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第138回 ご存じですか?ジェネリック供給不足の逼迫度

ジェネリック医薬品(以下、ジェネリック)を中心とした医薬品不足がさらに深刻化しているようだ。12月5日に日本製薬団体連合会(日薬連)安定確保委員会が、医療用医薬品を取り扱う企業に対して2022年8月末時点の自社製造販売承認取得品目の出荷状況を調査したアンケート結果を公表した。それによると、回答が寄せられた223社の1万5,036品目のうち「通常出荷」は71.8%に留まり、昨年同期の調査での79.6%から悪化傾向が見られたという。このうち「出荷停止」は全体の7.3%に当たる1,099品目で、昨年同期調査の4.8%(743品目)から増加。また、行政処分を受けた企業の出荷停止品目の影響もあり、「限定出荷(出荷調整)」は20.8%(3,135品目)で、こちらも昨年同期調査の15.5%(2,400品目)から増加した。ちなみに前年同期調査の回答は 218社、1万5,444品目なので、完全な比較はできないが、回答企業が増加したにもかかわらず、品目が減少したことについて同委員会では「行政処分を受けた企業による品目整理などの影響により、品目数は減少したと推測される」との分析を示している。いずれにせよ前回調査比で回答企業数増、品目数減の中で出荷停止、限定出荷品目の絶対数が増加していることを考えれば、完全な比較ではなくとも現在の医薬品供給状況が昨年よりもひっ迫していることは明らかである。そして出荷停止品目の90.7%、限定出荷品目の89.7%がジェネリックである。ご存じのように今回の医薬品不足は本を正せば、2020年12月にジェネリック専業メーカーの小林化工が製造していた抗真菌薬への睡眠導入薬成分の混入事件がきっかけである。事件の原因究明の結果、同社では承認書と異なる手順の製造という不正が常態化していたことが発覚。同社は薬機法に基づく史上最長の116日間の業務停止命令を受け、最終的には廃業に追い込まれた。この事件以降、ほぼ同様の不正がジェネリック専業メーカーで相次いで発見され、次々と業務改善命令や業務停止処分を受けた。主なものだけでも2021年3月の国内最大手・日医工(売上高約1,900億円)、同年9月の長生堂製薬(同約145億円)、2022年3月の共和薬品工業(同約287億円)、同年9月の辰巳化学(同約166億円)など。処方する医師には必ずしも馴染みのない社名も多いかもしれないが、安価なジェネリックの場合、日医工を含む上位3社が飛び抜けた売上高を有する以外は零細企業が多く、売上高100億円超の企業規模でも市場プレゼンスは小さくない。現在約1兆2,000億円強と推定される国内ジェネリック市場の中で、ここに名前を挙げた企業の売上高を合算すると約2,500億円なので、実に市場の6分の1以上を形成する企業が行政処分を受けたという異常事態だ。今回の日薬連調査では最近処分を受けた辰巳化学の影響は織り込まれていないので、直近の供給状況は日薬連発表より厳しいと考えざるを得ず、今後の供給状況も当面は厳しいと予想される。まずは小林化工以降のドミノ倒しのような不正発覚を見ていると、新たな不正が発覚する可能性は否定できない。そして、前述の日医工はアメリカ事業の不振に今回の行政処分による出荷停止・調整が追い打ちをかけ、事業再生ADRを適用し、国内投資ファンドのジェイ・ウィル・パートナーズの出資を受けて再建を目指すことになった。しかも、来春には上場廃止の予定。これまで同社は国内ジェネリック専業メーカー最大手として不採算品目でも医療現場にニーズがあれば供給することをウリにしていたが、上場廃止までして再建に臨む以上、不採算品目の整理は避けられないだろう。現に11月には95品目もの販売中止を発表したが、同社の製造品目数は1,200品目超で国内トップだ。同社とジェネリック専業メーカー筆頭のつばぜり合いを続けてきた沢井製薬の約800品目の1.5倍もある。この点からもさらなる品目整理は避けられないだろう。そのツケは今のところ行政処分などを受けずに“平常運転”を続けているジェネリック専業メーカー各社に覆いかぶさる。しかし、零細企業でも1社で100品目程度を製造していることは稀ではないジェネリック専業メーカーの特徴が問題解決の最大の障害だ。一つの製造ラインを特定品目の製造のみに使うことはできず、複数品目を製造する。しかも、この複数品目は時期ごとに異なる。生産計画自体が複雑なモザイク状態で運営され、のりしろが少ない。現時点で行政処分と無縁な企業は、現在の供給状態に応えようとしてこの少ないのりしろすら排した“非常運転”になっている。それでも3割が供給不安というのが現状である。医療現場からすると「何とかしろ」と言いたくもなるだろうが、もはやない袖は振れない状態なのである。しかも、ここに来て各社の重荷になっているのは、ロシアのウクライナ侵攻に端を発した世界的な物価高と日本特有の事情とも言える円安だ。ある業界関係者は「(ジェネリック製造に必要な)原薬の調達価格はものによっては昨年の2倍になっている」と嘆く。しかも、物価高で製造にかかる光熱費も上昇している。にもかかわらず、昨年から始まった毎年薬価改定で価格勝負のジェネリックは格好の引き下げターゲットになり、薬価がスパイラル的に低下し、原価率は上昇の一途となっている。こうした状況にもかかわらず、供給不安定解消を目指す関係各方面の努力の前に各種規制が立ちはだかる。10月9~10日に仙台で開催された日本薬剤師会学術大会で講演した日本ジェネリック製薬協会副会長の川俣 知己氏(日新製薬社長、本社:山形県)は、供給不安定解消のためにジェネリック専業メーカー同士が試みた「協力」が断念に追い込まれていたことを明らかにした。講演で川俣氏が語った「協力」とは、専業メーカー各社の生産能力や供給不安定品目の具体的な供給状況などを業界内で情報交換し、各社で製造を分担してこの危機を打開するというものだった。しかし、この件を上部団体である日薬連に相談したところ、公正取引委員会にお伺いを立てることになり、結果として得られた回答が「業界主導の生産調整は価格を高止まりさせる恐れがあるので認められない」とのものだったという。川俣氏は「われわれにとっては非常事態だったので、許容してもらいたかった」と無念そうに語った。一方、保険薬局の現場も規制に悩まされている。現状の少なからぬ品目の供給不安定な状況下で保険薬局が最も恐れるのは、予期せぬ長期処方の処方箋が持ち込まれることだ。東北地方のある保険薬局の薬剤師は次のように嘆く。「今は初来局の患者さんが持ち込む処方箋が30日処方というだけでもドキドキするのに、たまに60日処方の処方箋が持ち込まれると肝が冷える。とはいえ、何とかこちらも出そうと必死になる。ところがその必死さが裏目に出た経験もある」その経験とは60日処方の処方箋で指定された医薬品が同一ジェネリックメーカーのものですべて用意できず、処方医と患者の了解を取って同一成分の2社のジェネリックで何とか取りそろえたというものだ。この時は社会保険診療報酬支払基金の審査ではねられてしまったという。「たとえ同一成分であっても、万が一副作用が発生した際、どちらの製品が原因か判別不能になる恐れがあるため」という理由だ。今回の一件は行政処分を受けた企業は別にして、その他のジェネリック専業メーカー、医療現場、行政ともそれぞれの主張はいずれも一定の正当性を有する。だが、医療が「取り締まり行政」の下に置かれているという現状を考えれば、行政の采配ぶりが事態の解決に大きな影響を及ぼすことだけは確かだ。もちろん何もかも行政が悪いとは言わないが、今回の騒動を傍から見ると当事者の中で最も掛け声止まりのスタンスに見えて仕方がないのは、やはり行政である。そろそろ“重い腰”を上げて欲しいと願うのは、ないものねだりなのだろうか。

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医師が選ぶ「2022年の漢字」TOP5を発表!【CareNet.com会員アンケート】

