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第217回 耐性菌阻止のみならず耐性を破りさえする化合物を発見

耐性菌阻止のみならず耐性を破りさえする化合物を発見細菌の抗菌薬に対する耐性を防ぎ、さらには耐性をすでに獲得した細菌への抗菌薬の効果をも復活させうる化合物を英国オックスフォード大学のチームが生み出しました1,2)。抗菌薬の手に負えない細菌(薬剤耐性菌)が世界で増えていることは、人類の健康や発展を脅かす一大事の1つです。よくある感染症の多くがますます治療困難になっており、薬剤耐性菌を直接の原因として年間127万例が死亡しています3)。間接的なものも含めるとその数は4倍ほどの495万例にも上り、新たな抗菌薬の開発なしではそれら薬剤耐性菌を発端とする死亡例は今後増加の一途をたどるとみられています。細菌が抗菌薬への耐性を獲得する仕組みの1つは、それら細菌の遺伝配列に新たな変異が生じることです。フルオロキノロンなどの抗菌薬は細菌DNAを傷つけることで細菌を死なせます。DNAが傷つけられた細菌はその傷を修復して変異を増やすSOS反応と呼ばれる経路を発動します。SOS反応は酵素複合体AddABやRecBCDを皮切りに始まります。前者のAddABは主にグラム陽性細菌に備わり、後者のRecBCDはグラム陰性細菌にあります。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を用いた研究によると、AddABは感染、変異を増やすDNA修復、薬剤耐性に携わります。配列がわかっている細菌のほとんど(約95%)がAddABかRecBCDのいずれかを保有しており、AddABやRecBCDの阻害薬は細菌全般に広く効きそうです。また、都合がよいことに哺乳類にRecBCDやAddABに似通う相同配列は見つかっておらず、それらの阻害薬のヒトへの影響は少なくて済みそうです。AddAB/RecBCD阻害薬の報告はすでにいくつかあり、2019年に発見が報告されたIMP-1700という名称の化合物はその1つで、MRSAのSOS反応をいくらか阻害することが確認されています。オックスフォード大学のチームはIMP-1700の加工品一揃いを作り、フルオロキノロン抗菌薬であるシプロフロキサシンと一緒にMRSAにそれらを投与して効果のほどを検討しました。その検討が実を結び、DNA損傷を促進しつつシプロフロキサシン耐性出現を阻害する化合物OXF-077が見つかりました。シプロフロキサシンやその他の抗菌薬とOXF-077を組み合わせると、それらの抗菌薬はより少ない量でMRSAの増殖を阻害できました。また、シプロフロキサシンとOXF-077の組み合わせは耐性出現を有意に抑制し、SOS反応の阻害薬で細菌の薬剤耐性を抑制しうることが初めて証明されました。OXF-077は耐性抑制にとどまらず、耐性をすでに獲得してしまっている細菌への抗菌薬の効果を復活させる役割もあります。シプロフロキサシンの耐性を獲得した細菌にOXF-077と共にシプロフロキサシンを与えたところ、シプロフロキサシンの効果が非耐性細菌への効果と同程度に回復しました。薬剤耐性菌の世界的な脅威に対抗する細菌DNA修復/SOS反応阻害薬の今後の開発にOXF-077が役立つだろうと著者は結論しています。参考1)Bradbury JD, et al. Chemical Science. 2024 May 16. [Epub ahead of print]2)New molecule found to suppress bacterial antibiotic resistance evolution / University of Oxford 3)Antimicrobial Resistance Collaborators. Lancet. 2022;399:629-655.

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同世代・同診療科の医師の年収は?/医師1,000人アンケート

 ケアネットでは、2月20日(金)に会員医師1,004人(男性:875人、女性:129人)を対象に、「年収に関するアンケート」を実施した。その結果、80%の医師が昨年度の年収額は1,000万円以上と回答した。しかし、男女別にみると、男性では1,000万円以上が83%であったのに対し、女性は60%と男女差がみられた。全体の最多年収帯は1,400~1,600万円 全体で最も多い年収帯は1,400~1,600万円であった(全体の14%)。年代別では、35歳以下は1,000~1,200万円(20%)、36~45歳は1,400~1,600万円(23%)が最も多かった。それ以降の世代では2,000~2,500万円が最も多く、46~55歳では16%、56~65歳および66歳以上はそれぞれ15%であった。 年収1,000万円以上と回答した割合は、全体では80%であった。年代別では、35歳以下が65%、36~45歳が86%、46~55歳が88%と年齢が上がるごとに増加したが、56~65歳は84%、66歳以上は77%と減少した。 なお、2022年3月に実施した同様の調査では、全体で最も多い年収帯は2,000~2,500万円(全体の15%)であった。1,000万円以上は男性83%、女性60% 男女別にみると、男性では1,000万円以上と回答した割合は83%であったのに対し、女性は60%であった。最も多い年収帯は、男性が1,400~1,600万円および2,000~2,500万円(それぞれ14%)で、女性は1,200~1,400万円(15%)であった。診療科別の傾向は? 診療科別に昨年度の年収が1,600万円以上と回答した医師の割合は下記のとおり(30人以上の回答が得られた診療科を抜粋)。泌尿器科(60%)呼吸器内科(50%)消化器内科(47%)外科(47%)循環器内科(46%)精神科(45%)整形外科(45%)小児科(45%)内科(44%)神経内科(40%)糖尿病・代謝・内分泌内科(31%) その他、年代ごとの男女別、病床数別、勤務先別などの詳細な年収分布については、以下のページで結果を発表している。医師の年収に関するアンケート2024【第1回】昨年度の年収

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神経発達症群(講座 精神疾患の臨床 第9巻)

神経発達症の専門医はもちろん、専門としない精神科医にもお勧め近年の多くの調査では、人口の1割以上において、主要な神経発達症のいずれかに該当することが示唆されている。成人後に初めて診断されるケースも多く、児童や精神発達症を専門としていない精神科医も無視できない状況となっている。本書は、神経発達症群全般における概念や分類の歴史的変遷をはじめ、知的発達症、自閉スペクトラム症、注意欠如多動症、発達学習症を軸に、診断概念、病態、原因、治療・支援に関する現時点での最新知識を概観できるようまとめている。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する神経発達症群(講座 精神疾患の臨床 第9巻)定価19,800円(税込)判型B5判(上製)頁数512頁発行2024年5月担当編集本田秀夫(信州大学教授)監修松下正明(東京大学名誉教授)編集主幹神庭重信(九州大学名誉教授)ご購入(電子版)はこちらご購入(電子版)はこちら紙の書籍の購入はこちら医書.jpでの電子版の購入方法はこちら紙の書籍の購入はこちら

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実臨床と資格試験との乖離を知る【国試のトリセツ】第42回

§4 実臨床リアリティ実臨床と資格試験との乖離を知るQuestion〈110D13〉異常がなければ高い確率で肺血栓塞栓症を否定できる検査はどれか。2つ選べ。(a)心電図(b)血清LD値(c)血中Dダイマー(d)胸部X線撮影(e)肺胞気-動脈血酸素分圧較差(A-aDO2)

