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レベチラセタムは末梢性の鎮痛・抗浮腫作用を示す

 セルビア・ベオグラード大学のRadica M. Stepanovic-Petrovic氏らは、ラット炎症性疼痛モデルを用いて、レベチラセタムの末梢局所における鎮痛・抗浮腫作用とその作用機序について検討した。その結果、レベチラセタムはオピオイド受容体、アドレナリン受容体、アデノシン受容体、5-HT受容体を介して末梢性の鎮痛作用を示すことが明らかになった。Anesthesia & Analgesia誌2012年12月号(オンライン版2012年11月9日号)の掲載報告。 本研究は、ラット炎症性疼痛モデルにおいて、レベチラセタムの炎症局所における鎮痛・抗浮腫作用ならびにその作用機序を検討することを目的とした。ラット足底(paw)皮下にカラゲナンを注射して炎症性浮腫を惹起させ、レベチラセタム(200~1,000nmol/paw)および各種受容体アンタゴニストの鎮痛作用を足圧痛法により評価した。さらに、レベチラセタムの浮腫に及ぼす影響を体積変動測定法により測定した。検討した各種受容体アンタゴニストは以下。オピオイド受容体アンタゴニスト:ナロキソン(75~300nmol/paw)、CTAP(1~5nmol/paw)アドレナリン受容体アンタゴニスト:ヨヒンビン(130~520nmol/paw)、BRL 44408(50~200nmol/paw)、MK-912(5~20nmol/paw)アデノシン受容体アンタゴニスト:カフェイン(500~1,500nmol/paw)、DPCPX(3~30nmol/paw)5-HT受容体アンタゴニスト:メチセルギド(10~100nmol/paw)、GR 127935(50~200nmol/paw)GABA受容体アンタゴニスト:ビククリン(400nmol/paw) 主な結果は以下のとおり。・レベチラセタムは、用量依存的かつ有意な疼痛閾値の低下、足浮腫抑制作用を示した。・レベチラセタム(1,000nmol/paw)の鎮痛作用は、GABA受容体アンタゴニストのビククリンで抑制されなかった。一方で、オピオイド受容体アンタゴニスト、アドレナリン受容体アンタゴニスト、アデノシン受容体アンタゴニスト、5-HT受容体アンタゴニストにより有意に抑制された。・ラットの対側後足にレベチラセタム、各種受容体アンタゴニストを投与した場合に効果が観察されなかったことから、これらの作用は末梢性であると考えられた。・以上のことから、レベチラセタムは末梢局所で鎮痛ならびに抗浮腫作用を示し、その作用はオピオイド受容体、アドレナリン受容体、アデノシン受容体、5-HT受容体を介したものであることが示唆された。レベチラセタムは、全身性の副作用および薬物相互作用の出現を低く抑え、炎症性疼痛を改善させうる。■関連記事とくにうつ病患者は要注意?慢性疼痛時のオピオイド使用レベチラセタム、部分てんかん患者に対する1年間の使用結果レビュー疼痛治療「プラセボでも一定の効果が」臨床試験に課題も抗てんかん薬レベチラセタム、日本人小児に対する推奨量の妥当性を検証

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統合失調症治療にニコチン作動薬が有効である理由とは?

 米国・Western New York Stem Cell Culture and Analysis CenterのM.K. Stachowiak氏らは、マウス試験の結果、FGF受容体シグナル伝達の変異が統合失調症に結びつく発達異常の中心的な役割を果たしており、統合失調症の治療についてニコチン作動薬が有効であることを示唆する知見を得た。Schizophrenia Research誌オンライン版2012年12月8日号の掲載報告。 統合失調症は、複数の神経システムの構造や結びつき、化学的作用を特徴とする神経発達障害であり、脳の発達障害は、成人期の初期に表れる臨床的な疾患症状よりずっと以前の妊娠期間中に確立されるとみられている。一方で、統合失調症には多数の遺伝子が関連しており、大半の患者に共通してみられる変異遺伝子の存在が認められていない。著者は、さまざまな変異遺伝子が統合失調症患者の脳でみられる複合的な一連の障害にどのように結びつくのかを検証した。 主な内容は以下のとおり。・著者は、さまざまな変異遺伝子からつくられるタンパク質が、共通の神経発達経路に収束し、複数の神経回路や神経伝達システムの発達に影響するのではないかと仮説を立てた。・そのような神経発達経路は、Integrative Nuclear FGFR1 Signaling(INFS)であった。・INFSには多様な神経性シグナル(直接的な遺伝子再プログラミングで、有糸分裂後に肝幹細胞や神経前駆細胞、未成熟な神経細胞の成長に直接働きかける)が集積される。・さらに、FGFR1とそのパートナータンパク質は、統合失調症と結びついた遺伝子が機能する複数の上位経路と結びつき、それらの遺伝子と直接的に影響し合う。・FGF受容体シグナル伝達の障害があるトランスジェニックマウスにより、複数の重要なヒト擬態統合失調症の特徴(神経発生的成因、出生時の解剖学的異常、行動症状の遅延発症、疾患の複数領域にわたる欠損、定型・非定型抗精神病薬とセロトニン拮抗薬およびニコチン受容体作動薬による症状の改善)が実証された。関連医療ニュース ・第一世代 vs 第二世代抗精神病薬、初回エピソード統合失調症患者に対するメタ解析 ・日本人女性の統合失調症発症に関連する遺伝子が明らかに ・統合失調症の遂行機能改善に有望!グルタミン酸を介した「L-カルノシン」

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双極性障害の再発予防に対し、認知療法は有効か?

