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睡眠薬使用は自動車事故を増加させているのか

 催眠鎮静薬の使用と自動車衝突事故リスクとの関連性について、米国・シアトル大学のRyan N Hansen氏らは検証を行った。American journal of public health誌オンライン版2015年6月11日号の報告。 研究グループは、統合ヘルスケアシステムより抽出した、成人40万9,171人の新規使用者のコホート研究を行った。ヘルスプランデータは、運転免許証と衝突記録にリンクさせた。対象者は、ワシントン州の運転免許を取得(2003~2008年の間に少なくとも1年以上保持)した21歳以上の成人。死亡、保険の解約、または試験終了まで調査した。鎮静薬3剤に関連する事故リスクを推定するため、比例ハザード回帰を用いた。 主な結果は以下のとおり。・5.8%の患者が、新規に鎮静薬を処方されていた(1万1,197人/年)。・鎮静薬の新規使用者では、不使用者と比べて、衝突事故リスクの増加と関連していた。 temazepam(国内未承認):HR 1.27(95%CI:0.85~1.91) トラゾドン:HR 1.91(95%CI:1.62~2.25) ゾルピデム:HR 2.20(95%CI:1.64~2.95)・これらのリスクは、血中アルコール濃度レベルが0.06~0.11%の場合と同等と推算された。 著者らは「催眠鎮静薬の新規使用は、自動車衝突事故リスクの増加との関連が認められたことから、催眠鎮静薬の処方を開始する臨床医は、治療期間や運転リスクに関するカウンセリングを考慮する必要がある」とまとめている。  担当者へのご意見箱はこちら関連医療ニュース てんかんドライバーの事故率は本当に高いのか 精神疾患ドライバー、疾患による特徴の違い 認知症ドライバーの運転能力、どう判断すべきか

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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第21回

第21回:全般性不安障害とパニック障害のアプローチ監修:吉本 尚(よしもと ひさし)氏 筑波大学附属病院 総合診療科 プライマリケアの場において、原因がはっきりしないさまざまな不安により日常生活に支障を生じている患者を診療する経験があるのではないかと思います。またとくに若い患者たちの中でみることの多いパニック障害もcommonな疾患の1つと思われ、その数は年々増加しているともいわれています。厚労省の調査1)では、何らかの不安障害を有するのは生涯有病率が9.2%であるとされ、全般性不安障害1.8%、パニック障害0.8%という内訳となっています。医療機関を受診する患者ではさらにこの割合が高くなっていると考えられ、臨床では避けて通れない問題となっています。全般性不安障害とパニック障害の正しい評価・アプローチを知ることで患者の不要な受診を減らすことができ、QOLを上げることにつながっていくと考えられます。 タイトル:成人における全般性不安障害とパニック発作の診断、マネジメントDiagnosis and management of generalized anxiety disorder and panic disorder in adults.以下、American Family Physician 2015年5月1日号2)より1. 典型的な病歴と診断基準全般性不安障害(generalized anxiety disorder:GAD)典型的には日常や日々の状況について過度な不安を示し、しばしば睡眠障害や落ち着かなさ、筋緊張、消化器症状、慢性頭痛のような身体症状と関係している。女性であること、未婚、低学歴、不健康であること、生活の中のストレスの存在がリスクと考えられる。発症の年齢の中央値は30歳である。「GAD-7 スコア」は診断ツールと重症度評価としては有用であり、スコアが10点以上の場合では診断における感度・特異度は高い。GAD-7スコアが高いほど、より機能障害と関連してくる。パニック障害(panic disorder:PD)明らかな誘因なく出現する、一時的な予期せぬパニック発作が特徴的である。急激で(典型的には約10分以内でピークに達する)猛烈な恐怖が起こり、少なくともDSM-5の診断基準における4つの身体的・精神的症状を伴うものと定義され、発作を避けるために不適合な方法で行動を変えていくことも診断基準となっている。パニック発作に随伴する最もよくみられる身体症状としては動悸がある。予期せぬ発作が診断の要項であるが、多くのPD患者は既知の誘因への反応が表れることで、パニック発作を予期する。鑑別診断と合併症内科的鑑別:甲状腺機能亢進症、褐色細胞腫、副甲状腺機能亢進症などの内分泌疾患、不整脈や閉塞性肺疾患などの心肺疾患、側頭葉てんかんやTIA発作などの神経疾患その他の精神疾患:その他の不安障害、大うつ病性障害、双極性障害物質・薬剤:カフェイン、β2刺激薬、甲状腺ホルモン、鼻粘膜充血除去薬、薬物の離脱作用GADとPDは総じて気分障害、不安障害、または薬物使用などの少なくとも1つの他の精神的疾患を合併している。2. 治療患者教育・指導配慮のある深い傾聴が重要であり、患者教育自体がとくにPDにおいて不安症状を軽減する。また生活の中で症状増悪の誘因となりうるもの(カフェイン、アルコール、ニコチン、食事での誘因、ストレス)を除去し、睡眠の量・質を改善させ、身体的活動を促す。身体的活動は最大心拍数の60%~90%の運動を20分間、週に3回行うことやヨガが推奨される。薬物療法第1選択薬:GADとPDに対してSSRIは一般的に初期治療として考慮される。三環系抗うつ薬(TCA)もGADとPDの両者に対して有効である。PDの治療において、TCAはSSRIと同等の効果を発揮するが、TCAについては副作用(とくに心筋梗塞後や不整脈の既往の患者には致死性不整脈のリスクとなる)に注意を要する。デュロキセチン(商品名:サインバルタ)はGADに対してのみ効果が認められている。buspironeのようなazapirone系の薬剤はGADに対してはプラセボよりも効果があるが、PDには効果がない。bupropionはある患者には不安を惹起するかもしれないとするエビデンスがあり、うつ病の合併や季節性情動障害、禁煙の治療に用いるならば、注意深くモニターしなければならない。使用する薬剤の容量は漸増していかなければならない。通常、薬剤が作用するには時間がかかるため、最大用量に達するまでは少なくとも4週間は投与を続ける。症状改善がみられれば、12ヵ月間は使用すべきである。ベンゾジアゼピン系薬剤は不安の軽減には効果的だが、用量依存性に耐性や鎮静、混乱や死亡率と相関する。抗うつ薬と抗不安薬の併用は迅速に症状から回復してくれる可能性はあるが、長期的な予後は改善しない。高い依存性のリスクと副作用によってベンゾジアゼピンの使用が困難となっている。NICEガイドライン3)では危機的な症状がある間のみ短期間に限り使用を推奨している。中間型から長時間作用型のベンゾジアゼピン系薬剤はより乱用の可能性やリバウンドのリスクは少ない。第2選択薬:GADに対しての第2選択薬として、プレガバリン(商品名:リリカ)とクエチアピン(同:セロクエル)が挙げられるが、PDに対してはその効果が評価されていない。GADに対してプレガバリンはプラセボよりは効果が認められるが、ロラゼパム(同:ワイパックス)と同等の効果は示さない。クエチアピンはGADに対しては効果があるが、体重増加や糖尿病、脂質異常症を含む副作用に注意を要する。ヒドロキシジン(同:アタラックス)はGADの第2選択薬として考慮されるが、PDに対しては効果が低い。作用発現が早いため、速やかな症状改善が得られ、ベンゾジアゼピンが禁忌(薬物乱用の既往のある患者)のときに使用される。精神療法とリラクゼーション療法精神療法は認知行動療法(cognitive behavior therapy:CBT)や応用リラクゼーションのような多くの異なったアプローチがある。精神療法はGADとPDへの薬物療法と同等の効果があり、確立されたCBTの介入はプライマリケアの場では一貫した効果が立証されている。精神療法は効果を判定するには毎週少なくとも8週間は続けるべきである。一連の治療後に、リバウンド症状を認めるのは、精神療法のほうが薬物療法よりも頻度は低い。各人に合わせた治療が必要であり、薬物療法と精神療法を組み合わせることで2年間の再発率が減少する。3. 精神科医への紹介と予防GADとPD患者に対して治療に反応が乏しいとき、非典型的な病歴のもの、重大な精神科的疾患の併発が考慮される場合に、精神科医への紹介が適用となる。※本内容は、プライマリケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。 1) 川上憲人ほか. こころの健康についての疫学調査に関する研究(平成16~18年度厚生労働科学研究費補助金(こころの健康科学研究事業). こころの健康についての疫学調査に関する研究,総合研究報告書). 2007. 2) Locke AB, et al. Am Fam Physician. 2015;91:617-624. 3) NICEガイドライン. イギリス国立医療技術評価機構(The National Institute for Health and Care Excellence:NICE).