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カリウム吸着薬の必要性を検討して薬剤性便秘を解消【うまくいく!処方提案プラクティス】第60回

 今回は、治療評価がなされずに長期服用していたカリウム吸着薬の副作用と思われる便秘に着目し、中止することで解消した症例を紹介します。患者さんや施設スタッフの負担となっていることを聴取し、服薬契機や治療評価の時期などに注目してみると、現在の治療の必要性を考えやすくなります。薬剤師の視点で考えたことを整理して、医師と意見共有してみましょう。患者情報88歳、男性(施設入居)基礎疾患認知症、脳梗塞、糖尿病、胸部大動脈瘤、大腸がん術後介護度要介護4服薬管理施設職員が管理処方内容1.アスピリン・ランソプラゾール配合錠 1錠 分1 朝食後2.ビソプロロール錠0.625mg 2錠 分1 朝食後3.ポリスチレンスルホン酸Ca経口ゼリー20% 25g 分1 朝食後4.トラゾドン錠25mg 1錠 分1 朝食後5.シタグリプチンリン錠50mg 1錠 分1 朝食後6.酪酸菌配合錠 3錠 分3 毎食後7.酸化マグネシウム錠330mg 3錠 分3 毎食後8.ピコスルファートNa内用液0.75% 10mL 便秘時5〜15滴で調整本症例のポイントこの患者さんは、施設入居から間もなく硬便(ブリストル便形状スケール[BSFS]1〜2)と便秘症状が強くなり、酸化マグネシウムと頓用のピコスルファートを開始して2週間が経過しました。BSFS 2および排便頻度が2〜3日のため、ピコスルファート15滴で調整を続けていましたが、便秘解消がいまひとつで不穏症状も出現していました。介護スタッフから、服薬錠数が増えると介護抵抗なども強くなるので何かよい手立てはないか、と相談がありました。現状の服用薬剤から何か減らすことで工夫はできないかという点から、薬剤性便秘の可能性を探りました。そこで着目したのが、ポリスチレンスルホン酸Ca経口ゼリーでした。ポリスチレンスルホン酸Caは、腸内のカリウムイオンと本剤のカルシウムイオンを交換することで、カリウムを体外に排泄する薬剤(陽イオン交換樹脂)1)ですが、便秘の副作用が多く、重大な副作用として腸管穿孔の報告2)もあります。導入の経緯を診療情報提供書にさかのぼって調査すると、カリウム値が5.6mEq/Lと高カリウム血症を発症した際に、ポリスチレンスルホン酸Ca経口ゼリー50g 分2 朝夕食後の処方が開始となっていました。その3週間後の採血で3.5mEq/Lに低下したことから現在の量に減量となっていました。大腸がん術後でイレウスのリスクもあることと、認知症があることから便秘増悪でせん妄リスクもあることから排便コントロールは重要です。カリウム値をモニタリングしながらポリスチレンスルホン酸Ca経口ゼリーを中止することで、服薬数も減らすことができ、排便コントロールも少なからずポジティブな効果になるのではないだろうかと考えました。医師への相談と経過医師に電話で、下剤調整後の現況を情報共有し、ポリスチレンスルホン酸Ca経口ゼリーによる弊害の可能性について相談しました。医師も、用量は少ないものの副作用報告として多いことを認識しており、中止しようと返答がありました。また、カリウム値については次回の診療で採血をしてフォローすることとなりました。指示を受けた翌日からポリスチレンスルホン酸Ca経口ゼリーが中止となりました。患者さんは、中止して2日後には排便があり(BSFS 3、中等量)、その後も安定して0〜1日の排便(BSFS 2〜3、中等量)で安定して経過しています。さらに、その後のカリウム値の検査結果も4.0mEq/Lと基準値内で推移していました。便秘増悪には環境変化などさまざま要因がありますが、薬剤性のアプローチは薬剤師にとって大事なアクションの1つだと実感した事例です。1)ポリスチレンスルホン酸Ca経口ゼリー20% インタビューフォーム2)「消化器内視鏡」編集委員会編. 大腸疾患アトラスupdate. 東京医学社;2020. p232.

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日本人脳卒中患者では低体重ほど転帰不良/国立循環器病研究センター

 ボディマス指数(BMI)の高い人は、そうでない人に比べ、生活習慣病や心血管病の発症リスクが高い一方で、心血管病発症後の機能回復はむしろ良好であることが報告されている。脳卒中でも、肥満は発症リスク因子となるが、脳卒中発症後の転帰に関する研究結果は一貫していないことから、国立循環器病研究センターの三輪 佳織氏らの研究グループは、BMIが脳卒中後の転帰に影響があるか検証を行った。その結果、BMIが脳卒中病型ごとの転帰に影響を及ぼすことが判明し、とくにBMIが低い人では不良となることがわかった。この研究結果はInternational Journal of Stroke誌オンライン版2024年4月23日号に掲載された。高齢者の健康管理に役立つBMIの数値は 研究グループは、2006年1月~22年12月まで日本脳卒中データバンク(JSDB)に登録された急性期脳卒中例のうち入院時BMIが入力された症例を対象とした。BMIはWHO推奨のアジア人における定義に基づき、18.5未満を低体重、18.5~23.0未満を正常体重、23.0~25.0未満を過体重、25.0~30.0未満をI度肥満、30以上をII度肥満と分類した。脳卒中は、脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血に分類し、さらに脳梗塞病型はTOAST分類を用いて、心原性脳塞栓症、アテローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞、その他の脳梗塞、原因不明脳梗塞に分類した。 評価項目である退院時の転帰(患者自立度)は、国際標準尺度である修正ランキンスケール(0[後遺障害なし]~6[死亡]の7段階の評価法)を用い、同尺度の5~6を転帰不良、0~2を転帰良好と定義した。これらを共変量で調整した後、混合効果ロジスティック回帰分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・急性期の脳卒中5万6,230例のうち、脳梗塞(4万3,668例、平均年齢74±12歳、男性61%)、脳出血(9,741例、平均年齢69±14歳、男性56%)、クモ膜下出血(2,821例、平均年齢63±15歳、男性33%)が今回の研究対象。・BMI18.5未満(低体重)は、脳梗塞と各病型(心原性脳塞栓症、アテローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞)や脳出血における転帰不良のリスクを約1.4~2.3倍に高めた。・アテローム血栓性脳梗塞では、BMIと転帰不良にU字型の関連を認め、低体重と肥満はいずれも、転帰不良のリスクを高めた。・低体重は、とくに重症の脳梗塞や再灌流療法後における転帰不良と関連した。・BMI23.0~25.0(過体重)や80歳以上の高齢者におけるBMI25.0~30.0(I度肥満)のグループは、脳梗塞後の転帰不良リスクが9~17%低下し、“obesity paradox”を認めた。 研究グループは、今回の研究結果から「高齢者の体重管理の目標値としてBMI25を基準にすることが適切であり、BMIに基づく体重管理は脳卒中の発症予防および重症化予防の実現可能な対策といえる」と考察を行っている。