12月12日は漢字の日。毎年この日に、京都の清水寺で発表される「今年の漢字」(主催:日本漢字能力検定協会)。本家より一足先に、CareNet.com医師会員1,029名に選んでいただいた「2022年の漢字」TOP5を発表します。1年を振り返ってみて、皆さんはどの漢字をイメージしましたか?第1位「戦」第1位には、104票の圧倒的な得票数で「戦」が選ばれました。2022年2月24日にロシアがウクライナへ軍事侵攻し、全世界が戦争の終結を願っているものの、冬を迎えた今も戦禍は続いています。長引くコロナとの戦いに加え、戦争による影響もあり、世界経済も不安定になった1年でした。「戦」を選んだ理由(コメント抜粋)ウクライナの戦争が長引いて庶民は物価高騰との戦いであるから。(50代 眼科/島根)ロシアによるウクライナ侵攻が最大のニュースだった。(40代 循環器内科/東京)ウクライナのように、突如侵略戦争の犠牲になる可能性について考えた。(30代 精神科/埼玉)ウクライナ侵略に正当性はない。(50代 小児科/神奈川)ウクライナにおける惨状を目の当たりにして。(50代 その他/群馬)ワンオペ育児に奔走、コロナと戦い世界的に戦争もあったから。(20代 麻酔科/北海道)第2位「乱」第2位には、「乱」がランクイン。過去にも何度か登場していて昨年は5位でしたが、混乱の世の中は変わらず、再浮上する結果となりました。第1位と同様に、ウクライナでの戦争や、オミクロン株に悩まされたコロナ禍、国内外の経済の混乱などが理由に挙げられました。 「乱」を選んだ理由(コメント抜粋)円安に拍車がかかったり、ミサイルが幾度も飛んできたり、乱れに乱れた1年だったと思うから。(40代 循環器内科/青森)相変わらず社会全体が混乱のさなかにあると感じました。(40代 外科/岡山)ウクライナに対するプーチンの乱暴。(50代 形成外科/北海道)戦争、コロナ、資源高、円安など混乱が続いているから。(40代 精神科/広島)ロシアによるウクライナ侵攻、為替の乱高下などが印象に残っているため。(20代 臨床研修医/香川)コロナ禍やウクライナ情勢、経済的な混乱を目の当たりしたから。(40代 腎臓内科/福岡)■第3位「安」第3位は「安」。全35票のうち27票で理由に挙げられたのが「円安」。一時は32年前の水準と並ぶ1ドル150円台を記録しました。また、7月の参院選で起きた安倍元総理の銃撃事件を挙げた方も見られ、複合的な理由から「安」が上位に入る結果となりました。 「安」を選んだ理由(コメント抜粋)数十年ぶりの円安ドル高、物価上昇など印象に残ったため。(50代 泌尿器科/鹿児島)安倍元総理の事件のインパクトの大きさと安全安心な世界になってほしい気持ちを込めて。(20代 内科/東京)円安が進んでいよいよ日本の国家としての危機が強まったから。(30代 内科/東京)安倍元首相の銃撃事件、急激な円安、安全保障問題など関連することが多いと感じた。(30代 内科/福岡)第4位「禍」昨年はトップだった「禍」ですが、ここにきて第4位に転落。コロナ禍は依然として続いていますが、今年は治療薬や2価ワクチンの登場などもあり、対抗する手段が増えたことで、収束の兆しが見えてきました。 「禍」を選んだ理由(コメント抜粋)医療逼迫にて行政にも振り回される1年となった。(50代 救急科/愛知)コロナが終わらない。(50代 内科/兵庫)コロナ禍は未だ終息せず、ウクライナの戦禍もあったから。(40代 麻酔科/愛知)第5位「耐」第5位は「耐」。オミクロン株の流行の波が何度もやってきた2022年、医療者には引き続き忍耐が強いられました。全国旅行支援のキャンペーンも開始されるなど、日本も解禁ムードに向かっています。来年こそは、これまで我慢していたことをできる日常が戻ってくるといいですね。 「耐」を選んだ理由(コメント抜粋)月並みだけど、コロナ禍で外出(旅行、飲み会など)を我慢してきた。忍耐のみ。(70代以上 膠原病・リウマチ科/神奈川)まだ旅行や宿泊へ行けずに耐えているから。全面解除になったら、ぜひ政府に医療者限定特別旅行期間をもうけてもらわないと、割に合わない。(50代 精神科/石川)値上げや円安で我慢が強いられる年だから。(40代 眼科/大阪)アンケート概要アンケート名『2022年を総まとめ&来年へ!今年の漢字と来年こそ行きたい旅行先をお聞かせください』実施日   2022年11月3日~10日調査方法  インターネット対象    CareNet.com会員医師有効回答数 1,029件

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さまざまな不眠症診療ガイドラインのシステマティックレビュー

 不眠症治療に関する臨床診療ガイドライン(CPG)の質および推奨事項の評価、エビデンスの要約を通じた適切な薬理学的治療へのアルゴリズム的アプローチに関するガイダンスの提供を目的に、シンガポール・センカン総合病院のSu Yin Seow氏らがシステマティックレビューを実施した。その結果、不眠症に対する薬物治療の適応はすべてのCPGで共通していたが、第1選択薬では違いが認められ、また、ほとんどのCPGで薬物治療後のすべての臨床的考慮事項に関する推奨事項の記載はなかった。Journal of Psychiatric Practice誌2022年11月1日号の報告。 PubMed、EMBASEのデータベース、ガイドライン、リポジトリ、専門家協会のWebサイトより検索を行った。CPGの質の評価には、AGREE-REXにより補完されたガイドライン評価ツールAGREE IIを用いた。不眠症患者に対する薬物治療のアルゴリズム的アプローチを検討する際に臨床医が考慮する重要な臨床上の問題は、学術チームが特定を行った。CPGの推奨事項の特徴を明らかにし、推奨マトリクスを介して要約するため、メタ合成アプローチを用いた。 主な結果は以下のとおり。・包含基準を満たしたCPG 10件を評価した。・全体的な質の評価では、高評価が4件、中程度の評価が3件であった。・ほとんどのCPGにおいて、不眠症に対する薬物療法は、認知行動療法またはその他の非薬理学的介入が利用できなかった場合、失敗した場合、患者より拒否された場合にのみ推奨されていた。・薬剤の種類、投与量、治療期間に関する推奨事項は、さまざまかつ非特異的であった。・CPGの中で、特殊な集団への薬物療法に関する推奨事項を記載しているものは、ほとんどなかった。

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ドイツで医療活動を行うためにまずはドイツ語から【空手家心臓外科医のドイツ見聞録】第20回

医療活動がどうこう言う前に、ドイツで就労ビザを手に入れるためにはドイツ語の試験に合格する必要があります。英語だとTOEIC、TOEFL、IELTSなど沢山の試験がありますが、ドイツ語の試験は語学学校である“Goethe Institute”(ゲーテ・インスティトゥートと読みます)が主催する試験が公のドイツ語の資格として用いられています。これは以前第16回でも触れました。ドイツ語のレベルはどうはかるドイツ語だけでなく、ヨーロッパの言語はヨーロッパ言語共通参考枠(CEFR)という基準でレベル付けされています。それぞれの言語が「A1・A2・B1・B2・C1・C2」とレベル分けされます。そして、ドイツではEU外から来た人が就労ビザを得るためにはドイツ語のB2レベルの試験に受かる必要があります(EU内からの移民の場合はB1で良いそうです)。医療活動を行うための資格を取る前提として、まずはこのB2の取得が必要となります。このゲーテのテストは日本だと東京・大阪で受けることができます。試験の内容は“Lesen、Schreiben、Hoeren、Sprechen”で構成されています。それぞれ「読む、書く、聴く、話す」という意味です。この試験に合格するには大体1〜2年ほどドイツ語を勉強する必要があると言われています。しかしですね…あくまで試験である以上、対策はちゃんと練れます。過去問とか模擬試験を片っ端から解いて、頑張って対策を練って合格を掴み取ったときの合格証書が写真です。「Schreiben(書く)」試験は結構きつい合格ラインは60%なんでギリッギリですが、まあ受かれば良しです。この「Schreiben(書く)」という項目ですが、普通にドイツ語をペラペラ話す語学学校時代のクラスメートですら「Schreibenだけどうにもならん」って言う曲者の単元です。試験内容は提示された新聞記事に対して賛成なり反対なりの意見を180単語で書くものですが、分量が多くて結構大変です。そこで試験前に「どんな内容を問われても『それっぽい言い回し』で賛成を伝える文章」を作りました。単語をすり替えるだけで120単語くらいの文章ができちゃうようなやつを。あとはちょこちょこ肉付けすれば180単語埋まる訳です。試験全体を通して、問題の形式はしっかり決まっているので、上記のような対策が練れるテストになっています。他の単元に関しても、あれこれ対策を練って挑みました。最近はネットを使えば模擬試験も購入できるようになりましたので、独学でもどんどん勉強できるようになっています。

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英語で「それでいいですか?」は?【1分★医療英語】第57回

第57回 英語で「それでいいですか?」は?I’d like to meet you in 2 weeks’ time.Would that be OK with you?(2週間後に再診します。それでいいですか?)Sure, thanks!(もちろんです。ありがとうございます!)《例文1》Would that be OK with you if I take the blood sample again?(再度、採血を行うことになってもよいですか?)《例文2》Are you comfortable for me to start the procedure?(検査を始めても大丈夫ですか?)《解説》許可を得る際の質問方法はいろいろな表現がありますが、もっとも簡単な聞き方は“OK”を使って、“Are you OK with〜?”または“Is that OK with you?”と聞く方法です。また、「上手くいく」という意味の“work”を使って、“Does that work for you?”と聞くこともできます。もう少し丁寧に聞く場合には、“Are you comfortable with〜?”(〜で大丈夫ですか?)、“May I do〜?”(〜してもよいですか?)などの表現があります。そのほか、“Do you mind if I do〜?”という言い方もよく使われます。直訳すると、「私が〜をしたら嫌ですか?」という意味になり、“No”という返事が来た場合には「嫌ではないです(OKです)」という意味になることに注意しましょう。講師紹介

