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重症敗血症へのアセトアミノフェン、生存日数を改善せず/JAMA

 重症敗血症患者において、アセトアミノフェン(パラセタモール)の静脈内投与は、安全性は高いものの、生存日数および臓器補助(腎代替療法、機械換気、昇圧薬)が不要な日数を改善しないことが、米国・ヴァンダービルト大学医療センターのLorraine B. Ware氏らが実施した「ASTER試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌2024年8月6日号で報告された。米国の無作為化第IIb相試験 ASTER試験は、米国の40の病院の救急診療部または集中治療室(ICU)で実施した二重盲検無作為化第IIb相試験であり、2021年10月~2023年4月に参加者のスクリーニングを行った(米国国立心肺血液研究所[NHLBI]の助成を受けた)。 年齢18歳以上の敗血症で、呼吸器系または循環器系の臓器障害を有する患者447例(平均年齢64[SD 15]歳、女性51%、平均SOFAスコア5.4[SD 2.5]点)を登録した。被験者を、アセトアミノフェン1gを6時間ごとに静脈内投与する群(227例)、またはプラセボ群(220例)に無作為に割り付け、5日間投与した。 主要エンドポイントは、28日目までの生存日数および臓器補助(腎代替療法、機械換気、昇圧薬)が不要な日数とした。28日間の全死因死亡にも差はない ベースラインで全体の76%の患者が昇圧薬の投与を、42%が補助換気を受けており、登録前に44%がアセトアミノフェンの投与を受けていた。 アセトアミノフェンは安全であり、治療群間で肝酵素値の異常や低血圧の頻度、体液バランスに差はなかった。 28日目までの生存日数および臓器補助不要日数は、アセトアミノフェン群が20.2日(95%信頼区間[CI]:18.8~21.6)、プラセボ群は19.6日(18.2~21.0)であり、両群間に有意な差を認めなかった(群間差:0.6日、95%CI:-1.4~2.6、p=0.56)。 また、臓器補助の各項目のいずれにも両群間に差はなく、28日間の全死因死亡(アセトアミノフェン群17.5% vs.プラセボ群22.5%、群間差:-5.0%、95%CI:-12.4~2.5、p=0.19)にも差はみられなかった。7日以内のARDSの発生率が有意に改善 15項目の副次アウトカムのうち、7日以内の急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の発生率のみがアセトアミノフェン群で有意に低く(2.2% vs.8.5%、群間差:-6.3%、95%CI:-10.8~-1.8、p=0.01)、他の項目には両群間に差はなかった。 また、アセトアミノフェン群は、2、3、4日目の総SOFAスコア(いずれもp<0.05)とSOFA凝固系スコア(いずれもp<0.05)の改善度が有意に優れた。 著者は、「本試験の結果で重要な点は、重症敗血症では、アセトアミノフェンの6時間ごとの5日間投与はプラセボに比べ、肝障害のバイオマーカーの異常、全身性低血圧、その他の有害事象の発生率に差がなく安全であったことである」としている。

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英語で「代わりに来ました」は?【1分★医療英語】第144回

第144回 英語で「代わりに来ました」は?《例文1》Good morning, my name is Dr. Smith. I came to see you on behalf of Dr. Yamada while he's away at a conference. How can I assist you today?(おはようございます。スミスと申します。山田医師が学会に出席しているので、代わりに診察に来ました。本日はどうされましたか?)《例文2》Dr. Johnson is here on behalf of Dr. Tanaka to discuss your test results.(ジョンソン先生が田中先生の代わりにあなたの検査結果についてお話しします)《解説》“on behalf of”は、「ほかの医師の代わりに診察を行う」際に使用できる丁寧な表現です。“on behalf of”は「〜の代わりに」「〜を代表して」という意味を持ち、比較的フォーマルな場面で使用されます。この表現は、ビジネスや法律の分野でも頻繁に使用されますが、医療現場においても適切な表現だといえるでしょう。「代表して」というニュアンスがあるので、たとえば、“I would like to thank you on behalf of my team.”(チームを代表して、私がお礼を申し上げたいです)といったようにも使えます。医療現場では急な代診や担当医の変更など、予期せぬ状況が発生することがあります。そのような場面で“on behalf of”を使用することで、専門的かつ丁寧に状況を説明することができます。なお、このような代診のシチュエーションでは、以前に扱った“fill in for”も“I'm filling in for Dr. Yamada today.”のように使えますので、そちらのフレーズとセットで覚えておいていただくとよいでしょう。講師紹介

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腎機能障害患者でも用量調節が不要な抗てんかん薬「ブリィビアクト錠25mg/錠50mg/静注25mg」【最新!DI情報】第21回

腎機能障害患者でも用量調節が不要な抗てんかん薬「ブリィビアクト錠25mg/錠50mg/静注25mg」今回は、抗てんかん薬「ブリーバラセタム(商品名:ブリィビアクト錠25mg/錠50mg/静注25mg、製造販売元:ユーシービージャパン)」を紹介します。本剤は、既存薬の課題であった眠気や精神症状が少なく、腎機能障害患者でも用量調節が不要な薬剤として期待されます。<効能・効果>下記の適応で、2024年6月24日に製造販売承認を取得しました。錠 てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)静注一時的に経口投与ができない患者における、てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)の治療に対するブリーバラセタム経口製剤の代替療法<用法・用量>錠 通常、成人にはブリーバラセタムとして1日50mgを1日2回に分けて経口投与します。静注ブリーバラセタムの経口投与から本剤に切り替える場合は、通常、ブリーバラセタム経口投与と同じ1日用量および投与回数で、1回量を2~15分かけて静脈内投与します。ブリーバラセタムの経口投与に先立ち本剤を投与する場合は、通常、成人にはブリーバラセタムとして1日50mgを1日2回に分け、1回量を2~15分かけて静脈内投与します。いずれの場合においても、症状により適宜増減できますが、1日最高投与量は200mgです。<安全性>重大な副作用に攻撃性(0.3%)があります。本剤の服用中は、攻撃性、激越、精神病性障害、易刺激性などの精神症状が現れ、自殺企画に至ることがあるので、患者の状態および病態の変化を注意深く観察する必要があります。その他の副作用として、傾眠(14.9%)、浮動性めまい(10.9%)、疲労(3%以上)、易刺激性、不安、不眠症、悪心、食欲減衰、回転性めまい(いずれも1~3%未満)、うつ病、激越、精神病性障害、好中球減少症、便秘、嘔吐、上気道感染、咳嗽(いずれも1%未満)、インフルエンザ、1型過敏症(いずれも頻度不明)があります。<患者さんへの指導例>1.この薬は、てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に使用されます。脳内の神経の過剰な興奮を鎮めて、てんかん発作を抑えます。2.この薬は、指示どおり飲み続けることが重要です。自己判断で服用を中止したり、量を加減したりすると、発作の悪化やてんかん重積状態が現れることがあります。3.傾眠やめまいなどが起こることがあるので、自動車の運転などの危険を伴う機械の操作は行わないようにしてください。4.妊婦または妊娠している可能性がある人は医師に相談してください。5.アルコールを含む飲食物はこの薬に影響しますので、控えてください<ここがポイント!>ブリーバラセタムは2ピロリドン誘導体で、脳内のシナプス小胞タンパク質2A(SV2A)に選択的に結合して、てんかん発作抑制作用を発揮します。作用機序は、レベチラセタム(商品名:イーケプラ)と同様ですが、レベチラセタムに比べてカルシウムチャネルおよびAMPA受容体に対する作用がほとんどなく、SV2Aに対する親和性も高いことから、眠気や精神症状が軽減されることが期待されます。また、レベチラセタムとは異なり、腎機能障害を有する患者での用量調節は不要です。剤形としては錠剤と注射剤がありますが、基本は錠剤です。注射剤は、一時的に経口投与ができない患者における代替療法として、てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に使用されます。部分発作を有する成人てんかん患者(アジア人)を対象としたブリーバラセタム併用療法の国際共同第III相試験(EP0083試験)において、治療期間の28日あたりの部分発作回数のプラセボ群に対する減少率は、全体集団で50mg/日群が24.5%および200mg/日群が33.4%であり、いずれの本剤群もプラセボ群との間に優越性が検証されました(それぞれp=0.0005およびp<0.0001、ANCOVA)。また、日本人集団においては、50mg/日群が14.5%および200mg/日群が30.0%であり、全体集団と同様に、いずれの本剤群もプラセボ群と比較して高い減少率でした。しかし、日本人被験者は例数が少ないため、統計解析処理は実施されませんでした。