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PPIとH2ブロッカーで頭痛リスク上昇か

 胸焼けを抑えるための薬を服用している人は、服用していない人に比べて片頭痛やその他の重度の頭痛のリスクが高い可能性のあることが、新たな研究で示唆された。このようなリスク上昇は、プロトンポンプ阻害薬(PPI)やH2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)、制酸薬など、検討した全ての種類の胃酸分泌抑制薬で認められたという。米メリーランド大学栄養学・食品科学部門のMargaret Slavin氏らによるこの研究結果は、「Neurology」に4月24日掲載された。 Slavin氏は、「胃酸分泌抑制薬は幅広い用途で使用されている。この薬剤と片頭痛や重度の頭痛との潜在的な関連を考慮すると、今回の研究結果はさらなる調査実施の必要性を示したものだと言えるだろう」と述べる。同氏はさらに、「胃酸分泌抑制薬に関しては、しばしば過剰処方が指摘されている。また、PPIの長期使用により認知症リスクなど他のリスクが上昇する可能性を示唆する新たな研究結果も報告されている」と付け加えている。 胃酸が食道まで逆流する胃酸逆流は、食後や横になっているときに起こり、胸焼けや胃潰瘍を引き起こす。頻回な胃酸逆流は胃食道逆流症(GERD)の原因となり、それが食道がんにつながることもある。今回、Slavin氏らは、胃酸分泌抑制薬(PPI、H2ブロッカー、制酸薬)を使用している成人患者1万1,818人を対象に、胃酸分泌抑制薬の使用と片頭痛や重度の頭痛との関連を検討した。 胃酸分泌抑制薬使用者と非使用者での片頭痛や重度の頭痛の有病率は、PPIでそれぞれ25%と19%、H2ブロッカーで25%と20%、制酸薬で22%と20%であった。年齢や性別など頭痛に影響を及ぼす因子を調整して解析した結果、胃酸分泌抑制薬の使用者は非使用者に比べて、偏頭痛や重度の頭痛の発症リスクが有意に高いことが明らかになった。リスクは、PPI使用者で70%、H2ブロッカー使用者で40%、制酸薬使用者で30%の増加であった。 このような結果が示されたものの、Slavin氏は、この研究で対象としたのは処方薬のみであり、処方薬よりも薬効が低い傾向にある市販薬は対象としていない点を強調。その上で、「医師に相談することなく使用中の胃酸分泌抑制薬の服用を中止すべきではない」と主張している。同氏は、「胃酸の逆流とそれに付随する症状を抑えるために胃酸分泌抑制薬を必要とする人は数多く存在する。胃酸分泌抑制薬やサプリメントを使用していて、片頭痛や重度の頭痛に悩まされている人は、薬の服用を続けるべきかどうかを医師と相談する必要がある」と「Neurology」誌のニュースリリースの中で述べている。

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「高齢者施設の服薬は昼1回に集約」提言のインパクト【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第132回

薬局で働いていると、高齢化を感じる機会は多いのではないでしょうか。2022年10月時点の日本の高齢化率(65歳以上の人口が占める割合)は29%です。約10年前の2011年の高齢化率は18%でしたので、1年で約1%増えているイメージですね。いまの65歳は元気な人が多く、高齢化社会大綱において「65歳以上を一律に“高齢者”と見る一般的な傾向は、現状に照らせばもはや現実的なものではなくなりつつある」とされているとはいえ、今後は高齢者施設のニーズがさらに高まり、それに伴って施設職員の負担は増えると考えられます。そのような中、超高齢社会における対策として、日本老年薬学会が「高齢者施設の服薬簡素化提言」を5月17日に出しました。【提言1】服薬回数を減らすことには多くのメリットがある服薬回数を減らすと、誤薬リスクの低下と医療安全の向上に加えて、入所者/入居者にとっては服薬負担の軽減と服薬アドヒアランスの向上、施設職員にとっては与薬負担の軽減と勤務の平準化が期待できる。【提言2】服薬は昼1回に:昼にまとめられる場合は積極的に検討する施設職員の多い昼の時間帯に服薬を集約することで、さらなるメリットが期待できる。ただし、昼服用に適さない薬剤もあり、また療養場所が変わったときには再度の見直しが必要になるなど制限もある。個人的には、「昼1回にまとめる」という具体的な提案がとてもよいと思います。どんな患者さんでも/どんな薬でもというわけにはいきませんが、単に「服薬回数を減らす」のではなく、マンパワー不足などの現実的な問題から「昼1回にまとめる」と具体的に提案することで、メリットの大きさや取り組みやすさを感じます。この提言の背景として、「施設では職員の勤務シフトを組んで朝昼夕、眠前の配薬・与薬・服薬確認に対応しているが、現状の処方では、他のケアもある中で服薬支援を確実に遂行するには限界がある」という課題が挙げられています。また、近年、薬剤師からもポリファーマシーに対して処方提案を行うことが増えていますが、「ポリファーマシー対策では、処方見直しを行って薬剤の種類が減っても、服薬回数は変わらないことがある」とあり、それには静かにうなずくしかありません。服薬簡素化により、誤薬のリスクを減らし、患者さんご本人や職員の負担軽減が期待されます。しかし、服薬簡素化には患者さんや家族から十分な理解を得て、療養場所が変わった際には再度の見直しが必要とも記載されています。注意することは多々ありますが、服薬簡素化が大きな流れになる可能性もあると期待が高まります。日本老年薬学会は、服薬簡素化を導入するための手順やフローチャートなどをホームページで公開していますので、ぜひ見てみてください。実際に目の前で起きているこれらの問題に着目し、専門家が集まり、仮説を立て、検証し、それを学会の取り組みとして発表していてとても素敵だぁと思うとともに、目の前の患者さんの服薬負担やアドヒアランスを改善するヒントとしてとても参考になります。関連サイト高齢者施設の服薬簡素化提言 第1版

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高齢者診療の困ったを解決するヒントは「老年医学」にあり!【こんなときどうする?高齢者診療】第1回