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統合失調症への集団精神療法、効果はどの程度か

 統合失調症に対してさまざまな集団精神療法が行われているが、その効果についてはほとんどわかっていない。英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のStavros Orfanos氏らは、集団精神療法の効果を評価するとともに、“集団効果”が治療強度、診断の均一性および治療方針と関連があるかどうかを検討する目的で、システマティックレビューを行った。その結果、統合失調症の治療において集団精神療法は陰性症状や社会的機能を改善しうることが認められ、その効果はさまざまな集団療法でみられ非特異的であることが示唆された。著者らは「将来的には集団療法の有効性のメカニズムを明らかにし、治療効果を最大化する方法を検討すべきである」とまとめている。Psychother Psychosom誌2015年6月号の掲載報告。 研究グループは、統合失調症患者を対象とした集団精神療法の無作為化比較試験について系統的に検索し、評価項目である症状スコアについてランダム効果モデルを用いたメタ解析を行い、集団精神療法群と通常治療群または偽集団療法群を比較するとともに、社会的機能については所見をまとめ、集団特性に関してメタ回帰分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・34件の無作為化比較試験が本レビューに組み込まれた。・陰性症状の改善は、通常治療と比較した場合のみ集団精神療法が有意に優れていた(標準化平均差[SMD]=-0.37、95%信頼区間:-0.60~-0.14;p<0.01、I2=59.8%)。・大多数の研究において、通常治療と比較した場合の治療成果として、社会的機能の改善が報告されていた。・陰性症状に対する“集団効果”は、“治療強度”と正の関連を示した(β=0.32、標準誤差=0.121、p<0.05)。関連医療ニュース 統合失調症への支持療法と標準的ケア、その差は 統合失調症の社会参加に影響する症状は何か てんかん患者への精神療法、その効果は  担当者へのご意見箱はこちら

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一般集団における知的障害、ゲノムワイド研究で判明/JAMA

 スイス・ローザンヌ大学のKatrin Mannik氏らは、一般集団を対象にヒト遺伝子のコピー数多型(copy number variations:CNV)と認知表現型(Cognitive Phenotypes)の関連を調べた。CNVと知的障害に関するような表現型との関連は、これまでほとんどが臨床的に確認された集団コホートにおいて評価されたものであった。研究グループは、臨床的プリセレクションのない成人キャリアにおけるCNVによる臨床的特性と既知の症候群との関連を調べ、また一般集団において、頻度やサイズがまれなCNVキャリアの学業成績(educational attainment)におけるゲノムワイドな影響と、知的障害の有病率を調べた。JAMA誌2015年5月26日号掲載の報告より。エストニアコホート7,877例で評価 検討は、エストニアの住民ベースのバイオバンクに、2002~2010年にかけて参加登録された5万2,000例を対象に行われた。  一般医(GP)が被験者の検診や、健康および生活習慣関連の質問アンケート記入を行い、診断を報告した。 CNV解析は無作為に抽出したサンプル7,877例(エストニアコホート)について行い、遺伝子型表現型と教育、疾患特性との関連を評価した。結果は、エストニア人993例の高機能群のほか、地理的に異なる英国、米国、イタリアの3つの国の住民コホートで再現した。 主要評価項目は、一般集団における遺伝的障害の表現型、常染色体CNVの有病率、これらの異型と学業成績(初等教育未満レベルの1から大学院レベルの7までで評価)との関連、知的障害の有病率であった。一般集団で10.5%が知的障害や低学業成績と関連するCNVキャリア エストニアコホート7,877例のうち、既知の症候群と関連したCNVキャリア56例が特定された。その表現型には、認知および精神医学的な問題、てんかん、神経障害、肥満、先天奇形などが含まれ、臨床コホートで確認された同一の再編成キャリアと類似したものであった。 希少なCNV(頻度0.05%以下、サイズ250kb以上)のゲノムワイド評価により、一般集団のうち831例(10.5%)が同キャリアであることが特定された。 エストニアコホートにおける知的障害の有病率は114/6,819例(1.7%)であった。これに対して、サイズ250kb以上の欠損キャリアの同有病率は11/216例(5.1%)(オッズ比[OR]:3.16、95%信頼区間[CI]:1.51~5.98、p=1.5e-03)、1Mb以上の重複キャリアは6/102(5.9%)(OR:3.67、95%CI:1.29~8.54、p=0.08)であった。 また平均学業成績は、250kb以上の欠損キャリアの評価対象248例では3.81(p=1.06e-04)、1Mb以上の重複キャリア115例では3.69(p=5.024e-05)であった。高校を卒業していなかった者は、欠損キャリアは33.5%(OR:1.48、95%CI:1.12~1.95、p=0.05)、重複キャリアは39.1%(同:1.89、1.27~2.8、p=1.6e-03)であった。 まれなCNVと学業成績が低いことの関連に関するエビデンスは、イタリア、米国の成人コホートおよび英国の青年コホートの分析でも裏付けられた。 結果を踏まえて著者は、「非選択的で健康である成人集団において、既知の病原性CNVは、未確認の臨床的な後遺症と関連している可能性が示唆された。さらに、まれだが一定数が有している中程度サイズのCNVは、ネガティブな学業成績と関連していることが示唆された」と述べ、「所見が追加集団でも再現されたことは、遺伝研究や臨床的な治療、公衆衛生において同様の観察が重要であることを示すものである」とまとめている。

