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SMSを活用した教育介入で、てんかん患者の健康関連QOLが改善

 てんかん患者における健康関連QOL(HRQoL)の改善は、さまざまな治療プログラムおよび行動介入において着目すべき課題となっている。マレーシア・Sultan Zainal Abidin大学のPei Lin Lua氏らは、SMS(Short Message Service)を活用した教育プログラムのてんかん患者のHRQoLに及ぼす影響の検討、ならびに良好なHRQoLの予測因子を明らかにすることを試みた。Quality of Life Research誌オンライン版2013年1月18日号の掲載報告。 マレーシア半島東海岸にある3つの公立病院のてんかん外来患者を適格症例とし、印刷物による教育資材のみが提供された群(対照群)と、印刷物に加えてモバイルてんかん教育システム(Mobile Epilepsy Educational System:MEES)によりSMSを受信した群(介入群)に無作為化した。HRQoLはThe Malay Quality of Life in Epilepsy Inventory-30(QOLIE-30のマレー語版)を用いて評価した。統計解析ソフトSPSS 16を使用し、記述統計、ペアt検定、共分散分析および多重ロジスティック回帰分析などによりデータを解析した。 主な結果は以下のとおり。・登録されたのは、てんかん患者144例であった。・患者背景は、年齢が30.5±11.8歳、未婚者が60.4%、教育レベルはマレーシア教育検定〔Sijil Pelajaran Malaysia:SPM、ケンブリッジシステムのOレベル(中等課程)〕以下が76.4%、罹病期間5年を超える例が51.1%であった。・想定される交絡因子調整後、介入群は対照群と比べて「発作への不安」「全般的QOL」「情緒的健康」「社会的役割」「総スコア」をはじめ、HRQoLプロファイルの改善が認められた(p<0.05)。・共変量調整後、SMSを追加したてんかん教育プログラムは、てんかん患者における良好なHRQoLの有意な予測因子であることが示された。・著者は、「SMSによる継続的な情報提供は、てんかん患者のHRQoLに好影響を及ぼすようである」と結論するとともに、「本研究は将来的なイノベーションの礎となるものであり、てんかん患者・家族がウェルフェアおよびHRQoLを確保するための努力を後押しするものである」と成果を強調した。関連医療ニュース ・てんかん患者のうつ病有病率は高い ・側頭葉てんかんでの海馬内メカニズムの一端が明らかに ・抗てんかん薬、神経膠腫術後患者の言語記憶を改善

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術後のAcute Pain Serviceを利用できない患者には経口オピオイド療法を

 術後痛など急性痛に対応するAcute Pain Service(APS)を受けない、すなわち局所麻酔法や患者自己管理鎮痛法を受けることができない患者は、激しい術後疼痛に苦しむ。こうした患者に対しては経口オピオイド療法が有効であり、治療アルゴリズムは外科病棟で実行可能であることがドイツ・ミュンスター大学病院のE.M. Pogatzki-Zahn氏らによる前向き観察研究で示された。Der Schmerz誌オンライン版2013年1月17日号の掲載報告。 耳鼻咽喉科、外傷外科および一般外科で手術を受ける患者を対象に、徐放性(CR)オキシコドン、速放性(IR)ヒドロモルフォンを含む経口オピオイド、および非オピオイド性鎮痛薬からなる経口療法を実施した。 手術当日術前および手術後12時間毎に最高4日間、CRオキシコドンを投与した。疼痛スケール(0~10)が安静時3または体動時5を上回り患者の希望があった場合、IRヒドロモルフォンで治療した。 手術当日および手術後4日間の計5日間アンケートを用いて評価した。また、同様の調査を手術後6ヵ月および12ヵ月に行った。 主な結果は以下のとおり。・計275例が登録された(耳鼻咽喉科163例、外傷外科82例、一般外科30例)。・疼痛スケール中央値は、安静時3以下および体動時5以下であった。・外傷外科手術を受けた患者は、耳鼻咽喉科手術および一般外科手術を受けた患者と比較してより多くのCRオキシコドンを必要とした(p<0.001)。・一般外科および外傷外科手術を受けた患者は、耳鼻咽喉科手術を受けた患者より便秘の頻度が高かった。・嘔吐は手術の種類に関係なく、手術当日20~30%からその後は10%以下まで減少した。・重篤な有害事象は観察されなかった。・手術前のうつ病スコアが高かった患者はそうでない患者に比べ、手術直後により大きな痛みを報告した。・手術後6ヵ月および12ヵ月に持続性の術後痛を訴えた患者は、それぞれ11例(15.7%)および7例(14.9%)であった。これらの患者は、手術後1日目の急性痛が大きかった。

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パニック障害 + 境界性パーソナリティ障害、自殺への影響は?

 これまでの研究では、境界性パーソナリティ障害(BPD)、パニック発作(PA)、パニック障害(PD)といった個々の疾患と自殺企図との関係は明らかされている。しかし、併発した際の自殺企図との関係はよくわかっていない。カナダ・マニトバ大学のDanielle L Turnbull氏らはこれらの疾患の併存による影響を検討した。The Journal of nervous and mental disease誌2013年2月号の報告。 対象患者は、アルコールおよび関連疾患に関する全国疫学調査(NESARC)のWEVE2のデータより抽出した34,653例を用いた。BPD(562例)、PA(253例)、PD(255例)、BPD+PD(146例)、BPD+PA(119例)と自殺企図との関係についてロジスティック回帰分析を用いて検討した。 主な結果は以下のとおり。・BPD、PD、PAは自殺企図と関連していた。・BPD+PD またはBPD+PAでは、BPD単独と比較し、自殺企図との関連がわずかではあるが増加した。・自殺企図との関連は、感情調整不全をコントロールしたのち大幅に減少した。・境界性パーソナリティ障害では、自殺予防を見据え、感情調節不全のコントロールが重要であると考えられる。関連医療ニュース ・日本人統合失調症患者における自殺企図の特徴は? ・空中浮遊微粒子濃度は自殺企図・統合失調症増悪に影響を及ぼす ・境界性パーソナリティ障害患者の症状把握に期待!「BPDSI-IV」は有用か?

