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第9回 ”噂の社長”を薬局に導いた「信念」【噂の狭研ラヂオ】

動画解説今回は日本在宅薬学会でもご活躍中のバードファーマシー社長の鳥居泰宏先生との対談をお届けします。「人をキレイにする仕事をしたい」という信念から製薬企業、化粧品、食品業界を経て薬局を開局。「あの遊んでいた鳥居先生が熱心な薬剤師に?」と噂されるやんちゃな先生の変遷とは?

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第17回 本当に過換気症候群?【救急診療の基礎知識】

●今回のPoint1)過換気症候群の満たすべき条件を知ろう!2)過換気症候群と誤診しやすい疾患を知ろう!3)過換気症候群の対応を知ろう!【症例】24歳女性。仕事中に息が吸えないような感覚に陥り、その後両手の痺れを自覚した。苦しそうにしていたため同僚が心配し、救急要請。病着時にはだいぶ落ち着き症状は改善傾向にあった。担当した研修医は、過換気症候群だったのだろうと判断し、とくに精査せずに帰宅可能と考えたが…。●搬送時のバイタルサイン意識清明血圧122/76mmHg脈拍100回/分(整)呼吸22回/分SpO299%(RA)体温36.0℃瞳孔2.5/2.5mm+/+既往歴虫垂炎(18歳時に手術)内服薬定期内服薬なし過換気症候群の定義と診断基準臨床現場で過換気症候群を疑うことは難しくありません。呼吸回数が非常に多く、それに伴い手足の痺れ、助産師の手などを認めれば、誰もが疑うことでしょう。しかし、過換気だろうと思ったら実は…という経験がある方も少なくないはず。過換気になるには何かしらの理由があるのですから。過換気症候群とは、「代謝的な要求を超える不適切な分時換気量がもたらす呼吸性アルカローシスが、明らかな臓器障害を伴わずに、さまざまな症候をもたらす病態」とされます1)。「明らかな臓器障害を伴わない」ここが大切です。以下、過換気症候群は原発性のものとして話を進めます。確立された診断基準は存在しませんが、臨床症状による診断基準として表を頭に入れておくとよいでしょう。「(2)自然に、または何らかの処置による症状の急速な改善」、「(3)過換気を生じる器質的疾患の除外」の2点からもわかるように、救急外来など初療の際に、比較的速やかに症状が改善すること、その原因が過換気症候群以外に存在しないことを確認する必要があるのです2)。表 過換気症候群の診断画像を拡大する過換気症候群の疫学どのような患者さんが過換気症候群になるのでしょうか。これは、みなさんが現場で感じていることだと思いますが、女性に多く、年齢は20歳代が最多、平均36.5歳といわれ、高齢者初発はまれです3)。約50%に精神疾患があり、パニック障害の方が最多です。3人に1人には過換気症候群の既往があります3)。過換気症候群の症状とバイタルサイン主訴では不安、恐怖が最多、その他、痺れなどの感覚異常やめまいを訴えます。胸痛を訴えることもありますが、それのみで来院することはまれです。バイタルサインは、呼吸数の増加以外に頻脈や意識障害を認めることもありますが、速やかに改善します。改善しない場合や、意識消失を認める場合には、二次性を考え精査するようにしましょう。呼吸を促し、止めることができれば過換気症候群の可能性が高いとされます。二次性ではない、原発性の過換気症候群であれば、通常SpO2は95%を切ることはありません。成人であればほぼ100%です。過換気症候群の検査来院時に症状が治まっていれば、検査不要なことも多いですが、症状が残存している場合には、血液ガスがもっともらしさを評価できるでしょう。過換気症候群の患者244例の解析では、pH7.47、pCO228.91mmHg、pO297.41mmHgが平均値でした。当たり前ですが通常酸素化は落ちません。もし、酸素化が低下している場合には、何らかの疾患が原因で呼吸が苦しくなり、過換気様になっていると考えましょう。低酸素血症であれば、呼吸性アルカローシスになりえますから。過換気症候群と誤診されやすい疾患正確なデータはありませんが、代表的な疾患は肺血栓塞栓症です。以前に連載で取り上げましたね(第12回 意外に多い呼吸困難の原因とは?)。見逃さないためのポイントは、高齢者では過換気らしくても、背景に精神疾患や既往がなければ通常起こり得ないと心得ておくこと(ただしゼロではありません)、そして、普段と同様のADLで症状の再燃がないかを確認することです。ストレッチャーや車椅子で安静にしている状態では、呼吸数や酸素化は改善し、酸素は不要であっても、通常どおり歩行してみると、労作時呼吸困難や頻呼吸が再燃する場合には、過換気ではありません。その他、くも膜下出血、妊娠(異所性妊娠)、薬物乱用、急性冠症候群、髄膜炎など多岐にわたりますが、過換気症候群であれば、症状は速やかに改善するはずですから、その後にどうしてそのようになったのか、病歴をきちんと確認すれば見逃しは防げるでしょう。さいごに過換気症候群の患者を診療する際、医療者は陰性感情をぐっとこらえ、きちんと会話をしながら対応しましょう。会話をしながら病歴やバイタルサイン、身体所見を評価していれば、呼吸を何度もする暇を与えず、症状はだんだん落ち着きます。「ゆっくり呼吸しましょう」、「そんなにハァハァしたらつらくなってしまいますよ」と声をかけても、患者さんは「(わかっているよ! でも、できないんだ)」と思っていることでしょう。過換気症候群の予後は良好ですが、時に過換気後無呼吸(post-hyperventilation apnea)といって、呼吸が止まり低酸素になることがあります4)。過換気と判断しても、きちんと症状が改善するまでは経過を確認し、場を離れる場合にはモニタリングなどを怠らないようにしましょう。低酸素を回避すれば基本的に予後は良好です。1)Lewis RA, et al. Bull Eur Physiopathol Respir. 1986;22:201.2)廣川豊ほか. 日胸疾患会誌. 1995;33:940-946.3)Pfortmueller CA, et al. PLoS One. 2015;10:e0129562.4)Munemoto T, et al. BioPsychoSocial Medicine. 2013;7:9.

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10代の市販薬乱用問題で日薬が通知【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第37回

以前のコラムで、10代の薬物依存患者の4割が市販薬を乱用しているというセンセーショナルな調査結果をお伝えしました。これは市販の中枢性麻薬性鎮咳薬などを、本来の咳止め目的以外で乱用していることを明らかにしたもので、一般紙でも広く報じられました。乱用者は複数の薬局やドラッグストアを回って購入したり、インターネットサイトなどで購入したりしているのでしょうが、副作用や依存性が大変危惧されます。そこで、この調査結果を受け、日本薬剤師会が各都道府県薬剤師会に通知を発出しました。その中では、以下のような販売に関する対策が求められています。1.複数個購入の防止乱用のおそれのある医薬品は複数個販売しない。来局者の直接手の届かない位置に陳列する。または、陳列は空箱、商品カードで対応する。2.頻回購入の防止乱用のおそれのある医薬品を販売する場合は、要指導医薬品・第一類医薬品等の販売記録に記入するとともに、薬局および店舗内での情報連携・販売管理を徹底する。3.複数薬局および店舗での購入防止乱用のおそれのある医薬品の販売を行う際には、他薬局や他店舗での購入状況、保有状況を確認し、その内容を販売記録に記載する。購入状況に応じて、適切な指導等を行う。4.若年者への不適切な販売の防止乱用の事例が多いとされる若年者には、氏名・年齢を身分証明書で確認し、必要に応じて販売しない。その旨を薬局および店舗内に掲示する。「濫用等のおそれのある医薬品の取扱いについて(お願い)」(2019年11月20日付 日本薬剤師会発)より抜粋対応としては、「まさにそのとおり!」という感じではあるのですが、この通知には具体的な商品名の記載はありません。乱用のおそれのある成分としては、エフェドリン、コデイン(鎮咳去痰薬に限る)、ジヒドロコデイン(鎮咳去痰薬に限る)、ブロモバレリル尿素、プソイドエフェドリン、メチルエフェドリン(鎮咳去痰薬のうち内用液剤に限る)の6成分が挙げられています。皆さんの薬局で扱っている一般用医薬品にこれらの成分が含まれているものがあるかどうかは、各店舗で確認する必要があります。通知まで出したのに市販薬を用いた若年層の薬物依存患者がさらに増えたとなったら、それはもう薬局や薬剤師は何をしていたのかと責められても仕方ありません。この対策をどのように運用していくのか考え、薬事の門番として毅然とした態度で対応することが求められています。濫用等のおそれのある医薬品の取扱いについて(お願い)

