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第7回 リモート出演で気になったタレントの“ナメクジ腫れ”

こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。5月14日、47都道府県のうち39県で新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言が解除されました。残る宣言の対象区域は北海道、埼玉、千葉、東京、神奈川、京都、大阪、兵庫の8都道府県ですが、政府は5月21日を目処に解除の可否を改めて判断するとのことです。そんな自粛解除の流れの中、最近気になったのが、テレビのバラエティ番組に出ている女性タレントの顔です。タレントが自宅からリモート出演するバラエティ番組が増えていますが、ある若手女性タレントの目の下、いわゆる「下眼瞼」と呼ばれる部分が、ナメクジが付いたように腫れているのです。気になり出すとそこばかり目が行くもので、ここ2週間ばかりの間にもう1人、“ナメクジ腫れ”が生じている女性タレントを見つけました。“ナメクジ腫れ”の正体はいったい何でしょう? 知人に聞いたところ、「うかつなことは言えないけれど、ヒアルロン酸注射か二重(ふたえ)手術の痕では」との見立てでした。つまり、彼女たちはつい最近、美容整形の手術を受けたのではないか、というわけです。「不要の医療ではないが、不急の医療」私自身は美容整形の現場を取材したことはほとんどないので、「タレントも仕事が暇になったので、美容整形を受けに行ったのかな」と思っていただけなのですが、先週、あるニュースを読んでコロナの影響はこんなところにまで、と驚きました。それは共同通信が配信し、日本経済新聞(5月12日)や地方紙に掲載された「美容整形『多くは不急、今は控えて』」というニュースです。そのニュースによれば、記者が複数の美容関係者に取材したところ、新型コロナウイルス感染症の影響で外出自粛が続く中、美容整形を申し込む人が増えている、とのこと。記事は、「在宅勤務や休校、マスク着用で、手術後の顔の腫れや容姿の急変を他人に知られずに済むためではないか」と分析、「大学などが休みになり始める1月後半から予約が増えるのは例年通りだが、今年はとくに予約申し込みが多い」とのことでした。記事では、ある美容外科のケースも紹介、医療資材の不足から、消毒液の入手が困難な時期もあり、施術で通常10枚ほど用意するガーゼも2~5枚に制限、半分に切って使ったこともあった、としています。実際、外出自粛が続いた結果、今年の春の美容整形人気は本当のようです。日本美容外科学会はホームページで、一般の人に対して「美容医療をお受けになろうとお考えの方へ  新型コロナウィルス(COVID-19)感染予防に関するお願い」を掲示、「美容医療は不要の医療ではありませんが、多くの方にとって不急の医療と考えます」として「今お考えの美容医療は感染が収束するまでお待ちいただきたい」と訴えています。学会が「不急の医療」と言ってしまっている点が、なかなか興味深いです。一方、同学会は会員の医療機関にも、「美容外科診療の対応について」として、「待機可能な侵襲的美容外科治療を希望する患者に対しては、事態が収束に向かうまでは、実施内容の低侵襲化、あるいは実施の延期や中止を検討する」「新型コロナウィルス感染患者の治療に必要な医療資源(医療物資、輸液、抗生剤、ベンチレーター、医療スタッフ等)を感染症指定医療機関等へ供給することを最優先に考え、使用を最小限にすること」の2点を提言しています。国難と呼ばれる事態に不急の自由診療美容整形のプチブームに、私がとやかく言うことはありません。ただ、一つ気になったのは、美容整形外科の医師たちは、新型コロナウイルス感染症で医療リソース(モノもヒトも)が全国的に払底する時期にどう動いていたか、ということです。急性期病院勤務の医師は病院で新型コロナウイルスと戦い、都道府県医師会・郡市区医師会の医師は行政検査の委託を受け、PCR検査に携わるなどしています。たとえば、東京都医師会はPCR検査の体制を強化しようと、かかりつけ医の紹介で検査を受けられる「PCR検査センター」の設置を進めています。美容整形外科は自由診療がほとんどですから、地域の医師会に加入している医師も少ないでしょう。そうなると、ほとんどの美容整形外科医は、新型コロナウイルス感染症の診断・治療とは何の接点もないまま、自らの日常診療を続けていると思われます。先の日本美容外科学会の会員への呼びかけも「提言」となっており、会員に何らかのアクションを要請するものでもないからです。日本は自由標榜制なので、医師が自分の専門に美容整形外科を選ぶことは何の問題もありません。ただし、医師の教育・養成には相当の税金が投入されていることを考えると、“国難”と呼ばれる事態において、不急の自由診療だけに注力する医師の姿勢には、いささか疑問を覚えます。もっとも、新型コロナウイルス感染症の診断数がピークの頃、外来診療を止めてしまっていた、うちの近所の診療所(何科まではここでは書きません)も同類かもしれませんが…。

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高齢者特有のリスクを考慮した抗ヒスタミン薬の提案【うまくいく!処方提案プラクティス】第20回

 今回は、抗ヒスタミン薬の追加提案について紹介します。高齢者で抗ヒスタミン薬を選択する際には、鎮静やせん妄などのリスクを十分に考慮する必要があります。経過をフォローすることで、漫然投与も防ぎましょう。患者情報75歳、男性(施設入居)基礎疾患:高血圧症、便秘症訪問診療の間隔:2週間に1回処方内容1.オルメサルタン錠20mg 1錠 分1 朝食後2.酸化マグネシウム錠500mg 2錠 分2 朝夕食後3.センノシド錠12mg 1錠 分1 夕食後4.d-クロルフェニラミンマレイン酸塩錠2mg 3錠 分3 朝昼夕食後(今回追加)5.ヘパリン類似物質油性クリーム 50g 1日2回 全身に塗布(今回追加)6.ジフルプレドナート軟膏 10g 1日2回 体幹部位に塗布(今回追加)本症例のポイントこの患者さんは、全身の乾燥と体幹部に強い痒みを伴う湿疹があり、夜間も痒くて眠れないので飲み薬も出してほしい、という訴えを訪問診療の同行時に聴取しました。そこで医師より、しっかりとした作用が必要なのでd-クロルフェニラミンマレイン酸塩錠2mgを1日3回でどうかという相談がありました。ここでの処方薬のポイントは3点あります。1.高齢者における第1世代抗ヒスタミン薬のリスク第1世代の抗ヒスタミン薬は、中枢神経を抑制して鎮静作用が強く生じることがあります。この患者さんが眠れないと訴えたことから、鎮静作用を期待している可能性もありますが、抗コリン作用などに伴う口渇や便秘、認知機能低下、せん妄があり、高齢者ではリスクが大きいと懸念されます。2.第2世代抗ヒスタミン薬の代謝と排泄経路、鎮静作用代替薬として、よりH1受容体に選択的に作用する第2世代抗ヒスタミン薬を検討しました。多くの薬剤が発売されていますが、高齢者では肝・腎機能などの低下を考慮して、安全に使用できる薬剤が望ましいです。また、鎮静の強さも各薬剤で違いがありますので、鎮静作用が比較的弱いフェキソフェナジン、ロラタジン、エピナスチンが適切と考えました。3.併用薬との相互作用相互作用の面では、現在服用中の酸化マグネシウムとフェキソフェナジンは併用注意です。酸化マグネシウムがフェキソフェナジンの作用を減弱させるため候補から外れました。服用回数の少なさも薬剤選択の大きなポイントですが、ロラタジンもエピナスチンも1日1回ですので、今回は腎臓への負担の少ないエピナスチンが妥当と考え、医師に提案しました。処方提案と経過医師には、冒頭の処方内容では、鎮静が強く生じて転倒するリスクがあり、口渇や便秘、認知機能低下、せん妄リスクもあることを伝えました。代替薬として、エピナスチン錠20mg(後発品)を提示し、服用薬との薬物相互作用もなく、腎機能への影響も少なく、服用回数も1回で済むことを紹介しました。医師からは、高齢者での第1世代抗ヒスタミン薬のリスクを軽視するわけにはいかないと返答があり、提案のとおりに変更されました。患者さんはエピナスチン錠を服用開始した翌日の夜には掻痒感が改善し、よく眠れたと聴取することができました。2週間後には皮疹もきれいに治っていたことから、エピナスチン錠を中止し、保湿剤によるスキンケアのみを継続することを医師に提案しました。この提案も採用され、保湿剤のみとなりましたが現在も経過は良好です。抗ヒスタミン薬は漫然と飲み続けているケースも多く見受けられますが、継続的にフォローして、治療終了を判断することも重要と考えます。画像を拡大する※2020年5月時点の薬価※肝・腎:肝機能低下、腎機能低下でそれぞれ血中濃度上昇の可能性あり1)各薬剤のインタビューフォーム2)「透析患者に対する投薬ガイドライン」, 白鷺病院.3)谷内一彦ほか. 日耳鼻. 2009;112:99-103.

