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臨床開発中止で患者2万超例分のデータが未公表/BMJ

 カナダ・マギル大学のAmanda Hakala氏らは、臨床開発中止となった薬物(stalled drugs)の試験報告へのアクセシビリティについて、登録試験を系統的に評価して定量化を行った。その結果、開発に成功し承認された薬物(licensed drugs)の試験公表率は75%に対し、開発が中止となった薬物については37%で、公表について両者に大きな差があることを明らかにした。著者は、「開発が遅れている薬物試験で収集された情報の大半が、研究や臨床に生かされてない」と述べ、「臨床研究における透明性、倫理性、説明責任を促進するポリシー改善を行うべきことが実証された」とまとめている。BMJ誌オンライン版2015年3月9日号掲載の報告。がん、心血管疾患または神経障害領域の登録試験の公表率を定量化 検討は、clinicaltrials.gov、Google Scholar、PubMed、Embaseなどを検索して、がん、心血管疾患、神経障害領域の「承認薬」と「臨床開発中止薬」の登録試験を調べ、公表状況を評価した。評価に組み込んだ「承認薬」の試験は、2005~2009年にFDAの承認を受けた薬物の試験で、「臨床開発中止薬」の試験は、2009年までに1つ以上の第III相試験が完了し2009年12月31日以降の臨床試験実施のエビデンスがないものを適格とした。 公表の適格基準は、2006年1月1日~2008年12月31日の間に1人以上の被験者を登録し主要アウトカムを報告していた、clinicaltrials.govへ登録されていた第II、IIIまたはIV相試験とした。公表率は承認薬試験75%に対し臨床開発中止となった薬の試験は37% 承認薬の登録試験の補正前公表率は75%(72/96例)に対し、臨床開発中止薬の試験は37%(30/81例)であった。公表率は、承認薬試験のほうが2.7倍良好であった(ハザード比:2.7、95%信頼区間[CI]:1.7~4.3)。 承認薬試験では、疾患タイプ、スポンサーシップ、試験フェーズ、試験地にかかわらず公表率が高かった。 承認薬試験との比較において、臨床開発中止薬試験の未公表率は、登録が完了していなかった試験で有意に高かった。 臨床開発中止薬試験に参加していた患者、総計2万135例分のデータが未公表であることが判明した。

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ガイドライン改善には個人データに基づくメタ解析の活用を/BMJ

 臨床ガイドラインの作成に当たり、被験者個人データ(IPD)に基づくメタ解析の引用の割合は4割未満であることが明らかにされた。英国・ロンドン大学のClaire L Vale氏らが、177の診療ガイドラインについて調べた結果、報告した。IPDに基づくメタ解析は、エビデンスのゴールド・スタンダードと考えられており、臨床ガイドライン作成の鍵となるエビデンスを示している可能性も大きいとされる。結果について著者は、「IPDに基づくシステマティック・レビューとメタ解析が、活用されていないことが示された」と述べ、「ガイドライン開発者はルーティンに質のよい最新のIPDメタ解析を探索すべきである。IPDメタ解析の活用増大が、ガイドラインの改善につながり、最新の最も信頼性のあるエビデンスに基づくケアを患者にルーティンに提供することが可能となる」と指摘している。BMJ誌オンライン版2015年3月6日号掲載の報告より。33のIPDに基づくメタ解析と177の臨床ガイドラインを検証 Vale氏らは、コクランIPDメタ解析メソッド・グループが管理するデータベースと、その他公表されたIPDに基づくメタ解析データベースから、33のIPDに基づくメタ解析と、それに対応する177の診療ガイドラインについて調査を行った。 ガイドラインへのIPDの活用について、評価を行った。IPDメタ解析を引用したガイドラインは37%のみ 結果、177のガイドラインのうち、マッチングするIPDメタ解析を引用していたのは、66件・37%に留まった。さらにそれら引用したメタ解析について、妥当性や信頼性などについて批判的視点で評価を行っていたのは、そのうちの22件・34%のみだった。 臨床ガイドラインのうち、マッチングするIPDメタ解析を直接根拠にして作成されたものは、66件中18件(27%)だった。 IPDメタ解析を引用していないガイドラインのうち、マッチングするIPDメタ解析の発表以降に作成しているものは、111件中23件(21%)にも上った。一方で、IPDメタ解析を引用しなかった明確な理由については、不明だった。

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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第18回

