療を行い、増悪することなくコントロールされた。 主要評価項目は、生後12ヵ月時点における経口負荷試験(加熱全卵粉末7g:ゆで卵32g相当)で確認した卵アレルギー発症率であった。生後12ヵ月時点、卵群の卵アレルギー発症率は約80%減少 2012年9月18日~2015年2月13日に、乳児147例が割り付けられた(卵群73例、プラセボ群74例)。 本試験は、100例の中間解析において2群間に有意差が確認されたため、早期終了となった。卵アレルギー発症率は、卵群9%(4/47例)に対し、プラセボ群38%(18/47例)で、リスク比は0.222(95%信頼区間[CI]:0.081~0.607、p=0.0012)であった。 主要評価項目解析対象集団(試験終了による中止例と介入を実施できなかった症例を除く)において、卵アレルギー発症率は、プラセボ群38%(23/61例)に対して卵群8%(5/60例)であった(リスク比:0.221、95%CI:0.090~0.543、p=0.0001)。 有害事象については、入院率について両群に差が認められた(卵群10%[6/60例]vs.プラセボ群0例、p=0.022)。試験粉末摂取後に急性イベントが、卵群9例(15%)において19件、プラセボ群11例(18%)において14件発生したが、急性のアレルギー反応は認められなかった。

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START研究が喘息診療の過去の幻想を拭い去った(解説:倉原 優 氏)-625

 過去のガイドラインにおいて、吸入ステロイド薬(ICS)治療は1週間に2日を超えて症状がある喘息患者、すなわちpersistent asthmaに推奨されてきた歴史がある。それ以下の症状の喘息をintermittent asthmaと呼び、吸入短時間型β2刺激薬などでその都度発作を解除してきた。 この2日というカットオフ値がエビデンス不足のまま現行GINAガイドライン1)へ至ることとなったため、軽症の喘息患者に対するICSの適否をはっきりさせるべきだという意見が多かった。そのため、START研究の事後解析が行われた。なお、現在のGINAガイドライン1)では、頻繁ではないが喘息症状を有し発作のリスクが高い患者に対しては低用量ICSでの治療開始(step 2)を推奨している1)。日本のガイドライン2)では治療ステップ1および2のカットオフ値は、週1回と月1~2回という問診が用いられている。 START研究について解説しておくが、これは今から13年前、発症2年以内の軽症持続型喘息患者を対象に長期追跡した有名な大規模試験である。この研究は、軽症持続型喘息患者においては発症早期から低用量ICSを使うべしという道筋を立てた、喘息診療のマイルストーンともいうべき存在である。 事後解析では、喘息症状の頻度を0~1日/週(0~1日群)、1~2日/週(1~2日群)、2日超/週(2日超群)で層別化し、複合プライマリアウトカムに初回の喘息関連イベント(SARE:入院、救急受診治療、死亡)およびベースラインからの肺機能の変化(気管支拡張後)が設定された。ICSは低用量ブデソニドが用いられ、これがプラセボと比較されている。 層別化はおおむねバランスのとれた頻度で、0~1日群が31%、1~2日群が27%、2日超群が43%だった。解析の結果、どの症状頻度サブグループにおいても初回のSAREまでの期間を有意に延長させることがわかった(0~1日群:ハザード比0.54 [95%信頼区間0.34~0.86]、1~2日群:ハザード比0.60 [95%信頼区間0.39~0.93] 、2日超群:ハザード比:0.57 [95%信頼区間0.41~0.79], p=0.94)。さらに、プラセボ群と比較すると、ブデソニド群は経口あるいは全身性ステロイドを要する重症発作のリスクを減らした(0~1日群:率比0.48 [95%信頼区間0.38~0.61]、1~2日群:率比0.56 [95%信頼区間0.44~0.71]、2日超群:率比0.66 [95%信頼区間0.55~0.80]、p=0.11)。 つまり、1週間あたりの症状が少なかろうと多かろうと、この軽症喘息というくくりでみた患者のすべてが低用量ICSの恩恵を受けることは間違いないということである。「1週間に2日」という幻想に縛られていた過去を、見事に拭い去る結果となった。 喘息であれば早期からICSを導入する、という考え方は正しい。しかし、咳喘息やアトピー咳嗽などの喘息以外の好酸球性気道疾患が増えてきたうえ、喘息とCOPDがオーバーラップしているという疾患概念まで登場している。疾患診断が昔より複雑になったことは否めない。その中で、経験的にICSをホイホイと処方するようになってしまうと、医学的効果がほとんど得られないにもかかわらず、将来の肺炎リスクのみを上昇させてしまうような事態にもなりかねない。 何よりも、喘息という疾患を正しく診断することが重要なのはいうまでもない。参考1)Global Strategy for Asthma Management and Prevention. Updated 20162)喘息予防・管理ガイドライン2015. 日本アレルギー学会喘息ガイドライン専門部会編. 協和企画.