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抗うつ薬を使いこなす! 種類、性、年齢を考慮

 抗うつ薬の血中濃度は種類ごとに、性および年齢の影響を有意に受けている。このことが、ドイツ・ヴュルツブルク大学病院のS. Unterecker氏らによる自然条件下にて評価した治療薬物モニタリング(TDM)の結果、明らかにされた。抗うつ薬のTDMデータの評価は多くの場合、精神疾患の既往や身体的合併症のない均一サンプルを選択して行われており、日常診療では限界を有する可能性があることから、研究グループは自然条件下にての評価を行った。Journal of Neural Transmission誌オンライン版2012年12月20日号の掲載報告。 研究グループは、自然条件下にて抗うつ薬のTDMデータを評価し、すべての臨床的関連を明らかにすることを目的とした。TDM解析はレトロスペクティブの手法にて、2008~2010年の3年間を対象とし、標準的な臨床設定における抗うつ薬の用量補正後血中濃度について、性と年齢の影響を調べた。 主な結果は以下のとおり。・TDM解析に組み込まれたサンプルおよび数は下記であった。  アミトリプチリンとノルトリプチリン(AMI+NOR)693例  シタロプラム(CIT)160例  クロミプラミンとN-クロミプラミン(CLO+N-CLO)152例  ドキセピンとN-ドキセピン(DOX+N-DOX)272例  エスシタロプラム(ESC)359例  フルオキセチンとN-フルオキセチン(FLU+N-FLU)198例  マプロチリン(MAP)92例  ミルタザピン(MIR)888例  セルトラリン(SER)77例・女性では、AMI+NOR(32%)、CIT(29%)、DOX+N-DOX(29%)、MIR(20%)の用量補正後血中濃度が有意に高かった。・60歳超では、AMI+NOR(21%)、CIT(40%)、DOX+N-DOX(48%)、MAP(46%)、MIR(24%)とSER(67%)の用量補正後血中濃度が有意に高かった。・両方の極値群の比較において、女性60歳超群の用量補正後血中濃度が、男性60歳以下群と比較してAMI+NOR(52%)、CIT(78%)、DOX+N-DOX(86%)、MIR(41%)と顕著に高いことが示された。・抗うつ薬の血中濃度は種類ごとに、性および年齢の影響を有意に受けており、相加効果を考慮しなければならない。・TDMは、自然な臨床設定下でも高用量治療による副作用リスクを低下するために推奨される。関連医療ニュース ・【ポール・ヤンセン賞2012】うつ病に対するミルタザピンvs他の抗うつ薬 ・SSRI、インスリン抵抗性から糖尿病への移行を加速! ・【学会レポート】抗うつ効果の予測と最適な薬剤選択

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検証!統合失調症患者の睡眠状態とは

 統合失調症患者では、睡眠状態に問題を抱えることがしばしば見られる。また、睡眠状態が統合失調症の各症状に影響を及ぼす可能性もある。ポルトガル・リスボン精神病院センターのPedro Afonso氏らは、睡眠パターンや睡眠の質、QOLに関して、統合失調症患者と健常者で違いがあるかを検討した。The world journal of biological psychiatry : the official journal of the World Federation of Societies of Biological Psychiatry誌オンライン版2013年1月15日号の報告。 対象は統合失調症患者34例(男性22例、女性12例)と健常者34例(男性19例、女性15例)。睡眠覚醒サイクルを評価するためにアクティグラフと睡眠日誌を用いた。睡眠の質の測定にはピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)を用い、QOLの測定にはWHO(世界保健機関)によるQOL評価尺度の簡易版(WHOQOL-BREF)を用い評価した。精神病理学の評価にはPANSSを用いた。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者は、健常者と比較し、夜間により睡眠をとっていたが、睡眠効率が悪く、睡眠潜時と中途覚醒が有意に高かった。・自己申告によるQOLスコアは、健常者において、4つすべてのドメインで有意に高かった。・PSQIスコアは、統合失調症患者において有意に高く、睡眠の質が悪かった。・統合失調症患者では睡眠-覚醒のパターンが乱れていた(睡眠相前進症候群3例、不規則型睡眠・覚醒パターン3例)。関連医療ニュース ・睡眠薬、長期使用でも効果は持続 ・不眠症の人おすすめのリラクゼーション法とは ・慢性不眠症患者の中途覚醒の原因は?

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空中浮遊微粒子濃度は自殺企図・統合失調症増悪に影響を及ぼす

 イスラエルのネゲヴ・ベン=グリオン大学のNaomy S. Yackerson氏らは、空中浮遊微粒子の濃度が自殺企図および統合失調症の増悪に及ぼす影響について検討を行った。その結果、風の方向による空中浮遊微粒子濃度の相違が、自殺企図や統合失調症の増悪に影響を及ぼすことを報告し、天候を考慮した対処が精神への有害な影響を予防あるいは緩和しうることを示唆した。International journal of biometeorology誌オンライン版2013年1月16日号の掲載報告。 本研究では、固体の空中浮遊微粒子(SSP)濃度の精神障害発生における役割を評価した。対象は、2001~2002年までの16ヵ月間に、ベン=グリオン大学のBeer-Sheva Mental Health Center(BS-MHC)に記録のあった1,871症例。内訳は、統合失調症(ICD-10:F20-F29)の増悪を理由に入院した者が1,445例、自殺企図(ICD-10:X60-X84)を理由に入院した者が426例であった。SSP濃度と精神障害発生との相関はPearson and Spearman検定により評価し、p 

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うつ病の治療転帰を予測するには、臨床的要因 < 社会経済的要因