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第4回 疑義照会を恐れる薬剤師は「失格」

第4回 疑義照会を恐れる薬剤師は「失格」―医師との関わり方で注意している点はありますか?鈴木:医師の性格や関係性によって伝え方は異なりますが、ざっくばらんに話せる先生では、「抗菌薬のターゲットは何にしていますか?」ということから始まり、「それなら抗菌薬はこっちのほうがいいんじゃないですか? なぜなら~」と自分の意見を率直に伝えています。あまり関係性ができていない先生では、「こういう選択肢もあるんですがどう思いますか?」とお伺いを立てるようにしています。あと、顔のわからない関係で話すとうまくいかないので、挨拶に行ったり、抗菌薬の使い方の方針を聞きに行ったりして、知識共有してから疑義照会や処方提案をするようにしています。前医から引き継いだ処方をそのまま継続している医師も多いので、知識共有するのは大切だと思っています。笹川:今の若い子たちは、みんな真面目過ぎてポリファーマシーとかを印籠のように医師にかざして説得しようとしてトラブルになるっていうのはよく聞きますね。山﨑:ポリファーマシーの種々の判断基準は絶対的なものではないのですけどね。それは参考としつつ、患者情報を踏まえてどう考えるかということなのだろうとは思いますが。鈴木:個々の患者さんには当てはまらない判断基準に飛びついて、判断基準で推奨されていないからこの処方はダメだ、という薬剤師は何もわかっていないですよね。笹川:あと、薬剤師のよくない点は白か黒かで判断しようとするところ。灰色のときもあるっていうことを知っていてほしいですね。あいまいなのが嫌でやめる薬剤師もいるそうですが、そのあいまいさを受け入れて楽しむくらいでいいんじゃないでしょうか。山﨑:確かに、論文を読んでいくら調べてもわからないことはわからないんですよ。あいまいなことがあるということがわかるだけでもいいと思います。鈴木:あいまいなことが実は正解だったということもありますよね。そもそもポリファーマシーに行きつく前にワンステップあって、患者さんの基礎疾患などの基本情報を把握するのがベースと考えています。薬歴で患者さんの治療の流れや個別に抱えている問題が見えないままポリファーマシーの話をしても、医師からしたら患者の現病歴や既往歴をどこまで把握して意見してるの? なんの根拠があるの? っていう感じでしょう。基礎疾患などの基本情報を把握する力が必要です。笹川:すぐに薬のことにはいかずに、体の仕組み、生理学とか、解剖学とかから入るのも一手です。解剖学などは医師や看護師の共通言語ですが、薬剤師はその共通言語を知らないまま薬の話をするので医療者の中で浮いてしまうことがあります。医師向けや看護師向けの書籍はとても勉強になりますよ。共通言語を学べばコミュニケーションがうまくいきますので、そのうえで薬の話をするとよいと思います。山﨑:適切に提案できるのであれば、医師の診療報酬上のインセンティブもあるので、積極的に提案したほうがいいでしょうね。ただ、疑義照会に怒る医師に出会ったりして、怖くてできなくなるという話も聞きます。薬剤師の伝え方が悪かったのかもしれませんが、疑義照会が薬剤師の義務だと知らなかったという医師や疑義照会で助かったという経験の少ない医師にもお会いしたことがあります。そういう場合は医師も対応がきつくなるかもしれません。ただ、医師が怖くて疑義照会を避けるという薬剤師と会ったこともありますが、何かあったときに不利益を被るのは患者さんなので、そこは信念をもってやっていただけたらとも思いました。鈴木:患者さんを守らずに自分を守るっていうのはどうなんでしょうね。処方箋枚数とスピード調剤の薬剤師は淘汰される―疑義照会しない理由はほかにもありますか?笹川:私は調剤報酬にも問題があるのではないかと思います。できる薬剤師とできない薬剤師の報酬が同じっていうのは疑問です。できる薬剤師の評価っていうのは難しいので、かかりつけ薬剤師制度でカバーしようとしたのでしょうが、かかりつけに同意すると安くなるほうが良かったのではないかと思います。安いから同意するっていうのもあるかもしれませんが、待ってでもその薬剤師から指導を受けたいと思ってもらえるようになりたいんですよ。報酬が同じだとどうしてもスピード重視になりますよね。質よりも量・スピードを求め過ぎたのでは?山﨑:即座にそうなるというわけではないですが、アマゾンなどECサイトでの薬剤購入が普及したり、遠隔服薬指導や「調剤ハブ」(多店舗の調剤を集約して行うことができる薬局)などが現実化した場合に、スピード勝負だけでほかの要素でファンを獲得できていないと選ばれる理由がなくなってしまいます。笹川:みんな学校を卒業したときは意識が高かったはずです。なのに、置かれた環境がやりがいのある環境ではなかったので心が折れていくのかもしれません。―薬剤師ごとに評価が変わるシステムはできないのでしょうか?山﨑:システム畑の人と冗談交じりで話していたら、何らかの基準をもって良い服薬指導ができる薬剤師のデータが取れるのであれば、できる薬剤師にインセンティブを与える設計ができるのではないかという話題になったことがあります。MRの知人に聞くと、医師は患者さんが離れていかないように一定の競争をしている部分もあるとのことですが、薬剤師は頑張っても一定のパイの中で決まった報酬を得るという構造にあらがいづらいので、優秀な薬剤師が自然に評価され、能力の低い薬剤師は評価が低いという形になりにくい。なので、服薬指導の質やリピーター率などを数値化して、薬剤師の評価設計をしていくというのはアリかもしれません。鈴木:現状はさばいた処方箋の枚数で評価するしかないですからね。これだけ頑張っているのに、頑張っていない薬剤師や薬局と同じ扱いをされたくないですよ。山﨑:きちんと勉強してコミュニケーション能力も高い優秀な薬剤師から不満が出やすい状況は健全ではないですね。鈴木:たとえばの話ですが、重複投薬・相互作用等防止加算の40点は薬剤師の処方提案が評価される点数ですので差をつけられそうかなって思っています。残薬調整は誰でもできますが、この点数は、腎機能を評価して、投与量を調整・中止したり、新しい薬を提案したりするなどしっかりした知識が必要なものなので、もっと区分けしたり、報酬を高くしたりしてもいいと思います。提案した内容をレセプトに記入する必要があれば、それができるようになるために勉強もするでしょうし。いいことやっているのに、現状では残薬調整の30点と10点しか違わないんですよね。またまた感染症領域の話で申し訳ないですけど、患者さんの原因菌を想定した薬剤への処方提案をしてもただの日数調整と同じ点数というのは納得がいかないですよ。重複投薬・相互作用等防止加算は幅広く評価されますが、頑張っている薬剤師が評価される点数になったらいいなと思います。笹川:みんなが頑張っていることを学会などでも発信したら、知らない薬剤師にも広がっていきますし、どんどん知識やデータがたまれば厚生労働省に届く可能性はあると思います。そういう意味でも情報を発信することの重要性を感じます。―最後に若手薬剤師に向けてエールをお願いいたします。笹川:現場で患者さん、そしてその家族、医療者と一緒に悩みましょう。悩んだ数が、薬剤師としてのやりがいです。さあ、一緒に一歩踏み出しましょう。鈴木:目の前にいる患者さんにとってなくてはならない存在になって、患者さんの健康サポートのために惜しまず支援してみませんか? 薬剤師の仕事って、深掘りすればするほど楽しくこなすことができますよ。大学でやってきたことをさらにアップデートしてよりよい薬学的ケアを目指しましょう! 薬剤師のソコジカラを思う存分発揮して、一緒に頑張っていきましょう!山﨑:日々薬局の現場を支援する中で、薬局・薬剤師のポテンシャルや既得権益の枠を越えた職能の広がりを強く感じています。生き生きと働きながら患者さん、ひいては地域に貢献できる舞台はあります。一緒に頑張っていきましょう。

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吸入ステロイド使用者、認知症リスクが35%低い

 アルツハイマー病の病理学的カスケードにおいて神経炎症が重要な役割を示すことが報告され、神経炎症が治療標的として認識されてきている。今回、ドイツ・ロストック大学のMichael Nerius氏らが、ドイツにおける縦断的健康保険データを用いて認知症リスクに対するグルココルチコイドの影響を検討したところ、グルココルチコイドの使用が認知症リスクの低下に関連していることが示唆された。Journal of Alzheimer's disease誌オンライン版2019年11月18日号に掲載 本研究では、50歳以上の17万6,485人のベースラインサンプルにおいて、ドイツ最大の健康保険会社の2004~13年の健康保険データを使用し、グルココルチコイド治療と認知症の発症率との関連を調べた。Cox比例ハザードモデルにより、性別、年齢、認知症の主要な危険因子として知られている併存疾患を調整後、ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出した。さらに、グルココルチコイド治療について投与経路および治療期間で層別化して検討した。 主な結果は以下のとおり。・認知症ではない17万6,485人のうち、2013年の終わりまでに1万9,938人が認知症と診断された。・認知症発症リスクは、グルココルチコイド非使用者に比べ、使用者で有意に低かった(HR:0.81、95%CI:0.78~0.84)。・投与経路別にみると、吸入グルココルチコイドの使用者で最もリスクが低く(HR:0.65、95%CI:0.57~0.75)、次いで点鼻(HR:0.76、95%CI:0.66~0.87)、その他(HR:0.84、95%CI:0.80~0.88)と経口(HR:0.83、95%CI:0.78~0.88)の使用者で低かった。・長期使用者と短期使用者でリスク減少に差はなかった。 著者らは「グルココルチコイドが神経炎症にプラスの影響を与え、人々から認知症から守ることができるかどうかを判断するには、前向き臨床試験が必要」としている。

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アスピリン、日本人の女性糖尿病患者で認知症リスク42%減

 低用量アスピリンに認知症予防効果を期待できるのか? 兵庫医科大学の松本 知沙氏らは、日本人2型糖尿病患者の認知症予防における低用量アスピリンの長期使用の有効性を、JPAD試験の追跡コホート研究により検討した。Diabetes Care誌オンライン版2019年12月4日号掲載の報告より。 JPAD試験は、日本人2型糖尿病患者を対象に、低用量アスピリンによる心血管疾患の一次予防効果を検討した多施設共同の大規模臨床試験。今回の研究では、2002~17年にJPAD試験に登録された2,536例を追跡した。被験者は低用量アスピリン服用群(81~100mg/日)と非服用群に無作為に割り付けられ、主要評価項目は認知症の発症とされた。認知症の発症有無は抗認知症薬の処方と、認知症による入院により定義された。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値11.4年の間に、128例が認知症を発症した。・年齢、性別、その他確立されたリスク因子で調整後、低用量アスピリン服用群と非服用群の間で認知症の発症リスクに有意な差はみられなかった(ハザード比[HR]:0.82、95%信頼区間[CI]:0.58~1.16)。・性別ごとにみると、女性では認知症の発症リスクに有意な減少がみられたが(HR:0.58、95%CI:0.36~0.95)、男性では認められなかった(HR:1.27、95%CI:0.75~2.13)(相互作用のp=0.03)。

