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第1回 医療水準:未熟児網膜症事件

■今回のテーマのポイント1.過失とは、「診療当時のいわゆる臨床医学の実践における医療水準」に満たない診療を行ったことである2.新規治療法が全国に普及していく過程においては、医療機関の性格、所在地域の医療環境の特性等の諸般の事情を考慮して医療水準を判断する3.このことは、すでに普及している治療法についても同様に判断される事件の概要原告出生時においては、未熟児網膜症について、各種研究報告がなされており、その存在は認識されてきているものの、いまだ(旧)厚生省において、診断と治療に対する研究班が組織されている最中であり、報告書等もまだ出ておらず、また、未熟児網膜症の診断と治療につき、研修を受けられる施設もほとんどありませんでした。このような時期において、原告に対する未熟児網膜症の発見が遅れたため、両眼ともに視力が0.06となった事案について、被告の眼底検査義務、診断治療義務、転医義務違反が争われました。事件の経過原告は、昭和49年12月11日に妊娠31週、体重1508gで出生しました。原告は、被告病院において、保育器にて酸素投与等を受け、翌年1月23日に保育器より出て、2月21日に退院しました。その間、原告に対し、眼底検査は12月27日に1回行われ、「格別の変化がなく、次回検診の必要なし」とされていました。その後、3月28日に眼底検査を行った際も、「異常なし」と診断されたものの、4月9日の眼底検査上、異常が認められ、同月16日に他院を紹介受診したところ、両眼とも未熟児網膜症瘢痕期3度であると診断されました。最終的に原告の視力は両眼とも0.06となりました。原告出生時においては、未熟児網膜症について、各種研究報告がなされており、被告病院でも、その存在は認識され眼科医と協力し、未熟児網膜症を発見した場合には転医する体制をとっていました。しかし、いまだ未熟児網膜症に対する光凝固療法は有効な治療法として確立されているとは言えず、(旧)厚生省においても診断と治療に対する研究班が組織されている最中であり、報告書が公表されたのは昭和50年8月以降でした。また、未熟児網膜症の診断と治療につき、医師が研修を受けられる施設はほとんどなく、実際に被告病院眼科医も研修を受けていませんでした。事件の判決当該疾病の専門的研究者の間でその有効性と安全性が是認された新規の治療法が普及するには一定の時間を要し、医療機関の性格、その所在する地域の医療環境の特性、医師の専門分野等によってその普及に要する時間に差異があり、その知見の普及に要する時間と実施のための技術・設備等の普及に要する時間との間にも差異があるのが通例であり、また、当事者もこのような事情を前提にして診療契約の締結に至るのである。したがって、ある新規の治療法の存在を前提にして検査・診断・治療等に当たることが診療契約に基づき医療機関に要求される医療水準であるかどうかを決するについては、当該医療機関の性格、所在地域の医療環境の特性等の諸般の事情を考慮すべきであり、右の事情を捨象して、すべての医療機関について診療契約に基づき要求される医療水準を一律に解するのは相当でない。そして、新規の治療法に関する知見が当該医療機関と類似の特性を備えた医療機関に相当程度普及しており、当該医療機関において右知見を有することを期待することが相当と認められる場合には、特段の事情が存しない限り、右知見は右医療機関にとっての医療水準であるというべきである(最判平成7年6月9日第民集49巻6号1499頁)ポイント解説民事医療訴訟において、損害賠償責任が認められるためには、不法行為(民法709条※)の要件である(1)過失(故意は稀有)、(2)損害、(3)(過失等と損害の間に)因果関係が認められなければなりません。そして、医療訴訟における過失とは、「診療当時のいわゆる臨床医学の実践における医療水準」に満たない診療を行ったことと考えられています(最判昭和57年3月30日民集135号563頁)。一方で、わが国の医療提供体制は、大きく1次医療機関から3次医療機関まで定められており、それぞれの医療機関が有する診断機器等物理的設備に大きな差があることから、必然的に診断・治療能力に差が生じます。もちろん、診察の上、高次の医療機関による診療を行うべきと判断された場合には、転医を行うこととなりますが、致命的な希少疾患であっても、症状・所見に乏しい場合も多々あること、基礎となる診断機器等物理的設備に制限もあることから限界があるといえましょう。そこで、法的に求められる「診療当時のいわゆる臨床医学の実践における医療水準」が、医療機関の性格、所在地域等を問わず一律の水準が求められるのかが問題となります。本判決では、「新規治療法においては、ある一つの時点を境に、全国すべての医療機関に対して、一律に医療水準とするというのではなく、現実的に各医療機関に順次伝達していくという事情を踏まえ、医療機関の性格、所在地域の医療環境の特性等の諸般の事情を考慮すべき」と判示しました。しかし、本判決はガイドラインが作成されている等、すでに一定程度普及していると考えられる診断・治療については、医療機関の性質を問わず、一律の水準が求められ、ただ転医義務の問題が生ずるにすぎないと考えるのか、そうではなく現実に基づき、各医療機関の性質によって求められる水準が異なると考えるのかについては、言及していませんでした。ただ、その後の判決において、本判決を引用して、「人の生命及び健康を管理すべき業務(医業)に従事する者は、その業務の性質に照らし、危険防止のために実験上必要とされる最善の注意義務を要求されるのであるが(最判昭和36年2月16日民集15巻2号244頁)、具体的な個々の案件において、債務不履行又は不法行為をもって問われる医師の注意義務の基準となるべきものは、一般的には診療当時のいわゆる臨床医学の実践における医療水準である(最判昭和57年3月30日民集135号563頁)。そして、この臨床医学の実践における医療水準は、全国一律に絶対的な基準として考えるべきものではなく、診療に当たった当該医師の専門分野、所属する診療機関の性格、その所在する地域の医療環境の特性等の諸般の事情を考慮して決せられるべきものであるが(最判平成7年6月9日民集49巻6号1499頁)、医療水準は、医師の注意義務の基準(規範)となるものであるから、平均的医師が現に行っている医療慣行とは必ずしも一致するものではなく、医師が医療慣行に従った医療行為を行ったからといって、医療水準に従った注意義務を尽くしたと直ちにいうことはできない」(最判平成8年1月23日民集50巻1号1頁)と判示しており、これが現時点における医療水準についての判例となっていることから、現実に基づき「各医療機関の性質によって求められる水準が異なると考えられている」といえます。※参照条文(不法行為による損害賠償)第709条  故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。裁判例のリンク次のサイトでさらに詳しい裁判の内容がご覧いただけます(出現順)。最判平成7年6月9日民集49巻6号1499頁最判昭和57年3月30日民集135号563頁最判昭和36年2月16日民集15巻2号244頁最判平成8年1月23日民集50巻1号1頁