 双極性障害患者は薬物療法を継続してもなお、再発するケースが少なくない。再発抑制を目指し、近年注目されているのがマインドフルネス認知療法(MBCT)である。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のT Perich氏らは、12ヵ月間のフォローアップを行ったランダム化比較試験により、双極性障害患者の治療におけるMBCTの有用性を検証した。Acta psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2012年12月9日号の報告。 対象はDSM-IVで双極性障害と診断された患者95例。通常療法+MBCT実施群48例と通常療法単独群47例に無作為に割り付けた。主要評価項目は、DSM-IVの大うつ病、軽躁、軽躁エピソードの再発までの期間、モントゴメリー/アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)、ヤング躁病評価尺度(YMRS)とした。副次的評価項目は再発回数、うつ病・不安ストレススケール(DASS)、特性不安尺度(STAI)とした。 主な結果は以下のとおり。・気分エピソードの最初の再発までの期間、12ヵ月間の再発合計回数は両群間で有意な差が認められなかった(ITT解析)。・MADRS、YMRSのスコアも両群間で有意な差は認められなかった。・STAIの不安状態スコアにおいては、両群間に有意な差が認められた。・DASSのアチーブメントサブスケールの治療反応時間に有意な差が認められた。・今回の試験では、MBCTは主要評価項目に対する有用性は認められなかったものの、双極性障害に併存する不安症状の軽減に対し有効である可能性が示唆された。関連医療ニュース ・アリピプラゾールが有用な双極性障害の患者像とは? ・うつ病の5人に1人が双極性障害、躁症状どう見つける? ・双極性I型障害におけるアリピプラゾールの有効性-AMAZE試験より-

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検証!結婚できない男性の精神的健康状態

 中国は100人の女性あたり118人の男児を出産する、世界中で最も男児の出生が過剰な国であり、現在、生殖年齢に達する男性は2,000万人も過剰となっている。そのため、結婚できない男性が少なくない。これらかなりの数の結婚できない男性の精神的健康(well-being)における影響は不明である。Xudong Zhou氏らは、30~40歳の未婚男性についてうつ病の発症リスク、自尊心、攻撃性に関する検証を行った。Social psychiatry and psychiatric epidemiology誌オンライン版2012年12月12日号の報告。 男性比率の高い農村部(雲南省と貴州省)で、自己記入式アンケートを用いた横断的調査を行った。評価には、ベックのうつ病調査票、Rosenbergの自尊心尺度、Bryant-Smithの攻撃性アンケートを用いた。 主な結果は以下のとおり。・30~40歳の未婚男性1,059名、既婚男性1,066名が調査を完了した。・未婚男性は既婚男性と比較して、経済的に劣っており、教育水準が低かった。・年齢、教育、所得を調整した結果、未婚男性は既婚男性と比較して、低い自尊心のスコア、高い抑うつスコア、高い攻撃性スコアを示す傾向が有意に高く、自殺念慮や自殺願望を有する傾向が高かった(各々p

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SSRIの短期治療、うつ症状改善に先立ち正常化する扁桃体機能

 SSRIなどの抗うつ薬は、うつ病患者の行動や神経の評価指標である感情プロセスを改善させる。しかし、それが臨床変化の前に起こるのか、結果として起こるのか明らかではなかった。英国・Warneford病院のGodlewska BR氏らは、うつ病患者へのSSRIの短期治療の影響を調査し、抑うつ症状の改善に先立ち扁桃体機能活性が正常化されることを明らかにした。Psychological Medicine誌2012年12月号の掲載報告。 本研究は、うつ病患者へのSSRIの短期治療について、感情面の臨床的改善以前における恐怖の表情に対する神経性反応への影響について調査した、プラセボ対照無作為化並行群間試験である。42例の未治療うつ病患者に、SSRI(エスシタロプラム10mg/日)かプラセボを投与した。恐怖の表情と幸福な表情に対する神経性反応は、治療開始7日目にMRIを用いて脳内を測定し評価した。同様の方法で、健常者(対照群)の画像診断も行った。 主な結果は以下のとおり。・恐怖の表情に対する扁桃体反応は、対照群よりもうつ病患者群で有意に強かった。・一方で、この反応はSSRIによる治療を7日間受けた患者では正常化していた。・7日時点の臨床的なうつ病評価について、SSRI治療群とプラセボ群に有意な差はみられなかった。・以上から、SSRIの短期治療は、うつ病患者の抑うつ感情を改善するのに先立って、ネガティブな感情刺激に反応する扁桃体機能活性を正常化することが示唆された。・この結果は、抗うつ薬の臨床効果は早期の感情プロセスの変化を通じてもたらされるとの仮説を支持する。さらなる研究で、これら早期の効果が、最終臨床転帰を予想しうるかを検証する必要がある。関連医療ニュース ・うつ病に対するミルタザピンvs他の抗うつ薬 ・検証!デュロキセチンvs.他の抗うつ薬:システマティックレビュー ・双極性障害では短期間の強いうつ症状が高頻度に出現

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第一世代 vs 第二世代抗精神病薬、初回エピソード統合失調症患者に対するメタ解析