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医師が選んだ“2019年の10大ニュース”! 【CareNet.com会員アンケート結果発表】

1位 新天皇陛下が即位、「平成」終幕、「令和」スタート 5月1日に新天皇陛下が即位され、元号が「令和」となりました。その後、代替わりの儀式や行事は1年を通して行われています。なかでも、即位関連の儀式で最も重要とされる「即位礼正殿の儀」は、臨時の祝日となった10月22日に行われ、各界の代表や外国の元首など、国内外からの来賓2,000人近くが参列しました。11月10日に行われた「祝賀御列の儀」(パレード)では12万人近くが沿道に集まり、天皇皇后両陛下に歓声を送り祝福しました。2位 ラグビーW杯、開催国日本が初のベスト8に 9月20日~11月2日、第9回ラグビーW杯が日本を舞台に行われました。開催国である日本の代表チームは、強豪のアイルランド、サモア、スコットランドを次々と破り、プール戦に全勝して初のベスト8に駒を進めました。トーナメントの初戦で南アフリカに敗れたものの、その善戦ぶりは多くの人を引き付けました。「ONE TEAM(ワンチーム)」「ジャッカル」などの流行語も生み出し、列島は空前のラグビーブームに。優勝は南アフリカが決め、3度目の栄冠に輝きました。3位 消費税8%→10%に増税、キャッシュレス還元事業スタート 10月1日、消費税が増税され10%となりました。二度の延期を経た、5年半ぶりの増税です。軽減税率やキャッシュレス決済によるポイント還元制度といった新たに設けられた制度により、増税前の駆け込み需要は前回より小規模でした。注目されるポイント還元制度は、対象店舗において電子マネーやQRコード決済など、現金以外で支払った場合に最大5%が還元されるというもの。2020年6月までが対象期間です。4位日韓関係悪化…「GSOMIA」破棄は直前で回避 慰安婦、元徴用工への賠償問題を契機に、悪化の一途をたどる日韓関係。8月末には、日本政府が韓国を輸出手続きで優遇対象とする「ホワイト国」から除外しました。韓国側はこれに反発し、同様に日本を「ホワイト国」から除外するとともに、GSOMIA(日韓の軍事情報包括保護協定)を破棄する方針を発表。日米の働き掛けによって直前に破棄は撤回されたものの、いまだ日韓関係が好転する兆しは見えません。5位水泳の池江 璃花子選手が白血病を公表 2月、競泳女子の池江 璃花子選手が自身のTwitterで白血病と診断されたことを公表しました。2020年の東京オリンピックでの活躍が期待されていただけに、多くの人が衝撃をもってこのニュースを受け止めました。白血病への関心も高まり、骨髄バンクにドナー登録する人も急増しました。池江選手はその後に公式サイトを開設するなど、闘病中も積極的にメッセージを発信しています。6位医師の働き方改革、厚労省が時間外労働の規制案まとめへ7位複数の大雨・台風被害、多数の犠牲者に浸水被害、大規模停電も8位香港民主化運動…引き渡し条例をきっかけにデモ激化、選挙では民主派圧勝9位アニメ制作会社「京都アニメーション」で放火事件、36人が死亡10位公立病院再編の動き、厚労省が全国の病院リストを公表皆さん、いかがでしたでしょうか? 今年はアンケート直前まで開催されていたラグビーW杯に注目が集まりました。一方で、池江選手のニュースが2月に公表されたものながら5位にランク入り。医療者ならではの視点を感じます。6位の「医師の働き方改革」も今年1年で大きく動きのあったトピックスで、来年以降の動向にも注目したいと思います。★アンケート概要アンケート名:『2019年を総まとめ!今年の漢字と印象に残ったニュースをお聞かせください』実施日:2019年11月8日~14日調査方法:インターネット対象:CareNet.com会員医師有効回答数:535件

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中止されたPPIを胃潰瘍リスクで評価して復活【うまくいく!処方提案プラクティス】第10回

 今回は、既往歴や患者情報からプロトンポンプ阻害薬(PPI)が「処方されていない」ことに疑問を持ったところから始まった処方提案です。ポリファーマシーの問題や副作用などから中止対象となることが多いPPIですが、服用継続すべき場合もあります。今回は、PPIが必要な状態について整理し、追加提案に至るまでのポイントの整理と実際の提案方法について紹介します。患者情報84歳、男性(施設入居中)、元住職基礎疾患:慢性心不全、陳旧性心筋梗塞既 往 歴:出血性胃潰瘍(81歳時)、心筋梗塞のため薬剤溶出性ステント(DES)留置(82歳時)、完全房室ブロックのためペースメーカー挿入(年齢不明)往  診:月2回処方内容1.トルバプタン錠7.5mg 1錠 分1 朝食後2.フロセミド錠40mg 2錠 分1 朝食後3.アスピリン腸溶錠100mg 1錠 分1 朝食後4.ピコスルファートナトリウム錠2.5mg 1錠 分1 夕食後5.ピコスルファートナトリウム内用液0.75% 便秘時頓用 適宜調節本症例のポイントこの患者さんは陳旧性心筋梗塞の基礎疾患があり、動脈硬化性疾患の2次予防のために低用量アスピリンが処方されています。アスピリンを長期的に服用すると、消化性出血や潰瘍のリスクがあるため、PPIやH2受容体遮断薬が予防投与されることがあります。とくに、この患者さんのように出血性胃潰瘍の既往がある場合では、PPIの予防投与が国内外のガイドラインで推奨されています。しかし、上記の処方内容のとおり、胃潰瘍の既往があり、アスピリンが処方されているにもかかわらず、PPIの投与がありませんでした。お薬手帳などを確認したところ、以前はPPIが処方されていましたが、施設入居前の処方整理でPPIが中止されたようです。<陳旧性心筋梗塞とアスピリンと潰瘍>陳旧性心筋梗塞(DES留置後)では、禁忌がない場合は低用量アスピリンを2次予防として永続投与することが推奨されている。しかし、アスピリンは低用量であっても長期服用することで、粘膜への影響により胃などに潰瘍を起こすリスクが懸念されている。とくに、出血既往歴がある患者では消化管合併症の発症率が高まることが報告されているため、PPIの併用が推奨されている。PPIが併用されておらず、出血性胃潰瘍を再発し出血性ショックをきたした一例報告もある1)。PPIを服用することのリスクとして、骨折、慢性腎臓病、クロストリジウムディフィシル感染症(CDI)、肺炎など多くの深刻な副作用がありますが、その絶対リスクは患者1人当たり年間約0.1〜0.5%増加させる程度と報告されています2)。以上の点から、出血性胃潰瘍の既往があるこの患者さんにおいてはアスピリンによる胃潰瘍再燃のリスクのほうが重要であり、今後も安全にアスピリンを服用継続するためにPPIの復活を提案することにしました。処方提案とその後の経過回診前のカンファレンスと往診同行時に、出血性胃潰瘍の既往があるのにPPIが併用されておらず、アスピリン服用に伴う出血性胃潰瘍再燃のリスクがあることを医師に相談しました。また、今回の提案の際に参考とした文献も提示し、PPI追加の妥当性について医師と検討しました。施設入居前に薬剤整理が行われたため、医師もPPIが中止になった経緯を把握していませんでしたが、既往歴と現疾患を整理すると、潰瘍リスクを捨て置くわけにはいかないという結論に至りました。そこで、往診翌日からアスピリンと併用してランソプラゾール口腔内崩壊錠30mgを朝食後に追加することになりました。患者さんは、今もアスピリンおよびランソプラゾールを併用していますが、胃部不快感や食道逆流症状、上腹部痛、嘔気などの徴候はなく経過してます。1)Platt KD, et al. JAMA intern Med.2019;179:1276-1227. 2)Vaezi MF, et al. Gastroenterology.2017;153:35-48.

