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抗CD7塩基編集CAR-T細胞療法、T細胞性ALLに有望/NEJM

 英国・Great Ormond Street Hospital for Children NHS TrustのRobert Chiesa氏らは、T細胞性急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)の小児患者を対象とした、抗CD7塩基編集キメラ抗原受容体(CAR)-T細胞療法の第I相試験において、最初の3例中2例で寛解が得られたことを報告した。CRISPR(clustered regularly interspaced short palindromic repeats)によるシチジンの脱アミノ化は、DNAに切断を生じさせることなくシトシンからチミンへ極めて正確に塩基置換変異を起こすことができる。すなわち、転座やその他の染色体異常を誘発することなく遺伝子を塩基編集し不活性化できることから、再発T細胞白血病小児患者において、この技術の使用が検討されている。著者は、「今回の中間結果は、再発白血病患者に対する塩基編集T細胞療法のさらなる研究を支持するもので、また、免疫療法に関連した合併症の予想されるリスクも示している」とまとめている。NEJM誌オンライン版2023年6月14日号掲載の報告。塩基編集したCAR-T細胞を作製 研究グループは、塩基編集を使用して万能で容易に入手可能なCAR-T細胞を作製した。健康ボランティアドナーのT細胞を、T-ALL患者で発現するCD7(CAR7)に特異性を有するCARを発現するよう、レンチウイルスを用いて形質転換した。 次に、リンパ球除去血清療法、CAR7 T細胞のフラトリサイド(CD7を発現している正常T細胞の殺傷性)および移植片対宿主病を回避するため、塩基編集を使用してCD52受容体、CD7受容体、およびT細胞受容体(TCRαβ)のβ鎖をコードする3つの遺伝子をそれぞれ不活化した。 再発白血病小児患者3例を対象に、これらの塩基編集CAR7(BE-CAR7)の安全性を検討した。3例中2例で分子学的寛解 1例目は同種幹細胞移植後に再発したT-ALLの13歳女児で、BE-CAR7単回投与後28日以内に分子的寛解が得られた。その後、元のドナーから強度を下げた(非骨髄破壊的前処置後)同種幹細胞移植を受け、免疫学的再構成に成功し、白血病寛解が継続した。 2例目は維持療法中に再発したcortical T-ALLの13歳男児である。BE-CAR7単回投与後、19日目および25日目の骨髄評価では形態学的寛解がみられたものの、PCR検査で微小残存病変が認められ、黒色アスペルギルスの重複感染による肺合併症の進行により33日目に死亡した。 3例目は、2回目の同種幹細胞移植後に再発し、混合型急性白血病からCD7陽性のT-ALLに移行した15歳男児である。BE-CAR7単回投与後28日目に分子学的完全寛解が認められ、同種幹細胞移植を受けた。 重篤な有害事象は、サイトカイン放出症候群、多系統細胞減少症、日和見感染症などであった。

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シフト勤務による健康への影響は男性に強く生じる可能性

 就労時間帯が変化するシフト勤務によって生じる体への負担は、女性よりも男性で大きい可能性が報告された。米ペンシルベニア大学ペレルマン医学部のGarret FitzGerald氏らの研究によるもので、詳細は「Science Translational Medicine」に5月17日掲載された。 FitzGerald氏らの研究は、実験用マウスと人間を対象とした二つのパートから成る。まずマウスを用いた研究では、昼夜のサイクルを変化させて飼育すると、オスでは血圧、腸内細菌叢、遺伝子の発現など、さまざまな評価指標に大きな混乱が認められた。対照的にメスのマウスは、そのような変化が少なかった。 続いて、英国の大規模ヘルスケアデータベース「UKバイオバンク」に登録されている9万人以上のデータを解析したところ、シフト勤務の男性の3分の1がメタボリックシンドローム(MetS)に該当していたのに対して、シフト勤務でない男性ではその割合が4分の1強だった。女性の場合、職業の違いを考慮しない解析ではシフト勤務者のMetS有病率が高かったが、職業の影響を調整すると、そのリスク差は抑制された。 FitzGerald氏は、「これらの結果は、シフト勤務が健康に与える影響は男性より女性の方が小さい可能性を示唆するものだ。ただし、その理由はまだ明らかでない」と話している。一つの可能性として、女性ホルモン(エストロゲン)による保護作用が関係していることが考えられる。実際にマウスの実験では、卵巣を切除したメスは昼夜のサイクルを変化させた際に、評価指標への影響が大きく現れる傾向があった。ただし、それでも依然としてオスマウスに比べれば乱れが少なかったことから、女性ホルモンの有無だけが理由ではないと考えられた。 過去の研究では、シフト勤務と高血圧、糖尿病、心臓病、その他の疾患のリスク増大の関連が示されている。昼夜が逆転することによる体への直接的な負担だけでなく、シフト勤務では運動のための時間を確保しにくくなったり、健康的な食事を続けることが難しくなったりすることが関係しているものと推測されている。人間の概日リズム(1日24時間周期の生理活動)は日中に活動して食事を取り、暗くなると眠るようにプログラムされている。シフト勤務はその概日リズムを狂わせるように働く。そして、これまでに行われた研究の一部は、女性のシフト勤務者は男性のシフト勤務者よりも、このようなリズムの乱れへの耐性が強いことを示唆しており、例えばMetSや糖尿病の罹患率の差として報告されている。 今回の報告に関して、本研究に関与していない米ノースウェスタン大学フェインバーグ医学部のSabra Abbott氏は、「示された結果を『女性はシフト勤務を行っても害にならない』とは解釈してほしくない」と話す。また、「この研究の着眼点は興味深いものだが、データは慎重に解釈する必要があるし、メカニズムの解明も求められる」と付け加えている。 FitzGerald氏も、「シフト勤務と疾患リスクとの関係という問題は、性差以外に勤務形態、教育歴、収入など、数々の考慮すべき因子があって、解釈が難しい」と述べている。その上で、「人々がシフト勤務の健康に対する潜在的なリスクを理解し、睡眠衛生の重要性を認識すべき。なるべく日中は日光を浴びて、夜は人工の光を避けた方が良い」とアドバイスしている。

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第166回 医師、医学生にも“縁”深い刑法の改正、性犯罪厳罰化と「撮影罪」新設で思い出した滋賀医大生事件の今

