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外科「電気メスの基本手技」【臨床実習を味わうケアネット動画Café】第2回

動画解説臨床研修サポートプログラムの研修医のための外科ベーシックより、本間崇浩先生の「電気メスの基本手技」を鑑賞します。電気メスの各設定で生肉を切ってみる。有害事象を起こさないためにデバイスの仕組みもしっかり勉強して臨みましょう!

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プライベートパーツを診る!

半分アトラス、臨床写真500枚超!「皮膚科の臨床」66巻7号(2024年6月臨時増刊号)“プライベートパーツ”疾患を網羅した豊富なアトラスと、エキスパートによる“プライベートパーツ”診療の注意点、鑑別診断、治療法などの解説からなる本特集。梅毒やエムポックスなど性感染症の最新トピックスも。貴重な臨床写真を眺めて学ぶもよし、興味のあるテーマから読み進めるもよし。皮膚科医のみならず外陰部疾患を診るすべての方へ。永久保存版の1冊です。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大するプライベートパーツを診る!定価8,800円(税込)判型B5判頁数244頁発行2024年6月編集「皮膚科の臨床」編集委員会ご購入(電子版)はこちらご購入(電子版)はこちら紙の書籍の購入はこちら医書.jpでの電子版の購入方法はこちら紙の書籍の購入はこちら

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人間のペニスから初めてマイクロプラスチックを検出

 人間のペニスから7種類のマイクロプラスチックが初めて検出されたことを、米マイアミ大学ミラー医学部のRanjith Ramasamy氏らが、「IJIR: Your Sexual Medicine Journal」に6月19日発表した。この研究では、5点のペニスの組織サンプルのうちの4点でマイクロプラスチックが検出されたという。研究グループは本年5月に人間の精巣から驚くべきレベルのマイクロプラスチックが検出されたことを報告したばかりであった。研究グループは、マイクロプラスチックは主要臓器の細胞や組織に浸潤する可能性があると話している。 Ramasamy氏はCNNの取材に対し、「今回の研究は、人間の心臓の中からマイクロプラスチックが見つかったことを明らかにした先行研究を土台にしている」と述べ、「ペニスは心臓と同様、非常に血管の多い臓器であるため、ペニスからマイクロプラスチックが見つかったことに驚きはなかった」と語っている。 Ramasamy氏らは今回、勃起不全(ED)と診断され、2023年8月から9月の間に陰茎インプラント手術を受けるためにマイアミ大学の病院に入院していた6人の患者から採取したペニスの組織サンプルを用いて、赤外イメージングシステムによる分析を行った。組織サンプルは陰茎体部から採取され、うち5点のサンプルは洗浄済みのガラス器具に保存された。残る1点は、プラスチック容器に保存して対照サンプルとした。 その結果、ガラス器具に保存した5点のサンプルのうちの4点と対照サンプルから7種類のマイクロプラスチックが見つかった。最も多く検出されたのはポリエチレンテレフタレート(PET、47.8%)、次いで多かったのはポリプロピレン(PP、34.7%)であった。また、マイクロプラスチックのサイズは20〜500µmであった。 このような結果を踏まえた上でRamasamy氏は、「今後は、マイクロプラスチックがEDに関係しているのか、病理学的症状を引き起こすレベルはどの程度のものなのか、どのような種類のマイクロプラスチックが病理学的症状を引き起こすのかを明らかにする必要がある」と述べている。 Ramasamy氏は、この研究が「人間の臓器内に異物が存在することについての認識を深め、このテーマをめぐる研究の促進につながる」ことを願っていると付け加えている。同氏はさらに、「われわれは、ペットボトルやプラスチック製の容器から水や食品を摂取することに留意し、今後の研究で病理学的症状を起こし得るレベルが特定されるまでは、そうしたものの使用を制限するよう努めるべきだ」と述べている。 米ニューメキシコ大学薬学部教授のMatthew Campen氏はCNNの取材に対し、「プラスチックが体内の至る所に入り込んでいることを裏付ける興味深い研究だ」と話す。同氏は、「プラスチックは一般的に、人間の体の細胞や化学物質と反応はしないが、勃起や精子の生成に関与する機能を含め、体が正常に機能するためのプロセスに対して物理的に破壊的である可能性はある」と指摘する。 Campen氏は、共著者として参加した人間の精巣に関する研究において、人間の精巣中で検出されたマイクロプラスチックのレベルが、犬の精巣や人間の胎盤で検出されたレベルより3倍高かったことに言及。「われわれは、体内のマイクロプラスチックがもたらし得る脅威にようやく気付き始めたところだ。マイクロプラスチックが不妊症や精巣がん、その他のがんに関与しているのかどうかを明確にするためにも、このテーマに関する研究の急増が必要だ」と述べている。 一方、米国小児科学会(AAP)の食品添加物と子どもの健康に関する政策声明の筆頭著者である、米ニューヨーク大学ランゴンヘルスのLeonardo Trasande氏は、マイクロプラスチックがもたらす脅威が明らかになるまでの間にわれわれがやるべきこととして、「まず、可能な限りステンレスやガラスの容器を使い、プラスチックの使用量を減らすこと。また、乳幼児用の粉ミルクや搾乳した母乳を含め、プラスチック製の容器に入った食品や飲料を電子レンジで温めるのはやめること。さらに、熱により化学物質が溶出する可能性があるので、プラスチックを食器洗浄機に入れないようにすること」とCNNに対して語っている。

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母親のスマホ使用は乳児への語りかけの減少と関連

 母親がスマートフォン(以下、スマホ)を使っているときには、乳児への語りかけが16%減少し、乳児の言語発達に悪影響を及ぼす可能性のあることが、新たな研究で示唆された。1~2分程度の短時間のスマホ使用は、母親の乳児への語りかけをさらに減少させていたという。米テキサス大学オースティン校心理学分野のMiriam Mikhelson氏らによるこの研究結果は、「Child Development」に6月26日掲載された。 Mikhelson氏は、「新米の親へのアドバイスは、スマホの使用が子どものニーズに対応する親の能力に影響するということを認識することだ。子どもにとっては、自分の求めに応じて一貫性のあるケアを受けることが非常に重要だ。しかし、親がスマホに夢中になっていると、そのようなケアを受けにくくなることがある」と話す。 研究グループによると、親のスマホの使用は子どもの言語発達に影響を与える可能性が先行研究で示唆されているという。しかし、これらの研究結果のほとんどは、管理された実験室で親子を観察して導き出されたものである。これに対しMikhelson氏らは今回の研究で、実生活での母子のやりとりと親のスマホ使用との関連を検討した。具体的には、16人の乳児(平均月齢4.1カ月、白人75%、女児63%)に1週間オーディオレコーダーを装着し、その録音データを、1万6,673分に及ぶ親のスマホの使用時間と同期させて、スマホの使用が母親の乳児への語りかけにどのような影響を与えるのかを調べた。 その結果、母親のスマホの使用は乳児への語りかけの16%の減少と関連することが明らかになった。また、長時間の使用に比べて、短時間(1〜2分)の使用の場合には乳児への語りかけが26%減少することも示された。研究グループはこの点について、「長時間のスマホ使用では電話やビデオチャットなどでの会話を伴うことがあるため、乳児が耳にする音声の量が増えるのに対して、短時間のスマホ使用は電子メールのチェックやメッセージの送信のような非言語的な活動が主流となるからではないか」と推測している。 さらに、スマホの使用が母子のやりとりに与える影響は、特定の時間帯(午前9〜10時、正午から午後1時、午後3〜4時)に顕著になることも判明した。Mikhelson氏らは、「これらの時間帯は、食事の時間や、きょうだいが学校や保育園から帰ってくる時間など、母親が子どもと接する機会が多い時間帯と重なる」と指摘している。 研究グループは、「親は、スマホの使用が乳児への対応に与える影響を過小評価している可能性がある」と話している。Mikhelson氏は、「もちろん親の中には、仕事上の義務やその他の責任から、スマホを使わないでいることが難しい人もいるだろう」と一定の理解を示しつつも、「自分の育児の質に不安がある人に対して、われわれは、できる限り子どもに関心を向けるよう努力すること、そして、スマホがその能力をどの程度妨げているかについて自分に正直になることを勧めている」と語っている。そして、「スマホを極力使わないでおこうと思いながらも、ついついスマホを使っていると自覚することが、重要な第一歩だ」と付け加えている。 研究グループは、今後の研究では、メッセージングや電話などの特定のスマホの使用と、食事中や遊びの最中など異なる状況でのスマホの使用が、親の子どもへの語りかけに与える影響を調べる必要があるとしている。