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入眠と中途覚醒を改善するオレキシン受容体拮抗薬「デエビゴ錠2.5mg/5mg/10mg」【下平博士のDIノート】第50回

入眠と中途覚醒を改善するオレキシン受容体拮抗薬「デエビゴ錠2.5mg/5mg/10mg」今回は、不眠症治療薬「レンボレキサント(商品名:デエビゴ錠2.5mg/5mg/10mg、製造販売元:エーザイ)」を紹介します。本剤は、わが国で2剤目のオレキシン受容体拮抗薬です。より自然に近い催眠作用によって、スムーズな入眠と睡眠維持、翌朝の覚醒改善が期待されています。<効能・効果>本剤は不眠症の適応で、2020年1月23日に承認されています。<用法・用量>通常、成人にはレンボレキサントとして1日1回5mgを就寝直前に経口投与します。なお、患者の症状により1日1回10mgを超えない範囲で適宜増減できます。本剤とCYP3Aを中程度または強力に阻害する薬剤(フルコナゾール、エリスロマイシン、ベラパミル、イトラコナゾール、クラリスロマイシンなど)を併用する場合は、1日1回2.5mgが上限となっています。<安全性>不眠症患者を対象とした国際共同第III相試験において、本剤が投与された884例(日本人155例を含む)中249例(28.2%)に副作用が認められました。主な副作用は、傾眠95例(10.7%)、頭痛37例(4.2%)、倦怠感27例(3.1%)などでした(承認時)。<患者さんへの指導例>1.本剤は、覚醒と睡眠リズムを調整することで寝つきをよくし、より正常な睡眠の維持を促します。2.このお薬は、食直後を避け、就寝直前に服用してください。入眠後、一時的に起床して活動する必要がある日には服用しないでください。3.眠気や注意力・集中力・反射運動能力の低下など、薬の影響が翌朝以降も続くことがありますので、自動車の運転など危険を伴う機械の操作は行わないようにしてください。4.不眠症の改善は、適度な運動を心掛けるなど、生活習慣を見直すことも大切です。起床時間と就寝時間を一定にし、睡眠リズムを整えましょう。<Shimo's eyes>不眠症治療の中心的薬剤として、ベンゾジアゼピン系薬剤が長年使用されていますが、長期服用時の依存形成や薬物の不適切使用が問題となっています。近年では、より自然に近い睡眠・覚醒リズムを整える薬剤として、2010年にはメラトニン受容体作動薬のラメルテオン(商品名:ロゼレム)、2014年にはオレキシン受容体拮抗薬のスボレキサント(同:ベルソムラ)が発売されました。本剤は、国内で2番目のオレキシン受容体拮抗薬で、オレキシン神経伝達に作用して過剰な覚醒状態を抑制するため、より自然な睡眠を促し、中途覚醒時間を短縮することが可能と考えられています。本剤の特徴として、年齢による用量の制限がなく、また調剤時の一包化が可能となっているため、高齢者にも比較的使用しやすい薬剤といえるでしょう。第III相試験においては、入眠と睡眠維持の両方の改善を示し、プラセボと比較して翌日のふらつきや記憶力においても問題となる悪化は認められず、日中機能の改善が確認され、6ヵ月投与した中止後の離脱症状は見られませんでした。なお、<用法・用量>に記載のとおり、相互作用については禁忌ではないものの、肝薬物代謝酵素CYP3Aを中程度または強力に阻害する薬剤と併用する場合には、本剤の投与量を1日1回2.5mgに制限する必要があります。また、中等度肝機能障害の患者に対しては、本剤の血中濃度が上昇する可能性があるため、1日1回5mgが上限となっています。医薬品リスク管理計画書(RMP)における本剤の潜在的リスクとして、ナルコレプシー症状が挙げられています。副作用については、日中の過剰な眠気、睡眠時麻痺、入眠時幻覚がないかなど、細やかな聞き取りを心掛けましょう。参考1)PMDA デエビゴ錠2.5mg/5mg/10mg

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第41回 コロナ禍を吹っ飛ばせ!腕試し心電図クイズvol.2【Dr.ヒロのドキドキ心電図マスター】