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アトピー性皮膚炎の自己免疫疾患リスク、喫煙と関連か

 成人アトピー性皮膚炎患者は自己免疫疾患に罹患しやすく、とくに喫煙者で認められることが、デンマーク・コペンハーゲン大学のYuki M F Andersen氏らによる全国健康登録データの検証の結果、示された。これまでに、アトピー性皮膚炎と自己免疫疾患の関連性について指摘はされているが、データはほとんどなく、一貫性が認められなかった。著者は、「今回のデータで因果関係について結論することはできないが、アトピー性皮膚炎患者において自己免疫疾患が増大しているとの認識を正当化できるものと思われる」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2016年10月11日号掲載の報告。喫煙歴のあるアトピー性皮膚炎患者は自己免疫疾患発症率が顕著に高かった 研究グループは、アトピー性皮膚炎を有する成人患者において、選択した自己免疫疾患について、罹患の共通性が認められるかを調べた。全国健康登録データを用い、1997~2012年に、国内の病院でアトピー性皮膚炎と診断された成人(症例群)と、その適合成人(対照群)を選び、両群で自己免疫疾患の発症について比較した。 ロジスティック回帰法を用いて、オッズ比を算出し評価した。 アトピー性皮膚炎と自己免疫疾患の関連性を評価した主な結果は以下のとおり。・ケース群は8,112例、対照群は4万560例であった。・22の自己免疫疾患について調べた結果、11についてアトピー性皮膚炎との有意な関連が認められた。・さらに、アトピー性皮膚炎は多発性の自己免疫疾患と関連することも示された。・喫煙歴のあるアトピー性皮膚炎患者は、非喫煙患者と比較して、自己免疫疾患発症率が顕著に高かった。・今回の試験はアトピー性皮膚炎成人患者に限定したものであり、またアトピー性皮膚炎の重症度や喫煙量に関する情報は入手できていない。また、病院での診断歴のある患者を対象とした検討の結果で、一般化できないといった点で限定的なものである。

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タバコとアトピー性皮膚炎、受動/能動喫煙いずれも関連

 タバコの煙は、アトピー性皮膚炎(AD)の危険因子かもしれない。米国・ノースウェスタン大学のRobert Kantor氏らのシステマティックレビューおよびメタ解析の結果、能動喫煙および受動喫煙によるタバコの煙への曝露は、AD有病率の増加と関連していることが明らかとなった。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2016年8月16日号掲載の報告。 研究グループは、アトピー性皮膚炎とタバコの煙への曝露との関連について検討する目的で、MEDLINE、EMBASE、ScopusおよびCochrane Libraryを用い1823~2015年に発表された論文を検索し、観察研究86報のシステマティックレビューおよびメタ解析を行った。 エビデンスの質はNewcastle-Ottawa Scale(NOS)にて評価し、メタ解析はランダム効果モデルを用いて推定プールオッズ比(OR)を算出して行った。サブセット解析は、年齢(小児、成人)、地域、試験デザイン(横断、縦断)、研究の規模(<5,000、≧5,000)、研究の質(NOSスコア<6、≧6)、および喫煙量(少量、多量)に関して行われた。 主な結果は以下のとおり。・ADの診断は、能動喫煙(OR:1.87、95%信頼区間[CI]:1.32~2.63)および受動喫煙(OR:1.18、95%CI:1.01~1.38)でOR高値の関連が認められた。・一方、妊娠中における母親の喫煙(OR:1.06、95%CI:0.80~1.40)とは関連していなかった。・能動喫煙とADとの関連は、小児・成人、地域、研究の規模にかかわらず有意なままであった。ただし、研究はすべて横断研究でありNOSスコアは6以上であった。・受動喫煙については、小児・成人、横断研究、南部/中央アメリカおよびアフリカで行われた研究、研究の規模が5,000未満、NOSスコア6未満の研究において、ADとの関連が認められた。

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歯科従事者の手湿疹有病率36.2%、そのリスク因子とは?

