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小児アレルギーのトリセツ

「小児トリセツシリーズ」始動!アレルギー診療をマスターせよ小児におけるアレルギー疾患は増加の一途をたどっている。今やアレルギー診療は小児医療にとってコモンスキルといえる。しかし、アレルギー診療は外来のなかで話を聞き、診察と鑑別を繰り返し、対応を考えるということを短時間に行わなければならない非常にタフな分野である。専門性の高い食物アレルギーや気管支喘息の長期管理などは専門医にお任せ、という医師も多いだろう。しかし「誰でも、アレルギーは診れる」。本書は専門医ではないけれど、患者に相談されたときに的確に専門医レベルの対応ができるようになるためのマニュアルである。臨床で知りたいことがすぐわかる!「小児感染症のトリセツREMAKE」に続く、第一線・気鋭の単独著者による小児トリセツシリーズがついに始動。「トリセツ」で小児科医療はもっと面白くなる。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    小児アレルギーのトリセツ定価3,960円(税込)判型B6変判頁数240頁発行2021年10月監修笠井 正志編集岡藤 郁夫著者田中 裕也電子版でご購入の場合はこちら

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がん治療におけるアピアランスケアガイドライン 2021年版

がん治療に伴う外見変化への治療的・整容的対応、5年ぶりの改訂がん治療(手術・薬物療法・放射線療法)により皮膚障害や脱毛、爪の変形・変色などの外見(=アピアランス)の変化を生じた患者に医療者がより良いアピアランス支援を実践できるよう、医学・看護学・薬学・香粧品学・心理学の専門家が集結し、現在のエビデンスをもとに治療面と日常整容面のアプローチを分かりやすく解説。誤った情報に惑わされないために、がん診療に携わる医療者必読の1冊。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    がん治療におけるアピアランスケアガイドライン 2021年版定価2,860円(税込)判型B5判頁数204頁・図数:28枚・カラー図数:6枚発行2021年10月編集日本がんサポーティブケア学会

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第83回 医師臨床研修マッチング結果公表、東大マッチ者数105人、フルマッチでも自大学出身者15.2%の意味

病院のチーム編成の基礎、医師臨床研修マッチングこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。さて、MLBのワールドシリーズはアトランタ・ブレーブスの26年振りの優勝で幕を閉じました。ブレーブスの優勝を牽引したのは、エディ・ロザリオ外野手、ホルヘ・ソレア外野手、ジョク・ピダーソン外野手ら、トレード期限である今年7月30日に新規加入した野手たちであったのはなかなか興味深いところです。7月初めの前半終了時点で負け越し(44勝45敗)だったチームが、ワールドシリーズで優勝したのは史上2チーム目だそうです。米国メディアでは、チーム構成の権限を持ちこれらの選手の獲得を行ったアレックス・アンソポロス GM(ゼネラル・マネージャー)の仕事ぶりを称える記事が数多く上がりました。一方、日本では、北海道日本ハムファイターズの新庄 剛志監督の就任会見インタビューが大きな話題となりました。見た目の派手さとは裏腹に、采配などに関する手堅い発言は、ひょっとしたら、と期待を抱かせるものでした。稲葉 篤紀GMとどのような新チームをつくるのか、楽しみです。ということで今回は、病院のチーム編成の基礎(プロ野球ならドラフトでしょうか)とも言える、医師臨床研修マッチングについて書いてみたいと思います。研修先内定8958人、内定率91.7%厚生労働省は10月28日、2021年度の医師臨床研修マッチングの結果を公表しました。医学生などの2022年度の臨床研修先を決める今回のマッチングで、研修先が内定した人数は8,958人(20年度比89人増)でした。マッチングの募集定員は1万904人(同103人減)、希望順位登録者数は9,768人(同142人増)でした。希望順位を登録した研修希望者のうち、臨床研修を受ける病院が内定した人の割合(内定率)は91.7%(20年度92.1%)でした。医師臨床研修マッチングは、2004年度に医師の臨床研修が義務化されたことにあわせて導入されました。臨床研修を受けようとする者と臨床研修を行う病院の研修プログラムを、お互いの希望を踏まえて、一定のアルゴリズムに従って、コンピュータにより組み合わせを決定するシステムです。 臨床研修を行う病院等の団体で構成される医師臨床研修マッチング協議会により行われています。臨床研修病院にマッチした医学生は63.3%で大学病院の倍厚労省のサイト、同協議会のサイトに「2021年マッチ結果発表資料」が掲載されています。それらのデータを基に独自集計した分析記事が、いくつかの医療専門媒体に掲載されました。「日経メディカル」は、大学病院希望者数と臨床研修病院(市中病院)希望者数の割合を出しています。それによれば、臨床研修病院にマッチした医学生は63.3%、大学病院の36.7%の倍となりました。大学病院と臨床研修病院の内定者数の差は2009年から拡大しているとのことです。多様で魅力的な研修内容や、待遇改善を打ち出す市中の臨床研修病院の人気は、今後も衰えないと見られます。大学病院本院81校中、定員充足率100%は14校発表資料には、「大学病院(施設別)における自大学出身者の比率」のデータがあり、大学病院別の定員充足率や、マッチ者に対する自大学出身者数の割合を見ることができます。大学病院本院81校中、定員充足率100%(フルマッチ)となったのは、東京大学(マッチ者数105人)、東京医科歯科大学(94人)、京都大学(76人)、京都府立医科大学(63人)、大阪医科薬科大学(55人)、奈良県立医科大学(54人)、関西医科大学(46人)、東海大学(46人)、聖マリアンナ医科大学(45人)、川崎医科大学(39人)、昭和大学(36人)、東京慈恵医科大学(35人)、藤田医科大学(32人)、産業医科大学(11人)の計14校でした。関西医大は7年連続、昭和大は5年連続でフルマッチを達成しています。なお、今回フルマッチを達成した中で、奈良県立医大、聖マリアンナ医大は昨年は30位以下(32位、36位)で、大躍進と言えます。逆に、定員充足率の低い大学病院本院を見ていくと、下位から弘前大学(マッチ者数4人、8.9%)、熊本大学(6人、14.0%)、岩手医科大学(7人、17.5%)、信州大学(12人、26.7%)、福島県立医科大学(12人、27.3%)となっています。地方の国立大学医学部が多いです。マッチ者の自大学出身割合が高い地方国立大医学部大学病院本院では、東京大学のマッチ者数105人、東京医科歯科大学94人、京都大学76人が際立っていますが、これを自大学出身者数の割合で比較すると、また違った風景が見えてきます。マッチ者の9割以上を自大学の出身者が占めた大学は17校あり、中でも高知大学(21人)、鳥取大学(15人)、島根大学(7人)、弘前大学(4人)はマッチ者の全員が同大の卒業生でした。こちらも地方の国立大学医学部にこの傾向が強いようです。ちなみに昨年、マッチ者全員が自大学出身者だったのは、旭川医大、山梨大学、金沢医科大学、香川大学、岩手医科大学でした。金沢医大、岩手医大以外はやはり地方国立大医学部です。地方の大学医学部は、うかうかしていると初期研修医を十分に集められない、というのが現状のようです。自大学出身者に残ってもらうため、研修内容の充実やアピールに毎年腐心している姿が浮かび上がってきます。”ブランド”大学医学部の自大学出身者率は低い傾向一方、自大学出身者 30%未満だったのは、東京慈恵会医科大学(14.3%)、東京大学(15.2%)、横浜市立大学(17.8%)、慶應義塾大学(22.0%)、順天堂大学(24.4%)、名古屋市立大学(25.0%)、神戸大学(25.9%)、北海道大学(29.4%)の8大学でした。自大学出身者の割合が低いのは、関東の”ブランド”大学医学部によく見られる傾向です。これらの大学では、初期研修では出身大学には進まず、市中の有名病院で腕を磨き、後期研修で出身大学の医局に戻ってくるケースが多いようです。慶應大学の場合は8割近くが戻ってくる、という話を聞いたこともあります。東大のようにいわゆる「ジッツ」(関連病院)が圧倒的に多い大学は、OBが多いジッツの有名病院で研修を受けるのがトレンドのようです。数年前に東大医学部を卒業した友人の息子も、研修先には東京の国立国際医療研究センター(今年の定員は32人で充足率100%)を選んでいました。自大学出身者が少なくても、定員充足率が100%近くにできるのは、”ブランド”大学医学部の強みと言えます。大都会という立地に加え、東大や慶應というブランドで、研修医を呼び込んでいるわけです。研修医としても、「研修先は東大でした」と後々周囲に言えるわけです。特に医師ではない一般人への効果は結構大きいと言えます(「東大王」というクイズ番組もあるほどですから)。「学歴ロンダリグ」とまでは言えませんが、自分の経歴に相応の箔を付けておきたい研修医は少なからずいることでしょう。一方、大学側としても、自大学出身者に加え、他大学からやってきた初期研修医も自分たちの”手駒”として将来使える可能性も出てくるわけで、双方にメリットがあることだと言えます。もちろん、医師臨床研修マッチングは、大学医学部だけではなく、市中病院にとっても貴重な若手戦力を確保する重要な機会です。各病院で、初期・後期の臨床研修を担当する責任者は、病院の将来のチーム編成の要の機能を果たしているわけで、そうした意味では、プロ野球チームのGMに近い存在と言えるかもしれません。