 初回エピソードの統合失調症スペクトラム障害の治療では、早期治療の選択が重要である。米国・ザッカーヒルサイド病院のJian-Ping Zhang氏らは統合失調症スペクトラム障害患者における第一世代抗精神病薬(FGAs)と第二世代抗精神病薬(SGAs)の有効性および忍容性をメタアナリシスにより比較検討を行った。The international journal of neuropsychopharmacology / official scientific journal of the Collegium Internationale Neuropsychopharmacologicum (CINP)誌オンライン版2012年12月3日号の報告。 2010年12月12日までに報告された、「急性期、1剤以上のFGAとSGAを比較した無作為化試験、初回エピソードで精神疾患、統合失調症スペクトラム障害と診断された患者、精神病理学的変化(治療反応、治療中止、副作用、または認知機能)について得られたデータ」に関する系統的文献検索を行い、メタアナリシスを実施した。13試験、2,509例が該当した。 主な結果は以下のとおり。・有効性の評価においてFGAs(ハロペリドール9/13試験)を上回ったのは、オランザピン(7試験)で9/13試験、アミスルプリド(1試験)で8/13試験、リスペリドン(8試験)4/13試験、クエチアピン(1試験)3/13試験、クロザピン(2試験)1/13試験、ジプラシドン(1試験)1/13試験であった。・錐体外路症状(EPA)に関連する評価においてFGAsと比較したところ、オランザピン、リスペリドン、クロザピンは少なかったが、体重増加はクロザピン、オランザピン、リスペリドンで多かった。・総合精神病理学的変化、うつ症状、治療反応、代謝系の変化においてSGAsはFGAsと同等であった。・SGAsは体重増加を来す一方で、治療中止率(原因にかかわらず)、陰性症状、認知機能、EPS、アカシジアについて、FGAsと比較し有意に少なかった(p<0.05~0.01)。・結果はFGAsの用量や出版バイアスによる影響を受けなかったが、業界主催の研究の方が政府主導の研究よりもSGAsに好ましい結果が得られていた。初回エピソード統合失調症患者の治療においてFGAsと比較したところ、オランザピン、アミスルプリド、次いでリスペリドン、クエチアピンが優れた有効性、治療継続性、EPSの少なさを示した。しかしながら、オランザピン、リスペリドン、クロザピンは体重増加が多く、オランザピンは代謝系の変化に来す影響が大きかった。関連医療ニュース ・初回エピソード統合失調症患者、長期予後予測に新基準! ・長時間作用型注射製剤は、統合失調症患者の入院減少と入院期間短縮に寄与 ・抗精神病薬の効果をどのタイミングで見極めるべきか?

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側頭葉てんかんでの海馬内メカニズムの一端が明らかに

 てんかん重積状態(SE)およびその後のてんかん発作を誘発するため、ラットの全身または脳内(海馬や扁桃体など)へのカイニン酸投与が広く行われている。しかし脳内投与では、特発性再発性てんかん発作が認められるラットの割合は低く、再発頻度も比較的低い。ドイツ・ハノーバー獣医科大学のMarta Rattka氏らは、ラットモデルにおける再発側頭葉てんかん発作時の、海馬内のカイニン酸の作用機序について明らかにした。Epilepsy Research誌2012年11月26日号の掲載報告。 特発性再発性てんかん発作の発現や頻度が低いという問題について、最近、カイニン酸を覚醒ラットの背側海馬に投与することで解決できるのはないかということが示唆されており、先行研究が報告されていた。Rattka氏らは、さらにこのモデルの特徴を詳述するため、覚醒ラットの片側の後側海馬のCA3にカイニン酸(0.4μg)を投与した。 主な内容は以下のとおり。・すべてのラットで、死亡例なく、辺縁系SE(範囲:4~20時間)が発生した。・SE後1~8ヵ月の1~2.5週の期間において、再発てんかんビデオ脳波モニタ(24時間/日、7日/週)を行った結果、91%のラットでてんかんが発症し、発作の頻度も有意に増大した。・てんかん発作は、興奮性を増し水迷路試験における学習記憶害を増大することが認められた。海馬の病理学的影響(同側海馬のCA3、歯状回門の広範囲のニューロン欠損や顆粒細胞の拡散によって特徴づけられる)によるものと思われた。・本試験のラットを用いたフェノバルビタールの試験では、すべてのラットが、特発性再発性てんかん発作の抑制に対する治療に反応を示した。・以上の結果より、覚醒ラットの脳内へのカイニン酸投与は、ヒト側頭葉てんかんの優れたモデルを提供するものであり、とくに抗てんかん薬や抗てんかん発作治療のターゲットとしての外傷性てんかんや共存症のメカニズムを検討するモデルとして優れている可能性があることが示された。関連医療ニュース ・てんかん患者のうつ病有病率は高い ・てんかん発作時の脳炎がPET画像診断活用で明らかに ・てんかんを持つ人のうつ病発症を理解することが急務

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統合失調症患者の予後は?治療と生存率との関係

 統合失調症は過剰な死亡率や複数疾患の罹患率と関連しており、それは本疾患が心身複合疾患のため治療が困難であることと関連している可能性が示唆されている。米国・退役軍人省のJack Y Tsan氏らは、レセプトから11種類のガイドライン治療を解析し、それら治療と生存率との関連を評価した。その結果、高齢の統合失調症患者はガイドラインに即した治療が行われている割合が相対的に低く、長期の治療傾向と生存率との関連は非線形パターンを示すことなどが明らかにされた。BMC Medicine誌オンライン版2012年11月26日号の掲載報告。 全米4万9,173例の50歳以上退役軍人である統合失調症患者を対象に、2002~2009年の8年間にわたるガイドライン治療を調査した。退役軍人健康管理局(VA)の電子カルテから、被験者の人口統計学的および医学的な情報を収集し、2004米国精神医学会(APA)ガイドラインを基に、11種類の治療パターンを定め、クラスター解析を行った。治療タイプは、心血管系、代謝系、体重管理、ニコチン依存症、感染症、視覚系、メンタルヘルスカウンセリング(個人、家族、薬物/アルコール、薬物療法、作業療法)などであった。ケアパターンと生存率との関連について、臨床変数および人口統計学的変数で補正後に生存解析にて評価した。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症に加えて、平均4つの慢性疾患がみられた。とくに高血圧症(43%)と脂質異常症(29%)が多くみられた。・対象コホートにおいて長期の治療傾向について3つのクラスターが同定された。「介入が高度」(毎年平均5.4種類の治療)、「介入が中程度」(平均3.8種類)、「介入が低調か減少」(平均1.9種類)。・対象患者の多くが、心血管治療(67~76%)、肝・腎機能アッセイ(79~84%)、個人カウンセリング(72~85%)、精神医学的コンサルト(66~82%)を受けていた(割合はクラスターグループによって異なっていた)。・年齢、ベースラインにおける共存症、その他共変量で補正後、「介入が低調か減少」群の生存率は、「介入が高度」群よりも高かった。「介入が高度」群は「介入が中程度」よりも生存率が高く、治療傾向と生存率の関連は非線形パターンを示した。・「介入が低調か減少」群は、最も高齢だったが、年齢およびその他変数で補正後の生存率は最も高かった。その理由として、より若く体調が優れない人と比べて、必要とした治療が少なく、共存症の負荷が顕著に低かったためと考えられた。・補正後モデルにおいて、体調が最も良くない人(共存症スコアが最も高い人で、障害度も高い人)のグループでは、ガイドライン治療を受けることによって、介入が中程度である群と比べた場合にのみ生存率が顕著に改善した。関連医療ニュース ・抗精神病薬の高用量投与で心血管イベントリスク上昇 ・日本人統合失調症患者の脂質プロファイルを検証! ・統合失調症における長期転帰の予測因子は「男性」「顕著な陰性症状」