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更年期症状に悩む女性に適切なアドバイス可能な研究成果が報告

女性が経験する自然閉経前後の症状を特徴づけ、症状のプロファイルや変遷別に階層化すること、また各症状プロファイルと社会統計学的因子や健康への取り組みとを関連づけることを目的とする前向きコホート研究が英国で行われた。同国University College and Royal Free Medical SchoolのGita D Mishra氏らによるもので、「医療従事者が自然閉経を迎えさまざまな症状を経験する女性に対し、個々に見合った適切なアドバイスを提供するのに役立つ結果が得られた」と報告している。BMJ誌2012年3月3日号(オンライン版2012年2月8日号)掲載報告より。47~54歳女性695例について閉経前後の不快症状を収集・分析Mishra氏らは、イングランド、スコットランド、ウェールズに住む女性の代表を対象とした全英代表コホート研究を行った。被験者は、1946年生まれの女性695例で、47~54歳で自然閉経を迎えるまでの間について追跡された。その間に収集された20の一般的な健康関連症状(睡眠障害、頭痛・関節痛、乳房痛、ほてりなど)について分析を行った。主要評価項目は、報告された長期にわたる不快症状プロファイルとした。その結果、20の症状のうち18の症状は、4つの症候群(精神的、身体的、血管運動性、性的不快感)に分類できた。潜在クラス分析の結果、身体的症候群を除くその他3群の症状については、閉経期における明白な関連性がかなりの女性で認められた。精神的、血管運動性、性的不快感の各症状について閉経期との関連性が明快に例えば、重度の精神的症状プロファイルが閉経時またはその後にピークが認められたが、その割合は小さかった(10%、n=63)。血管運動性症状は、閉経後早期にピークがあり、その後は顕著に減少していた早期重症プロファイルを示した女性が14%(n=83)いた一方で、閉経期に急増し、閉経後4年間以上やっかいな症状が続いた遅延性重症プロファイルを示した女性が11%(n=67)だった。また、重度の血管運動性症状は、非単純労働者階級(オッズ比:0.79、95%信頼区間:0.57~1.01)や、有資格・免許者(同:0.37、0.18~0.77)の場合は低かった。性的不快感に関しては、閉経までに症状が増大し閉経後も同程度持続していた遅延性重症プロファイルを示した女性が14%(n=85)だった。既婚女性は、遅延性の重度あるいは中程度のプロファイルを示す傾向が、その他の婚姻状態の女性と比べて認められた(同:2.40、1.30~4.41)。身体的症状は、軽度、中程度、重度、重篤の4つに特徴づけられたが、暦年齢や閉経時年齢分けはできなかった。

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がん化学療法中の患者へのsemuloparin、血栓塞栓症イベントを低下

がん化学療法を受けている患者に対するsemuloparinの投与は、重大出血の顕著な増加なく、血栓塞栓症イベント発生率を低下することが明らかにされた。イタリア・ペルージャ大学のGiancarlo Agnelli氏らが、47ヵ国395施設から3,212例を対象とした多施設共同無作為化二重盲検試験の結果による。がん化学療法を受けている患者は、静脈血栓塞栓症のリスクが高いことが知られる。これまで、抗血栓薬の予防処置の臨床上の有益性が支持された試験データは限定的なものだった。NEJM誌2012年2月16日号掲載報告より。静脈血栓塞栓症予防と出血を判定研究グループは、がん化学療法を受けている患者の静脈血栓塞栓症予防について、超低分子量ヘパリンsemuloparinの有効性と安全性を評価することを目的に試験を行った。転移性または局所進行性の固形腫瘍に対する化学療法を受ける患者を、semuloparinを1日1回20mg皮下投与群またはプラセボ投与群に無作為に割り付け、化学療法のレジメン変更となるまで投与が行われた。主要有効性アウトカムは、あらゆる症候性深部静脈血栓症、あらゆる非致死性肺塞栓症、静脈血栓塞栓症に関連した死亡の複合とした。主要安全性アウトカムは、臨床的意義のある出血(重大および重大でない)とした。血栓塞栓症イベントの発生率を抑え得る治療期間の中央値は3.5ヵ月だった。静脈血栓塞栓症は、プラセボ投与群1,604例のうち55例(3.4%)で発生(リスク比:0.36、95%信頼区間:0.21~0.60、P<0.001)したのと比較して、semuloparin投与群では1,608例のうち20例(1.2%)だった。がんの原発部位、ステージ、ベースラインの静脈血栓塞栓症リスクで定義されたサブグループにおいても、一貫した有効性が認められた。臨床的意義のある出血の発生率は、semuloparin群2.8%、プラセボ群2.0%だった(リスク比:1.40、95%信頼区間:0.89~2.21)。大出血は、semuloparin投与群1,589例中19例(1.2%)、プラセボ投与群は1,583例中18例(1.1%)だった(同:1.05、0.55~1.99)。その他の有害事象の発生率はすべて両群で同程度だった。(朝田哲明:医療ライター)

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急性副鼻腔炎に対する抗菌薬治療、プラセボとの比較で症状改善みられず