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ソトロビマブ、高リスクCOVID-19で優れた重症化予防効果/BMJ

 オミクロンBA.1およびBA.2変異株が優勢な時期のイングランドでは、重症化のリスクが高い新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の日常診療において、中和モノクローナル抗体ソトロビマブは抗ウイルス薬モルヌピラビルと比較して、28日以内の重症化の予防効果が優れ、60日の時点でも結果はほぼ同様であったことが、英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のBang Zheng氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2022年11月16日号で報告された。イングランドのEHRデータを用いたコホート研究 研究グループは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に感染し、COVID-19による重症転帰のリスクが高い患者において、重症化の予防効果をソトロビマブとモルヌピラビルで比較する目的でコホート研究を行った(UK Research and Innovation[UKRI]などの助成を受けた)。 本研究は、OpenSAFELY-TPPプラットフォーム(国民保健サービス[NHS]の電子健康記録[EHR]の解析のための、安全で透明性の高いオープンソースのソフトウエアプラットフォーム)を用いた実臨床コホート研究であり、イングランドの総合診療(GP)施設に登録している2,400万人から、患者レベルのEHRデータが取得された。 2021年12月16日以降に、ソトロビマブまたはモルヌピラビルによる治療を受けた、COVID-19による重症化リスクが高い成人COVID-19患者が対象となった。主要アウトカムは、治療開始から28日以内のCOVID-19による入院およびCOVID-19による死亡であった。さまざまな解析法で、矛盾のないほぼ同様の結果 2021年12月16日~2022年2月10日の期間に、3,331例がソトロビマブ、2,689例がモルヌピラビルによる治療を受けた。全体(6,020例)の平均年齢は52.3(SD 16.0)歳、58.8%が女性、88.7%が白人で、87.6%はCOVID-19ワクチンを3回以上接種していた。 治療開始から28日以内に、87例(1.4%)がSARS-CoV-2感染により入院または死亡した(ソトロビマブ群32例、モルヌピラビル群55例)。 居住地域で層別化したCox比例ハザードモデルでは、人口統計学的因子、高リスクコホート分類、ワクチン接種状況、暦年、BMI、その他の併存疾患で補正すると、ソトロビマブ群はモルヌピラビル群に比べ、COVID-19による入院または死亡のリスクが大幅に低かった(ハザード比[HR]:0.54、95%信頼区間[CI]:0.33~0.88、p=0.01)。 傾向スコアで重み付けしたCoxモデル(HR:0.50、95%CI:0.31~0.81、p=0.005)および完全ワクチン接種者に限定した解析(HR:0.53、95%CI:0.31~0.90、p=0.02)でも、これと矛盾のない結果が得られた。また、他の因子の有無による層別解析でも、実質的な効果の修正は検出されなかった(交互作用検定のp値はすべて>0.10)。さらに、この結果は、イングランドでオミクロンBA.2が優勢だった2022年2月16日~5月1日の期間に治療を受けた患者の探索的解析でもほぼ同様であった。 治療開始から60日以内(95例[1.58%]がCOVID-19で入院または死亡、ソトロビマブ群34例、モルヌピラビル群61例)の層別Cox回帰分析でも、ソトロビマブ群はモルヌピラビル群よりもCOVID-19による入院・死亡の予防効果が優れた(4つのモデルのHRの範囲は0.46~0.51、すべてp<0.05)。 著者は、「これらの結果は、入院を要さないCOVID-19患者の治療において、モルヌピラビルよりもソトロビマブを優先する現行ガイドラインを支持するものである」としている。

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SGLT2阻害薬【心不全診療Up to Date】第3回

