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研修病院選びの判断基準を教えてください【医学生お悩み相談ラヂオ】第5回

動画解説第5回は、医学部5年生の男性からのお悩み。自分に合う研修病院を探すため、病院見学やネットの口コミなども調べているが、病院の評価は人それぞれで判断基準がわからないとのこと。MCの阪大6年の増田さんもいたく共感したこの悩みに対するDrえどの回答は?

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造血器腫瘍診療ガイドライン 2023年版

大きく進歩した診断・治療法を解説!新規治療薬のエビデンスも!2020年補訂版から3年ぶりの大改訂!大きく進歩した診断・治療法について各疾患のエキスパートが解説。エビデンス抽出の客観性の担保を目的にシステマティックレビューの実施などMindsに準じたプロセスが新たに取り入れられ、従来よりもさらに質の高いガイドラインとなった。近年多数登場している新規治療薬にも対応しており、最新のエビデンスが収載されている。造血器腫瘍診療の指針としてお役立ていただきたい。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    造血器腫瘍診療ガイドライン 2023年版定価6,050円(税込)判型B5判、図数:37枚頁数504頁発行2023年7月編集日本血液学会電子版でご購入の場合はこちら

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HER2陰性の切除不能/転移乳がん、3分の2がHER2低発現/ESMO Open

 現在、乳がん患者の約8割はHER2陰性(IHC 0、1+、もしくはIHC 2+かつISH-)に分類される。これまでの研究ではその約6割がHER2低発現(IHC 1+、もしくはIHC 2+かつISH-)と報告されている。最近、HER2低発現の切除不能/転移乳がんの治療にトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)が承認され、HER2低発現とIHC 0の識別が重要になっている。今回、イタリア・European Institute of OncologyのGiuseppe Viale氏らの国際多施設共同後ろ向き研究で、過去にHER2陰性の切除不能/転移乳がんと診断された患者のサンプルを、HER2検査のトレーニングを受けた病理医が再検査したところ、約3分の2がHER2低発現と判定された。ESMO Open誌2023年8月9日号に掲載。HER2陰性の切除不能/転移乳がんのHER2ステータス、再検査での一致率は 本研究は、2014~17年にHER2陰性の切除不能/転移乳がんと診断された患者のサンプルを使用した。ベンタナ4B5およびその他アッセイを用いたHER2検査のトレーニングを受けた病理医が、IHC染色スライドについて再検査し、HER2低発現の割合、および当初のIHCスコアと再検査によるIHCスコアの一致率を調べた。さらに人口動態、患者特性、治療、臨床アウトカムとの関連を評価した。 HER2陰性の切除不能/転移乳がんと診断された患者のサンプルを再検査した主な結果は以下のとおり。・HER2陰性の切除不能/転移乳がん789例のサンプルを再検査した結果、HER2低発現例は67.2%であった(HR陽性例では71.1%、HR陰性例では52.8%)。・当初のHER2ステータスと再検査したHER2ステータスの一致率は81.3%(κ=0.583)で、低発現(87.5%)がIHC 0(69.9%)より高かった。・当初のIHC 0症例の30%以上が、全体(全アッセイ)およびベンタナ4B5による再検査で低発現であった。・患者特性、治療、臨床アウトカムに関して、HER2低発現とIHC 0で顕著な差異はなかった。 著者らは「本データは、IHC 0だった患者でのHER2再評価が、治療における患者選択の最適化に役立つ可能性を示唆している」とし、さらに「標準化されたトレーニングにより病理医がHER2低発現を正確に識別できる可能性がある」と考察している。

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12歳から使用可能な経口の円形脱毛症治療薬「リットフーロカプセル50mg」【下平博士のDIノート】第127回

12歳から使用可能な経口の円形脱毛症治療薬「リットフーロカプセル50mg」今回は、JAK3/TECファミリーキナーゼ阻害薬「リトレシチニブ(商品名:リットフーロカプセル50mg、製造販売元:ファイザー)」を紹介します。本剤は、12歳以上の小児から使用できる円形脱毛症治療の経口薬であり、広い患者におけるQOL向上が期待されます。<効能・効果>円形脱毛症(ただし、脱毛部位が広範囲に及ぶ難治の場合に限る)の適応で、2023年6月26日に製造販売承認を取得しました。本剤投与開始時に、頭部全体のおおむね50%以上に脱毛が認められ、過去6ヵ月程度毛髪に自然再生が認められない患者に投与します。<用法・用量>通常、成人および12歳以上の小児には、リトレシチニブとして50mgを1日1回経口投与しますなお、本剤による治療反応は、通常投与開始から48週までには得られるため、48週までに治療反応が得られない場合は投与中止を考慮します。<安全性>1%以上に認められた臨床検査値異常を含む副作用として、悪心、下痢、腹痛、疲労、気道感染、咽頭炎、毛包炎、尿路感染、頭痛、ざ瘡、蕁麻疹が報告されています。なお、重大な副作用として、感染症(帯状疱疹[0.9%]、口腔ヘルペス[0.8%]、単純ヘルペス[0.5%]、COVID-19[0.2%]、敗血症[0.1%]など)、リンパ球減少(1.6%)、血小板減少(0.3%)、ヘモグロビン減少(0.2%)、好中球減少(0.2%)、静脈血栓塞栓症(頻度不明)、肝機能障害(ALT上昇[0.9%]、AST上昇[0.5%])、出血(鼻出血[0.5%]、尿中血陽性[0.1%]、挫傷[0.1%]など)が設定されています。<患者さんへの指導例>1.この薬は、脱毛の原因となる免疫関連の酵素の働きを抑えることで、円形脱毛症の症状を改善します。2.免疫を抑える作用があるため、発熱、寒気、体のだるさ、咳の継続などの一般的な感染症症状のほか、帯状疱疹や単純ヘルペスなどの症状に注意し、気になる症状が現れた場合は速やかにご相談ください。3.本剤を使用している間は、生ワクチン(BCG、麻疹・風疹混合/単独、水痘、おたふく風邪など)の接種ができないので、接種の必要がある場合は医師にご相談ください。4.妊婦または妊娠している可能性がある人はこの薬を使用することはできません。妊娠する可能性のある人は、この薬を使用している間および使用終了後1ヵ月間は、適切な避妊を行ってください。5.ふくらはぎの色の変化、痛み、腫れ、息苦しさなどの症状が現れた場合は、すぐに医師にご連絡ください。<Shimo's eyes>円形脱毛症は、ストレスや疲労、感染症などをきっかけとして、自己の免疫細胞が毛包を攻撃することで脱毛症状が起こる疾患です。急性期と症状固定期(脱毛症状が約半年超)に分けられ、急性期で脱毛斑が単発または少数の場合には発症後1年以内の回復が期待できます。一方、急性期後に自然再生が認められず、脱毛症状が継続する重症の円形脱毛症では回復率は低いとされ、診療ガイドラインには局所免疫療法や紫外線療法などの治療が記載されていますが、より簡便で効果的な治療法が求められていました。本剤は、JAK3および5種類のTECファミリーキナーゼを不可逆的に阻害する共有結合形成型の経口投与可能な低分子製剤です。円形脱毛症の病態に関与するIL-15、IL-21などの共通γ鎖受容体のシグナル伝達をJAK3阻害により強力に抑制し、CD8陽性T細胞およびNK細胞の細胞溶解能をTECファミリーキナーゼ阻害により抑制することで治療効果を発揮します。全頭型および汎発型を含む円形脱毛症を有する患者を対象とした国際共同治験(ALLEGRO-2b/3、ALLEGRO-LT)で、本剤投与群は、24週時のSALT≦20(頭部脱毛が20%以下)達成割合はプラセボと比較して統計的に有意な改善を示しました。なお、円形脱毛症に使用する経口JAK阻害薬として、すでにバリシチニブ(商品名:オルミエント)が2022年6月に適応追加になっています。バリシチニブは15歳以上が対象ですが、本剤は12歳以上の小児でも使用可能です。本剤はほかのJAK阻害薬と同様に、活動性結核、妊娠中、血球減少は禁忌となっています。また、感染症の発症、帯状疱疹やB型肝炎ウイルスの再活性化の懸念もあるため、症状の発現が認められた場合にはすぐに受診するよう患者さんに説明しましょう。円形脱毛症は、多くの場合は頭皮で脱毛しますが、ときには眉毛、まつ毛を含む頭部全体や全身に症状が出ることでQOLが著しく低下する疾患です。ストレスが多い現代社会で、ニーズの高い医薬品と言えます。