大きく変わる刑法の性犯罪規定こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。MLBはロサンゼルス・エンゼルスの大谷 翔平選手が大変なことになっていますね。先週(6月12~18日)は打者では7試合で23打数10安打の打率4割3分5厘、6本塁打、12打点の成績でした。投手でも、やや不調を引きずりながらも1勝を挙げています(投げた日も降板後ホームランを放ちました)。故障者続出の割にエンゼルスも好調で、6月19日現在アメリカン・リーグの西地区2位。大谷の好調が続けば、ひょっとしたらワールドシリーズを目指すポストシーズン進出も夢ではないかもしれません。今を生きる歴史的人物がワールドシリーズに出場するとなると、もうそれは歴史的事件です。秋に米国取材でも入れようかと考え始めた今日この頃です。さて、先週も「経済財政運営と改革の基本方針2023」(骨太の方針)の閣議決定など、医療関係者にも関係する政治的な出来事がたくさんありました。今年の「骨太」については回を改めて書くこととし、今回は、医師や医学生も比較的“縁”深いと思われる、刑法の性犯罪規定の改正について書いてみたいと思います。「強制性交罪」「準強制性交罪」は一本化して「不同意性交罪」に性犯罪の成立要件を見直す刑法改正案などが6月16日、参院本会議において全会一致で可決、成立しました。「強制性交罪」、「準強制性交罪」は一本化して「不同意性交罪」と改め、処罰要件も大幅に見直されました。現在の「強制わいせつ罪」も「不同意わいせつ罪」に変わります。性犯罪に対し、的確かつ厳格に対処するのが狙いで、今夏にも施行されます。これまで、強制性交罪の成立には「被害者の抵抗を著しく困難にする程度の暴行や脅迫を用いること」が必要とされてきました。しかし、暴行や脅迫がなくても、恐怖などで体が動かない状態に陥ったり、レイプ・ドラッグなどで意識が不明瞭となり、抵抗できずに被害に遭ったりすることがありました。改正法では「不同意性交罪」の要件を「同意しない意思を形成、表明、もしくは全うすることが難しい状態」と定め、その要因となる8つの項目(「暴行・脅迫」「心身の障害」「アルコール・薬物の摂取」「意識が不明瞭」「拒絶するいとまを与えない」「恐怖や驚愕」「虐待」「経済的・社会的地位に基づく影響力」)を具体的に明示しました。つまり、同意のない性行為は厳しく処罰されることになったのです。被害を言い出しにくい性犯罪の特性を踏まえ、公訴時効は現在の強制性交罪で15年(現行10年)に延長されました。性的行為に関する意思決定ができるとみなす「性交同意年齢」も13歳から16歳に引き上げられます。ただし、被害者が13~15歳だった場合、加害者が処罰されるのは5歳差以上だった場合となります。「性的グルーミング」も処罰、「撮影罪」も新設今回の改正ではその他、わいせつ目的で16歳未満の人に繰り返し面会を要求する行為を処罰する規定も新たに設けられました。16歳未満の子どもを手なずける、いわゆる「性的グルーミング」を罰する罪です。また、性器や下着、性交の様子などを盗撮したり、画像や動画を他人に提供したりする行為を処罰するため「撮影罪」も新設されました。それぞれ3年以下の拘禁刑などの罰則が科されます。不特定多数の人に提供した場合は5年以下の拘禁刑などとなります。これまでは、軽犯罪法や都道府県ごとに定められている迷惑防止条例などによって処罰されていた盗撮行為が、国の法律で罰せられることになるわけです。なお、単に撮影するだけでなく、画像を提供したり、ネット上にアップしたり、提供のために保管したりする行為も処罰対象になります。今回の法改正は、性暴力被害者の声が国を動かし、法律を変えたと言われています。2019年、性暴力事件の無罪判決が相次いだことで被害者が立ち上がり、実態調査などを敢行、国に訴えてきたのです。「不同意性交等罪」への罪名変更や、性交同意年齢の条件付き引き上げは、被害者の声を反映させるかたちで行われました。元滋賀医大生は実刑判決も控訴、残りの2人は無罪を主張、卒業後国試を受けたとの噂もさて、医師や医学生による強制性交罪と言えば、昨年3月に起きた滋賀医大生による集団暴行事件が記憶に新しいところです。本連載の「第120回 滋賀医大生3人を強制性交で逮捕・起訴、“エリート”たちがいつまでたってもパーティーを止めない理由とは?」「第144回 滋賀医大生による集団暴行事件、主犯格の被告に懲役5年6ヵ月の実刑判決」でも詳しく書きましたが、その後について付記しておきましょう。滋賀医大・医学部6年生(当時)の3人が女子学生を集団で暴行、動画撮影も行っていたこの事件、主犯格の被告1人には、大津地裁は今年1月、強制性交罪の罪で懲役5年6ヵ月(求刑懲役8年)の実刑判決を言い渡しています。その後、この被告は判決を不服として、大阪高裁に控訴しています。残り2人の裁判はまだ結審していません。強制性交罪に問われている2人は今年3月の裁判で、無罪を主張したとのことです。京都新聞の報道によれば、被告の弁護人は「被害者が拒むような態度はなく、撮影された動画が拡散することを防ぐため(被害者が)事件化した」と主張したとのことです。この事件、改正刑法ならば「不同意」の定義が明示されたことに加え、「撮影罪」も新設されるので、罰し方は大きく異なってくると考えられます。今後なら相当な厳罰になるかもしれないところ、“古い規則”で罰しなければならない点は、法律というものの一つの限界と言えるでしょう。ところで、滋賀医大は、主犯格の被告の初公判後、被告を退学処分にしています。残る2人の被告については、「裁判の動向を踏まえた上で対処する」としましたが、事件時に6年生だったので、ひょっとしたら卒業してしまっているかもしれません。ネット上では、「卒業して医師国家試験も受けたらしい」との噂もあるようです。仮に国試を受けて合格し、医籍を登録していたとしたら、既に医療現場で働いていることになります。合格後、医籍登録を保留していることも考えられます(無罪を主張しているのでその可能性もあるでしょう)。もし、この2人が有罪となったら、医療職の行政処分についての答申を行う医道審議会は、医師になる前の罪を理由に、医師免許剥奪や停止の処分を行うことになるのでしょうか。あるいは、滋賀医大が卒業を取り消し、自動的に国試の受験資格はなかったという筋道になるのでしょうか。法律上の処分は、事件発生時の刑法の規定に則ることになるでしょうが、“医道”を審議する場では、その時々の最新の倫理観が優先されるべきだと思います。そういった意味でも、残る2人の裁判の行方が気になります。

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がん遺伝子検査、よく受けるがん種・人種は?/JAMA

 米国・スタンフォード大学のAllison W. Kurian氏らは、2013~19年に同国カリフォルニア州とジョージア州でがんと診断された患者のうち、生殖細胞系列遺伝子検査を受けた患者の割合が6.8%とごくわずかであり、非ヒスパニック系白人に比べ、黒人、ヒスパニック系、アジア系の患者ではより低いことを示した。同検査は遺伝性のがんリスクを明らかにし、遺伝学的な標的治療を可能にすることで、がん患者の生存率を向上させるが、米国ではどのくらいの患者が受けているかは、これまで知られていなかった。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2023年6月5日号で報告された。SEERレジストリを用いた米国2州の観察研究 研究グループは、Surveillance, Epidemiology, and End Results(SEER)レジストリのデータを用いて、カリフォルニア州とジョージア州でがんの診断を受けた年齢20歳以上の患者を対象に、生殖細胞系列遺伝子検査の実施状況とその結果を調査する目的で観察研究を行った(米国国立がん研究所[NCI]などの助成を受けた)。 主要アウトカムは、がんの診断から2年以内の生殖細胞系列遺伝子検査の実施であった。がんリスクの上昇と関連するバリアント(病原性バリアント)およびがんリスクとの関連が知られていないバリアント(不確実なバリアント)を含む、各遺伝子のシークエンシングの結果を評価した。 遺伝子は、乳がんや卵巣がん、消化器がん、その他のがんなどの主要ながんとの関連、および診療ガイドラインが生殖細胞系列遺伝子検査を推奨しているか否かによって分類された。検査実施率、全体6.8%、大腸がん5.6%、肺がん0.3% 2013年1月1日~2019年3月31日の期間に、2州でがんと診断された136万9,602例のうち、生殖細胞系列遺伝子検査を受けていたのは9万3,052例(6.8%、95%信頼区間[CI]:6.8~6.8)であった。 同検査を受けた患者の割合は、がん種によってばらつきがみられ、男性乳がんが50.0%と最も高く、次いで卵巣がん38.6%、女性乳がん26.0%、多重がん7.5%、子宮体がん6.4%、膵がん5.6%、大腸がん5.6%、前立腺がん1.1%、肺がん0.3%の順であった。 ロジスティック回帰モデルによる解析では、男性乳がん、卵巣がん、女性乳がんの患者のうち検査を受けた患者の割合は、非ヒスパニック系白人が31%(95%CI:30~31)であったのに対し、他の人種・民族では低く、黒人25%(24~25)、ヒスパニック系23%(23~23)、アジア系22%(21~22)であった(χ2検定のp<0.001)。 病原性バリアントの67.5~94.9%は、診療ガイドラインで検査が推奨されている遺伝子で同定され、68.3~83.8%は、診断されたがん種と関連する遺伝子で同定された。 著者は、「遺伝子検査の実施率は経時的に上昇したが、2021年においても、診療ガイドラインで推奨されている卵巣、男性乳房、膵臓などの特定のがん種については100%を大幅に下回っていた。生殖細胞系列の遺伝子のがんスクリーニング、予防的手術、標的治療により生存率が向上することは臨床試験で実証されていることから、生殖細胞系列遺伝子検査の実施率の低さが、がん死亡率の上昇に寄与している可能性がある」と指摘している。

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アルツハイマー病治療薬lecanemabの安全性・有効性~メタ解析

 アルツハイマー病に対するlecanemabの有効性および安全性を評価するため、中国・Shengjing Hospital of China Medical UniversityのYue Qiao氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析を行った。その結果、実臨床における意義は確立していないものの、lecanemabは、早期アルツハイマー病患者の認知機能、行動に対し有効性を示すことが報告された。Frontiers in Aging Neuroscience誌2023年5月5日号の報告。 2023年2月までに公表された軽度認知障害またはアルツハイマー病患者における認知機能低下に対するlecanemab治療を評価したランダム化対照比較試験を、PubMed、Embase、Web of Science、Cochraneより検索した。臨床的認知症重症度判定尺度(CDR-SB)、Alzheimer's Disease Composite Score(ADCOMS)、AD Assessment Scale-Cognitive Subscale(ADAS-Cog)、臨床的認知症尺度(CDR)、アミロイドPET SUVr、PETにおけるアミロイド負荷、有害事象リスクに関するアウトカムを収集した。 主な結果は以下のとおり。・アルツハイマー病患者3,108例(lecanemab群:1,695例、プラセボ群:1,413例)を含む4件のランダム化比較試験のデータを用いて、メタ解析を実施した。・ベースライン特性は、lecanemab群においてApoE 4ステータスおよびMMSEスコアの高さが認められた。その他の項目は、両群間で類似していた。・早期アルツハイマー病患者に対するlecanemab群の各アウトカムは、プラセボ群と比較し、以下のとおりであった。 ●CDR-SB(加重平均差[WMD]:-0.45、95%信頼区間[CI]:-0.64~-0.25、p<0.00001) ●ADCOMS(WMD:-0.05、95%CI:-0.07~-0.03、p<0.00001) ●ADAS-Cog(WMD:-1.11、95%CI:-1.64~-0.57、p<0.0001) ●アミロイドPET SUVr(WMD:-0.15、95%CI:-0.48~0.19、p=0.38) ●PETにおけるアミロイド負荷(WMD:-35.44、95%CI:-65.22~-5.67、p=0.02) ●有害事象(1つ以上のTEAEが認められた患者)(オッズ比[OR]:0.73、95%CI:0.25~2.15、p=0.57) ●ARIA-E(アミロイド関連画像異常-浮腫/浸出)(OR:8.95、95%CI:5.36~14.95、p<0.00001) ●ARIA-H(アミロイド関連画像異常-脳微小出血、脳出血、脳表ヘモジデリン沈着)(OR:2.00、95%CI:1.53~2.62、p<0.00001)