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経済的に困窮してしまう医師、3つの特徴【医師のためのお金の話】第50回

ドクターあるあるの1つに「月末の給料日が待ち遠しい」があります。給料日が待ち遠しい人は世の中にごまんといますが、医師は高給取りのイメージが強いので、そんなことを言おうものなら総スカンを食らってしまいそうですね…。でも、実際のところ、身近にたくさんいますよね、給料日が待ち遠しいドクター…。医師同士の飲み会なら気軽にカミングアウトできそうですが、一般の理解を得られないために公になることはあまりありません。私自身も大勢の「月末の給料日が待ち遠しい」ドクターを見てきましたが、彼・彼女らにはいくつかの共通点があることに気付きました。では、経済的に困窮してしまう医師の特徴を考えてみましょう。1)公的基幹病院に勤務している医師としてステータスが高いのは、何といっても大学病院や大規模な公的基幹病院の上層部になることでしょう。世の中への貢献度はピカイチで申し分ないのですが、残念ながらこうした立場にいる多くの医師は経済的に恵まれているとは言い難い状況にあります。主任教授を除くと経済的な見返りに乏しく、社会への貢献度と報酬のミスマッチが甚だしい状況です。この状況はコロナ禍でさらに加速してしまいました。場末病院に勤務する私の立場からは本当に申し訳ない思いです。公的基幹病院に勤務する医師は絶対的な報酬額が少ないので、浪費することに精神的充足を求めないほうがよいでしょう。医師としての価値や世の中への貢献度が最高レベルであることを誇りとして、満足感を得るのが得策です。2)独身歴が長い最近でこそ、FIRE(Financial Independence, Retire Early:経済的自立と早期リタイア)を志向して若いうちから節約に励む独身医師が増加していますが、医療業界における独身歴の長いドクターの多数派は、いわゆる「自由人」です結婚で縛られることを嫌い、人生を謳歌するスタイルを堅持する彼・彼女らは金遣いが荒いことが特徴です。アリとキリギリスでいうところの典型的なキリギリスなので、将来に備えて貯蓄する、という概念が希薄です。はたから見ている分にはうらやましい限りですが、40歳を越えたあたりから老後の生活に対する不安が出てきます。幸いにも医師は高給なので、将来に不安を感じたときが吉日です。少しずつ生活習慣を改め、将来のことを考えてみましょう。3)おとこ気がある外科系でよく見掛けるタイプで、先に挙げた独身歴の長いドクターとかぶることも多いです。人間味があってとても魅力的な人が多いことが特徴で、私もこのタイプのドクターは大好きです。実質的に、彼・彼女らが後進に医療技術を伝承してきたと言ってもよいかもしれません。しかし各方面への面倒見がいいので支出が多くなってしまいます。おまけに価値観が経済的成功ではないので、どうしても金銭感覚が甘くなりがちです。幸いにもコロナ禍でこれまでのような濃密な付き合いの機会が少なくなりました。おとこ気を発揮するのは職場だけで十分です。これを機に少し経済的な側面を見直してもよいかもしれません。収入と支出のバランスが重要ここまで経済的に困窮してしまう医師の特徴を考えてきましたが、書いていて少し切なくなりました。世の中への貢献度が高かったり、人間的魅力のある医師が多かったりすることに気付いたからです。しかし、彼・彼女らのような医師すべてが経済的に困窮してしまうわけではありません。困窮するのは収入に対して支出が大きいことが原因だと理解できれば、給料日が待ち遠しい事態は避けられるはずです。自分が3つのタイプの医師に該当している自覚がある人は、収入と支出のバランスが適切かを確認してみてください。

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パーキンソン病のオフ現象を考え外来診療に同行【うまくいく!処方提案プラクティス】第42回

 今回は、パーキンソン病患者の外来診療に同行し、医師に直接処方提案をした事例を紹介します。医師や患者とその場でコミュニケーションを取ることで、経過や考えを擦り合わせてスムーズに意思決定をすることができました。薬剤師が外来診療に同行することはあまり一般的ではなく、ハードルも高い処方提案ではありますが、今後の薬剤師の処方提案スタイルとしては有用だと考えてしばしば行っています。患者情報70歳、男性(独居)基礎疾患パーキンソン病、レビー小体型認知症、脊柱管狭窄症、高血圧症介護度要介護1服薬管理服薬カレンダー(2週間セット)に訪問看護師がセット介護状況月〜金 食事・ごみ出し・買い物で訪問介護が60分介入火・金 訪問看護・リハビリ処方内容 下記内服薬は一包化指示1.アムロジピンOD錠5mg 1錠 分1 朝食後2.オルメサルタンOD錠20mg 1錠 分1 朝食後3.レボドパ・カルビドパ水和物錠 4.5錠 分3 朝昼夕食後4.ゾニサミドOD錠25mg 1錠 分1 朝食後5.ロピニロール塩酸塩貼付薬16mg 1枚 朝貼付6.リバスチグミン貼付薬9mg 1枚 朝貼付7.リマプロスト アルファデクス錠5μg 6錠 分3 朝昼夕食後8.デュロキセチン塩酸塩カプセル20mg 1カプセル 分1 朝食後本症例のポイント患者は独居ですが、服薬カレンダーを用いて管理を行い、アドヒアランスは良好でした。しかし、日中の眠気が間欠的に出現したり、すくみ足の症状から転倒を繰り返したりして困っていることを来局時に聞き取りました。患者本人の感覚としては、ロピニロール貼付薬を8mgから16mgに増量してから眠気の症状がひどくなった気がするため、薬の量を医師に相談するつもりとのことでした。さらに情報の聞き取りを進めてみると、眠気は決まって早朝、昼食後、15〜17時、20時ごろと規則性があることが判明しました。訪問看護・介護スタッフに普段の様子を聞き取ると、「規則的な眠気もあるが、本人が動かずに静止していることもあり、すくみ足の症状も同時間にひどくなっている。会話も聞き取りにくい」ということが確認できました。患者は薬の影響ではないかと思っているようですが、私は上記の状況経過からウェアリングオフ現象ではないかと考えました。ウェアリングオフ現象は、パーキンソン病の進行に伴ってL-ドパの効果が短くなる現象で、突然パーキンソン症状が現れるため日常生活に大きな影響をおよぼします。オフ現象がある場合は医師と上手に意思疎通ができないことを考慮し、また薬剤師の見解を伝えて直接処方提案をしたかったため、本人了承の下で外来診療に同行することにしました。処方提案と経過患者さんへの問診が終わったところで、患者および訪問看護・介護スタッフからの眠気やすくみ足の症状は薬剤が影響しているのではないかという不安を伝えるとともに、状況・経過などからウェアリングオフ現象の可能性を医師に伝えました。医師より、「今回の診察と状況経過から、薬剤性というよりもウェアリングオフ現象の可能性が高いため、ラサギリンを開始して様子を見よう」という回答がありました。しかし、患者はデュロキセチンを服用しており、デュロキセチンとラサギリンは併用禁忌であることから(参考:第39回「同効薬切り替え時の“痛恨ミス”で禁忌処方カスケードが生じてしまった事例」)、診療ガイドライン1)の推奨度BのCOMT阻害薬を代替薬として追加してはどうかと提案しました。その結果、オピカポン錠25mgを追加することになり、受診翌日より服用開始となりました。その後、患者さんは、服用開始7日目くらいで日中の眠気や話しにくさ、すくみ足が改善し、転倒することもなくなったと訪問看護・介護スタッフより聞き取ることができました。薬剤師が外来に同行して現行の課題や代替案を提案することで、より良い治療に一歩近づくことができたと実感したエピソードとなりました。1)「パーキンソン病診療ガイドライン」作成委員会編. 日本神経学会監修. パーキンソン病診療ガイドライン2018. 医学書院;2018.