今回のテーマは、「なぜ今、老年医学が必要なのか?」です。このような症例に出会ったことはありませんか?85歳女性。自宅独居。糖尿病、高血圧、冠動脈疾患の既往有。呼吸苦を主訴に救急外来を受診。肺炎と診断し入院にて抗菌薬加療。肺炎の治療は適切に行われ呼吸苦症状も改善したが、自力歩行・経口摂取が困難になり自宅への帰宅不可能に。適切な診断と治療をして疾患は治ったにもかかわらず状況が悪化してしまう-高齢者診療でよく遭遇する場面かもしれません。老年医学はこうしたジレンマに向かい合うきっかけを提供し、すべての高齢者に対してQOLの維持・向上を図ること、また同時に心や体のさまざまな症状をコントロールするために体系化された学問です。老年医学の原則とアプローチ(「型」)を実践することで、困難事例に解決の糸口をみつけることができるようになります。老年医学の原則:コモンなことはコモンに起きる-老年症候群と多疾患併存日本における平均寿命と健康寿命はいずれも延伸していますが、平均寿命と健康寿命のギャップは医療の進歩にも関わらず顕著には短縮しておらず、女性で約12年、男性で約7~8年あります。1)この期間に多くの高齢者が抱える問題が2つあります。ひとつは老年症候群。たとえば記憶力の低下や抑うつ、転倒や失禁などの認知・身体機能の低下など、高齢者にコモンに起きる症状・兆候を「老年症候群」と総称します。もうひとつは、多疾患併存(multimorbidity)です。年齢に比例して併存疾患の数が多くなり、60歳以降では約20%が3つ以上の疾患を有しているという調査があります。2)高齢者の治療やケアをする場合、老年症候群と多疾患併存があるという前提で診察やケアにあたることが大切です。老年医学の型:5つのM老年症候群があり、多疾患併存状態にある高齢者の診療は、疾患の診断-治療という線形思考で解決しないことがほとんどです。そこで、複雑な状況を俯瞰するために「5つのM」というフレームを使います。要素は、大切なこと(Matters most)、薬(Medicine)、認知機能・こころ(Mind)、身体機能(Mobility)、複雑性・落としどころ(Multi-complexity)の5つです。今回のケースを5つのMを使って考えてみましょう。ポイントはMatters mostから考え始めること。「生きがい」・「大切なこと」といったことでもよいのですが、「今、患者/家族にとって一番の困りごとは何か、肺炎を治療した先の日々の生活に期待することは何か?」を入院加療の時点で考えられると、行うべき介入がさまざまな角度から検討できるようになります。今回のケースでは、肺炎治療後に自宅に帰り、自立した生活をできる限り続けることがゴールだったと考えてみましょう。そうすると、肺炎治療に加えて1人で歩行するための筋力維持が必要だと気付くでしょう。また筋力を維持するためには栄養状態にも気を配らなければなりません。それに気付けば理学療法士や管理栄養士など、その分野の専門職に相談するという選択肢もあります。また、肺炎治療中の絶対安静や絶食は、筋力や栄養状態の維持を同時に叶えるために適切な選択だろうか?本当に必要なのだろうか?と立ち止まって考えることもできます。しかし命に係わるかもしれない肺炎の治療は優先事項のひとつですから、落としどころとして、安静期間をできる限り短くできないか検討する、あるいはリハビリテーションの開始を早める、誤嚥のリスクを見極めて経口摂取を早期から進めていく、といった選択肢が出てくるかもしれません。100%正しい選択肢はありません。ですが5つのMで全体像を俯瞰すると、目の前の患者に対して、提供できる医療やケアの条件の中で、患者のゴールに近づく落としどころや優先順位を考えることができます。高齢者にかかわるすべての医療者で情報収集し共有する今回のケースでは、例として理学療法士や管理栄養士を出しましたが、その他にもさまざまな専門職が高齢者の医療に携わっています。医師は診断・治療といった医学的介入を職業の専門性として持つ一方で、患者とコミュニケーションできる時間が少ないために十分な「患者―医師関係」が構築しにくく、患者・家族が本当に大切にしていることが届きにくい場合があります。そのため、協働できる多職種の方とともに患者の情報を得る、そして彼らの専門性を活かして介入の方法やその分量のバランスをとること、落としどころを見つけることが医師に求められるスキルのひとつです。参考1)内閣府.令和5年度版高齢社会白書(全体版).第1章第2節高齢期の暮らしの動向.2)Miguel J. Divo,et al. Eur Respir J. 2014; 44(4): 1055–1068.

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うっ血やLVEFの低下がある急性心筋梗塞では、SGLT2阻害薬の追加により心不全入院を予防できる可能性(解説:原田和昌氏)

 心不全ステージBである急性心筋梗塞(MI)患者では心不全(HF)発症リスクが高く、とくにうっ血やLVEFの低下がある場合は予後不良とされる。SGLT2阻害薬エンパグリフロジンは、2型糖尿病、CKD、HF患者における心血管イベント抑制効果が示されており、MI後の心不全発症の予防も期待される。Butler氏らは、MI後のHF発症に対するエンパグリフロジン上乗せの有効性と安全性を検証する国際共同第III相多施設ランダム化並行群間プラセボ対照優越性試験EMPACT-MI試験を行った。 急性心筋梗塞(STEMIまたはNSTEMI)発症後14日以内でLVEFが45%未満、またはうっ血が認められる18歳以上のHF高リスク患者6,522例が対象で、慢性HFの既往、1型糖尿病、eGFR 20mL/分/1.73m2未満などは除外した。2型糖尿病31.9%、心筋梗塞の既往13.0%、STEMI 74.3%、三枝病変31.0%、心房細動10.6%などであった。RAS阻害薬、β遮断薬、MRA、スタチン、抗血小板療法などの標準治療がなされ、血行再建術は89.3%に行われた。主要評価項目は複合イベント(HFによる初回入院または全死亡)の発生であった。 17.9ヵ月の追跡期間中にHFによる初回入院または全死亡の発生について、エンパグリフロジン群の優越性は認められなかった。副次評価項目のうち全入院または全死亡の発生は、プラセボ群に比べてエンパグリフロジン群で有意に少なかったが(HR:0.87)、その他の副次評価項目に有意差は認められなかった。評価項目の構成要素別の解析では、エンパグリフロジン群でプラセボ群に比べHFによる初回入院までの期間(HR:0.77)、HFによる入院は有意に良好だった(RR:0.67)。安全性プロファイルは既報のデータと一貫していた。 主要評価項目において、エンパグリフロジン群はプラセボ群に対する優越性が認められなかった。その理由としてはイベントの数が少なかったこと、PCIを施行されたMI後のLVEFの低下は一部気絶心筋によるためSGLT2阻害薬の効果が出にくかった可能性が考えられる。なお、Butler氏はACC.24でHFに対するSGLT2阻害薬の有効性に関するシステマティックレビューとメタ解析を行い、HFによる初回入院までの期間を検討したRCT 12件、HFによる入院の発生を検討したRCT 8件において、EMPACT-MI試験と同様の「29%、30%のリスク低減が確認された」と述べた。 同様な患者を対象とした2021年のPARADISE-MI試験で、サクビトリル・バルサルタン400mgはラミプリル10mgと比較して、心血管死亡とHF入院を減らさなかった。一方、2023年のDAPA-MI試験では、MI後でLVEFの低下した糖尿病のない患者を、ダパグリフロジン10mgまたはプラセボに無作為に割り付けた。主要アウトカムは、死亡、HFによる入院、非致死的MI、心房細動/粗動、2型糖尿病、最終来院時のNYHA機能分類、最終来院時の5%以上の体重減少の階層的複合で、ダパグリフロジンのwin ratioはプラセボよりも有意に高かった。ダパグリフロジンは階層的複合の改善に関して有意なメリットがあったが、心血管死またはHFによる入院はプラセボと比較して有意な差はなかった。DAPA-MI試験はレジストリーベースの無作為化試験であり、イベント発生が少なかったため、途中で試験デザインがwin ratioに変更されたうえ、有意な結果は追加された心代謝系アウトカムによっていた。MI後のHF高リスク患者に対するSGLT2阻害薬のエビデンスとしては合わせ技一本ということかもしれない。さらに、EMPACT-MI試験がNEJMで、DAPA-MI試験がNEJM evidence(臨床試験の結果、方法論、分析に焦点)である点も興味深いところである。