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VEXAS症候群、83%に皮膚病変

 VEXAS(Vacuoles, E1 enzyme, X-linked, Autoinflammatory, Somatic)症候群は、近年定義された後天性自己炎症性疾患で、主に50歳以上の男性に発症する。全身性の炎症症状、進行性骨髄不全症、炎症性皮膚症状がみられるのが特徴である。米国・ラトガース大学のIsabella J. Tan氏らは、観察コホート研究においてVEXAS症候群では皮膚症状が一般的かつ早期からみられる症状であることを明らかにした。そのうえで「皮膚血管炎、好中球性皮膚症、または軟骨炎を患う高齢の男性患者では、VEXAS症候群についての遺伝的評価を検討する必要がある。早期診断を促進するために、皮膚科医の間でVEXAS症候群の認識を高めることが重要である」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2024年6月12日号掲載の報告。 研究グループは、VEXAS症候群における特徴的な皮膚症状を検討し、それらが疾患の臨床的、遺伝学的、組織学的側面とどのように関連しているのかを調べることを目的として、観察コホート研究を行った。 対象患者は2019~23年に、UBA1遺伝子変異が確認されVEXAS症候群と診断された112例。医療記録レビューから、あるいは米国・メリーランド州ベセスダの国立衛生研究所(NIH)で直接評価したVEXAS患者から収集したデータを用いて解析した。 主要アウトカムは、遺伝学的、組織学的およびその他の臨床的所見と関連するVEXAS症候群における皮膚症状の範囲。副次アウトカムは、VEXAS症候群に対する治療への反応とした。 主な結果は以下のとおり。・対象患者112例の年齢中央値は69歳(範囲:39~79)、男性は111例(99%)であった。・皮膚病変は一般的な症状であり(93例[83%])、VEXAS症候群に特徴的な症状のなかで最もよくみられた症状であった(68例[61%])。・患者60例から得られた64件の組織学的報告のうち、主な皮膚の組織病理学的所見は、白血球破砕性血管炎(23件[36%])、好中球性皮膚症(22件[34%])、血管周囲性皮膚炎(19件[30%])であった。・病原性遺伝子変異と皮膚症状には関連がみられた。p.M41L変異と関連が最も大きかったのは、好中球の皮膚浸潤(14/17例[82%])であった(Histiocytoid Sweet Syndromeと類似することが多い)。・一方、p.M41V変異と関連していたのは、血管損傷(11/20例[55%])、混合白血球の浸潤(17/20例[85%])であった。・経口prednisoneにより、67/73例(92%)の患者において皮膚症状の改善がみられた。・anakinraによるVEXAS症候群の治療を受けた患者において、潰瘍(2/12例[17%])や膿瘍(1/12例[8%])などを含む重度の注射部位反応(12/16例[75%])の発現頻度が高かった。

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自然の中での運動は屋内での運動よりも有益

 公園での散歩や小道を自転車で走るなどの自然の中で行う運動は、室内で行う運動よりも有益である可能性が、新たなレビューで示唆された。ただし、公共の自然エリアへのアクセスは地域により異なり、全ての人が屋外で運動できるわけではないと研究グループは指摘している。米テキサスA&M大学健康・自然センターのJay Maddock氏とHoward Frumkin氏によるこの研究の詳細は、「American Journal of Lifestyle Medicine」に5月11日掲載された。 Maddock氏らは本研究の背景説明の中で、現在、米国成人の4人に3人以上が推奨されている1週間の運動量を確保できていないと述べている。同氏らは、このような運動は、心臓病、糖尿病、一部のがん、骨粗鬆症などの慢性的な健康問題の予防に役立つ上に、免疫機能を高め、気分を改善し、痛みのコントロールを助け、寿命の延長にもつながると説明している。 この研究では、屋内運動との比較で屋外運動の利点を検討した先行研究のデータが分析された。その結果、屋外での運動には、気分や脳機能の改善や社会的交流の向上、運動することの楽しさの増大、労作感の軽減など、さまざまな利点のあることが明らかになった。ただし、これらの先行研究は1年未満という短期間で認められる結果に焦点を当てたものであり、得られた利点が長期的に蓄積されるかどうかは不明であるとMaddock氏らは説明している。 また、特定の集団は公園や緑地などの自然空間で運動するのが困難なことも分かった。例えば、地方では私有地が多いため、自然空間へのアクセスが少ないことが多いのだという。この点についてMaddock氏は、「例えば、公園から半マイル(約800m)以内の距離に住んでいる住民は、イリノイ州では98%近くに上るのに、ミシシッピ州ではわずか29%にとどまる」と述べている。 さらに、男性は女性よりも、公園や自然空間を利用する傾向が強いことも明らかになった。Maddock氏らは、これは、おそらく安全性への配慮に由来する結果だとの見方を示している。このほか、ロサンゼルスを拠点とするある研究によると、黒人の成人は白人、ラテン系、アジア系太平洋諸島民の成人よりも自然空間で運動する人が少ないことや、子ども、高齢者、障害を持つ人々は自然空間へのアクセスに課題を抱えていることなども明らかになった。Frumkin氏は、「公園やその他の自然空間を、容易に移動できる安全な空間とし、適切なプログラムを用意することで、そのような環境の利用を増やすことができる」と述べている。 こうした結果を踏まえてMaddock氏とFrumkin氏は、医師は患者に公園や自然空間を「処方」することを検討すべきだと主張している。Maddock氏は、「患者に自然の中で過ごす時間を増やすように勧めることは、自然処方、あるいは『ParkRx』として知られている。今後、研究を重ねる必要はあるものの、これまでの研究ではこのアプローチが効果的であることが示唆されている」と述べている。 Maddock氏らはさらに、医療専門家は、公園や緑地の造成・維持のための資金援助や、それらの利用を促進する地域社会の取り組みを手助けすることもできると話す。Maddock氏は、「公園や自然空間を身体活動に利用することは、運動することと自然の中で過ごすことという2つの重要な健康行動を同時に促進する強力な手段となり得ることは明らかだ。米国人の大多数が運動不足で、屋外で過ごす時間も不十分であることを考慮すると、これは特に重要な可能性がある」と述べている。

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ポリファーマシー対策は薬剤師も主導しよう【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第134回