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第43回 関数関係とは?【統計のそこが知りたい!】

第43回 関数関係とは?2項目間の関係には「関数関係」と「相関関係」があります。今回は関数関係について説明します。■関数関係(Functional relationship)1時間60mLで点滴するとします。この点滴は2時間で120mL、3時間では180mL、4時間では240mLとなります。ここで点滴に要した時間をx軸(横軸)、点滴した量をy軸(縦軸)にとり、グラフを描くと図1に示すような直線になります。図1 関数関係の事例点滴に要した時間(x)と点滴した量(y)との関係を式で表すと、y=60xとなります。たとえば、5時間で何mLの点滴量になるのかを計算するには、xに5を代入すれば点滴量を求めることができます。実際に計算すると次のようになります。このように、xの値が決まればそれに応じてyの値が決まるとき、「xとyの間には関数関係がある」といいます。とくに、xとyの間に次式のような関係が成り立つとき、「yはxの1次関数である」といいます。また、1次関数の関係をグラフに表すと図2のような直線になります。図2 1次関数のグラフa、bは定数で、aは直線の傾き、bは直線がy軸と交わる座標の値を示しています。■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ「わかる統計教室」第4回 ギモンを解決! 一問一答質問10 2項目間の関連性を把握する際の統計学的手法の使い分けは?(その1)質問10 2項目間の関連性を把握する際の統計学的手法の使い分けは?(その2)質問10 2項目間の関連性を把握する際の統計学的手法の使い分けは?(その3)

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事例037 片頭痛のナラトリプタン(アマージ)の査定【斬らレセプト シーズン2】

解説事例では、国際頭痛学会の診断基準により、前兆のある片頭痛と診断した患者に、片頭痛用剤のナラトリプタン(商品名:アマージ錠[以下、同錠])を投与したところ、C事由(医学的理由による不適当)を理由に査定となりました。同錠の添付文書を確認したところ、病名は効能または効果に記載されているものと相違なく問題ありません。用法・用量には、「1回2.5mgを片頭痛の頭痛発現時に経口投与する」とあり、「効果が不十分なときに1日の総投与量5mgまで」とありました。また、関連する注意事項には、「本剤は、頭痛発現時のみに使用し、予防的には使用しないこと」とあります。言い換えると、同剤は頭痛発現時のみ頓用できる薬剤です。定期的な投与である内服での請求は、頭痛発現時という要件に反し、かつ予防的に定期的服用をしていると判断され査定になったものと推測ができます。医師には、内服投与不可の薬剤であることを伝え、電子カルテの薬剤システムに内服処方不可のアラートが処方時に表示されるよう登録して査定対策としました。

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中等症~重症喘息へのitepekimabの有効性と安全性~第II相試験/NEJM

 中等症~重症の喘息患者において、抗IL-33モノクローナル抗体itepekimabはプラセボと比較し、喘息コントロール喪失を示すイベントの発生率を低下させ、肺機能を改善することが、米国・National Jewish HealthのMichael E. Wechsler氏らによる第II相の多施設共同無作為化二重盲検プラセボ比較対照試験で示された。itepekimabは、上流のアラーミンであるIL-33を標的とした新規開発中のモノクローナル抗体である。これまで、喘息患者におけるitepekimab単剤療法、あるいはデュピルマブとの併用療法の有効性と安全性は不明であった。NEJM誌2021年10月28日号掲載の報告。itepekimab単剤またはデュピルマブとの併用をプラセボと比較 研究グループは、吸入ステロイド薬と長時間作用性β刺激薬(LABA)の投与を受けている中等症~重症の成人喘息患者296例を、itepekimab(300mg)群、itepekimab+デュピルマブ併用療法(いずれも300mg)群、デュピルマブ(300mg)群、プラセボ群に、1対1対1対1の割合に無作為に割り付け、いずれも2週ごとに12週間皮下投与した。無作為化後、4週時にLABAを中止し、6~9週に吸入ステロイドを漸減した。 主要評価項目は、喘息コントロール喪失(Loss of asthma control:LOAC)を示すイベント(朝の最大呼気流量が2日連続でベースラインから30%以上減少、電子日誌で報告された短時間作用性β2刺激薬の追加吸入が2日連続でベースラインから6回以上増加、全身性ステロイド投与を要した喘息増悪、直近の吸入ステロイドの投与量が4倍以上増加、または喘息による入院または救急外来受診)で、itepekimab群または併用療法群をプラセボ群と比較した。 副次評価項目およびその他の評価項目は、肺機能、喘息コントロール、QOL、タイプ2バイオマーカー、安全性などであった。itepekimab単剤で喘息コントロール喪失のイベント発生率が低下し、肺機能が改善 12週間におけるLOACのイベント発生率は、itepekimab群22%、併用療法群27%、デュピルマブ群19%、プラセボ群41%であった。プラセボ群に対するオッズ比は、itepekimab群が0.42(95%信頼区間[CI]:0.20~0.88、p=0.02)、併用療法群が0.52(0.26~1.06、p=0.07)、デュピルマブ群が0.33(0.15~0.70)であった。 気管支拡張薬使用前の1秒量は、プラセボ群と比較しitepekimab群ならびにデュピルマブ群では増加したが、併用療法群では増加しなかった。itepekimabの投与により、プラセボ群と比較し喘息コントロールとQOLを改善し、平均血中好酸球数が著明に減少した。 有害事象の発現率は、itepekimab群70%、併用療法群70%、デュピルマブ群66%、プラセボ群70%と、4つの治療群で類似していた。

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双極性障害の新規エピソードに対する予防効果~RCTのメタ解析

 双極性障害に対する維持期薬物療法の有効性については、十分明らかとなっておらず、入手可能なデータを更新する必要がある。米国・ニューメキシコ大学のAnastasiya Nestsiarovich氏らは、過去のレビューを更新するため、最新のランダム化比較試験(RCT)を含めたシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。European Neuropsychopharmacology誌オンライン版2021年9月3日号の報告。 2021年7月までに公表されたリチウム、気分安定薬、抗精神病薬、抗うつ薬、その他の治療法を含む二重盲検RCTをPubMed、Cochrane Central Register of Controlled Trialsより検索した。対照群と比較した治療群における新規気分エピソードの発生率は、ランダム効果メタ解析を用いて比較した。各治療による予防効果を表す極性指数(polarity index)を算出した。6ヵ月以上のフォローアップ期間を有する研究を選択した。 主な結果は以下のとおり。・2,158件中22件が適格基準を満たした。1~12週間安定していた双極性障害患者7,773例は、24~104週間フォローアップされていた。・向精神薬単剤療法(リチウム、気分安定薬、第2世代抗精神病薬を含む)は、プラセボと比較し、新規双極性障害エピソードの予防に効果的であった(オッズ比[OR]:0.42、95%CI:0.34~0.51、p<0.00001)。・新規双極性障害エピソードリスクの有意な低下が認められた薬剤は、アリピプラゾール、アセナピン、リチウム、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン持効性剤であった(OR:0.19~0.46)。・リチウムまたは気分安定薬とアリピプラゾール、divalproex、クエチアピン、オランザピン、リスペリドンとの併用療法は、リチウムまたは気分安定薬の単剤療法と比較し、より効果的であった(OR:0.34、95%CI:0.25~0.55、p<0.00001)。・積極的な治療は、うつ症状よりも躁症状の予防により有効であった。・本研究の限界として、多くの試験において治療反応例が豊富な設計、アウトカムの不均一性の高さが挙げられる。