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統合失調症入院高齢患者、アジアでの多剤併用率は50%以上

 アジア各国の協力のもと、東アジアにおける向精神薬処方調査(REAP)が1999年より実施されている。今回、Yu-Tao Xiang氏らは、アジア各国における高齢の統合失調症入院患者における抗精神病薬の多剤併用状況と人口統計学的および臨床的相関について検討し、報告を行った。Journal of clinical psychopharmacology誌2012年12月号掲載。 対象は2001~2009年のREAPデータベースより抽出した、中国、香港、日本、韓国、シンガポール、台湾など6ヵ国・地域における55歳以上の統合失調症入院患者1,439例。社会人口統計学的および臨床的な特性と抗精神病薬の処方箋を標準化されたプロトコルとデータ収集手法により集積した。 主な結果は以下のとおり。・抗精神病薬が多剤併用処方されていた頻度は51.6%であった。・抗精神病薬が多剤併用処方されていた患者では、抗精神病薬の投与量が多く、第一世代抗精神病薬の処方割合が高かった(多重ロジステック回帰分析)。関連医療ニュース ・日本における抗精神病薬の用量はアジア各国と比較し、まだ多い ・ベンゾジアゼピン系薬剤の使用で抗精神病薬多剤併用率が上昇?! ・抗精神病薬アリピプラゾール併用による相互作用は?

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日本人統合失調症患者における自殺企図の特徴は?:岩手医科大学

 救急医療機関における自殺企図患者は、何かしらの精神疾患を抱えているケースが少なくない。岩手医科大学 肥田篤彦氏らは統合失調症患者における自殺企図の特徴を、うつ病患者と比較し、検討を行った。Schizophrenia research誌オンライン版2012年11月3日号の報告。統合失調症患者は重篤な自殺未遂方法を選択する傾向 対象は、8年間に岩手医科大学精神科救急部門においてICD-10で統合失調症(F2)と診断された患者260例、およびうつ病(F3)と診断された患者705例。対象患者は24歳以下、25~44歳、45歳以上の3群で比較した。自殺未遂方法の重篤度に関連する因子は、多変量ロジスティック回帰分析を用いて同定した。 統合失調症患者における自殺企図の特徴を検討した主な結果は以下のとおり。・25歳以上の統合失調症患者は、うつ病患者と比較し、平均年齢がより若く、1年以内の自殺企図、過去の自殺企図を有する割合が高かった。・統合失調症患者では、年齢にかかわらず、幻覚・妄想に起因する自殺未遂が圧倒的に多く、高所からの飛び降り、対向列車への投身、自分自身に火をつけるなどの重篤な自殺未遂方法を選択する傾向にあった。・45歳以上の患者では、独居者の割合が高かった。・すべての年齢層において、失業者が多かった。また統合失調症患者では、うつ病群と比較し、LCU(Life Change Unit:生活変化単位)スコアが低値であった。・25~44歳の統合失調症患者では、より高いBPRS(簡易精神症状評価尺度)スコアとより低いGAS(総合評価尺度)スコアが認められた。・自殺未遂方法の重篤度に影響を与える要因として、1年以内の自殺企図の既往が重篤度を上昇させ、教育年数と重篤度にも相関が認められた。また、統合失調症患者、うつ病患者の双方で、GASにおける全体的な健康の低スコアが重篤度を上昇させることが示された。

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長時間作用型注射製剤は、統合失調症患者の入院減少と入院期間短縮に寄与

 大塚アメリカファーマシューティカル社のSteve Offord氏らは、長時間作用型注射製剤または経口の抗精神病薬による治療を開始した統合失調症患者について、入院と再発の状況を評価した。その結果、長時間作用型注射製剤による治療は入院回数、入院日数とも著明に減少させることを報告した。Journal of Medical Economics誌オンライン版2012年11月28日号の掲載報告。 本研究の目的は、長時間作用型注射製剤または経口の抗精神病薬による治療を開始した統合失調症患者について、入院および再発の発生を比較検討することであった。民間医療保険およびメディケアの保険請求を含む大規模データベースを用いて、長時間作用型注射製剤または経口の抗精神病薬による治療を開始した統合失調症患者を抽出。治療開始前のベースライン期間(12ヵ月)と治療開始後のフォローアップ期間(12ヵ月)における入院の状況と再発率を比較検討した。また、多変量解析を用いて、ベースライン期間とフォローアップ期間の入院回数および入院期間の差に及ぼす両製剤の影響を評価した。 主な結果は以下のとおり。・長時間作用型注射製剤の抗精神病薬を開始した民間医療保険加入患者(394例)において、治療開始前と比べて治療開始後は入院回数、入院期間とも有意に減少した。 全原因による入院回数:1.60±1.66 vs 0.70±1.20、p < 0.001 入院期間:16.9±20.7 vs 6.6±14.4日、p 

