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第4回 耳鼻科からのアモキシシリン・アセトアミノフェン 5日間の処方 (後編)【 適正使用に貢献したい  抗菌薬の処方解析 】

前編 Q1処方箋を見て、思いつく症状・疾患名は?Q2患者さんに確認することは?Q3患者さんに何を伝える?Q4 疑義照会をする?しない?疑義照会するアモキシシリンの処方日数 児玉暁人中耳炎の抗菌薬効果判定は3日目なので、アモキシシリンの処方日数を確認したいです。エンテロノン®-Rの投与量 わらび餅アセトアミノフェンの用量からは、患者の体重は14kg。2歳児としては大きい方で、かつアモキシシリンも高用量なので、エンテロノン®-Rは1g/日以上飲んでもいいのではと考えます。整腸剤自体は毒性の高いものではないので、少なめにする必要はないかと考えます。抗菌薬変更、検査の有無、アセトアミノフェンの頻度 JITHURYOU直近1カ月の抗菌薬の使用状況を聞き、抗菌薬を連用している場合は耐性菌の可能性があるのでセフジトレンピボキシルなどへの変更を提案します。膿や痰などの培養検査の有無の確認。検査をしていなければ検査依頼をします。アセトアミノフェンの使用頻度を確認したいです。医師によっては、炎症が強いと考えられる場合は特別に指示をしている可能性(夜間の発熱や疼痛)があります。場合によっては坐薬への変更提案をします。カルボシステインの服用回数 柏木紀久カルボシステインは1日量としてはいいのですが、分2投与に疑問があります。夜間睡眠中は副腎皮質ホルモンの分泌低下や繊毛運動の低下による排膿機能の低下、仰臥位による後鼻漏も起こりうるので、これらを考慮してあえて分2にしたとも考えられますが、確認を含めて疑義照会します。投与3日後の症状によっては抗菌薬の変更を提案 荒川隆之「JAID/JSC感染症治療ガイド2014」では、中等症以上の中耳炎の場合、アモキシシリンは25~30mg/kgを1日3回投与とありますので、1回420mg投与は妥当と考えます。ただ、このガイドでは投与期間が3日となっているので、3日治療をしても効果が見られない場合は、抗菌薬の変更を医師に提案します。疑義照会をしないガイドラインに則った投与量 清水直明小児急性中耳炎の起因菌としては肺炎球菌やインフルエンザ菌が多く、それらはPISP、PRSP、BLNAR※などといったペニシリンに対する耐性株の分離が多いことが報告されており、アモキシシリンは高用量投与が推奨されています。本処方のアモキシシリン投与量は添付文書上の最大用量ですが、「JAID/JSC感染症治療ガイド2014」に則った投与量であり、このままの処方でOKとします。※PISP;Penicillin-intermediate Streptococcus pneumoniae(ペニシリン中等度耐性肺炎球菌) PRSP;Penicillin-resistant Streptococcus pneumoniae(ペニシリン耐性肺炎球菌) BLNAR;β-lactamase-negative ampicillin-resistant Haemophilus influenzae(β-ラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性インフルエンザ菌)気になるところはあるが… 中堅薬剤師エンテロノン®-Rの投与量が少ない気はします。症例の子供の体重は14kgと思われ、60kgの成人は3g/日が標準とすれば、14kgでは0.7g/日と比例計算したのでしょう。しかし、これまでの経験から多くの小児科処方では体重1kgあたり0.1~0.15g/日くらいでしたので、14kgの子供であれば1.4~2.1gくらいと考えます。ただ、乳酸菌製剤には小児の用量設定がなく、医師に疑義照会できるだけの根拠がありません。問題があるわけではないので、実際にはこのまま調剤します。協力メンバーの意見をまとめました今回の抗菌薬処方で患者さんに確認することは・・・(通常の確認事項は除く)ペニシリンや牛乳のアレルギー・・・3名最近中耳炎になったかどうか・・・2名再受診を指示されているか・・・2名昼の服用について・・・1名鼓膜切開しているかどうか・・・1名集団保育・兄弟の有無・・・1名患者さんに伝えることは・・・抗菌薬は飲み忘れなく最後まで飲みきること・・・6名副作用の下痢がひどい場合は連絡すること・・・4名アモキシシリンとエンテロノン®-Rは指示通りの服薬時間でなくても、1日3回飲むこと・・・3名再受診を促すこと・・・1名服用後3日経っても症状が改善しない場合は連絡すること・・・1名アセトアミノフェンの使用方法(頻度)・・・1名鼻汁をとること、耳漏の処置・・・1名疑義照会については・・・ 疑義照会する カルボシステインの分2処方・・・5名アモキシシリンの処方日数・・・2名アセトアミノフェンの使用について。場合によっては坐薬への変更提案・・・2名エンテロノン®-Rの投与量・・・1名セフジトレンピボキシルなどへの変更提案・・・1名培養検査の依頼・・・1名 疑義照会をしない 6名

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DPP-4阻害薬とSGLT2阻害薬の配合剤「スージャヌ配合錠」【下平博士のDIノート】第8回

DPP-4阻害薬とSGLT2阻害薬の配合剤「スージャヌ配合錠」今回は、「シタグリプチンリン酸塩水和物/イプラグリフロジンL-プロリン配合錠(商品名:スージャヌ配合錠)」を紹介します。本剤は、DPP-4阻害薬とSGLT2阻害薬の配合剤であり、異なるアプローチにより血糖コントロールの継続・改善が期待されます。<効能・効果>2型糖尿病の適応で、2018年3月23日に承認され、2018年5月22日より販売されています。配合成分のシタグリプチンは、選択的にDPP-4を阻害し、活性型インクレチンを増加させることで、血糖依存的にインスリンの分泌を促進し、グルカゴンの分泌を抑制して血糖低下作用を示します。一方、イプラグリフロジンは選択的にSGLT2を阻害し、腎臓でのブドウ糖再取り込みを抑制することで、尿と共に糖を排出してインスリン非依存的な血糖低下作用を示します。なお、本剤を2型糖尿病治療の第1選択薬として用いることはできません。<用法・用量>通常、成人には1日1回1錠(シタグリプチン/イプラグリフロジンとして50mg/50mg)を朝食前または朝食後に経口投与します。<副作用>国内臨床試験(シタグリプチン50mgおよびイプラグリフロジン50mgを1日1回併用投与)において、220例中28例(12.7%)に副作用が認められています。主なものは頻尿13例(5.9%)、口渇6例(2.7%)、便秘6例(2.7%)でした(承認時)。<患者さんへの指導例>1.このお薬は、2種類の成分の配合剤で、体内のインスリン分泌を促す作用と、尿中に糖分を排泄させる作用により血糖値を下げます。2.低血糖症状(ふらつき、冷や汗、めまい、動悸、空腹感、手足のふるえ、意識が薄れるなど)が現れた場合は、十分量の糖分(砂糖、ブドウ糖、清涼飲料水など)を取るようにしてください。α-グルコシダーゼ阻害薬を服用中の場合は、ブドウ糖を取るようにしてください。3.過剰な糖が尿で排出されるため、尿路感染症(尿が近い、残尿感、排尿時の痛みなど)が生じることがあります。このような症状が現れた場合は、医師に相談してください。4.尿の量や排尿回数が増えることにより、脱水が生じることがあるので、多めに水分を補給してください。<Shimo's eyes>本剤の名称は、配合成分であるイプラグリフロジンの商品名「スーグラ」とシタグリプチンの商品名「ジャヌビア」が由来となっています。SGLT2阻害薬とDPP-4阻害薬という作用機序の異なる2つの薬剤を配合したことで、相補的な血糖降下作用が期待されます。それぞれの薬剤を単剤で服用した場合の薬価が、スーグラ錠50mg(200.20円/錠)とジャヌビア錠50mg(129.50円/錠)で合計329.70円なのに対し、スージャヌ配合錠は263.80円/錠なので、1日薬価を80%程度に抑えることができます※。本剤は、シタグリプチン50mgまたはイプラグリフロジン50mgの単剤治療で効果不十分な場合、あるいはすでにシタグリプチン50mgとイプラグリフロジン50mgを併用し、状態が安定している場合に切り替えて使用します。各単剤で効果不十分の場合は錠数を増やさず併用療法に移行でき、すでにそれぞれの薬剤を併用している場合は、薬剤数を削減できることから服薬アドヒアランスが向上し、長期にわたる安定した血糖コントロールが期待できます。なお、本剤はシタグリプチンおよびイプラグリフロジンと同様の効能・効果、用法・用量の組み合わせであり、実質的に既収載品によって1年以上の臨床使用経験があると認められました。そのため、新医薬品に係る通常14日間の処方日数制限は設けられていません。※2018年8月時点

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第3回 「自分がいるから薬局に来る患者さん」をただ作りたかった【週刊・川添ラヂオ】

動画解説1998年4月、高知市にくろしお薬局第1号を開局した川添先生。目指したのは、地域密着。「自分がいるから薬局に来る患者さん」がいるという小さな幸せをただただ追い求めていたと振り返ります。その結果、たどり着いたのが、川添先生の代名詞である「在宅」。薬局は発展していきますが、経営者としての仕事が多くなり、患者さんよりスタッフのことを考える時間が多くなった自分に疑問を感じるように。再び、現場の薬剤師に戻るために、南国病院へ転職。そこで見た景色が川添先生をさらに変えていきます。

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滲出性中耳炎の難聴、経口ステロイドは有効か?/Lancet