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ESMO2021レポート 泌尿器腫瘍

レポーター紹介2021年のESMOは、9月16日から21日まで、フランスのパリで開催されましたが、いまだCovid-19感染が世界的に終息していない状況を反映し、完全バーチャルの形式でした。発表形式は、Presidential Symposium、Proffered Paper session、Mini Oral session、e-Posterとして発表され、泌尿器領域からも各セッションで注目演題が並びました。LBA5 mHSPCにおけるUp frontアビラテロン療法の第III相試験:PEACE-1試験A phase III trial with a 2x2 factorial design in men with de novo metastatic castration-sensitive prostate cancer: Overall survival with abiraterone acetate plus prednisone in PEACE-1. Fizazi K, et al. Presidential Symposium 2.PEACE-1試験は、フランスを中心として実施された国際共同第III相試験で、転移性去勢感受性前立腺がん(mHSPC)に対する初回治療として標準治療にアビラテロン(Abi)1,000mg+プレドニゾロン10mgを加えることと、局所放射線照射74Gy/37frを加えることの効果を検証する2×2のFactorial designで計画されました。2013年から2018年まで登録を行った試験であり、途中の2015年にUpfrontでのドセタキセル(DTX)のエビデンスが報告されるという大きなパラダイムシフトがありました。そのため試験デザインは、標準治療が2015年まではアンドロゲン除去療法(ADT)のみであったのに対し、2015年からはADT+DTX 75mg/m2×6回が追加できることに、変更されました。Abiを加えた群とAbiなしの群を比較したデータの報告は、6月に行われた米国臨床腫瘍学会(ASCO)で無増悪生存期間(PFS)が報告されましたが、今回のESMOでは全生存期間(OS)の結果が初めて報告されました。標準治療がADT+DTXであった症例の患者背景は、各群バランスよく臓器転移が10%強、High burdenは60%強でした。PFSはすでに報告があったとおり、radiologic PFSは中央値4.5年と2.0年、ハザード比[HR]: 0.50、95%信頼区間[CI]: 0.40~0.62、p<0.0001であり、あらかじめ設定された両側α=0.001を下回り、有意にAbiの追加が優れていました。OSの解析には両側α=0.049が設定され、全体集団でのAbiあり群とAbiなし群の中央値は5.7年と4.7年、HR:0.82、95%CI:0.69~0.98、p=0.030でした。また、標準治療がADT+DTXであった集団でのAbiあり群とAbiなし群の中央値は到達せずと4.4年、HR:0.75、95%CI:0.59~0.95、p=0.017であり、OSでも優越性が示されました。興味深いことに、サブグループ解析ではHigh volume症例においては、HR:0.72、95%CI:0.55~0.95、p=0.019と差が維持されるのに対し、Low volume症例においては、HR:0.83、95%CI:0.50~1.38、p=0.66と差がなくなる方向にシフトしていました。Low volumeではとくにイベント数が少ないため解釈には注意が必要ではありますが、少なくともHigh volumeでのADT+DTX+Abiは、既報の中で最も長いOS中央値を報告しており、もはやこれが標準治療ではないかと演者は締めくくりました。日本では、UpfrontでのDTXに関し本年8月に添付文書の改訂が行われ、ようやく保険上使用可能になりました。Abiを併用することが可能かどうかは未知数ですが、High volume症例へのUpfront療法の有用性は強く意識せざるを得ない結果だと思います。652O 筋層浸潤性膀胱がんに対する周術期化学療法dd-MVAC vs. GCの第III相試験:VESPER試験Dose-dense methotrexate, vinblastine, doxorubicin and cisplatin(dd-MVAC)or gemcitabine and cisplatin(GC)as perioperative chemotherapy for patients with muscle-invasive bladder cancer(MIBC): Results of the GETUG/AFU VESPER V05 phase III trial.Pfister C, et al. Proffered Paper session - Genitourinary tumours, non-prostate 1.dd-MVAC療法は、メトトレキサート30mg/m2 day1、ビンブラスチン3mg/m2 day2、ドキソルビシン30mg/m2 day2、シスプラチン70mg/m2 day2を2週間ごとに繰り返す、顆粒球コロニー形成刺激因子 (G-CSF)を用いたIntensiveなレジメンであり、転移性膀胱がんではGC療法と同等の効果が報告されています。GC療法は転移再発の膀胱がんにおいては4週サイクルで用いられますが、Intensiveなレジメンとしてゲムシタビン1,250mg/m2 day1、8、シスプラチン70mg/m2 day1を3週ごとに繰り返すレジメンも海外では用いられています(日本のゲムシタビンの保険承認用量は1,000mg/m2であることに注意)。周術期治療は、強度を上げることで生存の改善が望まれていますが、VESPER試験はそれに一定の答えを与えてくれる、重要なランダム化比較第III相試験です。2013年から2018年にかけてフランスの28施設で登録された試験であり、Primary endpointは3年PFSでした。術前治療の場合はT2以上N0M0、術後治療の場合はpT2以上かpN+でM0の症例を対象とし、dd-MVAC療法 6サイクルとGC療法4サイクルに1:1に割り付けました。GC群(N=245)とdd-MVAC群(N=248)の患者背景は、おおよそ同じではありましたが、術後化学療法ではN+がGC群に若干多く73%と60%でしたが、T3/4は27%と40%でありdd-MVAC群に多いようでした。また術前化学療法ではT2は95%と90%でGC群に若干多く、T4は1.8%と4.1%でdd-MVAC群に若干多いという偏りが見られました。有意差があったかどうかは言及がありませんでした。3年PFSは両群とも中央値に達さず、HR:0.77、95%CI:0.57~1.02、p=0.066でdd-MVAC群が上回るKaplan-Meier曲線でした。術前化学療法例に限ると、HR:0.70、95%CI:0.51~0.96、p=0.025と、dd-MVAC群の効果が際立つ結果でした。また今回の報告で初めてOSのデータが提示されました。全体集団ではOSのHRは0.74、95%CI:0.55~1.00、術前化学療法例ではHR:0.66、95%CI:0.47~0.92でdd-MVAC群が上回っていました。試験全体のPrimary endpointがPFSであることを鑑みると、Negativeな結果であり、周術期治療においてdd-MVAC療法のGC療法に対する優越性は示せなかったという結論になると思います。しかしながら、演者の論調もDiscussantの話しぶりも、術前化学療法にはdd-MVAC療法がより優れているのが明らかになったと解釈しており、論点はdd-MVAC療法を6サイクル行うか4サイクルで手術に行くか? という別の次元の問題がトピックになっていました。術前治療の効果を最大限高めることを目標にする場合は、明日からの診療はdd-MVAC療法となると思います。個人的な感想ですが、今回の報告からは安全性の情報は省かれていたことや、統計設定とその解釈についての情報はなかったことから、論文化を待って再度吟味したいと考えています。LBA29 転移性腎細胞がん1次治療のイピリムマブ+ニボルマブ療法の投与スケジュール変更の安全性と効果を検討するランダム化第II相試験:PRISM試験Nivolumab in combination with alternatively scheduled ipilimumab in first-line treatment of patients with advanced renal cell carcinoma: A randomized phase II trial (PRISM).Vasudev N, et al. Proffered Paper session - Genitourinary tumours, non-prostate 2.CheckMate-214試験において、転移性淡明腎細胞がんのIntermediate/Poorリスク例におけるイピリムマブ+ニボルマブ療法は、スニチニブ単剤と比較しOSの延長が報告され、現在標準的な治療となっています。イピリムマブとニボルマブの併用により、重篤な免疫関連有害事象は47%で発生し、22%は治療中止に至ると報告されています。PRISM試験は、英国で行われた多施設共同ランダム化第II相試験であり、イピリムマブ+ニボルマブの投与スケジュールを3週間ごとと3ヵ月ごとに1:2に割り付け比較しました。標準治療群(N=64)は、イピリムマブ1mg/kgとニボルマブ3mg/kgを3週ごとで4回投与後、ニボルマブ480mgを4週ごとで継続します。試験治療群(N=128)は、イピリムマブ1mg/kgとニボルマブ3mg/kgを3ヵ月ごとで4回投与、ニボルマブ240mgを最初の3ヵ月は2週ごと、次の3ヵ月以降は480mgを4週ごとで投与します。Primary endpointは、12ヵ月以内のGrade 3/4有害事象の比較であり、Secondary endpointはその他の有害事象、PFS、客観的奏効率(ORR)、OS、Quality of life;QOLでした。両群の患者背景は、バランスが取れており、追跡期間中央値は19.7ヵ月でした。Primary endpointのGrade 3/4の治療関連有害事象は、試験治療群で32.8%、試験治療群で53.1%、オッズ比0.43、90%CI:0.25~0.72、p=0.0075であり、試験治療群で安全性が上回っていました。とくに両群に違いが見られた有害事象は、関節痛(1.6% vs.7.8%)、大腸炎(3.9% vs.6.3%)、リパーゼ上昇(1.6% vs.9.4%)、下垂体機能低下症(0.8% vs.3.1%)であり、治療中止に至った症例はそれぞれ22.7%と39.1%でした。PFS中央値はmodified Intention to Treat;ITT(1回以上の治療を行った患者)では、試験治療群で10.8ヵ月、標準治療群で9.8ヵ月であり、Kaplan-Meyer曲線はほぼ重なっていました。Intermediate/Poorリスク群でのPFS曲線や、全体集団でのOS曲線も同様であり、2群の治療の効果は互角と読み取れました。本研究により、イピリムマブを3ヵ月ごとに投与するスケジュールは、効果を損なわず安全性が向上することが示されました。イピリムマブ+ニボルマブ療法の最適な治療のスケジュールはまだ探索の余地があることが示唆されます。654MO 集合管がんに対するカボザンチニブの第II相試験:BONSAI試験A phase II prospective trial of frontline cabozantinib in metastatic collecting ducts renal cell carcinoma: The BONSAI trial (Meeturo 2)Procopio G, et al. Mini Oral session - Genitourinary tumours, non-prostate.イタリアのがんセンターで行われた単施設の単群第II相試験で、標準治療のない転移性集合管がんに対する1次薬物療法として、カボザンチニブ60mg連日内服を実施しその効果と安全性を報告しました。統計設定はSimonの2ステージデザインで行われ、1stステージでは2/9例、2ndステージでは6/14例の奏効で有効性を判断することになっていました。2018年1月から2020年11月にかけて25例を登録し23例で治療が行われました。年齢中央値は66歳、19例が男性でした。追跡期間中央値8ヵ月時点において、奏効は8/23例で認められORR 35%、PFS中央値は6ヵ月でした。有害事象は全例でGrade 1/2の毒性が見られ、頻度の高いものは倦怠感43%、甲状腺機能低下症28%、口腔粘膜炎28%、食思不振26%、手足症候群13%などでした。DNAシークエンスを行った結果、奏効例には脱ユビキチン関連遺伝子、細胞間伝達関連遺伝子、TGF-βシグナル伝達関連遺伝子が認められていました。本研究の結果、集合管がんにおいてカボザンチニブは有効な治療選択肢であることが示されました。演者のProcopio氏はさらに、これら遺伝子プロファイルの結果、カボザンチニブのような血管新生阻害薬や、免疫チェックポイント阻害薬、あるいは化学療法が適しているのかを個別に治療選択する臨床試験(CICERONE試験)も始めていると報告しました。日本において腎細胞がんに対するカボザンチニブは、保険適用となっています。集合管がんの治療は、尿路上皮がんとして治療されたり腎細胞がんとして治療されたりしていますが、本研究の報告は治療選択の参考になるものと思われます。

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第82回 新型コロナとインフルエンザ「同時流行」の可能性は?