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腎盂腎炎のときによく使う抗菌薬セフトリアキソンを極める!【とことん極める!腎盂腎炎】第6回

腎盂腎炎のときによく使う抗菌薬セフトリアキソンを極める!Teaching point(1)セフトリアキソンは1日1回投与が可能で、スペクトラムの広さ、臓器移行性のよさ、腎機能での調整が不要なことから、腎盂腎炎に限らず多くの感染症に対して使用される(2)セフトリアキソンとセフォタキシムは、スペクトラムがほぼ同じであるが、投与回数の違い、腎機能での調整の有無の違いがある(3)セフトリアキソンは利便性から頻用されているが、効かない菌を理解し状況に合わせて注意深く選択する必要があることや、比較的広域な抗菌薬で耐性化対策のために安易に使用しないことに注意する(4)セフトリアキソンは、1日1回投与の特徴を活かして、外来静注抗菌薬療法(OPAT)に使用される1.セフトリアキソンの歴史セフトリアキソンは、1978年にスイスのF. Hoffmann-La Roche社のR. Reinerらによって既存のセファロスポリン系薬よりさらに強い抗菌活性を有する新しいセファロスポリンの研究開発のなかで合成された薬剤である。特徴としては、強い抗菌活性と広い抗菌スペクトラムならびに優れたβ-ラクタマーゼに対する安定性を有し、かつ既存の薬剤にはない独特な薬動力学的特性をも兼ね備えている。血中濃度半減期が既存のセファロスポリンに比べて非常に長く、組織移行性にも優れるため、1日1回投与で各種感染症を治療し得る薬剤として、広く使用されている。わが国においては、1986年3月1日に製造販売承認後、1986年6月19日に薬価基準収載された。海外では筋注での投与も行うが、わが国においては2024年8月時点では、添付文書上は認められていない。2.特徴セフトリアキソンは、セファゾリン、セファレキシンに代表される第1世代セファロスポリン、セフォチアムに代表される第2世代セファロスポリンのスペクトラムから、グラム陰性桿菌のスペクトラムを広げた第3世代セファロスポリンである。多くのセファロスポリンと同様に、腸球菌(Enterococcus属)は常に耐性であることは、同菌が引き起こし得る尿路感染や腹腔内感染の治療を考える際には重要である。その他、グラム陽性球菌としては、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に耐性がある。グラム陰性桿菌は、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、Stenotrophomonas maltphilia、偏性嫌気性菌であるBacteroides fragilisはカバーせず、アシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumannii)も感受性があることが少ない。ESBL(extended-spectrum β-lactamase:基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ)産生菌やAmpC過剰産生菌といった耐性菌に対しては感受性がない。グラム陽性桿菌は、リステリア(Listeria monocytogenes)をカバーしない。血漿タンパク結合率が85~95%と非常に高く、半減期は健康成人で8時間程度と長いため、1日1回投与での治療が可能な抗菌薬となる。タンパク結合していない遊離成分が活性をもつ。そのため、重症患者ではセフトリアキソンの実際のタンパク結合は予想されるより小さいとされているが1)、その臨床的意義は現時点では不明である。排泄に関しては、尿中排泄が緩徐であり、1gを投与12時間までの尿中には40%、48時間までには55%の、未変化体での排泄が認められ、残りは胆汁中に、血清と比較して200~500%の濃度で分泌される。水溶性ではあるが、胸水、滑液、骨を含む、組織や体液へ広く分布し、髄膜に炎症あれば脳脊髄移行性が高まり、高用量投与で髄膜炎治療が可能となるため、幅広い感染症に使用される。3.腎盂腎炎でセフトリアキソンを選択する場面は?腎盂腎炎の初期抗菌薬治療は、解剖学的・機能的に正常な尿路での感染症である「単純性」か、それ以外の「複雑性」かを分類し、さらに居住地域や医療機関でのアンチバイオグラム、抗菌薬使用歴、過去の培養検査での分離菌とその感受性結果を踏まえて抗菌薬選択を行う。いずれにしても腎盂腎炎の起因菌は、主に腸内細菌目細菌(Enterobacterales)となり、大腸菌(Escherichia coli)、Klebsiella属、Proteus mirabilisが主な起因菌となる2)。セフトリアキソンは一般的にこれらをすべてカバーするため、多くのマニュアルにおいて第1選択とされている。しかし、忘れられがちであるが、セフトリアキソンは比較的広域な抗菌薬であり、これらの想定した菌の、その地域でのアンチバイオグラム上のセファゾリンやセフォチアムの耐性率が低ければ、1日1回投与でなければいけない事情がない限り、後述の耐性化のリスクや注意点からも、セファゾリンやセフォチアムといった狭域の抗菌薬を選択すべきである。アンチバイオグラムを作成していない医療機関での診療の場合は、厚生労働省院内感染対策サーベイランス事業(Japan Nosocomial Infections Surveillance:JANIS)の都道府県別公開情報3)や、国立研究開発法人国立国際医療研究センター内のAMR臨床リファレンスセンターが管理する感染対策連携共通プラットフォーム(Japan Surveillance for Infection Prevention and Healthcare Epidemiology:J-SIPHE)の公開情報4)を参考にする。国内全体を見た場合にはセファゾリンに対する大腸菌の耐性率は高く、多くの施設において使用しづらいのは確かである。一方で、セフトリアキソンは、前述の通り耐性菌である、ESBL産生菌、AmpC過剰産生菌、緑膿菌はカバーをしないため、これらを必ずカバーをする必要がある場面では使用を避けなければいけない。4.セフトリアキソンとセフォタキシムとの違いは?同じ第3世代セファロスポリンである、セフトリアキソンとセフォタキシムは、スペクトラムがほぼ同じであり、使い分けが難しい薬剤ではあるが、2剤の共通点・相違点について説明する。セフトリアキソンとセフォタキシムとのスペクトラムについては、尿路感染症の主な原因となる腸内細菌目細菌に対してのスペクトラムの違いはほとんどなく、対象菌を想定しての使い分けはしない。2剤の主な違いは、薬物速度、排泄が大きく異なる点である。セフォタキシムは投与回数が複数回になること、主に腎排泄であり腎機能での用法・用量の調整が必要であり、利便性からはセフトリアキソンのほうが優位性がある。しかし、セフトリアキソンが胆汁排泄を介して便中に排出され、腸内細菌叢を選択するためか5)、セフォタキシムと比較し、腸内細菌の耐性化をより誘導する可能性を示す報告が少なからずある6,7)。そのため、投与回数や腎機能などで制限がない限り、セフトリアキソンよりセフォタキシムの使用を優先するエキスパートも存在する。5.投与量論争? 1gか2gかサンフォード感染症治療ガイドでは、化膿性髄膜炎を除く疾患では通常用量1〜2g静注24時間ごと、化膿性髄膜炎に対しては2g静注12時間ごと、Johns Hopkins ABX guidelineでは、化膿性髄膜炎を除く通常用量1〜2g静注もしくは筋注24時間ごと(1日最大4mg)での投与と記載されている。