 滲出性中耳炎で3ヵ月以上の難聴が確認された小児について、経口ステロイド薬の有効性を調べた初となる二重盲検プラセボ対照無作為化試験「OSTRICH試験」の結果、忍容性は良好だったが有意な改善効果は示されず、自然治癒率が高いことが明らかにされた。英国・カーディフ大学のNick A. Francis氏らによる検討で、「今回の結果は、経過観察やその他の外科的介入を支持するエビデンスとなった」と述べている。滲出性中耳炎による持続的な難聴に対しては、薬物療法の有効性は否定されており、概して外科的介入による治療が行われるが、治療選択肢に安全・安価で有効な薬物療法が加わることへの期待は高い。研究グループは、Cochraneレビューで見つけた、経口ステロイド薬の短期投与の有益性を示唆した試験結果(ただし検出力が低く、質的に低い)について、大規模試験で検証を行った。Lancet誌2018年8月18日号掲載の報告。2~8歳の患児を対象にプラセボ対照試験、5週時点の聴力改善を評価 OSTRICH試験は、滲出性中耳炎に起因する症状が3ヵ月以上持続および両側性難聴が確認された2~8歳児を対象とし、経口ステロイドの短期投与により、容認できる聴力を取り戻せるかどうかが検証された。 被験者は2014年3月20日~2016年4月5日に、イングランドおよびウェールズの20施設(耳・鼻・咽喉[ENT]、小児耳鼻科、耳鼻科外来部門)で集め、スクリーニング後、適格患児を1対1の割合で無作為に2群に割り付け、プレドニゾロン(経口ステロイド)またはプラセボを投与した。 主要評価項目は、5週時点の純音聴力検査で容認できる聴力(少なくとも片耳が20dB HL以下で0.5、1、2、4kHzの周波数帯域が平均的に聞こえると定義)が確認された被験者の割合。すべての解析は、intention-to-treatにて行われた。経口ステロイド群40%、プラセボ群33%で聴力改善 1,018例がスクリーニングを受け、389例が無作為化を受けた(経口ステロイド群200例、プラセボ群189例)。 5週時点の聴力検査を受けたのは、経口ステロイド群183例、プラセボ群180例。容認できる聴力が確認されたのは、それぞれ73例(40%)、59例(33%)であった。群間の絶対差は7%(95%信頼区間[CI]:-3~17)、必要治療数(NNT)は14であり、補正後オッズ比は1.36(95%CI:0.88~2.11、p=0.16)であった。 有害事象やQOL指標に関するあらゆる有意な群間差は認められなかった。 著者は、「経口ステロイド薬により14人に1人の聞こえは改善するが、QOLは変わらなかった」と指摘している。

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第3回 耳鼻科からのアモキシシリン・アセトアミノフェン 5日間の処方 (前編)【適正使用に貢献したい  抗菌薬の処方解析】

Q1 処方箋を見て、思いつく症状・疾患名は?細菌性中耳炎・・・12名全員 佐々木康弘耳鼻科医の処方であり、小児へのペニシリン系抗菌薬投与に加え、アセトアミノフェンの発熱および痛いときの指示から、細菌性中耳炎であると判断しました。急性副鼻腔炎,急性咽頭炎・扁桃炎 ふな3耳鼻科の処方であり、高用量アモキシシリンの処方やカルボシステインの併用があることから中耳炎を第1候補として考えます。ただし、併用薬がある場合や症状の聞き取り、医師の処方の傾向によっては、推測した疾患と異なる場合があるため、急性副鼻腔炎、急性咽頭炎・扁桃炎などの可能性も含めて柔軟に対応できるようにします。副鼻腔炎、中耳炎 中西剛明処方元が小児科であれば肺炎も念頭に入れるなど判断に迷うところですが、耳鼻科なので、副鼻腔炎か中耳炎を疑います。Q2 患者さんに確認することは? (通常の確認事項は除く)副鼻腔炎、中耳炎の症状 柏木紀久急性副鼻腔炎の場合: 鼻汁の色と、口呼吸やいびきがあるかどうか(鼻閉は2歳児ではわからないので)。急性中耳炎の場合: 痛みで眠れていないかどうか、最近、慢性副鼻腔炎や滲出性中耳炎になっていないか。医師からの指示内容 ふな3アモキシシリンの分割処方の可能性も考慮して、5日後の再受診を指示されているかどうか。カルボシステインだけが1日2回になっているため、そのような指示があったか、症状が合致しているか。アレルギーの有無 児玉暁人ペニシリンアレルギーと牛乳アレルギーの有無。痛みのある部位と昼の服用 中西剛明副鼻腔炎の可能性を考慮して眉間の痛みや頭痛、中耳炎であれば耳の痛みについて。昼の薬を保育園で飲ませるのか、家で飲ませるのか。症状や抗菌薬の服薬状況、通園 JITHURYOU中耳炎と推測して対応します。症状がいつ頃からあるのか鼓膜を切開しているかどうか。切開を何回も繰り返している場合、ペネム系内服やセフトリアキソンなどの点滴を検討した方がいいかもしれません。中耳炎を反復していないかどうか。抗菌薬を直近1カ月で使用していないか。集団保育、兄弟の有無。園児間や兄弟間では水平感染が起こりやすく、さらに集団保育ではアモキシシリンの耐性菌の分離頻度が高いため、薬剤変更を提案するのが良いと考えます。なお、保育所への通園は医師の確認が取れないうちは避けるようにしなければならないと思います。Q3 患者さんに何を伝える?抗菌薬を飲みきること 柏木紀久アモキシシリンとカルボシステインは飲みきるように伝えます。再受診を勧める 奥村雪男抗菌薬の治療期間についてDynamedTMで検索すると、2~5歳で中等度の症状がある場合、7日間の継続が推奨されているようなので、再受診して鼓膜所見を診断後、抗生物質の継続必要の有無を判断していただくことを勧めます。副作用と服薬の工夫 清水直明「お薬(アモキシシリン)の影響でお腹がゆるくなるかもしれません。そのために整腸剤も一緒に飲んでいただきますが、お腹が痛くなったり下痢がひどいようであればいつでも遠慮なく連絡してくださいね」「 1回に飲む量が多くなるので、そのまま飲むのが難しかったら、アイスやジャム、プリンなど好きなものに混ぜて飲ませてあげてくださいね」3日後の改善具合 荒川隆之3日間お薬を飲んでも良くならない場合は電話してもらうよう伝えます。「JAID/JSC感染症治療ガイド2014」(日本感染症学会・日本化学療法学会発行)などでも1次治療の効果判定は3日後が望ましいとされています。服薬時間 ふな3「アモキシシリンとエンテロノン®-Rは毎食後で処方されていますが、通園などでどうしても毎食後に服用できない場合は、朝・帰宅後・就寝前で構いませんので、必ず1日3回の服用を心がけてください」処方医はアモキシシリンの時間依存性やコンプライアンス向上を考慮して、アモキシシリンとエンテロノン®-Rを毎食後で処方したと思われます。ただし、添付文書上の用法は両薬剤とも食後に限定されていません。通園などで「お昼は飲めないから朝と夕だけ飲めばいい」と保護者が判断しないように、「食事にかかわらず、1日3回飲み続けることが重要」だと伝えたいです。日常生活での注意点 JITHURYOUアセトアミノフェンの使用方法(使用頻度)。できるだけ鼻汁をとること。菌量が多いと抗菌薬の活性が低下することが知られているので、ドレナージはするべきです。また、鼓室に鼻汁が流れ込むため鼻をすすることは避けるべきで、鼻のかみかたの指導も一緒に行いたいです。耳漏がある場合、ガーゼなどの交換すること。分泌液をそのままにしておくと、かぶれて炎症を起こす可能性があります。下痢をする可能性があるので、できるだけ消化の良いものを摂らせること。後編では、本症例の疑義照会をする/しない 理由を聞きます。

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潰瘍性大腸炎〔UC : ulcerative colitis〕