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国試対策はいつから始めればよいのでしょうか【医学生お悩み相談ラヂオ】第4回

動画解説第4回は、医学部4年の女性からの「国試対策」に関するお悩み。医学生全体的に国試対策を始める時期が早まっていると感じ、いつから始めればよいのか、焦ってしまうとのこと。長年にわたり医学生を見てきた民谷先生が思う、国試対策を始める時期とは?

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転移乳がんへのT-DXd、有効性に関わる因子はあるか(DAISY)

 HER2発現レベルに従って転移乳がん患者におけるT-DXdの有効性を評価し、複数時点での腫瘍検体のバイオマーカー分析を通じて治療反応と治療耐性に関わる因子を調査することを目的とした第II相DAISY試験の結果を、フランス・Gustave RoussyのFernanda Mosele氏らがNature Medicine誌オンライン版2023年7月24日号に報告した。 参加者はベースライン時のバイオプシー結果に基づき、HER2高発現群(IHC 3+またはISH+、72例)、HER2低発現群(IHC 2+/ISH-またはIHC 1+、74例)、およびHER2陰性群(IHC 0、40例)に割り付けられた。 主要評価項目は奏効率(ORR)で、副次評価項目には安全性などが含まれた。その他探索的解析として、HER2発現パターンと治療反応、T-DXdの作用機序および耐性機序が調べられた。 主な結果は以下のとおり。・ORRはHER2高発現群では70.6%(95%信頼区間[CI]:58.3~81)、HER2低発現群では 37.5%(95%CI:26.4~49.7)、HER2陰性群では29.7%(95%CI:15.9~47)だった。・HER2陰性群の患者において、ERBB2発現が中央値未満であった患者(14例中5例[35.7%]、95%CI:12.8~64.9)は、ERBB2発現が中央値を上回っていた患者(10例中3例[30%]、95%CI:6.7~65.2)と比較して奏効率に差はみられなかった。 またベースライン検体を外部の病理学者が検査した結果、15例(48%)でHER2発現が確認された。・治療中、HER2発現腫瘍(4例)では強いT-DXd反応が示された一方、HER2陰性腫瘍(3例)ではT-DXd反応がまったくまたはほとんど示されなかった(ピアソン相関係数r=0.75、p=0.053)。・ベースライン検体におけるドライバー変異には耐性と有意に関連しているものはなかった(FDR補正p>0.54)。ただし、ベースライン時の89例中6例(7%)にERBB2ヘミ接合型欠失が検出され、うち4例はT-DXdに反応がなかった。・T-DXd耐性となった検体の21例中3例(14%)にSLX4変異が検出された。・新たな安全性シグナルは確認されていない。 著者らは、HER2発現レベルはT-DXdの有効性の決定要因と言えるが、本研究ではそれ以外のメカニズムも関与している可能性が示唆されたとまとめている。

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寄せられた疑問に答える、脂質異常症診療ガイド2023発刊/日本動脈硬化学会