 大うつ病性障害(MDD)において、治療転帰に関わる多くの予後因子が知られているが、いずれも単独では予後予測能に限界がある。米国・カリフォルニア大学のFelipe A. Jain氏らは、MDDの治療転帰に関する予測因子について検討した。その結果、社会経済的要因が、ベースラインにおける臨床的要因と比べ、より強力に治療転帰を予測しうること、また複数の因子を組み合わせたプロファイルが各因子単独よりも強力な予測因子であることを報告した。Depression and Anxiety誌オンライン版2013年1月3日号の掲載報告。 本研究では、臨床的および人口動態的因子の階層的な複合を基に、抗うつ薬の治療反応性および寛解に関連するプロファイルを明らかにすることを目的とした。Sequenced Treatment Alternatives to Relieve Depression trial(STAR*D)において、MDD患者2,876例にシタロプラムが投与されたレベル1のデータを解析した。信号検出分析を施行し、治療転帰の異なる患者の階層的予測プロファイルを特定した。分析に際し、感度、特異度、陽性・陰性予測値および検査効率を評価しつつ、自動化されたアルゴリズムを用いて最適な予測因子を決定した。 主な結果は以下のとおり。・ベースラインの臨床的および人口動態的因子の階層的複合により、治療転帰を有意に予測するプロファイルが明らかとなった。・解析の結果、全コホートの反応率は47%であったのが、プロファイルに基づくサブグループの反応率は31~63%の範囲にわたった。・また、全コホートの寛解率は28%であったのに対し、サブグループの寛解率は12~55%にわたった。・抗うつ薬の治療転帰をより反映していたのは、症状や他の臨床的要因よりも、社会経済的状態(収入、教育など)であった。・うつ症状のタイプおよび重症度とともに合併症の状況は、抗うつ薬の治療転帰の予測に有用であったものの、その予測能は弱かった。関連医療ニュース ・日光を浴びる時間は気分に影響:大分大学 ・抗精神病薬投与前に予後予測は可能か? ・うつ病患者の食事療法、ポイントは「トリプトファン摂取」

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SSRI、インスリン抵抗性から糖尿病への移行を加速!

 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の長期使用では、肥満症および糖尿病のリスク増大が知られているが、これまで、SSRIがインスリン抵抗性の直接的な誘発因子であるのかといった病態生理学的意義については、ほとんど明らかとなっていなかった。今回、イスラエル・ワイツマン科学研究所のRoi Isaac氏らによるマウス試験の結果、SSRIが膵臓のβ細胞におけるインスリン・シグナル伝達を直接的に阻害している所見が示された。著者は、「SSRIはインスリン抵抗性の状態から顕性糖尿病への移行を加速している可能性がある」と結論している。SSRIがインスリン分泌を阻害 実証試験は、マウス膵島あるいはMin6β細胞の培養株(2時間)で、SSRIがインスリン受容体基質(IRS)-2のインスリン誘発チロシン・リン酸化反応を阻害し、その下流に位置するAktおよびS6K1の活性阻害が示されるかについて検証した。SSRIは、パロキセチン、フルオキセチン、セルトラリンが用いられた。 SSRIに関する実証実験の主な結果は以下のとおり。・阻害は、用量依存的(最大半減期効果:~15-20μM)であり、IRSキナーゼGSK3βの急速リン酸化および活性との相関を示した。・GSK3β-siRNAsの投与により、SSRIの阻害効果は消失した。・30μMのSSRIによるIRS-2活性の阻害は、マウスおよびヒトの膵島からのグルコース刺激インスリン分泌の顕著な阻害と関連していた。・ベーシックなインスリン分泌促進薬(KCI、Arg)は、これらの薬品による影響を受けなかった。・Min6細胞のセルトラリン長期治療(16時間)は、iNOSを誘発した。すなわち、ERストレスの活性と小胞体ストレス応答(unfolded protein response:UPR)の惹起であり、それらはATF4とCHOPの転写の亢進によって示される。これによってアポトーシスが惹起され、カスパーゼ3/7を亢進し、β細胞死に至る。・以上の所見は、SSRIは、GSK3βの活性化によりIRSの機能とインスリン活性を阻害することを意味する。さらには、SSRIが、インスリン分泌を阻害し、UPRを惹起し、アポトーシスを引き起こして、β細胞の死滅を誘発することを示唆する。・SSRIは、インスリン抵抗性を促進する一方でインスリン分泌を阻害しており、インスリン抵抗性の状態から顕性糖尿病への移行を加速している可能性がある。

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アリピプラゾールの聴覚認知機能改善に対する影響は?

 これまでに、認知障害は統合失調症の中心的な症状とみなされ、認知機能は症状レベルよりも機能性アウトカムの、より良好な予測因子であることは明らかであった。また、聴覚認知機能の早期異常には、ミスマッチ陰性電位(MMN)が関連することがわかっていた。中国・南京医科大学のZhenhe Zhou氏らは、これまで明らかになっていなかった統合失調症患者におけるMMNへのアリピプラゾールの効果について検討した。PLoS Oneオンライン版2013年1月号の掲載報告。 対象は、統合失調症患者26例と対照群26例。ベースラインおよびアリピプラゾール治療開始後4週、8週時点における精神病理学的評価をPANSSを用いて行った。事象関連電位(ERP)の評価は、聴覚刺激100ミリ秒/1,000Hzを標準刺激とし、100ミリ秒/1,500Hzを頻度逸脱(frequency)刺激、250ミリ秒/1,000Hzを持続期間逸脱(duration)刺激として行われた。脳波(EGG)は正中前頭部(Fz)で記録し、データ解析にはBESA 5.1.8が用いられた。MMN波形の評価は、frequencyあるいはduration刺激波形から標準波形を減算し行われた。 主な結果は以下のとおり。・アリピプラゾール治療は、すべてのPANSSスコアを改善させた。・ベースラインにおいて患者群は対照群よりも、frequencyおよびduration MMNの平均振幅が小さかった。・セッション(ベースライン、4週、8週時点など)およびMMNタイプ(frequency対duration)を被験者内要因として行ったrepeated measure ANOVAの結果、MMN振幅に対するMMNタイプまたはMMNタイプ×セッション効果の有意性は示されなかった。一方で、セッション効果のみでは有意性が認められた。・またLSD検定にて、8週時点とベースラインおよび4週時点とのMMN振幅の有意差を調べた。・ベースラインおよび各評価時点において、frequencyおよびduration MMN振幅の変化とPANSS総スコアの変化との間に、有意な逆相関の関連が認められた。・以上の結果から、アリピプラゾールはMMN振幅を改善する。またMMNは、アリピプラゾール治療が統合失調症における前注意障害(preattentive deficits)を改善するという客観的なエビデンスを提供する。関連医療ニュース ・統合失調症患者の認知機能改善にフルボキサミンは有効か? ・認知機能への影響は抗精神病薬間で差があるか? ・PETでみるアリピプラゾール薬理作用「なぜ、EPSが少ないのか」

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統合失調症患者の再発を予測することは可能か?