第41回:コロナ禍を吹っ飛ばせ!腕試し心電図クイズvol.2今回はゴールデン・ウイークに公開した心電図クイズの第2弾です。“息抜きに”と言いつつ、まぁまぁ骨のある問題を出しましたが、今までのレクチャーで扱った知識を総動員して今回も頑張ってみましょう。「面白い」と「ためになる」の両立を目指して、今回もDr.ヒロの心電図ワールドのはじまりです!症例提示83歳、男性。高血圧症、気管支喘息などで通院中。治療にはアムロジピン、テオフィリン(徐放錠)、プランルカスト、レルベア®を使用している。血圧134/90mmHg、脈拍97/分・不整。定期診察時の12誘導心電図を示す(図1)。*:クイズの性格上、自動診断結果の一部を非表示にしている(以下同)。(図1)入院時の心電図画像を拡大する【問題1】調律に関する以下の診断のうち、正しいものを2つ選べ。1)洞頻脈2)異所性心房頻拍3)心房期外収縮4)心室期外収縮(間入性)5)心室期外収縮(完全代償性)解答はこちら1)、5)解説はこちらR-R間隔が整な部分に時折おかしなQRS波が混じるようです。幅が正常(narrow)な部分はほぼ太枠3マスで、“イチニエフの法則”を満たすP波が定期的にも観察され、基本調律は「洞頻脈」で良いと思います。次に“線香とカタチと法被(はっぴ)が大事よね”を思い出してください。洞周期に「先行」するタイミングで出現し、洞収縮とは異なる「カタチ」で「幅」もワイド、P波もないですから、「心室期外収縮」(PVC)の診断は容易です。「完全代償性」か「間入性」は用語的にはやや難しく感じるかもしれませんね。でも大丈夫。後者は文字通り、洞周期の“間”にPVC“入り”込んでいるもので、PVC前後のP-P間隔は洞周期そのものです。一方の「(完全)代償性」のほうはと言えば、レクチャーでも扱った“ニバイニバーイの法則”を満たすものです。PVC前後のP-P(R-R)間隔が洞周期の2倍となることが特徴で、今回もこれに該当します。参考レクチャー:第21回、第26回【問題2】QRS電気軸に関して、最も適切なものを1つ選べ。また定性的評価も加えよ。1)-60°2)-15°3)0°4)+75°5)+120°解答はこちら2)定性的評価:軽度の左軸偏位解説はこちらQRS電気軸を数値で求める場合、まずは肢誘導を上からザーッと見直しましょう。6つのうち上下“トントン”のQRS波があればいいのですが、この心電図にはないようです。そんな時は“トントン法Neo”を使いましょう。肢誘導界の円座標を思い浮かべ、aVL → I → -aVR → II → aVF → III …の順にQRS波の向きを確認します。すると、IIとaVFの間で向きの逆転が起こりますから、この間に“トントン・ポイント”(TP)があるのです。IIの上向き具合とaVFの下向き具合は同程度と考えて、両者の中間(+75°)がTPということになります。求める電気軸は、TPに直交し、かつIが上向きですから、「-15°」が“トントン法Neo”による推定値となります。ちなみに、心電計による自動診断は「-14°」となっていました。「-30°~0°」の範囲は「左軸偏位」の中でも“軽度”の範疇で、正常範囲に準じた扱いがなされることもあります。定性的には、I:上向き、II:上向き、aVF:下向きであるケースが大半です。参考レクチャー:第8回、第9回、第11回【問題3】ほかの心電図所見として正しいものはどれか。1)反時計回転2)QT延長3)(左室)高電位4)PR(Q)延長5)ST上昇解答はこちら4)解説はこちら1)は胸部誘導の移行帯に関するものですが、本例ではV4とV5誘導の間で「R<S」から「R>S」に変わっており、反時計回転ではありません。2)のQT間隔も正常です(補正値[QTc]]437ms)。3)は、QRS波高は代表的なSokolow-Lyon index(SV1+RV5)や“(ブイ)シゴロ密集法”などにもかかりません。上級者ですとIとaVLのQRS波高が気になるかもしれませんが、惜しくも該当しません。PR(Q)間隔は、5mmちょっとで「230ms」と正常上限をオーバーしています(したがって4)が○)。ただし、この程度では「1度房室ブロック」の診断には及びません。5)の「ST上昇」はなく、むしろV4~V6で「ST低下」を認めます(I、aVLにも軽度あり)。参考レクチャー:第1回症例提示253歳、男性。近医で糖尿病の診断を受けているが、本人拒否もあり無投薬で経過観察されている。深夜1:30に救急要請。意識清明、血圧138/87mmHg、脈拍49/分・不整、酸素飽和度(SpO2)99%(室内気)。全身冷汗著明。本人曰く、「昨日ね、夕方6時くらいに焼き肉に行ったんです。たらふく食べて飲みました。10時過ぎに帰って、風呂に入って寝たんです。0時くらいに起きたら気持ち悪くて、ひどい下痢もしてて。何度も吐いて、胃が焼け付くくらい“熱い”んです。ちょっと生に近い状態の肉を食べたんで、あたったんですか?」とのこと。来院時の心電図を示す(図2)。(図2)来院時の心電図画像を拡大する【問題4】調律に関して正しいものを選べ。また、心拍数はいくらか。1)洞徐脈2)洞不整脈3)心房粗動4)心房細動5)心房静止解答はこちら4)心拍数:51/分(新・検脈法)解説はこちら心電図を見たら、まずは“レーサー・チェック”でしたね。ちなみに、後述しますが、ST変化に気をとられる余り、調律診断が疎かになるようなことはあってはならないと思います。R-R間隔は不整で、洞性P波も確認できません。そんな時に見るべきは、ボク一押しのV1誘導でした。本例はやや見つけにくいですが、“f(細動)波”が確認できます。振幅が1mmに満たず、いわゆる「fine AF」だと思いますが、2nd bestである下壁誘導ではグニャグニャ部分もあり、「心房細動」(AF)で良いでしょう。心拍数に関しては、「検脈法」です。シンプルに全体10秒間のQRS波の個数を数えて9×6=54/分としてもいいですが、肢誘導の右端、そして胸部誘導は両端のQRS波が“ちぎれて”いますから、これらを0.5個とカウントして、(4.5+3+0.5×2)×6=51/分として求める“新・検脈法”は、このように徐脈気味の時に真価を発揮します。心電計の値も見事に「51/分」となっていました。参考レクチャー:第4回、第29回【問題5】この段階でなすべきこととして、正しいものを2つ選べ。1)消化器科医をコールし、上部消化管内視鏡を依頼する。2)右側胸部誘導を記録する。3)点滴ルートを確保して硫酸アトロピンを投与する。4)体外式除細動器を準備する。5)硝酸イソソルビドを静注しつつ、循環器科医をコールして心エコーを依頼する。解答はこちら2)、4)解説はこちら下痢や嘔吐を主訴に来院しても、この心電図を見てしまったら、「急性胃腸炎」では済ませることはできません。胃カメラうんぬんは笑い話レベルとしても、症状的には消化器疾患と紛らわしい例であることは事実です。心電図では、II、III、aVF、さらにV4~V6に「ST上昇」を認め、逆にaVL、V1、V2などでは「ST低下」(対側性ST変化)が見られます。こういう場合、第一に「ST上昇型急性心筋梗塞」(STEMI)を疑うべきパターンになります。迷走神経に関連し、急性下壁梗塞で嘔吐が前面に出ることがあるというケースを過去のレクチャーでも扱っており、これも類似のケースです。「下痢」の合併は稀かとは思いますが、実際にこのような訴えもあることを知っておくと、診療の幅が広がります。下壁梗塞を疑う場合、何も考えずに右側胸部誘導をとることはガイドラインでも推奨されていますが、なかなか行われておらず現場では歯がゆく感じるところがあります(本ケースでも記録されていませんでした)。心筋梗塞の場合、徐脈ならアトロピン、ST上昇だから即ニトロという盲目的な対応は時に危険で、禁忌というケースもあることはご存じでしょうか?(参考:ST上昇型急性心筋梗塞の診療に関するガイドライン[2013年改訂版])前者はNG、後者もいきなり静注は推奨できません。まずは救急カート、電気的除細動器を準備、とにかくすぐに循環器科医をコールして指示を仰ぐようにしましょう(一番先にすべきことは心エコーでないことは明らかかでしょう)。参考レクチャー:第27回、第31回【問題6】本症例の臨床診断として正しいものを1つ選べ。1)胆石仙痛発作2)急性胃腸炎3)急性心筋梗塞4)尿管結石5)肋間神経痛解答はこちら 3)解説はこちら前問の解説通り心電図的にはきれいなSTEMIで、傷害部位は左室の下壁と側壁です。心電図から責任血管が右冠動脈か左冠動脈回旋枝かを推測する方法もあることはある(確実ではないですが)ので、おいおい扱いましょう。緊急冠動脈造影では、右冠動脈遠位部の完全閉塞が確認され、そのままインターベンション(ステント留置)が行われました。症例提示387歳、女性。糖尿病、高血圧症、慢性腎臓病、陳旧性心筋梗塞で通院中。血圧162/69mmHg、脈拍86/分。定期診察時の12誘導心電図を示す(図3)。(図3)定期診察時の心電図画像を拡大する【問題7】異常Q波はいくつの誘導で認められるか。以下のうち、最も適切なものを選べ。1)0個(なし)2)2個3)3個4)5個5)7個解答はこちら5)解説はこちら古い(陳旧性)心筋梗塞の存在を示唆する「異常Q波」の拾い上げは2段階でしたね。まずはV1~V3誘導が陰性波から始まっていたら問答無用で“異常”です。V1はしっかりとした「QS型」で、V2、V3に認められる小さな“q波”―これらもすべて“アウト”(異常)です。V1~V3、そしてaVRを除く計8個の誘導では、幅と深さを意識した“1mmの法則(ルール)”が重要でした。II、III、aVFは幅的に“ヤバイだろ”と主張したげです(ここまでで6個)。残るV4は微妙ですが、幅も深さもほぼ1mmであること、そして何よりV3とほぼ同じQRS波形で片方(V3)がおかしければ、もう片方も自然に思えるセンスがDr.ヒロが求めるものの一つになります。ですから、今回は「7個」、これが正解です。参考レクチャー:第30回、第33回、第34回【問題8】壊死心筋(梗塞巣)として推定される部位は以下のうちどれか。すべて選べ。1)心室中隔2)左室前壁3)左室側壁4)左室後壁5)左室下壁解答はこちら1)、2)、5)解説はこちらこれは前問ができればオマケ的なものです。異常Q波を拾って、さらに解剖学(空間)的な隣接性、平たく言えば“お隣さんルール”。2つ以上の誘導セットでQ波があったら、その領域の心筋梗塞を疑うというシンプルなロジックです。CT画像を用いた心臓の水平断で宇宙人たちがカメラを構えていた図を覚えているでしょうか? V1が「心室中隔」、V2~V4は「前壁」、そしてII、III、aVFは「下壁」と対峙するのでしたね。このようなパターンでは、右冠動脈と左冠動脈前下行枝(LAD)とがそれぞれ別に詰まったというよりは、心尖部を越えて下壁中隔から下壁まで灌流するような大きなLAD(wrap-around / wrapped LAD)の梗塞であることが多いと思います。参考レクチャー:第17回症例提示481歳、女性。高血圧症、高尿酸血症、骨粗鬆症などで他院へ通院中。高齢で足腰が弱って通院困難を理由に転医希望、受診となった。心機能については無症状。血圧142/74mmHg、脈拍80/分・不整。初診時の12誘導心電図を示す(図4)。(図4)初診時の心電図画像を拡大する【問題9】心電図所見に関して正しいものをすべて選べ。1)上室外収縮2)心室期外収縮3)非伝導性心房期外収縮4)心房細動5)心室頻拍6)右軸偏位7)左軸偏位8)高度軸偏位(北西軸)9)完全右脚ブロック10)完全左脚ブロック解答はこちら1)、7)、10)解説はこちら最後はDr.ヒロ流“ドキ心”の真骨頂である所見拾いです。ゲーム感覚で漏れなく指摘して、気持ちよく終わりましょう。心電図自体は前半のものに比べればさほど難しくはないと思います。肢誘導3拍目、胸部誘導2、6拍目が「期外収縮」で、QRS幅はワイドですが、P波が先行し、洞収縮波形も含めてすべて同一のカタチですから、これは1)PACですね。“1画面”つまり全10秒間に3つ以上の期外収縮があったら、頭に「頻発性」とつけて結構なレベルです。なお、3)に関しては、予想される洞性P波のタイミングより早く、波形も異なるP波も認めるものの、直後にQRS波を伴わないパターンのPACですが、これは該当しません。4)と5)は基本調律に関するもので、いずれも該当しません。このように期外収縮がたくさん出るとAFチックに見えるので注意してくださいね。期外収縮以外のビートには、“イチニエフの法則”を満たすP波がQRS波手前の“定位置”におり、これは洞調律の証です。QRS電気軸は、定性的にI:上向き、aVF(II):下向きですから、「左軸偏位」(“トントン法”では「-60°」と求まる)ですね。その他、QRS波の「幅」に異常があることもわかりますね。ワイドでV1の「rS型」、I、aVL、V6でq波なくスラーを伴う「R型」ですので、「完全左脚ブロック」と診断してください。参考レクチャー:第1回、第19回【古都のこと~清水寺、音羽の滝】前回に引き続き清水寺の話をしたいと思います。ところで、清水寺の宗旨を知っていますか? いわゆる「~宗」というものです。正解は「北法相宗(きたほっそうしゅう)」*1。唐伝来の奈良仏教が、いかに京都にやって来たのかを知ることは、お寺の名称の起源を知ることでもあり、今回はそれをお話します。ある日、大和国(奈良県)の子島寺で修行した賢心(けんしん)は「木津川の北流に清泉を求めて行け」という霊夢に従い北を目指します。そして音羽の山中*2で輝くような清泉を発見し、そこで行叡居士(ぎょうえいこじ)から霊木を授かり、千手観音像を彫り、ここを観音霊地として草庵を結びます*3。それから2年後、音羽山に鹿狩りに来た坂上田村麻呂*4が修行中の賢心と出会い、観音霊地での殺生の罪を知り、観世音菩薩の功徳の話に深く感銘を受けます。これにより田村麻呂は仏門に帰依することとなります。その後、日本初の征夷大将軍に任命され、蝦夷平定から帰京した田村麻呂は798年(延暦17年)、自邸を寄進し、延鎮(えんちん)と改名した賢心とともに本堂を築き、音羽の滝の清らかな水にちなんで「清水寺」と名付けました。桓武天皇は清水寺を自らの御願寺と定め伽藍構築を支援し、大同5年(810年)には嵯峨天皇より「北観音寺」の宸筆(しんぴつ)が贈られ、鎮護国家の寺院の定めを受けたのです。以上が『続群書類従』による清水寺の始まりです。舞台に気を取られ、ふと見過ごしてしまいそうな「音羽の滝」に寺のルーツがあると知り、より一層キヨミズさんに興味が湧いてきますね。*1:南都六宗の一つで、唯識宗(ゆいしきしゅう)、応理円実宗(おうりえんじつしゅう)、慈恩宗(じおんしゅう)などとも呼ばれる。南都は奈良のこと。大本山は興福寺で、中世・近世において清水寺はその末寺であった。昭和40年(1965年)、北法相宗の本山として独立した。*2:山城国愛宕郡八坂郷の東山。当時は「乙輪」と呼ばれていた。*3:清水寺の開創とされる奈良時代末期の宝亀9年(778年)のこと。ボクが「舞台」と間違っていた奥の院付近が庵の場所とされ、真下に「音羽の滝(瀧)」がある。*4:奈良時代末期~平安時代の武人。身重の妻の病を癒やすため、鹿の生き血を求めたとされる。