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がん種を問わないNTRK融合遺伝子陽性固形がん治療薬「ロズリートレクカプセル100mg/200mg」【下平博士のDIノート】第38回

がん種を問わないNTRK融合遺伝子陽性固形がん治療薬「ロズリートレクカプセル100mg/200mg」今回は、チロシンキナーゼ阻害薬「エヌトレクチニブ」(商品名:ロズリートレクカプセル100mg/200mg、中外製薬)を紹介します。本剤は、小児から成人まで、がん種を問わず横断的に使用できるNTRK融合遺伝子陽性固形がん治療薬として期待されています。<効能・効果>本剤は、NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発固形がんの適応で、2019年6月18日に承認され、2019年9月4日より発売されています。<用法・用量>通常、エヌトレクチニブとして、成人には1日1回600mg、小児には1日1回300mg/m2(体表面積)を経口投与します。用量は600mgを超えない範囲で、患者の状態により適宜減量できます。<副作用>多施設共同非盲検国際共同第II相バスケット試験(STARTRK-2試験)において、ロズリートレクが投与されたNTRK融合遺伝子陽性患者63例のうち、57例(90.5%)に副作用が認められました。主な副作用は、味覚異常29例(46.0%)、疲労24例(38.1%)、めまい19例(30.2%)、便秘18例(28.6%)、下痢、浮腫が各17例(各27.0%)、体重増加14例(22.2%)、貧血13例(20.6%)でした。なお、重大な副作用として、認知障害・運動失調(28.6%)、心臓障害(4.8%)、間質性肺疾患(1.6%)、QT間隔延長(頻度不明)が報告されています(承認時)。<患者さんへの指導例>1.この薬は、NTRK融合遺伝子を有するがん細胞の増殖を抑制することで、がんの進行を抑えます。2.容器を開ける際は、キャップを下に押しながら回して開けてください。3.グレープフルーツジュースを飲むと、この薬の副作用が強く現れることがあるので、摂取を控えてください。4.飲み始めてから、息苦しい、むくみや体重の増加、動悸、胸の痛み、倦怠感、発熱、めまいなどの症状が現れた場合は、すぐに医師に連絡してください。5.自分のいる場所や時間、人の名前がわからなくなったり、いつもできていたことが突然できなくなったりなど、いつもと変わった様子が見られた場合、すぐに受診してください。<Shimo's eyes>がん治療は、薬剤の開発と同時に遺伝子検査の技術も日々進歩しています。近年では、複数の遺伝子変異を一度に解析できる「がん遺伝子パネル検査」が登場しました。固形がんや肉腫からまれに見つかる異常な遺伝子の1つに、本剤の標的である「NTRK融合遺伝子」があります。この遺伝子の検出については、遺伝子変異解析プログラム「FoundationOne CDxがんゲノムプロファイル」が、本剤のコンパニオン診断として2019年6月に承認されています。本剤は、厚生労働省より先駆け審査指定制度の対象品目に指定され、2019年6月に世界で初めて承認されました。成人・小児を問わず、NTRK融合遺伝子陽性固形がんへの使用が認められています。投薬時の対応としては、本剤の服用で発現すると考えられる、貧血、味覚異常、疲労感、吐き気・嘔吐、便秘・下痢、末梢神経障害などの聞き取りが重要です。添付文書には、副作用に対する休薬、減量および中止基準が記載されていますので、疑義照会や処方提案の参考にしましょう。また、妊娠可能な女性患者や、パートナーが妊娠する可能性のある男性患者に投与した場合、妊娠後の胎児への影響が懸念されます。本剤の投与中および投与終了後、女性30日間、男性90日間は適切な避妊を行うよう指導が必要です。包装はPTPシートではなく、チャイルドプルーフキャップを採用しているバラ包装なので、開けるときはキャップを下に押しながら回すように説明しましょう。参考1)PMDA ロズリートレクカプセル100mg/ロズリートレクカプセル200mg

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医師が選んだ“2019年の漢字”TOP5! 【CareNet.com会員アンケート結果発表】

漢字の素晴らしさや奥深い意義を伝えるための啓発活動の一環として、日本漢字能力検定協会が毎年11月に公募している「今年の漢字®」。CareNet.comでも2014年から毎年、医師会員にアンケートを実施し、医師の考える「今年の漢字」を選んでいただいています。今年は535人の先生方にご協力いただきました。はたして、読者の皆さまがイメージする漢字はランクインしているでしょうか? それでは、今年の新入社員5人が「2019年の漢字」TOP5を発表します。1位 災第1位はランクインの常連になりつつある「災」。今年は勢力のある台風が立て続けに上陸し、日本各地を脅かしました。地震を想定した災害対策が水害には通用しないなど、多くの課題が残りました。 「災」を選んだ理由(コメント抜粋)台風、水害、首里城火災など大きなニュースが相次ぎ、これらに対する準備の必要性を痛感した。(40代 内科/東京都)災害の国と再認識した。(50代 その他/鳥取県)経験したことがない台風・河川氾濫などの自然災害が多発。(50代 内科/千葉県)水害や台風被害など地震ではない自然災害が多かった。(20代 整形外科/愛媛県)2位 令第2位は、今年と言えばやっぱり「令」。新天皇の即位を記念して日本全国がお祭りムードに包まれました。一方、医療施設では書類への元号記載時に、令和元年とするか、平成31年のままとするか…悩まれたのではないでしょうか。 「令」を選んだ理由(コメント抜粋)令和元年 新時代の息吹。(40代 内科/大阪府)新天皇即位で新時代の幕開け。(60代 呼吸器内科/神奈川県)元号が変わって盛り上がったから。(20代 消化器内科/東京都)3位 水第3位は水害の「水」。2019年後半に上陸した大型台風は多くの方の命を奪いました。自宅の2階以上に逃げるのか、避難場所に逃げるのか…。個人での判断、状況に応じた判断の難しさが浮き彫りとなりました。 「水」を選んだ理由(コメント抜粋)地震にばかり気を取られていたら、ここまで大きな水害に見舞われるとは思わなかった。(40代 腎臓内科/岡山県)洪水で亡くなった方が多く、水の恐ろしさを再確認した。(60代 精神科/岐阜県)台風15号、19号と立て続けに水害に襲われた年でした。(50代 心臓血管外科/東京都)4位 和第4位も令和にちなんだ漢字、「和」が選ばれました。平和への祈り、ラグビーのチームプレーや災害時の結束力の重要性など、そんな思いを込めて選ばれていました。 「和」を選んだ理由(コメント抜粋)新元号「令和」の和、ラグビーONE TEAMでチームの和。(50代 腎臓内科/大阪府)令和になり天皇即位やラグビーワールドカップなど、和のおもてなしがあった。(50代 消化器外科/神奈川県)令和の和、多くの災害を支える和、ラグビーワールドカップから学んだ和。(50代 救急科/宮城県)5位 嵐第5位は、アイドルグループ「嵐」の活動休止、そして、ここでも災害が多かったという思いからこの漢字が選ばれていました。ちなみに、インターネットで「嵐」を検索すると… 嵐(storm)とは風雨が非常に強い状態、を意味するそうです。検索上位に関して言えば、アイドルグループが圧倒的多数を占めていました。 「嵐」を選んだ理由(コメント抜粋)台風被害が大変だったことと、嵐が来年活動休止になること。(50代 内科/和歌山県)自然災害が多く、嵐のようだったから。(50代 内科/広島県)台風の被害が大きかった一年です。(60代 眼科/神奈川県)アンケート概要アンケート名 :『2019年を総まとめ!今年の漢字と印象に残ったニュースをお聞かせください』実施日    :2019年11月8日~14日調査方法   :インターネット対象     :CareNet.com会員医師有効回答数  :535件