多剤服用中の患者さんにどう向き合うか、どう減薬していくか、という課題は確実に周知されつつあります。また、その解決に地域の薬剤師の活躍が求められていることも明確になりつつあります。そのような中、「地域における高齢者のポリファーマシー対策の始め方と進め方(案)」という手順書案が6月21日に厚生労働省より出されました。厚生労働省は6月21日の高齢者医薬品適正使用検討会で、地域における高齢者のポリファーマシー対策の始め方と進め方を業務手順書として示した。薬剤師等を患者の薬剤を一元的に把握して調整を支援する「薬剤調整支援者」、地域全体で対策実行を推進する「地域ポリファーマシーコーディネーター」として設置することなどを推奨した。(2024年6月25日付 日刊薬業)2021年3月に、病院におけるポリファーマシー対策を構築する際のツールとして、「病院における高齢者のポリファーマシー対策の始め方の進め方」が発表されました。そのうえで、「ポリファーマシー対策は病院だけでなく地域全体で取り組むと実効性がより高まる」ということから、より広い地域を対象とした本手順書案がこのたび策定されました。手順書策定の目的は以下の2つです。1.地域においてポリファーマシー対策を始める際に、目の前の患者にどう対応するかという視点で活用する2.地域のマニュアルなどを整備し、業務をより効率的に行う参考資料として活用するこの手順書を活用して、地域やプレーヤーに合ったマニュアルなどを整備することが望ましいとされています。ポリファーマシー対策の始め方から、進め方、よくある課題、実施例などが書かれてあり、非常に実践的です。たとえば、ポリファーマシー対策を小規模から始める例として、残薬など服薬上の問題を解消するための介入を薬局薬剤師が行うとあります。また、患者さんの薬剤を一元的に把握し、多職種で効率的に連携して対応を進めるため、普段から患者さんに関わりのある医療者からポリファーマシーを調整するキーマンとして「薬剤調整支援者」を患者さんと相談して決めることが有効と記載されています。薬剤調整支援者には、かかりつけ薬剤師やかかりつけ医など、患者さんが最も相談しやすい人が望ましいとされています。患者さんとも地域の医療者とも協力しながら進める必要があり、薬局薬剤師のやるべきことは山積み!と武者震いすると同時に、これまで積み上げてきた関係性がより活用されることは間違いないとも思います。今後の展開としては、厚生労働省は今年度の予算事業で、今回作成した手順書案を用いてポリファーマシー対策の実施・検証を行うとしています。これらの業務の委託先のNTTデータ経営研究所によると、2地域を調査対象として課題抽出や対応策の整理などを実施するとのことです。具体的な行動はもう少し後でもいいかなとも思うので、ぜひ読んで想像だけでも膨らませてください!じわじわと、そして確実に、地域の薬剤師の役割と期待が増えているように思います。指針と手順書の確定が楽しみです。関連サイト地域における高齢者のポリファーマシー対策の始め方と進め方(案)

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新しい医師の役割

医師ならではの起業が患者を救う!ごきげんな社会を実現しよう医師には医療だけでなく、新たな道として起業を提案したい。専門知識を深めた「I型人間」から広く一般知識を身につけた「T型人間」となって起業しよう。本書はその手引きとして実際に起業した医師たちを紹介するとともに、株式を上場した著者の起業体験も披露する。ダメだったら医師に専念すればいい。起業により多くの患者を救い、自身も経済的・精神的に潤い、医薬品・医療機器輸入超過も解消させ、ごきげんな社会を実現しよう。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する新しい医師の役割定価3,740円(税込)判型A5判頁数292頁発行2024年4月著者坪田 一男ご購入(電子版)はこちらご購入(電子版)はこちら紙の書籍の購入はこちら医書.jpでの電子版の購入方法はこちら紙の書籍の購入はこちら

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消化器内科「ピロリ菌感染症関連」【臨床実習を味わうケアネット動画Café】第1回

動画解説臨床研修サポートプログラムの研修医のための内科ベーシック1消化器内科より、宮垣亜紀先生の「ピロリ菌感染症関連」を鑑賞します。実習中に聞かれがちなピロリ菌除菌に使用する3剤、答えられますか?

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低リスク前立腺がんの監視療法、10年後の病勢進行率は?/JAMA

 未治療の低リスク前立腺がん患者では、プロトコールに基づく監視療法(active surveillance)により、診断から10年の時点で49%の男性が病勢の進行がないか治療を開始しておらず、転移病変の発生は2%に達せず、前立腺がんによる死亡は1%未満であり、監視療法中の病勢進行や治療はアウトカムの悪化とは関連しないことが、米国・Fred Hutchinson Cancer CenterのLisa F. Newcomb氏らが実施した「Canary PASS研究」で示された。研究の成果は、JAMA誌2024年6月25日号で報告された。北米10施設の前向き観察研究 Canary PASS研究は、米国とカナダの10施設で実施した前向き観察研究であり、2008~22年8月に、低リスク前立腺がんと診断され、前治療歴のない男性2,155例を登録した(Canary Foundationなどの助成を受けた)。 全例で、限局性前立腺がんに対し、標準化されたプロトコールに基づいて前立腺特異抗原(PSA)の測定と、前立腺生検による監視療法を行った。 主要評価項目として、生検に基づく悪性度の再分類、根治的治療(根治的前立腺全摘除術、放射線療法、アンドロゲン除去療法[ADT]、その他)、根治的前立腺全摘除術時の有害な病理所見、治療後の再発、転移、全死亡、疾患特異的死亡の評価を行った。10年後の生検による悪性度再分類43%、治療49% 診断後の追跡期間中央値は7.2年であった。診断時の年齢中央値は63歳、83%が非ヒスパニック系の白人、7%が黒人であった。90%がグレードグループ1(GG1)の診断を受けており、PSA中央値は5.2ng/mLだった。 2,155例中2,008例が、診断のための初回生検後に監視療法としての生検を1回以上受けた。このうち約半数(1,003例)は悪性度の再分類または治療を受けなかった。374例が、確認生検で早期に、より悪性度の高いがんに再分類され、404例はその後の生検で悪性度の高いがんに再分類された。 診断から10年後に、生検による悪性度再分類は43%(95%信頼区間[CI]:40~45)で、治療は49%(47~52)で行われていた。 また、確認生検に基づき治療を受けた患者は425例(診断後の経過期間中央値1.5年)、その後の生検に基づき治療を受けた患者は396例(4.6年)であり、5年再発率はそれぞれ11%(95%CI:7~15)および8%(5~11)であった。10年後の転移発生率1.4%、前立腺がん特異的死亡率0.1% 根治的前立腺全摘除術時に、転移を有するがんへと進行していた患者は21例で、このうち10例は遠隔転移、5例は領域転移、6例はリンパ節転移であった。また、前立腺がん関連死は3例だった。 診断後の10年転移発生率の推定値は1.4%(95%CI:0.7~2)、10年前立腺がん特異的死亡率は0.1%(0~0.4)と低く、同じ経過期間における全死亡率は5.1%(3.8~6.4)であった。 著者は、「これらの結果は、低リスク前立腺がんと診断された患者では、監視療法が有効な疾患管理戦略であることを示すものである」と指摘している。

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夏場は注意!紫外線だけでなく、高温・熱中症も白内障リスクに