 『動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド2023年版』が6月30日に発刊された。動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイドは2018年版から5年ぶりの改訂となり、塚本 和久氏(帝京大学大学院医学研究科長、内科学講座 教授)が改訂点や本書の新たな取り組みについて、日本動脈硬化学会主催のプレスセミナーで解説した。動脈硬化関連の各種ガイドライン・指針に準拠 動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイドは脂質異常症に特化し、非専門医が困ったときに参考となる情報をコンパクトに記載したものである。日本動脈硬化学会では『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022度版』をはじめ、『スタチン不耐に関する診療指針2018』『PCSK9阻害薬の継続使用に関する指針』などのさまざまなガイドラインや指針を発刊しており、『動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド2023年版』はそれらの内容を網羅するかたちで作成されている。そのため、主な改訂点も『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022度版』に準じたものになっている。<脂質異常症診療ガイド2023の主な改訂内容>1.随時(非空腹時)のトリグリセライド(TG、中性脂肪)基準値(175mg/dL以上)を設定。2.脂質管理目標値設定のための動脈硬化性疾患の絶対リスク評価手法として、冠動脈疾患とアテローム血栓性脳梗塞を合わせた動脈硬化性疾患をエンドポイントとした久山町研究のスコアを採用。3.糖尿病がある場合のLDLコレステロールの管理目標値について、合併症がある場合の1次予防は100mg/dL未満、2次予防は70mg/dL未満に設定。4.2次予防の対象疾患として冠動脈疾患に加えてアテローム血栓性脳梗塞も追加。5.薬物療法において、スタチン不耐と判断する際の注意点を記載。6.原発性脂質異常症の項を拡充。 上記の『動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド2023年版』改訂内容1について、塚本氏は「脂質異常症の診断基準は“動脈硬化発症リスクを判断するためのスクリーニング値であり、治療開始のための基準値ではない”ことは、ぜひ理解しておいていただきたい」と述べ、改訂内容5については「スタチンは費用対効果も高く不必要な中止を避けたい。また、スタチン不耐と判断される患者の半数以上がスタチン不耐ではないとの報告1)もある。それゆえ、ノセボ効果には注意し、患者の筋関連症状とスタチンとの関連性をしっかり確認してほしい」と強調した。脂質異常症診療ガイド改訂でQ&Aを拡充 今回の動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド改訂では本文の内容の充実はもちろんのこと、Q&Aを拡充し、項目数を47から61に増やしている。この中には、予防ガイドラインでは詳述されなかったポイントや比較的よく質問される疑問点、そして日本動脈硬化学会広報啓発委員会が会員ページに掲載している症例(日常臨床で診断・治療に難渋する症例)を参考に作成したケースを取り上げている。たとえば、上述の『動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド2023年版』改訂内容2に関連する質問が寄せられ、それに対する回答が記載されている。―――Q25久山町スコアでは40歳未満の方は対象にはなりませんが、多くの危険因子を持つ若年の脂質異常症患者さんにはどのように対応すればよいでしょうか?A久山町スコアのアプリでは、絶対リスクとともに相対リスクも表示される。久山町スコアは40歳以上を対象としたものなので正確とは言えないが、40歳未満の対象者であっても年齢以外の因子を入力後、年齢の項を40歳と入力すれば、同世代の危険因子のない方と比べての相対リスクがわかるので、患者指導に用いると良い。――― このほかにもよく質問される疑問点として「Q21 吹田スコアで高リスクだった患者さんが久山町スコアでは中リスクとなりました。どのように対応すればよいでしょうか?」「Q22 管理目標値設定のフローチャートに記載されている『その他の脳梗塞』はどのような脳梗塞でしょうか? 心原性脳梗塞やラクナ梗塞も含まれるのでしょうか?」などが寄せられている。また、広報啓発委員会作成の会員マイページに掲載されている症例を参考とした症例としては「Q55 LDL-C 260mg/dLでアキレス腱肥厚もあったので、FHと考えスタチンで治療を始めましたが、LDL-C値はほとんど下がりません。どのように対応すればよいでしょうか?」(シトステロール血症の鑑別が必要)のようなQ&Aが作成されている。ぜひ『動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド2023年版』のQ&Aをご一読いただきたい。遺伝子検査項目の増加、指定難病の診断に 2022年4月に原発性脂質異常症の遺伝子検査項目が5つに増えた(家族性高コレステロール血症、原発性高カイロミクロン血症、無βリポタンパク血症、家族性低βリポタンパク血症1[ホモ接合体]、タンジール病)。これを受けて、『動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド2023年版』では低HDLコレステロール低値の際のフローチャートを追加し、解説疾患を増やすなど、原発性脂質異常症の項を拡充。遺伝子検査項目が増えるメリットには「指定難病の確定診断がつけば、患者の登録が進み、患者のbenefitにつながる」と述べた。脂質異常症診療ガイド2023にICT導入 今回の発刊に際し情報通信技術(ICT)を積極的に導入しており、『動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド2023年版』を購入した方はデジタルブックでも閲覧できる。また、掲載されているQRコードを読み込むことで代表的な臨床比較試験、診療指針、専門医リストなどが確認できるため、web検索する手間が省ける仕組みになっている。 最後に同氏は「以上の改訂点を踏まえ、医師や管理栄養士、臨床検査技師などをはじめとする多くの医療者に活用していただきたい」とコメントした。

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2023年12月期第2四半期 決算説明

2023年12月期第2四半期実績発表 :代表取締役社長 COO 藤井勝博現状及び今後の業界動向について:代表取締役会長 CEO 大野元泰※IRページは こちら からお戻りいただけます※タイトルを選ぶとお好きなチャプターからご覧いただけます。※IRページは こちら からお戻りいただけます.banAdGroup{display:none;}.bottomNotice{display:none;}

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拡張型心筋症、アフリカ系とヨーロッパ系患者での遺伝的構造/JAMA

 拡張型心筋症(DCM)の遺伝子変異について、非ヒスパニック系黒人、非ヒスパニック系白人、ヒスパニック系の患者を対象に調べたところ、アフリカ系のゲノム祖先を持つDCM患者は、欧州系のゲノム祖先を持つDCM患者と比較し、病原性/病原性の可能性と判定できる臨床的に対処可能な変異遺伝子を有する割合が低いことが、米国・オハイオ州立大学のElizabeth Jordan氏らによる検討で明らかにされた。原因として、遺伝子構造が異なる点と、アフリカ系のゲノム祖先を持つDCM患者の臨床データが不足している点が示唆されたという。黒人のDCM患者は白人のDCM患者よりも、家族歴によるリスクが高くアウトカムが不良である一方、DCMのゲノムデータの大半は白人患者のものである。研究グループは、多様なDCM患者集団において、ゲノム祖先ごとにDCMのまれな変異遺伝子構造を比較した。JAMA誌2023年8月1日号掲載の報告。36のDCM変異遺伝子について病原性/病原性の可能性/意義不明を判定 研究グループは2016年6月7日~2020年3月15日にかけて、米国の25のAdvanced Heart Failure Programsを通じ、人種の自己申告による非ヒスパニック系黒人、非ヒスパニック系白人、ヒスパニック系のDCM患者を対象に横断研究を行った。 主要アウトカムは、36のDCM変異遺伝子の、病原性/病原性の可能性/意義不明の判定と、臨床的に対処が可能(病原性/病原性の可能性と判定)か否かであった。臨床的に対処可能な変異遺伝子、欧州系26%に対しアフリカ系8% 解析対象は、主にアフリカ系のゲノム祖先を持つDCM患者が505例、欧州系が667例、ネイティブ・アメリカンが26例だった。 アフリカ系患者は欧州系患者と比べ、臨床的に対処可能な変異遺伝子を有する割合が低かった(8.2%[95%信頼区間[CI]:5.2~11.1]vs.25.5%[21.3~29.6])。このことは、病原性/病原性の可能性/意義不明の変異遺伝子のいずれかを有する患者では、臨床的に対処可能な変異遺伝子のオッズが、欧州系患者と比べアフリカ系患者は低いことを示唆するものであった(オッズ比[OR]:0.25、95%CI:0.17~0.37)。 平均してアフリカ系患者は、TTN遺伝子や、病気を引き起こすメカニズムとして機能欠失が予測されるその他の遺伝子について、欧州系患者に比べ臨床的対処可能な変異遺伝子の割合が低かった(それぞれの群間差:-0.09[95%CI:-0.14~-0.05]、-0.06[-0.11~-0.02])。 一方で、病原性/病原性の可能性/意義不明のいずれかに判定された変異遺伝子数は、アフリカ系患者と欧州系患者で同程度だった(群間差:-0.07、95%CI:-0.22~0.09)。これは、アフリカ系患者では、主にミスセンス変異による非TTN遺伝子・非予測機能欠失型株の意義不明変異株が、より多く認められたためであった(群間差:0.15、95%CI:0.00~0.30)。また、アフリカ系患者のみに検出される変異遺伝子が病原性であることを支持する、臨床症例に基づく公表済みのエビデンスは少なかった(p<0.001)。