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てんかんドライバーの事故率は本当に高いのか

 米国・ホフストラ・ノースショアLIJ医科大学のPuja Appasaheb Naik氏らは、米国神経学会のガイドラインに準じてシステマティックレビューを行った。その結果、てんかんを有するドライバーと一般集団における交通事故率の違いに関するエビデンスは矛盾しており、結論は得られないことを報告した。Epilepsy&Behavior誌オンライン版2015年5月7日号の掲載報告。 研究グループは、PubMedを用いて1996年以降に発表された英語論文を検索し、てんかん患者と非罹患者における自動車運転による交通事故のリスクを比較検討した。 結果は以下のとおり。・本レビューの対象となったエビデンスは、クラスⅡの研究が6件、クラスIIIの研究が1件であった。・2件(クラスIIIおよびクラスII、各1件)は、一般集団と比較し、てんかん患者群で全交通事故率が減少する傾向がみられた。各研究の相対リスク(RR)は0.86(95%信頼区間[CI]:0.65~1.14)と1.00(同:0.95~1.06)であった。なお、どちらの研究も交通事故率は自己報告に基づいた。・3件(すべてクラスⅡ)は、一般集団と比較して、てんかん患者群で全交通事故率の増大または増大傾向がみられた。RRは、保険会社・救急診療部・医師が報告しているデータベースに用いた研究で1.62(95%CI:0.95~2.76)、警察の報告を用いた研究で1.73(同:1.58~1.90)、救急来院に基づいた研究で7.01(同:2.18~26.13)であった。・1件(クラスⅡ)は、死亡事故の発生率について、てんかん患者との比較において、他疾患に起因する事故は26倍、アルコール中毒に起因する事故は156倍と報告していた。・1件(クラスⅡ)は、てんかん患者の発作による交通事故は、交通事故2,800件につき1件と報告していた。 一般集団と比較したてんかん患者の交通事故率について、矛盾した結果が得られたことについて、著者らは方法論的な差異を挙げたうえで、「今後の研究では、交通事故率の算出はてんかん患者の自己申告によらない客観的な指標を用い、分母には走行距離を用いるべきである」とまとめている。【訂正のお知らせ】本文に誤りがあったため、一部訂正いたしました(2016年8月24日)。関連医療ニュース 精神疾患ドライバー、疾患による特徴の違い 認知症ドライバーの運転能力、どう判断すべきか てんかん患者への精神療法、その効果は  担当者へのご意見箱はこちら

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小児てんかん、多剤併用療法の悪影響は

 英国・Young EpilepsyのColin Reilly氏らは、小児活動性てんかんにおける全般的認知、ワーキングメモリおよび処理スピードの障害について調査した。その結果、とくにワーキングメモリおよび処理スピードの障害が顕著であること、多剤併用療法は全般的認知、ワーキングメモリおよび処理スピードの障害に関連していることを報告した。これまで、小児てんかんに特異的な認知プロファイルに関する住民ベースの検討データはなかった。Journal of Clinical and Experimental Neuropsychology誌2015年5月号の掲載報告。 研究グループは、住民ベースのサンプルにおいて、抗てんかん薬(AED)服用中および/または過去1年間にけいれん発作を認めた小児の「活動性」てんかんの、全般的認知、ワーキングメモリおよび処理スピードの障害の頻度を明らかにすることを目的とした。活動性てんかんを有する5~15歳の学童85例(適格例の74%)について、全般的認知、ワーキングメモリおよび処理スピードを含む包括的な精神学的評価を行った。認知下位テストのスコアをペアt検定にて比較した。線形回帰解析により、認知障害に関連する因子を評価した。 主な結果は以下のとおり。・小児の24%がIQ 50未満、40%がIQ 70未満であった。・処理スピード指数スコアは、VerbalスコアまたはWechsler式パフォーマンス指数スコアに比べ、有意に低値であった。・Coding下位テストの成績は、その他のWechsler式下位テストと比べ有意に低かった。・4つのワーキングメモリ下位テストの少なくとも1つ以上において、小児の58%はメモリが未熟(メモリスコア1 SD以下で評価したIQ)であった。・全般的認知障害と有意に関連する因子は、多剤併用療法施行中(β=-13.0、95%CI:-19.3~-6.6、p=0.000)および注意欠如/多動症(ADHD、β=-11.1、95%CI:-19.3~-3.0、p=0.008)であった。・多剤併用療法施行中は、ワーキングメモリおよび処理スピード複合の低スコアとも関連していた。・発達性協調運動症(DCD)は、処理スピード複合の低スコアと関連していた。・小児てんかんにおいて、全般的および特異的認知障害が高頻度にみられ、ワーキングメモリおよび処理スピードにおいて障害が最も顕著であった。・小児てんかんにおける認知障害の予測因子は、てんかん関連因子および行動因子であり、認知評価のドメインによって異なる可能性が示唆された。関連医療ニュース てんかん患者への精神療法、その効果は 精神障害を伴う難治性てんかん患者への術前ビデオ脳波は禁忌なのか 寛解後、抗てんかん薬はすぐに中止すべきか  担当者へのご意見箱はこちら

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てんかん患者への精神療法、その効果は

 英国・王立ハラムシャー病院のEdel Dewhurst氏らは、てんかん患者に対するアクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)の有効性と費用対効果について検討した。その結果、ACTは抑うつや不安、QOL、自尊心、職業および社会的適応に対して良好な効果をもたらし、費用対効果にも優れることを報告した。Epilepsy Behavior誌オンライン版2015年4月10日号の掲載報告。 研究グループは、てんかん患者に対するACTアプローチに基づいた精神療法の有効性と、費用対効果を評価した。検討は、発作に関連する情緒障害のため心理療法士単独による外来心理療法を勧められた難治性てんかん連続症例を対象とし、前向き非対照研究にて実施した。精神科専門医、神経心理学者あるいはてんかん専門看護師により紹介された患者を被験者とした。有効性が確認されている一連の自己報告質問票(Short Form-12 version 2、Generalized Anxiety Disorder-7、Neurological Disorders Depression Inventory for Epilepsy、Work and Social Adjustment Scale、Rosenberg Self-Esteem Scale)に回答してもらい、紹介時、治療終了時、治療6ヵ月後のけいれん発作回数を報告した。被験者は、ワークブックを用いた1対1のACTを最大20セッション受けた。介入に関わる費用対効果について、質調整生存年(QALY)を算出して評価した。 主な結果は以下のとおり。・ACT前およびACT後に質問票を完了した患者は60例で、そのうち41例から6ヵ月のフォローアップデータを得られた。・患者が受けたACTは、6~20セッション(平均値11.5、S.D. 9.6)であった。・ACTは、抑うつ、不安、QOL、自尊心、職業および社会的適応に対し、中程度以上のポジティブな効果と有意に関連し(ps<0.001)、治療後6ヵ月間継続した。・ACTの平均コストは、445.6ポンドであった。・効果が治療終了後少なくとも6ヵ月維持されると仮定した場合、QALY当たりのコストは1万1,140ポンド(1万4,119ユーロ、1万8,016ドル、QALY当たりのコストは効果が1年間続いた場合には半額となる)と推算された。・本パイロット研究により、ACTはてんかん患者にとって費用対効果の高い治療であることが示唆されるとともに、無作為化対照試験を実施することの妥当性が示された。関連医療ニュース 精神障害を伴う難治性てんかん患者への術前ビデオ脳波は禁忌なのか 寛解後、抗てんかん薬はすぐに中止すべきか 認知症患者への精神療法、必要性はどの程度か  担当者へのご意見箱はこちら