第18回:高齢者における意図しない体重減少へのアプローチ方法監修:吉本 尚(よしもと ひさし)氏 筑波大学附属病院 総合診療科 高齢者の体重減少は、外来でよく出会う愁訴の1つです。まず真っ先に思い浮かぶのは悪性腫瘍ですが、それ以外にも考えるべき鑑別診断がいくつかあります。外来ではまず、食事摂取がどの程度できているかを、その方の社会的背景を踏まえて評価するかと思います。また、疾患を見つけた場合に治療が可能かどうかを想像しながら、検査の適応を判断しなければいけませんが、非常に個別性が高く、毎回悩ましい問題だと感じています。 以下、American Family Physician 2014年5月1日号1)より意図しない体重減少は高齢者の15~20%に起こり、ADLの低下、病院内での疾病罹患率の上昇、女性の大腿骨頚部骨折、全死亡率の上昇の原因となる。有意な体重減少とは、6~12ヵ月以内に5%以上の体重減少があった場合、などと定義されるが、このような意図しない体重減少に関する適切な評価や管理のためのガイドラインは、現在、存在していない。しかし、もし存在したとしても、このような非特異的な病態に対する適切な検査を決定するのは難しいだろう。体重は通常60歳代をピークとして、70歳代以降は毎年0.1~0.2kgずつ減少する。それ以上の減少であれば、年齢相応の体重減少とは言えない。最もよくある理由としては、悪性腫瘍、非悪性の胃腸疾患、うつや認知症といった精神疾患であるが、全体の割合としては、非悪性の疾患が悪性腫瘍を上回っている。また、6~28%は原因不明である。(表1) 【表1:意図しない高齢者の体重減少】 悪性腫瘍(19~36%) 原因不明(6~28%) 精神疾患(9~24%) 非悪性の胃腸疾患(9~19%) 内分泌(4~11%) 心肺疾患(9~10%) アルコール関連(8%) 感染症(4~8%) 神経疾患(7%) リウマチ関連(7%) 腎疾患(4%) 全身性炎症疾患(4%) 鑑別の記憶法としては、MEALS‐ON‐WHEELS[「食事宅配サービス」の意味、(注1)]あるいは高齢者の9D's(注2)として覚える。薬剤の副作用もよくある原因だが、しばしば見逃される。多剤服薬は味覚に干渉するとみられ、食思不振を生じ、体重減少の原因となりうる。さらには貧困、アルコール問題、孤立、財政的制約などといった、社会的な要素とも体重減少は関連している。Nutritional Health Checklist(表2)は栄養状態を簡単に評価するツールである。各項目に当てはまれば、質問の後ろにある得点を加算し、合計得点を算出する。0~2点は良好、3~5点は中等度のリスク、6点以上はハイリスクである。 【表2:Nutritional Health Checklist】 食事量が変わるような病状がある 2点 食事の回数が1日2回より少ない 3点 果物、野菜、乳製品の摂取が少ない 2点 ほとんど毎日3杯以上のビール、蒸留酒、ワインを飲んでいる 2点 食べるのが困難になるほどの歯や口腔の問題がある 2点 いつも必要なだけの食料を購入するお金がない 4点 ひとりで食事をする事が多い 1点 1日3種類以上の処方か市販薬を服用している 1点 過去6ヵ月で4.5kg以上の予期しない体重減少がある 2点 いつも買い物や料理、自力での食事摂取を身体的に行えない 2点 推奨される一般的な検査としては、CBC、肝・腎機能、電解質、甲状腺機能、CRP、血沈、血糖、LDH、脂質、蛋白・アルブミン、尿酸、尿検査がある。また、胸部レントゲン、便潜血検査は行うべきであり、腹部超音波も考慮されても良いかもしれない。これらの結果が正常だとしても、3~6ヵ月間の注意深い経過観察が必要である。治療には食事、栄養補助、薬物療法などがあるが、研究結果がさまざまであったり、副作用の問題があったりして、体重減少がある高齢者の死亡率を改善するような明確なエビデンスのある治療法は存在しない。(注1:MEALS‐ON‐WHEELS)M:Medication effects(薬剤性)E:Emotional problems, especially depression(気分障害、とくにうつ)A:Anorexia nervosa; Alcoholism(神経性食思不振症、アルコール依存症)L:Late-life paranoia(遅発性パラノイア)S:Swallowing disorders(嚥下の問題)O:Oral factors, such as poorly fitting dentures and caries(口腔内の要因、たとえば合っていない義歯、う歯など)N:No money(金銭的問題)W:Wandering and other dementia-related behaviors(徘徊、その他認知症関連行動)H:Hyperthyroidism, Hypothyroidism, Hyperparathyroidism, andHypoadrenalism(甲状腺機能亢進および低下、副甲状腺機能亢進、副腎機能低下)E:Enteric problems; Eating problems, such as inability to feed oneself(腸管の問題;摂食の問題、たとえば手助けなしに一人では食べられないなど)L:Low-salt and Low-cholesterol diet(低塩分、低コレステロール食)S:Stones; Social problems, Such as isolation and inability to obtain preferred foods(結石;社会的問題、たとえば孤独、好きな食べ物を手に入れられないなど)(注2:高齢者の9D's)Dementia(認知機能障害)Dentition(歯科領域の問題)Depression(抑うつ)Diarrhea(下痢)Disease [acute and chronic](急性・慢性疾患)Drugs(薬剤)Dysfunction [functional disability](機能障害)Dysgeusia(味覚異常)Dysphagia(嚥下困難)※本内容は、プライマリケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。 1) Gaddey HL, et al. Am Fam Physician. 2014; 89: 718-722.

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事例45 レボフロキサシン(商品名: クラビット)点眼液の査定【斬らレセプト】

解説事例では、レボフロキサシン(クラビット®)点眼液を外用投与したところA事由(医学的に適応と認められないもの)を理由に査定となった。「全身アトピー性皮膚炎であり、同皮膚炎による眼瞼部の炎症に対して処方したが、なぜ査定となったのか」と問い合わせがあった。同点眼液の添付文書を見てみる。適応症に、「眼瞼炎、涙嚢炎、麦粒腫、結膜炎、瞼板腺炎、角膜炎(角膜潰瘍を含む)、眼科周術期の無菌化療法」とある。薬効は広範囲抗菌点眼薬に分類される。感染が明らかか、著しく疑われる傷病名の記載が必要な薬剤である。全身アトピー性皮膚炎の病名では、炎症はあるが感染を来しているかの判断はできない。また、保険診療では予防投与はできない。したがって、適応外使用もしくは不適当使用と判断されて査定となったものであろう。このことを説明し、必要を認めて投与した場合には、全身アトピー性皮膚炎の他に感染性眼瞼炎などの感染が読みとれる傷病名もしくはコメントを付与していただくようにお願いした。

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事例44 ECG(心電図検査)負荷12誘導の査定【斬らレセプト】

解説事例では「D209 負荷心電図検査1ECG負荷12誘導」がB事由(医学的に過剰・重複と認められるものをさす)を理由に、「D208 心電図検査1 ECG12誘導」に減額査定となった。レセプトを見ると傷病名は「高血圧症」と「動脈硬化症」のみであり、コメントも見当たらない。負荷心電図は、身体に何らかの負荷をかけて心電図の異常の有無を検査する方法である。負荷とは、「運動負荷、薬剤負荷」をいい、負荷の種類および回数によらない。ただし、トレッドミルによる負荷心肺機能検査に対しては、D211に独立した項目が設定されている。したがって、レセプトに表示された病名だけでは、負荷をかけてまで検査を行う必要性についての判断がつかないことを理由に査定となったものであろう。本事例では、心電図に異常があると判断ができる病名もしくは強く疑ったコメントが必要であった。負荷心電図の算定にあたっては、同日に実施された心電図は一連として扱われて、別途に算定できないことにも留意されたい。

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精神疾患患者の安楽死、どう考える

 精神疾患や認知症の患者、また重篤な疾患はないが人生が嫌になっている患者における安楽死や医師による自殺幇助(EAS)は、非常に大きな論点となっている。このような場合、オランダの安楽死法の管轄に入るが、オランダ人医師はEASに消極的であるように見える。オランダ・アムステルダム自由大学医療センターのEva Elizabeth Bolt氏らは、オランダ人医師がEASの可能性を拒否しているか否かを調査した。Journal of medical ethics誌オンライン版2015年2月18日号の報告。 がん、その他の身体疾患、精神疾患、認知症または人生が嫌になっている患者におけるEASの要求を医師が受け入れるかどうかの判断、および医師の特性が想像可能性(conceivability)と関連付けられるかを評価した。横断的研究調査は、オランダの一般開業医、高齢者ケア医、臨床専門医2,269人を対象に実施された。 主な結果は以下のとおり。・回答率は64%であった(1,456人)。・ほとんどの医師は、がん(85%)、その他の身体疾患(82%)の患者におけるEAS要求を受け入れると考えていることがわかった。・一方、精神疾患(34%)、早期認知症(40%)、重度認知症(29~33%)、人生が嫌になっている患者(27%)については、EAS要求を受け入れるとした医師は半数以下であった。・一般開業医において、EAS要求の受け入れが最も高かった。関連医療ニュース 統合失調症患者の突然死、その主な原因は 抗精神病薬は統合失調症患者の死亡率を上げているのか 統合失調症患者、合併症別の死亡率を調査  担当者へのご意見箱はこちら