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第57回 9月以降の「秋開始接種」の概要は?

XBB.1.5対応1価ワクチンが登場ソコストより使用医療従事者では最多で新型コロナワクチンを6回接種している方がいると思います。私も2023年6月に6回目接種を終えています。現在「令和5年春開始接種」が終盤になっていますが、新型コロナワクチンの接種率がかなり下がってきた印象です。1年以上経過すると、さすがに重症化リスクも上がってくるようなので、前回からの接種期間が空いている人は接種してもよいのではないかと思いますが。65歳以上の高齢者および5歳以上の基礎疾患を有する人やその他重症化リスクが高いと医師が認める方の場合は、基本的に接種が推奨されます。これ以外の健康な人は、予防接種法による接種勧奨・努力義務のいずれの適用もありません。「看護学生がワクチン接種していないと実習に参加できない」問題がわりとSNSで炎上していますが、デリケートな問題ですよね…(遠い目)。さて、9月20日以降使用されるXBB.1.5対応1価ワクチンは、マウスを用いた非臨床試験において、XBB.1.5に対して現行2価ワクチンよりも高い中和抗体価を誘導することが報告されています。XBB.1.5対応1価ワクチンの契約は、モデルナ社とファイザー社を合わせて2,500万回分がすでに済んでいます。数が少し少な目な気がしますが、第一三共の「ダイチロナ」がXBB.1.5対応1価ワクチンとして早期に参入してくるのかどうかは不明です。従来株でのダイチロナ承認となっていますが、変異ウイルス用のものを次々に出してくるのではないかと期待しています。「秋開始接種」の概要9月20日から始まる「秋開始接種」の概要は図のとおりになります。春開始接種では基礎疾患のない12~64歳は接種対象外だったのですが、今回再び対象になっています。とはいえ、「もう接種はいいや」と思っている人がかなり多いので、ヘタするとインフルエンザワクチンよりも打たれないという未来が待っているかもしれません。画像を拡大する図.新型コロナワクチン接種スケジュール(筆者作成)8月7日からオミクロン株対応2価ワクチンが初回接種可能にところで、あまり報道すらされていませんが、8月7日からオミクロン株対応2価ワクチンを初回接種できるようになりました。現状流通するのは5歳以上になります。生後6ヵ月~4歳に対するオミクロン株対応2価ワクチンも書面上は接種可能ですが、いずれXBB.1.5対応1価ワクチンを接種することになるため、こちらについては流通させない方針のようです。現在流行しているのはXBB系統ですが、従来型ワクチンと比べるとオミクロン株対応2価ワクチンでは、約7割の死亡予防効果が確認されています1)。そのため、「系統が違うから効かないのでは」と懸念しなくてもよいと思います。参考文献・参考サイト1)Lin DY, et al. Durability of Bivalent Boosters against Omicron Subvariants. N Engl J Med. 2023;388:1818-1820.

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バイアスドリガンドorforglipronは2型糖尿病・肥満症治療のgame changerになり得るか?(解説:住谷哲氏)

 GLP-1受容体作動薬は2型糖尿病患者に対する血糖降下作用、体重減少作用および臓器保護作用が明らかにされている。さらに肥満症治療薬としてセマグルチド(ウゴービ)が製造承認されて現在薬価収載待ちの状況である。GLP-1受容体作動薬は有用な薬剤であるが注射薬のバリアはなかなか手ごわく、必要な患者に導入できないことが少なくない。そこで登場したのが経口セマグルチド(リベルサス)であったが、早朝空腹時に120mL以下の水で服用してその後30分は飲食不可、となっているので注射薬ほどではないが服薬アドヒアランスを維持するのが難しい。orforglipronは1日1回服用の非ペプチド性GLP-1受容体作動薬であり、本試験は糖尿病を合併しない肥満患者に対するorforglipronの体重減少作用を主要評価項目とした第II相臨床試験である。orforglipronの2型糖尿病患者に対する血糖降下作用を主要評価項目とした第II相臨床試験の結果は、ほぼ同時にLancetに掲載された1)。両試験の結果をみると、orforglipronの体重減少作用および血糖降下作用はきわめて有効であった。 本論文をみたときに経口セマグルチドと同様の薬剤かと思っていたが、筆者の勉強不足であった。医薬品は大きく分けると低分子医薬品(分子量<500)、高分子医薬品(分子量>10,000~15,000)と、その中間の中分子医薬品とになる。orforglipronは、もともと中外製薬で中分子医薬品として創薬されたOWL833(分子量883)が、2018年にEli Lillyに導出されて臨床開発が継続されてきた歴史がある。中分子医薬品は、タンパク質間相互作用(protein-protein interaction)を修飾することによる細胞内シグナル伝達調節作用が期待されており、世界中の製薬企業が開発に注力している。 GLP-1受容体はG蛋白質共役受容体(G-protein coupled receptor:GPCR)に分類される(ちなみにGIPおよびグルカゴン受容体もGPCRに分類される)。GLP-1はGLP-1受容体に結合して細胞内にシグナルを伝達するが、そのシグナルにはGタンパク質依存的シグナルとβアレスチン(arrestin)依存的シグナルとがある。前者はcAMPなどのセカンドメッセンジャーを介して細胞内Ca濃度を上昇させることでGLP-1作用を発揮する。後者は従来GLP-1受容体の脱感作を誘導すると考えられてきたが、近年その他の多様な細胞内シグナル伝達を担っていることが明らかになりつつある。orforglipronはGLP-1受容体に結合してGタンパク質依存的シグナルのみを活性化しβアレスチン依存的シグナルを活性化しないことが報告されている2)。このようにGPCRを介したGタンパク質依存的シグナルとβアレスチン依存的シグナルとを選択的に活性化させる分子をバイアスドリガンド(biased ligand)という3)。つまりorforglipronは、これまでのGLP-1受容体作動薬とは異なるまったく新しい作用機序を有する薬剤であり、2型糖尿病・肥満症治療における画期的な新薬となる可能性がある。 すでにEli Lillyは第III相臨床開発プログラムであるACHIEVE(対象は2型糖尿病)およびATTAIN(対象は肥満症)を開始することを発表しており、数年後には2型糖尿病・肥満症治療に新たな展開が期待される。