米国での集中治療室における中枢神経感染症のない患者でのセフトリアキソン1g/日と2g/日を後方視的に比較評価した研究において、セフトリアキソン1g/日投与患者で、2g/日投与患者より高い治療失敗率が観察された8)。腎盂腎炎ではないが、非重症市中肺炎患者を対象としたシステマティックレビュー・メタアナリシスでは、1g/日と2g/日の直接比較ではないが、同等の効果が期待できる可能性が示唆された9)。日本における全国成人肺炎研究グループ(APSG-J)という多施設レジストリからのデータを用いたpropensity score-matching研究において、市中肺炎に対するセフトリアキソン1g/日投与は2g/日と比較し、非劣性であった10)。以上から、現時点で存在するエビデンスからは、重症患者であれば、2g/日投与が優先され、軽症の肺炎やセフトリアキソンの移行性のよい臓器の感染症である腎盂腎炎であれば、1g/日も許容されると思われるが、1g/日投与の場合は、慎重な経過観察が必要と考える。6.セフトリアキソン使用での注意点【アレルギーの考え方】セファロスポリン系では、R1側鎖の類似性が即時型・遅延型アレルギーともに重要である11)。ペニシリン系とセファロスポリン系は構造的に類似しているが、分解経路が異なり、ペニシリン系は不完全な中間体であるpenicilloylが抗原となるため、ペニシリン系アレルギーがセファロスポリンアレルギーにつながるわけではない。セフトリアキソンは、セフォタキシム、セフェピムとR1で同一の側鎖構造(メトキシイミノ基)を有するため、いずれかの薬剤にアレルギーがある場合は、交差アレルギーが起こり得るので、使用を避ける。ただし、異なるR1側鎖を有する複数のセファロスポリン系にアレルギーがある場合は、β-ラクタム環が抗原である可能性があり、β-ラクタム系薬以外の抗菌薬を選択すべきである。【胆泥、偽性胆道結石症】小児で問題になることが多いが、セフトリアキソンは胆泥を引き起こす可能性があり、高用量での長期使用(3週間)により胆石症が報告されている。胆汁排泄はセフトリアキソンの排泄の40%までを占め、胆汁中の薬物濃度は血清の200倍に達することがある12,13)。過飽和状態では、セフトリアキソンはカルシウムと錯体を形成し、胆汁中に沈殿する。この過程は、経腸栄養がなく胆汁の停留がある集中治療室患者では、増強される可能性がある。以上から、重症患者、高用量や長期使用の際には、胆泥、胆石症のリスクになると考えられるため、注意が必要である。【末期腎不全・透析患者とセフトリアキソン脳症】脳症はセフトリアキソンの副作用のなかではまれであるが、報告が散見される。セフトリアキソンによる脳症の病態生理的メカニズムは完全には解明されていないが、血中・髄液中のセフトリアキソン濃度が高い場合に、β-ラクタム系抗菌薬による中枢神経系における脳内γ-アミノ酪酸(GABA)の競合的拮抗作用および興奮性アミノ酸濃度の上昇により、脳症が引き起こされると推定されている。セフトリアキソン関連脳症の多くは腎障害を伴い、患者の半数は血液透析または腹膜透析を受けていることが報告され、これらの患者のほとんどは、1日2g以上のセフトリアキソンを投与されていた14)。セフトリアキソンの半減期は、血液透析患者では正常腎機能患者と比較し、8~16時間と倍増することが判明しており15)、透析性の高いほとんどのセファロスポリンとは異なり、セフトリアキソンは血液透析中に透析されない14)。以上から、末期腎不全患者の血中および髄液中のセフトリアキソン濃度が高い状態が持続する可能性がある。サンフォード感染症治療ガイドやJohns Hopkins ABX guidelineなど、広く使われる抗菌薬ガイドラインでは、末期腎不全におけるセフトリアキソンの減量については言及されておらず、一般的には腎機能低下患者では投与量の調節は必要ないが、末期腎不全患者ではセフトリアキソンの減量を推奨するエキスパートも存在する。また1g/日の投与量でもセフトリアキソン脳症となった報告もあるため16)、長期投与例で、脳症を疑う症例があれば、その可能性に注意を払う必要がある。7.外来静注抗菌薬療法(OPAT)についてOPATはoutpatient parenteral antimicrobial therapyの略称で、外来静注抗菌薬療法と訳され、外来で行う静注抗菌薬治療の総称である。外来で点滴抗菌薬を使用する行為というだけではなく、対象患者の選定、治療開始に向けての患者教育、治療モニタリング、治療後のフォローアップまでを含めた内容となっている。OPATという名称がまだ一般的ではない国内でも、セフトリアキソンは1日1回投与での治療が可能という特性から、外来通院や在宅診療でのセフトリアキソンによる静注抗菌薬治療は行われている。外来・在宅でのセフトリアキソン治療は、本薬剤による治療が最も適切ではあるものの、全身状態がよく自宅で経過観察が可能で、かつアクセスがよく連日治療も可能な場合に行われる。OPATはセフトリアキソンに限らず、インフュージョンポンプという持続注射が可能なデバイスを使用することで、ほかの幅広い薬剤での外来・在宅治療が可能となる。詳細に関しては、馳 亮太氏(成田赤十字病院/亀田総合病院感染症内科)の報告を参考にされたい17)。1)Wong G, et al. Antimicrob Agents Chemother. 2013;57:6165-6170.2)原田壮平. 日本臨床微生物学会雑誌. 2021;31(4):1-10.3)厚生労働省院内感染対策サーベイランス事業:道府県別公開情報.4)感染対策連携共通プラットフォーム:公開情報.5)Muller A, et al. J Antimicrob Chemother. 2004;54:173-177.6)Tan BK, et al. Intensive Care Med. 2018;44:672-673.7)Grohs P, et al. J Antimicrob Chemother. 2014;69:786-789.8)Ackerman A, et al. Antimicrob Agents Chemother. 2020;64:e00066-20.9)Telles JP, et al. Expert Rev Anti Infect Ther. 2019;17:501-510.10)Hasegawa S, et al. BMC Infect Dis. 2019;19:1079.11)Castells M, et al. N Engl J Med. 2019;381:2338-2351.12)Arvidsson A, et al. J Antimicrob Chemother. 1982;10:207-215.13)Shiffman ML, et al. Gastroenterology. 1990;99:1772-1778.14)Patel IH, et al. Antimicrob Agents Chemother. 1984;25:438-442.15)Cohen D, et al. Antimicrob Agents Chemother. 1983;24:529-532.16)Nishioka H, et al. Int J Infect Dis. 2022;116:223-225.17)馳 亮太ほか. 感染症学雑誌. 2014;88:269-274.