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事例43 アスピリン/ランソプラゾール(商品名: タケルダ)配合錠の査定【斬らレセプト】

解説事例では、不安定狭心症で通院中の患者に、アスピリンにランソプラゾールが配合されたタケルダ®を投与したところA事由(医学的に適応と認められないもの)を理由に査定となった。同剤の剤添付文書の「効能または効果」を見てみると、「次の疾患または術後における血栓・塞栓形成の抑制(胃潰瘍または十二指腸潰瘍の既往がある患者に限る)に適用がある」として、狭心症(慢性安定狭心症、不安定狭心症)、心筋梗塞、虚血性脳血管障害(一過性脳虚血発作[TIA]、脳梗塞)、冠動脈バイパス術(CABG)あるいは経皮経管冠動脈形成術(PTCA)施行後が、対象疾患として掲げられている。同剤投与の前提条件には「胃潰瘍または十二指腸潰瘍の既往」があることが、定められているのである。事例では、レセプト上からは既往の有無の判断がつかないことから、査定となったものと推測できる。対応として、投与対象者は胃潰瘍もしくは十二指腸潰瘍の既往のある患者に限定し、レセプトに「胃潰瘍もしくは十二指腸潰瘍の既往あり」のコメント記入を行っていただくよう医師にお願いした。なお、アスピリン薬とランソプラゾール薬の併用投与の場合の取り扱いも同様である。支払基金などでは、この取り扱いに対して、当分の間は返戻対応を行うとされているようであるが、査定となった事例も確認している。

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医療事故調査報告書は医療安全のためにある 第5回 医療法学シンポジウム開催(後編)

 2月15日、東京都内にて第5回医療法学シンポジウムが「医療事故調査報告書、及び、聞き取り調査書等内部資料と文書提出命令等証拠開示手続との関係」をテーマに開催された。今回はパネルディスカッションを中心に後編をお届けする。証拠の開示手続きは患者側が有利 米山 隆一氏(おおたか総合法律事務所/医師・弁護士)は、「患者側弁護士からの視点」をテーマに実務的な視点からレクチャーを行った。 原告(患者)側からみた医療訴訟の特徴として、原告側は独自の証拠がほぼない状態で立証責任が課せられているが、これを補うためにカルテ開示などが用いられることから、証拠収集では原告側にやや有利に運用されていること、また、「カルテ開示」は、実質上権利化されていること、そのため証拠保全手続きでは、原告側請求を認めるハードルが低くなっていることなどが説明された。 証拠調べに関連して、被告(医療)側が、文書などの提出を著しく拒むことは原告側の主張を強くし、被告側に不利であること、証拠提出などでつまずくとマスコミにネガティブに報道され、さらに対応が必要となるなどデメリットも指摘した。 これらの現状を踏まえ「事故調査報告書」については、医療機関のリスク管理も考慮し、開示部分と非開示部分に分けて作成する必要があり、訴訟の際、速やかに開示したほうが裁判所の判断に寄与するなどの提言がなされた。医療事故調査報告書の目的外使用は医療を萎縮させる 大磯 義一郎氏(浜松医科大学医学部医療法学 教授、帝京大学医療情報システム研究センター 客員教授/医師・弁護士)は、「各手続に対する対応方法」をテーマにレクチャーを行った。 今回始まる医療事故調査制度の目的は、責任追及ではなく「医療安全」である(責任追及は別の場で行うべきこと)。しかし、司法サイド、とくに弁護士は医療訴訟でも利用しようと考えているようだと現在の様子を説明した。こうした資料が目的外で利用され、医療が再び萎縮することがないように、たとえば報告書の冒頭には「本報告書は開示をしないこと」「報告書の目的は医療安全であること」をうたう一文を記載することで、医療訴訟などで証拠として利用されないよう工夫することが重要だと語った。また、こうした報告書が目的外に利用された場合、厚生労働省や医療関係団体が協力して、抗議を行うべきであり、そうしなくては、憲法で保障された医師のさまざまな人権(たとえば黙秘権など)は空文化し、医療の安全もさらに後退することになると問題を指摘した。医療事故調査を医療安全に役立てるために パネルディスカッションでは、前半のレクチャーを踏まえ、大磯氏をコーディネーターに、他の演者がパネリストとして登壇し、活発な意見交換が行われた。 より具体的な内容に踏み込み、「医療事故調査実施の意思決定」については、医療安全を担うセクションが行うべきであること、「医療事故調査・支援センター」への相談では、当事者個人を匿名化すること、事実のみ記載して主観的な内容などは記載しないこと、「記者会見について」は、あらかじめ医療機関で発表内容の範囲と会見方針を決め、会見を行うことが重要であり、マスコミに予断を抱かせないために逐次ホームページなどで情報公開をする必要性や公表内容の文書配布など、細かい点まで話し合いが行われた。 また、「医療紛争対応、医療安全対策」としては、事実の確定が重要であり、不確実な内容は患者・患者家族に伝えないことが求められる。今後は、患者などから寄せられた共通するクレーム事項を分析し、将来に役立てる研究も必要となると提案されたほか、「院内事故調査」では、現場の保全(たとえば関係当事者の聴取録の作成)、関わった医師、医療従事者のケアや人権保護を行うことが重要であり、これらは普段からガイドライン化しておく必要があること。内部文書についても、事故報告書と聞き取り調書やカンファレンスレポートは別物であり、とくに後者は公開を前提にしていない文書であるため、公開の可否を定めた院内規定を医療機関が策定する必要があることなど、実務に直結する話し合いが行われた。参考 厚生労働省 医療事故調査制度について関連コンテンツ MediLegal 医療従事者のためのワンポイント・リーガルレッスン