1 疾患概要■ 概念・定義潰瘍性大腸炎は、クローン病とともに炎症性腸疾患の1つで、主に粘膜および粘膜下層を侵し、しばしばびらんや潰瘍を形成する大腸の原因不明のびまん性非特異性炎症である。■ 疫学欧米に多く、白人とくにユダヤ系での発症が多いとされる。日本を含めた東アジアでも増加の一途をたどっている。難病であることから、わが国では指定難病に指定されており、患者数は20万人以上とされ、さらに毎年1万人程度増加している。性差はみられず、発症年齢は10代後半~30代に多く、25~29歳にピークがみられる。■ 病因発症原因はいまだ不明であるが、研究は飛躍的に進み、これまでの免疫学的な研究をはじめ、近年「genome-wide association study(GWAS)」により160以上の疾患関連遺伝子が特定され、また発症に関連する腸内細菌についても多くのことがわかり始めている。遺伝的素因、環境因子を背景に腸内細菌の影響の存在のうえで免疫異常を来し、腸管での免疫寛容が破綻することで慢性腸炎を誘導する。潰瘍性大腸炎ではクローン病とは対照的に、喫煙者の発症リスクは低い。発症自体とストレスの関連性は立証されていない。■ 症状主症状は粘血便(40%)、下痢(40%)、腹痛(30%)で、発熱や出血に伴う貧血もみられる。合併症は長期経過例での発がん、腸管外合併症として原発性硬化性胆管炎、仙腸関節炎や強直性脊椎炎などの関節炎、結節性紅斑や壊疽性膿皮症などの皮膚病変などがある。また、重症例では血栓傾向を認め、静脈血栓症のリスクがある。■ 分類治療法を選択するうえで、病期・病型(病変の広がり)・重症度を分類することが重要である。活動期か寛解期か、活動期であれば重症度(軽症〔63%〕・中等症〔28%〕・重症〔3%〕)(表1)および内視鏡所見(軽度・中等度・強度)(図1)はどうか、そして病型(直腸炎型〔22%〕、左側大腸炎型〔27%〕、全大腸炎型〔38%〕、右側あるいは区域性大腸炎)によっては局所製剤の適応を考慮することとなる。そのほか、臨床経過により再燃寛解型、慢性持続型、急性劇症型、初回発作型に分類される。難治性潰瘍性大腸炎の定義は、厳格なステロイド療法にありながらステロイド抵抗例あるいはステロイド依存例、またステロイド以外の厳密な内科治療下にありながら、再燃を繰り返すか慢性持続型を呈するものとされる。画像を拡大する画像を拡大する■ 予後治療介入の影響があるため、潰瘍性大腸炎の自然史は不明な点が多いが、炎症性腸疾患の自然治癒率は10%とされる。また、長期経過において50%は病状が安定していく。全大腸切除率は、欧米のコホート研究では発症1年で10%、2年目で4%、以降1年ごとに1%増加し、わが国では10年後の累積手術率は15%、とくに全大腸炎型では40%と高率である。死亡率についてはメタ解析によると、標準化死亡率は1.1で一般と差がない。炎症型発がんに起因する大腸がんの発生は、発症8年で1.6%、20年で8%、30年で18%と増加し、全大腸炎型に多いが、治療の進歩により近年では発がん率が減少しているとする報告もある。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)診断において最も重要なのが、病歴の聴取である。慢性の下痢・粘血便で潰瘍性大腸炎を疑い、病歴や細菌検査などで腸結核やアメーバ性大腸炎を含めた感染性腸炎・放射線照射性大腸炎・薬剤性大腸炎・虚血性大腸炎などを除外する。次に大腸内視鏡検査を行い、特徴的な病変を確認し生検を併用する。内視鏡所見では、直腸から連続する全周性・びまん性の活動性炎症を認め、粘膜浮腫による血管透見消失から細顆粒状粘膜、膿性粘液が付着し、易出血性、びらん・潰瘍形成、広範な粘膜の脱落と炎症の強度が上がる。病理組織検査では、慢性炎症の所見があるかないかで炎症性腸疾患か否か判別し、そうであれば潰瘍性大腸炎かクローン病かを検討する。これらの所見で総合的に判断するが、クローン病や腸型ベーチェットの鑑別も重要である。診断の確定は診断基準(表2)に照らし合わせて行う(図2)。画像を拡大する画像を拡大する「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」班(鈴木班).平成29年度分担研究報告書.潰瘍性大腸炎・クローン病 診断基準・治療指針 平成29年度改訂版 別冊.2018.3 治療 (治験中・研究中のものも含む)治療は、寛解導入療法とその後の寛解維持療法の双方を考えながら選択していく。厚生労働省難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班(鈴木班)の潰瘍性大腸炎治療指針を示す(表3)。寛解導入療法は、臨床的重症度と病型によって選択される(図3)。重症例や全身状態が不良な中等症では、入院のうえ、全身管理を行いながら治療をする。近年、重症例や難治例に対しタクロリムス(商品名:プログラフ)やインフリキシマブ(同:レミケード)、アダリムマブ(同:ヒュミラ)、ゴリムマブ(同:シンポニー)(図4)、さらには2018年にトファシチニブ(同:ゼルヤンツ)、ベドリズマブ(同:エンタイビオ)と新たな治療の選択肢が増えたが、効果不十分な場合に次々と別の治療法を試すのには慎重であるべきで、外科治療のタイミングを誤らないようにすることが重要である。画像を拡大する「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」班(鈴木班).平成29年度分担研究報告書.潰瘍性大腸炎・クローン病 診断基準・治療指針 平成29年度改訂版 別冊.2018.画像を拡大する「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」班(鈴木班).平成29年度分担研究報告書.潰瘍性大腸炎・クローン病 診断基準・治療指針 平成29年度改訂版 別冊.2018.画像を拡大する「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」班(鈴木班).平成29年度分担研究報告書.潰瘍性大腸炎・クローン病 診断基準・治療指針 平成29年度改訂版 別冊.2018.重症例やステロイド抵抗例・依存例つまり難治例において、タクロリムスやインフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ、シクロスポリン、トファシチニブ、ベドリズマブを使用する際は、専門施設での施行が望ましい。ステロイド、抗TNFα抗体や免疫調節薬を使用する際は、肝臓学会のガイドラインに沿ってHBV再活性化に対するサーベイランスが必要である。また、入院中の絶食は治療効果に影響しないばかりでなく栄養状態の悪化を招き、回復の遅延や術後合併症のリスクとなるため、大量出血や高度な腹痛などの超急性期以外は安易に選択するべきではない。維持治療においては、十分量を長期に使用することが重要で、いずれの維持治療においても薬剤中止後1年で50%が再燃するため、特段の事情がない限りは中止するべきではない。また、再燃の最大のリスクは、服薬アドヒアランスの低下であり、十分な服薬指導と定期的な確認が重要である。1)5アミノサリチル酸(5-ASA)製剤サラゾスルファピリジン(商品名:サラゾピリンほか)、メサラジン(同:ペンタサ、アサコール、リアルダ)が、わが国で使用できる5-ASA製剤である。炎症性腸疾患治療の基準薬であり、50~80%の寛解導入効果がある。また、寛解維持にも優れ、十分量を長期に使用することが重要である。4g/日以上の高用量導入が可能になり、ステロイドの投与を避けられる症例が増えた。まれに導入後・増量後に発熱・下痢を来すことがあるので5-ASAアレルギーを疑い、5-ASAでの維持が困難な場合は、後述の免疫調節薬にて維持治療を行うことになる。分割投与よりも1回または2回での投与のほうが、服薬アドヒアランスのみならず効果としても優れる可能性があり、2g/日では分1投与が認められている。また、リアルダは4.8g/日の1回投与製剤であり、より高用量の投与ができかつアドヒアランスの面でも有用である。直腸病変や遠位大腸病変には局所製剤の単独ないし併用が有用である。2)ステロイド寛解導入療法として中心的な薬剤であり、十分量の5-ASA製剤で効果不十分 な場合はステロイドの全身投与を行う。短期的には84%で有効である。しかし、離脱率は50%のみで、30%は手術、20%はステロイド依存となっていた。中等症では30~40mg経口投与を行い、1~2週間で効果判定を行う。重症潰瘍性大腸炎においては、ステロイド1~1.5mg/kgの静注療法を行うことで、約半数で寛解導入が可能である。さらに増量したとしても効果の増強は認めず副作用の危険のみが増すことが知られている。ステロイドが無効または効果不十分な場合は、ステロイド抵抗例として難治例の治療を行うことになる。維持療法としてのエビデンスはなく、寛解導入後は3~4ヵ月を目安に漸減・中止し、5-ASA製剤等での寛解維持療法へ移行する。漸減中の再燃または中止後早期の再燃を認める場合は、ステロイド依存例として免疫調節薬での寛解維持療法を行うことが望ましい。坐剤や注腸といった局所製剤は5ASA製剤が第1選択とされるが、ブデソニド注腸フォーム剤(同:レクタブル注腸フォーム)は他の注腸製剤より忍容性が高く、またブデソニドであるためステロイドによる副作用も軽減できるとされる。3)免疫調節薬アザチオプリン〔AZA〕(同:イムラン、アザニン)、メルカプトプリン〔6-MP〕(同:ロイケリン/保険適用外)。効果発現に1~3ヵ月を要するため、急速な寛解導入には向かず、主に寛解維持治療に使用する。約60%の良好な寛解維持率を認め、ステロイド減量効果も明らかとなっておりステロイド依存例の寛解維持治療に重要である。不耐症例があるため、導入初期は短期間でのモニタリングが必要である。適正投与量は個体によって異なるため、少量から開始し、WBC 3,000~4,000/μL程度への減少を目安にAZA 2~2.5mg/kg、6-MP 1~1.5mg/kgを目処に増量を試みる。感染症のリスクは、ステロイドに比較すると低い。4)タクロリムス(同:プログラフ)化合物としてはまったく異なるが、シクロスポリンと同様にカルシニューリン阻害剤として作用し、IL-2やIFN-γなどのサイトカイン産生を抑制する。わが国で開発された薬剤で、中等症~重症の潰瘍性大腸炎においてRCT(無作為化比較試験)で68%と高い改善率が認められた。添付文書の導入法では、目標血中トラフに到達するのに比較的長期間を要するため、専門施設を中心に速やかに上昇させる工夫がなされている。食前や絶食下での経口投与、高用量導入、また一部施設では持続静注によって急速に血中濃度を上昇させ、速やかな効果発現を得ている。寛解維持効果も示唆されているが、原則として3ヵ月を目安に中止するため、寛解導入後は免疫調節薬での寛解維持が望ましい。5)シクロスポリン(同:サンディシュン、ネオーラル / 保険適用外)タクロリムス同様カルシニューリン阻害剤として作用する。シクロスポリン持続静注は、ステロイド抵抗性の重症潰瘍性大腸炎に対し有効率は70~80%と高いが、長期成績は3年後の手術率50%、7年後88%と不良で、シクロスポリンで寛解導入した場合は、寛解維持に免疫調節薬が必要である。タクロリムスと異なり腸管からの吸収が安定しないため、経口投与での血中濃度の維持が困難であり、シクロスポリンでの寛解維持はできない。6)抗TNFα抗体製剤(インフリキシマブ〔レミケード®〕、アダリムマブ〔ヒュミラ®〕、ゴリムマブ〔シンポニー®〕)寛解導入および寛解維持に用いる。大規模なRCTの結果、抗TNFα抗体であるインフリキシマブがクローン病、関節リウマチなどに続き、認可された。既存治療抵抗性の中等症~重症潰瘍性大腸炎に対し、導入8週で69%の有効率、38.8%の寛解導入率を認め、30週で34%の寛解維持効果を示した。クローン病と同様に5mg/kgを0週、2週、6週で投与し、以降は8週毎の投与となる。潰瘍性大腸炎においては、効果減弱の際の倍量投与は認められていない。また、2013年6月ヒト抗体のアダリムマブが、潰瘍性大腸炎にも認可され、初回は160mg、2週後に80mg、以降は2週毎に40mgの皮下注射を行うが、これは自己注射が可能である。さらに2017年3月に4週間毎の皮下注射製剤であるヒト抗体のゴリムマブが適用追加となった。いずれの薬剤も導入前に胸部単純X線検査(必要に応じて胸部CT検査)、ツ反、IFN-γ遊離試験(IFN-γ release assay 〔IGRA〕: クオンティフェロン、TSPOTなど)で結核の感染を否定する必要がある。7)JAK阻害薬(トファシチニブ〔同:ゼルヤンツ〕)寛解導入および寛解維持に用いる。シグナル伝達分子をターゲットとした経口JAK阻害薬である。低分子化合物で、抗体製剤ではないため抗薬物抗体の産生による効果減弱は回避でき、また製造コストの抑制も可能である。既存治療抵抗性の潰瘍性大腸炎に対する第3相試験において、8週で約60%の改善率と18%の寛解導入率という有効性が示され、2018年5月に潰瘍性大腸炎に対して適用拡大となった。寛解維持率は、寛解導入試験で有効性を示した症例で52週の時点で34~40%の症例で寛解維持が得られた。なお、抗TNFα抗体製剤未使用例では寛解導入率25%で無効・効果減弱・不耐例では12%で、寛解維持率はそれぞれ5mg1日2回で27%、41%、10mg1日2回で37%、45%であった。投与法は1回10mgを1日2回、8週間投与し、効果不十分な場合はさらに8週間投与が可能である。寛解維持療法としては1回5mgを1日2回投与だが10mgを1日2回に増量することができる。なお、治験ではアジア人の比較的高齢者においてヘルペス感染症の発症が多く、注意が必要である。8) 抗α4β7インテグリン抗体(ベドリズマブ〔同:エンタイビオ〕)炎症細胞の腸管へのホーミングを阻害することで、炎症を抑制する。潰瘍性大腸炎に対する第3相試験であるGEMINI 1で47%の改善率と17%の寛解導入効果、52週において40~45%の寛解維持効果が示され、2014年に欧米で承認・発売となった。わが国においても臨床試験が行われ、2018年7月に承認された。300mgを0週、2週、6週で投与し、以降は8週毎の投与となる。腸管選択性が高いため、全身の免疫への影響が低いと考えられており、安全性に期待されている。薬理機序上効果発現はやや遅い印象があるが、寛解維持率が高く寛解維持療法における新たな選択肢として期待される。9)血球成分除去療法わが国で開発された白血球除去療法は、ステロイド抵抗例・依存例で保険適用とされ、使用されている。高用量のステロイドを要するような症例では、白血球除去療法を併用することで、より高い効果が期待でき副作用も少ないことが報告されている。しかし、海外での質の高いエビデンスは少ない。10)外科治療大腸穿孔、大量出血、中毒性巨大結腸症、重症・劇症で内科治療抵抗例、大腸がんおよびhigh grade dysplasia合併例では摘出手術の絶対的手術適応である。相対的手術適応例は、内科治療では寛解維持困難でQOLが保てない、または薬剤不耐などの難治例、内科治療抵抗性の壊疽性膿皮症など腸管外合併症例、狭窄や瘻孔、low grade dysplasiaなどの大腸合併症例である。術式は、大腸全摘・回腸嚢肛門吻合術(IAA)や大腸全摘・回腸嚢肛門管吻合術(IACA)が標準術式である。術後に回腸嚢炎を合併することがある。多くの報告で術後のQOLを評価しているが、いずれも術後数年でのQOLは良好である。4 今後の展望現在、創薬業界では生物製剤をはじめ分子標的薬が花盛りであり、炎症性腸疾患の分野も同様である。インフリキシマブが口火を切った炎症性サイトカインをターゲットとした抗体製剤や、接着分子をターゲットとし病原性リンパ球の腸管へのホーミングを阻害し動態制御を行うことで腸炎を抑制する薬剤、また造血幹細胞移植などが注目されている。新薬の許認可において、これまでいわゆるドラッグ・ラグがあり、有効な薬剤が欧米で使用可能でも、わが国で認可されるのが数年先となるようなことも少なくなかった。しかし近年、炎症性腸疾患の分野においては、多くが国際共同治験となり、ドラッグ・ラグは解消される方向へ向かっている。クローン病でも多くの治験が行われているが、潰瘍性大腸炎に対する今後の展開について述べる。現在臨床試験中あるいは終了している薬剤は、以下のようなものがある。炎症性サイトカインを標的とした薬剤としてJAK阻害薬が開発されている。承認されたトファシチニブに引き続いてJAK1選択性を高めた第二世代のJAK阻害薬であるフィルゴチニブやウパダシチニブなどが開発中である。クローン病において承認された抗IL12/23 p40抗体のウステキヌマブ(同:ステラーラ)は、潰瘍性大腸炎においても臨床試験が進んでおり、また抗IL23 p19抗体であるリサンキツマブやミリキツマブなども臨床試験が進んでいる。腸炎惹起性リンパ球の動態制御を目的とした薬剤も多数開発されている。抗α4β7インテグリン抗体であるベドリズマブに続き、AJM300は、わが国で開発された経口低分子化合物でα4インテグリンを阻害する。102例の潰瘍性大腸炎を対象とした第2相試験で、8週後の有効率62.7%、寛解率23.5%と有意に有効性を示した。低分子化合物であるため低コストで生産でき、抗体製剤のように免疫原性や効果減弱といったリスクを回避できる可能性がある。現在第3相試験中である。皮下注射製剤の抗MAdCAM抗体であるPF-00547659は、消化管組織中に発現するMAdCAMに結合し、インテグリンとの結合を阻害する。潰瘍性大腸炎に対する第2相試験TURANDOTで、12週の寛解率24%と有意な結果が報告された。S1Pおよびその受容体の1つであるS1P1受容体は、リンパ球の二次リンパ組織からの移出に必須の分子であるが、S1P受容体アゴニストはS1P1受容体を強力かつ長期に内在化させることで、リンパ球の動態制御を行い、炎症を抑制する。S1P1およびS1P5受容体に作用するRPC1063が、潰瘍性大腸炎に対する第2相試験TOUCHSTONEにおいて、8週で16.4%の寛解率、58.2%の有効率を示し、現在第3相試験へと移行している。その他、ブデソニドは、ステロイドの全身性の副作用の軽減を目的に、肝臓で速やかに代謝されるようデザインされた局所作用型のステロイドであり、欧米では一般に使用されているが、前述のようにわが国でもクローン病に対する経口薬に続き、本症で経肛門投与のフォーム薬が承認・発売された。また近年、腸内細菌研究の急速な進歩によってプロバイオティクスも再度注目されている。さらに、c.difficile関連腸炎において高い有効性を示し、欧米で認可された糞便微生物移植も炎症性腸疾患への応用が試みられているが、まだ有効性や投与法などに関する十分な大規模データは不足しているのが現状である。5 主たる診療科消化器内科、消化器外科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 潰瘍性大腸炎(一般向けと医療従事者向けのまとまった情報)日本炎症性腸疾患学会(医療従事者向けの研究情報)CCFA - Crohn's and Colitis Foundation of America(米国のIBD団体のサイト:一般利用者向けと医療従事者向けの情報)ECCO - European Crohn's and Colitis Organisation(欧州のIBD団体のサイト:医療従事者向けの研究・診療情報)東京医科歯科大学 潰瘍性大腸炎・クローン病先端治療センター(一般利用者向けの情報)厚生労働省 「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」班(一般向けと医療従事者向けのまとまった情報、最新の診断指針・治療指針が公開されている。会員登録をすると「一目でわかるIBD」の閲覧やe-learningも可能)患者会情報IBDネットワーク(IBD患者と家族向けの情報)1)「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」班(鈴木班).平成29年度分担研究報告書.潰瘍性大腸炎・クローン病 診断基準・治療指針 平成29年度改訂版 別冊.2018.2)日本消化器病学会.炎症性腸疾患(IBD)診療ガイドライン2016. 南江堂; 2016.3)渡辺守 編. IBD(炎症性腸疾患)を究める. メジカルビュー社; 2011.4)炎症性腸疾患(第2版)-病因解明と診断・治療の最新知見. 日本臨牀社;2018.公開履歴初回2013年07月04日更新2018年08月28日