急性副鼻腔炎に対するアモキシシリン(商品名:サワシリンほか)10日間投与の効果を、プラセボとの比較で検討した無作為化試験の結果、投与開始3日後、10日後での症状改善は認められなかったことが報告された。ただし7日後ではアモキシシリン群で有意な改善が認められたという。急性副鼻腔炎への抗菌薬投与に関するエビデンスは乏しいものの、医療現場では広く投与が行われている。本報告は、米国・ワシントン大学総合医科学部門のJane M. Garbutt氏らが、約170人について行った無作為化プラセボ対照試験の結果で、JAMA誌2012年2月15日号で発表した。アモキシシリン1,500mg/日を10日間投与、3、7、10、28日時点のアウトカムを評価研究グループは、2006年11月1日~2009年5月1日にかけて、米国ミズーリ州10ヵ所の医療機関で治療を受けた、合併症のない急性副鼻腔炎の成人166人(男性36%)について試験を行った。被験者を無作為に二群に分け、一方にはアモキシシリン1,500mg/日(1日3回投与、85人、平均年齢32歳)を、もう一方にはプラセボを(81人、同31歳)、それぞれ10日間投与した。被験者には、その他に、痛みや発熱、咳、鼻づまりの症状を抑える薬が必要に応じて5~7日間投与された。対症療法は92%(アモキシシリン群94%、プラセボ群90%、p=0.34)。主要アウトカムは、副鼻腔アウトカム尺度16により測定した生活の質(QOL)だった。副次アウトカムは、患者の後ろ向き自己評価による、症状や機能上の変化、再発や治療に対する満足度、副作用などだった。アウトカムの評価は、治療開始後3、7、10、28日後に、電話インタビューにより行われた。治療開始7日後のみで、アモキシシリン群の症状が有意に改善その結果、副鼻腔アウトカム尺度16の変化の平均値は、治療開始3日後でアモキシシリン群が-0.59に対し、プラセボ群は-0.54(群間差:0.03、95%信頼区間:-0.12~0.19)、10日後では同群間差0.01(同:-0.13~0.15)と、いずれも有意差はなかった。ただし、治療開始7日後の評価では、アモキシシリン群で改善幅が有意に大きく、群間差は0.19(同:0.024~0.35)だった。症状が改善したと答えた人の割合も、治療開始3日後がアモキシシリン群37%、プラセボ群34%(p=0.67)、同10日後がそれぞれ78%、80%(p=0.71)と、いずれの時点でも両群は同等だった。一方、治療開始7日後では、アモキシシリン群74%に対しプラセボ群が56%と、アモキシシリン群で有意に高率だった(p=0.02)。その他副次アウトカムについて、両群の差は認められなかった。重篤な有害事象は発生がなかった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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診療報酬改定セミナーのご案内 3月に4都市で開催(医療経済研究機構)

医療経済研究機構は15日、3月に開催する厚生労働省保険局医療課担当官からの「平成24年 診療報酬改定セミナー」の申し込み受け付けを開始した。開催地は東京、札幌、大阪、福岡の4都市。《平成24年 診療報酬改定セミナー【東京】》 【日 時】平成24年3月7日(水) 13:00 ~ 16:00 (開場12:30)【テーマ】「平成24年診療報酬改定について(医科・歯科・調剤)」【講 師】厚生労働省保険局医療課 担当官【会 場】ニッショーホール     東京都港区虎ノ門2丁目9番16号     TEL:03-3503-1486     会場地図>>http://www.nissho.or.jp/nissho-hall/kyoukai.html【参加費】会員:2,000円 / 非会員:5,000円《平成24年 診療報酬改定セミナー【札幌】》 【日 時】平成24年3月10日(土) 15:00 ~ 17:00 (開場14:30)【テーマ】「平成24年診療報酬改定について(医科)」【講 師】厚生労働省保険局医療課 担当官【会 場】TKPガーデンシティ札幌 きょうさいサロン 7階 飛鳥     北海道札幌市中央区北四条西1丁目 共済ビル7階     TEL:011-252-3165     会場地図>>http://kyosaisalon.net/access.shtml【参加費】会員:1,000円 / 非会員:3,000円《平成24年 診療報酬改定セミナー【大阪】》 【日 時】平成24年3月10日(土) 15:00 ~ 17:00 (開場14:30)【テーマ】「平成24年診療報酬改定について(医科・調剤)」【講 師】厚生労働省保険局医療課 担当官【会 場】TKP大阪梅田ビジネスセンター 4階 ホール4A     大阪府大阪市福島区福島5-4-21 TKPゲートタワービル4階     TEL:06-4797-6610     会場地図>>http://tkpumeda.net/access.shtml【参加費】会員:1,000円 / 非会員:3,000円《平成24年 診療報酬改定セミナー【福岡】》 【日 時】平成24年3月17日(土) 15:00 ~ 17:00 (開場14:30)【テーマ】「平成24年診療報酬改定について(医科・調剤)」【講 師】厚生労働省保険局医療課 担当官【会 場】TTKP天神シティセンター 8階 S-1     福岡県福岡市中央区天神2丁目14番8号 福岡天神センタービル8階     TEL:092-720-8003 会場地図>>http://tkptenjin.net/access/【参加費】会員:1,000円 / 非会員:3,000円主催:医療経済研究機構申し込みは、医療経済研究機構ホームページ(https://www.ihep.jp/)「各種講演会お申し込み」から受け付ける。その他セミナーに関する問い合わせは、こちらまで。============================================一般財団法人 医療経済研究・社会保険福祉協会医療経済研究機構 企画渉外部TEL:03-3506-8529 FAX:03-3506-8528E-mail: info@ihep.jp〒105-0003東京都港区西新橋1-5-11 第11東洋海事ビル2F============================================

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ポーランドのCHD死低下、リスク因子低減とEBMの寄与が大