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日薬版お薬手帳リニューアルのドタバタ劇【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第115回

電子お薬手帳はここ最近あまり話題になることはなく、どの電子お薬手帳の事業者と契約するかを悩んだのはもう何年前だろう…という遠い記憶になりつつあります。これは電子お薬手帳が一定の患者さんに継続的に利用され、実際の運用が落ち着いている証拠だろうと感じていましたが、その電子お薬手帳について動きがありました。日本薬剤師会は2023年7月26日の都道府県会長協議会で、電子お薬手帳のスマートフォンアプリ「eお薬手帳3.0」について、公開開始した23年7月3日から19日で約180薬局から申し込みがあったと発表した。また同アプリには、23年内を目標にオンライン服薬指導機能を実装する予定だ。(2023年7月31日付 日経DIオンライン)日本薬剤師会が提供する電子お薬手帳が変更になりました。以前より日本薬剤師会は、NTTドコモ(以下、ドコモ)と電子お薬手帳「おくすり手帳Link」を共同で開発・提供していました。しかし、2022年6月頃にそのおくすり手帳Linkを終了するとの連絡がドコモの決定事項として報告され、一方的にドコモから開発とサービス提供の中止が告げられたことが報じられています。これには日本薬剤師会側はかなりご立腹だったようですが、この一方的な決定は覆ることはなく、新しくファルモの電子お薬手帳「eお薬手帳3.0」が選ばれたことが発表され、7月3日に公開開始されました。約2週間で180件が登録しているというのは、よい数字ではないでしょうか。ドコモは2021年4月にオンライン診療システムを手掛けるメドレーとの資本業務提携を発表しており、同年12月からオンライン診療・服薬指導アプリ「CLINICS」の共同運営を開始しています。ドコモは、CLINICSの運営に加わったことで「経営資源を一本化した」と報じられています。日本薬剤師会は「基本合意がなされていると思っていた」ということですが、すっかり振られてしまった形になっただけでなく、踏み台にされてしまったようにも感じます。ドコモによる現行の電子お薬手帳は、2024年6月末にすべてのサービスやサポートが終了する予定です。約1年間に薬局や個人でデータ移行してくださいね、という案内が出ていますが、マイナンバーカードを読み込ませるなどの対応が結構大変なので、できたら自動でデータ移行してほしいなと思います。このドコモの電子お薬手帳の契約薬局数は、3,000軒とも5,500軒とも報じられています。現在、全国の薬局数が約6万軒ですから、1割にも満たないのかと意外な気もします。たくさんの業務がある中で、薬剤服用歴管理指導料の加算の要件として問題のない電子お薬手帳を選ぶ際に、日本薬剤師会のお墨付きは強いと感じましたが、実はそうでもないのかもしれません。それではドコモも手を引くかも…という気もします。電子お薬手帳は、電子処方箋やオンライン服薬指導との連携などが期待されていますが、マイナポータルの習熟度やドコモのような大きな企業の動きによってはまた状況が変わるかもしれません。加算の算定要件、というだけで事業者選定を急いだ記憶がありますが、使い勝手や今後の発展について本当は落ち着いて吟味したいところです。現在の情報の中で事業者変更のメリットがあるとすれば、ファルモが提供する「eお薬手帳3.0」のサービス利用料は初期費用1万円、年額費用1万5,000円(ともに税別)で、既存システムの半額程度に設定されているという点でしょうか。そして、もともと電子お薬手帳のサービスを提供している会社なので、おそらくドコモのような急な撤退はないでしょう。ファルモの「eお薬手帳3.0」に期待したいと思います。

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国試予備校・映像講義選びのポイントは?【医学生お悩み相談ラヂオ】第3回

動画解説第3回は、医学部3年の女性からのお悩み。医師国家試験に向けて大学の講義だけでなく、試験対策専門の予備校や映像講義を受講すべきかどうか、という質問。また、どの予備校、教材を選ぶ基準などがあれば教えてほしいとのこと。現役予備校講師でもあるDrえどの回答は?

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第171回 「ダイチロナ」承認の裏で継続審議の塩野義ワクチン、その理由は…