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呼称変更から10年、統合失調症患者へのスティグマを減らすためには:日本医科大学

 日本医科大学精神神経科の大森 中氏らは、臨床研修医の統合失調症患者に対する潜在的な態度と患者と接する上での影響について調べた。また、精神科での臨床トレーニング前後の態度と接し方の変化についても評価した。統合失調症患者とその家族は、スティグマに非常に苦しんできた。名称変更など偏見やスティグマを根絶するためのさまざまな努力にもかかわらず、いまだ医療従事者においてすら偏見にとらわれている者がいる。また、臨床研修医が患者とどのように向き合っているのかについてはほとんど知られていなかった。BioMed Central Psychiatry誌オンライン版2012年11月22日号の掲載報告。 研究グループは、臨床研修医について、統合失調症に関する日本語の名称変更の影響を評価した。また、精神科での1ヵ月間の臨床トレーニング前後の統合失調症に対する態度を比較し、それらの統合失調症患者と接する上での影響を評価した。評価は、IAT(Implicit Association Test)とLinkスティグマ尺度にて行った。主な内容は以下のとおり。・51人の臨床研修医が参加した。・トレーニング前、旧名称である「精神分裂病」は新名称「統合失調症」よりも、犯罪と結び付く傾向が強かった。・ところがトレーニング後、まったく予想に反して、旧名称よりも新名称についてより強く犯罪と結び付ける傾向が強まった。・Linkスティグマ尺度とIATとには有意な相関性は認められなかった。・統合失調症への名称変更は、臨床研修医における統合失調症の負のイメージを減少したが、統合失調症患者とのコンタクトが、予想に反してネガティブな態度への変化を増長した。・これらの結果は、統合失調症に関するネガティブな態度の形成を理解することに寄与し、懸念される偏見やスティグマを減らすための精神科での適切なトレーニングを開発する一助となるだろう。関連医療ニュース ・厚労省も新制度義務化:精神疾患患者の「社会復帰」へ ・検証!非定型抗精神病薬の神経保護作用 ・抗精神病薬の高用量投与で心血管イベントリスク上昇:横浜市立大

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グルタミン酸作動性システムは大うつ病の効果的な治療ターゲット

 グルタミン酸作動性システムについては、とくにグルタミン酸とNMDA受容体の異常が大うつ病の病態生理に関与していることを示すエビデンスが数多く報告され、グルタミン酸作動性神経伝達の不均衡がNMDAアゴニズムの活性に寄与し、大うつ病に関連する脳内の興奮活性を亢進する可能性が示唆されていた。しかし、NMDA受容体阻害薬が抗うつ病薬のような活性を備えていることが示されたにもかかわらず、依然として異常なグルタミン酸作動性シグナル伝達の基底にある分子的な変化は十分に解明されていなかった。そのような中、グルタミン酸作動性システムが、大うつ病に対する効果的な治療介入ターゲットであることが、イタリア・ローマ大学サピエンツァ校のGianluca Serafini氏らによる最新のレビュー研究によって明らかにされた。Current Pharmaceutical Design誌オンライン版2012年11月19日号の掲載報告。 研究グループは、大うつ病でNMDA受容体をターゲットとしているグルタミン酸作動薬の主要な薬理学的特性と影響に焦点を合わせ、最新文献のレビューを行った。文献の検索は、PubMed/Medline、ScienceDirect databasesにて、グルタミン酸、うつ病、大うつ病性障害をキーワードに行った。 主な内容は以下のとおり。・大半のグルタミン酸受容体作動薬は、臨床および前臨床研究いずれにおいても、抗うつ作用の活性を示す生化学的な影響を示した。また、最新の神経画像診断や遺伝学により、これら薬物の抗うつ作用性が確認されていた。・NMDA受容体阻害薬などヒトを対象とした試験が、結果に混乱を生じさせていた。・全体的には、グルタミン酸作動性受容体の調節機能は、ヒトのうつ病に対する治療反応と関連している神経伝達物質の放出と同じように、ニューロン幹細胞の増殖(ニューロン形成)を容易にする可能性がある。ただし、認知機能に対する副作用と精神障害の発現性があり、臨床への適用および有用な薬剤開発を難しくしている。・NMDA受容体をターゲットするグルタミン酸作動薬(神経伝達物質の放出を阻害したり、シナプス後部反応を調節する)は、特異的な抗うつ作用を持つ分子モジュレーターとして役立つ可能性がある。関連医療ニュース ・検証「グルタミン酸仮説」統合失調症の病態メカニズム ・難治性うつ病に対するアプローチ「SSRI+非定型抗精神病薬」 ・SPECT画像診断による前頭部脳血流評価で、大うつ病高齢者のSSRI有効性を予測

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統合失調症患者における「多飲」その影響は?:奈良県立医大

 統合失調症において多飲傾向を認める患者は多い。多飲による過度な水分摂取は、低ナトリウム状態を誘発したり、水中毒につながることもある。奈良県立医科大学 永嶌 朋久氏らは、統合失調症患者の多飲と神経心理学的障害や脳の構造的変化との相関を検討した。BMC psychiatry誌オンライン版2012年11月26日号の報告。 対象は多飲を認める統合失調症患者、多飲を認めない統合失調症患者、健常対象者の各々8例。すべての被験者はMRIと神経心理学的テストを施行した。構造異常は、ボクセルベース形態計測(VBM)を用いて分析した。患者の神経心理学的機能は、統合失調症認知機能簡易評価尺度日本語版(BACS-J)を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・両患者間で臨床的特徴の有意な差は認められなかった。・多飲を認める統合失調症患者は、健常者と比較して、広範囲な脳容積の減少と神経心理学的障害を示した。・多飲を認める統合失調症患者は、多飲を認めない患者と比較し、左側島皮質の有意な減少を示した。・多飲を認めない統合失調症患者における神経心理機能テストの結果は、他の2つのグループの中間であった。・統合失調症患者における多飲は、左側島皮質の減少により、深刻な神経心理学的障害を誘発する可能性があることが示唆された。関連医療ニュース ・日本人統合失調症患者の脂質プロファイルを検証! ・性的強迫観念は、統合失調症患者で頻度が高く、自殺行動と独立して関連 ・日本人統合失調症患者の認知機能に影響を与える処方パターンとは

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鎮静目的のハロペリドール単独使用のエビデンスは蓄積されたのか?