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017)夏は北海道で避暑生活!?【Dr.デルぽんの診察室観察日記】

第17回 夏は北海道で避暑生活!?しがない皮膚科勤務医デルぽんです☆今回は、デルぽんがまだ大学で専門外来をやっていたころのお話です。毎年、夏が近づくと、北海道で避暑生活をする患者さんがいました。彼女いわく、「夏の暑いのが苦手。だから涼しい北海道で過ごすことにしている」とのこと。北海道で避暑生活なんて、うらやましいぃ~!夏期が来ると、北海道にあるかかりつけ医へ、紹介状を持って転医。そして秋になると、あちらからの紹介状を持って、またこちらの外来へ戻ってこられるのでした。そんなセレブな避暑生活。北海道での住居はどうやって管理しているのか?別荘だとしたらそのお値段は? 家族はいるのか?? などなど、いろいろと気になってしまうデルぽんです。笑しかし、今年の猛暑では、さすがに北海道も暑かったのでは…!?こうも暑いと、どこか涼しい高原にでも移住したくなりますね。毎年夏になると思い出す、避暑生活をする患者さんのお話でした~☆それでは、また~!atsuko.takahashi8081

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地域支援体制加算の算定率から見えてくること【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第7回

2018年度の調剤報酬改定で新設された「地域支援体制加算」の算定状況に関する調査結果が明らかになりました。2018年6月1日時点で地域支援体制加算を算定していた薬局は、全国で15,012軒あり、保険薬局全体(59,864軒)の25.1%であった。算定薬局数は、東京や大阪などの保険薬局が多い大都市をもつ都道府県が目立って多かったが、保険薬局数に対する割合をみると、最も割合が高かった都道府県は奈良(41.0%)であり、次いで、長野(40.2%)であった。(株式会社日本アルトマーク プレスリリース 2018年8月7日)薬局の機能を評価した基準調剤加算はもともと2段階に分かれていましたが、2016年度に一本化され、そして2018年度で廃止となり、地域支援体制加算が新設されました。基準調剤加算は調剤基本料1を算定している薬局のみが算定できましたが、地域支援体制加算ではその決まりはなくなりました。しかし、調剤基本料1を算定しているかどうかによって、算定の難易度は大きく異なります。調剤基本料1を算定している場合は、基準調剤加算のときと同様の施設基準に加えて下表の3項目すべて、調剤基本料1以外を算定している場合は地域医療への貢献実績8項目すべてを満たす必要があります。調剤基本料1を算定している場合調剤基本料1以外を算定している場合1.麻薬小売業者の許可2.在宅患者の管理および指導の実績3.かかりつけ薬剤師指導料等の届出1.夜間・休日等の対応実績:400回/常勤薬剤師/年2.重複投薬・相互作用等防止加算等の実績:40回/常勤薬剤師/年3.服用薬剤調整支援料の実績:1回/常勤薬剤師/年4.単一建物診療患者が1人の場合の在宅薬剤管理の実績:12回/常勤薬剤師/年5.服薬情報等提供料の実績:60回/常勤薬剤師/年6.麻薬指導管理加算の実績:10回/常勤薬剤師/年7.かかりつけ薬剤師指導料等の実績:40回/常勤薬剤師/年8.外来服薬支援料の実績:12回/常勤薬剤師/年調剤基本料1を算定できているか否かによって難易度が違いすぎるのでは、と思うのは私だけではないと思います。8項目の内容もですが、それぞれの回数が常勤薬剤師1人当たりの1年の実績であること、というのが鬼ポイントですよね。そうなると、紹介した記事の中にある地域支援体制加算を算定できた薬局1万5,012軒が調剤基本料1かどうかの内訳が気になるところではないでしょうか。それに関しても同プレスリリースで明らかにされています。調剤基本料1その他の調剤基本料合計1万4,984軒(99.8%)28軒(0.2%)1万5,012軒はい、ほぼ調剤基本料1ですね。しかも、その他の28軒のうち27軒は医療資源の少ない地域として調剤基本料1扱い(調剤基本料の注1ただし書きに規定)になっています。調剤基本料1を算定している薬局の中にも地域貢献の実績8項目を満たしている薬局はあるかもしれませんが、はっきりと8項目すべてを満たしたとわかるのは全国でたった1軒。ぜひこの薬局へ取材に行ってみたいものです。調剤基本料1以外の場合の要件が今後の求められる水準か?調剤基本料は、基本的にはグループ全体の処方箋受付回数と集中率によって決められているため、その薬局の機能というよりは、その薬局の立地や法人の規模の評価です。とにかく門前薬局を少なくしたい、という国の思惑はあるのでしょうが、私個人としては患者さんの視点とはあまり関係がないため、重要視しすぎるのはどうかと思っています。地域支援体制加算は「かかりつけ薬剤師が機能を発揮し、地域包括ケアシステムの中で地域医療に貢献する薬局に対して、夜間・休日対応等の地域支援の実績などを踏まえて評価」するものですが、それらが正当に評価された加算なのか? と少し疑問に思います。ただし、調剤基本料1の算定が、国の思い描く方向であるということは、地域支援体制加算における地域医療への貢献実績の難易度の差を見ても明らかです。そして地域医療への貢献実績として示された8項目は、これから先の調剤報酬改定でも何かしらの要件として出てくると思われます。厳しい要件ではありますが、必要な要件に後押しされてできることが増えていくのは悪いことではありません。まずは1件、と取り組み始めた在宅薬剤管理も、経験や件数を積むごとに在宅に興味を持つ薬剤師も増えてきて、薬局全体で取り組む仕組みができてきた、という話も耳にします。今回、地域支援体制加算を調剤基本料1を算定した場合の要件で算定できていたとしても、調剤基本料1以外を算定している場合の要件を意識し、少しずつでも地域貢献の指標となる機能を満たすことができるように体制を整えていったほうがいいかもしれません。