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うつ病にダンスセラピー、その効果は

 英国・リーズ大学のBonnie Meekums氏らは、うつ病に対するダンス・ムーブメントセラピー(DMT)の効果を明らかにするため、3件の無作為化対照試験(RCT)の解析を行った。その結果、DMTのうつ病に対する確実な効果は認められなかったことを報告した。DMTは広範囲の文化的、知的バックグランドを持つ人が活用しているが、その効果は十分にわかっていなかった。Cochrane Database Systematic Reviews2015年2月19日号の掲載報告。 研究グループは、うつ病に対するDMTの効果を調べるため、未治療、標準治療単独、精神療法、薬物治療、その他の身体的介入と比較した。また、異なるDMTアプローチについてもその効果を比較検討した。Cochrane Depression, Anxiety and Neurosis Review Group's Specialised Register (CCDANCTR-Studies and CCDANCTR-References)およびCINAHLを、WHO International Clinical Trials Registry Platform(WHO ICTRP)および ClinicalTrials.govと合わせて検索した(2014年10月2日時点)。さらに、Allied and Complementary Medicine Database(AMED)、Education Resources Information Center(ERIC)、Dissertation Abstractsを検索し(2013年8月まで)、手動による検索で、関連する研究者、教育プログラム、世界的ダンスセラピーの専門家を調査した。 試験適格基準は、少なくとも1群をDMT群として設定し、年齢にかかわらずうつ病患者に対するアウトカムを検討しているRCTとした。DMTの定義としては、精神療法を目的としていることが明確な一般参加型のダンスで、試験実施国において承認されるレベルの訓練を経た個人により進められているものとした。国において承認される訓練を経た個人とは、たとえば米国では、American Dance Therapy Association (ADTA)のトレーナーあるいは資格認定者、英国では、Association for Dance Movement Psychotherapy(ADMP)のトレーナーあるいは認定を受けた者とした。同様の専門機関がヨーロッパには存在するが、このような専門分野がまだ発展途上であるいくつかの国(たとえば中国)では、その質の低さが米国や英国における数十年前の状況だとして、レビュワーは、関連する専門的資格(たとえば看護や精神力動療法)や、Levy 1992、ADMP UK 2015、Meekums 2002、Karkou 2006といった、公表されているガイドラインに準ずる療法であることが明記されていれば組み入れることとした。試験の方法論的な質を評価し、3人のレビュアーのうち2人がデータ抽出フォームを用いてデータを抽出した。残りの1人は判定者としての役割を担った。 主な結果は以下のとおり。・3件の試験の被験者合計147例(成人107例、未成年40例)が包含基準を満たした。DMT療法群74例、対照群は73例であった。・2件の試験は、成人男性と成人女性のうつ病患者を対象としていた。そのうち1試験は外来患者も対象としていたが、もう一方の試験は都市部の病院の入院患者のみを対象としていた。・3件目の試験は、中学校に通う未成年女子を対象とした調査結果を報告していた。・これらの試験はすべて、2種類のうつ病評価基準、すなわち医師によるハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)およびSymptom Checklist-90-R(SCL-90-R)(自己評価スケール)を用いて、継続的なデータ収集が行われていた。・3件の試験の間に統計学的な不均一性が確認された。・DMTのうつ病に対する確実な効果は認められなかった(SMD:-0.67、95%CI:-1.40~0.05、エビデンスの質は非常に低い)。・予定されたサブグループ解析において、2件の試験の成人107例において好ましい効果が示されたが、臨床的有意差を認めるに至らなかった(SMD:-7.33、95%CI:-9.92~-4.73)。・成人を対象とした1件の試験は脱落率を報告しており、そのオッズ比は1.82(95%CI:0.35~9.45)で有意差なしと判断された(エビデンスの質は低い)。・社会的機能を評価した1件の試験において、非常に有効な結果が認められたが(MD:-6.80、95%CI:-11.44~-2.16、エビデンスの質は非常に低い)、結果の正確性に問題があった。・1件の試験において、QOL(同:0.30、-0.60~1.20、エビデンスの質は低い)あるいは自尊感情(1.70、-2.36~5.76、エビデンスの質は低い)に関して好ましい影響、悪影響のいずれもみられなかった。・3件の小規模試験の147例で得られたエビデンスは質が低かったため、うつ病に対するDMTの効果に関して確固たる結論を導くことはできなかった。・うつ病に対するDMTの効果を評価するには、より大規模で方法論的に質の高い試験が必要である。その際には、経済的分析および受容性についても評価し、あらゆる年齢群を対象とすることも必要である。関連医療ニュース ヨガはうつ病補助治療の選択肢になりうるか 少し歩くだけでもうつ病は予防できる 高齢者うつ病患者への運動療法は有効  担当者へのご意見箱はこちら

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医療事故調査報告書が裁判で使われたら!? 第5回 医療法学シンポジウム開催(前編)

 2月15日、東京都内にて第5回医療法学シンポジウムが「医療事故調査報告書、及び、聞き取り調査書等内部資料と文書提出命令等証拠開示手続との関係」をテーマに開催された。今回は前編として、レクチャーを中心にお届けする。 2014年6月に「医療事故調査制度」が創設され、本年(2015年)10月の施行に伴い「医療事故調査・支援センター」において事故調査が行われることが決定した。この制度の目的は、あくまでも「医療安全の確保」であるが、その事故調査報告書が、医療訴訟で証拠として使用され、医師などへの個人責任追及につながるとも限らない。そうなると医師、医療関係者が、事故調査で真実を語ることが期待できず、制度自体の崩壊を招くと危惧されている。 今回のシンポジウムは、こうした背景の下、事故調査報告書の取り扱いと医療訴訟との接点について、医師と弁護士が今後予想される問題点を浮き彫りにし、理解を深めるために開催されたものである。カルテはもう開示の時代へ 小島 崇宏氏(大阪A&M法律事務所/医師・弁護士)は、「個人情報保護法に基づく開示手続」をテーマに、個人情報保護法の観点から患者などより医療機関に開示請求があった場合の問題点についてレクチャーを行った。 医療機関などで関係する個人情報としては、診療録(以下「カルテ」とする)、処方箋、手術記録、画像所見などが挙げられる。そして、個人情報保護法25条では、3つの例外規定を設け、開示しないことができる場合を定めている。しかし、医療機関などが完全に開示拒否を行うことは難しく、たとえば国公立病院などは、行政手続きに関連して裁判上で開示が命令される場合も予想される。そのため、日常より開示を前提に、たとえばカルテには事実関係だけの記載を行い、主観的な内容は記載しないなどの作成時の意識付けが重要であると語った。加害医師などの保護、ケアも重要 山田 奈美恵氏(東京大学医学部附属病院総合研修センター 特任助教/医師)は、「医療事故調査の実際 医療安全を目指す上で必要な事項」をテーマに、実際に医療機関で医療事故が発生した場合の事後対応とフォロー体制について説明を行った。 事故が発生した場合、大切なことは患者の救命と健康被害拡大を阻止することであり、同時に「誰が、誰に、どのような事故が発生したか」複数のラインからの連絡・報告が一元化されることが重要と語る。次に、患者および患者家族へ経緯の説明と謝罪などが行われるが、その際、医療メディエーターなどの活用が期待される。さらに、必要によりマスコミ、メディアへの説明、警察や保健所などへの報告が行われる場合があり、そこで混乱が起きないよう、院内で報告範囲について事前に話し合い、決めておくことが求められる。その他、事故当事者には、保護を含めたケアとフォローが必要であり、関係者における事故の経緯聴取後の検討会と事故調査報告書の作成も必要、と具体的な流れについて説明した。文書提出命令で全部開示しなくていい場合とは 山崎 祥光氏(井上法律事務所/弁護士・医師)は、「民事訴訟・保全において用いられる開示手続」をテーマにレクチャーを行った。 医療訴訟で証拠の乏しい原告(患者)側が、医療機関が持つカルテや関係する書類を手元で調べて、証拠とするために裁判所を通じて被告(医療)側に関係書類を提出させるのが証拠保全・文書提出命令である。 過去の裁判例では、「医師賠償責任保険事故・紛争通知書」について、秘密性・内部性、開示による重大な不利益を理由に開示を否定した裁判例や、院内の「医療事故報告書」について全部を開示するのではなく、提言部分だけの部分開示を命じた裁判例などを紹介するとともに、実務では文書開示に関して、裁判所も文書の性質とその内容をよく考慮して判断をしていると説明された。刑事事件化すると抵抗のすべがない 大滝 恭弘氏(帝京大学医学部 准教授/医師・弁護士)は、「刑事捜査・訴訟において用いられる開示手続」をテーマにレクチャーを行った。 はじめに刑事における医療事件の概要を説明し、2000年以降急激に増加、現在も年間70件程度あること、患者からの訴えが依然として多いことを報告した。 そして、業務上過失致死傷など刑事事件となった場合、刑事訴訟法上の強制捜査による捜索・差押えでは、関係するカルテ、処方せん(電子画像があればそのサーバー一式)などすべてが有無を言わさず押収される。これにより、事故調査と刑事捜査が並行して行われることで、事故調査は萎縮したものとなり、医療事故調査制度そのものが危うくなるおそれがあると、日航機ニアミスによる業務上過失傷害事件の裁判例を基に、予想される問題点を指摘した。 今後、医療事故調査の制度構築に当たっては、制度が形骸化しないよう明らかな犯罪行為による医療事件を除き、「医療事故調査が優先」、「刑事介入の排除」、「医療事故調査報告書の目的外使用の禁止」などが必要と提言が行われた。(後編へ続く)参考 厚生労働省 医療事故調査制度について関連コンテンツ MediLegal 医療従事者のためのワンポイント・リーガルレッスン