 統合失調症は再発を繰り返すことで重症化する。もし、再発を予期することができれば、重症化を防ぐことが可能かもしれない。フランス・エクス=マルセイユ大学のLaurent Boyer氏らは、自己報告式健康状態調査票(SF36)やQOLI(Quality of Life Interview)により評価したQOLで統合失調症患者の再発を予測できるかどうかを検討した。BMC psychiatry誌2013年1月9日号の報告。 フランス、ドイツ、イギリス(European Schizophrenia Cohort:EuroSC)で実施した多施設コホート研究のデータを利用した。Cox比例ハザードモデルを実施し、ベースラインのQOLと24ヵ月間の再発との関連を推定した(年齢、性別、PANSS、GAF、薬物治療、副作用、コンプライアンスの程度で調整)。 主な結果は以下のとおり。・1,024例中、期間中に少なくとも1回の再発が認められた患者は540例(53%)、再発が認められなかった患者484例(47%)であった。・QOLレベルは再発を予測する最も重要な特徴であった。・QOLレベルが高いと24ヵ月後の再発率が低下することが予測できた。SF36身体関連スコア:HR=0.82(0.74~0.91)、p

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(49)〕 うつ病当事者の苦悩-これは身近な問題です―

この論文でも最初に触れられているが、うつ病はWHOの健康指標の一つであるDALY(死亡損失と障害損失)において、第1位である(低所得国を除く)。筆者もこの事実を大学病院の精神科短期研修者に毎月強調している。すなわち高所得国のDALYにおいては、うつ病(1位)、脳血管障害(3位)、認知症(4位)、アルコール性疾患(5位)であり、精神疾患の社会的負荷はきわめて大きく、社会の役に立ちたいと思う若い医師の諸君は決して当科研修を疎かにしてはならない(すべての科で誠実に努力すべし)。万が一にも社会貢献に興味薄であっても、社会においてまともに機能する医師になりたければ、やはり精神科研修にも励むべし、と。蛇足であるが、これを伝える場面は筆者の担当する「認知症」の小講義の冒頭のつかみに位置している。これらの疾患は高齢者においてはより深刻であり、高齢化がますます進む本邦はまさに瀬戸際にいるのである。 さらに本邦では、うつ病患者がまさに差別を恐れて精神科ではなく内科を受診する(平均月6名)という川上らの1990年の報告があった。プライマリ・ケアにおいて精神疾患はますます重要な領域と思われる。意を決して内科等を受診したうつ病患者が救われるような包括的医療提供が必要である。 差別をなくすにはどうすればいいだろうか? 一臨床医の私見であるが、差別の基盤には恐怖があるので、対象のことを知り、自分ももしかしたらそうであったかもしれない「仲間」として見ることができれば差別は減るのではないだろうか? となると、彼らがどう感じているのかを目に見える形にすることはとても有効だ。この研究は、当事者自身の体験や感じ方を評価している点で卓越している。また、この国際共同研究に日本も参加していることは勇気を与えてくれる。 以上が感想である。ここで終わってしまうと単なる感想文であるので、学術的なことにも触れたい。 DISCとは聞き慣れない評価尺度であるが、参考文献を見ると妥当性の検討は現在掲載待ちのようだ(原著 参考文献19)。寡聞にして知らなかったが、2009年のLancet誌では統合失調症を対象に同じような報告がなされている。今後要注目の評価尺度と言えそうだ。 この論文のポイントは簡単にまとめると、1)うつ病患者の約8割が何らかの差別体験を報告している、2)3人に1人は人から避けられるという差別経験がある、3)3人に1人は差別を恐れて仕事に応募しなかったり親密な人間関係を持たないなどしている、4)差別経験が多いものはうつ病エピソードが複数回あるものや入院歴があるなどの重症者である、であろう。入院歴の評価はこの結果からこれ以上のことは言えず、慎重であるべきだ。

