サイト内検索|page:85

検索結果 合計:5145件 表示位置:1681 - 1700

1681.

乳がん患者の抑うつ、適切な治療につなげるには?/JAMA

 地域の腫瘍科診療施設で治療を受けている乳がん患者において、実装科学(implementation science)に基づき日常診療で抑うつ状態のスクリーニングを行う個別化戦略は、抑うつスクリーニング指導のみの治療戦略と比較して、行動療法への紹介に結びつく患者の割合が高く、腫瘍内科の外来受診の頻度は低下することが、米国・カイザーパーマネンテ南カリフォルニア(KPSC)のErin E. Hahn氏らの調査で示された。研究の成果は、JAMA誌2022年1月4日号で報告された。米国の6つの地域施設のクラスター無作為化試験 本研究は、KPSC(南カリフォルニアの450万人以上の会員に包括的な治療を提供する統合保健システム)に所属する6つの医療センターが参加した実践的なクラスター無作為化試験であり、2017年10月1日~2018年9月30日の期間に患者の登録が行われ、最終フォローアップ日は2019年3月31日であった(Regents of the University of Californiaなどの助成を受けた)。 6つの参加施設は、抑うつ状態に対する個別化介入を受ける群(介入群)または抑うつ状態のスクリーニングの指導のみを受ける群(対照群)に、それぞれ3施設が無作為に割り付けられた。対象は、腫瘍内科で診察を受け、新規の原発性乳がんと診断された患者であった。病期や組織型、性別、人種/民族、併存疾患、その他の臨床的・人口統計学的因子による除外基準は設けられなかった。 抑うつ状態のスクリーニングプログラムでは、患者は9項目患者健康質問票(9-item Patient Health Questionnaire:PHQ-9)に回答し、アルゴリズムに基づくスコア化で軽度、中等度、重度に分けられ、これらの重症度に応じた行動学的精神保健サービスが紹介された。 介入群の施設は、抑うつ状態のスクリーニングプログラムの一般的な指導のほか、審査、パフォーマンスデータの評価、診療変更を実装するための支援を受け、診療内容は地域の状況に合わせて行われた。対照群の施設は、スクリーニングプログラムの一般的な指導のみを受けた。 主要アウトカムは、スクリーニングと紹介が適切に行われた患者の割合とされた。プライマリケア医、急病診療所、救急診療部の受診に差はない 1,436例(平均年齢61.5[SD 12.9]歳、女性99%、アジア系/太平洋諸島系18%、黒人17%、ヒスパニック系26%、白人37%、Stage 0~II乳がん82%)が登録され、介入群に744例(男性4例を含む)、対照群に692例(同3例)が割り付けられた。 抑うつのスクリーニングを受けた患者は、介入群が596例、対照群は3例で、このうち行動医療(behavioral health)へ紹介されたのはそれぞれ59例および1例だった。試験期間中に28例が死亡した(介入群19例、対照群9例、群間差:1.3%[95%信頼区間[CI]:-0.2~2.7])。 主要アウトカムのイベント発生率は、介入群が7.9%(59/744例)と、対照群の0.1%(1/692例)に比べ有意に高かった(群間差:7.8%、95%CI:5.8~9.8)。 行動医療を受けた患者は、介入群では紹介を受けた59例のうち44例(75%)、対照群は紹介を受けた1例中1例(100%)であった。 また、年齢、人種/民族、がんの病期、パートナーの有無、Charlson併存疾患指数で補正したモデルでは、介入群で腫瘍内科の外来受診患者の割合が有意に低かった(補正後率比:0.86、95%CI:0.86~0.89、p=0.001)が、プライマリケア医(1.07、0.93~1.24)、急病診療所(0.84、0.51~1.38)、救急診療部(1.16、0.84~1.62)の受診については、両群間で差は認められなかった。 著者は、「このプログラムの臨床的有益性や費用対効果を知るために、さらなる研究を要する」としている。

1682.

そろそろ旅行に!本当にお得な航空券の予約法教えます【医師のためのお金の話】第52回

こんにちは。自由気ままな整形外科医です。私の最近のマイブームは旅行です。コロナ禍に何を不謹慎な!と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、旅行業界は感染予防のために不断の努力を続けています。厚労省の指導も入っているので、感染症予防対策も格段に進歩しました。医療者は昨年から大変な思いをして働いてきた方も多く、かつほぼ全員がワクチン接種済みですから、たまに息抜きしても罰は当たらないでしょう。中~遠距離の旅行でお世話になるのは航空機です。医師の皆さんはANAかJALの国内大手キャリアのマイレージサービス会員が多いと思います。学会出張などで国内路線を多用するヘビーユーザーはそちらがお得ですが、旅行ぐらいしか利用しない私のような層には、格安航空会社(LCC)が選択肢に入ります。LCC料金に最も影響を与えるオプションとは!?私はコロナ禍前には毎年2~3回ほど国内外に家族旅行に行っていました。大人数で利用するため、航空料金はシビアに見ます。最近では国内大手キャリアもかなり安くなりましたが、それでもまだLCCのほうが安いケースが多いようです。LCCの基本料金は劇的に安く設定されていますが、そこからどこまで「オプション」を付けるのかが悩みの種です。LCCは席の指定や規定以上の荷物持ち込みなど、さまざまなものが「オプション」となって追加料金がかかることが多いのですが、料金に最も大きな影響を与えるのは「日程変更可能プラン」のオプションです。ホテルや新幹線では当たり前のこの「無料の日程変更」、航空会社では不可のことが多いです。数ヵ月先の予約をすることも多いので、日程変更ができないのは大きなストレス要因です。私たち医師は、受け持ち患者さんの急変等で予定どおりに出発できない可能性が一般の方よりも高く、そのリスクを考えると、できれば日程変更が可能なプランにしておきたいところです。長年オプション料金を払い続けていたのに…私も例に漏れず、安心感を求めて日程変更が可能なオプションを付けることが多かったです。幸いにも緊急事態が発生することはなかったのですが、今年になって日程変更をせざるを得ない事件が発生しました。むむっ。でも、この日のためにこれまでオプション料金を払い続けてきたようなものです。自分の先見の明を誇らしく思いながら日程を変更しようとすると、トンデモナイ事実が発覚しました。そのオプションの内容をよく見ると、確かに日程変更の手数料は無料なのですが、その際には「“現在の料金”と“購入時の料金”の差額が必要」だったのです。予定日直前の変更なので現在の料金はハンパなく高騰していました。結果、購入時の料金とほぼ同額の追加料金を請求されたのです…。今回のケースでは、変更手数料無料のオプション料金は2,800円で、オプションなしの基本プランの変更手数料は3,000円でした。オプションを追加すると何度でも無料で変更可能でお得だと思っていたのですが、まさか差額が必要だとは…。日程変更は、料金が高騰する出発直前であることが多いでしょう。3,000円の日程変更手数料より追加料金のほうが圧倒的に高くなります。日程変更無料のオプションはほとんど意味がなかったのです…。1回1名当たりのオプション料金は3,000円ですが、往復×家族の人数分の合計金額となるとばかになりません。しかも実質的には使えないオプションを毎回付けており、かなりの金額をドブに捨てていたことになります。これはいただけないですね。潔く最安の基本プランでいこう!LCCはかなり安い金額で移動できるのでとても便利です。しかし、航空料金に大きな影響を与える日程変更オプションは、実質的にはほとんど使えないので追加する必要はないでしょう。これまで何十回も格安航空会社を利用してきたにもかかわらず、このことを知らなかったのは非常にもったいなかったと反省しました。皆さんもLCCを検討する際には、潔くオプションを付けない最安の基本プランにすることをお薦めします!

1683.