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転移乳がんへのDato-DXd、とくに注目すべきTRAEの発現率は?(TROPION-Breast01)/ESMO BREAST 2024

 化学療法の前治療歴のある手術不能または転移を有するHR陽性(+)/HER2陰性(-)の乳がん患者を対象として、抗TROP2抗体薬物複合体datopotamab deruxtecan(Dato-DXd)と医師選択化学療法の有効性と安全性を比較した第III相TROPION-Breast01試験の安全性解析の結果、Dato-DXd群ではGrade3以上の治療関連有害事象(TRAE)の発現は半数以下で、投与中断/減量に至る割合が少なく、とくに注目すべきTRAE(AESI)として規定されていた口内炎/口腔粘膜炎、眼表面障害、薬剤関連間質性肺疾患(ILD)はいずれも低Gradeであったことを、米国・Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのKomal Jhaveri氏が欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer 2024、5月15~17日)で報告した。 これまでの本試験の解析において、Dato-DXd(6mg/kgを3週ごと:365例)は、医師選択化学療法(エリブリン、ビノレルビン、カペシタビン、ゲムシタビン:367例)よりも有意に無増悪生存期間(PFS)を延長し、かつ忍容性も高かったことが報告されている。今回の発表では、副次評価項目である安全性に関する結果が詳細に報告された。なお、毒性管理ガイドラインでは、洗口液の使用(入手可能であればステロイド洗口液の使用が強く推奨)や口腔内の冷却、目薬の使用やコンタクトレンズの使用中止が推奨されていた。 主な結果は以下のとおり。・データカットオフ(2023年7月17日)時点で、治療期間中央値は、Dato-DXd群6.7ヵ月、化学療法群4.1ヵ月であった。・全GradeのTRAEの発現率は、Dato-DXd群の93.6%に対して化学療法群は86.3%でDato-DXd群が高かったが、Grade3以上のTRAEはDato-DXd群20.8%、化学療法群44.7%でDato-DXd群が半数以下であった。減量/中断に至ったTRAEの割合もDato-DXd群のほうが低かった。・AESIに規定されていた口内炎/口腔粘膜炎は、Dato-DXd群の55.6%に発現し、Grade1が25.3%、Grade2が23.3%、Grade3が6.9%であった。減量に至ったのは13.3%、中断に至ったのは1.4%、中止に至ったのは0.3%であった。発現までの期間の中央値は22日、消失までの期間の中央値は36.5日であった。・眼表面障害は、Dato-DXd群の40.0%に発現し、Grade1が31.9%、Grade2が7.2%、Grade3が0.8%であった。減量および/または中断に至ったのは3.3%、中止に至ったのは0.3%であった。発現までの期間の中央値は65日、消失までの期間の中央値は67日であった。眼表面障害は主に3サイクルごとの眼科検診によって評価され、50%以上がドライアイであった。・薬剤関連ILDは、Dato-DXd群の3.3%に発現し、Grade1が1.4%、Grade2が1.1%、Grade3以上が0.8%であった。減量に至ったのは0.3%、中断に至ったのは0.8%、中止に至ったのは1.4%であった。発現までの期間の中央値は84.5日、消失までの期間の中央値は28日であった。・臨床的関心の高いTRAEに規定されていた好中球減少症はDato-DXd群10.8%(Grade3以上1.1%)および化学療法群42.5%(30.8%)、貧血は11.1%(1.1%)および19.7%(2.0%)、白血球減少症は7.2%(0.6%)および17.1%(6.8%)に発現した。・その他のTRAEとして、悪心はDato-DXd群51.1%(Grade3以上1.4%)および化学療法群23.6%(0.6%)、下痢は7.5%(0%)および12.3%(1.1%)、脱毛症は36.4%(Grade1が21.4%、Grade2が15.0%)および20.5%(Grade1、2ともに10.3%)、末梢神経障害は3.6%(Grade3が0.3%)および13.7%(0.6%)に発現した。 Jhaveri氏は「これらの結果は、化学療法の前治療歴のある手術不能または転移を有するHR+/HER2-の乳がん患者に対して、Dato-DXdが新たな治療選択肢となる可能性をさらに裏付けるものである」とまとめた。

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うつ病の症状とせん妄リスクとの関係~プロスペクティブコホート研究

 せん妄やうつ病は、加齢とともに増加する。両疾患には、アルツハイマー病、機能低下、死亡などの共通の症状や併存疾患の面で、臨床的に重複するものが多い。しかし、うつ病とせん妄の長期的な関連性は、よくわかっていない。米国・ブリガム・アンド・ウィメンズ病院のArlen Gaba氏らは、高齢入院患者を対象に、抑うつ症状負担およびその経過とせん妄リスクとの関連を評価するため、12年間のプロスペクティブ研究を実施した。Innovation in Aging誌2024年3月13日号の報告。 2006〜10年、英国バイオバンク参加者31万9,141人(平均年齢:58±8歳、範囲:37〜74、女性の割合:54%)を対象に、初回評価来院前2週間に4つの抑うつ症状(気分、無関心、緊張、無気力)の頻度(0~3)を報告し、抑うつ症状負荷スコア(0〜12)を集計した。新規発症のせん妄は、フォローアップ期間中(中央値:12年)の入院記録より抽出した。4万451人(平均年齢:57±8歳、範囲:40〜74)は、初回来院から平均8年後に再評価を行った。抑うつ症状負荷および経過とせん妄予測の関連を評価するため、Cox比例ハザードモデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップ期間中の新規せん妄発症患者数は、5,753人(1,000人当たり15人)であった。・抑うつ症状によりせん妄リスクの増加が認められたが、完全に調整されたモデルでは関連が認められなかった。【軽度(スコア:1〜2)】HR=1.16(95%信頼区間[CI]:1.08〜1.25、p<0.001)【中等度(スコア:3〜5)】HR=1.30(95%CI:1.19〜1.43、p<0.001)【重度(スコア:5以上)】HR=1.38(95%CI:1.24〜1.55、p<0.001)・これらの所見は、入院回数とは無関係であり、状況(外科的治療、内科的治療、救急治療)や専門分野(精神神経科、心臓呼吸器、その他)を問わず一貫していた。・抑うつ症状の悪化(1ポイント以上の増加)は、変化/スコア改善なしと比較し、せん妄リスクの39%増加(1.39[1.03〜1.88]、p=0.03)と関連しており、これはベースライン時の抑うつ症状負荷とは無関係であった。・この関連性は、ベースライン時65歳以上の高齢者で最も強かった(p for interaction<0.001)。 著者らは、「抑うつ症状の負荷および経過の悪化は、入院中のせん妄リスクの予測因子であることが示唆された。抑うつ症状に対する潜在的な認識が高まることで、せん妄予防に役立つ可能性がある」としている。

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骨折治療の現在地を知る!