第3回 SGLT2阻害薬Key PointsSGLT2阻害薬 栄光の軌跡1)リンゴとSGLT2阻害薬の甘い関係?2)SGLT2阻害薬のエビデンス、作用機序は?3)最も注意すべき副作用は?はじめにSGLTとは、sodium glucose co-transporter(ナトリウム・グルコース共役輸送体)の略であり、ナトリウムイオン(Na+)の細胞内外の濃度差を利用してNa+と糖(グルコース)を同時に細胞内に取り込む役割を担っているトランスポーターである1)。このSGLTにはSGLT1-6のアイソフォームがあり2)、その1つであるSGLT2の活性を阻害するのがSGLT2阻害薬である。SGLT2は、ほぼすべてが腎臓の近位尿細管起始部の管腔側に選択的に発現しており、Na+とグルコースを1:1の割合で共輸送することで、尿糖再吸収のおよそ90%を担っている(残りの10%はSGLT1を介して再吸収)1)。このように、SGLT2阻害薬は、近位尿細管でのグルコース再吸収を阻害し、尿糖の排泄を増やすことから、血糖を下げ、糖毒性を軽減し、糖尿病の病態を改善させる薬剤として当初開発された。しかし現在、この薬は心不全治療薬として脚光を浴びている。本稿ではその栄光の軌跡、エビデンス、作用機序について考えていきたい。1. リンゴとSGLT2阻害薬の甘い関係SGLT2阻害薬はどのようにしてこの世に生まれたのか。そこには日本人研究者が重要な役割を担っていた。SGLT2阻害薬のリード化合物であるフロリジン(ポリフェノールの一種)は、1835年にピーターセン氏(フランス)によって『リンゴの樹皮』から抽出された。その約50年後にフォンメリング氏(ドイツ)によってフロリジンの尿糖排泄促進作用が報告された(Von Mering, J. "Über künstlichen diabetes." Centralbl Med Wiss 22 (1886):531.)。そこから約100年の時を経て、糖尿病モデル動物でのフロリジンの抗糖尿病効果(インスリン作用を介さない血糖降下作用、インスリン抵抗性改善、インスリン分泌能回復)が証明された。また時を同じくして1987年に小腸からSGLT1が発見され、フロリジンがその阻害薬であることが報告された3)。その7年後(1994年)に腎臓からSGLT1と類似した構造を持つSGLT2が同定され4)、創薬に向けた研究が進んでいった。そして1999年ついに田辺製薬(当時)より世界初の経口フロリジン誘導体(T-1095)の糖尿病モデル動物に対する糖尿病治療効果が報告された5)。ただ、フロリジンは小腸にも存在するSGLT1をも阻害するため、下痢等の消化器症状を引き起こす恐れがある6)。こうして誕生したのが現在の“選択的”SGLT2阻害薬であり、『糖を尿に出して糖尿病を治す(turning symptoms into therapy)』という逆転の発想から生まれた実にユニークな薬剤なのである7)。2. SGLT2阻害薬のエビデンスと作用機序1)SGLT2阻害薬のエビデンス 現在・過去・未来上記のとおり、SGLT2阻害薬は当初糖尿病治療薬として開発されたため、有効性を検証するためにまず行われた大規模臨床試験は2型糖尿病患者を対象としたものであった(図1)。最初に実施された心血管アウトカム試験が2015年に発表されたエンパグリフロジンを用いたEMPA-REG OUTCOME[対象:心血管疾患既往の2型糖尿病患者7,020名(二次予防)]であり、その結果は誰も予想しえなかった衝撃的なものであった。まず、主要エンドポイントである3P-MACE(心血管死、非致死的心筋梗塞、または非致死的脳卒中の心血管複合エンドポイント)の相対リスクを、エンパグリフロジンがプラセボとの比較で14%有意に減少させ、これは3P-MACEを主要エンドポイントとする2型糖尿病を対象にした試験の中で、初めての快挙であった。その中でもとくに心血管死のリスクを38%減少させ、また心不全入院のリスクも35%減少させることも分かり、さらなるインパクトを与えた。その後同様に、CANVAS試験(2017年)ではカナグリフロジンが、DECLARE-TIMI 58試験(2019年)ではダパグリフロジンが、心血管イベントハイリスクの2型糖尿病患者(一次予防含む)の心血管イベントを減少させるという結果が報告された。つまり、『どうやらSGLT2阻害薬には心保護作用がありそうだ。ただこれらの試験の対象患者の多くは心不全を合併していない糖尿病患者であり、心不全患者を対象とした試験でしっかり検証すべきだ』という流れになったわけである(図1、図2)。画像を拡大する画像を拡大するこのような背景から、まずHFrEF(LVEF≦40%)に対するSGLT2阻害薬の心血管イベント抑制効果を検証するために、ダパグリフロジンを用いたDAPA-HF試験とエンパグリフロジンを用いたEMPEROR-Reduced試験が実施された(図1)。結果は、両試験ともに、標準治療へのSGLT2阻害薬の追加が、糖尿病の有無にかかわらず、心血管死または心不全入院のリスクを26%有意に低下させることが示され8)、さらなる衝撃が走った。そうなると、次に気になるのが、もちろんLVEF>40%の慢性心不全ではどうか、ということであろう。その疑問について検証した試験が、エンパグリフロジンを用いたEMPEROR-Preserved試験とダパグリフロジンを用いたDELIVER試験である(図1)。まず初めに結果が発表されたのが、EMPEROR-Preserved試験で、エンパグリフロジンを心不全に対する推奨療法を受けている患者(LVEF>40%)に追加した結果、心血管死または心不全入院の初回発現がプラセボ群と比較して21%有意に低下していた9)。この効果はLVEF≧50%の症例でも同様であった。この結果をもって、最新の米国心不全診療ガイドラインではHFpEFへのSGLT2阻害薬の投与がClass 2aの推奨となった10)。そして、最近DELIVER試験の結果も発表され、ダパグリフロジンは、LVEF>40%の慢性心不全患者の心血管死または心不全悪化(心不全入院+緊急受診)のリスクを18%有意に抑制させた11)。よって、2つのRCTでHFpEFに対するポジティブな結果が出たため、今後のガイドラインでは、EFに関わらず慢性心不全へのSGLT2阻害薬の投与がClass 1へ格上げされる可能性が高い12)。ただし、これらの試験は、NT-proBNPが上昇しているHFpEF(洞調律では300pg/mL、心房細動では600pg/mL以上)が対象であり、運動負荷検査をして初めてHFpEFと診断されるNT-proBNPがまだ上昇していない症例は含まれておらず、すべてのHFpEFでこの薬剤が有効かどうかは不明である。そして、今後も虚血領域、腎不全領域などで数多くのエビデンスが出てくる予定であり、この薬剤の効果がどこまで広がるのか、引き続き目が離せない(図3)。画像を拡大する2)SGLT2阻害薬はなぜ心不全に有効なのか?SGLT2阻害薬がなぜ心不全に有効なのか。そして今回の本題ではないが、SGLT2阻害薬には腎保護作用もあり、そのような心腎保護作用のメカニズムは何なのか。図4で示したとおり、さまざまなメカニズムが提唱されているが、どれがメインなのかは分かっておらず、それが真実なのかもしれない。つまり、これらのさまざまな心腎保護へ働くメカニズムが複合的に絡み合っての結果であると考えられる。個人的にはこの薬剤の心不全への効果は、腎臓への良い効果が主な理由と考えており、熱く語りたいところではあるが、字数足りずまたの機会とさせていただく。ただ、これは今も議論のつきないテーマであり、今後より詳細なメカニズムの解明が進んでいくものと期待される。画像を拡大する3. 最も注意すべき副作用、それは…注意すべき副作用は、正常血糖ケトアシドーシス(Euglycemic DKA)、尿路感染症、脱水である。とくにケトアシドーシスはかなり稀な副作用(DAPA-HF試験における発現率は、糖尿病患者で0.3%、非糖尿病患者では0%)ではあるが、見逃されると予後に関わることもあり、どのような患者でとくに注意すべきか把握しておかれると良い。まず、日常診療で最も起こりうる状況は、非心臓手術の前にSGLT2阻害薬が継続投与されていた時であろう(そのメカニズムは図5を参照)。術後のケトアシドーシスや尿路感染症のリスクを最小限に抑えるために、手術の少なくとも3日前からのSGLT2阻害薬の中止が推奨されていることはぜひ覚えておいていただきたい13)。また、著明なインスリン分泌低下を認める症例(インスリン長期治療を受けているなど)にも注意が必要であり、体重減少の有無や過度な糖質制限をしていないかなどしっかり確認しておこう。血糖値正常に騙されず、ケトアシドーシスを疑った場合は、速やかに血液ガス分析にてpH低下やアニオンギャップ増加がないかを確認するとともに、血清ケトン濃度を測定し,鑑別を行う必要がある。なお、日本糖尿病学会からその他の副作用も含め『SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation」14)が公表されており、ぜひ一読をお勧めしたい。このような副作用もしっかり理解した上で、心不全患者さんを診られた際は、これほどのエビデンスがあるSGLT2阻害薬が投与されているか、されていなければなぜ投与されていないか、を必ず確認いただきたい。画像を拡大する1)Ferrannini E, et al. Nat Rev Endocrinol. 2012;8:495-502.2)Wright EM, et al. Physiol Rev. 2011;91:733-94.3)Hediger MA, et al. Nature. 1987;330:379-81.4)Kanai Y, et al. J Clin Invest. 1994;93:397-404.5)Oku A, et al. Diabetes. 1999;48:1794-800.6)Gerich JE. Diabet Med. 2010;27:136-42.7)Diamant M, Morsink LM. Lancet. 2013;38:917-8.8)Zannad F, et al. Lancet. 2020;396:819-829.9)Anker SD, et al. N Engl J Med. 2021;385:1451-1461.10)Heidenreich PA, et al. Circulation. 2022 May 3;145:e895-e1032.11)Solomon SD, et al. N Engl J Med. 2022;387:1089-1098.12)Vaduganathan M, et al. Lancet. 2022;400:757-767.13)FDA Drug Safety Communication. FDA revises labels of SGLT2 inhibitors for diabetes to include warnings about too much acid in the blood and serious urinary tract infections.14)日本糖尿病学会. 糖尿病治療におけるSGLT2阻害薬の適正使用に関する Recommendation

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「肥満」との違いは?肥満症診療ガイドライン改訂

 11月24日に日本肥満学会(理事長:横手 幸太郎氏[千葉大学医学部附属病院長])は、『肥満症診療ガイドライン2022』についてプレスセミナーを開催した。 セミナーでは、肥満症の現況や治療に関する解説と今回刊行されたガイドラインの概要が説明された。また、本ガイドラインは12月2・3日に那覇市で開催される第43回日本肥満学会(会長:益崎 裕章氏[琉球大学大学院 医学研究科 内分泌代謝・血液・膠原病内科学講座 教授])で発刊される。肥満症とはBMI25以上で何らかの健康障害がある人 はじめに理事長の横手 幸太郎氏が「わが国における肥満症の現況と肥満症診療ガイドライン2022の位置づけ」をテーマに講演を行った。 肥満とは、「脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態」をいい、わが国ではBMI25以上が肥満とされている。その数は、年を経て全世界で増えており、とくにアメリカやアフリカで増加している。 肥満になると糖尿病、高血圧、脂質異常症などの健康障害のほか、膝・腰・足首などへの運動器障害、睡眠時無呼吸症候群などが生じるリスクが高くなる。 そこで、BMIが25以上あり、一定の健康障害(糖尿病、高血圧、脂質異常症、痛風など11項目)がある人を「肥満症」として、医学的に治療が必要な対象者としている(BMI35以上は高度肥満症)。 肥満症の治療は、食事療法、運動療法、行動療法、薬物療法、外科療法と5つの考え方があり、他職種連携によるチーム医療がなされる必要がある。実際、一番身近な保健指導の介入により6ヵ月後のHbA1cは-0.2%減少、中性脂肪は-81.5%減少など改善効果が報告されている1)。 肥満に関して最近のトピックスとしては、若い女性にはBMI18.5未満の「やせ過ぎ」の女性がむしろ増えていることやそのやせ過ぎが将来的に骨粗鬆症や不妊のリスクとなること、高齢者の肥満ではフレイルなどとの関連も考慮し、無理な減量よりも筋肉量維持や増強に心がけることなども指摘されている。 横手氏は終わりに本ガイドラインの目的について「体重を減らすことにメリットがある。『やせるべき人』を選び出す、そして、適切に治療と予防を行うことである」と述べ講演を終えた。小児や高齢者の肥満にも言及 続いて、同学会のガイドライン作成委員会委員長の小川 渉氏(神戸大学大学院医学研究科 糖尿病・内分泌内科 教授)が「肥満症診療ガイドライン2022の改訂のポイント」をテーマに、今回の改訂内容や今後の展望などを解説した。 本ガイドラインは、2006年、2016年と発刊され、今回の2022年版では、主に「肥満症治療の目標と学会が目指すもの」「高度肥満症」「小児の肥満」「高齢者の肥満」「肥満症の治療薬」「コラム」について改訂が行われた。 「肥満症治療の目標と学会が目指すもの」と「高度肥満症」では、肥満症治療指針について「肥満症」と「高度肥満症」とで目標、治療などの治療方針が異なることが記載された。とくに肥満の外科治療の減量・代謝改善手術では保険適用の内容などが改訂された。薬物治療についてはGLP-1受容体作動薬の治験に関して言及され、セマグルチドの68週後の体重変化率についてプラセボ-2.1%に対し、セマグルチド-13.2%と有意な体重減少があったこと、また、本試験が学会の定める肥満症の診断基準に基づいて作成されたプロトコ-ルで実施された試験であることなどが記載されている2)。 「高齢者の肥満」では、日本老年医学会のガイドラインの内容 と統一性を考慮して改訂され、 高齢者肥満症の減量目標をフレイル予防と健康障害発症予防の両者も考慮し「BMI22~25」の範囲とすることが記載され、過剰な減量には留意が必要とされている。 「小児の肥満」では、将来の成長を考慮しBMIではなく、肥満度で判定し、身体面だけでなく、肥満に伴う「いじめ」など生活面への配慮も記載されている。 「肥満症の治療薬」では、「肥満の治療」ではなく、「肥満症の治療」という基本概念のもと、記載の整備と概念を明確化したほか、改訂では製薬企業の開発担当者とも意見交換を行い、評価基準と適応基準は必ず同一ではないことが記載されている。 その他、今回の改訂では「肥満へのスティグマ」についても触れられ、肥満の原因が個人への帰責事由という偏見からくる社会的スティグマと肥満を自分自身の責任とする個人的スティグマへの配慮が述べられている。 最後に小川氏は「肥満症の課題は、認知度がまだ低く、社会的な浸透もメタボリックシンドローム(72.5%)や肥満(81.8%)と比較しても、肥満症(58.3%)は低い。このガイドラインが、診療に役立つだけでなく社会の啓発に寄与することを期待する」と抱負を述べ、レクチャーを終えた。