 今夏も高温の日が続くことが予想されている。紫外線が眼病リスクを高めるという報告はこれまでも多くされてきたが、紫外線だけでなく、環境温度や熱中症の既往も白内障リスクを高める可能性があるという。2024年6月にジョンソン・エンド・ジョンソンが行ったプレスセミナーにおいて、金沢医科大学 眼科学講座 主任教授 佐々木 洋氏が「紫外線と高温環境が目に与える影響と対策」と題した講演を行い、これまで佐々木氏らの研究グループが行った調査データをまとめて報告した。紫外線と白内障の関係 佐々木氏らの研究グループは、これまで世界各地で紫外線被曝量と白内障リスクの関連について調査してきた。 中国・台湾の3エリアで行った生涯紫外線被曝量(COUV)と白内障リスクの関連の研究1)においては、人種を漢民族に絞り、COUV量の異なる三亜・太原・台中において年齢、性別、糖尿病の有無、眼軸長(強度近視)調整後の白内障リスクを比較した。その結果、これまでCOUVは水晶体皮質が白濁する「皮質白内障」の発症と関係が深いことが報告されていたが、この研究においては、COUVは水晶体核が硬くなる「核白内障」発症リスクとの関連が最も大きいことがわかった。この結果について佐々木氏は「皮質白内障には紫外線と関連が強い輪状型皮質白内障、紫外線と関連がないWatercleftsという白内障が進行し生じる車軸型皮質白内障があることがわかってきた。紫外線強度の強い地域では核白内障のリスクが急激に上昇することが、今回の結果に影響している可能性があると考えている」とした。 沖縄県・西表島の40歳以上の住民を対象とした研究2)では、幼年期の紫外線被曝量が成人後の白内障リスク因子として大きいことがわかった。同じ西表島在住の成人でも高校まで沖縄に在住していた群は、20代以降に移住した群よりも核白内障に8.67倍なりやすかったという。 さらに、世界各地の研究結果を比較すると、COUVが高い地域の在住者はそうでない地域の在住者と比較して総じて核白内障リスクが増すものの、COUVが同等の地域であっても屋外活動時間やメガネやサングラス装着習慣の有無によって発症リスクが大きく変わることも明らかになった。 白内障リスク対策は、紫外線被曝を防ぐことだ。具体的な方法として、日本において使用者の多い日傘は紫外線カット率が10~30%程度とそこまで高くない。帽子は種類によるが20~70%、サングラスは50~98%であり、帽子とサングラスを併用することで95~99%カットできる。UVカット機能のあるコンタクトレンズは角膜全体を覆い、耳側から入る光や反射光も防ぐことができるため有用だという。佐々木氏は「私たちは西表島で課外活動中の小学生にサングラスを掛けさせる運動を行ったこともあるが、子供がずっとサングラスを掛け続けることは難しい面もあり、ほかの対策を併用する必要があるだろう」とした。環境温度と白内障の関係 紫外線と白内障の関係について研究を続けると、改めて高温地帯で白内障発症リスクとの強い相関が確認された。「ここから、紫外線だけではなく、環境温度や体内温度も白内障リスクと関わりがあるとのではないか、という仮説が生まれた」(佐々木氏)。世界中で平均気温は上がり続けており、日本の平均気温は過去100年間で約1.5℃上昇し、都心部ではヒートアイランドの影響などでさらに上昇度が大きい。 名古屋工業大学・平田 晃正氏のチームは人体を対象とした複合熱解析手法により環境温度・湿度、深部温度、年齢、出生地域、太陽光曝露の有無などの因子が水晶体温度をどう変化させるのかについて、スーパーコンピュータを使った計算機シミュレーションにより予測できることを報告している。この研究結果を基礎研究データとし、これまでの眼疫学研究から得た核白内障の有病率とシミュレーションにより計算した水晶体温度の関連を併せて検討した結果、高温環境下、具体的には水晶体温度が37度以上の熱負荷が続くと、核白内障リスクが増す可能性が高いことが明らかになった3)。とくに熱帯地域や高齢者、屋外労働者などでリスクが高いことが明示された4)。続く研究によって核白内障リスクの寄与因子としては水晶体への熱負荷が52%+紫外線被曝が31%、その他加齢要因が17%であることが示された5)。熱中症と白内障の関係 佐々木氏らは、さらにこの研究を進め、高温多湿の環境が引き起こす疾患、熱中症が白内障リスクにつながるのかについても調査した。本研究(論文執筆中)では2016年1月~2023年2月の5年間のレセプトデータを用い、追跡可能だった255万8,593例を調査対照とした。対象者を熱中症、白内障、糖尿病の病名で分類し、年齢、性別、都道府県、糖尿病罹患歴の有無でマッチングコホートを作成し、追跡期間中の熱中症既往の有無により、5年間の年代別白内障発症率を比較した。 結果として、追跡期間中1回以上の熱中症既往のある人は、そうでない人に比べ、白内障リスクが3~4倍高く、その差は年代が上がるほど急激に開く傾向があった。「この機序としては、熱中症時の急激な体温上昇によって水晶体温度も上昇し、水晶体熱負荷が白内障発症リスクにつながった可能性があると考えている」(佐々木氏)。紫外線被曝と熱中症の予防が肝要 今後の課題として佐々木氏は「紫外線、環境温度・熱中症と白内障についての複合的な関連の解明をさらに進める必要がある。幼少期の紫外線被曝が白内障リスク上昇に関与している可能性を示唆する調査結果も出ているため、保護者や子供への啓蒙活動が重要になる」と述べた。とくに眼科医が少ない発展途上国において、白内障発症はそのまま失明につながることも多いため、啓蒙と対策は喫緊の課題だという。「日本においても紫外線・赤外線カットサングラス、UVカットコンタクトレンズなどを使った対策を普及させること、これと併せて熱中症予防対策を強化することが、白内障発症リスクを低減することにつながる」と強調した。 さらに「白内障というと、高齢者を中心にありふれた疾患であり、手術すれば治る、といったように捉えられることも多いが、手術をしても決して若い時の視力・見え方に戻るわけではない。さらに核白内障の初期症状は老眼であり、紫外線被曝や熱中症既往は30~40代といった若い時期の老眼リスクにもつながる。まずは予防が肝要だ」と、予防の重要性を重ねて訴えた。

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座位時間を減らすことが健康的な老化につながる

 テレビは、ついだらだらと見てしまうものだが、健康的な老化のためにはソファーに座っている時間は短い方が良いことを明らかにした研究結果がまた1件報告された。米ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院疫学分野のMolin Wang氏らによる研究で、詳細は「JAMA Network Open」に6月11日掲載された。 この研究は、Nurses' Health Studyに参加した4万5,176人の女性の20年間の追跡データを用いて、座位行動および低強度の運動(light-intensity physical activity;LPA)と健康的な老化との関連を調査したものである。全参加者が1992年時点で50歳以上であり(平均年齢59.2歳)、慢性疾患は持っていなかった。座位行動の指標として、座位でテレビを見ている時間、座位で仕事をしている時間、その他の家庭での座位時間、LPAの指標として、家庭(LPA-HOME)と仕事(LPA-WORK)でそれぞれ立ったり歩いたりして過ごす時間を調べた。健康的な老化とは、主要な慢性疾患に罹患しておらず、主観的認知機能・身体機能・メンタルヘルス障害がない状態で70歳以上に達している場合と定義された。 20年にわたる追跡期間中に、3,873人(8.6%)が健康的な老化を達成していた。結果に影響を与える因子を調整して解析した結果、座位でテレビを見る時間が1日当たり2時間増えるごとに健康的な老化を達成するオッズが12%低下するが、LPA-WORKが1日当たり2時間増えるごとに同オッズは6%上昇することが示された。また、座位でテレビを見る時間のうちの1時間をLPA-HOME、LPA-WORK、または中強度から高強度の運動に置き換えることで、健康的な老化を達成するオッズがそれぞれ8%、10%、28%上昇することも明らかになった。さらに、夜間の睡眠時間が7時間未満の人は、テレビの視聴時間を睡眠に置き換えることで、健康的な老化を達成するオッズが高まることも示された。 この研究には関与していない、米ナショナル・ジューイッシュ・ヘルスで心血管の予防と健康を担当するAndrew Freeman氏はCNNの取材に対し、「テレビを見ることは、特に不健康な行為だ。その理由は、動かないからというだけではない。テレビを見るという行為には、ジャンクフードやTVディナー(温めるだけでそのまま食べられるワンプレートタイプの冷凍食品)を食べたり、人とコミュニケーションを取る機会を失ったり、睡眠が妨げられたりといったことを伴いがちだ」と指摘する。 Freeman氏は、「運動は、どんな方法でも、どんな時間でも、全てを好転させることができる。運動は、心血管系のリスクと血圧を下げる、本当に素晴らしい方法だ」と話す。同氏は、「私が強く勧めたいのは、職場でのスタンディングデスクやトレッドミルデスクの使用だ。私の考えでは、一度に30分以上座っているのであれば、それはおそらく長過ぎであり、少しでも動くように努めるべきだ」と述べている。