ポーランドでは、2005年の冠動脈心疾患(CHD)による死亡数が1991年に比べて半減し、その要因は主要なリスク因子の低減とEBMの進展による治療法の進歩であることが、グダニスク医科大学のPiotr Bandosz氏らの検討で示された。ポーランドでは、1980年代にみられた若年層の心血管死の急増傾向が、市場経済導入後の1990年代初頭には急速に減少したという。社会経済的な変革によって、ライフスタイルの大きな変化や医療システムの実質的な改善がもたらされたと考えられる。BMJ誌2012年2月4日号(オンライン版2012年1月25日号)掲載の報告。CHD死低下の要因をモデル研究で評価研究グループは、1990年代初頭の政治的、社会的、経済的な変革を経たポーランドにおけるCHD死の急激な低下が、薬物療法や手術、心血管リスク因子の変化でどの程度説明が可能かを評価するために、モデルを用いた研究を行った。1991~2005年における25~74歳の地域住民を対象とし、解析には対照比較試験やメタ解析、全国調査、公式の統計解析などのデータを使用した。女性では血圧低下が、男性では喫煙率低下が良好な影響示すポーランドにおけるCHDによる死亡率は1991~2005年の間に半減し、2005年には25~74歳の集団のCHD死が2万6,200件減少した。このうち約91%(2万3,715件)が使用したモデルで説明可能だった。このCHD死低下の約37%は、心不全治療(12%)、急性冠症候群の初期治療(9%)、心筋梗塞や血行再建術後の2次予防治療(7%)、慢性狭心症治療(3%)、その他(6%)によるものであった。また、約54%はリスク因子の変化によるもので、総コレステロール値の低下(39%)と余暇の身体活動の増加(10%)が主であった。BMIや糖尿病の発症率は増加しており、死亡率には悪い影響を及ぼしていた(それぞれ-4%、-2%)。女性では、死亡率低下の約29%が血圧低下によるものであったが、男性の血圧は上昇しており、死亡率は増加していた(-8%)。男性では、観察された死亡率低下の約15%が喫煙率の低下に起因していたが、女性における喫煙の影響はわずかであった。著者は、「ポーランドでは、2005年のCHDによる死亡率が1991年に比べて半減し、その要因として主要なリスク因子の低減が半分以上を占め、約3分の1はEBMの進展による治療法の進歩に起因していた」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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米国病院救急部門の患者滞在時間、地域セーフティネット病院か否かで格差なし

米国の病院救急部門における患者の滞在時間は、地域のセーフティネットを担う病院と、そうでない病院とで有意な差はないことが報告された。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のChristopher Fee氏らが、全米約400の病院について調べ明らかにしたもので、JAMA誌2012年2月1日号で発表した。Fee氏らは、セーフティネット病院がメディケイドや無保険患者を多く受け入れることで医療パフォーマンス、特にP4Pに重大な影響が及んでいる可能性を考慮し本研究を行った。被験者の4割がセーフティネット病院で治療研究グループは、全米の病院救急部門に関する調査「National Hospital Ambulatory Medical Care Survey 」(NHAMCS)の2008年のデータを元に、米国疾病予防管理センター(CDC)の基準で、セーフティネットを担う病院とそうでない病院に分類し、救急部門滞在時間を比較した。なおセーフティネットのための滞在時間の推奨基準は、入院(8時間か480分)、退院、転院、経過観察は4時間か240分と規定されていた。回答を寄せた病院は396ヵ所、3万4,134人分の患者のデータが入手できた。そのうち、18歳未満の患者や、滞在時間データなどが欠けている患者データは、除外した。分析対象とした2万4,719件の患者データのうち、セーフティネットを担う病院の救急部門で治療を受けた分は42.3%、非セーフティネット病院分は57.7%だった。入院、退院、経過観察、転院のいずれも、有意な差はみられずセーフティネット病院救急部門の、入院患者の滞在時間中央値は269分(四分位範囲:178~397)だった。これに対し、非セーフティネット病院では281分(同:178~401)で、両者に有意差はなかった。その他、退院患者、経過観察患者、転院患者のそれぞれの救急部門滞在時間の中央値のいずれも、セーフティネット病院と非セーフティネット病院では同等だった。セーフティネットであることは、規定された滞在時間の遵守に関する独立因子ではなかった。セーフティネット病院の非セーフティネット病院に対する遵守の各オッズ比は、入院0.83、退院1.03、経過観察1.05、転院1.30で、精神病患者の退院についてのみ1.67(同:1.02~2.74)と有意な差が認められた。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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寒冷蕁麻疹の発症に遺伝子欠損が関連

特色ある炎症性遺伝子の表現型を精査することで、免疫調節の仕組みや疾患メカニズムの同定および解明に結びつけることが可能とされる。米国NIHのMichael J. Ombrello氏らは、その手法を用いて、冷たいものに触れたり体温が下がると発症する寒冷蕁麻疹の優性遺伝が認められる3家族の遺伝子型を精査し、遺伝子に関わる原因や疾患メカニズムについて解明を試みた。NEJM誌2012年1月26日号(オンライン版2012年1月11日号)掲載報告より。優性遺伝が認められる3家族の遺伝子表現型を精査Ombrello氏らは、寒冷蕁麻疹、抗体欠損、感染症および自己免疫に対する感受性について優性遺伝を有する3家族を同定し検討を行った。免疫表現型について、フローサイトメトリー、血清免疫グロブリンと自己抗体の分析、リンパ球刺激アッセイ、酵素測定アッセイなどでタイピングを行い、また遺伝的なことについて、連鎖分析、標的サンガー塩基配列決定、次世代の全ゲノム塩基配列決定などで調査した。寒冷蕁麻疹は、すべての調査対象者で発症した。その他にアトピー、肉芽腫性発疹、自己免疫性甲状腺炎、抗核抗体の存在、気道感染と後天性免疫グロブリン血症が認められた。また血清IgMとIgA、ナチュラルキラー細胞とクラスをスイッチした記憶B細胞の減少が認められた。37度を下回ると細胞情報の伝達が亢進される仕組みが判明連鎖解析からは、1家族で染色体16q上に7Mbの領域候補が示された。それは同家族よりも少人数構成の1家族における、3.5Mbの疾患関連ハプロタイプに重なった。またこの領域には、B細胞、ナチュラルキラー細胞、肥満細胞で発現するシグナル伝達分子のホスホリパーゼCγ2(PLCγ2)をコードするPLCG2が含まれており、相補DNAの塩基配列決定で、2家族でエキソン19が欠失しているヘテロコピーが、残る1家族でエキソン20~22が欠損しているヘテロコピーの存在が認められた。ゲノム塩基配列決定では、疾患と同時に分離した、3つの異なるインフレーム欠失の存在が認められた。これらの欠失(自己抑制的な領域をコード化している領域に位置している)は、恒常的なホスホリパーゼ活性を有するタンパク物質を産生していた。そしてPLCG2発現細胞では、37度までは細胞情報伝達が抑制されたが、生理的温度を下回ると情報伝達は亢進した。以上の結果を踏まえ、Ombrello氏は「PLCG2のゲノム欠失がPLCγ(2)の獲得を押し上げ、複数の白血球サブセットで情報伝達の異常を起こし、免疫機能の過剰または不十分な表現型をもたらす」とまとめている。