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抗うつ薬の違いによる自殺リスクを検討/BMJ

 うつ病患者の抗うつ薬使用と自殺、自殺企図・自傷行為リスクは、SSRIと三環系薬では有意な差はないことが、英国・ノッティンガム大学のCarol Coupland氏らによるコホート研究の結果、明らかにされた。また、服用開始後28日間および中止後の28日間にリスクが最も高いことも判明し、研究グループは、「同期間は注意深いモニタリングが必要である」と指摘している。うつ病患者における自殺・自殺企図について、これまで抗うつ薬の違いにより発生率にばらつきがあるのかどうかは不明であった。BMJ誌オンライン版2015年2月18日号掲載の報告より。抗うつ薬の違いによる自殺、自殺企図・自傷行為の発生について調査 検討は、英国一般医(GP)が関与するQResearchデータベースに登録され、2000年1月1日~2011年7月31日に初発のうつ病と診断された20~64歳の23万8,963例を対象に行われた。被験者は2012年8月1日まで追跡を受けた。 被験者が処方された抗うつ薬の種類(三環系薬、SSRI、その他)、用量、服用期間および指示投薬量、処方錠剤数を調べ、Cox比例ハザードモデルを用いて潜在的交絡因子で補正後、自殺、自殺企図・自傷行為の発生ハザード比を算出して評価した。 追跡期間中、コホートの87.7%(20万9,476例)が1つ以上の抗うつ薬の処方を受けており、治療期間の中央値は221日(四分位範囲:79~590日)であった。SSRIと三環系薬の有意差みられない 追跡開始5年間で、自殺198件、自殺企図または自傷行為5,243件が発生した。 SSRI使用者との比較において、三環系薬使用者の自殺発生率に有意な差はみられなかった(補正後ハザード比:0.84、95%信頼区間[CI]:0.47~1.50、p=0.6)。しかし、その他の抗うつ薬使用者では有意な増大が認められた(同:2.64、1.74~3.99、p<0.001)。また自殺発生率は、SSRIのシタロプラムとの比較において、その他抗うつ薬のミルタザピン(レメロン、リフレックス)で有意な増大がみられた(同:3.70、2.00~6.84、p<0.001)。薬剤別にみた1年間の自殺絶対リスクのばらつき範囲は、アミトリプチリン(トリプタノールほか)の0.02%からミルタザピンの0.19%であった。 同様に自殺企図・自傷行為発生率も、SSRI使用者との比較において三環系薬使用者に有意差はみられなかったが(同:0.96、0.87~1.08、p=0.5)、その他の抗うつ薬使用者では有意な増大が認められた(同:1.80、1.61~2.00、p<0.001)。また、SSRIのシタロプラムとの比較において、ベンラファキシン(国内未承認、同:1.85、1.61~2.13、p<0.001)、トラゾドン(レスリンほか、1.73、1.26~2.37、p=0.001)、ミルタザピン(1.70、1.44~2.02、p<0.001)で同発生率の有意な増大が認められた。一方、アミトリプチリンでは有意な減少が認められた(0.71、0.59~0.85、p<0.001)。薬剤別にみた1年間の自殺企図・自傷行為絶対リスクのばらつき範囲は、アミトリプチリンの1.02%からベンラファキシンの2.96%であった。 自殺、自殺企図・自傷行為の発生率は、治療開始後の28日間および治療中止後の28日間で最も高かった。 著者は、「自殺、自殺企図、自傷行為の発生率は、SSRIと三環系薬で同等であった。ミルタザピン、ベンラファキシン、トラゾドンで、同発生との高い関連が示されたが、自殺数はわずかで明言はできるものではなかった。また、本検討は観察研究であり、所見は処方バイアスやうつ病重症度からの残余交絡、処方を受けた患者特性などが反映されている可能性があった」と述べたうえで、「抗うつ薬の開始および中止後の28日間における発生率増大は、この期間は患者のモニタリングを注意深く行う必要性があることを強調するものである」と指摘している。