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1日も早く自宅に帰りたい-入院中に生じる廃用症候群/転倒を防ぐには?【こんなときどうする?高齢者診療】第4回

CareNeTVスクール「Dr.樋口の老年医学オンラインサロン」で2024年7月に扱ったテーマ「転倒予防+α」から、高齢者診療に役立つトピックをお届けします。転倒・廃用症候群の予防は、入院・外来を問わず高齢者診療に欠かせません。その背景と介入方法を症例から考えてみましょう。90歳女性。 既往症は高血圧、膝関節症。認知機能は保たれている。バルサルタンとアセトアミノフェンを服用。独居でADL/IADLはほぼ自立。買い物で重いものを運ぶのは難しいと感じている。3日前からの排尿痛と発熱で救急受診。急性腎盂腎炎の診断。入院して抗菌薬による治療を開始。本人は1日も早く帰宅し、自宅での自立生活を再開したいと希望している。原疾患の治療に加えて、自立生活を再開できる状態を作ることが入院中の治療・ケアのゴールになりますが、入院中に著しい身体機能低下を来す患者は少なくないのが実情ではないでしょうか。入院が高齢者に及ぼす影響まず、その背景を確認しましょう。入院中の高齢者は87~100%の時間をベッド上で過ごすといわれています1)。入院期間のほとんどがベッド上での生活となれば、当然、身体活動量は低下します。その他に、慣れ親しんだ自宅と異なる環境により、睡眠障害や口に合わない食事などで食欲不振、栄養不良に陥ることも珍しくありません。これらが引き金になり、筋肉量や有酸素能力が低下したり、歩行に必要な体のバランス機能や認知機能などが低下したりします。ちなみに、20~30代をピークに筋肉量の減少が始まることが多く、有酸素運動能力は25歳を過ぎると10年ごとに約10%減少していくともいわれています2-5)。加齢に伴う変化としての身体機能低下に、入院による負の変化が加わることで、廃用症候群のリスクが極めて高くなるのです。さらに悪いことに、こうした機能低下によって転倒をきっかけに入院した高齢患者が退院後6カ月以内に転倒する割合は約40%。そのうち15%は転倒により再入院に至るという研究もあります1)。そのほかに施設入所の増加、フレイルの悪化、ひいては死亡率の上昇などが生じます。急性疾患の治療を目的とした入院自体が機能低下の悪循環に入る原因になってしまうのです。入院中に生じる廃用症候群・転倒の悪循環を止めるには?このことから、身体機能低下を予防することは原疾患の治療と並ぶ重要な介入であることがわかると思います。ここからは、入院中の機能低下を最小限に抑えて、可能な限り身体機能を維持または強化し、患者の「家に帰りたい」という願いを叶える方法を探りましょう。まずアセスメントです。ここでは、簡単にできる機能評価・簡易転倒リスクのスクリーニング方法を2つ紹介します。1つめは、以下に挙げる4つの質問を使う方法です。(1)ベッドや椅子から自分で起き上がれますか?(2)自分で着替えや入浴ができますか?(3)自分で食事の準備ができますか?(4)自分で買い物ができますか?1つでも「いいえ」がある場合は、より詳しい問診やリハビリテーションチームに機能評価を依頼するなど、詳細な評価を検討します。また同時に、視力や聴力の程度、過去1年の転倒歴、歩行や転倒に関しての本人の不安なども、転倒リスクを見積もるために有用な質問です。2つめは、TUG(Timed up and Go)テストです。椅子から立ち上がって普通の速度で3m歩いてもらい、方向を変えて戻ってくるまでにかかる時間を計ります。10秒未満で正常、20秒未満でなんとか移動能力が保たれた状態、30秒未満では歩行とバランスに障害があり補助具が必要な状態と判断します。入院患者のアセスメントでは、15秒以上かかる場合は理学療法士に詳しいアセスメントや助言を求めるとよいでしょう。医師が押さえておくべき運動処方の原則さて、患者の状態を把握できたら次はどのような運動介入を行うかです。ここでは、「歩行のみ」のトレーニングはかえって転倒のリスクを高めるということを覚えておきましょう。転倒予防やADLの維持をサポートするには、筋力トレーニング、有酸素運動、バランストレーニング、歩行/移動トレーニングなどの複数の運動療法を組み合わせて、バランスよく総合的に鍛えることが重要です。そのほかにも関節可動域訓練などさまざまな訓練がありますから、患者の状態に合わせてリハビリテーションチームと共に計画を立ててみましょう。 外来での転倒予防のポイントはオンラインサロンでサロンでは外来患者のケースで、転倒リスクになる薬剤や外来でのチェックポイントや介入のコツを解説しています。また、サロンメンバーからの質問「高齢患者に運動を続けてもらうコツ」について、樋口先生はもちろん、職種も働くセッティングも異なるサロンメンバーが経験を持ち寄り、よりよい介入方法をディスカッションしています。参考1)Faizo S, et al. Appl Nurs Res. 2020:51:151189.2)Janssen I, et al.J Appl Physiol (1985). 2000;89:81-88.3)Mitchell WK, et al. Front Physiol. 2012 Jul 11:3:260.4)Hawkins S, et al. Sports Med. 2003;33:877-888.5)Kim CH, et al. PLoS One. 2016;11:e0160275.

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小児科「小児の発熱」【臨床実習を味わうケアネット動画Café】第7回

動画解説臨床研修サポートプログラムの研修医のための小児科ベーシックより、遠藤周先生と 西﨑直人先生の「小児の発熱」を鑑賞します。成人とは異なる鑑別方法で診なければならない小児。実習に入る前に注意点を把握しておきましょう!

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コーヒー5杯/日以上で脳梗塞リスクが高まる!?

 大規模な国際症例対照研究であるINTERSTROKE研究で、コーヒー、紅茶、緑茶などの摂取量と脳卒中の関連を検討したところ、コーヒーを多量摂取(1日5杯以上)する人は脳卒中全体と脳梗塞のリスクが高く、逆に緑茶を摂取する人ではこれらのリスクが低かったという。カナダ・McMaster University and Hamilton Health SciencesのAndrew Smyth氏らがInternational Journal of Cancer誌オンライン版2024年6月18日号で報告した。 INTERSTROKE研究はすでに発表されている国際症例対照研究で、2007 年 3 月~ 2015 年 7 月に32ヵ国 142施設から初回脳卒中症例を募集し、対照は脳卒中既往歴のない人を性別・年齢でマッチングした。本研究では、参加者にコーヒー、紅茶、緑茶、その他のお茶を「1日何杯飲むか?」と質問し、「まったく飲まない」「1~2杯」「3~4杯」「5杯以上」に分類した(症例では脳卒中発症前の摂取量)。各飲料の摂取量と脳卒中(脳梗塞または脳出血)との関連について、多変量条件付きロジスティック回帰を用いて、「まったく飲まない」人を基準にオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・症例1万3,462例および対照1万3,488例で、平均年齢は61.7歳、男性は59.6%だった。・コーヒーは、1日摂取量が1~2杯もしくは3~4杯の人では脳卒中との関連はみられなかったが、5杯以上の人は、脳卒中全体(OR:1.37、95%CI:1.06~1.77)および脳梗塞(OR:1.32、95%CI:1.00~1.74)のオッズが高かった。・緑茶は、3~4杯の人における脳卒中全体(OR:0.73、95%CI:0.57~0.93)および脳梗塞(OR:0.75、95%CI:0.57~0.99)、また5杯以上の人における脳卒中全体(OR:0.70、95%CI:0.54~0.90)および脳梗塞(OR:0.69、95%CI:0.52~0.91)のオッズが低かった。・お茶全体(紅茶、緑茶、その他のお茶)では、1~2杯、3~4杯、5杯以上のすべてのカテゴリーにおいて脳卒中全体および脳梗塞のオッズが低かった(5杯以上での脳卒中全体のOR:0.81、脳梗塞のOR:0.81)。 今回の結果から著者らは、1日5杯以上のコーヒー摂取を避けることを検討するよう提案している。

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お腹や腕の脂肪は神経変性疾患リスクと関連

 お腹や腕の周りの脂肪が増えたという人は、アルツハイマー病やパーキンソン病といった神経変性疾患の発症リスクが高い可能性のあることが、四川大学(中国)のHuan Song氏らによる研究で示唆された。一方で、筋力が強い人では筋力が弱い人と比べて神経変性疾患のリスクが低い可能性のあることも示された。この研究結果は、「Neurology」に7月24日掲載された。 Song氏らは今回、UKバイオバンクの参加者41万2,691人(登録時の平均年齢56.0歳、女性55.1%)の健康上および身体上の特徴を平均で9.1年追跡したデータを分析した。参加者は研究登録時に、ウエストやヒップのほか、握力や骨密度、脂肪量、除脂肪体重などの測定を受けていた。 追跡期間中に8,224人がアルツハイマー病やその他のタイプの認知症、パーキンソン病などの神経変性疾患を発症していた。高血圧や喫煙、飲酒、糖尿病など脳に影響を与える可能性のある健康上のリスク因子を調整して分析した結果、お腹周りの脂肪量が多い(中心性肥満)人では、脂肪量が少ない人と比べて神経変性疾患のリスクが13%高いことが示された。また、腕周りの脂肪量が多い人も、脂肪量が少ない人と比べてリスクが18%高いことが判明した。その一方で、筋力が強い人では筋力が弱い人と比べてこれらの神経変性疾患のリスクが26%低いことが示された。 Song氏は、「この研究は、体組成を改善することで、これらの疾患の発症リスクを抑制できる可能性があることを浮き彫りにした」と話す。また同氏は、「健康的な筋肉を育てながらお腹や腕の周りの脂肪を減らすことにターゲットを絞った介入は、一般的な体重コントロールよりもこれらの疾患に対する予防効果が高いかもしれない」と付け加えている。 さらに媒介分析からは、腕や腹部の脂肪量が多いことと神経変性疾患との関連には、脳に有害な影響を与え得る心疾患や脳卒中のような心血管疾患が部分的に関与している可能性も示されたという。この点についてSong氏は、「アルツハイマー病やパーキンソン病、そのほかの神経変性疾患の発症を予防したり、発症を遅らせたりするには、こうした心血管疾患の管理が重要であることを明確に示したものだ」と「Neurology」の発行元である米国神経学会(AAN)のニュースリリースの中で指摘している。