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マンモグラフィ検診、開始10年は有害性が勝る可能性

マンモグラフィによる乳がんのスクリーニング検診の導入により、検診開始から10年間は有害性が勝る可能性があることが、英国・Southampton大学のJames Raftery氏らの検討で示された。マンモグラフィによるスクリーニング検診は、人命を救う一方で、偽陽性によりQOLを損ない、不要な治療を強いる場合もある。有害性(harm)が有益性(benefit)を上回ることも示唆されているが、これを定量的に評価した試験はないという。BMJ誌2012年1月14日号(オンライン版2011年12月8日号)掲載の報告。検診の有益性と有害性をQALYで評価研究グループは、イギリスにおけるマンモグラフィによる乳がんのスクリーニング検診導入の論拠となったForrest報告の解析データを更新することで、「マンモグラフィ・スクリーニング検診は有益性よりも有害性が勝る」とするコクランレビューの主張の検証を行った。対象は50歳以上の女性とした。Forrest報告の結果を再現したのち、系統的なレビューや臨床試験などのデータを用いて更新、拡張する生命表モデルを開発した。主要評価項目は、スクリーニング検診によって得られる生存年と、偽陽性および手術によるQOLの損失を統合した質調整生存年(QALY)とした。純累積QALY推定値が半分以下に低下20年後の純累積QALYの推定値は、有害性の影響によって3,301から1,536へと半分以下に低下した。コクランレビューによるQALY推定値は、スクリーニング検診開始から7年間は最良の場合でもネガティブで、10年後に70となり、20年後は834であった。感度分析では、これらの結果は広範な頑健性を示し、特に最初の10年は頑健性が高かった。また、手術の有害性の程度やその期間が重要であることも示唆された。著者は、「この解析は、マンモグラフィによる乳がんのスクリーニング検診の導入により、検診開始から10年間は有害性が勝る可能性があるとの主張を支持するもの」と結論し、「Forrest報告は必要な手術に限定してQOLを評価し、その他の有害性はすべて除外しているが、今回の解析は偽陽性や不要な手術による有害性も含めたため、このような違いが生じたと考えられる」としている。(菅野守:医学ライター)

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認知症高齢者、入院率は1.4倍に増大

高齢者において、認知症は入院を有意に増大するリスク因子であることが米国・ワシントン大学のElizabeth A. Phelan氏らによる調査の結果、報告された。認知症高齢者の入院率はそうでない高齢者の約1.4倍に上り、なかでも細菌性肺炎や尿路感染症のような外来治療可能な疾患での入院率が、約1.8倍多かったという。同氏らが3,000人超の高齢者について調べた結果で、JAMA誌2012年1月11日号で発表した。補正前入院率、非認知症は200件/1,000人・年、認知症は419件/1,000人・年研究グループは、65歳以上の3,019人の1994~2007年のデータについて、後ろ向き縦断コホート調査を行った。 主要評価項目は、認知症の有無による、全原因入院率や外来治療可能疾患(ambulatory care–sensitive conditions:ACSC)による入院率とした。結果、追跡期間中に認知症を発症したのは494人で、うち427人(86%)が1回以上入院した。認知症を発症しなかった2525人では、うち1478人(59%)が入院した。補正前入院率は、非認知症群が200件/1,000人・年だったのに対し、認知症群は419件/1,000人・年に上った。認知症群の全入院率比は1.41倍、ACSCによる入院率比は1.78倍年齢、性別やその他交絡因子を補正後、認知症群の非認知症群に対する入院率比は、1.41(95%信頼区間:1.23~1.61、p<0.001)だった。ACSCによる入院に関する同入院率比は、1.78(同:1.38~2.31、p<0.001)とさらに高かった。入院の原因器官系別に入院率をみたところ、大半で認知症群が非認知症群より有意に高率だった。また細菌性肺炎やうっ血性心不全、尿路感染症による入院は、ACSCでの入院の3分の2を占め、いずれの補正後入院率も、認知症群が非認知症群より有意に高率だった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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術後輸血戦略は制限的輸血が妥当

術後輸血戦略について、非制限的に行う輸血(自由輸血)が制限的輸血と比較して、術後の死亡率を低下したり回復を促進はしないことが、股関節手術を受けた心血管リスクの高い高齢患者を対象とした無作為化試験の結果、明らかにされた。また被験者の特性の一つでもあった心血管疾患の院内発生率も抑制できなかったことも示された。術後輸血については、ヘモグロビン閾値が論争の的となっている。そこで米国・ニュージャージー医科歯科大学のJeffrey L. Carson氏らは、より閾値の高い輸血者のほうが術後回復が促進されるかどうかについて検証した。NEJM誌2011年12月29日号(オンライン版2011年12月14日号)掲載報告より。術後患者をヘモグロビン閾値8g/dL未満と10g/dLに無作為に割り付け試験は2004年7月~2008年2月の間に、米国とカナダの47の医療機関で被験者を登録して行われた。被験者は、心血管疾患の既往歴またはリスク因子のいずれかを有し、股関節骨折で手術を受け、術後ヘモグロビン値が10g/dL未満の50歳以上の患者2,016例(平均年齢81.6歳、年齢範囲:51~103歳)であった。研究グループは被験者を無作為に、自由輸血戦略群(ヘモグロビン閾値10g/dL)または制限的輸血戦略群(貧血症状があるか医師の裁量でヘモグロビン閾値<8g/dL)に割り付け追跡した。主要転帰は、追跡調査60日後の死亡または人の介助を受けずには部屋の端から端まで歩くことができない(自由歩行不能)の割合とした。副次転帰は、院内心筋梗塞・院内不安定狭心症・すべての院内死亡の複合とした。輸血自由戦略群、いずれの指標も改善できず輸血赤血球単位の中央値は、自由輸血戦略群で2単位、制限的輸血戦略群は0単位であった。主要転帰の発生率は、自由戦略群35.2%、制限戦略群34.7%で、自由戦略群のオッズ比は1.01(95%信頼区間:0.84~1.22、P=0.90)、絶対リスク差は0.5ポイント(95%信頼区間:-3.7~4.7)だった。オッズ比は男女差が認められ(P=0.03)、男性(オッズ比:1.45)が女性(同:0.91)よりも有意であった。追跡調査60日後の死亡率は自由戦略群7.6%、制限戦略群6.6%で(絶対リスク差:1.0%、99%信頼区間:-1.9~4.0)だった。また、副次転帰の発生率は、自由戦略群4.3%、制限戦略群5.2%(絶対リスク差:-0.9%、99%信頼区間:-3.3~1.6)であった。その他の合併症の発生率は両群で同程度だった。結果を踏まえてCarson氏は、「我々の所見は、貧血症状がない場合やヘモグロビン値が8g/dL以下に減少していない場合、さらには心血管疾患やリスク因子を有する高齢患者では、術後患者での輸血は控えることが妥当なことを示唆する」と結論している。(朝田哲明:医療ライター)