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初めまして! 令和の研修医・森野コジカです!【森野コジカの研修医室からこんにちは!】第1回

第1回 初めまして! 令和の研修医・森野コジカです!皆さん、初めまして! 森野 コジカと申します。この春から都内研修病院に配属され、日々医療と格闘しています。この連載では、そんな私の日頃の疑問や悩みなどを漫画にして、皆さんにお伝えできたらと思います。令和の研修医の一例として、あたたかく見守っていただけたらうれしいです。どうぞよろしくお願いいたします!

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COVID-19と乳がん診療ガイドライン―欧米学会発表まとめ(吉村吾郎氏)

新型コロナウイルス (COVID-19) パンデミック下での乳がん診療の優先順位をどう考えるべきか。欧米関連学会が発表したガイドラインを市立岸和田市民病院 乳腺外科部長 吉村 吾郎氏が解説する。新型コロナウイルス (COVID-19) パンデミック下での乳がん診療について、欧州臨床腫瘍学会 European Society for Medical Oncology Cancer (ESMO) 1) と米国乳がん関連学会2)がガイドラインを作成している。いずれのガイドラインも COVID-19 リスクの最小化と診療利益の最大化を目的とする、乳がん患者の優先順位付けを推奨している。その内容に大差はなく、診療内容別に高優先度/中優先度/低優先度に分類し、米国ガイドラインは中および低優先度をさらに3段階に細分している。本邦の臨床事情に合わせて若干改変した両ガイドラインの概略を以下に記載する。【外来診療】○高優先度感染や血腫などで病状が不安定な術後患者発熱性好中球減少症や難治性疼痛など腫瘍学的緊急事態浸潤性乳がんの新規診断○中優先度非浸潤性乳がんの新規診断化学療法や放射線療法中の患者病状が安定している術後患者○低優先度良性疾患の定期診察経口アジュバント剤投与中、あるいは治療を受けていない乳がん患者の定期診察生存確認を目的とする乳がん患者の定期診察【診断】○高優先度重症乳房膿瘍や深刻な術後合併症評価目的の診断しこりやその他乳がんが疑われる自覚症状を有する症例に対する診断臨床的に明らかな局所再発で、根治切除が可能な病変に対する診断○中優先度マンモグラフィ検診で BI-RADS カテゴリ4または5病変の診断転移再発が疑われ、生検が必要とされる乳がん患者への診断○低優先度マンモグラフィ検診BRCAキャリアなど高リスク例に対する検診マンモグラフィ検診で BI-RADS カテゴリ3病変の診断無症状の初期乳がん患者に対するフォローアップ診断【手術療法】○高優先度緊急で切開ドレナージを要する乳房膿瘍および乳房血腫自家組織乳房再建の全層虚血術前化学療法を終了した、あるいは術前化学療法中に病状が進行した乳がん患者トリプルネガティブ乳がん、あるいはHER2陽性乳がん患者で、術前化学療法を選択しない場合○中優先度ホルモンレセプター陽性/HER2陰性/低グレード/低増殖性のがんで、術前ホルモン療法の適応となる乳がん患者臨床診断と針生検結果が不一致で、浸潤性乳がんの可能性が高い病変に対する外科生検○低優先度良性病変に対する外科切除広範囲高グレード非浸潤性乳管がんを除く、非浸潤性乳がん臨床診断と針生検結果が不一致で、良性の可能性が高い病変に対する外科生検二次乳房再建手術乳がん高リスク例に対するリスク軽減手術【放射線療法】○高優先度出血や疼痛を伴う手術適応のない局所領域病変に対する緩和照射急性脊髄圧迫、症候性脳転移、その他の腫瘍学的緊急事態症例に対する緩和照射高リスク乳がん症例に対する術後照射 (炎症性乳がん/リンパ節転移陽性/トリプルネガティブ乳がん/HER2陽性乳がん/術前化学療法後に残存病変あり/40歳未満)○中優先度65歳未満でホルモンレセプター陽性かつ HER2 陰性の中間リスク乳がんに対する術後照射○低優先度非浸潤性乳がんに対する術後照射65歳以上でホルモンレセプター陽性かつ HER2 陰性の低リスク乳がんに対する術後照射【初期乳がんに対する薬物療法】○高優先度トリプルネガティブ乳がんに対する術前および術後化学療法HER2 陽性乳がん患者に対する抗 HER2 療法併用の術前および術後化学療法炎症性乳がん患者に対する術前化学療法すでに開始された術前/術後化学療法高リスクのホルモンレセプター陽性かつ HER2 陰性乳がんに対する術前および術後ホルモン療法±化学療法術前ホルモン療法○具体的推奨事項化学療法と放射線療法の適応となるホルモンレセプター陽性症例において、放射線療法の先行は許容されるホルモンレセプター陽性かつHER2 陰性で臨床ステージI-II乳がんでは、6~12ヶ月間の術前ホルモン療法がオプションとなるホルモンレセプター陽性かつHER2 陰性で化学療法の適応となる乳がん症例では、術前化学療法がオプションとなる通院回数を減らす目的での化学療法スケジュール変更 (毎週投与を2週間または3週間毎投与に変更) は許容される。好中球減少症リスクを最小限とするため、G-CSF 製剤を併用し、抗生剤投与も行うべきである。免疫抑制を避けるため、デキサメタゾンは必要に応じて制限すべきである低リスク、あるいは心大血管疾患やその他の合併症を有する HER2 陽性乳がん症例では、術後の抗 HER2 療法の期間を6ヵ月に短縮することはオプションとなるLHRH アナログ製剤を、通院回数を減らすために長時間作用型へ変更すること、患者自身または訪問看護師による在宅投与することを、ケースバイケースで相談するアロマターゼ阻害剤を投与されている症例では、骨量検査を中止する (ベースラインおよびフォローアップとも)可能であれば、自宅の近くの医療機関で画像検査や血液検査を実施する可能であれば、遠隔医療による副作用のモニタリングを実施する【進行再発乳がんに対する薬物療法】○高優先度高カルシウム血症、耐えられない痛み、有症状の胸水貯留、脳転移など、腫瘍学的緊急事態症例に対する薬物療法重篤内蔵転移に対する薬物療法予後を改善する可能性の高い一次治療ラインでの化学療法、内分泌療法、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬○中優先度予後を改善する可能性のある二次、三次以降の治療ラインでの薬物療法○低優先度緊急性の低い高Ca血症や疼痛コントロール目的での骨修飾薬 (ゾレドロン酸、デノスマブ)○具体的推奨事項化学療法が推奨される場合、通院回数を減らす目的での経口薬治療は許容される通院回数を減らす目的での化学療法スケジュール変更 (毎週投与を2週間または3週間毎投与に変更) は許容される発熱性好中球減少症リスクの低いレジメンを選択することは許容される化学療法による好中球減少症リスクを最小限とするため、G-CSF 製剤を併用し、抗生剤投与も行うべきである。免疫抑制を避けるため、デキサメタゾンは必要に応じて制限すべきであるトラスツズマブとペルツズマブの投与間隔を延長することは許容される (例:4週毎投与)腫瘍量の少ない HER2 陽性転移性乳がんでトラスツズマブやペルツズマブによる治療が2年間以上にわたり行われている症例では、病状経過を3〜6ヵ月ごとにモニターしながら抗 HER2 療法の中止を考慮する耐容性を最適化し、有害事象を最小化するため、標的治療剤を減量投与することは許容される転移再発乳がん一次治療としての標的治療剤 (CDK4/6阻害剤、mTOR阻害剤、PIK3CA 阻害剤) とホルモン療法の併用を、ホルモン療法単独とすることは許容されるCDK4/6阻害剤による好中球減少症と COVID-19 発症リスクの関連は明らかではなく、感染徴候を注意深く観察し、COVID-19 を疑い症状が出現した場合は速やかに治療を中止する免疫チェックポイント阻害剤とCOVID-19 発症リスクの関連は明らかではなく、感染徴候を注意深く観察し、COVID-19 を疑い症状が出現した場合は速やかに治療を中止するLHRH アナログ製剤を、通院回数を減らすために長時間作用型へ変更すること、患者自身または訪問看護師による在宅投与することを、ケースバイケースで相談する多職種キャンサーボードでの議論と患者の希望を踏まえて、晩期治療ラインにおける休薬、最善支持療法、投与間隔の拡大、低容量維持療法は許容される骨転移患者に対する骨修飾薬は、通院回数を最小限にして投与されるべきである病状が安定している転移性乳がん症例では、ステージング目的の定期診察や画像検査の間隔を空ける抗 HER2療法中の心機能モニター検査は、臨床的に安定していれば遅らせることが許容される可能であれば、自宅の近くの医療機関で画像検査や血液検査を実施する可能であれば、遠隔医療による副作用のモニタリングを実施する1.ESMO magagement and treastment adapeted recommentaions in the COVID-19 ERA: Breast cancer. 2.Recommendations for prioritization, treatment, and triage of breast cancer patients during the COVID‐19 pandemic. the COVID‐19 pandemic breast cancer consortium.