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今こそExcelで学ぶ統計解析入門

Excelで統計学の基本を学ぶ!!統計関連の書籍はRからPythonが主流になりつつあります。機械学習との親和性もあり、Pythonで分析する人が増えています。とはいえデータサイエンティストのような統計のプロの人ならともかくR、Pythonはプログラムということで敷居が高いと感じる人も少なくありません。また、文系を中心とした大学ではSPSSが多いですが、自宅で持ち帰って分析することはできないため、自学自習ではExcelで学習するニーズはあります。本書は統計解析に必要な知識を解説します。まず、基本的な理論を学び、その内容をExcelで実践するものです。理解度テストは企業向けの例題で活用できるものを用意しております。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する今こそExcelで学ぶ統計解析入門定価2,750円(税込)判型A5判頁数192頁発行2024年8月著者志賀 保夫、姫野 尚子監修菅 民郎ご購入はこちらご購入はこちらAmazonでご購入の場合はこちら

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5~17歳の10人に1人がADHD/米国調査結果

 米国疾病予防管理センター(CDC)下の組織である国立衛生統計センター(NCHS)は、2024年3月に米国における注意欠如・多動症(ADHD)に関する調査結果を発表した。この報告書によると、2020~22年にADHDと診断された5~17歳の子供の割合(有病率)は11.3%だったという。 その他の主な結果は以下のとおり。・5~17歳では、男児(14.5%)のほうが女児(8.0%)より有病率が高く、この傾向は5~11歳と12~17歳の年齢別においても一貫していた。・5~11歳の有病率(8.6%)よりも、12~17歳の有病率(14.3%)のほうが高かった。・有病率は、すべての人種において、5~11歳よりも12~17歳のほうが高かった。・5~17歳の子供のうち、黒人の子供(10.8%)やヒスパニック系の子供(8.9%)よりも白人の子供(13.4%)のほうが有病率が高かった。・世帯収入が上がるにつれてADHDの有病率は減少する傾向があり、5~17歳の有病率は世帯収入が米国貧困水準の100%未満の場合は14.8%だったが、200%以上では10.1%となった。世帯収入の増加とともにADHDの有病率が減少するパターンは、いずれの年齢層の子供にもみられた。・5~17歳の子供では、ADHDの有病率が最も高かったのは公的保険に加入している子供(14.4%)で、最も低かったのは無保険の子供(6.3%)だった。

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腰椎変性すべり症、除圧術単独は固定術併用に非劣性/BMJ

 腰椎変性すべり症に対する除圧術単独vs.固定術併用を検討した多施設共同無作為化非劣性試験「Nordsten-DS試験」の5年間の追跡調査で、除圧術単独群の固定術併用群に対する非劣性が示され、indexレベルまたは隣接腰椎レベルでの新たな手術実施の割合に群間で差はなかったという。ノルウェー・Haukeland University HospitalのEric Loratang Kgomotso氏らNordsten collaboratorsが報告した。BMJ誌2024年8月7日号掲載の報告。術後5年でOswestry disability index約30%低下達成の患者割合を評価 Nordsten-DS試験は、ノルウェーの公立整形外科および脳神経外科16ヵ所で腰椎変性すべり症患者を対象に、固定器具を用いて行う除圧術(固定術併用)に対して除圧術単独が非劣性であるかを、初回手術から5年後の時点で評価した。対象は、症候性腰部脊柱管狭窄症を有し、狭窄レベルで3mm以上のすべりがある18~80歳の患者であった。 主要アウトカムは、ベースラインから追跡5年時点のOswestry disability indexの約30%の低下。事前に規定した非劣性マージンは、主要アウトカム達成患者の割合の差が15%ポイントであることとした。副次アウトカムは、Oswestry disability index、Zurich claudication questionnaire、脚部・腰部疼痛の数値的評価スケール、およびEuroQol Group 5-Dimension(EQ-5D-3L)質問票の平均変化値などであった。修正ITT解析の達成患者割合は両群63%、事前規定の非劣性マージン達成 2014年2月12日~2017年12月18日に、267例が1対1の割合で除圧術単独群(134例)または固定術併用群(133例)に無作為に割り付けられた。このうち230例(88%)が5年時の質問票に回答した(除圧術単独群121例、固定術併用群109例)。ベースラインの平均年齢は66.2歳(SD 7.6)、女性は69%を占めた。 欠損データに対する多重代入法を用いた修正ITT解析において、除圧術単独群84/133例(63%)と固定術併用群81/129例(63%)が、Oswestry disability indexの30%以上低下を達成し、群間差は0.4%ポイント(95%信頼区間[CI]:-11.2~11.9)であった。per protocol解析の結果は、除圧術単独群65/100例(65%)、固定術併用群59/89例(66%)で、群間差は-1.3%ポイント(-14.5~12.2)であった。修正ITT解析およびper protocol解析のいずれにおいても、95%CI値は事前規定の非劣性マージンである-15%を下回らなかった。 ベースラインから5年時までのOswestry disability indexの平均変化値は、両群ともに-17.8だった(平均群間差:0.02[95%CI:-3.8~3.9])。その他の副次アウトカムの結果は、主要アウトカムと同様の傾向を示した。 新たな腰椎手術は、追跡2~5年の間に除圧術単独群で6/123例(5%)、固定術併用群で11/113例(10%)に行われた。ベースラインから5年時までの同手術の総数は、除圧術単独群21/129例(16%)、固定術併用群23/125例(18%)であった。

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国内での小児の新型コロナ感染後の死亡、経過や主な死因は?