 歯科医療従事職は、手湿疹のリスクが高い職業の1つである。熊本大学大学院 公衆衛生学分野の皆本 景子氏らは、歯科医療従事者における職業性手湿疹の有病率とそのリスク因子を明らかにする目的でアンケート調査を行った。その結果、実際に歯科医療従事者の手湿疹有病率は高いことが明らかになり、著者は、「予防のための教育とより頻繁なパッチテストが必要」と述べている。Contact Dermatitis誌2016年10月号の掲載の報告。 研究グループは、熊本市内の全歯科医院に自己記入式アンケートを郵送するとともに、歯科医療に関連する24種のアレルゲンに対するパッチテストの希望者を募り、パッチテストを行った。 主な結果は以下のとおり。・97医院(全送付先の31.4%)の歯科医療従事者、計528人(全従事者の46.4%)から回答が得られた。・手湿疹の年間有病率は、36.2%であった。・ロジスティック回帰分析の結果、年間有病率の最も重要なリスク因子は、アトピー性皮膚炎(オッズ比[OR]:4.7、95%信頼区間[CI]:2.2~8.8)、喘息・アレルギー性鼻炎(OR:2.0、95%CI:1.3~3.0)、皮膚乾燥(OR:1.7、95%CI:1.1~2.7)、歯科医療従事期間が短いこと(10年以内の20年超に対するOR:2.0、95%CI:1.2~3.5)、手洗浄回数が>10回/日(OR:1.6、95%CI:1.0~2.5)であった。・54人がパッチテストを受けた。職業に関連した接触アレルゲンは、ゴム関連化学物質およびアクリルであった。

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PDE4阻害薬軟膏、小児・成人のアトピー性皮膚炎に有用

 アトピー性皮膚炎に対し、ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬のcrisaborole軟膏は、有効性のすべての評価項目を改善し良好な安全性プロファイルを示したことが報告された。米国・ノースウェスタン大学のAmy S. Paller氏らが行った、アトピー性皮膚炎の小児と成人を対象に行った第III相の2試験において示された。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版7月7日号の掲載報告。 研究グループは、crisaborole軟膏の有効性および安全性を評価する2件の第III相試験(AD-301試験[NCT02118766]、AD-302試験[NCT02118792])を実施した。 2試験とも試験デザインは同じで、軟膏基剤を対照とした二重盲検試験。医師による全般重症度評価(Investigator's Static Global Assessment:ISGA)で軽症~中等症のアトピー性皮膚炎と診断された2歳以上の小児および成人患者を、crisaborole群と軟膏基剤塗布群に2対1の割合で無作為に割り付け、それぞれ1日2回、28日間塗布した。 主要評価項目は、29日目のISGAスコア改善(症状消失[0]/ほぼ消失[1]、かつベースラインからのスコアが2グレード以上改善)であった。また、ISGAスコア改善までの期間、症状消失/ほぼ消失の患者の割合、アトピー性皮膚炎症状の重症度の低下、およびそう痒の改善までの期間についても評価した。 主な結果は以下のとおり。・2試験ともに、ISGAスコア改善を達成した患者の割合は、crisaborole群が軟膏基剤群より高かった。AD-301試験(32.8% vs.25.4%、p=0.038)、AD-302試験(31.4% vs.18.0%、p<0.001)。・同様に症状消失/ほぼ消失の患者の割合も、crisaborole群が高かった。AD-301試験(51.7% vs.40.6%、p=0.005)、AD-302試験(48.5% vs.29.7%、p<0.001)。・crisaborole群では、軟膏基剤群よりISGAスコアの改善ならびにそう痒の改善が、より早期に達成された。・治療関連有害事象はまれで、有害事象の重症度は軽度~中等度であった。・なお結果は、試験期間が短く、限定的である。

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喘息の発症時期、早いほうがより重症?

 小児発症喘息と成人発症喘息を比較した場合、小児発症喘息のほうが成人期の肺機能への影響が大きいことが、オーストラリア・メルボルン大学のTan DJ氏らにより報告された。Thorax誌オンライン版2016年6月14日号掲載の報告。 これまでに、小児発症喘息と成人発症喘息の違いは、前向き研究のデータを用いて包括的に評価されたことはなかった。本研究では、タスマニア縦断研究(TAHS)のデータを用いて小児発症喘息と成人発症喘息の特徴の違いが検討された。1968年、対象者が7歳のときに一度目の呼吸器系の病歴調査およびスパイロメトリーが行われた(n=8583)。その後、2002年から2005年までに行われた対象者の追跡・再調査において、喘息と気管支炎を進展した成人患者1,389例を研究対象者とした。 主な結果は以下のとおり。・全TAHSコホートのうち、7.7%(95%信頼区間[CI]:6.6~9.0%)が小児発症喘息、7.8%(95%CI:6.4~9.4%)が成人発症喘息であった。・アトピーや家族歴のある患者は小児発症喘息でより多くみられ、成人発症喘息では女性・喫煙者・社会経済状況の低い患者が多くみられた。・一秒率の低下は小児発症患者のほうがより大きかった(気管支拡張薬使用前の小児発症・成人発症患者の低下率の差:-2.8%[95% CI:-5.3~-0.3]、気管支拡張薬使用後の差:-2.6%、[95%CI:-5.0~-0.1])。・喘息の重症度および喘息スコアには、発症年齢による有意差がみられなかった。・喘息と喫煙の間には交互作用がみられ、成人発症喘息患者の不可逆性気流閉塞の程度が喫煙と関連していることが示された。しかし、小児発症喘息患者ではこの交互作用はみられなかった。

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