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日本人難治性てんかん、レベチラセタムは有用か

 静岡てんかん・神経医療センターの井上 有史氏らは、日本人の成人難治性部分てんかん発作患者を対象に二重盲検プラセボ対照検証的試験を行い、レベチラセタム追加投与の有効性と安全性を検討した。その結果、主要有効性解析においてレベチラセタム群とプラセボ群の間で有効性に有意差は認められなかったが、探索的解析においてレベチラセタム3,000mg群はプラセボ群に比べ有意な発作減少が確認されたことを報告した。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2015年4月8日号の掲載報告。 日本人の成人難治性部分てんかん発作患者に対するレベチラセタム追加投与の有効性と安全性を検討するため、二重盲検プラセボ対照検証的試験を行った。適格例をレベチラセタム500、1,000、2,000、3,000mg/日群、またはプラセボ群に無作為に割り付け、16週間投与した。主要評価項目は、12週の評価期間における1週間当たりの発作頻度のベースラインからの減少率とした。忍容性についても評価を行った。そして、本結果と過去の無作為化二重盲検試験の結果を比較した。 主な結果は以下のとおり。・スクリーニングを行った401例のうち352例が無作為に割り付けられ、316例が試験を完了した。・1週間当たりの発作頻度のベースラインからの平均減少率は、プラセボ群の12.50%に対し、レベチラセタム500 mg/日群は12.92%、以下1,000mg/日群18.00%、2,000mg/日群11.11%、3,000mg/日群31.67%であった。・過去に実施された試験と異なり、レベチラセタム1,000および3000mg群とプラセボ群を比較した主要有効性解析において、統計学的有意差は認められなかった(p=0.067)。 ・探索的解析において、レベチラセタム3,000mg群とプラセボ群の発作減少率の差は14.93%(95%信頼区間:1.98~27.64、p=0.025)であった。・レベチラセタムの、すべての用量群で忍容性は良好であった。・2件の試験における主な違いは、今回の試験でプラセボ群の反応性が高かったことであった。・結果を踏まえて著者は「主要有効性解析では統計学的有意差には至らず、それはプラセボ群における予想外の高い反応によるものであった。とはいえ、探索的解析によりレベチラセタム3000mg/日投与は、わずかながら難治性部分てんかん発作患者に有効であることが示された」とまとめている。■関連記事難治性てんかん患者に対するレベチラセタムの有用性はどの程度か日本人、レベチラセタム静注の薬物動態レベチラセタム、部分てんかん患者に対する1年間の使用結果レビュー:聖隷浜松病院抗てんかん薬レベチラセタム、日本人小児に対する推奨量の妥当性を検証

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片頭痛予防にSSRIやSNRIは支持されない

 うつ病および抗うつ薬の使用がそれぞれ乳がんのリスクを高めるという仮説2005年に発表した、片頭痛および緊張型頭痛の予防のためのSSRIに関するコクランレビューを、イタリア・Laboratory of Regulatory PoliciesのRita Banzi氏らはアップデートした。今回のレビューでは、SSRIやセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)であるベンラファキシン(国内未承認)を片頭痛の予防として用いることを支持するエビデンスは得られなかった。また、2~3ヵ月超の治療でSSRIやベンラファキシンがプラセボやアミトリプチリンより片頭痛の頻度、重症度および持続期間を減少させるというエビデンスも示されなかった。これらの結果を踏まえて著者は、「片頭痛の予防にSSRIやSNRIの使用は支持されない」とまとめている。Cochrane Database Systematic Reviewオンライン版2015年4月1日号の掲載報告。 今回研究グループは、Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)(2014年第10号)、MEDLINE(1946年~2014年11月)、EMBASE(1980年~2014年11月)、PsycINFO(1987年~2014年11月)を用い、18歳以上の片頭痛を有する男女を対象としたSSRI/SNRIとあらゆるタイプの介入との無作為化比較試験を検索するとともに、検索した論文の参照文献リストや進行中の臨床試験も調査した。2人の研究者が独立してデータ(片頭痛の頻度、インデックス、重症度、持続期間、対症療法あるいは鎮痛薬の使用、休業日数、QOL、気分の改善、費用対効果、有害事象)を抽出し、試験のバイアスリスクを評価した。なお、本レビューでの主要アウトカムは片頭痛の頻度とした。 結果は以下のとおり。・本レビューには、5種類のSSRIおよび1種類のSNRIを用いた11件(被験者合計585例)の試験が含まれた(プラセボ対照試験6件、SSRIまたはSNRIとアミトリプチリンとの比較試験4件、エスシタロプラムとベンラファキシンの比較試験1件)。・大半の試験は、方法論や報告(もしくはその両方)が不十分であった。すなわち、すべての試験が選択および報告バイアスのリスクがはっきりしておらず、また、追跡調査が3ヵ月を超える試験はまれであった。・大半の試験は十分な検出力もなく、片頭痛の頻度を主要評価項目としてSSRIまたはSNRIの効果を検討した試験は、ほとんどなかった。・プラセボ対照試験のうち2件の試験は、SSRIおよびSNRIとプラセボとの差についてエビデンスがないことを示唆する曖昧な報告であった。・アミトリプチリンとの比較試験のうち2件の研究では、SSRIやSNRIとアミトリプチリンとの間で片頭痛の頻度に差があるというエビデンスは見出されず(標準化平均差:0.04、95%信頼区間[CI]:-0.72~0.80、I2=72%)、片頭痛の重症度や持続期間などの副次的評価項目にも差はなかった。・SSRIやSNRIは、三環系抗うつ薬よりも全般的に忍容性が良好であった。しかし、有害事象または他の理由のために試験を中止した患者数に差はなかった(1件の研究で、オッズ比[OR]:0.39、95%CI:0.10~1.50、およびOR:0.42、95%CI:0.13~1.34)。・SSRIまたはSNRIと抗うつ薬以外の薬物治療(たとえば抗てんかん薬や降圧薬)とを比較した研究はなかった。関連医療ニュース 片頭痛の予防に抗てんかん薬、どの程度有用か なぜSSRIの投与量は増えてしまうのか SSRI中止は離脱症状に注意を  担当者へのご意見箱はこちら

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精神障害を伴う難治性てんかん患者への術前ビデオ脳波は禁忌なのか

 てんかん患者に精神障害(PD)が高頻度に認められることを受け、これらの患者、とくに手術適応となる難治性内側側頭葉硬化を伴う側頭葉てんかん(TLE-MTS)患者に対する精神的評価の必要性を示す研究がこれまでに行われてきた。近年のエビデンスは、TLE-MTS やPDの評価手段であるビデオ脳波(VEEG)の安全性を強調している。しかし、てんかんセンターの中には、PDがある場合は、陰性行動イベントのリスクがあることを主な理由として、VEEGによる術前評価を禁忌としているところが依然としてある。ブラジル・Faculdade de Medicina de Sao Jose do Rio Preto(FAMERP)のGerardo Maria de Araujo Filho氏らは、精神障害を認める難治性てんかん患者において、PDの評価として施行する術前のVEEGが禁忌となりうるのかを明らかにするため、後ろ向きコホート研究を行った。Epilepsy & Behavior誌4月号(オンライン版2015年3月20日号)の掲載報告。 研究グループは、PDの存在が術前VEEGの禁忌となりうるか否かを明らかにするため、ブラジル内のてんかん専門センターの協力を得て、後ろ向きコホート研究を実施した。術前評価の1つとしてVEEGが施行された患者41例の臨床的、社会人口学的、精神医学的データを、VEEGを実施しなかった難治性TLE-MTS患者32例のデータと比較した。精神障害の診断はDSM-IV 分類および国際抗てんかん連盟(ILAE)の分類を用いた。 主な結果は以下のとおり。・34例(46.6%)が精神障害ありと診断され、大うつ病性障害が最も高頻度で22例(30.1%)に、不安障害が14例(19.2%)に認められた。・術前VEEGを施行した41例のうち、術前精神評価でPDが確認されたのは12例(29.2%)にとどまった。一方、VEEG非施行例32例では22例(68.7%)にPDが確認された(p=0.001、RR:2.35)。・VEEG施行例に比べ、むしろVEEG非施行例でPDの割合が有意に高い結果が示された。 結果を踏まえ著者らは、「PDの存在のみで、VEEGモニタリングおよびてんかん手術が禁忌と考えるべきでないことが示唆された」と述べている。関連医療ニュース 難治性てんかん患者に対するレベチラセタムの有用性はどの程度か 高齢者焦点てんかん、治療継続率が高い薬剤は 寛解後、抗てんかん薬はすぐに中止すべきか  担当者へのご意見箱はこちら