 2024年8月9日時点での新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の国内での流行状況によると、とくに10歳未満の小児患者が多い傾向にある1)。日本でCOVID-19発症後に死亡した0~19歳の小児・青年患者の特徴を明らかにするために、国立感染症研究所のShingo Mitsushima氏らの多施設共同研究チームは、医療記録および死亡診断書から詳細な情報を収集し、聞き取り調査を行った。その結果、53例の情報が得られ、ワクチン接種対象者の88%が未接種であったことや、発症から死亡までの期間は77%が7日未満であったことなどが判明した。CDCのEmerging Infectious Diseases誌2024年8月号に掲載。 日本では、2022年にオミクロン株が初めて検出された後、小児COVID-19患者数が急増した。2021年12月までに0~19歳のSARS-CoV-2陽性患者数は24万例(0~9歳:8万4千例、10~19歳:15万6千例)だったが、2022年1~9月(オミクロン株流行期)には480万例(0~9歳:240万例、10~19歳:240万例)に増加し、死亡者数も増加した。 本研究では、厚生労働省、地方自治体、保健所、HER-SYS、学会、メディアから小児・青年死亡症例の情報を収集した。症例は、発症または死亡日が2022年1月1日~9月30日である0~19歳におけるSARS-CoV-2感染後に発生した死亡症例と定義した。死因について、中枢神経系異常、心臓異常、呼吸器異常、その他、不明に分類した。患者の発症から死亡までの日数の中央値と四分位範囲(IQR)を算出し、選択された変数の適合度を検定するために、x2検定またはFisherの正確確率検定を用いた。発症から初回診察、心肺停止、または死亡までの間隔を異なる死因間で比較するためにlog-rank検定を用いた。 主な結果は以下のとおり。・COVID-19発症後に死亡した0~19歳の小児・青年患者62例が確認され、うち53例について詳細な調査を実施できた。46例(87%)は内的死因、7例(13%)は外的死因(新型コロナ感染後の溺水や窒息などの予期せぬ事故)であった。・内的死因患者46例のうち、1歳未満が7例、1~4歳が15例、5~11歳が18例、12~19歳が6例であった。19例に基礎疾患が認められた。・ コロナワクチン接種対象者(5歳以上)は24例で、そのうち21例(88%)がワクチンを接種していなかった。2回のワクチン接種済みの3例(12歳以上)のCOVID-19発症日は、最後のワクチン接種日から3ヵ月以上経過していた。・入院前は呼吸器症状よりも非呼吸器症状のほうが多く、疑われた死因は、多い順に、中枢神経系異常(急性脳症など)が16例(35%)、心臓異常(急性心筋炎など)が9例(20%)、呼吸器異常(急性肺炎など)が4例(9%)だった。小児の多系統炎症性症候群(MIS-C)は認められなかった。・基礎疾患のない患者(27例)では、最も多く疑われた死因は中枢神経系異常(11例)、次いで心臓異常(5例)だった。呼吸器異常は認められなかった。・入院前に救急外来で確認された死亡者数は19例、入院後の死亡者数は27例であった。患者の46%は院外心停止で死亡した。・中枢神経系異常を認めた16例では、発症から心肺停止までの中央値は2日(IQR:1.0~12.0)、発症から死亡までの中央値は3.5日(2.0~14.5)だった。5~11歳が最も多く(9例/56%)、1歳未満はいなかった。急性脳症の12例のうち、出血性ショック脳症症候群(HSES)が疑われたのは5例、急性劇症脳浮腫を伴う脳症が1例、分類不能脳症が 6例であった。・心臓異常を認めた9例では、発症から心肺停止までの中央値は4日(IQR:2.0~4.0)、発症から死亡までの中央値は4日(2.0~5.0)だった。 8例に臨床的急性心筋炎が検出された。 本研究の結果、小児・青年のCOVID-19発症後の死因として、中枢神経系異常、次いで心臓異常が多かったことが示された。徴候・症状への対処に加えて、臨床医は基礎疾患にかかわらず、COVID-19発症から少なくとも最初の7日間は小児・青年患者を注意深く観察すべきだ、と著者らはまとめている。

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対話型テキストメッセージの禁煙介入、青少年の禁煙率を上昇/JAMA

 ソーシャルメディアを通じて募集したベイピングの中止を希望する青少年に対して、対話型のテキストメッセージによる禁煙介入は、評価のみの対照と比較して、自己申告によるベイピングの禁煙率を上昇させることが、米国・Truth InitiativeのAmanda L. Graham氏らによる無作為化二重盲検比較試験の結果で示された。電子タバコは、青少年の間で最も一般的に使用されているタバコ製品である。10代の青少年のニコチン曝露による有害性は知られているものの、検証されたベイピングを中止するための介入法はなかった。JAMA誌オンライン版2024年8月7日号掲載の報告。対話型テキストメッセージの介入群と、評価のみの対照群に無作為化 研究グループは2021年10月1日~2023年10月18日に、13~17歳で現在(過去30日)電子タバコを使用し、30日以内の禁煙に興味があり、テキストメッセージプラン付きの携帯電話を有する米国居住者を、介入群または対照群に1対1の割合で無作為に割り付けた。 参加者は、Instagram、Facebook、Snapchatの広告を通じて募集された。 フォローアップ率を最適化するために、電子タバコの使用に関するインセンティブ付きのテキストメッセージ調査(1通5ドル)を、無作為化14日後、以降は6ヵ月間の追跡期間中毎月、すべての参加者に送り評価した。 対照群は、上記の研究継続テキストメッセージのみを受信した。介入群は、研究継続テキストメッセージに加え、認知および行動的対処技術トレーニングと社会的サポートを提供するベイピング中止のための自動対話型テキストメッセージプログラムを受信した。 主要アウトカムは、7ヵ月時点での自己申告に基づく30日間のベイピングの禁煙率。欠測値はベイピングの使用としてコード化しITT解析を行った。7ヵ月時点の30日禁煙率は介入群37.8% vs.対照群28.0% 適格基準を満たした1,503例が、介入群(759例)と対照群(744例)に無作為化された。平均年齢は16.4歳(SD 0.8)、女性50.6%・男性42.1%・ノンバイナリーまたはその他7.4%、黒人またはアフリカ系アメリカ人10.2%・白人62.6%・多民族18.5%・その他8.7%、ヒスパニック16.2%、LGBQ+42.5%で、76.2%が起床後30分以内にベイピングを使用していた。7ヵ月間の追跡調査率は70.8%であった。 主要アウトカムである7ヵ月時点の30日禁煙率は、介入群で37.8%(95%信頼区間[CI]:34.4~41.3)、対照群で28.0%(24.9~31.3)であり、相対リスクは1.35(95%CI:1.17~1.57、p<0.001)であった。 30日禁煙率に対する治療効果に影響を及ぼす、ベースラインにおける変数はなかった。また、ベイピングをやめた参加者が、燃焼式タバコ製品に移行したというエビデンスは確認されなかった。

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クリーフストラ症候群〔KS:Kleefstra Syndrome〕

1 疾患概要■ 概念・定義2009年にクリーフストラらが9番染色体長腕サブテロメア欠失を持つ複数の症例について、重度から中等度の知的障害、筋緊張低下、てんかんに加え、特徴的な顔貌など、共通する臨床症状があることを報告した。その論文の中で、共通欠失領域に位置していたEHMT1遺伝子が責任遺伝子である可能性を疑い、同様の症状を示しながら9番染色体長腕サブテロメア欠失がない患者を調べたところ、EHMT1遺伝子の病的なバリアントが認められたため、EHMT1の機能喪失が原因であることを明らかにした。これにより、EHMT1遺伝子を含む9番染色体長腕サブテロメア欠失と、EHMT1遺伝子の病的バリアントによって引き起こされる病態をクリーフストラ症候群と称するようになった。■ 疫学正確な疾患頻度は明らかでないが、厚生労働省・山本研究班による複数施設での定点観測では、1万人~1万5,000人に1人と推測され、わが国には推定数千人の患者が存在すると考えられている。■ 病因9番染色体長腕末端から約1-Mbに位置するEHMT1を含む9番染色体長腕の部分欠失による場合と、EHMT1の機能喪失変異による場合がある。染色体欠失による場合の多くはサブテロメア欠失であるが、その切断端は多様であり、欠失サイズもさまざまである。基本的に染色体欠失も遺伝子の機能喪失変異も突然変異によって生じるが、サブテロメア欠失の場合は、他の染色体サブテロメア領域との不均衡転座によっても生じる可能性があり、その場合は両親のどちらかが均衡転座保因者の可能性があるため、次の妊娠時に同じ染色体異常が繰り返されたり、反復流産の原因となることがある。■ 症状知的障害、筋緊張低下、小頭症、先天性心疾患(とくに円錐幹の欠陥)、てんかん(約30%)、および特徴的顔貌(癒合したアーチ型の眉、眼間解離、短鼻、開いた口、および突出した舌など)を示す。その他、先天性心疾患(全患者の50%)、腎泌尿器奇形(全患者の10~30%)、睡眠障害や常同行為などの行動異常、外性器異常、難聴などが認められることがある。■ 予後合併症によるが、一般的に生命予後が不良であるという報告はない。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)染色体異常の場合、マイクロアレイ染色体検査などで9番染色体長腕サブテロメア領域のEHMT1遺伝子を含んだ欠失を確認することにより診断される(図)。遺伝子変異の場合、ターゲット解析、網羅的解析に関わらず、EHMT1の機能喪失変異を確認することにより診断される。図 9番染色体長腕サブテロメア欠失の確認画像を拡大するUCSC genome browserにより、3例のクリーフストラ症候群自験例の欠失範囲を表示した。全例欠失範囲内にEHMT1遺伝子(赤丸)を含む。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)根本的な治療法はない。てんかんに対しては、発作型に合わせた治療が必要である。神経発達症に由来する多動や行動障害に対しては、環境調整や必要に応じた薬物療法を要することがある。 4 今後の展望疾患概念が明らかになってきたばかりであり、疾患特性の理解や治療法の開発はこれからである。5 主たる診療科小児の場合は小児科遺伝学的検査の場合は遺伝診療科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報「マイクロアレイ染色体検査で明らかになる染色体微細構造異常症候群を示す小児から成人の診断・診療体制の構築」研究班ホームページ(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報クリーフストラ症候群日本家族会(患者とその家族および支援者の会)1)Kleefstra T, et al. J Med Genet. 2009;46:598-606.2)Kleefstra T, et al. Am J Hum Genet. 2012;91:73-82.3)Yang Q, et al. Front Neurol. 2024;15:1340458.4)今泉太一、山本俊至. 脳と発達.2024;56:270-272.公開履歴初回2024年08月15日