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うつ病患者の食事療法、ポイントは「トリプトファン摂取」

 うつ病では悲哀感、希望喪失、易刺激性、身体機能障害などの特徴がみられ、数週間にわたり重症の症状を呈する。また、気分変調症は軽度の抑うつ気分が漫然と続いた状態である。うつ病の治療には、精神療法、薬物療法、光線療法などがあるが、これまでの臨床的および経験的エビデンスから、適切な食事が抑うつ症状を軽減しうることが示唆されている。オランダ領アンティル・Saint James School of MedicineのFaisal Shabbir氏らは、食事が抑うつに及ぼす影響について考察した。神経伝達物質であるセロトニンの低下はうつ病の一因であるが、セロトニンの前駆体であるトリプトファンを多く含む食事の摂取が抑うつ症状の軽減に有用であることを示唆した。Neurochemistry international誌オンライン版2013年1月7日号の報告。トリプトファンの含有量が少ない食事を摂取しているとうつに陥る可能性 トリプトファンを多く含む食事が抑うつ症状の軽減に有用であることを示唆した主な知見は以下のとおり。・脳内で合成される神経伝達物質のセロトニン(5-HT)は、気分緩和、満足感、睡眠の調節などに重要な役割を果たしている。5-HTを多く含む果物や野菜があるが、血液脳関門の存在により5-HTは中枢神経系に容易に到達できない。しかしながら、5-HTの前駆体であるトリプトファンは容易に血液脳関門を通過できる。・トリプトファンは、ビタミンB6誘導体であるピリドキサールリン酸存在下で、トリプトファンハイドロキシダーゼおよび5-HTPデカルボキシラーゼにより5-HTに変換される。・タンパク質の多い食品であっても、必須アミノ酸は体内でつくることができないため、トリプトファンの含有量が少ない食事を摂取しているとうつに陥る可能性がある。・たとえば月経前後の女性、心的外傷後ストレス障害、慢性疼痛、がん、てんかん、パーキンソン病、アルツハイマー病、統合失調症、薬物依存など、うつに陥りやすい状況にある患者ではトリプトファンを多く含む食事の摂取が重要である。・中枢神経におけるトリプトファンのバイオアベイラビリティは炭水化物の欲求に関連するが、炭水化物を多く含む食事はインスリン反応の引き金となりトリプトファンのバイオアベイラビリティを高める。・セロトニン再取り込み阻害薬は(SSRI)は、抑うつ症状を呈する肥満患者に処方されるが、これらの患者ではセロトニン濃度が厳格に調節されず、モノアミンオキシダーゼ阻害薬と併用した際には生命を脅かす有害事象が発現する可能性がある。しかし、トリプトファンを多く含む適切な食事を摂取することでセロトニン合成が調節されうる。・以上より、さまざまな神経変性疾患で観察される抑うつ症状に対し、セロトニン神経伝達を助ける上でトリプトファンを多く含む食事とビタミンB6は臨床的に重要と言える。ただし、うつに対するセロトニン神経伝達を修飾する薬理学的介入は、従来と変わらず臨床的に重要な事項である。また、うつの病態にはその他にもいくつかの分子メカニズムが関わっている可能性がある。関連医療ニュース ・うつ病予防に「脂肪酸」摂取が有効? ・うつ病補助療法に有効なのは?「EPA vs DHA」 ・認知症の進行予防に有効か?「ビタミンE」

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睡眠障害と皮膚疾患、夜間のひっかき行動は睡眠ステージと関連

 カナダ・ウェスタンオンタリオ大学のMadhulika A. Gupta氏らは、Clinics in Dermatology誌2013年1月号特集「Psychodermatology」に、「睡眠障害と皮膚疾患」と題するレビュー論文を寄稿した。睡眠は、人の一生のうち約3分の1を占める生命活動だが、睡眠中の皮膚疾患に関する研究はほとんど発表されていない。しかし皮膚疾患による睡眠の乱れが、患者のQOLやメンタルヘルスに有意な影響を及ぼす可能性があり、また場合によっては症状の増悪に通じる可能性があると、本主題の重要性を提起している。 Gupta氏は、臨床における睡眠と皮膚疾患の関連について、次の5つを示し、これらは皮膚疾患治療に重大な影響を及ぼすと述べている。(1)正常な睡眠生理(体温調節、中心体温調節、睡眠の開始など)における皮膚の役割(2)内因性サーカディアンリズムと末梢性サーカディアン“振動子”の皮膚症状への影響(たとえば、炎症性皮膚症患者の夕刻時に最低血中濃度となるコルチゾールレベルにより、夕刻と夜間にかゆみが増大する傾向がみられることなど)(3)かゆみ、多汗症、体温調節の異常といった症状による、本人および家族の睡眠や睡眠関連QOLへの影響(4)不眠症や睡眠時無呼吸、睡眠妨害、サーカディアン障害といった主要な睡眠障害の、皮膚疾患への考えられる影響(たとえば、睡眠時無呼吸での睡眠からの中枢神経系の覚醒は交感神経を活性化し、炎症に結びつくなど)(5)ストレスや精神的障害を伴う一部の皮膚疾患の共存症[たとえば、睡眠関連の主訴と関連している大うつ病や注意欠陥多動性障害(ADHD)] その上で、アトピー性皮膚炎患者の睡眠障害について次のような考察を行っている。・不眠が、アトピー性皮膚炎におけるADHD様症状の病因に関与している可能性がある。・睡眠中のひっかき行動は、各睡眠ステージの間の交感神経活動と関連している可能性があり、通常、ノンレム睡眠ステージ1および2(より深い睡眠ステージであるステージ3、4と比べて)で、最も頻繁に起きている。また、レム睡眠でも頻繁に起きている(ひっかき行動の重症度はステージ2と同程度)。・アトピー性皮膚炎の患者および両親の、夜間のかゆみやひっかき行動の自己申告は概して、ひっかき行動の客観的尺度と関連しない。

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統合失調症の重症度・社会性の低下は、海馬体積の減少と関連

 統合失調症において海馬体積の減少は高い頻度で報告されているが、疾患への影響(とくに臨床面、心理社会面にどれほど影響するのか)については依然として十分に明らかとなっていなかった。イタリア・ウーディネ大学のP. Brambilla氏らは、統合失調症患者における症状重症度と社会性の低下は、海馬体積の減少と関連している可能性があることを、三次元マッピング研究の結果より、報告した。British Journal of Psychiatry誌2013年1月号の掲載報告。 研究グループは海馬の神経解剖学的差異を、3次元(3D)コンピュータ画像解析を用いて調べることを目的とした。高解像度MRIと表面モデリングによる3Dマッピングにて、成人の統合失調症患者群と健常者対照群の海馬プロファイルの違いを調べた。海馬の3Dパラメトリック・メッシュモデルを手動トレースにて作成し、回帰モデルにてラジアル距離にみる診断尺度を、また色分布図を作成し関連プロファイルを評価した。 主な結果は以下のとおり。・被験者は、統合失調症群67例、健常者対照群72例であった。・海馬のラジアル距離について、両群間の差異は検出できなかった。・しかし統合失調症群において、両側性にみられた体積減少が症状重症度(期間、陽性または陰性の症状について)の増大、および社会性の低下(教育レベル、QOL、健康状態)と関連していることが示された(Bonferroni補正後)。・以上の結果から、統合失調症における症状重症度および社会性の低下が、海馬体積の減少と関連している可能性が認められた。・画像診断尺度はアウトカム不良の構造的サインとして、サブグループ(海馬体積の減少を食い止める特異的治療を要する可能性がある患者)を特定するのに役立つ可能性がある。関連医療ニュース ・グルタミン酸ドパミンD3受容体遮断による統合失調症の新たな創薬の可能性 ・統合失調症患者におけるフィルター障害のメカニズムを解明 ・検証!統合失調症患者の体重増加と遺伝子との関連

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双極性障害患者の長期健康状態の独立予測因子は肥満!