手術の理解度が伝わるオペレコ~腹腔鏡下胆嚢摘出術を例に~【誰も教えてくれない手術記録 】第10回

第10回 手術の理解度が伝わるオペレコ~腹腔鏡下胆嚢摘出術を例に~こんにちは! 手術を描く外科医おぺなかです。前回に続き、僕の実際のオペレコ※からこだわりポイントをご紹介します。題材としては、若手外科医が最初に取り組むことの多い腹腔鏡手術の中から「腹腔鏡下胆嚢摘出術」を取り上げました。若手のうちはこの手術のオペレコを描く機会も多いと思いますが、オペレコを上級医に見せたときに「わかってるな…!」と認めてもられるようなものが描けるといいですよね。今回はそんな“理解度が伝わる”オペレコを描くためのこだわりポイントを2つ紹介したいと思います!※個人情報保護の観点から、オペレコは本連載用に描き下ろしています。《術式解説》腹腔鏡下胆嚢摘出術は、急性胆嚢炎や胆石症に対する標準的な術式です。胆嚢管と胆嚢動脈を切り離し、肝から胆嚢を剥離し摘出します。肝門部を中心に損傷を避けるべき脈管があり、慎重な操作を要します。例:腹腔鏡下胆嚢摘出術のオペレコ(完成図)こだわり1:対象臓器だけではなく周辺構造や鉗子も描き込む胆嚢を単体で描いてもオペレコの形としては成立しますが、本当に手術のことを理解しているのかどうかは伝わりにくいです。今回のオペレコでは、肝臓、肝門部、十二指腸、横行結腸などの周辺臓器と、操作鉗子を描き込んでいます。どの手術にもいえることですが、摘出の対象臓器だけでなく、それを取り巻く周辺臓器の構造や位置関係も把握していることが大切です。「胆嚢周囲の解剖構造は何も見なくても描けるくらいイメージができています!」と言えたら、上級医も安心するでしょう。参考:胆嚢周囲の臓器と操作鉗子を描き込んだ図こだわり2:CVSなど、手術の「重要な場面」をかならず明示胆嚢摘出術における重要な術野展開の一つに、「Critical view of safety(CVS)」があります(下図参照)。CVSは胆道損傷を回避し、安全な胆嚢摘出であることを示すために必要な術野ですが、もしその場面がオペレコに描かれていなければ、「CVSの重要性が理解できていないのでは」と思われてしまうかもしれません。CVSをオペレコにしっかり盛り込むことで、上級医に「わかってる感」をアピールしましょう。胆嚢摘出術だけではなく、どの手術においてもキーポイントとなる重要な場面があります。描くべき術野をきちんと提示できるようになるとよいですね。参考:CVS(Critical view of safety)の場面オペレコは、術者の手術への理解度を写し出すものです。今回の例だけではなく、どのような手術においても解剖構造や手術のキーポイントを押さえたオペレコが描けると、上級医に理解力を認められ、さらなるステップアップのチャンスが舞い込んでくるかもしれませんよ!それでは、次回もお楽しみに!

1684.

統合失調症の遺伝的リスク~併発する他疾患との関連性

 統合失調症は、重度の身体的および精神医学的な症状を伴う深刻な精神疾患である。併発する健康被害が遺伝的リスクにより発生するのか、統合失調症の影響で発生しているかは、よくわかっていない。スウェーデン・カロリンスカ研究所のRuyue Zhang氏らは、この課題に対し統合失調症の遺伝的リスクからアプローチを試みるため、英国バイオバンクより統合失調症と診断されていない40万6,929例を対象に、健康関連問題に対する統合失調症ポリジーンリスクスコア(PRS)の影響について調査を行った。Molecular Psychiatry誌オンライン版2021年11月19日号の報告。 各診断は、プライマリケアおよび入院患者の医療記録、がんや死亡に関連する情報を含む健康データを用いて判断した。統合失調症のPRSを生成し、線形回帰とロジスティック回帰を用いて、一般的な健康状態、ICD10における16の主要分類および603疾患との関連をテストした。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症PRSの高さは、全体的な健康評価の低下、入院診断の増加、特殊な疾患の増加との有意な関連が認められた。・ICD10の4つの主要分類との有意な関連が認められた。 ●正の関連:呼吸器系の疾患、消化器系の疾患、妊娠・分娩・産褥 ●負の関連:筋骨格系の疾患・31の表現型は、統合失調症PRSとの有意な関連が認められ、19の新たな所見については、いくつかの筋骨格系の疾患、呼吸器系の疾患、消化器系の疾患、静脈瘤、下垂体機能亢進、その他の末梢神経障害との関連が認められた。 著者らは「これらの発見は、統合失調症の遺伝的リスクの多面的な影響に関する情報を提供し、統合失調症と併発するいくつかの疾患がどのように発生するかを考える上で役立つであろう。統合失調症の病態生理学におけるホルモン調節の遺伝的基礎や免疫機構との関連を含めた今後の研究により、統合失調症とその併存疾患の根底にある生物学的機構を解明できる可能性がある」としている。

1685.

057)仕事場の“推し”グッズ、使い道は?【Dr.デルぽんの診察室観察日記】

第57回 仕事場の“推し”グッズ、使い道は?ゆるい皮膚科勤務医デルぽんです☆先日、私がこよなく愛する“推し”キャラクターがプリントされた医療用ハサミを入手しました。ポケット用のクリップが2ヵ所あり、落下防止用のコードも付いている優れもの。患者さんの皮膚を傷つけないよう、刃先のガードも付いています。「これは素晴らしいものをGETした!さっそく次の外来で使おう!!」と意気込んで診察時に持参したものの、いざ処置に使おうという場面で、軟膏や浸出液の付着した包帯を目の前にして、どうしても推しキャラグッズのハサミをポケットから取り出すことができませんでした…。ハサミは使ってなんぼ! 処置に役立てば、医療用ハサミとしても本望なはず。しかし、頭では理解していても、いざ処置となるとどうしても手が伸びず。すっかり処置では出番のなくなってしまったこのハサミ。今では、紹介状の返書やDMの封筒を開封するための事務用ハサミとしてのみ使用しています(笑)。(眺めるだけでもテンションが上がるので、これはこれでよかったのかも…!?)ナース用品の通販雑誌にも、かわいらしいキャラクターグッズがたくさん掲載されていて、眺めるだけでも楽しいものです。ですが、あまりにも思い入れのあり過ぎるキャラクター商品は、実働部隊としては不向きなのだな~と改めて思ったのでした。同じような経験をしたことがある方はいらっしゃいますか?(私だけでしょうか…)それでは、また〜!

1686.

第45回 因果関係とは?【統計のそこが知りたい!】

第45回 因果関係とは?因果関係(Causal relationship)は、「項目間に原因と結果に関係があると言い切れる関係」を意味します。たとえば広告費と売り上げの関係をみると、「広告費を増やすと売り上げが多くなる」が通説です。「広告費を増やす」という行為が原因で、「売り上げが多くなる」という結果が導かれるので、両者の間には因果関係があります。原因と結果の関係は、「原因→結果」の一方通行です。「原因があって結果がある」という時間的順序が成り立っています。また、身長と体重の関係性でいえば、身長が高いと体重が重いのか、体重が重いと身長が高いのかがわからないので、両者の因果関係は定かではありません。因果関係があれば必ず相関関係は認められますが、相関関係があるからといって必ずしも因果関係が認められるわけではありません。因果関係と相関関係は、図のように2つの事象とA とBの関係性を表しています。「相関関係があるからといって因果関係がある」と言い切れないため、両項目の時間的順序などを検討して、因果関係を考察します。両者に因果関係があるかを解明するには、統計解析を行う必要があります。ちなみに、共分散構造解析は因果関係を解明するのに使われる代表的な統計解析手法です。■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ統計のそこが知りたい!第12回 オッズ比は、なぜ臨床研究で使われるのか?「わかる統計教室」第4回 ギモンを解決! 一問一答質問9 多変量解析を学ぶ前に知っておくべき統計の基礎を教えてください(その1)質問22 ロジスティック回帰分析の事例

1687.