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第218回 迫る都知事選、主要4候補”以外“で気になる人物

今、東京は過去最多の56人の候補者が出馬している「東京都知事選挙」の真っ最中である。候補者の数もさることながら、すでに報道でも数多く伝えられているように、掲示板スペースが足りずにテープなどで掲示板の端っこにはみ出る形でポスター掲示を強いられる候補、公序良俗に反する内容のポスターで警視庁から警告を受ける候補、政党による掲示板スペースの販売などが伝えられるカオスな状態である。今回のことを受けて、「都知事選候補は予備選を」とか「選挙出馬での供託金(知事選は300万円)を引き上げるべき」など有権者の声もあるほどだ。私個人は自分にとって不快でノイズと感じる声・意見を耳にすることは民主主義の必然(もちろん限度はある)であることや、昨今の地方首長選挙で半ば“流行り”の無投票再選になるくらいだったらカオスなほうがマシという考えであるため、今回の都知事選を巡るさまざまな事象には寛容なほうである。とはいえ、東京都在住の私は有権者でもあるため、常に選挙で自分に最低限課している選挙公報の精読も56人もの候補者がいると、なかなかに骨が折れる。実はそれだけで1時間半を要したほどだ。さらに補足的に各候補のホームページやX(旧Twitter)の投稿もウォッチしているため、この選挙で消費する労力は生活への負の影響を危惧するレベルである。いつもならば医療・介護にかかわる各候補の主な政策を網羅的に紹介し、個人的な批評も加えるのだが、今回の都知事選でそれをやれば文字数で1万字超が避けられない。また、ここまで候補者が多いと、通常の選挙以上に主要候補と呼ばれる人とその他候補の報道量の格差が大きいし、各候補のHPやXを見ても、医療・介護関連にまったく言及していない候補も結構いる。ちなみに各種報道を見る限りでは、今回の主要候補とされているのは現職都知事の小池 百合子氏、立憲民主党を離党して出馬した蓮舫氏、広島県安芸高田市前市長の石丸 伸二氏、元航空幕僚長の田母神 俊雄氏となるようだ。これら候補を除く52人の候補者は相対的に露出度が少ない。露出度が控えめも公約は有権者ファーストその中で私がやや興味を引いた候補がいる。日本でのAI研究の草分けとも言われる東京大学大学院工学系研究科教授の松尾 豊氏の研究室を経て、AIエンジニア・SF作家として活動する安野(あんの) 貴博氏である。2022年にデジタル庁のデジタル関係制度改革検討会デジタル法制ワーキンググループの構成員も務めている。なぜ安野氏に興味を抱いたかと言えば、ネットニュースサイトNewsPicksでのインタビューで、デジタルを活用しながら民意を吸収し、選挙公約として掲げた政策も選挙期間中にアップデートしていく旨を語っていたからだ。こういった主張はネガティブな観点で“今風”と揶揄する人もいるだろうが、そもそも民意とは常に変化するものであり、それに応じて政策のアップデートは必要だろうと私は常々考えていたのである。そうこうしながら安野氏のXをウォッチしていたところ、突如、男性のHPVワクチン任意接種の全額助成という政策変更(追加)を打ち出してきた。ちなみにここの読者には釈迦に説法だが、4価のHPVワクチンに関しては、肛門がんや男性の尖圭コンジローマの適応が追加され、海外ではHPV起因の中咽頭がん、陰茎がんの予防にも有効とする報告もあり、男性での定期接種化が議論されてきた。しかし、厚生労働省の厚生科学審議会の予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会では、有効性・安全性に問題はないものの費用対効果の観点から課題があるとして、現時点では定期接種化を見送っている。ただ、各地の自治体で男性の接種に対する補助は広がりを見せており、東京都の場合は確認できるだけで23区内のうち20区がすでに全額助成を開始している、あるいは今後開始する予定である。一方、都下26市のうち現時点で全額助成を開始/開始を決定しているのは4市のみ、一部助成が1市とかなりの格差がある。これを都内一律で全額助成をするというのだ。ちなみにそのほかの政策でも「認知症への備えをアプリで支援」など特有の政策を掲げている。ちょっとご本人に直接話を聞いてみようと思い、街頭演説場所に出かけて話しかけてみた。その場に集まってきている有権者にもあいさつするなど多忙な中、3度に分けてご本人に疑問をぶつけてみた。街頭演説時に質問してみると―HPVワクチンの男性への接種費用の全額補助という政策を選挙戦中に追加しましたが、選挙以前にHPVワクチンのことはどの程度は認識していましたか?【安野】実は私も25歳頃にHPVワクチンを受けています(ちなみに本人は33歳)。その意味で、そもそもこのワクチンの接種が男性にも良い効果をもたらすことは知っていましたし、その結果、パートナーをも守れる可能性が高いことも知っていました。―認知症の方をアプリで支援するという政策が書かれてありましたが、具体的なイメージが湧きません。【安野】イギリスでは、実はアプリで自分が認知症発症後に備えて、たとえば、どういう治療方針を選択するか、自分の資産を誰に信託するかなどの情報をあらかじめまとめ、一定の条件下でほかの人が見られるような仕組みが整っています。また、オーストラリアでは自治体によっては60歳時点で今後の自分の意思を残すよう促す制度が存在しています。認知症の人が保有する凍結資産は東京都だけでも19兆円を超えるという試算もあるほどで、これは大きな問題です。また、認知症の高齢者の場合、さまざまな併存疾患を有していることも少なくないので、それらの治療方針についても自分の意思を反映させられないままになるのはこれまた問題と考えています。このような現実を考えれば、海外で行われている事例を東京都で導入する余地はあるのではないかと考えているのです。―アプリを使ったPHR(Personal Health Record)の活用は、国内でも難病患者をはじめさまざまなシーンで試みられていますが、今のところは目立った成果を挙げられていません。【安野】PHRがなぜあまりうまくいってないのかについては、私個人はまだ十分に精査できてない部分もあり、そこはきちんと調べる必要があると思っています。ただ、アプリそのものの出来であるとか、政府など公共機関などの発注などでは、使いやすさなどを担保しない形の発注になってしまっていることが多く、その点は一つ問題だと認識しています。とはいえ、これも仮説ではあるので、もう少し深く見たほうが良いとは思っています。―今回、安野さんが取り組んでいるような、有権者から提言を受けてアジャイルに政策を変更・追加することには批判もあると思うのですが。【安野】おっしゃる通りです。ただ、それについてはどのような政治家であっても自分一人が考え付くことには限界があると思うのです。ならば外部の声を上手に拾い上げて自分の政策に反映するほうが、より良いものになると考えています。そういう意味ではアジャイルに改善していくという考えです。“気持ちの揺れ“、候補者にもあっていいアジャイルとは、英語で”機敏な“という意味。最近ではソフトウェア開発などに関連してよく耳にするようになった言葉で、要は基本機能を実装したソフトウェアはすぐに実用を開始し、必要に応じて徐々にアップデートしていくということ。そもそも医療・介護を巡る個人の意思決定は、自分の生命や生活に直結するがゆえに揺れ動くのが常。その観点からむしろもっともアジャイル精神を求められるのが医療・介護政策だと個人的には考えているが、どうにも日本という国では行政は不必要なまでに首尾一貫性を求められ、それ以外にはあれやこれやのしがらみが影響して、やるべきことが鼻先まで見えていながら実現しない隔靴掻痒な状況は少なくない。ちなみに今の自分にとって、最もアジャイルなのはこの選挙の投票先である。これは元からそうだが、選挙当日朝まで私は投票先を決めていないことがほとんど。それもこれも選挙期間中は、候補者本人の政策提言にアジャイル精神が残されているし、候補者自身の評価につながる情報もアジャイルに変化するからである。そして、とくに今回は候補者が多いだけにいつも以上に悩ましい。もっともこの悩みも昨今、無投票再選が増えている地方首長選挙の有権者からすれば贅沢な悩みかもしれないが。