外傷・骨折にまつわるホットな疑問に答える!「整形・災害外科」67巻5号(2024年4月臨時増刊号)日進月歩の骨折治療において、良い医療を行うためには骨折治療を迅速に開始する、多職種連携による医療システムの構築・発展が重要となる。また、診断においては人工知能やエコーのさらなる活用も期待される。今後ますます増加することが予想される高齢者の骨折には、手術のみならず骨粗鬆症の治療や二次性骨折・周術期せん妄の予防も非常に重要となる。本特集ではこれらのホットな話題に対する現時点での取り組みや未来に向けた提言を紹介している。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する骨折治療の現在地を知る!定価8,250円(税込)判型B5判頁数276頁発行2024年4月編集渡部 欣忍ご購入(電子版)はこちらご購入(電子版)はこちら紙の書籍の購入はこちら医書.jpでの電子版の購入方法はこちら紙の書籍の購入はこちら

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治療効果判定の指標を設計する【国試のトリセツ】第41回

§3 decision making治療効果判定の指標を設計するQuestion〈110B57〉32歳の男性。発熱と咳嗽とを主訴に来院した。現病歴2日前から38℃台の発熱と咳嗽が出現した。市販の解熱鎮痛薬を服用したが、37.0℃以下に解熱せず、今朝からは呼吸困難も感じるようになったため受診した。腹痛と下痢はない。既往歴27歳時に右胸部の帯状疱疹。29歳時に右側肺炎。30歳時に左側肺炎。生活歴食品加工の工場で働いている。妻と4歳の子どもがいる。喫煙は20本/日を10年間。飲酒は機会飲酒。現 症意識は清明。身長165cm、体重58kg。体温38.3℃。脈拍88/分、整。血圧86/42mmHg。呼吸数28/分。SpO295%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。心音に異常を認めない。右側の胸部でcoarse cracklesを聴取する。腹部は平坦で、腸蠕動音に異常を認めず、肝・脾を触知しない。検査所見血液所見:赤血球398万、Hb11.3g/dL、Ht37%、白血球3,400(桿状核好中球22%、分葉核好中球58%、好酸球3%、好塩基球2%、単球8%、リンパ球7%)、血小板15万。血液生化学所見:総蛋白7.5g/dL、アルブミン3.8g/dL、尿素窒素18mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL、尿酸5.8mg/dL、Na137mEq/L、K3.9mEq/L、Cl100mEq/L。CRP8.8mg/dL。胸部X線写真を次に示す。その後の経過胸部X線写真と喀痰のGram染色標本の検鏡結果から肺炎球菌による細菌性肺炎と診断し入院となった。入院初日からセフトリアキソンの投与を開始したところ、入院3日目までに咳嗽は減少し食欲も出てきた。入院3日目の体温は36.8℃、脈拍80/分、整。血圧116/58mmHg。呼吸数16/分。SpO296%(room air)。血液所見:白血球6,300(桿状核好中球14%、分葉核好中球61%、好酸球3%、好塩基球2%、単球7%、リンパ球13%)、血小板22万。CRP4.4mg/dL。胸部X線写真で所見の改善を認めた。初診時に採取した喀痰および血液の培養からは肺炎球菌が検出された。その後も症状は改善傾向が続き、入院4日目に採取した喀痰の細菌培養検査では肺炎球菌が陰性化していたが、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が検出された。この患者に対する適切な治療はどれか。(a)メロペネムを追加投与する。(b)バンコマイシンを追加投与する。(c)セフトリアキソン単独投与を継続する。(d)セフトリアキソンをメロペネムに変更する。(e)セフトリアキソンをバンコマイシンに変更する。

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国内初の1日1回投与の低亜鉛血症治療薬「ジンタス錠25mg/50mg」【最新!DI情報】第15回

国内初の1日1回投与の低亜鉛血症治療薬「ジンタス錠25mg/50mg」今回は、低亜鉛血症治療薬「ヒスチジン亜鉛水和物(商品名:ジンタス錠25mg/50mg、製造販売元:ノーベルファーマ)」を紹介します。本剤は、1日1回の服用で亜鉛補充ができ、亜鉛欠乏による味覚障害、皮膚炎、脱毛、貧血などのさまざまな症状を改善することが期待されています。<効能・効果>低亜鉛血症の適応で、2024年3月26日に製造販売承認を取得しました。本剤は、食事などによる亜鉛摂取で十分な効果が期待できない患者に使用します。<用法・用量>通常、成人および体重30kg以上の小児では、亜鉛として1回50~100mgを開始用量とし、1日1回食後に経口投与します。なお、血清亜鉛濃度や患者の状態により、1日1回150mgを超えない範囲で適宜増減します。<安全性>亜鉛投与による重大な副作用に銅欠乏症(頻度不明)があり、銅欠乏まで進展した場合は貧血、白血球減少などを引き起こす恐れがあります。その他の副作用(1%以上)として、消化器症状(下痢、悪心、腹部不快感)、血清膵酵素(リパーゼ、アミラーゼ)上昇、貧血、浮動性めまいなどがあります。本剤投与中は、定期的(数ヵ月に1回程度)に血清亜鉛、銅、鉄を測定します。<患者さんへの指導例>1.亜鉛不足を改善するには、亜鉛を多く含む食事を積極的に摂取する食事療法が行われますが、不十分な場合には薬で補充します。2.必ず食後に服用してください。3.亜鉛を含むサプリメントや健康食品は摂取しないでください。4.亜鉛により銅の吸収が妨げられ、立ちくらみや歩きにくいなどの副作用が起こることがあります。気になる症状が現れたら、医師または薬剤師に相談してください。<ここがポイント!>亜鉛は300種類以上の酵素の活性化に必要な成分で、主な酵素にはDNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、炭酸脱水酵素、アルカリホスファターゼ、アルコール脱水素酵素、スーパーオキシドジスムターゼ、オルニチントランスカルバミラーゼなどがあります。亜鉛は細胞分裂や核酸代謝などに関わっており、欠乏するとタンパク合成全般が低下し、皮膚炎、脱毛、貧血、味覚障害、発育障害、性腺機能不全、食欲低下、下痢、骨粗鬆症、創傷治癒遅延、易感染性などさまざまな症状を引き起こします。低亜鉛血症では亜鉛含有量の多い食品を積極的に摂取するよう推奨しますが、血清亜鉛値が低い場合、食事からの亜鉛摂取では不十分で亜鉛補充療法が必要です。補充療法には、酢酸亜鉛(商品名:ノベルジン)が使用されますが、亜鉛イオンによる悪心・嘔吐などの消化器系副作用が問題となっています。副作用により酢酸亜鉛製剤が使用できない場合は、ポラプレジンク(同:プロマックD錠)も使用されますが、亜鉛含有量が少ない上に適応外です。本剤は、ヒスチジン亜鉛水和物の錠剤であり、亜鉛イオンと錯体化することで亜鉛の吸収を向上させています。ヒスチジン亜鉛水和物は比較的安定な錯体構造であるため、消化管で解離する亜鉛イオンは無機亜鉛塩よりも少なく、酢酸亜鉛製剤に比べて悪心・嘔吐などの消化器系副作用が軽減されています。また、酢酸亜鉛製剤は通常、成人で1日2回の投与回数ですが、本剤は1日1回投与であり、服薬アドヒアランスの改善が期待できます。低亜鉛血症患者を対象とした国内第III相臨床試験(実薬対照非盲検試験)において、投与開始24週間後までに目標血清亜鉛濃度を8週間維持できた患者の割合は、本剤群で86.4%、酢酸亜鉛群で80.4%でした。両群の割合の差は6.0%(95%信頼区間:-4.2~16.3)で非劣性マージンの-15%を上回っているので、酢酸亜鉛群に対する本剤群の非劣性が示されました。なお、酢酸亜鉛製剤と異なり、現在の適応症は低亜鉛血症のみで、「ウィルソン病(肝レンズ核変性症)」の適応は有していません。