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乳がん遺伝子パネル検査の前向き研究、推奨治療到達率は?(REIWA study)/日本乳癌学会

 転移・再発乳がんにおけるがん遺伝子パネル検査の有用性を評価する前向き観察研究であるREIWA study(JBCRG C-07)の中間解析結果をもとに、乳がん治療におけるゲノム医療の現状や問題点、今後の展望を東北大学病院の多田 寛氏が第32回日本乳癌学会学術総会のシンポジウムで発表した。 標準治療が終了した進行・再発乳がん患者を対象に、2019年6月からがん遺伝子パネル検査が保険で利用できるようになった。本研究では、FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル(F1CDx)およびFoundationOne Liquid CDx がんゲノムプロファイル(F1LCDx)を行うことが決定したde novo StageIVまたは転移・再発乳がん患者を2020年1月~2023年7月に前向きに登録し、変異情報、変異にマッチした治療の情報、後治療、予後などの項目を現在も収集している。主要評価項目は遺伝子変異に対応する治療(推奨治療)が存在した集団における推奨治療が施行された割合、および推奨された治験や臨床試験に参加した割合であった。本シンポジウムでは、第2回の中間解析時点の結果やがんゲノム情報管理センター(C-CAT)の乳がん症例データをもとに、転移・再発乳がんに対するゲノム医療の現状と問題点、今後の展望についての考察が示された。 主な内容は以下のとおり。・解析対象は576例で、Luminalタイプが310例(53.8%)、HER2タイプが93例(16.1%)、トリプルネガティブタイプが173例(30.0%)であった。年齢中央値は56歳(50歳以上が70.1%)、再発は74.1%、再発後の治療レジメン数中央値は3レジメン、F1CDxが選択されたのは85.2%であった。F1LCDxが選択された群では50歳以上の割合が多く、再発後の治療レジメン数も多かった。・推奨治療が提示された割合は61.0%(350/574例)で、複数の推奨治療が提示されたのは23例であった。・全体において、推奨治療(主治医判定)が実際に施行されたのは18.1%(104/574例)であった。・HER2タイプに対する抗HER2療法など既知のものを除くと、治療到達率は13.8%(78/574例)であった。F1CDx群では14.1%(69/489例)、F1LCDx群では11.8%(10/85例)であった(p=0.543)。・主要評価項目である推奨治療が存在した集団における推奨治療が施行された割合は29.7%(104/350例)、推奨された治験や臨床試験に参加した割合は4.0%(14/350例)であった。・治験以外の推奨治療の内訳(n=79)は、免疫チェックポイント阻害薬が29.1%、mTOR阻害薬が21.6%、抗HER2療法が20.2%、PARP阻害薬が13.9%、NTRK阻害薬が5.1%、CDK4/6阻害薬が3.8%、SERDが2.5%、その他が2.5%であった。・F1LCDxを選択した理由(n=85)は、「組織の保存期間が長い」が49.4%、「生検による組織検体の採取が困難」が32.9%、「組織標本は得られたが解析が困難であった」が24.7%、「遺伝子変化の状態をよりよく理解することができる」が8.2%であった。・F1CDx/F1LCDx後の治療の選択理由は、「actionableな遺伝子変異がなく承認薬を施行した」が1stラインでは26%、2ndラインでは19.5%、「actionableな遺伝子変異があり対応する治療を施行した」が13.5%/4.3%、「actionableな遺伝子変異があり対応する治験・臨床試験に参加した」が1.9%/1%、「actionableな遺伝子変異があったが対応しない承認薬を施行した」が25.7%/20%であった。 多田氏は、C-CATについては、「遺伝子変異状況や推奨治療の予測にはC-CATのような大規模なデータベースが有用と考えられる。C-CATの乳がん症例における入力ベースの推奨治療到達率は9.7%であったが、推奨治療薬の薬剤名の未入力が多く、また標的治療に殺細胞性抗がん剤が入力されているなど、入力内容の不十分さが散見される」と見解を示した。 最後に、「REIWA studyは治療歴や予後情報などがクエリ作業のもとに正確に入力されており、転移・再発乳がんにおけるゲノム医療の貴重なデータとなる。今後、全生存期間や個々の標的治療の治療効果を含めた副次評価項目の解析を行い、がん遺伝子パネルの有用性を正確に評価していく」とまとめた。

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浸潤性子宮頸がん、HPV遺伝子型別の有病率を解明/Lancet

 ヒトパピローマウイルス(HPV)の遺伝子型別に浸潤性子宮頸がん(ICC)の有病率を把握することは、1次予防(すなわちワクチン接種)および2次予防(すなわちスクリーニング)のターゲットとすべきHPV遺伝子型を明らかにすることを可能とする。フランス・国際がん研究機関(IARC/WHO)のFeixue Wei氏らは、各HPV遺伝子型のICCとの因果関係を明らかにするために、世界レベル、地域レベルおよび各国レベルのHPV遺伝子型別の人口寄与割合(AF)をシステマティックレビューにより推定した。Lancet誌2024年8月3日号掲載の報告。HPV陽性ICCと正常子宮頸部細胞診の各HPV遺伝子型の有病率を比較 研究グループは、ICCまたは子宮頸部細胞診の正常例における各HPV遺伝子型の有病率を報告している試験を対象としたシステマティックレビューを行った。適格試験の特定には、文献言語に制限を設けず、「cervix」「HPV」を検索単語として用い、2024年2月29日までにPubMed、Embase、Scopus、Web of Scienceに登録された文献を検索した。 地域、文献発行年、HPVプライマー/検査で補正したロジスティック回帰モデルを用いて、HPV陽性ICCと子宮頸部細胞診の正常例の各HPV遺伝子型の有病率を比較し、オッズ比(OR)を推算した。 ORの95%信頼区間(CI)下限が1.0を超えるHPV遺伝子型をICCの原因であると判定。対応する地域の遺伝子型別のAFは、ICCにおける地域別HPV有病率に「1-(1/OR)」を乗じて算出し、計100%になるよう比例調整して推算した。世界的AFは、2022年の地域別ICC症例数(GLOBOCAN)で重み付けされた地域別AFから推算した。ICCの原因とみなされたHPV遺伝子型は17個、HPV16の世界的AFが最も高率 システマティックレビューにより、HPV陽性ICCの症例11万1,902例と子宮頸部細胞診の正常例275万5,734例を含む1,174試験を特定した。 ICCの原因とみなされたHPV遺伝子型は17個であり、ORの範囲は、HPV16の48.3(95%CI:45.7~50.9)からHPV51の1.4(1.2~1.7)までと広範囲にわたった。 世界的AFが最も高いのはHPV16で(61.7%)、以下HPV18(15.3%)、HPV45(4.8%)、HPV33(3.8%)、HPV58(3.5%)、HPV31(2.8%)、HPV52(2.8%)と続いた。その他の遺伝子型(HPV35、59、39、56、51、68、73、26、69、および82)の世界的AFは、合わせて5.3%であった。 HPV16と18、およびHPV16、18、31、33、45、52、58を合わせたAFは、アフリカで最も低く(それぞれ71.9%と92.1%)、中央・西・南アジアで最も高かった(それぞれ83.2%と95.9%)。HPV35はアフリカ(3.6%)で他の地域(0.6~1.6%)よりもAFが高かった。 結果を踏まえて著者は、「今回の研究は、HPVワクチン接種の影響を受ける前の、ICCにおけるHPV遺伝子型別のAFの世界的な実情を示すものとなった。これらのデータは、ICC負担を軽減するHPV遺伝子型特異的ワクチン接種戦略およびスクリーニング戦略に役立つ可能性がある」とまとめている。