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高齢者焦点てんかん、治療継続率が高い薬剤は

 ドイツ・ヨハネス・グーテンベルク大学病院のKonrad J. Werhahn氏らは、高齢者の焦点性てんかんに対するカルバマゼピン徐放製剤(CR-CBZ)の有効性を、レベチラセタム(LEV)およびラモトリギン(LTG)と比較検討する無作為化二重盲検並行群間試験を実施した。その結果、CR-CBZに比べLEVのほうが高い治療継続率を示したことを報告し、LEVの良好な忍容性がこの結果の背景にあることを示唆した。Epilepsia誌オンライン版2015年2月12日号の掲載報告。 検討は、2007年1月~2011年8月までの期間、ドイツ、オーストリア、スイスにある47の外来あるいは入院施設において行われた。60歳以上、初発てんかん患者、発作の原因となる急性疾患なし、試験薬剤との禁忌なしを適格例とし、CR-CBZ群、LTG群、LEV群に1対1対1に無作為に割り付け比較した。6週間は投与量を漸増し、その後52週間は投与量を維持、あるいは発作の発生や忍容性に応じて適宜用量調節した。主要アウトカムは、58週時点での治療継続とし、副次評価項目は発作および有害事象の発生頻度とした。 主な結果は以下のとおり。・無作為化された361例のうち、359例(CR-CBZ群121例、LTG群117例、LEV群122例)を、改訂intent-to-treat集団(平均年齢71.4、範囲60~95歳)とした。・58週時点において、LEV群の治療継続率はCR-CBZ群に比べ有意に高かった(61.5% vs. 45.8%、p=0.02)。LTG群とは同程度であった(55.6%)。・30週と58週における発作消失率に関して各群間に差はみられなかった。・CR-CBZ群では、有害事象あるいは死亡により治療中止した例がLEV群と比べ2倍多かった(32.2% vs. 17.2%、オッズ比:2.28、95%信頼区間[CI]:1.25~4.19、p=0.007)。LTG群における治療中止はこれら2群の中間であった(26.3%)。・治療完遂例(195例)の1日投与量中央値は、CR-CBZ群380.0mg/日(333.0~384.0)、LTG群95mg/日(94.0~97.0)、LEV群950mg/日(940.0~985.0)であった。・高齢者の焦点てんかんに対する初期単独治療において、LEVはその良好な忍容性により、1年継続率がCR-CBZに比べ高かった。・LTGの治療継続率はそれらの中間で、どちらかというとLEVに近い結果であったが、いずれの薬剤とも有意差は認められなかった。 関連医療ニュース 寛解後、抗てんかん薬はすぐに中止すべきか 抗てんかん薬の使い分け:独での使用調査 日本の高齢者てんかん新規発症、半数以上が原因不明:産業医大

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寛解後、抗てんかん薬はすぐに中止すべきか

 てんかんは慢性的な神経障害であり、全世界に数百万の患者が存在する。主な治療法は抗てんかん薬(AED)であり、これにより発作を抑制し、てんかんをコントロールする。AEDは大半の症例で有効であるが、認知機能や行動の変化といった長期有害事象との関連が指摘されている。そのため、寛解を認めたらAEDを中止することが患者にとって最善だと考えられるが、その最適な中止時期については明らかとなっていなかった。英国・リバプール大学のIsabella Strozzi氏らは、AEDの最適な中止時期を明らかにするため、以前に行ったコクランレビュー(2001年第3号に発表)のアップデートを行った。その結果、小児てんかん患者において、発作寛解期間が2年未満の早期にAEDを中止した場合は再発率が高いことを報告し、抗てんかん薬は、最低2年の寛解期間を経た後に中止すべきことを示唆した。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2015年2月11日号の掲載報告。 研究グループは本レビューで、(1)成人および小児てんかん患者におけるAED早期中止または後期中止後の発作再発リスク、てんかん重積状態および死亡率を定量化し比較する、(2)発作再発リスクに影響を及ぼす因子を評価する、(3)安全にAEDを早期中止できる集団を明らかにする、ことを目的とした。Cochrane Epilepsy Group Specialised Register(2014年6月)、CENTRAL (Cochrane Library第5号、2014年5月)、MEDLINE(1946年~2014年6月)、CINAHL(2014年6月23日)、Scopus(1823年~2014年6月)、ClinicalTrials.gov(2014年6月23日)、WHO International Clinical Trials Registry Platform(2014年6月23日)を検索した。また、電子検索で検出された研究の参考文献一覧についても調査した。 成人および小児てんかん患者において、発作寛解期間別にAED中止による影響を評価した無作為化対照試験、早期(発作寛解期間2年未満)のAED中止と後期(発作寛解期間2年以上)のAED中止を比較した研究を検索対象とした。評価者2人が個別にデータを抽出し、試験の質を評価した。各試験におけるリスク比(RR)を95%信頼区間(CI)とともに、また二分法データの要約RRと95%CIは固定効果モデルを用いて算出した。統合RR算出それぞれについて、統計学的不均一性を検査した。また、各対象試験は、Cochrane Handbookの推奨に基づき「バイアスリスク」を評価。GRADE systemによって情報の全体的な質を評価し、2つのSummary of Findingsという表を提示した。 主な結果は以下のとおり。・5件の試験、無作為化された小児てんかん患者924例をレビューの対象とした。・無作為化時の年齢はすべて16歳以下、追跡期間中央値は5.6年であった。・成人を対象とした試験、死亡率あるいはてんかん重積状態をアウトカムとした試験のなかで適格なものはなかった。・AED中止後の発作再発の統合RRは1.34(95%CI:1.13~1.59、p=0.0007)であった。この推定値に基づくと、有害必要数(早期AED中止により1例の発作再発リスクが増加するのに必要な人数)は8例であった(95%CI:5~20)。・統合RR 1.51(95%CI:0.97~2.35、p=0.07)という結果から、AEDの早期中止は部分発作患者における高い再発率と関連することが示された。・欠神発作タイプは、低い再発リスクと関連していた。・EEG所見異常(統合RR:1.44、95%CI:1.13~1.83、p=0.003)、その中でもてんかん様活動(同2.58、2.03~3.28、p<0.0001)、2歳未満あるいは10歳以降での発作発症、てんかん重積状態の既往、知的能力障害(IQ 70未満)、治療前および治療中の発作多発は、高い再発リスクと関連していた。・性別および家族歴と発作再発との間に有意な関連は認められなかった。・全体的にみると、対象とした試験は方法論的な情報に関する報告がなく、オリジナルの試験報告者による情報提供もなかったため、バイアスリスクは低いあるいは不明確と判断された。 ・小児、とくにEEG異常および部分発作の両方(あるいは一方)を有する小児患者は、少なくとも2年の無発作期間を経過した後にAEDを中止すべき、ということを支持するエビデンスが示されていた。・全般発作を有する小児患者については、AEDの中止時期を明確にするエビデンスは不十分であった。・発作を認めない状態にある成人患者のAED中止時期を示すエビデンスはなかった。・最適なAED中止時期と再発を予測するリスク因子を特定するために、より質の高い無作為化対照試験、とくに成人や全般発作の患者を対象とした試験が必要と思われた。関連医療ニュース 小児てんかん、複雑な経過をたどる 抗精神病薬の種類や剤形はアドヒアランスに影響するのか 統合失調症に対し抗精神病薬を中止することは可能か  担当者へのご意見箱はこちら

274.