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セフトリアキソンとランソプラゾールの併用リスク、日本人では?

 セフトリアキソン(CTRX)とランソプラゾールの併用は、心室性不整脈、心停止、院内死亡を増加させることが示唆されるという研究結果が、2023年にカナダの研究グループから報告され、話題となった1)。そこで、三星 知氏(下越病院)らの研究グループは、医療データベースを用いた後ろ向きコホート研究により、日本人におけるこれらのリスクを検討した。その結果、日本人においてもCTRXとランソプラゾールの併用は、心室性不整脈や心停止のリスクを上昇させることが示唆された。本研究結果は、Journal of Infection誌オンライン版2024年6月17日号で報告された。 本研究は、JMDCが構築した日本の医療機関データベースを用いて、2014年4月〜2022年8月の期間に登録されたデータを解析した。対象は、CTRXまたはスルバクタム・アンピシリン(SBT/ABPC)とプロトンポンプ阻害薬(PPI)を併用する20歳超100歳未満の患者10万5,301例とした。主要評価項目は、心室性不整脈・心停止の発生率であった。 主な結果は以下のとおり。・CTRXを投与された患者5万5,437例およびSBT/ABPCを投与された4万9,864例を抽出した。対象患者の年齢中央値は81歳(四分位範囲:72~88)であった。・心室性不整脈・心停止は、CTRXを投与された患者187例(0.34%)、SBT/ABPCを投与された患者82例(0.16%)に認められた。・PPIを経口投与された患者集団において、CTRX+ランソプラゾール群はSBT/ABPC+ランソプラゾール群と比較して、心室性不整脈・心停止のリスクが有意に高かった(ハザード比[HR]:2.92、95%信頼区間[CI]:1.99~4.29、p<0.01)。・一方、CTRX+その他のPPI(ラベプラゾール、エソメプラゾール、オメプラゾールのいずれか)群はSBT/ABPC+ランソプラゾール群と比較して、心室性不整脈・心停止のリスクが有意に低かった(HR:0.48、95%CI:0.27~0.88、p=0.02)。・PPIを静脈内投与された患者集団では、CTRX+ランソプラゾール群(HR:4.57、95%CI:1.24~16.8、p=0.02)およびCTRX+オメプラゾール群(HR:4.47、95%CI:1.44~13.9、p=0.01)が、SBT/ABPC+ランソプラゾール群と比較して心室性不整脈・心停止のリスクが高かった。 著者らは、本研究結果は観察研究から得られた知見であり、さらなる研究が必要としつつ「CTRXとランソプラゾールの併用が、経口および静脈内投与のいずれにおいても心室性不整脈や心停止のリスクを上昇させることが示唆された。PPIと抗菌薬の選択が転帰を悪化させる可能性がある」とまとめた。

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アイカルディ症候群〔AS:Aicardi syndrome〕