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第31回 ACE阻害薬で誤嚥性肺炎が予防できる場合、できない場合【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬の有名な副作用である空咳は5~20%の患者さんで起こるため、問い合わせを受けたことがある薬剤師さんは多いと思います。特徴としては、女性で起こりやすく、治療開始後数時間~1週間以内に発生し、中止すると4~7日程度で治まるものの、再開ないし別のACE阻害薬に切り替えると再発することなどが挙げられます1)。この空咳は副作用である一方、誤嚥性肺炎の予防に有効という報告もあるため、誤嚥性肺炎のリスクの高い高血圧症患者さんではあえて選択されることもあります。このACE阻害薬の肺炎予防の側面は、とくにアジア人において肺炎発症リスクが下がることが東北大学の研究で示唆されています。オーストララシア、欧州およびアジアで行われたランダム化試験で、脳卒中または一過性虚血発作の病歴を有する6,105例の患者を対象に、ペリンドプリルを中心とするACE阻害薬群またはプラセボ群に割り付けて、ACE阻害薬の肺炎予防効果を検討しています。結果として、中央値3.9年の追跡期間で261例が肺炎を発症しています。全体としてはプラセボ群と比較してACE阻害薬群の肺炎リスクは19%低下(95%信頼区間[CI]=-3~37)していたものの、有意差はありませんでしたが、アジア人では47%低下(95%CI=14~67)と有意差があった一方で、非アジア人では5%低下(95%CI=-27~29%)と有意差はありませんでした。ACE I/Dの遺伝子多型が関連するという説もありますが、検出力の限界もあり確定的なことはいえないという結果です2)。別のファクターとして、組織透過性やACE阻害作用の観点から、脂溶性のACE阻害薬のほうが水溶性のACE阻害薬よりも肺炎防止に有用ではないかという説もあり、肺炎で入院した患者787例を対象とした後ろ向きコホート研究で検証されています3)。なお、脂溶性ACE阻害薬にはシラザプリル、エナラプリル、ペリンドプリルなど、水溶性ACE阻害薬にはカプトプリル、リシノプリルなどがあります。この研究では、登録患者の24%(n=186)がACE阻害薬を使用しており、111例が脂溶性、74例が水溶性で、30日時点の全体の死亡率は9.2%でした。脂溶性ACE阻害薬群のオッズ比は0.3(95%CI=0.1~0.8)、水溶性ACE阻害薬群のオッズ比は0.7(95%CI=0.3~1.7)であり、脂溶性ACE阻害薬群で30日死亡率が有意に低下していました。ただし、サンプルサイズが小さいため確信度が高いわけではありません。2012年には、ACE阻害薬とアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)の肺炎予防効果を検証した37件の研究を含めたシステマティック・レビューが発表されました4)。主解析項目は肺炎発生率、2次解析項目は肺炎関連の死亡率です。ACE阻害薬群では対照群と比べて肺炎発症のオッズ比が0.66(95%CI=0.55~0.80)、ARB群と比べて直接的・間接的比較を併せた推定オッズ比が0.69(95%CI=0.56~0.85)と有意に低く、2年間のNNTは65(48~112)でした。脳卒中患者においてもACE阻害薬群のオッズ比は0.46(95%CI=0.34~0.62)と有意な低下でした。とくにアジア人ではオッズ比が0.43(0.34~0.54)とリスクの低下が大きく、非アジア人では0.82(95%CI=0.67~1.00)と小さい傾向にありました。ACE阻害薬間での差は測りかねますが、遺伝子多型や既往症によってはメリットを享受できる可能性が示唆されています。ハイリスク患者では肺炎予防の効果はみられない一方で、ネガティブな結果の研究もあります。低用量のACE阻害薬が経管導入されている高齢患者の肺炎を予防できるかを検討したランダム化比較試験です5)。被験者は、脳血管疾患による嚥下障害のために2週間以上経管栄養を受けている高齢患者93例で、26週間にわたりリシノプリル2.5mgまたはプラセボが投与されました。主解析項目として肺炎発症率、2次解析項目として死亡率および嚥下能力をみました。中間解析で71例が試験を完了し、完了した患者の死亡のオッズ比は、介入群で未調整オッズ比が2.94、調整オッズ比が7.79と有意に高かった一方で、群間で肺炎ないし致命的な肺炎の発生率に有意差はありませんでした。12週時点の嚥下機能は介入群でやや良好でした。対象がハイリスク患者さんですので、理論上は介入の効果が検出されやすいはずですが、死亡率が高いことから研究自体が途中で終了しているほど結果は逆でした。低用量かつ患者群がかなり限定されることから一般化はしづらいですが、こうした経管栄養を受けているハイリスク患者さんでは有望な肺炎予防法ではなさそうです。さらに、直近の東京大学による研究では、ACE阻害薬がARBと比較して脳卒中後の誤嚥性肺炎を減少させるかどうかを検討しています。2010年7月~2016年12月までの間に脳卒中で入院し、入院中に誤嚥性肺炎を発症した患者をDPC(Diagnosis Procedure Combination)データベースから分析検討しています6)。DPCデータベースは全国の施設から収集された入院患者データベースで、近年このビッグデータを分析に用いた文献も増加傾向にあります。ここでは、アウトカムとして、脳卒中後誤嚥性肺炎に対する14日、30日、90日時点の再入院率をみています。35,586例の患者が抽出され、うち5,846例(16%)がACE阻害薬を服用していました。傾向スコアマッチングで5,789のペアが作成され、ACE阻害薬群とARB群で比較した結果、14日の再入院は0.8% vs.0.7%、30日の再入院は1.3% vs.1.3%、90日間の再入院は2.6% vs.2.4%といずれも有意差はなく、両群のハザード比も1.21(95%CI=0.98~1.48)と有意差はありませんでした。日本の全国的な後ろ向き研究では、脳卒中後のACE阻害薬が誤嚥性肺炎予防に有効であるとは結論付けられないというところでしょうか。現実的には肺炎予防としては口腔ケアや行動介入などが優先して行われますが、薬剤による予防という観点で話題になることもありますので、参考にしていただければ幸いです。1)Israili ZH, et al. Ann Intern Med. 1992;117:234-242.2)Ohkubo T, et al. Am J Respir Crit Care Med. 2004;169:1041-1045.3)Mortensen EM, et al. Am J Med Sci. 2008;336:462-466.4) Caldeira D, et al. BMJ. 2012;345:e4260. 5)Lee JS, et al. J Am Med Dir Assoc. 2015;16:702-707.6)Kumazawa R, et al. J Stroke Cerebrovasc Dis. 2019 Oct 18. [Epub ahead of print]

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032)学会会場で繰り広げられる質疑応答バトル【Dr.デルぽんの診察室観察日記】

第32回 学会会場で繰り広げられる質疑応答バトルしがない皮膚科勤務医デルぽんです☆皆さまにとってもおなじみであろう、学術集会。皮膚科は、年に一度の総会をはじめ、地方会や支部会、真菌やアレルギーといった専門分野ごとなど、毎月何かしらの学会が各地で催されています。症例報告や教育講演など、毎回とても勉強になる内容で、私も時間がとれる限り参加しているのですが、講演後の質疑応答はたびたび目にする場面ですよね。今回は、つい先日の学会での一幕。お互いに専門分野をお持ちの先生方同士、譲れない主張をお持ちなのでしょう。そのやりとりもまた勉強になる内容ではありますが、なにぶん限られた時間でのこと。なかなか終結しない議論に、見ているこちらもハラハラしてしまいます。最終的に、座長の一声でまとまる(もしくは強制終了する)訳ですが、それを待つ間のなんとも言えない緊張感、学会あるある!(笑)一番ハラハラしているのは、実はその場を収めなければならない座長の先生かもしれませんね。ところで、新専門医制度が始まって以来、どこの学会会場も盛況な気がしています。人気セッションで立ち見が出たり、ランチョンチケットの争奪戦だったり・・・。そういった、質疑応答とはまた違った意味での緊張感も生まれている気がします。今後の会場キャパシティ拡大に期待を寄せつつ…!それでは、また~!

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脊髄小脳変性症〔SCD : spinocerebellar degeneration〕