先週末の総選挙では、自民党単独では公示前の議席を減少させたものの、国会を安定的に運営できる「絶対安定多数」は確保した。閣僚による不祥事などが起きない限り、今後は安定的に政権を運営でき、医療界では新たな医療体制の構築や次期診療報酬改定に向けた動きが期待されている。医療界にとっての懸念は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の第6波の動向と共に、今冬のインフルエンザの行方だろう。早くも、インフルエンザワクチンが新型コロナの影響で足りないという。地域によっては、インフルエンザワクチンの接種予約がかなり困難な状況で、子どもの予約を取るために、いくつもの医療機関に50回近く電話をかけ続けたという母親も。Twitterには「インフルエンザの予約が取れない。子どもはコロナ打てないんだから、インフルくらい打たせて」といった親たちの切実な叫びが綴られている。コロナ対応のあおりでインフルワクチンは供給不足日本感染症学会は9月、今年はインフルエンザが大きな流行を起こす可能性もあるとのメッセージを発信した。例年のインフルエンザの感染者数は約1,000万人だが、昨シーズンは3密回避・手洗い・うがいの徹底などが奏功して約1万4,000人にまで減少した。しかし、それによってインフルエンザの免疫を持つ人が減少し、日本全体が感染しやすい状態になっているという。12歳以下の子どもの場合、インフルエンザワクチンは2回接種が必要だが、「2週間後ぐらいに2回目接種をしないと、ワクチンが足りなくなる可能性がある」と言う医師もいる。都内のあるクリニックでは、当初10月~12月までのインフルエンザワクチンの予約を受け付けていたが、10月分から予約を制限しており、11月分の新規予約は受け付けないという。なぜワクチン不足の状況になっているのか。厚生労働省によると、今年は10月第5週の時点では全体の65%の出荷量にとどまっており、11月~12月中旬頃まで継続的にワクチンが供給される見込みだ。厚労省は9月、各都道府県にインフルエンザワクチンの供給が遅れることを通達。世界的に原料が不足している上、ワクチン製造で使う部品が新型コロナ用に回され確保が難しくなっていることから、供給が遅れる見通しだという。今季の供給予定量は、2,567~2,792万本(1本:大人2回分)の見込みで、昨シーズンの8割程度だ。経済活動再開でインド・バングラのウイルス拡散もこのような状況下、果たして新型コロナとインフルエンザの同時流行はあるのだろうか。「同時流行はあり得る」と言い切るのは、感染症専門の大学教授だ。インフルエンザ流行の可能性について、日本感染症学会は以下の2つの理由を挙げる。まず前述の通り、前のシーズンにインフルエンザがほとんど流行しなかったため、集団免疫が形成されていない可能性があること。もう1つは海外の要因だ。今夏、インドおよびバングラデシュでインフルエンザが流行しており、国境を越えた人々の移動が再開されれば、世界中にウイルスが拡散される懸念があるという。新型コロナとインフルエンザ、各々の症状には発熱と咳という共通した症状があり、同時流行が起きた場合、にわかに区別が付きにくい。そのため、インフルエンザが流行すれば医療現場に双方の患者が混在し、混乱と逼迫を招く可能性がある。厚労省によると、新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンは原則、同時接種は不可だが、2週間空ければ他方のワクチンも接種可能となる。ただ、あまり双方にとらわれ過ぎると、子どもの場合、その他の疾患の早期発見に遅れを来す懸念もあるだろう。新型コロナワクチン接種率のさらなる向上や、効果の高い治療薬の登場により、感染症としての位置付けが現状のままなのか、インフルエンザ並みになっていくのかが、今後の医療体制の構築に重要なポイントになるだろう。

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4週に1回の投与で片頭痛発作を予防する「アイモビーグ皮下注70mgペン」【下平博士のDIノート】第85回

4週に1回の投与で片頭痛発作を予防する「アイモビーグ皮下注70mgペン」今回は、ヒト抗CGRP受容体モノクローナル抗体製剤「エレヌマブ(遺伝子組換え)(商品名:アイモビーグ皮下注70mgペン、製造販売元:アムジェン)」を紹介します。本剤は、4週間に1回の投与で、片頭痛発作の発症を抑制することが期待されています。<効能・効果>本剤は、片頭痛発作の発症抑制の適応で、2021年6月23日に承認され、8月12日に発売されました。片頭痛発作の前兆の有無にかかわらず月に複数回以上発現している、または慢性片頭痛であることを確認したうえで本剤の適用を考慮します。なお、非薬物療法、片頭痛発作の急性期治療などを適切に行っても日常生活に支障を来している患者にのみ投与できます。<用法・用量>通常、成人にはエレヌマブ(遺伝子組換え)として70mgを4週間に1回皮下投与します。なお、本剤投与開始後3ヵ月が経過しても症状の改善が認められない場合や、頭痛発作発現の消失・軽減などにより日常生活に支障を来さなくなった場合は、本剤の投与中止を考慮します。<安全性>片頭痛患者を対象とした国内第III相試験において、副作用はプラセボ群で3.1%(4/131例)、本剤投与群で8.5%(11/130例)が認められました。主な副作用は、便秘、注射部位反応(紅斑、そう痒感、疼痛、腫脹など)、傾眠などでした。なお、重大な副作用として、発疹、血管浮腫およびアナフィラキシーを含む重篤な過敏症反応と重篤な合併症(腸閉塞、糞塊、腹部膨満およびイレウスなど)を伴う便秘が海外で報告されています。<患者さんへの指導例>1.この薬は、片頭痛に関与するとされる神経ペプチドの受容体をブロックすることで、片頭痛発作の発現を予防します。2.発熱、発疹、まぶたや口唇周囲の腫れ、呼吸困難など、アナフィラキシーが疑われる症状が現れた場合は、すぐに報告・受診してください。注射後1週間以上経過してから発現することもあります。3.注射した部位に、赤み、かゆみ、痛み、腫れなどの症状が現れることがあります。これらの症状が長引く場合は、ご相談ください。4.お薬のせいで眠くなることがあります。車の運転や機械の操作、高所での作業などを行う場合はご注意ください。5.本剤の使用中に、血圧が上昇したり高血圧が悪化したりすることがあります。自宅で血圧計を用いるなど、血圧の変動に注意してください。6.まれに重い便秘症状が現れることがあります。とくに初回投与後は便通の変化に注意し、便秘症状が続く場合には早めにご連絡ください。<Shimo's eyes>片頭痛が起きる成因として、三叉神経から放出された神経ペプチドであるCGRPがCGRP受容体に結合することで、血管が過度に拡張して炎症が波及して片頭痛発作が起こるという説が有力です。予防にはロメリジン、バルプロ酸、プロプラノロール、アミトリプチリン、ベラパミルなどが用いられています。効果を得られない患者も少なくありませんでしたが、抗体医薬品が登場したことにより、片頭痛の治療選択肢が広がりました。本剤は、世界で初めて承認されたカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)関連の抗体医薬品であり、わが国では2021年4月にガルカネズマブ(商品名:エムガルティ)、同年8月にフレマネズマブ(同:アジョビ)が発売されました。この2剤はCGRPに結合して活性を阻害しますが、本剤はCGRPの受容体に直接作用し、CGRPの結合を防いでシグナル伝達を阻害します。CGRP関連薬剤は4週間に1度(フレマネズマブは4週間に1度あるいは12週間に1度)の皮下投与で予防効果を発揮します。なお、すでに発現している片頭痛発作を緩解する薬剤ではないため、本剤投与中に発作が発現した場合には、必要に応じてトリプタンなどの急性期治療薬を使用します。本剤の注射針カバーは天然ゴム(ラテックス)を含み、アレルギー反応を起こす恐れがあるため、投与に際してはアレルギー歴の確認が必要です。デバイスはオートインジェクターであり、外箱を冷蔵庫から取り出し、30分以上待って室温に戻してから使用します。現状は自己注射が認められておらず、原則として外来受診時の投与となります。主な副作用として、便秘、注射部位反応、傾眠などが報告されています。便秘の既往歴を有する患者および消化管運動低下を伴う薬剤を併用している患者では発現リスクが高くなる恐れがあるので注意が必要です。参考1)PMDA 添付文書 アイモビーグ皮下注70mgペン

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「ランタスXR」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第76回