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遺伝性網膜変性症、CRISPR-Cas9遺伝子治療が有望/NEJM

 CEP290遺伝子変異による遺伝性網膜変性症患者において、EDIT-101の単回投与は忍容性が良好で光受容体機能の改善が示された。米国・ハーバード大学医学部のEric A. Pierce氏らが、第I/II相非盲検単回投与漸増試験「BRILLIANCE試験」の結果を報告した。CEP290関連遺伝性網膜変性症は、早期に重度の視力低下を引き起こす。EDIT-101は、CEP290のイントロン26(IVS26バリアント)を標的としたCRISPR-Cas9生体内遺伝子編集治療。今回の結果を受けて著者は、「CEP290のIVS26変異体やその他の遺伝子変異による遺伝性網膜変性症の治療において、CRISPR-Cas9生体内遺伝子編集治療のさらなる研究を支持するものである」とまとめている。NEJM誌オンライン版2024年5月6日号掲載の報告。小児を含む遺伝性網膜変性症患者14例が対象 研究グループは、スクリーニング時に3歳以上で、CEP290遺伝子のIVS26変異によるホモ接合体または複合ヘテロ接合体の遺伝性網膜変性症を有する患者を対象とし、prednisone(0.5mg/kg/日)経口投与の3日後に経毛様体扁平部硝子体切除を行い、視力が悪いほうの眼(試験眼)にEDIT-101を300μLまで単回網膜下注射した。術後はprednisoneを4週間投与し、その後15日間で漸減した。 主要アウトカムは、有害事象および用量制限毒性を含む安全性であった。重要な有効性の副次アウトカムは、最高矯正視力のベースラインからの変化、暗順応下全視野刺激試験(FST)で測定した網膜感度、Ora-Visual Navigation Challenge(Ora-VNC)mobility testのスコア、National Eye Institute Visual Function Questionnaire-25(NEI VFQ-25)(成人)またはChildren's Visual Function Questionnaire(CVFQ)(小児)で測定した視覚関連QOLスコアであった。 計14例がEDIT-101の投与を受けた。成人は12例(中央値37歳[範囲17~63]、17歳の1例は最初の同意取得後18歳となり、その後に投与)、小児は2例(9歳、14歳)で、成人には低用量(2例)、中間用量(5例)、高用量(5例)を、小児には中間用量を投与した。ベースラインの試験眼の最良矯正視力(logMAR)の範囲は0.6~3.9であった。用量制限毒性はなし、有効性アウトカム3項目のうち1項目以上改善患者64% 治療または処置に関連した眼の、重篤な有害事象ならびに用量制限毒性は認められなかった。眼以外の重篤な有害事象は4件、治療に関連した眼の有害事象は22件発生した。 14例のうち4例(29%)で、最高矯正視力のベースラインからの変化に関する臨床的に意味のある改善(事前に規定された閾値0.3 logMAR)が認められた。 赤色光を用いたFSTによる網膜感度の評価では、6例(43%)で視覚的に意味のある改善が認められ、うち5例は少なくとも1つの他の重要な副次アウトカムの改善を示した。Ora-VNC mobility testによるベースラインから3点以上の改善は4例(29%)で、視覚関連QOLのベースラインから有意な改善(4ポイント以上上昇)は6例(43%)で認められた。 最高矯正視力、FSTによる赤色光に対する網膜感度、またはOra-VNC mobility testのいずれかがベースラインから意味のある改善を示した患者は、9例(64%)であった。

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尿検査で前立腺がん生検スキップの可否を判定

 前立腺がんが見つかった際の最も重要な疑問は、それが即座に治療が必要な進行性のがんなのか、それとも進行が遅く経過観察で済むがんなのかということだ。その答えを得るために現時点で利用できる唯一の方法は生検である。しかし、新たな研究で、MyProstateScore2.0(MPS2)と呼ばれる尿検査が、侵襲的な生検に代わる新たな検査法になり得る可能性が示された。米ミシガン大学医学部病理学および泌尿器科学分野教授のArul Chinnaiyan氏らによるこの研究の詳細は、「JAMA Oncology」に4月18日掲載された。Chinnaiyan氏は、「この検査で陰性であれば、進行性前立腺がんでないことはほぼ確実だ」と話している。 論文の共著者である同大学泌尿器科学分野のJohn Wei氏は、「前立腺がんに対する治療アプローチは、過去数十年の間に根本的に変化した。20年前には、あらゆる種類の前立腺がんを探し出して治療するのが普通だった。ところが今では、進行の遅いタイプのがんは治療する必要がないとされている」と話す。 過去数十年間、前立腺特異抗原(PSA)検査は、前立腺がんを発見するために日常的に使われていた。しかし、この検査のみでは、進行性のがんと成長の緩徐ながんを区別することは困難であり、そのため、過剰治療が行われることもしばしばであった。こうしたことから、現在でのPSA検査の使用頻度は以前に比べると格段に低くなっている。 ミシガン大学の研究グループが最初のMyProstateScoreテスト(MPSテスト)を開発したのは、10年ほど前に遡る。MPSテストは、前立腺がん抗原3遺伝子(PCA3)とTMPRSS2:ERGの2種類の遺伝子の共発現と血清PSAレベルを組み合わせて、悪性度の高いがんのリスクを推定する。Chinnaiyan氏は、「MPSテストの性能は優れているが、十分と言えるものではなかった」と話す。同氏は、「MPSテストや現在市販されている他のテストには、まだアンメットニーズが残されている。これらのテストは前立腺がんを検出しはするものの、概して、臨床的に重要な悪性度の高い前立腺がんの検出精度についてはそれほど優れているとは言えない。今回のMPS2テストの開発で推進力となったのは、このアンメットニーズに応えることだった」と話す。 前立腺がんの悪性度のレベルは、グリソンスコアで評価される。グリソンスコアがグレード2(GG2)以上の腫瘍は、グレード1(GG1)の腫瘍よりも成長して転移する可能性が高い。今回、Chinnaiyan氏らは、5万8,000以上の遺伝子発現の解析を行い、悪性度の高い前立腺がんの指標となり得る54種類の遺伝子について遺伝子候補パネルを作成して評価した。その上で、最終的に、最初のMPSテストに組み込まれていた2遺伝子を含む18種類の遺伝子をMPS2テストに組み入れた。 743人から成る検証コホートでMPS2テストの性能を確かめたところ、このテストはその他の検査法よりもGG2以上の腫瘍の検出精度が高く、重要なことに、GG1レベルの腫瘍を100%近くの精度で除外できることが示された。さらにMPS2テストは、患者が不必要な生検を回避するのにより効果的であることも示された。不必要な生検が回避される割合は、PSA検査のみに基づくと11%であったのに対し、MPS2テストでは最大で41%に達すると推定された。 Wei氏は、「MPS2テストにより、生検が必要ではないはずの10人に4人が、MPS2テストで低リスクと判定され、自信を持って生検をスキップできる」と話す。同氏はさらに、「過去に生検を受けたことがある患者の場合には、このテストはとりわけ効果を発揮する」と語る。過去の生検で陰性と判定された男性のPSAレベルが上がり始めた場合には、通常なら2度目の生検が示唆される。しかし、MPS2テストにより、そのような男性の半数近くで生検は不要と判定されることになるからだ。 現在、MPS2テストはミシガン大学のスピンオフ企業であるLynxDx社を通じてのみ入手可能である。