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転移乳がんへのADC後のADC投与、交差耐性の可能性/ASCO2023

 米国では転移を有するHR+/HER2-およびトリプルネガティブ(TN)乳がんにsacituzumab govitecan(SG)が、またHER2低発現乳がんにトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)が承認され、複数の抗体薬物複合体(ADC)が適応となる患者が増えている。しかし、ADCは抗体標的やペイロードにより交差耐性の可能性があるため、最適な投与順序は不明である。今回、転移を有するHER2-乳がんに対して調査したところ、2剤目のADCに対して交差耐性を示す患者がいる一方、1剤目と抗体標的が異なる場合など、2剤目でも持続的な奏効を示す患者もいることがわかった。米国・Massachusetts General Hospital Cancer CenterのRachel Occhiogrosso Abelman氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で報告した。 本試験の対象は、HER2+を除いた転移を有する乳がんに対して ADCを2剤以上投与された患者とした。なおトラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)はADCに含めていない。2剤目のADCにおける最初の病期再分類時もしくはその前に病勢進行(PD)となった場合に「交差耐性」と定義し、1剤目と2剤目の抗体標的およびペイロードの違いによる交差耐性を調べた。また、サブグループ別に各状況での無増悪生存期間(PFS)を調べた。 主な結果は以下のとおり。・2014年8月~2023年2月に193例にADCが投与され、うち35例が2剤以上投与されていた(HR+/HER2-:15例、TN:20例、HER2低発現:24例)。抗体標的の種類は、1剤目はHER2が8例、Trop2が26例、その他が1例で、2剤目はHER2が14例、Trop2が19例、その他は2例だった。ペイロードの種類は、1剤目は35例すべてがトポイソメラーゼ阻害薬、2剤目はトポイソメラーゼ阻害薬31例、微小管阻害薬とその他がそれぞれ2例だった。・交差耐性は、1剤目と2剤目が同じ抗体標的でペイロードが異なる場合は12例中8例(66.7%)、抗体標的もペイロードも異なる場合は19例中8例(42.1%)に認められた。・PFS中央値は、HR+/HER2-乳がんでは1剤目が6.9ヵ月、2剤目が2.4ヵ月(p=0.051)、TN乳がんでは1剤目が8.2ヵ月、2剤目が3.0ヵ月(p=0.004)と2剤目が短かった。・T-DXdとSGの投与順別のPFS中央値は、HR+/HER2-乳がんでは、SG→T-DXdの場合、SGが4.9ヵ月、T-DXdが2.8ヵ月、T-DXd→SGの場合、T-DXdが7.1ヵ月、SGが2.4ヵ月だった。TN乳がんでは、SG→T-DXdの場合、SGが9.1ヵ月、T-DXdが2.6ヵ月、T-DXd→SGの場合、T-DXdがNA、SGが2.2ヵ月だった。 Abelman氏は「最適なADC投与順序を導くために、これらの結果を検証して耐性機序を調べるさらなる研究が必要」と述べた。

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早期再発・難治性LBCL、axi-celでOS延長/NEJM

 早期再発または難治性の大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)患者に対し、axicabtagene ciloleucel(アキシカブタゲン シロルユーセル、axi-cel)療法による2次治療は、標準治療と比べて全生存期間(OS)を有意に延長したことが確認された。米国・テキサス大学M. D.アンダーソンがんセンターのJason R. Westin氏らが、359例を対象に行った第III相無作為化比較試験「ZUMA-7試験」の長期追跡評価(期間中央値47.2ヵ月時点)の結果を報告した。axi-celは、自家抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)-T細胞療法製品で、ZUMA-7試験の主要アウトカムの解析において、無イベント生存(EFS)を有意に延長したことが示されており、長期アウトカムのデータが求められていた。NEJM誌オンライン版2023年6月5日号掲載の報告。最初の患者無作為化後5年時点で分析 ZUMA-7試験は、早期再発(1次化学免疫療法後12ヵ月以内に再発)または難治性(1次治療に抵抗性)LBCLの18歳以上の患者を対象とし、1対1の割合で無作為に2群に割り付け、axi-cel療法または標準治療(化学免疫療法2~3サイクル、奏効が得られた患者には続けて高用量化学療法+自家幹細胞移植)を行い追跡評価した。 2018年1月25日~2019年10月4日に、被験者計359例がaxi-cel療法群(180例)または標準治療群(179例)に無作為化された。 主要アウトカムはEFSで、主な副次アウトカムは奏効とOSであった。 本論では、事前規定のOS解析(最初の患者を無作為化後5年時点で評価)の結果が報告されている。既報の主要アウトカムのEFSについては、axi-cel療法群が標準治療群よりも有意に優れたことが示され(ハザード比[HR]:0.40、層別化log-rank検定のp<0.001)、追跡期間中央値24.9ヵ月時点で、EFS期間中央値はaxi-cel療法群8.3ヵ月、標準治療群2.0ヵ月であり、同24ヵ月時点のEFS率はそれぞれ41%、16%だった。奏効が認められたのはaxi-cel療法群83%、標準治療群50%であり、完全奏効(CR)が認められたのは、それぞれ65%、32%だった。4年PFS率、標準治療群24%に対しaxi-cel療法群42% 追跡期間中央値47.2ヵ月(範囲:39.8~60.0)時点で、死亡はaxi-cel療法群82例、標準治療群95例で報告された。 OS中央値は、axi-cel療法群は未到達であり、標準治療群は31.1ヵ月だった。推定4年OS率は、それぞれ54.6%、46.0%で(死亡に関するHR:0.73、95%信頼区間[CI]:0.54~0.98、両側log-rank検定のp=0.03)、これらaxi-cel療法による生存の改善は、患者の74%で原発性難治性疾患やその他のハイリスク要因が認められたITT集団で観察された。 治験担当医評価による無増悪生存期間(PFS)中央値は、axi-cel療法群14.7ヵ月、標準治療群3.7ヵ月であり、推定4年PFS率はそれぞれ41.8%、24.4%だった(HR:0.51、95%CI:0.38~0.67)。 EFS主解析以降に、新たな治療関連死は発生しなかった。

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薬、運動、食事―減量に最も効果的なのはどれ?

 流行のダイエット法や薬剤は、持続的な減量を保証するものではないとする研究結果が発表された。それらによらずに、健康的な食生活を送り習慣的な運動をしている人が、より良好に体重を維持しているという。米オハイオ州立大学のColleen Spees氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of the American Heart Association」に4月7日掲載された。 現在、米国では数多くの人々がGLP-1受容体作動薬の処方を求めたり、断続的断食などの新しい食事療法を始めたりしている。しかし、それらの方法は、良好な体重管理を維持する近道ではない可能性が、解析対象2万人以上の研究の結果として示された。Spees氏は、「ほとんどの人は成人後の数十年をかけてゆっくりと体重が増えていくにもかかわらず、体重を減らそうとするときはしばしば大胆で危険な手段に頼ろうとする。ソーシャルメディア上のインフルエンサーや人気タレントの影響力が大きく、エビデンスに基づいていない減量法を始める人が増加している」としている。 同氏によると、例えば米食品医薬品局(FDA)はGLP-1受容体作動薬(オゼンピック)の減量目的での使用を、肥満に伴う合併症のある場合にのみ承認しているにもかかわらず、糖尿病や肥満関連合併症のない人も使用しているのが実情だとのことだ。同氏は、「GLP-1受容体作動薬の使用を中止すると、使用中に減少した体重が元に戻り、食欲も元に戻る」との解説を付け加えている。 今回のSpees氏らの研究では、2007~2016年の米国国民健康栄養調査に参加した19歳以上の成人2万305人のデータが用いられた。過去12カ月間に、意図的に5%以上の減量を達成していた群2,840人と、その他の群1万7,465人とに二分して、生活習慣や行っている体重管理法などを比較した。その結果、5%以上の減量を達成していた群は、食事の質(P=0.014)、身体活動(P<0.001)、および血清脂質(P<0.001)の指標が、対照群より有意に優れていた。また、対照群は、食事を抜いたり(P=0.002)、減量目的で薬剤を使用している(P<0.001)人の割合が有意に高かった。 Spees氏は、「健康目的で減量を試みようとしている人に対して強調したいことは、たとえ小さな行動の変化であっても、臨床的に意味のある改善をもたらす可能性があるということだ。多くの場合、著しい減量を目指すのではなく、わずか5%ほど減らすことを目標に掲げた方が現実的ではないか」と述べている。 この研究結果は「減量に近道はない」ということを示しているが、本研究に関与していない複数の専門家が、そのような考え方に同意を示している。その1人でワシントンDCにある体重・ウェルネスセンターの所長であるScott Kahan氏は、「多くの人々が、健康的とは言えない流行の減量法に取り組んでいる。それらの中には効果が実証されておらず、危険な方法も存在するという現状を改める必要がある」と語っている。 また、ニューヨークで活動している管理栄養士のRobin Foroutan氏は、「万能の減量法などない」と述べた上で、「今回の報告により、体重管理に成功している人は総じて食事の質が良く、習慣的な運動を行っていることが示された。ただし、果物や野菜の摂取量に関しては、どちらの群にも改善の余地がある」と指摘している。なお同氏は、「このような研究からは実際のところ、どの食品が最も健康に良いのかという情報はあまり得られない。しかしその一方で、健康と長寿に対する運動の重要性は明らかに示されている」と話している。[2023年4月7日/American Heart Association] Copyright is owned or held by the American Heart Association, Inc., and all rights are reserved. If you have questions or comments about this story, please email editor@heart.org.利用規定はこちら