 双極性障害において、肥満が内科的、精神科的負担を増大させるというエビデンスが横断的研究で多く示されている。しかし、双極性障害と肥満の関係を検証する縦断的研究はほとんど行われていなかった。カナダ・トロント大学のBenjamin I Goldstein氏らは、肥満と双極性障害との関連を3年間にわたり検討した。その結果、肥満は双極性障害患者の長期的な健康状態を予測する独立した因子であり、肥満の治療は双極性障害患者の内科的、精神科的負担の軽減につながる可能性が示唆されたことを報告した。Bipolar Disorders誌オンライン版2013年1月3日号の掲載報告。 研究は、アルコールおよび関連障害全国疫学調査(National Epidemiologic Survey on Alcohol and Related Conditions)の第1期および第2期の調査を完了した双極性障害患者1,600例を対象に、3年間にわたる肥満と双極性障害との関連を調べた。第1期の調査データを基に双極性障害と肥満との関連を検討したほか、第1期と第2期の間における双極性障害、精神科合併症、内科合併症の経過を検討した。 主な結果は以下のとおり。・肥満のある双極性障害患者(506例、29.43%)は、肥満のない双極性障害患者(1,094例、70.57%)と比べ、1)大うつ病エピソードの発現、2)うつ病に対するカウンセリング、3)自殺企図の報告、が有意に多かった。・肥満のある双極性障害患者は肥満のない双極性障害患者と比べ、アルコール使用障害の新規発症が有意に少なかった。・ベースラインの患者特性で調整した後、肥満の有無によるこれらの差は有意でなくなった。・新たなエピソードの発症、躁病/軽躁病の治療において有意な差はみられなかった。・患者特性で調整した後でも、内科合併症の新規発症[オッズ比(OR):2.32、95%信頼区間(CI):1.63~3.30]、高血圧の新規発症(OR:1.81、95%CI:1.16~2.82)、関節炎の発症(OR:1.64、95%CI:1.07~2.52)に関しては、肥満患者で有意に多かった。・肥満患者では、糖尿病(OR:6.98、95%CI:4.27~11.40)、脂質異常症(同:2.32、1.63~3.30)(第2期のみにおいて評価)と診断・報告された者が有意に多かった。・統計学的に有意ではなかったが、肥満患者では心臓発作の発生頻度が2倍であった。・肥満と将来的なうつ増加との関連は、ベースラインの患者特性に左右されると考えられた。関連医療ニュース ・抗精神病薬誘発性の体重増加に「NRI+ベタヒスチン」 ・双極性障害の再発予防に対し、認知療法は有効か? ・第二世代抗精神病薬によるインスリン分泌障害の独立した予測因子は・・・

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うつ病の差別経験、社会参加や受療機会の障壁に:ASPEN/INDIGO試験/Lancet

 うつ病に関連する差別経験は、病態の増悪や社会的機能の低下だけでなく、うつ病の非公表を助長して支援や受療の機会をも奪うことが、イタリア・ベローナ大学のAntonio Lasalvia氏らの調査で示された。現在、うつ病は世界的な疾病負担の第3位を占める(中~高所得国では第1位)。診断はプライマリ・ケアでも十分に可能であり、抗うつ薬や心理療法は60~80%の患者に有効なことが知られているが、実際に治療を受けている患者は半数に満たないという。有効な治療に対する障壁には種々の要因があるが、なかでも精神疾患に関連するスティグマ(罹患者に対する否定的な態度を誘引する不名誉の烙印・象徴)は重要な課題とされる。Lancet誌2013年1月5日号(オンライン版2012年10月18日号)掲載の報告。大うつ病性障害患者の差別経験を横断的調査で検討 ASPEN(Anti Stigma Programme European Network)/INDIGO(International Study of Discrimination and Stigma for Depression)試験は、大うつ病性障害の成人患者における差別経験の特徴や程度を評価する横断的調査。差別経験と病歴、医療供給、診断名公表との関連や、差別予測と差別公表や過去の差別経験との関連についても調査を行った。 35ヵ国39施設(ASPEN試験:18ヵ国19施設、INDIGO試験:日本を含む17ヵ国20施設)で大うつ病性障害と診断された患者に対し、差別およびスティグマ尺度(第12版、DISC-12)に関する聞き取り調査を行った。対象は18歳以上、母国語の理解および会話の能力がある者とした。データの解析には多変量回帰モデルを用いた。差別経験はうつ病の公表にも悪影響、非公表が受療の大きな障壁に 2010年6月1日~12月31日までに1,082例(平均年齢:44.9歳、男性:34%、単身者:18%、就業者:39%)のデータが収集された。そのうち855例(79%)が「差別経験がある」と答えた。 親密な人間関係の構築を断念したと答えたのが405例(37%)で、271例(25%)は就職活動を、218例(20%)は教育や訓練を諦めたと回答した。 差別経験の程度が大きいほど、生涯うつ病エピソード数との関連性が高く[陰性二項回帰係数:0.20、95%信頼区間(CI):0.09~0.32、p=0.001]、1回以上の精神病院入院(同:0.29、0.15~0.42、p=0.001)や社会的機能の低さ(配偶者との死別/別居/離婚:0.10、0.01~0.19、p=0.032、無報酬就労:0.34、0.09~0.60、p=0.007、就職活動中:0.26、0.09~0.43、p=0.002、失業:0.22、0.03~0.41、p=0.022)と有意な関連が認められた。 差別経験は、うつ病の診断を公表する意欲をも失わせた(平均差別スコア:うつ非公表4.18 vs うつ公表2.25、p<0.0001)。 差別の予感は実際の差別経験とは必ずしも関連せず、就職活動中や就業中に差別を予測した者の47%(147/316例)および親密な相手からの差別を予測した者の45%(160/353例)は、実際には差別を経験しなかった。 著者は、「うつ病に関連する差別は、社会参加や職業的な統合に対する障壁として機能しており、うつ病の非公表はそれ自体が支援の探索や有効な治療の受療に対するいっそうの障壁となっている」と結論付け、「うつ病患者におけるスティグマ化を防止し、すでに確立されたスティグマの作用を減弱するには、新たな持続的アプローチが必要なことが示唆される」としている。

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新規抗うつ薬「ノルアドレナリン・ドパミン脱抑制薬」その実力とは?