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第1回 心電図の読み“型”伝授します【Dr.ヒロのドキドキ心電図マスター】

連載を始めるにあたりあなたは今まで心電図をどう習ってきましたか…?こういう症状ならココ、あるいは、この病態を疑ったらココを見る…一般的な心電図教育はこうだと思いますが、ボクに言わせると、これは否。そういうやり方では“心電図の壁”は越えられない。ウン、絶対に。ボクの専門とする心臓病だけに限ったことではありませんが、実臨床の患者さんはバリエーションに富むため、必ずしも思い描いたシナリオどおりにはいきません。今回扱う症例もそう。肺炎の裏に隠れている病態―「胸が痛い」と言わなくても、危険因子がなくっても、心電図は静かにメッセージを発しています。それを“受信”できるか、それが医師としての真価です。さぁ症例スタート!症例提示81歳。男性。COPD、不整脈にて通院中。1週間前より体調不良で食欲も低下、倦怠感あり。息苦しく動けなくなり、家人が救急要請。来院時所見:傾眠。体温36.8℃。血圧78/58mmHg。脈拍数68/分・不整。酸素飽和度90%(マスク6L/分)。胸部CTでは、両肺にブラ散見、浸潤影を認める。以下に来院時心電図を示す(図1)。(図1)来院時心電図画像を拡大する【問題】来院時心電図(図1)の所見として正しいものをすべて選べ。1)洞(性)頻脈2)上室期外収縮ショートラン3)頻脈性心房細動4)右軸偏位5)時計回転6)異常Q波7)ST上昇8)ST低下9)左室高電位(差)10)低電位(差)解答はこちら 3)、6)、7)、8)、9)、10)解説はこちら 記念すべき初回の症例です。COPD加療中の高齢男性で、肺炎か心不全などが疑われる状況です。さて、ここで心電図をどう読むか、それを問うています。1)頻脈(拍)ではあっても、P波がないので基本調律は洞調律ではありませんよ。2)自動診断が上室期外収縮*ショートラン(連発)と指摘していますが、これはマチガイ。*「上室性期外収縮」とも言われますが、日本循環器学会の循環器学用語集の表記に統一しました3)心房細動は○。R-R不整で頻脈、V2誘導に細動波(f波)らしきものがかろうじて見えるため。4)判定がやや難しいですが、軽めの「左軸」偏位のため×。5)「反時計」回転かなぁーというレベル。4)と共に微妙ですが×。そして、なんと残りは全部○。II、III、aVFの下壁誘導の異常Q波とST上昇に気付きましたか? それに加え、aVLとV2~V6のST低下も指摘してください。また、胸部誘導のV5、V6あたりの高電位(差)は目立ちますし、逆に肢誘導は低電位(差)です。一見、相反する所見が共存しているのも面白いところですね。以上を基に心電図から疑われる診断名頻脈性心房細動急性期~亜急性期のST上昇型心筋梗塞(下壁)左室肥大低電位(肢誘導)今回取り上げた男性では、両側の肺炎以外に、心電図から心房細動による頻脈とST上昇型心筋梗塞(下壁)疑いが読み取れなくてはいけません。これは大きな“情報”です。「病歴に[不整脈]とあるし、心房細動は以前からで慢性かなぁ」とか、「心筋梗塞は本当に急性かなぁ? 肺炎にそんなに偶然に合併するかなぁ。胸痛みたいな訴えはないし、ガッツリQ波もできてて、STレベルが後々まで正常に回復せずに残る病態もあるって聞いた気がするし、昔の“傷跡”を見てるだけなのかなぁ」などなど…こうしてあれこれ考えるのは楽しいです。あとは病歴や血液検査、心エコーその他から総合的に考えて判断してください。己の型(かた)を持て!「症例のように与えられた選択肢の○×判定だけならできても、まっサラの心電図を渡されると、どこからどう見ていいのか…トホホ(泣)」なんてヒトいませんか? これがクイズをいくらやっても、臨床には役立たない(ことが多い)最大の理由! だからこそ、ボクはそこに一石を投じたい。形式はクイズでも、それを通してホンモノの心電図の読み方を“共有”できたら最高です。では、どうすればいいのか? 皆さんに“型(かた)”を持ってほしいのです。常に“いつものやり方”で、心電図の“ささやき”を漏れなく拾ってほしいのです。一例として、ボクがここ最近、レクチャーするときに使っている“魔法の語呂合わせ”をご紹介します(図2)。(図2)心電図の読み“型”杉山 裕章. 心電図のはじめかた. 中外医学社;2017.p.142.を改変詳細を見る 心電図が苦手なアナタに送るDr.ヒロ謹製のチェック手順。自分ではなかなかシャレた語呂に仕上がったと思っていますが、どうでしょう? 別にすべての人がこのゴロで読む必要はありません。すでに“オレ流・ワタシ流”の確立した読み方があるなら、それで結構。手段・手順は何でもいいんです。大事なのは“漏れなく”所見を拾うこと。コレがすべてです。現在の日本の心電図教育では、これが大きく欠けていると思います。もしも、あなたに特定の読み“型”がないのなら、ぜひこのやり方で(笑)。この“系統的な判読法”を普及させるのが、ボクの天命の1つと(勝手に)感じています。少し余談ですが、食事で“食べる順番”が大事って話、根拠があって興味深いなぁって思った経験があります。そういう意味では、“読む順番”も大事です。心電図の世界ではね。これから図2の概略を解説します。まずは不整脈のスクリーニング。最初はRが3つなので、“レーサー(R3)・チェック”と呼んでます(笑)。1つでもアウトなら、その人には不整脈があるので、その場合、最後に「この人の不整脈は何?」と振り返る必要があります。1)R-R間隔の整・不整を見た目で即決しましょう。2)心拍数(Rate)はいろいろ。自動診断を信じるか、自分で計算して求めるか。いずれにせよ、50~100/分ならセーフ。3)最後のRは調律(Rhythm)。正常ならサイナス(洞調律)のハズ。次からが、いわゆる波形診断。“ピッ(タリ)”のP波。ここでは、波形から右房と左房の負荷所見(「拡大」がより正確な表現)を読みます。そしてQRS波のチェックに入ります。ここが心電図診断の“花形”の1つです。“ク”のQ波。異常Q波がないか探します。“ルッ(と)”ではR波を見てください。その形状から“スパイク・チェック”とボクは名付けています。R波のチェックは3つ、ズバリ(a)向き、(b)高さ、(c)幅です。1つ目の「向き」は聞き慣れないでしょうが(ボク独特の言い方かも)、ここではQRS電気軸(肢誘導)を第一に見てください。余裕があったら、胸部誘導で「回転」の異常がないかもどうぞ。2つ目の「高さ」では、“高すぎ”または“低すぎ”を見ます。とくに高電位(差)のほうが頻度も高く、臨床的にも重要です。“低すぎ”は、ほとんどが肢誘導の低電位(差)です。3つ目は「幅」を見ましょう。QRS波が一番“おデブ”な誘導でワイド(0.12秒以上)なら、大半は脚ブロックで説明できないか考えます。“スター”はST偏位をチェック。上昇も低下も基線から1mm以上の変化が有意です。すべての誘導を見渡して、確実に拾い上げるべし!“ト”はT波の異常。陰性T(波)の有無がその中心です。余裕があれば、「高さ」も見ます。原理的には、T波にも高低があって、「平低T(波)」など指摘できたら素晴らしい。“バランス”は波同士の距離とか関係性のこと。これもボクしか言ってないかなぁ。少しわかりにくいかも? 前者はPR(Q)間隔とQT間隔が適切か見ます。これは各々P波とQRS波、QRS波とT波との距離に相当します。さらに、先述のレーサー(R3)・チェックから不整脈がありそうなら、P波とQRS波の関係性(ボクの言う“つながり”)はどうかもチェックしてください。ここまでできれば“ゴール”です。心電図だけではだめ。他の情報もプラスせよ欲張りなボクが皆さんに伝えたいもう1つのこと。それは、心電図“だけ”で考えようとしないこと。私たちは、心電図から漏れなく所見を拾い出し、それ単独で診断するのではなく、他の情報も加味して病態を推察し、次の臨床行動に活かすべきです。微力ながら、ボクはそのお手伝いをしたいと思っています。初回から若造が偉そうにすいません。はぁー、でも最初から言いたいことが言えてよかったぁ。マンゾク、満足(笑)。Take-home Message1)心電図は読み“型”が大切。一定の手順で漏れなく読み切ることを常に意識しよう。2)心電図“だけ”では診断せず、患者さん全体を見よう。【古都のこと~予告編~】次回から、自ら撮影した写真と共に、気の向くままに京都を紹介します。関東出身で京都には5年強しか住んでおらず、ネタのストックもまだ不十分なため、初回は自分の“作業環境”を披露します。2018年7月から導入したXPS 9370(DELL)は、約6年使用し、3冊の拙著を世に送り出した前機種への愛着を超えられるでしょうか。制作の効率化と手指への負担軽減に多大に貢献してくれるHHKBキーボード(PFU)にも、“運命の赤い糸”を感じてしまいます。