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患者情報から治療期間を評価して、漫然投与薬の中止を提案【うまくいく!処方提案プラクティス】第54回

 今回は、長期服用薬の治療期間を疑問に思い、患者情報を収集し直して漫然投与となりがちな薬剤の必要性を再考した症例を紹介します。副作用などの問題がなくても、治療の適応があるのかどうかを定期的に考える機会は必要です。急性疾患で処方された薬剤がいつまで必要なのか、慢性疾患であれば処方時点と現在で治療内容が妥当であるのか否かを、薬剤師の視点で評価しましょう。患者情報85歳、女性(施設入居)基礎疾患アルツハイマー型認知症介護度要介護2服薬管理施設職員が管理処方内容1.カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム錠30mg 3錠 分3 毎食後2.トラネキサム酸錠250mg 3錠 分3 毎食後3.五苓散エキス顆粒 3包 分3 毎食後4.クエン酸第一鉄ナトリウム錠50mg 3錠 分3 毎食後本症例のポイントこの患者さんは半年前の施設入居時から上記の処方薬を服用していました。処方監査を実施していた薬剤師が、採血結果もなく、病歴も認知症のみなのになぜ止血剤および鉄剤を飲んでいるのか不明であったため、基礎疾患や治療経過を収集する治療計画(Care plan)を立案しました。当然、出血既往があると予測はつきますし、そのための貧血治療と考えるのが妥当ですが、いつ・どこの・どの程度の出血なのか明確でないことに違和感がありました。担当薬剤師へ情報を引き継ぎ、担当薬剤師が施設訪問時に看護師と入居前に入院していた病院の看護サマリーと診療情報提供書を確認しました。すると、繰り返す転倒から慢性硬膜下血腫が生じ、1年前に穿頭血腫ドレナージ術を施行していたことがわかりました。術後の再出血予防および血腫サイズの縮小などを目的に現行の治療薬が処方され、クエン酸第一鉄もそのときの採血結果をもとに追加されていました。そこで現在の主治医が外科医であることから現行薬の必要性を相談することにしました。医師への相談と経過主治医に電話で、長期的に現行薬を服用していて服薬アドヒアランスは維持されていることを伝えたうえで、病歴の聴取、今後の脳外科受診などの予定について確認しました。また、今後の治療方針も確認しました。主治医は病歴を把握していたものの、現行薬を今後どうするかについては保留中だったそうで、前回の術後頭部CT画像の確認から現行薬の必要性はないだろうという返答がありました。また、貧血治療も採血予定(Hb、フェリチン、TIBC、MCVなど)を組んだので、そこで鉄剤の中止を検討するとのことでした。最後に医師より、長期服用薬の評価は緊急性がなければ後回しになってしまうことが多いので、こういうアシストはとても助かるとお礼がありました。患者さんは現在も施設で転倒もなく、出血イベントも起きずに生活しています。鉄剤もその後の採血結果で異常所見はなく、治療は終了となりました。薬が終了したことで本人の服薬負担も看護師の与薬負担も減らすことができました。このように、病歴確認と見直しを行い、漫然投与となりがちな薬剤について今一度治療の適応があるのかどうか考える機会は必要です。治療継続の必要可否について確認する薬剤師のアプローチも多剤併用を予防するポジティブアクションに繋がると実感しました。

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イラストで見る消化器癌手術アトラス

写真だけでは把握しにくい外科解剖のポイントをイラストで表現!「手術」77巻・第6号(2023年5月臨時増刊号)手術手技の要点解説を創刊コンセプトとする「手術」誌の王道を行く特集。「外科解剖」「食道・胃」「大腸」「肝胆膵」の章からなり、臓器別の各論が消化器癌手術アトラスに相当します。押さえておきたい手技を中心に、今日的な内容で構成。また、総論として、ここ最近のトピックスを取り上げた解剖の章が設けられ、最新の知見やエキスパートならではの見立てが盛り込まれています。座右に置き、熟読すべき充実の内容です。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    イラストで見る消化器癌手術アトラス定価8,800円(税込)判型B5判頁数352頁発行2023年5月企画北川 雄光電子版でご購入の場合はこちら

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加速する医療のタスク・シフト、今後はどう変わる? 【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第111回

薬局で薬剤師として働いている方は、薬剤師業務を行う中で「もうちょっとやれることが広がったらな」と一度は思ったことがあるのではないでしょうか。小さな話ですが、私は薬局で薬剤師が患者さんに湿布を貼ってあげてもよいのか、それは医療行為にあたるのか、と薬局で話し合ったことがあります。医療行為のタスク・シフト/シェアに動きがありそうです。政府の規制改革推進会議は6月1日、今後取り組む263項目の答申をまとめた。人手不足対策として、医師の業務を看護師に移すなどの「タスク・シフト」を明記したほか、人工知能(AI)を使った医療機器の開発促進などを盛り込んだ。政府は6月半ばに実施計画を閣議決定する。(中略)タスク・シフトについては、国の研修を受けた看護師が一部の医療行為を担える制度の普及が進んでいない。この研修を2024年度中に受けやすくするほか、看護師が担える業務を明確にし、業務範囲を広げることも検討する。(2023年6月1日付 朝日新聞デジタル)看護師は主に医師の診察・治療の補助を行いますが、医師の指示の下で一定の医療行為はできるとされています。さらに難易度の高い特定の医療行為については、国の研修を受講した看護師が担える制度が2015年に始まりました。しかし、研修が長時間に及ぶなどの理由で普及が想定どおりに進みませんでした。現在、医師が看護師に医療行為を指示する場合、日時や薬剤名を指定する「具体的指示」と、患者の状態変化を予測して一定範囲の行為を示す「包括的指示」があります。近くに医師がいる病院勤務の看護師と異なり、訪問看護師は医師と連絡がつかない場合などに患者への迅速な処置ができない事例があったことを踏まえ、上記の答申案では包括的指示で実施できる行為を2023年度中に明確にするよう求めました。包括的指示の範囲拡大の例として、「一定以上の発熱の場合は検査や投薬を実施する」などが挙げられています。これらにより、医師の不在時に訪問看護師が投薬の必要性などを判断することになるかもしれません。あくまでも個人的な印象ですが、少し前までは看護師の業務拡大などと聞くと、「看護師に負けない!」という薬剤師の声が聞こえましたが、ここ最近は聞かなくなったなという印象があります。在宅医療に携わる薬剤師が増えてきて、勝ち負けではなく、他の専門職といかに協働していくか、その現場でいかにその専門性を発揮するかという点にフォーカスされるようになってきたのではないでしょうか。また、答申では、訪問看護師が薬剤をすぐに入手できるよう24時間対応薬局の普及に向けた輪番制導入も促すとしています。現在、訪問看護ステーションに配置できる薬剤は限られているため、脱水症状で医師から点滴の指示が出ても、看護師が輸液を取りに行くのに往復で数時間かかるといったケースもあるようです。これとともに、配置できる薬剤の対象を拡充できないかという検討も規制改革推進会議で進められています。2024年4月から時間外労働の上限規制が医師にも適用されるため、医療現場は大きく変わろうとしています。また、高齢化や人材不足などさまざまな問題もある中、現場でそれぞれの職種が協力し、質・効率ともによい医療が提供されることが望まれています。

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買えば終わりのラクラク資産形成では○○に全集中しよう!【医師のためのお金の話】第69回