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偽サイトに関する注意喚起/日本医師会

 5月14日、日本医師会ホームページになりすました偽サイトが作られていることが発覚した。14日16時時点で、偽サイトを悪用した攻撃などは確認できていないが、今後、当該偽サイトを利用して個人情報などを不正に奪取するような攻撃およびその被害が発生する可能性があるとして、日本医師会が注意喚起を行っている。 外部から日医ホームページ(https://www.med.or.jp/)にアクセスする際には、リンクにポインタを置く、アドレス欄をよく見るなど、ドメイン名を必ず確認するよう注意していただきたい。 現在、同会は現金の振り込みが必要となるページを一時的に閉鎖するなどの対応をとっており、今後の対応などについては、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)などに相談中とのこと。 日本医師会ホームページのアドレス(URL)は下記のとおり。 https://www.med.or.jp/ 公式ドメイン名「med.or.jp」または「~.med.or.jp」を使用。

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第36回 三叉神経痛の特効薬カルバマゼピンは安全性には要注意【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 顔面に痛みが生じる疾患はいくつかありますが、その1つに三叉神経が障害されて特徴的な症状を呈する三叉神経痛があります。食事、会話、歯磨きといった日常生活の支障になるケースも多く、悩んでいる方が多い疾患ですが、部位や症状から耳鼻科、皮膚科などに行っても病名がわからず、歯科、脳神経外科、ペインクリニックなどでやっと診断がついたという話も聞きます。実際、耳から顎の関節周辺にかけて痛みが強いという患者さんから相談を受け、神経科に受診勧奨したところ三叉神経痛だったということもありました。症状にぴんとこないと受診を提案すべき科のあたりがつけづらいので、痛みの特徴を知っておくことは有用です。三叉神経痛には、次のような特徴があるとされています。・顔の片側に生じる・実際に傷などがあるわけではない・痛みはほんの一瞬から数秒、長い場合でも数分程度・電気ショックや針で刺されているような鋭い痛みが生じる重度の場合は、手術を行うケースもありますが、まずは薬物治療として適応のあるカルバマゼピンが第1選択で用いられます。米国神経学会によると、三叉神経痛の薬物治療を行ったランダム化比較試験のうち、カルバマゼピンを比較対象としたプラセボ対照試験が4件あり、147例の患者を対象にカルバマゼピンの有効性が検討されています1)。いずれも古い試験ではありますが、明確な効果が示されていて、カルバマゼピン300~2,400mgを投与された患者の58~100%が良好な疼痛コントロールを達成した一方で、プラセボを投与された患者では0~40%でした。疼痛緩和を達成するために必要な治療数(NNT)は2未満と良好で、疼痛発作の頻度と強度の両方を軽減させ、自発発作や誘発発作に対しても同様の効果を示しています。バクロフェン、ラモトリギンなども有効である可能性が示唆されているものの、カルバマゼピンが特効薬ともいえるほど著効します。ただし、忍容性も高いというわけではなく、軽度の有害事象は3例、重度の有害事象は24例報告されていますので注意が必要です。無痛かつADLに支障がなかったのは約7%2019年には、日本ペインクリニック学会誌に三叉神経痛におけるカルバマゼピン療法の現状に関する短報が掲載されました。それによると、三叉神経痛で受診した患者556例中547例にカルバマゼピンの服用歴がありました。うち263例には何らかの副作用があり(有害必要数[NNH]=2.11)、来院前の服用中止指示が129例(NNH=4.31)、重篤な副作用発生が13例(NNH=41.6)となっており、内訳は薬剤過敏症症候群、中毒性表皮壊死症(TEN)などの重症薬疹、白血球減少、顆粒球減少、徐脈・失神などで、生命に危機を及ぼすほどではないものの危険な副作用は、めまい82例(うち骨折6例)、薬疹76例、肝機能異常19例でした。カルバマゼピンで無痛または食事、洗面、会話などのADLに支障がなく良好な疼痛管理ができていたのは約7%の39例(NNT=14.3、うちカルバマゼピン単独服用は20例)でした2)。重篤な副作用は気になりますが、皮膚粘膜眼症候群(SJS)や中毒性表皮壊死融解症(TEN)などの重症薬疹に関しては、HLAの遺伝子多型により頻度が変わる可能性が示唆されており、HLA-A*31:01スクリーニングにより安全に使える可能性はあります3)。ただし、日常診療に取り入れられているかは現時点で何とも言えません。薬局実務としては、診療科や処方薬から三叉神経痛の診断だと察して、症状から使用目的とその有用性を説明する必要があるでしょう。低用量から増量するケースが多いので、方針を聴き取っておく必要もあるかと思います。眠気、めまいなどが比較的多いことに留意することも重要ですが、症状やADLが改善しているか確認し、不十分ならどのような選択肢があるかまで説明できるとよいかと思います。1) Gronseth G, et al. Neurology. 2008;71:1183-1190.2)長沼 芳和. 日本ペインクリニック学会誌, 2019;26:67-69.3)Mushiroda T, et al. JAMA Neurol. 2018;75:842-849.

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第6回 “ロックダウン”招きかねない、コロナ以外のもう1つの懸念

新型コロナウイルスの感染拡大に収束の見通しが立たない中、いま一番起きてほしくないのが巨大災害だ。被災者が集まる避難所は究極の「3密」状態となり、クラスターの発生は避けられないだろう。しかし、そんな不安を増幅する予兆が出ている。日本各地における震度1以上の地震は、4月29日~5月6日までのゴールデンウイーク期間だけで31回、震度3以上は5回発生していた。このうち、千葉県では震度4の地震が2回発生した。小さな地震の多発は巨大地震の前兆と言われる。コロナ禍の最中、政府機関も巨大災害の予測を相次いで出している。政府の中央防災会議作業部会は3月31日、富士山噴火の想定結果を発表した。過去の富士山噴火のうち、宝永噴火(1707年)をモデルに想定。その結果、噴火から3時間で首都圏の広範囲に火山灰が降り積もり、鉄道や道路が不通となり、停電や断水も起きる。数時間でいわゆる“ロックダウン”の状態になるという。また、内閣府の有識者会議は4月21日、東北から北海道の太平洋沖の日本海溝・千島海溝沿いを震源とする巨大地震で想定される津波の高さや浸水域を公表した。最大震度7、最大30m弱の津波が襲来するという。これら以外にも、首都直下型地震と南海トラフ地震が予想されている。首都直下型地震はマグニチュード(M)7クラスが30年以内に70%の確率で、南海トラフ地震はM8~9クラスが30年以内に70~80%の確率で起きると見られている。確度の高い地震予知が難しいとはいえ、これらの巨大災害はいつ起きても不思議ではない。新型コロナ収束前に起きる可能性だってある。これに加え、例年の台風被害もある。危機管理能力に疑問符が付く政府がアテにならないことは、今回のコロナ対応で証明済みだ。避難所での新型コロナ感染や医療崩壊が起きる場合に備え、一般市民は友人や親戚宅など身を寄せる場所を事前に確保したり、食料や薬などの備蓄を行ったり、ソーラーパネル型自家発電装置を導入したりといった自助努力も必要となるだろう。近年、世界的に頻発している異常気象や自然災害の背景に、太陽の活動低下を指摘する説がある。現在、太陽活動の強さを示す黒点の数が極めて少なく、活動は「極小期」にある。黒点数が減ることで太陽から生じる磁場が減少し、磁場によるバリア機能が低下するため、地球に届く宇宙線量が増加。宇宙線は水蒸気の核となり、大量の雲を発生させ、地球を寒冷化させると共に大雨を降らせるという。思い返せば、今春は例年と比べて寒暖差が激しくなかっただろうか。九州大学宙空環境研究センター(現・九州大学国際宇宙天気科学・教育センター)の調査では、太陽黒点数が少ない時期ほど巨大地震の発生頻度が高いという。また、太陽黒点数が増減と景気循環が連動しているという太陽黒点説もある。過去30年ほどに起きた金融危機を見ると、ブラックマンデー(1987年)、アジア通貨危機(1997年)、リーマンショック(2008年)はいずれも黒点数がゼロになった日数がとくに多かった時期に当たるという。黒点数の減少がもたらす影響はそれだけではない。農作物の成育や人間の心身にも影響を及ぼすようだ。ある医療関係者は「コロナ禍以前から体調の不調を訴える人が増えている。不定愁訴といえる症状だ」と打ち明ける。図らずも、新型コロナに感染しやすい下地ができてしまったのだろうか。また、太陽活動と社会・人間の“イラつき”の相関関係について研究してきた人は「太陽活動の極小期には、訳のわからない凶悪犯罪が増える」と言う。太陽活動が地球に及ぼす影響について、もっと研究を進める必要があるのではないか。新型コロナに関する研究はもとより、「宇宙気象学」の進展も待たれる。