1 疾患概要■ 概念・定義アイカルディ症候群は、1965年にJean Aicardiによって報告された神経疾患である。脳梁欠損、脈絡網膜裂孔、点頭てんかん (infantile spasm) を典型的な3主徴とし、主に女児に認められる。なお、Aicardi-Goutie(eはアクサン・グラーヴ)res症候群とは別の疾患である。■ 疫学まれな疾患であり、正確な頻度は不明である。民族差はないと言われており、欧米では9~17万人に1例程度との報告がある。■ 病因現時点で不明である。患者の大部分が女児であることから、X染色体顕性遺伝(男児では致死性)または常染色体上の限性発現遺伝子の異常により女児にのみ発症するとも考えられている。■ 症状脳梁欠損、脈絡網膜裂孔、点頭てんかんを典型的な3主徴とするが、必ずしも3つがそろっているとは限らない。また、この3主徴以外にもさまざまな大脳形成異常、視神経の異常、その他のタイプのけいれん、さまざまな重症度の知的障害、側弯などの骨格異常が認められる。1)神経症状てんかんは、大部分の症例(>95%)に認められる。大部分の症例は1歳未満に発症する。点頭てんかんは早期にみられ、経過中にさまざまなタイプの薬剤治療抵抗性てんかんを発症する。脳波所見として、非対称性のサプレッション・バーストや両半球間の解離を伴う非同期の多巣性てんかん様異常がよくみられる。頭部MRIでは脳梁の異形成があり、大部分は完全脳梁欠損であるが、部分欠損の場合もある。主に前頭葉と傍シルビウス裂領域の多小脳回や厚脳回は典型的である。脳室周囲と皮質内の異所性灰白質もよくみられる。大脳の左右非対称、脈絡叢乳頭腫、脳室拡大、第3脳室や脈絡叢の脳内嚢胞がしばしばみられる。2)眼症状本症候群の特徴である脈絡膜裂孔は、網膜色素上皮とその下にある脈絡膜の白色または黄白色での円形で、境界部にさまざまな濃さの色素沈着を伴う、境界明瞭な色素脱失領域であり、視神経周囲の球後極に集簇することがある。 3)頭蓋顔面症状特徴的な顔貌として、短い鼻尖、鼻先が上向きで鼻梁の角度が小さい前顎骨、大きな耳、まばらな眉毛が含まれる。斜頭、顔面非対称性、時に口唇口蓋裂も報告されている。4)骨格症状半椎体、ブロック椎体、癒合椎体、肋骨の欠損などの肋椎体の異常はよくみられる。患者の1/3が著しい側弯症になる可能性がある。5)消化器症状便秘、胃食道逆流、下痢、摂食障害が認められる。管理上、てんかんの次に大きな問題となる症状である。6)悪性腫瘍腫瘍の発生率が増加することが示唆されている。良性腫瘍として脈絡叢乳頭腫や脂肪腫など、悪性腫瘍として血管肉腫、肝芽腫、髄芽腫、胚性がん、奇形腫など、さまざまなまれなタイプの腫瘍が報告されている。7)成長身長は7歳、体重は9歳まで一般集団と同じ程度であるが、それ以降になると一般集団より低くなるとの報告がある。8)内分泌思春期早発症、思春期遅延症の報告がある。■ 分類とくになし。■ 予後生命予後は不良である。個人差が大きくけいれんの重症度にもよる。平均余命は8.3歳との報告がある一方、寿命の中央値は18.5歳との報告がある。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)診断は臨床所見のみで行う。症状がそろっていれば男児でも診断される。1999年に報告されたAicardiによる診断基準案は以下の通りである。古典的3徴候の存在が本症候群の診断となる。古典的3徴候の2つに加え、少なくとも2つの他の主要な特徴または補助的な特徴の存在は、本症候群の診断を強く示唆する。■古典的3徴候での診断【古典的3徴候】点頭てんかん (infantile spasms)特徴的な脈絡膜裂孔脳梁欠損(部分的な場合もある)【主な特徴】皮質奇形(多くは小脳回)脳室周囲および皮質下の異形成症第3脳室および/または脈絡叢周囲の嚢胞視神経・視神経乳頭のコロボーマまたは低形成【支持特徴】椎骨および肋骨の異常小眼球症もしくは他の眼症状“Split-brain” 型脳波肉眼的大脳半球非対称性■研究班による診断基準わが国の研究班においても以下のような診断基準が提唱されている。【A.症状】●主要徴候1.スパズム発作[a]2.網脈絡膜ラクナ(lacunae)[b]3.視神経乳頭(と視神経)のcoloboma、しばしば一側性4.脳梁欠損(完全/部分)5.皮質形成異常(大部分は多小脳回)[b]6.脳室周囲(と皮質下)異所性灰白質[b]7.頭蓋内嚢胞(たぶん上衣性)半球間または第3脳室周囲8.脈絡叢乳頭腫●支持徴候9.椎骨と肋骨の異常10.小眼球または他の眼異常11.左右非同期性’split brain’脳波(解離性サプレッション・バースト波形)12.全体的に形態が非対称な大脳半球a.他の発作型(通常は焦点性)でも代替可能b.全例に存在(またはおそらく存在)【B.検査所見】1.画像検査所見:脳梁欠損をはじめとする中枢神経系の異常(脳回・脳室の構造異常、異所性灰白質、多小脳回、小脳低形成、全前脳胞症、孔脳症、クモ膜嚢胞、脳萎縮など)がみられる。2.生理学的所見:脳波では左右の非対称または非同期性の所見がみられる。ヒプスアリスミア、非対称性のサプレッション・バーストまたは類似波形がみられる。3.眼所見:網脈絡膜ラクナが特徴的な所見。そのほか、視神経乳頭の部分的欠損による拡大、小眼球などがみられる。4.骨格の検査:肋骨の欠損や分岐肋骨、半椎、蝶形椎、脊柱側弯などがみられる。【C.鑑別診断】以下の疾患を鑑別する:線状皮膚欠損を伴う小眼球症。先天性ウイルス感染。<診断のカテゴリー>A-1、2、4を必須とし、さらにA-5、6、7、8のいずれかの所見を認めた場合に診断できる。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)根本治療法はなく、対症療法のみである。スパズム発作と薬剤治療抵抗性けいれんの管理が必須である。診断時からの理学療法、作業療法、言語療法の開始が望ましい。側弯に伴う合併症予防のための適切な筋骨格系のサポートと治療が必要である。また、成長、栄養状態、発達の経過、呼吸機能と誤嚥のリスク、側弯の程度などについての定期的な評価が必要である。4 今後の展望原因遺伝子は未同定であるが、今後同定された場合には、発症のメカニズムが解明され、治療法が確立することが望まれる。5 主たる診療科小児神経科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病センター アイカルディ症候群(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)小児慢性特定疾病情報センター アイカルディ(Aicardi)症候群(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)Gene Reviews Aicardi syndrome(医療従事者向けのまとまった情報)OMIM Aicardi syndrome(医療従事者向けのまとまった情報)1)Adam MP, et al(eds). GeneReviews. 1993.2)Kroner B, et al. J Child Neurol. 2008;23:531-535.3)Aicardi, et al. International Pediatrics. 1999;14:5-8.4)加藤光弘. てんかん症候群 診断と治療の手引き(日本てんかん学会編集). メディカルデビュー;2023.p.21-25.5)「稀少てんかんに関する調査研究」班 アイカルディ症候群 診療ガイドライン(第2版)公開履歴初回2024年7月4日

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抗うつ薬中断後症状の発生率〜メタ解析

 抗うつ薬中断後症状は、実臨床においてさらに重要度が増しているが、その発生率は定量化されていない。抗うつ薬中断後症状の推定発生率を明らかにすることは、治療中断時に患者および臨床医、抗うつ薬治療研究者に対する有用な情報提供につながる。ドイツ・ケルン大学のJonathan Henssler氏らは、抗うつ薬とプラセボを中断した患者における抗うつ薬中断後症状の発生率を評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。The Lancet Psychiatry誌2024年7月号の報告。 2022年10月13日までに公表された、抗うつ薬中断後症状の発生率を評価したランダム化比較試験(RCT)、その他の比較試験、観察研究を、Medline、EMBASE、CENTRALよりシステマティックに検索した。対象研究は、精神疾患、行動障害、神経発達障害の患者を対象に、既存の抗うつ薬(抗精神病薬、リチウム、チロキシンを除く)またはプラセボの中断または漸減を調査した研究とした。新生児の研究および器質性疾患による疼痛候群などの身体症状に対して、抗うつ薬を使用した研究は除外した。研究の選択、サマリデータの抽出、バイアスリスク評価後のデータを用いて、ランダム効果メタ解析を行った。主要アウトカムは、抗うつ薬またはプラセボの中断後の症状の発生率とした。また、重度の中断後症状の発生率も分析した。方法論的変数のテストには、感度分析、メタ回帰分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・スクリーニングされた論文6,095件から79件(RCT:44件、観察研究:35件)、2万1,002例(女性:72%、男性:28%、平均年齢:45歳、年齢範囲:19.6〜64.5)をメタ解析に含めた。・民族に関するデータは、一貫して報告されなかった。・1万6,532 例の患者が抗うつ薬を中止し、4,470 例の患者がプラセボを中止した。・1つ以上の抗うつ薬中断症状の発生率は、抗うつ薬中断群(研究グループ:62件)で0.31(95%信頼区間[CI]:0.27〜0.35)、プラセボ群(研究グループ:22件)で0.17(95%CI:0.14〜0.21)であった。・対象のRCTにおける抗うつ薬中断群とプラセボ群における中断後症状の発生率の差は、0.08(95%CI:0.04〜0.12)であった。・重度の抗うつ薬中断後症状の発生率は、抗うつ薬中断群で0.028(95%CI:0.014〜0.057)、プラセボ群で0.006(95%CI:0.002〜0.013)であった。・抗うつ薬中断後症状の発生率の高い薬剤は、desvenlafaxine、ベンラファキシン、イミプラミン、エスシタロプラムであり、重症度と関連していた薬剤は、イミプラミン、パロキセチン、desvenlafaxine、ベンラファキシンであった。・結果の異質性は、顕著であった。 著者らは、「プラセボ群における非特異的効果を考慮すると、抗うつ薬中断後症状の発生率は約15%であり、中断した患者の6〜7人に1人が影響を受けることが明らかとなった。サブグループおよび異質性の分析では、診断、投薬、試験関連特性では説明不能な因子を示唆しており、患者、臨床医、またはその両方の主観的因子が影響している可能性がある。結果を解釈するには、残存または再発の精神病理を考慮する必要があるが、本結果は、過度の不安を引き起こすことなく、抗うつ薬中断後症状の可能性に関する知見を患者、臨床医が得ることにつながるであろう」としている。