てんかん薬Banzel、1~3歳小児への適応追加をFDAが承認

 エーザイ株式会社は16日、同社の米国子会社であるエーザイ・インクが、抗てんかん薬「Banzel」(一般名:ルフィナミド)に関する小児適応の追加申請について、米国食品医薬品局(FDA)より承認を取得したことを発表した。今回の承認により、これまでの適応症である「4歳以上の小児および成人における、レノックス・ガストー症候群(Lennox-Gastaut Syndrome: LGS)に伴うてんかん発作の併用療法」に、1~3歳までの小児患者への適応が追加された。 今回の追加適応症の承認は、1~3歳のLGS患者を対象にしたBanzelと既存の抗てんかん薬を比較対照とした上乗せ治療の臨床第III相試験(303試験)の中間解析に基づくもの。本試験におけるBanzelの薬物動態と安全性のプロファイルが、4歳以上の患者を対象にしたこれまでの臨床試験結果と整合性があることが確認されたとのこと。また、Banzel投与群で確認された主な副作用は、嘔吐および眠気であったという。 また、本臨床データは、FDAからの小児臨床試験実施要請書(Written Request)の要件を満たしていることが認められ、本剤の米国における特許期間は 6 カ月間延長され、最長で2023年5月まで存続するとのこと。詳細はプレスリリース(PDF)へ

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【GET!ザ・トレンド】脳神経細胞再生を現実にする(1)

「中枢神経系はいったん発達が終われば再生しない」、それが定説であった。ところが、近年の研究で、ヒトの脳にも“神経幹細胞”が存在し、新たな神経細胞を作っていることが証明された。さらに、この研究結果を応用した、神経疾患に対する再生医療も現実化しつつある。今回は、神経再生医療の世界的権威であり、世界で初めて神経幹細胞を発見した、慶應義塾大学 医学部 生理学教室 教授 岡野栄之氏に聞いた。神経細胞再生についての定説が覆る中枢神経系はいったん発達が終われば再生しない。それが定説であった。しかし、胎生期においては、ヒトの脳で新たな神経細胞が活発に生み出されている。実際には、神経細胞の元となる神経幹細胞が存在し、それが活発に分裂することで、新たな神経細胞とグリア細胞を生産している。この分裂能力は成体では消失し、脳では新たな神経細胞は生み出されないと考えられてきた。ところが、ここ十数年の研究で、成体の脳にも神経幹細胞は存在し、新たな神経細胞を作る能力があることがわかってきた。神経幹細胞マーカーMusashiの発見岡野氏は最先端の神経発生の研究の中、神経幹細胞のマーカーMusashiを発見する。Musashiは神経幹細胞に強く発現するRNA結合蛋白質であり、種を超えて存在する。そのMusashiを用いたマウスの神経発生の研究の結果、胎生期のマウスにはMusashiを発現する神経幹細胞が豊富に存在しており、そのMusashi陽性細胞は生後も脳室周囲に存在することが明らかになった。そこで、ヒト成人の脳にもMusashi陽性の神経幹細胞があるのではないか?と考え、岡野氏は、米国コーネル大学教授(当時)Steven Goldman氏と共同研究を開始する。「Musashi」とはショウジョウバエの神経発生遺伝子として発見された。岡野氏らは、この遺伝子が種を超えて中枢神経系の前駆細胞に広く発現することから、その産生蛋白質が神経系発生マーカーとしての役割を果たすことを解明した。Musashiの名称は、その遺伝子変異によりハエの1つの毛穴から2本の毛が生える異常がみられたことから、宮本武蔵の二刀流になぞらえたもの。ヒト成人の脳にも再生能力がある共同研究の結果、てんかん患者の剖検脳の脳室周囲にMusashi陽性細胞が存在することが明らかになる。そして、Musashi陽性細胞は培養液中で分裂し、新たな神経細胞を作ることも明らかになった。つまり神経幹細胞である。このことから、ヒト成人の脳にも神経幹細胞は存在することが、世界で初めて証明された。1998年のことである。(Pincus DW, et al. Ann Neurol. 1998; 43:576-585.)。一方、増殖細胞の検出ツールBrdU*を用いた、米国とスウェーデンのがん増殖に関する共同研究で、新たに分裂した神経細胞がヒトの脳内(海馬)に存在することが、ほぼ同時期に明らかになった。この2つの研究を相補的に考えると、ヒト成人の脳には神経幹細胞が存在し、何らかのプロセスを経て、脳内で新たな神経細胞が生み出されていることがわかった。*BrdU(bromodeoxyuridine):チミジンアナログ。新たに合成されたDNAに取り込まれる。標識することで増殖細胞の検出ツールとなる。ヒト成人の脳でも神経幹細胞は存在し、梗塞部位に神経細胞が再生するメカニズムを岡野氏が解説する。(岡野栄之氏解説:4’24”)日本発の神経細胞再生医薬品への発展しかし、その再生効率はきわめて低い。神経系を効率よく再生させるためには、内在性の神経幹細胞をより活性化させることが必要だという。そのためには、薬剤で活性化を促すか、不足する神経幹細胞を外部から移植することが根本であるとわかり、2000年代半ばから、神経幹細胞を用いた再生医療の研究が進み出す。その1つとして、岡野氏が顧問を務めるサンバイオ社が再生医薬品SB623を開発している。SB623は骨髄間質細胞に、ある遺伝子を導入し、再生能力を高めた神経再生細胞である。脳梗塞巣に移植することで、脳内のさまざまな栄養因子を出すなど、間接的に再生能力を高め、脳梗塞によって失われた機能を回復させる。すでに米国では動物実験で効果が確認され、スタンフォード大学、ピッツバーグ大学でのPhaseI/IIaが実施されている。その結果は良好で、米国では次のステージへ向け進行しているという。一方、本邦においても2014年の薬事法改正で、"再生医療等製品の条件及び期限付き承認制度"が導入された。ある程度の安全性と有効性が確認されると、条件付きで承認が得られるというものである。この改正で再生医薬品の承認までの時間が短縮されるといわれている。そのため、多くの企業などによる、さまざまな再生医薬品の開発が繰り広げられると考えられる。そのような中、SB623については、すでに米国での治験実績があり、本邦でも同じスキームで開発が進められると期待できると岡野氏は言う。その有用性が証明されれば、日本発の再生医薬品は予想以上に早く臨床に登場するかもしれない。もはや夢物語ではない神経疾患の再生医療岡野栄之氏からのメッセージ:1’04”岡野氏は最後に、「再生医療の研究により、今まで治らなかった神経疾患に対し、さまざまな治療法が開発されている。実際、多くの臨床試験が次々に始まっており、日常診療においても再生医療は夢物語ではない」と述べた。

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【GET!ザ・トレンド】脳神経細胞再生を現実にする(1)