 ハロペリドール単独での精神疾患による攻撃性や興奮症状に対する鎮静効果に関するレビューの結果、他のあらゆる選択肢がない場合に筋注投与は救命手段になりうるが、副作用を相殺する併用薬が入手可能であるにもかかわらず単独投与する場合は、極限の非常事態であっても非倫理的とみなされる可能性があることなどが明らかにされた。英国・マンチェスター大学のMelanie J Powney氏らにより報告された。Cochrane Library 2012年11月14日の発表報告。 精神疾患による攻撃性や興奮状態に対してはハロペリドールの単独投与が推奨されている。同薬は入手がしやすく、同時にリソースが限られる地域では唯一利用可能な抗精神病薬だが、研究グループは、その治療効果のエビデンスについて調査を行った。Cochrane Schizophrenia Group Trials Register(2011年6月1日)により文献検索を行い、興奮あるいは攻撃性(または両方、いずれも精神疾患によると思われるもの)を呈する人が関与し、ハロペリドール単独急速投与(経口、筋注、静注)と他の治療を比較していた無作為化試験(RCT)を選択した。アウトカムには、鎮静あるいは30分以内睡眠、24時間以内の急速鎮静のための再投与、特異的行動(他者/自身に対する脅威や傷害行為)、副作用を含んだ。レビュワーが独立的に、試験の方法論的質と抽出データを選択し評価した。「所見サマリー」部分からエビデンス等級と、可能な限り適正な絶対効果を割り出した。 主な内容は以下のとおり。・レビューには、32試験(ハロペリドールと他の治療18とを比較)を組み込んだが、ほとんどの研究は臨床を反映したものではなく著しい例外を内包しており、また大半は小規模な試験で、かなりのバイアスリスクを含むと思われた。・そのうえで、プラセボとの比較の結果、ハロペリドール群のほうが、2時間後に眠りに就いていた人がより多かった[2試験、220例、リスク比(RR):0.88、95%信頼区間(CI):0.82~0.95]。また、ジストニアの頻度が高かった(2試験、207例、7.49、0.93~60.21)。・アリピプラゾールとの比較で、ハロペリドール群のほうが、注射剤を要した人は少なかった(2試験、473例、0.78、0.62~0.99)。ジストニアの頻度はハロペリドール群のほうが高かった(2試験、477例、6.63、1.52~28.86)。・ジプラシドンとの試験は大規模試験が3件あったが、試験デザインと報告の不備が大きくデータが散在している状態のままであった。・ズクロペンチキソール酢酸塩との比較は、ハロペリドール群のほうが3回以上注射投与を受けた人がより多かった(1試験、70例、2.54、1.19~5.46)。・ハロペリドールとロラゼパムとの比較試験は3試験であった(205例)。・投与後1時間時点で眠りに就いていた被験者数に関する有意な群間差は認められなかった(1試験、60例、1.05、0.76~1.44)。しかし、3時間時点までの比較では、ロラゼパム群のほうが有意に多いことが示された(1試験、66例、1.93、1.14~3.27)。・複数回の注射投与を要したかについての差異はみられなかった(1試験、66例、1.14、0.91~1.43)。・ハロペリドールの副作用はロラゼパムの追加投与によって相殺されなかった(たとえばジストニア:1試験、67例、8.25、0.46~147.45、抗パーキンソン病薬を要する:2.74、0.81~9.25)。・プロメタジンの追加投与については、大規模かつ質の良好な1試験が行われていた(316例)。・ハロペリドール群の多くが、20分時点までに安穏あるいは睡眠に就くことはなかった(RR:1.60、95%CI:1.18~2.16)。・ハロペリドール群のほうが有意に多く1回以上の副作用を経験した(RR:11.28、95%CI:1.47~86.35)。・ハロペリドール単独投与に割り付けられた被験者は急性ジストニアの頻度が高く、中間解析以降にも認められた(RR:19.48、95%CI:1.14~331.92)。・他のいずれの選択肢もなければ、ハロペリドールの単独投与が救命になりうる。・副作用を相殺する追加薬が入手可能であるにもかかわらず、ハロペリドールを単独投与することは、たとえ極限の非常事態場面で強制投与が求められているような場面であっても、非倫理的であるとみなされるであろう。・プロメタジンの追加による鎮静は、無作為化試験からエビデンスが良好であることが支持された。・選択的抗精神病薬の投与は、断片的で不良なエビデンスしかなく部分的な支持にとどまった。・新世代抗精神病薬の投与のエビデンスは、旧タイプのものと比べて強力ではなかった。・ハロペリドールへのベンゾジアゼピン系薬の追加投与は、有効性および追加によって生じるリスクに関する強力なエビデンスはなかった。・急速な鎮静のための緊急投与がなされるようになって60年を経ているが、臨床に役立つ良質で独立した試験が依然として必要とされている。関連医療ニュース ・破壊的行動障害に対する非定型抗精神病薬使用 ・統合失調症に対するベンゾジアゼピン、最新レビュー知見 ・アルツハイマー病の興奮、抗精神病薬をどう使う?