新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)のワクチンとして最も早く承認されたファイザーのコミナティから遅れること約2年半、ついに国産の新型コロナワクチンが承認される見通しだ。厚生労働省の薬事・食品衛生審議会・医薬品第二部会は7月31日、第一三共の新型コロナメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンである『ダイチロナ筋注』を承認することを了承した(8月2日付で正式承認取得)。その一方で塩野義製薬が承認申請をしていた遺伝子組み換えタンパクワクチン『コブゴーズ筋注』について、「現在までに評価された臨床試験成績のみでは、本ワクチンの有効性を明確に説明することが難しい」と判断され、継続審議となった。明暗を分けた両ワクチンだが、少なくともダイチロナに関しては公開された一部データを見る限り、承認が了承されたことは傍目にも妥当と思える。公開されたデータは、18歳以上を対象に追加免疫としてダイチロナとファイザーのコミナティ、モデルナのスパイクバックスを比較した非劣性試験の結果だ。非劣性基準は、中和抗体価の幾何平均上昇倍率(GMFR)の両側97.5%信頼区間(CI)の下限値が0.67 を上回ることとなっている。公表されたGMFRは、対コミナティの試験ではダイチロナが58.690(95%CI:49.643~69.386)、コミナティが38.044(95%CI:29.704~48.726)、対スパイクバックスの試験ではダイチロナが36.074(95%CI:29.292~44.426)、スパイクバックスが25.402(95%CI:19.163~33.671)。GMFR比は対コミナティで1.464(両側97.5%CI:1.112~1.927)、対スパイクバックスで1.772(両側97.5%CI:1.335~2.353)。一方の安全性については、データは今のところ開示されていないが、厚生労働省が報道向けに公開した資料では、ダイチロナの安全性プロファイルは、コミナティ、スパイクバックスと同様。主な副反応は注射部位疼痛、倦怠感、頭痛、発熱で、ほとんどが軽度あるいは中等度で回復性が認められているという。もっとも有効性については起源株(武漢株)に対する結果で、今後、第一三共はオミクロン株XBB.1系統への一部変更申請で対応していく方針。この点は従来のコミナティ、スパイクバックスと同様だ。コミナティとスパイクバックスでは、起源株1価ワクチンからオミクロン株BA.4/5系統対応も含めた2価ワクチンへ変更された際、非臨床試験のみで一部変更承認となった点が理論上は理解できても違和感を持ってしまった人は医療関係者でも少なくなかったと理解している。しかし、今ではこの対応が国際的にスタンダードとなっている。今年5月に開催された日本も参加する薬事規制当局国際連携組織(ICMRA)では、現在承認されているワクチンについてはプラットフォームとしての対応を適応可能とし、対応株変更時は確認的な品質と非臨床データのみの資料提出で承認審査が行えるとの見解がまとめられている。なお、第一三共によると、製造は埼玉県北本市にあるグループ会社の第一三共バイオテックの工場で行う。既存のmRNAワクチンはいずれも冷凍保存だが、ダイチロナに関しては冷蔵保存(2~8℃)が可能。もっともmRNAは振動などに弱いため輸送には一定の配慮が必要と言われているが、第一三共によると、流通を担当する卸については、インフルエンザワクチンなどと同様に既存の卸各社で対応する計画で、特定卸への絞り込みは考えていないという。一方、継続審議となった塩野義製薬のコブゴーズでは、審査評価資料として提出されていた国内臨床試験の比較対照薬は、初回免疫(優越性検証)がアストラゼネカ社のウイルスベクターワクチンであるバキスゼブリア、追加免疫(非劣性検証)がファイザーのコミナティだった。厚生労働省によると、部会の審議では「コブゴーズの接種により中和抗体価の上昇は一定程度認められるものの、初回免疫、追加免疫の両試験とも比較対照薬接種群の中和抗体価が通常想定されるよりも相当程度低く、当該試験に基づいて有効性を明確に評価することは困難との議論があった」と説明した。このため今回の申請資料中に参考資料として提出されていた海外などでの臨床試験成績などを新たに評価対象に追加して、改めて評価することになったと話している。私見を言えば、この結果はやや“不可解”とも言える。まず、初回免疫の比較対照薬がなぜバキスゼブリアだったかという点だ。塩野義製薬がこの臨床試験を開始した時期は、既に国内での新型コロナワクチン接種はコミナティやスパイクバックスを軸に実施されていた。バキスゼブリアに関しては、日本よりも先行して使用されたヨーロッパで発生頻度は稀ながら、死亡例も含む重篤な血栓症の報告があり、当初日本では公的接種に用いられなかった。しかし、国内では接種開始後にコミナティとスパイクバックスの供給不足が表面化したことなどから、途中から血栓症の発現頻度が低い40歳以上に限定で公的接種に用いられたという経緯がある。現状も公的接種はmRNAワクチンの2種類が用いられており、バキスゼブリアによる公的接種は2022年9月30日をもって終了している。現在のこうした接種状況、さらに今後も高齢者や基礎疾患保有者に対しては公的接種が継続するだろうという見通しに立てば、その選択肢になり得るワクチンは既存のmRNAのいずれかに対する非劣性検証を行うのが臨床上は筋だと個人的には考えるのだ。もっとも今回のコブゴーズの初回免疫の試験は起源株に対するものであり、コミナティ、スパイクバックスが起源株での発症予防の有効率が95%前後と驚異的とも言える結果だったことを考えれば、これらを比較対照薬とすることは、コブゴーズを含むその他のモダリティを用いたワクチンの有効性を不当に低く評価する可能性はある。この点を考えれば、バキスゼブリアを比較対照薬にするのもわからぬわけではない。この点を塩野義製薬広報部に確認したところ「試験実施時のワクチン接種状況から比較対照として利用でき、相手企業から利用許可が得られたことからバキスゼブリアになりました。また、これは当局とも相談をしながら、当局からもそれで良いだろうという判断で決定しています。他社(ファイザー、モデルナ)から許可が得られなかったのかどうかについては、こちら(広報部)では伺っていないので、ご回答できない状況です」とのことだった。さらに今回の審議結果は、解釈次第では同社の臨床試験実施体制そのものに疑義を呈されたと言えなくもない。今回の審議結果の受け止めについて尋ねたところ、「部会での審議内容については当社も確認中であること、また現状は継続審議となって審議中ですので、コメントすることは差し控えさせていただきます」との回答。新型コロナ治療薬のエンシトレルビルの緊急承認審議に続いて物言いが付いてしまった塩野義製薬だが、ここからどのような展開になるのか。しばらく目が離せそうにない。

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医療者のためのわかりやすい医療訴訟

医療訴訟の予防法と対処法を会話形式でわかりやすく解説「医療訴訟」という言葉、医療者の方なら誰もが一度は耳にしたことがあるはずです。しかし、裁判所がどのような思考過程で事案を判断しているのかは、ご存じない方が多いかと思います。本書は、医療訴訟に関する法律や裁判所の考え方、そして実際の事案における争点と裁判所の判断を解説しています。さらに、医療訴訟に遭遇しないために日頃から留意すべきポイントと、遭遇した場合の対処法も記載しています。弁護士、医師、女子高生の3人が会話を繰り広げながら話を展開し、難解な法律用語の使用は極力避けているため、大変読みやすい内容となっています。医療者の方の万が一の場合に備えることができる1冊です。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    医療者のためのわかりやすい医療訴訟定価4,180円(税込)判型A5判・並製頁数416頁発行2020年4月著者粟野 公一郎(弁護士)、粟野 暢康(医師)

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マッチングでどう自己PRしたらよいかわからない【医学生お悩み相談ラヂオ】第2回

動画解説第2回は、医学部6年の女性からの「マッチング試験でどう自己PRをしたらよいかわからない」というお悩み。とくに病院側が何を求めているのかわからず、ほかの医学生はどうしているのか、知りたいとのこと。多くの医学生、研修医を見てきた民谷先生のアドバイスは実に的確です。