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血管内血栓摘出術前のrt-PA静注、有益かリスクか/NEJM

 大血管閉塞による急性虚血性脳卒中を呈した中国人の患者において、血管内血栓摘出術の単独施行は、症状の発症4.5時間以内にアルテプラーゼ静脈内投与を行ったうえでの血管内血栓摘出術施行と比べて、機能的アウトカムに関して非劣性であることが示された。中国・Naval Medical University Changhai HospitalのPengfei Yang氏らが、同国内41の大学関連医療施設で行った無作為化試験の結果を報告した。急性虚血性脳卒中において、血管内血栓摘出術の前にアルテプラーゼ静脈内投与を行うベネフィットとリスクについては、不確実性があると指摘されている。NEJM誌オンライン版2020年5月6日号掲載の報告。中国41施設で、摘出術単独群vs.併用群、90日時点の修正Rankinスコアを評価 研究グループは、中国国内41の大学関連3次医療施設において、急性虚血性脳卒中患者における血管内血栓摘出術について、アルテプラーゼ静脈内投与の有無を評価する無作為化試験を行った。前方循環系大血管閉塞を来した急性虚血性脳卒中患者を1対1の割合で無作為に2群に割り付け、一方には血管内血栓摘出術のみを(血管内血栓摘出術単独群)、もう一方には血管内血栓摘出術に先行してアルテプラーゼ0.9mg/kg体重を、症状発症から4.5時間以内に静脈内投与した(併用群)。 主要アウトカムは、無作為化後90日時点で評価した修正Rankinスケールスコア(範囲:0[症状なし]~6[死亡])で、血管内血栓摘出術単独群と併用群の差を評価し非劣性について解析した。非劣性の基準は、補正後共通オッズ比の95%信頼区間(CI)の下限値が0.8%以上とした。 また、死亡や虚血部再灌流などさまざまな副次アウトカムの評価も行った。単独群の非劣性を確認、死亡率は17.7% vs.18.8% 2018年2月23日~2019年7月2日に1,586例がスクリーニングを受け、656例が無作為化を受けた(327例が血管内血栓摘出術単独群、329例が併用群)。被験者の年齢中央値は69歳(四分位範囲:61~76)、男性は370例(56.4%)であった。症状発症から無作為化までの時間中央値は単独群167分(四分位範囲:125~206)、併用群177分(126~215)、無作為化から血栓摘出までの時間中央値はそれぞれ31分、36分であった。 主要アウトカムの修正Rankinスケールスコアに関する補正後共通オッズ比は、1.07(95%CI:0.81~1.40、p=0.04)で、単独群の併用群に対する非劣性が認められた。 しかし、血栓摘出術前の再灌流成功率(2.4% vs.7.0%)、全体的な再灌流成功率(79.4% vs.84.5%)は単独群で低かった。90日時点の死亡率は、単独群17.7%、併用群18.8%であった。 結果を踏まえて著者は、「その他の集団で大規模な検討を行う必要がある」と述べている。

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後期研修医向け医療小説【Dr.倉原の“俺の本棚”】第30回

【第30回】後期研修医向け医療小説世の中に後期研修医が主人公になった小説なんて、あっただろうか? いや思いつかない。初期研修医の頃も現場で葛藤し悩みますが、ちょっと成長した後期研修医ならではの悩みを小説にしてしまったのがこの本。ただし、前作『泣くな研修医』を読んでから、これに目を通すようにしてください。さすがに登場人物の事前情報があったほうが絶対に面白いですから。『逃げるな新人外科医 泣くな研修医2』中山 祐次郎/著. 幻冬舎文庫. 2020年著者の中山 祐次郎先生は、過去に一度対談したことがあって(第18回 特別編 ジェラシー全開で中山 祐次郎氏と話してみた!)、酔っぱらって鍋をつつきながら私に向かって放った、印象に残っている言葉があります。「祐次郎と裕次郎をよく間違えられるんですが、どっちでもいいですよ」という一言。漢字を間違えられても構わないとか、どんだけ器大きいんやこの人は。たぶんね、森羅万象を吸収しようとする人は、そうなっちゃうんでしょう。彼は自分でも言っていますが、作家としてはまだ新人です。しかし、おそらくこれから、何作も小説を出すに違いありません。さらなるページターナーになっている2作目、成長を感じさせます。小説を書く技術も、死ぬほど勉強されたんでしょう。読んでいて、周囲の風景が前よりも際立って“見える”ようになったもの。後期研修医の悩みは、初期研修医のそれとは少し異なります。初期研修医のときは、医療ってこんなんでいいのか、生死ってなんだ、みたいなフワっとした哲学的なものが多いですが、後期研修医はもっと具体的。あのときどういう言葉で説明すればよかったのか、指導医にいいところを見せたくて無理してしまった、とか。恋愛テイストもちょっと強めの第2作。「え、もうちょっと続きが読みたいんですけど!」というところで物語は終わります。中山先生、これは次回作に期待してもいいんでしょうね。雨野先生が、院長になるまで続けてもらいましょうか。医療界の「島耕作」みたいになっていったりして……。『逃げるな新人外科医 泣くな研修医2』中山 祐次郎 /著出版社名幻冬舎定価本体675円+税サイズA6判刊行年2020年

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コロナ危機が医師の収入を直撃!生活防衛策あれこれ【医師のためのお金の話】第32回

こんにちは。自由気ままな整形外科医です。新型コロナウイルス感染症に端を発した経済危機は、未曽有のものになる可能性が高まってきました。今回の経済危機とよく比較されるのは2008年のリーマンショックです。リーマンショックは百年に一度の経済危機、といわれましたが、当時、多くの医師は経済危機を実感することなく日常生活を過ごしていたと思います。私自身は株式投資を通じて人生を賭けた戦いをしていたので、経済が壊れていく状況を、悲壮感をもって体験していました。しかし、そんな私でも1997年のアジア通貨危機はまったく記憶にありません。それほど一般的な医師は経済危機とは無縁の存在ですが、今回のコロナ危機は今までとは様相が異なるようです。新型コロナの影で進行する経営不振感染症指定医療機関は人員を総動員して新型コロナウイルス感染症に対応していますが、周知のように開業医や一般医療機関は患者さんの受診抑制の影響で患者数が激減しています。感染を恐れた患者さんが受診しないために外来は閑古鳥が鳴いており、医療機関側も院内の感染リスクを恐れて受診抑制を推進しています。また、感染症指定医療機関や公的基幹病院の多くは、新型コロナに対応するために、それ以外の医療を縮小しています。私は整形外科医ですが、外傷や腫瘍以外の予定手術を延期する医療機関が増加したため、整形外科医としての本来の業務量は劇的に減少しています。医師になってから20年以上経ちますが、医療業界全体がこれほど大きな負の影響を受けたことは一度もなかったでしょう。医師の収入が劇的に減少医療業界がこのような状況なので、必然的に医師の収入も大きな影響を受けます。最も脆弱なのは大学関係者です。高度医療に携わっているにもかかわらず、外勤禁止や出張先の外来閉鎖などで収入は減る一方です。今回のような急激な変化は予想することさえできませんでした。一方、開業医も受診抑制の影響をもろに受けて悪戦苦闘しています。経営難に追い込まれるところも多く、医業収入の減少を避けることは難しいでしょう。このようにほぼすべての医師が収入面でも大きな負の影響を受けることも、かつてなかった状況です。生活防衛策として「固定費」削減をこのような状況下では、経済的に安定しているといわれる医師でも、生活防衛を真剣に考える必要があります。現状では収入を増やすことは難しいので、いかにして支出を減らすのかが重要なポイントです。支出を減らすためには家計の把握が必要です。医師は忙しいので、家計がどうなっているのかを詳細に知らない人が多いのではないでしょうか。しかし、支出を減らすためには家計の把握は必須。この際、まず見るべきポイントは「固定費」です。固定費とは「毎月継続的に支出する費用」のことで、具体的には下記が主なものとなります。住居費(住宅ローン、家賃)生命保険車関連費(自動車ローン、駐車場代)教育費(学費、習い事の月謝)定期購入しているもの定期支払いしているもの(スポーツジムの月会費など)通信費(携帯電話、インターネットなど)固定費は毎月支出するものなので、一度削減するとその効果は永続します。そして数ある固定費の中でも影響が大きいのは「大きな固定費」です。具体的には、住居費、生命保険、車関連費、教育費です。固定費削減の知恵あれこれ住居費は住宅ローンの借り換えで月々の返済金額を減らすことができるかもしれません。各社からいろいろな借り換えプランが出ているので検討してみましょう。一方で、生命保険は掛け過ぎになりがちです。生命保険が最も必要となるのは第1子が誕生した瞬間です。独身や夫婦だけの世帯に高額な生命保険は必要ありません。そして、これだけ低金利の環境では、貯蓄型ではなく掛け捨て型を選択するほうが望ましいでしょう。ちなみに私の生命保険は共済の掛け捨て型です。掛け捨て型は保険料が安いので、終身保険や養老保険と比較して大幅な固定費削減効果を見込めます。車関連費は都市部になるほどコスパが悪くなりがちです。公共交通機関が発達しているのであれば、思い切って車を手放すのもありでしょう。最近は「ちょい乗り」できるレンタカーサービスも増えました。また、配車アプリが普及してタクシーを利用しやすい環境も整いつつあります。決断するのにエネルギーが必要ですが、思い切って自動車を手放せば洗車の手間も省けて気持ちがラクになるかもしれません。教育費は削りづらいものですが、多くの教室や塾が閉鎖されている今の時期に「その習い事は本当に必要なのか?」を親子で考えてみましょう。新型コロナは大きな災難ですが、固定費削減を考えるきっかけにすることができれば、「禍を転じて福と為す」かもしれません。

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第20回 対人業務が三方良しの理由【噂の狭研ラヂオ】

動画解説ミスが怖いから、まだ早いからという言い訳で対人業務から逃げるのはもう終わり!商売は「売り手」「買い手」「世間」の3つにとって良くあるべきという近江商人の心得である三方良し。薬剤師が対物業務を離れて対人業務にシフトすることで、患者も、医療社会も、あなたも、三方良しとなる理由とは?