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第22回 電話・FAX・郵送が必要なコロナ治療薬「アナログ処方」の不可解

エンシトレルビル(商品名:ゾコーバ)を使うタイミングは?世間では「ゾコーバすげぇぜ!」みたいな報道が多いですが、有効性については少し落ち着いてみてほしいと思います。新型コロナの診断がついた途端「よっしゃ、ゾコーバや!」というのは適切とは言えません。「COVID-19に対する薬物治療の考え方 第15版」(2022年11月22日)では、以下のように記載されています1)。一般に、重症化リスク因子のない軽症例の多くは自然に改善することを念頭に、対症療法で経過を見ることができることから、エンシトレルビル等、重症化リスク因子のない軽症~中等症の患者に投与可能な症状を軽減する効果のある抗ウイルス薬については、症状を考慮した上で投与を判断すべきである。また、重症化リスク因子のある軽症~中等症の患者に投与する抗ウイルス薬は、重症化予防に効果が確認されているレムデシビル、モルヌピラビル、ニルマトレルビル/リトナビルによる治療を検討すべきである。重症化リスクがある軽症者には、その他の抗ウイルス薬がよいとされており、重症化リスクがない軽症者にはそもそも治療が必要なのかどうかという議論になります。とはいえ、いろいろなエビデンスが今後出てくるかもしれませんので、全然ダメじゃんとバッサリ切ってしまうのではなく、もう少し長い目線で見ていくほうがよさそうに思います。抗ウイルス薬処方の手間が多すぎるそれにしても、モルヌピラビル(商品名:ラゲブリオ)、ニルマトレルビル/リトナビル(商品名:パキロビッドパック)を使い始めた頃から、新型コロナの抗ウイルス薬の処方手続きが煩雑過ぎる問題が解決していません。本当に煩雑で、「処方させたくないのかな」と思うくらいです。ゾコーバも、これまでと同じように登録センターに医療機関と調剤薬局が登録する必要があります。また、処方に際して同意書を書いてもらって、調剤薬局に電話で一報を入れて、その後適格性情報チェックリストと処方箋をFAXして、原本を郵送するという「例の手順」になっています(図1)。画像を拡大する図1. ゾコーバの処方手順(参考資料2より筆者作成)変異ウイルス東京都の変異ウイルスモニタリングを見ていると、BA.5がまだ主流ではあるものの、BQ.1.1、BN.1、BF.7などの変異ウイルスが増えています(図2)。チキサゲビマブ/シルガビマブ(商品名:エバシェルド)はまだ効果を残していますが、変異ウイルスが出回るとこれも推奨されなくなるかもしれません。図2. 東京都の変異ウイルス(参考資料3より引用)抗体薬の位置付けが下がって、抗ウイルス薬への期待が相対的に高まっているからこそ、エビデンスに基づいてベストな選択肢を選ぶようにしたいものです。参考文献・参考サイト1)日本感染症学会 COVID-19に対する薬物治療の考え方 第15版2)厚生労働省 新型コロナウイルス感染症における経口抗ウイルス薬(ゾコーバ錠125mg)の医療機関及び薬局への配分について3)東京都 モニタリング項目の分析(令和4年11月24日公表)

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第140回 long COVIDの偏見がまん延

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)後に数週間や数ヵ月も続く不調・COVID-19罹患後症状(俗称:long COVID)の人のほとんどが社会からの偏見にも苛まれていることが英国での調査で浮き彫りになりました1,2)。英国の実に230万人がlong Covidを患っています。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染率は依然として高いことからその数は減っていません。long COVIDは治療がままならないこともその数の高止まりに加担しています。long COVID治療探しは一筋縄ではいかないようで、たとえば最近発表された試験結果ではプレドニゾロンのCOVID-19後嗅覚障害の改善効果は残念ながら認められませんでした3,4)。long COVIDの人はかなりの偏見に苛まれていると言われていますが、それがどれほどの負担になっているかはこれまで定かではありませんでした。そこで英国サウサンプトン大学等の研究者等は長引く不調でただでさえ生きづらくなっているlong COVIDの人がいわば泣きっ面に蜂の偏見でどれだけ難儀しているかを新たに開発された評価尺度を使って調べました。その試験はlong COVID患者団体(Long Covid Support)のからの意見も取り入れて設計されました。2年前の2020年のオンライン調査に参加した人にその1年後の2021年11月に案内を出し、以下の3種類の偏見に関する13の問いへの5択の回答をお願いしました。実際の偏見(enacted stigma):体調不良のせいで不当に扱われること内なる偏見(internalised stigma):自身の体調不良を恥じたり気にすること偏見の予感(anticipated stigma):体調不良で不利になると予想すること最終的に千人を超える1,166人から回答があり、そのほとんどを占める英国からの966人の情報が解析されました。解析の結果、ほぼ全員の95%が3種類の偏見のいずれか1つかそれ以上を少なくとも時々被っていました。また、8割近い76%の状況は深刻で、しばしばまたは常に偏見に直面していました。5人に3人(63%)は蔑ろにされたり付き合いを絶たれるなどの実際の偏見が少なくとも時々あり、91%はそういう実際の偏見の予感が少なくとも時々ありました。また、9割近い86%は体調不良を恥じたり、役立たずと感じたり、変わり者だと思い込むなどのlong COVID絡みの内なる偏見に少なくとも時々苛まれていました。そのような驚くばかりの偏見まん延2)はlong COVIDの人に肩身の狭い思いを強いているらしく、5人に3人(61%)はlong COVIDを打ち明けることに少なくとも時々は細心の注意を払っていました。また、3人に1人(34%)はlong COVIDを打ち明けたことを後悔したことが少なくとも時々ありました。今回の研究で使われた13の問い(“自身のlong COVIDのせいで相手が気まずそうだったことがある”等)への5択(ない、稀にある、時々ある、しばしばある、いつもそう)の回答結果に基づいてlong COVID患者が被る偏見のほどを表す検査が開発されています。long COVIDの人が被る偏見のほどの推移や、偏見を減らす取り組みの効果のほどを10分とかからず完了するその検査Long Covid Stigma Scale(LCSS)を使ってこれからは把握することができます。LCSSの開発を指揮した今回の試験の著者の1人Marija Pantelic 氏によると、long COVIDにつきまとう偏見はそれらの患者を害するのみならず社会や医療も損なわせもするようです。先立つ研究で喘息、うつ、HIVなどの他の長患いの偏見が社会をひどく不健全にすることがすでに示されています。偏見の恐れは人々を医療やその他の支援からおそらくより遠のかせ、その積み重ねが心身を蝕んでいきます。今回の試験では意外にもlong COVIDの診断を受けている人の方がそうではないlong COVIDの人に比べて偏見をより被っていました。その理由はわかりませんが、診断を受けた人ほど自身の体調を他の人により知らせているからなのかもしれません。その理由も含め、偏見がどこでどうやって発生するのか、どういう人が偏見を持ちやすいのか、どういうlong COVID患者が偏見を被りやすいのかを今後の試験で調べる必要があります2)。参考1)Pantelic M, et al. PLoS ONE . 2022;17:e0277317.2)Most people with long Covid face stigma and discrimination / Eurekalert3)Schepens EJA, et al.BMC Med. 2022;20:445.4)Prednisolone does not improve sense of smell after COVID-19 / Eurekalert

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SGLT2阻害薬、DM有無問わずCKD進行と心血管死を抑制/Lancet