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第2回 1990年代「かかりつけ薬剤師」「多職種連携」はもうあった!【週刊・川添ラヂオ】

動画解説阪神のお膝元・兵庫県でニチバンの営業職として絆創膏を売りながら、薬局にいた「かかりつけ薬剤師」への憧れを強めた川添青年。しかし、薬剤師としての臨床を学ぶためにまずは病院に転職します。そこで学んだのは、多職種で患者さんを支える大切さ、楽しさ。そんな矢先、悲劇が起こります。そう、阪神淡路大震災です。震災3ヵ月後に生まれ故郷の高知に戻り、やはり病院薬剤師を続けますが、3年後、ついに病院を辞める決意する時が来ます。その意外な理由とは?

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第6回 小児胃腸炎の脱水対策にはりんごジュースが有益【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 小児の胃腸炎は医療現場で見かけることの多い疾患の1つです。下痢や嘔吐を伴うことが多いため、注意すべきはなんといっても脱水症状でしょう。小児では、体液量のバランスが脱水で崩れやすいので、電解質を補うために早期から経口補水液などを取ることが大切です。そこで、今回は軽度の胃腸炎がある小児に対して、電解質維持用の経口補水液または薄めたりんごジュースを与えた際の治療成功率を検討した以下の単盲検ランダム化比較試験を紹介します。補水液の味を嫌がる小児も多いので、このような研究を知っておくと役に立つかもしれません。Freedman SB, et al. JAMA. 2016;315:1966-1974.研究はカナダのトロントにある3次小児救急病院の単施設で、2010~15年に行われました。同病院は年間5万5,000例もの小児ケアを行っており、うち約3,000例が胃腸炎です。対象となりうる小児は、トリアージの後、看護師によって脱水の評価を受けて研究に組み入れられています。組み入れられたのは、生後6~60ヵ月で次の条件のうち3つ以上を満たす小児でした。1.過去24時間以内に3回以上の嘔吐または下痢がある2.症状発現から 96時間未満3.体重8 kg以上4.最低レベルの脱水(脱水レベルは4項目からなる計8段階のスコアで評価)平均28.3ヵ月の小児647例がコンピューターでランダム化され、りんごジュース群(323例)と経口補水液群(324例)に割り当てられました。各群のベースラインは類似しており、比較としては良さそうです。りんごジュース群では、カナダでポピュラーなFairleeというブランドの果汁100%りんごジュースを2倍に薄め、経口補水群と同じ中身の見えないボトルに入れたとあります。なお、研究資金調達にりんごジュースメーカーの関与はなく、著者らの利益相反はないと書かれています。経口補水液群には、電解質を保つために塩と砂糖を混ぜ、りんごジュースの色、フレーバー、甘味を付けた補水液が与えられました。介入効果の相違を知るうえで味の違いも一要素となるため、厳密な味のマッチングは行われてはいません。また、すべての患児は退院後に家でも同じ介入を継続できるように、割り当てられたドリンクを2L与えられました。参考として、子供は下痢のエピソードごとに10mL/kg、嘔吐のエピソードごとに2mL/kgを与えるのがよいという案内がなされています。プライマリアウトカムとして、登録から7日以内の治療失敗が設定され、それは以下のいずれかの項目から定義される複合アウトカムとして評価されました。1.入院または点滴による補水が必要になった2.嘔吐や下痢があり、緊急の受診やケアを要した3.長期にわたる症状4.割り当てられた介入とは異なる介入とクロスオーバーをすべきと医師が判断した5.3%以上の体重減少または脱水スコア5以上アウトカムは、盲検下で看護師が小児の介護者に毎日電話し、24時間無症状であることが確認されるまで聴取を行いました。また、介護者には、受診歴や下痢、嘔吐頻度などの重要な情報を記録する日記が提供され、最終的にりんごジュース群で118例分、経口補水液で86例分が返送されました。2歳以降では薄めたりんごジュースのベネフィットが大きい結果として、 647例(うち男児331例)中644例(99.5%)がフォローアップを完遂しました。治療の失敗率は、りんごジュース群16.7%(323例中54例、95%信頼区間:12.8-21.2)に対し、経口補水液群では25.0%(324例中81例、95%信頼区間:20.4~30.1%)と、有意な差がみられました(p<0.01)。入院率と下痢および嘔吐頻度について、群間で有意差はありませんでした。6ヵ月ごとの月齢の失敗率をみると、24ヵ月未満の小児ではりんごジュース群のベネフィットが小さい傾向にあり、12~24ヵ月ではむしろりんごジュース群の治療失敗率がやや高くなっています。一方、24ヵ月以降ではりんごジュース群のベネフィットが顕著に出ているため、味に慣れが生じ始める2歳以降の小児ではメリットがあることが示唆されています。ちなみに生後6ヵ月未満の小児では、まれではあるもののりんごジュースのようにナトリウム濃度の低い溶液を与えていると水中毒を発症するリスクが高まるため、本試験結果を適用するのは避けたほうが無難でしょう。一見、胃腸炎にりんごジュースが効くかのような印象を持ってしまいそうですが、今回の研究ではりんごジュースで軽度の脱水が良くなるのかが試験されているのであって、胃の痛みの改善や感染を防ぐ効果が検討されているわけではないことに注意が必要です。また、組み入れられた小児は希釈されたりんごジュースを飲み続ける前に、医師の診察を受け、重度の脱水やその他重篤疾患の兆候がないことがあらかじめ確認されていました。したがって、点滴の必要がある、別の慢性消化器疾患にかかっている、激しい嘔吐や出血性の下痢などがある、といった症例では本結果の適用が保証されるものではありません。とはいえ、日本を含む比較的衛生状態の良い国では重度の感染症リスクは低いですから、軽度の脱水がある2~5歳くらいの小児の水分補給として身近で入手できるりんごジュースを薄めて与えるという選択肢を持っておくのはとても有用かと思います。とくに補水液の味を嫌がるお子さんの場合には勧めてもよいのではないでしょうか。Freedman SB, et al. JAMA. 2016;315:1966-1974.

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小児うつ病治療のランダム化プラセボ対照試験のアップデート

 大うつ病性障害(MDD)に対する抗うつ薬治療は、過去10年間に多数のプラセボ対照ランダム化比較試験(RCT)が報告されており、引き続き関心が集まっている。米国・ハーバード大学医学大学院のMartha J. Ignaszewski氏らは、2007 Bridgeメタ解析以降に更新された文献レビューを行い、治療緊急性の高い自殺傾向の予兆について、コロンビア自殺重症度評価尺度(C-SSRS:Columbia Suicide Severity Rating Scale)を用いて、安全性データの再評価を行った。Journal of Child and Adolescent Psychopharmacology誌オンライン版2018年7月31日号の報告。 PubMedより、2007年以降に報告されたRCTの論文とその補足資料を検索し、文献レビューを行った。 主な結果は以下のとおり。・治療群およびプラセボ群の治療反応率の高い7つの試験(企業スポンサー:5件、NIMHによる助成:1件、その他:1件)が、本システマティックレビューに含まれた。・fluoxetineとエスシタロプラムによる治療のみが、統計学的に有意であった。・fluoxetineは、プラセボ群と比較し、継続治療によるMDD再発予防のオッズ比が3.2であり、再発予防効果が認められた。・CSSR-Sをシステマティックに用いて自殺率を測定した試験では、抗うつ薬治療による治療緊急性の高い自殺傾向の増加は認められなかった。 著者らは「小児うつ病患者では、抗うつ薬治療群とプラセボ群において同様の反応が示されており、最近の研究においても、より新しい抗うつ薬治療がプラセボよりも明らかに有用であるとの結果は認められなかった。これらのエビデンスでは、fluoxetineとエスシタロプラムを第1選択治療薬として支持し続けており、再発予防効果も実証されている。これまでの有害事象データを用いた自殺の予兆増加を示唆する研究とは対照的に、治療緊急性の高い自殺傾向は、抗うつ薬治療群とプラセボ群で同様であることが、新しい評価尺度により明らかとなった。抗うつ薬治療は全般的に安全であり、小児において十分に許容される」としている。■関連記事思春期の少年少女における自殺念慮の予測大うつ病と自殺念慮に関する治療抵抗性うつ病研究グループの報告うつ病診断後の小児および青年における12ヵ月間の治療経過の変化

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Na摂取量1日5g超で、CVイベントと関連?/Lancet