 新規抗うつ薬として注目されるノルアドレナリン・ドパミン脱抑制薬(NDDI)であるアゴメラチン。オーストリア・ウィーン医科大学のSiegfried Kasper氏らは、アゴメラチンの有効性および忍容性を評価するため、SSRIやSNRIとの各種比較試験より解析を行った。International clinical psychopharmacology誌2013年1月号の報告。 患者データのプール解析によりアゴメラチンの抗うつ効果をSSRIやSNRIと比較した。適応用量内で実施されたベンラファキシン、セルトラリン、フルオキセチン、パロキセチン、エスシタロプラムを用いた6試験無作為化二重盲検比較試験より解析を行った。一次評価にはHAM-D17を用いた。治療間の差の推定については、最終観察時点(6、8、12週目)の値に基づいて算出した。 主な結果は以下のとおり。・各試験で無作為化された対象患者は2,034例(年齢:47.6±14.9歳、男女比:27:73、HAM-D17トータルスコア:29.6±3.0)。・解析対象患者は最大で1,997例(アゴメラチン群:1,001例、SSRI/SNRI群:996例)。・アゴメラチン群では、SSRI/SNRI群と比較し、HAM-D17トータルスコア(E[SE]=0.86[0.35]、95%CI=0.18~1.53、p=0.013)、HAM-D17におけるレスポンダーレート(p=0.012)、CGI-I(CGI-Improvement)スコア(p=0.032)の有意な改善が認められた。・重度なうつ病患者においても同様な結果が得られた。・アゴメラチン群では、SSRI/SNRI群と比較し、優れた忍容性が認められた。関連医療ニュース ・難治性うつ病に対するアプローチ「SSRI+非定型抗精神病薬」 ・うつ病補助療法に有効なのは?「EPA vs DHA」 ・ドパミンD3受容体拮抗薬、統合失調症治療薬としての可能性は?

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第二世代抗精神病薬によるインスリン分泌障害の独立した予測因子は・・・

 第二世代抗精神病薬(SGA)は2型糖尿病リスクを増大する。そのメカニズムは、薬剤による体重増加を中心に、インスリン抵抗性の代謝異常カスケードが始まり、インスリン産生の増大と膵β細胞の機能障害によるものだと考えられている。米国・ザッカーヒルサイド病院のPeter Manu氏らは、SGAであるクロザピン、オランザピン、クエチアピン、リスペリドンについて、インスリン分泌への影響を検討した。Schizophrenia Research誌オンライン版2012年12月8日号の掲載報告。 SGAは2型糖尿病リスクを増大する。そのメカニズムは、薬剤による体重増加を中心に、インスリン抵抗性の代謝異常カスケードが始まり、インスリン産生の増大と膵β細胞の機能障害によるものだと考えられている。SGAのインスリン分泌への独立した影響については、これまで動物モデルの試験においては示唆されていたが、臨床では実証されていなかった。研究グループは、SGA治療中の患者における負荷試験後インスリン分泌について評価することを目的に、単一施設で代謝評価を受けた連続する783例の成人精神疾患入院患者コホートのうち、520例の非糖尿病患者を対象とした試験を行った。インスリン分泌は、75gブドウ糖負荷試験後のベースライン、30分、60分、120分時点での記録を基に作成した曲線下面積[AUC(インスリン)]で評価し、インスリン分泌の独立予測因子について、サンプル全体で、または正常耐糖能(NGT)と糖尿病前症患者に分けて回帰分析を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・被験者520例の内訳は、クロザピンを服用する群が73例、オランザピン群190例、クエチアピン群91例、リスペリドン群166例であった。・負荷後AUC(インスリン)の独立予測因子は、AUC(グルコース)・腹囲・トリグリセリド値・低年齢(p<0.0001)、非喫煙(p=0.0012)、クロザピン治療(p=0.021)であった。・モデルが示すインスリン分泌バリアンスは、33.5%であった(p<0.0001)。・クロザピンの影響は、NGT群ではみられたが、糖尿病前症患者群では認められなかった。関連医療ニュース ・抗精神病薬誘発性の体重増加に「NRI+ベタヒスチン」 ・統合失調症患者の体重増加、遺伝子との関連を検証! ・「糖尿病+うつ病」に対する抗うつ薬の有効性は“中程度”

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「糖尿病+うつ病」に対する抗うつ薬の有効性は“中程度”