第76回 「ランタスXR」の名称の由来は?販売名ランタス®XR注 ソロスター®一般名(和名[命名法])インスリン グラルギン(遺伝子組換え)(JAN)効能又は効果インスリン療法が適応となる糖尿病用法及び用量通常、成人では、初期は1日1回4~20単位を皮下注射するが、ときに他のインスリン製剤を併用することがある。注射時刻は毎日一定とする。投与量は、患者の症状及び検査所見に応じて増減する。なお、その他のインスリン製剤の投与量を含めた維持量は、通常1日4~80単位である。ただし、必要により上記用量を超えて使用することがある。警告内容とその理由設定されていない禁忌内容とその理由禁忌(次の患者には投与しないこと)1.低血糖症状を呈している患者2.本剤の成分又は他のインスリン グラルギン製剤に対し過敏症の既往歴のある患者※本内容は2021年11月3日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2021年2月改訂(第8版)医薬品インタビューフォーム「ランタス®XR注 ソロスター®」2)サノフィe-MR:製品情報

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ドイツで産んでみた(2) 早産で緊急入院【空手家心臓外科医のドイツ見聞録】第7回

困ったときの必殺技「泣き落とし」前回から続いて、ドイツでの双子が生まれた経験から知ることができた、ドイツの医療について書いていきます。妻が双子を妊娠していることがわかり、まずはかかりつけの産婦人科医を決めました。Greifswaldは大学を中心にできている街で、若い人が多かったこともあり、産婦人科の予約を取ることはかなり大変でした。予約が3ヵ月後とか平気で言われたのですが…なんとか受付へ直接乗り込んで、泣き落とすことで割り込み予約をさせてもらいました。(ドイツはお堅いイメージがあるかも知れませんが、経験上、泣き落としはかなり有効です。役所で、試験会場で、何度も何度も泣き落としで窮地を乗り切ってきました)かかりつけの産婦人科医をみつけ、次は定期検診をしてくれるエコー専門医を紹介してもらいました。初期の段階から双胎間輸血症候群が疑われたため、1~2週間に1度の頻度でエコーをしてもらいに通い続けました。毎回1時間以上かけて、丁寧に丁寧に診てくれる先生でした。そして「何かあったら、すぐに大学病院へいけ」と指示されました。病院のご飯の評判は大学の街であるGreifswaldの医療はすべて大学病院を中心として展開されています。お互いの連携も密に取られている印象でした。大学の先生たちは開業医の先生方の性格や診療のクセなどもよく理解していて、いつ受診してもサクサク話が進んでいきました。Greifswald大学病院です。みえている建物全部が病院で、この奥にもさらに病棟が広がっています。デカくて最新の設備が整っていて機能的ですが、建物内は無機質で愛想がありません。大学ではナースもドクターもとても親切でした。しかし、ご飯がちょっと…な感じでした。妻が切迫早産で1週間ほど緊急入院となったことがありました。その際、調理された料理が出るのは昼だけで、朝夕は病棟の片隅にあるビュッフェ(?)のようなコーナーにある、チーズとパンを自由に取ってきて食べるだけでした。ドイツ語が話せないにもかかわらず、妊娠ライフを淡々と過ごしていた妻だったのですが、このときばかりは「ご飯が美味しくないなんて酷すぎる」といって泣いていました…。やむなく、私が毎日米を炊いて、病院に持っていきました。朝5時に起きて米をタッパーに詰めて、お味噌汁を水筒に入れて、毎日勤務前に届けました。帰宅時も病院に寄って、タッパーを回収して、もう一度米を炊いて持っていきました。時にインスタントラーメンを買って届けたりもしました。毎日ヘロヘロになりながら過ごしていました。今にして思えばいい思い出ですけど。次回は出産後のドイツの育児システムについて、書きたいと思います。

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非がん性疼痛へのトラマドール、コデインより死亡リスク高い?/JAMA

 欧米では、非がん性慢性疼痛の治療にトラマドールが使用される機会が増えているが、安全性を他のオピオイドと比較した研究はほとんどないという。英国・オックスフォード大学のJunqing Xie氏らは、トラマドールの新規処方調剤はコデインと比較して、全死因死亡や心血管イベント、骨折のリスクを上昇させることを示した。便秘やせん妄、転倒、オピオイド乱用/依存、睡眠障害には両薬で差はなかった。研究の成果は、JAMA誌2021年10月19日号に掲載された。スペインの後ろ向きコホート研究 研究グループは、外来で使用されるトラマドールとコデインについて、死亡および他の有害なアウトカムの発生状況を比較する目的で、人口ベースの後ろ向きコホート研究を実施した(IDIAP Jordi Gol Foundationの助成を受けた)。 解析には、System for the Development of Research in Primary Care(SIDIAP)のデータが用いられた。SIDIAPは、スペイン・カタルーニャ地方(人口約600万人)の人口の80%以上を対象とし、匿名化したうえで日常的に収集される医療・調剤の記録が登録されたプライマリケアのデータベースである。 対象は、年齢18歳以上で、1年以上のデータがあり、2007~17年の期間にトラマドールまたはコデインが新規に調剤された患者であった。両薬が同じ日に調剤された患者は除外された。 評価項目は、初回調剤から1年以内の全死因死亡、心血管イベント(脳卒中、不整脈、心筋梗塞、心不全)、骨折(大腿骨近位部、脊椎、その他)、便秘、せん妄、転倒、オピオイド乱用/依存、睡眠障害とされた。解析の対象は、傾向スコアマッチング法で選出された。また、原因別Cox比例ハザード回帰モデルで、絶対発生率差(ARD)とハザード比(HR)、95%信頼区間(CI)が算出された。若年患者で死亡の、女性で心血管イベントのリスクが高い 109万3,064例が登録され、このうち32万6,921例がトラマドール群、76万2,492例がコデイン群であり、3,651例は両方の薬剤が調剤されていた。傾向スコアマッチング法で選出された36万8,960例(両群18万4,480例ずつ、平均年齢53.1歳、女性57.3%)が解析に含まれた。 トラマドール群はコデイン群に比べ、1年後の全死因死亡(発生率:13.00 vs.5.61/1,000人年、HR:2.31[95%CI:2.08~2.56]、ARD:7.37[95%CI:6.09~8.78]/1,000人年)、心血管イベント(10.03 vs.8.67/1,000人年、1.15[1.05~1.27]、1.36[0.45~2.36]/1,000人年)、骨折(12.26 vs.8.13/1,000人年、1.50[1.37~1.65]、4.10[3.02~5.29]/1,000人年)のリスクが有意に高かった。 便秘(発生率:6.98 vs.6.41/1,000人年)、せん妄(0.21 vs.0.20/1,000人年)、転倒(2.75 vs.2.32/1,000人年)、オピオイド乱用/依存(0.12 vs.0.06/1,000人年)、睡眠障害(2.22 vs.2.08/1,000人年)には両群に差はみられなかった。 トラマドールによる死亡リスクの上昇は、若年患者(18~39歳)が高齢患者(60歳以上)に比べて大きかった(HR:3.14[95%CI:1.82~5.41]vs.2.39[2.20~2.60]、pinteraction<0.001)。心血管イベントのリスク上昇は、女性が男性よりも大きかった(1.32[1.19~1.46]vs.1.03[0.93~1.13]、pinteraction<0.001)。また、併存疾患が最も多い患者(チャールソン併存疾患指数[CCI]≧3点)は最も少ない患者(CCI=0点)に比べ、骨折のリスクの上昇が大きかった(HR:2.20[95%CI:1.57~3.09]vs.1.47[1.35~1.59]、pinteraction=0.004)。 著者は、「未評価の交絡因子が残存している可能性があるため、これらの知見の解釈には注意を要する」としている。

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管理薬剤師「実務経験5年以上」の実態は?【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第78回