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特例承認された新型コロナ治療薬「ベクルリー点滴静注用100mg」【下平博士のDIノート】第49回

特例承認された新型コロナ治療薬「ベクルリー点滴静注用100mg」今回は、抗ウイルス薬「レムデシビル注射用凍結乾燥製剤(商品名:ベクルリー点滴静注用100mg、製造販売元:ギリアド・サイエンシズ)」を紹介します。本剤は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬として、時限的かつ特例的に承認されました。<効能・効果>本剤は、SARS-CoV-2による感染症の適応で、2020年5月7日に特例承認されました。なお、臨床試験などにおける主な投与経験を踏まえ、SARS-CoV-2による肺炎を有する患者を対象に投与を行うこと。<用法・用量>本剤は、生理食塩液に添加し、30~120分かけて点滴静注します。通常、レムデシビルとして、成人および体重40kg以上の小児には投与初日に200mg、2日目以降は100mgを、体重3.5kg以上40kg未満の小児には投与初日に5mg/kg、投与2日目以降は2.5mg/kgを1日1回点滴静注します。なお、総投与期間の目安は5日までとし、症状の改善が認められない場合は10日目まで投与します。<安全性>SARS-CoV-2による感染症患者1,313例を対象とした国際共同第III相試験において、因果関係ありと判断された有害事象は175例(13.3%)報告されました。主な副作用としては、悪心34例(26%)、ALT増加33例(2.5%)、AST増加32例(2.4%)、トランスアミナーゼ上昇15例(1.1%)など。重大な副作用として、肝機能障害、過敏症(Infusion Reaction、アナフィラキシーを含む)が現れることがあります。<重要な基本的注意>1.肝機能障害が現れることがあるので、投与前および投与中は定期的に腎機能検査、肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察する必要があります。2.低血圧や嘔吐、発汗、振戦などのインフュージョン・リアクション(急性輸注反応)が現れることがあるので、異常が認められた場合はただちに投与を中止し、適切な処置が必要です。これらの発現を回避できる可能性があるため、本剤の緩徐な投与を考慮してください。3.添加剤スルホブチルエーテルβ-シクロデキストリンナトリウムにより腎機能障害が現れる恐れがあるので、投与前および投与中は定期的に腎機能検査を行い、患者の状態を十分に観察する必要があります。<Shimo's eyes>今回、COVID-19に対する初めての治療薬が承認されました。SARS-CoV-2は「一本鎖プラス鎖RNAウイルス」で、同類としてはエンテロウイルス、C型肝炎ウイルス、ノロウイルスなどが知られています。本剤は、RNA依存性RNAポリメラーゼを選択的に阻害することでウイルスの増殖を抑制する作用を持ち、新型インフルエンザ治療薬ファビピラビル(商品名:アビガン)と同じ機序となります。本剤は、もともとエボラ出血熱などの新興感染症の治療薬として開発されていた抗ウイルス薬で、米国では5月1日から緊急的に重症患者への使用が認められました。これを受け、わが国でも特例承認制度が適用され、申請からわずか3日という異例の速さで承認されました。なお、承認薬となったのはわが国が世界初です。本剤は、重症患者の症状改善や回復までの期間短縮が期待されています。米国国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)が主導するプラセボ対照第III相試験(ACTT試験:COVID-19による中等度から重度の症状を呈する患者[きわめて重症の患者を含む]を対象としたレムデシビルのランダム化比較試験)において、レムデシビル群の回復までの日数中央値は11日で、プラセボ群の15日より4日短いことが示されました。一方で、死亡率については、統計学的に有意な差は得られませんでした(8.0% vs.11.6%、p=0.059)。重大な副作用として、肝機能障害、インフュージョン・リアクションなどが報告されています。なお、SARS-CoV-2による感染症患者を対象とした臨床試験(NIAID ACTT-1)では、プロトロンビン時間延長または国際標準化比(INR)増加の発現割合はプラセボ群と比較して本剤投与群で高かったことが報告されています。両投与群間で出血イベントの発現に差は認められていません。なお、本剤は2021年8月から保険適用となりました。※2021年8月、一部内容の修正を行いました。参考1)PMDA 添付文書 ベクルリー点滴静注用100mg

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去勢抵抗性前立腺がん、オラパリブが有効/NEJM

 新規のホルモン療法薬投与中に病勢が進行し、BRCA1、BRCA2遺伝子などに変異が認められた、転移がある去勢抵抗性前立腺がんの患者に対して、PARP阻害薬オラパリブの投与はホルモン療法薬投与と比べて、無増悪生存(PFS)期間を延長し、奏効率や、患者評価のエンドポイント(疼痛増悪までの期間など)も有意に良好であることが示された。英国・Institute of Cancer ResearchのJohann de Bono氏らが第III相無作為化非盲検試験の結果を報告した。相同組み換え修復などDNA修復に関与する遺伝子における複数の機能喪失の変化は、前立腺がんやその他のがん患者においてPARP阻害に対する反応との関連が示唆されている。これを踏まえて研究グループは、遺伝子変異が認められ転移がある去勢抵抗性前立腺がん患者に対する、PARP阻害薬を評価する試験を行った。NEJM誌オンライン版2020年4月28日号掲載の報告。画像判定による無増悪生存を比較 試験は、相同組み換え修復に直接的・間接的な役割を持つ規定遺伝子に、修飾的な変異が認められた患者を対象に行われた。 コホートA(245例)の被験者は、BRCA1、BRCA2またはATM遺伝子に1つ以上の変異がある患者で、コホートB(142例)は、事前に規定したその他12種の遺伝子に変異がある患者で、いずれも腫瘍組織の前向き・中央検査にて確認された。 研究グループは被験者を無作為に2対1の割合で2群に分け、オラパリブか、医師の選択に基づきエンザルタミドまたはアビラテロンを(対照群)、それぞれ投与した。 主要評価項目は、コホートAにおける画像診断に基づくPFSで、盲検化された独立中央検査により確認された。オラパリブ群の奏効率オッズ比は20超 コホートAのPFS期間中央値は、対照群3.6ヵ月に対し、オラパリブ群は7.4ヵ月と有意に延長した(病勢進行または死亡に関するハザード比[HR]:0.34、95%信頼区間[CI]:0.25~0.47、p<0.001)。確認された客観的奏効率と疼痛増悪までの期間についても、オラパリブ群の有意な有益性が確認された(奏効率に関するオッズ比:20.86、疼痛増悪に関するHR:0.44)。 コホートAの全生存(OS)期間中央値は、対照群15.1ヵ月に対し、オラパリブ群は18.5ヵ月だった。なお、対照群では病勢進行が認められた患者の81%がクロスオーバーを受けてオラパリブの投与を受けていた。 コホートA・Bを併せた被験者全集団でも、画像診断に基づくPFSについて、オラパリブの有意な有益性が認められた。 オラパリブを受けた患者の主な毒性効果は、貧血、吐き気だった。

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第25回 仮説検定における検出力とは?【統計のそこが知りたい!】

第25回 仮説検定における検出力とは?臨床試験を行う研究者は、治療が有効であって欲しいと考えていますから、前回解説した「第二種の誤り(過誤)[βエラー]」は極力避けたいものです。検出力は「1-β」で定義され、「本当は効果がある治療が正しく効果がある」と判断される確率のことです(図1)。図1 有意水準α(両側)の検定今回は、母平均の検定を例に検出力について解説します。■検出力は何を表すのか検出力は、「効果がある(差がある)のに、きちんと効果があると判定できる力」、つまりその検定がいかに優れているかを表します。第二種の誤り(過誤)を起こさない確率となりますので、βの補数(1-β)となります。一般に統計学者は「0.8(80%)は欲しい」と言っています。これは、100回検定をしたら80回は本来の差を検出できる力ということになります(図2)。図2 統計学的有意差検定における2種類の誤りと検定力検定統計量の値は、n数と検出力に大きく影響を受けます。一般的に、n数や検出力が大きくなれば、検定統計量の値は大きくなる傾向にあり、反対に小さくなれば値は小さくなります。帰無仮説で意味のある差が見られても、n数や検出力が小さければ、検定統計量の値は大きくならず、「有意差なし」となります。逆に帰無仮説での差が小さくても、n数や検出力が大きければ「有意差あり」となります。ただ、このような検定結果を鵜呑みにするのは危険です。したがって、サンプルサイズと検出力の設計を行った後に、そのサンプルサイズのもとで再度検定をやり直す必要が出てきます。■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ「わかる統計教室」第3回 理解しておきたい検定セクション4 仮説検定の意味と検定手順セクション8 信頼区間による仮説検定