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急性期うつ病治療における21種の抗うつ薬の睡眠への影響~ネットワークメタ解析

 抗うつ薬による急性期治療中に見られる睡眠関連副作用は、コンプライアンスの低下や寛解を阻害する要因となりうる。中国・北京大学のShuzhe Zhou氏らは、抗うつ薬の睡眠関連副作用の種類、抗うつ薬の用量と睡眠関連副作用との関連を評価するため、本検討を行った。その結果、ほとんどの抗うつ薬において、プラセボと比較し、不眠症または傾眠のリスクが高かった。また、抗うつ薬の用量と睡眠関連副作用との関係は、さまざまであった。結果を踏まえて著者らは、「抗うつ薬による急性期治療中には、睡眠関連副作用の発現に、より注意を払う必要がある」としている。Sleep誌オンライン版2023年7月9日号の報告。 2023年4月までに公表されたうつ病に対する二重盲検ランダム化比較試験をPubMed、Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Web of Scienceより検索した。短期間の抗うつ薬単剤療法中の睡眠関連副作用を報告した研究を解析に含めた。ネットワークメタ解析により睡眠関連副作用のオッズ比(OR)を算出した。用量反応性を評価するため、ベイジアンアプローチを用いた。研究間の不均一性の評価には、τ2およびI2統計を用いた。感度分析は、バイアスリスクの高い研究を除いて実施した。 主な結果は以下のとおり。・分析対象は、6万4,696例(216試験)であった。・13種類の抗うつ薬において、プラセボと比較し、傾眠の高いORが確認された。最も高いORが認められた薬剤は、フルボキサミンであった(OR:6.32、95%信頼区間[CI]:3.56~11.21)。・11種類の薬剤は、不眠症リスクが高く、最も高かった薬剤は、reboxetineであった(OR:3.47、95%CI:2.77~4.36)。・傾眠または不眠症との用量反応曲線は、直線形、逆U字形、その他が含まれていた。・研究間に有意な不均一性は認められなかった。・ネットワークメタ解析結果のエビデンスの質は、非常に低い~中程度(GRADE)であった。

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第170回 キュウリ矯正ギプスが物語る、国内ジェネリック供給不足の原因

ついにそこまで“手を突っ込む”のかという印象がぬぐえない。厚生労働省(以下、厚労省)が7月31日に初会合を行う「後発医薬品の安定供給等の実現に向けた産業構造のあり方に関する検討会」(以下、検討会)のことだ。これは昨年8月からスタートした厚生労働省医政局が設置した「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」(座長:学習院大学経済学部教授・遠藤 久夫氏、以下、有識者検討会)の報告書で、後発医薬品、いわゆるジェネリック医薬品(以下、GE)業界の構造的な問題を話し合う場の設置が必要という内容が盛り込まれた結果である。すでに多くの医療関係者がご存じのように、2020年に福井県のGE企業・小林化工で製造した経口抗真菌薬の製造工程でベンゾジアゼピン系睡眠導入薬の成分が高用量で混入していることが確認され、死亡例を含む健康被害が発生した事件をきっかけに国内ではGEが供給不足という状態が2年以上も続いている。小林化工はGE企業としては中堅規模だったが、GE企業では大手でも自社以外に外部への委託製造があり、実は大手企業の製品でも“隠れ小林化工製品”のようなものがあり、この段階からGEの品薄が始まった。健康被害の原因は小林化工が製造手順に未記載の方法で医薬品を製造していたためで、その結果として業務停止命令に追い込まれた。しかし、事態はそれだけでは済まず、その後もGE企業ではこうした製造手順に基づかない製造や品質検査の不正が次々に明らかになり、国内最大手の日医工をはじめ複数社が業務停止命令を受け、さらなる供給不足状態に陥ったままだ。有識者検討会で問題として指摘されたのは、少量多品目製造と言われるGE企業自体が日本では190社もあることだった。要は「小規模多数社」で「少量多品目製造」を行っている、経済効率の低さだった。もともと薄利多売のGE企業の場合、企業活動を安定させるためには、大規模化が望ましいのは確かである。そこで有識者会議では新たにこのことを話し合う会議体の設置を提言した。実はこうした提言が官公庁から出されるのは初めてではないが、企業という民間ベースの話によりあからさまに踏み込む形での提言は、もともとは財務省主計局の十八番だった。主計局は旧大蔵省時代から、旧厚生省担当の主計官が講演などで国内の製薬業界や医薬品卸業界の企業再編を何度も唱え、それが業界紙に記事として掲載されると、読んだ企業関係者が「金目のことだけで勝手なことを言いやがって」と激怒する構図があった。かつて業界紙に身を置いた私も、先輩記者がそうした講演や主計官の個別インタビュー記事を執筆して自社媒体に掲載されると、その後1週間程度はあちこちの取材先で記事に対するボヤキを聞かされる“とばっちり”を食らった。ある時などはそうした記事が出た翌日に中堅製薬企業に取材に行ったところ、突如として取締役が目の前に現れ、「何なんだ、あの記事は!」と一方的に怒鳴り散らされ、「いやいや一つの意見ですから…」と言って無難に乗り切ろうとしたところ、今の時代ではありえないことではあるが、いきなり灰皿が飛んできたことがあった。一方、厚労省では時に同様のことが言及されることがあったが、最新の「医薬品産業ビジョン2021」などでは、GE企業の再編については、あえて言及を避けているかのような文言となっている。そんな厚労省がGE業界の構造について話し合う検討会の設置に踏み切るのだから、かなり危機感は強くなってきたのだろう。それもこれも厚労省自らがGE使用促進の旗振りをしていながら、供給不足になったことへの後ろめたさもあるのかもしれない。GE企業の在り方について議論をすること自体に私自身は反対ではない。むしろ大いに議論すべきだろうと思っている。ただ、それだけでは不十分とも考えている。置き去りになっている議論がいくつかあるからだ。この点で最も議論されているのが、スパイラル的に薬価が下がる現状の薬価制度の問題だが、今回はこの点の議論は棚上げにしておく。それはこれだけでおよそ本連載の2回分ぐらいの文字量になるからである。私個人として、今後、本格的議論が必要だと思っているのは、GEにどの程度の品質を求めるかである。一般的に日本のGEは高品質と言われる。この点を表すエピソードとして関係者の口から頻繁に飛び出すフレーズが「海外では製造工程で髪の毛程度が混入しても問題にならない」というもの。これはあくまで一番極端な例えである。先日、国外でヘルスケアビジネスに関わっている人が講演した内輪の勉強会に参加したが、その方はGEを例に挙げて「日本には高品質幻想がある」と語った。より具体的な例えとして「法的に求められている品質基準を90%とすると、海外のGE企業はこれをほんのちょっと超えるくらいを目指す。しかし、日本のGE企業は98%とか99%を目指しがち。確かに日本のGEの品質は高いが、日本を一歩出れば、求められているのは価格がすべて。これでは国際競争に勝てない」という趣旨の発言をしていた。これはまさにその通りである。こうした話は医薬品業界関係者からはよく聞く話だ。以前、ある外資系製薬企業の勤務経験者Aさんと話した時に、彼は本社のある国で、日本の文化を説明する時にきゅうり矯正ギプスを持参すると語っていた。これはきゅうりがまっすぐ実るようにするため、実が小さい時に被せる筒状のものである。Aさんは笑いながら、次のように語っていた。「多くの場合、このギブスを見せると、日本人以外は卑猥なことに使うんじゃないかと想像して薄笑いするんですよ。そこで種明かしをすると、『えええー、そんなことのために?』という反応を見せるんですよ。だって海外に行けば曲がったきゅうりを見ることはごく普通ですからね。日本人のこだわりはなかなか理解されないですよ」同じようなことは製薬だけでなく、医薬品卸でも耳にしたことがある。今から四半世紀前に自分が業界紙記者として医薬品卸担当をしていた頃のことだ。今でこそ医薬品卸では、ピッキングマシンなどを備えた大型物流センターが当たり前だが、当時はこれがなかなか進まなかった。その理由をある大手医薬品卸の物流担当者に尋ねたところ、その当時主流だったアメリカ製のピッキングマシンは日本では使えないとの答えが返ってきた。さらに突っ込むと、この担当者は「結局ね、アメリカ製のピッキングマシンは物流効率だけを考えているので、箱入りの医薬品だと箱の角が潰れることが結構あるんです。もちろん中身には影響はありませんし、アメリカでは医療機関もそんなことは気にしません。ですが、日本ではそうした中身には影響していないけど、箱の角が潰れているものを配送したら、『無礼者!』って怒鳴られちゃうんですよ」と話してくれた。別に国内外の考えの違いはどうでも良いと思う人もいるかもしれない。しかし、すでに国内のGE市場は飽和状態にあり、仮に大規模化を実現できても今度はそこで企業同士で過当競争となる。高品質を追求して高コストのまま、さらに過当競争をすれば、結果的に大規模化したGE企業同士が疲弊し、それが安定供給への不安へと転化しかねない。大規模化した分だけ、そのうちの1社に何かあった時の影響は甚大である。その意味では大規模化できたGE企業が国際競争力を有し、国内と同時に海外でも展開できることが理想である。だが、現状は日本の慣習・幻想がそれを難しくしている。そろそろそこからの脱却が必要ではないかと個人的にはかなり前から考えている。もっとも文化的背景を持つ慣習は短期間で変えることは容易ではない。こうしたものを変化させるために実は大きな効果を発揮するのが法規制の改正である。今回の検討会の議論がこうした慣習に基づく品質問題にどこまで踏み込めるのか? 正直、あまり期待はしていないのだが、そろそろその端緒くらいには立ってほしいものである。