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2024年12月期第2四半期 決算説明

2024年12月期第2四半期業績について  :代表取締役社長 CEO 藤井勝博新中期経営“ビジョン2026”の進捗について:代表取締役社長 CEO 藤井勝博※IRページは こちら からお戻りいただけます※タイトルを選ぶとお好きなチャプターからご覧いただけます。※IRページは こちら からお戻りいただけます.banAdGroup{display:none;}.bottomNotice{display:none;}

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Amazonファーマシーとは?メリット・デメリットを考察【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第136回

「Amazonファーマシー」が7月23日にサービスを開始しました。薬局業界にとっては久しぶりのビッグネームの参入で、インパクトが大きいですよね。薬局の未来を左右するのでは? うちの薬局は大丈夫? と不安になっている人もいるかもしれません。「Amazonファーマシー」といっても、リアルに薬局の店舗が作られたということではありません。リアルに存在する薬局と連携して、服薬指導はそれぞれの薬局が行います。業界トップクラスのドラッグストアや調剤薬局チェーンを含む約2,500店舗と提携したと発表されており、スタート時点ですでに存在感を示していると言えるでしょう。しかし、なぜリアルの薬局との連携が必要なの? Amazonは薬を配送するだけ? と疑問に思ったのは私だけではないはずです。「Amazonファーマシー」というサービスはいったいどういうものなのでしょうか。【Amazonファーマシー利用の流れ】(1)医療機関で診療を受け、電子処方箋を取得する。(2)Amazonショッピングアプリで薬局を選んで、処方内容の画像を送る。(3)予約した日時にビデオ通話で服薬指導を受け、会計する。(4)処方薬を配送または店舗で受け取る。処方薬はAmazonが配送するわけではなく、それぞれの薬局が行います。配送料は薬局ごとに異なり、ほとんどの場合が患者負担になります。配送料無料の薬局が出てくるかもしれませんが、Amazonファーマシーを利用するほうがコストは高くなりそうです。なお、Amazonファーマシーを利用しても、処方薬を薬局で受け取れば配送料はかかりません。薬局での待ち時間がなく、都合のよい時間に服薬指導を受けられ、自宅などに処方薬が送られてくるという点はメリットと言えそうです。しかし、送料を負担し、しかも薬が届くまで時間がかかるのにAmazonファーマシーを使うかな…と考えてしまいます。Amazonファーマシーで近所の薬局を見つけ、都合のよい時間に服薬指導を受け、買い物のついでに薬局に処方薬を取りに行く、というのであれば送料もかからず効率的な使い方かもしれません。しかし、Amazonファーマシーを利用するには電子処方箋が必要で、現時点の日本における電子処方箋の普及率は2%です。医療機関に受診して近所のかかりつけ薬局に紙の処方箋を出して…という流れが定着している中で、この配送サービスがどのくらい伸びてくるのでしょうか。電子処方箋の普及率を上げたいと思った政府が、何らかの点数などを付ける日が来たら変わるかもしれません。なお、同様のサービスでは、2024年4月より開始された「楽天ヘルスケア ヨヤクスリ」があります。薬局で処方薬の受け取り予約ができるサービスで、希望する薬局を選び、処方箋または電子処方箋引き換え番号が記載された控え用紙の画像を送付し、受け取り日時を選択して、その日時に受け取りに行きます。現在は自宅配送にも対応しています。これらに参入するためには、おそらく手数料としていくらか払うことになると思うので、処方箋1枚の利益率は下がります。私個人としては、このようなサービスはまだ患者さんにも薬局にもメリットが少ないのではないかと思いますが、とにかく枚数をさばく時代は終わったと感じます。薬局の内外でさまざまなサービスがあり、薬局もそれらを選択することでどのような薬局になるのかを選択する時代がやってきました。目の前の患者さんを大事に、そしてどういう薬局になっていくのか、生き残るために考えて実践するというのは必須の要素になりそうです。

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第227回 いわば毒をもって毒を制す斬新なHIV治療手段がサルで有効

いわば毒をもって毒を制す斬新なHIV治療手段がサルで有効いわば毒をもって毒を制す新たなHIV治療手段がサルを使った検討1,2)で有望な成績を収め、ヒトに投与する試験の計画が進められています。HIV感染をHIV投与によって封じるというその斬新な手段はさかのぼること15年以上も前にカリフォルニア大学サンフランシスコ校の生物物理学者Leor Weinberger氏が思い付きました3)。Weinberger氏はインフルエンザウイルスがときに不完全なウイルスを生み出し、それが正常ウイルス(野生型ウイルス)の邪魔をするということを大学院のときに知ってその手段を思いつきました。欠損変異のせいで半端なそのようなウイルスは自力では複製できませんが他力本願で増えることができます。半端ウイルスは感染細胞内の野生型ウイルスに押し入り、複製や身繕いに不可欠なタンパク質を奪って野生型ウイルスを減らします。ゆえに都合よく増えるように仕立てた半端ウイルスは一回きりの投与で長く治療効果を発揮すると予想され、Weinberger氏らは2007年に研究に取り掛かり、それから約10年を経た2018年に求める特徴を備えた治療用の半端HIV(以下、治療用HIV)を手にしました。Weinberger氏らは複製を助ける配列を残しつつHIV遺伝子一揃いを切り詰めることで治療用HIVのゲノムを作製しました。治療用HIVは構造がより単純なため、野生型HIVの先を越してより早く複製することができます。治療用HIVの効果は幼いサルを使った検討で検証されました。6匹にはまず治療用HIVが投与され、その24時間後にサルのHIV同等ウイルス(SHIV)が投与されました。4匹にはSHIVのみ投与されました。30ヵ月後の様子を調べたところ、治療用HIVが投与されたサル6匹中5匹は健康で、SHIV濃度はピーク時のおよそ1万分の1で済んでいました3)。一方、治療用HIVが投与されなかった4匹のうち3匹は病んで16週時点で安楽死させられました。治療用HIVは増えずに居続けることもでき、いざとなれば復活して潜伏感染HIVの再現を封じうることも患者細胞などを使った検討で確認されています。また野生型HIVと同様に治療用HIVはヒトからヒトに伝播することができます。その特徴は望まないのに治療用HIVをもらってしまうという倫理的懸念を孕みます。しかし経口ポリオワクチンの弱毒化ウイルスが他のヒトに移って免疫を助けるのと同じように、治療用HIVの伝播はHIV感染の世界的な蔓延を減らす助けになるかもしれません。今後の予定としてWeinberger氏らは治療用HIVをサルでさらに検討するつもりです。また、カリフォルニア州からの助成により実施される臨床試験に関する米国FDAとの話し合いも進んでいます3)。HIV感染に加えてその他の末期の病気も患う患者が被験者として想定されています。それら被験者にまず治療用HIVを投与し、次に抗レトロウイルス薬を中止してウイルス量がどう推移するかが検討される見込みです。被験者が亡くなったらその組織を解析し、治療法HIVと関連する炎症やその他の問題が生じていないかどうかが調べられる予定です。試験が来年早々に始まることをWeinberger氏は期待しています。参考1)Pitchai FNN, et al. Science. 2024;385:eadn5866. 2)Study: Single experimental shot reduces HIV levels 1,000-fold / Oregon Health & Science University 3)Bold new strategy to suppress HIV passes first test / Science

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精神科「統合失調症」【臨床実習を味わうケアネット動画Café】第6回

動画解説臨床研修サポートプログラムの研修医のための精神科ベーシックより、内田直樹先生の「統合失調症」を鑑賞します。初期研修は、身体疾患とは見方の異なる精神科に触れられる貴重な機会。統合失調症の特徴を捉えたわかりやすいスライドは必見です!

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