 糖尿病患者におけるうつ病発症は高頻度にみられ、不良な予後と関連する。ドイツ・フライブルグ大学のHarald Baumeister氏らは、うつ病を併発した糖尿病患者への、うつ病治療としての精神療法および薬物療法の効果について、システマティックレビューを行った。その結果、いずれもうつ病改善に中程度の有意な臨床的効果をもたらすことが示され、また血糖コントロールについても、薬物療法群では短期間での改善が認められたという。精神療法の血糖コントロールへの効果については確たるエビデンスが得られなかった。Cochrane Libraryオンライン版2012年12月12日号の掲載報告。 本研究は、糖尿病とうつ病を有する患者を対象に、うつ病治療としての精神療法と薬物療法の効果について評価することを目的とした。CENTRAL in The Cochrane Library、MEDLINE、EMBASEなどの電子データベースをソースとして2011年12月までに発行された論文(無作為化試験を適格)を検索した。参照リストも調べて著者と接触する機会も持った。主要アウトカムは、うつ病および血糖のコントロールであった。副次アウトカムは、糖尿病治療のアドヒアランス、糖尿病合併症の発症、全死因死亡、医療コスト、健康関連QOL(HRQoL)などであった。データ収集と解析は、2人の独立レビュワーにより行われた。全体の推定治療アウトカムの算出のため、ランダム効果モデルでのメタ解析が行われた。 主な結果は以下のとおり。・データベース検索により、3,963件の文献が同定された。そのうち、19試験、参加者計1,592例分のデータが解析に組み込まれた。【精神療法試験】・精神療法試験(8試験・被験者1,122例、治療期間3週~12ヵ月、治療開始後追跡期間0~6ヵ月)のレビューから、短期的(治療終了時など)・中期的(治療1~6ヵ月後など)・長期的(治療後6ヵ月超など)に、うつ病重症度の改善効果が認められた[8試験の標準化平均差の範囲(SMD):-1.47~-0.14]。しかし試験間の不均一性が大きく、精神療法試験の結果に関するメタ解析は行われなかった。・通常ケアと比較して精神療法群は、短期的うつ病寛解率(OR:2.88、95%CI:1.58~5.25、p=0.0006、4試験・被験者647例)、中期的うつ病寛解率(同:2.49、1.44~4.32、p=0.001、2試験・296例)の上昇がみられた。・精神療法試験の血糖コントロールに関するエビデンスは、不均一で不確定であった。・QOLについては3試験で、通常ケアと比較して有意な改善は認められなかった。・糖尿病およびうつ病の薬物治療のコストおよびアドヒアランスについては、検討されていたのが1試験のみで、信頼できる結論を導き出すことはできなかった。・糖尿病合併症および全死因死亡は、精神療法試験では検討項目に含まれたものがなかった。【薬物療法試験】・一方、薬物療法試験(対プラセボ8試験・被験者377例、治療期間3週~6ヵ月、治療後追跡なし)からは、抗うつ薬の中等度の効果が、短期的うつ病重症度の改善に認められた(7試験・被験者306例のSMD:-0.61、95%CI:-0.94~-0.27、p=0.0004/SSRIに関する5試験・241例は同-0.39、-0.64~-0.13、p=0.003)。・短期的うつ病寛解率は、抗うつ薬治療の試験で上昇が認められた(OR:2.50、95%CI:1.21~5.15、p=0.01、3試験・被験者136例)。・また短期間での血糖コントロールの改善がみられた[HbA1cの平均差(MD):-0.4%、95%CI:-0.6~-0.1、p=0.002、5試験・被験者238例]。・健康関連QOLおよびアドヒアランスは、検討されていたのが1試験のみであり、いずれの項目についても統計的有意差はみられなかった。・薬物療法試験では、中期および長期うつ病ならびに血糖コントロールのアウトカム、医療コスト、糖尿病合併症および全死因死亡について検討されていなかった。・異なる薬物療法を比較した試験間(3試験・被験者93例、治療期間12週、治療後追跡なし)の結果に有意差はみられなかった。ただし、フルオキセチン治療患者では、シタロプラム治療と比較して血糖コントロールの有意な改善がみられた(HbA1cのMD:-1.0%、95%CI:-1.9~-0.2、1試験・被験者40例)。関連医療ニュース ・うつ病に対するミルタザピンvs他の抗うつ薬 ・SSRIの短期治療、うつ症状改善に先立ち正常化する扁桃体機能 ・うつ病補助療法に有効なのは?「EPA vs DHA」

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世界中で起きている障害を有する人の高齢化/Lancet

 1990~2010年の20年間の世界の障害生存年(years lived with disability:YLD)について、オーストラリア・School of Population HealthのTheo Vos氏らがGlobal Burden of Diseases Study 2010(GBD2010)の系統的解析を行い報告した。その結果、10万人当たりのYLD有病率は20年間でほぼ一定であったが、年齢に伴う着実な上昇が認められたという。背景には人口増加と平均年齢の上昇があった。またYLDの最も頻度の高い原因(メンタル問題、行動障害、筋骨格系障害など)の有病率は減少しておらず、著者は「各国のヘルスシステムは死亡率ではなく障害を有する人の増加について対処する必要があり、その上昇する負荷に対する効果的かつ可能な戦略が、世界中のヘルスシステムにとって優先すべきことだ」と提言した。Lancet誌2012年12月15/22/29日合併号掲載の報告。世界の289の疾患・外傷の1,160の後遺症について系統的な解析を実施 研究グループは、GBD2010のデータを基に、その291の疾患・外傷リストのうち、障害をもたらす289の疾患・外傷の1,160の後遺症について、有病率、発生率、軽快した割合、障害持続期間、超過死亡率について系統的解析を行った。データは、公表されている研究、報告症例、住民ベースがんレジストリ、その他疾患レジストリ、マタニティクリニック血清サーベイランス、退院データ、外来ケアデータ、世帯調査、その他サーベイおよびコホート研究から構成された。 YLDを、シミュレーション手法により共存症について補正し、年齢、性、国、年度レベルで算出した。主因は、メンタル問題、行動障害、筋骨格系障害、糖尿病や内分泌系疾患 解析の結果、2010年の全年齢統合の1,160の後遺症の世界的な有病率は、100万人当たり1例未満から35万例まで広範囲にわたった。有病率と健康損失をもたらす重症度との関連はわずかであった(相関係数:-0.37)。 2010年のあらゆるYLDの有病者は7億7,700万人で、1990年の5億8,300万人から増加していた。 YLDをもたらした主要な要因は、メンタル問題と行動障害、筋骨格系障害と糖尿病や内分泌系疾患であった。 YLDの主要な特異的要因は、1990年と2010年でほぼ同様であり、腰痛、大うつ病、鉄欠乏性貧血、頸痛、COPD、不安障害、偏頭痛、糖尿病、転倒であった。 年齢別YLD有病率は、全地域で年齢に伴う上昇がみられたが、1990年から2010年にかけてわずかだが減少していた。 10万人当たりのYLD有病率は20年間でほぼ一定であった。 YLDの主要な要因の地域別パターンは、早期死亡による生命損失年(YLL)とよく似ていた。サハラ以南のアフリカでは、熱帯病、HIV/AIDS、結核、マラリア、貧血がYLDの重大な要因であった。

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