資産形成は人生のメインイベントではない。多くの人にとって、これは真実でしょう。豊かな人生を送るためには、健康や家族が大事。資産形成は目的ではなく、あくまでも豊かな人生を送るためのツールです。しかし、世の中には資産形成を目的にしている人が少なからず存在するのも事実です。そのような人は、株式投資家だけではなく、不動産投資家にも多く見受けられます。彼らは、株式投資や不動産投資を娯楽として捉えているようです。たしかに、自分が投資した銘柄の株価が上がって利益を得る楽しみには麻薬的な楽しさがあります。不動産投資でも同様に、お宝物件を探す楽しみを趣味にしている人が少なくありません。資産形成を趣味にするのは、理想的な状況といえなくもないです。しかし一般的には、資産形成にかける時間は最小限にして、有意義な人生を過ごすことに注意を向けるほうが望ましいでしょう。だからといって、資産形成にまったく時間を費やさないのはご法度。最小限の時間で資産形成の結果を出すための方法を考えてみましょう。忙しい医師は資産のメンテナンスに時間を割かないのが吉有意義な人生を過ごすのは理想的ですが、現実問題として医師は忙しいです。目の前にうずたかく積まれた仕事をこなすだけで1日があっという間に過ぎていきます。有意義な人生を過ごすうんぬんではなく、余暇をひねり出すだけでも一苦労ですね。やっとの思いで絞り出した貴重な時間は、有意義に過ごす必要があります。やはり、資産形成にはできるだけ時間を割かないほうが良さそうです。しかし、資産形成ができないと、人生を楽しめないのも事実。なかなか難しい問題ですね。資産形成にある程度時間を割かざるを得ないですが、忙殺されるのは避けたいところ。ここで私の失敗談をお話ししましょう。まずは株式投資です。株式投資を始めた当初、株価が気になって仕方ありませんでした。寝ても覚めても株価がアタマから離れない。当時はスマホがなかったので、手軽に株価を確認する手段がありません。街中の証券会社の店頭には、株価を知らせる電光掲示板があります。あろうことかデートの最中に証券会社の前で立ち止まって株価を確認する始末。その後どうなったかは想像にお任せします…。不動産投資では、もっと悲惨な状況でした。事業と比べると楽だといわれている不動産経営ですが、それでもやるべきことは山のようにあります。一応、管理会社が入退去の管理やクレーム対応を行ってくれますが、オーナーが対処せざるを得ない場面も多いです。休みの日に所有物件に行って細かい作業をしたり、クレーム対応に頭を悩ましたりしたことも数知れません。ただでさえ平日の医師業務で疲れ切っているところに、不動産投資の対応をせざるを得なかったのは本当に辛い思い出です。買えば終わりのラクラク資産形成とは数々の失敗や苦労から、私はできるだけメンテナンス不要な投資対象を探すようになりました。しかし、メンテンナンス不要の投資対象なんて本当にあるのでしょうか? 探し始めると、買ってしまえばほとんど手のかからないモノは意外と多いことに気付きました。以下に例示してみましょう。株式投資:指数ETF、安定している大型株外貨投資:米国債、社債、MMF不動産投資:戸建物件、店舗物件、コインパーキング、底地物件その他:太陽光発電、コインランドリー驚くほど多くの投資対象が該当しています。驚きの結果ですね。しかし実際には、投資対象を厳選するというよりも、どこまで自分が関与するかのほうが重要な因子かもしれません。たとえば、不動産投資の1棟マンション。お金さえ払えば自動運転も可能です。ただし、自分が楽をしようとすればするほど収益性が下がります。これは1棟マンションに限らず、ほとんどすべての投資対象に当てはまります。つまり、買えば終わりのラクラク資産形成とは、お金を払わなくても収益性が下がらない投資対象を吟味する戦略なのです。資産形成は買う時に全集中しよう!前述の手のかからない投資対象の中で、私が所有しているのは、安定している大型株、米国債、戸建物件、店舗物件、コインパーキング、そして太陽光発電です。いずれも、購入してからは、ほとんどメンテナンスに時間を割く必要がありません。自動運転できる投資対象を選好する戦略はわかりました。しかし、資産形成のキモはこれではありません。資産形成で最も重要なことは「できるだけ安く買う」です。高値買いした投資対象は、資産ではなく負債と考えるほどの覚悟が必要かもしれません。できるだけ安く買うためには、購入に全集中する必要があります。株式であれば、市場の流れを観察して暴落したタイミングに勇気をもって買いに行く。不動産なら、良い物件情報を入手するための地道な調査や不動産業者さんとの人間関係の構築に注力するべきでしょう。資産形成でキモとなる部分にすべての時間を投入して、それ以外はできるだけ省略化するのが、最小限の時間で結果を出す戦略です。そのためには、できるだけ安く買う努力を惜しんではいけないのです。

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7項目でメタボ発症を予測~日本人向けリスクスコア

 向こう5年間でのメタボリックシンドローム(MetS)発症リスクを、年齢や性別、BMIなど、わずか7項目で予測できるリスクスコアが開発された。鹿児島大学大学院医歯学総合研究科心臓血管・高血圧内科のSalim Anwar氏、窪薗琢郎氏らの研究によるもので、論文が「PLOS ONE」に4月7日掲載された。 MetSの有病率は、人種/民族、および、その国で用いられているMetSの定義によって異なる。世界的には成人の20~25%との報告があり、日本では年齢調整有病率が19.3%と報告されている。これまでにMetSの発症を予測するためのいくつかのモデルが提案されてきているが、いずれも対象が日本人でない、開発に用いたサンプル数が少ない、検査値だけを検討していて生活習慣関連因子が考慮されていないなどの限界点がある。著者らはこれらの点を考慮し、日本人の大規模なサンプルのデータに基づく予測モデルの開発を試みた。 研究には、2008年10月~2019年3月に鹿児島厚生連病院で年次健康診断を受けた19万8,292人のうち、ベースラインとその5年後(範囲3~7)にも健診を受けていた30~69歳の成人5万4,198人(平均年齢54.5±10.1歳、男性46%)のデータを用いた。全体を無作為に2対1の割合で二分し、3万6,125人のデータをMetS発症予測モデルの開発に用い、1万8,073人のデータはそのモデルの精度検証に用いた。観察期間中のMetS発症率は、開発コホートが6.4%、検証コホートが6.7%だった。 健診項目の中から、多変量解析にてMetS発症リスクに有意な関連の認められた11項目を抽出し、そのβ係数を基に各評価項目をスコア化するという手法により、合計27点のリスクスコアが完成した。評価項目とスコアは、例えば年齢は30代は0点、40~60代は2点、性別は女性0点、男性3点、喫煙2点、習慣的飲酒1点などであり、その他、BMI、収縮期/拡張期血圧、中性脂肪、HDL-コレステロール、LDL-コレステロール、空腹時血糖値が含まれている。 このリスクスコアの開発コホートにおける向こう5年間でのMetS発症予測能は、スコア13点をカットオフ値とした場合、感度87%、特異度74%、スコア14点では感度、特異度ともに81%であり、ROC曲線下面積(AUC)は0.81だった。検証コホートでは、スコア13点で感度89%、特異度74%、スコア14では感度、特異度ともに81%であり、AUCは同じく0.81だった。 次に、臨床現場でより簡便に使用できるように、採血を要さない項目のみに絞り込んだ簡易版を検討。以下のように7項目からなる合計17点のリスクスコアを開発した。その評価項目とスコアは、年齢は40~60代2点、男性3点、BMIは21~22.9が4点、23以上は5点、収縮期血圧は120mmHg以上で2点、拡張期血圧は80mmHg以上で2点、喫煙で2点、習慣的飲酒で1点というもの。 この簡易版リスクスコアの開発コホートにおける向こう5年間でのMetS発症予測能は、スコア15点をカットオフ値とした場合、感度83%、特異度77%、AUC0.78、検証コホートでは、スコア15点で感度82%、特異度77%、AUCは同じく0.78だった。 このほかに、各評価項目の検査値に係数を掛けて加算するという方程式モデルも開発。そのAUCは開発コホート、検証コホートともに0.85だった。 著者らは、「日本人の健診データから開発された3種類のMetS発症予測モデルは、いずれも予測能が高く、特に簡易版は利便性に優れ、大規模な集団からMetSリスクの高い対象者を簡便に抽出する際に有用。これらを臨床の現場に応じて使い分けてほしい」と語っている。

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タイプ2炎症を有するCOPDにデュピルマブが有効か/NEJM

 血中好酸球数の上昇で示唆されるタイプ2炎症を有する慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者において、抗インターロイキン(IL)-4/13受容体抗体デュピルマブ(本邦ではCOPDは未適応)を投与された患者はプラセボ投与患者と比べて、増悪が少なく、肺機能と生活の質(QOL)が改善され、呼吸器症状の重症度も低下したことが、米国・アラバマ大学のSurya P. Bhatt氏らが行った、第III相無作為化二重盲検試験「BOREAS試験」の結果において示された。NEJM誌オンライン版2023年5月21日号掲載の報告。中等度~重度増悪の年間発生率、気管支拡張薬使用前FEV1値の変化量などを比較 BOREAS試験は、24ヵ国275試験地で、標準的トリプル療法実施後も血中好酸球数が300/μL以上で増悪リスクが高いCOPD患者を対象に行われた。研究グループは被験者を1対1の割合で無作為に2群に割り付け、一方にはデュピルマブ(300mg)を、もう一方にはプラセボを、いずれも2週に1回皮下投与した。試験薬の投与期間は52週で、その後に患者は12週の安全性追跡評価を受けた。 主要エンドポイントは、COPDの中等度~重度増悪の年間発生率。多重性補正後の主な副次エンドポイントおよびその他のエンドポイントは、気管支拡張薬使用前FEV1値、St.George's Respiratory Questionnaire(SGRQ)スコア(範囲:0~100、低スコアほどQOLが良好)、COPDにおける呼吸器症状評価(E-RS-COPD)のスコア(範囲:0~40、低スコアほど症状が軽度)の各変化量とした。エンドポイントはいずれもデュピルマブ群でより改善 2019年5月~2022年2月に、計939例が無作為化を受けた(デュピルマブ群468例、プラセボ群471例)。デュピルマブ群の95.1%、プラセボ群の93.4%が52週の試験期間を完了した。両群被験者のベースライン特性のバランスは取れており、平均年齢は65.1(SD 8.1)歳、現喫煙者は30.0%、また27.4%が高用量ステロイド吸入薬を投与されていた。 COPDの中等度~重度増悪の年間発生率は、デュピルマブ群は0.78(95%信頼区間[CI]:0.64~0.93)、プラセボ群1.10(0.93~1.30)だった(率比:0.70、95%CI:0.58~0.86、p<0.001)。 気管支拡張薬使用前FEV1値の、ベースラインから12週時までの最小二乗(LS)平均増大値は、デュピルマブ群160mL(95%CI:126~195)、プラセボ群77mL(42~112)で(LS平均群間差:83mL、95%CI:42~125、p<0.001)、両群差は52週時点まで保持された。 52週時点で、SGRQスコアのLS平均改善値は、デュピルマブ群-9.7(95%CI:-11.3~-8.1)、プラセボ群-6.4(同:-8.0~-4.8)だった(LS平均群間差:-3.4、95%CI:-5.5~-1.3、p=0.002)。同様にE-RS-COPDスコア改善値も、デュピルマブ群-2.7(95%CI:-3.2~-2.2)、プラセボ群-1.6(同:-2.1~-1.1)だった(LS平均群間差:-1.1、95%CI:-1.8~-0.4、p=0.001)。 投薬中止につながる有害事象や重篤な有害事象および死に結びつく有害事象が認められた患者数は、両群で均衡していた。