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てんかん患者のうつ病有病率は高い

 てんかんはうつ病と有意に関連しており、うつ病はてんかんを持つ人(PWE)において高頻度に認められることが、カナダ・カルガリー大学のKirsten M Fiest氏らによるシステマティックレビューとメタ解析の結果、示された。著者は、「この所見は、PWEでのうつ病の適切な診断と治療の重要性を強調するものである」と結論している。Neurology誌オンライン版2012年11月21日号の掲載報告。てんかんを持つ人のうつ病有病率は23.1% 研究グループは、MEDLINE(1948~2012年)、EMBASE(1980~2012年)、PsycINFO(1806~2012年)をデータソースに、てんかんとうつ病について報告した住民ベースのオリジナル研究を包含基準としたシステマティックレビューを行った。関連論文の文献リスト、カンファレンスアブストラクトも検索対象とし、その他に専門家への聞き取りも行った。要約の検索とデータ抽出は2人の独立したレビュワーにより行われ、PWEにおけるうつ病の有病率と、てんかんとうつ病の関連を推定した[報告された推定オッズ比(OR)]。 てんかんとうつ病の関連を解析した主な内容は以下のとおり。・7,106件のアブストラクトがスクリーニングされ、14の特色あるデータソースにおいて23件の論文が報告されていた。・9試験・PWE 2万9,891例の報告において、アクティブなうつ病(現在あるいは昨年)有病率は23.1%(95%CI:20.6~28.31)であった。・14試験・121万7,024例のうち5試験で報告されていたPWEにおけるアクティブなうつ病のオッズ比は、2.77(95%CI:2.09~3.67)であった。・生涯うつ病について、4試験・PWE 5,454例の報告では有病率13.0%(95%CI:5.1~33.1)であり、3試験・被験者4,195例で報告されたPWEの生涯うつ病オッズ比は2.20(95%CI:1.07~4.51)であった。

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統合失調症に対するベンゾジアゼピン、最新レビュー知見

 統合失調症に対するベンゾジアゼピンの有効性と安全性について、システマティックレビューの結果、単独療法あるいは併用療法ともに投与に関する確実なエビデンスは現時点では確認できなかったことが、ドイツ・ミュンヘン工科大学付属病院Rechts der Isar ClinicのMarkus Dold氏らにより報告された。ベンゾジアゼピンの超短時間の鎮静効果、および急性期の興奮状態の統合失調症患者に対し鎮静のための投与を考慮すべきであるというエビデンスの質は低かったことが示されたという。Cochrane Library 2012年11月14日の発表報告。 研究グループは2011年2月に、以前に行った文献調査(2005年3月)のアップデートを行った。文献検索はCochrane Schizophrenia Groupの試験レジスターを対象とし(言語の規制なし)、関連研究の参考文献調査や、不明データを入手するため論文著者への連絡なども行った。選択適格基準は、統合失調症統合失調症様精神病(両方またはどちらか)の薬物療法として、ベンゾジアゼピン(単独、併用含む)と抗精神病薬またはプラセボを比較した全無作為化試験とした。解析はMDとCLのレビュワーが独立的に行った。二分変数アウトカムについてリスク比(RR)と95%信頼区間(CI)を算出し、連続データを平均差(MD)と95%CIを用いて解析し、組み込んだ試験(バイアスリスクツール適用)からの事前選択アウトカムをそれぞれ評価した。 主な内容は以下のとおり。・レビューには、34試験(2005年解析より3試験増)、2,657例が組み込まれた。大半の試験は、サンプル数が少なく、短期試験で、アウトカムデータが不完全であった。・プラセボと比較したベンゾジアゼピン単独療法に関する試験は8試験であった。・重大臨床的効果がみられなかった被験者の割合は、ベンゾジアゼピン群とプラセボ群で有意な差はみられなかった(382例、6試験、RR:0.67、95%CI:0.44~1.02)。評価結果は、全身・精神状態のさまざまな評価スケールが用いられており整合性がなかった。・抗精神病薬単独療法とベンゾジアゼピン単独療法とを比較した試験は14試験であった。・重大臨床的効果の評価において、統計的に有意な差がみられた試験グループはなかった[(30分)44例、1試験、RR:0.91、95%CI:0.58~1.43、(60分)44例、1試験、0.61、0.20~1.86、(12時間)66例、1試験、0.75、0.44~1.30、(プール短時間試験)112例、2試験、1.48、0.64~3.46]。・抗精神病薬群と比べてベンゾジアゼピン群のほうが、20分、40分時点で至適な鎮静を得られた被験者が有意に多かった。全身・精神状態や副作用の発生について、有意な群間差は確認できなかった。・抗精神病薬+ベンゾジアゼピンを併用した増強療法と抗精神病薬単独療法とを比較した試験は20試験であった。重大臨床的効果があり統計的に有意な改善が示される可能性があったのは、併用療法での最初の30分だけであった[(30分)45例、1試験、RR:0.38、95%CI:0.18~0.80、(60分)45例、1試験、0.07、0.00~1.03、(12時間)67例、1試験、0.85、0.51~1.41、(プール短時間試験)511例、6試験、0.87、0.49~1.54]。・全身・精神状態の解析は、30分、60分時点での至適な鎮静を除いて、群間差は示されなかった[(30分)45例、1試験、RR:2.25、95%CI:1.18~4.30、(60分)45例、1試験、1.39、1.06~1.83]。・ベンゾジアゼピン治療に対する忍容性は、全体に漸減率が測定されたことで問題はないようであった。副作用は概してあまり報告がなかった。統合失調症でのベンゾジアゼピン治療(とくに長期的な併用戦略)のエビデンスを明らかにするために、さらなる質の高い規模の大規模な研究プロジェクトが求められる。関連医療ニュース ・ベンゾジアゼピン系薬剤の使用で抗精神病薬多剤併用率が上昇?! ・アルツハイマー病の興奮、抗精神病薬をどう使う? ・ベンゾジアゼピンと認知症リスクの関連