2021年は調剤報酬の改定こそなかったものの、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)の改正や関連するガイドラインの発出など、さまざまなことがありました。これに関連して、日本保険薬局協会(NPhA)が会員企業を対象に法令遵守に関する調査を行い、その結果を公表しましたので紹介します。日本保険薬局協会は14日の定例会見で「薬局における法令遵守に関する調査」結果を公表した。医薬品医療機器法改正に伴って規定された管理薬剤師の選任要件に関して、社内基準を規定している会員企業の割合は84.7%、厚生労働省がガイドラインで示した「実務経験5年以上」を要件として課している会社は45.5%にとどまった。(RISFAX 2021年10月15日付)これってなんだっけ?と思っている方がいないことを願いますが、2021年8月の薬機法改正による法令遵守規定の施行に先立ち、2021年6月に「薬局開設者及び医薬品の販売業者の法令遵守に関するガイドライン」と「薬局開設者及び医薬品の販売業者の法令遵守に関するガイドラインに関する質疑応答集(Q&A)」が出されました。上記記事は、NPhAがこのガイドラインに沿って薬局運営が行われているかを会員薬局に対して調査したものです。今回の薬機法改正に関しては、項目ごとに施行期日が異なっていて、「認定薬局」と「法令遵守体制の整備」は8月1日施行だったため、薬局ではかなり急ぎで手順書の改訂などの対応をされたのではないでしょうか。今回のアンケートは、まだ実施できていない薬局に注意喚起を行うとともに、業界団体としてどういったサポートができるかを探るという意味もあったのかもしれません。この記事にある「管理薬剤師の実務経験5年以上」という選任基準は、今回のガイドラインで推奨している内容の1つであり、実は薬機法そのものでは5年以上とは規定されていません。薬機法の管理薬剤師の責務を担ううえで、実務経験が5年以上あることを「推奨」しているだけです。業界の信頼を損ねないためにもある程度足並みをそろえる必要はあると思いますが、この調査結果を、「遵守は5割未満」というタイトルで報じている記事もあり、ちょっと悪意あるかも…?と思ったりもします。少し擁護しますと、管理薬剤師の選任基準として「実務経験5年以上」を要件として定めている薬局は45.5%であったものの、実際に管理薬剤師の実務経験が5年以上である薬局は89.3%でした。はっきりと選任基準に入れていなくても、実際はガイドラインに沿った人事であることがよくわかります。管理薬剤師の業務や責任を考えると、薬局経営者としても経験豊富な薬剤師に任せたいはずです。しかし、管理薬剤師が突然退職してしまった…などのいざというときのために基準には入れづらいのだと思います。NPhAの首藤 正一会長は「会員に遵守徹底を促す」とのことですので、同様の調査は今後も実施される可能性があります。安定した組織運営や患者さんからの信頼確保のため、ガイドラインを遵守しつつも臨機応変に動ける体制がつくれたらいいなと思います。

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再発乳がんへのパルボシクリブ、実臨床での併用薬や次治療は?/日本癌治療学会

 2017年の承認以来、CDK4/6阻害薬パルボシクリブはホルモン受容体陽性/HER2陰性の手術不能または再発乳がん治療に使用されているが、治療ラインや併用薬、次治療についてのデータは限定的となっている。澤木 正孝氏(愛知県がんセンター)らは、日本におけるパルボシクリブによる治療状況を明らかにするために、リアルワールドデータを用いた後ろ向き観察研究を行い、第59回日本癌治療学会学術集会(10月21~23日)で報告した。 2017年12月から2021年2月までにMedical Data Vision(MDV)データベースでパルボシクリブが処方された患者の請求データが解析に用いられた。MDVデータベースには439病院(2021年4月時点)が参加しており、DPC病院全体の25%がカバーされている。 治療成功期間(TTF)中央値は、カプランマイヤー法を使用して推定され、併用内分泌療法についてはパルボシクリブ開始から30日以内を開始日とする乳がん治療として定義された。 主な結果は以下のとおり。・MDVデータベースに含まれる乳がんの診断を受けた約44万例のうち、パルボシクリブが投与された1,074例が解析対象とされた。追跡期間中央値は15.9ヵ月。・患者背景は年齢中央値が64(53~72)歳。女性が99.3%、閉経後が86.4%を占めた。チャールソン併存疾患指数の中央値は8、化学療法施行率は18.2%、術後内分泌療法施行率は52.0%で、45.7%は内分泌療法中あるいは内分泌療法開始1年以内の再発であった。・パルボシクリブが使用された治療ラインについて、半年ごとに期間を区切って変化をみると、1次治療は22.7%(2017年12月~2018年6月)から42.6%(2020年7月~12月)に増加し、4次治療以降は29.3%(2017年12月~2018年6月)から10.2%(2020年7月~12月)に減少していた。・併用内分泌療法はフルベストラントとレトロゾールが主に使用され、フルベストラントはLate lineになるほどその使用割合が増加していた。1次治療(357例):フルベストラント(57.4%)、レトロゾール(34.5%)、エキセメスタン(2.2%)、アナストロゾール(1.7%)、タモキシフェン(0.6%)、トレミフェン(0.3%)、その他(3.4%)2次治療(336例):フルベストラント(62.8%)、レトロゾール(23.5%)、エキセメスタン(5.1%)、アナストロゾール(3.9%)、タモキシフェン(0.3%)、トレミフェン(0.3%)、その他(4.2%)3次治療(150例):フルベストラント(66.0%)、レトロゾール(20.0%)、エキセメスタン(6.0%)、アナストロゾール(4.0%)、タモキシフェン(1.3%)、その他(2.7%)・TTF中央値は1次治療が12.0ヵ月(95%信頼区間[CI]:10.7~14.2)、2次治療が9.8ヵ月(95%CI:8.6~11.9)、3次治療が8.4ヵ月(95%CI:6.8~10.6)だった。・初回投与量は125mgが82.0%を占め、うち63.5%で1回以上の減量が行われ、32.7%で75 mgまで減量が行われていた。・パルボシクリブ投与後の次治療については、20~30%で内分泌療法+CDK4/6阻害薬が使用されており、化学療法はLate lineになるほどその使用割合が増加していた。1次治療でのPAL投与後(194例):内分泌療法+CDK4/6阻害薬(29.4%)、化学療法単独(23.7%)、内分泌療法単独(17.0%)、内分泌療法+mTOR阻害薬(12.9%)、化学療法+ベバシズマブ(12.4%)、化学療法+内分泌療法(2.1%)、その他(2.6%)2次治療でのPAL投与後(213例):内分泌療法+CDK4/6阻害薬(30.0%)、化学療法単独(29.1%)、内分泌療法+mTOR阻害薬(13.6%)、化学療法+ベバシズマブ(12.7%)、内分泌療法単独(8.9%)、化学療法+内分泌療法(3.8%)、その他(1.9%)3次治療でのPAL投与後(93例):化学療法単独(35.5%)、内分泌療法+CDK4/6阻害薬(22.6%)、内分泌療法+mTOR阻害薬(15.1%)、内分泌療法単独(12.9%)、化学療法+ベバシズマブ(11.8%)、化学療法+内分泌療法(1.1%)、その他(1.1%) 澤木氏は、PALOMA-2試験におけるPFS中央値(27.6ヵ月)1)と比較すると本結果におけるTTFは短いが、米国のリアルワールドデータと大きな差はみられないと考察。また、パルボシクリブによる治療後、一定の割合でCDK4/6阻害薬が使用されている点についても、米国でのリアルワールド研究2)において同様の傾向が報告されているとした。

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自然と手術がうまくなるオペレコ習慣5選!【誰も教えてくれない手術記録 】第8回

第8回 自然と手術がうまくなるオペレコ習慣5選!こんにちは! 手術を描く外科医おぺなかです。皆さんは普段、何を目的にオペレコを描いていますか? 仕事の一環として仕方なくやらなきゃいけないものだと思っていませんか? 多忙な中、せっかく時間をかけてオペレコを描くなら、手術の上達にもつなげたいものです。そこで今回は、「手術がうまくなるためのオペレコ習慣」として、僕が意識している5つのポイントを紹介したいと思います。1.できるだけ記憶が鮮明なうちにラフスケッチだけでも描く手術内容や術野のイメージは、手術後時間が経つほど記憶が薄れ曖昧になっていきます。オペレコに描きたい重要な場面などは、できればオペの直後にラフスケッチでもいいので描き残しておきましょう。付け加えて、手術のポイントやコツ、上司からのアドバイスなどのメモも記載しておきます。その後、業務をある程度終えて一息ついたら、先ほど描いたラフスケッチやメモを元に、できれば手術当日中にオペレコを完成させてしまいましょう。手術の記憶が鮮明なうちに描いたほうが、より事実に即したオペレコになるはずです。参考:手術直後のラフスケッチとメモ(※イメージ)2.手術、解剖の曖昧な点はその都度成書や実際の手術ビデオを確認するより正確なオペレコを描こうとすると、思うように描けない部分が必ず出てきます。曖昧な部分をそのままにせず、教科書や手術書、実際の手術ビデオなどで解剖や術野の見え方を確認し、正しく描く習慣を付けましょう。オペレコを描くことは、自身の曖昧な部分を浮き彫りにしてくれます。確認と修正を繰り返すことで、解剖や手術のイメージが正確で強固なものになり、手術前のイメージがより具体的になりますよ。3.上級医や手術参加者からオペレコのチェックを受ける描いたオペレコは、できれば手術に参加した上級医に確認してもらいましょう。術後カンファレンスで提示するのもいい方法です。周囲の指摘によって手術や解剖についての誤った認識や解釈に気付かされることもあります。また、オペレコは公的な記録なので、自分だけでなく他者が読んでも理解できる内容である必要があります。描いたイラストが本当に人に伝わるオペレコかどうかは、他者に見てもらわないとわかりません。欲を言えば、手術に参加していない人が見ても手術内容がわかるように描けているのが理想です。例:研修医のオペレコをアプリに取り込んで添削4.自分の執刀ではない手術後にもイラスト付きのメモを残す執刀ではない、助手やスコピストでの手術参加も、上達のチャンスです。術中に印象に残った場面や、解剖構造が曖昧で気になっていた箇所があれば、術後にメモやスケッチを残す習慣を付けましょう。もしいつか自分が同じ手術を執刀することになった際、術前にメモを見返して役立てることができます。オペレコを描く際に、以前一度でもイラスト化した経験があれば、うんと描きやすくなると思いますよ。5.自分が過去に描いたオペレコを定期的に見直す一生懸命に描いたオペレコでも、見返すことなくしまい込んでいませんか? オペレコを見返さないのはとてももったいないです。頑張って描いたオペレコは自身の貴重な経験や反省、助言の詰まった紛れもない宝、自分だけの手術書なのです! 僕は過去のオペレコを見直すと、その手術の反省点や上司の助言が鮮明に思い浮かんできます。それを見返しながら手術前にイメージを膨らませておくと、本番にきっと役立つでしょう。参考:振り返り用に、イラストをカテゴリごとに分けて保存まとめ1.できるだけ記憶が鮮明なうちにラフスケッチだけでも描く2.手術、解剖の曖昧な点はその都度成書や実際の手術ビデオを確認する3.上級医や手術参加者からオペレコのチェックを受ける4.自分の執刀ではない手術後にもイラスト付きのメモを残す5.自分が過去に描いたオペレコを定期的に見直す僕のかつての上司は、「オペレコがうまい外科医は手術もうまい!」とよく言っていました。手術がうまくなりたい外科医が、手術への熱意から無意識にこれらの習慣をこなし、オペレコも自然とうまくなっていくと考えると、その言葉も納得できます。挙げたすべてをいきなり習慣化するのは難しいかもしれませんが、まずは一つでも取り入れてみませんか? せっかく貴重な時間を使ってオペレコを描いているのですから、おのずと手術がうまくなるような描き方が身に付くと最高ですね!