2022年度改定でリフィル処方箋がいよいよ本格導入か【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第81回

明けましておめでとうございます。昨年は、最初から最後まで新型コロナに翻弄され続け、さらに医薬品の流通問題も勃発するなど、忙しい1年だったのではないでしょうか。残念ながら半分以上は解決していないという気もしますが、本年は薬剤師が腰を据えて前向きに業務に取り組める1年になればいいなと思います。さて、2022年は診療報酬の改定があるため、年末から議論が本格化しています。まずは、診療報酬全体および医科・歯科・調剤の改定率が決定しました。鈴木俊一財務相と後藤茂之厚生労働相は12月22日、予算をめぐる大臣折衝で22年度の診療報酬改定率を正式に決定した。診療報酬本体は0.43%増(国費300億円程度)。看護の処遇改善に0.20%増、不妊治療の保険適用に0.20%増を確保しつつ、リフィル処方箋の導入・活用促進による再診の効率化で▲0.10%、小児の新型コロナウイルス感染防止対策にかかる加算措置(医科分)の期限到来で▲0.10%を計上したため、実質的な改定率は0.23%増となる。(中略)本体の0.23%分をパイとした各科ごとの改定率は医科0.26%増、歯科0.29%増、調剤0.08%増。医科を1とした場合の配分比率「1:1.1:0.3」は名目上、維持した。(2021年12月23日付 RISFAX)調剤はわずか0.08%増ですが、財源が乏しいなかで減らなくてよかったなという印象です。注目すべきは、リフィル処方箋の導入・活用促進が再診の効率化という目的で突如盛り込まれたことでしょう。これに関しては、この翌日に日本医師会から「議論が必要」という実質的に異議を申し立てるような意見が出ているため、まだ予断を許さない状況ですが、おそらく部分的にであっても導入されるのではないかと思います。その他、薬価の引き下げ、OTC類似品や湿布薬の保険給付の見直し、後発医薬品関連の加算、薬剤師によるフォローアップへの評価などが今回の論点になりそうです。毎回のことですが、薬局に影響があり、かつ始まってからでは遅いのが薬価の引き下げへの対応です。4月1日になった瞬間に薬価が下がってしまうので、早めに薬局の在庫が適正かどうかを確認し、もし過剰であれば他店への譲渡や返品などをおすすめします。薬剤師のフォローアップを患者・医師ともに評価この報酬改定の議論の中で、薬剤師の業務に対する喜ばしい評価がありましたので紹介します。2021年12月1日の中央社会保険医療協議会(中医協)の議論において、2020年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査の結果が報告されました。本調査の目的は、2020年度の調剤報酬改定の影響やかかりつけ薬剤師・薬局の取り組み状況などを検証することです。ちなみに、2020年度改定のトピックスとしては、重複投薬解消の取り組みの評価や地域体制加算の要件の見直し、同一薬局利用促進などの評価の見直し、薬剤師による調剤後のフォローアップの評価、調剤基本料の適正化などがありました。その報告の中で、以下のような結果が示されています(一部抜粋)。服薬期間中のフォローアップを受けた患者は、かかりつけ薬剤師指導料などの同意状況にかかわらず、「よかった」という回答が100%であった(患者への調査結果より)糖尿病患者のフォローアップを薬局に指示した場合、保険医療機関が感じるメリットとして、「患者が正しく服用できるようになった」が82.5%、「アドヒアランスが向上した」が67.5%であった(診療所への調査結果より)吸入薬指導を薬局に指示した場合、保険医療機関が感じるメリットとして、「患者が正しく吸入できるようになった」が94.0%、「アドヒアランスが向上した」が69.3%であった(病院への調査結果より)これは、何ともうれしい結果ですね。これらは報酬改定の議論で正式に提出されている資料ですので、報酬への好影響を期待せずにはいられません。もし今回の報酬に反映されなかったとしても、目の前の患者さんや医師が認めてくれているというやりがいを噛みしめつつ、さらにメリットを感じていただけるように服薬指導やフォローアップの質を高めていってもらえればいいなと思います。本コラムでは、患者さんのため、地域のために薬剤師が活躍することを願って、本年も話題のニュースをピックアップしてお届けしていきます。2022年もどうぞよろしくお願いいたします。参考1)「令和2年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査(令和3年度調査)の報告案について」(中医協 検-5-23.12.1)2)「かかりつけ薬剤師・薬局の評価を含む調剤報酬改定の影響及び実施状況調査報告書(案)<概要>(中医協 検-6-13.12.1)

1688.

ドイツで産んでみた(4) ドイツでの育児【空手家心臓外科医のドイツ見聞録】第9回

今回もドイツでの子育てについて、引き続き書いちゃいます。子供が産まれて早速、“Elternzeit”(育休)を1ヵ月間申請しました。「1ヵ月でいいの? 双子なのに、大丈夫?」院長には心配そうにされましたが、あんまり休みすぎるのもなーと思っての決断でした。34週での早産であったため、子供たちは1週間ほどはNICUでの入院となりました。ちなみにGreifswald大学のNICUでは380gで生まれた子供を救命して、ニュースにまでなったこともある施設です(ちょうど退院前にその子が受診に来ている姿を見かけましたが、5歳くらいで走り回っていました)。子育てに協力的なドイツの空気退院後は夫婦2人で必死に毎日を過ごしました。以前、このブログで紹介させてもらったへバメ(産婆)に加え、家政婦さん(保険を使って無料で来てくれます)にもフルで来てもらいました。Greifswald大学病院から妻と子供たちが退院したときの写真です。双子なので両手に子供を持っています。ドイツは公的支援だけでなく、街全体が子育てに協力的な印象があります。街でベビーカー(「キンダーバーゲン」と言います)を押していて、自分で店の扉を開けたことはありません。誰かしら、どこからか走ってきて、わざわざ開けてくれるのです。ちょっとした段差に出くわして、どうしようかと立ち止まったことがありました。そのときも、近くにいた小さいお婆さんが杖を振りかざして、道端でタバコを吸って談笑していた若いお兄さんの集団に何やら怒鳴りつけました。その結果、お兄さんたちが慌ててタバコの火を消して、ゾロゾロとベビーカーをみんなで持ち上げてくれたりしました。その際もお兄さん達からは「気付かなくて申し訳ない」と言われました。ドイツでは「子供に優しくするのは当たり前」が根付いている印象が残っています。

1689.

英語で「痛みに強い」は?【1分★医療英語】第10回

第10回 英語で「痛みに強い」は?I see you are in pain.(痛みがありそうですね)Yes, it’s really bad. I have a high pain threshold.(はい、とてもひどい痛みです。痛みに強いほうなのですが)《例文1》He has a really high pain threshold.(彼は非常に痛みに強いです)《例文2》She said her pain was 20 out of 10. She may have a low pain threshold.(痛みは10点満点中20点だそうです。彼女は痛みに弱いのかもしれません)《解説》“threshold”は「閾値」を意味する単語で、“pain threshold”は「痛みの閾値」という意味になります。“high pain threshold”は「痛みの閾値が高い」、つまり「痛みに強い」という意味です。似た表現に“tolerance”というものもあり、同じく「閾値」を意味します。厳密には“threshold”は「痛みを感じ始める境界」を指し、“tolerance”は「何とか我慢できる痛みの境界」を指しますが、いずれも同じような文脈で使われます。「痛みの閾値」は人それぞれですが、米国では患者の人種的・文化的な背景がさまざまで、日本よりもさらに個人差が大きい印象です。日本では麻酔なしで行われる手技が全身麻酔で行われたり、オピオイドの処方のハードルが低かったりと、臨床現場では痛みに対するアプローチの違いが見受けられます。講師紹介

1690.

第84回 相次ぐオミクロン市中感染、3回目接種は間に合うのか?