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軽症頭部外傷【いざというとき役立つ!救急処置おさらい帳】第3回

今回は軽症頭部外傷の治療についてです。軽症頭部外傷で悩むことが多いのが、「頭部CTを撮るべきかどうか」ではないでしょうか? しかし、救急の教科書にはどういった場合に頭部CTを撮影することが推奨されるかという記載は充実していますが、CTがない施設や患者が撮りに行けない場合の対応に関する記載はあまりありません。今回は、私が在宅や診療所で困ったケースの対応を紹介します。まず、軽症頭部外傷は「Minimum head injury」と「Minor head injury」の2つに分かれます。この2つを表現する適切な日本語は難しいですが、Minimum head injuryは受傷機転(外傷を負った原因・経緯)が失神でなく、受傷後の意識障害を伴わないものを指します。Minor head injuryは受診時のグラスゴー・コーマ・スケール(Glasgow Coma Scale:GCS)が13~15点で、(1)受傷機転が失神、(2)健忘を伴う、(3)意識障害を伴う、のいずれかを満たすものを指します。軽症頭部外傷でCTを撮影するかどうかの判断でよく使われるのが、カナダ頭部CTルール(Canadian CT Head Rule:CCHR)です1,2)。カナダ頭部CTルール画像を拡大するカナダ頭部CTルールを使うときに、よく若手医師は65歳以上の軽症頭部外傷患者全員のCTを撮ろうとします(私もそうでした…)。しかし、カナダ頭部CTルールの選択基準はMinor head injuryであり、Minimum head injuryではありません。Minor head injuryでカナダ頭部CTルールを1つでも満たす場合はCT撮影を考慮します。こう考えるとCT撮影がやや減るのではないでしょうか。しかし、認知症がある高齢者ではそもそも受傷時のことを覚えていない場合もあり、MinorかMinimumかを鑑別することは困難です。カナダ頭部CTルールは「医学的介入(受傷7日以内に頭蓋内疾患による死亡、もしくは受傷7日以内に、開頭手術、頭蓋整復術、頭蓋内圧モニタリング)が必要な頭蓋内損傷」の否定を目的としているため、神経学的介入の必要がない脳出血は除外できないという問題もあります。また、高齢者は慢性硬膜下血腫のリスクがあり、たとえきちんと説明していたとしてもトラブルになることがあります。「軽く頭をぶつけただけなのでCTを撮影しなかった。2ヵ月後に慢性硬膜下血腫となり、家族になぜ前回の受診時にCTを撮らなかったのか文句を言われている」という経験を数例聞いたことがあります。頭部外傷で救急外来に来る患者の多くは、不安を解消するために来院します。被爆のことを考えるとなるべく撮りたくない気持ちもありますが、CTが普及している日本ではそこまでCTを回避する必要はないのかもしれません。ちなみに、CTを撮影しても頭蓋内に異常がないことがほとんどであり、帰宅後の注意点を説明して帰宅とします。CTを撮っても撮らなくてもマネジメントは同じとなることが多いです。では、すぐにCTを撮ることができない場合はどうでしょうか?<症例1>80歳、男性、施設入居中既往症:パーキンソン病、認知症訪問診療で訪れたところ、患者の右眼がパンパンに腫れあがっていて目が開けらない状態であった。話を聞くと、前日の夜に車椅子から落ちて顔面を受傷したが、すぐに反応があり、ぶつけたところを痛がるのみで異常がないため経過観察となっていた。朝には右目が腫れていたが、患者からとくに訴えはない。バイタル:Stable GCS E4V4M6(受傷前と同等)右目を何とか開いてみたところ、眼球運動に障害なし。視力も問題なし、その他の神経所見も異常なし。患者が病院に受診するには家族に来てもらわなければならないが、息子は「症状がないなら様子をみてほしい」とのこと。皆さんはこの患者さんにどう対応しますか? きっと答えはないと思います。この患者さんには認知症があり、そもそも受傷時の出来事を覚えていません。そのためOver triageして受傷時に健忘があったとみなしてカナダ頭部CTルールに組み込みました。受傷後のGCSは15点未満ですが、これは受傷前と変化がないため項目として採用しませんでしたが、「パンダの眼サイン」と「65歳以上」が当てはまり、頭部CTの考慮対象となります。とくにパンダの目徴候が出ているため、頭蓋内出血に加えて顔面骨骨折を伴っている可能性が高いです。顔面骨骨折で忘れてはいけないのが吹き抜け骨折で、外眼筋が陥頓してしまい眼球運動障害が生じます。幸い、視力障害や眼球運動障害はなかったため、やや緊急度は落ちると考えました。ちなみに、もしこの患者さんに受傷時の記憶があり、Minimum head injuryと判断してカナダ頭部CTルールに組み込まなくても、パンダの眼サインがある時点で私はCTを撮っていたでしょう。総合的に考えて、救急車を呼ぶほどの緊急性はないものの、なるべく早い受診が必要と判断しました。そこで、息子さんに電話で説明して明日の午前中に来てもらうことになり、施設職員には何か変化があればすぐに連絡するように伝えました。翌日、近くの脳神経外科を受診したところ、頭蓋内は問題なく、眼科内側壁に骨折がありましたが保存的加療となりました。2週間後の診察では若干腫れが引いていて、とくに問題なく生活することができていました。次にこの患者さんはどうでしょうか?<症例2>72歳、女性、夫と自宅で2人暮らし既往歴:認知症患者が認知症の夫の面倒をみていたが、次第に患者本人も認知症が進み、通院が困難となったため2人とも訪問診療を受けている。診察当日の朝5時ごろ、トイレに行こうと畳の上の布団から立ち上がった際に転倒。頭を机の角にぶつけて出血し、ティッシュペーパーで圧迫して止血した。日中にケアマネジャーが血まみれの患者を見つけ、緊急往診を依頼した。患者は夫を置いて病院に行くことができないので受診したくないと言っている。バイタル:Stable GCS E4V5M6後頭部に1cmくらいの挫創があるが止血済み。瞳孔は3mm 3mm ++、神経所見に異常なし。受傷機転もしっかりと覚えていて、ぶつけた先が机の角であったため出血していますが、強いエネルギーは加わっていないと考えられます。よってMinimum head injuryとなります。この場合明確にCTを撮る・撮らないという臨床予測ツールはありませんので、患者の状況とリスクを兼ね合い判断します。今回は、頭蓋内出血のリスクは低いと考え、本人も病院受診をしたくないことを加味して経過観察の方針としました。頭部の挫創は本人が注射嫌いとのことで毛髪縫合を施行しました3)。髪質によっては、合成皮膚表面接着剤(ダーマボンドなど)で縫合部を固めますが、往診セットになく、患者の髪で比較的強固に縫合できたのでその日はそのまま縫合し、髪は洗わずに翌日以降の洗浄を指示しました。1週間後に診察したところ創部はきれいで、毛髪縫合もほどけていなかったので、伸びてきた髪の根元を切りました。今回はCTを撮影することが困難な環境での軽症頭部外傷の治療を紹介しました。日本の人口当たりのCT台数は世界一であり、私はCTがない総合病院で働いたことはありません。被爆のことを考えるとなるべく撮りたくない一方で、その手軽さからCTを撮ることに年々悩まなくなっているところもあります。しかし、CTがない施設や患者が撮りに行けない場合も多々あります。「これが正しい」というものはないかもしれませんが、ご参考までに。1)Stiell IG,et al. Lancet. 2001;357:1391-1396.2)Smits M, et al. JAMA. 2005;294:1519-1525.3)Hock MOE, et al. Ann Emerg Med. 2002;40:19-26.