 カナダ・マックマスター大学のAndrew Mente氏らが、21ヵ国を対象にした大規模疫学コホート試験「Prospective Urban Rural Epidemiology(PURE)試験」を基に分析した結果、ナトリウム摂取量の増加は、摂取量が5g超/日の地域においてのみ、心血管疾患や脳卒中と関連があることが明らかにされた。一方、WHOでは、心血管疾患の予防手段として、2g未満/日のナトリウム摂取を推奨しているが、この目標値を達成している国はない。今回の結果を踏まえて著者は、「ナトリウム摂取減の戦略は、これら摂取量が5g超/日の地域においてのみ必要かもしれない」と述べている。Lancet誌2018年8月11日号掲載の報告。臨床アウトカムデータのある18ヵ国を対象に調査 研究グループは、進行中のPURE試験に参加する21ヵ国のうち、臨床アウトカムデータを得られた18ヵ国について分析を行った。被験者は、一般人口集団から心血管疾患歴のない35~70歳を適格とした。 空腹時早朝尿を基に、24時間ナトリウム・カリウム排泄量を予測し、それぞれ摂取量の代用指標とした。被験者数50例超の369地域(総被験者数9万5,767例)では、地域ベースでナトリウム・カリウム摂取量と血圧値の関連を、また被験者数100例超の255地域(同8万2,544例)では、地域ベースでナトリウム・カリウム摂取量と心血管疾患および死亡率の関連を検証した。個人データを用いて、既知の交絡因子については補正を行った。中国のナトリウム摂取量1g増大で脳卒中リスク0.42/1,000年増加 追跡期間の中央値は8.1年だった。中国では103地域のうち82地域(80%)で平均ナトリウム摂取量が5g超/日と高かったが、それ以外の国では266地域のうち224地域(84%)で平均ナトリウム摂取量は3~5g/日だった。 全体で、平均ナトリウム摂取量の1g増大は平均収縮期血圧値2.86mmHg上昇と関連していたが、その明らかな関連は、ナトリウム摂取量の最高三分位の地域でのみ認められた(異質性p<0.0001)。 平均ナトリウム摂取量と主要心血管イベントの関連については、直線性の有意な偏差が認められた(p=0.043)。摂取量が4.43g未満/日の最低三分位の地域(平均ナトリウム摂取量:4.04g/日、範囲:3.42~4.43)では、有意な逆相関の関連が認められた(平均ナトリウム摂取量1g増大によるイベント減少:-1.00/1,000年、95%信頼区間[CI]:-2.00~-0.01、p=0.0497)。摂取量が4.43~5.08g/日の中程度の地域(同4.70g/日、4.44~5.05)では、関連性は認められなかった(同イベント変化:0.24/1,000年、-2.12~2.61、p=0.8391)。5.08g超/日と最高三分位の地域(同5.75g/日、5.08超~7.49)では、非有意な正の関連があった(同イベント変化:0.37/1,000年、-0.03~0.78、p=0.0712)。 中国(平均ナトリウム摂取量5.58g/日)では、その他の国(同4.49g/日)と比べて脳卒中との強い関連がみられた。中国では、平均ナトリウム摂取量1g増大による0.42/1,000年(95%CI:0.16~0.67、p=0.0020)のイベント増加がみられたが、他国では同イベントの減少(-0.26/1,000年、-0.46~-0.06、p=0.0124)がみられた(異質性のp<0.0001)。 なお、すべての主要心血管アウトカムは、すべての国でカリウム摂取量の増加とともに減少する関連性が認められた。

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第2回 小児へのアモキシシリン 分2 10日間の処方 (後編)【適正使用に貢献したい  抗菌薬の処方解析】

前編 Q1処方箋を見て、思いつく症状・疾患名は?Q2患者さんに確認することは?Q3患者さんに何を伝える?Q4 疑義照会をする?しない?(状況によっては)疑義照会するアモキシシリンを分3にできないか疑義照会 荒川隆之アモキシシリンの1日3回投与をお勧めします。カルボシステインは通常体重1kgあたり0.02g製剤量を3回投与なので、処方から計算上は16.5kgとなります。2歳女児の平均体重10~13kgより少し大きいでしょうか?「JAID/JSC感染症治療ガイド2014」(日本感染症学会・日本化学療法学会発行)では、小児の咽頭・扁桃炎に対してアモキシシリンは10~20mg/kgを1日3回投与とありますので、16.5kgならば1回165~330mgを1日3回投与となります。本症例の場合、1回量は280mgとなり適正と考えられるのですが1日2回投与です。Wessels MR. Streptococcal pharyngitis. N Engl J Med. 2011; 364: 648-655. などにおいてもアモキシシリンは1日1~2回投与とありますが、アモキシシリンは時間依存性であり半減期が1.2時間と短いこと、また飲み忘れなども考え合わせると、JAID/JSCのガイドラインどおり1日3回10日間の投与が良いのではないかと考えます。母親の観点からの意見 わらび餅患児は保育園に通っているのでしょうか。保育園に与薬を依頼することができないのかもしれないですが、あのカサ高いアモキシシリン10%散を2歳児に飲ませることは大変で、分2だと1回飲ませるのに失敗したときのロスは大きいです。もう少し年齢が高ければ分2でも良いですが、1~2歳は必要性が理解できないので与薬が大変です。子供の普段の薬に対する忍容性がどうか、または保育園へ与薬依頼できるか母親へ確認し、分3にできるか医師に相談します。昼服用が可能なら疑義照会 柏木紀久保護者への確認で服薬支援が得られるならばRp.1~2を分3にするように疑義照会します。今回は昼服用を意図的に避けているようなので、お昼に服用できないとのことであれば「小児呼吸器感染症診療ガイドライン2011」(日本小児感染症学会)の「A群溶血性レンサ球菌による咽頭・扁桃炎の抗菌薬療法」の項、「推奨される抗菌薬療法」にある「アモキシシリン 30~50mg/kg/日 分2~3 10日間」から疑義照会しません。下痢対策 キャンプ人下痢を起こしやすいので、牛乳アレルギーなどがない場合は整腸剤の処方の検討も依頼します。アモキシシリン以外の処方について疑義照会 中西剛明アモキシシリン服用後にすぐに解熱する場合が多いので、他の薬は使わなくても済む可能性を患者さんに説明して、アモキシシリン以外の薬が不要という申し出があれば、処方取り消しのための疑義照会を行います。薬剤特有の臭いに配慮 中堅薬剤師1日3回、または4回投与を提案し、1日3回にするならばRp.2と合わせて朝・夕・寝る前で処方してもらいます。なお、アモキシシリンは開封後、時間経過すると次第に独特の臭いが強まりますので、開封後時間が経過していない商品で調剤します。あまり動きのない店舗であれば、分包品を採用します。小児の場合、矯味の問題でアドヒアランスが低下することはよくあるので、アモキシシリンの服薬アドヒアランスが低い子供にはセフェム系のセフジトレンピボキシルやセフジニルなどの提案も良いと思います。低カルニチン血症※を考慮して、ピボキシル基を含まないセフジニルを推奨することもあります。※ピボキシル基を有する抗菌薬によりカルニチン排泄が亢進し、低カルニチン血症に至ることがあり、小児(特に乳幼児)では血中カルニチンが少ないため、血中カルニチンの低下に伴う低血糖症状(意識レベル低下、痙攣など)に注意する3)。処方日数について 清水直明初回で10日分の処方は、抗菌薬の効果判定をせずに漫然と投与していると捉えられ、保険で査定される可能性があります。実際、私の勤務先では、初回投与で7日を超える抗菌薬の処方は査定されました。日数を短縮し(3~4日程度)、再度来院して1次効果を確認してから、継続投与の処方を行うほうが良いと考えます。疑義照会をしない分2投与は迷うが... 児玉暁人アモキシシリンの分2投与を疑義照会するかどうか迷うところです。「小児呼吸器感染症診療ガイドライン2011」の「A群溶血性レンサ球菌による咽頭・扁桃炎の抗菌薬療法」では分2~3となっているのと、Wessels MR. Streptococcal pharyngitis. N Engl J Med. 2011; 364: 648-655. にStreptococcal Pharyngitisの総説があり、アモキシシリン分2あるいは分1の記載もあることから、A群溶血性レンサ球菌であれば服用完遂を優先して分2のままでも良いかもしれません。協力メンバーの意見をまとめました今回の抗菌薬処方で患者さんに確認することは・・・(通常の確認事項は除く)ペニシリンアレルギーがあるか・・・5名溶連菌の検査を受けたかどうか・・・3名咽頭痛、苺舌など症状の有無・・・2名患者さんに伝えることは・・・アモキシシリンは症状が改善しても10日間しっかり飲みきること・・・12名全員小分けにして飲んだりアイスや乳製品などに混ぜてもよいこと・・・4名腹痛や下痢などの副作用について説明する・・・3名発熱時の水分補給の重要性を説明する・・・2名アモキシシリン以外は、症状によっては無理に服用する必要はないことを伝える・・・2名疑義照会については・・・(状況によっては)疑義照会する アモキシシリン分2処方について、患者背景を確認し、できれば分3~4になるよう疑義照会する・・・6名アモキシシリン以外の薬が不要との申し出があれば、処方取り消しの提案をする・・・1名下痢対策として、整腸剤の処方依頼をする・・・1名 疑義照会をしない アモキシシリンは分2でも分3と同様の効果が得られることが報告されているので、疑義照会しない・・・2名1)国立感染症研究所感染症情報センター. A群溶血性レンサ球菌咽頭炎とは. NIID国立感染症研究所.2)西本幸弘ら. 感染症により誘発される免疫疾患. 新領域別症候群25 感染症症候群(第2版)下. 2013: 742-748.3)(独)医薬品医療機器総合機構". ピボキシル基を有する抗菌薬投与による小児等の重篤な低カルニチン血症と低血糖について. "独立行政法人 医薬品医療機器総合機構.