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糖尿病黄斑浮腫、VEGF阻害薬3剤を比較/NEJM

 糖尿病黄斑浮腫に対する、眼科用VEGF阻害薬のアフリベルセプト(商品名:アイリーア)、ベバシズマブ(アバスチン、日本では眼科用は未承認)、ラニビズマブ(ルセンティス)の有効性、安全性を比較する多施設共同無作為化試験が米国で行われた。Jaeb Center for Health ResearchのAdam R. Glassman氏ら研究グループ(Diabetic Retinopathy Clinical Research Network)が米国内89ヵ所の協力を得て行った同試験の結果、3剤ともに視力の改善効果は認められるが、相対的効果は治療開始時の視力に依存し、開始時の視力障害が軽度であれば改善効果は3剤間で明らかな差はないが、障害が重度の場合はアフリベルセプトの改善効果が有意に高かったことを報告した。NEJM誌オンライン版2015年2月18日号掲載の報告より。アフリベルセプト、ベバシズマブ、ラニビズマブの有効性、安全性を比較検討 試験は米国立衛生研究所(NIH)資金提供の下で行われた。89の医療機関で、糖尿病黄斑浮腫を有する患者660例(平均年齢61±10歳)を、アフリベルセプト2.0mg(224例、メディケア加入者の単回投与コスト1,950ドル)またはベバシズマブ1.25mg(218例、同50ドル)もしくはラニビズマブ0.3mg(218例、同1,200ドル)のいずれかの眼内注射治療を受ける群に無作為に割り付けて追跡した。試験薬は、プロトコル指定アルゴリズムに従い、4週ごとに投与された。 主要アウトカムは、1年時点の視力の変化で、視力letterスコア(範囲:0~100、高スコアほど良好な視力を示す、スコア85以上は約20/20[=日本で一般的な小数視力表記で1.0])で評価した。治療開始時の視力障害の程度により改善効果に差、安全性は同等 結果、ベースラインから1年時点までのスコア変化の平均値でみた視力の改善は、アフリベルセプト群で13.3、ベバシズマブ群で9.7、ラニビズマブ群は11.2であった。スコアの改善はアフリベルセプト群がその他2群よりも有意に大きかったが(対ベバシズマブ群のp<0.001、対ラニビズマブ群のp=0.03)、同改善はベースラインの視力障害の程度によって異なることがみられ(相互作用のp<0.001)、結果については臨床的に意味がなかった。 試験開始時の視力障害スコアが78(20/32;小数視力0.63)~69(20/40;0.5)の場合(被験者の51%が該当していた)は、平均改善スコアはアフリベルセプト群8.0、ベバシズマブ群7.5、ラニビズマブ群8.3で、3群間で有意な差はなかった(p>0.50)。一方、開始時の視力障害スコアが69未満(20/50;0.4未満)の場合、平均改善スコアはアフリベルセプト群18.9に対し、ベバシズマブ群は11.8、ラニビズマブ群は14.2で、アフリベルセプト群の視力改善効果が有意に高かった(対ベバシズマブ群のp<0.001、対ラニビズマブ群のp=0.003、ラニビズマブ群vs. ベバシズマブ群のp=0.21)。 なお、重度有害事象(p=0.40)、入院(p=0.51)、死亡(p=0.72)または重大心血管イベント(p=0.56)はいずれも3群間で有意差はみられなかった。

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統合失調症のカフェイン依存、喫煙との関連に注意

 スペイン・Gallegan Health SystemのManuel Arrojo-Romero氏らは、長期間にわたる精神科病院でのカフェイン消費について調べた。結果、統合失調症とカフェイン使用との明らかな関連性は、その大半を喫煙で説明しうることが明らかになったと報告した。Schizophrenia Research誌オンライン版2015年2月20日号の掲載報告。 検討は、統合失調症とカフェイン使用についてより深く探索するため、すでに発表されているスペインの試験(統合失調症外来患者250例と一般集団290例)と、同じくスペインの長期入院患者試験(同一病院から統合失調症145例、その他の重度精神疾患64例)の対象を統合して行われた。とくに、喫煙などの交絡因子で調整後、統合失調症とカフェインの関連が、統合失調症患者全体で一貫して見られるのか、および異なるカフェイン使用の定義においてはどうかを明確にすることを目的とした。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症入院患者におけるカフェイン使用者の割合は、非統合失調症入院患者と比較して有意に高いとはいえなかった(77%[111/145例] vs. 75%[48/64例])。また、対照と比べても高くなかったが、統合失調症外来患者より有意に高かった。・統合失調症入院患者のカフェイン使用者のうち使用頻度が高い人の割合は、非統合失調症入院患者と比較して有意に高いとはいえなかった(45%[50/111例] vs. 52%[25/48例])。また、対照と比べても高くはなかったが、統合失調症外来患者より有意に低かった。・喫煙は、全対象および定義にわたってカフェイン使用と有意に関連していた。・カフェイン中毒(喫煙者で700mg/日超)は、統合失調症入院患者、同外来患者、非統合失調症入院患者で2~3%であった。・また、これらカフェイン中毒の喫煙患者の何人かは、他の誘導物質(とくにオメプラゾール)も摂取していた。・統合失調症とカフェイン使用との間に一貫した関連がみられなかったことは、全解析群(使用者および高使用者)および全対象において喫煙とカフェイン使用との関連が非常に一貫していたことと比較すると驚くべきことであった。・統合失調症とカフェイン使用の明白な関連は、喫煙の交絡的な影響により説明することができる。関連医療ニュース 統合失調症患者の過度なカフェイン摂取、どう対処すべき 統合失調症患者は、なぜ過度に喫煙するのか 認知症治療薬ガランタミン、ラット試験で喫煙欲求の軽減効果を確認  担当者へのご意見箱はこちら

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事例42 トリガーポイント注射手技料の査定【斬らレセプト】

解説事例では、左頸部圧痛点と右腰部圧痛点に麻酔薬の局部注射を行い、麻酔料の部のL104 トリガーポイント注射に該当するとして、手技料を各々に算定したところ、同注射手技料がD事由(告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの: 社保)にて査定となった。薬剤料に対する査定は無かった。傷病名が異なり、同注射の施行場所が異なる場合は算定可能であろうと、医学的に必要としたことをコメントしていたが認められなかった。同注射料の算定留意事項には「(前略)施行した回数及び部位にかかわらず、1日につき1回算定できる」と明記されている。医学的に複数箇所への同注射を必要としていても、通知が優先され、「同注射手技料は診療実日数1日につき1回のみ認められる」として査定になったものである。複数箇所に施行された場合の薬剤料は、事例のように同注射ごとに記載することを原則とするが、同注射1日量をまとめて記載しても問題はない。ただし、1日量をまとめた場合には、薬剤量過剰と判断されないよう、複数箇所に施行したことがわかるコメントを記載したほうが良い。

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学会発表後になぜ論文化しない?