 SGLT2阻害薬は、心血管リスクの高い2型糖尿病患者のみならず慢性腎臓病または心不全を有する患者においても、糖尿病の状態、原発性腎疾患または腎機能にかかわらず、腎臓病進行および急性腎障害のリスクを低下させることが、英国・オックスフォード大学のNatalie Staplin氏らSGLT2 inhibitor Meta-Analysis Cardio-Renal Trialists' Consortium(SMART-C)による解析の結果、報告された。Lancet誌2022年11月19日号掲載の報告。大規模二重盲検プラセボ対照試験15試験の約9万例についてメタ解析 研究グループは、MEDLINEおよびEmbaseを用い、2022年9月5日までに発表されたSGLT2阻害薬の臨床試験(SGLT1/2阻害薬の併用を含む、年齢18歳以上の成人を対象とした二重盲検プラセボ対照試験[クロスオーバー試験は除く]、各群500例以上、試験期間6ヵ月以上)を検索し、システマティックレビューおよびメタ解析を行った。 2人の研究者が独立して、各試験の要約データを査読付き論文から抽出するか、または結果が公表されていない試験については治験責任医師よりデータの提供を受け、コクランバイアスリスクツール(バージョン2)を用いてバイアスリスクを評価した。また、逆分散重み付けによるメタ解析を行い、治療効果を推定した。 主な有効性の評価項目は、腎臓病進行(無作為化時からの推定糸球体濾過量[eGFR]50%以上の持続的低下、持続的なeGFR低値、末期腎不全、または腎不全による死亡)、急性腎障害、ならびに心血管死または心不全による入院の複合であった。その他の評価項目は、心血管死および非心血管死、主な安全性評価項目はケトアシドーシスおよび下肢切断とした。 文献検索の結果、15試験が特定され、このうち追跡期間が6ヵ月未満の2試験(inTandem3、DARE-19)を除外した13試験(DECLARE-TIMI 58、CANVAS Program、VERTIS CV、EMPA-REG OUTCOME、DAPA-HF、EMPEROR- REDUCED、EMPEROR- PRESERVED、DELIVER、SOLOIST-WHF、CREDENCE、SCORED、DAPA-CKD、EMPA-KIDNEY)が解析対象となった。無作為化を受けた患者は計9万413例で、このうち糖尿病の状態が不明であった4例を除く9万409例(糖尿病患者7万4,804例[82.7%]、非糖尿病患者1万5,605例[17.3%]、各試験のベースラインの平均eGFRの範囲37~85mL/min/1.73m2)が解析に組み込まれた。対プラセボで腎臓病進行リスクを37%低下、心血管死リスクを14%低下 SGLT2阻害薬はプラセボと比較して、腎臓病進行リスクを37%低下させた(相対リスク[RR]:0.63、95%信頼区間[CI]:0.58~0.69)。その低下の程度は、糖尿病患者(RR:0.62)と非糖尿病患者(0.69)でほぼ同じであった。慢性腎臓病を有する患者を対象とした4件の試験(CREDENCE、SCORED、DAPA-CKD、EMPA-KIDNEY)では、原発性腎疾患の診断にかかわらず腎臓病進行リスクのRRは類似していた。 また、SGLT2阻害薬はプラセボと比較して、急性腎障害のリスクを23%(RR:0.77、95%CI:0.70~0.84)、心血管死または心不全による入院のリスクを23%(0.77、0.74~0.81)低下させ、いずれも糖尿病の有無にかかわらず同様の効果がみられた。 SGLT2阻害薬は、心血管死リスクも低下させたが(RR:0.86、95%CI:0.81~0.92)、非心血管死リスクの有意な低下は認められなかった(0.94、0.88~1.02)。これら死亡の評価項目に関するRRは、糖尿病患者と非糖尿病患者で類似していた。 すべての評価項目において、各試験のベースラインの平均eGFRに関係なく、結果はほぼ同様であった。絶対効果の推定に基づくと、SGLT2阻害薬の絶対利益は、ケトアシドーシスや切断の重篤な危険性を上回った。

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急性心不全、強化治療戦略で死亡・再入院リスク減/Lancet

 急性心不全で入退院後、診療ガイドラインに準じた標準的心不全治療(guideline-directed medical therapy:GDMT)の早期漸増と頻回なフォローアップによる強化治療戦略は、通常治療と比較して症状軽減、QOL改善、および180日以内の全死因死亡+心不全再入院リスクの減少をもたらすことが、フランスのパリ・シテ大学のAlexandre Mebazaa氏らが実施した多施設共同無作為化非盲検並行群間試験「STRONG-HF試験」の結果、示された。急性心不全で入退院後にGDMTを行う際の用量や漸増速度に関するエビデンスは不足していた。Lancet誌オンライン版2022年11月7日号掲載の報告。2週間で目標用量まで漸増するGDMTと通常治療を比較 研究グループは、14ヵ国(アルゼンチン、オーストリア、ブルガリア、コロンビア、フランス、ハンガリー、イスラエル、モザンビーク、ナイジェリア、ロシア、セルビア、スロバキア、南アフリカ、チュニジア)の87病院において、急性心不全で入院し退院予定日前2日以内に経口心不全治療薬の最大用量を投与されていない18~85歳の患者を対象に試験を行った。 退院前に左室駆出率(≦40% vs.>40%)および国で層別化して、通常治療群または高強度(high-intensity)治療群(β遮断薬、RAS阻害薬[ACE阻害薬、ACE阻害薬に不耐用の場合はARB]、ARNI、MR拮抗薬による)に1対1の割合で無作為に割り付けた。通常治療群では各地域の診療に従った治療を行い、高強度治療群では無作為化後2週間以内に推奨用量の100%まで治療薬を漸増するとともに、無作為化後1・2・3・6週時に臨床状態、臨床検査値、NT-proBNP値を評価した。 主要評価項目は、180日以内の心不全による再入院または全死亡で、intention-to-treat(ITT)集団を対象に有効性と安全性を評価した。主要評価項目については、倫理委員会がプロトコルの修正を承認し180日目まで患者の追跡調査を可とした病院に登録された患者のみを解析対象集団とした。 なお、本試験は、計1,069例が無作為化された時点の解析で主要評価項目の群間差が予測より大きかったため、データ安全性モニタリング委員会の勧告により2022年9月23日に早期中止となった。早期漸増で180日以内の全死因死亡+心不全再入院リスクが有意に減少 2018年5月10日~2022年9月23日の期間に、計1,641例がスクリーニングを受け、1,078例が高強度治療群(542例)または通常治療群(536例)に無作為化された(ITT集団)。患者背景は、平均(±SD)年齢63.0±13.6歳、男性61%で、白人またはコーカサスが77%/黒人21%/アメリカ先住民<1%/太平洋諸島系<1%/その他1%であった。 データカットオフ時点(2022年10月13日)において、高強度治療群は通常治療群と比較して、90日目までに経口心不全治療薬を最大用量まで漸増された患者の割合が高かった(RAS阻害薬:55% vs.2%、β遮断薬:49% vs.4%、MR拮抗薬:84% vs.46%)。また、高強度治療群は通常治療群より、90日目までに血圧、心拍数、NYHA分類、体重およびNT-proBNP値が改善した。 180日以内の心不全による再入院または全死亡は、高強度治療群で506例中74例、通常治療群で502例中109例発生した(補正後リスク差:8.1%[95%信頼区間[CI]:2.9~13.2]、p=0.0021、リスク比:0.66[95%CI:0.50~0.86])。 90日以内の有害事象は、高強度治療群(223/542例、41%)が通常治療群(158/536例、29%)より多く認められたが、重篤な有害事象の発現率(88例[16%]vs.92例[17%])、致死的有害事象の発現率(25例[5%]vs.32例[6%])は同等であった。