2022年となりました、本年もよろしくお願いします。<先週の動き>1.相次ぐオミクロン市中感染、3回目接種は間に合うのか?2.オミクロン株も診療の手引きに追記、原則入院見直しへ3.融資未返済で倒産の医療法人、コロナ協力金で回収/大阪市4.サイバー攻撃から電子カルテ復旧、通常の外来診療再開へ/半田病院5.医療機器メーカー納入汚職で講師にも有罪判決/三重大1.相次ぐオミクロン市中感染、3回目接種は間に合うのか?政府は、正月明けのコロナ感染者数の急激な増加、相次ぐオミクロン株の感染例に対して、都府県での無料検査や濃厚接触者に対する宿泊施設への待機要請などを実施し、対応を進めている。東京都は、4日までにオミクロン株感染が確認された55例のうち、およそ7割はワクチンを2回以上接種していたと公表した。岸田総理大臣は、3日に関係閣僚会合を開催し、翌日の年頭記者会見において、医療提供体制のフル稼働や、医療従事者・高齢者を対象とした3回目接種の前倒し、治療薬の普及などの措置を機動的に講じると語った。SNSでは、3回目ワクチンの進捗状況に医師からの不安の声も見られる。広がるオミクロン株の市中感染に危機感を持ち、対応していかなければならない。(参考)コロナワクチンの3回目接種、政府が高齢者に前倒し実施へ 気になる副反応は?オミクロン株への効果は?(東京新聞)東京都 オミクロン株感染者 約7割はワクチン2回接種済み(NHK)岸田首相、コロナ対策「臨機応変に」指示 関係閣僚会合(毎日新聞)2.オミクロン株も診療の手引きに追記、原則入院見直しへ厚労大臣は5日の記者会見で、コロナ感染者急増のため、病床の逼迫が予想される地域では原則全員入院の対応を自宅療養などに切り替えることを認めると発表した。年始に沖縄県、山口県の米軍キャンプなどをきっかけに急増した感染者に対して、まん延防止等重点措置が申請され、政府はこれを認める方針だ。最新の「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第6.1版」では、オミクロン株や経口治療薬モルヌプラビルについて追記されている。(参考)宿泊・自宅療養可能に、厚労省 オミクロン株の拡大地域で(中日新聞)オミクロン株 感染急拡大の地域で自宅療養認める通知 厚労相(NHK)B.1.1.529系統(オミクロン株)の感染が確認された患者等に係る入退院及び濃厚接触者並びに公表等の取扱いについて(厚労省)3.融資未返済で倒産の医療法人、コロナ協力金で回収/大阪市医療法人 友愛会が大阪市から無担保で融資を受け、約2億円を返済しないまま昨夏に経営破綻したため、市は交付予定だったコロナ受け入れ協力金を未返済分の回収目的にて相殺していたことを明らかにした。法人は相殺は不当だとして、市に1億8,000万円の支払いを求めている。融資は、友愛会の元理事長が運営していた社会福祉法人が特別養護老人ホームを建設するために5億1,000万円、さらに病院との複合施設であったため、整備費用として4億9,000万円を貸し付けており、昨年10月時点で、利息を含めて約2億円が未返済となっていた。(参考)大阪市、コロナ協力金で融資回収 医療法人「不当」と1.8億円求め提訴(産経新聞)大阪市の融資未返済で倒産 医療法人にコロナ協力金「支給せず」(毎日新聞)4.サイバー攻撃から電子カルテ復旧、通常の外来診療再開へ/半田病院昨年電子カルテにサイバー攻撃を受けた徳島県つるぎ町の半田病院は、システムの復旧を終え、4日からすべての診療を再開したことを発表した。同院は昨年10月末、データ暗号化によるランサムウェア(身代金ウイルス)によって、電子カルテ約8万5,000人のデータが使用不能となったため、新規患者の外来診療を停止していた。報道によれば、国内の電子カルテシステムを標的としたランサムウェア被害は、2016年以降少なくとも11病院で発生しており、厚労省は安全管理に関するガイドラインを今年度中に改定する見込み。医療機関向けの新たな情報セキュリティー指針では、電子カルテのバックアップデータを病院のネットワークから切り離して保管することを明記し、各医療機関に対策を求める。(参考)サイバー攻撃受けた町立病院 すべての診療再開 徳島 つるぎ町(NHK)「身代金」ウイルス、国内11病院が被害…救急搬送や手術に支障も(読売新聞)病院サイバー対策、カルテデータ「独立保管」…厚労省が新たな指針策定へ(同)5.医療機器メーカー納入汚職で講師にも有罪判決/三重大津地方裁判所は、三重大学への医療機器納入をめぐる贈収賄事件で、12月28日の公判にて、元講師に対して懲役1年、執行猶予3年(求刑:懲役1年2ヵ月)を言い渡した。すでに汚職やカルテ改ざん事件で起訴されている元上司・臨床麻酔部の元教授の指示の下、医療機器メーカーの担当者に対して寄付金を要求し、機器選定に大きな影響を与えるようなメールを送るなどとして、共謀共同正犯が成立するとされた。(参考)三重大病院元講師に有罪 医療機器納入汚職―津地裁(時事通信)三重大元講師に有罪判決 医療機器納入めぐる汚職事件で津地裁(ミクスオンライン)

1691.

診療所の承継時、やってはいけない3つのNG行動【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第33回

33回 診療所の承継時、やってはいけない3つのNG行動漫画・イラスト:かたぎりもとこ医業承継の業界は不動産業界と似た構造となっており、優良な案件情報を誰よりも早くキャッチするためには、私たちのような「仲介業者」との良好な関係性を築くことが不可欠です。今回は、仲介業者を利用する医師が「やってはいけないNG行動」を紹介します。(1)秘密保持契約を守らない承継案件の開示を受ける際には、売り手側が大きなリスクを負うため、秘密保持契約を締結する必要があります。(売り手側のリスクについては「第20回 『うちの診療所引き継ぐ人いない?』、うっかり漏らして大惨事!」参照)この秘密保持契約を守らず、医師仲間や他社の仲介業者に、過去に検討した案件名や詳細を話してしまう方がいます。仲介業者はこのような方とは信頼関係が築けないと考え、案件紹介を中止することがあります。(2)希望条件が定まっていなのに、多数の案件に問い合わせをする前述のように、売り手側の情報開示には大きなリスクが潜んでいるため、仲介業者は売り手から「多数の買い手に案件を開示することなく、条件が合致している場合にだけ開示してほしい」と言われているケースがよくあります。このような前提を知らず、「すべての案件を開示して」と主張する買い手の方がいます。仲介業者は「すべての案件」と言われた時点で、希望条件が整理できておらず、開業準備が整っていない方だと判断し、良質な非公開案件があった場合でも、紹介を避けるケースがあるのです。(3)急に連絡が途絶える自ら問い合わせをして、案件の開示を希望したにもかかわらず、その後連絡が途絶える買い手の方がいます。仲介業者としては、このような方を紹介すると、売り手からの信頼を毀損するリスクがあるため、積極的に案件を紹介しないようになります。以上は一例ですが、こうしたNG行動を避け、仲介業者と良好な関係性が築くことで、良質な承継案件の紹介を受けられるようになるのです。

1692.

事例041 オフロキサシン点眼液の査定【斬らレセプト シーズン2】

解説事例は、糖尿病患者の「角膜びらん」に対して、オフロキサシン点眼液を投与したところ、病名不備や療養担当規則違反などの事由に当てはまらないその他の場合に分類されるC事由(医学的理由による不適当)にて査定となりました。査定原因を調べるために添付文書を参照しました。オフロキサシン点眼液は、「広範囲抗菌点眼剤に分類され、長期間使用しないこと」が明記されています。改めて診療開始日を確認すると6か月を越えた病名に対して投与されていました。次に診療録を確認したところ、左眼の炎症を伴う「角膜びらん」を繰り返していることが記載されていました。病名の更新を行わずに、その度、オフロキサシン点眼液が処方されていました。レセプトからは、再発時の投与であることが読み取れないため、急性期用剤の新鮮例への投与ではなく、古い疾病に対する漫然投与と捉えられて査定となったものと推測できます。再発防止に、医師には抗菌剤を処方する場合には、その判断をした日付と病名を診療録へ記載をいただくようにお願いしました。併せて、会計担当者には、抗菌剤が処方されていた場合の病名日付を確認することを伝え、レセプトチェックシステムに限度日数の登録をしました。

1693.