1 疾患概要■ 概念・定義脊髄小脳変性症は、大きく遺伝性のものと非遺伝性のものに分けられる。非遺伝性のものの半分以上は多系統萎縮症であり、多系統萎縮症では小脳症状に加えてパーキンソン症状(体の固さなど)や自律神経症状(立ちくらみ、排尿障害など)を伴う特徴がある。また、脊髄小脳変性症のうち、遺伝性のものは約3分の1を占め、その中のほとんどは常染色体優性(顕性)遺伝性の病気であり、その多くはSCA1、SCA2などのSCA(脊髄小脳失調症)という記号に番号をつけた名前で表される。SCA3型は、別名「Machado-Joseph病(MJD)」と呼ばれ、頻度も高い。常染色体性劣性(潜性)遺伝形式の脊髄小脳変性症は、頻度的には1.8%とまれであるにもかかわらず、数多くの病型がある。近年、それらの原因遺伝子の同定や病態の解明も進んできており、疾患への理解が深まってきている。多系統萎縮症は一般的に重い病状を呈し、進行がはっきりとわかるが、遺伝性の中には進行がきわめてゆっくりのものも多く、ひとまとめに疾患の重症度を論じることは困難である。一方で、脊髄小脳変性症には痙性対麻痺(主に遺伝性のもの)も含まれる。痙性対麻痺は、錐体路がさまざまな原因で変性し、強い下肢の突っ張りにより、下肢の運動障害を呈する疾患の総称で、家族性のものはSPG(spastic paraplegia)と名付けられ、わが国では遺伝性ではSPG4が最も多いことがわかっている。本症も小脳失調症と同様に、最終的には原因別に100種類以上に分けられると推定されている。細かな病型分類はNeuromuscular Disease CenterのWebサイトにて確認ができる。■ 症状小脳失調は、脊髄小脳変性症の基本的な特徴で、最も出やすい症状は歩行失調、バランス障害で、初期には片足立ち、継ぎ足での歩行が困難になる。Wide based gaitとよばれる足を開いて歩行するような歩行もみられやすい。そのほか、眼球運動のスムーズさが損なわれ、注視方向性の眼振、構音障害、上肢の巧緻運動の低下なども見られる。純粋に小脳失調であれば筋力の低下は見られないが、最も多い多系統萎縮症では、筋力低下が認められる。これは、錐体路および錐体外路障害の影響と考えられる。痙性対麻痺は、両側の錐体路障害により下肢に強い痙性を認め、下肢が突っ張った状態となり、足の曲げにくさから足が運びにくくなり、はさみ歩行と呼ばれる足の外側を擦るような歩行を呈する。進行すると筋力低下を伴い、杖での歩行、車いすになる場合もある。脊髄が炎症や腫瘍などにより傷害される疾患では、排尿障害や便秘などの自律神経症状を合併することが多いが、本症では合併が無いことが多い。以下、本稿では次に小脳失調症を中心に記載する。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 鑑別診断小脳失調症については、治療可能なものを調べる必要がある。治療可能なものとして、橋本脳症が多く混ざっていることがわかってきており、甲状腺機能が正常かどうかにかかわらず、抗TPO抗体、抗TG抗体陽性例の測定が必要である。陽性時には、診断的治療としてステロイドパルス療法などの免疫療法の反応性を確認する必要がある。ステロイド治療に反応すれば橋本脳症とするのが妥当であろう。その他にもグルテン失調症などの免疫治療に反応する小脳失調症も存在する。また、抗GAD抗体陽性の小脳失調症も知られており、測定する価値はある。悪性腫瘍に伴うものも想定されるが、実際に悪性腫瘍の関連で起こることはまれで、腫瘍が見つからないことが多い。亜急性の経過で重篤なもの、オプソクローヌスやミオクローヌスを伴う場合には、腫瘍関連の自己抗体が関連していると推定され、悪性腫瘍の合併率は格段に上がる。男性では肺がん、精巣腫瘍、悪性リンパ腫、女性では乳がん、子宮がん、卵巣がんなどの探索が必要である。ミトコンドリア病(脳筋症)の場合も多々あり、小脳失調に加えて筋障害による筋力低下や糖尿病の合併などミトコンドリア病らしさがあれば、血清、髄液の乳酸、ピルビン酸値測定、MRS(MRスペクトロスコピー)、筋生検、遺伝子検査などを行うことで診断が可能である。劣性遺伝性の疾患の中に、ビタミンE単独欠乏性運動失調症(ataxia with vitamin E deficiency : AVED)という病気があり、本症は、わが国でも見られる治療可能な小脳変性症として重要である。本症は、ビタミンE転送蛋白(α-tocopherol transfer protein)という遺伝子の異常で引き起こされ、ビタミンEの補充により改善が見られる。一方、アルコール多飲が見られる場合には、中止により改善が確認できる場合も多い。フェニトインなど薬剤の確認も必要である。おおよそ小脳失調症の3分の1は多系統萎縮症である。まれに家族例が報告されているが孤発例がほとんどである。通常40代以降に、小脳失調で発症することが多く、初発時にもMRIで小脳萎縮や脳血流シンチグラフィー(IMP-SPECT)で小脳の血流低下を認める。進行とともに自律神経症状の合併、頭部MRIで橋、延髄上部にT2強調画像でhot cross bun signと呼ばれる十字の高信号や橋の萎縮像が見られる。SCAの中ではSCA2に類似の所見が見られることがあるが、この所見があれば、通常多系統萎縮症と診断できる。さらに、小脳失調症の3分の1は遺伝性のものであるため、遺伝子診断なしで小脳失調症の鑑別を行うことは難しい。遺伝性小脳失調症の95%以上は常染色体性優性遺伝形式で、その80%以上は遺伝子診断が可能である。疾患遺伝子頻度には地域差が大きいが、わが国で比較的多く見られるものは、SCA1、 SCA2、 SCA3(MJD)、SCA6、 SCA31であり、トリプレットリピートの延長などの検査で、それぞれの疾患の遺伝子診断が可能である。常染色体劣性遺伝性の小脳失調症は、小脳失調だけではなく、他の症状を合併している病型がほとんどである。その中には、末梢神経障害(ニューロパチー)、知的機能障害、てんかん、筋障害、視力障害、網膜異常、眼球運動障害、不随意運動、皮膚異常などさまざまな症候があり、小脳失調以上に身体的影響が大きい症候も存在する。この中でも先天性や乳幼児期の発症の疾患の多くは、知能障害を伴うことが多く、重度の障害を持つことが多い。小脳失調が主体に出て日常生活に支障が出る疾患として、アプラタキシン欠損症(EAOH/AOA1)、 セナタキシン欠損症(SCAR1/AOA2)、ビタミンE単独欠乏性運動失調症(AVED)、シャルルヴォア・サグネ型痙性失調症(ARSACS)、軸索型末梢神経障害を伴う小脳失調症(SCAN1)、 フリードライヒ失調症(FRDA)などがある。このうちEAOH/AOA1、SCAR1/AOA2、 AVED、ARSACSについては、わが国でも見られる。遺伝性も確認できず、原因の確認ができないものは皮質小脳萎縮症(cortical cerebellar atrophy: CCA)と呼ばれる。CCAは、比較的ゆっくり進行する小脳失調症として知られており、小脳失調症の10~30%の頻度を占めるが、その病理所見の詳細は不明で、実際にどのような疾患であるかは不明である。本症はまれな遺伝子異常のSCA、多系統萎縮症の初期、橋本脳症などの免疫疾患、ミトコンドリア病などさまざまな疾患が混ざっていると推定される。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)小脳失調症の治療は、正確な原因診断に関わっている。上記の橋本脳症、GAD抗体小脳失調、そのほかグルテン失調症など他の自己抗体の関与が推定される疾患もあり、原因不明であれば、一度はステロイドパルスをすることも検討すべきであろう。ミトコンドリア病では、有効性は確認されていないがCoQ10、L-アルギニンなども治療薬の候補に挙がる。ミトコンドリア脳筋症、乳酸アシドーシス、脳卒中様発作症候群(MELAS)においてはタウリンの保険適用も認められ、その治療に準じて、治療することで奏功できる例もあると思われる。小脳失調に対しては、保険診療では、タルチレリン(商品名: セレジスト)の投与により、運動失調の治療を試みる。また、集中的なリハビリテーションの有効性も確認されている。多系統萎縮症の感受性遺伝子の1つにCoQ2の異常が報告され、その機序から推定される治療の臨床試験が進行中である。次に考えられる処方例を示す。■ SCDの薬物療法(保険適用)1) 小脳失調(1) プロチレリン(商品名:ヒルトニン)処方例ヒルトニン®(0.5mg) 1A~4A 筋肉内注射生理食塩水(100mL) 1V 点滴静注2週間連続投与のあと、2週間休薬 または 週3回隔日投与のどちらか。2mg投与群において、14日間連続投与後の評価において、とくに構音障害にて、改善を認める。1年後の累積悪化曲線では、プラセボ群と有意差を認めず。(2) タルチレリン(同:セレジスト)処方例セレジスト®(5mg)2T 分2 朝・夕食後10mg投与群において、全般改善度・運動失調検査概括改善度で改善を認める。28週後までに構音障害、注視眼振、上肢機能などの改善を認める。1年後の累積悪化曲線では、プラセボ群と有意差を認めず。(3) タンドスピロン(同:セディール)処方例セディール®(5~20mg)3T 分3 朝・昼・夕食後タンドスピロンとして、15~60mg/日有効の症例報告もあるが、無効の報告もあり。重篤な副作用がなく、不安神経症の治療としても導入しやすい。2) 自律神経症状起立性低血圧(orthostatic hypotension)※水分・塩分摂取の増加を図ることが第一である。夜間頭部挙上や弾性ストッキングの使用も勧められる。処方例(1) フルドロコルチゾン(同:フロリネフ)〔0.1mg〕 0.2~1T 分1 朝食後(2) ミドドリン(同:メトリジン)〔2mg〕 2~4T 分3 毎食後(二重盲検試験で確認)(3) ドロキシドパ(同:ドプス)〔100mg〕 3~6T 分3 毎食後(4) ピリドスチグミン(同:メスチノン)〔60mg〕 1T/日■ 外科的治療髄腔内バクロフェン投与療法(ITB療法)痙性対麻痺患者の難治性の症例には、検討される。筋力低下の少ない例では、歩行の改善が見られやすい。4 今後の展望多系統萎縮症においてもCoQ2の異常が報告されたことは述べたが、CoQ2に異常がない多系統萎縮症の例のほうが多数であり、そのメカニズムの解析が待たれる。遺伝性小脳失調症については、その原因の80%近くがリピートの延長であるが、それ以外のミスセンス変異などシークエンス配列異常も多数報告されており、正確な診断には次世代シークエンス法を用いたターゲットリシークエンス、または、エクソーム解析により、原因が同定されるであろう。治療については、抗トリプレットリピートまたはポリグルタミンに対する治療研究が積極的に行われ、治療薬スクリーニングが継続して行われる。また、近年のアンチセンスオリゴによる遺伝子治療も治験が行われるなど、遺伝性のものについても治療の期待が膨らんでいる。そのほか、iPS細胞の小脳への移植治療などについてはすぐには困難であるが、先行して行われるパーキンソン病治療の進展を見なければならない。患者iPS細胞を用いた病態解析や治療薬のスクリーニングも大規模に行われるようになるであろう。5 主たる診療科脳神経内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 脊髄小脳変性症(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)Neuromuscular Disease Center(医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報全国脊髄小脳変性症・多系統萎縮症友の会(患者、患者家族向けの情報)1)水澤英洋監修. 月刊「難病と在宅ケア」編集部編. 脊髄小脳変性症のすべて. 日本プランニングセンター;2006.2)Multiple-System Atrophy Research Collaboration. N Engl J Med. 2013; 369: 233-244.公開履歴初回2014年07月23日更新2019年11月27日

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第8回 激震必至の2020改定にどう備える?【噂の狭研ラヂオ】

動画解説来る2020年の調剤報酬改定は大きな変化となるのでは!?という噂があります。2015年「患者のための薬局ビジョン」で発表された対物から対人へという変革から5年。0402通知を受けて、それが点数により明確に現れてくる可能性が高いからです。2020改定に備えて、薬剤師が今すぐやるべきこととは?

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日薬は塩対応 非薬剤師の調剤補助業務研修に温度差【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第36回