「中枢神経系はいったん発達が終われば再生しない」、それが定説であった。ところが、近年の研究で、ヒトの脳にも“神経幹細胞”が存在し、新たな神経細胞を作っていることが証明された。さらに、この研究結果を応用した、神経疾患に対する再生医療も現実化しつつある。今回は、神経再生医療の世界的権威であり、世界で初めて神経幹細胞を発見した、慶應義塾大学 医学部 生理学教室 教授 岡野栄之氏に聞いた。神経細胞再生についての定説が覆る中枢神経系はいったん発達が終われば再生しない。それが定説であった。しかし、胎生期においては、ヒトの脳で新たな神経細胞が活発に生み出されている。実際には、神経細胞の元となる神経幹細胞が存在し、それが活発に分裂することで、新たな神経細胞とグリア細胞を生産している。この分裂能力は成体では消失し、脳では新たな神経細胞は生み出されないと考えられてきた。ところが、ここ十数年の研究で、成体の脳にも神経幹細胞は存在し、新たな神経細胞を作る能力があることがわかってきた。神経幹細胞マーカーMusashiの発見岡野氏は最先端の神経発生の研究の中、神経幹細胞のマーカーMusashiを発見する。Musashiは神経幹細胞に強く発現するRNA結合蛋白質であり、種を超えて存在する。そのMusashiを用いたマウスの神経発生の研究の結果、胎生期のマウスにはMusashiを発現する神経幹細胞が豊富に存在しており、そのMusashi陽性細胞は生後も脳室周囲に存在することが明らかになった。そこで、ヒト成人の脳にもMusashi陽性の神経幹細胞があるのではないか?と考え、岡野氏は、米国コーネル大学教授(当時)Steven Goldman氏と共同研究を開始する。「Musashi」とはショウジョウバエの神経発生遺伝子として発見された。岡野氏らは、この遺伝子が種を超えて中枢神経系の前駆細胞に広く発現することから、その産生蛋白質が神経系発生マーカーとしての役割を果たすことを解明した。Musashiの名称は、その遺伝子変異によりハエの1つの毛穴から2本の毛が生える異常がみられたことから、宮本武蔵の二刀流になぞらえたもの。ヒト成人の脳にも再生能力がある共同研究の結果、てんかん患者の剖検脳の脳室周囲にMusashi陽性細胞が存在することが明らかになる。そして、Musashi陽性細胞は培養液中で分裂し、新たな神経細胞を作ることも明らかになった。つまり神経幹細胞である。このことから、ヒト成人の脳にも神経幹細胞は存在することが、世界で初めて証明された。1998年のことである。(Pincus DW, et al. Ann Neurol. 1998; 43:576-585.)。一方、増殖細胞の検出ツールBrdU*を用いた、米国とスウェーデンのがん増殖に関する共同研究で、新たに分裂した神経細胞がヒトの脳内(海馬)に存在することが、ほぼ同時期に明らかになった。この2つの研究を相補的に考えると、ヒト成人の脳には神経幹細胞が存在し、何らかのプロセスを経て、脳内で新たな神経細胞が生み出されていることがわかった。*BrdU(bromodeoxyuridine):チミジンアナログ。新たに合成されたDNAに取り込まれる。標識することで増殖細胞の検出ツールとなる。ヒト成人の脳でも神経幹細胞は存在し、梗塞部位に神経細胞が再生するメカニズムを岡野氏が解説する。(岡野栄之氏解説:4’24”)日本発の神経細胞再生医薬品への発展しかし、その再生効率はきわめて低い。神経系を効率よく再生させるためには、内在性の神経幹細胞をより活性化させることが必要だという。そのためには、薬剤で活性化を促すか、不足する神経幹細胞を外部から移植することが根本であるとわかり、2000年代半ばから、神経幹細胞を用いた再生医療の研究が進み出す。その1つとして、岡野氏が顧問を務めるサンバイオ社が再生医薬品SB623を開発している。SB623は骨髄間質細胞に、ある遺伝子を導入し、再生能力を高めた神経再生細胞である。脳梗塞巣に移植することで、脳内のさまざまな栄養因子を出すなど、間接的に再生能力を高め、脳梗塞によって失われた機能を回復させる。すでに米国では動物実験で効果が確認され、スタンフォード大学、ピッツバーグ大学でのPhaseI/IIaが実施されている。その結果は良好で、米国では次のステージへ向け進行しているという。一方、本邦においても2014年の薬事法改正で、"再生医療等製品の条件及び期限付き承認制度"が導入された。ある程度の安全性と有効性が確認されると、条件付きで承認が得られるというものである。この改正で再生医薬品の承認までの時間が短縮されるといわれている。そのため、多くの企業などによる、さまざまな再生医薬品の開発が繰り広げられると考えられる。そのような中、SB623については、すでに米国での治験実績があり、本邦でも同じスキームで開発が進められると期待できると岡野氏は言う。その有用性が証明されれば、日本発の再生医薬品は予想以上に早く臨床に登場するかもしれない。もはや夢物語ではない神経疾患の再生医療岡野栄之氏からのメッセージ:1’04”岡野氏は最後に、「再生医療の研究により、今まで治らなかった神経疾患に対し、さまざまな治療法が開発されている。実際、多くの臨床試験が次々に始まっており、日常診療においても再生医療は夢物語ではない」と述べた。

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抗うつ薬は有用か、てんかん患者のうつ

 てんかん患者のうつ病に対する治療として、抗うつ薬の有効性と安全性、けいれん発作再発に対する有効性を明らかにするため、英国・Leeds General InfirmaryのMelissa J Maguire氏らは8件の臨床試験をレビューした。その結果、抗うつ薬の有効性に対するエビデンスは非常に少なく、また質の高いエビデンスも存在しないことを明らかにし、同領域において大規模な比較臨床試験の必要性を指摘した。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2014年12月3日号の掲載報告。 うつ病性障害は、てんかん患者の約3分の1に発症する一般的な精神的合併症であり、QOLに多大な悪影響をもたらす。しかし、いずれの抗うつ薬(あるいは種類)最良であるのか、また、けいれん発作を悪化させるリスクなどに関する情報が不確実なため、これらの患者がうつ病に対し適切な治療を受けていないことが懸念される。 研究グループは、これらの課題に取り組み、実臨床および今後の研究に向け情報を提供することを目的とし、てんかん患者のうつ病治療として、抗うつ薬に関する無作為化対照試験および前向き非無作為化試験から得られたエビデンスを統合し、レビューした。主要目的は、うつ症状の治療における抗うつ薬の有効性と安全性、けいれん発作再発に対する有効性の評価とした。 論文検索は、2014年5月31日までに発表された試験を含む、Cochrane Epilepsy Group Specialised Register、Cochrane Central Register of Controlled Trials (CENTRAL 2014, Issue 5)、MEDLINE(Ovid)、SCOPUS、PsycINFO、www.clinicaltrials.gov、その他国際会議議事録にて行い、言語による制限を設けなかった。 うつ症状に対し抗うつ薬治療を実施したてんかん小児および成人患者を対象とした、無作為化対照試験(RCT)および非無作為化コホート対照試験、非対照試験を検索した。介入群は、現行の抗てんかん薬レジメンに抗うつ薬を追加した患者とした。一方、対照群は現行のてんかん薬レジメンに、プラセボ、比較対照の抗うつ薬、心理療法のいずれかを追加、あるいは治療の追加なしの患者とした。 試験デザイン要素、患者背景、各試験のアウトカムを基にデータを抽出。主要アウトカムはうつ病スコアの変化(50%以上の改善を示した人数あるいは平均差)およびけいれん発作頻度の変化(発作の再発あるいはてんかん重積症の発作のどちらか、または両方を発症した患者の平均差あるいは人数)とした。副次アウトカムは有害事象、試験中止例数および中止理由とした。データ抽出は対象試験ごとに2人の執筆者がそれぞれ実施、これによりデータ抽出のクロスチェックとした。無作為化試験および非無作為化試験におけるバイアスの危険性を、コクラン共同計画の拡張バイアスリスク評価ツール(extended Cochrane Collaboration tool for assessing risk of bias)を使用して評価した。バイナリアウトカムは95%信頼区間(CI)を有するリスク比として示した。連続アウトカムは95%CIを伴う標準化平均差、そして95%信頼Clを伴う平均差として示した。可能であればメタ回帰法を用い、想定される不均一性の原因を調査する予定であったが、データ不足により断念した。 主な結果は以下のとおり。・8件の試験(RCTが3件と前向きコホート研究5件)、抗うつ薬治療中のてんかん患者471例を対象にレビューを行った。・RCTはすべて、抗うつ薬と実薬、プラセボまたは無治療との比較を行った単施設での試験であった。・5件の非無作為化前向きコホート研究は、主に、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)によりうつ病治療中の部分てんかん患者におけるアウトカムを報告するものであった。・すべてのRCTおよび1件の前向きコホート研究については、バイアスのリスクが不明確と評価された。他の4件の前向きコホート研究については、バイアスのリスクが高いと評価された。・うつ病スコアが50%以上改善した割合に対するメタ解析は、比較した治療が異なっていたため実施できなかった。・記述的分析の結果、レスポンダー率は、投与された抗うつ薬の種類によって24%~97%の幅が認められた。・うつ病スコアの平均差に関しては、シタロプラムを用いた2件の前向きコホート研究(計88例)の限定的なメタ解析が実施可能であった。同分析では、うつ病スコアにおける効果予測1.17 (95%CI:0.96~1.38)であり、エビデンスの質は低かった。・てんかん発作頻度に関するRCTのデータがなく、また前向きコホート研究においても、比較対照となる治療が異なるためメタ解析は実施できなかった。記述的分析の結果、SSRIを用いた3件の試験において、発作頻度の有意な上昇は認められなかった。・抗うつ薬の中止理由として、無効よりも有害事象によるものが多かった。・SSRIに関する有害事象として嘔気、めまい、鎮静、胃腸障害、性機能障害が報告された。・3件の比較研究を通し、解析に使用した試験の規模が小さく、比較のために参照した試験が各1件のみであるという理由から、エビデンスの質は中程度と評価した。・最後の比較研究に関しては、2件の参照試験における試験方法に問題があるという点でエビデンスの質が低いと評価した。・てんかん関連うつ症状に対する、抗うつ薬の有効性に関するエビデンスは非常に少なく、ベンラファキシンがうつ症状に対し統計学的に有意な効果を示した小規模なRCTが1件あるのみであった。・てんかん患者のうつ症状治療に際し、抗うつ薬またはその種類の選択に関し情報を提供する質の高いエビデンスはなかった。・今回のレビューでは、SSRIによる発作悪化という観点から、安全性に関するエビデンスの質は低く、また発作に使用できる抗うつ薬の種類や安全性の判定に使用可能な比較対照データはなかった。心理療法は、患者が抗うつ薬の服用を好まない場合や許容できない有害事象のある場合に対して考慮されるが、現在のところ、てんかん患者のうつ病治療として抗うつ薬と心理療法を比較しているデータはなかった。うつ病を有するてんかん患者を対象とした、さらに踏み込んだ抗うつ薬および心理療法に関する大規模コホート比較臨床試験が将来のよりよい治療計画のために必要である。関連医療ニュース どの尺度が最適か、てんかん患者のうつ病検出 てんかん患者のうつ病有病率は高い パロキセチンは他の抗うつ薬よりも優れているのか  担当者へのご意見箱はこちら