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みんなの症候診断

第1回「経過にこだわろう!」第2回「“急に”と言われても…」第3回「反復するということは?」 第1回「経過にこだわろう !」症候診断において最も重要な「病歴」。しかし、症例は教科書通りのものばかりではありません。患者さん側も診断に必要な情報を順序立てて話してくれるわけではなく、経験の浅い医師にとってはついつい時間がかかるばかりで、肝心の診断がつかないことも間々あります。 「マニュアルで診療はできないんです」と講師の前野先生。さまざまな情報から必要なものを選び出して頭の中で鑑別診断リストを作り、効率的な質問を投げかけながらリアルタイムで診断を絞り込んでいく。瞬時にこれらのことができる訓練をしなければいけません。この思考ロジックを、前野先生が研修医の皆さんと一緒にたどっていきます。第1回の症例は「頭痛」。ありふれた症例ですが、問診でのポイントは何処にあるのでしょう?第2回「“急に”と言われても…」今回のケースは“急におなかが痛くなった”患者さんです。漠然とした訴えにどうしたらいいのか悩んでしまいますが、どう対応したらいいのでしょう。番組では、症状のどこに注目して、何を聞いたらいいのか、そして重篤な疾患を見逃さないコツは何なのかを、詳しく解説していきます。ゲーム感覚で楽しく学べる診療のコツをどうぞお楽しみください。第3回「反復するということは?」今回取り上げるのは「胸痛」を訴える患者さん。胸痛と言えば当然、狭心症、心筋梗塞などの見逃せない疾患の主訴ですね。すぐに心電図!とあなた。しかし、異常は見当たらずホッと安心…はもちろんできません。ホルター心電図でさえ捉えられないことも間々ある心臓の虚血…。さあ、どうしましょう? 心エコー? 心カテ? やっきになって検査をやみくもに繰り返してしまうのが、新人の先生が陥りやすいワナです。 「胸が痛いと言う患者さんにはもちろん心電図は重要な検査です」しかし、「心電図だけでは虚血は診断できないことが多々あります」と前野先生。そんな時重要なのは、「やはり病歴」。そしてそれは「それほど難しいことではないんです」。病歴から分かる病態生理は、診断の大きな手がかりになるだけでなく、それを説明することで患者さんを安心させることもできるというスグレモノ。胸痛だけでなく様々な疾患に応用できる問診のコツ、ベテランの先生も必見!

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カスガ先生の精神科入門[負けるが勝ち!]

第1回「困った人たちとの遭遇」第2回「うつ病に関する必要最小限の知識」 第1回「困った人たちとの遭遇」精神科非専門医であっても決して避けては通れない、さまざまなメンタル関連の諸問題を、カリスマ精神科医・春日武彦先生が切れ味鋭く解説していきます。第1回は「(境界性)人格障害」への対応について。医師に対して理不尽な怒りをぶつけたり、クレームをつけたり、脅したりという「困った患者さん」に悩まされた経験はありませんか?彼らは意識が清明で幻覚妄想はなく、責任能力が十全であるにも関わらず、理性的な対応を受け付けられずにトラブルを繰り返してばかりいます。 そんな患者と折り合いをつけて付き合っていくためのポイントを詳しく解説します。第2回「うつ病に関する必要最小限の知識」精神科の医師ではなくても、うつ病を併発した(あるいは、その疑いがある)患者を診る機会は少なくないでしょう。そこで、現代の流行病ともいうべき「うつ病」に関して、必ず知っておかなければならない「必要最小限の知識」を凝縮してお届けします。ひとくちにうつ病といっても様々なタイプがあり、例えば身体的な訴えが強くて精神症状を隠蔽してしまうタイプは、非常に多く、早期発見と適切な治療の妨げとなっています。一通りの知識がある方でも、春日先生の含蓄のある解説を聞けば、難解なうつ病をより深く理解できるはずです。

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Dr.林の笑劇的救急問答4

第1回「一皮むけるECGのTips」第2回「熱性痙攣はコワイ?」 第1回「一皮むけるECGのTips」今回のテーマは心電図について。とはいっても教科書的な心電図の読解ではなく臨床で役に立つ、知っているとちょっと自慢になるようなTipsとピットフォールについてお届けします。 53歳男性 「胃が重い」と救急外来を受診。心電図で心筋梗塞を疑い研修医はMONAを実施したが突然患者の血圧が低下 ! さぁどうする !? 40歳男性 重度うつ病で入院中。自殺企図が強いためトイレと洗面以外は抑制されていたが前日から2度にわたり失神を起こしたため救急外来を受診。主治医は肺炎を疑い胸部X線を実施したが影はない。第2回「熱性痙攣はコワイ?」小児の救急車要請の頻度が最も高い疾患として熱性痙攣があります。医師として誰もがきちんと診ることができなければならない疾患ですが、実際に痙攣を起こしている患児をみると、どうしても慌ててしまう事も多いでしょう。その為あまりにも慎重になり過ぎたり、逆に何度も経験すると「たかが熱性痙攣」と甘くみてしまい、思わぬ落とし穴にハマることにもなりかねません。 そこで、腰椎穿刺を行うべき症例や、そこまで必要のない症例の見分け方のポイントを学びます。今回の症例ドラマもツブ揃いの名演技、どうぞお見逃しなく! 1歳3ヶ月男児 自宅で痙攣を起こし救急車搬送された。痙攣は初発であるとの事。研修医は髄膜炎の鑑別診断のため腰椎穿刺を実施しようとするが母親に拒否され…。 8歳男児 数日前から風邪をひいていたが夜中に痙攣を起こしたため救急車搬送された。熱性痙攣の既往ありという母親の言葉を研修医は鵜呑みにしてしまうが指導医であるDr.林の診断は!?

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