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コロナワクチン接種率の違いで死亡率に大きな差/JAMA

 2021年から2022 年にかけて、全世界で新型コロナワクチン接種が普及した一方、デルタ株とオミクロン株が流行した。米国・Brown School of Public HealthのAlyssa Bilinski氏らは、この期間におけるOECD加盟国中20ヵ国のワクチン接種率と新型コロナウイルス感染症死亡率、超過全死亡率を調査し報告した。米国については、ワクチン接種率上位10州と下位10州についても調査したところ、下位10州の新型コロナウイルス感染症死亡率は上位10州のほぼ倍だった。JAMA誌オンライン版2022年11月18日号のリサーチレターに掲載。ワクチン接種率と新型コロナウイルス感染症死亡率、超過全死亡率を調査 本研究では、ワクチン接種率は2022年1月時点で2回以上接種した人の割合とし、死亡率は2021年6月27日~2022年3月26日の死亡データを比較した。米国のデータはCDCから、その他の国のデータについては、新型コロナウイルス感染症死亡率はWHO、全死亡率はOECD データベース、ワクチン接種率はOur World in Dataからそれぞれ入手した。 ワクチン接種率と新型コロナウイルス感染症死亡率、超過全死亡率を調査した主な結果は以下のとおり。・主な国におけるワクチン接種率と、デルタ株流行期/オミクロン株流行期/全期間の人口10万人当たり新型コロナウイルス感染症死亡者数は以下のとおり。 日本      :80%、3人/7.4人/10.4人 韓国      :82%、6.1人/18.2人/24.3人 ニュージーランド:75%、0.5人/3.3人/3.7人 オーストラリア :76%、4.9人/14.2人/19.2人 イタリア    :76%、15.2人/39人/54.2人 フランス    :74%、14.6人/27.6人/42.2人 ドイツ     :71%、29.6人/22.7人/52.3人 英国      :71%、30.1人/28.9人/59人 米国全体    :63%、60.9人/50.6人/111.6人 米国(接種率上位10州):73%、28.1人/46.6人/74.7人 米国(接種率下位10州):52%、86.6人/59.4人/146人・米国全体およびワクチン接種率下位10州の超過全死亡率は新型コロナウイルス感染症死亡率より高く、全期間における他の国より高かった。・この期間にもし米国の新型コロナウイルス感染症死亡率がワクチン接種率上位10州と同じだった場合、12万2,304人の死亡を回避でき、米国の超過全死亡率がワクチン接種率上位10州と同じだった場合は26万6,700人の死亡を回避できたと推計された。 2021~22年初め、米国の新型コロナウイルス感染症死亡率および超過全死亡率は他国より有意に高かったが、この差はワクチン接種率上位10州では小さくなった。著者らは「残りの差は、他国での高いワクチン接種率、高齢者をターゲットとしたワクチン接種、医療・社会インフラの違いによって説明しうるだろう」と考察している。

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学会発表を華麗にスタートさせる「ショートカットキー」【学会発表で伝わる!英語スライド&プレゼン術】第4回

学会発表を華麗にスタートさせる「ショートカットキー」1)書式のコピペで効率アップ2)範囲指定でスクリーンショットを撮る3)[F5]、[Shift+F5]でスムーズにプレゼンを開始するパワーポイントのスライドづくりをする際に、時間がかかり過ぎてしまうことはないでしょうか。そんな方にお勧めしたいのが、ショートカットキーの活用です。ショートカットキーをマスターすると作業効率がアップし、スライドのクオリティも高まります。まず、意外と知られていない便利なショートカットキーが、“書式”のコピー&ペーストです。“文字”のコピー&ペーストは[Ctrl]+[C]、[Ctrl]+[V]でできることはよく知られていますが、これにShiftキーを追加して、[Ctrl]+[Shift]+[C]で書式のコピー、[Ctrl]+[Shift]+[V]で書式のペーストができます〈図1〉。なおMacでは[option]+[command]+[C]で書式のコピー、[option]+[command]+[V]で書式のペーストができます。スライド内で、太字や文字の色、文字の大きさなどを統一したい時に、積極的に活用しましょう。〈図1〉画像データなど、画面の一部を切り取りたい時に便利なのが、Windowsの「切り取り&スケッチ」というツールです。[Windows]+[Shift]+[S]を同時に押すとこのツールが起動します。画面が薄暗くなり、切り取る範囲を指定してスクリーンショットを撮影することができます〈図2〉。これまでスクリーニングショットを撮った後にトリミングしていたという方は、その手間を省くことができます。Macでは[command]+[shift]+[4]がこれに対応しています。〈図2〉最後に、パワーポイントのスライドショーを開始するときに、スライドショータブから「最初から」をクリックしてスライドショーモードに切り替えている方が多いかもしれませんが、[F5]を押すと“最初から”スライドが再生され、[F5]+[Shift]を押すと“現在のスライドから”再生されます。なおMacでは[command]+[shift]+[return]で最初から、[command]+[return]で現在のスライドから開始になります。これらをマスターすると、プレゼンをスムーズに始めたり、質疑応答の最中に表示したいスライドからスライドショーを再生したりすることができるため、学会発表本番で重宝するショートカットキーです。〈図3〉講師紹介

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やっと見えてきた薬局の電子処方箋の流れ【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第100回

2023年1月から電子処方箋管理サービスが始まります。7月と10月にオンライン説明会が行われましたが、皆さんは参加しましたか?電子処方箋管理サービスは、地域の医療機関・薬局間で情報を共有し、服薬中の医薬品との相互作用やアレルギー情報の管理に有効活用することで、最適な薬物療法の提供が可能になるなどのメリットがあります。導入の準備を着々と進めている薬局もあれば、まだ様子見という薬局もあると思います。運用開始に先立ち、地域を限定したモデル事業が行われています。対象は、山形県、福島県、千葉県、広島県の4県で、2022年10月31日から約1年間行われます。モデル事業の結果から課題を検討・改善して運用開始!というわけではなく、モデル事業と本運用がほぼ同時並行で行われるのは不思議な感じがします。これまで薬局で必要な作業がなかなか見えてこなくてちょっとドキドキしていましたが、ようやく具体的な情報が出てくるようになってきました。まず、厚生労働省が2022年10月11日に公表した「電子処方箋導入に向けた準備作業の手引き(1.1版)」では、電子処方箋の導入に向けた運用の準備を、図やイラストを多く用いてわかりやすく解説しています。「電子処方箋管理サービスの運用について」という通知も2022年10月28日に出され、サービスの仕組みや意義、運用方法などが周知されています。既存の通知では、実施機関が社会保険診療報酬支払基金となっていましたが、2023年1月からはこれに国民健康保険中央会が加わるという記載もあり、各方面の整備が整ってきた雰囲気がします。なお、この通知発出に伴い、2016年に厚労省が作成した「電子処方せんの運用ガイドライン」は廃止されます。今回発出された通知では、電子処方箋管理サービスの薬局でのプロセスは以下のようになっています。1.薬局は、オンライン資格確認により確認した患者の被保険者番号・記号などをキーとして、電子処方箋管理サービスに当該患者の電子処方箋を要求する。2.電子処方箋管理サービスから送信された処方箋の内容が適切であるか確認するため、処方・調剤情報を参照し(同意が得られている場合)、重複投薬や併用禁忌の有無の確認を行う。3.必要に応じて疑義照会し、調剤、服薬指導、薬剤交付を行う。4.医師に確認した内容などの必要事項を含めて調剤結果を作成する。5.安全管理ガイドラインに基づき、調剤済み電子処方箋を適切に管理・保存する。あまりないとは思いますが、分割調剤では電子処方箋の控え(おそらくコピー)に手書きで次回の調剤の日程を記載するなどして案内し、その調剤結果を作成して電子処方箋管理サービスに送付します。紙の処方箋の場合も処方・調剤結果を電子処方箋管理サービスに登録電子処方箋の発行対象は、マイナンバーカードと保険証を連携させている患者さんが原則です。そうではない患者さんでは、医療機関で受け取った引き換え番号を、薬局で調剤を受ける際に伝える必要があります。また、電子処方箋は、医療機関・薬局・患者さんのすべてが対応と同意をすることが必要です。もし1つでも欠けて紙の処方箋で対応する場合であっても、重複投薬や併用禁忌の確認を行うには、患者さんの処方・調剤情報はできる限り完全なものであることが望ましいため、その処方・調剤結果を電子処方箋管理サービスに登録することが求められています。マイナ保険証や電子処方箋、電子お薬手帳、オンライン服薬指導など、薬局を取り巻く環境だけでなく薬局業務そのものにおいて電子化が加速しています。準備が進まず焦っている薬局もあるかもしれませんが、個人的にはあまり焦らなくてもいいのではないかと思っています。補助金の詳細だってまだ出ていませんし、一斉に処方箋がオンラインに切り替わるわけではないでしょう。大きく遅れないように情報収集を行いつつ、どのくらいのスピード感で広がっていくのか楽しみにしたいと思います。

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英語で「湿布」は?【1分★医療英語】第55回

第55回 英語で「湿布」は?I twisted my ankle.(足をくじいてしまいました)Place this patch on the painful area.(痛むところに、この湿布を貼ってください)《例文1》Apply the patch to a clean, dry, and hairless skin area.(清潔で乾いた毛の少ない部分に湿布を貼ってください)《例文2》Remove the patch after 24 hours and choose a difference place to apply the new patch.(24時間したらパッチを取り外し、別の場所に新しいパッチを貼ってください)《解説》「湿布(貼付剤)」は“patch”(または“transdermal patch”:経皮貼付剤)といいます。日本語でも「パッチ剤」と呼ぶこともありますよね。冷湿布や温湿布を指す場合には“cold compress / hot compress”と表現します。冷または温のジェル状のものを“compress”(当てる=圧縮する、押し付ける)する、というわけで、こちらは薬剤が入っていない場合がほとんどです。アルツハイマー型認知症の経皮吸収型製薬である“rivastigmine”(リバスチグミン)パッチなどの場合には、前のものを剥がし忘れたまま複数のパッチを貼ってしまうことのないよう、《例文2》のようにパッチを取り外すことの説明を加えるとよいでしょう。また、合成オピオイドである“fentanyl transdermal patch”(フェンタニルパッチ)を誤ってペットや子供が触ってしまう事故を避けるために、“Promptly dispose of used patches by folding them in half with the sticky sides together.”(使用後のパッチは、粘着面を内側にして半分に折り、即座に処分してください)と伝えることも大切です。講師紹介