第90回 「患者の利便性」「医療の効率化」の御旗の下に進む医療機関の締め付け

2022年度診療報酬の改定率は、本体が0.43%増(国費約300億円)、薬価・材料価格は1.37%減となり、全体で0.94%のマイナス(国費約1,600億円)となった。前回2020年度の本体改定率は0.55%増なので、前回より低い。また全体の改定率も、薬価引き下げ分の本体への振替がなくなってから、5回連続のマイナスだ(2014年度は消費税対応を除き実質ネットマイナス)。日本医師会の中川 俊男会長は、昨年末の記者会見で「(本体の)改定率については、必ずしも満足するものではないが、厳しい国家財政の中、プラスになったことについては、率直に評価したい」と述べたが、医療界からは「コロナ以前の医療水準への回復も困難で、疲弊した医療現場の抜本的改善には程遠い」との声が上がっている。「看護の処遇改善」の対象医療機関は限定的改訂の詳細を見てみる。まず本体引上げ部分の内訳は、看護の処遇改善で0.2%増、不妊治療の保険適用で0.2%増などと、小幅なプラスだった。看護の処遇改善については10月以降、収入を3%程度(月平均12,000円相当)引き上げる仕組みを創設するというが、その他の医療従事者への配分も認めているので、看護職員への実際の引き上げ幅は低くなる。しかも、対象となるのは地域コロナ医療など一定の役割を担う医療機関(救急医療管理加算を算定する救急搬送件数が年間200台以上の医療機関および3次救急を担う医療機関)に勤務する看護職員に限定されている。これに対し、全国保険医団体連合会(保団連)は「すべての医療機関が一体となり地域を面として支えている。すべての医療従事者の抜本的な賃金引上げにつながる財源を確保すべき」と提言している。「リフィル処方箋導入」が意図する外来医療費の抑制また、反復利用できるリフィル処方箋の導入・活用促進による効率化で、本体は0.1%減とされた。中央社会保険医療協議会(中医協)の議論では、分割調剤の算定回数が増えない現状を踏まえ、日本薬剤師会常務理事の委員からリフィル処方箋の導入が提案され、支払い側委員が賛成したのだった。本来、リフィル処方箋の使用が想定されるのは慢性疾患の患者で、医師による診察やきめ細かな指導管理が必要なことから、大阪府保険医協会は「事実上、医師の診察を薬局に委ねる形となるリフィル処方箋の導入は、患者の健康確保上から極めて問題が多い」と指摘。導入された場合、患者の“利便性”と称し、オンライン診療の拡大と相まって外来医療費の抑制を図ると共に、医療関連ビジネスの収益拡大を進める狙いが見える。ましてや、コロナ禍で電話再診の増加や処方の長期化も進み、患者の病態管理が難しくなっている状況下、同会は「患者・国民のいのち・健康を守るという視点からの議論が第一」と提言している。患者の“利便性”と共に眉唾なのが、医療の“効率化”だ。大病院受診時定額負担の拡大に関し、保険給付の範囲から一定額(初診時2,000円、再診時500円)を減額する一方、同額以上を強制的に保険外併用療養費として患者から追加徴収する仕組みが検討されるなど、 制度改悪が中医協で議論されているのも憂慮すべき点だ。歯科診療所の経営の現状を見ていない改定率本体の改定率を各科別に見ると、医科の0.26%増に対し、歯科は0.29%とわずかに上回る。しかし、東京歯科保険医協会は「このような改定率は歯科の現状を見ていないばかりか、歯科軽視の結果」と指摘する。医療経済実態調査では、歯科診療所(個人)の損益率は前年度比1.2%減で、コロナ補助金を加えても医業収入の落ち込みは明らかだ。歯科材料費は前年度よりも6.8%増加し、衛生材料をはじめ院内感染防止対策に関わる資材、金銀パラジウム合金などの高騰が医院経営の重荷となっている。それに加え、飛沫による感染リスクが高い職種と言われ、医療従事者の離職や患者離れが発生。患者減はいまだに改善できず、閉院に追い込まれた医院も相次いでいる。医療の質低下や地域医療の混乱を招きかねない方針診療報酬改定の基本方針として、コロナ感染対応を重点課題に位置付けているにもかかわらず、小児の感染防止対策に係る特例(医科)は廃止。厚生労働省は、7対1看護病床の削減を進める「入院医療の評価の適正化」、DPC制度などによる「更なる包括払いの推進」、高齢者や慢性疾患患者のADL低下なども危惧される「湿布薬の処方の適正化」などを着実に進めるとしている。今回の改定率や、国が掲げる改革は、コロナ感染防止対策を弱体化させるだけでなく、医療の質の低下や地域医療の混乱・疲弊も招きかねない。概算要求で示された社会保障費の自然増約6,600億円も約4,400億円に抑えようとしているが、財源ありきの“逆算的”政策で国民の生命や健康は本当に守れるのだろうか。

1694.

高齢AF患者、リバーロキサバンvs.アピキサバン/JAMA

 65歳以上の心房細動患者に対し、リバーロキサバンはアピキサバンに比べて、主要な虚血性または出血性イベントリスクを有意に増大することが、米国・ヴァンダービルト大学のWayne A. Ray氏らが米国のメディケア加入者約58万例について行った後ろ向きコホート試験の結果、示された。リバーロキサバンとアピキサバンは、心房細動患者の虚血性脳卒中予防のために最も頻繁に処方される経口抗凝固薬だが、有効性の比較については不明であった。JAMA誌2021年12月21日号掲載の報告。脳卒中、全身性塞栓症、脳内出血、その他頭蓋内出血などの発生を両群で比較 研究グループは、65歳以上のメディケア加入者のコンピュータ登録および医療費請求の情報を用いて、後ろ向きコホート試験を行った。2013年1月~2018年11月に、心房細動でリバーロキサバンまたはアピキサバンの治療を開始した総計58万1,451例を、2018年11月30日まで最長4年間追跡した。 主要アウトカムは、主要な虚血性イベント(脳卒中、全身性塞栓症)と出血性イベント(脳内出血、その他頭蓋内出血、致死的頭蓋外出血)の複合とした。副次アウトカムは、非致死的頭蓋外出血と総死亡(追跡期間中の致死的虚血性/出血性イベントまたはその他の原因による死亡)だった。 発生率、ハザード比(HR)および率差(RD)を、ベースラインの併存疾患について傾向スコアの逆数を重み付けした解析法(IPTW)で補正して算出し比較検討した。低用量服用者でも、リバーロキサバン群で主要アウトカム発生1.3倍 被験者の平均年齢は77.0歳、女性は50.2%、リバーロキサバンまたはアピキサバンの低用量服用者は23.1%で、延べ追跡期間は47万4,605人年だった(追跡期間中央値:174日[IQR:62~397])。 補正後主要アウトカム発生率は、リバーロキサバン群の16.1件/1,000人年に対し、アピキサバン群は13.4件/1,000人年と低率だった(RD:2.7[95%信頼区間[CI]:1.9~3.5]、HR:1.18[1.12~1.24])。 また、リバーロキサバン群はアピキサバン群よりも、主要虚血性イベント(8.6 vs.7.6件/1,000人年、RD:1.1[95%CI:0.5~1.7]、HR:1.12[95%CI:1.04~1.20])、主要出血性イベント(7.5 vs.5.9件/1,000人年、RD:1.6[1.1~2.1]、HR:1.26[1.16~1.36])の発生率がいずれも高率だった。致死的頭蓋外出血は1.4 vs.1.0件/1,000人年(RD:0.4[0.2~0.7]、HR:1.41[1.18~1.70])だった。 非致死的頭蓋外出血(39.7 vs.18.5/1,000人年、RD:21.1[95%CI:20.0~22.3]、HR:2.07[95%CI:1.99~2.15])、致死的虚血性/出血性イベント(4.5 vs.3.3/1,000人年、RD:1.2[0.8~1.6]、HR:1.34[1.21~1.48])、総死亡(44.2 vs.41.0/1,000人年、RD:3.1[1.8~4.5]、HR:1.06[1.02~1.09])のいずれの発生率も、リバーロキサバン群がアピキサバン群に比べ高率だった。 なお、低用量服用者(27.4 vs.21.0/1,000人年、RD:6.4[95%CI:4.1~8.7]、HR:1.28[1.16~1.40])と標準用量服用者(13.2 vs.11.4/1,000人年、RD:1.8[1.0~2.6]、HR:1.13[1.06~1.21])を別にみた場合も、主要アウトカム発生はリバーロキサバン群がアピキサバン群に比べ高率だった。