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STEMIの再入院リスク、米国は他の国のおよそ1.5倍

ST上昇型心筋梗塞(STEMI)による再入院率は米国が最も高く、血行再建術実施のための再入院を除いても、オーストラリアや欧州などに比べ、およそ1.5倍に上ることが明らかにされた。退院30日以内の再入院のリスク因子としては、多枝病変であることが2倍と最も高かった。米国・デューク大学医療センター臨床研究所のRobb D. Kociol氏らが、約5,700人のSTEMI患者について行った事後比較の結果で、JAMA誌2012年1月4日号で発表した。入院日数中央値は米国が最短で3日、ドイツが最長で8日研究グループは、2004年7月13日~2006年5月11日にかけて、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドと欧州13ヵ国の計296ヵ所の医療機関を通じて行われた、STEMI患者5,745人が参加した試験「Assessment of Pexelizumab in Acute Myocardial Infarction」のデータについて事後解析を行った。主要アウトカムは、退院後30日以内の再入院に関する予測因子だった。その結果、被験者のうちSTEMIによる院内死亡を除く5,571人のうち631人(11.3%)が、退院後30日以内に再入院していた。国別に再入院率をみると、米国は14.5%と、その他の国の9.9%に比べ有意に高率だった(p<0.001)。一方で、入院日数の中央値は米国が3日(四分位範囲:2~4)と最短で、最長はドイツの8日(同:6~11)だった。米国の院内死亡率や入院後30日死亡率は同等多変量回帰分析の結果、30日再入院に関する予測因子は、多枝病変(オッズ比:1.97、95%信頼区間:1.65~2.35)、米国で入院(同:1.68、1.37~2.07)だった。米国で入院という再入院予測因子は、血行再建術実施のための再入院を除いた後もオッズ比は1.53(同:1.20~1.96)だった。しかし各国の入院日数で補正後は、30日全死因死亡や緊急再入院の独立した予測因子ではなかった。また米国での入院は、院内死亡(オッズ比:0.88、同:0.60~1.30)や入院後30日死亡(オッズ比:1.0、同:0.72~1.39)のリスク因子ではなかった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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死産の原因、人種間差異が明らかに:米国SCRN調査

米国で、妊娠20週以降の死産の原因について調べたところ、産科的合併症が最も多く約29%、次いで胎盤異常が約24%に上ることなどが明らかにされた。米国立小児保健発育研究所(NICHD)が死産という重大な公衆衛生問題に取り組むため組織した「The Stillbirth Collaborative Research Network」(SCRN)が、死産を経験した女性約600人について調べ明らかにしたもので、JAMA誌2011年12月14日号で発表した。米国では、死産が妊娠160件につき1件の割合で発生しており、その総数は1年間の乳児死亡数にほぼ匹敵し、死産率は先進諸国と比べると高率で、過去10年間ほぼ横ばいで推移しているという。産科的合併症が最も多く29%、次いで胎盤異常24%米国での死産の傾向として、有意な人種間差異が認められていたが未解明だった。そこでSCRNは、人種・民族性および地理的ベースが多様な集団での、死産の原因を明らかとするため、2006年3月~2008年9月の間に全米59の3次救急を担う地域中核病院で登録された妊娠20週以降に死産した女性663人について、病歴調査や胎児の検死、胎盤の病理学的検査などを行い、その原因について調査した。検死は、同意の得られた被験者500人(胎児数512児)について可能だった。結果、60.9%にあたる312児で推定死因が判明し、可能性まで含めると76.2%の390児の死因が判明した。死産の原因で最も多かったのは、産科的合併症で150児(29.3%)、次いで胎盤異常が121児(23.6%)、胎児の遺伝的・構造的異常が70児(13.7%)、感染症が66児(12.9%)、臍帯異常が53児(10.4%)、高血圧性疾患が47児(9.2%)、その他の母体の健康状態によるものが40児(7.8%)だった。黒人の母親で産科的合併症、感染症の割合が高率死産の原因を人種別にみたところ、白人やヒスパニック系と比べて黒人の母親で、産科的合併症(43.5%対23.7%、絶対格差:19.8ポイント、p<0.001)、感染症(25.2%対7.8%、絶対格差:17.4ポイント、p<0.001)が有意に高率だった。また黒人の母親では、分娩時死産、より早い時期での死産発生もより多く認められた。死産の原因解明に役立ちそうな情報ソースとしては、胎盤の病理学的検査(268児、52.3%)、胎児の検死(161児、31.4%)、核型情報(限定的結果で357児中32児、9%)が挙げられた。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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動脈硬化性疾患の主な症状と危険因子は? 家族の「動脈硬化」に関する意識調査より

ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社メディカル カンパニーは12月27日、全国の20代から50代の男女800名を対象に行った「動脈硬化に関する意識」調査を2011年12月上旬に実施し、調査結果を発表した。調査は、国内に居住する男女800名(20~50代、各セグメント100名)を対象に、インターネット上で行われた。同社はこの調査結果から、動脈硬化についての認知度や理解度、また、家族の健康への関心度についてをまとめた。概要は以下の通り。狭心症や心筋梗塞などの動脈硬化性の心臓病がある場合、その他の血管にも動脈硬化が起こっている可能性があることを知っていると回答した人は約5割(55.4%)であった。また、全身の動脈硬化が重症化した場合の主な症状について調査したところ、サンプルにあげた「心筋梗塞」「脳梗塞」「足切断」「失明」「腎不全」「麻痺」「言語障害」に対する認知度は、「心筋梗塞」が92%と最も高く、続いて「脳梗塞」91%、「言語障害」65.6%となり、最も低い「足切断」でも42.9%の人が知っていると回答した。その一方で、代表的な動脈硬化性疾患について、その症状などについて調査したところ、どの疾患についても約8割が知らないと回答した。また、家族の動脈硬化性疾患の危険因子について調査したところ、父母、祖父母ともにあてはまるリスクの1位に「高血圧」が、3位に「糖尿病」があげられた。あてはまるリスクの2位は、父・祖父では「喫煙習慣があること」で、母では「肥満」であった。さらに祖母においては「過去に狭心症・心筋梗塞や脳卒中を起こしたこと」が2位となり、これは父母・祖父にあてはまるリスクの4位にもあがっていた。詳細はプレスリリースへhttp://www.jnj.co.jp/jjmkk/press/2011/1227/index.html

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静脈血栓塞栓症予防に対するapixaban対エノキサパリン

うっ血性心不全、急性呼吸不全、急性関節リウマチなど内科疾患で入院した患者に対し、退院後も静脈血栓塞栓症の予防を目的にapixaban投与を延長して行っても、入院中のみに行うエノキサパリン(商品名:クレキサン)投与と比べて優位性は示されなかったことが報告された。apixaban投与群では、重大出血イベントがエノキサパリン投与群よりも有意に認められたという。米国・ブリガム&ウイメンズ病院のSamuel Z. Goldhaber氏らADOPT試験グループが行った二重盲検ダブルダミープラセボ対照試験の結果で、NEJM誌2011年12月8日号(オンライン版2011年11月13日号)で発表された。apixabanの30日間経口投与群と、入院中エノキサパリン皮下注投与群とを比較本試験は、急性内科疾患で入院した患者について、退院後も静脈血栓症予防のための治療を行うことの有効性と安全性について、apixabanを退院後も延長して投与する長期投与コース群が、エノキサパリンを入院中のみ投与する短期投与コース群と比べて優れていると仮定して行われた。被験者適格は、うっ血性心不全や呼吸不全、その他の内科疾患で緊急入院となった患者で、3日以上の入院が予定され、静脈血栓塞栓症リスク因子(75歳以上、静脈血栓症で6週間以上の抗凝固療法の既往、がん、BMI 30以上など)を1つ以上有した6,528例だった。被験者は無作為に、apixaban 2.5mgを1日2回30日間(入院期間含む)経口投与する群と、入院6~14日にエノキサパリン40mgを1日1回皮下注投与する群に割り付けられた。apixaban長期投与コースの優位性示されず主要有効性アウトカム(30日時点の以下の発生複合:静脈血栓塞栓症関連死、肺塞栓症、症候性の深部静脈血栓症、30日目に計画的に実施された両側圧迫超音波検査で無症候性の近位下肢深部静脈血栓症を検出)は、4,495例(apixaban群2,211例、エノキサパリン群2,284例)について評価された。そのうち、apixaban群での発生は2.71%(60例)、エノキサパリン群では3.06%(70例)で、apixaban群の相対リスクは0.87(95%信頼区間:0.62~1.23、P=0.44)だった。一方、主要安全性アウトカム(出血イベント発生)について、30日までの重大出血イベント発生は、apixaban群0.47%(15/3,184例)、エノキサパリン群0.19%(6/3,217例)で、apixaban群の相対リスクは2.58(同:1.02~7.24、P=0.04)だった。(武藤まき:医療ライター)

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JIA患者に対するエタネルセプト、より早期使用ほど治療反応良好

若年性特発性関節炎(JIA)患児に対するエタネルセプト(商品名:エンブレル)の治療反応が良好なのは、治療開始時点での障害スコアが低く、抗リウマチ薬(DMARD)の使用量が少なく、発症年齢が若い傾向があることが明らかになった。一方で反応不良は、全身性JIAや女児に認められたという。オランダ・エラスムスメディカルセンター・ソフィア小児病院のMarieke H. Otten氏らが、JIA患者262人について行った前向き観察研究の結果、報告したもので、JAMA誌2011年12月7日号(オンライン版2011年11月6日号)で発表した。服用後15ヵ月の治療反応性を3段階評価研究グループは、生物学的製剤による治療が可能となって以降、JIAに対する薬学的アプローチが大きく変化したことを踏まえ、エタネルセプトの治療反応性について、基線因子との関連を明らかとすることを目的に試験を行った。対象は、オランダに住むJIA患者で、2009年10月以前にエタネルセプトの服用を開始した262人について2011年1月まで追跡を行った。被験児は、エタネルセプト服用前には生物学的製剤は服用していなかった。被験児のうち185人(71%)は女児、46人(18%)が全身型JIAで、エタネルセプト服用開始時の年齢中央値は12.4歳(範囲:9.3~14.9)だった。主評評価項目は、服用開始後15ヵ月時点におけるエタネルセプトへの治療反応性で、良好な反応(疾患非活動期、寛解により早期に服用中止となった)、中等度の反応(服用開始時点よりの症状改善50%超、だが疾患非活性は認められず)、反応不良(服用開始時点よりの症状改善50%未満か、無効もしくは不耐性により早期に服用中止)の3段階で評価した。治療開始後15ヵ月で3分の1が良好な反応その結果、治療開始15ヵ月時点で、反応が良好と評価されたのは85人(32%)、中等度は92人(36%)、反応不良は85人(32%)と、それぞれ3分の1ずつに評価が分かれた。良好群では、それ以外の群に比べ、治療開始時点での障害スコア(スコア0~3で0がベストスコア)が低く[補正後オッズ比(OR):0.49、95%信頼区間:0.33~0.74]、服用前のDMARD(メトトレキサート含む)の使用量が少なく(OR:0.64、0.43~0.95)、発症時の年齢が低かった(OR:0.92、0.84~0.99)。一方で、反応不良群では、その他の群に比べ、全身性JIA(vs. 非全身性のOR:2.92、1.26~6.80)や女児(vs. 男児のOR:2.16、1.12~4.18)が多かった。追跡平均35.6ヵ月で37~49%が疾患非活動期を達成15ヵ月の治療期間中、119人が1つ以上の感染・非感染あるいは重大な有害事象を有した(内訳は反応良好群37人、中等度群36人、反応不良群46人)。また、治療中止となったのは61例だった(同4人、0人、57人)。被験者262人を対象にした、エタネルセプト服用後期間の中央値35.6ヵ月における2次解析では、37~49%が疾患非活動期を達した。エタネルセプトに対するアドヒアランス(平均値)は、反応良好群49.2ヵ月(95%信頼区間:46.4~52.0)、中等度群47.5ヵ月(同:44.9~50.1)、反応不良群17.4ヵ月(同:13.6~21.2)だった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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食物繊維の豊富な摂取は、大腸がんのリスクを減少する