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心臓再同期療法後、神経体液性因子抑制薬の中止は可能か?【Dr.河田pick up】

 左脚ブロックを伴う心不全患者において、神経体液性因子抑制薬による左室駆出率(LVEF)の改善は2%程度にとどまる。一方、心室再同期療法(CRT)は、心室同期不全を伴う心筋症において、進行したケースにおいても劇的に左室駆出率を改善することがある。これは、左脚ブロックなどの伝導障害が、一部の心筋症において大きな要因となっていることを意味する。一方で、CRTの植込み後に心機能が正常化した心不全患者に対し、神経体液性因子抑制薬を継続する必要性ついてはいまだに不明である。本研究では、CRT植込み後に左室駆出率が正常化した患者において、神経体液因子抑制薬を中止することが安全かつ可能かどうかが評価されている。ベルギー・Ziekenhuis Oost-Limburg病院のPetra Nijst氏らによる報告で、Journal of the American College of Cardiology誌3月号に掲載。左脚ブロックを有する非虚血性心筋症が対象、RAA系およびβ遮断薬を中止もしくは継続で4群に無作為化 本研究は、プロスペクティブランダム化オープンラベルの2X2クロスオーバー試験で行われた。レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系阻害剤(RAA阻害剤)を中断した群、RAA阻害剤に加えてβ遮断薬も中断した群、RAA阻害剤の代わりにβ遮断薬を中断した群、そして双方を継続する群の4つに分け、連続した患者80例を各々20例ずつ無作為に割り付けた。 一次エンドポイントは、「24ヵ月後における左室収縮末期容積係数の15%以上の増加」と定義されたネガティブリモデリングの再発。二次エンドポイントでは、24ヵ月における全死亡および心不全に関連した入院、そして持続性心室性不整脈を組み合わせ、複合した安全性の評価を行った。3分の2の症例では神経体液性因子抑制薬を中止しても、心不全は悪化せず 全症例中62%で、RAA阻害剤とβ遮断薬もしくはその両方を2年間中止しても、臨床症状、エコーでの心室のサイズ、NT-Pro BNPのレベルに変化は認められなかった。しかしながら、17例(2割)において高血圧や上室性不整脈のために神経体液性因子抑制薬の再開が必要となった。一次エンドポイントの発生は少ないが、それらの患者では神経体液性因子抑制薬の再開で左室駆出率と径は正常化した 2年のフォローアップ期間中、80例のうち6例(7.5%)が一次エンドポイントに達し、4例(5%)が二次エンドポイントに達した。一次エンドポイントに達した6例の患者では、神経体液性因子抑制薬がすぐに再開され、左室駆出率と左室径は6ヵ月以内に正常化した。 本研究は、あくまでも左脚ブロックを有する非虚血性心筋症で、CRT後に左室駆出率が大幅に改善した患者(試験開始時の平均LVEF:55%)が対象である。つまり、左脚ブロックが心室駆出率の低下の原因と考えられる患者群と言える。それらの患者でも、一部では神経体液性因子抑制薬の中止が、心機能の増悪と関連していることをこの研究は示唆している。また、その他の多くの心不全患者においては、たとえLVEFが改善したとしても、神経体液性因子抑制薬は継続すべきである。■関連コンテンツ循環器内科 米国臨床留学記

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Dr.皿谷の肺音聴取道場

第1回 胸部の解剖第2回 呼吸音伝達の仕組み第3回 正常呼吸音を聴く第4回 肺炎と胸膜炎を理解する第5回 頸部で聴こえる音第6回 中葉・舌区で聴こえる音第7回 肺底部で聴こえる音第8回 肺炎へのアプローチ第9回 気管支喘息、肺がんへのアプローチ第10回 多彩な疾患へのアプローチ 肺音に苦手意識がある先生、ぜひこの番組を見てください!Dr.皿谷が、胸部の解剖から肺音が聞こえる原理、雑音が生じる理由まで、肺音聴取に必要な知識を丁寧に解説します。胸部だけでなく頸部や口腔での聴診のコツも伝授。さまざまな部位での聴診スキルと異常音を知ることで、肺音から疾患を特定できるようになります。実症例で録音した肺音を数多く聞いて、コモンな疾患を聴き分けられる耳を養いましょう。※学習効果を高める1冊 皿谷氏の最新著作 「まるわかり!肺音聴診」は、聴診のポイントから診断アプローチまで丁寧に解説。DVDで学んだスキルを深く理解できるおすすめの1冊です。Amazon購入リンクはこちら↓「まるわかり!肺音聴診」(南江堂)第1回 胸部の解剖効果的に肺音を聞くには、解剖の理解が不可欠。なぜなら、体表から肺の位置を把握できることが適切な音を聞くための土台だからです。第1回では、モデルの体表に骨や肺の位置をマーキングし、体表から肺の位置がわかるように解説します。第2回 呼吸音伝達の仕組み肺音は、正常呼吸音と副雑音に分かれます。それぞれの異常に気付くために押えておきたい基本は呼吸音がどこで発生しているのか、そしてその音がどうやって体の中で伝達されているか。これを理解するために最も重要なポイント「肺はlow pass filterである」をわかりやすく解説します。第3回 正常呼吸音を聴く呼吸音は、気管呼吸音、気管支呼吸音、肺胞呼吸音の3つに分類されます。これらの正常音の聴取部位や音の性質をしっかりと把握していれば、異常を見つけるのも簡単。それぞれの呼吸音の正常な状態と、異常が生じる場合を実際に録音した症例音源で解説します。第4回 肺炎と胸膜炎を理解する臨床で頻繁に遭遇する肺炎と胸膜炎。これらの疾患で肺音はどう変化するのか?病変の種類と聴取部位による音の違いを、実際の症例で見ていきます。患者に発語してもらい音の変化から病変を捉える「声音聴診」や打診を組み合わせたテクニックも実技で解説します。第5回 頸部で聴こえる音患部を聴いても見つけられない状態変化を見つける方法を知りたくないですか?それは頸部聴診。頸部で聴こえる異常音がどんな音かを知ってさえいれば、気管狭窄や喘息発作、COPDの急性増悪などをすぐに見つけられます。症例写真と聴診音で勉強していきましょう!第6回 中葉・舌区で聴こえる音中葉・舌区は、鼻症状を呈する患者では必ず聴診を行うべき部位。なぜなら鼻に症状が出る場合、気管支にも何らかの異常があることが多いから。今回は副鼻腔気管支症候群や気管支炎などの疾患で聴こえる音の性質を見ていきます。さらにこれを理解するとより一層、聴診から疾患を予測できるようになる「呼吸相」を解説します。第7回 肺底部で聴こえる音間質性肺炎を疑うとき、最も注意して聴診すべき箇所が肺底部。ここで音をキャッチできるとより早期に間質性肺炎を発見し、治療に結び付けられます。肺底部での聴診のコツ、そして実際の症例で録音した肺音から、音の性質、聴こえるフェーズなどを理解しておきましょう。第8回 肺炎へのアプローチ肺音は、さまざまな肺炎を発見し病期を見分けるのに有用なツールです。今回はインフルエンザ感染後の肺炎、マイコプラズマ肺炎、そしてレジオネラそれぞれの肺音を症例写真とともに聴いていきます。呼気、吸気どちらでよく聴こえるか?高音か低音か?さまざまな角度から音を聴き分ける練習をしていきましょう。第9回 気管支喘息、肺がんへのアプローチ高音と低音と入り混じった喘鳴を聴いたとき、どんな疾患を想像しますか?答えを出すポイントは、気道の構造を考慮すること。気道の太さと細さで音の性質が変わることを念頭に置いて画像や診察情報と照らし合わせることで答えにたどり着くことができます。肺音と解剖、そして画像や診察情報などを総合して、疾患を見つける訓練をしていきましょう。第10回 多彩な疾患へのアプローチ最終回は肺音で聴き取れる特殊な症例をみていきます。画像診断やその他の検査で診断がついてから肺音を聴取してみると、その異常が肺音でも聴き取れることがわかります。こうした症例を知っておくと、侵襲的な検査をする前に異常を発見することにもつながります。これはまさに上級者のテクニック。基本的な肺音を聴けるだけでなく、高度なテクニックも身に付けて診断の精度を上げていきましょう!

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第48回 6gの食物繊維を追加して前立腺がんリスクの減少へ【使える!服薬指導箋】

第48回 6gの食物繊維を追加して前立腺がんリスクの減少へ1)Sawada N, et al. Am J Clin Nutr. 2015;101:118-25. [Epub 2014 Nov 19]2)平成29年国民健康・栄養調査報告(厚生労働省)3)日本人の食事摂取基準(2020年版)(同)4)食品成分データベース(文部科学省)

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