1695.

男性乳がんの予後不良因子は?

 男性乳がんは稀な疾患であるものの、近年増加傾向がみられている。認知度の低さなどから進行期になってから診断されるケースが多く、生存に寄与する因子や適切な治療戦略については明確になっていない部分が多い。韓国・忠北大学校病院のSungmin Park氏らは、国民健康保険データベースを用いた男性乳がん患者の転帰に関する後ろ向き解析結果を、Journal of Breast Cancer誌オンライン版2021年12月24日号に報告した。 本研究では、韓国の健康保険データベースを使用して、該当の請求コードをもつ男性乳がん患者を特定、男性乳がんの発生率、生存転帰、およびその予後因子が評価された。最初の請求から1年以内の手術と放射線療法の種類を含む、医療記録と死亡記録がレビューされた。その他、経済状況(≧20パーセンタイル、<20パーセンタイル)、地域(都市部、地方)、チャールソン併存疾患指数(0、1、≧2)、およびBRCA1/2(乳がん遺伝子)テストの実施について情報が収集された。 主な結果は以下のとおり。・2005~16年の間に、新たに男性乳がんと診断された患者838例が特定された。・男性乳がんの診断が最も多かった年齢層は70~74歳で、60〜64歳、65〜69歳が続いた。・患者の約80%が診断後に乳がんの外科手術を受け、50%以上が化学療法、約68%がタモキシフェンの投与を受けており、トラスツズマブは2008年以降約9%が投与を受けていた。・追跡期間中央値約5年間(1,769日)において、268例の死亡が確認され、5年生存率は73.7%だった。・65歳以上の男性は65歳未満の男性よりも全生存期間が短かった(ハザード比:2.454、95%信頼区間:1.909~3.154、p<0.001)。そのほか、併存疾患2つ以上、外科的治療なし、タモキシフェンの投与なし、低所得が、予後不良と関連していた。・多変量解析の結果、予後不良に関連する最も重要な因子は、併存疾患2つ以上だった(HR:4.439、95%CI:2.084~9.453、p=0.001)。

1696.

モデルナ製とファイザー製、それぞれの心筋炎・心膜炎リスク因子/BMJ

 英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのAnders Husby氏らは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン接種と心筋炎/心膜炎との関連を調査する目的で、デンマーク住民を対象にコホート研究を行った。その結果、ワクチン未接種者と比較して、mRNA-1273(Moderna製)ワクチンは心筋炎/心膜炎の有意なリスク増加と関連しており、とくに12~39歳でリスクが高いこと、BNT162b2(Pfizer-BioNTech製)ワクチンは女性においてのみ有意なリスク増加が認められたことが示された。ただし、絶対発症率は若年層でも低いことから、著者は「今回の知見の解釈には、SARS-CoV-2 mRNAワクチン接種の利点を考慮すべきであり、少数のサブグループ内でのワクチン接種後の心筋炎/心膜炎のリスクを評価するには、より大規模な国際的研究が必要である」と述べている。BMJ誌2021年12月16日号掲載の報告。デンマークの12歳以上の住民約493万人について解析 研究グループは、デンマークの予防接種登録(Danish Vaccination Register)、患者登録(Danish National Patient Register)、および市民登録システム(Danish Civil Registration System)を用い、2017年1月1日~2020年10月1日のデンマーク居住者で12歳以上の493万1,775人の全個人について、2020年10月1日または12歳の誕生日(いずれか遅いほう)から、移住、死亡、イベントまたは2021年10月5日まで追跡調査した。血液検査値はRegister of Laboratory Results for Research、PCR検査結果はDanish Microbiology Databaseから情報を得た。 主要評価項目のイベントは、24時間以上の入院を要するトロポニン値上昇が認められた心筋炎/心膜炎の診断とした。ワクチン接種前の追跡期間と、1回目および2回目のワクチン接種後28日間の追跡期間を比較し、年齢を基礎タイムスケールとしたCox比例ハザードを用い、性別、併存疾患、その他の交絡因子で補正したハザード比(HR)を推定した。 なお、研究対象のワクチンは、BNT162b2(Pfizer-BioNTech製)およびmRNA-1273(Moderna製)とした。絶対発症率は低い 追跡調査期間中に269例が心筋炎/心膜炎を発症した。108例(40%)が12~39歳、196例(73%)が男性であった。 BNT162b2ワクチンを接種した348万2,295例においては、接種日から28日以内に48例が心筋炎/心膜炎を発症し、未接種者と比較した補正後HRは1.34(95%信頼区間[CI]:0.90~2.00)、接種後28日以内の絶対発症率(10万人当たり)は1.4(95%CI:1.0~1.8)であった。女性および男性別の補正後HRはそれぞれ3.73(95%CI:1.82~7.65)、0.82(0.50~1.34)、絶対発症率はそれぞれ1.3(95%CI:0.8~1.9)、1.5(1.0~2.2)であった。12~39歳の補正後HRは1.48(95%CI:0.74~2.98)、絶対発症率は1.6(95%CI:1.0~2.6)であった。 mRNA-1273ワクチンを接種した49万8,814例においては、接種日から28日以内に21例が心筋炎/心膜炎を発症し、補正後HRは3.92(95%CI:2.30~6.68)、絶対発症率は4.2(2.6~6.4)であった。女性および男性別の補正後HRは、それぞれ6.33(95%CI:2.11~18.96)、3.22(1.75~5.93)、絶対発症率はそれぞれ2.0(95%CI:0.7~4.8)、6.3(3.6~10.2)であった。12~39歳の補正後HRは5.24(95%CI:2.47~11.12)、絶対発症率は5.7(95%CI:3.3~9.3)であった。

1697.