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第150回 改正マイナンバー法可決、来年秋に健康保険証は廃止、マイナンバーカードに1本化/国会

<先週の動き>1.改正マイナンバー法可決、来年秋に健康保険証は廃止、マイナンバーカードに1本化/国会2.コロナの検査数の水増しで183億円の補助金請求、取り消しへ/東京都3.電子カルテ共有化を2024年度から開始/医療DX推進本部4.30年ぶりに看護師の確保指針を初改定へ/厚労省5.2025年までに地域医療構想の実現を確実に/経済財政諮問会議6.子宮頸がん予防に関する報告書を国立がん研究センターが公表1.改正マイナンバー法可決、来年秋に健康保険証は廃止、マイナンバーカードに1本化/国会2024年秋に現行の健康保険証が廃止され、マイナンバーカードと1本化する、改正マイナンバー法など改正関連法が6月2日に、参議院本会議で賛成多数で可決、成立した。これにより「マイナ保険証」が導入され、高齢者や障害者などマイナカードの取得が困難な人々には「資格確認書」が発行される。また、マイナンバー法の改正により、マイナンバーカードは年金受給者の預貯金口座とひもづけられるほか、行政機関がマイナンバーを活用できる範囲が広がることも含まれている。その一方で、マイナ保険証に他人の情報と誤ってひもづけされるトラブルが相次いでいる問題に関しては、再発防止が求められている。参考1)マイナンバー法等の一部改正法案について(厚労省)2)いまの健康保険証、24年秋に原則廃止 改正マイナンバー法が成立(朝日新聞)3)マイナンバーカードと健康保険証が一体化へ 改正法可決・成立(NHK)2.コロナの検査数の水増しで183億円の補助金請求、取り消しへ/東京都東京都の新型コロナウイルスのPCR検査などの無料検査事業で不正が発覚し、11の事業者に対して補助金交付の取り消しなどの処置が行われたことが明らかとなった。東京都によると、新型コロナウイルスの無料検査事業で初の不正発覚となった。不正を行った事業者は検査数の水増しを行い、補助金を不正に受け取ろうとしたとされ、不正に申請された額はおよそ183億円で、そのうち17億円がすでに交付されていた。東京都は補助金を受け取った事業者に対して返還命令を出した上で、不正な申請をした11の事業者には、補助金交付決定の取り消しなどを行っている。参考1)令和4年度PCR等検査無料化事業補助金 交付決定の取消し等について(東京都)2)無料PCR検査で11業者が不正 183億円補助取り消し 東京都(朝日新聞)3)東京都のコロナ無料検査事業、不正申請183億円(日経新聞)3.電子カルテ共有化を2024年度から開始/医療DX推進本部政府は、6月2日に医療分野のデジタル化を議論する第2回医療DX推進本部を首相官邸で開催し、「医療DX」の工程表を発表した。2024年度から「全国医療情報プラットフォーム」を順次運用し、全国の医療機関や薬局で電子カルテの情報の共有を開始する。さらに電子カルテの導入を推進し、30年までにほぼすべての医療機関での導入を目指す。24年度中にプラットフォームを構築し、調剤情報など共有できる情報を徐々に増やしていくほか、電子カルテの導入については、厚生労働省は診療所などが使いやすい標準型の電子カルテの規格を定め、2030年までにほぼすべての医療機関で導入を完了し、電子カルテの情報共有がすべての医療機関で可能となるようにする予定。また、来年度の診療報酬改定に向けて、医療機関の事務作業の効率化を図るため、共通のプログラムを開発し、コスト削減に取り組む。診療報酬改定DXは、2026年度から本格的に実施し、診療報酬の算定や患者の窓口負担の自動計算を行う共通算定モジュールが提供される。参考1)第2回 医療DX推進本部(内閣府)2)医療DX加速へ 全国で患者情報共有 24年度からシステム稼働(朝日新聞)3)電子カルテ情報、来年度から共有 政府が医療DX工程表(日経新聞)4.30年ぶりに看護師の確保指針を初改定へ/厚労省厚生労働省は、5月29日に医道審議会・保健師助産師看護師分科会の検討部会を開催し、策定から約30年間、1度も見直しをしていない「看護婦等の確保を促進するための措置に関する基本的な指針」の改正に向け、議論を始めた。現行指針は1992年に制定され、看護師の人材確保や養成、処遇改善、資質向上、就業促進などが基本的な方針として記載されている。しかし、看護現場の状況が変わっているため、改定が求められており、自民党の厚生労働部会・看護問題小委員会も指針改定を要望していた。部会では少子高齢化の進展に伴い看護師などの確保が非常に重要であり、新興感染症への対応も考慮して指針改定が決定された。議論は、今年秋に告示される基本指針の改正に向けて進められる。また、指針の名称も「看護『婦』等の確保を促進するための措置に関する基本的な指針」から「看護『師』等の確保を促進するための措置に関する基本的な指針」に改められる予定。参考1)第1回医道審議会保健師助産師看護師分科会看護師等確保基本指針検討部会(厚労省)2)看護師の確保指針を初改定へ 今秋にも、少子高齢化で(東京新聞)3)30年ぶりに「看護師等確保」基本指針見直し、少子高齢化が進む中での看護職員確保策、専門性向上支援策などが鍵-看護師確保基本指針検討部会(Gem Med)5.2025年までに地域医療構想の実現を確実に/経済財政諮問会議政府が5月26日に開催した経済財政諮問会議で、地域医療構想に関する議論が行われた。この中で、民間議員は実効性を担保するために法制上の措置を講じるべきだと主張、目標年限の2025年に向けて都道府県の権限強化だけでは不十分と指摘し、地域医療介護総合確保基金やかかりつけ医機能報告制度の見直しを求めた。さらに診療報酬・介護報酬改定にあたっては、タスク・シフト/シェアや地域包括ケアシステムの重要性を強調し、徹底した給付見直しを指示するよう要請した。さらに地域医療構想の実現や医療・介護提供体制の構築を進めるよう意見が出された。厚生労働省が5月25日に開催した「地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ」の資料によれば、公立・公的医療機関などで具体的対応方針の再検証が必要とされた医療機関については、対応方針の「検証済み」(「措置済み」を含む)の割合が、3月は医療機関単位58%、病床単位62%。昨年9月の53%、56%に比べて進捗が確認されている。参考1)社会保障分野における経済・財政一体改革の重点課題とマイナンバー制度の利活用拡大(経済財政諮問会議)2)地域医療構想調整会議における検討状況等調査の報告(厚労省)3)地域医療構想、協議・検証未開始は約3000施設 地域医療構想調整会議で外来・在宅医療の実態に即した議論も必要(日経メディカル)4)2025年度に全国の病床数総量は119万床で「必要量と一致」するが、地域ごとの過剰・過少がある―地域医療構想・医師確保計画WG(1)(Gem Med)6.子宮頸がん予防に関する報告書を国立がん研究センターが公表国立がん研究センターは、子宮頸がんの予防方法についての報告書を公表した。報告書では、HPVワクチンの接種と子宮頸がん検診の重要性を強調し、わが国では子宮頸がんの死亡率が他の先進国より高いことを指摘した。報告書によれば、近年の20~30代の若年層で子宮頸がんの発症率が上昇しており、HPV感染ががんの原因の95%を占めているという。しかし、依然として国内のHPVワクチンの接種率は低く、検診受診率も43.7%にとどまっている。報告書では、子宮頸がんは予防可能ながんであり、ワクチンと検診の両方を受ける必要があることを訴えている。本報告書は「ファクトシート」の名称で国立がん研究センターの下記のホームページで公開されている。参考1)子宮頸がんとその他のヒトパピローマウイルス(HPV) 関連がんの予防ファクトシート 20232)子宮頸がんの対策を 最新の報告書公表 国立がん研究センター(NHK)3)子宮頸がん、もっと知って 「ワクチン・検診で予防を」-高い死亡率・国立センター報告書(時事通信)

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「日本版CDC」2025年度創設へ、参議院で可決

 今後の感染症流行に備え、国立感染症研究所と国立国際医療研究センターを統合し、新たに「国立健康危機管理研究機構」を設立するための法律が、5月31日の参議院本会議で可決、成立した。米国疾病管理予防センター(CDC)をモデルとして、2025年度に国立健康危機管理研究機構が創設される予定。感染症その他の疾患に関し、調査研究、医療の提供、人材の養成等を行うとともに、国民の生命および健康に重大な影響を与える恐れがある感染症の発生および蔓延時において、疫学調査から臨床研究までを総合的に実施し科学的知見を提供できる体制の強化を図る。国立健康危機管理研究機構が国立国際医療研究センターの業務を引き継ぐ 新たに設立される国立健康危機管理研究機構は特殊法人となり、理事長・監事は厚生労働大臣が任命し、副理事長・理事は、大臣の認可を得て、理事長が任命する。厚生労働大臣が機構に対する広範な監督権限を持つことで、パンデミック時に政府対策本部等の方針に従い、病原性の高い病原体の検体採取、入院治療等を迅速・柔軟・確実に行えるようにする。中期目標(6年)を大臣が策定、機構はこれに基づく中期計画を策定(大臣認可)する。大臣は、毎年度、業務の実績評価を行う。  なお、国立国際医療研究センターでは、現在、国の医療政策として実施すべき医療として、エイズ、肝炎等に関する医療等について、全国均てん化、国際医療協力の拠点となるための業務や、一部の高度先進医療や難病ゲノム医療の研究開発などを担っている。国立国際医療研究センターの業務を国立健康危機管理研究機構にすべて引き継げるよう規定される予定。 国立健康危機管理研究機構法の施行に伴い、感染症の予防および感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)その他関係法律について、規定の整備を行うための「国立健康危機管理研究機構法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案」も可決された。 国立健康危機管理研究機構法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の主な概要は以下のとおり。1)国立感染症研究所が現に行っている事務等の委託【感染症法】 現在、国立感染症研究所の職員が国の職員として感染症法に基づき行っている事務等を、機構に行わせるため、感染症法を改正し、機構に対する厚生労働大臣の事務の委任規定および権限の委任規定を設ける。2)政府対策本部への参加及び意見聴取【インフル特措法】 機構が、政府の新型インフルエンザ等対策本部の会議において科学的知見について意見を述べることができるよう、機構の位置づけ等について所要の規定の整備を行う。3)「地方衛生研究所等」との連携【地域保健法】 地域保健法において、地域保健法第26条に規定する、地域における専門的な調査研究・試験検査等のために必要な体制を担う「地方衛生研究所等」の試験検査や調査分析機能の強化を図るため、地方衛生研究所等と機構との情報提供および人材育成等における連携に係る規定を整備する。