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医療系YouTuberが認定制に!【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第114回

皆さんの周りで医療系のYouTube配信をしている人はいますか? YouTuberとはどのくらいの登録者数がいる人を指すのかは不明ですが、医療者で医療系情報を発信する人は少なくないようです。YouTubeで配信をしてもなかなか収益につながることは難しいらしく、収益を得ながら継続して発信を行っている人は多くないのかもしれませんが、自分が思うことや世の中が求めていることを発信し、広めるには効果的なツールの1つであることには間違いないでしょう。今回、YouTubeを運営するGoogleが、医療情報の発信に関して、一定の規制を設けることを発表しました。グーグルが動画投稿サイト「YouTube」で、医療関連コンテンツの信頼性を高めるため、医師や看護師などの医療系ユーチューバーに「認定制度」を年内に導入する。申請して基準を満たせば、配信者は「信頼できる情報源」であることを表示できるようになる。一方で、信頼性が低い情報源の配信者に関しては、削除や表示されにくくする措置をとる。「GLP-1ダイエット」を宣伝する自由診療クリニックの医師は資格制度の対象外となる見通し。GLP-1ダイエットに関しては、学会や製薬企業が警告しているが、グーグルも不適切情報の氾濫に歯止めをかける方針だ。(2023年7月24日付 RISFAX)現在のところ、上記の認定制度の対象資格は「医師」「看護師」「心理カウンセラー」の3職種とされており、薬剤師は対象外となっています。認定を得るための申請条件は、全米医学アカデミー(NAM)や世界保健機関(WHO)の健康に関する情報共有の原則に従っていることの証明のほか、直近12ヵ月間の総再生数が2,000時間以上あるなどの厳しい基準をクリアする必要があります。認定にはその情報の正確さや信頼だけでなくチャンネルの人気も必要なようです。この取り組みにより、医療者がYouTubeからお墨付きをもらうことで、「信頼できる情報源」として情報を発信できるというメリットは大きいでしょう。健康や医療関連の情報を求めてYouTubeで検索するユーザーに対して、より信頼できる情報を届けやすくなるのではないでしょうか。今回、GLP-1受容体作動薬をダイエット目的で自費診療として用いる、いわゆる「GLP-1ダイエット」についてはGoogleも問題視していると明言していて、おそらくこの発表の要因の1つになったのでしょう。GLP-1受容体作動薬の適応外使用を促す医師については、ガイドラインやポリシーに則り、動画削除や表示を下位にする措置を取るとしています。全体をみると、この対策は医療分野だけというわけではありません。情報の正確性がとくに重要な政治、医療、科学情報などのトピックに関しては、信頼できる情報源から情報を検索しやすく、お勧めの動画として優先的に表示し、誤情報・フェイクニュースなどに対しては取り締まる対策を行うという大きな流れの1つであるようです。医療や健康関連の情報で疑問を持っている人や悩んでいる人が、インターネットで情報を検索するというケースは増加していると言われていますが、その情報は玉石混交です。また、医療情報はどんどん変わっていきます。患者さんがタイムリーかつ正確な情報を得られやすくなり、健康の向上や不安の解消に役立てばいいなと思います。

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