いわゆる0402通知「調剤業務のあり方について」が発出されてから半年以上が経過しました。皆さんの薬局では、薬剤師や薬剤師以外の薬局従事者の業務に何か変化はありましたか?私の周りでは、運用面の課題はあるにせよ、本通知による取り組みを積極的に捉えて今後の構想を練っている薬局が多いように感じています。しかし、薬局が頑張っている中、団体によってこの通知への対応に温度差がみられています。日本薬剤師会の山本信夫会長は10月24日の定例会見で、調剤補助業務に従事する非薬剤師などを対象とした研修について、当面実施する考えがないことを明らかにした。(2019年10月28日付 薬事日報)薬剤師の最大の職能団体である日本薬剤師会は、上記のように団体としては薬剤師以外の薬局従事者に対して調剤補助業務の研修を行わず、各薬局に任せるというスタンスのようです。なんとも塩対応です。一方で、調剤補助業務の研修に積極的に関与して、実質的に受講を義務化している団体もあります。長野県の上田薬剤師会は、非薬剤師による調剤の「準備行為」に関する研修計画を取りまとめた。(中略)研修は、座学、実務実習をそれぞれ3時間で行う。座学では、非薬剤師の業務範囲をはじめ、処方箋の読み方、薬局に関する法律・倫理規範・制度、医療安全、医薬品の管理などについて学ぶ。(2019年7月22日付 薬事日報)上田薬剤師会は地域包括ケアなどで積極的な取り組みを行っている薬剤師会として有名で、すでに薬剤師以外の薬局従事者を対象とした研修が8月に実施されています。本研修の修了・認定をもって初めて調剤の準備行為を行うことができるようになるというシステムで、薬剤師会の本気度や熱心さが伝わります。また、eラーニングによる研修をスタートすると発表した団体もあります。日本保険薬局協会(NPhA)は来年1月から、非薬剤師などの調剤補助業務に従事する職員を対象としたeラーニング研修を開始する。11月から「調剤アシスト研修」(仮称)として、会員企業の参加を募る予定。原則としてNPhA会員サービスの一環として実施するが、非会員企業などにも対応していく。(2019年10月25日付 薬事日報)ご存じのとおり、0402通知はただ単に調剤業務を事務さんなどの薬局従事者に任せてよいというものではなく、薬局開設者が手順書を作成し、研修を実施してから補助業務を任せることが求められています。しかし、このように団体によって対応に差があると、薬局所在地やどの団体と密接かによって研修の質や重きの置き方が変わるかもしれません。日本薬剤師会は、通知の文字通りに研修は薬局開設者が行うものと捉えているのでしょうが、本当にそれでいいのでしょうか。個店はこれまで補助者がいたという経験が少なく、手順書などの作成に戸惑っているという話を聞きます。手順書や研修準備に時間がとられて薬剤師が業務に専念できなくなっては元も子もありません。薬剤師が業務を整理して対人業務に向かおうとしているのですから、ぜひ負担を軽くして背中を押す団体であってほしいと思います。

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第3回 論文を読むのは目の前の患者のため

第3回 論文を読むのは目の前の患者のため―どのような方法で知識を得ようとしていますか?山﨑:書籍を読んだり人に聞いたりいろいろなウェブサイトを見たりはしますが、基本は泥縄式です。患者応対してうまく説明できなかった事例をファイリングしては調べていたので、必要に迫られて論文にあたることも増えました。そこから関連情報をひも付けて知識を広げました。たとえば、診療ガイドラインの推奨で判断がつかないことは多いですし、そういうときにどう説明すればいいか考えて調べて自分なりにわかりやすい言葉に落とし込むことは心掛けていました。患者さんの疑問を解決する情報を提供できるはずなのに、知識不足でできず後悔した経験も勉強を後押ししました。鈴木:疑問があったときは、最初は書籍とかガイドラインで調べると思いますが、その患者さんが何にも当てはまらないときに文献をあたれると、最終的な裏付けが自分でできるようになれるのかな、って思います。山﨑:そうですね。文献を読んでいてよかったと思うのは、ふとした患者の疑問に回答できることが増えたことや薬のリスクやベネフィットの感覚値がついたこと、情報の限界を感じられたことですね。たとえば、患者さんからつらい副作用発現の連絡を受けたときに、その薬剤を中止したらその程度症状発現のリスクが高まるのか推論できれば提案が変わりますし、抗菌薬を1日2回服用と3回服用の効果の違いの根拠を知っているだけでも別の提案ができます。時にはわからないことをこういう理由でわからないと言えることも大切かと思います。たくさん調べて役に立たなかったことも多いですが、役立った瞬間は少なくはなかったと感じています。笹川:人の得意分野は、書く、読む、聞く、話すなどいろいろなものがあると思いますが、得意なところを重点的に伸ばしていけばいいと思っています。私は自分で論文にあたるのは苦手だったので、得意な人が調べてまとめてくれたコラムや記事などを読んで勉強しています。知識は深いほうがいいのでしょうが、やはり得意不得意があって全部の分野が得意になるのは難しいんですよね。実際の業務では広く全体的にカバーするのも重要だと思っています。鈴木:全分野は無理なので、まずは自分が関わる頻度の高い診療科や患者さんの分野を頑張って深くしていけばいいのではないでしょうか。いろいろなことに手を付けるのではなく、目の前にいる患者さんにどういう人が多いのかを考えるほうが効率がいいですし。山﨑:確かに、疑問について調べるきっかけはいつも患者さんからもらっていました。目の前に課題があるわけですから、そこから深堀りしていましたね。鈴木:論文を使うのはかなり応用編だと思いますが、週刊誌のような雑誌にたまに載る「飲んではいけない薬」リストについて聞かれたときは論文が役に立ちますよね。山﨑:別の根拠を示して、こういう理由であなたは飲んだほうがいいと説明できると患者さんに安心してもらえます。実名で発信して輝け!―薬剤師の情報発信についてどう思いますか?笹川:薬剤師のブログなどはとても参考になりますが、ペンネームで執筆されていることが多いです。私は実名で発信することが大切だと思っていて、名前を伏せているのはもったいないと思っています。実名を出すのってリスクありますか?山﨑:私は匿名でホームページを運営していましたが、実名のほうが信頼は得やすいのでベターだとは思います。実名で運営していた時期もあって、結果的に日に2,000~3,000のアクセスが来るようになり、頻繁に詳細な病態や検査値など個人情報を添付して病気の相談をしてくる方が出てきました。無視するのも気の毒で回答していたのですが、身が持たなくて実名で運営するのを休止しました。患者さんの本当の悩みに触れた瞬間でもあり、信頼をおいてくれたからこそ相談してくれたのだと思いますが、目の前の医療従事者ではなく見ず知らずの私にネット上で判断を仰ぐことの危険性を問題視していたというのもあります。鈴木:私は実名を出したらいいと思っています。コラムを掲載していると、知り合いの薬剤師とかから反応があったりして、刺激を与えられている気がします。自分でもできるんじゃないか、わからないことがあれば鈴木に聞けばいいんじゃないかって。みんなで情報共有していくという意味でも実名の意味はあると思います。所属している薬局で取り組んでいることもアピールしたいですし。そうすると、そこの薬局の薬剤師はみんなできているんだな、って思うじゃないですか。笹川:輪が広がっていくと先生自身にもほかの薬局にもいい影響がありそうですね。私は勉強会をよく行っていますが、始めたきっかけは薬剤師が全然勉強していないことにモヤモヤを感じていたからなんです。本を読まない、情報を得ようとしない薬剤師もいて、差が顕著でしたので。それなら、これだけ知っていれば服薬指導できるということを教えたかったんです。もともと教えるのが好きで教師になりたかったので、エンターテインメント性を持たせて面白くやるということを心掛けました。鈴木:自分も講習会で積極的に講義していますが、根底には教えていきたい、伝えていきたいという思いがあります。みんなで頑張っていこうよ、っていうメッセージを出すためにそういう機会を積極的にもらっています。笹川:自分が接することのできる患者さんは限られていますから、自分だけが知っていても仕方ないんですよ。もっと発信して広げていけば、薬剤師全体の底上げになると思っています。―次回は、医師との関わり方について伺います。

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病院「再編統合」時代の一歩先を行く医療経営を考えるシンポ開催ー東京大

 9月に公表された、病院「再編・統合」リストは日本中に衝撃を与えた。どのような基準・根拠でリストは作られ、「実名公表」に踏み切られたのか? 各地の医療ステークホルダーはどう受け止め、対応すべきか? 今後の地域医療の制度経営はどのように展開すべきか? これらの課題をめぐって徹底議論するべく、東京大学「経営のできる大学病院幹部養成プログラム」は、12月4日に特別公開シンポジウムを開催する。シンポジストには、厚生労働省「地域医療構想に関するワーキンググループ」の座長を務めた尾形 裕也氏ほか、地域医療施策に携わる実務者や医療提供体制を分析しているアカデミアを迎え、講演やパネルディスカッションが行われる。■開催概要 日時:2019年12月4日(水)18:00~20:00(開場17:30) 場所:東京大学 鉄門記念講堂(本郷キャンパス医学部教育研究棟14階) 定員:300名 参加費:無料 申し込み方法:webからの事前申し込み制(先着順、空席状況により当日参加可能) http://hep.m.u-tokyo.ac.jp■プログラム第1部(18:05~19:25)地域医療構想の実現に向けて 尾形 裕也(九州大学名誉教授)埼玉県における地域医療行政の立場から 本多 麻夫(埼玉県保健医療部参事・埼玉県衛生研究所所長)千葉県での実例 竹内 公一(千葉大学附属病院地域医療連携部長・特任准教授、鴨川市保健医療参与)DPCデータを用いた埼玉・千葉県の医療提供体制の把握の実例 石川 ベンジャミン 光一(国際医療福祉大学教授)第2部(19:25~20:00)パネルディスカッション 病院「再編統合」リストをどう読み解くべきか司会・進行 橋本 英樹(東京大学教授)<問い合わせ先>東京大学 経営のできる大学病院幹部養成プログラムTEL:03-5800-8750(直通)E-mail:hep@adm.h.u-tokyo.ac.jp

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ゲノム医療時代、医師はどう学ぶべきか【Doctors' Picksインタビュー】第5回