 米国ジョンズ・ホプキンス大学公衆衛生大学院のRoberta W. Scherer氏らは、学会での発表内容を論文として公表しない理由について、学会抄録の著者に問い合わせて調査した報告の系統的レビューを行った。その結果、医学専門分野において論文化しない主な理由は、ジャーナルよりも著者に関連する因子にあることが示唆された。Journal of clinical epidemiology誌オンライン版2015年2月12日号に掲載。 生物医学系の学会発表について、その後の論文公表の有無と公表しない理由を調査した研究を、MEDLINE、EMBASE、Cochrane Library、ISI Web of Science、研究の文献目録を基に系統的にレビューした。 主な結果は以下のとおり。・これらの情報を提示している27報のうち24報での平均論文公表率は55.9% (95%CI:54.8~56.9%)、また臨床試験に関する7報では73.0%(95%CI:71.2~74.7%)であった。・24報に論文化しない理由が1,831項目列挙され、6報に最も重要と考えられる理由が428項目列挙されていた。・「時間がない」が最も多い理由(加重平均:30.2%、95%CI:27.9~32.4%)で、かつ最も重要な理由(加重平均:38.4%、95%CI:33.7~43.2%)であった。・その他多かった理由は、「時間やリソース(両方もしくはどちらか)がない」「論文公表が目的ではない」「優先度が低い」「研究が不十分」「共著者とのトラブル」であった。

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抗うつ薬、どれを使う? 選択によって転帰は変わる?(解説:岡村 毅 氏)-317

 自殺関連行動と抗うつ薬の関連を、プライマリケアのデータベースを用いて研究した、プライマリケアの教室からの論文である。 うつ病と診断され投薬を受けた約24万人の患者さんを10年以上追跡し、既遂、あるいは企図(自傷)をアウトカムにして解析をしている。いわゆるSSRI(現代における第1選択薬)に比べて、三環系抗うつ薬では差はなかったが、MirtazapineやVenlafaxine(その他の抗うつ薬とカテゴライズされている)ではリスクが高いことが示された。 3点指摘したい。 まずは、治療薬選択の際のバイアスに関して。ケアネットの読者の皆さまならそういった心配は必要ないのかもしれないが、このような論文をもって「MirtazapineやVenlafaxineは危険というエビデンスが出た」と早とちりする向きがあるやもしれぬので一応述べておくと、MirtazapineやVenlafaxineは英国のガイドラインでは重症のケースに処方されるので、転帰不良であることは当然といえよう。つまり、単純化していえば、軽症にSSRI、重症にMirtazapineやVenlafaxineというわけである。本研究でも当然初診時の重症度などが調整された解析が行われているが十分とはいえず、したがって予想どおりの結果である。なお、これは本論文の考察でも当然のように記載されており、いちいちここで書くようなことではないかもしれないが、誤解するような早とちりが蔓延しているので……。 次に、Combined Antidepressantsが実はハイリスクである。既遂ではn=2なので統計解析に堪え得ないが、企図ではSSRIの2倍となっている。併用しているということは治療が困難に直面している可能性が高く、したがって重症であるので、転帰も不良なのだと考えることができる。一方で、とても意地の悪い見方をすれば、ガイドライン上は奨励されていない併用を行っているプライマリケア医は能力が低いので転帰も不良、という見方もできなくもない。いうまでもなく、評者はプライマリケア医が使命感を持ちきちんと勉強して臨床をしていると信じているので、前者の見方である。 最後に、非精神科医の読者の皆さまに。抗うつ薬の選択も重要だが、実際のうつ病治療の臨床では、(1)きちんと患者さんに信頼されて情報を聞き出すこと(あるいは他人を信頼できない人からも一定の情報を取り出すテクニック)、(2)大体がこんがらがっている患者さんの課題を解きほぐし単純な問題の和に整理すること、(3)何が治療対象で何がそうでないのかを仕分けて共有すること、(4)まれに現れる訳のわからないステークホルダー(たとえば患者さんが調子の悪いほうが心地よい親族など)の調整、といったことのほうが精神科では重要であったりする。手術に際して術者の力量が最も重要であり、どんな器具を使うのかは本質的ではないのと同じように……、と書くと、書き過ぎであろうか。本研究の公衆衛生的価値をおとしめるつもりは毛頭ないし、これらは尺度化しにくいものであるから声高に主張するつもりもないが、薬剤選択に「正解」があるという誤解を避けたいのであえて書きました。

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エナジードリンクを飲む学生ほど食生活は不健康

 エナジードリンクを飲む学生ほど不健康な食生活を送り、BMI値が高いことが、米・テキサス大学オースティン校のNatalie S Poulos氏らの調査により報告された。これまでもエナジードリンク摂取と不健康な生活習慣については知られていたが、若年者での調査はほとんど実施されていなかった。 調査対象は、南西部広域にある大学の新入生585人で、平均年齢は18.7歳、女性が56%であった。人種の内訳は、非ヒスパニック系白人が47%、ヒスパニック系が20.9%、25.5%がアジア系、2.7%が非ヒスパニック系黒人、その他は4.4%であった。直近1週間のエナジードリンクの摂取と食生活を自己報告形式で調査した。 食生活の調査には、炭酸飲料、ダイエット炭酸飲料、塩気のあるスナック類、甘いスナック類、ファストフード、レストランの食事、冷凍食品、果物、野菜、牛乳、朝食摂取が含まれていた。 エナジードリンクを飲む人と飲まない人の食生活は、線形回帰分析で解析された。 主な結果は以下のとおり。・直近1週間にエナジードリンクを飲んだ学生は17.5%であった。・エナジードリンクを飲む学生は、男性、白人、BMIが高い傾向にあった。・エナジードリンクを飲む学生は、直近1週間の果物、野菜、牛乳、朝食摂取の割合が低かった。・エナジードリンクの消費は、炭酸飲料と冷凍食品の消費増大と関連がみられた。 著者らはこれらの結果を踏まえて、「今後の学生に対する食事介入では、エナジードリンクによる影響について検討する必要がある」と述べた。

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特別講演会『川崎協同病院事件に見る医療倫理と司法倫理』のご案内

 順天堂大学大学院医学研究科 研究基盤センター分室の坪内 暁子 氏ら、患者・医療者・社会の権利に附随する諸問題について考える研究会は、2月27日(金)18時より、特別講演会『川崎協同病院事件に見る医療倫理と司法倫理』を開催する。本講演は、研究会のメンバーだけでなく、財団会員、若手医療者、MLS会員、医学生・法科大学院生などの聴講も幅広く歓迎している。 開催概要は以下のとおり。■講演会概要 映画『終の信託』のモデルにもなった川崎協同病院事件の弁護人・矢澤 曻治 氏を講演者に、産婦人科学会ほかを動かし無過失保障制度に繋がっていたといわれている福島県立大野病院事件の弁護人・安福 謙二 氏を座長として迎え、リスボン宣言10章に記載されている、日本では馴染みのない安楽死・尊厳死を題材にお話を伺う。■座長:安福 謙二 氏(福島県立大野病院事件弁護人)■演者:矢澤 曻治 氏(川崎協同病院事件弁護人)■日時2015年2月27日(金) 18:00~20:00(※17:30開場)■場所ウェルリンク株式会社 会議室東京都文京区湯島1-5-28 ナーベルお茶の水 2階地図はこちら■対象本研究会メンバー、財団会員、若手医療者、 MLS会員、医学生・法科大学院生など■参加費:無料■主催患者・医療者・社会の権利に附随する諸問題について考える研究会■問い合わせ先順天堂大学研究基盤センター分室 助教 坪内 暁子(研究代表者)E-mail:akiko@juntendo.ac.jp電話:03-3813-3111内線:3294(※席数に限りがあるため、参加を希望される場合は上記まで事前にご連絡をお願いいたします)■「特別講演会 川崎協同病院事件に見る医療倫理と司法倫理」について詳細はこちら