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添付文書改訂:ゼルヤンツ錠/トレリーフ錠/リムパーザ錠【下平博士のDIノート】第7回

ゼルヤンツ錠5mg画像を拡大する<使用上の注意>過去の治療において、ほかの薬物療法(ステロイド、免疫抑制薬または生物製剤)による適切な治療を行っても、疾患に起因する明らかな臨床症状が残る場合に投与します。<用法・用量>導入療法では、通常、成人に、トファシチニブとして1回10mgを1日2回、8週間(効果不十分な場合はさらに8週間)投与し、維持療法では1回5mgを1日2回経口投与します。なお、維持療法中に効果が減弱した患者、過去の薬物治療において難治性の患者(TNF阻害薬無効例など)では、1回10mgを1日2回投与することができます。感染症リスクの増加が予想されるので、本剤とTNF阻害薬などの生物製剤や、タクロリムス、アザチオプリンなどの強力な免疫抑制薬(局所製剤以外)との併用はできません。<Shimo's eyes>関節リウマチ治療薬として用いられてきたJAK阻害薬のトファシチニブに、国の指定難病である潰瘍性大腸炎の適応が追加されました。潰瘍性大腸炎の国内患者数は、2016年までの10年間で約1.9倍に増えました。2016年11月にメサラジン錠(商品名:リアルダ錠1200mg)、2017年12月にブデソニド(同:レクタブル2mg注腸フォーム)が相次いで発売され、海外で広く使用されているベドリズマブ(同:エンタイビオ点滴静注)も2018年7月に承認取得しています。治療選択肢が増えることにより、治療の目標となる寛解導入や寛解維持が以前より容易になることが期待されます。また、個々の患者さんの症状・生活習慣・経済状況などに合わせた治療で、より患者さんのQOL向上が見込めるでしょう。トレリーフ錠/OD錠25mg画像を拡大する<用法・用量>通常、成人にゾニサミドとして、1日1回25mgを経口投与します。<Shimo's eyes>ゾニサミドはもともと抗てんかん薬として開発され、のちにパーキンソン病治療薬として開発された薬剤です。抗てんかん薬としてはエクセグランの商品名で、パーキンソン病治療薬としてはトレリーフの商品名で、効能・効果と用法・用量を区別して発売されています。レビー小体型認知症のパーキンソニズムは、パーキンソン病のパーキンソニズムと原因や症状が同じであることから開発が進められ、追加承認となりました。ゾニサミドは、ドパミンレベルを上昇させることで、レボドパの抗パーキンソン作用を増強・延長し、レビー小体型認知症に伴うパーキンソニズムを改善します。通常、レボドパ含有製剤との併用療法で使用されると予想できます。レビー小体型認知症に伴うパーキンソニズムを適応症とする初めての薬なので、患者さんの新たな選択肢として治療への貢献が期待されます。リムパーザ錠100mg/150mg画像を拡大する<使用上の注意>(1)本剤の術前・術後薬物療法としての有効性および安全性は確立していません。(2)アントラサイクリン系抗悪性腫瘍薬およびタキサン系抗悪性腫瘍薬を含む化学療法歴のある患者を対象とします。(3)承認された体外診断薬などを用いた検査により、生殖細胞系列のBRCA遺伝子変異(病的変異または病的変異疑い)を有することが確認された患者に投与します。<用法・用量>通常、成人にはオラパリブとして300mgを1日2回、経口投与します。なお、患者の状態により適宜減量します。100mg錠と150mg錠の生物学的同等性は示されていないため、300mgを投与する際に100mg錠を使用することはできず、100mg錠は減量時のみ使用します。<Shimo's eyes>オラパリブは、DNA損傷応答(DDR)機能を標的とした新規の作用機序を持つ、世界初のPARP阻害薬です。DNAの相同組換え修復機構が機能していないがん細胞に対して特異的に細胞死を誘導します。もともとは白金系抗悪性腫瘍薬感受性の再発卵巣がん治療薬として発売されましたが、今回の適応追加により、国内で初めて、BRCA遺伝子陽性の遺伝性乳がん治療薬として使用されることになりました。BRCA遺伝子は、アンジェリーナ・ジョリーさんが陽性であったことでも知られています。本剤は、悪心・嘔吐が高頻度で認められているため、服薬指導の際に、脱水が起こらないように水分補給や食事の工夫などのアドバイスができるとよいでしょう。

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第2回 プラバスタチンの処方/カモスタットの処方/クエチアピンの処方と検査/肝硬変での検査【レセプト査定の回避術 】

事例5 プラバスタチンの処方脂質異常症の重症患者に、プラバスタチン10mg 2錠を処方した。●査定点プラバスタチン10mg 1錠が査定された。解説を見る●解説添付文書で、年齢・症状により適宜増減し、重症の場合は1日20mgまで増量できることになっていましたが、レセプトに「重症」のコメントが追記されていませんでした。コメントとして「重症」が求められます。事例6 カモスタットの処方逆流性食道炎の患者に、カモスタット100mg 6錠を処方した。●査定点カモスタット100mg 6錠が査定された。解説を見る●解説(1)カモスタットの添付文書で「カモスタット100mg 6錠」の傷病名は「慢性膵炎における急性症状の緩解」のため査定されました。(2)「逆流性食道炎」では、カモスタットの処方は認められていません。「術後」の「逆流性食道炎」では認められています。なお、「術後逆流性食道炎」では、カモスタット100mg 3錠の処方となります。事例7 クエチアピンの処方と検査統合失調症でクエチアピン錠25mg 3錠を継続処方している患者に、HbA1c検査を施行した。●査定点HbA1c検査が査定された。解説を見る●解説統合失調症にクエチアピン錠を投与すると、添付文書の「重要な基本的注意」で「著しい血糖値の上昇から、糖尿病検査」が求められています。このような場合には、糖尿病の疑いを追記するのではなく、「患者は『クエチアピン錠投与により著しい血糖値の上昇』を受けやすく、添付文書の【重要な基本的注意】によりHbA1c検査施行を必要とした」と症状詳記することが望ましいといえます。事例8 肝硬変での検査肝硬変でヘパプラスチンテストを施行した。●査定点ヘパプラスチンテストが査定された。解説を見る●解説ヘパプラスチンテストの保険請求では、「他の検査で代替できない理由を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること」となっています。コメントの記載がないため査定されています。

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第1回 高3夏、エイズと阪神が人生を変えちゃった!【週刊・川添ラヂオ】

動画解説地域医療に携わる薬剤師から“兄貴分”として慕われる川添 哲嗣先生。薬剤師はまさに天職のように見えますが、実は、高校3年夏の時点でも薬学部に行くつもりさえなかったのだとか。では、なぜ神戸学院大学薬学部へ?ウエストヴァージニア州立大学、エイズ、阪神タイガース、ニチバンの営業職…。流転する若き日々にもがきながら見出した薬剤師・川添哲嗣の原点が、自身の流ちょうな語りで紐解かれます。

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日米における心血管代謝疾患のBMIカットオフ値

 日本人と米国人を対象とした横断研究から、日米とも高BMIが高血圧症、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症の有病率増加と関連すること、有病率が増加するBMIカットオフ値は日本人のほうが有意に低いことを、虎の門病院の桑原 政成氏らが報告した。米国における過体重/肥満の定義が日本では適用できない可能性が示唆される。Nutrients誌2018年8月3日号に掲載。 本研究は、聖路加国際病院における18~85歳の日本人成人9万47例と、米国国民健康栄養調査(National Health and Nutrition Examination Survey: NHANES)における成人1万4,734例での横断研究。BMIごとの高血圧症、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症の有病率を日米で比較した。 主な結果は以下のとおり。・高血圧症、糖尿病、脂質異常症の有病率は米国のほうが有意に高く、高尿酸血症の有病率は日米で差がなかった。・年齢、性別、喫煙や飲酒習慣、慢性腎臓病、その他の心血管リスク因子の調整後、日米とも、高BMIは高血圧症、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症の独立した危険因子であった・これらの心血管代謝リスク因子の有病率が増加したBMIカットオフ値は、米国が日本より有意に高かった(高血圧症:27 vs.23、糖尿病:29 vs.23、脂質異常症:26 vs.22、高尿酸血症:27 vs.23)。

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公共サービスが受けられない就学前児童への肥満予防介入の効果/JAMA

 十分な公共サービスが受けられない就学前児童を対象に、肥満予防のための多相的な行動変容介入を36ヵ月間行ったが、BMI値への影響はみられなかった。米国・Vanderbilt University School of MedicineのShari L. Barkin氏らによる無作為化試験の結果で、JAMA誌2018年8月7日号で発表された。十分な公共サービスが受けられない集団の小児は、肥満有病率と慢性疾患リスクが最も高く、小児期の肥満予防が重大な課題になっているという。36ヵ月間にわたる多相的な行動変容介入vs.スクールレディネスの効果を検証 研究グループは、肥満リスクが高い就学前児童を対象に、36ヵ月間にわたる多相的な行動変容介入が、同期間中のBMI成長曲線に影響するのかを検証した。テネシー州ナッシュビルの、公共サービスが十分に行き届いていないコミュニティに属する610例の親子を、36ヵ月間の健康行動をターゲットとした介入を受ける群またはスクールレディネスを受ける対照群に無作為に割り付け追跡調査した。対象小児は3~5歳児で肥満リスクはあるが非肥満児を適格とした。 介入群(304例)には、36ヵ月間の家族ベースでコミュニティを対象としたプログラムが提供された。具体的には段階的に介入の強度を減じるプログラムで次の3相から成るものであった。(1)12週間の集中強化相:毎週1回90分のスキル(目標設定、セルフモニタリング、問題解決など)を身につけるセッション、(2)9ヵ月間の維持管理相:月1回の電話コーチング、(3)24ヵ月間の継続相:定期的な行動機会(テキストや個別レター送付、月1回の訪問など)の提供。 対照群(306例)は、36ヵ月の試験期間中、ナッシュビルの公立図書館で行われた6回のスクールレディネス(ベースライン、3、9、12、24、36ヵ月時に開催・データ収集、1回30分の集団学習)を受けた。このスクールレディネスは、介入群も受けた。 試験登録は2012年8月~2014年5月に行われ、36ヵ月時のフォローアップは、2015年10月~2017年6月までに行われた。 主要評価項目は、36ヵ月間の小児のBMI成長曲線であった。事前に規定した副次評価項目は7つ(保護者が報告した子供の食事摂取量、コミュニティセンターの利用など)であった。多重比較のため、Benjamini-Hochberg法を用いて補正を行った。36ヵ月間のBMI成長曲線に有意差みられず 被験者の大部分がラテン系アメリカ人(91.4%)で、ベースラインの平均年齢は4.3歳(SD 0.9)、女児が51.9%、世帯収入2万5,000ドル未満の家族が56.7%であった。 90.2%が36ヵ月のフォローアップを完了した。36ヵ月時点の平均BMIは、介入群17.8(SD 2.2)、対照群17.8(2.1)であった。主要評価項目の、36ヵ月間のBMI成長曲線について、群間の有意差はみられなかった(結合尤度比検定のp=0.39)。 子供の平均エネルギー摂取量は、介入群(1,227kcal/日)が対照群(1,323kcal/日)に比べて有意に少なかった(補正後群間差:-99.4kcal、95%信頼区間[CI]:-160.7~-38.0、補正後p=0.003)。また、介入群の保護者のほうが対照群の保護者と比べて、子供と一緒にコミュニティセンターを利用した割合が有意に高率であった(56.8% vs.44.4%、リスク比:1.29[95%CI:1.08~1.53]、補正後p=0.006)。 これらの結果を踏まえて著者は、「その他タイプの行動変容介入の効果や、他市での介入効果について、さらなる試験を行う必要があるだろう」と述べている。

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