アトピー性皮膚炎を全身治療する経口JAK阻害薬「サイバインコ錠50mg/100mg/200mg」【下平博士のDIノート】第89回

アトピー性皮膚炎を全身治療する経口JAK阻害薬「サイバインコ錠50mg/100mg/200mg」今回は、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬「アブロシチニブ(商品名:サイバインコ錠50mg/100mg/200mg、製造販売元:ファイザー)」を紹介します。本剤は、全身療法が可能な経口剤であり、既存治療で効果不十分な中等症~重症のアトピー性皮膚炎の新たな選択肢として期待されています。<効能・効果>本剤は、既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎(AD)の適応で、2021年9月27日に承認され、同年12月13日に発売されました。なお、ステロイド外用薬やタクロリムス外用薬などの抗炎症外用薬による適切な治療を一定期間施行しても十分な効果が得られず、強い炎症を伴う皮疹が広範囲に及ぶ患者に使用します。<用法・用量>通常、成人および12歳以上の小児には、アブロシチニブとして100mgを1日1回経口投与します。患者の状態に応じて200mgを1日1回投与することもできます。なお、中等度の腎機能障害(30≦eGFR<60)では50mgまたは100mgを1日1回投与し、重度の腎機能障害(eGFR<30)では50mgを1日1回経口投与します。本剤投与時も保湿外用薬は継続使用し、病変部位の状態に応じて抗炎症外用薬を併用します。なお、投与開始から12週までに治療反応が得られない場合は中止を考慮します。<安全性>AD患者を対象に本剤を投与した臨床試験の併合解析において、発現頻度2%以上の臨床検査値異常を含む有害事象が確認されたのは3,128例中2,294例でした。主な副作用は、上咽頭炎、悪心、アトピー性皮膚炎、上気道感染、ざ瘡、筋骨格系および結合組織障害などでした。なお、重大な副作用として感染症(単純ヘルペス[3.2%]、帯状疱疹[1.6%]、肺炎[0.2%])、静脈血栓塞栓症(肺塞栓症[0.1%未満]、深部静脈血栓症[0.1%未満])、血小板減少(1.4%)、ヘモグロビン減少(ヘモグロビン減少[0.9%]、貧血[0.6%])、リンパ球減少(0.7%)、好中球減少症(0.4%)、間質性肺炎(0.1%)、肝機能障害、消化管穿孔(いずれも頻度不明)が報告されています。<患者さんへの指導例>1.この薬は、皮膚バリア機能を低下させたり、アレルギー炎症を悪化させたりするJAKという酵素の産生を抑えることで、アトピー性皮膚炎の症状を改善します。2.本剤には免疫を抑制させる作用があるため、発熱や倦怠感、皮膚の感染症、咳が続く、帯状疱疹や単純ヘルペスなどの感染症の症状に注意し、気になる症状が現れた場合は、すみやかにご相談ください。3.この薬を服用している間は、生ワクチン(麻疹、風疹、おたふく風邪、水痘・帯状疱疹、BCGなど)の接種ができません。接種の必要がある場合は主治医に相談してください。4.(女性に対して)この薬を服用中、および服用中止後一定期間は適切な避妊をしてください。5.これまで使用していた保湿薬は続けて使用してください。<Shimo's eyes>近年、ADの新しい治療薬が次々と発売されており、難治例における治療が大きく変化しつつあります。本剤と同じ経口JAK阻害薬のほかにも、ヒト型抗ヒトIL-4/13受容体モノクローナル抗体製剤や外用JAK阻害薬などがすでに発売されています。本剤は、ADの適応を得た経口JAK阻害薬として、バリシチニブ(商品名:オルミエント錠)、ウパダシチニブ水和物(同:リンヴォック錠)に続く3剤目となります。また、12歳以上のアトピー性皮膚炎患者に使用できる製剤としてはウパダシチニブに続いて2剤目となります。相互作用については、フルコナゾール、フルボキサミンなどの強力なCYP2C19阻害薬、あるいはリファンピシンのような強力なCYP2C19および CYP2C9誘導薬との併用に注意が必要です。これらの薬剤と併用する場合、可能な限りこれらの薬剤をほかの類薬に変更する、または休薬するなどの対応を考慮します。経口JAK阻害薬は、肺炎、敗血症、ウイルス感染などによる重篤な感染症や結核の顕在化および悪化への注意が警告に記載されています。生ワクチンの接種は控え、帯状疱疹やB型肝炎ウイルスの再活性化にも注意する必要があります。調剤時の注意に関しては、抗うつ薬/慢性疼痛治療薬デュロキセチン(商品名:サインバルタカプセル)と販売名が類似していることから、取り違え防止案内が発出されています。薬剤の登録名や調剤棚の表示などを工夫して、取り違えを防ぎましょう。本剤は、米国においてブレークスルー・セラピー(画期的治療薬)の指定を受け、優先審査品目に指定されています。参考1)PMDA 添付文書 サイバインコ錠50mg/サイバインコ錠100mg/サイバインコ錠200mg

1698.

英語で「予約しましょう」は?【1分★医療英語】第9回

第9回 英語で「予約しましょう」は?I’ll make you an appointment with a physiotherapist for next week.(来週、理学療法士の予約を取っておきましょう)Do you have anything open next Wednesday?(水曜日に空きはありますか?)《例文1》I’d like to make an appointment with Dr. Green at 11am tomorrow.(グリーン先生との予約を明日の11時に取りたいです)《例文2》I’d like to schedule an appointment for my regular check-up.(定期診察のために予約を取りたいのですが)《解説》日本語で「予約」と訳される英単語には、“appointment”“booking”“reservation”などがあります。人と会うことを「予約(=約束)」する場合には“appointment”、場所や物、たとえばレストランの席や飛行機のチケットを「予約」する場合には“booking”や“reservation”を使います。病院での「予約」は、「医師やその他の医療従事者と会うための予約」だと考えられるため、“appointment”が使われます。「予約をする」は“make an appointment”というフレーズを用いますが、もっと具体的に日程や時間を決めるような状況では、“schedule an appointment”という表現も使われます。希望の日にちで予約が取れるかを聞くときには、“Do you have anything open?(空いている時間はありますか?)”と患者さんから聞かれることもあるかもしれません。“Let’s schedule your next appointment for 5:30.(次の予約は5時半にしましょう)”といったやりとりで予約時間を確定します。講師紹介

1699.

第93回 サイケデリック薬による精神疾患治療の開発が去年大いに前進

いわゆる麻薬の類・サイケデリック薬のものの見方を変えさせる作用が精神疾患の治療に役立つのではないかと期待されてきましたが、その効果を示した説得力のある試験はここ最近までほとんどありませんでした1)。しかし昨春2021年5月に発表された第III相試験でエクスタシーとして知られるMDMAの心的外傷後ストレス障害(PTSD)治療効果が示され、サイケデリック薬による精神疾患治療の開発は昨年大いに前進しました。俳優の沢尻エリカ氏や押尾学氏の事件で広く報じられたMDMAは主に神経のシナプス前セロトニン輸送体への結合を介してセロトニン放出を誘発します2)。MDMAは恐怖記憶の解消を促して社交的な振る舞いを支えること等が動物実験で示されています。また、合計105人が参加した6つのプラセボ対照第II相試験をまとめて解析したところMDMAを利用した治療を受けた患者の半数超(54.2%)がPTSD診断基準を脱していました3)。そして去年発表された第III相試験では42人のうち7割近い28人(67%)がMDMA投与込みの治療でPTSD診断基準を脱していました2)。プラセボ投与群37人でのその割合はMDMA使用群の半分以下の32%(12人)でした。非常に有望な結果ですがその効果の判定には注意が必要なようです。MDMAの明確な向精神作用は患者の期待感に影響を及ぼすかもしれず、そういう期待感を治療の一部として受け入れるとするなら効果の評価を根本的に見直す必要があるだろうとの見解をトロント大学の精神/神経専門家は最近のNature Medicine誌に寄稿しています1,4)。ともあれMDMAやその他のサイケデリック薬によるうつ病、不安症、依存などの精神疾患治療の検討は企業でも研究機関でも盛んになっています。2ヵ月ほど前の昨年11月初めには、マジックマッシュルームの成分として有名なサイロシビン(シロシビン;psilocybin)のうつ病治療効果が被験者数233人の無作為化試験で示されたことを英国ロンドンの企業COMPASS Pathwaysが発表しています5)。同社はさらに大規模な試験を計画しています。また、PTSDへのMDMAのもう1つの第III相試験が進行中であり、開発を担う非営利組織Multidisciplinary Association for Psychedelic Studies(MAPS)は来年2023年にその治療が米国FDA承認に漕ぎ着けることを目指しています6)。参考1)A psychedelic PTSD remedy / Science2)Mitchell JM, et al. Nat Med. 2021 Jun;27:1025-1033.3)Mithoefer MC,et al.. Psychopharmacology.2019 Sep;236:2735-2745.4)Burke MJ, et al. Nat Med. 2021 Oct;27:1687-1688.5)COMPASS Pathways announces positive topline results from groundbreaking phase IIb trial of investigational COMP360 psilocybin therapy for treatment-resistant depression / globenewswire6)MAPS’ Phase 3 Trial of MDMA-Assisted Therapy for PTSD Achieves Successful Results for Patients with Severe, Chronic PTSD / MAP

1700.