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超加工食品、摂取量が多いと死亡リスク増大~30年超の調査/BMJ

 超加工食品の摂取量が多いほど、がんおよび心血管疾患以外の原因による死亡率がわずかに高く、その関連性は超加工食品のサブグループで異なり、肉/鶏肉/魚介類をベースとした調理済みインスタント食品のサブグループでとくに強い死亡率との関連性が認められたという。米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のZhe Fang氏らによる、追跡期間30年超のコホート研究で示された。超加工食品は健康に悪影響を及ぼすことが示唆されているが、長期間にわたり食事評価を繰り返し行う大規模コホートでの超加工食品摂取による死亡率への影響に関するエビデンスは限られていた。BMJ誌2024年5月8日号掲載の報告。米国の女性看護師と男性医療従事者、合計約11万4,000例を追跡 研究グループは、米国11州の女性正看護師が対象のNurses' Health Study(1984~2018年)、全50州の男性医療従事者が対象のHealth Professionals Follow-Up Study(1986~2018年)を基に、ベースラインでがん、心血管疾患、糖尿病の既往がない女性7万4,563例および男性3万9,501例を対象として、超加工食品の摂取と死亡との関連を調べた。 超加工食品の摂取量は、4年ごとに実施される食物摂取頻度調査で評価した。 主要アウトカムは全死因死亡、副次アウトカムはがん、心血管疾患、その他の原因(呼吸器疾患、神経変性疾患を含む)による死亡で、多変量Cox比例ハザードモデルを用いて超加工食品摂取量との関連について、ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を推定し評価した。がん、心血管疾患による死亡とは関連なし 追跡期間中央値34年間において、計4万8,193例(女性3万188例、男性1万8,005例)の死亡が記録された。死因別では、がん1万3,557例、心血管疾患1万1,416例、呼吸器疾患3,926例、神経変性疾患6,343例であった。 超加工食品摂取量の最低四分位範囲(中央値3.0サービング/日)群と比較して、最高四分位範囲(中央値7.4サービング/日)群では、全死因死亡リスクが4%高かった(HR:1.04、95%CI:1.01~1.07、傾向のp=0.005)。一方で、がん(0.95、0.91~1.00)ならびに心血管疾患(1.05、0.99~1.11)による死亡との関連は認められなかった。その他の原因による死亡リスクは9%有意に高かった(1.09、1.05~1.13、傾向のp<0.001)。 超加工食品摂取量の最低四分位範囲群および最高四分位範囲群の全死因死亡率は、それぞれ10万人年当たり1,472例および1,536例であった。 超加工食品のサブグループ別では、肉/鶏肉/魚介類をベースとした調理済みインスタント食品(加工肉など)が最も全死因死亡リスクとの関連が強く(HR:1.13、95%CI:1.10~1.16)、砂糖または人工甘味料入り飲料(1.09、1.07~1.12)、乳製品ベースのデザート(1.07、1.04~1.10)、全粒穀物を除く超加工パン・朝食用食品(1.04、1.02~1.07)も、全死因死亡リスクの増大と関連していた。 Alternative Healthy Eating Index-2010(AHEI-2010)スコアで評価した食事の質と超加工食品摂取量については、AHEIスコアの各四分位範囲内では超加工食品の摂取量と死亡率との間に一貫した関連は観察されなかったが、超加工食品摂取量の各四分位範囲内では、食事の質と死亡率との間に逆相関が認められた。

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ゴルフや水泳がALSリスクを上昇させる?

 ゴルフ、ガーデニングや庭仕事、木工、狩猟などの余暇活動は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の発症リスク上昇と関連している可能性があるという研究結果が、「Journal of the Neurological Sciences」2月15日号に掲載された。 米ミシガン大学アナーバー校のStephen A. Goutman氏らは、ALS患者400人と健康対照者287人を対象に、趣味、運動、余暇活動に関連するリスクを調査した。 解析の結果、ALS診断の5年前にゴルフ(オッズ比3.48)、レクリエーションダンス(同2.00)、ガーデニングや庭仕事(同1.71)をしていたことが、ALSに関連するリスクであることが分かった。リスクと関連したその他の曝露には、個人または家族での木工活動参加(同1.76、2.21)、個人での狩猟や射撃への参加(同1.89)があった。ALSの生存および発症に関連する曝露はなかった。発症年齢の早さは、診断の5年前の水泳(3.86歳)および重量挙げ(3.83歳)と関連していた。女性では、ALSと有意な関連を示した余暇活動はなかった。 Goutman氏は、「製造業や貿易業に従事しているなどの職業的リスク因子が、ALSのリスク上昇に関連していることはすでに知られているが、余暇活動もこの疾患にとって、重要かつ修正可能なリスク因子である可能性があることを示す文献が増えている」と述べる一方、患者にこれらの活動をやめるよう助言するのは時期尚早である、との注意を促した。

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知見のupdateを絶えず重ね続ける【国試のトリセツ】第40回

§3 decision making知見のupdateを絶えず重ね続けるQuestion〈111G57〉82歳の女性。肺炎で入院中である。抗菌薬が投与され肺炎の症状は軽快していたが、3日前から頻回の水様下痢が続いている。高血圧症で内服治療中である。意識は清明。体温37.6℃。脈拍76/分、整。血圧138/78mmHg。腹部は平坦、軟。下腹部に軽い圧痛を認める。血液所見赤血球380万、Hb12.0g/dL、Ht 36%、白血球9,800、血小板26万。腹部X線写真で異常所見を認めない。便中Clostridium difficileトキシン陽性。この患者に有効と考えられる薬剤はどれか。2つ選べ。(a)バンコマイシン(b)クリンダマイシン(c)エリスロマイシン(d)メトロニダゾール(e)ベンジルペニシリン(ペニシリンG)※2016年に、Clostridium difficileはClostridioides difficileに名称が変更されました。第111回医師国家試験は2017年に実施されましたが、まだ以前のままの表記になっています。以降の解説では、このupdateを汲み、新しい表記で統一します。Lawson PA, et al:Reclassification of Clostridium difficile as Clostridioides difficile(Hall and O’Toole 1935) Prevot 1938. Anaerobe, 40:95-99, 2016

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