国立がん研究センター東病院で消化器がんの専門医としてキャリアを積んだ高橋 秀明氏。キャリアの初期にゲノム医療に関わったことをきっかけに、がん領域における横断的アプローチや情報収集の有用性に気付いた、という氏に、その独自の視点の持ち方と日々の学びについて聞いた。私は昔から「変わっている」と言われることが多くて。変わり者が多い医師の世界ですが、その中にあっても「医師らしくない」と言われることがよくあります。自分ではあまりわからないのですが、「わからないことがあれば、すぐ人に聞く」「知らないことを恥ずかしがらない」というあたりが大きいようです。今年の5月から医師向けの情報サイトDoctors’Picksで記事を選定する役割である「Expert Picker」の任を受け、毎日気になった記事を皆さんにシェアしています。私はFacebookやTwitterでの情報発信はやっていないので、ネットでの情報発信はこの活動だけですね。選ぶ記事の種類は自分の専門である消化器がん(肝胆膵がん)の話題が中心ですが、ほかのがんや医療一般の記事や論文も、面白いものがあればどんどんアップしています。医師の仕事は専門性が高く、私はしかも国立がん研究センターという、ことに専門性を求められる職場で働いています。そんな環境にあって、ほかの領域にも関心を持つようになったきっかけは、私のこれまでのキャリアにあるのかもしれません。ゲノム医療で他科への目が開かれたがん研究センターは、2012年からがんゲノム医療への取り組みを始めました。当時、私はその担当になっていました。入職して日の浅い若手でしたから、完全に実働部隊となり、多くのことを勉強させてもらいました。当時は、「がんの部位を横断した治療」という発想は現実的なものではありませんでした。そもそもの遺伝子検査が、臨床で使えるものとしては、肺がんや大腸がんで一つひとつの遺伝子を調べているくらいで、ほかのがんでは遺伝子検査の結果を治療選択に役立てることができていませんでした。一方、海外では50以上の遺伝子変異を同時に調べる検査が一般化しはじめており、「これを日本でもできるようにしないと」という強い思いを持つ先生の旗振りの下、院内のチームで取り組みを進めてきたのです。とはいえ、当時の状況からすれば、本当に小さな生検検体から複数の遺伝子異常を調べられるのか、検査室や病理部などの対応は可能なのか、誰がどのように評価して担当医に結果を返すのか、まさに手探りでした。現在、リキッドバイオプシーの時代が訪れようとしていることを考えると、この10年の間にがん臨床は大きな変貌を遂げた、という思いを新たにしています。ゲノム医療は、まさに「ほかの領域のがんに効いた薬が、自分の領域のがんにも効くかもしれない」という可能性を追究する分野です。もちろん、「何でもいい」というわけではなく、遺伝子異常のタイプ、種類、ほかのがん種と同じことが言えるのか、という点を常に考察しながらの医療になります。がんゲノム医療は2019年から保険適用となり、一気に広がりつつあります。そしてさらに前述のリキッドバイオプシーを含めて医療環境は劇的に変貌を遂げると想像されます。がん治療に関わる医師としては、常に最新の情報に目を光らせねばならない時代になった、と言えるでしょう。横串×専門=「がん」という疾病の特殊性一方で、「がん」という分野の特殊性は、言って言い過ぎることはないでしょう。もともとは臓器別で手術を中心とした研究・治療をしてきたものが、1990年代後半から有効な抗がん剤が多数出現し、同時に内視鏡を使った低侵襲手術、粒子線など放射線治療の局所療法も進歩しました。現在はゲノム検査を筆頭とした個別化によってそれらを組み合わせ、最大の治療効果を出すことが大きなテーマとなっています。米国で先行していた動きに追いつこうと、日本でも2000年代から「腫瘍内科」が生まれ、薬物療法を専門とする内科医が誕生しました。こうした複雑化・高度化した治療に対し、臓器別に横串を刺したうえで、がんという共通テーマで専門的な研究・臨床を行う。こうしたスタイルはほかの疾病にはない、独特なアプローチです。がん薬物療法専門医、がん治療認定医などの腫瘍内科の専門医はがん全般を勉強しているため、この知識が議論の土台となります。このような歴史と状況を踏まえ、「ほかの部位のがんについても学ばなければ」という機運が高まっている、と感じます。それは、あるがんの薬や療法が別のがんにも応用できることが実証されてきたためです。「肺がんで効いたあの薬が使えるのでは」「乳がんでやっているあの組み合わせが応用できるのでは」といった具合に、他領域における新しい薬や治療法の情報が非常に参考になります。いきなり臨床の場で使えなかったとしても、勉強会や論文のネタになりますし、そこから何かが生まれるかもしれません。このように、がん領域は、専門以外の部分も聞きかじっておくと役立つことが随分とあるのです。各分野の専門情報サイトはありますが、「肺がんの専門医だが、別領域のがんについてちょっと知っておきたい」というときに情報収集・交換ができる場があると助かります。Doctors’Picksではそのような視点から記事を選んでいます。加えて、がん治療の精度が上がるにつれ、再発や転移、働きながらの治療や患者の高齢化など、これまでは周辺的な位置付けだった問題の比重も大きくなっています。ここでも部位を横串にした知識や経験が役立つはずです。他科の医師を肌感覚で理解する普段から他科の医師とコミュニケーションをとっておくことは、直接的な情報収集以外にもメリットがあります。同じがん専門医でも、部位によって治療の選択肢やその困難度は大きく異なります。私が専門とする膵臓がんは、早期発見が困難かつ治療の選択肢が少ない、難しいがんです。そうなると、たとえば「2~3割の患者さんに効果がある治療法」があった場合に、私たち膵がんの医師は「おお、それは期待できる治療法だ」と反応します。一方、効果が見込める治療の選択肢が多い肺がんや乳がんの専門医の場合であれば、「2~3割? ふーん、あんまりたいしたことがないね」という反応になる。こうした肌感覚の差異を知っておくことは重要です。例を挙げましょう。がん遺伝子パネル検査を行う際には「エキスパートパネル」という専門家チームを設置して、解析結果を読み解き、具体的な治療方針を決定し、主治医とコミュニケーションを図る必要があります。こうした活動の際にも、専門ごとの感覚の違いを知ったうえでコミュニケーションをとることが非常に重要だと感じます。今後は、さらに他院の医師やコメディカル、ゲノムを専門とする検査薬メーカーやその他スペシャリストとチームを組んで動く場面も増えることでしょう。ゲノムに少しでも関わるならば、他科の動きを勉強しておくことは避けて通れない、と感じます。加えて、私は膵臓がんという難しいがんが専門なので、脳腫瘍や小児がんなど、がんの中でも治療が困難な希少がんを専門とする医師にシンパシーを抱いています。いずれも患者数は少なく、診療情報は貴重で、病状が重篤になりやすい。「きっと、あちらの先生も苦労されているはず。そうした方にも情報が届けばいいな」と思って情報を発信しています。専門外の医師の方も、メジャーながんの情報は日々届くでしょうが、希少がんの情報は手に入りにくいですから、積極的に情報を発信していくことで「ああ、今はそんなに治療が進んでいるんだ。それなら患者を紹介してみようかな」と思ってもらえるとありがたいですね。肺がんが、がん領域を引っ張る日々目を通しているがん関連の論文・記事の中でも、飛び抜けてトピックスが多く、更新頻度も高いのが「肺がん」の分野です。新薬が続々と開発され、臨床に結び付く研究が非常に多い。肺がんが、最近のがんの世界をリードしていると感じます。私の専門である消化器、肝胆膵がんの分野ではなかなかこうはいきません。最近では、肝内胆管がんで、IDH1遺伝子バイオマーカーになりそう、進行膀胱がんと同様にFGFR阻害薬が有効かもしれない、というトピックスがありましたが、やはり腫瘍の特性によるところは大きく、肺がんのトピックスの豊富さには到底かないません。ドラスティックに動く肺がん治療の世界を追いつつ、消化器の分野に応用させられないか、日々動向を追っています。学び続けるために必要な力最近はとくに発表される論文数が膨大になり、ジャーナルも追いきれないほど多数あります。専門だからといってそのすべてを読んでいては、いくら時間があっても足りません。私が情報収集のために一番使っているのはTwitterです。フォローしているのは海外の研究者や関心のある領域の医師。数は70人程度にとどめる代わり、彼らが発信する情報や推薦する論文は欠かさずチェックしています。あとはジャーナルや医学メディアから来るメールを流し読みして、気になったものを読んでいます。最初の段階で、いかに自分にとって価値ある情報だけに接触するか。そのためには他者の視点が欠かせませんし、それを取り入れるためのフィルターも必要。そうした今の時代に合った情報収集力が大切だと感じます。情報は山のようにある時代ですから、それをどうひも付け、自分の中に蓄積していくか、という学び手の編集力も大切です。関連したサイトを集積できたり、用語に自動的に解説が付いたり、医学情報サイトも、そうしたユーザー自らが編集できるような機能を充実させてくれるとうれしいですね。そして、冒頭でもお話ししましたが、わからないことはどんどん他人に聞けばいい。「あいつ、こんなことも知らないのか」と思われるかもしれませんが、別にいいじゃないですか。多くの双方向ツールのある素晴らしい時代なのですから、専門外のことは自分で調べるよりも聞いちゃえばいい、と思います。いわゆる質問力ですね。その代わり、私も自分の専門についての質問には、できる限り答えていきたいと思っています。このインタビューに登場する医師は医師専用のニュース・SNSサイトDoctors’ PicksのExpertPickerです。Doctors’ Picksとは?著名医師が目利きした医療ニュースをチェックできる自分が薦めたい記事をPICK&コメントできる今すぐこの先生のPICKした記事をチェック!私のPICKした記事ビワの種子を使用した健康茶等に、「がんに効果がある」成分は含まれていません!さまざまな記事をご紹介していますが、一番反応があるのはどの科にも共通する話題。疼痛緩和のサプリや禁煙指導、健康食品などのトピックスは反応が良いですね。この記事は、日本医師会が声明で「ビワの種に抗がん作用はない。実は毒性もある」と発信した、というもの。こうした注意喚起のシェアも重要だと思います。今後も、ジェネラルな話題と専門的な話題のバランスをとりながら発信していきたいと思います。

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