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第81回 国立病院機構とJCHOに法律に基づく病床確保要求、民間への「要求」法制化の“前哨戦”か?

営業時間短縮の要請解除こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。各都道府県に出されていた緊急事態宣言とまん延防止等重点措置が解除されて3週間余り、東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県では、飲食店の21時までの営業時間短縮要請が10月24日で解除され、25日からは通常営業が可能となりました。ということで先週末は、通常営業再開の事前お祝いのために、大学時代の山仲間と丹沢の塔ノ岳(お昼の頂上は200人近くの登山者で大賑わいでした)に登った後、「第75回 行動制限緩和の前に、あのナンセンスな制限だけは先行して撤廃を」でも書いた、横浜・関内にある友人が経営する焼肉屋に行ってきました。「お客さんに、ウーロン茶やノンアルコール飲料で焼肉を食べてもらわなければならないのがつらかった。時短要請解除はありがたい」と話す友人は本当にほっとした表情でした。思わず皆で高いワインを数本空けてしまいました。一方で、第6波を想定しての国の準備も進んではいるようです。今回は後藤 茂之厚生労働大臣が10月19日に行った、独立行政法人国立病院機構と独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)の病院に対する新型コロナウイルス感染症の患者向け病床の確保要求について書いてみたいと思います。今夏の感染拡大のピーク時より2割以上増やせ後藤厚労相が国立病院機構、JCHOに対して行った今回の要求は、以下のようなものです1)。1)新型コロナウイルス感染症患者等の最大入院受入数及び確保病床数(人材供給を行った医療機関や臨時の医療施設等の病床数を含む)について、それぞれ今夏の感染拡大のピーク時と比べ2割以上増加させること。2)1の検討は、貴法人の有する施設・設備、人材をできる限り活用するとともに、一般医療の制限等を視野に入れ、行うこと。その際、重症用病床の確保に特段の配慮をすること。また、病床確保を第一としつつ、特段の事情によりこれが難しい場合には、臨時の医療施設等に対する人材供給を行うこと。3)現在、都道府県において策定中の保健・医療提供体制確保計画の策定に最大限協力すること。また、都道府県から即応病床化の要請があった場合にはできる限り速やかに対応するとともに、新型コロナウイルス感染症患者等の入院受入要請があった場合は、できる限り対応し、正当な理由なく断らないこと。端的に言えば、「重症病床中心に、今夏の感染拡大のピーク時と比べて2割以上増加させよ。都道府県からの即応病床化の要請や入院受け入れ要請には、できる限り対応せよ」ということです。国立病院機構とJCHOに対しては、10月29日までに対応方針を、11月22日までに対応の具体的内容を回答するよう求めています。厚労省によると、両機構の病院でのコロナ病床はこれまで計3,000床程度を確保しており、今回の要求によって600床以上の増床につながるとしています。法律に基づくコロナ病床の「要求」は初めてこれまでのコロナ病床の確保は“お願い”ベースの「要請」でした。しかし、今回はより強制力がある「要求」。法律に基づくコロナ病床の要求は、今回が初めてです。ここでいう法律とは、両機構の業務内容などを定めた、独立行政法人国立病院機構法(第21条第1項)と独立行政法人地域医療機能推進機構法(第21条第1項)です。これらの法律は、公衆衛生上重大な危害が生じる緊急事態に対処するため、厚労相が必要な業務の実施を求めることができると規定しており、その条項をコロナ病床の確保に適用したかたちです。ただし、これらの法律に罰則規定は設けられていません。日本赤十字社、済生会、労災病に対しては文書要請今回の要求は政府が10月15日に示した、第6波を想定した今後の新型コロナ対策の骨格に基づいて行われました。この骨格では、ウイルスの感染力が今夏の第5波の2倍になっても対処できる医療提供体制の整備を基本とし、(1)感染拡大時の確保病床の確実な稼働(利用率8割以上)、(2)公的病院の専用病床化・現行法下での権限の発動、(3)臨時医療施設・入院待機施設の確保、(4)医療人材の確保、(5)ITを活用した稼働状況の徹底的な見える化──などの施策を盛り込んでいます。この中の「公的病院の専用病床化・現行法下での権限の発動」を、国立病院機構とJCHOを対象に行ったというわけです。なお、厚労省は省の関連3法人(日本赤十字社、済生会、労災病院)やその他の公的病院に対しても、それぞれの管理部局から文書要請を行う予定です。こちらは法に基づかない要請として、入院患者の受け入れ数は「今夏のピーク時から2割以上」、確保病床数は「1割以上」の増加を求めるとしています。2機構への要求は「遅きに失した」感も岸田政権、そして後藤厚労省のコロナ関連の初仕事としては、とても意味のあることだとは思います。ただ、第5波が収まってからの病床確保の要求は、遅きに失した感が否めません。どちらの病院も、厚労省管轄で法律による要求が可能なのはわかっていたはずです。どうして菅政権下で行わなかったのか謎です。これまで、法律での要請はほとんど効果を上げていません。第5波ピーク時の9月初旬、東京都と厚生労働省が2月に改正した感染症法に基づいて出した病床確保の協力要請(「第72回 今さら「手紙」で協力求める日医・中川会長、“野戦病院”提言も動かない会員たちにお手上げ?」参照)では、すぐ使える病床の上積みはわずか150床に留まり、失敗に終わっています。幸いなことに第5波は収束に向かい、緊急の病床確保の必要度は下がりました。しかし、感染症法に基づく協力要請が無力に終わったことは、国や厚労省にとっては相当ショックだったはずです。ゆえに、来たるべき第6波に向けた病床確保には、強制力を発揮できる厚労省管轄の病院への「要求」が優先事項として上がったのかもしれません。中等症2や重症用ベッドにどこまで対応できるかは未知数今回、国立病院機構140病院、JCHO57病院への病床確保要求が行われたわけですが、単に病床を確保するだけでは不十分であることを、第5波などの経験から現場は十分認識していることでしょう。たとえば、第5波では、軽症、中等症、中等症2、重症といった各種コロナ病床の需給のバランスが大きく崩れました。中等症2以上の入院が優先された結果、中等症、重症者用ベッドが満床になる一方で、軽症用のベッドはガラガラという地域もあったと報告されています。今回、病床確保の要求がなされた国立病院、JCHO病院は、すべてが急性期の先進病院というわけではありません。中小の民間病院と同程度の医療内容、陣容だったり、慢性期主体だったり、医師や看護師不足にあえいでいたりする病院も少なくありません。厚労相の要求は「重症用病床の確保に特段の配慮」となっていますが、どれだけの数の病院が中等症2や重症用病床の確保に対応できるかは未知数です。厚労省は来年の通常国会を見据え、医療従事者や病床の確保などで強制力のある措置を可能にする感染症法改正を検討していると伝えられています。今回の「要求」で重症病床の確保が実現すれば、民間病院等にも「要求」できる法改正へとコマが進められると考えられます。その意味では、国立病院機構、JCHOへの「要求」は、民間にも対象を広げるための”前哨戦”と言えるかもしれません。その成否が気になります。参考1)独立行政法人国立病院機構及び独立行政法人地域医療機能推進機構への要求等について

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