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高齢者総合機能評価(CGA)に基づく診療・ケアガイドライン2024

高齢者に関わるすべての医療介護福祉専門職へ!超高齢社会を迎えたわが国では、CGAによる包括的・全人的な評価と、それに基づいた個別化された医療・ケアの提供が求められている。多職種協働により取り組む必要があり、CGAはその共通言語となる。本ガイドラインは、医師だけではなく高齢者に関わる医療介護福祉関係の多職種向けに作成した。診療やケアに幅広く活用いただきたい。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する高齢者総合機能評価(CGA)に基づく診療・ケアガイドライン2024定価1,980円(税込)判型B5判頁数102頁発行2024年6月編集長寿医療研究開発費「高齢者総合機能評価(CGA)ガイドラインの作成研究」研究班日本老年医学会国立長寿医療研究センターご購入はこちらご購入はこちら

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4週間隔投与も可能なアトピー性皮膚炎抗体薬「イブグリース皮下注250mgオートインジェクター/同シリンジ」【最新!DI情報】第18回

4週間隔投与も可能なアトピー性皮膚炎抗体薬「イブグリース皮下注250mgオートインジェクター/同シリンジ」今回は、抗ヒトIL-13モノクローナル抗体製剤「レブリキズマブ(遺伝子組換え)注射液(商品名:イブグリース皮下注250mgオートインジェクター/同シリンジ、製造販売元:日本イーライリリー)」を紹介します。本剤は、状態に応じて4週間隔の投与も可能なアトピー性皮膚炎抗体薬であり、患者の利便性向上が期待されています。<効能・効果>既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎の適応で、2024年1月17日に製造販売承認を取得し、2024年5月31日より販売されています。原則として、本剤投与時はアトピー性皮膚炎の病変部位の状態に応じて抗炎症外用薬を併用し、保湿外用薬は継続使用します。<用法・用量>通常、成人および12歳以上かつ体重40kg以上の小児には、レブリキズマブ(遺伝子組換え)として初回および2週後に1回500mg、4週以降は1回250mgを2週間隔で皮下投与します。なお、患者の状態に応じて、4週以降は1回250mgを4週間隔で皮下投与することができます。<安全性>重大な副作用として、重篤な過敏症(0.2%)があります。その他の副作用としてアレルギー性結膜炎、結膜炎(5%以上)、注射部位反応、好酸球増加症(1~5%未満)、角膜炎、春季カタル、帯状疱疹(0.1~1%未満)があります。本剤は、寄生虫感染に対する生体防御機能を減弱させる可能性があるため、本剤を投与する前に寄生虫感染の治療を行う必要があります。<患者さんへの指導例>1.この薬は、アトピー性皮膚炎の病態において重要な役割を担うIL-13の働きを抑えることで、症状を改善します。ステロイドなどの抗炎症外用薬による適切な治療を一定期間行っても十分な効果が得られない患者さんに使用されます。2.この薬を投与中も保湿外用薬を併用してください。3.この薬は、免疫系に作用することから、感染症(寄生虫感染を含む)を悪化させる可能性があります。4.この薬を投与中に「いつもと何か違う」と感じることがあれば、速やかに医師または薬剤師に相談してください。5.症状が良くなっても自分の判断でこの薬を中止せず、主治医とよく相談してください。<ここがポイント!>アトピー性皮膚炎(AD)は、多因子疾患であり、増悪と寛解を繰り返す慢性の炎症性皮膚疾患です。ADそのものを完治する治療法はありませんが、早期寛解導入と長期寛解維持が基本的な考え方です。薬物治療には外用療法が必須であり、主にステロイド外用薬やタクロリムス外用薬、デルゴシチニブ外用薬、ジファミラスト外用薬が用いられます。適切な外用治療で効果不十分な場合は、全身療法薬としてヒト型抗ヒトIL-4/13受容体モノクローナル抗体(商品名:デュピルマブ)やヒト化抗ヒトIL-31受容体Aモノクローナル抗体(同:ネモリズマブ)、JAK阻害薬(同:バリシチニブ、ウパダシチニブ、アブロシチニブ)が使用されます。本剤は、抗ヒトIL-13に結合するIgG4モノクローナル抗体で、既存治療で効果不十分なADに適応があります。原則として、本剤投与時には病変部位の状態に応じて抗炎症外用薬を併用し、保湿外用薬の使用を継続します。投与は2週間隔ですが、状態に応じて4週(3回目)以降は4週間隔に変更することができます。既存治療で効果不十分な日本人AD患者を対象としたステロイド外用薬併用国内第III相試験(KGAL試験)において、投与16週時のIGA(0/1)およびEASI-75達成率はそれぞれ、33.4%(プラセボ群との差:27.3[95%信頼区間:17.5~37.0]、p<0.001)および51.2%(プラセボ群との差:37.6[26.2~49.0]、p<0.001)であり、プラセボ群に対する本剤の優越性が確認されています。

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統合失調症に対する2種類の長時間作用型注射剤抗精神病薬の併用療法

 統合失調症患者のうち、複数の治療に対し抵抗性を示す患者の割合は、最大で34%といわれている。継続的かつ適切な治療が行われない場合、再発、再入院、抗精神病薬による薬物治療の効果低減、副作用リスクの上昇を来す可能性が高まる。統合失調症患者のコンプラインアンスを向上させ、臨床アウトカムやQOLの改善に対し、長時間作用型注射剤(LAI)抗精神病薬の有用性が示唆されており、治療抵抗性統合失調症患者に対しては、2種類のLAI抗精神病薬を同時に投与することが推奨されている。イタリア・University of Campania Luigi VanvitelliのSalvatore Cipolla氏らは、統合失調症またはその他の精神病スペクトラム障害患者に対する2種類のLAI抗精神病薬併用に関する利用可能なエビデンスのレビューを行った。Brain Sciences誌2024年4月26日号の報告。 PRISMAステートメントに従い、2024年2月9日までに公表された2種類のLAI抗精神病薬のさまざまな組み合わせに関する研究を、PubMed、Scopus、APA PsycInfoより検索した。統合失調症および関連疾患の患者に対する2種類のLAI抗精神病薬の組み合わせとその臨床アウトカムを報告した研究を対象に含めた。 主な結果は以下のとおり。・最終分析には、ケースレポート9件、ケースシリーズ4件、観察的レトロスペクティブ研究2件を含めた。・LAI抗精神病薬の併用療法では、良好な治療反応が報告され、新規または予期せぬ副作用は報告されなかった。・さまざまな薬剤の組み合わせが使用されていた、アリピプラゾール水和物とパリペリドンパルミチン酸月1回(32回)の併用が最も多かった。 著者らは「2種類のLAI抗精神病薬による治療レジメンは、すでに多くの臨床現場で用いられており、統合失調症スペクトラム障害の治療に有用であり、効果的かつ比較的に安全な治療戦略であると認識されている」としている。

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