食物繊維の摂取量が多いこと、特にシリアル線維と全粒粉の摂取が多いことは、大腸がんのリスクを減少することが明らかにされた。英国・ロンドン大学公衆衛生校のDagfinn Aune氏らが行った前向き試験のシステマティックレビューと用量反応試験のメタ解析の結果、報告された。BMJ誌2011年11月26日号(オンライン版2011年11月10日号)掲載報告より。メタ解析で、食物繊維、全粒粉の摂取と大腸がんリスクとの関連を評価研究グループは、食物繊維、全粒粉の摂取と大腸がんリスクとの関連を評価することを目的に、前向き観察研究のシステマティックレビューとメタ解析を行った。2010年12月までにアップされたPubMedとその他データベースと、試験の参照リストをデータソースとした。またこれまでに公表されたメタ解析の参照リストも同様に対象とし、食物繊維や全粒粉の摂取、大腸がんの発生率についての前向きコホート研究およびネスティッドケースコントロール試験を行っていた論文25件を選定した。特にシリアル線維と全粒粉の摂取は、大腸がん発生リスクを低下解析の結果、食物繊維の総摂取量が1日10gであることの大腸がん発生の相対リスク(16試験)は、おおよそ0.90(95%信頼区間:0.86~0.94、I2=0%)であった。果物線維(9試験)では同0.93(0.82~1.05、I2=23%)、植物性繊維(9試験)は同0.98(0.91~1.06、I2=0%)、マメ科植物線維(4試験)は同0.62(0.27~1.42、I2=58%)、シリアル線維(8試験)では同0.90(0.83~0.97、I2=0%)だった。1日3食とも全粒粉にした人の大腸がん発生の相対リスク(6試験)は、おおよそ0.83(同:0.78~0.89、I2=18%)だった。著者は「食物繊維の高い摂取は、特にシリアル線維と全粒粉の摂取は、大腸がんのリスク減少と関連していた」と結論。「さらなる試験で、より詳細な結果を報告しなければならない。たとえば、線維のサブタイプに対する結果や、残余交絡因子を除外するために他のリスク因子によって層別化するなどである。また、推定リスクの測定誤差の影響についても、さらなる検証が必要である」とまとめている。

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喘息リスク幼児へのグルココルチコイド、低用量連日 vs. 高用量間欠

前年に修正版喘息予測指標(API)陽性または喘息増悪を示した喘息リスクを有する幼児には、グルココルチコイドの連日吸入が推奨されている。米国・カイザーパーマネント南カリフォルニアのRobert S. Zeiger氏ら全米心臓・肺・血液治療ネットワークは、連日吸入に対して懸念される発育への影響について検討するため、12~53ヵ月児278例を対象に、低用量連日投与と高用量間欠投与とを比較する、1年間の無作為化二重盲検パラレル比較試験を行った。結果、増悪に関して、低用量連日投与の高用量間欠投与に対する優位性は示されず、低用量連日投与のほうが1年時点の薬剤曝露量が多かったことが報告された。NEJM誌2011年11月24日号掲載報告より。278例を対象に1年間の無作為化二重盲検パラレル比較試験試験は2008年8月~2009年7月に、全米7施設から278例の12~53ヵ月児を登録して行われた。被検児は前年に、修正版API陽性、喘鳴エピソードを有し(4回以上、あるいは3回以上で3ヵ月以上吸入薬を服用)、1回以上の増悪を呈した、障害の程度は低い幼児だった。被検児は無作為に、ブデソニド吸入用懸濁液(商品名:パルミコート)を1年間、高用量間欠レジメン(1mgを1日2回7日間投与を事前定義の気道疾患時に早期開始で行う)か、低用量連日レジメン(毎晩0.5mg投与)にて投与する群に割り付け検討した。両群投与はプラセボを用いて調整され、高用量間欠レジメン群は、疾患発症時以外はプラセボを毎晩投与され、低用量連日レジメン群は、疾患発症時の1日2回投与をプラセボ1回と0.5mg投与1回で受けた。主要アウトカムは、経口グルココルチコイド投与を要する増悪の頻度とされた。両レジメン群の増悪頻度に有意差認められず、低用量レジメンのほうが平均曝露量大結果、両レジメン群の増悪頻度に関して有意な差は認められなかった。低用量連日レジメン群の患者・年当たりの増悪発生率は0.97(95%信頼区間:0.76~1.22)、高用量間欠レジメン群は同0.95(同0.75~1.20)で、間欠レジメン群の相対発生比率は0.99(95%信頼区間:0.71~1.35、p=0.60)だった。初回重症度までの時間など喘息重症度やや有害事象など、その他の指標についても有意差は認められなかった。ブデソニド曝露については、連日レジメン群よりも間欠レジメン群のほうが平均値で104mg少なかった。(武藤まき:医療ライター)

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