「頭痛の診療ガイドライン」8年ぶり改訂、ポイントは

 カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)を標的とした新規薬剤の片頭痛予防薬としての相次ぐ承認、2018年の「国際頭痛分類 第3版(ICHD-3)」の発表等、頭痛診療における重要な変化を反映する形で、8年ぶりの改訂となった「頭痛の診療ガイドライン 2021」1)が10月に刊行された。ガイドライン作成委員会委員長を務めた荒木 信夫氏(よみうりランド慶友病院院長)に、頭痛の診療ガイドライン改訂のポイントについてインタビューを行った(zoomによるリモート取材)。 「頭痛の診療ガイドライン 2021」は前回の「慢性頭痛の診療ガイドライン 2013」をもとに改訂が行われているが、二次性頭痛の項目を加え、その記載を大幅に拡充したことから、タイトルは従来の「慢性頭痛」から「頭痛」に変更されている。頭痛の診療ガイドライン2021で慢性片頭痛が頭痛のサブタイプに ICHD-2では慢性片頭痛は片頭痛合併症の1つとして分類されていたが、ICHD-3では片頭痛のサブタイプの1つとして分類され、その概念・診断法が明確に定義された(CQII-1-12)。荒木氏は、「CGRP関連薬剤の慢性片頭痛への有効性が明らかになり、この診断はとても重要」と話す。また、薬物の使用過多による頭痛(MOH)との鑑別において、今版では慢性片頭痛と両方の診断基準を満たす場合は両方の診断名を与えることが可能とされた。MOHについては、頭痛の診療ガイドライン旧版では薬物乱用頭痛とされていたが 「頭痛の診療ガイドライン 2021」では訳語が変更され、そのサブタイプや診断時の基準となる服薬日数などが一部変更されている(CQVI-1)。頭痛の診療ガイドライン2021における片頭痛急性期治療 今回の「頭痛の診療ガイドライン 2021」において、片頭痛の急性期治療におけるトリプタンとNSAIDsを文献から比較・分析した結果、トリプタンで有意に投与2時間後の頭痛消失率が高く、24時間以内の再発率が低いことが示された。一方で有害事象はトリプタンで多かったが、重篤なものはなく、多職種および患者代表も参加したGRADE方式による検討の結果、トリプタンを使用できない症例を適切に除外することで利益が不利益を上回るとされた。なお、推奨文の付帯事項として、片麻痺性片頭痛、脳幹性前兆を伴う片頭痛でのトリプタンの使用は非推奨となっている(CQII-2-3)。 また、トリプタンにはノンレスポンダーや血管収縮作用のために使用できない症例も存在する。そこで現在、血管収縮作用をもたない選択的5-HT1F受容体作動薬(ditan)やCGRP受容体拮抗薬(gepant)の開発が進められている。今回、米国FDAですでに認可された、ditanのlasmiditan、gepantのubrogepant、rimegepantが片頭痛急性期治療薬としてトリプタンと同じGroup 1(有効)に位置付けられた(CQII-2-1)。頭痛の診療ガイドライン2021で片頭痛予防薬にCGRP関連薬剤 2021年、本邦では抗CGRP抗体ガルカネズマブ、フレマネズマブ、および抗CGRP受容体抗体エレヌマブが片頭痛予防薬として相次いで承認された。「頭痛の診療ガイドライン 2021」でも予防薬としてGroup 1(有効)に位置付けられ(CQII-3-2)、強い推奨/エビデンスの確実性Aとされている(CQII-3-14)。「月に一度の投与で、1週間ほどで改善がみられる患者さんが多い。片頭痛治療においては、トリプタン登場以来のインパクトといえるのではないか」と荒木氏。3剤の効果はほぼ同等といえるが、初回本数の違いによるコストの違い、12週間隔を選択できることによる間隔の違いなどがある。荒木氏は、「医師がそれらの違いをしっかり説明して、合うものを選んでもらえるようにしていくことが望ましい」とした。 なお、日本頭痛学会では、ホームページ上で今回の「頭痛の診療ガイドライン 2021」とは別に「CGRP関連新規片頭痛治療薬ガイドライン(暫定版)」2)を公開しており、3剤それぞれの使用に関する手順や留意事項をまとめている。投与が可能な医師要件としては、日本神経学会、日本頭痛学会、日本脳神経外科学会の専門医、日本内科学会の総合内科専門医のうちいずれかを有していることなどが挙げられている。 2つのガイドラインについて荒木氏は、適正使用に関しては「CGRP関連新規片頭痛治療薬ガイドライン(暫定版)」、学問的な根拠については「頭痛の診療ガイドライン2021」としてそれぞれ活用してほしいと話した。 その他、CGRP受容体拮抗薬(gepant)、海外で良好な成績が報告されているA型ボツリヌス毒素、適応外使用が認められた抗うつ薬のアミトリプチリンが予防薬のGroup 1(有効)として今回新たに追加されている(CQII-3-2)。また、ニューロモデュレーションについても新たにCQが設けられ、弱い推奨/エビデンスの確実性Aとされた(CQII-3-18)。荒木氏は「日本では治験も行われていない状況だが、海外ではエビデンスが蓄積してきており、電気刺激療法についても、将来の治療法の選択肢の1つといえるだろう」と期待感を示した。頭痛の診療ガイドライン2021で片頭痛予防療法の対象を改訂 CGRP関連薬剤を含む予防療法の対象について、今回の 「頭痛の診療ガイドライン 2021」では推奨事項が変更されている。頭痛の診療ガイドライン旧版では、「片頭痛発作が月に2回以上、あるいは生活に支障をきたす頭痛が月に6日以上ある患者」とされていたが、今回「片頭痛発作が月に2回以上、生活に支障をきたす頭痛が月に3日以上ある患者」に改訂された(CQII-3-1)。海外のガイドラインなどを検証した結果、ほとんどの国で3日を超える場合として定義されており、委員会での検討のうえ変更され、より多くの患者が対象となる。頭痛の診療ガイドライン2021は小児・思春期の頭痛を大幅拡充 三叉神経・自律神経性頭痛に関しては、群発頭痛に対して在宅酸素療法(HOT)が保険適用で使えるようになったことが大きいと荒木氏。新たにCQが設けられ、強い推奨/エビデンスの確実性Aとされた(CQIV-7)。 小児・思春期の頭痛については、「頭痛の診療ガイドライン 2021」では記述が大幅に拡充され、「CQVII-7 不登校・不規則登校を伴う頭痛はどのような頭痛か、どう対処すればよいか」が加えられるなど、診療現場で重要な頭痛についてまとめられている。 今回の「頭痛の診療ガイドライン 2021」では、二次性頭痛が新項目として加えられた。頭痛の診療ガイドライン旧版ではくも膜下出血など一部しか掲載がなかったが、今版ではICHD-3の二次性頭痛をほぼ網羅、より細分化して整理している。「例えばRCVS(可逆性脳血管攣縮症候群)はICHD-2にはなかった新しい概念」と荒木氏。ICHD-3では一次性頭痛でも二次性頭痛でもない3番目の分類に位置付けられているニューロパチーやその他の顔面痛についても、本ガイドラインでは二次性頭痛の項目の1つとして取り上げ、診断・治療法を整理している。

検索結果 合計:5145件 表示位置:1681 - 1700