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クランベリーの尿路感染症予防効果、新たなデータで示される

 クランベリー製品の摂取が尿路感染症(UTI)の予防に役立つという説は何十年も前から唱えられているが、50件の研究のレビューから、その説を支持する結果が得られたことが報告された。フリンダース大学(オーストラリア)医学・公衆衛生学部公衆衛生学科のJacqueline Stephens氏らによるこの研究結果は、「Cochrane Library」に4月17日掲載された。Stephens氏は、「濃縮液や錠剤・カプセル状のクランベリー製品の摂取が、UTI再発患者や小児など一部の人に有効であることについて、初めて合意を得ることができた」と話している。 UTIは誰にでも生じ得る感染症だが、肛門と尿道の位置関係などの解剖学的理由から特に女性に頻発する。研究論文の背景情報によると、18歳以上の女性の約60%が一生のうちに一度はUTIに罹患し、また約30%が年に平均2〜3回の再発を経験するという。感染場所はたいていの場合は膀胱で、排尿痛や頻尿、その他の煩わしい症状が生じる。 UTIの予防に対するクランベリーの有効性に関するこのレビュー結果は、1998年に最初に発表された。以後、2003年、2004年、2008年、2012年に内容が改訂されている。今回報告された5回目の改訂では、新たに追加された26件の研究を含む計50件のランダム化比較試験または準ランダム化比較試験(試験参加者の総計8,857人)がレビュー対象とされた。 50件の研究のうち45件の研究が、6つの参加者グループを対象に、クランベリー製品をプラセボ、または特定の治療を行わない場合と比較していた。このうちの26件(解析対象6,211人)の研究を対象に、細菌培養でUTIと診断された有症状の患者のアウトカムについてメタアナリシスを行った。 その結果、信頼性が中等度のエビデンスとして、クランベリー製品の摂取によりUTIリスクが30%低下することが示された〔相対リスク(RR)0.70、95%信頼区間(CI)0.58〜0.84〕。また、6つの参加者グループごとに解析したところ、UTIのリスクは、有症状の再発性UTIを有する女性で26%(解析対象1,555人、RR 0.74、95%CI 0.55〜0.99)、小児で54%(同504人、0.46、0.32〜0.68)、尿路カテーテル留置などの医学的介入によりUTIに感染しやすい人で53%(同1,434人、0.47、0.37〜0.61)、それぞれ低下することが明らかになった。また、信頼性が低いエビデンスとして、施設入居の高齢の男女(同1,489人、0.93、0.67〜1.30)、妊婦(同765人、1.06、0.75〜1.50)、膀胱を空にできない神経因性膀胱の成人(同464人、0.97、0.78〜1.19)ではクランベリー摂取によるUTIリスクの低下は認められなかった。なお、今回のレビューで確認された、クランベリー製品摂取で最もよく生じる副作用は、胃のもたれであったという。 Stephens氏は、「この研究では、世界各国で実施された研究のエビデンスが集められ、そのレビュープロセスも厳格だった。それゆえ、過去のレビュー結果と内容が異なっていたとしても、われわれは今回の結果に自信を持っている」と述べている。 では、なぜクランベリー製品の摂取がUTIの予防につながるのだろうか。研究グループは、クランベリーに含まれている、ポリフェノールの一種であるプロアントシアニジンに、膀胱壁などへの細菌の付着を抑制する作用があるためだと説明している。ただ、Stephens氏によると、今回のレビューでは、最も効果的なクランベリーの摂取量や摂取方法を特定することはできなかったという。 一方、米ノースウェル・ヘルスの泌尿器科医であるJohanna Figueroa氏は、「UTIは十分な水分摂取により細菌を尿とともに排出することで予防できる。クランベリー製品の摂取は、それとはまた別の予防方法だ」と話す。同氏は、「クランベリーのサプリメントがUTIの予防になり、効果があると感じるならば、使用するといい。もし効果がなければ、医療従事者は別の治療法を考慮するべきだ」とし、「いずれにせよ、UTIの予防では水分摂取が重要であることに変わりはない」と強調している。

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米CDCが今夏のサル痘再流行の可能性について警告

 米疾病対策センター(CDC)は5月15日、ヘルス・アラート・ネットワークを通して、サル痘ウイルスに感染するリスクのある人にワクチンを接種するよう呼びかけた。背景には、2022年夏にピークに達して以降、徐々に減少していたサル痘(2023年2月にエムポックスに名称変更)の罹患者数が再び増加に転じる可能性に対する危惧がある。CDCは、「人々が集うフェスティバルやその他のイベントを通して、2023年の春から夏にかけてサル痘が再び流行する可能性がある」と述べている。 米ワイル・コーネル大学医学部パンデミック予防・対策センターのディレクターであるJay Varma氏はCNNに対し、「今後数カ月の間にサル痘患者が急増する可能性がある。しかし、リスクのある人の多くはすでに感染したか、あるいはワクチンが普及してきたため、おそらく昨年ほどの規模にはならないだろう」と語った。ただ、同氏によると、過去の感染歴やワクチン接種による保護がどの程度続くかについては不明だという。 CDCは目下、2023年4月17日から5月5日の間に、米シカゴで確認された12例のサル痘確定症例と1例のサル痘疑い症例について調査を進めている。これらの症例は、全て男性(24〜46歳)である。13人中9人は、サル痘のワクチンとして承認された天然痘ワクチンの「ジンネオス」を2回接種済みであった。また、4人は直近で、ニューヨーク、ニューオリンズ、メキシコへ旅行していた。 過去のサル痘のアウトブレイクのほとんどは海外旅行と関連していたが、2022年の春には、人と人との接触によってウイルスは世界中に急速に広まった。CDCは、感染者はゲイやバイセクシュアルの男性、MSM(男性と性行為をする男性)、トランスジェンダーの人に偏っていたと述べている。このアウトブレイクがきっかけとなり、感染リスクのある人々にワクチン接種を呼びかける活動が行われた。CDCによると、ワクチンを接種してもブレイクスルー感染は起こり得るが、重症度を下げることは可能だという。 CNNによると、サル痘リスクが高いと考えられる人のうち、ワクチンの2回接種を完了したのはわずか23%だという。米National Association of County and City Health Officialsの最高経営責任者であるLori Tremmel Freeman氏はCNNに対し、「最もリスクの高い人々のワクチン接種が必要なレベルに達していないことが大きな懸念だ。現在、米国中西部で新たな感染例が発生しているが、ワクチン接種済みの人では症状が軽いようだ」とワクチン接種の有効性に言及している。Varma氏も、「ワクチンは安全で効果的だ。昨年は、感染を抑えるのに役立った。ワクチンの有効率や効果の持続期間に不明な点があるにせよ、接種しないよりは接種した方が良いのは確実だ」と主張する。 サル痘の主な症状は、水疱のような発疹、発熱、悪寒、リンパ節腫脹、痛み、倦怠感など。免疫力が低下している人が罹患すると、致命的になることもある。世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長は5月11日、「WHOはサル痘の緊急事態宣言終了を宣言したが、これは、われわれの仕事が終わったことを意味するものではない。サル痘は、あらゆる地域のコミュニティーに今も影響を与え続けている」と語った。 米National Coalition of STD Directorのエグゼクティブ・ディレクターであるDavid Harvey氏は、サル痘は依然として「重大な懸念」であり、地域社会や医療提供者は監視を続ける必要があると語った。同氏は、「予想されたこととはいえ、シカゴの症例は気にかかる」と話しつつも、「ただ、昨年と違って、われわれは今や、何がサル痘に対して有効なのかを知っているし、再びサル痘患者が発生した際には、感染者の増加を抑制するための手段も持っている。ワクチンは安全で効果的であり、症例を減らし、症状の重症度を軽減するのにも役立つ」と話している。

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認知症を止める 「脳ドック」を活かした対策

あなたの脳は、知らないうちに縮んでいる!?私たちから健康的な生活を奪う最大の要因は「脳の健康」です。介護要因は、認知症と脳血管疾患(脳梗塞、脳出血)で約半分を占めているのです。誰もが少なからず歩んでいる認知症の進行を知って止めることが、人生100年時代を健康で生き抜く唯一の手段です。脳ドックという世界的にも稀な仕組みがある日本だからこそできる脳の健康状態の可視化・管理から予防方法まで、研究・臨床の専門家が解説します。「認知症グレーゾーン」で踏みとどまるには欧米でなぜ認知症が減り始めているのかブラックボックスだった脳を“見える化”する脳の健康を守り続ける戦略的「セルフケア」回想法-単なる思い出話のすごい効用頭と体の運動-脳をフル稼働させる「シナプソロジー」画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    認知症を止める 「脳ドック」を活かした対策定価1,650円(税込)判型四六判頁数224頁発行2023年5月著者朝田 隆、森 進

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