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アルコール依存症治療に期待される抗てんかん

 先行研究により、トピラマートはアルコール依存症におけるエチルアルコール摂取を減じるが、認知障害を含むいくつかの有害事象の発現をもたらすことが示唆されている。一方で、ゾニサミドは構造的にアルコール依存症治療薬としての見込みがあり、トピラマートよりも忍容性が大きい可能性があるといわれている。米国・ボストン大学医学部大学院のClifford M. Knapp氏らは、ゾニサミドのアルコール消費への有効性と、アルコール依存症患者における神経毒性作用を調べた。Journal of Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2014年11月25日号の掲載報告。抗てんかん薬ゾニサミドはアルコール依存症治療として有効 研究グループは、ゾニサミド(400mg/日)のアルコール消費への有効性と、アルコール依存症患者における神経毒性作用を調べた。検討は、二重盲検プラセボ対照試験にて行われ、比較群としてトピラマート(300mg/日)、認知障害をもたらさないレベチラセタム(2,000mg/日)の2つの抗てんかん薬が用いられた。試験薬の投与期間は14週間(2週間の漸減期間含む)。Brief Behavioral Compliance Enhancement Treatmentを用いてアドヒアランスの助長が図られた。神経毒性作用の評価は、神経心理学的テストとAB-Neurotoxicity Scaleで行われた。 抗てんかん薬のアルコール依存症治療薬としての有効性を調査した主な結果は以下のとおり。・プラセボ群と比較して、抗てんかん薬のゾニサミド群とトピラマート群は、1日アルコール摂取量、飲酒日数割合、深酒をした日数割合が有意に低下した。・深酒日数割合についてだけは、抗てんかん薬のレベチラセタム群でも有意な低下が認められた。・トピラマート群は、11週、12週時点でプラセボと比較して、Neurotoxicity Scaleのサブスケールによる評価で唯一、神経機能低下が有意に増大していた。・トピラマート群とゾニサミド群はいずれも、言葉の流暢さやワーキングメモリ(作業記憶)においてわずかだが低下が認められた。・これらの所見から、抗てんかん薬のゾニサミドは、アルコール依存症治療に有効であり、その効果サイズはトピラマートと同等であることが示唆された。また両剤とも、認知障害の発現パターンは類似していたが、トピラマート群のみで、精神機能低下の顕著な増大が報告された。関連医療ニュース 過食性障害薬物治療の新たな可能性とは 「抗てんかん薬による自殺リスク」どう対応すべきか 片頭痛の予防に抗てんかん薬、どの程度有用か

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小児への維持輸液、等張液とすべき/Lancet

 入院中小児患者への維持輸液について、等張液(ナトリウム濃度140mmol/L)の使用が低張液(同77mmol/L)使用よりも、低ナトリウム血症の発生リスクを低下し有害事象を増大しないことが明らかにされた。オーストラリア・メルボルン大学のSarah McNab氏らが無作為化対照二重盲検試験の結果、報告した。小児への維持輸液をめぐっては、低張液使用が低ナトリウム血症と関連しており、神経学的疾患の発生や死亡に結び付いていることが指摘されていた。今回の結果を踏まえて著者は、「小児への維持輸液は、等張液を使用しなければならない」とまとめている。Lancet誌オンライン版2014年11月28日号掲載の報告より。小児への維持輸液を等張液と低張液で割り付けて低ナトリウム血症の発生を評価 試験は、オーストラリア、メルボルンにある王立小児病院で行われた。被験者は、6時間超の維持輸液を必要とする生後3ヵ月~18歳の小児。オンライン無作為化システムを用いて1対1の割合で、等張液(Na140)群と低張液(Na77)群に割り付けて72時間または輸液率が標準維持率の50%未満となるまで投与を行った。 ベースライン時のナトリウム濃度によって小児への維持輸液の割り付けを層別化して行った。研究者、治療担当医、看護師、患者は治療の割り付けについてマスキングされた。 主要アウトカムは、治療期間中の低ナトリウム血症の発生で、血清ナトリウム濃度が135mmol/L未満かつベースラインから3mmol/L以上低下が認められた場合と定義した。評価はintention to treat解析にて行った。小児への維持輸液について等張液群の発生リスクは0.31倍、有害事象も増大せず 2010年2月2日~2013年1月29日の間に、690例を無作為に割り付けた。主要アウトカムデータは、Na140群319例、Na77群322例について入手できた。 結果、小児への維持輸液について、低ナトリウム血症の発生はNa140群12例(4%)、Na77群35例(11%)で、Na140群のほうが有意に低下した(オッズ比[OR]:0.31、95%信頼区間[CI]:0.16~0.61、p=0.001)。 臨床的な顕性脳浮腫の発生は、両群ともに認められなかった。重篤な有害事象の発生は、Na140群で8例、Na77群は4例であった。治療期間中のてんかん発作は、Na140群は1例であったのに対し、Na77群では7例であった。

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