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SOAPの未来【知って得する!?医療略語】第24回

第24回 SOAPの未来最近、SOAPの入力に変化が出てきたと聞きました!そうなんです。SOAPデータを活用する研究が盛んになっています。2017年の話です。病院の外来勤務を終えて、院内の図書室で気になった医学雑誌をコピーして電車に乗り込みました。そこには電子カルテのSOAPに関する記事が載っており、「データの構造化」や「自然言語処理」といったSOAPをAI技術で処理することなどが書かれていました。SOAPとは皆さんがご存じの通り「S(subjective):主観的情報」「O(objective):客観的情報」「A(assessment):評価」「P(plan):計画(治療)」、それぞれの頭文字を取ったもので、カルテ記録の記入方法の一つです。その記事によれば、このSOAP記事の内容をプログラム処理できれば、退院サマリーが半自動で作成されたり、患者や家族への病状説明書、各種書類作成が可能となったり、医師の業務が大幅に削減されることが記載されていました。ITの素人である筆者でしたが、カルテのSOAPデータの自然言語処理が出来たら、その先にいろいろな可能性があることを感じたのを今でも覚えています。ただ、その雑誌記事の中で今後の課題として、カルテが標準化されたフォーム、いわゆる構造化された記載である必要性や、書かれた略語や英語表記の統一化のほか、表記の揺れの適正化などが挙げられていました。医療略語の未来その記事を読んだのをきっかけに、目的ははっきりしていませんでしたが、なんとなくカルテで使用される略語を手帳に書き留めるようになりました。そしてエクセルに記録するようになりました。しかし、略語を手帳に記載しただけでは、エクセル入力の際に何の意味の略語か分かりませんでした。どの診療科で使用され、どの文脈でその略語が使用されたかまでのメモを取らないと、その略語の日本語訳や基になった英語表記を調べることができないのです。また、同じ略語でも診療科が異なると、略語の日本語の意味が異なるのです。そこで、この診療科で使用される場合には、この意味を持っているというように、診療科と略語の意味の情報をタグ付けし、略語自体もカテゴリー分けして属性情報を載せるようにしました。そんな試行錯誤をしていくうちに略語数が3,000語を超えると、より網羅的に収集したい気持ちになり、各種ガイドライン、論文からも収集を開始し、少しずつデータベースは大きくなっていきました。これが医療略語アプリ『ポケットブレイン』の始まりでした。しかし、悩ましいのは略語が使用されていても、その和訳が存在しない用語を時々見かけては悩まされることもありました。さらに悩ましかったのは、ガイドラインごとに和訳が異なることもあり、どのガイドラインの和訳が正しいのか、判断に迷うことも多々ありました。また、和訳を表示する時に、くびを「頚」「頸」のどちらで記載するのが適切か、あるいはユーザーが検索するとき、どちらで検索されるだろうかなど、言語的な課題にもぶつかりました。本連載の中で、筆者は英字略語の頻用や多用を避けるように訴えてきましたが、その必要がなくなるかもしれません。それは英字略語で入力すると、日本語和訳の変換候補が表示され、適切な略語を選ぶとSOAP記事が作成されることも可能になってきたからです。これならば、入力の際に略語を使用していても、記事はしっかり日本語で表記されます。ただし、そこで重要なのは日本語の病名を統一しておくことです。いわゆる病名の標準化です。SOAPの記録をコンピュータが背後でリアルタイムに分析できる未来には、診断のリコメンド、鑑別すべき疾患の提示、実施すべき検査のリコメンドなど、より臨床に踏み込んだサポートが実現されるかもしれません。筆者は医療者の負担軽減になるシステムは、医療者に余裕を与え、患者により安全で正確な医療の提供につながると考えます。そして、医療者が必要なものは、現場で働いている医療者こそが知っています。医療者に必要なものは医療者が創るのが一番だと思います。コンピュータなどのハードの性能は、大きな進化を遂げています。今後、医療者のワークフローに馴染む形でシステムが開発されることを願います。

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非専門医が使える「糖尿病治療のエッセンス」2022年版/日本糖尿病対策推進会議

 わが国の糖尿病患者数は、糖尿病が強く疑われる予備群を含め約2,000万人いるとされているが、糖尿病の未治療者や治療中断者が少なくない。 そこで、糖尿病診療のさらなる普及を目指し、日本糖尿病学会をはじめとする日本糖尿病対策推進会議は、糖尿病治療のポイントをとりまとめて作成した『糖尿病治療のエッセンス(2022年版)』を制作し、日本医師会のホ-ムページより公開した。糖尿病治療のエッセンスの改訂は今回で5回目となる。 糖尿病治療のエッセンスの今改訂では、(1)かかりつけ医から糖尿病・腎臓の専門医・専門医療機関への照会基準を明確に解説、(2)最新の薬剤情報へアップデートなど、よりわかりやすい内容に見直しを行った。『糖尿病治療のエッセンス(2022年版)』主な内容と使用図表の一覧(主な内容)1)糖尿病患者初診のポイント2)治療目標・コントロール指標3)治療方針の立て方4)食事療法・運動療法 薬物療法のタイミングと処方の実際5)糖尿病合併症 医療連携 (使用図表)図1 糖尿病の臨床診断のフローチャート図2 血糖コントロール目標図3 高齢者糖尿病の血糖コントロール目標(HbA1c値)図4 糖尿病患者の治療方針の立て方図5 有酸素運動とレジスタンス運動図6 かかりつけ医から糖尿病専門医・専門医療機関への紹介基準図7 かかりつけ医から腎臓専門医・専門医療機関への紹介基準表1 その他のコントロール指標表2 主な経口血糖降下薬の特徴(赤字は重要な副作用)表3 GLP-1受容体作動薬 (リベルサス以外は注射薬)表4 インスリン注射のタイミング、持続時間と主な製剤の比較表5 基礎インスリン製剤とGLP-1受容体作動薬の配合注射薬表6 代表的なインスリンを用いた治療のパターン表7 糖尿病性腎症病期分類図 2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム別表 安全な血糖管理達成のための糖尿病治療薬の血糖降下作用・低血糖リスク・禁忌・服薬継続率・コストのまとめ 同会議では「糖尿病診療は新しい取り組みや薬物療法など、そのとりまく環境は大きく変化している。本書を活用し、最新の知見について理解を深め、日常診療において、糖尿病患者の早期発見、治療に役立てて、糖尿病診療に携わる医療関係者にとって医療連携のツールとして、その発展につながることを願っている」と『糖尿病治療のエッセンス(2022年版)』に期待を寄せている。

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精神病性うつ病の死亡率~18年フォローアップ調査

 精神病性うつ病に関連する死亡率や併発する精神症状の影響に関するエビデンスは、非常に限られている。英国・オックスフォード大学のTapio Paljarvi氏らは、併発する精神症状を制御した精神病性うつ病の原因別死亡率を推定するため、本研究を実施した。その結果、精神医学的併存疾患を制御した後、重度のうつ病に関連する死亡リスクに対し、精神症状の著しい影響が認められた。著者らは、自殺やその他の外的原因による死亡を減少させるためにも、すべての重度うつ病患者に対し、迅速な治療および精神症状のモニタリング強化が求められると報告している。The British Journal of Psychiatry誌オンライン版2022年10月17日号の報告。精神病性うつ病患者の死亡リスクが最も高かったのは初回診断1年以内 本コホート研究では、フィンランドの全国健康レジスタより得られたデータを分析した。対象は、2000~18年に精神病性うつ病または重度の非精神病性うつ病と診断された18~65歳(診断時)のうち、統合失調症スペクトラム障害または双極性障害ではない患者。精神病性うつ病患者の原因別死亡率を、重度の非精神病性うつ病患者と比較した。死亡原因は、ICD-10で定義した。 精神病性うつ病患者の原因別死亡率を重度の非精神病性うつ病患者と比較した主な結果は以下のとおり。・対象患者数は、精神病性うつ病患者1万9,064例、非精神病性うつ病患者9万877例。・フォローアップ期間は、最大18年であった。・精神病性うつ病患者の死亡の約半数(1,199/2,188例)は、初回診断から5年以内に認められ、相対リスクが最も高かったのは、初回診断1年以内であった。・精神病性うつ病患者は、非精神病性うつ病患者と比較し、初回診断5年以内のすべての原因による死亡(調整HR:1.59、95%信頼区間[CI]:1.48~1.70)、自殺(調整HR:2.36、95%CI:2.11~2.64)、死亡事故(調整HR:1.63、95%CI:1.26~2.10)のリスクが高かった。

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