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事例41 ヒアルロン酸の査定【斬らレセプト】

解説事例では、高血圧症と肝機能障害で通院中の患者に肝硬変を疑いD007 「42」ヒアルロン酸を実施したところ、C事由(医学的理由による不適当と判断されるもの)にて査定となった。同検査は、算定留意事項に「(前略)慢性肝炎の患者に対して、慢性肝炎の経過観察及び肝生検の適応の確認を行う場合に算定できる」とある。さらに、支払基金の審査情報提供では「『慢性肝炎』の病名の無い『肝機能障害』又は『肝細胞がん疑い』及び『肝硬変』が確定している場合は、同検査は診断の参考とならない」と示されている。認める場合は、「原発性胆汁性肝硬変」の診断時に参考とする場合と示されている。事例に記載されている「肝機能障害」からは「慢性肝炎」であることが読み取れない。また、「慢性肝炎」の判断ができない中での「肝硬変の疑い」では、肝生検の必要性が読み取れないとして、医学的に不適当と判断されたことが考えられる。保険請求では、その行為が必要であったことが、第三者に読み取れるよう診断傷病を記載することが肝要なのである。

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フルフェナジンデポをいま一度レビューする

 英国・Enhance Reviews社のNicola Maayan氏らは、統合失調症患者に対するフルフェナジンデカン酸およびエナント酸と、経口抗精神病薬およびその他の神経遮断薬のデポ製剤を比較し、臨床的有効性、社会経済的アウトカムを評価するレビューを行った。その結果、フルフェナジンについてエナント酸よりもデカン酸に関するデータのほうが多く存在すること、いずれも有用な抗精神病製剤であること、データの質は低く有害事象データは曖昧だったがフルフェナジンデカン酸は他の経口抗精神病薬よりも運動障害の発生が少なかったことなどを明らかにした。結果を踏まえて著者は、「本検討では、アドヒアランスの面でデポ薬に経口薬を上回る有益性は認められなかったが、このことを単純に日常診療には適用できないと思われる」とまとめている。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2015年2月5日号の掲載報告。 レビューは、Cochrane Schizophrenia Group's Trials Register(2011年2月~2013年10月16日)を検索して行った。フルフェナジンデカン酸またはエナント酸と、プラセボまたは経口抗精神病薬、その他デポ製剤を比較した統合失調症患者を対象とした無作為化試験(RCT)を適格とし分析に組み込み、質の評価やデータの抽出・評価を行った。二分データについて推定リスク比(RR)と95%信頼区間[CI]を算出。分析はintention-to-treatにて行った。正常な連続データについては平均差(MD)を用いた。追跡失敗が50%超の連続データは除外し、不均一性、刊行バイアスの評価を行った。高い不均一性が認められなかった場合、固定効果モデルを用いてすべての分析を行った。本報告では、包含試験のリスクバイアスを評価し、サマリー所見を作成するためにGRADE(Grading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation)アプローチ法を用いた。 主な結果は以下のとおり。・無作為化試験73件、被験者4,870例を解析に組み込んだ。・全体的に、エビデンスの質は「低い」「非常に低い」ものであった。・プラセボと比較してフルフェナジンデカン酸の使用は、死亡において有意差をもたらさなかった。・また、6ヵ月~1年間における再発についても、低下をもたらさなかったが、1件の長期試験においてフルフェナジン群で再発が有意に減少したことが報告されていた(54例、RCT 1件、RR:0.35、95%CI:0.19~0.64、エビデンスの質は非常に低い)。・中期試験(6ヵ月~1年)で早期に離脱した被験者数は、フルフェナジンデカン酸群(24%)とプラセボ群(19%)でほぼ同程度であった。一方で2年の試験で、フルフェナジンデカン酸を支持する有意な結果が示されていた(54例、RCT 1件、RR:0.47、95%CI:0.23~0.96、エビデンスの質は非常に低い)。・Brief Psychiatric Rating Scale(BPRS)で評価または錐体外路の副作用で判断された精神状態において、有意差は認められなかった。ただしこれらのアウトカムは、それぞれ1件ずつの小規模試験で報告されていただけであった。・フルフェナジンデカン酸とプラセボを比較した試験において、全体的な状態または入院における臨床的に有意な変化は報告されていなかった。・中期的に、フルフェナジンデカン酸が経口神経遮断薬と比較して再発を減らすことは認められなかった(419例、RCT 6件、RR:1.46、95%CI:0.75~2.83、エビデンスの質は非常に低い)。小規模試験での検討であったが、全体的な状態の臨床的に有意な変化は認められなかった。・フルフェナジンデカン酸群(17%)と経口神経遮断薬(18%)群の間で、試験早期に離脱した被験者数の差はみられなかった。また、BPRS評価の精神状態でも有意差はみられなかった。・錐体外路系の副作用は、経口神経遮断薬と比較してフルフェナジンデカン酸投与を受けた人において有意に少数であった(259例、RCT 3件、RR:0.47、95%CI:0.24~0.91、エビデンスの質は非常に低い)。・フルフェナジンデカン酸と経口神経遮断薬を比較した試験において、死亡または入院の報告はなかった。・フルフェナジンデカン酸とフルフェナジンエナント酸の間に、中期的に、再発率の有意な差はみつからなかった(49例、RCT 1件、RR:2.43、95%CI:0.71~8.32、エビデンスの質は非常に低い)。直近や短期の試験においても差は不確かであった。・試験早期における離脱者の報告をしていたのは、1件の非常に小規模の試験で(29% vs. 12%)、BPRS評価の精神状態は報告されていたが、どちらのアウトカムも有意差はみつからなかった。・フルフェナジンデカン酸とフルフェナジンエナント酸の間に、錐体外路系副作用の有意差は認められなかった。・フルフェナジンデカン酸とフルフェナジンエナント酸を比較した試験において、死亡、および臨床的に有意な変化(全体的な状態または入院)は報告されていなかった。関連医療ニュース 持効性注射剤の歴史を振り返る いま一度、ハロペリドールを評価する アリピプラゾール持効性注射薬の安全性は  担当者へのご意見箱はこちら

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